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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097458
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240711BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 401
B41J2/14 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000916
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】高向 真
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EC07
2C056EC38
2C056FA10
2C056HA51
2C057AF05
2C057AM16
2C057AN01
2C057AR03
(57)【要約】
【課題】動作遅延等が生じるおそれを低減できる液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】第1吐出制御信号、第1基駆動信号及び搬送制御信号を出力する第1制御回路と、第1吐出制御信号、第1基駆動信号及び状態情報信号が入力され、第2吐出制御信号及び第2基駆動信号を出力する第2制御回路と、第2基駆動信号に基づく第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、第1駆動信号に応じて液体を吐出する第1吐出部、及び第2吐出制御信号に基づき第1駆動信号を第1吐出部に供給するか否かを切り替える第1切替回路を有する第1吐出ヘッドと、を備え、第2制御回路は、状態情報信号に状態の異常を示す情報が含まれない場合、第1吐出制御信号に基づく第2吐出制御信号を出力し、状態情報信号に状態の異常を示す情報が含まれる場合、第1切替回路が第1駆動信号を第1吐出部に供給しないように制御する第2吐出制御信号を出力する、液体吐出装置。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置であって、
第1吐出制御信号、第1基駆動信号、及び前記媒体の搬送を制御する搬送制御信号を出力する第1制御回路と、
前記第1吐出制御信号、前記第1基駆動信号、及び前記液体吐出装置の状態を示す状態情報信号が入力され、第2吐出制御信号、及び第2基駆動信号を出力する第2制御回路と、
前記第2基駆動信号に基づく第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第1制御回路が設けられた第1基板と、
前記第2制御回路、及び前記第1駆動回路が設けられた第2基板と、
前記第1駆動信号に応じて液体を吐出する第1吐出部と、前記第2吐出制御信号に基づいて前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給するか否かを切り替える第1切替回路と、を有する第1吐出ヘッドと、
を備え、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第2制御回路は、前記第1吐出制御信号に基づく前記第2吐出制御信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第2制御回路は、前記第1切替回路が前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給しないように制御する前記第2吐出制御信号を出力する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記状態情報信号は、前記状態を示す情報として、前記液体吐出装置に供給される電源電圧の電圧値の情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第2基板と前記第1吐出ヘッドとは、BtoBコネクターによって電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1基板と前記第2基板とは、フレキシブルフラットケーブルを介して電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第2制御回路は、
前記第1切替回路が前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給しないように制御する非吐出制御信号を出力する非吐出信号出力回路と、
前記第1吐出制御信号と前記非吐出制御信号とが入力され、前記第1吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として出力するのか、前記非吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として出力するのかを選択する吐出制御信号選択回路と、
を有し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記吐出制御信号選択回路は、前記第1吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として選択し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記吐出制御信号選択回路は、前記非吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第2制御回路は、前記第1基駆動信号に基づく前記第2基駆動信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第2制御回路は、前記第1駆動回路に一定電圧値の前記第1駆動信号を出力させる前記第2基駆動信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第2制御回路は、
前記第1駆動回路から出力される前記第1駆動信号の電圧値を一定電圧値に制御する定電圧基駆動信号を出力する定電圧基駆動信号出力回路と、
前記第1基駆動信号と前記定電圧基駆動信号とが入力され、前記第1基駆動信号を前記第2基駆動信号として出力するのか、前記定電圧基駆動信号を前記第2基駆動信号として出力するのかを選択する基駆動信号選択回路と、
を有し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記基駆動信号選択回路は、前記第1基駆動信号を前記第2基駆動信号として選択し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記基駆動信号選択回路は、前記定電圧基駆動信号を前記第2基駆動信号として選択する、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1制御回路は、第3吐出制御信号、及び第3基駆動信号を出力し、
前記第3吐出制御信号、前記第3基駆動信号、及び前記状態情報信号が入力され、第4吐出制御信号、及び第4基駆動信号を出力する第3制御回路と、
前記第4基駆動信号に基づく第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第3制御回路、及び前記第2駆動回路が設けられた第3基板と、
前記第2駆動信号に応じて液体を吐出する第2吐出部と、前記第4吐出制御信号に基づいて前記第2駆動信号を前記第2吐出部に供給するか否かを切り替える第2切替回路と、を有する第2吐出ヘッドと、
を備え、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第3制御回路は、前記第3吐出制御信号に基づく前記第4吐出制御信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第3制御回路は、前記第2切替回路が前記第2駆動信号を前記第2吐出部に供給しないように制御する前記第4吐出制御信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第3制御回路は、前記第3基駆動信号に基づく前記第4基駆動信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第3制御回路は、前記第2駆動回路に一定電圧値の前記第2駆動信号を出力させる前記第4基駆動信号を出力する、
ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出装置には、液体としてのインクを吐出することで媒体に画像や文書を形成するインクジェットプリンター等が知られている。例えば、特許文献1には、メイン基板、ヘッド駆動基板、及び複数のインクヘッドを有し、ヘッド駆動基板に設けられた駆動信号生成部が、インクヘッドが有するアクチュエータを駆動する駆動信号を生成し、メイン基板に設けられたヘッド制御部の指示の下で、当該駆動信号がアクチュエータに供給されることで、インクヘッドからインクが吐出されるプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-049798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、液体の吐出精度向上、及び吐出速度の向上の観点から、液体吐出装置が液体を吐出するノズル数が増加している。しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置において、当該液体吐出装置が有するノズル数が増加した場合、ヘッド制御部が担う処理が増大し、その結果、液体吐出装置の動作遅延や、当該処理を所定の時間内に完了できない等の問題が生じるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置であって、
第1吐出制御信号、第1基駆動信号、及び前記媒体の搬送を制御する搬送制御信号を出力する第1制御回路と、
前記第1吐出制御信号、前記第1基駆動信号、及び前記液体吐出装置の状態を示す状態情報信号が入力され、第2吐出制御信号、及び第2基駆動信号を出力する第2制御回路と、
前記第2基駆動信号に基づく第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第1制御回路が設けられた第1基板と、
前記第2制御回路、及び前記第1駆動回路が設けられた第2基板と、
前記第1駆動信号に応じて液体を吐出する第1吐出部と、前記第2吐出制御信号に基づいて前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給するか否かを切り替える第1切替回路と、を有する第1吐出ヘッドと、
を備え、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第2制御回路は、前記第1吐出制御信号に基づく前記第2吐出制御信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第2制御回路は、前記第1切替回路が前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給しないように制御する前記第2吐出制御信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体吐出装置の概略構成を示す図である。
図2】ヘッドユニットを搭載したキャリッジの構造を示す側面図である。
図3】ヘッドユニットを搭載したキャリッジの周辺構造を示す斜視図である。
図4】液体吐出モジュールの構造の一例を示す分解斜視図である。
図5】プリントヘッドの内部構造の一例を示す斜視図である。
図6】プリントヘッドの分解斜視図である。
図7】吐出部の構成の一例を示す図である。
図8】液体吐出装置の機能構成の一例を示す図である。
図9】吐出制御回路の構成を示す図である。
図10】駆動信号出力回路の構成を示す図である。
図11】駆動信号COMの信号波形の一例を示す図である。
図12】駆動信号選択回路の構成を示す図である。
図13】ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、クロック信号SCKo、及びヘッド制御信号DIoと選択信号Sとの関係を説明するための図である。
図14】ヘッド制御信号DIoのデータ構成の一例を示す図である。
図15】デコーダーのデコード内容を示す図である。
図16】圧電素子に対応する選択回路の構成を示す図である。
図17】マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIiを選択している場合に、駆動信号選択回路に入力されるヘッド制御信号DIoの一例を示す図である。
図18図17に示す波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路に入力された場合におけるデコーダーのデコード内容の具体例を示す図である。
図19図18に示す選択信号Sが供給された場合に選択回路から出力される駆動信号VOUTを示す図である。
図20】マルチプレクサー730が吐出停止処理信号DIe1を選択している場合に、駆動信号選択回路に入力されるヘッド制御信号DIoの一例を示す図である。
図21図20に示す波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路に入力された場合におけるデコーダーのデコード内容の具体例を示す図である。
図22】マルチプレクサー730が吐出停止処理信号DIe2を選択している場合に、駆動信号選択回路に入力されるヘッド制御信号DIoの一例を示す図である。
図23図22に示す波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路に入力された場合におけるデコーダーのデコード内容の具体例を示す図である。
図24】液体吐出装置の動作とマルチプレクサーの動作との関係を説明するための図である。
図25】第2実施形態の吐出制御回路の構成を示す図である。
図26】第2実施形態の液体吐出装置の動作とマルチプレクサーの動作との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
1.第1実施形態
1.1 液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。第1実施形態の液体吐出装置1は、搬送される媒体Pに対して、所望のタイミングで液体の一例であるインクを吐出することで、媒体Pの表面に所望の画像を形成する所謂インクジェットプリンターである。ここで、以下の説明において、媒体Pが搬送される方向を搬送方向と称する場合がある。
【0009】
図1に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット2、ヘッドユニット3、搬送モーター4、搬送ローラー5、キャリッジモーター6、キャリッジガイド軸7、キャリッジ8、及び液体容器9を備える。
【0010】
制御ユニット2は、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示のホストコンピューター等の外部機器から供給される画像データDATAに基づいて、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号を生成し、対応する構成に出力する。また、制御ユニット2は、液体吐出装置1に供給される交流電圧の商用電圧VACから液体吐出装置1の各部の電源電圧等に用いられる電圧信号VDCを生成し、液体吐出装置1の各部に供給する。
【0011】
具体的には、制御ユニット2は、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号として搬送制御信号Ctrl-Tを生成し、搬送モーター4に出力する。搬送モーター4は、入力される搬送制御信号Ctrl-Tに基づいて駆動する。搬送ローラー5は、搬送モーター4の駆動に伴い回転駆動する。そして、搬送ローラー5の回転駆動により生じた駆動力によって、媒体Pが搬送方向に沿って搬送される。すなわち、搬送モーター4と搬送ローラー5とは、制御ユニット2が出力する搬送制御信号Ctrl-Tに応じて媒体Pを搬送する。
【0012】
また、制御ユニット2は、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号としてキャリッジ制御信号Ctrl-Cを生成し、キャリッジモーター6に出力する。キャリッジモーター6は、入力されるキャリッジ制御信号Ctrl-Cに基づいて駆動する。キャリッジモーター6の駆動によって生じた駆動力は、不図示のタイミングベルトを介してキャリッジガイド軸7に支持されたキャリッジ8に伝えられる。キャリッジガイド軸7は、搬送方向と交差する方向に沿って延在し、キャリッジ8を支持している。そして、キャリッジモーター6の駆動によって生じた駆動力によってキャリッジガイド軸7に支持されたキャリッジ8が、キャリッジガイド軸7に沿って移動する。すなわち、キャリッジモーター6とキャリッジガイド軸7とは、制御ユニット2が出力するキャリッジ制御信号Ctrl-Cに応じて、キャリッジ8をキャリッジガイド軸7に沿って移動させる。
【0013】
また、制御ユニット2は、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号として印刷データ信号pDATAを生成し、ヘッドユニット3に出力する。ヘッドユニット3は、吐出制御モジュール10と複数の液体吐出モジュール20とを有する。制御ユニット2が出力する印刷データ信号pDATAは、吐出制御モジュール10に入力される。吐出制御モジュール10は、入力される印刷データ信号pDATAに基づいて複数の液体吐出モジュール20のそれぞれの動作を制御する制御信号を生成し、対応する液体吐出モジュール20に出力する。液体吐出モジュール20は、入力される制御信号に基づいて駆動することで、媒体Pに液体を吐出する。
【0014】
液体容器9には、液体吐出モジュール20から吐出されるインクが貯留されている。この液体容器9に貯留されるインクが、不図示のチューブなどを介して液体吐出モジュール20に供給される。このような液体容器9としては、例えば、インクカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及びインクの補充が可能なインクタンク等を用いることができる。
【0015】
以上のように液体吐出装置1は、制御ユニット2が、媒体Pの搬送、キャリッジ8の移動、及びキャリッジ8に搭載された液体吐出モジュール20からのインクの吐出タイミングを制御する。これにより、媒体Pの所望の位置にインクを着弾させることができ、その結果、媒体Pに所望の画像が形成される。すなわち、第1実施形態の液体吐出装置1は、媒体Pに対して、液体の一例としてのインクを吐出することで、媒体Pに所望の画像を形成する。
【0016】
1.2 ヘッドユニットの構造
次に、液体吐出装置1が有するヘッドユニット3の構造について説明する。図2は、ヘッドユニット3を搭載したキャリッジ8の構造を示す側面図である。図3は、ヘッドユニット3を搭載したキャリッジ8の周辺構造を示す斜視図である。ここで、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を図示して説明を行う。また、以下の説明において、X軸に沿った図示する矢印の起点側を-X側、先端側を+X側と称し、Y軸に沿った図示する矢印の起点側を-Y側、先端側を+Y側と称し、Z軸に沿った図示する矢印の起点側を-Z側、先端側を+Z側と称する場合がある。さらに、以下の説明では、X軸とY軸とからなる平面をXY平面と称し、X軸とZ軸とからなる平面をXZ平面と称し、Y軸とZ軸とからなる平面をYZ平面と称する場合がある。
【0017】
図2、及び図3に示すように、キャリッジ8は、キャリッジ本体81、キャリッジカバー82、及び収容ケース83を含む。キャリッジ本体81は、載置部85と固定部86とを含む。載置部85は、XY平面に沿って延在する板状の部材であり、固定部86は、載置部85の-Y側の端部から-Z側に向かい、XZ平面に沿って延在する板状の部材である。すなわち、キャリッジ本体81は、X軸に沿って見た場合に断面がL字状をなす。キャリッジカバー82は、キャリッジ本体81の-Z側に位置し、キャリッジ本体81に対して着脱自在に取着される。このとき、キャリッジ本体81とキャリッジカバー82とは、閉空間を形成する。収容ケース83は、内部に各種構成を収容可能な収容空間を含む略直方体形状であり、キャリッジ本体81の-Y側において、収容ケース83の+Y側の端部が固定部86の-Z側の端部に固定されている。
【0018】
また、キャリッジ本体81に含まれる固定部86の-Y側の面には、キャリッジ支持部87が形成されている。このキャリッジ支持部87にキャリッジガイド軸7の+Y側に形成されたガイドレール72が嵌合することで、キャリッジガイド軸7にキャリッジ支持部87が移動可能に支持される。これにより、キャリッジ8のキャリッジガイド軸7に沿った移動が可能となる。
【0019】
以上のように構成されたキャリッジ8の内部空間であって、収容ケース83の内部に形成された収容空間には、吐出制御モジュール10が収容されている。吐出制御モジュール10は、吐出制御回路基板100と、吐出制御回路基板100に実装された集積回路101と、を含む。また、キャリッジ8の内部空間であって、キャリッジ本体81とキャリッジカバー82とが形成する閉空間には、複数の液体吐出モジュール20と、複数の液体吐出モジュール20に対応する複数のFFCケーブル22a,22bと、が収容されている。ここで、第1実施形態の液体吐出装置1は、5個の液体吐出モジュール20を備えるとして説明を行う。すなわち、第1実施形態のキャリッジ8の内部空間には、5個の液体吐出モジュール20と、5個のFFCケーブル22a,22bと、が収容されている。なお、液体吐出装置1が備える液体吐出モジュール20の数は5個に限るものではない。
【0020】
5個のFFCケーブル22a,22bは、5個の液体吐出モジュール20に対応して設けられている。5個のFFCケーブル22a,22bのそれぞれの一端は、吐出制御モジュール10の吐出制御回路基板100と電気的に接続されている。また、5個のFFCケーブル22a,22bのそれぞれの他端は、対応する液体吐出モジュール20と電気的に接続されている。すなわち、5個の液体吐出モジュール20のそれぞれには、FFCケーブル22a,22bの他端が電気的に接続されている。このようなFFCケーブル22a,22bとしては、例えば、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)を用いることができる。
【0021】
図2及び図3に示すように、5個の液体吐出モジュール20は、それぞれが駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有する。そして、5個の液体吐出モジュール20は、キャリッジ本体81とキャリッジカバー82とが形成する閉空間において、X軸に沿って等間隔で載置部85に搭載されている。
【0022】
FFCケーブル22a,22bのそれぞれの他端は、対応する液体吐出モジュール20が有する駆動回路モジュール50の-Z側において、駆動回路モジュール50と電気的に接続している。また、駆動回路モジュール50の+Z側には、プリントヘッド30が位置している。プリントヘッド30は、X軸に沿って等間隔で載置部85に搭載されている。このとき、プリントヘッド30が有する複数の吐出部600が、載置部85の-Z側面から露出する。これにより、プリントヘッド30が有する複数の吐出部600から吐出されるインクが、媒体Pに吐出される。
【0023】
また、液体吐出モジュール20において、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50とは、コネクターCN1によって電気的に接続される。このようなコネクターCN1としては、基板対基板(BtoB:Board to Board)コネクターが用いられることが好ましい。BtoBコネクターは、2個のコネクターが直接嵌合することで、2個のコネクターの内の一方が設けられた構成と、2個のコネクターの内の他方が設けられた構成とを、ケーブルを介さずに電気的に接続することができる。そのため、新たな構成を付加することなく、2個のコネクターの内の一方が設けられた構成と、2個のコネクターの内の他方が設けられた構成と、を電気的に接続するとともに、当該構成間の相対的な配置関係を定めることもできる。
【0024】
具体的には、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50とを電気的に接続するコネクターCN1としてBtoBコネクターを用いた場合、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50との相対的な配置関係が固定される。それ故に、キャリッジ8には、プリントヘッド30及び駆動回路モジュール50の少なくとも一方を固定する領域を確保すればよい。すなわち、キャリッジ8におけるプリントヘッド30及び駆動回路モジュール50の搭載面積を小さくすることができる。これにより、プリントヘッド30及び駆動回路モジュール50を高密度に配置することができるとともに、キャリッジ8の小型化を実現することもできる。さらに、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50とが、コネクターCN1としてのBtoBコネクターを用いて電気的に接続することで、ケーブルで生じ得るインピーダンスの影響がなくなり、その結果、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50との間で伝搬される信号精度が向上する。したがって、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0025】
ここで、吐出制御モジュール10と液体吐出モジュール20とを電気的に接続するケーブルは、FFCケーブル22a,22bの2個のケーブルに限るものではなく、1個、又は3個以上のケーブルによって電気的に接続されてもよい。そのため、以下の説明においてFFCケーブル22aとFFCケーブル22bとを区別する必要がない場合、一括りにFFCケーブル22と称する場合がある。すなわち、吐出制御モジュール10と液体吐出モジュール20とは、FFCケーブル22によって電気的に接続されるとして説明する場合がある。また、FFCケーブル22は、吐出制御モジュール10と液体吐出モジュール20とを電気的に接続できればよい。そのため、FFCケーブル22に替えて、若しくは加えて、複数の細線同軸ケーブルを含む細線同軸ケーブル群を用いてもよい。
【0026】
ここで、ヘッドユニット3が有する液体吐出モジュール20の構造の具体例について説明する。図4は、液体吐出モジュール20の構造の一例を示す分解斜視図である。図4に示すよう、液体吐出モジュール20は、液体を吐出するプリントヘッド30と、プリントヘッド30と電気的に接続された駆動回路モジュール50とを有する。また、駆動回路モジュール50は、中継基板150、駆動回路基板700、開口板160、ヒートシンク170,180、及び熱伝導部材175,185を有し、プリントヘッド30は、吐出モジュール32-1~32-4を有する。なお、プリントヘッド30における吐出モジュール32-1~32-4の配置は、図4に示す一例に限られるものでは無い。
【0027】
中継基板150は、XY平面に沿って延在する板状部材である。中継基板150の-Z側の面には、FFCケーブル22a,22bのそれぞれの他端が電気的に接続されている。中継基板150の+Z側の面には、コネクターCN2aが設けられている。また、中継基板150には、中継基板150をZ軸に沿った方向で貫通する貫通孔158が形成されている。この貫通孔158には、冷却ファン58が取り付けられる。これにより、冷却ファン58は、Z軸に沿った方向に気流を生じさせるように中継基板150に固定される。
【0028】
駆動回路基板700は、中継基板150の+Z側に位置し、リジッド配線部材701,703,705,707と、フレキシブル配線部材709と、を含む。リジッド配線部材701,703,705,707のそれぞれは、ガラス・エポキシ等の硬質複合材料が複数積層されたベース材料と、当該ベース材料の層間に位置し各種信号が伝搬する配線パターンが形成された複数の配線層と、を含む所謂多層のリジッド基板である。また、フレキシブル配線部材709は、プラスチックフィルムやポリイミド等が1又は複数積層されたベース材料に、各種信号が伝搬する配線パターンが形成された1又は複数の配線層と、を含み、柔軟性を有する所謂フレキシブル基板である。そして、駆動回路基板700において、フレキシブル配線部材709は、リジッド配線部材701,703,705,707のそれぞれに含まれる複数の配線層の内の少なくとも1層を構成するように位置している。これにより、リジッド配線部材701,703,705,707は、フレキシブル配線部材709を介して相互に電気的に接続される。
【0029】
すなわち、駆動回路基板700は、リジッド配線部材701,703,705,707と、リジッド配線部材701,703,705,707よりも柔軟なフレキシブル配線部材709と、を含む所謂リジッドフレキシブル基板である。そして、駆動回路基板700に含まれるリジッド配線部材701,703,705,707のそれぞれに、後述する吐出制御回路52、及び駆動信号出力回路54を含む各種回路やコネクターCN1a,CN2b等が実装される。
【0030】
リジッド配線部材701は、YZ平面に沿って延在する板状部材であって、-Z側の端部が中継基板150の+X側の端部に沿って位置している。リジッド配線部材703は、YZ平面に沿って延在する板状部材であって、-Z側の端部が中継基板150の-X側の端部に沿って位置している。すなわち、リジッド配線部材701は、リジッド配線部材703の+X側に位置し、リジッド配線部材701とリジッド配線部材703とは、X軸に沿って向かい合うように位置している。
【0031】
リジッド配線部材705は、XZ平面に沿って延在する板状部材であって、-Z側の端部が中継基板150の+Y側の端部に沿って位置し、+X側の端部がリジッド配線部材701の+Y側の端部に沿って位置し、-X側の端部がリジッド配線部材703の+Y側の端部に沿って位置している。すなわち、リジッド配線部材705は、リジッド配線部材701、及びリジッド配線部材703の双方と交差するように位置している。
【0032】
リジッド配線部材707は、XY平面に沿って延在する板状部材であって、+X側の端部がリジッド配線部材701の+Z側の端部に沿って位置し、-X側の端部がリジッド配線部材703の+Z側の端部に沿って位置し、+Y側の端部がリジッド配線部材705の+Z側の端部に沿って位置している。すなわち、リジッド配線部材707は、リジッド配線部材701、リジッド配線部材703、及びリジッド配線部材705と交差するように位置している。
【0033】
以上のように、駆動回路基板700において、リジッド配線部材701とリジッド配線部材703とは、フレキシブル配線部材709が屈曲することで、X軸に沿った方向において向かい合って位置し、リジッド配線部材705とリジッド配線部材707とは、フレキシブル配線部材709が屈曲することで、リジッド配線部材701とリジッド配線部材703との間に生じた空間の少なくとも一部を覆うように位置している。
【0034】
コネクターCN2bは、リジッド配線部材701の-X側の面であって、リジッド配線部材701の-Z側の端部に沿って設けられている。すなわち、コネクターCN2bは、中継基板150の近傍に設けられている。そして、コネクターCN2bは、中継基板150の+Z側の面に設けられたコネクターCN2aと嵌合する。これにより、リジッド配線部材701を含む駆動回路基板700と、中継基板150とが電気的に接続する。すなわち、コネクターCN2aとコネクターCN2bとは、直接嵌合することで駆動回路基板700と中継基板150とを電気的に接続するBtoBコネクターを構成する。ここで、以下の説明において、コネクターCN2aとコネクターCN2bとで構成されるBtoBコネクターを一括りにコネクターCN2と称する場合がある。
【0035】
コネクターCN1aは、リジッド配線部材707の+Z側の面に設けられている。そして、駆動回路基板700は、コネクターCN1aを介してプリントヘッド30と電気的に接続する。すなわち、コネクターCN1aは、駆動回路基板700とプリントヘッド30とを電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN1の一方に相当する。
【0036】
ヒートシンク170は、リジッド配線部材703の-X側に位置し、熱伝導部材175を介してリジッド配線部材703に取り付けられる。また、ヒートシンク180は、リジッド配線部材701の+X側に位置し、熱伝導部材185を介してリジッド配線部材701に取り付けられる。そして、ヒートシンク170,180、及び熱伝導部材175,185は、リジッド配線部材703,701で生じた熱を吸収し、大気中に放出する。これにより、ヒートシンク170は、リジッド配線部材703に設けられた各種回路を冷却し、ヒートシンク180は、リジッド配線部材701に設けられた各種回路を冷却する。このようなヒートシンク170,180は、熱伝導性能、材料の加工性、及び材料の入手容易性等の観点から、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金等の金属が用いられる。また、熱伝導部材175,185は、ヒートシンク170,180のそれぞれとリジッド配線部材703,701のそれぞれとの密着性を高めることでヒートシンク170,180による熱の吸収効率を高めるとともに、ヒートシンク170とリジッド配線部材703との絶縁性能、及びヒートシンク180とリジッド配線部材701との絶縁性能を確保する。係る観点から、熱伝導部材175,185は、難燃性及び電気絶縁性を有する物質であって、例えば、シリコーンやアクリル樹脂を含み、熱伝導性を有するゲルシートやゴムシートが用いられる。
【0037】
開口板160は、XZ平面に沿って延在する板状部材であって、+X側の端部がリジッド配線部材701の-Y側の端部に沿って位置し、-X側の端部がリジッド配線部材703の-Y側の端部に沿って位置し、+Z側の端部がリジッド配線部材707の-Y側の端部に沿って位置し、-Z側の端部が中継基板150の-Y側の端部に沿って位置している。すなわち、開口板160は、X軸に沿って向かい合って位置するリジッド配線部材701とリジッド配線部材703との間に生じた空間の少なくとも一部を覆うように位置している。
【0038】
また、開口板160は、冷却ファン58により生じた気流が通過する複数の開口162を有する。上述したとおり、冷却ファン58は、駆動回路基板700の-Z側に位置し、Z方向に沿った気流を生じさせる。すなわち、冷却ファン58は、向かい合って位置するリジッド配線部材701とリジッド配線部材703との間の空間に気流を生じさせる。このとき、リジッド配線部材701とリジッド配線部材703との間の空間は、リジッド配線部材705,707、中継基板150、及び開口板160によって覆われている。それ故に、冷却ファン58により生じた気流は、開口162を通過する。このような冷却ファン58により生じた気流が通過する開口162は、その大きさ、及び形状を変更することにより、リジッド配線部材701とリジッド配線部材703との間の空間に生じる気流の流量、及び流速を調整することができる。これにより、開口板160が有する複数の開口162の配置や大きさの最適化により、冷却ファン58により生じた気流を駆動回路モジュール50の発熱箇所に効率よく供給でき、冷却ファン58による駆動回路モジュール50の冷却効率を高めることができる。
【0039】
プリントヘッド30は、駆動回路モジュール50の+Z側に位置し、吐出モジュール32-1~32-4とコネクターCN1bと、を有する。吐出モジュール32-1~32-4は、プリントヘッド30の+Z側に位置し、少なくとも一部がプリントヘッド30の+Z側の面から露出するように設けられている。このとき、吐出モジュール32-1,32-2が、Y軸に沿って、吐出モジュール32-1が-Y側、吐出モジュール32-2が+Y側となるように並んで位置し、吐出モジュール32-3,32-4が、上述した吐出モジュール32-1,32-2の-X側においてY軸に沿って、吐出モジュール32-3が+Y側、吐出モジュール32-4が-Y側となるように並んで位置している。すなわち、吐出モジュール32-1,32-2が、プリントヘッド30の+X側の端部に沿って並んで位置し、吐出モジュール32-3,32-4が、プリントヘッド30の-X側の端部に沿って並んで位置している。
【0040】
コネクターCN1bは、プリントヘッド30の-Z側に位置し、少なくとも一部がプリントヘッド30の-Z側の面から露出するように設けられている。このコネクターCN1bに駆動回路モジュール50が有するコネクターCN1aが嵌合する。これにより、駆動回路基板700とプリントヘッド30とが電気的に接続する。すなわち、コネクターCN1bは、駆動回路基板700を含む駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN1の他方に相当し、コネクターCN1aとコネクターCN1bとでBtoBコネクターであるコネクターCN1を構成している。
【0041】
ここで、プリントヘッド30の具体的な構造について説明する。図5は、プリントヘッド30の内部構造の一例を示す斜視図である。なお、図5では、プリントヘッド30が有するヘッドカバー350を破線で図示し、ヘッドカバー350の内部構成を実線で図示している。すなわち、図5には、プリントヘッド30が有するヘッドカバー350を取り外した状態が図示されている。
【0042】
図5に示すように、プリントヘッド30は、ヘッドホルダー310とヘッドカバー350とを有する。ヘッドホルダー310の-Y側の端部には、フランジ315が設けられ、ヘッドホルダー310の+Y側の端部には、フランジ316が設けられている。ヘッドホルダー310は、キャリッジ本体81の載置部85の+Z側から露出する。このとき、プリントヘッド30は、フランジ315,316が載置部85に支持されることで、複数の吐出部600が、載置部85の-Z側面から露出した状態で、キャリッジ本体81に支持される。このようなフランジ315,316は、不図示のネジ等によって載置部85に固定されてもよい。
【0043】
ヘッドカバー350は、ヘッドホルダー310の-Z側に位置し、内部に収容空間を有する。ヘッドカバー350は、当該収容空間にプリントヘッド30の各種構成を収容することで、プリントヘッド30が有する各種構成をインクミストや衝撃から保護する保護部材として機能する。
【0044】
ヘッドカバー350の収容空間には、流路部材340、ヘッド基板360、ヘッド中継基板370,380、及びFPC372,374,376,382,384,386が収容されている。
【0045】
流路部材340には、液体容器9から供給されるインクを複数の吐出部600に供給するための不図示のインク流路が形成されている。
【0046】
ヘッド基板360は、流路部材340の-Z側に位置し、XY平面に沿って延在している。ヘッド基板360の-Z側の面には、コネクターCN1bが設けられている。このコネクターCN1bの少なくとも一部が、ヘッドカバー350に形成された不図示の貫通孔を挿通することで、プリントヘッド30の外部に露出する。
【0047】
ヘッド中継基板370は、流路部材340の+X側に位置し、YZ平面に沿って延在している。ヘッド中継基板370は、FPC372を介してヘッド基板360と電気的に接続している。また、ヘッド中継基板370には、FPC374の一端、及びFPC376の一端が接続されている。FPC374の他端は、吐出モジュール32-1と電気的に接続し、FPC376の他端は、吐出モジュール32-2と電気的に接続している。
【0048】
ヘッド中継基板380は、流路部材340の-X側に位置し、YZ平面に沿って延在している。ヘッド中継基板380は、FPC382を介してヘッド基板360と電気的に接続している。また、ヘッド中継基板380には、FPC384の一端、及びFPC386の一端が接続されている。FPC384の他端は、吐出モジュール32-3と電気的に接続し、FPC386の他端は、吐出モジュール32-4と電気的に接続している。
【0049】
以上のように構成されたプリントヘッド30には、駆動回路モジュール50が出力する各種信号が、コネクターCN1bを介して入力される。そして、コネクターCN1bを介して入力された信号は、ヘッド基板360、及びヘッド中継基板370,380によって分岐された後、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに供給される。
【0050】
図6は、プリントヘッド30をZ軸に沿って+Z側から見た場合のプリントヘッド30の分解斜視図である。図6に示すように、プリントヘッド30のヘッドホルダー310には、補強板320と、固定板330と、吐出モジュール32-1~32-4と、が設けられている。
【0051】
ヘッドホルダー310は、補強板320よりも大きい強度を有する例えば金属等の導電性材料からなる。ヘッドホルダー310の+Z側の面には、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれを収容する4個の収容部318が設けられている。
【0052】
4個の収容部318は、+Z側に開口する凹形状を有し、固定板330によって固定された吐出モジュール32-1~32-4を個別に収容する。このとき、収容部318の開口は固定板330によって封止される。すなわち、収容部318と固定板330とによって形成された空間の内部に吐出モジュール32-1~32-4が個別に収容される。なお、収容部318は、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに対応して個別に設けられてもよく、吐出モジュール32-1~32-4を一括して収容する形状であってもよい。
【0053】
ヘッドホルダー310の収容部318が設けられた面には、Z軸に沿って-Z側から+Z側に向かい補強板320と固定板330とが順に積層されている。固定板330は、金属等の導電性材料で形成された板状部材からなる。また、固定板330には、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが有する複数の吐出部600に含まれるノズル651が露出する開口335がZ軸に沿って貫通して設けられている。この開口335は、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに対応して個別に設けられている。補強板320は、固定板330よりも強度が大きい材料を用いるのが好ましい。補強板320には、固定板330と接合された吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに対応し、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれの外周よりも大きな内径を有する開口325がZ軸に沿って貫通して設けられている。そして、補強板320の開口325を挿通した吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが、固定板330の開口335から吐出部600に含まれるノズル651が露出するように、固定板330と接合される。
【0054】
また、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれには、インクを吐出する吐出部600に含まれるノズル651が、Y軸に沿って並設された状態で、X軸に沿って2列設けられている。図7は、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが有する吐出部600の構成の一例を示す図である。図7には、吐出部600に加えて、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが有するノズルプレート632、リザーバー641、及び供給口661を図示している。
【0055】
図7に示すように、吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631、及びノズル651を含む。圧電素子60は、圧電体601と、電極611,612とを含む。そして、電極611,612が圧電体601を挟むように位置することで、圧電素子60は構成されている。このような圧電素子60は、電極611に供給される電圧と電極612に供給される電圧との電位差に応じて、中央部分が上下方向に変位するように駆動する。
【0056】
振動板621は、図7における圧電素子60の下方に位置している。換言すれば、圧電素子60は、振動板621の図7における上方の面に形成されている。このような振動板621は、圧電素子60の上下方向への駆動に伴い、上下方向に変位する。
【0057】
振動板621の図7における下方には、キャビティー631が位置している。キャビティー631には、リザーバー641からインクが供給される。また、リザーバー641には、液体容器9に貯留されたインクが供給口661を経由して導入される。すなわち、キャビティー631の内部には、液体容器9に貯留されたインクが充填している。このようなキャビティー631の内部容積は、振動板621の上下方向の変位に伴い拡大又は縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能し、キャビティー631は、振動板621の上下方向の変位に伴い内部圧力が変化する圧力室として機能する。
【0058】
ノズル651は、ノズルプレート632に設けられた開孔であって、キャビティー631と連通している。そして、キャビティー631の内部容積が変化すると、当該内部容積に変化に応じてキャビティー631の内部に充填されたインクがノズル651から吐出される。
【0059】
以上のように構成された吐出部600において、圧電素子60が上方向に撓むように駆動した場合、振動板621が上方向に変位する。これにより、キャビティー631の内部容積が拡大し、その結果、リザーバー641に貯留されているインクが、キャビティー631に引き込まれる。一方で、圧電素子60が下方向に撓むように駆動した場合、振動板621が下方向に変位する。これにより、キャビティー631の内部容積が縮小し、その結果、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
【0060】
なお、圧電素子60は、電極611に供給される電圧と電極612に供給される電圧との電位差に応じて駆動するとともに、駆動することによりノズル651からインクが吐出できる構造であればよく、図7に示す構造に限られるものではない。
【0061】
1.3 液体吐出装置の機能構成
次に、液体吐出装置1の機能構成について説明する。図8は、液体吐出装置1の機能構成の一例を示す図である。図8に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット2とヘッドユニット3とを有する。
【0062】
制御ユニット2は、メイン制御回路基板12、メイン制御回路14、電圧検出回路18、及び電源電圧出力回路16を有する。そして、制御ユニット2は、不図示の外部機器から供給される画像データDATAに基づいて、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号を生成し対応する構成に出力するとともに、液体吐出装置1に供給される交流電圧の商用電圧VACから液体吐出装置1の各部の電源電圧等に用いられる電圧信号VDCを生成し液体吐出装置1の各部に供給する。
【0063】
メイン制御回路基板12には、制御ユニット2が有するメイン制御回路14、電圧検出回路18、及び電源電圧出力回路16を含む複数の回路が実装されているとともに、FFCケーブル21の一端が接続されている。なお、図8では、1個のメイン制御回路基板12のみを図示しているが、制御ユニット2は、複数個のメイン制御回路基板12を有してもよい。すなわち、メイン制御回路基板12には、メイン制御回路14が設けられている。
【0064】
メイン制御回路14は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と、不図示の記憶回路とを含む。メイン制御回路14には、不図示の外部機器から画像データDATAが入力される。メイン制御回路14は、入力される画像データDATAに所定の信号処理を施すことで、搬送制御信号Ctrl-T、キャリッジ制御信号Ctrl-C、及び印刷データ信号pDATAを生成し、搬送モーター4、キャリッジモーター6、及びヘッドユニット3の対応する構成に出力する。すなわち、メイン制御回路14は、媒体Pの搬送を制御する搬送制御信号Ctrl-Tと画像データDATAに基づく印刷データ信号pDATAとを出力する。
【0065】
電源電圧出力回路16は、フライバック回路等のAC/DCコンバーターと、降圧回路又は昇圧回路等のDC/DCコンバーターと、を含む。そして、電源電圧出力回路16は、液体吐出装置1の外部から入力される商用電圧VACから電圧信号VDCとして、電圧値が42Vの直流電圧信号である電圧信号VHVと、電圧値が24Vの直流電圧信号である電圧信号VMVと、を生成し、ヘッドユニット3に出力する。なお、電圧信号VHV、及び電圧信号VMVは、ヘッドユニット3に加えて、液体吐出装置1の各種構成に出力されてもよい。また、電圧信号VHVの電圧値、及び電圧信号VMVの電圧値は、42V及び24Vに限るものではない。さらに、電源電圧出力回路16は、電圧信号VHV,VMVに替えて、又は加えて、電圧値が異なる直流電圧信号を電圧信号VDCとして出力してもよい。
【0066】
電圧検出回路18は、商用電圧VACの電圧値を検出する。そして、電圧検出回路18は、商用電圧VACの電圧値に応じた電圧検出信号Vdetを出力する。すなわち、電圧検出回路18は、液体吐出装置1に商用電圧VACが供給されているか否かを検出し、検出結果に応じた電圧検出信号Vdetを生成し、メイン制御回路14、及びヘッドユニット3に出力する。すなわち、電圧検出回路18は、液体吐出装置1の状態を示す情報であって、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの電圧値の情報を含む電圧検出信号Vdetを出力する。換言すれば、電圧検出信号Vdetは、液体吐出装置1の状態を示す信号であって、液体吐出装置1の状態を示す情報として、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの電圧値の情報を含む。
【0067】
メイン制御回路14は、液体吐出装置1に商用電圧VACが供給されていないことを示す電圧検出信号Vdetが入力された場合、液体吐出装置1の動作を停止するための停止処理を実行する。このメイン制御回路14が実行する停止処理としては、例えば、媒体Pを排出するための媒体排出理処理、キャリッジ8を所定のホームポジションに移動させるためのキャリッジ移動処理、液体吐出装置1の動作情報を記憶回路に記憶する記憶処理等が含まれる。
【0068】
ここで、第1実施形態の電圧検出回路18は、商用電圧VACの電圧値であって、商用電圧VACの実効値、又は平均値が所定の閾値を下回った場合にLレベルとなり、商用電圧VACの電圧値であって、商用電圧VACの実効値、又は平均値が所定の閾値以上の場合にHレベルとなる電圧検出信号Vdetを出力するとして説明を行う。なお、電圧検出回路18は、商用電圧VACに替えて又は加えて、電圧信号VHVや電圧信号VMVの電圧値を検出し、検出結果に応じた電圧検出信号Vdetを出力してもよい。また、電圧検出回路18は、商用電圧VACの実効値、又は平均値が所定の閾値以上の場合にLレベルとなり、商用電圧VACの実効値、又は平均値が所定の閾値を下回った場合にHレベルとなる電圧検出信号Vdetを出力してもよい。
【0069】
ヘッドユニット3は、吐出制御モジュール10とn個の液体吐出モジュール20とを有し、FFCケーブル21を介して制御ユニット2と電気的に接続している。ここで、ヘッドユニット3が有するn個の液体吐出モジュール20を区別する場合、液体吐出モジュール20-1~20-nと称する場合がある。
【0070】
吐出制御モジュール10は、吐出制御回路基板100、ヘッド制御回路110、及び冷却ファン駆動回路120を有する。そして、吐出制御モジュール10は、電源電圧出力回路16が出力する電圧信号VHV,VMV、若しくは電圧信号VHV,VMVから生成された直流電圧信号を電源電圧として動作することで、印刷データ信号pDATAに基づいてn個の液体吐出モジュール20の動作を制御する制御信号を生成し、対応する液体吐出モジュール20に出力する。
【0071】
吐出制御回路基板100には、FFCケーブル21の他端が接続されている。これにより、吐出制御回路基板100とメイン制御回路基板12とが電気的に接続する。また、吐出制御回路基板100には、ヘッド制御回路110、及び冷却ファン駆動回路120を含む複数の回路が実装されているとともに、FFCケーブル22の一端が接続されている。なお、図8では、1個の吐出制御回路基板100のみを図示しているが、吐出制御モジュール10は、複数個の吐出制御回路基板100を有してもよい。すなわち、吐出制御回路基板100には、ヘッド制御回路110が設けられている。
【0072】
ヘッド制御回路110は、CPUやFPGA等の処理回路と、半導体メモリ等の記憶回路と、を含み、少なくとも一部が集積回路101に実装されている。ヘッド制御回路110には、印刷データ信号pDATAが入力される。ヘッド制御回路110は、入力される印刷データ信号pDATAに基づいて、n個の液体吐出モジュール20に共通のクロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、及びチェンジ信号CHiと、n個の液体吐出モジュール20のそれぞれに対応するヘッド制御信号DIi1-1~DIin-1,DIi1-2~DIin-2,DIi1-3~DIin-3,DIi1-4~DIin-4、及び基駆動信号dAi1~dAinと、を生成する。
【0073】
具体的には、印刷データ信号pDATAは、画像データDATAに基づいて生成された一対の差動信号であって、クロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIi1-1~DIin-1,DIi1-2~DIin-2,DIi1-3~DIin-3,DIi1-4~DIin-4、及び基駆動信号dAi1~dAinをシリアルに含む。ヘッド制御回路110は、入力される印刷データ信号pDATAをシングルエンドの信号に復元するとともに、復元したシングルエンドの信号をデシリアライズすることで、n個の液体吐出モジュール20に共通のクロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、及びチェンジ信号CHiと、n個の液体吐出モジュール20のそれぞれに対応するヘッド制御信号DIi1-1~DIin-1,DIi1-2~DIin-2,DIi1-3~DIin-3,DIi1-4~DIin-4、及び基駆動信号dAi1~dAinと、を生成する。
【0074】
ヘッド制御回路110は、生成したクロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4、及び基駆動信号dAi1を、対応する液体吐出モジュール20-1に出力する。また、ヘッド制御回路110は、生成したクロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIin-1,DIin-2,DIin-3,DIin-4、及び基駆動信号dAinを、対応する液体吐出モジュール20-nに出力する。
【0075】
ここで、以下の説明において、ヘッド制御回路110は、クロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、及びチェンジ信号CHiと、ヘッド制御信号DIi1-1~DIin-1,DIi1-2~DIin-2,DIi1-3~DIin-3,DIi1-4~DIin-4としてのヘッド制御信号DIi-1,DIi-2,DIi-3,DIi-4と、基駆動信号dAi1~dAinとしての基駆動信号dAiとを、FFCケーブル22を介して液体吐出モジュール20に出力するとして説明を行う。すなわち、液体吐出モジュール20には、クロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、及びチェンジ信号CHiと、ヘッド制御信号DIi1-1~DIin-1,DIi1-2~DIin-2,DIi1-3~DIin-3,DIi1-4~DIin-4としてのヘッド制御信号DIi-1,DIi-2,DIi-3,DIi-4と、基駆動信号dAi1~dAinとしての基駆動信号dAiと、が入力されるとして説明を行う。
【0076】
また、ヘッド制御回路110は、冷却ファン駆動回路120の動作を制御するファン制御信号Fcを生成し、冷却ファン駆動回路120に出力する。冷却ファン駆動回路120には、ファン制御信号Fcに加えて電圧信号VMVが入力される。そして、冷却ファン駆動回路120は、入力されるファン制御信号Fcに基づいて電圧信号VMVをファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力するか否かを切り替える。例えば、冷却ファン駆動回路120は、電圧信号VMVをファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力するか否かを切り替えるn個のスイッチ回路を有する。そして、冷却ファン駆動回路120は、入力されるファン制御信号Fcに基づいてn個のスイッチ回路のそれぞれの導通状態を制御することで、電圧信号VMVをファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力するか否かを切り替える。
【0077】
冷却ファン駆動回路120は、ファン駆動信号Fp1~Fpnを対応する液体吐出モジュール20に出力する。以下の説明では、ファン駆動信号Fp1が液体吐出モジュール20-1に対応し、ファン駆動信号Fpnが液体吐出モジュール20-nに対応するとして説明を行う。すなわち、冷却ファン駆動回路120は、ファン駆動信号Fp1を液体吐出モジュール20-1に出力し、ファン駆動信号Fpnを液体吐出モジュール20-nに出力する。ここで、以下の説明において、冷却ファン駆動回路120は、ファン駆動信号Fp1~Fpnとしてのファン駆動信号Fpを液体吐出モジュール20に出力する説明を行う。
【0078】
また、ヘッド制御回路110には、電圧検出信号Vdetが入力される。ヘッド制御回路110は、液体吐出装置1に商用電圧VACが供給されていないことを示す電圧検出信号Vdetが入力された場合、液体吐出装置1の動作を停止するための停止処理を実行する。このヘッド制御回路110が実行する停止処理としては、ヘッドユニット3からのインクの吐出を停止させる吐出停止処理であって、例えば、後述する駆動信号出力回路54からの駆動信号COMの出力のCOM出力停止処理や、液体吐出装置1の動作情報を記憶回路に記憶する記憶処理等が含まれる。
【0079】
液体吐出モジュール20-1は、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有する。液体吐出モジュール20-1には、吐出制御モジュール10が出力するクロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4、基駆動信号dAi1、ファン駆動信号Fp1、電圧検出信号Vdet、及び電圧信号VHV,VMVが入力される。そして、液体吐出モジュール20-1は、電圧信号VHV,VMV、若しくは電圧信号VHV,VMVから生成された直流電圧を電源電圧として動作し、ラッチ信号LATi、及びチェンジ信号CHiで規定されるタイミングで、ヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4で規定される量のインクを媒体Pに吐出する。
【0080】
駆動回路モジュール50は、中継基板150、駆動回路基板700、吐出制御回路52、駆動信号出力回路54、電圧変換回路56、及び冷却ファン58を含む。
【0081】
中継基板150には、FFCケーブル22の他端が接続されている。これにより、中継基板150と吐出制御回路基板100とが電気的に接続する。また、中継基板150には、コネクターCN2aが設けられているとともに、冷却ファン58が固定されている。そして、中継基板150は、クロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4、基駆動信号dAi1、電圧検出信号Vdet、及び電圧信号VHV,VMVを駆動回路基板700に中継するとともに、ファン駆動信号Fp1を冷却ファン58に伝搬する。
【0082】
冷却ファン58は、中継基板150を介して入力されるファン駆動信号Fp1によって駆動する。これにより、冷却ファン58は、気流を生じさせる。この冷却ファン58が生じさせた気流によって、駆動回路モジュール50が冷却される。すなわち、冷却ファン58は、駆動回路モジュール50を冷却することで、駆動回路モジュール50が有する各種回路の動作の安定性を向上させる。
【0083】
駆動回路基板700は、前述のとおりリジッドフレキシブル基板であって、駆動回路基板700には、コネクターCN2bが設けられている。そして、駆動回路基板700に設けられたコネクターCN2bと中継基板150に設けられたコネクターCN2aが嵌合することで、駆動回路基板700と中継基板150とが電気的に接続される。また、駆動回路基板700には、吐出制御回路52、駆動信号出力回路54、電圧変換回路56、及びコネクターCN1aが設けられている。すなわち、駆動回路基板700には、吐出制御回路52、及び駆動信号出力回路54が設けられ、駆動回路基板700と吐出制御回路基板100及びメイン制御回路基板12とは、フレキシブルフラットケーブルであるFFCケーブル21,22を介して電気的に接続されている。
【0084】
吐出制御回路52には、クロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4、及び基駆動信号dAi1が入力される。そして、吐出制御回路52は、クロック信号SCKiに基づくクロック信号SCKo、ラッチ信号LATiに基づくラッチ信号LATo、チェンジ信号CHiに基づくチェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4のそれぞれに基づくヘッド制御信号DIo1-1,DIo1-2,DIo1-3,DIo1-4を生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0085】
また、吐出制御回路52は、基駆動信号dAi1に基づく基駆動信号dAo1を生成し、駆動信号出力回路54に出力する。吐出制御回路52が出力する基駆動信号dAo1は、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COM1の基となる信号であって、駆動信号COM1の信号波形を規定する信号である。駆動信号出力回路54は、入力される基駆動信号dAo1をデジタル-アナログ変換するとともに、D級増幅することで駆動信号COM1を生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0086】
すなわち、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52には、ヘッド制御信号DIi1-1,DIi1-2,DIi1-3,DIi1-4、及び基駆動信号dAi1が入力され、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIo1-1,DIo1-2,DIo1-3,DIo1-4、及び基駆動信号dAo1を出力し、液体吐出モジュール20-1が有する駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo1に基づく駆動信号COM1を出力する。
【0087】
ここで、駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo1で規定される信号波形をD級増幅することで駆動信号COM1を生成するとして説明を行ったが、駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo1で規定される信号波形をA級増幅、B級増幅、又はAB級増幅することで駆動信号COM1を生成してもよい。しかしながら、駆動信号出力回路54は、消費電力が大きく、それ故に、大きな熱が発生する。このような駆動信号出力回路54は、消費電力を低減し発熱量を抑えるとの観点において、高効率に駆動信号COM1を生成することが求められる。係る観点に鑑みると、駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo1で規定される信号波形を高効率で増幅できるD級増幅を含んで構成されることが好ましい。なお、D級増幅を含む駆動信号出力回路54の構成の詳細については後述する。
【0088】
また、駆動信号出力回路54は、基準電圧信号VBS1を生成し、プリントヘッド30に出力する。基準電圧信号VBS1は、プリントヘッド30が有する圧電素子60の駆動の基準電位として機能する。なお、基準電圧信号VBS1は、駆動信号出力回路54とは別に構成された回路によって生成されてもよい。
【0089】
また、吐出制御回路52には、電圧検出信号Vdetが入力される。すなわち、吐出制御回路52には、液体吐出装置1の状態の1つであって、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの電圧値の情報を含む電圧検出信号Vdetが入力される。吐出制御回路52は、液体吐出装置1に商用電圧VACが供給されていないことを示す電圧検出信号Vdetが入力された場合、液体吐出装置1の動作を停止するための停止処理を実行する。この吐出制御回路52が実行する停止処理としては、ヘッドユニット3からのインクの吐出を停止させる吐出停止処理であって、例えば、後述する駆動信号選択回路200を強制的に非導通に制御するVOUT出力停止処理等が含まれる。ここで、吐出制御回路52の詳細については、後述する。
【0090】
また、駆動回路モジュール50には、吐出制御モジュール10を伝搬した電圧信号VHV,VMVが入力される。電圧信号VHVは、駆動回路モジュール50の内部を伝搬し、駆動回路モジュール50が有する各種構成に供給されるとともに、プリントヘッド30にも供給される。電圧信号VMVは、駆動回路モジュール50の内部を伝搬し、駆動回路モジュール50が有する各種構成に供給されるとともに、電圧変換回路56にも供給される。電圧変換回路56は、入力される電圧信号VMVを降圧することで、電圧信号VDDを生成し、出力する。電圧変換回路56が出力する電圧信号VDDは、駆動回路モジュール50が有する各種回路の電源電圧として用いられるとともに、プリントヘッド30にも供給される。このような電圧信号VDDは、例えば、5Vや3.3V等の直流電圧である。なお、電圧変換回路56が出力する電圧信号VDDは、1つに限るものではなく、電圧値が異なる複数の電圧信号VDDを出力してもよい。また、電圧信号VMVは、電圧信号VHV,VDDと共にプリントヘッド30に供給されてもよい。
【0091】
プリントヘッド30は、コネクターCN1bを有する。そして、プリントヘッド30に設けられたコネクターCN1bと駆動回路基板700に設けられたコネクターCN1aが嵌合することで、プリントヘッド30と駆動回路基板700とが電気的に接続される。すなわち、駆動回路基板700とプリントヘッド30とは、BtoBコネクターであるコネクターCN1によって電気的に接続されている。また、プリントヘッド30は、吐出モジュール32-1~32-4を有し、吐出モジュール32-1~32-4は、それぞれが駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを含む。
【0092】
吐出モジュール32-1が有する駆動信号選択回路200は、電圧信号VHV,VDD、若しくは電圧信号VHV,VDDから生成された直流電圧を電源電圧として動作する。また、駆動信号選択回路200には、吐出制御回路52が出力するクロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIo1-1と、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COM1と、が入力される。そして、駆動信号選択回路200は、ラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定される期間のそれぞれにおいて、ヘッド制御信号DIo1-1に基づいて、駆動信号COM1に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し出力する。すなわち、吐出モジュール32-1がp個の吐出部600を有する場合、駆動信号選択回路200は、p個の吐出部600のそれぞれに対応するp個の駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。
【0093】
駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTは、対応する吐出部600に含まれる圧電素子60の一端であって、例えば、電極611に供給される。また、複数の吐出部600のそれぞれに含まれる複数の圧電素子60の他端であって、例えば、電極612には、基準電圧信号VBSが共通に供給される。これにより、複数の圧電素子60は、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差に応じて、中央部分が上下方向に変位するように駆動する。その結果、圧電素子60の変位に応じた量のインクが対応する吐出部600に含まれるノズル651から吐出される。なお、駆動信号VOUTを出力する駆動信号選択回路200の動作の詳細については後述する。
【0094】
ここで、液体吐出モジュール20-1のプリントヘッド30が有する吐出モジュール32-2~32-4は、入力される信号が異なるのみであって、吐出モジュール32-1と同様の構成を有し、同様の動作を実行する。そのため、液体吐出モジュール20-1のプリントヘッド30が有する吐出モジュール32-2~32-4の詳細な説明は省略する。
【0095】
すなわち、液体吐出モジュール20-1のプリントヘッド30が有する吐出モジュール32-2~32-4は、それぞれが駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを含む。そして、液体吐出モジュール20-1のプリントヘッド30が有する吐出モジュール32-2~32-4のそれぞれが有する駆動信号選択回路200が、入力されるラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定される期間のそれぞれにおいて、対応するヘッド制御信号DIo1-2~DIo1-4に基づいて、駆動信号COM1に含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを出力する。その結果、吐出モジュール32-2~32-4のそれぞれが有する複数の吐出部600のそれぞれから、入力される駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差に応じた量のインクが吐出される。
【0096】
換言すれば、液体吐出モジュール20-1のプリントヘッド30の吐出モジュール32-1は、駆動信号COM1に応じてインクを吐出する複数の吐出部600と、ヘッド制御信号DIo1-1に基づいて、駆動信号COM1を、複数の吐出部600に供給するか否かを切り替える駆動信号選択回路200と、を有し、同様に、液体吐出モジュール20-1のプリントヘッド30の吐出モジュール32-2~32-4のそれぞれは、駆動信号COM1に応じてインクを吐出する複数の吐出部600と、対応するヘッド制御信号DIo1-2~DIo1-4に基づいて、駆動信号COM1を、複数の吐出部600に供給するか否かを切り替える駆動信号選択回路200と、を有する。
【0097】
また、前述のとおり液体吐出モジュール20-2~20-nは、いずれも同様の構成であり、同様の動作を実行する。そのため、液体吐出モジュール20-2~20-nの詳細な説明は省略する。
【0098】
すなわち、液体吐出モジュール20-2は、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有する。液体吐出モジュール20-2が有する吐出制御回路52は、クロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIo2-1,DIo2-2,DIo2-3,DIo2-4を生成し、液体吐出モジュール20-2が有するプリントヘッド30に出力する。また、液体吐出モジュール20-2が有する吐出制御回路52は、基駆動信号dAo2を生成し、液体吐出モジュール20-2が有する駆動信号出力回路54に出力する。液体吐出モジュール20-2が有する駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo2により規定される信号波形を増幅することで駆動信号COM2を生成し、液体吐出モジュール20-2が有するプリントヘッド30に出力するとともに、基準電圧信号VBS2を生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0099】
そして、液体吐出モジュール20-2が有するプリントヘッド30は、ラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定されるタイミングで、ヘッド制御信号DIo2-1,DIo2-2,DIo2-3,DIo2-4に基づいて、駆動信号COM2に含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、液体吐出モジュール20-2が有する複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し出力する。その結果、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60が、駆動信号COM2に基づく駆動信号VOUTと、基準電圧信号VBS2との電位差により駆動し、圧電素子60の駆動量に応じた量のインクが液体吐出モジュール20-2から吐出される。
【0100】
すなわち、液体吐出モジュール20-2の駆動回路基板700には、吐出制御回路52、及び駆動信号出力回路54が設けられ、駆動回路基板700と吐出制御回路基板100及びメイン制御回路基板12とは、フレキシブルフラットケーブルであるFFCケーブル21,22を介して電気的に接続されている。そして、液体吐出モジュール20-2が有する吐出制御回路52には、ヘッド制御信号DIi2-1,DIi2-2,DIi2-3,DIi2-4、基駆動信号dAi2、及び電圧検出信号Vdetが入力され、液体吐出モジュール20-2が有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIo2-1,DIo2-2,DIo2-3,DIo2-4、及び基駆動信号dAo2を出力し、液体吐出モジュール20-2が有する駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo2に基づく駆動信号COM2を出力する。また、液体吐出モジュール20-2において、駆動回路基板700とプリントヘッド30とは、BtoBコネクターであるコネクターCN1によって電気的に接続されている。そして、液体吐出モジュール20-2のプリントヘッド30の吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれは、駆動信号COM2に応じてインクを吐出する複数の吐出部600と、対応するヘッド制御信号DIo2-1~DIo2-4に基づいて、駆動信号COM2を、複数の吐出部600に供給するか否かを切り替える駆動信号選択回路200と、を有する。
【0101】
また、液体吐出モジュール20-nは、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有する。液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、クロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIon-1,DIon-2,DIon-3,DIon-4を生成し、液体吐出モジュール20-nが有するプリントヘッド30に出力する。また、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、基駆動信号dAonを生成し、液体吐出モジュール20-nが有する駆動信号出力回路54に出力する。液体吐出モジュール20-nが有する駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAonにより規定される信号波形を増幅することで駆動信号COMnを生成し、液体吐出モジュール20-nが有するプリントヘッド30に出力するとともに、基準電圧信号VBSnを生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0102】
そして、液体吐出モジュール20-nが有するプリントヘッド30は、ラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定されるタイミングで、ヘッド制御信号DIon-1,DIon-2,DIon-3,DIon-4に基づいて、駆動信号COMnに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、液体吐出モジュール20-nが有する複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し出力する。その結果、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60が、駆動信号COMnに基づく駆動信号VOUTと、基準電圧信号VBSnとの電位差により駆動し、圧電素子60の駆動量に応じた量のインクが液体吐出モジュール20-nから吐出される。
【0103】
すなわち、液体吐出モジュール20-nの駆動回路基板700には、吐出制御回路52、及び駆動信号出力回路54が設けられ、駆動回路基板700と吐出制御回路基板100及びメイン制御回路基板12とは、フレキシブルフラットケーブルであるFFCケーブル21,22を介して電気的に接続されている。そして、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52には、ヘッド制御信号DIin-1,DIin-2,DIin-3,DIin-4、基駆動信号dAin、及び電圧検出信号Vdetが入力され、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIon-1,DIon-2,DIon-3,DIon-4、及び基駆動信号dAonを出力し、液体吐出モジュール20-nが有する駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAonに基づく駆動信号COMnを出力する。また、液体吐出モジュール20-nにおいて、駆動回路基板700とプリントヘッド30とは、BtoBコネクターであるコネクターCN1によって電気的に接続されている。そして、液体吐出モジュール20-nのプリントヘッド30の吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれは、駆動信号COMnに応じてインクを吐出する複数の吐出部600と、対応するヘッド制御信号DIon-1~DIon-4に基づいて、駆動信号COMnを、複数の吐出部600に供給するか否かを切り替える駆動信号選択回路200と、を有する。
【0104】
ここで、以下の説明において、吐出モジュール32-1~32-4を区別する必要がない場合、単に吐出モジュール32と称する場合がある。そして、液体吐出モジュール20-1が有する吐出モジュール32には、ヘッド制御信号DIo1-1~DIo1-4としてのヘッド制御信号DIo1が入力され、液体吐出モジュール20-nが有する吐出モジュール32には、ヘッド制御信号DIon-1~DIon-4としてのヘッド制御信号DIonが入力されるとして説明を行う場合がある。さらに、液体吐出モジュール20が有する吐出モジュール32には、ヘッド制御信号DIo-1,DIo-2,DIo-3,DIo-4としてのヘッド制御信号DIoが入力されるとして説明を行う場合がある。
【0105】
すなわち、液体吐出モジュール20-1が有する吐出モジュール32の駆動信号選択回路200は、ラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定される期間のそれぞれにおいて、ヘッド制御信号DIo1に基づいて、駆動信号COM1に含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを出力し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出モジュール32の駆動信号選択回路200は、ラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定される期間のそれぞれにおいて、ヘッド制御信号DIonに基づいて、駆動信号COMnに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを出力し、液体吐出モジュール20が有する吐出モジュール32の駆動信号選択回路200は、ラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定される期間のそれぞれにおいて、ヘッド制御信号DIoに基づいて、駆動信号COM1~COMnとしての駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを出力するとして説明を行う場合がある。
【0106】
以上のように液体吐出装置1は、インクを吐出するプリントヘッド30と、プリントヘッド30と電気的に接続された駆動回路モジュール50と、プリントヘッド30及び駆動回路モジュール50を含む液体吐出モジュール20の動作を制御する吐出制御モジュール10と、液体吐出モジュール20と吐出制御モジュール10とを含むヘッドユニット3の動作を制御する制御ユニット2と、を備える。そして、ヘッドユニット3が、制御ユニット2から入力される電圧信号VHV,VMVを電源電圧として駆動し、印刷データ信号pDATAに基づくタイミングでインクを吐出することで、印刷データ信号pDATAに対応する画像であって、画像データDATAに応じた画像が媒体Pに形成される。
【0107】
1.4 吐出制御回路の機能構成
次に、液体吐出モジュール20が有する吐出制御回路52の構成、及び動作について説明する。図9は、吐出制御回路52の構成を示す図である。図9に示すように、液体吐出モジュール20が有する吐出制御回路52には、クロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、ヘッド制御信号DIi-1~DIi-4、基駆動信号dAi、及び電圧検出信号Vdetが入力される。そして、液体吐出モジュール20が有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200に入力されるクロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIo-1~DIo-4と、駆動信号出力回路54に入力される基駆動信号dAoと、を生成し出力する。
【0108】
ここで、第1実施形態の吐出制御回路52は、クロック信号SCKiをクロック信号SCKoとして出力し、ラッチ信号LATiをラッチ信号LAToとして出力し、チェンジ信号CHiをチェンジ信号CHoとして出力し、基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして出力する。すなわち、第1実施形態において、吐出制御回路52に入力されるクロック信号SCKi、ラッチ信号LATi、チェンジ信号CHi、及び基駆動信号dAiのそれぞれと、吐出制御回路52が出力するクロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及び基駆動信号dAoのそれぞれとは、同じ信号である。
【0109】
図9に示すように、吐出制御回路52は、プロセッサー710、吐出停止信号出力回路720、及びマルチプレクサー730-1~730-4を有する。
【0110】
プロセッサー710には、電圧検出信号Vdetとラッチ信号LATiとが入力される。プロセッサー710は、後述するマルチプレクサー730-1~730-4のそれぞれにおける信号選択を制御する信号選択信号Sel-tを生成する。そして、プロセッサー710は、電圧検出信号Vdet、及びラッチ信号LATiで規定されるタイミングで、生成した信号選択信号Sel-tをマルチプレクサー730-1~730-4に出力する。
【0111】
吐出停止信号出力回路720には、ラッチ信号LATiとクロック信号SCKiとが入力される。そして、吐出停止信号出力回路720は、ラッチ信号LATiによって規定される周期tp毎にクロック信号SCKiに同期した吐出停止処理信号DIe1,DIe2を生成し、マルチプレクサー730-1~730-4に出力する。すなわち、吐出制御回路52は、吐出停止処理信号DIe1,DIe2を出力する吐出停止信号出力回路720を有する。
【0112】
マルチプレクサー730-1には、吐出制御回路52に入力されるヘッド制御信号DIi-1と、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、プロセッサー710が出力する信号選択信号Sel-tと、が入力される。マルチプレクサー730-1は、入力される信号選択信号Sel-tに従い、ヘッド制御信号DIi-1、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-1として出力する。すなわち、吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi-1と、吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、が入力され、ヘッド制御信号DIi-1をヘッド制御信号DIo-1として出力するのか、吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIo-1として出力するのか、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo-1として出力するのか、を選択するマルチプレクサー730-1を有する。
【0113】
マルチプレクサー730-2には、吐出制御回路52に入力されるヘッド制御信号DIi-2と、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、プロセッサー710が出力する信号選択信号Sel-tと、が入力される。マルチプレクサー730-2は、入力される信号選択信号Sel-tに従い、ヘッド制御信号DIi-2、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-2として出力する。すなわち、吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi-2と、吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、が入力され、ヘッド制御信号DIi-2をヘッド制御信号DIo-2として出力するのか、吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIo-2として出力するのか、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo-2として出力するのか、を選択するマルチプレクサー730-2を有する。
【0114】
マルチプレクサー730-3には、吐出制御回路52に入力されるヘッド制御信号DIi-3と、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、プロセッサー710が出力する信号選択信号Sel-tと、が入力される。マルチプレクサー730-3は、入力される信号選択信号Sel-tに従い、ヘッド制御信号DIi-3、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-3として出力する。すなわち、吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi-3と、吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、が入力され、ヘッド制御信号DIi-3をヘッド制御信号DIo-3として出力するのか、吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIo-3として出力するのか、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo-3として出力するのか、を選択するマルチプレクサー730-3を有する。
【0115】
マルチプレクサー730-4には、吐出制御回路52に入力されるヘッド制御信号DIi-4と、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、プロセッサー710が出力する信号選択信号Sel-tと、が入力される。マルチプレクサー730-4は、入力される信号選択信号Sel-tに従い、ヘッド制御信号DIi-4、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-4として出力する。すなわち、吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi-4と、吐出停止処理信号DIe1,DIe2と、が入力され、ヘッド制御信号DIi-4をヘッド制御信号DIo-4として出力するのか、吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIo-4として出力するのか、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo-4として出力するのか、を選択するマルチプレクサー730-4を有する。
【0116】
以上のように構成された吐出制御回路52は、クロック信号SCKiをクロック信号SCKoとして出力し、ラッチ信号LATiをラッチ信号LAToとして出力し、チェンジ信号CHoをチェンジ信号CHoとして出力し、基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして出力するとともに、電圧検出信号Vdetの論理レベルに基づいて、ヘッド制御信号DIi-1、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-1として出力し、ヘッド制御信号DIi-2、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-2として出力し、ヘッド制御信号DIi-3、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-3として出力し、ヘッド制御信号DIi-4、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-4として出力する。
【0117】
ここで、マルチプレクサー730-1~730-4は入力される信号が異なるのみで、いずれも同様の構成である。そのため、以下の説明において、マルチプレクサー730-1~730-4を区別する必要がない場合、マルチプレクサー730と称する。そして、マルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIi-1~DIi-4としてのヘッド制御信号DIiと、吐出停止処理信号DIe1と、吐出停止処理信号DIe2と、のいずれかを選択しヘッド制御信号DIo-1~DIo-4としてのヘッド制御信号DIoを出力するとして説明を行う。
【0118】
1.5 駆動信号出力回路の機能構成
次に、液体吐出モジュール20-1~20-nのそれぞれが有する駆動信号出力回路54の構成、及び動作について説明する。ここで、前述のとおり、液体吐出モジュール20-1~20-nのそれぞれが有する駆動信号出力回路54はいずれも同様の構成である。そのため、以下の説明では、液体吐出モジュール20が有する駆動信号出力回路54を例示して説明を行う。その際、液体吐出モジュール20が有する駆動信号出力回路54は、基駆動信号dAo1~dAonとしての基駆動信号dAoによって規定される信号波形を増幅することで、駆動信号COM1~COMnとしての駆動信号COMを出力するとともに、基準電圧信号VBS1~VBSnとしての基準電圧信号VBSを出力する。
【0119】
図10は、駆動信号出力回路54の構成を示す図である。駆動信号出力回路54は、集積回路500、増幅回路550、復調回路560、帰還回路570,572、及びその他の電子部品を有する。
【0120】
集積回路500は、端子In、端子Bst、端子Hdr、端子Sw、端子Gvd、端子Ldr、端子Gnd、端子Vbs、端子Vfb、及び端子Ifbを含む複数の端子を有する。集積回路500は、当該複数の端子を介して外部に設けられた不図示の基板と電気的に接続される。また、集積回路500は、DAC(Digital to Analog Converter)511、変調回路510、ゲートドライブ回路520、及び、基準電源回路590を含む。
【0121】
基準電源回路590は、電圧信号DAC_HVと電圧信号DAC_LVとを生成し、DAC511に供給する。また、DAC511には、駆動信号COMの信号波形を規定するデジタルの基駆動信号dAoが入力される。DAC511は、入力される基駆動信号dAoを、電圧信号DAC_HVの電圧値と電圧信号DAC_LVの電圧値との間の電圧値のアナログ信号である基駆動信号aAに変換し、変調回路510に出力する。すなわち、基駆動信号aAの電圧振幅は、最大値が電圧信号DAC_HVで規定され、最小値が電圧信号DAC_LVで規定される。そして、DAC511が出力する基駆動信号aAが増幅された信号が駆動信号COMに相当する。
【0122】
変調回路510は、基駆動信号aAを変調した変調信号Msを生成し、ゲートドライブ回路520に出力する。変調回路510は、加算器512,513、コンパレーター514、インバーター515、積分減衰器516、及び、減衰器517を含む。
【0123】
積分減衰器516は、端子Vfbを介して入力される駆動信号COMを減衰するとともに積分し、加算器512の-側の入力端に出力する。加算器512の+側の入力端には、基駆動信号aAが入力される。そして、加算器512は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を差し引き積分した電圧を、加算器513の+側の入力端に出力する。
【0124】
減衰器517は、端子Ifbを介して入力された駆動信号COMの高周波成分を減衰した電圧を、加算器513の-側の入力端に出力する。加算器513の+側の入力端には、加算器512から出力された電圧が入力される。そして、加算器513は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を減算した電圧信号Asを生成し、コンパレーター514に出力する。
【0125】
コンパレーター514は、加算器513から入力される電圧信号Asをパルス変調した変調信号Msを出力する。具体的には、コンパレーター514は、加算器513から入力される電圧信号Asの電圧値が、上昇している場合に所定の閾値Vth1以上となることでHレベルとなり、電圧信号Asの電圧値が、下降している場合に所定の閾値Vth2を下回ることでLレベルとなる変調信号Msを生成し出力する。ここで閾値Vth1,Vth2は、閾値Vth1=>閾値Vth2という関係に設定されている。
【0126】
コンパレーター514が出力する変調信号Msは、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー521に入力されるとともに、インバーター515を介して、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー522にも入力される。すなわち、ゲートドライバー521とゲートドライバー522とには、論理レベルが排他的な関係の信号が入力される。ここで、論理レベルが排他的な関係には、ゲートドライバー521及びゲートドライバー522に入力される信号の論理レベルが、同時にHレベルにならないことが含まれる。したがって、変調回路510は、インバーター515に替えて若しくは加えて、ゲートドライバー521に入力される変調信号Msとゲートドライバー522に入力される変調信号Msの論理レベルを反転した信号とのタイミングを制御するためのタイミング制御回路を含んでもよい。
【0127】
ゲートドライブ回路520は、ゲートドライバー521とゲートドライバー522とを含む。ゲートドライバー521は、コンパレーター514から出力される変調信号Msをレベルシフトすることで増幅制御信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。
【0128】
具体的には、ゲートドライバー521の電源電圧の内、高位側には端子Bstを介して電圧が供給され、低位側には端子Swを介して電圧が供給される。端子Bstは、コンデンサーC5の一端、及び逆流防止用のダイオードD1のカソードに接続されている。端子Swは、コンデンサーC5の他端に接続されている。また、ダイオードD1のアノードは、端子Gvdと接続されている。そして、端子Gvdには、不図示の電源回路が出力する例えば7.5Vの直流電圧である電圧信号Vmが供給されている。すなわち、ダイオードD1のアノードには、電圧信号Vmが供給される。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、電圧信号Vmの電圧値におよそ等しくなる。その結果、ゲートドライバー521は、入力される変調信号Msに従って、端子Swに対して電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の増幅制御信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。
【0129】
ゲートドライバー522は、ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。ゲートドライバー522は、コンパレーター514から出力された変調信号Msの論理レベルがインバーター515によって反転された信号をレベルシフトすることで増幅制御信号Lgdを生成し、端子Ldrから出力する。
【0130】
具体的には、ゲートドライバー522の電源電圧の内、高位側には電圧信号Vmが供給され、低位側には端子Gndを介してグラウンド電位GNDが供給される。そして、ゲートドライバー522は、入力される変調信号Msの論理レベルを反転した信号に従って、端子Gndに対して電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の増幅制御信号Lgdを端子Ldrから出力する。ここで、グラウンド電位GNDとは、駆動信号出力回路54の基準電位であって、例えば、0Vである。
【0131】
増幅回路550は、トランジスターM1とトランジスターM2とを含む。
【0132】
トランジスターM1は、表面実装型のFET(Field Effect Transistor)であって、トランジスターM1のドレインには、増幅回路550の増幅用電源電圧として、電圧信号VHVが供給される。また、トランジスターM1のゲートは、抵抗R1の一端と電気的に接続され、抵抗R1の他端は、集積回路500の端子Hdrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM1のゲートには、増幅制御信号Hgdが入力される。また、トランジスターM1のソースは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。
【0133】
トランジスターM2は、表面実装型のFETであって、トランジスターM2のドレインは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のドレインとトランジスターM1のソースとは、互いに電気的に接続されている。トランジスターM2のゲートは、抵抗R2の一端と電気的に接続され、抵抗R2の他端は、集積回路500の端子Ldrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のゲートには、増幅制御信号Lgdが入力される。また、トランジスターM2のソースには、グラウンド電位GNDが供給される。
【0134】
そして、トランジスターM1のドレインとソースとの間が非導通に制御され、トランジスターM2のドレインとソースとの間が導通に制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電位は、グラウンド電位GNDとなる。したがって、端子Bstには電圧信号Vmが供給される。一方、トランジスターM1のドレインとソースとの間が導通に制御され、トランジスターM2のドレインとソースとの間が非導通に制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電位は、電圧信号VHVの電圧値となる。したがって、端子Bstには電圧信号VHVの電圧値と電圧信号Vmの電圧値との和の電位の電圧が供給される。すなわち、トランジスターM1を駆動させるゲートドライバー521は、コンデンサーC5をフローティング電源として、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に応じて、端子Swの電位がグラウンド電位GND又は電圧信号VHVの電圧値に変化することで、Lレベルが電圧信号VHVの電圧値であって、且つ、Hレベルが電圧信号VHVの電圧値と電圧信号Vmの電圧値との和の電圧値の増幅制御信号Hgdを生成し、トランジスターM1のゲートに出力する。
【0135】
一方、トランジスターM2を駆動させるゲートドライバー522は、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に関係なく、Lレベルがグラウンド電位GNDであって、且つ、Hレベルが電圧信号Vmの電圧値の増幅制御信号Lgdを生成し、トランジスターM2のゲートに出力する。
【0136】
以上のように構成された増幅回路550は、トランジスターM1のソースとトランジスターM2のドレインとの接続点に、変調信号Msを電圧信号VHVに基づいて増幅した増幅変調信号AMsを生成する。そして、増幅回路550は、生成した増幅変調信号AMsを復調回路560に出力する。
【0137】
復調回路560は、増幅回路550が出力する増幅変調信号AMsを復調することで、駆動信号COMを生成し、駆動信号出力回路54から出力する。復調回路560は、インダクターL1とコンデンサーC1とを含む。インダクターL1の一端は、コンデンサーC1の一端と接続されている。インダクターL1の他端には、増幅変調信号AMsが入力される。また、コンデンサーC1の他端には、グラウンド電位GNDが供給されている。すなわち、復調回路560においてインダクターL1とコンデンサーC1とは、ローパスフィルター(Low Pass Filter)を構成する。そして、復調回路560は、当該ローパスフィルターによって増幅変調信号AMsを平滑することで復調し、復調した信号を駆動信号COMとして出力する。すなわち、駆動信号出力回路54は、復調回路560に含まれるインダクターL1の一端、及びコンデンサーC1の一端から駆動信号COMを出力する。
【0138】
帰還回路570は、抵抗R3と抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端には、駆動信号COMが供給され、他端は、端子Vfb及び抵抗R4の一端と接続されている。抵抗R4の他端には、電圧信号VHVが供給される。これにより、端子Vfbには、帰還回路570を通過した駆動信号COMが、電圧信号VHVの電圧値でプルアップされた状態で帰還する。
【0139】
帰還回路572は、コンデンサーC2,C3,C4と抵抗R5,R6とを含む。コンデンサーC2の一端には駆動信号COMが入力され、他端は抵抗R5の一端及び抵抗R6の一端と接続されている。抵抗R5の他端にはグラウンド電位GNDが供給される。これにより、コンデンサーC2と抵抗R5とは、ハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端及びコンデンサーC3の一端と接続されている。コンデンサーC3の他端には、グラウンド電位GNDが供給される。これにより、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルターとして機能する。すなわち、帰還回路572は、ハイパスフィルターとローパスフィルターと含み、駆動信号COMに含まれる所定の周波数域の信号を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。
【0140】
そして、コンデンサーC4の他端は集積回路500の端子Ifbと接続されている。これにより、端子Ifbには、バンドパスフィルターとして機能する帰還回路572を通過した駆動信号COMの高周波成分のうち、直流成分がカットされた信号が帰還する。
【0141】
駆動信号COMは、基駆動信号dAoに基づく増幅変調信号AMsを復調回路560によって平滑された信号である。また、駆動信号COMは、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還される。これにより、駆動信号出力回路54は、帰還の遅延と帰還の伝達関数とで定まる周波数で自励発振する。ただし、端子Vfbを介した帰還経路は遅延量が大きく、それ故に、当該端子Vfbを介した帰還のみでは、駆動信号COMの精度を十分に確保できるほどに、自励発振の周波数を高くすることができない場合がある。そこで、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して駆動信号COMの高周波成分を帰還する経路を設けることで、回路全体でみた場合における遅延を小さくしている。これにより、電圧信号Asの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COMの精度を十分に確保できるほどに高くすることができる。
【0142】
また、集積回路500は、基準電圧信号出力回路530を含む。基準電圧信号出力回路530は、基準電圧信号VBSを出力する。このような基準電圧信号出力回路530は、集積回路500に生じるバンドギャップ・リファレンス電圧を基準電位として、例えば、当該基準電位に基づいて、電圧信号Vmを降圧又は昇圧することで生成される。そして、基準電圧信号出力回路530は、生成した基準電圧信号VBSを、端子Vbsを介して駆動信号出力回路54から出力する。
【0143】
以上のように駆動信号出力回路54は、入力される基駆動信号dAoをデジタル/アナログ変換した後、当該アナログ信号をD級増幅することで駆動信号COMを生成し、生成した駆動信号COMを出力するとともに、基準電圧信号VBSを生成し、出力する。なお、基準電圧信号VBSを生成する基準電圧信号出力回路530は、駆動信号出力回路54とは異なる構成であってもよいが、駆動信号出力回路54と同一の構成であって、1つの集積回路500に内蔵することで、駆動信号出力回路54及び駆動信号出力回路54を含む駆動回路モジュール50の回路規模を小さくすることができる。
【0144】
ここで、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの信号波形の一例について説明する。図11は、駆動信号COMの信号波形の一例を示す図である。図11に示すように、駆動信号COMは、ラッチ信号LAToが立ち上がってからチェンジ信号CHoが立ち上がるまでの期間t1に配置された台形波形Adpと、チェンジ信号CHoが立ち上がってから次にチェンジ信号CHoが立ち上がるまでの期間t2に配置された台形波形Bdpと、チェンジ信号CHoが立ち上がってからラッチ信号LAToが立ち上がるまでの期間t3に配置された台形波形Cdpと、を連続させた信号波形を含む。
【0145】
台形波形Adpは、吐出部600に含まれるノズル651から所定量のインクを吐出させるように吐出部600に含まれる圧電素子60を駆動する信号波形であり、台形波形Bdpは、吐出部600に含まれるノズル651から所定量よりも少量のインクを吐出させるように吐出部600に含まれる圧電素子60を駆動する信号波形であり、台形波形Cdpは、吐出部600に含まれるノズルからインクを吐出させないように吐出部600に含まれる圧電素子60を駆動する信号波形である。ここで、台形波形Cdpは、対応するノズル651の開孔部付近のインクを適度に振動させることで、インク粘度の増大を防止するための信号波形である。以下の説明において、台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合に、ノズル651の開孔部付近のインクを振動させる動作を微振動と称する場合がある。また、以下の説明において、台形波形Adpが吐出部600に供給された場合に吐出されるインクの量を中程度の量と称し、台形波形Bdpが吐出部600に供給された場合に吐出されるインクの量を小程度の量と称する場合がある。
【0146】
また、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する。
【0147】
以上のように、駆動信号出力回路54は、図11に示すように台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMを出力する。そして、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpが吐出部600に供給されることで、対応する吐出部600からインクが吐出される。すなわち、図11に示す駆動信号COMの信号波形は、吐出部600からインクを吐出させる信号波形の一例である。
【0148】
ここで、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの信号波形は、上述した波形形状に限るものではなく、吐出されるインクの種類や物性、液体吐出装置1の仕様環境に応じて任意の波形を用いることができる。さらに、駆動信号出力回路54は、入力される基駆動信号dAoに応じた任意の信号波形の駆動信号COMを出力することが可能であり、例えば、電圧値が一定の信号波形を含む駆動信号COMや、電圧値が所定の値に向かい漸減、又は漸増する信号波形を含む駆動信号COMを出力することもできる。
【0149】
1.6 駆動信号選択出力回路の機能構成
次に、液体吐出モジュール20-1~20-nのそれぞれが有する駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。ここで、液体吐出モジュール20-1~20-nのそれぞれが有する駆動信号選択回路200はいずれも同様の構成である。そのため、以下の説明では、液体吐出モジュール20の吐出モジュール32が有する駆動信号選択回路200を例示して説明を行う。すなわち、液体吐出モジュール20の吐出モジュール32が有する駆動信号選択回路200には、クロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、ヘッド制御信号DIo、及び駆動信号COMが入力され、駆動信号COMの信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成する。また、以下の説明では、液体吐出モジュール20の吐出モジュール32は、複数の吐出部600としてm個の吐出部600を有するとして説明を行う。そして、以下の説明において、m個の吐出部600を区別する場合、吐出部600[1]~600[m]と称する場合がある。
【0150】
図12は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。図12に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応した選択回路230[1]~230[m]と、を有する。
【0151】
選択制御回路210には、クロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIoが入力される。選択制御回路210は、入力されるクロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIoに基づいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択し、駆動信号VOUTとして出力するか否かを切り替えるための選択信号S[1]~S[m]を生成する。選択制御回路210が生成した選択信号S[1]~S[m]は、対応する選択回路230[1]~230[m]に入力される。選択回路230[1]~230[m]は、入力される選択信号S[1]~S[m]に基づいて、駆動信号COMの信号波形を選択、又は非選択とすることで吐出部600[1]~600[m]に対応する駆動信号VOUT[1]~VOUT[m]を生成し、対応する吐出部600[1]~600[m]に出力する。ここで、選択回路230[1]~230[m]はいずれも同様の構成であり、吐出部600[1]~600[m]の内の吐出部600に対応する選択回路230[1]~230[m]を選択回路230と称する。この際、選択回路230は、選択信号S[1]~S[m]の内の選択信号Sに基づいて駆動信号COMの信号波形を選択、又は非選択とするとして説明を行う。
【0152】
選択制御回路210の動作の詳細を説明するにあたり、選択制御回路210に入力されるラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、クロック信号SCKo、及びヘッド制御信号DIoの概要を説明する。図13は、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、クロック信号SCKo、及びヘッド制御信号DIoと選択信号Sとの関係を説明するための図である。
【0153】
ラッチ信号LAToは、ヘッドユニット3のキャリッジ8の走査位置を示す信号に基づくパルス信号であり、媒体Pにドットを形成する周期tpを規定する。チェンジ信号CHoは、駆動信号COMに含まれる信号波形を吐出部600に供給するか否かの切替タイミングを規定するパルス信号であり、周期tpを期間t1,t2,t3に分割する。駆動信号選択回路200は、ラッチ信号LAToによって規定される周期tpがチェンジ信号CHoによって分割された期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、吐出部600に出力する。
【0154】
また、ヘッド制御信号DIoは、吐出制御信号SIと波形選択信号SPをシリアルに含む。吐出制御信号SIは、吐出部600の圧電素子60が駆動することにより吐出されるインクの吐出量を、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対して個別に規定する。また、波形選択信号SPは、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて出力される選択信号Sの論理レベルと、吐出制御信号SIとの関係を規定する。
【0155】
そして、図13に示すように、ヘッド制御信号DIoは、ラッチ信号LAToが立ち上がる前の周期tpにおいて、クロック信号SCKoに同期して選択制御回路210に入力される。このとき、選択制御回路210に入力されたヘッド制御信号DIoは、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応するレジスターに保持される。そして、当該レジスターに保持されたヘッド制御信号DIoは、ラッチ信号LAToの立ち上りにおいて、一斉にラッチされる。すなわち、周期tpの開始のタイミングで、当該レジスターに保持されたヘッド制御信号DIoが一斉にラッチされる。選択制御回路210は、一斉にラッチされたヘッド制御信号DIoに基づいて、ラッチ信号LAToが立ち上がった後の周期tpにおける期間t1,t2,t3のそれぞれに対応して選択信号Sを生成し、選択回路230に出力する。
【0156】
ここで、吐出制御信号SIと波形選択信号SPとを含むヘッド制御信号DIoの詳細について説明する。図14は、ヘッド制御信号DIoのデータ構成の一例を示す図である。図14に示すようにヘッド制御信号DIoは、吐出制御信号SI及び波形選択信号SPを含む。
【0157】
吐出制御信号SIは、吐出部600が有する圧電素子60の駆動により吐出されるインクの吐出量を規定する信号であって、上位吐出データSIHと下位吐出データSILとを含む。すなわち、吐出制御信号SIには、圧電素子60の駆動を制御するための上位吐出データSIHと下位吐出データSILとの2ビットのデータが、圧電素子60を含む吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応して含まれている。
【0158】
具体的には、吐出制御信号SIは、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応するmビットの上位吐出データSIHを、吐出部600[m]に対応する上位吐出データSIH、吐出部600[m-1]に対応する上位吐出データSIH、…、吐出部600[1]に対応する上位吐出データSIHの順にシリアルに含み、上位吐出データSIHの後に続き、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応するmビットの下位吐出データSILを、吐出部600[m]に対応する下位吐出データSIL、吐出部600[m-1]に対応する下位吐出データSIL、…、吐出部600[1]に対応する下位吐出データSILの順にシリアルに含む。すなわち、吐出制御信号SIは、吐出部600[m]~600[1]に対応するmビットの上位吐出データSIHと、吐出部600[m]~600[1]に対応するmビットの下位吐出データSILと、をシリアルに含む2mビットの信号である。そして、吐出部600[p](pは1~mのいずれか)に含まれる圧電素子60の駆動により吐出されるインクの吐出量が、吐出部600[p]に対応する上位吐出データSIHと、吐出部600[p]に対応する下位吐出データSILと、の2ビットで規定される。
【0159】
ここで、以下の説明において、吐出部600[p]に対応する上位吐出データSIHを上位吐出データSIHpと称し、吐出部600[p]に対応する下位吐出データSILを下位吐出データSILpと称する場合がある。さらに、以下の説明において、吐出部600に対応する上位吐出データSIHと下位吐出データSILとを、一括りに吐出データ[SIH,SIL]と称する場合があり、吐出部600[p]に対応する上位吐出データSIHpと下位吐出データSILpとを、一括りに吐出データ[SIHp,SILp]と称する場合がある。すなわち、吐出部600[p]に含まれる圧電素子60の駆動により吐出されるインクの吐出量は、吐出データ[SIHp,SILp]によって規定される。
【0160】
波形選択信号SPは、吐出データ[SIH,SIL]に対応する圧電素子60の駆動パターンを期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて規定するための信号であって、吐出データ[SIH,SIL]に対応する期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて出力される選択信号Sの論理レベルを規定する。第1実施形態における波形選択信号SPは、設定情報SP00~SP03,SP10~SP13,SP20~SP23を含む12ビットの信号である。
【0161】
具体的には、波形選択信号SPは、吐出データ[SIH,SIL]によって決定される期間t1における圧電素子60の駆動パターンを規定する設定情報SP00~SP03と、吐出データ[SIH,SIL]によって決定される期間t2における圧電素子60の駆動パターンを規定する設定情報SP10~SP13と、吐出データ[SIH,SIL]によって決定される期間t3における圧電素子60の駆動パターンを規定する設定情報SP20~SP23とを、設定情報SP23,SP22,SP21,SP20,SP13,SP12,SP11,SP10,SP03,SP02,SP01,SP00の順にシリアルに含む。なお、波形選択信号SPは、12ビットの信号に限られるものではなく、周期tpがチェンジ信号CHによって分割された期間数や、吐出制御信号SIによって規定される圧電素子60の駆動パターンの数に応じて、12ビット以上の信号、若しくは、12ビット以下の信号であってもよい。
【0162】
図12に戻り、選択制御回路210は、制御ロジック回路260と、吐出部600[1]~600[m]に対応して設けられる選択信号出力部270[1]~270[m]とを有する。そして、選択制御回路210は、入力されるラッチ信号LATo、及びチェンジ信号CHoで規定されるタイミングにおいて、クロック信号SCKoに同期して伝搬されるヘッド制御信号DIoに基づいて、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応する選択信号S[1]~S[m]を生成し、対応する選択回路230[1]~230[m]に出力する。
【0163】
制御ロジック回路260は、SP用レジスター群261と、選択制御信号生成部262と、を含む。SP用レジスター群261は、シリアルに接続された複数のレジスターを含み、クロック信号SCKに同期して入力されるヘッド制御信号DIoを、順次後段のレジスターに伝搬する所謂シフトレジスターを構成している。そして、クロック信号SCKoの供給が停止すると、SP用レジスター群261には、ヘッド制御信号DIoの内、波形選択信号SPに含まれる設定情報SP00~SP23が保持される。
【0164】
選択制御信号生成部262は、ラッチ信号LAToの立ち上がりでSP用レジスター群261に保持されている設定情報SP00~SP23をラッチする。そして、選択制御信号生成部262は、ラッチした設定情報SP00~SP23を翻訳することで、選択制御信号Q0,Q1,Q2を生成し、選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれが有するデコーダー226に出力する。選択制御信号Q0は、設定情報SP00,SP01,SP02,SP03を含み、期間t1において選択制御回路210から出力される選択信号Sの論理レベルを規定する。選択制御信号Q1は、設定情報SP10,SP11,SP12,SP13を含み、期間t2において選択制御回路210から出力される選択信号Sの論理レベルを規定する。選択制御信号Q2は、設定情報SP20,SP21,SP22,SP23を含み、期間t3において選択制御回路210から出力される選択信号Sの論理レベルを規定する。ここで、以下の説明において、設定情報SP00,SP01,SP02,SP03を含む選択制御信号Q0を、選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]と称し、設定情報SP10,SP11,SP12,SP13を含む選択制御信号Q1を、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]と称し、設定情報SP20,SP21,SP22,SP23を含む選択制御信号Q2を、選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]と称する場合がある。
【0165】
選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれは、第1レジスター222a、第2レジスター222b、第1ラッチ回路224a、第2ラッチ回路224b、及びデコーダー226を有する。
【0166】
選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれに含まれる第2レジスター222bは、複数のレジスターを含むSP用レジスター群261の後段にシリアルに接続され、選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれに含まれる第1レジスター222aは、シリアルに接続されたm個の第2レジスター222bの後段にシリアルに接続されている。
【0167】
具体的には、SP用レジスター群261の後段に、選択信号出力部270[1]に含まれる第2レジスター222bが接続され、選択信号出力部270[1]に含まれる第2レジスター222bの後段に、選択信号出力部270[2]に含まれる第2レジスター222b、選択信号出力部270[3]に含まれる第2レジスター222b、…、選択信号出力部270[m]に含まれる第2レジスター222bが順にシリアルに接続されている。そして、選択信号出力部270[m]に含まれる第2レジスター222bの後段に、選択信号出力部270[1]に含まれる第1レジスター222aが接続されている。また、選択信号出力部270[1]に含まれる第1レジスター222aの後段に、選択信号出力部270[2]に含まれる第1レジスター222a、選択信号出力部270[3]に含まれる第1レジスター222a、…、選択信号出力部270[m]に含まれる第1レジスター222aが順にシリアルに接続されている。
【0168】
すなわち、SP用レジスター群261と、選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれに含まれるm個の第2レジスター222bと、選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれに含まれるm個の第1レジスター222aとは、シフトレジスターを構成している。そして、SP用レジスター群261に入力されたヘッド制御信号DIoは、クロック信号SCKoに同期して選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれに含まれるm個の第2レジスター222b、選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれに含まれるm個の第1レジスター222aの順に後段に伝搬される。その後、クロック信号SCKoの供給が停止することで、選択信号出力部270[p]に含まれる第2レジスター222bには、吐出部600[p]に対応する下位吐出データSILpが保持され、選択信号出力部270[p]に含まれる第1レジスター222aには、吐出部600[p]に対応する上位吐出データSIHpが保持される。
【0169】
選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれが有する第1レジスター222aに保持された上位吐出データSIHは、ラッチ信号LAToの立ち上がりで対応する第1ラッチ回路224aによりラッチされ、選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれが有する第2レジスター222bに保持された下位吐出データSILは、ラッチ信号LAToの立ち上がりで対応する第2ラッチ回路224bによりラッチされる。そして、第1ラッチ回路224aは、ラッチした上位吐出データSIHをラッチデータLTaとしてデコーダー226に出力し、第2ラッチ回路224bは、ラッチした下位吐出データSILをラッチデータLTbとしてデコーダー226に出力する。
【0170】
ここで、以下の説明において、選択信号出力部270[p]が有する第1ラッチ回路224aが出力するラッチデータLTaをラッチデータLTapと称し、選択信号出力部270[p]が有する第2ラッチ回路224bが出力するラッチデータLTbをラッチデータLTbpと称する場合がある。また、ラッチデータLTa,LTbを一括りにラッチデータ[LTa,LTb]と称する場合があり、選択信号出力部270[p]に対応するラッチデータLTap,LTbpを一括りにラッチデータ[LTap,LTbp]と称する場合がある。
【0171】
選択信号出力部270[1]~270[m]のそれぞれが有するデコーダー226には、選択制御信号生成部262が出力する選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]、及び選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]が共通に入力されるとともに、対応する第1ラッチ回路224a及び第2ラッチ回路224bが出力するラッチデータ[LTa,LTb]が入力される。すなわち、選択信号出力部270[p]が有するデコーダー226には、選択制御信号生成部262が出力する選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]、及び選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]と、吐出データ[SIHp,SILp]に対応するラッチデータ[LTap,LTbp]と、が入力される。そして、選択信号出力部270[p]が有するデコーダー226は、選択制御信号Q0,Q1,Q2に基づいて、ラッチデータ[LTap,LTbp]をデコードすることで選択信号S[p]を生成し、選択回路230[p]に出力する。
【0172】
図15は、選択制御信号Q0,Q1,Q2に基づくデコーダー226のデコード内容を示す図である。図15に示すように、デコーダー226は、期間t1において、選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]で規定される論理レベルの選択信号Sを出力し、期間t2において、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]で規定される論理レベルの選択信号Sを出力し、期間t3において、選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]で規定される論理レベルの選択信号Sを出力する。
【0173】
具体的には、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[1,1]が入力された場合、デコーダー226は、選択制御信号Q0,Q1,Q2で規定される内容に従って、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて設定情報SP00,SP10,SP20の論理レベルを選択信号Sとして出力し、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[1,0]が入力された場合、デコーダー226は、選択制御信号Q0,Q1,Q2で規定される内容に従って、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて設定情報SP01,SP11,SP21の論理レベルを選択信号Sとして出力し、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、デコーダー226は、選択制御信号Q0,Q1,Q2で規定される内容に従って、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて設定情報SP02,SP12,SP22の論理レベルを選択信号Sとして出力し、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[0,0]が入力された場合、デコーダー226は、選択制御信号Q0,Q1,Q2で規定される内容に従って、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて設定情報SP03,SP13,SP23の論理レベルを選択信号Sとして出力する。
【0174】
以上のように、選択制御回路210は、クロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIoに基づいて、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応する選択回路230[1]~230[m]の状態を制御する選択信号S[1]~S[m]を出力する。
【0175】
次に、選択回路230[1]~230[m]の構成について説明する。ここで、選択回路230[1]~230[m]は、いずれも同様の構成である。そのため、選択回路230[1]~230[m]を区別する必要がない場合、単に選択回路230と称する場合がある。そして、選択回路230には、選択信号S[1]~S[m]の内の選択信号Sが入力されるとして説明を行う。
【0176】
図16は、圧電素子60に対応する選択回路230の構成を示す図である。図16に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232と、トランスファーゲート234と、を有する。
【0177】
選択制御回路210が出力する選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232によって論理反転されて、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端にも入力される。また、トランスファーゲート234の入力端には、駆動信号COMが供給される。具体的には、トランスファーゲート234は、入力される選択信号SがHレベルの場合に入力端と出力端との間を導通とし、入力される選択信号SがLレベルの場合に入力端と出力端との間を非導通とする。そして、トランスファーゲート234の出力端から駆動信号VOUTが出力される。
【0178】
以上のように、第1実施形態における駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIoに基づいて、駆動信号COMの信号波形を選択、又は非選択とすることで、吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに対応する駆動信号VOUT[1]~VOUT[m]を生成し、対応する吐出部600[1]~600[m]に出力する。換言すれば、駆動信号選択回路200は、クロック信号SCKo、ラッチ信号LATo、チェンジ信号CHo、及びヘッド制御信号DIoに基づいて、駆動信号COMを対応する吐出部600[1]~600[m]に供給するか否かを切り替える。
【0179】
ここで、駆動信号VOUTは、駆動信号選択回路200が駆動信号COMの信号波形を選択、又は非選択とすることで、対応する吐出部600[1]~600[m]のそれぞれに入力される信号である。すなわち、駆動信号選択回路200が駆動信号COMの信号波形を選択している場合の駆動信号VOUTは、駆動信号COMに含まれる信号波形を含む信号であり、駆動信号選択回路200が駆動信号COMの信号波形を選択していない場合の駆動信号VOUTとは、対応する吐出部600の圧電素子60によって保持された電圧値の信号であって、第1実施形態の液体吐出装置1の場合、電圧Vcで一定の信号である。換言すれば、駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTとは、対応する圧電素子60に供給される信号を意味する。
【0180】
次に、駆動信号選択回路200の具体的な動作の一例について説明する。前述の取り、駆動信号選択回路200に入力されるヘッド制御信号DIoは、吐出制御回路52においてヘッド制御信号DIi、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかが選択された信号である。そこで、以下の説明では、ヘッド制御信号DIiがマルチプレクサー730に選択された場合のヘッド制御信号DIo、吐出停止処理信号DIe1がマルチプレクサー730に選択された場合のヘッド制御信号DIo、及び吐出停止処理信号DIe2がマルチプレクサー730に選択された場合のヘッド制御信号DIoのそれぞれの具体例と共に、駆動信号選択回路200の具体的な動作を説明する。
【0181】
まず、マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIiを選択している場合の駆動信号選択回路200の具体的な動作を説明する。図17は、マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIiを選択している場合に、駆動信号選択回路200に入力されるヘッド制御信号DIoの一例を示す図である。ここで、ヘッド制御信号DIoに含まれる吐出制御信号SIは、前述のとおりm個の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60が駆動することにより吐出されるインクの吐出量を規定する。そのため、吐出制御信号SIの論理レベルは、液体吐出装置1がインクを吐出し、媒体Pに所望の画像を形成する印刷期間において、適宜変化する。すなわち、吐出制御信号SIに含まれる吐出データ[SIH,SIL]の論理レベルは、吐出されるインクの量に応じて0又は1のいずれかに変化する。そのため、図17では、波形選択信号SPについての具体的な論理レベルのみを図示し、波形選択信号SPの具体的な論理レベルは省略している。
【0182】
図17に示すように、マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIiを選択している場合、駆動信号選択回路200には、設定情報SP00,SP01,SP02,SP03,SP10,SP11,SP12,SP13,SP20,SP21,SP22,SP23のそれぞれが、“1”“1”“0”“0”“1”“0”“1”“0”“0”“0”“0”“1”である波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが入力される。したがって、制御ロジック回路260に含まれる選択制御信号生成部262は、波形選択信号SPに基づいて、選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]=[1,1,0,0]と、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]=[1,0,1,0]と、選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]=[0,0,0,1]と、を生成しデコーダー226に出力する。
【0183】
図18は、図17に示す波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路200に入力された場合におけるデコーダー226のデコード内容の具体例を示す図である。なお、第1実施形態のデコーダー226は、対応する設定情報SP23~SP20,SP13~SP10,SP03~SP00が“1”の場合、Hレベルの選択信号Sを出力し、対応する設定情報SP23~SP20,SP13~SP10,SP03~SP00が“0”の場合、Lレベルの選択信号Sを出力するとして説明する。
【0184】
図18に示すように、デコーダー226に吐出データ[SIH,SIL]=[1,1]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[1,1]が入力された場合、デコーダー226は、期間t1,t2,t3においてH,H,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。また、デコーダー226に吐出データ[SIH,SIL]=[1,0]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[1,0]が入力された場合、デコーダー226は、期間t1,t2,t3においてH,L,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。また、デコーダー226に吐出データ[SIH,SIL]=[0,1]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、デコーダー226は、期間t1,t2,t3においてL,H,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。また、デコーダー226に吐出データ[SIH,SIL]=[0,0]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、デコーダー226は、期間t1,t2,t3においてL,L,Hレベルとなる選択信号Sを出力する。
【0185】
図19は、図18に示す選択信号Sが供給された場合に選択回路230から出力される駆動信号VOUTを示す図である。
【0186】
図19に示すようにデコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[1,1]が入力された場合、選択信号Sの論理レベルは、期間t1,t2,t3においてH,H,Lレベルとなる。したがって、選択回路230の入力端と出力端との間は、期間t1,t2,t3において導通,導通,非導通となる。その結果、選択回路230は、期間t1において台形波形Adpとなり、期間t2において台形波形Bdpとなり、期間t3において電圧Vcで一定となる駆動信号VOUTを出力する。このとき、圧電素子60の駆動によって、期間t1において中程度の量のインクが吐出され、期間t2において小程度の量のインクが吐出され、期間t3においてインクは吐出されない。したがって、周期tpにおいて、中程度の量のインクと小程度の量のインクとが媒体Pに着弾し、中程度の量のインクと小程度の量のインクとが媒体Pにおいて結合することで、媒体Pに大ドットが形成される。
【0187】
また、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[1,0]が入力された場合、選択信号Sの論理レベルは、期間t1,t2,t3においてH,L,Lレベルとなる。したがって、選択回路230の入力端と出力端との間は、期間t1,t2,t3において導通,非導通,非導通となる。その結果、選択回路230は、期間t1において台形波形Adpとなり、期間t2において電圧Vcで一定となり、期間t3において電圧Vcで一定となる駆動信号VOUTを出力する。このとき、圧電素子60の駆動によって、期間t1において中程度の量のインクが吐出され、期間t2においてインクは吐出されず、期間t3においてインクは吐出されない。したがって、周期tpにおいて、中程度の量のインクが媒体Pに着弾し、媒体Pに中ドットが形成される。
【0188】
また、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、選択信号Sの論理レベルは、期間t1,t2,t3においてL,H,Lレベルとなる。したがって、選択回路230の入力端と出力端との間は、期間t1,t2,t3において非導通,導通,非導通となる。その結果、選択回路230は、期間t1において電圧Vcで一定となり、期間t2において台形波形Bdpとなり、期間t3において電圧Vcで一定となる駆動信号VOUTを出力する。このとき、圧電素子60の駆動によって、期間t1においてインクは吐出されず、期間t2において小程度の量のインクが吐出され、期間t3においてインクは吐出されない。したがって、周期tpにおいて、小程度の量のインクが媒体Pに着弾し、媒体Pに小ドットが形成される。
【0189】
また、デコーダー226にラッチデータ[LTa,LTb]=[0,0]が入力された場合、選択信号Sの論理レベルは、期間t1,t2,t3においてL,L,Hレベルとなる。したがって、選択回路230の入力端と出力端との間は、期間t1,t2,t3において非導通,非導通,導通となる。その結果、選択回路230は、期間t1において電圧Vcで一定となり、期間t2において電圧Vcで一定となり、期間t3において台形波形Cdpとなる駆動信号VOUTを出力する。このとき、圧電素子60の駆動によって、期間t1においてインクは吐出されず、期間t2においてインクは吐出されず、期間t3においてインクは吐出されず微振動が実行される。したがって、周期tpにおいて、媒体Pにインクは着弾せず、媒体Pにドットは形成されず、圧電素子60に対応するノズル651の開孔部付近のインクの微振動が実行される。
【0190】
以上のように、マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIoとしてヘッド制御信号DIiを選択している場合、駆動信号選択回路200は、媒体Pに、大ドット、中ドット、及び小ドットを形成する駆動信号VOUTを出力する。すなわち、ヘッド制御信号DIiは、媒体Pにドットを形成するインク吐出期間において、マルチプレクサー730によって選択される。換言すれば、マルチプレクサー730は、液体吐出装置1が媒体Pに画像を形成する画像形成処理を実行する期間において、ヘッド制御信号DIiを選択し、ヘッド制御信号DIoとして出力する。
【0191】
これに対して、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2は、媒体Pにドットを形成するための信号ではなく、液体吐出装置1が動作を停止するための停止処理を実行する期間に、マルチプレクサー730によって選択される。
【0192】
図20は、マルチプレクサー730が吐出停止処理信号DIe1を選択している場合に、駆動信号選択回路200に入力されるヘッド制御信号DIoの一例を示す図である。図20に示すように、マルチプレクサー730が吐出停止処理信号DIe1を選択している場合、駆動信号選択回路200には、設定情報SP00,SP01,SP02,SP03,SP10,SP11,SP12,SP13,SP20,SP21,SP22,SP23のそれぞれが、“1”“1”“1”“1”“1”“1”“1”“1”“1”“1”“1”“1”である波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが入力される。したがって、制御ロジック回路260に含まれる選択制御信号生成部262は、波形選択信号SPに基づいて、選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]=[1,1,1,1]と、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]=[1,1,1,1]と、選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]=[1,1,1,1]と、を生成しデコーダー226に出力する。
【0193】
図21は、図20に示す波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路200に入力された場合におけるデコーダー226のデコード内容の具体例を示す図である。図21に示すように、吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路200に入力された場合、デコーダー226は、吐出データ[SIH,SIL]=[1,1]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[1,1]が入力された場合、吐出データ[SIH,SIL]=[1,0]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[1,0]が入力された場合、吐出データ[SIH,SIL]=[0,1]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、及び吐出データ[SIH,SIL]=[0,0]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、のいずれの場合であっても、期間t1,t2,t3においてH,H,Hレベルとなる選択信号Sを出力する。
【0194】
すなわち、吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoは、吐出制御信号SIに含まれる上位吐出データSIH及び下位吐出データSILの論理レベルに依らず、期間t1,t2,t3を含む周期tpにおいて、駆動信号選択回路200が有するm個の選択回路230の全てを導通に制御する信号である。このような吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoは、例えば、液体吐出装置1が停止処理を実行する期間において、m個の吐出部600が有するm個の圧電素子60の全ての一端の電圧値を、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTによって規定される所望の電圧値に制御する際に用いられる。
【0195】
図22は、マルチプレクサー730が吐出停止処理信号DIe2を選択している場合に、駆動信号選択回路200に入力されるヘッド制御信号DIoの一例を示す図である。図22に示すように、マルチプレクサー730が吐出停止処理信号DIe2を選択している場合、駆動信号選択回路200には、設定情報SP00,SP01,SP02,SP03,SP10,SP11,SP12,SP13,SP20,SP21,SP22,SP23のそれぞれが、“0”“0”“0”“0”“0”“0”“0”“0”“0”“0”“0”“0”である波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが入力される。したがって、制御ロジック回路260に含まれる選択制御信号生成部262は、波形選択信号SPに基づいて、選択制御信号Q0[SP00,SP01,SP02,SP03]=[0,0,0,0]と、選択制御信号Q1[SP10,SP11,SP12,SP13]=[0,0,0,0]と、選択制御信号Q2[SP20,SP21,SP22,SP23]=[0,0,0,0]と、を生成しデコーダー226に出力する。
【0196】
図23は、図22に示す波形選択信号SPを含むヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路200に入力された場合におけるデコーダー226のデコード内容の具体例を示す図である。図23に示すように、吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoが駆動信号選択回路200に入力された場合、デコーダー226は、吐出データ[SIH,SIL]=[1,1]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[1,1]が入力された場合、吐出データ[SIH,SIL]=[1,0]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[1,0]が入力された場合、吐出データ[SIH,SIL]=[0,1]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、及び吐出データ[SIH,SIL]=[0,0]に対応するラッチデータ[LTa,LTb]=[0,1]が入力された場合、のいずれの場合であっても、期間t1,t2,t3においてL,L,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。
【0197】
すなわち、吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoは、吐出制御信号SIに含まれる上位吐出データSIH及び下位吐出データSILの論理レベルに依らず、期間t1,t2,t3を含む周期tpにおいて、駆動信号選択回路200が有するm個の選択回路230の全てを非導通に制御する信号である。このような吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoは、例えば、液体吐出装置1の動作を停止するための停止処理が実行される期間において、m個の吐出部600が有する圧電素子60の一端への駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTの供給を停止し、圧電素子60の一端の電圧値を直前の電圧値で保持するために用いられる。すなわち、吐出停止処理信号DIe2、及び吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoは、駆動信号選択回路200が駆動信号COMをプリントヘッド30が有する吐出部600に供給しないように制御するための信号である。
【0198】
以上のような吐出停止処理信号DIe1,DIe2は、液体吐出装置1が停止処理を実行する期間において、マルチプレクサー730によって選択される。そして、マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIoとして吐出停止処理信号DIe1を選択している場合、駆動信号選択回路200は、吐出制御信号SIに含まれる上位吐出データSIH及び下位吐出データSILの論理レベルに依らず、対応するm個の吐出部600の全てに駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給されるように制御する。これより、m個の吐出部600が有するm個の圧電素子60の全ての一端の電圧値が、共通の値に制御される。その後、マルチプレクサー730がヘッド制御信号DIoとして吐出停止処理信号DIe2を選択することで、駆動信号選択回路200は、吐出制御信号SIに含まれる上位吐出データSIH及び下位吐出データSILの論理レベルに依らず、対応するm個の吐出部600の全てに駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給されないように制御する。これにより、駆動信号選択回路200に対応するm個の吐出部600のそれぞれに含まれる圧電素子60の一端の電圧値は、直前に供給されていた信号の電圧値で保持される。その結果、液体吐出装置1の停止処理が完了した後であっても、圧電素子60の一端に供給される電圧値が不定となるおそれが低減し、圧電素子60に意図しない応力が継続して加わるおそれが低減する。これにより、圧電素子60にクラック等の損傷が生じるおそれが低減し、圧電素子60を含む吐出部600からのインクの吐出精度が低下するおそれが低減する。
【0199】
1.7 液体吐出装置の動作とマルチプレクサーの動作との関係
ここで、吐出制御回路52が有するマルチプレクサー730が、ヘッド制御信号DIi、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2の選択を切り替える切替タイミングを、液体吐出装置1の動作に関連付けて説明する。図24は、液体吐出装置1の動作とマルチプレクサー730の動作との関係を説明するための図である。
【0200】
図24に示すように、時刻T10以前において、電圧検出回路18は、Hレベルの電圧検出信号Vdetを出力している。すなわち、時刻T10以前において、液体吐出装置1には、正常な電圧値の商用電圧VACが供給されている。このとき、液体吐出装置1に外部機器から画像データDATAが入力されると、液体吐出装置1は、媒体Pに入力される画像データDATAに応じた画像の形成を開始する。すなわち、液体吐出装置1は、画像形成処理を開始する。
【0201】
具体的には、時刻T10以前において、電圧検出回路18は、Hレベルの電圧検出信号Vdetを出力する。電圧検出回路18が出力するHレベルの電圧検出信号Vdetは、少なくとも、ヘッド制御回路110、及び吐出制御回路52に入力される。
【0202】
ヘッド制御回路110は、Hレベルの電圧検出信号Vdetが入力されている期間において、図11に示すような台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMを生成するための基駆動信号dAiと、画像データDATAに基づくヘッド制御信号DIiと、を含む複数の信号を生成し、吐出制御回路52に出力する。
【0203】
吐出制御回路52は、入力される基駆動信号dAiを伝搬し、基駆動信号dAoとして駆動信号出力回路54に出力する。駆動信号出力回路54は、入力される基駆動信号dAoに基づいて、台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMを生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0204】
また、吐出制御回路52は、Hレベルの電圧検出信号Vdetが入力されている時刻T10以前の期間において、入力されるヘッド制御信号DIiをヘッド制御信号DIoとして出力する。具体的には、電圧検出信号Vdetは、吐出制御回路52が有するプロセッサー710に入力される。プロセッサー710は、入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルの場合、ヘッド制御信号DIiをヘッド制御信号DIoとして選択するための信号選択信号Sel-tを生成し、マルチプレクサー730に出力する。これにより、マルチプレクサー730は、ヘッド制御回路110が出力するヘッド制御信号DIiをヘッド制御信号DIoとして選択し、プリントヘッド30に出力する。
【0205】
すなわち、電圧検出回路18がHレベルの電圧検出信号Vdetを出力する時刻T10以前において、プリントヘッド30には、台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMと、ヘッド制御信号DIiに基づくヘッド制御信号DIoと、を含む複数の信号が入力される。これにより、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200は、入力されるヘッド制御信号DIiに基づくヘッド制御信号DIoに応じて、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択信号Sを生成し、対応する選択回路230に出力する。その結果、駆動信号選択回路200は、複数の吐出部600のそれぞれに対応した駆動信号VOUTを出力する。これにより、画像データDATAに応じた画像が、媒体Pに形成される。
【0206】
すなわち、電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、マルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIiをヘッド制御信号DIoとして選択し、吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIiに基づくヘッド制御信号DIoを出力する。
【0207】
そして、時刻T10において、液体吐出装置1への商用電圧VACの供給が停止、若しくは商用電圧VACの電圧値が低下すると、電圧検出回路18は、電圧検出信号Vdetの論理レベルをLレベルとする。これにより、液体吐出装置1は、停止処理を開始する。
【0208】
具体的には、時刻T10において、液体吐出装置1への商用電圧VACの供給が停止、若しくは商用電圧VACの電圧値が低下すると、電圧検出回路18は、Lレベルの電圧検出信号Vdetを生成し、ヘッド制御回路110、及び吐出制御回路52に出力する。
【0209】
ヘッド制御回路110は、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力されると、電圧値が電圧Vcで一定となる駆動信号COMを生成するための基駆動信号dAiを生成し、吐出制御回路52に出力する。吐出制御回路52は、入力される基駆動信号dAiを伝搬し、基駆動信号dAoとして駆動信号出力回路54に出力する。これにより、駆動信号出力回路54は、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMを出力する。このとき、ヘッド制御回路110は、駆動信号COMの電圧値が電圧Vcに向かい徐々に変化するような基駆動信号dAiを生成し、出力することが好ましい。すなわち、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値は、電圧Vcに向かい徐々に変化することが好ましく、その後、電圧Vcで一定となる。
【0210】
また、吐出制御回路52は、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力された後、所定期間Δtが経過した時刻T20の後、ラッチ信号LAToが立ち上がる時刻T30において、吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIoとして出力する。具体的には、電圧検出信号Vdetは、吐出制御回路52が有するプロセッサー710に入力される。また、プロセッサー710には、ラッチ信号LAToも入力される。プロセッサー710は、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力された後、所定期間Δtが経過した後、最初にラッチ信号LAToが立ち上がったタイミングにおいて、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIoとして選択するための信号選択信号Sel-tを、マルチプレクサー730に出力する。これにより、マルチプレクサー730は、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe1を、ヘッド制御信号DIoとして選択し、プリントヘッド30に出力する。
【0211】
ここで、所定期間Δtは、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値が電圧Vcで一定になるまで待機する待機期間に相当する。そのため、所定期間Δtは、時刻T10から駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値が電圧Vcで一定となるまでの期間よりも長い期間に設定される。したがって、時刻T20において、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値は、電圧Vcで一定となる。
【0212】
時刻T30の後、ラッチ信号LAToが立ち上がる時刻T40において、吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoが、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200において一斉にラッチされる。その結果、駆動信号選択回路200は、吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoに応じて、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230の全てを導通に制御する選択信号Sを生成し、対応する選択回路230に出力する。これにより、時刻T40において、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一方の電極には、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給される。
【0213】
複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230の全てが導通に制御された後の時刻T50において、ヘッド制御回路110は、電圧値が基準電圧信号VBSの電圧値と同等の電圧値の電圧Vbで一定となる駆動信号COMを生成するための基駆動信号dAiを生成し、吐出制御回路52に出力する。吐出制御回路52は、入力される基駆動信号dAiを伝搬し、基駆動信号dAoとして駆動信号出力回路54に出力する。これにより、駆動信号出力回路54は、電圧値が電圧Vbで一定の駆動信号COMを出力する。このとき、ヘッド制御回路110は、駆動信号COMの電圧値が電圧Vbに向かい徐々に変化するような基駆動信号dAiを生成し、出力する。すなわち、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値は、電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化し、その後、電圧Vbで一定となる。
【0214】
ここで、駆動信号COMの電圧値が電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化する時刻T40において、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230は、全てが導通に制御されている。したがって、時刻T50において、駆動信号COMの電圧値が電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化すると、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一端の電圧値も、電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化する。そして、駆動信号COMの電圧値が電圧Vbで一定となることで、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一端の電圧値も、電圧Vbで一定となる。このとき、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが供給されている。すなわち、時刻T50において、圧電素子60の電極611の電圧値は、圧電素子60の電極612の電圧値に近づくように変化する。
【0215】
また、時刻T40において、吐出制御回路52は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIoとして出力する。具体的には、プロセッサー710は、時刻T30の後、入力されるラッチ信号LAToが立ち上がった時刻T40において、吐出停止信号出力回路720が出力する吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIoとして選択するための信号選択信号Sel-tを生成し、マルチプレクサー730に出力する。これにより、マルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2を、ヘッド制御信号DIoとして選択し、プリントヘッド30に出力する。
【0216】
そして、時刻T40及び時刻T50の後、ラッチ信号LAToが立ち上がる時刻T60において、吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoが、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200において一斉にラッチされる。その結果、駆動信号選択回路200は、吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoに応じて、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230の全てを非導通に制御する選択信号Sを生成し、対応する選択回路230に出力する。これにより、駆動信号選択回路200は、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTを複数の吐出部600に供給しないように制御される。その結果、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一方の電極には、直前の電圧値である電圧Vbが保持される。
【0217】
すなわち、電圧検出信号Vdetの論理レベルがLレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、マルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIoとして選択し、吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COMを対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoを出力する。
【0218】
以上のように動作する第1実施形態の液体吐出装置1では、液体吐出装置1への電源電圧である商用電圧VACの供給が停止した場合、メイン制御回路14及びヘッド制御回路110の制御に依らず、吐出制御回路52が駆動信号選択回路200の選択回路230を非導通に制御する。
【0219】
すなわち、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIi1をヘッド制御信号DIo1として選択し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi1に基づくヘッド制御信号DIo1を出力し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがLレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo1として選択し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COM1を対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIo1を出力する。
【0220】
また、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIinをヘッド制御信号DIonとして選択し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIinに基づくヘッド制御信号DIonを出力し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがLレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIonとして選択し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COMnを対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIonを出力する。
【0221】
ここで、メイン制御回路14とヘッド制御回路110とを含む構成が第1制御回路の一例であり、メイン制御回路14が設けられたメイン制御回路基板12とヘッド制御回路110が設けられた吐出制御回路基板100とを含む構成が第1基板の一例であり、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52が第2制御回路の一例であり、液体吐出モジュール20-1が有する駆動信号出力回路54が第1駆動回路の一例であり、液体吐出モジュール20-1が有するプリントヘッド30が第1吐出ヘッドの一例であり、液体吐出モジュール20-1が有するプリントヘッド30の吐出部600が第1吐出部の一例であり、液体吐出モジュール20-1が有するプリントヘッド30の駆動信号選択回路200が第1切替回路の一例であり、液体吐出モジュール20-1が有する駆動回路基板700が第2基板の一例である。また、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52が第3制御回路の一例であり、液体吐出モジュール20-nが有する駆動信号出力回路54が第2駆動回路の一例であり、液体吐出モジュール20-nが有するプリントヘッド30が第2吐出ヘッドの一例であり、液体吐出モジュール20-nが有するプリントヘッド30の吐出部600が第2吐出部の一例であり、液体吐出モジュール20-nが有するプリントヘッド30の駆動信号選択回路200が第2切替回路の一例であり、液体吐出モジュール20-nが有する駆動回路基板700が第3基板の一例である。また、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれる吐出停止信号出力回路720が非吐出信号出力回路の一例であり、マルチプレクサー730が吐出制御信号選択回路の一例である。
【0222】
そして、電圧検出信号Vdetが状態情報信号の一例であり、ヘッド制御信号DIi1が第1吐出制御信号の一例であり、ヘッド制御信号DIo1が第2吐出制御信号の一例であり、ヘッド制御信号DIinが第3吐出制御信号の一例であり、ヘッド制御信号DIonが第4吐出制御信号の一例であり、基駆動信号dAi1が第1基駆動信号の一例であり、基駆動信号dAo1が第2基駆動信号の一例であり、基駆動信号dAinが第3基駆動信号の一例であり、基駆動信号dAonが第4基駆動信号の一例であり、駆動信号COM1が第1駆動信号の一例であり、駆動信号COMnが第2駆動信号の一例であり、吐出停止処理信号DIe2が非吐出制御信号の一例であり、商用電圧VACが電源電圧の一例である。
【0223】
1.8 作用効果
以上のように第1実施形態の液体吐出装置1は、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACが正常であって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52には、Hレベルの電圧検出信号Vdetが入力される。そして、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52にHレベルの電圧検出信号Vdetが入力されている期間において、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIi1をヘッド制御信号DIo1として選択する。これにより、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi1に基づくヘッド制御信号DIo1を出力し、画像形成処理が実行される。
【0224】
一方で、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACが正常でなく、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52には、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力される。そして、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52にLレベルの電圧検出信号Vdetが入力されることで、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo1として選択する。これにより、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COM1を対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIo1を出力する。すなわち、停止処理が実行される。
【0225】
以上のように、第1実施形態の液体吐出装置1では、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの状態が正常である場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、媒体Pにインクが吐出されるように、プリントヘッド30を制御し、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの状態が異常である場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、媒体Pにインクが吐出されないように、プリントヘッド30を制御する。すなわち、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、液体吐出装置1に供給される商用電圧VACの状態が正常でない場合に実行される液体吐出装置1に停止処理の一部であって、プリントヘッド30からのインクの吐出を停止させるための処理を担う。換言すれば、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、液体吐出装置1が動作を停止する停止処理の少なくとも一部を実行する。これにより、液体吐出装置1の全体の動作を制御するメイン制御回路14、及びヘッド制御回路110の処理負担が軽減する。その結果、液体吐出装置1が有するノズル数が増加した場合であっても、メイン制御回路14、及びヘッド制御回路110に動作遅延等が生じるおそれが低減し、液体吐出装置1における停止処理を短時間で実行することができる。
【0226】
ここで、第1実施形態では、吐出制御回路52が停止処理を実行するトリガーとして、液体吐出装置1に供給される商用電圧VACの電圧値の異常の有無を示す情報を含む電圧検出信号Vdetを用いて説明を行ったが、吐出制御回路52が停止処理を実行するトリガーは、液体吐出装置1に供給される商用電圧VACの電圧値の異常の有無を示す情報を含む電圧検出信号Vdetに限るものではなく、液体吐出装置1の過電圧異常の有無、過電流異常の有無、及び温度異常の有無などの情報であってもよい。
【0227】
しかしながら、吐出制御回路52は、第1実施形態に示すように、液体吐出装置1の状態を示す情報としての液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常の有無の情報を含む電圧検出信号Vdetに基づいて、停止処理を実行することが好ましい。
【0228】
液体吐出装置1に商用電圧VACの供給が停止した場合、液体吐出装置1は、液体吐出装置1に蓄えられた電荷が放出するまでの短時間で停止処理を完了する必要がある。仮に、液体吐出装置1の停止処理に時間を要し、停止処理の実行中に液体吐出装置1が停止した場合、停止期間における液体吐出装置1の状態が不定となり、その結果、液体吐出装置1に意図しない異常が生じる可能性がある。これに対して、第1実施形態の液体吐出装置1に示すように、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報を含む電圧検出信号Vdetに基づいて、吐出制御回路52が停止処理の一部を実行することで、液体吐出装置1の全体の動作を制御するメイン制御回路14、及びヘッド制御回路110の処理負担が軽減し、停止処理に要する時間を短くすることができるが故に、商用電圧VACの供給が停止した場合であっても、液体吐出装置1が停止処理の実行中に停止するおそれが低減し、その結果、停止期間における液体吐出装置1の状態が不定となるおそれが低減し、液体吐出装置1に意図しない異常が生じるおそれがさらに低減する。
【0229】
さらに、第1実施形態の液体吐出装置1は、n個の液体吐出モジュール20を有する。そして、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACが正常であって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52には、Hレベルの電圧検出信号Vdetが入力される。そして、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52にHレベルの電圧検出信号Vdetが入力されている期間において、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIinをヘッド制御信号DIonとして選択する。これにより、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIinに基づくヘッド制御信号DIonを出力し、画像形成処理が実行される。
【0230】
一方で、液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACが正常でなく、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52には、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力される。そして、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52にLレベルの電圧検出信号Vdetが入力されることで、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIonとして選択する。これにより、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COMnを対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIonを出力する。すなわち、停止処理が実行される。
【0231】
すなわち、第1実施形態の液体吐出装置1が、n個の液体吐出モジュール20を有する場合であっても、n個の液体吐出モジュール20のそれぞれが有する吐出制御回路52が、個別に対応する駆動信号選択回路200が駆動信号COMを対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoを出力することで、停止処理を実行する。これにより、第1実施形態の液体吐出装置1が、n個の液体吐出モジュール20を有する場合であっても、n個の液体吐出モジュール20のそれぞれが有する吐出制御回路52が並行して停止処理を実行することができ、その結果、液体吐出装置1が有するノズル数が増加し、液体吐出装置1が有する液体吐出モジュール20の数が増加した場合であっても、メイン制御回路14、及びヘッド制御回路110に動作遅延等が生じるおそれが低減するとともに、液体吐出装置1における停止処理を短時間で実行することができる。
【0232】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態の液体吐出装置1について説明する。第2実施形態の液体吐出装置1は、液体吐出モジュール20が有する吐出制御回路52の構成が第1実施形態の液体吐出装置1と異なる。なお、第2実施形態の液体吐出装置1を説明するにあたり、第1実施形態の液体吐出装置1と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略、又は簡略する。
【0233】
図25は、第2実施形態の吐出制御回路52の構成を示す図である。図25に示すように、第2実施形態の液体吐出装置1が有する吐出制御回路52は、第1実施形態の吐出制御回路52が有する構成に加えて、定圧基駆動信号出力回路740と、マルチプレクサー750と、をさらに含む。
【0234】
第2実施形態の液体吐出装置1において、吐出制御回路52が有するプロセッサー710には、電圧検出信号Vdetとラッチ信号LATiとが入力される。そして、プロセッサー710は、第1実施形態の吐出制御回路52と同様に、マルチプレクサー730-1~730-4のそれぞれにおける信号選択を制御する信号選択信号Sel-tを生成し、対応するマルチプレクサー730-1~730-4に出力する。また、プロセッサー710は、電圧検出信号Vdetとラッチ信号LATiとに基づいて、マルチプレクサー750における信号選択を制御する信号選択信号Sel-cを生成し、後述するマルチプレクサー750に出力するとともに、後述する定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcを制御するための出力電圧値制御信号Tvを生成し、定圧基駆動信号出力回路740に出力する。
【0235】
吐出停止信号出力回路720は、第1実施形態の吐出制御回路52と同様に、ラッチ信号LATiによって規定される周期tp毎に、クロック信号SCKiに同期した吐出停止処理信号DIe1,DIe2を生成し、マルチプレクサー730-1~730-4に出力する。マルチプレクサー730-1~730-4のそれぞれは、第1実施形態の吐出制御回路52と同様に、入力される信号選択信号Sel-tに従い、対応するヘッド制御信号DIi-1~DIi-4、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-1~DIo―4として出力する。
【0236】
定圧基駆動信号出力回路740には、出力電圧値制御信号Tv、及び基駆動信号dAiが入力される。定圧基駆動信号出力回路740は、駆動信号COMの電圧値が、入力される出力電圧値制御信号Tvによって規定される電圧値で一定となるように駆動信号出力回路54を制御するための定圧基駆動信号dAcを生成し、マルチプレクサー750に出力する。
【0237】
具体的には、定圧基駆動信号出力回路740は、入力される基駆動信号dAiに基づいて、現在の駆動信号COMの電圧値を算出する。そして、定圧基駆動信号出力回路740は、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値が、算出した現在の駆動信号COMの電圧値から、出力電圧値制御信号Tvによって規定される電圧値に徐々に変化するような定圧基駆動信号dAcを出力する。その後、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値が出力電圧値制御信号Tvで規定される電圧値となることで、定圧基駆動信号出力回路740は、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値が、出力電圧値制御信号Tvで規定される電圧値で一定となるような定圧基駆動信号dAcを生成し、出力する。すなわち、吐出制御回路52は、駆動信号出力回路54から出力される駆動信号COMの電圧値を一定電圧値に制御する定圧基駆動信号dAcを出力する定圧基駆動信号出力回路740を有する。
【0238】
マルチプレクサー750には、吐出制御回路52に入力される基駆動信号dAiと、定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcと、プロセッサー710が出力する信号選択信号Sel-cと、が入力される。マルチプレクサー750は、入力される信号選択信号Sel-cに従い、基駆動信号dAi、及び定圧基駆動信号dAcを選択し、基駆動信号dAoとして出力する。すなわち、吐出制御回路52は、基駆動信号dAiと、定圧基駆動信号dAcと、が入力され、基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして出力するのか、定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAoとして出力するのか、を選択するマルチプレクサー750を有する。
【0239】
以上のように構成された第2実施形態の吐出制御回路52は、クロック信号SCKiをクロック信号SCKoとして出力し、ラッチ信号LATiをラッチ信号LAToとして出力し、チェンジ信号CHoをチェンジ信号CHoとして出力するとともに、電圧検出信号Vdetの論理レベルに基づいて、ヘッド制御信号DIi-1、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-1として出力し、ヘッド制御信号DIi-2、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-2として出力し、ヘッド制御信号DIi-3、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-3として出力し、ヘッド制御信号DIi-4、吐出停止処理信号DIe1、及び吐出停止処理信号DIe2のいずれかを選択し、ヘッド制御信号DIo-4として出力し、基駆動信号dAi、及び定圧基駆動信号dAcの一方を選択し、基駆動信号dAoとして出力する。
【0240】
次に、第2実施形態における吐出制御回路52の動作を、液体吐出装置1の動作に関連付けて説明する。図26は、第2実施形態の液体吐出装置1の動作とマルチプレクサー730の動作との関係を説明するための図である。
【0241】
図26に示すように、時刻T10以前において、電圧検出回路18は、Hレベルの電圧検出信号Vdetを出力している。このとき、液体吐出装置1に外部機器から画像データDATAが入力されると、液体吐出装置1は、媒体Pに入力される画像データDATAに応じた画像を形成する画像形成処理を開始する。具体的には、時刻T10以前において、電圧検出回路18は、Hレベルの電圧検出信号Vdetを出力する。電圧検出回路18が出力するHレベルの電圧検出信号Vdetは、少なくとも、ヘッド制御回路110、及び吐出制御回路52に入力される。
【0242】
吐出制御回路52は、Hレベルの電圧検出信号Vdetが入力されている時刻T10以前の期間において、第1実施形態と同様に、入力されるヘッド制御信号DIiをヘッド制御信号DIoとしてプリントヘッド30に出力する。
【0243】
また、吐出制御回路52は、Hレベルの電圧検出信号Vdetが入力されている時刻T10以前の期間において、入力される基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして出力する。具体的には、電圧検出信号Vdetは、吐出制御回路52が有するプロセッサー710に入力される。プロセッサー710は、入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルの場合、基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして選択するための信号選択信号Sel-cを生成し、マルチプレクサー750に出力する。これにより、マルチプレクサー750は、基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして選択し、駆動信号出力回路54に出力する。その結果、駆動信号出力回路54は、時刻T10以前の期間において、図11に示すような台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMを生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0244】
すなわち、電圧検出回路18がHレベルの電圧検出信号Vdetを出力する時刻T10以前において、プリントヘッド30には、台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMと、ヘッド制御信号DIiに基づくヘッド制御信号DIoと、を含む複数の信号が入力される。これにより、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200は、入力されるヘッド制御信号DIiに基づくヘッド制御信号DIoに応じて、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択信号Sを生成し、対応する選択回路230に出力する。その結果、駆動信号選択回路200は、複数の吐出部600のそれぞれに対応した駆動信号VOUTを出力する。これにより、画像データDATAに応じた画像が、媒体Pに形成される。
【0245】
すなわち、電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、マルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIiをヘッド制御信号DIoとして選択し、吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIiに基づくヘッド制御信号DIoを出力し、マルチプレクサー750は、基駆動信号dAiを基駆動信号dAoとして選択し、吐出制御回路52は、基駆動信号dAiに基づく基駆動信号dAiを出力する。
【0246】
そして、時刻T10において、液体吐出装置1への商用電圧VACの供給が停止、若しくは商用電圧VACの電圧値が低下すると、電圧検出回路18は、電圧検出信号Vdetの論理レベルをLレベルとする。これにより、液体吐出装置1は、停止処理を開始する。
【0247】
具体的には、時刻T10において、電圧検出回路18が、Lレベルの電圧検出信号Vdetを生成し、ヘッド制御回路110、及び吐出制御回路52に出力する。
【0248】
吐出制御回路52は、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力されたことで、定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAoとして出力する。具体的には、電圧検出信号Vdetは、吐出制御回路52が有するプロセッサー710に入力される。Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力された時刻T10において、プロセッサー710は、定圧基駆動信号出力回路740に、駆動信号COMの電圧値を電圧Vcで一定に制御するための定圧基駆動信号dAcを生成さるための出力電圧値制御信号Tvを生成し、定圧基駆動信号出力回路740に出力する。また、プロセッサー710は、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力された時刻T10において、定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAoとして選択するための信号選択信号Sel-cを生成し、マルチプレクサー750に出力する。これにより、マルチプレクサー750は、駆動信号COMの電圧値を電圧Vcで一定に制御するための定圧基駆動信号dAcを、基駆動信号dAoとして選択し、駆動信号出力回路54に出力する。したがって、駆動信号出力回路54は、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMをプリントヘッド30に出力する。このとき、吐出制御回路52が出力する基駆動信号dAoであって、定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcは、駆動信号COMの電圧値が電圧Vcに向かい徐々に変化するように、駆動信号出力回路54を制御する。すなわち、時刻T10において、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値は、電圧Vcに向かい徐々に変化し、その後、電圧Vcで一定となる。
【0249】
また、吐出制御回路52は、第1実施形態と同様に、Lレベルの電圧検出信号Vdetが入力された後、所定期間Δtが経過した時刻T20の後、ラッチ信号LAToが立ち上がる時刻T30において、吐出停止処理信号DIe1をヘッド制御信号DIoとして出力する。そして、時刻T30の後、ラッチ信号LAToが立ち上がる時刻T40において、吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoが、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200において一斉にラッチされる。その結果、駆動信号選択回路200は、吐出停止処理信号DIe1に基づくヘッド制御信号DIoに応じて、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230の全てを導通に制御する選択信号Sを生成し、対応する選択回路230に出力する。これにより、時刻T40において、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一方の電極には、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給される。
【0250】
複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230の全てが導通に制御された後の時刻T50において、プロセッサー710は、定圧基駆動信号出力回路740に、駆動信号COMの電圧値を電圧Vbで一定に制御するための定圧基駆動信号dAcを生成させるための出力電圧値制御信号Tvを生成し、定圧基駆動信号出力回路740に出力する。このとき、プロセッサー710は、定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAoとして選択するための信号選択信号Sel-cを生成し、マルチプレクサー750に出力している。したがって、マルチプレクサー750は、駆動信号COMの電圧値を電圧Vbで一定に制御するための定圧基駆動信号dAcを、基駆動信号dAoとして選択し、駆動信号出力回路54に出力する。これにより、駆動信号出力回路54は、電圧値が電圧Vbで一定の駆動信号COMを出力する。このとき、吐出制御回路52が出力する基駆動信号dAoであって、定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcは、駆動信号COMの電圧値が電圧Vbに向かい徐々に変化するように、駆動信号出力回路54を制御する。したがって、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値は、電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化し、その後、電圧Vbで一定となる。
【0251】
ここで、駆動信号COMの電圧値が電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化する時刻T40において、第1実施形態と同様に、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230は、全てが導通に制御されている。したがって、時刻T50において、駆動信号COMの電圧値が電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化すると、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一端の電圧値も、電圧Vcから電圧Vbに向かい徐々に変化し、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一端の電圧値は、電圧Vbで一定となる。このとき、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが供給されている。すなわち、時刻T50において、圧電素子60の電極611の電圧値は、圧電素子60の電極612の電圧値に近づくように変化する。
【0252】
また、第1実施形態と同様に、時刻T40において、吐出制御回路52は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIoとして出力する。これにより、マルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2を、ヘッド制御信号DIoとして選択し、プリントヘッド30に出力する。そして、時刻T40及び時刻T50の後、ラッチ信号LAToが立ち上がる時刻T60において、吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoが、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200において一斉にラッチされ、複数の吐出部600のそれぞれに対応する選択回路230の全てが非導通に制御される。すなわち、駆動信号選択回路200は、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTを複数の吐出部600に供給しないように制御され、複数の吐出部600のそれぞれが有する圧電素子60の一方の電極には、直前の電圧値である電圧Vbが保持される。
【0253】
すなわち、第2実施形態の液体吐出装置1では、電圧検出信号Vdetの論理レベルがLレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、マルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIoとして選択し、吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COMを対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIoを出力し、マルチプレクサー750は、駆動信号出力回路54に一定電圧値の駆動信号COMを出力させる定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAoとして選択し、吐出制御回路52は、駆動信号出力回路54に一定電圧値の駆動信号COMを出力させる定圧基駆動信号dAcに基づく基駆動信号dAoを出力する。
【0254】
以上のように動作する第2実施形態の液体吐出装置1では、液体吐出装置1への電源電圧である商用電圧VACの供給が停止した場合、メイン制御回路14及びヘッド制御回路110の制御に依らず、吐出制御回路52が駆動信号選択回路200の選択回路230を非導通に制御するとともに、駆動信号出力回路54から、台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む駆動信号COMの出力を停止する。
【0255】
すなわち、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIi1をヘッド制御信号DIo1として選択し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIi1に基づくヘッド制御信号DIo1を出力し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー750は、基駆動信号dAi1を基駆動信号dAo1として選択し、吐出制御回路52は、基駆動信号dAi1に基づく基駆動信号dAo1を出力する。
【0256】
一方で、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがLレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIo1として選択し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COM1を対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIo1を出力し、液体吐出モジュール20-1が有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー750は、駆動信号出力回路54に一定電圧値の駆動信号COM1を出力させる定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAo1として選択し、吐出制御回路52は、駆動信号出力回路54に一定電圧値の駆動信号COM1を出力させる定圧基駆動信号dAcに基づく基駆動信号dAo1を出力する。
【0257】
また、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがHレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれていない場合、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、ヘッド制御信号DIinをヘッド制御信号DIonとして選択し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、ヘッド制御信号DIinに基づくヘッド制御信号DIonを出力し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー750は、基駆動信号dAinを基駆動信号dAonとして選択し、吐出制御回路52は、基駆動信号dAinに基づく基駆動信号dAonを出力する。
【0258】
一方で、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に入力される電圧検出信号Vdetの論理レベルがLレベルであって、電圧検出信号Vdetに液体吐出装置1に供給される電源電圧である商用電圧VACの異常を示す情報が含まれている場合、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー730は、吐出停止処理信号DIe2をヘッド制御信号DIonとして選択し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52は、駆動信号選択回路200が駆動信号COMnを対応する吐出部600に供給しないように制御する吐出停止処理信号DIe2に基づくヘッド制御信号DIonを出力し、液体吐出モジュール20-nが有する吐出制御回路52に含まれるマルチプレクサー750は、駆動信号出力回路54に一定電圧値の駆動信号COMnを出力させる定圧基駆動信号dAcを基駆動信号dAonとして選択し、吐出制御回路52は、駆動信号出力回路54に一定電圧値の駆動信号COMnを出力させる定圧基駆動信号dAcに基づく基駆動信号dAonを出力する。
【0259】
以上のように構成された第2実施形態の液体吐出装置1では、液体吐出装置1が停止処理を実行する場合において、駆動信号出力回路54が出力する駆動信号COMの電圧値の制御も液体吐出モジュール20が有する吐出制御回路52が担う。これにより、液体吐出装置1の全体の動作を制御するメイン制御回路14、及びヘッド制御回路110の処理負担がさらに軽減する。その結果、液体吐出装置1が有するノズル数が増加した場合であっても、メイン制御回路14、及びヘッド制御回路110に動作遅延等が生じるおそれがさらに低減し、液体吐出装置1における停止処理をさらに短時間で実行することができる。
【0260】
ここで、第2実施形態の吐出制御回路52に含まれる定圧基駆動信号出力回路740が定電圧基駆動信号出力回路の一例であり、マルチプレクサー750が基駆動信号選択回路の一例であり、定圧基駆動信号出力回路740が出力する定圧基駆動信号dAcが定電圧基駆動信号の一例である。
【0261】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0262】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0263】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0264】
液体吐出装置の一態様は、
媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置であって、
第1吐出制御信号、第1基駆動信号、及び前記媒体の搬送を制御する搬送制御信号を出力する第1制御回路と、
前記第1吐出制御信号、前記第1基駆動信号、及び前記液体吐出装置の状態を示す状態情報信号が入力され、第2吐出制御信号、及び第2基駆動信号を出力する第2制御回路と、
前記第2基駆動信号に基づく第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第1制御回路が設けられた第1基板と、
前記第2制御回路、及び前記第1駆動回路が設けられた第2基板と、
前記第1駆動信号に応じて液体を吐出する第1吐出部と、前記第2吐出制御信号に基づいて前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給するか否かを切り替える第1切替回路と、を有する第1吐出ヘッドと、
を備え、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第2制御回路は、前記第1吐出制御信号に基づく前記第2吐出制御信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第2制御回路は、前記第1切替回路が前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給しないように制御する前記第2吐出制御信号を出力する。
【0265】
この液体吐出装置によれば、
媒体の搬送を制御する第1制御回路と独立した第2制御回路を有し、
状態情報信号に状態の異常を示す情報が含まれている場合、第2制御回路が、第1切替回路が第1駆動信号を第1吐出部に供給しないように制御する第2吐出制御信号を出力する。これにより、第2制御回路は、第1制御回路に依らず、液体吐出装置1の停止処理を実行することができる。すなわち、液体吐出装置における停止処理が第1制御回路と第2制御回路とに分散される。その結果、第1制御回路における停止処理の負荷が低減し、液体吐出装置が有するノズル数が増加した場合であっても、液体吐出装置の動作遅延や、当該処理を所定の時間内に完了できない等の問題が生じるおそれが低減する。
【0266】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記状態情報信号は、前記状態を示す情報として、前記液体吐出装置に供給される電源電圧の電圧値の情報を含んでもよい。
【0267】
電源電圧の供給が停止した場合は、特に短時間で停止処理が完了することが求められる。
【0268】
この液体吐出装置によれば、第1制御回路における停止処理の負荷が低減し、液体吐出装置が有するノズル数が増加した場合であっても、液体吐出装置の動作遅延や、当該処理を所定の時間内に完了できない等の問題が生じるおそれが低減するが故に、電源電圧の供給が停止した場合であっても、当該電源電圧によって蓄えられた電荷に基づいて短時間で停止処理を完了することができる。
【0269】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記第2基板と前記第1吐出ヘッドとは、BtoBコネクターによって電気的に接続されていてもよい。
【0270】
この液体吐出装置によれば、第2基板と第1吐出ヘッドとがBtoBコネクターによって電気的に接続されていることで、第2基板に設けられた第2制御回路が第1吐出ヘッドに出力する第2吐出制御信号、及び第2基駆動信号と、第1駆動回路が第1吐出ヘッドに出力する第1駆動信号と、はケーブルを介さずに第1吐出ヘッドに入力される。その結果、第1吐出ヘッドに入力される第2吐出制御信号、第2基駆動信号、及び第1駆動信号に、ケーブルに生じるインピーダンスの影響が寄与するおそれが低減し、第1吐出ヘッドに入力される第2吐出制御信号、第2基駆動信号、及び第1駆動信号の信号精度が向上する。その結果、第1吐出ヘッドから吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0271】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記第1基板と前記第2基板とは、フレキシブルフラットケーブルを介して電気的に接続されていてもよい。
【0272】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記第2制御回路は、
前記第1切替回路が前記第1駆動信号を前記第1吐出部に供給しないように制御する非吐出制御信号を出力する非吐出信号出力回路と、
前記第1吐出制御信号と前記非吐出制御信号とが入力され、前記第1吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として出力するのか、前記非吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として出力するのかを選択する吐出制御信号選択回路と、
を有し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記吐出制御信号選択回路は、前記第1吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として選択し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記吐出制御信号選択回路は、前記非吐出制御信号を前記第2吐出制御信号として選択してもよい。
【0273】
この液体吐出装置によれば、第1吐出制御信号を第2吐出制御信号として出力するのか、非吐出制御信号を第2吐出制御信号として出力するのかを選択的に制御することができ、停止処理を確実に実行することができる。
【0274】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第2制御回路は、前記第1基駆動信号に基づく前記第2基駆動信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第2制御回路は、前記第1駆動回路に一定電圧値の前記第1駆動信号を出力させる前記第2基駆動信号を出力してもよい。
【0275】
この液体吐出装置によれば、第2制御回路が第1駆動信号の停止処理も担うことで、第1制御回路における停止処理の負荷がさらに低減し、液体吐出装置が有するノズル数が増加した場合であっても、液体吐出装置の動作遅延や、当該処理を所定の時間内に完了できない等の問題が生じるおそれがさらに低減する。
【0276】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記第2制御回路は、
前記第1駆動回路から出力される前記第1駆動信号の電圧値を一定電圧値に制御する定電圧基駆動信号を出力する定電圧基駆動信号出力回路と、
前記第1基駆動信号と前記定電圧基駆動信号とが入力され、前記第1基駆動信号を前記第2基駆動信号として出力するのか、前記定電圧基駆動信号を前記第2基駆動信号として出力するのかを選択する基駆動信号選択回路と、
を有し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記基駆動信号選択回路は、前記第1基駆動信号を前記第2基駆動信号として選択し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記基駆動信号選択回路は、前記定電圧基駆動信号を前記第2基駆動信号として選択してもよい。
【0277】
この液体吐出装置によれば、第1基駆動信号を第2基駆動信号として出力するのか、定電圧基駆動信号を第2基駆動信号として出力するのかを選択的に制御することができ、停止処理を確実に実行することができる。
【0278】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記第1制御回路は、第3吐出制御信号、及び第3基駆動信号を出力し、
前記第3吐出制御信号、前記第3基駆動信号、及び前記状態情報信号が入力され、第4吐出制御信号、及び第4基駆動信号を出力する第3制御回路と、
前記第4基駆動信号に基づく第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第3制御回路、及び前記第2駆動回路が設けられた第3基板と、
前記第2駆動信号に応じて液体を吐出する第2吐出部と、前記第4吐出制御信号に基づいて前記第2駆動信号を前記第2吐出部に供給するか否かを切り替える第2切替回路と、を有する第2吐出ヘッドと、
を備え、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第3制御回路は、前記第3吐出制御信号に基づく前記第4吐出制御信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれている場合、前記第3制御回路は、前記第2切替回路が前記第2駆動信号を前記第2吐出部に供給しないように制御する前記第4吐出制御信号を出力してもよい。
【0279】
この液体吐出装置によれば、第2吐出ヘッドをさらに備える場合であっても、第2吐出ヘッドに対応する第3制御回路を有し、第2吐出ヘッドの停止処理の一部を第3制御回路が担うことで、第1吐出ヘッドの停止処理と第2吐出ヘッドの停止処理を並列して実行できるとともに、第1制御回路における停止処理の負荷がさらに低減する。その結果、液体吐出装置が有するノズル数が増加した場合であっても、液体吐出装置の動作遅延や、当該処理を所定の時間内に完了できない等の問題が生じるおそれがさらに低減する。
【0280】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第3制御回路は、前記第3基駆動信号に基づく前記第4基駆動信号を出力し、
前記状態情報信号に前記状態の異常を示す情報が含まれていない場合、前記第3制御回路は、前記第2駆動回路に一定電圧値の前記第2駆動信号を出力させる前記第4基駆動信号を出力してもよい。
【0281】
この液体吐出装置によれば、第2吐出ヘッドをさらに備える場合であっても、第2吐出ヘッドに対応する第3制御回路を有し、第2吐出ヘッドの停止処理の一部を第3制御回路が担うことで、第1吐出ヘッドの停止処理と第2吐出ヘッドの停止処理を並列して実行できるとともに、第1制御回路における停止処理の負荷がさらに低減する。その結果、液体吐出装置が有するノズル数が増加した場合であっても、液体吐出装置の動作遅延や、当該処理を所定の時間内に完了できない等の問題が生じるおそれがさらに低減する。
【符号の説明】
【0282】
1…液体吐出装置、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、4…搬送モーター、5…搬送ローラー、6…キャリッジモーター、7…キャリッジガイド軸、8…キャリッジ、9…液体容器、10…吐出制御モジュール、12…メイン制御回路基板、14…メイン制御回路、16…電源電圧出力回路、18…電圧検出回路、20…液体吐出モジュール、22,22a,22b…FFCケーブル、30…プリントヘッド、32…吐出モジュール、50…駆動回路モジュール、52…吐出制御回路、54…駆動信号出力回路、56…電圧変換回路、58…冷却ファン、60…圧電素子、72…ガイドレール、81…キャリッジ本体、82…キャリッジカバー、83…収容ケース、85…載置部、86…固定部、87…キャリッジ支持部、100…吐出制御回路基板、101…集積回路、110…ヘッド制御回路、120…冷却ファン駆動回路、150…中継基板、158…貫通孔、160…開口板、162…開口、170…ヒートシンク、175…熱伝導部材、180…ヒートシンク、185…熱伝導部材、200…駆動信号選択回路、210…選択制御回路、222a…第1レジスター、222b…第2レジスター、224a…第1ラッチ回路、224b…第2ラッチ回路、226…デコーダー、230…選択回路、232…インバーター、234…トランスファーゲート、260…制御ロジック回路、261…SP用レジスター群、262…選択制御信号生成部、270…選択信号出力部、310…ヘッドホルダー、315,316…フランジ、318…収容部、320…補強板、325…開口、330…固定板、335…開口、340…流路部材、350…ヘッドカバー、360…ヘッド基板、370…ヘッド中継基板、372,374,376…FPC、380…ヘッド中継基板、382,384,386…FPC、500…集積回路、510…変調回路、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…ゲートドライブ回路、521,522…ゲートドライバー、530…基準電圧信号出力回路、550…増幅回路、560…復調回路、570,572…帰還回路、590…基準電源回路、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、700…駆動回路基板、701,703,705,707…リジッド配線部材、709…フレキシブル配線部材、710…プロセッサー、720…吐出停止信号出力回路、730…マルチプレクサー、740…定圧基駆動信号出力回路、750…マルチプレクサー、C1~C5…コンデンサー、CN1,CN1a,CN1b,CN2,CN2a,CN2b…コネクター、D1…ダイオード、L1…インダクター、M1,M2…トランジスター、P…媒体、R1~R6…抵抗
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