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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097455
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】検出装置および測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240711BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61B5/02 310F
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000913
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田尻 顕嗣
(72)【発明者】
【氏名】深川 剛史
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA12
4C017AB02
4C017AC28
4C017BC08
4C017EE01
4C017FF15
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KY01
(57)【要約】
【課題】検出精度を向上させた、検出装置および測定装置を提供する。
【解決手段】本発明の検出装置は、生体に向けて第1波長帯を有する第1光を発光する第1発光部と、生体に向けて第1波長帯よりも長い第2波長帯を有する第2光を発光する第2発光部と、第1発光部から発光され、生体から射出された第1光を受光する第1受光部と、第2発光部から発光され、生体から射出された第2光を受光する第2受光部と、第1光を屈折させる第1光学部材と、第2光を屈折させる第2光学部材と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に向けて第1波長帯を有する第1光を発光する第1発光部と、
前記生体に向けて前記第1波長帯よりも長い第2波長帯を有する第2光を発光する第2発光部と、
前記第1発光部から発光され、前記生体から射出された前記第1光を受光する第1受光部と、
前記第2発光部から発光され、前記生体から射出された前記第2光を受光する第2受光部と、
前記第1光を屈折させる第1光学部材と、
前記第2光を屈折させる第2光学部材と、を備える、
検出装置。
【請求項2】
前記第1光学部材の焦点距離は、前記第2光学部材の焦点距離よりも短く、
前記第1発光部と前記第2発光部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向において、前記第1発光部から前記第1受光部までの距離は、前記第2発光部から前記第2受光部までの距離よりも短い、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1光学部材の焦点距離は、前記第2光学部材の焦点距離よりも長く、
前記第1発光部と前記第2発光部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向において、前記第1発光部から前記第1受光部までの距離は、前記第2発光部から前記第2受光部までの距離よりも長い、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1発光部、前記第2発光部、前記第1受光部および前記第2受光部を保持するケース部材をさらに備え、
前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に平面視して、
前記第1光学部材は、前記ケース部材の前記第1発光部が設けられる第1発光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置され、
前記第2光学部材は、前記ケース部材の前記第2発光部が設けられる第2発光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置される、
請求項2または請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第3方向に平面視して、
前記第1発光部および前記第1光学部材の互いの中心位置、および、前記第2発光部および前記第2光学部材の互いの中心位置の少なくとも一方は異なっている、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記ケース部材は、前記第2方向において、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられた第1壁部と、前記第1発光部に対して前記第1壁部と反対側に設けられた第2壁部と、を有し、
前記第1光学部材および前記第2光学部材は、前記第2方向において、前記第1壁部と前記第2壁部との間に保持される、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1発光部、前記第2発光部、前記第1受光部および前記第2受光部を保持するケース部材をさらに備え、
前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に平面視して、
前記第1光学部材は、前記ケース部材の前記第1受光部が設けられた第1受光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置され、
前記第2光学部材は、前記ケース部材の前記第2受光部が設けられた第受光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置される、
請求項2または請求項3に記載の検出装置。
【請求項8】
前記第3方向に平面視して、
前記第1受光部および前記第1光学部材の互いの中心位置、および、前記第2受光部および前記第2光学部材の互いの中心位置の少なくとも一方は異なっている、
請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記ケース部材は、前記第2方向において、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられた第1壁部と、前記第1受光部に対して前記第1壁部と反対側に設けられた第3壁部と、を有し、
前記第1光学部材および前記第2光学部材は、前記第2方向において、前記第1壁部と前記第3壁部との間に保持される、
請求項7に記載の検出装置。
【請求項10】
前記第3方向に平面視して、前記第1光学部材の面積は前記第1受光部の面積よりも大きく、前記第2光学部材の面積は前記第2受光部の面積よりも大きい、
請求項7に記載の検出装置。
【請求項11】
前記生体に向けて前記第2光よりも長い第3波長帯を有する第3光を発光する第3発光部と、前記第3光を屈折させる第3光学部材と、をさらに備える、
請求項2または請求項3に記載の検出装置。
【請求項12】
前記生体に向けて前記第2光よりも長い第3波長帯を有する第3光を発光する第3発光部をさらに備え、
前記第2受光部は、前記生体から射出され前記第2光学部材で屈折された前記第2光と前記第3光とを受光する、
請求項7に記載の検出装置。
【請求項13】
前記第2方向において、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられた第1壁部と、前記第1壁部と反対側に設けられた第2壁部と、をさらに備え、
前記第1壁部および前記第2壁部の少なくとも一方は、前記第1発光部から発光された前記第1光を前記第1光学部材に向けて反射する、
請求項2または請求項3に記載の検出装置。
【請求項14】
前記第1壁部は、前記第1発光部から発光された前記第1光を吸収する、
請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
前記第1受光部は、前記第1光を透過し、前記第2光を遮光する光学フィルターを含む、
請求項2または請求項3に記載の検出装置。
【請求項16】
請求項1に記載の検出装置と、
前記検出装置による検出結果を示す検出信号から生体情報を特定する情報解析部と、を備える、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脈波等の生体情報を非侵襲で測定する各種の測定技術が従来から提案されている。例えば、下記特許文献1には、生体に光を射出する発光部と、発光部から射出され、生体で反射されることで入射する光を受光する受光部とを備える検出装置において、発光部および受光部を覆うカバーをフレネルレンズで構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-171459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記検出装置では、検出装置の底面を覆うように1つのフレネルレンズが設けられているため、発光部から複数種類の波長帯の光を射出すると、各波長の光の指向性を適切に補正することが難しい。このため、発光部からの光が皮膚表面で反射されてしまい、受光部の検出精度が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、生体に向けて第1波長帯を有する第1光を発光する第1発光部と、前記生体に向けて前記第1波長帯よりも長い第2波長帯を有する第2光を発光する第2発光部と、前記第1発光部から発光され、前記生体から射出された前記第1光を受光する第1受光部と、前記第2発光部から発光され、前記生体から射出された前記第2光を受光する第2受光部と、前記第1光を屈折させる第1光学部材と、前記第2光を屈折させる第2光学部材と、を備える、検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の測定装置の側面図である。
図2】測定装置の機能に着目した構成図である。
図3】検出装置の平面図である。
図4図3におけるIV-IV線矢視による断面図である。
図5】検出装置の動作を説明するための図である。
図6】第2実施形態の測定装置の平面図である。
図7図6のVII-VII線矢視による断面図である。
図8】第3実施形態の測定装置の平面図である。
図9】第4実施形態の測定装置の平面図である。
図10】第5実施形態の測定装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度や角度を実際とは異ならせている。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の測定装置100の側面図である。図1に示される本実施形態の測定装置100は、生体の例示である被験者(例えば、人間)の生体情報を非侵襲的に測定する生体計測機器であり、被験者の身体のうち測定対象となる生体の部位(以下「測定部位」という)Mに装着される。本実施形態の測定装置100は、筐体部1とベルト2とを備える腕時計型の携帯機器であり、測定部位Mの例示である手首に帯状のベルト2を巻回することで被験者の手首に装着可能である。本実施形態では、被験者の脈波(例えば脈拍間隔PPI)および酸素飽和度(SpO2)を生体情報として例示する。脈波とは、心臓の拍動に連動した血管内の体積の時間変化を意味する。酸素飽和度とは、被験者の血液中のヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合(%)を意味し、被験者の呼吸機能を評価するための指標である。
【0009】
図2は、測定装置100の機能に着目した構成図である。図2に示すように、本実施形態の測定装置100は、制御装置5と記憶装置6と表示装置4と検出装置3とを備えている。制御装置5および記憶装置6は、筐体部1の内部に設置される。図1に示されるように、表示装置4は、筐体部1のうち測定部位Mとは反対側の表面に設置され、測定結果を含む各種の画像を制御装置5による制御のもとで表示する。表示装置4は、例えば、液晶表示パネルである。
【0010】
検出装置3は、測定部位Mの状態に応じた検出信号Sを生成する光学センサーモジュールである。図1に示すように、検出装置3は、例えば筐体部1のうち測定部位Mとの対向面(以下、検出面という)16に設置される。検出面16は、測定部位Mに接触する表面である。図2に示されるように、本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部11と受光ユニット部12と駆動回路13と出力回路14とを備える。なお、駆動回路13および出力回路14の一方または双方を検出装置3の外部回路として設置することも可能である。すなわち、駆動回路13および出力回路14は検出装置3から省略され得る。
【0011】
発光ユニット部11は、第1発光部50と、第2発光部60と、第3発光部70と、を有している。第1発光部50、第2発光部60および第3発光部70は、測定部位Mに対して各々が異なる波長の光を発光する素子である。
【0012】
第1発光部50は、第1波長帯を有する第1光として、520nm~550nmの緑色波長帯を有する緑色光LGを測定部位Mに向けて射出する。本実施形態の緑色光LGは、例えば、ピーク波長が520nmの光である。
【0013】
第2発光部60は、第1波長帯よりも長い第2波長帯を有する第2光として、例えば、600nm~800nmの赤色波長帯を有する赤色光LRを測定部位Mに向けて射出する。本実施形態の赤色光LRは、例えば、ピーク波長が660nmの光である。
【0014】
第3発光部70は、第2波長帯よりも長い第3波長帯を有する第3光として、例えば、800nm~1300nmの近赤外波長帯を有する近赤外光LIを測定部位Mに向けて射出する。本実施形態の近赤外光LIは、例えば、ピーク波長が905nmの光である。
【0015】
これら第1発光部50、第2発光部60および第3発光部70を構成する発光部としては、例えばベアチップ型または砲弾型のLED(Light Emitting Diode)が好適に利用される。なお、各発光部が射出する光の波長は上記数値範囲に限定されない。以下、第1発光部50、第2発光部60および第3発光部70を特に区別しない場合、これらを総称して、各発光部50,60,70という。
【0016】
駆動回路13は、駆動電流の供給により各発光部50,60,70の各々を発光させる。本実施形態の駆動回路13は、各発光部50,60,70の各々を時分割で周期的に発光させる。各発光部50,60,70から射出した光は、測定部位Mに入射するとともに測定部位Mの内部で反射および散乱を繰返しながら伝播した後、筐体部1側に射出して受光ユニット部12に到達する。すなわち、本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部11と受光ユニット部12とが測定部位Mに対して一方側に位置する反射型の光学センサーである。
【0017】
受光ユニット部12は、発光ユニット部11の発光により測定部位Mから到来する光を受光する。本実施形態の受光ユニット部12は、第1受光部51と、第2受光部61と、を有している。第1受光部51および第2受光部61は受光した光の強度に応じた検出信号を生成する。以下、第1受光部51および第2受光部61を特に区別しない場合、これらをまとめて「各受光部51,61」という。
【0018】
第1受光部51は、発光部50から射出されて測定部位Mの内部を伝搬した緑色光LGを受光し、その受光強度に応じた検出信号を生成する。第2受光部61は、第2発光部60から射出されて測定部位Mの内部を伝搬した赤色光LR、または、第3発光部70から射出されて測定部位Mの内部を伝搬した近赤外光LIを受光し、その受光強度に応じた検出信号を生成する。
【0019】
出力回路14は、例えば、各受光部51,61が生成した検出信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、変換後の検出信号を増幅する増幅回路とを含んで構成され(いずれも図示略)、相異なる波長に対応する複数の検出信号S(S1,S2,S3)を生成する。
【0020】
検出信号S1は、発光部50から射出された緑色光LGを受光したときの第1受光部51の受光強度を表す信号である。検出信号S2は、第2発光部60から射出された赤色光LRを受光したときの第2受光部61の受光強度を表す信号であり、検出信号S3は、第3発光部70から射出された近赤外光LIを受光したときの第2受光部61の受光強度を表す信号である。
【0021】
一般的に血管の拡張時と収縮時とで血液による吸光量は相違することから、各検出信号Sは、測定部位Mの内部の動脈の脈動成分(容積脈波)に対応した周期的な変動成分を含む脈波信号となる。
【0022】
なお、駆動回路13および出力回路14は、ICチップの形態で発光ユニット部11および受光ユニット部12とともに配線基板に実装されている。なお、上述のように、駆動回路13および出力回路14を検出装置3の外部に設置することも可能である。
【0023】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算処理装置であり、測定装置100の全体を制御する。記憶装置6は、例えば不揮発性の半導体メモリーで構成され、制御装置5が実行するプログラム、および制御装置5が使用する各種のデータを記憶する。なお、制御装置5の機能を複数の集積回路に分散した構成、または、制御装置5の一部または全部の機能を専用の電子回路で実現した構成も採用され得る。なお、図2では、制御装置5と記憶装置6とを別体の要素として図示したが、記憶装置6を内包する制御装置5を例えばASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)等により実現することも可能である。
【0024】
本実施形態の制御装置5は、記憶装置6に記憶されたプログラムを実行することで、検出装置3が生成した複数の検出信号S(S1,S2,S3)から被験者の生体情報を特定する。具体的には、制御装置5は、第1受光部51による緑色光LGの受光強度を表す検出信号S1から被験者の脈拍間隔(PPI)を特定することができる。また、制御装置5は、第2受光部61による赤色光LRの受光強度を表す検出信号S2と、第2受光部61による近赤外光LIの受光強度を表す検出信号S3とを解析することで、被験者の酸素飽和度(SpO2)を特定することができる。
【0025】
以上のように測定装置100において、制御装置5は、検出装置3による検出結果を示す検出信号Sから生体情報を特定する情報解析部として機能する。制御装置(情報解析部)5は、検出信号Sから特定した生体情報を表示装置4に表示させる。なお、音声出力で測定結果を利用者に報知することも可能である。脈拍数または酸素飽和度が所定の範囲外の数値に変動した場合に利用者に警告(身体機能の障害の可能性)を報知する構成も好適である。
【0026】
図3は本実施形態の検出装置3の平面図である。図4は、図3におけるIV-IV線矢視による断面図である。図3および図4に示すように、本実施形態の検出装置3は、発光ユニット部11および受光ユニット部12の他に、ケース部材40と、封止層42と、第1光学部材33と、第2光学部材34と、第3光学部材35と、カバー部材46と、をさらに備えている。なお、図3および図4においては、駆動回路13および出力回路14の図示を省略している。
【0027】
以下、XYZ座標系を用いて検出装置3の各構成部材の配置や位置関係について説明する。X軸は矩形状の外形を有するケース部材40の長辺(一方の辺)に沿う軸に対応し、Y軸はX軸に直交しケース部材40の短辺(他方の一辺)に沿う軸に対応し、Z軸とはX軸およびY軸にそれぞれ直交し、測定部位Mに接触する検出面16の法線に沿う軸に対応する。
【0028】
図3および図4に示すように、ケース部材40は、検出装置3を構成する各要素(第1発光部50、第2発光部60、第3発光部70、第1受光部51および第2受光部61)を保持する部材である。
ケース部材40は、例えば、アルミニウムで形成される。なお、ケース部材40の材質および製法は任意である。例えば樹脂材料の射出成形によりケース部材40を形成することも可能である。また、筐体部1と一体にケース部材40を形成した構成も好適である。
【0029】
本実施形態のケース部材40は、矩形平板状の底板部140と、第1壁部141と、第2壁部142と、第3壁部143と、第4壁部144と、第5壁部145と、第6壁部146と、第7壁部147と、を有する。なお、底板部140、第1壁部141、第2壁部142、第3壁部143、第4壁部144、第5壁部145、第6壁部146および第7壁部147の少なくとも一部同士は一体に成形されていてもよい。
【0030】
ケース部材40は、第1収容部140Aと、第2収容部140Bと、を有する。
第1収容部140Aは、底板部140、第1壁部141、第2壁部142、第4壁部144および第5壁部145で区画され、発光ユニット部11を収容する。
第1収容部140Aは、発光ユニット部11のうち第1発光部50が配置される第1発光領域140A1と、発光ユニット部11のうち第2発光部60が配置される第2発光領域140A2と、発光ユニット部11のうち第3発光部70が配置される第3発光領域140A3と、を含む。
第2収容部140Bは、底板部140、第1壁部141、第3壁部143、第6壁部146および第7壁部147で区画され、受光ユニット部12を収容する。
第2収容部140Bは、受光ユニット部12のうち第1受光部51が配置される第1受光領域140B1と、受光ユニット部12のうち第2受光部61が配置される第2受光領域140B2と、を含む。
【0031】
図3に示されるように、各発光部50,60,70は相互に間隔をあけてY軸に沿う第1方向に並んで配置されている。具体的に第2発光部60は第1発光部50の+Y側に配置され、第3発光部70は第1発光部50の-Y側に配置される。すなわち、第1発光部50は、Y軸に沿う方向において、第2発光部60および第3発光部70の間に配置されている。また、第1発光部50は、第2発光部60と第3発光部70との間に位置すると換言することもできる。
【0032】
図3に示されるように、各受光部51,61は相互に間隔をあけて、Y軸と交差(直交)する第2方向であるX軸に沿う方向に並んで配置されている。具体的に第1受光部51は発光ユニット部11の+X側に配置され、第2受光部61は第1受光部51の+X側に配置されている。すなわち、第2受光部61は第1受光部51における発光ユニット部11と反対の+X側に配置されている。
【0033】
ここで、第1発光部50から第1受光部51までの距離を第1距離D1、第2発光部60から第2受光部61までの距離を第2距離D2、第3発光部70から第2受光部61までの距離を第3距離D3とする。第1距離D1とは第1発光部50および第1受光部51をX軸方向およびY軸方向に交差する第3方向であるZ軸方向に平面視した際の各々の中心部同士の距離に相当する。また、第2距離D2とは第2発光部60および第2受光部61をZ軸方向から平面視した際の各々の中心部同士の距離に相当する。また、第3距離D3とは第3発光部70および第2受光部61をZ軸方向から平面視した際の各々の中心部同士の距離に相当する。
【0034】
本実施形態の検出装置3では、X軸に沿う第2方向において、第1発光部50から第1受光部51までの第1距離D1は、第2発光部60から第2受光部61までの第2距離D2よりも短い。また、X軸に沿う第2方向において、第1発光部50から第1受光部51までの第1距離D1は、第3発光部70から第2受光部61までの第3距離D3よりも短い。なお、第2距離D2と第3距離D3とは等しい。
このように本実施形態の検出装置3では、緑色光LGを射出する第1発光部50の最も近い位置に緑色光LGを受光するための第1受光部51を配置した構成を採用している。
【0035】
第1壁部141は、X軸に沿う方向において、第1収容部140Aと第2収容部140Bとを隔てるように設けられる。すなわち、第1壁部141は、発光ユニット部11と受光ユニット部12との間に設けられている。第1壁部141は、底板部140から+Z側に突出し、Y軸方向に延びる平板状の部材である。
【0036】
第1壁部141は光吸収性を有している。第1壁部141は、例えば、ケース部材40を構成するアルミニウム材料を黒色に着色することで構成される。これにより、第1壁部141は、発光ユニット部11から射出された光を直接的に第2収容部140B側に入射させない遮光部材として機能する。
【0037】
第2壁部142は、底板部140の-X側の周縁から+Z側に突出し、Y軸方向に延びる平板状の部材である。第2壁部142は、X軸に沿う方向において、第1壁部141と対向するように、底板部140に設けられる。第2壁部142は、発光ユニット部11の-X側に設けられている。すなわち、第2壁部142は、発光ユニット部11の受光ユニット部12と反対側に設けられている。第1壁部141および第2壁部142は相互に間隔をあけてX軸に沿う方向に並んで配置されている。
【0038】
第2壁部142は、光反射性を有する。本実施形態の場合、第2壁部142は、発光ユニット部11に対向する内面側に設けられた反射面142aを含む。反射面142aは、例えば、ケース部材40を構成するアルミニウム材料の表面にミラー膜を設けることで構成される。なお、反射面142aは、アルミニウム材料を研磨した研磨面で構成してもよい。
【0039】
第3壁部143は、底板部140の+X側の周縁から+Z側に突出し、Y軸方向に延びる平板状の部材である。第3壁部143は、X軸に沿う方向において、第1壁部141と対向するように、底板部140に設けられる。
【0040】
第4壁部144は、第1壁部141および第2壁部142の+Y側に設けられる。第4壁部144は、底板部140の+Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。
第5壁部145は、第1壁部141および第2壁部142の-Y側に設けられる。第5壁部145は、底板部140の-Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。第5壁部145は、Y軸に沿う方向において、第4壁部144と対向するように、底板部140に設けられる。
【0041】
本実施形態の場合、第4壁部144および第5壁部145は、第2壁部142と同様、光反射性を有している。これにより、発光ユニット部11からY方向に射出された光が第4壁部144および第5壁部145で反射されて生体に入射することで、発光ユニット部11の光利用効率を向上できる。
【0042】
第6壁部146は、底板部140の+Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。第7壁部147は、底板部140の-Y側の周縁から+Z側に突出し、X軸方向に延びる平板状の部材である。第7壁部147は、Y軸に沿う方向において、第6壁部146と対向するように、底板部140に設けられる。
【0043】
本実施形態の場合、第3壁部143、第6壁部146および第7壁部147は、第1壁部141と同様、光吸収性を有している。これにより、第3壁部143、第6壁部146および第7壁部147によって反射された光が迷光として受光ユニット部12に入射することを抑制できる。
【0044】
封止層42はケース部材40内に収容された発光ユニット部11および受光ユニット部12とケース部材40との隙間に充填された光透過性の樹脂材料である。封止層42は発光ユニット部11および受光ユニット部12をケース部材40内に封止(モールド)している。
【0045】
本実施形態の場合、封止層42の上面は、ケース部材40の上面よりも低くなるように設けられている。具体的に第1~第7壁部141~147は、各々の上部が封止層42の上面42aから突出している。
【0046】
各発光部50,60,70の発光面がXY平面に平行となるようにケース部材40内に設置されている。すなわち、各発光部50,60,70は+Z側に向けて光を発光するようになっている。
【0047】
カバー部材46は第2収容部140Bを覆う封止層42上に設けられる。
Z軸に沿う方向に平面視して、カバー部材46は、第1壁部141と第3壁部143と第6壁部146と第7壁部147とで囲まれた領域に嵌め込まれることで封止層42上に配置されている。カバー部材46は透光性部材から構成される。カバー部材46の封止層42と反対側の表面は検出面16の一部を構成する。
【0048】
第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は第1収容部140Aを覆う封止層42上に設けられる。第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35の封止層42と反対側の表面は平面となっており検出面16の一部を構成する。
【0049】
第1光学部材33は緑色光(第1光)LGを屈折させ、第2光学部材34は赤色光(第2光)LRを屈折させ、第3光学部材35は近赤外光(第3光)LRを屈折させる。具体的に第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35はレンズ曲面を同心円状の溝で置き換えたフレネルレンズで構成される。第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は板状であるため、カバー部材46とともに封止層42を覆うカバーとしても機能する。
【0050】
本実施形態の場合、フレネルレンズで構成された第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は厚さが抑えられるため、封止層42を覆うカバーの厚みを抑えることができる。これにより、本実施形態の検出装置3は、ケース部材40内に収容された発光ユニット部11および受光ユニット部12と生体とを近づけることで、受光ユニット部12の検出精度を向上させることができる。
【0051】
Z軸に沿う方向に平面視して、第1光学部材33はケース部材40の第1発光領域140A1の少なくとも一部と重なる位置に配置され、第2光学部材34はケース部材40の第2発光領域140A2の少なくとも一部と重なる位置に配置され、第3光学部材35はケース部材40の第3発光領域140A3の少なくとも一部と重なる位置に配置される。本実施形態の場合、第1光学部材33は第1発光部50の全域に重なるように配置され、第2光学部材34は第2発光部60の全域に重なるように配置され、第3光学部材35は第3発光部70の全域に重なるように配置される。このため、第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は、対応する各発光部50,60,70から発光された光を効率良く飲み込むことができる。
【0052】
本実施形態の場合、第1光学部材33は、レンズ曲面を置き換えた同心円状の溝の中心が第1発光部50の中心と略一致するように配置されている。第1光学部材33と同様、第2光学部材34は同心円状の溝の中心が第2発光部60の中心と略一致するように配置され、第3光学部材35は同心円状の溝の中心が第3発光部70の中心と略一致するように配置されている。
つまり、第1光学部材33は第1発光部50に対応して設けられ、第2光学部材34は第2発光部60に対応して設けられ、第3光学部材35は第3発光部70に対応して設けられる。
【0053】
Z軸に沿う方向に平面視して、第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は、第1壁部141と第2壁部142と第4壁部144と第5壁部145とで囲まれた領域に嵌め込まれることで封止層42上に配置されている。第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は同心円状の溝を封止層42に当接させた状態で配置されている。第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35と封止層42との隙間には空気層が介在している。
【0054】
第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は、X軸に沿う第2方向において、第1壁部141と第2壁部142との間に保持されている。また、第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は、Y軸に沿う第1方向において、第4壁部144と第5壁部145との間に保持されている。
このため、第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35の各々は、X軸およびY軸に沿う方向において、第1発光部50、第2発光部60および第3発光部70上に精度良く位置決めされる。
【0055】
第1光学部材33の焦点距離は、第1発光部50から入射する緑色光LGの指向性を最適化するように設計されている。第1光学部材33は第1発光部50から入射する緑色光LGを集光して生体に効率良く入射させる。
【0056】
第2光学部材34の焦点距離は、第2発光部60から入射する赤色光LRの指向性を最適化するように設計されている。第2光学部材34は第2発光部60から入射する赤色光LRを集光して生体に効率良く入射させる。
【0057】
第3光学部材35の焦点距離は、第3発光部70から入射する近赤外光LIの指向性を最適化するように設計されている。第3光学部材35は第3発光部70から入射する近赤外光LIを集光して生体に効率良く入射させる。
【0058】
本実施形態の場合、第1光学部材33の焦点距離は第2光学部材34の焦点距離よりも短い。つまり、第2光学部材34の焦点距離は第1光学部材33の焦点距離よりも長い。また、第3光学部材35の焦点距離は第1光学部材33の焦点距離よりも長い。本実施形態の場合、第3光学部材35の焦点距離は第2光学部材34の焦点距離と同程度に設定されている。
【0059】
図4に示すように、第1受光部51は、センサー120と、角度制限フィルター121と、バンドパスフィルター(光学フィルター)122と、を含む。
【0060】
センサー120は、例えばフォトダイオード(PD:Photo Diode)から構成される。
角度制限フィルター121は、センサー120の受光面120aの全体を覆うように設けられている。角度制限フィルター121は、例えば、光透過性を有する酸化シリコン層1211内にタングステンなどの遮光性材料からなるプラグ1222を埋め込むことで形成される。
【0061】
酸化シリコン層1211は、センサー120の受光面120aに光を導く光路を形成する。酸化シリコン層1211に埋め込まれたプラグ1222は光路(酸化シリコン層1211)を通過する光の入射角度を制限する。すなわち、酸化シリコン層1211内に入射する光が光路に対して所定角度よりも傾いている場合、入射した光はプラグ1222に当たり、その光の一部はプラグ1222に吸収され、残りは反射される。そして、光路を通過するまでの間に反射が繰り返されることによって反射光の強度は弱くなるため、角度制限フィルター121を最終的に通過できる光は、実質的に、光路に対する傾きが所定の制限角度以内の光に制限される。
【0062】
角度制限フィルター121は、所定の入射角度よりも小さい角度で入射する光を透過させ、所定の入射角度よりも大きい角度で入射する光を透過させずにカットする特性を有する。これにより、角度制限フィルター121は、センサー120に入射する光の入射角度を制限することが可能である。具体的に角度制限フィルター121は、生体内を伝搬することで所定の入射角度(以下、許容入射角度と称す)で入射する光を透過させ、太陽光等の外光や生体内に入射しなかった光のように許容入射角度よりも大きい角度で入射する光をカットする。
【0063】
バンドパスフィルター122は、緑色光LGの波長帯を選択的に透過させ、それ以外の波長帯の光である赤色光LRおよび近赤外光LIを吸収してカットする特性を有する。バンドパスフィルター122は、例えば、角度制限フィルター121上に、酸化シリコン等の低屈折率層と酸化チタン等の高屈折率層とを交互に複数積層して形成される。
【0064】
また、第2受光部61は、赤色光LRあるいは近赤外光LIを受光するセンサー220と、センサー220に到達する赤色光LRあるいは近赤外光LIの入射角度を制限する角度制限フィルター221と、を含む。すなわち、本実施形態の検出装置3において、第2受光部61は、赤色光LRあるいは近赤外光LIを選択的に透過させるバンドパスフィルターを含まない点において、第1受光部51と異なる構成を有している。
【0065】
センサー220は、例えばフォトダイオードから構成される。角度制限フィルター221は、センサー220の受光面220a上に設けられている。角度制限フィルター221は、角度制限フィルター121と同様の構成を有しており、センサー220に到達する赤色光LRあるいは近赤外光LIの入射角度を制限することが可能である。角度制限フィルター221は、例えば、生体内を伝搬して許容入射角度で入射する赤色光LRまたは近赤外光LIを透過させ、太陽光等の外光や生体内を通らなかった赤色光LRあるいは近赤外光LIのように許容入射角度よりも大きい角度で入射する光をカットする。
【0066】
ここで、第2発光部60から射出された赤色光LRあるいは第3発光部70から射出された近赤外光LIの一部は、生体内を通過して第1受光部51に入射することがある。本実施形態の場合、第1受光部51は、緑色光LGを選択的に透過させるバンドパスフィルター122を含むため、緑色光LGと異なる波長帯を有する赤色光LRおよび近赤外光LIをカットすることができる。よって、第1受光部51は、発光部50から射出された緑色光LGを効率良く受光することができる。
【0067】
以下、本実施形態の検出装置3における動作について説明する。図5は検出装置3の動作を説明するための図である。
本実施形態の検出装置3において、第1発光部50から射出された緑色光LGは、全方位に射出される。図5に示すように、第1発光部50から+X側に射出された緑色光LGの一部は、光吸収性を有する第1壁部141によって遮光される。これにより、第1発光部50から射出された緑色光LGの一部が受光ユニット部12に直接入射することによる検出精度の低下を抑制できる。
【0068】
本実施形態の検出装置3において、-X側に射出された緑色光LGの一部は、光反射性を有する第2壁部142に入射する。第2壁部142に入射した緑色光LGは反射面142aで反射されて第1光学部材33を介して生体に効率良く入射する。
【0069】
同様に、-X側に射出された赤色光LRまたは近赤外光LIの一部は、光反射性を有する第2壁部142で反射されて第2光学部材34および第3光学部材35を介して生体に入射する。
【0070】
なお、不図示の領域において、第4壁部144の近傍に配置された第2発光部60から+Y側に射出された赤色光LRの一部は光反射性を有する第4壁部144によって反射され、第2光学部材34を介して生体に入射する。また、第5壁部145の近傍に配置された第3発光部70から-Y側に射出された近赤外光LIの一部は光反射性を有する第5壁部145によって反射され、第3光学部材35を介して生体に入射する。これにより、発光ユニット部11の光利用効率を向上させることができる。
【0071】
本発明者らは、緑色光は赤色光または近赤外光に比べて生体内で減衰され易く、生体内を長く伝搬できないとの知見を得た。これに対して本実施形態の検出装置3では、第1発光部50と第1受光部51との第1距離D1を第2発光部60または第3発光部70と第2受光部61との距離(第2距離D2または第3距離D3)よりも小さくした。
【0072】
本実施形態の場合、第1発光部50の最も近い位置に第1受光部51が配置されるため、生体内を伝搬して第1受光部51に入射する緑色光LGを効率良く受光することができる。また、上述のように赤色光LRおよび近赤外光LIは、緑色光LGに比べて、生体内をより遠くまで伝播可能である。そのため、第2受光部61は、生体内を緑色光LGに比べて長い距離だけ伝搬した赤色光LRおよび近赤外光LIを効率良く受光できる。
このように本実施形態の検出装置3は、生体内を伝搬した緑色光LG、赤色光LRおよび近赤外光LIを受光ユニット部12にて精度良く検出できる。
【0073】
また、図5に示したように、本実施形態の検出装置3において、第1発光部50から射出された緑色光LGの一部は、例えば生体表面(測定部位M)で反射されることで、生体を通ることなく第1受光部51に直接入射する場合もある。また、太陽光等の外光が生体および検出面16の隙間から第1受光部51に直接入射する場合がある。以下、生体内を通らずに第1受光部51に向かう緑色光LGを「第1迷光成分SL1」、第1受光部51に直接向かう外光を「第2迷光成分SL2」と称す。
【0074】
第1迷光成分SL1は緑色波長帯を有するため、バンドパスフィルター122を通過し、バンドパスフィルター122の下層に設けられた角度制限フィルター121に入射する。角度制限フィルター121は、上述のように、許容入射角度よりも小さい角度で入射する光を透過させ、許容入射角度よりも大きい角度で入射する光をカットする特性を有する。
【0075】
第1迷光成分SL1は生体内を通過することなく第1受光部51に入射するため、緑色光LGの第1受光部51に対する入射角度は角度制限フィルター121の許容入射角度よりも大きくなる。つまり、第1迷光成分SL1は角度制限フィルター121でカットされる。これにより、第1受光部51は、角度制限フィルター121によってセンサー120の受光面120aへの第1迷光成分SL1の入射を抑制できる。
【0076】
第2迷光成分SL2はバンドパスフィルター122で概ねカットされるが、第2迷光成分SL2に含まれる緑色波長帯を有する成分はバンドパスフィルター122を透過してしまう。ここで、第2迷光成分SL2は、上述のように、生体および検出面16の隙間から入射するため、第2迷光成分SL2の第1受光部51に対する入射角度は角度制限フィルター121の許容入射角度よりも大きくなる。そのため、バンドパスフィルター122を透過した第2迷光成分SL2の一部(緑色波長帯を有する成分)は角度制限フィルター121でカットされる。これにより、第1受光部51は、角度制限フィルター121によってセンサー120の受光面120aへの第2迷光成分SL2の入射を抑制できる。
【0077】
このように本実施形態の検出装置3では、発光ユニット部11から射出されて生体を通った緑色光LGをセンサー120の受光面120aに効率良く入射させることができる。
また、本実施形態の検出装置3では、第1迷光成分SL1および第2迷光成分SL2をセンサー120の受光面120aに入射させ難くすることができる。
【0078】
よって、第1受光部51は、ノイズ成分となる第1迷光成分SL1および第2迷光成分SL2の入射が抑制されることで高いS/N比を得ることができる。そのため、本実施形態の検出装置3は、第1受光部51において緑色光LGを高精度に受光可能となるので、第1発光部50における緑色光LGの発光量を抑えることで発光ユニット部11の消費電力を抑制できる。
【0079】
本実施形態の検出装置3において、第1光学部材33の焦点距離は第2光学部材34の焦点距離よりも短い。このため、第1光学部材33は、生体内の表層に近い位置に緑色光LGを入射させることができる。生体内の表層近くに入射した緑色光LGは生体内の伝搬距離が短くなる。生体から射出された緑色光LGは、X軸に沿う方向において第1発光部50の近くに配置された第1受光部51に対して効率良く入射する。よって、第1受光部51は生体内を伝搬して射出された緑色光LGを効率良く受光することができる。
【0080】
また、本実施形態の検出装置3において、第2発光部60または第3発光部70と第2受光部61との距離(第2距離D2または第3距離D3)は、第1発光部50と第1受光部51との第1距離D1よりも大きい。つまり、赤色光LRおよび近赤外光LIが第2受光部61に入射されるまでに生体内を伝搬する距離は、緑色光LGが第1受光部51に入射されるまでに生体内を伝搬する距離よりも大きくなっている。
【0081】
上述のように緑色光LGは、赤色光LRまたは近赤外光LIに比べて、生体内を短い距離しか伝播することができない。そのため、仮に緑色光LGの一部が第2受光部61に到達可能となるまで生体内を伝搬したとしても、緑色光LGは生体内を通過する際に十分に減衰された状態となる。よって、緑色光LGは第2受光部61に入射することができない。
【0082】
一方、本実施形態の検出装置3において、第2光学部材34の焦点距離は第1光学部材33の焦点距離よりも長く、第3光学部材35の焦点距離は第1光学部材33の焦点距離よりも長い。このため、第2光学部材34あるいは第3光学部材35は、生体内の深くまで赤色光LRあるいは近赤外光LIを入射させることができる。生体内の深くまで入射した赤色光LRおよび近赤外光LIは生体内の伝搬距離が長くなる。赤色光LRおよび近赤外光LIは、緑色光LGに比べて、生体内をより遠くまで伝播可能である。そのため、赤色光LRおよび近赤外光LIは、緑色光LGよりも生体内を長い距離だけ伝搬した場合でも、発光ユニット部11からより離れた第2受光部61に対して十分な光量を有した状態となる。よって、生体から射出された赤色光LRおよび近赤外光LIは、X軸に沿う方向において第1受光部51よりも遠くに配置された第2受光部61に対して効率良く入射する。よって、第2受光部61は生体内を伝搬して射出された赤色光LRおよび近赤外光LIを効率良く受光することができる。
【0083】
本実施形態の場合、第2受光部61には、赤色光LRおよび近赤外光LIのみが入射するので、赤色光LRおよび近赤外光LIを選択的に透過させ、緑色光LGをカットするバンドパスフィルターを第2受光部61に設けていない。すなわち、本実施形態の検出装置3では、第1受光部51のみがバンドパスフィルター122を含み、第2受光部61がバンドパスフィルターを含まない構成を採用可能である。よって、本実施形態の検出装置3は、第2受光部61のバンドパスフィルターを省略することでコスト低減を図ることができる。
【0084】
また、第2発光部60から射出された赤色光LRの一部、または第3発光部70から射出された近赤外光LIの一部は、生体内を通ることなく第2受光部61に直接入射する場合もある。また、太陽光等の外光が生体および検出面16の隙間から第2受光部61に直接入射する場合もある。以下、生体内を通ることなく第2受光部61に直接向かう赤色光LRあるいは近赤外光LIをまとめて「第3迷光成分SL3」、第2受光部61に直接向かう外光を「第4迷光成分SL4」と称す。
【0085】
第3迷光成分SL3は生体内を通過することなく角度制限フィルター221に入射するため、第3迷光成分SL3の第2受光部61に対する入射角度は角度制限フィルター221の許容入射角度よりも大きくなる。また、第4迷光成分SL4は生体と検出面16との隙間から入射するため、第4迷光成分SL4の第2受光部61に対する入射角度は角度制限フィルター221の許容入射角度よりも大きくなる。
【0086】
そのため、第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4は角度制限フィルター221で良好にカットされる。これにより、第2受光部61は、角度制限フィルター221によってセンサー120の受光面220aへの第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4の入射を抑制することができる。
【0087】
このように本実施形態の検出装置3では、発光ユニット部11から射出されて生体を通った赤色光LRあるいは近赤外光LIをセンサー220の受光面220aに効率良く入射させることができる。また、本実施形態の検出装置3では、第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4をセンサー220の受光面220aに入射させ難くすることができる。
【0088】
よって、第2受光部61は、ノイズ成分となる第3迷光成分SL3および第4迷光成分SL4の入射が抑制されることで高いS/N比を得ることができる。本実施形態の検出装置3によれば、第2受光部61において赤色光LRおよび近赤外光LIが効率良く受光されるので、第2発光部60および第3発光部70の各発光量を抑えて発光ユニット部11の消費電力を抑制できる。
【0089】
本実施形態の検出装置3は、生体に向けて緑色波長帯を有する緑色光LGを発光する第1発光部50と、生体に向けて緑色波長帯よりも長い赤色波長帯を有する赤色光LRを発光する第2発光部60と、生体に向けて赤色波長帯よりも長い近赤外波長帯を有する近赤外光LIを発光する第3発光部70と、第1発光部50から発光され、生体から射出された緑色光LGを受光する第1受光部51と、第2発光部60および第3発光部70から発光され、生体から射出された赤色光LRおよび近赤外光LIを受光する第2受光部61と、緑色光LGを屈折させる第1光学部材33と、赤色光LRを屈折させる第2光学部材34と、近赤外光LIを屈折させる第3光学部材35と、を備える。
【0090】
本実施形態の検出装置3によれば、第1発光部50、第2発光部60および第3発光部70に対応して個別に設けられた第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35を備えるため、緑色光LG、赤色光LRおよび近赤外光LIの指向性を個別に最適化することができる。これにより、第1受光部51および第2受光部61は、生体内を通った緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIを高精度に検出することができる。よって、各発光部50,60,70の光利用効率が高く、高い検出精度を備えた信頼性の高い検出装置が提供される。
また、本実施形態の測定装置100によれば、上記検出装置3を備えるので、消費電力を抑えつつ、高精度な検出を可能とする生体計測機器を提供することができる。
【0091】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、第1光学部材、第2光学部材および第3光学部材の構成が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と共通の構成および部材については同じ符号を付し、詳細については符号を省略する。
【0092】
図6は本実施形態の検出装置103の要部構成を示す平面図である。
図6に示すように、本実施形態の検出装置103は、発光ユニット部11と、受光ユニット部12と、ケース部材40と、封止層42と、第1光学部材133と、第2光学部材134と、第3光学部材135と、カバー部材46と、をさらに備えている。
【0093】
第1光学部材133、第2光学部材134および第3光学部材135は偏芯したフレネルレンズで構成されている。
具体的に第1光学部材133は、レンズ曲面を置き換えた同心円状の溝の中心が第1発光部50および第1受光部51の中心を結ぶ仮想線上において第1発光部50の中心に対して第1受光部51側にシフトした構造を有している。第2光学部材134は、レンズ曲面を置き換えた同心円状の溝の中心が第2発光部60および第2受光部61の中心を結ぶ仮想線上において第2発光部60の中心に対して第2受光部61側にシフトした構成を有している。第3光学部材135は、レンズ曲面を置き換えた同心円状の溝の中心が第3発光部70および第2受光部61の中心を結ぶ仮想線上において第3発光部70の中心に対して第2受光部61側にシフトした構成を有している。
【0094】
つまり、本実施形態において、第1発光部50および第1光学部材33の互いの中心位置、第2発光部60および第2光学部材34の互いの中心位置、および、第3発光部70および第3光学部材35の互いの中心位置はそれぞれ異なっている。
【0095】
以下、本実施形態の検出装置103における動作について説明する。図7図6のVII-VII線矢視による断面図である。
図6に示すように、第1発光部50から射出された緑色光LGは偏芯したフレネルレンズからなる第1光学部材133によって第1受光部51側に屈折され、生体に対して斜め方向から入射する。
また、図示は省略するが、第2発光部60から射出された赤色光LRは偏芯したフレネルレンズからなる第2光学部材134によって第2受光部61側に屈折され、生体に対して斜め方向から入射する。
また、図示は省略するが、第3発光部70から射出された近赤外光LIは偏芯したフレネルレンズからなる第3光学部材135によって第2受光部61側に屈折され、生体に対して斜め方向から入射する。
【0096】
このように本実施形態の検出装置103によれば、各発光部50、60、70から射出された光の指向性を制御することで各受光部51、61と反対方向へ拡散される光量を抑制できる。よって、各発光部50、60、70から射出された光は生体内を伝播して各受光部51、61に効率良く入射するため、光利用効率が高く、受光精度の高い検出装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、各発光部と各光学部材の互いの中心位置が異なる場合を例に挙げたが、少なくとも1つが異なる構成であってもよい。
【0097】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、第1光学部材、第2光学部材および第3光学部材の構成が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と共通の構成および部材については同じ符号を付し、詳細については符号を省略する。
【0098】
図8は本実施形態の検出装置203の要部構成を示す平面図である。
図8に示すように、本実施形態の検出装置203は、発光ユニット部11と、受光ユニット部12と、ケース部材40と、封止層42と、第1光学部材233と、第2光学部材234と、第3光学部材235と、カバー部材46と、をさらに備えている。
【0099】
本実施形態の第1光学部材233、第2光学部材234および第3光学部材235はリニアフレネルレンズで構成されている。リニアフレネルレンズは、第1方向A1における断面が上記実施形態のフレネルレンズと同様の段差形状となっており、第1方向A1に直交する第2方向A2における断面が平面形状となっている。つまり、リニアフレネルレンズは、第1方向A1においてはレンズとしての集光機能を有するが、第2方向A2においては集光機能を持たず光を透過させる。
【0100】
Z軸に沿う方向に平面視して、第1光学部材233、第2光学部材234および第3光学部材235は、第1壁部141と第2壁部142と第4壁部144と第5壁部145とで囲まれた領域に嵌め込まれることで封止層42上に配置されている。
【0101】
本実施形態において、第1光学部材233は、レンズとして機能する第1方向A1を第1光学部材233および第1受光部51の中心を結ぶ仮想線に沿って配置可能とするように構成されている。第2光学部材234は、レンズとして機能する第1方向A1を第2光学部材234および第2受光部61の中心を結ぶ仮想線上に沿って配置可能とするように構成されている。第3光学部材235は、レンズとして機能する第1方向A1を第3光学部材235および第2受光部61の中心を結ぶ仮想線上に沿って配置可能とするように構成されている。
【0102】
本実施形態の検出装置203において、第1発光部50から射出された緑色光LGはリニアフレネルレンズからなる第1光学部材233によって第1受光部51側に屈折され、生体に対して斜め方向から入射する。また、第2発光部60から射出された赤色光LRはリニアフレネルレンズからなる第2光学部材234によって第2受光部61側に屈折され、生体に対して斜め方向から入射する。また、第3発光部70から射出された近赤外光LIはリニアフレネルレンズからなる第3光学部材235によって第2受光部61側に屈折され、生体に対して斜め方向から入射する。
【0103】
このように本実施形態の検出装置203によれば、各発光部50、60、70から射出された光の指向性を制御することで各受光部51、61と反対方向へ拡散される光量を抑制できる。よって、各発光部50、60、70から射出された光は生体内を伝播して各受光部51、61に効率良く入射するため、光利用効率が高く、受光精度の高い検出装置を提供することができる。
【0104】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、光学部材が受光ユニット側に設けられる点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と共通の構成および部材については同じ符号を付し、詳細については符号を省略する。
【0105】
図9は本実施形態の検出装置303の要部構成を示す平面図である。
図9に示すように、本実施形態の検出装置303は、発光ユニット部11と、受光ユニット部12と、ケース部材40と、封止層42と、第1光学部材333と、第2光学部材334と、カバー部材47と、をさらに備えている。
【0106】
本実施形態において、カバー部材47は第1収容部140Aを覆う封止層42上に設けられる。
Z軸に沿う方向に平面視して、カバー部材47は、第1壁部141と第2壁部142と第4壁部144と第5壁部145とで囲まれた領域に嵌め込まれることで封止層42上に配置されている。カバー部材47は透光性部材から構成される。カバー部材47の封止層42と反対側の表面は検出面16の一部を構成する。
【0107】
第1光学部材333および第2光学部材334は第2収容部140Bを覆う封止層42上に設けられる。第1光学部材333および第2光学部材334の封止層42と反対側の表面は平面となっており検出面16の一部を構成する。
【0108】
第1光学部材333および第2光学部材334はレンズ曲面を同心円状に楕円が並ぶ溝で置き換えたフレネルレンズで構成される。第1光学部材333および第2光学部材334は板状であるため、カバー部材47とともに封止層42を覆うカバーとしても機能する。
【0109】
本実施形態の場合、フレネルレンズで構成された第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35は厚さが抑えられるため、封止層42を覆うカバーの厚みを抑えることができる。これにより、本実施形態の検出装置3は、ケース部材40内に収容された発光ユニット部11および受光ユニット部12と生体とを近づけることで、受光ユニット部12の検出精度を向上させることができる。
【0110】
Z軸に沿う方向に平面視して、第1光学部材333は第1受光部51の少なくとも一部と重なる位置に配置され、第2光学部材334は第2受光部61の少なくとも一部と重なる位置に配置される。本実施形態の場合、第1光学部材333は楕円が同心円状に並ぶ溝を有するフレネルレンズで構成されることでレンズ形状の大型化を抑制しつつ矩形状の第1受光部51の全域と重なるように配置される。また、第2光学部材334は楕円が同心円状に並ぶ溝を有するフレネルレンズで構成されることでレンズ形状の大型化を抑制しつつ第2受光部61の全域と重なるように配置される。
【0111】
本実施形態の場合、第1光学部材333は、同心円状の溝の中心が第1受光部51の中心と略一致するように配置されている。第1光学部材333と同様、第2光学部材334は、同心円状の溝の中心が第2受光部61の中心と略一致するように配置されている。
つまり、第1光学部材333は第1受光部51に対応して設けられ、第2光学部材334は第2受光部61に対応して設けられる。
【0112】
Z軸に沿う方向に平面視して、第1光学部材333および第2光学部材334は、第1壁部141と第3壁部143と第6壁部146と第7壁部147とで囲まれた領域に嵌め込まれることで封止層42上に配置されている。第1光学部材333および第2光学部材334は同心円状の溝を封止層42に当接させた状態で配置されている。第1光学部材333および第2光学部材334と封止層42との隙間には空気層が介在している。
【0113】
第1光学部材333および第2光学部材334は、X軸に沿う第2方向において、第1壁部141と第3壁部143との間に保持されている。また、第1光学部材333および第2光学部材334は、Y軸に沿う第1方向において、第6壁部146と第7壁部147との間に保持されている。
このため、第1光学部材333および第2光学部材334の各々は、X軸およびY軸に沿う方向において、第1受光部51および第2受光部61上に精度良く位置決めされる。
【0114】
Z軸に沿う方向に平面視して、第1光学部材333の面積は第1受光部51の面積よりも大きく、第2光学部材334の面積は第2受光部61の面積よりも大きい。
【0115】
第1光学部材333の焦点距離は、第1発光部50から入射され生体内を伝搬して射出された緑色光LGを集光して第1受光部51に効率良く取り込むように設計されている。このため、第1光学部材333は生体から第1受光部51よりも広い幅で入射する緑色光LGを集光して第1受光部51に効率良く入射させる。よって、第1受光部51のサイズを小さくした場合でも、第1光学部材333は緑色光LGを集光させて第1受光部51に入射させることができる。
【0116】
第2光学部材334の焦点距離は、第2発光部60から入射され生体内を伝搬して射出された赤色光LRあるいは近赤外光LIを集光して第2受光部61に効率良く取り込むように設計されている。このため、第2光学部材334は生体から第2受光部61よりも広い幅で入射する赤色光LRあるいは近赤外光LIを集光して第2受光部61に効率良く入射させる。よって、第2受光部61のサイズを小さくした場合でも、第2光学部材334は赤色光LRあるいは近赤外光LIを集光させて第2受光部61に入射させることができる。
【0117】
このように本実施形態の検出装置303によれば、第1受光部51および第2受光部61に対応して個別に設けられた第1光学部材333および第2光学部材334を備えるため、緑色光LG、赤色光LRおよび近赤外光LIの指向性を最適化することができる。これにより、第1受光部51および第2受光部61は、生体内を通った緑色光LG、赤色光LRまたは近赤外光LIを高精度に検出することができる。よって、各発光部50,60,70の光利用効率が高く、高い検出精度を備えた信頼性の高い検出装置が提供される。
【0118】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態の検出装置について説明する。本実施形態の検出装置は、第1光学部材および第2光学部材の構成が第4実施形態と異なる。以下、第4実施形態と共通の構成および部材については同じ符号を付し、詳細については符号を省略する。
【0119】
図10は本実施形態の検出装置403の要部構成を示す平面図である。
図10に示すように、本実施形態の検出装置403は、発光ユニット部11と、受光ユニット部12と、ケース部材40と、封止層42と、第1光学部材433と、第2光学部材334と、カバー部材47と、をさらに備えている。
【0120】
第1光学部材433および第2光学部材434は偏芯したフレネルレンズで構成されている。具体的に第1光学部材433は、楕円が同心円状に並ぶ溝の中心がX軸方向における発光ユニット部11と反対側(+X側)にシフトした構造を有している。第2光学部材334は、楕円が同心円状に並ぶ溝の中心がX軸方向における発光ユニット部11と反対側(+X側)にシフトした構造を有している。
【0121】
つまり、本実施形態において、第1受光部51および第1光学部材433の互いの中心位置と第2受光部61および第2光学部材334の互いの中心位置とはそれぞれ異なっている。
【0122】
本実施形態の検出装置403において、第1発光部50から入射され生体内を伝搬して射出された緑色光LGは第1光学部材433に対して斜め方向から入射するが、緑色光LGは偏芯したフレネルレンズからなる第1光学部材433により第1受光部51側に向けて屈折される。よって、第1受光部51は、生体から射出された緑色光LGを効率良く受光することができる。
また、第2発光部60から入射され生体内を伝搬して射出された赤色光LRは第2光学部材334に対して斜めに入射するが、赤色光LRは偏芯したフレネルレンズからなる第2光学部材334により第2受光部61側に向けて屈折される。よって、第2受光部61は、生体から射出された赤色光LRを効率良く受光することができる。
同様に、第3発光部70から入射され生体内を伝搬して射出された近赤外光LIは第2光学部材334に対して斜め方向から入射するが、近赤外光LIは偏芯したフレネルレンズからなる第2光学部材334により第2受光部61側に向けて屈折される。よって、第2受光部61は、生体から射出された近赤外光LIを効率良く受光することができる。
【0123】
このように本実施形態の検出装置403によれば、各発光部50、60、70から生体内に入射し、生体内を伝搬して射出された光の指向性を制御することで各受光部51、61に効率良く取り込むことができる。よって、本実施形態の検出装置403によれば、光利用効率が高く、受光精度の高い検出装置を提供できる。
【0124】
以上、上述の実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、ケース部材40の第1壁部141を遮光部材として機能させる場合を例に挙げたが、第2壁部142と同様、光反射性を有するように構成してもよい。この場合、第1壁部141は各発光部から射出された光の一部を反射して生体内に入射させるため、各発光部の光利用効率を高めることができる。
【0125】
また、上記実施形態では、第2受光部61が赤色光LRおよび近赤外光LIの両方を受光する場合を例に挙げたが、近赤外光LIを受光するための第3受光部を別途設けてもよい。この場合において、受光ユニット部12側に光学部材を設ける際、第3受光部に対応させて配置した第3光学部材により近赤外光LIを屈折することで近赤外光LIを第3受光部に効率良く入射させることができる。
【0126】
また、第1実施形態では、第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35を位置決めするために第1壁部141、第2壁部142、第4壁部144および第5壁部145を用いる場合を例に挙げたが、第1光学部材33、第2光学部材34および第3光学部材35を位置決めする方法はこれに限られない。例えば、ケース部材40の各壁部材を位置決めに用いる代わりに、ケース部材40の第1発光領域140A1を基準として第1光学部材33を第1発光領域140A1に重ねるように配置、ケース部材40の第2発光領域140A2を基準として第2光学部材34を第2発光領域140A2に重ねるように配置、あるいは、ケース部材40の第3発光領域140A3を基準として第3光学部材35を第3発光領域140A3に重ねるように配置してもよい。この場合、各壁部は封止層42の上面から突出させる必要が無い。
【0127】
また、第1実施形態では、第1発光部50と第1受光部51との第1距離D1を第2発光部60または第3発光部70と第2受光部61との距離(第2距離D2または第3距離D3)よりも小さくする場合を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。例えば、第1受光部51と第2受光部61との位置を入れ替えてもよい。つまり、X軸方向において、第1発光部50から第1受光部51までの距離は第2発光部60から第2受光部61までの距離あるいは第3発光部70から第2受光部61までの距離よりも長くてもよい。
【0128】
この場合において、第1光学部材33の焦点距離は第2光学部材34の焦点距離よりも長くすることが有効である。
これにより、第1光学部材33は、緑色光LGの指向性を適切に制御することで緑色光LGの減衰を抑制しつつ、生体内の深くに緑色光LGを入射させることができる。よって、X軸に沿う方向において第2受光部61よりも遠くに配置された第1受光部51は、生体内を伝搬して射出された緑色光LGを効率良く受光することができる。
また、第2光学部材34あるいは第3光学部材35は、赤色光LRおよび近赤外光LIの指向性を適切に制御することで赤色光LRおよび近赤外光LIを生体内の表層に近い位置に入射させることができる。よって、X軸に沿う方向において第2発光部60あるいは第3発光部70の近くに配置された第2受光部61は、生体内を伝搬して射出された赤色光LRあるいは近赤外光LIを効率良く受光することができる。
【0129】
また、上記実施形態では、生体として人間を例示したが、他の動物の生体情報(例えば、脈拍)の測定にも本発明は適用可能である。
【0130】
また、上記実施形態の測定装置100では、検出装置3が筐体部1内に設けられる場合を例に挙げたが、検出装置3の設置場所はこれに限られず、例えば、ベルト2内に埋め込まれていてもよい。
【0131】
また、上記実施形態の測定装置100として、腕時計型の構成を例に挙げたが、例えば、ネックレス型として被験者の首に装着する構成や、シール型として被験者の体に貼り付けて装着する構成や、ヘッドマウントディスプレイ型として被験者の頭部に装着する構成にも本発明は適用可能である。
【0132】
また、上記実施形態では、第1受光部51のみにバンドパスフィルター122を設ける場合を例に挙げたが、第2受光部61にも赤色光LRあるいは近赤外光LIを選択的に透過させるバンドパスフィルターを設けてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、各発光部50,60,70の各々を時分割で発光させる場合を例に挙げたが、第1発光部50の緑色光LGに対応する第1受光部51を個別に備えることから、第1発光部50を時分割ではなく常時点灯させてもよい。
【0134】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
生体に向けて第1波長帯を有する第1光を発光する第1発光部と、
前記生体に向けて前記第1波長帯よりも長い第2波長帯を有する第2光を発光する第2発光部と、
前記第1発光部から発光され、前記生体から射出された前記第1光を受光する第1受光部と、
前記第2発光部から発光され、前記生体から射出された前記第2光を受光する第2受光部と、
前記第1光を屈折させる第1光学部材と、
前記第2光を屈折させる第2光学部材と、を備える、
検出装置。
【0135】
この構成の検出装置によれば、第1光および第2光に対応して個別に設けられた第1光学部材および第2光学部材を備えるため、第1光および第2光の指向性を個別に最適化することができる。これにより、第1受光部および第2受光部は、生体内を通った第1光および第2光を高精度に検出することができる。よって、第1発光部および第2発光部の光利用効率が高く、高い検出精度を備えた信頼性の高い検出装置を提供することができる。
【0136】
(付記2)
前記第1光学部材の焦点距離は、前記第2光学部材の焦点距離よりも短く、
前記第1発光部と前記第2発光部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向において、前記第1発光部から前記第1受光部までの距離は、前記第2発光部から前記第2受光部までの距離よりも短い、
付記1に記載の検出装置。
【0137】
この構成によれば、第1発光部と第1受光部との第1距離が第2発光部と第2受光部との第2距離よりも短い場合でも、第1光および第2光の指向性を個別に最適化することができる。
【0138】
(付記3)
前記第1光学部材の焦点距離は、前記第2光学部材の焦点距離よりも長く、
前記第1発光部と前記第2発光部とが並ぶ第1方向と交差する第2方向において、前記第1発光部から前記第1受光部までの距離は、前記第2発光部から前記第2受光部までの距離よりも長い、
付記1に記載の検出装置。
【0139】
この構成によれば、第1発光部と第1受光部との第1距離が第2発光部と第2受光部との第2距離よりも長い場合でも、第1光および第2光の指向性を個別に最適化することができる。
【0140】
(付記4)
前記第1発光部、前記第2発光部、前記第1受光部および前記第2受光部を保持するケース部材をさらに備え、
前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に平面視して、
前記第1光学部材は、前記ケース部材の前記第1発光部が設けられる第1発光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置され、
前記第2光学部材は、前記ケース部材の前記第2発光部が設けられる第2発光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置される、
付記1から付記3のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0141】
この構成によれば、第1光学部材および第2光学部材は対応する各発光部から発光された光を効率良く飲み込むことができる。
【0142】
(付記5)
前記第3方向に平面視して、
前記第1発光部および前記第1光学部材の互いの中心位置、および、前記第2発光部および前記第2光学部材の互いの中心位置の少なくとも一方は異なっている、
付記1から付記4のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0143】
この構成によれば、中心位置を異ならせた発光部から射出された光の指向性を制御することで受光部と反対方向へ拡散される光量を抑制できる。よって、発光部から射出された光は生体内を伝播して受光部に効率良く入射するため、光利用効率が高く、受光精度の高い検出装置を提供することができる。
【0144】
(付記6)
前記ケース部材は、前記第2方向において、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられた第1壁部と、前記第1発光部に対して前記第1壁部と反対側に設けられた第2壁部と、を有し、
前記第1光学部材および前記第2光学部材は、前記第2方向において、前記第1壁部と前記第2壁部との間に保持される、
付記1から付記5のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0145】
この構成によれば、第1光学部材および第2光学部材の各々は、第2方向において、第1発光部および第2発光部上に精度良く位置決めされる。
【0146】
(付記7)
前記第1発光部、前記第2発光部、前記第1受光部および前記第2受光部を保持するケース部材をさらに備え、
前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に平面視して、
前記第1光学部材は、前記ケース部材の前記第1受光部が設けられた第1受光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置され、
前記第2光学部材は、前記ケース部材の前記第2受光部が設けられた第受光領域の少なくとも一部と重なる位置に配置される、
付記1から付記3のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0147】
この構成によれば、第1光学部材および第2光学部材は対応する光の指向性を制御することで受光部に効率良く入射させることができる。
【0148】
(付記8)
前記第3方向に平面視して、
前記第1受光部および前記第1光学部材の互いの中心位置、および、前記第2受光部および前記第2光学部材の互いの中心位置の少なくとも一方は異なっている、
付記7に記載の検出装置。
【0149】
この構成によれば、中心位置を異ならせた受光部に入射する光の指向性を制御することで生体内を伝播した光を受光部に効率良く入射させることができる。
【0150】
(付記9)
前記ケース部材は、前記第2方向において、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられた第1壁部と、前記第1受光部に対して前記第1壁部と反対側に設けられた第3壁部と、を有し、
前記第1光学部材および前記第2光学部材は、前記第2方向において、前記第1壁部と前記第3壁部との間に保持される、
付記7または付記8に記載の検出装置。
【0151】
この構成によれば、第1光学部材および第2光学部材の各々は、第2方向において、第1受光部および第2受光部上に精度良く位置決めされる。
【0152】
(付記10)
前記第3方向に平面視して、前記第1光学部材の面積は前記第1受光部の面積よりも大きく、前記第2光学部材の面積は前記第2受光部の面積よりも大きい、
付記7から付記9のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0153】
この構成によれば、各光学部材によって第1光あるいは第2光を集光させることでサイズの小さい受光部に入射させることができる。
【0154】
(付記11)
前記生体に向けて前記第2光よりも長い第3波長帯を有する第3光を発光する第3発光部と、前記第3光を屈折させる第3光学部材と、をさらに備える、
付記1から付記10のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0155】
この構成によれば、第3光に対応して個別に設けられた第3光学部材を備えるため、第3光の指向性を最適化することができる。
【0156】
(付記12)
前記生体に向けて前記第2光よりも長い第3波長帯を有する第3光を発光する第3発光部をさらに備え、
前記第2受光部は、前記生体から射出され前記第2光学部材で屈折された前記第2光と前記第3光とを受光する、
付記1から付記10のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0157】
この構成によれば、第2受光部によって生体内を通った第2光および第3光を検出することができる。よって、第3光を検出するための受光部を別途設ける必要が無いため、検出装置の小型化を図ることができる。
【0158】
(付記13)
前記第2方向において、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられた第1壁部と、前記第1壁部と反対側に設けられた第2壁部と、をさらに備え、
前記第1壁部および前記第2壁部の少なくとも一方は、前記第1発光部から発光された前記第1光を前記第1光学部材に向けて反射する、
付記1から付記12のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0159】
この構成によれば、第1発光部から発光された第1光を反射して生体に入射させるため、第1発光部の光利用効率を向上できる。
【0160】
(付記14)
前記第1壁部は、前記第1発光部から発光された前記第1光を吸収する、
付記13に記載の検出装置。
【0161】
この構成によれば、第1発光部から射出された第1光の一部が第1受光部あるいは第2受光部に直接入射することによる検出精度の低下を抑制できる。
【0162】
(付記15)
前記第1受光部は、前記第1光を透過し、前記第2光を遮光する光学フィルターを含む、
付記1から付記14のうちのいずれか一つに記載の検出装置。
【0163】
この構成によれば、光学フィルターにより第2光を遮光することで、第2光が第1受光部に入射することによる検出精度の低下を抑制できる。
【0164】
(付記16)
付記1から付記15のうちのいずれか一つに記載の検出装置と、
前記検出装置による検出結果を示す検出信号から生体情報を特定する情報解析部と、を備える、
測定装置。
【0165】
この構成の測定装置によれば、光利用効率が高く、高い検出精度を備えた信頼性の高い検出装置を備えるので、消費電力を抑えつつ、高精度な検出を可能とする測定装置を提供できる。
【符号の説明】
【0166】
3,103,203,303,403…検出装置、5…制御装置(情報解析部)、33,133,233,333,433…第1光学部材、34,134,234,334,434…第2光学部材、35,135,235…第3光学部材、40…ケース部材、50…第1発光部、50…発光部、51…受光部、51…第1受光部、60…第2発光部、61…第2受光部、70…第3発光部、100…測定装置、122…バンドパスフィルター(光学フィルター)、141…第1壁部、142…第2壁部、143…第3壁部、140A1…第1発光領域、140B1…第1受光領域、140A2…第2発光領域、A1…第1方向、A2…第2方向、LG…緑色光(第1光)、LR…近赤外光(第3光)、LR…赤色光(第2光)、S,S1,S2,S3…検出信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10