(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097456
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240711BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240711BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G03B21/14
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000914
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】柏木 章宏
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA33
2K203GA23
2K203GB02
2K203GB23
2K203HA35
2K203HA62
2K203HA63
2K203HA73
2K203MA04
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA12
(57)【要約】
【課題】光利用効率に優れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、非偏光の光を射出する光源と、光源から射出される光を偏光状態が互いに異なる第1偏光と第2偏光とに分離する偏光分離素子と、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて第1偏光を変調し、第1カラー画像光を生成する第1光変調素子と、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて第2偏光を変調し、第2カラー画像光を生成する第2光変調素子と、第1カラー画像光と第2カラー画像光とを合成し、カラー合成画像光を生成する画像合成部と、画像合成部から射出されるカラー合成画像光を投射する投射光学装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非偏光の光を射出する光源と、
前記光源から射出される前記光を偏光状態が互いに異なる第1偏光と第2偏光とに分離する偏光分離素子と、
カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて前記第1偏光を変調し、第1カラー画像光を生成する第1光変調素子と、
カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて前記第2偏光を変調し、第2カラー画像光を生成する第2光変調素子と、
前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成し、カラー合成画像光を生成する画像合成部と、
前記画像合成部から射出される前記カラー合成画像光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【請求項2】
前記偏光分離素子と前記第1光変調素子との間に設けられ、前記第1偏光を透過する第1偏光子と、
前記偏光分離素子と前記第2光変調素子との間に設けられ、前記第2偏光を透過する第2偏光子と、
をさらに備える、請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1光変調素子は、前記投射光学装置の投射光軸に対して一方の側に配置され、
前記第2光変調素子は、前記投射光軸に対して他方の側に配置され、
前記画像合成部は、
前記第1光変調素子から射出される前記第1カラー画像光を前記投射光軸の側に向けて屈折させる第1偏心レンズと、
前記第2光変調素子から射出される前記第2カラー画像光を前記投射光軸の側に向けて屈折させる第2偏心レンズと、
を備え、
前記第1偏心レンズと前記第2偏心レンズとは、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを互いに重畳させ、前記投射光軸上の前記投射光学装置よりも光入射側の位置に像を形成する、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第1偏心レンズおよび前記第2偏心レンズの少なくとも一方はフレネルレンズで構成される、請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1光変調素子は、前記投射光学装置の投射光軸に対して一方の側に配置され、
前記第2光変調素子は、前記投射光軸に対して他方の側に配置され、
前記画像合成部は、
前記第1光変調素子から射出される前記第1カラー画像光を透過させる第1レンズと、
前記第2光変調素子から射出される前記第2カラー画像光を透過させる第2レンズと、
前記投射光軸上に配置され、前記第1レンズから射出される前記第1カラー画像光と、前記第2レンズから射出される前記第2カラー画像光と、を透過させる第3レンズと、
を備え、
前記第3レンズは、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを互いに重畳させ、前記投射光軸上の前記投射光学装置よりも光入射側の位置に像を形成する、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1レンズ、前記第2レンズおよび前記第3レンズの少なくとも1つはフレネルレンズで構成される、請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第1カラー画像光は、第1偏光方向の直線偏光であり、
前記第2カラー画像光は、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向の直線偏光であり、
前記画像合成部は、前記第1偏光方向の直線偏光を透過し、前記第2偏光方向の直線偏光を反射する偏光合成素子、または、前記第1偏光方向の直線偏光を反射し、前記第2偏光方向の直線偏光を透過する偏光合成素子を備える、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記画像情報に対応する画像信号を前記第1光変調素子および前記第2光変調素子のそれぞれに供給する画像信号制御部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記第1光変調素子は、複数の画素が第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とにマトリクス状に配列される第1表示領域を有し、
前記第1表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第1画素ラインと、前記第2方向において前記第1画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第2画素ラインと、前記第1画素ラインと前記第2画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第1非表示領域と、を有し、
前記第2光変調素子は、複数の画素が前記第1方向と前記第2方向とにマトリクス状に配列される第2表示領域を有し、
前記第2表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第3画素ラインと、前記第2方向において前記第3画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第4画素ラインと、前記第3画素ラインと前記第4画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第2非表示領域と、を有し、
前記画像合成部は、前記第1画素ラインと前記第3画素ラインとが互いに重畳し、前記第2画素ラインと前記第4画素ラインとが互いに重畳するように、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成する、請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記画像信号制御部は、互いに同一であり、かつ、互いに同期する前記画像信号を前記第1光変調素子および前記第2光変調素子のそれぞれに供給する、請求項9に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記第1光変調素子は、複数の画素が第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とにマトリクス状に配列される第1表示領域を有し、
前記第1表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第1画素ラインと、前記第2方向において前記第1画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第2画素ラインと、前記第1画素ラインと前記第2画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第1非表示領域と、を有し、
前記第2光変調素子は、複数の画素が前記第1方向と前記第2方向とにマトリクス状に配列される第2表示領域を有し、
前記第2表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第3画素ラインと、前記第2方向において前記第3画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第4画素ラインと、前記第3画素ラインと前記第4画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第2非表示領域と、を有し、
前記画像合成部は、前記第3画素ラインと前記第1非表示領域とが互いに重畳し、前記第2画素ラインと前記第2非表示領域とが互いに重畳するように、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成する、請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項12】
前記画像合成部は、前記第1光変調素子から射出される前記第1カラー画像光、および前記第2光変調素子から射出される前記第2カラー画像光のいずれか一方を前記第2方向にシフトさせる画像シフト素子を備える、請求項11に記載のプロジェクター。
【請求項13】
前記第1光変調素子が有する画素ラインの数と、前記第2光変調素子が有する画素ラインの数とは、互いに等しく、
前記画像信号は、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の前記画素ラインの数の2倍の画素ライン数に対応する画像信号であり、
前記画像信号制御部は、前記画像信号のうちの奇数ラインに対応する第1分割画像信号を前記第1光変調素子に供給し、前記画像信号のうちの偶数ラインに対応する第2分割画像信号を前記第1分割画像信号と同期させて前記第2光変調素子に供給する、請求項11に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光変調素子として1枚の液晶パネルを用いたプロジェクター、いわゆる単板式のプロジェクターが従来から知られている。下記の特許文献1に、光源と、カラーフィルターを有する液晶パネルと、投射レンズと、を備え、1枚の液晶パネルによってカラー表示を実現するプロジェクターが開示されている。また、下記の特許文献2には、液晶パネルの光入射側および光射出側のそれぞれに偏光子が設けられたプロジェクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-121930号公報
【特許文献2】特開平7-191312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプロジェクターにおいて、光源は、ランプから構成され、非偏光の光を射出する。この種のプロジェクターに特許文献2の偏光子を採用した場合、非偏光の光が入射側偏光子に入射する際に、入射側偏光子の透過軸方向と一致する偏光方向の光は、液晶パネルに入射して表示に寄与する。ところが、入射側偏光子の透過軸とは異なる偏光方向の光は、入射側偏光子で吸収または反射され、表示には寄与しない。すなわち、光源から射出される光の利用効率は概ね50%に過ぎない。このように、単板式のプロジェクターは、非偏光の光を射出する光源を用いた場合に光利用効率が低いという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様のプロジェクターは、非偏光の光を射出する光源と、前記光源から射出される前記光を偏光状態が互いに異なる第1偏光と第2偏光とに分離する偏光分離素子と、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて前記第1偏光を変調し、第1カラー画像光を生成する第1光変調素子と、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて前記第2偏光を変調し、第2カラー画像光を生成する第2光変調素子と、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成し、カラー合成画像光を生成する画像合成部と、前記画像合成部から射出される前記カラー合成画像光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図3】第2実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図4】画像シフト素子の作用を説明するための図である。
【
図5】第1、第2カラー画像光とが重畳されたイメージを示す模式図である。
【
図6】第3実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図7】第4実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図8】カラーフィルターの配置の他の例を示す図である。
【
図9】カラーフィルターの配置のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示す場合があり、各構成要素の寸法の比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン等の被投射面上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。
【0009】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、光源2と、ピックアップ光学系3と、偏光分離素子4と、反射素子5と、第1平行化光学系10と、第1光変調装置11と、第2平行化光学系20と、第2光変調装置21と、画像合成部6と、投射光学装置7と、画像信号制御部8と、を備える。
【0010】
以下の説明では、必要に応じてXYZ直交座標系を用いる。X軸は、プロジェクター1の左右方向に沿う軸である。Y軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。Z軸は、プロジェクター1の画像投射方向に沿う軸であって、X軸およびY軸に直交する。プロジェクター1における各部材の配置や形状を説明する際に、画像投射側からプロジェクター1を正面視した際の高さに相当するY軸方向と平行な方向を上下方向と称し、画像投射側からプロジェクター1を正面視した際の横方向に相当するX軸方向と平行な方向を左右方向と称し、画像投射側からプロジェクター1を正面視した際の奥行に相当するZ軸方向と平行な方向を前後方向と称する場合がある。これらの表記は、プロジェクター1の各構成部材の配置関係を説明するための定義であり、プロジェクター1の設置姿勢や方向を限定するものではない。
【0011】
本実施形態のプロジェクター1において、投射光学装置7から射出されるカラー合成画像光L3の主光線に沿い、Z軸に平行な軸を投射光軸AX0と定義する。第1光変調装置11の中心を通り、Z軸に平行な軸を第1光軸AX1と定義する。第2光変調装置21の中心を通り、Z軸に平行な軸を第2光軸AX2と定義する。偏光分離素子4の中心と反射素子5の中心とを通り、Y軸に平行な軸を第3光軸AX3と定義する。
【0012】
光源2は、第1光軸AX1上に設けられている。光源2は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。光源2は、非偏光の光Lを射出する。本明細書において、非偏光の光Lは、直線偏光、円偏光などの特定の偏光状態を持たない光として定義する。非偏光の光Lは、例えばランダム偏光である。光源2がLEDから構成されていることにより、プロジェクター1の小型化および軽量化が可能となる。
【0013】
ピックアップ光学系3は、光源2と偏光分離素子4との間に設けられている。ピックアップ光学系3は、1個の凸レンズから構成されている。ピックアップ光学系3は、光源2から射出される光Lを平行化して偏光分離素子4に向けて射出する。本実施形態では、ピックアップ光学系3は、1個のレンズから構成されているが、複数のレンズから構成されていてもよい。
【0014】
偏光分離素子4は、ピックアップ光学系3と第1光変調装置11との間に設けられている。偏光分離素子4は、透光性材料からなる直方体状のブロックの内部に偏光分離膜41が形成された構成を有する。偏光分離膜41は、誘電体多層膜等で構成されている。偏光分離素子4は、偏光分離膜41が第1光軸AX1および第3光軸AX3のそれぞれと45度の角度をなすように配置されている。偏光分離素子4は、光源2から射出される光Lのうち、偏光分離膜41に対するP偏光を透過し、偏光分離膜41に対するS偏光を反射する。そのため、光源2から射出される光Lは、偏光分離膜41を透過して第1光軸AX1に沿って進むP偏光Lpと、偏光分離膜41で反射して第3光軸AX3に沿って進むS偏光Lsと、に分離される。なお、偏光分離素子4として、ブロック型の偏光分離素子に代えて、プレート型の偏光分離素子が用いられてもよい。
【0015】
P偏光、S偏光等の偏光に関する表記は、例えば反射等で光の進行方向が変化することで変わる場合があり、また、偏光方向を表す基準面をどの面とするかによっても変わる場合がある。したがって、説明を判りやすくするため、以下の説明では、偏光分離素子4の偏光分離膜41を基準面とし、偏光分離素子4で分離される時点でのP偏光Lpを後段の光学系でもP偏光Lpと称し、偏光分離素子4で分離される時点でのS偏光Lsを後段の光学系でもS偏光Lsと称する。本実施形態のP偏光Lpは、特許請求の範囲の第1偏光に対応する。本実施形態のS偏光Lsは、特許請求の範囲の第2偏光に対応する。
【0016】
反射素子5は、第2光軸AX2と第3光軸AX3とが交差する位置に設けられている。反射素子5は、透光性材料からなる直方体状のブロックの内部に反射膜51が形成された構成を有する。反射膜51は、誘電体多層膜、金属膜等で構成されている。反射素子5は、反射膜51が第2光軸AX2および第3光軸AX3のそれぞれと45度の角度をなすように配置されている。反射素子5は、偏光分離素子4から射出されるS偏光Lsを反射する。偏光分離素子4で反射するS偏光Lsは、反射素子5によって反射され、第2光軸AX2に沿って進む。なお、反射素子5として、ブロック型の反射素子に代えて、プレート型の反射素子が用いられてもよい。
【0017】
第1平行化光学系10は、偏光分離素子4と第1光変調装置11との間に設けられている。第1平行化光学系10は、偏光分離素子4から射出されるP偏光Lpを平行化して第1光変調装置11に入射させる。本実施形態の場合、第1平行化光学系10は、正のパワーを有する凸レンズとして機能するフレネルレンズから構成されている。これにより、第1平行化光学系10の第1光軸AX1に沿う方向の厚さが抑えられ、プロジェクター1の小型化に寄与することができる。なお、第1平行化光学系10を構成するレンズの数および種類は、特に限定されない。
【0018】
第1光変調装置11は、第1入射側偏光板12と、第1光変調素子13と、第1射出側偏光板14と、を備える。第1光変調装置11は、投射光軸AX0に対して一方の側(+Y側)に配置されている。本実施形態の第1入射側偏光板12は、特許請求の範囲の第1偏光子に対応する。
【0019】
第1入射側偏光板12は、第1平行化光学系10と第1光変調素子13との間、すなわち第1光変調素子13の光入射側に設けられている。第1入射側偏光板12の偏光軸は、第1入射側偏光板12に入射するP偏光Lpが第1入射側偏光板12を透過できる向きに配置されている。本実施形態の場合、偏光分離素子4によって分離されたP偏光Lpが第1光変調素子13に入射し、偏光分離素子4と第1光変調素子13との間に偏光を乱す光学要素が多く存在しないため、第1入射側偏光板12は必ずしも設けられていなくてもよい。ただし、第1入射側偏光板12が設けられている場合、第1光変調素子13に入射するP偏光Lpの偏光度をより高めることができる。
【0020】
第1光変調素子13は、カラー表示が可能な1枚の透過型の液晶パネルから構成されている。すなわち、第1光変調素子13は、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいてP偏光Lpを変調し、カラー画像の元となる第1カラー画像光L1を生成する。液晶パネルの駆動方式としては、ツイステッド・ネマティック(TN)方式、垂直配向(VA)方式、横電界(IPS)方式等が用いられ、特に限定されない。なお、第1光変調素子は、反射型の液晶パネルから構成されていてもよい。
【0021】
図2は、第1光変調素子13の拡大図である。
図2に示すように、第1光変調素子13は、複数の画素PXがX軸方向とY軸方向とにマトリクス状に配列される第1表示領域13Rを有する。一例として、第1光変調素子13は、X軸方向に1920個、Y軸方向に1080個並んだ画素PXを有する。すなわち、第1光変調素子13は、1920×1080の解像度、いわゆるフルハイビジョンに対応する解像度を有する。1つの画素PXは、X軸方向に沿って配列される赤色ドットSP1、緑色ドットSP2、および青色ドットSP3の3つのドットから構成される。X軸方向は、第1光変調素子13が形成する画像の左右方向に相当し、特許請求の範囲の第1方向に対応する。Y軸方向は、第1光変調素子13が形成する画像の上下方向に相当し、特許請求の範囲の第2方向に対応する。
【0022】
第1表示領域13Rは、複数の画素ラインGLと、隣り合う2つの画素ラインGLの間に設けられる複数の非表示領域SRと、を有する。本実施形態において、画素ラインGLは、X軸方向(左右方向)に沿う1つの行に配列される複数の画素PXからなる画素群と定義する。すなわち、第1表示領域13Rは、第1画素ラインGL1と、第2画素ラインGL2と、第1非表示領域SR1と、を有する。ここで、第1表示領域13Rの最上行の画素ラインGLを第1画素ラインGL1とし、上から2行目の画素ラインGLを第2画素ラインGL2とする。第1画素ラインGL1は、X軸方向に沿って配列される複数の画素PXを含む。第2画素ラインGL2は、Y軸方向において第1画素ラインGL1と隣り合い、X軸方向に沿って配列される複数の画素PXを含む。第1非表示領域SR1は、第1画素ラインGL1と第2画素ラインGL2との間に設けられ、X軸方向に延在する。
【0023】
赤色ドットSP1、緑色ドットSP2、および青色ドットSP3のそれぞれは、互いに同じ形状と互いに同じ寸法とを有する。各ドットSP1,SP2,SP3の形状は矩形状であり、Y軸方向の長さはX軸方向の長さよりも大きい。また、Y軸方向において隣り合う2つのドット間のピッチPyは、X軸方向において隣り合う2つのドット間のピッチPxよりも大きい。
【0024】
第1光変調素子13が有するカラーフィルターは、上記の画素PXの配置に対応して設けられている。すなわち、カラーフィルターにおいて、赤色ドットSP1に赤色フィルターが配置され、緑色ドットSP2に緑色フィルターが配置され、青色ドットSP3に青色フィルターが配置されている。また、非表示領域SRには、遮光層としてブラックマトリクスが配置されている。
【0025】
図示を省略するが、複数の画素PXのそれぞれに、画素電極、薄膜トランジスター(TFT)、各種の配線等からなる液晶駆動手段が設けられている。これらの液晶駆動手段は、電界の作用によって各画素PXの液晶分子を駆動し、各画素PXのオン・オフ、すなわち明暗を切り替える。画素電極は、各ドットSP1,SP2,SP3に配置されている。TFTおよび各種配線は、非表示領域SRに配置されている。
【0026】
図1に示すように、第1射出側偏光板14は、第1光変調素子13と第1偏心フレネルレンズ15との間、すなわち第1光変調素子13の光射出側に設けられている。第1射出側偏光板14の偏光軸は、第1光軸AX1に垂直な仮想面内において第1入射側偏光板12の偏光軸と直交する向きに配置されている。したがって、第1光変調素子13によって変調される光が第1射出側偏光板14を透過する際には、P偏光がS偏光の第1カラー画像光L1となって第1射出側偏光板14から射出される。
【0027】
第2平行化光学系20は、反射素子5と第2光変調装置21との間に設けられている。第2平行化光学系20は、反射素子5から射出されるS偏光Lsを平行化して第2光変調装置21に入射させる。第2平行化光学系20は、フレネルレンズから構成されている。
【0028】
第2光変調装置21は、第2入射側偏光板22と、第2光変調素子23と、第2射出側偏光板24と、を備える。第2光変調装置21は、投射光軸AX0に対して他方の側(-Y側)に配置されている。本実施形態の第2入射側偏光板22は、特許請求の範囲の第2偏光子に対応する。第2光変調装置21は、第1光変調装置11と略同じ構成を有するため、共通する光学要素については簡単に説明する。
【0029】
第2入射側偏光板22は、第2平行化光学系20と第2光変調素子23との間、すなわち第2光変調素子23の光入射側に設けられている。第2入射側偏光板22の偏光軸は、第2入射側偏光板22に入射するS偏光Lsが第2入射側偏光板22を透過できる向きに配置されている。第2入射側偏光板22は必ずしも設けられていなくてもよいが、第2入射側偏光板22が設けられた場合、第2光変調素子23に入射するS偏光Lsの偏光度をより高めることができる。
【0030】
第2光変調素子23は、カラー表示が可能な1枚の透過型の液晶パネルから構成されている。すなわち、第2光変調素子23は、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいてS偏光Lsを変調し、カラー画像の元となる第2カラー画像光L2を生成する。なお、第2光変調素子は、反射型の液晶パネルから構成されていてもよい。
【0031】
液晶パネルの構成は、第1光変調素子13と同一であるため、
図2を用いて説明する。
図2において、カッコ内に示す符号が第2光変調素子23としての符号である。第2光変調素子23は、複数の画素PXがX軸方向とY軸方向とにマトリクス状に配列される第2表示領域23Rを有する。第2光変調素子23が有する画素PXの構成は、第1光変調素子13が有する画素PXの構成と同一である。
【0032】
第2表示領域23Rは、複数の画素ラインGLと、隣り合う2つの画素ラインGLの間に設けられる複数の非表示領域SRと、を有する。すなわち、第2表示領域23Rは、第3画素ラインGL3と、第4画素ラインGL4と、第2非表示領域SR2と、を有する。第3画素ラインGL3は、X軸方向に沿って配列される複数の画素PXを含む。第4画素ラインGL4は、Y軸方向において第3画素ラインGL3と隣り合い、X軸方向に沿って配列される複数の画素PXを含む。第2非表示領域SR2は、第3画素ラインGL3と第4画素ラインGL4との間に設けられ、X軸方向に延在する。なお、第3画素ラインGL3、第4画素ラインGL4、および第2非表示領域SR2等の表記は、説明を判りやすくするため、第1光変調素子13とは異ならせている。第2光変調素子23については、第2表示領域23Rの最上行の画素ラインGLを第3画素ラインGL3とし、上から2行目の画素ラインGLを第4画素ラインGL4とする。
【0033】
図1に示すように、第2射出側偏光板24は、第2光変調素子23と第2偏心フレネルレンズ25との間、すなわち第2光変調素子23の光射出側に設けられている。第2射出側偏光板24の偏光軸は、第2光軸AX2に垂直な仮想面内において第2入射側偏光板22の偏光軸と直交する向きに配置されている。したがって、第2光変調素子23によって変調される光が第2射出側偏光板24を透過する際には、S偏光がP偏光の第2カラー画像光L2となって第2射出側偏光板24から射出される。
【0034】
画像合成部6は、第1偏心フレネルレンズ15と、第2偏心フレネルレンズ25と、を備える。画像合成部6は、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを合成し、カラー合成画像光L3を生成する。この構成によれば、画像合成部6を薄型化することができ、プロジェクター1の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0035】
第1偏心フレネルレンズ15は、第1光変調素子13の中心を通る第1光軸AX1に対して偏心したフレネルレンズで構成されている。具体的には、第1偏心フレネルレンズ15の中心は、第1光軸AX1に対して投射光軸AX0の側にずれた位置にある。これにより、第1偏心フレネルレンズ15は、第1光変調素子13から射出される第1カラー画像光L1を投射光軸AX0の側に向けて屈折させる。また、第1偏心フレネルレンズ15を用いることでレンズの薄型化を実現できる。本実施形態の第1偏心フレネルレンズ15は、特許請求の範囲の第1偏心レンズに対応する。
【0036】
第2偏心フレネルレンズ25は、第2光変調素子23の中心を通る第2光軸AX2に対して偏心したフレネルレンズで構成されている。具体的には、第2偏心フレネルレンズ25の中心は、第2光軸AX2に対して投射光軸AX0の側にずれた位置にある。これにより、第2偏心フレネルレンズ25は、第2光変調素子23から射出される第2カラー画像光L2を投射光軸AX0の側に向けて屈折させる。また、第2偏心フレネルレンズ25を用いることでレンズの薄型化を実現できる。本実施形態の第2偏心フレネルレンズ25は、特許請求の範囲の第2偏心レンズに対応する。
【0037】
第1偏心フレネルレンズ15と第2偏心フレネルレンズ25とは、投射光軸AX0に対して対称な形状を有する。これにより、第1偏心フレネルレンズ15と第2偏心フレネルレンズ25とは、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを互いに重畳させ、投射光軸AX0上の投射光学装置7よりも光入射側の位置に第1光変調素子13および第2光変調素子23の像Mを形成する。
【0038】
投射光学装置7は、複数のレンズから構成されている。投射光学装置7を構成するレンズの数は、特に限定されない。投射光学装置7は、画像合成部6から射出されるカラー合成画像光L3をスクリーン等の被投射面に投射する。これにより、カラー画像が被投射面上に表示される。
【0039】
画像信号制御部8は、任意の画像情報に対応する画像信号を第1光変調素子13および第2光変調素子23のそれぞれに供給する。本実施形態の場合、画像信号は、1920×1080の解像度を有する液晶パネルに対応するフルハイビジョン用画像信号である。画像信号制御部8は、例えばCPUによって構成されている。
【0040】
本実施形態の場合、画像合成部6は、第1光変調素子13の第1画素ラインGL1と第2光変調素子23の第3画素ラインGL3とが互いに重畳し、第1光変調素子13の第2画素ラインGL2と第2光変調素子23の第4画素ラインGL4とが互いに重畳するように、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを合成する。以下、各表示領域の上から3番目以降の画素ラインGLについても同様である。このとき、第1画素ラインGL1に含まれる複数のドットと第3画素ラインGL3に含まれる複数のドットとは、全て互いに重畳される。他の画素ラインについても同様である。また、第1非表示領域SR1と第2非表示領域SR2とは、互いに重畳する。他の非表示領域SRについても同様である。画像信号制御部8は、互いに同一であり、かつ、互いに同期する画像信号を第1光変調素子13および第2光変調素子23のそれぞれに供給する。
【0041】
[第1実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクター1は、非偏光の光を射出する光源2と、光源2から射出される光Lを偏光状態が互いに異なるP偏光LpとS偏光Lsとに分離する偏光分離素子4と、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいてP偏光Lpを変調し、第1カラー画像光L1を生成する第1光変調素子13と、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいてS偏光Lsを変調し、第2カラー画像光L2を生成する第2光変調素子23と、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを合成し、カラー合成画像光L3を生成する画像合成部6と、画像合成部6から射出されるカラー合成画像光L3を投射する投射光学装置7と、を備える。
【0042】
本実施形態の構成によれば、偏光分離素子4によって分離されるP偏光Lpが第1光変調素子13で変調され、S偏光Lsが第2光変調素子23で変調された後、画像合成部6によって合成され、カラー合成画像光L3が投射されて、被投射面上にカラー画像が表示される。したがって、従来の単板式プロジェクターのように、偏光子によって分離された一方の偏光が表示に寄与できないという不具合がなく、偏光分離素子4によって分離される2つの偏光をともに表示に利用でき、光源2から射出される光Lの利用効率を従来よりも高めることができる。
【0043】
特に本実施形態の場合、画像合成部6が第1光変調素子13の各画素ラインGLと第2光変調素子23の各画素ラインGLとを互いに重畳させ、画像信号制御部8は、互いに同一で同期する画像信号を第1光変調素子13および第2光変調素子23のそれぞれに供給する。この構成によれば、同一の画素ラインGLに第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とが重畳されるため、被投射面上に表示される画像の明るさを従来よりも向上させることができる。
【0044】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図3は、第2実施形態のプロジェクター31の概略構成図である。
図3において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図3に示すように、本実施形態のプロジェクター31は、光源2と、ピックアップ光学系3と、偏光分離素子4と、反射素子5と、第1平行化光学系10と、第1光変調装置33と、第2平行化光学系20と、第2光変調装置34と、画像シフト素子37と、画像合成部6と、投射光学装置7と、画像信号制御部8と、を備える。
【0046】
本実施形態の第1光変調素子35の基本構成は、
図2に示した第1実施形態の第1光変調素子13と同様である。ただし、第1光変調素子35を構成する液晶パネルのY軸方向の画素数は、第1実施形態の液晶パネルのY軸方向の画素数の1/2である。例えば、第1実施形態の第1光変調素子13では1080個の画素がY軸方向に配列されているのに対し、本実施形態の第1光変調素子35では、540個の画素がY軸方向に配列されている。すなわち、本実施形態の場合、第1光変調素子35は、1920×540個の画素を有する。第2光変調素子36の構成は、第1光変調素子35と同一である。すなわち、第1光変調素子35が有する画素ラインの数と、第2光変調素子36が有する画素ラインの数とは、互いに等しい。
【0047】
画像シフト素子37は、第2光軸AX2上において、第2射出側偏光板24と第2偏心フレネルレンズ25との間に設けられている。画像シフト素子37は、透光性を有し、第2光軸AX2に垂直な面(XY平面)に対して傾斜して配置された平行平板から構成されている。画像シフト素子37は、+Y側の端部が第2射出側偏光板24から遠く、-Y側の端部が第2射出側偏光板24に近くなる向きに傾斜している。
【0048】
図4は、画像シフト素子37の作用を説明するための模式図である。
図4に示すように、画像シフト素子37は、画像シフト素子37に入射する第2カラー画像光L2を光入射面37aおよび光射出面37bのそれぞれで屈折させ、第2カラー画像光L2の光路を-Y側にシフトさせる。第2カラー画像光L2のシフト量Sは、第1光変調素子35および第2光変調素子36のY軸方向のドット間ピッチPyと略一致している。シフト量Sは、平行平板の傾斜角度または厚さで調整することができる。シフト量Sをドット間ピッチPyと一致させやすくするため、平行平板の傾斜角度を調整する機構が設けられていてもよいし、異なる厚さを有する平行平板と交換可能な構成となっていてもよい。
【0049】
図5は、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とが重畳されてできる像Mのイメージを示す模式図である。
画像合成部6は、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを互いに重畳させ、投射光軸AX0上に像Mを形成する点においては、第1実施形態と同様である。ところが、本実施形態の場合は、2つのカラー画像光L1,L2が重畳された結果が第1実施形態とは異なる。本実施形態の場合、
図5に示すように、画像合成部6は、第3画素ラインGL3と第1非表示領域SR1とが互いに重畳し、第2画素ラインGL2と第2非表示領域SR2とが互いに重畳するように、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを合成する。つまり、本実施形態の場合、一方の光変調素子の各画素ラインGLと他方の光変調素子の各画素ラインGLとが互いにずれており、一方の光変調素子の各画素ラインGLと他方の光変調素子の各非表示領域SRとが互いに重畳され、一方の光変調素子の各非表示領域SRと他方の光変調素子の各画素ラインGLとが互いに重畳されている。
【0050】
プロジェクター31には、第1実施形態と同様、1920×1080の解像度を有する液晶パネルに対応するフルハイビジョン用画像信号が入力される。ところが、本実施形態の場合、第1光変調素子35および第2光変調素子36のそれぞれは、1920×540個の画素しか有していない。すなわち、画像信号は、第1光変調素子35および第2光変調素子36の画素ラインの数の2倍の画素ライン数に対応する画像信号である。そこで、画像信号制御部8は、入力される画像信号を2つの画像信号に分割し、分割された各画像信号を第1光変調素子35および第2光変調素子36のそれぞれに供給する。具体的に、画像信号制御部8は、画像信号のうちの奇数ラインに対応する第1分割画像信号を第1光変調素子35に供給し、画像信号のうちの偶数ラインに対応する第2分割画像信号を第1分割画像信号と同期させて第2光変調素子36に供給する。
プロジェクター31のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0051】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、偏光分離素子4によって分離される2つの偏光Lp,Lsがともに表示に寄与できるため、光源2から射出される光Lの利用効率を高めることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
特に本実施形態の場合、一方の光変調素子の各画素ラインGLと他方の光変調素子の各非表示領域SRとが互いに重畳され、一方の光変調素子の各非表示領域SRと他方の光変調素子の各画素ラインGLとが互いに重畳され、画像信号のうちの奇数ラインに対応する第1分割画像信号が第1光変調素子35に供給され、偶数ラインに対応する第2分割画像信号が第1分割画像信号と同期して第2光変調素子36に供給される。その結果、第1光変調素子35および第2光変調素子36のそれぞれが1920×540個の画素しか有していなくても、第1実施形態と同様の1920×1080の解像度を有するフルハイビジョン画像を表示できる。このように、各光変調素子35,36を構成する液晶パネルの小型化を図ることができる。
【0053】
本実施形態の構成に代えて、第1光変調素子35および第2光変調素子36として、第1実施形態と同様の1920×1080個の画素を有する液晶パネルを用い、1920×2160の解像度に対応する画像信号を入力させる構成とした上で、
図5に示すように、一方の光変調素子の各画素ラインGLと他方の光変調素子の各非表示領域SRとを互いに重畳させ、一方の光変調素子の各非表示領域SRと他方の光変調素子の各画素ラインGLとを互いに重畳させる構成としてもよい。この構成によれば、液晶パネルの大きさは第1実施形態と同様であるが、1920×2160の解像度を有する画像が得られ、投射画像の解像度、特に投射画像の上下方向の解像度を本実施形態よりも高めることができる。
【0054】
本実施形態では、画像シフト素子37を第2光軸AX2上の第2射出側偏光板24と第2偏心フレネルレンズ25との間に設け、第2カラー画像光L2の光路をY軸方向にシフトさせたが、この構成に代えて、画像シフト素子37を第1光軸AX1上の第1射出側偏光板14と第1偏心フレネルレンズ15との間に設け、第1カラー画像光L1の光路をY軸方向に沿って上記実施形態とは逆向きにシフトさせてもよい。さらに、上記の構成を組み合わせ、画像シフト素子37を第1光軸AX1上、第2光軸AX2上の双方に設け、第1カラー画像光L1、第2カラー画像光L2の双方の光路をY軸方向に沿って互いに逆向きにシフトさせてもよい。
【0055】
また、一方の光変調素子の画素ラインGLと他方の光変調素子の非表示領域SRとを互いに重畳させる手段として、必ずしも画像シフト素子37を用いなくてもよく、第1光変調素子35および第2光変調素子36の少なくとも一方の設置位置を各光軸AX1,AX2からずらしてもよい。いずれの方法であっても、一方の光変調素子の画素ラインGLと他方の光変調素子の非表示領域SRとの位置合わせを行う際には、例えば画像全体を明表示とし、照度計を用いて最も明るくなるように調整すればよい。または、任意の画像を表示しながら調整してもよい。
【0056】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図面を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図6は、第3実施形態のプロジェクター61の概略構成図である。
図6において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図6に示すように、本実施形態のプロジェクター61は、光源2と、ピックアップ光学系3と、偏光分離素子4と、反射素子5と、第1平行化光学系10と、第1光変調装置11と、第2平行化光学系20と、第2光変調装置21と、画像合成部63と、投射光学装置7と、画像信号制御部8と、を備える。
【0058】
画像合成部63は、第1フレネルレンズ65と、第2フレネルレンズ66と、第3フレネルレンズ67と、を備える。画像合成部63が3枚のフレネルレンズ65,66,67で構成されることにより、画像合成部63を薄型化することができ、プロジェクター61の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0059】
第1フレネルレンズ65は、第1光軸AX1上において、第1光変調装置11と第3フレネルレンズ67との間に配置されている。第1フレネルレンズ65は、第1光軸AX1上にレンズ中心を有する。第1フレネルレンズ65は、第1光変調素子13から射出される第1カラー画像光L1を透過する。第1フレネルレンズ65を用いることでレンズの薄型化を実現できる。本実施形態の第1フレネルレンズ65は、特許請求の範囲の第1レンズに対応する。
【0060】
第2フレネルレンズ66は、第2光軸AX2上において、第2光変調装置21と第3フレネルレンズ67との間に配置されている。第2フレネルレンズ66は、第2光軸AX2上にレンズ中心を有する。第2フレネルレンズ66は、第2光変調素子23から射出される第2カラー画像光L2を透過する。第2偏心フレネルレンズ66を用いることでレンズの薄型化を実現できる。本実施形態の第2フレネルレンズ66は、特許請求の範囲の第2レンズに対応する。
【0061】
第3フレネルレンズ67は、投射光軸AX0上において、投射光学装置7の光入射側に配置されている。第3フレネルレンズ67は、投射光軸AX0上にレンズ中心を有する。第3フレネルレンズ67は、第1フレネルレンズ65から射出される第1カラー画像光L1と、第2フレネルレンズ66から射出される第2カラー画像光L2と、を透過する。第3フレネルレンズ67を用いることでレンズの薄型化を実現できる。本実施形態の第3フレネルレンズ67は、特許請求の範囲の第3フレネルレンズに対応する。
第3フレネルレンズ67は、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを互いに重畳させ、投射光軸AX0上の投射光学装置7よりも光入射側の位置に像Mを形成する。
プロジェクター61のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0062】
[第3実施形態の効果]
本実施形態においても、偏光分離素子4によって分離される2つの偏光Lp,Lsがともに表示に寄与できるため、光源2から射出される光Lの利用効率を高めることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図面を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図7は、第4実施形態のプロジェクター71の概略構成図である。
図7において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図7に示すように、本実施形態のプロジェクター71は、光源2と、ピックアップ光学系3と、偏光分離素子4と、第1平行化光学系10と、第1光変調装置11と、第2平行化光学系20と、第2光変調装置21と、第1反射素子73と、第2反射素子74と、画像合成部75と、投射光学装置7と、画像信号制御部8と、を備える。画像合成部75は、第1フレネルレンズ77と、第2フレネルレンズ78と、偏光合成素子79と、を備える。
【0065】
本実施形態においては、投射光学装置7から射出されるカラー合成画像光L3の主光線に沿い、Z軸に平行な軸を投射光軸AX0と定義する。第1光変調装置11の中心を通り、Z軸に平行な軸を第1光軸AX1と定義する。第2光変調装置21の中心を通り、Y軸に平行な軸を第2光軸AX2と定義する。第1反射素子73の中心と偏光合成素子79の中心とを通り、Y軸に平行な軸を第3光軸AX3と定義する。
【0066】
第1反射素子73は、第1光軸と第3光軸とが交差する位置に設けられている。第1反射素子73の構成は、第1実施形態の反射素子5と同様であり、反射膜83を有する。第1反射素子73は、第1光変調装置11から射出されるS偏光の第1カラー画像光L1を反射する。第1反射素子73によって反射される第1カラー画像光L1は、第3光軸AX3に沿って進む。第1反射素子73として、ブロック型の反射素子に代えて、プレート型の反射素子が用いられてもよい。
【0067】
第2平行化光学系20、第2光変調装置21、および第2フレネルレンズ78は、第2光軸AX2に沿って偏光分離素子4と第2反射素子74との間に配置されている。
【0068】
第2反射素子74は、第2光軸AX2と投射光軸AX0とが交差する位置に設けられている。第2反射素子74の構成は、第1反射素子73と同様であり、反射膜84を有する。第2反射素子74は、第2光変調装置21から射出されるP偏光の第2カラー画像光L2を反射する。第2反射素子74によって反射される第2カラー画像光L2は、投射光軸AX0に沿って進む。第2反射素子74として、ブロック型の反射素子に代えて、プレート型の反射素子が用いられてもよい。
【0069】
第1フレネルレンズ77は、第1光軸AX1上に配置され、第1光軸AX1上にレンズ中心を有する。第1フレネルレンズ77は、第1光変調素子13から射出される第1カラー画像光L1を透過する。第2フレネルレンズ78は、第2光軸AX2上に配置され、第2光軸AX2上にレンズ中心を有する。第2フレネルレンズ78は、第2光変調素子23から射出される第2カラー画像光L2を透過する。第1フレネルレンズ77および第2フレネルレンズ78のそれぞれは、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを互いに重畳させ、投射光学装置7の光入射側の位置に像Mを形成する。
【0070】
偏光合成素子79は、投射光軸AX0と第3光軸AX3とが交差する位置に設けられている。偏光合成素子79は、透光性材料からなる直方体状のブロックの内部に偏光合成膜89が形成された構成を有する。偏光合成膜89は、誘電体多層膜等で構成されている。偏光合成素子79は、偏光合成膜89が投射光軸AX0および第3光軸AX3のそれぞれと45度の角度をなすように配置されている。
【0071】
偏光合成素子79は、偏光合成膜89に対するP偏光を透過し、偏光合成膜89に対するS偏光を反射する。そのため、第1光変調素子13から射出され、第1反射素子73で反射したS偏光の第1カラー画像光L1は、偏光合成膜89で反射し、投射光学装置7に向かって進む。第2光変調素子23から射出され、第2反射素子74で反射したP偏光の第2カラー画像光L2は、偏光合成膜89を透過し、投射光学装置7に向かって進む。このように、偏光合成素子79は、第1カラー画像光L1と第2カラー画像光L2とを合成し、カラー合成画像光L3を生成する。なお、偏光合成素子79として、ブロック型の偏光合成素子に代えて、プレート型の偏光合成素子を用いてもよい。
【0072】
[第4実施形態の効果]
本実施形態においても、偏光分離素子4によって分離される2つの偏光Lp,Lsがともに表示に寄与できるため、光源2から射出される光の利用効率を高めることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
特に本実施形態の場合、第1カラー画像光L1の偏光方向と第2カラー画像光L2の偏光方向とが互いに異なることを利用して、画像合成部75に偏光合成素子79を用いて2つの画像光L1,L2を効率良く合成することができる。
【0074】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記実施形態および変形例の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0075】
上記実施形態では、カラーフィルターの配置として、
図5に示すように、2つのカラー画像光が重畳されたときに、同色のドットが光変調素子(画像)の上下方向に配列されるパターン、いわゆる縦ストライプパターンの例を挙げた。この構成に代えて、
図8に示すように、光変調素子(画像)の上下方向に隣り合う2つの画素ラインGLにおいて、同色のドットが左右方向に1ピッチずれて配置されるパターン、いわゆるモザイクパターンであってもよい。または、
図9に示すように、光変調素子(画像)の上下方向に隣り合う2つの画素ラインGLにおいて、同色のドットが左右方向に1/2ピッチずれて配置されるパターンであってもよい。これらのパターンを採用する場合、画素シフト素子が画像光を光変調素子(画像)の斜め方向にずらす構成であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第1偏心フレネルレンズ15および第2偏心フレネルレンズ25を例に挙げたが偏心フレネルレンズに代えて、偏芯した連続曲面を有する凸レンズを用いてもよい。また、上記実施形態では、第1フレネルレンズ65および第2フレネルレンズ66を例に挙げたがフレネルレンズに代えて、連続曲面を有する凸レンズを用いてもよい。
【0077】
また、画素シフト素子は、上記実施形態とは90度直交する方向、すなわち、画像光を光変調素子(画像)の左右方向にずらす構成であってもよい。この場合、X軸方向のドット間ピッチPxがY軸方向のドット間ピッチPyよりも大きいことが望ましい。この構成によれば、投射画像の左右方向の解像度を高めることができる。
【0078】
また、プロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料などの具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。例えば上記実施形態において、プロジェクターは、2つの光変調素子を備えているが、3つ以上、例えば4つの光変調素子を備えていてもよい。
【0079】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0080】
(付記1)
非偏光の光を射出する光源と、
前記光源から射出される前記光を偏光状態が互いに異なる第1偏光と第2偏光とに分離する偏光分離素子と、
カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて前記第1偏光を変調し、第1カラー画像光を生成する第1光変調素子と、
カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて前記第2偏光を変調し、第2カラー画像光を生成する第2光変調素子と、
前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成し、カラー合成画像光を生成する画像合成部と、
前記画像合成部から射出される前記カラー合成画像光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【0081】
付記1の構成によれば、偏光分離素子によって分離される第1偏光および第2偏光のそれぞれをともに表示に利用できるため、光源から射出される光の利用効率を高めることができる。
【0082】
(付記2)
前記偏光分離素子と前記第1光変調素子との間に設けられ、前記第1偏光を透過する第1偏光子と、
前記偏光分離素子と前記第2光変調素子との間に設けられ、前記第2偏光を透過する第2偏光子と、
をさらに備える、付記1に記載のプロジェクター。
【0083】
付記2の構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子のそれぞれに入射する偏光の偏光度を高めることができる。
【0084】
(付記3)
前記第1光変調素子は、前記投射光学装置の投射光軸に対して一方の側に配置され、
前記第2光変調素子は、前記投射光軸に対して他方の側に配置され、
前記画像合成部は、
前記第1光変調素子から射出される前記第1カラー画像光を前記投射光軸の側に向けて屈折させる第1偏心レンズと、
前記第2光変調素子から射出される前記第2カラー画像光を前記投射光軸の側に向けて屈折させる第2偏心レンズと、
を備え、
前記第1偏心レンズと前記第2偏心レンズとは、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを互いに重畳させ、前記投射光軸上の前記投射光学装置よりも光入射側の位置に像を形成する、付記1または付記2に記載のプロジェクター。
【0085】
付記3の構成によれば、画像合成部を薄型化することができ、プロジェクターの前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0086】
(付記4)
前記第1偏心レンズおよび前記第2偏心レンズの少なくとも一方はフレネルレンズで構成される、付記3に記載のプロジェクター。
【0087】
付記4の構成によれば、レンズをさらに薄型化することができ、プロジェクターの前後方向の寸法をより小さくできる。
【0088】
(付記5)
前記第1光変調素子は、前記投射光学装置の投射光軸に対して一方の側に配置され、
前記第2光変調素子は、前記投射光軸に対して他方の側に配置され、
前記画像合成部は、
前記第1光変調素子から射出される前記第1カラー画像光を透過させる第1レンズと、
前記第2光変調素子から射出される前記第2カラー画像光を透過させる第2レンズと、
前記投射光軸上に配置され、前記第1レンズから射出される前記第1カラー画像光と、前記第2レンズから射出される前記第2カラー画像光と、を透過させる第3レンズと、
を備え、
前記第3レンズは、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを互いに重畳させ、前記投射光軸上の前記投射光学装置よりも光入射側の位置に像を形成する、付記1または付記2に記載のプロジェクター。
【0089】
付記5の構成によれば、画像合成部を薄型化することができ、プロジェクターの前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0090】
(付記6)
前記第1レンズ、前記第2レンズおよび前記第3レンズの少なくとも1つはフレネルレンズで構成される、付記5に記載のプロジェクター。
【0091】
付記6の構成によれば、レンズをさらに薄型化することができ、プロジェクターの前後方向の寸法をより小さくできる。
【0092】
(付記7)
前記第1カラー画像光は、第1偏光方向の直線偏光であり、
前記第2カラー画像光は、前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向の直線偏光であり、
前記画像合成部は、前記第1偏光方向の直線偏光を透過し、前記第2偏光方向の直線偏光を反射する偏光合成素子、または、前記第1偏光方向の直線偏光を反射し、前記第2偏光方向の直線偏光を透過する偏光合成素子を備える、付記1または付記2に記載のプロジェクター。
【0093】
付記7の構成によれば、第1カラー画像光の偏光方向と第2カラー画像光の偏光方向とが互いに異なることを利用して、画像合成部として偏光合成素子を用いて2つの画像光を効率良く合成することができる。
【0094】
(付記8)
前記画像情報に対応する画像信号を前記第1光変調素子および前記第2光変調素子のそれぞれに供給する画像信号制御部をさらに備える、付記1から付記7までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0095】
付記8の構成によれば、表示品質に優れる画像を投射することができる。
【0096】
(付記9)
前記第1光変調素子は、複数の画素が第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とにマトリクス状に配列される第1表示領域を有し、
前記第1表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第1画素ラインと、前記第2方向において前記第1画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第2画素ラインと、前記第1画素ラインと前記第2画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第1非表示領域と、を有し、
前記第2光変調素子は、複数の画素が前記第1方向と前記第2方向とにマトリクス状に配列される第2表示領域を有し、
前記第2表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第3画素ラインと、前記第2方向において前記第3画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第4画素ラインと、前記第3画素ラインと前記第4画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第2非表示領域と、を有し、
前記画像合成部は、前記第1画素ラインと前記第3画素ラインとが互いに重畳し、前記第2画素ラインと前記第4画素ラインとが互いに重畳するように、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成する、付記8に記載のプロジェクター。
【0097】
付記9の構成によれば、同一の画素ラインに第1カラー画像光と第2カラー画像光とが重畳されるため、被投射面上に表示される画像の明るさを向上させることができる。
【0098】
(付記10)
前記画像信号制御部は、互いに同一であり、かつ、互いに同期する前記画像信号を前記第1光変調素子および前記第2光変調素子のそれぞれに供給する、付記9に記載のプロジェクター。
【0099】
付記10の構成によれば、鮮明で明るい画像を投射することができる。
【0100】
(付記11)
前記第1光変調素子は、複数の画素が第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とにマトリクス状に配列される第1表示領域を有し、
前記第1表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第1画素ラインと、前記第2方向において前記第1画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第2画素ラインと、前記第1画素ラインと前記第2画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第1非表示領域と、を有し、
前記第2光変調素子は、複数の画素が前記第1方向と前記第2方向とにマトリクス状に配列される第2表示領域を有し、
前記第2表示領域は、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第3画素ラインと、前記第2方向において前記第3画素ラインと隣り合い、前記第1方向に沿って配列される複数の前記画素を含む第4画素ラインと、前記第3画素ラインと前記第4画素ラインとの間に設けられ、前記第1方向に延在する第2非表示領域と、を有し、
前記画像合成部は、前記第3画素ラインと前記第1非表示領域とが互いに重畳し、前記第2画素ラインと前記第2非表示領域とが互いに重畳するように、前記第1カラー画像光と前記第2カラー画像光とを合成する、付記8に記載のプロジェクター。
【0101】
付記11の構成によれば、所定の解像度を有する画像を得るために各光変調素子に必要とされる画素ラインの数が少なくて済むため、各光変調素子の小型化を図ることができる。一方、光変調素子を小型化する必要がない場合は、各光変調素子が有する画素ラインの数よりも大きい画像信号に対応する画像を表示できるため、投射画像の解像度を高めることができる。
【0102】
(付記12)
前記画像合成部は、前記第1光変調素子から射出される前記第1カラー画像光、および前記第2光変調素子から射出される前記第2カラー画像光のいずれか一方を前記第2方向にシフトさせる画像シフト素子を備える、付記11に記載のプロジェクター。
【0103】
付記12の構成によれば、第1カラー画像光および第2カラー画像光のいずれか一方の光路を画像シフト素子によってシフトすることができるため、付記9の構成を実現しやすくなる。
【0104】
(付記13)
前記第1光変調素子が有する画素ラインの数と、前記第2光変調素子が有する画素ラインの数とは、互いに等しく、
前記画像信号は、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の前記画素ラインの数の2倍の画素ライン数に対応する画像信号であり、
前記画像信号制御部は、前記画像信号のうちの奇数ラインに対応する第1分割画像信号を前記第1光変調素子に供給し、前記画像信号のうちの偶数ラインに対応する第2分割画像信号を前記第1分割画像信号と同期させて前記第2光変調素子に供給する、付記9または付記11に記載のプロジェクター。
【0105】
付記13の構成によれば、解像度が高く、鮮明な画像を投射することができる。
【符号の説明】
【0106】
1,31,61,71…プロジェクター、2…光源、4…偏光分離素子、6,63,75…画像合成部、7…投射光学装置、8…画像信号制御部、12…第1入射側偏光板(第1偏光子)、13,35…第1光変調素子、15…第1偏心フレネルレンズ(第1偏心レンズ)、22…第2入射側偏光板(第2偏光子)、23,36…第1光変調素子、25…第2偏心フレネルレンズ(第2偏心レンズ)、37…画像シフト素子、65…第1フレネルレンズ(第1レンズ)、66…第2フレネルレンズ(第2レンズ)、67…第3フレネルレンズ(第3レンズ)、79…偏光合成素子、Lp…P偏光(第1偏光)、Ls…S偏光(第2偏光)、GL1…第1画素ライン、GL2…第2画素ライン、GL3…第3画素ライン、GL4…第4画素ライン、SR1…第1非表示領域、SR2…第2非表示領域、M…像。