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  • 特開-液晶表示装置の保護装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097444
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】液晶表示装置の保護装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240711BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240711BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240711BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 642P
G09G3/20 670L
G09G3/34 J
G09G3/20 642E
G09G3/20 612G
G09G3/20 670D
G09G3/20 670E
G02F1/133 535
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000879
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】谷平 久光
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZH18
2H193ZH34
2H193ZH57
5C006AA22
5C006AF21
5C006AF25
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF53
5C006AF54
5C006AF62
5C006AF67
5C006AF68
5C006AF69
5C006AF83
5C006BB11
5C006BB16
5C006BC12
5C006BC14
5C006BF14
5C006BF16
5C006BF29
5C006BF38
5C006BF44
5C006EA01
5C006EC02
5C006EC05
5C006EC09
5C006FA19
5C006FA54
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD04
5C080DD09
5C080DD14
5C080DD20
5C080EE28
5C080FF03
5C080FF11
5C080GG02
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK20
(57)【要約】
【課題】高温環境下で生じる不適切な保護動作を回避することができる液晶表示装置の保護装置を提供すること。
【解決手段】映像表示装置100は、バックライト116によって照明されて所定の画面を表示する表示パネル114と、表示パネル114の温度を検出する温度センサ124、温度検出部132と、検出された温度が保護温度を超えているときに、表示パネル114の温度を低下させる保護動作を行っており、動作開始から一定時間が経過するまでは保護温度として起動時閾値を用い、それ以後は保護温度として起動時閾値よりも低い通常閾値を用いる一定時間判定部134、温度判定部136、PWMデューティ設定部138等を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトによって照明されて所定の画面を表示する液晶表示装置と、
前記液晶表示装置の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段によって検出された温度が保護温度を超えているときに、前記液晶表示装置の温度を低下させる保護動作を行う温度保護手段と、
を備え、前記温度保護手段は、前記液晶表示装置の動作開始から一定時間が経過するまでは前記保護温度として第1の値を用い、それ以後は前記保護温度として前記第1の値よりも低い第2の値を用いることを特徴とする液晶表示装置の保護装置。
【請求項2】
前記温度保護手段は、前記液晶表示装置の動作開始から前記一定時間が経過する前に、前記温度検出手段によって検出された温度が前記第2の値より低くなった場合には、前記一定期間が経過する前であっても、前記保護温度として前記第2の値を用いることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の保護装置。
【請求項3】
前記温度検出手段は、前記液晶表示装置の周辺の所定位置の温度を前記液晶表示装置の温度として検出することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の保護装置。
【請求項4】
前記温度保護手段は、前記バックライトの輝度を下げることにより、前記液晶表示装置の温度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の保護装置。
【請求項5】
前記温度保護手段は、前記バックライトを消灯させることにより、前記液晶表示装置の温度を低下させることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置の保護装置。
【請求項6】
前記温度保護手段は、前記バックライトの点灯と消灯を繰り返し行う際の消灯の割合を高くすることにより、前記バックライトの輝度を下げて前記液晶表示装置の温度を低下させることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内等の高温環境下で使用される液晶表示装置の保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電源オンからの経過時間t1と、温度センサによる計測温度Tsと液晶パネルの温度Tpとの温度差Trとの関係を示すテーブルをあらかじめ記憶しておいて、液晶パネルに応じて液晶駆動量を変化させる際に、本体電源オンからの実際の経過時間t1と、温度センサにより計測された計測温度とTsと、テーブルの記憶情報とを使用し、現在の経過時間に対応する温度差Trを計測温度Tsから差し引くことにより液晶パネルの温度を推定し、この推定した温度に応じて液晶駆動量を制御するようにした液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-46289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶パネル(液晶表示装置)を駆動する基板上にサーミスタ等の温度検出素子を設けた場合には、通常の通電時には、液晶パネルを駆動するドライバICの発熱の影響で、検出した温度よりも液晶パネル表面の温度が高くなる。そのため、液晶パネルに対する温度保護の閾値を、液晶パネルの定格温度の上限値よりも低く設定している。
【0005】
しかし、駐車中の車室内で日射が当たっているなどの使用環境下での液晶パネルの場合には、通電開始前のサーミスタの温度と液晶パネルの温度がほぼ同じになる。この状態からエンジンを起動して液晶パネルに通電を開始した時点で、検出温度が閾値を超えていると、液晶パネルの実際の温度が定格温度の上限に達していない場合であっても温度保護がかかってしまい、定格温度の範囲内にあるにもかかわらず、バックライトを消灯させるなどの不適切な保護動作が開始されてしまうという問題があった。このため、例えば、エンジン起動直後に車両を後退させる際に、リアカメラで撮像した画像を表示させる場合に、車両後方の映像確認がしにくいことになるなどの利用者の利便性を損なう恐れが生じる。このような問題は、上述した特許文献1に開示された手法では解決することはできない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、高温環境下で生じる不適切な保護動作を回避することができる液晶表示装置の保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の液晶表示装置の保護装置は、バックライトによって照明されて所定の画面を表示する液晶表示装置と、液晶表示装置の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段によって検出された温度が保護温度を超えているときに、液晶表示装置の温度を低下させる保護動作を行う温度保護手段とを備え、温度保護手段は、液晶表示装置の動作開始から一定時間が経過するまでは保護温度として第1の値を用い、それ以後は保護温度として第1の値よりも低い第2の値を用いる。
【0008】
動作開始直後の一定時間内では保護温度を高く(第1の値)しているため、高温環境下であっても、検出温度がこの高い保護温度を超えない限り、液晶表示装置の温度を低下させる保護動作が開始されることはなく、高温環境下での不適切な保護動作を回避することが可能となる。
【0009】
また、上述した温度保護手段は、液晶表示装置の動作開始から一定時間が経過する前に、温度検出手段によって検出された温度が第2の値より低くなった場合には、一定期間が経過する前であっても、保護温度として第2の値を用いることが望ましい。検出温度が第2の値よりも低い場合、すなわち、動作開始直後の使用環境がそれほど高温でない場合には、一定時間経過後と同様の保護動作に速やかに移行することが可能となる。
【0010】
また、上述した温度検出手段は、液晶表示装置の周辺の所定位置の温度を液晶表示装置の温度として検出することが望ましい。液晶表示装置の温度と連動する所定位置の温度を検出することにより、液晶表示装置の温度が過度に上昇した場合の保護動作を行うことが可能となる。また、液晶表示装置の表面温度を直接検出する場合に比べて、温度検出に必要な素子の実装が容易となる。
【0011】
また、上述した温度保護手段は、バックライトの輝度を下げることにより、液晶表示装置の温度を低下させることが望ましい。具体的には、上述した温度保護手段は、バックライトを消灯させることにより、液晶表示装置の温度を低下させることが望ましい。あるいは、上述した温度保護手段は、バックライトの点灯と消灯を繰り返し行う際の消灯の割合を高くすることにより、バックライトの輝度を下げて液晶表示装置の温度を低下させることが望ましい。これにより、バックライトの発熱量を加減することができ、液晶表示装置の温度を下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態の映像表示装置の構成を示す図である。
図2】温度に応じた保護動作の動作手順を示す流れ図である。
図3】温度に応じた保護動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の液晶表示装置の保護装置を適用した一実施形態の映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、一実施形態の映像表示装置の構成を示す図である。図1に示す映像表示装置100は、例えば、車両に搭載されたヘッドユニットに組み込まれるものであって、ヘッドユニット本体(図示せず)から出力される映像信号に基づく画像表示を行う。なお、このような使用形態は一例であって、映像表示装置100をヘッドユニット本体とは分離した形態で用いる場合や、タッチパネルを組み合わせた形態で用いるようにしてもよい。
【0015】
映像表示装置100は、映像信号受信部110、表示ドライバ112、表示パネル114、バックライト116、PWM信号生成部120、バックライトドライバ122、温度センサ124、制御部130を含んで構成されている。
【0016】
映像信号受信部110は、映像入力端子を介してヘッドユニット本体から入力されるLVDS(Low Voltage Differential Signaling)形式の映像信号を受信してシリアル/パラレル変換を行ってRGB形式の映像信号を出力する。
【0017】
表示ドライバ112は、映像信号受信部110から出力されるRGB形式の映像信号に基づいて表示パネル114を駆動し、この映像信号によって示される画像を表示する。表示パネル114は、例えばカラー液晶表示装置(LCD)であって、背面から照明するバックライト116と対向させた状態で組み付けられる。バックライト116は、例えばLEDによって形成されているが、それ以外の光源を用いるようにしてもよい。
【0018】
PWM信号生成部120は、バックライト116の駆動電圧をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御してバックライト116の輝度(明るさ)を調整するためのPWM信号を生成する。
【0019】
バックライトドライバ122は、PWM信号生成部120によって生成されたPWM信号で示されたデューティでバックライト116を駆動する。例えば、デューティが100%のときに最も明るくバックライト116が点灯し、デューティが低下するにしたがって暗くなり、デューティが0%のときに消灯する。
【0020】
温度センサ124は、バックライト116の周辺に配置されており、バックライト116の温度(あるいは、バックライト116の温度と連動するその周辺の温度)を検出するための温度検出素子である。
【0021】
制御部130は、映像表示装置100全体を制御する。この制御部130は、通信端子を介してヘッドユニット本体に接続されており、例えばCAN(Controller Area Network)プロトコルにしたがった通信によってヘッドユニット本体との間で各種データの送受信を行う。例えば、表示画面の明るさの変更がヘッドユニット本体から指示されたときに、その指示が通信端子を介して制御部130に送られる。制御部130は、ヘッドユニット本体からの指示に応じたバックライト116の輝度となるように、PWM信号生成部120によって生成するPWM信号のデューティを指示する。
【0022】
また、制御部130は、検出した温度が保護温度以上になったときに温度を低下させる所定の保護動作を行うために、温度検出部132、一定時間判定部134、温度判定部136、PWMデューティ設定部138を備えている。温度検出部132は、温度センサ124を用いてバックライト116の温度を検出する。一定時間判定部134は、映像表示装置100の動作開始後の経過時間を計測し、一定時間の経過の有無を判定する。温度判定部136は、検出温度が後述する各閾値以上か否かを判定し、その判定結果に応じてPWMデューティ設定部138に対して指示を与える。PWMデューティ設定部138は、PWM信号生成部120のPWM制御のデューティを設定する。
【0023】
上述した温度センサ124、温度検出部132が温度検出手段に、PWM信号生成部120、一定時間判定部134、温度判定部136、PWMデューティ設定部138が温度保護手段にそれぞれ対応する。
【0024】
本実施形態の映像表示装置100はこのような構成を有しており、次に、使用環境下での温度に応じた保護動作について説明する。
【0025】
本実施形態では、保護動作の実施の有無を判定する基準となる保護温度として、起動時閾値(第1の値)と通常閾値(第2の値)の2種類が用意されている。起動時閾値は、映像表示装置100が動作を開始した後の一定期間における保護温度である。また、通常閾値は、一定時間が経過した後の保護温度である。一般には、表示パネル114と温度センサ124との間には所定の距離(隙間)があるため、動作時(通常動作時)には、表示パネル114の温度よりも温度センサ124を用いて検出した温度の方が低くなる。このため、表示パネル114を定格温度以下で使用したい場合には、この定格温度の上限値よりも低い通常閾値(第2の値)以下にする必要がある。このような観点から通常閾値が設定されている。一方で、例えば車室内で日射に伴う高温環境下で動作を開始する場合には、動作開始時に、表示パネル114の温度と温度センサ124を用いて検出した温度の両方がほぼ同じであって既に高くなっていることがある。このような状況では、検出した温度が上述した通常閾値を超えているときであっても、表示パネル114の温度が定格温度を超えていない場合がある。このような状況を想定して、起動時の一定時間内の保護温度として第2の値よりも高い起動時閾値(第1の値)が設定されている。
【0026】
図2は、温度に応じた保護動作の動作手順を示す流れ図である。映像表示装置100が動作を開始する(例えば、車両のキースイッチがオンされてエンジン起動と同時に映像表示装置100を含むヘッドユニットが起動される)と、温度センサ124を用いた検出動作(ステップ100)と、一定時間判定部134による経過時間の計測動作(ステップ102)が開始される。
【0027】
次に、温度判定部136は、その時点での検出温度が起動時閾値(第1の値)以上か否かを判定する(ステップ104)。起動時閾値以上の場合には肯定判断が行われる。この場合には、温度判定部136は、PWMデューティ設定部138に対してバックライト消灯に必要なPWM制御を指示し、バックライト116を消灯する(ステップ106)。熱源としてのバックライト116の消灯に伴って表示パネル114の温度が徐々に低下する。
【0028】
その後、温度判定部136は、検出温度が高温保護解除閾値より低くなったか否かを判定する(ステップ108)。この高温保護解除閾値とは、一旦開始した温度保護動作(バックライト116の消灯)を解除する基準となるものであり、通常閾値(第2の値)よりもさらに低い値が用いられる。検出温度が高温保護解除閾値よりも低くならない場合には否定判断が行われ、ステップ106に戻ってバックライト116の消灯状態が維持される。また、検出温度が高温保護解除閾値よりも低くなった場合には肯定判断が行われ、従来から行われている通常動作(バックライト116を点灯させた状態で表示パネル114を動作させ、温度上昇時には通常閾値を基準とした温度保護を行う動作)に移行する。
【0029】
また、検出温度が起動時閾値よりも低い場合にはステップ104の判定において否定判断が行われる。この場合には、温度判定部136は、検出温度が通常閾値以上か否かを判定する(ステップ110)。通常閾値以上でない場合(検出温度が通常閾値よりも低い場合)には否定判断が行われ、温度判定部136の指示に応じてバックライト116を点灯させた後(ステップ112)、従来から行われている通常動作に移行する。
【0030】
また、検出温度が通常閾値以上の場合(通常閾値と起動時閾値の間にある場合)にはステップ110の判定において肯定判定が行われる。この場合には、温度判定部136は、バックライト116を点灯させた後(ステップ114)、検出温度が起動時閾値以上になったか否かを判定する(ステップ116)。起動時閾値以上の場合には肯定判断が行われ、ステップ106(バックライト消灯)に移行する。また、検出温度が起動時閾値よりも低い場合にはステップ116の判定において否定判断が行われる。
【0031】
次に、温度判定部136は、検出温度が通常閾値よりも低くなったか否かを判定する(ステップ118)。通常閾値よりも低くなった場合には肯定判断が行われた後、従来から行われている通常動作に移行する。
【0032】
また、検出温度が通常閾値以上の場合にはステップ118の判定において否定判断が行われる。この場合には、一定時間判定部134は、経過時間の計測開始から一定時間が経過したか否かを判定する(ステップ120)。一定時間が経過していない場合には否定判断が行われ、ステップ116に戻って検出温度が起動時閾値以上か否かの判定動作が繰り返される。また、一定時間が経過した場合には肯定判断が行われ、ステップ106のバックライト消灯以後の動作に移行する。
【0033】
図3は、温度に応じた保護動作の説明図である。図3に示す例は、炎天下の車室内のような日射に伴う高温環境下で放置された後にエンジンを起動した場合を想定している。横軸は経過時間を、縦軸は温度を示している。また、Aは温度センサ124を用いて検出された温度(検出温度)を、Bは表示パネル114の表面温度(表示パネル温度)を示している。
【0034】
エンジン起動前(映像表示装置100の動作開始前)では、バックライト116の点灯に伴う発熱がないため、検出温度Aと表示パネル温度Bはほぼ同じであって、図3に示す例では、エンジン起動時(映像表示装置100の動作開始時)に検出温度Aがすでに通常閾値を超えている。本実施形態では、このような場合であっても、検出温度Aが起動時閾値以上になっていなければ、温度保護動作は行われず、バックライト116は消灯されない。その後の一定時間内では、検出温度が起動時閾値以上にならない限り、温度保護動作は行われず、バックライト116の点灯状態が維持される。
【0035】
なお、エンジン起動時に検出温度Aが起動時閾値以上の場合や、エンジン起動後の一定時間内に検出温度Aが起動時閾値以上になった場合には温度保護動作が行われ、バックライト116は消灯される。
【0036】
また、エンジン起動後は、エアコンによる冷風や窓を開けることによる外気の取り入れなどによって、時間経過とともに車室内温度が低下すると考えられるため、一定時間経過の後は、起動時閾値を基準とした温度保護動作ではなく、通常閾値を基準とした従来から行われている保護動作に移行する。
【0037】
このように、本実施形態の映像表示装置100では、動作開始直後の一定時間内では保護温度を高く(第1の値、起動時閾値)しているため、高温環境下であっても、検出温度がこの高い保護温度を超えない限り、表示パネル114の温度を低下させる保護動作が開始されることはなく、高温環境下での不適切な保護動作を回避することが可能となる。
【0038】
また、動作開始直後の一定時間内であっても、検出温度が第2の値(通常閾値)よりも低い場合、すなわち、動作開始直後の使用環境がそれほど高温でない場合には、一定時間経過後と同様の通常の保護動作に速やかに移行することが可能となる。
【0039】
また、表示パネル114の温度と連動する所定位置の温度を検出することにより、表示パネル114の温度が過度に上昇した場合の保護動作を行うことが可能となる。また、表示パネル114の表面温度を直接検出する場合に比べて、温度検出に必要な素子(温度センサ124)の実装が容易となる。
【0040】
また、バックライト116の輝度を下げることにより、表示パネル114の温度を低下させている。具体的には、バックライト116を消灯させることにより、表示パネル114の温度を低下させている。これにより、バックライト116の発熱量を減らすことができ、表示パネル114の温度を下げることが可能となる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、検出温度が保護温度(第1の値または第2の値)以上になったときにバックライト116を点灯状態から消灯状態に変更したが、PWM制御のデューティを変更(点灯と消灯を繰り返し行う際の消灯の割合を高くする)して点灯状態から輝度を低下させた状態に切り替えたり、段階的に輝度を低下させるようにして、バックライト116の発熱量を低下させるようにしてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、エンジン起動前は検出温度Aと表示パネル温度Bはほぼ同じであるとしたが(図3)、車両の走行途中で一旦エンジンを停止させた場合(例えば、コンビニエンスストアなどに立ち寄った場合など)には、再度エンジンを起動したときに、検出温度Aよりも表示パネル温度Bの方が高いことが考えられる。この点を考慮して、前回のエンジン停止後(映像表示装置100の動作停止後)に所定時間が経過したことを確認した場合に限って本発明を適用するようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、車両に搭載された映像表示装置100について説明したが、屋内において窓際に設置された映像表示装置などの他の使用環境下でも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述したように、本発明によれば、動作開始直後の一定時間内では保護温度を高く(第1の値)しているため、高温環境下であっても、検出温度がこの高い保護温度を超えない限り、液晶表示装置の温度を低下させる保護動作が開始されることはなく、高温環境下での不適切な保護動作を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
100 映像表示装置
110 映像信号受信部
112 表示ドライバ
114 表示パネル
116 バックライト
120 PWM信号生成部
122 バックライトドライバ
124 温度センサ
130 制御部
132 温度検出部
134 一定時間判定部
136 温度判定部
138 PWMデューティ設定部
図1
図2
図3