(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097443
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】気流発生システム及び作業機械
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20240711BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20240711BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60H1/00 102U
E02F9/16 A
E02F9/16 C
B60H1/34 651B
B60H1/34 651Z
B60H1/00 102V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000876
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】秋山 幸文
(72)【発明者】
【氏名】葉山 義仁
【テーマコード(参考)】
2D015
3L211
【Fターム(参考)】
2D015EA02
2D015EC01
3L211AA09
3L211BA01
3L211BA55
3L211DA14
3L211DA96
(57)【要約】
【課題】搭乗者が気流の妨げとなりにくい気流発生システム及び作業機械を提供することを目的とする。
【解決手段】気流発生システム1は、搭乗席21と壁部22とを含む搭乗室2を有する作業機械に用いられ、気流発生部と、吹出口11と、を備える。気流発生部は、気流を発生する。吹出口11は、搭乗室2に臨む位置に配置されており、搭乗室2内に気流を吹き出す。搭乗席21と壁部22とが対向する方向を第1方向とし、平面視において第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、吹出口11は、搭乗席21から見て第2方向の一方側に配置されて、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に気流を通す。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗席と壁部とを含む搭乗室を有する作業機械に用いられ、
気流を発生する気流発生部と、
前記搭乗室に臨む位置に配置されており、前記搭乗室内に前記気流を吹き出す吹出口と、を備え、
前記搭乗席と前記壁部とが対向する方向を第1方向とし、平面視において前記第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、前記吹出口は、前記搭乗席から見て前記第2方向の一方側に配置されて、前記搭乗席と前記壁部との間の隙間空間に前記気流を通す、
気流発生システム。
【請求項2】
前記吹出口は、前記搭乗室内において前記壁部に隣接して配置されている、
請求項1に記載の気流発生システム。
【請求項3】
前記吹出口は、前記第1方向において前記搭乗席の座面部から見て前記壁部側に配置されている、
請求項1又は2に記載の気流発生システム。
【請求項4】
前記吹出口は、前記第2方向の他方側に向けて開口している、
請求項1又は2に記載の気流発生システム。
【請求項5】
前記吹出口は、前記隙間空間に対して前記壁部に沿う気流を通す、
請求項1又は2に記載の気流発生システム。
【請求項6】
前記搭乗席から見て前記第1方向の前記壁部と反対側に配置され、前記搭乗席に対向する第1吹出口を更に備え、
前記吹出口としての第2吹出口の下端は、前記第1吹出口の下端よりも低い位置にある、
請求項1又は2に記載の気流発生システム。
【請求項7】
前記吹出口は、斜め上方に向けられている、
請求項1又は2に記載の気流発生システム。
【請求項8】
前記搭乗室の内側面のうち、平面視において前記隙間空間から見て前記吹出口と反対側に位置する内側面は、前記第1方向と前記第2方向との両方に対して傾斜する傾斜面を含む、
請求項1又は2に記載の気流発生システム。
【請求項9】
搭乗席と壁部とを含む搭乗室を有する作業機械に用いられ、
前記搭乗席と前記壁部とが対向する方向を第1方向とし、平面視において前記第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、前記搭乗席から見て前記第2方向の一方側から他方側に向けて、前記搭乗席と前記壁部との間の隙間空間に気流を通す、
気流発生システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の気流発生システムと、
前記気流発生システムが搭載される機体と、を備える、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗席を含む搭乗室を有する作業機械に用いられる気流発生システム及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、ブーム、アーム、バケット等を有する作業機が取り付けられる旋回フレームを備えた作業機械(油圧ショベル)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術においては、旋回フレームに設けられた搭乗室(キャブ)に、気流発生システム(空調装置)が設置されている。この気流発生システムは、搭乗室の右側側面の前部に取り付けられる気流発生部(空調ユニット)と、気流発生部からのエアを搭乗室の前面ガラスに送るダクトと、を備えている。ダクトは、気流発生部に被せる内装カバーに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記関連技術に係る気流発生システムでは、例えば、搭乗席(オペレータシート)に搭乗者(オペレータ)が座ったときに、搭乗者から見て右方に位置する気流発生部からの気流は、搭乗者によって妨げられ、搭乗者から見て左方の空間に届きにくい場合がある。
【0005】
本発明の目的は、搭乗者が気流の妨げとなりにくい気流発生システム及び作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る気流発生システムは、搭乗席と壁部とを含む搭乗室を有する作業機械に用いられ、気流発生部と、吹出口と、を備える。前記気流発生部は、気流を発生する。前記吹出口は、前記搭乗室に臨む位置に配置されており、前記搭乗室内に前記気流を吹き出す。前記搭乗席と前記壁部とが対向する方向を第1方向とし、平面視において前記第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、前記吹出口は、前記搭乗席から見て前記第2方向の一方側に配置されて、前記搭乗席と前記壁部との間の隙間空間に前記気流を通す。
【0007】
本発明の一態様に係る気流発生システムは、搭乗席と壁部とを含む搭乗室を有する作業機械に用いられる。前記気流発生システムは、前記搭乗席と前記壁部とが対向する方向を第1方向とし、平面視において前記第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、前記搭乗席から見て前記第2方向の一方側から他方側に向けて、前記搭乗席と前記壁部との間の隙間空間に気流を通す。
【0008】
本発明の一態様に係る作業機械は、前記気流発生システムと、前記気流発生システムが搭載される機体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搭乗者が気流の妨げとなりにくい気流発生システム及び作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る作業機械の全体構成を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る作業機械の搭乗室の外観を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る作業機械の搭乗室の内部を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る作業機械の搭乗室の内部を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る気流発生システムを示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る気流発生システムを示す概略分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る気流発生システムのダクトを示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る気流発生システムのダクトを示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る気流発生システムのダクトを示す概略左側面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る気流発生システムのダクトを示す概略背面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1に係る作業機械の搭乗室の内部を示す概略左側面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る作業機械の搭乗室の内部を示す概略斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る作業機械の搭乗室の内部を示す概略平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1に係る気流発生システムのシミュレーション結果を示す説明図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る気流発生システムのシミュレーション結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0012】
(実施形態1)
[1]全体構成
本実施形態に係る作業機械3は、
図1~
図3に示すように、少なくとも搭乗者H1(
図14参照)が搭乗可能な搭乗室2を備えている。搭乗室2は、搭乗席21と壁部22とを含む。搭乗席21は、搭乗者H1が座るための座席である。また、作業機械3は、気流発生システム1を更に備えている。気流発生システム1は、作業機械3の機体30に搭載されている。つまり、作業機械3は、気流発生システム1と、気流発生システム1が搭載される機体30と、を備える。
【0013】
本実施形態においては、作業機械3は、走行部31と、旋回部32と、作業部33と、を機体30に備えている。搭乗者H1が搭乗する搭乗室2は、旋回部32に設けられている。その他、作業機械3は、表示装置34、操作装置35、制御装置及び監視装置(各種センサ、カメラ等を含む)等を更に備えている。
【0014】
本開示でいう「作業機械」は、各種の作業用の機械を意味し、一例として、バックホー(油圧ショベル、ミニショベル等を含む)、ホイルローダー及びキャリア等の作業車両である。作業機械3は、1つ以上の作業を実行可能に構成された作業部33を備えている。作業機械3は、「車両」に限らず、例えば、作業用船舶、ドローン又はマルチコプター等の作業飛翔体等であってもよい。さらに、作業機械3は建設機械(建機)に限らず、例えば、田植機、トラクタ又はコンバイン等の農業機械(農機)であってもよい。本実施形態では、特に断りが無い限り、作業機械3が乗用タイプのバックホーであって、掘削作業、整地作業、溝掘削作業又は積込作業等を作業として実行可能である場合を例に挙げて説明する。より詳細には、本実施形態に係る作業機械3は、作業部33を含む旋回部32が走行部31の全幅(左右一対のクローラ311全幅)の120%以内で全旋回可能な「超小旋回形」、又は後端旋回半径比が120%以内の「後方超小旋回形」であることと仮定する。
【0015】
また、本実施形態では一例として、搭乗室2に搭乗する搭乗者H1がオペレータ(操作者)であって、作業機械3は搭乗者H1の操作により動作することとする。ただし、搭乗者H1はオペレータに限らず、例えば、作業機械3が遠隔操作又は自動運転により動作する場合、搭乗者H1は、監視又は点検(メンテナンス)等の目的で作業機械3に搭乗する人であってもよい。さらに、搭乗室2は、複数名の搭乗者H1が同時に搭乗可能であってもよく、この場合、1つの搭乗室2に複数の搭乗席21が設けられてもよい。
【0016】
本実施形態では、説明の便宜上、作業機械3が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。さらに、作業機械3の搭乗室2に搭乗した搭乗者H1(オペレータ)から見た方向を基準として、前後方向D2及び左右方向D3を定義する。言い換えれば、本実施形態で用いられる各方向は、いずれも作業機械3の搭乗室2を基準として規定される方向であって、作業機械3の前進時に機体30が移動する方向が「前方」、作業機械3の後退時に機体30が移動する方向が「後方」となる。同様に、作業機械3の右旋回時に機体30の前端部が移動する方向が「右方」、作業機械3の左旋回時に機体30の前端部が移動する方向が「左方」となる。搭乗室2は旋回部32に設けられているので、旋回部32の旋回に伴って、走行部31に対する前後方向D2及び左右方向D3は変化するところ、以下では、
図1のように、搭乗室2の正面が走行部31の進行方向を向いた状態にて方向を定義する。ただし、これらの方向は、作業機械3の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
【0017】
作業機械3は、動力源となるエンジンを備えている。本実施形態では一例として、エンジンはディーゼルエンジンである。エンジンは、燃料タンクから燃料(ここでは軽油)が供給されることにより駆動する。作業機械3においては、例えば、エンジンによって油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプから機体30の各部の油圧アクチュエータ(油圧モータ61及び油圧シリンダ62等を含む)に作動油が供給されることで、機体30が駆動する。このような作業機械3は、例えば、機体30の搭乗室2に搭乗したユーザ(オペレータ)が、操作装置35の操作レバー351(
図3参照)等を操作することにより制御される。
【0018】
本実施形態では、上述したように作業機械3が乗用タイプのバックホーである場合を想定しているので、作業部33は、搭乗室2に搭乗した搭乗者H1(オペレータ)の操作に従って駆動され、掘削作業等の作業を実行する。作業部33は、搭乗室2を設けた旋回部32に支持されている。そのため、旋回部32の旋回時には、作業部33は搭乗室2と共に旋回する。
【0019】
ここで、機体30の搭乗室2には、表示装置34及び操作装置35等が搭載されており、搭乗者H1は、表示装置34に表示される作業機械3に関連する種々の情報を見ながら、操作装置35を操作可能である。一例として、表示装置34の表示画面に、冷却水温及び作動油温等の作業機械3の稼働状態に関する情報が表示されることで、搭乗者H1は、操作装置35の操作に必要な作業機械3の稼働状態に関する情報を、表示装置34で確認することができる。
【0020】
走行部31は、走行機能を有し、地面を走行(旋回を含む)可能に構成されている。走行部31は、例えば、左右一対のクローラ311及びブレード312等を有している。走行部31は、クローラ311を駆動するための走行用の油圧モータ61(油圧アクチュエータ)等を更に有する。
【0021】
旋回部32は、走行部31の上方に位置し、走行部31に対して、鉛直方向に沿った回転軸を中心に旋回可能に構成されている。旋回部32は、旋回用の油圧アクチュエータとしての油圧モータ等を有している。旋回部32には、搭乗室2の他、エンジン及び油圧ポンプ等が搭載されている。さらに、旋回部32の前端部には、作業部33が取り付けられるブームブラケット321が設けられている。
【0022】
作業部33は、1つ以上の作業を実行可能に構成されている。作業部33は、旋回部32のブームブラケット321に支持されており、作業を実行する。作業部33は、バケット331を有する。バケット331は、作業機械3の機体30に取り付けられるアタッチメント(作業具)の一種であって、複数種類のアタッチメントの中から作業の内容に応じて選択される任意の器具からなる。バケット331は、一例として、機体30に対して取り外し可能に取り付けられ、作業の内容に応じて交換される。作業機械3用の(エンド)アタッチメントとしては、例えば、バケット331の他に、ブレーカ、オーガ、クラッシャ、フォーク、フォーククロー、鉄骨カッタ、アスファルト切削機、草刈機、リッパ、マルチャ、チルトローテータ及びタンパ等の種々の器具がある。
【0023】
作業部33は、ブーム332、アーム333及び油圧アクチュエータ(油圧シリンダ62及び油圧モータ等を含む)等を更に有している。バケット331は、アーム333の先端に取り付けられる。バケット331は、アーム333に対して、水平方向に沿った回転軸を中心に回転可能に支持されている。
【0024】
ブーム332は、旋回部32のブームブラケット321にて、回転可能に支持されている。具体的には、ブーム332は、ブームブラケット321にて、水平方向に沿った回転軸を中心に回転可能に支持されている。ブーム332は、ブームブラケット321に支持される基端部から上方に延びる形状を有している。アーム333は、ブーム332の先端に連結されている。アーム333は、ブーム332に対して、水平方向に沿った回転軸を中心に回転可能に支持されている。
【0025】
作業部33は、動力源としてのエンジンからの動力を受けて動作する。具体的には、エンジンによって油圧ポンプが駆動され、作業部33の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ62等)に油圧ポンプから作動油が供給されることで、作業部33の各部(バケット331、ブーム332及びアーム333)が動作する。
【0026】
本実施形態では特に、作業部33は、ブーム332及びアーム333が個別に回転可能に構成された多関節型の構造を有している。つまり、ブーム332及びアーム333の各々が、水平方向に沿った回転軸を中心に回転することにより、例えば、ブーム332及びアーム333を含む多関節型の作業部33は、全体として伸ばしたり、折りたたんだりする動作が可能である。さらに、アタッチメントとしてのバケット331は、機体30(旋回部32)に対して、ブーム332及びアーム333を介して支持されており、バケット331自体がアーム333に対して回転することにより、バケット331の開閉動作が可能である。
【0027】
走行部31及び旋回部32の各々についても、作業部33と同様に、動力源としてのエンジンからの動力を受けて動作する。つまり、走行部31の油圧モータ61及び旋回部32の油圧モータ等に、油圧ポンプから作動油が供給されることで、旋回部32及び走行部31が動作する。
【0028】
また、作業機械3は、バケット331(アタッチメント)に動力を供給するためのPTO(Power take-off)等の駆動装置(機構)を更に備えている。具体的には、駆動装置は、エンジンによって駆動される油圧ポンプからの作動油を、バケット331に送出し、作動油の流量を調節することでバケット331に供給する動力の大きさを調節する。ここで、駆動装置は、複数(本実施形態では一例として4つ)のPTOポート、つまり出力ポート(以下、「PTO1」、「PTO2」、「PTO3」、「PTO4」という)を有する。PTO1~PTO4は、それぞれ個別に動力、つまり作動油の流量を調節可能である。
【0029】
搭乗室2は、搭乗者H1が搭乗するための空間であって、本実施形態では旋回部32に設けられている。具体的に、左右方向D3に旋回部32を二分した場合に、その左側部分に搭乗室2が設けられている。搭乗室2は、少なくとも搭乗者H1が着席する搭乗席21(
図1参照)、及び搭乗席21の後方に位置する壁部22を有している。搭乗室2について詳しくは、「[2]搭乗室の詳細」の欄で説明する。
【0030】
気流発生システム1は、
図3に示すように、機体30の搭乗室2に配置されており、搭乗室2内に気流を送り込むシステムである。本実施形態では、冷風又は温風を出すことで冷房又は暖房を行うことが可能な空調システム(Air Conditioning System)が、気流発生システム1の一例である。つまり、気流発生システム1は、搭乗室2の外部気温(外気温)よりも低温である冷風又は高温である温風を、気流として搭乗室2内に送り込むことにより、搭乗室2内の環境を、搭乗者H1(オペレータ)にとって快適な状態に保つことが可能である。本実施形態では、気流発生システム1は、電装設備であって、バッテリからの電力供給を受けて動作する。気流発生システム1について詳しくは、「[3]気流発生システムの詳細」の欄で説明する。
【0031】
表示装置34は、
図3に示すように、機体30の搭乗室2に配置されており、搭乗者H1(オペレータ)に種々の情報を出力するためのユーザインターフェースである。表示装置34は、制御装置によって制御され、種々の画面を表示することで種々の情報を提示(出力)する。表示装置34は、表示以外に、音(音声を含む)出力の機能を有し、音によって種々の情報を提示してもよい。さらに、本実施形態では、表示装置34は、タッチパネル等の入力手段を含み、搭乗者H1の操作に応じた電気信号を出力することにより、ユーザによる各種の操作を受け付ける。これにより、搭乗者H1は、表示装置34に表示される表示画面を視認でき、また、必要に応じて表示装置34を操作することが可能である。
【0032】
操作装置35は、
図3に示すように、機体30の搭乗室2に配置されており、搭乗者H1(オペレータ)による操作入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。本実施形態では一例として、操作装置35は、一対の操作レバー351及び各種の操作スイッチ352等を含んでいる。
【0033】
一対の操作レバー351は、搭乗席21の前端部の左右方向D3の両側方に位置する。したがって、搭乗席21に座った状態の搭乗者H1は、例えば、一方の操作レバー351を右手で、他方の操作レバー351を左手で持ち、これら一対の操作レバー351を操作することで作業機械3に種々の動作を実行させる。
【0034】
操作スイッチ352は、電気式の操作子であって、搭乗者H1の操作に応じた電気信号(操作信号)を制御装置に出力することにより、搭乗者H1による各種の操作を受け付ける。操作スイッチ352は、例えば、キーシリンダに連動するメインスイッチを含む。メインスイッチは、作業機械3の起動時に搭乗者H1によって操作され、キーを用いてエンジンの起動操作(イグニッションオン)がなされることによりオンになる。メインスイッチがオフの間は、気流発生システム1等への電力供給がされておらず、気流発生システム1等が動作する状態にはない。気流発生システム1等は、メインスイッチがオンして初めて動作可能な状態となる。
【0035】
制御装置は、少なくとも気流発生システム1の制御を実行する。制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、制御装置は、作業機械3全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御装置は、統合コントローラと別に設けられていてもよいし、1つのプロセッサ、又は複数のプロセッサを主構成としてもよい。
【0036】
監視装置は、例えば、機体30の周辺画像を撮像する機能、機体30の各部の姿勢を検知する機能等を有する。監視装置で取得されるデータは、制御装置に出力される。監視装置で撮像される画像は、例えば、表示装置34にてリアルタイムに表示される。
【0037】
また、作業機械3は、上述した構成に加えて、カットオフレバー(ゲートロックレバー)、通信装置、燃料タンク及びバッテリ等を更に備えている。カットオフレバーは、「上げ位置」と「下げ位置」との間で操作可能であって、カットオフレバーが「上げ位置」にあれば、操作装置35の操作によらずに作業機械3の動作が強制的に制限される。
【0038】
[2]搭乗室の詳細
次に、搭乗室2の構成について、
図2~
図4を参照して詳細に説明する。
図3では、キャビン20の概略の外形を想像線(二点鎖線)で示す。
【0039】
建設機械等の作業機械3の搭乗室2の種類としては、キャビンタイプ、キャノピータイプ及びフロアタイプ等がある。キャビンタイプの搭乗室2は、キャビン20を備え、キャビン20の内部のキャビン空間200に搭乗者H1が搭乗する。キャノピータイプの搭乗室2は、キャノピー(屋根)を備え、キャノピーの下方の空間に搭乗者H1が搭乗する。フロアタイプの搭乗室2は、キャビン20及びキャノピー等を備えておらず、上方に開放された空間に搭乗者H1が搭乗する。つまり、搭乗室2は、周囲がパネル等で囲まれている態様だけでなく、搭乗者H1が搭乗可能な空間として用意されている種々の態様を含み得る。本実施形態では、搭乗室2がキャビンタイプである場合を例として説明する。
【0040】
本実施形態では、搭乗室2は、作業機械3の機体30の左側部分に配置されている。さらに、搭乗室2は、左側のクローラ311(
図1参照)の上方に位置する。このような配置により、搭乗者H1は搭乗室2の左側から、搭乗室2に対して乗り降りすることになる。そのため、本実施形態では、搭乗室2のドア201は、搭乗室2における左右方向D3の左側に配置されている。つまり、搭乗者H1は、搭乗室2の左側に配置されたドア201を通って、搭乗室2に搭乗し、また、搭乗室2から降りることになる。
【0041】
キャビンタイプの搭乗室2は、フロア202を覆う形状のキャビン20を備えている。キャビン20は、キャビンフレーム203及びキャビンルーフ204等を有している。言い換えれば、キャビン20は搭乗室2の外郭を構成し、キャビン20の内部(内側)に搭乗者H1が搭乗することになる。
【0042】
キャビンフレーム203は、キャビン20の骨格としての構造体であって、キャビン空間200を囲むように形成されている。キャビンルーフ204は、キャビンフレーム203の上方に配置され、キャビンフレーム203によってフロア202上に支持される。キャビンルーフ204は、平面視において略矩形状であって、搭乗室2の全体を覆う大きさに形成されている。
【0043】
キャビン20は、フロントガラスとしてのガラスパネルを含むパネル材205を更に有している。パネル材205は、キャビンフレーム203の前後方向D2の両側及び左右方向D3の両側に適宜取り付けられており、ドア201と共にキャビン空間200を四方から囲んでいる。
【0044】
ドア201は、パネル材205の左側に設けられた開口部に設けられており、当該開口部を覆う「閉位置」と、搭乗者H1が通過可能な状態に当該開口部を開放する「開位置」との間で回転可能である。このようなドア201の種類としては、前後方向D2の前側が開く「前開きタイプ」、後側が開く「後開きタイプ」がある。本実施形態では一例としてドア201は前開きタイプである。さらに、本実施形態では、ドア201は外開きであって、搭乗室2外側におけるドア201の正面(本実施形態では左側)から見て、ドア201の自由端となる前端部を手前(搭乗室2外側)に引く操作によって、ドア201が開く。
【0045】
上述したような構成により、搭乗室2に搭乗するに際し、搭乗者H1は、ドア201を開けた(開位置にある)状態で、キャビン20内部のキャビン空間200に乗り込み、ドア201を閉じる(閉位置にする)ことで、搭乗室2への搭乗が完了する。一方、搭乗室2から降りる際には、搭乗者H1は、ドア201を開けた(開位置にある)状態で、キャビン20外へ出て、ドア201を閉じる(閉位置にする)ことで、搭乗室2から降りることができる。特に、本実施形態のようにキャビン20を備えるキャビンタイプの搭乗室2においては、少なくともキャビンフレーム203が、キャビン20の骨格としての機能を有し、キャビンルーフ204及びドア201等を支持するのに十分な強度(剛性)を有している。また、キャビン20は作業機械3の機体30から取り外し可能であってもよい。
【0046】
さらに、キャビンルーフ204(又はキャビンフレーム203)には、各種のセンサ及びミラー等の外装品が装着可能である。
【0047】
キャビン20の内部(内側)のキャビン空間200には、搭乗席21、表示装置34及び操作装置35等が配置される。さらに、気流発生システム1については、少なくとも搭乗室2内に気流を吹き出すための吹出口11が、キャビン空間200に臨む位置に配置されている。
【0048】
搭乗席21は、座面部211及び背もたれ部212を有している。座面部211は、平面視において、キャビン空間200の中央部に対して、前後方向D2の後方寄り、かつ左右方向D3の左方寄りの位置に配置されている。背もたれ部212は、リクライニング機能を有していてもよい。
【0049】
表示装置34は、搭乗席21から見て前後方向D2の前方であって、かつ左右方向D3の右方に配置されている。これにより、搭乗席21に着座した状態の搭乗者H1は、大きく姿勢を変えることなく、表示装置34の表示を確認することが可能である。搭乗席21から見て前後方向D2の前方であって、かつ左右方向D3の右方には、インストルメントパネル24が配置されており、表示装置34は、インストルメントパネル24に設置されている。
【0050】
操作装置35の一対の操作レバー351は、上述したように搭乗席21の前端部の左右方向D3の両側方に位置する。また、少なくとも一部の操作スイッチ352は、搭乗席21から見て左右方向D3の右方に配置されている。これにより、搭乗席21に着座した状態の搭乗者H1は、大きく姿勢を変えることなく、操作装置35を操作することが可能である。
【0051】
ところで、搭乗室2は、搭乗席21から見て、前後方向D2又は左右方向D3の一方側に位置する壁部22を有している。本実施形態では一例として、壁部22は、搭乗席21の後方に配置されている。ここで、搭乗席21の背もたれ部212と壁部22との間には、隙間空間23(
図11参照)が確保されている。言い換えれば、搭乗席21(の背もたれ部212)と壁部22とは、隙間空間23を介して前後方向D2において対向する。背もたれ部212がリクライニングすることで、隙間空間23の大きさが変化することになる。
【0052】
壁部22は、搭乗室2の内部(キャビン空間200)と外部とを隔ている。本実施形態では一例として、壁部22の後方、つまり壁部22から見て搭乗席21とは反対側には、気流発生システム1のコンデンサ(熱交換器)等が配置されている。また、壁部22は、上下方向D1の寸法が低めに設定されている。本実施形態では一例として、壁部22の高さは、座面部211よりも高く、かつ背もたれ部212よりも低く設定されている。さらに、壁部22は、その前面が斜め上方に向くように、上下方向D1に対して傾斜している。
【0053】
[3]気流発生システムの詳細
次に、本実施形態に係る気流発生システム1の構成について、
図4~
図13を参照して説明する。
図11~
図13では、搭乗室2内を図示するべく、キャビン20を適宜カットしたモデルを示す。
【0054】
気流発生システム1は、上述したように、搭乗席21と壁部22とを含む搭乗室2を有する作業機械3に用いられる。気流発生システム1は、気流発生部12(
図4参照)と、吹出口11と、を備える。気流発生部12は、気流を発生する。吹出口11は、搭乗室2に臨む位置に配置されており、搭乗室2内に気流を吹き出す。
【0055】
本実施形態では、冷房又は暖房を行うことが可能な空調システムが、気流発生システム1の一例であるので、気流発生部12は、冷風又は温風からなる気流を発生する。つまり、気流発生システム1が冷房モードで動作する際には、気流発生部12は、外気温よりも低温の冷風からなる気流を発生する。気流発生システム1が暖房モードで動作する際には、気流発生部12は、外気温よりも高温の温風からなる気流を発生する。さらに、気流発生部12は、冷風又は温風に限らず、外気温と同じ温度の気流を発生する送風モードを有していてもよい。
【0056】
気流発生部12は、ファン等を有し、制御装置からの制御に従って気流を発生する。気流発生部12は、発生する気流の強さ(風量)を調節可能である。そのため、気流発生システム1は、気流の温度及び風量を調節することによって、搭乗室2内の気温を目標温度に近づけるように冷暖房運転を行う。気流発生部12は、表示装置34等が配置されているインストルメントパネル24で覆われる位置に配置されている。
【0057】
吹出口11は、後述するダクト4(
図5参照)を介して気流発生部12につながっており、気流発生部12で発生する気流を、搭乗室2内(キャビン空間200)に向けて吹き出す開口部である。つまり、気流発生部12で発生する気流は、ダクト4を通して吹出口11から搭乗室2内に送り込まれることになる。
【0058】
気流発生システム1は、1つ以上の吹出口11を備えていればよく、本実施形態では、複数の吹出口11を備えている。複数の吹出口11は、いずれも搭乗室2内に向けて開口している。複数の吹出口11の各々には、気流の向き(風向)を調節するためのルーバ5(
図6参照)が取り付けられる。ルーバ5は、縦方向、横方向及び回転方向のうちの2方向以上に可動である。これにより、搭乗者H1は、ルーバ5を操作することで、吹出口11から吹き出す気流の向きを調節することが可能である。さらに、ルーバ5は、吹出口11を閉じることも可能であって、複数の吹出口11の一部のルーバ5が閉じられている場合には、残りの吹出口11のみから気流が吹き出すことになる。
【0059】
ところで、これら複数の吹出口11は、いずれも搭乗席21から見て左右方向D3の右方に位置する。つまり、搭乗室2への搭乗者H1の乗降りを搭乗室2の左側(ドア201)から行う関係もあって、複数の吹出口11は、搭乗室2の右側に集中的に配置されている。そのため、例えば、搭乗席21に搭乗者H1(オペレータ)が座ったときに、搭乗者H1から見て右方に位置する吹出口11からの気流は、搭乗者H1によって妨げられ、搭乗者H1から見て左方の空間に届きにくい場合がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、下記構成を採用することによって、搭乗者H1が気流の妨げとなりにくい、気流発生システム1及び作業機械3を実現する。
【0061】
すなわち、本実施形態に係る気流発生システム1では、搭乗席21と壁部22とが対向する方向を第1方向とし、平面視において第1方向に直交する方向を第2方向と定義する。この場合において、吹出口11は、搭乗席21から見て第2方向の一方側に配置されて、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23(
図11参照)に気流を通す。
【0062】
本実施形態では、搭乗席21と壁部22とは、(隙間空間23を介して)前後方向D2に対向する。そのため、本実施形態では、前後方向D2が「第1方向」の一例であって、左右方向D3が「第2方向」の一例となる。要するに、吹出口11は、搭乗席21から見て左右方向D3(第2方向)の一方側(右方側)に配置されて、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に、右方側から気流を通すことになる。
【0063】
この構成によれば、吹出口11を搭乗席21から見て左右方向D3(第2方向)の一方側(右方側)に配置しながらも、吹出口11からの気流は、前後方向D2(第1方向)に対向する搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23を通して、左右方向D3(第2方向)の他方側(左方側)へと届けられる。つまり、この気流発生システム1では、搭乗者H1が着座する搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23を利用して、左右方向D3(第2方向)の一方側である右方側から、他方側である左方側へと、気流を送ることが可能である。したがって、例えば、搭乗席21に搭乗者H1(オペレータ)が座った状態でも、搭乗者H1から見て右方に位置する吹出口11からの気流は、搭乗者H1によって妨げられることなく、搭乗者H1から見て左方の空間にまで到達しやすくなる。結果的に、搭乗者H1が気流の妨げとなりにくい、気流発生システム1及び作業機械3を実現することが可能である。
【0064】
気流発生システム1は、
図5~
図10に示すように、ダクト4を備えている。ダクト4は、その導入口40が気流発生部12につながっており、気流発生部12で発生する気流を導入口40から内部に取り込む。ダクト4には、複数の吹出口11が形成されており、気流発生部12からダクト4に送り込まれる気流が、これら複数の吹出口11から吹き出す。
【0065】
本実施形態では、ダクト4は、
図5及び
図6に示すように、上流側ダクト41、中継ダクト42及び下流側ダクト43を有している。気流発生部12につながる導入口40は上流側ダクト41に設けられている。中継ダクト42は、上流側ダクト41と下流側ダクト43とを連通させるための配管である。吹出口11は、上流側ダクト41と下流側ダクト43とに設けられている。以下、上流側ダクト41の吹出口11と下流側ダクト43の吹出口11とを区別する場合、上流側ダクト41の吹出口11を「第1吹出口111」と呼び、下流側ダクト43の吹出口11を「第2吹出口112」と呼ぶことがある。
【0066】
上流側ダクト41、中継ダクト42及び下流側ダクト43は、
図7に示すように、上流側、つまり気流発生部12側から、この順で組み合わせれる。そのため、気流発生部12で発生する気流は、上流側ダクト41の第1吹出口111から吹き出し、かつ上流側ダクト41、中継ダクト42及び下流側ダクト43をこの順で通って下流側ダクト43の第2吹出口112から吹き出す。
図7では、下流側ダクト43の吹出口11(第2吹出口112)から吹き出す気流を想像線(二点鎖線)で例示する。
【0067】
上流側ダクト41は、搭乗席21から見て前後方向D2の前方であって、かつ左右方向D3の右方に配置される。本実施形態では、上流側ダクト41は、インストルメントパネル24で覆われる位置に配置される。気流発生部12につながる導入口40は、上流側ダクト41の下面に形成されている。そのため、上流側ダクト41には、下方に位置する気流発生部12から気流が取り込まれることになる。また、上流側ダクト41の後面には、中継ダクト42を接続するための連結部411が設けられている。上流側ダクト41は、中空部材であって、その内部は連続する1つの空間を構成する。
【0068】
上流側ダクト41には、複数(ここでは5つ)の吹出口11(第1吹出口111)が設けられている。複数の第1吹出口111は、左右方向D3の左方に向けて開口する3つの第1吹出口111、前後方向D2の後方に向けて開口する1つの第1吹出口111、上下方向D1の上方に向けて開口する1つの第1吹出口111を含んでいる。特に、左右方向D3の左方に向いた3つの第1吹出口111のうち2つの第1吹出口111は、斜め前方に向けられている。インストルメントパネル24において、上流側ダクト41の複数の第1吹出口111に対応する位置には、ルーバ5が取り付けられている。したがって、上流側ダクト41とインストルメントパネル24とを組み合わせた状態では、上流側ダクト41の複数の第1吹出口111の各々に対応してルーバ5が配置されることになる。
【0069】
中継ダクト42は、前後方向D2に沿って長さを有する角筒状のダクトである。中継ダクト42の前端部は上流側ダクト41の後面に設けられた連結部411に接続され、中継ダクト42は、連結部411から後方に向かって延びるように構成されている。中継ダクト42の後端部は、下流側ダクト43の一端部(下端部)に接続される。つまり、本実施形態では、上流側ダクト41と下流側ダクト43とは前後方向D2において互いに離間して配置され、これら上流側ダクト41と下流側ダクト43との間を中継ダクト42が連結する。中継ダクト42における下流側ダクト43に接続される後端部は、上方に向けて開口している。中継ダクト42は、中空部材であって、その内部は連続する1つの空間を構成する。
【0070】
より詳細には、中継ダクト42は、
図8に示すように、平面視において、長手方向(前後方向D2)の中央部が、長手方向の両端部に比べて、左右方向D3において搭乗席21側(左側)に寄るように、一部が屈曲又は湾曲した形状を有する。また、
図9に示すように、側面視において、中継ダクト42の上面421は、少なくとも一部に勾配を有している。具体的に、中継ダクト42の上面421は、前後方向D2の少なくとも一部に、前方側ほど低くなるように水平面に対して傾斜する勾配を有している。これにより、中継ダクト42の上面421に、例えば、雨水又は結露水等の水滴が付着することがあっても、水滴が中継ダクト42の上面421上にとどまりにくくなる。特に、気流発生システム1をキャノピータイプ又はフロアタイプの搭乗室2に適用する場合、雨水が浸入する可能性があるところ、上記勾配によって水滴がとどまりにくくなることは有用である。
【0071】
下流側ダクト43は、上下方向D1に沿って長さを有する角筒状のダクトである。下流側ダクト43は、搭乗席21から見て前後方向D2のやや後方であって、かつ左右方向D3の右方に配置される。下流側ダクト43の下端部は中継ダクト42の後端部に接続され、下流側ダクト43は、中継ダクト42から上方に向かって延びるように構成されている。本実施形態では、下流側ダクト43は、搭乗席21(の背もたれ部212)と壁部22との間の隙間空間23に右方から対向する位置に配置されている。下流側ダクト43は、中空部材であって、その内部は連続する1つの空間を構成する。
【0072】
下流側ダクト43には、複数(ここでは3つ)の吹出口11(第2吹出口112)が設けられている。複数の第2吹出口112は、下流側ダクト43の左側面に形成され、左右方向D3の左方に向けて開口する3つの第2吹出口112を含んでいる。これら3つの第2吹出口112は、上下方向D1に並ぶように配置されおり、特に、最下段に位置する第2吹出口112は、斜め上方に向けられている。各第2吹出口112は、下流側ダクト43の長手方向(上下方向D1)に長さを有する長方形状に形成されている。これら3つの第2吹出口112には、それぞれルーバ5が取り付けられている。
【0073】
より詳細には、下流側ダクト43は、
図9に示すように、側面視において、上端部が、下端部に比べて、前後方向D2において後方にずれるように、一部が屈曲又は湾曲した形状を有する。また、
図10に示すように、下流側ダクト43は、背面視において、少なくとも長手方向(上下方向D1)の一部が、上端に近づくほど左右方向D3において搭乗席21から離れるように、上下方向D1に対して傾斜した形状を有する。これにより、下流側ダクト43は、上下方向D1に長さを有する形状でありながらも、下流側ダクト43によって、搭乗室2内のスペースは殆ど圧迫されず、搭乗席21に着座する搭乗者H1に圧迫感を与えにくい。
【0074】
ここにおいて、
図9に示すように、上流側ダクト41において中継ダクト42につながる連結部411は、先端(後端)に近づくほどに細くなる先細り形状を有している。具体的には、連結部411は、その下面412が斜め後方に向けて傾斜しており、これにより先細り形状を実現する。このような形状の連結部411によれば、連結部411内を下面412に沿って気流が通ることで、上流側ダクト41に下面(導入口40)から取り込まれる気流は、連結部411を通して中継ダクト42に流れ込みやすくなる。言い換えれば、気流発生部12で発生された気流は、上流側ダクト41において(中継ダクト42を介して)下流側ダクト43に分岐されやすくなる。その結果、下流側ダクト43にも十分な風量の気流が送られることになる。
【0075】
ところで、本実施形態において、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に気流を通す吹出口11は、下流側ダクト43の第2吹出口112である。つまり、下流側ダクト43に設けられた第2吹出口112によって、搭乗者H1が気流の妨げとなりにくい、気流発生システム1を実現することが可能である。そこで、以下では、下流側ダクト43の第2吹出口112のより詳細な構成について、
図11~
図13を参照して説明する。以下、特に断りが無い限り、単に「吹出口11」という場合は、下流側ダクト43の第2吹出口112を指すこととする。
【0076】
まず、吹出口11は、搭乗室2内において壁部22に隣接して配置されている。すなわち、下流側ダクト43は、搭乗席21(の背もたれ部212)と壁部22との間の隙間空間23に右方から対向する位置に配置されているので、下流側ダクト43に設けられた吹出口11については、壁部22に隣接するように、壁部22のすぐ前方に位置することになる。これにより、吹出口11から吹き出す気流は、壁部22をガイドとして、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に導入されやすくなる。
【0077】
また、吹出口11は、第1方向(前後方向D2)において搭乗席21の座面部211から見て壁部22側に配置されている。すなわち、下流側ダクト43は、前後方向D2(第1方向)において、搭乗席21の座面部211よりも後方(壁部22側)に配置されているので、下流側ダクト43に設けられた吹出口11についても、搭乗席21の座面部211よりも後方(壁部22側)に位置することになる。これにより、吹出口11から吹き出す気流は、搭乗席21に着座する搭乗者H1に直接的に当たりにくくなる。
【0078】
また、吹出口11は、第2方向(左右方向D3)の他方側に向けて開口している。すなわち、下流側ダクト43は、搭乗席21から見て左右方向D3の右方側(第2方向の一方側)に配置され、吹出口11は、下流側ダクト43の左側面に設けられている。したがって、下流側ダクト43に設けられた吹出口11は、左右方向D3の左方側(第2方向の他方側)に向けて開口することになる。これにより、吹出口11からの気流は、基本的には第2方向(左右方向D3)の他方側(左方側)に向けて吹き出すことになり、搭乗者H1から見て第2方向(左右方向D3)の他方側(左方側)の空間にまで到達しやすくなる。
【0079】
また、吹出口11は、隙間空間23に対して壁部22に沿う気流を通す。すなわち、下流側ダクト43は、搭乗席21(の背もたれ部212)と壁部22との間の隙間空間23に右方から対向する位置に配置されているので、下流側ダクト43に設けられた吹出口11からの気流は、壁部22に沿って隙間空間23を通過することになる。これにより、吹出口11から吹き出す気流は、壁部22をガイドとして風向が制御され、搭乗者H1から見て第2方向(左右方向D3)の他方側(左方側)の空間にまで到達しやすくなる。
【0080】
また、吹出口11は、斜め上方に向けられている。本実施形態では、下流側ダクト43に設けられた3つの吹出口11のうちの最下段に位置する吹出口11は、斜め上方に向けられている(
図10参照)。このように、斜め上方に向けられた気流から吹き出す気流は、より遠くまで届きやすく、搭乗者H1から見て左方の空間にまで到達しやすくなる。特に、気流発生システム1が冷房モードで動作中においては、低い位置に向かう気流(冷風)であっても、搭乗者H1から見て第2方向(左右方向D3)の他方側(左方側)の空間にまで到達しやすくなる。
【0081】
また、本実施形態に係る気流発生システム1は、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に気流を通す吹出口11としての第2吹出口112とは別に、搭乗席21から見て第1方向(前後方向D2)の壁部22と反対側に配置され、搭乗席21に対向する第1吹出口111を更に備えている。すなわち、気流発生システム1は、下流側ダクト43に設けられた第2吹出口112とは別に、上流側ダクト41に設けられた第1吹出口111を備えている。上流側ダクト41は、搭乗席21から見て前後方向D2の前方に配置されているので、上流側ダクト41に設けられた第1吹出口111についても、搭乗席21から見て前後方向D2の前方(第1方向の壁部22と反対側)に位置することになる。そして、複数の第1吹出口111のうち、少なくとも前後方向D2の後方に向けて開口する1つの第1吹出口111は、搭乗席21に対向することになる。これにより、当該第1吹出口111からは、搭乗席21に着座する搭乗者H1に向けて直接的に気流を吹き出すことが可能である。
【0082】
ここで、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に気流を通す吹出口11としての第2吹出口112の下端は、第1吹出口111の下端よりも低い位置にある。本実施形態では、最下段に位置する第2吹出口112の下端は、後方に向けて開口する第1吹出口111の下端よりも、距離L1(
図10参照)だけ下方に位置する。このように、後方に向けて気流を吹き出す第1吹出口111と、右方向に向けて気流を吹き出す第2吹出口112とで、上下方向D1の位置をずらしたことにより、第1吹出口111からの気流が第2吹出口112からの気流と干渉しにくい。結果的に、第2吹出口112からの気流は、搭乗者H1から見て第2方向(左右方向D3)の他方側(左方側)の空間にまで到達しやすくなる。
【0083】
また、
図13に示すように、搭乗室2の内側面のうち、平面視において隙間空間23から見て吹出口11と反対側に位置する内側面は、第1方向(前後方向D2)と第2方向(左右方向D3)との両方に対して傾斜する傾斜面206を含む。本実施形態では、搭乗室2の外郭を構成するキャビン20のうち、左後方の角部を構成するパネル材205の内側面(キャビン空間200側の面)が、傾斜面206を構成する。パネル材205の内側面は湾曲面を含んでいてもよく、この場合であっても、湾曲面を微視的に見れば傾斜面206が含まれることになる。このような傾斜面206があることで、第2吹出口112からの気流は、搭乗者H1から見て第2方向(左右方向D3)の他方側(左方側)の空間に到達した後、傾斜面206によって第1方向(前後方向D2)の前方に向かうことになる。したがって、搭乗者H1から見て左前方の空間にも、第2吹出口112からの気流が到達しやすくなる。
【0084】
[4]シミュレーション結果
次に、本実施形態に係る気流発生システム1によって発生する気流のシミュレーション結果について、
図14を参照して説明する。
【0085】
図14では、ISO(International Organization for Standardization)又はEN(European Norm)等の規格で定められている6つの観測点P1~P6の各々と、気流との関係を模式的に表している。ここで、観測点P1は搭乗者H1の足元左側方に設定され、観測点P2は搭乗者H1の足元右側方に設定され、観測点P3は搭乗者H1の腰部左側方に設定され、観測点P4は搭乗者H1の腰部右側方に設定される仮想点である。また、観測点P5は搭乗者H1の頭部後方に設定され、観測点P6は搭乗者H1の胸部前方に設定される仮想点である。
【0086】
図14において、気流の流速(風速)を色(濃淡色)にて示し、その凡例を図中下部に表記する。また、
図14の左方には、搭乗室2を正面側から見た斜視図を示し、
図14の右方には、搭乗室2を背面側から見た斜視図を示す。さらに、
図14では、下流側ダクト43に設けられた複数の第2吹出口112のうち、下から2つの第2吹出口112はルーバ5によって閉じられた状態にあって、最上段の第2吹出口112のみから気流が吹き出す場合を想定する。各吹出口11からの気流の向き(風向)は、ルーバ5にて適宜変更可能である。
【0087】
図14から明らかなように、搭乗者H1から見て右方に位置する第2吹出口112からの気流は、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23を通って、搭乗者H1から見て左方の空間にまで到達し、観測点P3に届いている。その他の観測点P1,P2,P4~P6に対しては、第1吹出口111からの気流が到達する。その結果、搭乗室2内の空間(キャビン空間200)の略全域に、気流発生システム1からの気流が到達し得ることになる。したがって、気流発生システム1が冷房又は暖房を行う空調システムである場合、搭乗室2内の気温を略均一に調節することが可能である。
【0088】
このように、本実施形態に係る気流発生システム1は、搭乗席21と壁部22とを含む搭乗室2を有する作業機械3に用いられる。気流発生システム1は、搭乗席21と壁部22とが対向する方向を第1方向(前後方向D2)とし、平面視において第1方向に直交する方向を第2方向(左右方向D3)とした場合に、搭乗席から見て第2方向の一方側(右方側)から他方側(左方側)に向けて、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23に気流を通す。これにより、搭乗者H1が気流の妨げとなりにくい、気流発生システム1及び作業機械3を実現することが可能である。
【0089】
[5]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0090】
気流発生システム1における吹出口11の形状、寸法、個数及び配置等は、実施形態1で説明した態様に限らない。例えば、第1吹出口111及び第2吹出口112は、1つずつ設けられてもよい。
【0091】
また、搭乗室2は、キャビンタイプに限らず、例えば、キャノピータイプ又はフロアタイプ等であってもよい。キャンピータイプ又はフロアタイプの搭乗室2においては、ドア201を備えないものの、搭乗室2に対して搭乗者H1が乗り降りするための乗降口は設けられている。例えば、フロアタイプの搭乗室2であれば、乗降口の上辺側には構造物がないため、乗降口は上方に開放された形態となる。
【0092】
また、ドア201等の乗降口は、実施形態1のように、搭乗室2の左方(左側)に配置される構成に限らない。つまり、搭乗者H1が乗り降りするための乗降口は、搭乗室2における左右方向D3の少なくとも一方に配置されていればよく、例えば、搭乗室2の右方(右側)、又は、左右方向D3の両側に配置されてもよい。乗降口が搭乗室2の右方(右側)に位置する場合、気流発生システム1の吹出口11は、搭乗席21から見て左方に位置することが好ましい。この場合、吹出口11は、搭乗席21から見て左右方向D3(第2方向)の一方側(左方側)に配置されて、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23を通して、左右方向D3(第2方向)の他方側(右方側)へと気流を送り出す。
【0093】
また、「第1方向」及び「第2方向」は実施形態1で説明した例に限らない。例えば、搭乗席21と壁部22とが(隙間空間23を介して)左右方向D3に対向する場合には、左右方向D3が「第1方向」となり、前後方向D2が「第2方向」となる。さらに、壁部22は搭乗席21と第1方向において対向していればよく、壁部22は搭乗席21から見て前方、左方又は右方に位置してもよい。
【0094】
また、気流発生システム1は、空調システムに限らず、例えば、換気システム、空気清浄システム、消臭システム、除菌システム若しくは調湿(加湿)システム等、又はこれらの組み合わせであってもよい。さらに、気流発生部12は、気流を発生することができればよく、気流の下流側に配置されるファン等であって、負圧により気流を発生してもよい。
【0095】
また、作業機械3の動力源は、ディーゼルエンジンに限らず、例えば、ディーゼルエンジン以外のエンジンであってもよいし、モータ(電動機)、又はエンジンとモータ(電動機)とを含むハイブリッド式の動力源であってもよい。
【0096】
また、表示装置34及び操作装置35等は、機体30に搭載される構成に限らず、例えば、機体30とは別に設けられていてもよい。この場合、表示装置34及び操作装置35等は、機体30と通信可能に構成され、機体30の遠隔操作を実現する。
【0097】
また、気流発生システム1は、ダクト4を有することは必須ではない。さらに、ダクト4が、上流側ダクト41、中継ダクト42及び下流側ダクト43の3部材に分割可能であることは必須ではなく、例えば、1部材、2部材、又は4部材以上で構成されてもよい。
【0098】
また、吹出口11(第2吹出口112)が、搭乗室2内において壁部22に隣接して配置されることは必須でない。吹出口11(第2吹出口112)が、第1方向において搭乗席21の座面部211から見て壁部22側に配置されることも必須ではない。吹出口11(第2吹出口112)が、第2方向の他方側に向けて開口していることも必須ではない。吹出口11(第2吹出口112)が、隙間空間23に対して壁部22に沿う気流を通すことも必須ではない。
【0099】
また、搭乗席21から見て第1方向の壁部22と反対側に配置され、搭乗席21に対向する第1吹出口111は、気流発生システム1に必須の構成ではなく、第1吹出口111は適宜省略可能である。吹出口11(第2吹出口112)が、斜め上方に向けられていることも必須ではない。また、搭乗室2の内側面のうち、平面視において隙間空間23から見て吹出口11(第2吹出口112)と反対側に位置する内側面が傾斜面206を含むことも必須ではない。
【0100】
(実施形態2)
本実施形態に係る気流発生システム1は、
図15に示すように、吹出口11(第2吹出口112)の配置が、実施形態1に係る気流発生システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、
図15に示すように、下流側ダクト43の上から2つの第2吹出口112が省略され、下流側ダクト43が短く構成されている。
図15は、
図14と同様に、左方には搭乗室2を正面側から見た斜視図を示し、右方には搭乗室2を背面側から見た斜視図を示す、気流のシミュレーション結果の説明図である。
【0102】
本実施形態に係る気流発生システム1であっても、
図15から明らかなように、搭乗者H1から見て右方に位置する第2吹出口112からの気流は、搭乗席21と壁部22との間の隙間空間23を通って、搭乗者H1から見て左方の空間にまで到達し、観測点P3に届いている。その他の観測点P1,P2,P4~P6に対しては、第1吹出口111からの気流が到達する。その結果、搭乗室2内の空間(キャビン空間200)の略全域に、気流発生システム1からの気流が到達し得ることになる。したがって、気流発生システム1が冷房又は暖房を行う空調システムである場合、搭乗室2内の気温を略均一に調節することが可能である。
【0103】
実施形態2で説明した種々の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0104】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0105】
<付記1>
搭乗席と壁部とを含む搭乗室を有する作業機械に用いられ、
気流を発生する気流発生部と、
前記搭乗室に臨む位置に配置されており、前記搭乗室内に前記気流を吹き出す吹出口と、を備え、
前記搭乗席と前記壁部とが対向する方向を第1方向とし、平面視において前記第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、前記吹出口は、前記搭乗席から見て前記第2方向の一方側に配置されて、前記搭乗席と前記壁部との間の隙間空間に前記気流を通す、
気流発生システム。
【0106】
<付記2>
前記吹出口は、前記搭乗室内において前記壁部に隣接して配置されている、
付記1に記載の気流発生システム。
【0107】
<付記3>
前記吹出口は、前記第1方向において前記搭乗席の座面部から見て前記壁部側に配置されている、
付記1又は2に記載の気流発生システム。
【0108】
<付記4>
前記吹出口は、前記第2方向の他方側に向けて開口している、
付記1~3のいずれかに記載の気流発生システム。
【0109】
<付記5>
前記吹出口は、前記隙間空間に対して前記壁部に沿う気流を通す、
付記1~4のいずれかに記載の気流発生システム。
【0110】
<付記6>
前記搭乗席から見て前記第1方向の前記壁部と反対側に配置され、前記搭乗席に対向する第1吹出口を更に備え、
前記吹出口としての第2吹出口の下端は、前記第1吹出口の下端よりも低い位置にある、
付記1~5のいずれかに記載の気流発生システム。
【0111】
<付記7>
前記吹出口は、斜め上方に向けられている、
付記1~6のいずれかに記載の気流発生システム。
【0112】
<付記8>
前記搭乗室の内側面のうち、平面視において前記隙間空間から見て前記吹出口と反対側に位置する内側面は、前記第1方向と前記第2方向との両方に対して傾斜する傾斜面を含む、
付記1~7のいずれかに記載の気流発生システム。
【0113】
<付記9>
搭乗席と壁部とを含む搭乗室を有する作業機械に用いられ、
前記搭乗席と前記壁部とが対向する方向を第1方向とし、平面視において前記第1方向に直交する方向を第2方向とした場合に、前記搭乗席から見て前記第2方向の一方側から他方側に向けて、前記搭乗席と前記壁部との間の隙間空間に気流を通す、
気流発生システム。
【0114】
<付記10>
付記1~9のいずれかに記載の気流発生システムと、
前記気流発生システムが搭載される機体と、を備える、
作業機械。
【符号の説明】
【0115】
1 気流発生システム
2 搭乗室
11 吹出口
12 気流発生部
21 搭乗席
22 壁部
23 隙間空間
111 第1吹出口
112 第2吹出口
206 傾斜面
D2 前後方向(第1方向)
D3 左右方向(第2方向)