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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097409
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ダクト構造及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20240711BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240711BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240711BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20240711BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240711BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240711BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240711BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/6566
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/647
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000840
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC04
3D038AC06
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB20
3D235BB36
3D235CC15
3D235DD25
3D235EE63
3D235FF02
3D235FF12
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH03
3D235HH07
3D235HH51
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】周囲にスペースを確保しつつ、バッテリの冷却性能の低下を抑制でき、組立性も良好なダクト構造及びその組立方法を提供する。
【解決手段】吸気ダクト13には、車両Vに搭載されるバッテリモジュール11を冷却する冷却風が流通する。吸気ダクト13は、下流側ダクト部材40と、端部35が下流側ダクト部材40の内部に挿入されて下流側ダクト部材40に接続された上流側ダクト部材30と、上流側ダクト部材30の端部35に設けられるシール部材50と、を備える。下流側ダクト部材40の端部45に設けられたガイド構造44は、水平ガイド部441と鉛直ガイド部442と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリを冷却する冷却風が流通するダクト構造であって、
第1ダクト部材と、
端部が前記第1ダクト部材の内部に挿入されて前記第1ダクト部材に接続された第2ダクト部材と、
前記第2ダクト部材の前記端部に設けられ、前記第1ダクト部材の内周面と前記第2ダクト部材の外周面との間をシールするシール部材と、を備え、
前記第1ダクト部材の端部には、前記第2ダクト部材及び前記シール部材の挿入をガイドするガイド構造が設けられており、
前記ガイド構造は、
前記第1ダクト部材の端部の一部に設けられ、前記第1ダクト部材の外周側に延出する第1ガイド部と、
前記第1ダクト部材の端部のうち前記第1ガイド部とは異なる位置に設けられ、前記第1ガイド部よりも前記第2ダクト部材の挿入方向とは反対方向に延出する第2ガイド部と、を有する、
ダクト構造。
【請求項2】
請求項1に記載のダクト構造であって、
前記第1ガイド部は、前記第1ダクト部材の端部に、曲線状に滑らかに繋がっている、
ダクト構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のダクト構造であって、
前記挿入方向において、前記第2ガイド部の端部と前記第1ガイド部の端部との距離は、前記第1ダクト部材の内部に挿入される前における前記シール部材の長さ以上である、
ダクト構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のダクト構造であって、
前記第1ダクト部材は、端部に前記第1ガイド部を有する第1部材と、端部に前記第2ガイド部を有する第2部材とを有し、
前記第1部材及び前記第2部材により前記第1ダクト部材の流路が区画形成される、
ダクト構造。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のダクト構造であって、
前記ダクト構造は、前記車両に搭載されるバッテリパックの内部に設けられ、該バッテリパックの吸気口と前記バッテリに冷却風を送風するファンとを接続する、
ダクト構造。
【請求項6】
請求項5に記載のダクト構造であって、
前記第1ダクト部材は、不織布により形成され、
前記第1ダクト部材は前記ファンに連通し、前記第2ダクト部材は前記第1ダクト部材の上流側に接続される、
ダクト構造。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のダクト構造の組立方法であって、
前記第2ダクト部材に設けられた前記シール部材を、前記挿入方向と直交する方向から前記第1ダクト部材の前記第2ガイド部に当接させ、
前記シール部材と前記第2ガイド部とが当接した状態で、前記第2ダクト部材及び前記シール部材を前記挿入方向に移動させて前記第1ダクト部材に挿入する、
ダクト構造の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続された2つのダクト部材を備えるダクト構造及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
車両の駆動源の電動化に伴って、車両にはモータ等に電力を供給するバッテリが搭載される。バッテリは電力供給時や充電時に発熱するので、バッテリを冷却する冷却装置が設けられる。例えば、特許文献1には、車両に搭載されるバッテリと、バッテリにエアを流通可能な吸気ダクトと、吸気ダクトにエアを供給する空調ユニットと、を備えるバッテリ温度調整システムが記載されている。
【0004】
特許文献1では、吸気ダクトの端部にはテーパ状に広がる縁部が形成されており、テーパ状の縁部は、空調ユニットの連結部の吸気ダクトへの挿入をガイドする。空調ユニットの連結部の外周面にはシール部材が周方向に周回しており、空調ユニットの連結部及びシール部材が吸気ダクトに挿入されることで、空調ユニットの連結部と吸気ダクトとが気密に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-146852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の吸気ダクトに形成されたテーパ状の縁部は、吸気ダクトの外周側に張り出しているので、当該縁部の周囲に設けられる部品の配置スペースが狭くなる。当該部品の配置スペースを確保するために、例えば、縁部を含めた吸気ダクトの流路断面積を小さくすることが考えられるが、この場合、バッテリの冷却性能が低下し得る。また、テーパ状の縁部を形成しない場合には、2つのダクト部材の組み立てが困難になり得る。
【0007】
本発明は、周囲にスペースを確保しつつ、バッテリの冷却性能の低下を抑制でき、組立性も良好なダクト構造及びその組立方法を提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
車両に搭載されるバッテリを冷却する冷却風が流通するダクト構造であって、
第1ダクト部材と、
端部が前記第1ダクト部材の内部に挿入されて前記第1ダクト部材に接続された第2ダクト部材と、
前記第2ダクト部材の前記端部に設けられ、前記第1ダクト部材の内周面と前記第2ダクト部材の外周面との間をシールするシール部材と、を備え、
前記第1ダクト部材の端部には、前記第2ダクト部材及び前記シール部材の挿入をガイドするガイド構造が設けられており、
前記ガイド構造は、
前記第1ダクト部材の端部の一部に設けられ、前記第1ダクト部材の外周側に延出する第1ガイド部と、
前記第1ダクト部材の端部のうち前記第1ガイド部とは異なる位置に設けられ、前記第1ガイド部よりも前記第2ダクト部材の挿入方向と反対方向に延出する第2ガイド部と、を有する。
【0009】
また、本発明は、
上記ダクト構造の組立方法であって、
前記第2ダクト部材に設けられた前記シール部材を、前記挿入方向と直交する方向から前記第1ダクト部材の前記第2ガイド部に当接させ、
前記シール部材と前記第2ガイド部とが当接した状態で、前記第2ダクト部材及び前記シール部材を前記挿入方向に移動させて前記第1ダクト部材に挿入する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周囲にスペースを確保しつつ、バッテリの冷却性能の低下及び組立性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のダクト構造の一実施形態である吸気ダクト13が搭載されるバッテリパック1の斜視図である。
図2】バッテリパック1の分解斜視図である。
図3】ファン12に接続された吸気ダクト13の斜視図である。
図4図3のA-A線断面図であり、上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40との接続箇所を示す図である。
図5】従来のガイド構造90(破線)と本実施形態のガイド構造44(実線)とを比較した図である。
図6】ガイド構造90(破線)を有する吸気ダクト13の流路断面積を小さくした図である。
図7】吸気ダクト13の組立方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のダクト構造の一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
[バッテリパック]
先ず、本発明のダクト構造の一実施形態である吸気ダクト13が搭載されるバッテリパック1について説明する。図1に示すように、バッテリパック1は、車両Vに搭載されている。車両Vは、ハイブリッド車や電気自動車等の電動車両であって、バッテリパック1に蓄電された電力によってモータを駆動することで走行可能に構成される。バッテリパック1は、前後方向に沿って延びる左右一対の骨格フレーム部材3の間において、フロアパネル2に載置され、フロアパネル2に固定される。フロアパネル2は車室及び荷室の床部を構成し、バッテリパック1の上方には、後部座席(不図示)が配置される。
【0014】
図2に示すように、バッテリパック1は、バッテリモジュール11と、ファン12と、吸気ダクト13と、送風ダクト14と、バッテリECU(Electronic Control Unit)15と、ジャンクションボード16と、これらの部材を収容するバッテリケース17と、を備える。
【0015】
バッテリケース17は、ベースプレート171と、ベースプレート171を上方から覆うカバー172と、を有する。ベースプレート171には、バッテリモジュール11、ファン12、及び送風ダクト14が載置される。カバー172は、ベースプレート171を覆い、フロアパネル2に固定される。カバー172の前面には吸気口17aが形成されており、吸気口17aは通気可能なグリル18により覆われている。
【0016】
バッテリモジュール11は、車幅方向に長い略直方体形状を有し、ベースプレート171に固定されている。バッテリモジュール11は、車幅方向に積層された複数のバッテリセルを有する。隣り合うバッテリセルの間には、セル間流路(不図示)が形成されており、送風ダクト14から送出された冷却風がセル間流路を流れることで、バッテリモジュール11が冷却される。
【0017】
ファン12は、ベースプレート171に固定されている。ファン12は、例えばシロッコファンである。ファン12は、回転軸方向(本実施形態では上下方向)に設けられた吸込口12aから冷却風を吸い込んで、遠心方向に設けられた吹出口12bから冷却風を送風ダクト14へ吹き出す。
【0018】
吸気ダクト13は、図2及び図3に示すように、カバー172に設けられた吸気口17aとファン12の吸込口12aとを接続する。吸気ダクト13は、車室の空気を冷却風として、吸気口17aからファン12まで案内する。
【0019】
吸気ダクト13は、上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とを備える。上流側ダクト部材30は、吸気口17aに接続され、バッテリモジュール11の上方に配置される。下流側ダクト部材40は、ファン12の吸込口12aに接続され、バッテリモジュール11の右側に配置される。吸気ダクト13の詳細については、後述する。
【0020】
送風ダクト14は、バッテリモジュール11とファン12の間に設けられ、ファン12の吹出口12bと連結している。送風ダクト14は、吹出口12bから吹き出された冷却風をバッテリモジュール11の下面に沿うように送出する。バッテリモジュール11の下方に送出された冷却風は、セル間流路を下方から上方に流れてバッテリモジュール11を冷却し、バッテリモジュール11の上面から排出される。その後、冷却風は、バッテリケース17内を流れ、図1の矢印が示すように、バッテリケース17の外部に排出される。
【0021】
バッテリECU15は、バッテリモジュール11の充電及び放電を制御する。バッテリECU15は、バッテリモジュール11に取り付けられたブラケット19に載置されており、上流側ダクト部材30とバッテリモジュール11との間に配置されている。バッテリECU15は、プロセッサ、メモリ、インターフェース等を備える。
【0022】
ジャンクションボード16は、バッテリモジュール11と外部機器(不図示)とを電気的に接続し、バッテリモジュール11の充電電力及び放電電力が流れる配線部品を含む。ジャンクションボード16は、下流側ダクト部材40の上方、且つ上流側ダクト部材30の右側に配置される。ジャンクションボード16は、下流側ダクト部材40の上方に設けられたブラケット60に載置される。
【0023】
[吸気ダクト]
次に、吸気ダクト13の詳細について、図3図6を参照して説明する。
【0024】
吸気ダクト13は、前述のとおり、車両Vに搭載されるバッテリパック1の内部に設けられている。吸気ダクト13は、バッテリパック1の吸気口17aとファン12とを接続する。
【0025】
上流側ダクト部材30は、図3に示すように、正面視で略L字形状のダクトである。上流側ダクト部材30は、例えば樹脂により形成される。上流側ダクト部材30には、前方に開口した吸気口接続部30aが設けられており、吸気口接続部30aは、カバー172の内側から吸気口17aに接続する。
【0026】
上流側ダクト部材30は、水平部31と、鉛直部32と、屈曲部33と、を有する。水平部31は、バッテリモジュール11の上面に沿って水平方向に延在する。鉛直部32は、バッテリモジュール11の右面に沿って鉛直方向に延在する。鉛直部32の下端は、下方に開口しており、後述する下流側ダクト部材40の鉛直部42に接続する。屈曲部33は、水平部31と鉛直部32とを接続する。屈曲部33は、水平部31内を流れる冷却風の進行方向を水平方向から鉛直方向に変更させて、冷却風を鉛直部32に案内する。
【0027】
下流側ダクト部材40は、正面視で略L字形状のダクトである。下流側ダクト部材40には、下方に開口したファン接続部(不図示)が設けられており、ファン接続部は、上方からファン12の吸込口12aに接続する。
【0028】
下流側ダクト部材40は、上側部材40Aと下側部材40Bとにより構成される。下側部材40Bは、前述したファン接続部を有し、ファン12に接続される。上側部材40Aは、下側部材40Bに上方から取り付けられる。上側部材40Aと下側部材40Bとは、外縁部において接着剤等により接合され、ファン12に連通する吸気流路を区画形成する。
【0029】
下流側ダクト部材40は、水平部41と、鉛直部42と、屈曲部43と、を有する。水平部41は、ファン12の上方で水平方向に延在する。鉛直部42は、バッテリモジュール11の右面に沿って鉛直方向に延在する。鉛直部42の上端は、上方に開口しており、上流側ダクト部材30の鉛直部32に接続する。屈曲部43は、水平部41と鉛直部42とを接続する。屈曲部43は、鉛直部42内を流れる冷却風の進行方向を鉛直方向から水平方向に変更させて、冷却風を水平部41に案内する。
【0030】
下流側ダクト部材40は、例えば、不織布により形成される。具体的には、シート状の不織布をプレス加工して上側部材40A及び下側部材40Bを成形し、上側部材40A及び下側部材40Bを接合して下流側ダクト部材40が形成される。不織布は、吸音性能に優れており、ファン12が駆動する時に発生する駆動音や、冷却風が流れる時に発生する流体音の音響エネルギーを吸収する。ファン12に連通する下流側ダクト部材40を不織布により形成することで、ファン12の駆動音を吸音し、吸気ダクト13を伝って吸気口17aから車室に漏れる駆動音を低減できる。
【0031】
下流側ダクト部材40には、3つの固定部13aが設けられている。固定部13aは、例えば、不図示のピン状のクリップが挿通可能な挿通孔である。図示は省略するが、下流側ダクト部材40は、固定部13aとベースプレート171に設けられた固定部とにクリップを差し込んで、ベースプレート171に固定される。ただし、ベースプレート171に対する下流側ダクト部材40の固定は、これに限られず、任意の固定方法を採用できる。
【0032】
続いて、上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40との接続について説明する。
【0033】
図4に示すように、上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とは、上流側ダクト部材30の鉛直部32の端部35を下流側ダクト部材40の内部に挿入することで接続される。以下では、上流側ダクト部材30を下流側ダクト部材40に挿入する方向を挿入方向(本実施形態では下方向)とも称する。
【0034】
上流側ダクト部材30の端部35には、下流側ダクト部材40の内周面と上流側ダクト部材30の外周面との間をシールするシール部材50が設けられている。シール部材50は、例えばゴム等の弾性部材である。上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とが接続される前では、挿入方向と直交する方向において、シール部材50の厚みは、上流側ダクト部材30の端部35における外周面と下流側ダクト部材40の端部45における内周面との隙間の長さよりも大きい。したがって、上流側ダクト部材30と下流側ダクト部材40とを接続するとき、シール部材50は挿入方向と直交する方向に圧縮されて隙間を埋めることができ、十分なシール性能を確保できる。
【0035】
下流側ダクト部材40の端部45には、上流側ダクト部材30及びシール部材50の挿入をガイドするガイド構造44が設けられている。ガイド構造44は、水平ガイド部441と、鉛直ガイド部442と、を有する。
【0036】
水平ガイド部441は、下流側ダクト部材40の端部45の一部に設けられ、下流側ダクト部材40の外周側に延出する。本実施形態では、水平ガイド部441は、下流側ダクト部材40の下側部材40Bの端部に設けられている。具体的に説明すると、水平ガイド部441は、下流側ダクト部材40の端部45の左側半分の部分に設けられている。水平ガイド部441は、前後方向に延在する左側部441aと、左側部441aから右方向に延在する前側部441b及び後側部441cと、を有する(図7参照)。
【0037】
また、水平ガイド部441は、下流側ダクト部材40の端部45に、曲線状に滑らかに繋がっている。
【0038】
鉛直ガイド部442は、下流側ダクト部材40の端部45のうち水平ガイド部441とは異なる位置に設けられ、水平ガイド部441よりも挿入方向と反対方向(本実施形態では上方向)に延出する。本実施形態では、鉛直ガイド部442は、下流側ダクト部材40の上側部材40Aの端部に設けられている。具体的に説明すると、鉛直ガイド部442は、下流側ダクト部材40の端部45の右側半分の部分に設けられている。鉛直ガイド部442は、前後方向に延在する右側部442aと、右側部442aから左方向に延在する前側部442b及び後側部442cと、を有する(図7参照)。
【0039】
鉛直ガイド部442は、挿入方向において下流側ダクト部材40の端部45から鉛直ガイド部442の上端部まで直線状に延出している。鉛直ガイド部442の長さに関して説明すると、挿入方向において、鉛直ガイド部442の上端部と水平ガイド部441の上端部との距離D1は、下流側ダクト部材40の内部に挿入される前におけるシール部材50の長さD2以上である(図7参照)。
【0040】
続いて、図5及び図6を参照して、従来のガイド構造90(破線)と本実施形態のガイド構造44とを比較する。
【0041】
従来のガイド構造90は、図5に示すように、下流側ダクト部材40の端部45の周全体に設けられテーパ状に広がる縁部91を有する。よって、ガイド構造90は、右側部分が縁部91の分だけ外周側(ここでは右側)に突出する。一方で、本実施形態のガイド構造44の右側部分は前述した鉛直ガイド部442であるので、ガイド構造44の右側部分は外周側には突出せずに挿入方向と反対方向に延出している。よって、ガイド構造44の右側にスペースを確保でき、例えばガイド構造44の右側に配置される部品(本実施形態ではジャンクションボード16)のための配置スペースを十分に確保できる。したがって、バッテリパック1内の部品の配置の自由度を高めることができる。
【0042】
また、従来のガイド構造90において右側のスペースを大きくするために、図6に示すように、吸気ダクト13の流路断面積を小さくすることが考えられる。しかしながら、流路断面積が小さいと、吸気ダクト13の内部を流れる冷却風の圧力損失が上昇するので、結果としてバッテリモジュール11の冷却性能が低下する。一方で、本実施形態のガイド構造44は、ガイド構造44の右側のスペースを確保でき、且つ、吸気ダクト13の流路断面積も小さくする必要がない。
【0043】
続いて、吸気ダクト13の組立方法について、図7を参照して説明する。
【0044】
吸気ダクト13を組み立てるとき、先ず下流側ダクト部材40に対して上流側ダクト部材30を右方向へ水平移動させる(図7:左側)。
【0045】
次に、上流側ダクト部材30に設けられたシール部材50を、右方向から下流側ダクト部材40の鉛直ガイド部442に当接させる(図7:中央)。より詳細には、シール部材50を鉛直ガイド部442の右側部442a、前側部442b、及び後側部442cに当接させる。鉛直ガイド部442との当接により、下流側ダクト部材40に対して上流側ダクト部材30が水平方向に位置決めされる。
【0046】
また、前述のとおり、挿入方向において、鉛直ガイド部442の上端部と水平ガイド部441の上端部との距離D1は、下流側ダクト部材40の内部に挿入される前におけるシール部材50の長さD2以上であるので、シール部材50の側面は、上端から下端まで鉛直ガイド部442に確実に受け止められる。したがって、鉛直ガイド部442は、より安定的にシール部材50の挿入をガイドできる。
【0047】
次に、シール部材50と鉛直ガイド部442とが当接した状態で、上流側ダクト部材30及びシール部材50を下方に移動させて下流側ダクト部材40に挿入する(図7:右側)。水平ガイド部441及び鉛直ガイド部442により、上流側ダクト部材30及びシール部材50が適切に下流側ダクト部材40の内部にガイドされ、シール部材50が脱落することなく下流側ダクト部材40への挿入を行うことができる。したがって、組立性が良好である。また、前述のとおり、水平ガイド部441は、下流側ダクト部材40の端部45に曲線状に滑らかに繋がっているので、上流側ダクト部材30の挿入時にシール部材50が脱落することをより確実に抑制できる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0049】
例えば、前述した実施形態では、吸気ダクト13をバッテリパック1の内部に配置したがこれに限られない。例えば、吸気ダクト13をバッテリパック1の外部に配置した構成であってもよい。
【0050】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0051】
(1) 車両(車両V)に搭載されるバッテリ(バッテリモジュール11)を冷却する冷却風が流通するダクト構造(吸気ダクト13)であって、
第1ダクト部材(下流側ダクト部材40)と、
端部(端部35)が前記第1ダクト部材の内部に挿入されて前記第1ダクト部材に接続された第2ダクト部材(上流側ダクト部材30)と、
前記第2ダクト部材の前記端部に設けられ、前記第1ダクト部材の内周面と前記第2ダクト部材の外周面との間をシールするシール部材(シール部材50)と、を備え、
前記第1ダクト部材の端部(端部45)には、前記第2ダクト部材及び前記シール部材の挿入をガイドするガイド構造(ガイド構造44)が設けられており、
前記ガイド構造は、
前記第1ダクト部材の端部の一部に設けられ、前記第1ダクト部材の外周側に延出する第1ガイド部(水平ガイド部441)と、
前記第1ダクト部材の端部のうち前記第1ガイド部とは異なる位置に設けられ、前記第1ガイド部よりも前記第2ダクト部材の挿入方向(下方向)とは反対方向(上方向)に延出する第2ガイド部(鉛直ガイド部442)と、を有する、
ダクト構造。
【0052】
(1)によれば、ガイド構造は、第1ガイド部よりも第2ダクト部材の挿入方向と反対方向に延出する第2ガイド部を有するので、ガイド構造の周囲にスペースを確保することができる。また、周囲にスペースを確保するために、ダクト構造の流路断面積を小さくする必要がないので、冷却性能の低下を抑制できる。また、第1ガイド部及び第2ガイド部により、第2ダクト部材の挿入を適切にガイドできるので、ダクト構造の組立性も良好である。
【0053】
(2) (1)に記載のダクト構造であって、
前記第1ガイド部は、前記第1ダクト部材の端部に、曲線状に滑らかに繋がっている、
ダクト構造。
【0054】
(2)によれば、第2ダクト部材の挿入時にシール部材が脱落することを抑制できる。
【0055】
(3) (1)又は(2)に記載のダクト構造であって、
前記第2ダクト部材の前記挿入方向と直交する方向から見たとき、前記第2ガイド部の端部と前記第1ガイド部の端部との前記挿入方向の距離(距離D1)は、前記シール部材の前記挿入方向の長さ(長さD2)以上である、
ダクト構造。
【0056】
(3)によれば、シール部材の側面は、上端から下端まで第2ガイド部に確実に受け止められる。したがって、シール部材の挿入をより安定的にガイドできる。
【0057】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載のダクト構造であって、
前記第1ダクト部材は、端部に前記第1ガイド部を有する第1部材(下側部材40B)と、端部に前記第2ガイド部を有する第2部材(上側部材40A)とを有し、
前記第1部材及び前記第2部材により前記第1ダクト部材の流路が区画形成される、
ダクト構造。
【0058】
(4)によれば、第1ガイド部を第1部材に設け、第2ガイド部を第2部材に設けることにより、第2ガイド部を第1ダクト部材の端部のうち第1ガイド部とは異なる位置に設けることができる。
【0059】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のダクト構造であって、
前記ダクト構造は、前記車両に搭載されるバッテリパック(バッテリパック1)の内部に設けられ、該バッテリパックの吸気口(吸気口17a)と前記バッテリに冷却風を送風するファン(ファン12)とを接続する、
ダクト構造。
【0060】
(5)によれば、バッテリパックの内部において、ガイド構造の周囲にスペースを確保することができるので、バッテリパック内の他の部品の配置の自由度を高めることができる。
【0061】
(6) (5)に記載のダクト構造であって、
前記第1ダクト部材は、不織布により形成され、
前記第1ダクト部材は前記ファンに連通し、前記第2ダクト部材は前記第1ダクト部材の上流側に接続される、
ダクト構造。
【0062】
(6)によれば、ファンに連通する第1ダクト部材を不織布により形成するので、ファンの駆動音を効果的に吸音できる。
【0063】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のダクト構造の組立方法であって、
前記第2ダクト部材に設けられた前記シール部材を、前記挿入方向と直交する方向から前記第1ダクト部材の前記第2ガイド部に当接させ、
前記シール部材と前記第2ガイド部とが当接した状態で、前記第2ダクト部材及び前記シール部材を前記挿入方向に移動させて前記第1ダクト部材に挿入する、
ダクト構造の組立方法。
【0064】
(7)によれば、第2ダクト部材及びシール部材を適切に第1ダクト部材の内部にガイドすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 バッテリパック
11 バッテリモジュール(バッテリ)
12 ファン
13 吸気ダクト(ダクト構造)
17a 吸気口
30 上流側ダクト部材(第2ダクト部材)
35 上流側ダクト部材の端部
40 下流側ダクト部材(第1ダクト部材)
45 下流側ダクト部材の端部
40A 上側部材(第2部材)
40B 下側部材(第1部材)
44 ガイド構造
441 水平ガイド部(第1ガイド部)
442 鉛直ガイド部(第2ガイド部)
45 端部
50 シール部材
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7