(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097459
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】蛍光体ユニット、光源装置及びプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20240711BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240711BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240711BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240711BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240711BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240711BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
G03B21/14 A
H05K7/20 H
F21S2/00 311
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000917
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田林 孝介
(72)【発明者】
【氏名】門谷 典和
【テーマコード(参考)】
2K203
5E322
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203GA35
2K203HA30
2K203LA05
2K203LA28
2K203LA37
2K203LA38
2K203LA39
2K203MA12
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA05
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB03
5E322DA04
5E322DB09
5E322DB12
5E322DC01
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】蛍光体ホイールの冷却効率を高められる蛍光体ユニット、光源装置及びプロジェクターを提供する。
【解決手段】蛍光体ユニットは、蛍光体ホイールと、回転軸を中心とする周方向に沿って蛍光体ホイールを囲む周壁と、回転軸と交差して蛍光体ホイールと対向し、蛍光体ホイールから離間した受熱板と、受熱板に固定されて、周壁に囲まれた受熱フィンと、を備え、蛍光体ホイールは、第1面、及び、受熱板と対向する第2面を有し、回転軸を中心に回転する基板と、第1面に配置された波長変換部と、第2面に配置され、基板の回転により第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、気流に波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、受熱フィンは、蛍光体ホイールから周壁及び受熱板を介して蛍光体ホイールに循環する気流が流通し、流通する気流から受熱して受熱板に伝熱する複数の第2フィンを有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する蛍光体ホイールと、
前記回転軸を中心とする周方向に沿って前記蛍光体ホイールを囲む周壁と、
前記回転軸上にて前記回転軸と交差して前記蛍光体ホイールと対向し、前記蛍光体ホイールから離間した受熱板と、
前記受熱板に固定されて、前記周壁に囲まれた受熱フィンと、を備え、
前記蛍光体ホイールは、
第1面、及び、前記第1面とは反対側に設けられて前記受熱板と対向する第2面を有し、前記回転軸を中心に回転する基板と、
前記第1面に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する波長変換部と、
前記第2面に配置され、前記基板の回転により前記第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に前記波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、
前記受熱フィンは、前記蛍光体ホイールから前記周壁及び前記受熱板を介して前記蛍光体ホイールに循環する気流が流通し、流通する気流から受熱して前記受熱板に伝熱する複数の第2フィンを有する、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンのそれぞれは、前記受熱板から起立し、前記回転軸側の部分から前記周壁に向かって延在している、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に配置された複数の受熱板側フィンを含み、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に配置された複数の周壁側フィンを含み、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、
前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に配置された複数の周壁側フィンと、
前記複数の周壁側フィンに対する前記回転軸側に設けられ、前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に配置された複数の受熱板側フィンと、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させ、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の周壁側フィンのそれぞれは、前記回転軸を中心とする周方向に沿って配置され、
前記複数の受熱板側フィンのそれぞれは、前記回転軸を中心とする周方向に沿って配置され、
前記複数の周壁側フィンのフィン間ピッチは、前記複数の受熱板側フィンのフィン間ピッチよりも小さい、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の周壁側フィンのそれぞれは、前記回転軸側の端部から前記周壁に向かうに従って前記蛍光体ホイールの回転方向に傾斜し、
前記複数の周壁側フィンのうち1つの周壁側フィンの前記回転軸側の端部と前記回転軸とを結ぶ仮想線上に位置する前記蛍光体ホイールの外周縁における接線と、前記回転軸側の端部からの前記1つの周壁側フィンの延在方向との交差角は、35°以上、85°以下である、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項8】
請求項1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンのそれぞれは、前記回転軸に交差する面に沿って延在し、かつ、前記受熱板に重なるように前記回転軸に沿って配置されている、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の受熱板側フィンを含み、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を、前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項10】
請求項8に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の周壁側フィンを含み、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項11】
請求項8に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、
前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の周壁側フィンと、
前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の受熱板側フィンと、を含み、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させ、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を、前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項12】
回転軸を中心に回転する蛍光体ホイールと、
前記回転軸上にて前記回転軸と交差して前記蛍光体ホイールと対向し、前記蛍光体ホイールから離間した受熱板と、
前記受熱板に固定された受熱フィンと、を備え、
前記蛍光体ホイールは、
第1面、及び、前記第1面とは反対側に設けられて前記受熱板と対向する第2面を有し、前記回転軸を中心に回転する基板と、
前記第1面に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する波長変換部と、
前記第2面に配置され、前記基板の回転により前記第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に前記波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、
前記受熱フィンは、
受熱した熱を前記受熱板に伝熱する複数の第2フィンと、
前記回転軸に対して前記複数の第2フィンの外側に位置する周壁部と、を有し、
前記蛍光体ホイールから流れる気流は、前記受熱フィンの前記周壁部及び前記複数の第2フィンを介して前記蛍光体ホイールに循環する、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項13】
請求項1又は請求項12に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱板は、ベイパーチャンバーによって構成されている、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項14】
請求項1又は請求項12に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱板に対して前記蛍光体ホイールとは反対側に設けられ、前記受熱板に伝達された熱を放熱する放熱装置を備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項15】
請求項14に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱フィンと前記放熱装置とを接続するヒートパイプを備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項16】
請求項14に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱板と前記放熱装置との間に設けられた熱電変換素子を備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項17】
請求項14に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記放熱装置は、ヒートシンクを備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項18】
請求項14に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記放熱装置は、伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に伝達する、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【請求項19】
請求項1又は請求項12に記載の蛍光体ユニットと、
前記蛍光体ユニットに入射する励起光を出射する固体発光素子と、を備え、
前記蛍光体ユニットは、前記励起光が入射すると、前記励起光の波長を変換した蛍光を含む光を出射する、ことを特徴とする光源装置。
【請求項20】
請求項19に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を画像光に変調する光変調素子と、
前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光体ユニット、光源装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射された光を変調して画像光を形成し、形成した画像光を投射するプロジェクターが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターは、照明装置、リレー光学系、映像生成部、投写光学系及びキャビネットを備える。照明装置は、青色光を出射する複数の半導体レーザーと、蛍光体ホイール装置とを備える。
【0003】
蛍光体ホイール装置は、励起光を蛍光光に変換する蛍光体ホイールと、蛍光体ホイールを冷却する放熱構造と、を備える。
放熱構造は、蛍光体を有する蛍光体ホイールを収容する筐体と、波板状に形成された板部材を有する熱交換部と、筐体の内部にて空気流を発生させる回転フィンと、冷却ファンと、を備える。これらのうち、回転フィンは、蛍光体ホイールのホイールモーターにより、蛍光体ホイールとともに回転駆動される。
【0004】
このような蛍光体ホイール装置では、半導体レーザーから出射された青色光は、回転する蛍光体ホイールの2つの蛍光体領域に順次に入射する。一方の蛍光体領域は、入射する青色光によって励起されて緑色光を出射し、他方の蛍光体領域は、入射する青色光によって励起されて赤色光を出射する。
また、蛍光体ホイールとともに回転する回転フィンは、半径方向に気流を発生し、筐体の内部で空気の流れを発生させる。蛍光体ホイールにて加熱された空気は、熱交換部の内面に当たって、蛍光体ホイールの熱の一部が熱交換部に伝導する。冷却ファンは、熱交換部の外面に向けて空気流を発生させて熱交換部を冷却する。これにより、熱交換部の板部材における内面から外面への熱交換が促進されて、筐体内の空気が冷却され、ひいては、蛍光体ホイールが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の蛍光体ホイール装置では、板部材が波板状に形成されているため、蛍光体ホイールにて加熱された筐体内の空気は、板部材の凹部内に入り込み、板部材の内面に熱を伝達する。しかしながら、凹部の先には空気の通過経路が存在しないため、凹部内に入り込んだ空気は、冷却された後も凹部内に滞留しやすいという問題がある。すなわち、筐体内の空気流の循環が効率よく行われず、蛍光体ホイールの冷却効率が低いという問題がある。
このため、蛍光体ホイールの冷却効率を高められる構成が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る蛍光体ユニットは、回転軸を中心に回転する蛍光体ホイールと、前記回転軸を中心とする周方向に沿って前記蛍光体ホイールを囲む周壁と、前記回転軸上にて前記回転軸と交差して前記蛍光体ホイールと対向し、前記蛍光体ホイールから離間した受熱板と、前記受熱板に固定されて、前記周壁に囲まれた受熱フィンと、を備え、前記蛍光体ホイールは、第1面、及び、前記第1面とは反対側に設けられて前記受熱板と対向する第2面を有し、前記回転軸を中心に回転する基板と、前記第1面に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する波長変換部と、前記第2面に配置され、前記基板の回転により前記第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に前記波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、前記受熱フィンは、前記蛍光体ホイールから前記周壁及び前記受熱板を介して前記蛍光体ホイールに循環する気流が流通し、流通する気流から受熱して前記受熱板に伝熱する複数の第2フィンを有する。
【0008】
本開示の第2態様に係る蛍光体ユニットは、回転軸を中心に回転する蛍光体ホイールと、前記回転軸上にて前記回転軸と交差して前記蛍光体ホイールと対向し、前記蛍光体ホイールから離間した受熱板と、前記受熱板に固定された受熱フィンと、を備え、前記蛍光体ホイールは、第1面、及び、前記第1面とは反対側に設けられて前記受熱板と対向する第2面を有し、前記回転軸を中心に回転する基板と、前記第1面に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する波長変換部と、前記第2面に配置され、前記基板の回転により前記第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に前記波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、前記受熱フィンは、受熱した熱を前記受熱板に伝熱する複数の第2フィンと、前記回転軸に対して前記複数の第2フィンの外側に位置する周壁部と、を有し、前記蛍光体ホイールから流れる気流は、前記受熱フィンの前記周壁部及び前記複数の第2フィンを介して前記蛍光体ホイールに循環する。
【0009】
本開示の第3態様に係る光源装置は、上記第1又は第2態様に係る蛍光体ユニットと、前記蛍光体ユニットに入射する励起光を出射する固体発光素子と、を備え、前記蛍光体ユニットは、前記励起光が入射すると、前記励起光の波長を変換した蛍光を含む光を出射する。
【0010】
本開示の第4態様に係るプロジェクターは、上記第3態様に係る光源装置と、前記光源装置からの光を画像光に変調する光変調素子と、前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るプロジェクターの構成を示す模式図。
【
図4】第1実施形態に係る蛍光体ホイールを示す図。
【
図5】第1実施形態に係る波長変換装置を示す断面図。
【
図6】第1実施形態に係る受熱フィンを示す斜視図。
【
図7】第1実施形態に係る受熱フィンを示す平面図。
【
図9】第1実施形態に係るカバー部材を取り外した状態の光源装置を示す斜視図。
【
図10】第1実施形態に係る蛍光体ユニットを示す断面図。
【
図11】第2実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットを示す断面図。
【
図12】第2実施形態に係る受熱フィンを示す斜視図。
【
図13】第2実施形態に係る受熱フィンを示す平面図。
【
図14】第2実施形態に係る波長変換装置を示す断面図。
【
図15】第2実施形態に係る放熱フィン及び周壁側フィンを示す断面図。
【
図16】第2実施形態に係る交差角γと複数の周壁側フィンを通過して受熱フィンを周壁に向かって流通する気流の流速との関係を示すグラフ。
【
図17】第2実施形態に係る交差角γと波長変換部の表面温度との関係を示すグラフ。
【
図18】第2実施形態の変形に係る蛍光体ユニットの受熱フィンを示す平面図。
【
図19】第3実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットの受熱フィンを示す平面図。
【
図20】第3実施形態に係る受熱フィンを示す断面図。
【
図21】第4実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットを示す断面図。
【
図22】第5実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットを示す斜視図。
【
図23】第5実施形態に係る蛍光体ユニットを示す断面図。
【
図24】各実施形態の変形に係る放熱装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、画像情報に応じた画像光を投射する。プロジェクター1は、
図1に示すように、外装筐体11と、外装筐体11に収容される画像投射装置2と、を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1の動作を制御する制御装置、プロジェクター1の電子部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1の冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
【0013】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置2は、入力される画像情報に応じた画像光を形成し、形成された画像光を投射する。画像投射装置2は、光源装置3、均一化光学系21、色分離光学系22、リレー光学系23、画像形成装置24、光学部品用筐体25及び投射光学装置26を備える。
【0014】
光源装置3は、均一化光学系21に照明光を出射する。光源装置3の構成については、後に詳述する。
均一化光学系21は、光源装置3から出射された照明光を均一化する。均一化された照明光は、色分離光学系22及びリレー光学系23を経て、後述する光変調素子243の変調領域を照明する。均一化光学系21は、2つのレンズアレイ211,212、偏光変換素子213及び重畳レンズ214を備える。
色分離光学系22は、均一化光学系21から入射される照明光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離光学系22は、2つのダイクロイックミラー221,222と、ダイクロイックミラー221によって分離された青色光を反射させる反射ミラー223と、を備える。
【0015】
リレー光学系23は、他の色光の光路よりも長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー光学系23は、入射側レンズ231、リレーレンズ233、反射ミラー232,234を備える。本実施形態では、リレー光学系23に赤色光を導くこととした。しかしながら、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、青色光をリレー光学系23に導く構成としてもよい。
【0016】
画像形成装置24は、入射される赤、緑及び青の各色光を変調し、変調された各色光を合成して、画像光を形成する。画像形成装置24は、入射される色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ241と、3つの入射側偏光板242と、3つの光変調素子243と、3つの出射側偏光板244と、1つの色合成光学系245と、を有する。
【0017】
光変調素子243は、光源装置3からの光を画像光に変調する。具体的に、光変調素子243は、入射側偏光板242から入射する色光を画像信号に応じて変調し、変調された色光を出射する。3つの光変調素子243は、赤色光を変調する光変調素子243R、緑色光を変調する光変調素子243G、及び、青色光を変調する光変調素子243Bを含む。光変調素子243としては、透過型の液晶パネルを例示できる。
【0018】
色合成光学系245は、光変調素子243R,243G,243Bによって変調された3つの色光を合成する。色合成光学系245によって合成された画像光は、投射光学装置26に入射する。本実施形態では、色合成光学系245は、略直方体状のクロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、複数のダイクロイックミラーによって構成されていてもよい。
【0019】
光学部品用筐体25は、上記した均一化光学系21、色分離光学系22、リレー光学系23及び画像形成装置24を内部に収容する。なお、画像投射装置2には、設計上の光軸Ax1が設定されており、光学部品用筐体25は、光軸Ax1における所定位置に均一化光学系21、色分離光学系22、リレー光学系23及び画像形成装置24を保持する。光源装置3及び投射光学装置26は、光軸Ax1における所定位置に配置される。
投射光学装置26は、画像形成装置24から入射する画像光をスクリーン等の被投射面に投射する。投射光学装置26は、例えば、図示しない複数のレンズと、複数のレンズを収容する鏡筒261と、を備える組レンズとすることができる。
【0020】
[光源装置の構成]
図2は、光源装置3を示す模式図である。
光源装置3は、画像形成装置24を照明する照明光を均一化光学系21に出射する。光源装置3は、
図2に示すように、光源用筐体31、光源32、アフォーカル光学素子33、第1位相差素子34、拡散透過素子35、光分離合成素子36、第2位相差素子37、第1集光素子38、拡散光学素子39、第2集光素子40、第3位相差素子41及び波長変換装置5Aを備える。
なお、光源用筐体31については、後に詳述する。
【0021】
光源装置3には、直線状に延出する光軸Ax2と、光軸Ax2に対して直交し、かつ、直線状に延出する光軸Ax3とが設定されている。光軸Ax3は、均一化光学系21にて光軸Ax1と重なる。
光源32、アフォーカル光学素子33、第1位相差素子34、拡散透過素子35、光分離合成素子36、第2位相差素子37、第1集光素子38及び拡散光学素子39は、光軸Ax2上に配置されている。
波長変換装置5A、第2集光素子40、光分離合成素子36及び第3位相差素子41は、光軸Ax3上に配置されている。
以下の説明では、互いに直交する三方向を+X方向、+Y方向及び+Z方向とする。本実施形態では、+X方向を、光軸Ax2に沿って光源32が光を出射する方向とし、+Z方向を、光軸Ax3に沿って光源装置3が照明光を出射する方向とする。図示を省略するが、+X方向とは反対方向を-X方向とし、+Y方向とは反対方向を-Y方向とし、+Z方向とは反対方向を-Z方向とする。
【0022】
[光源の構成]
光源32は、少なくとも1つの固体発光素子321を備え、少なくとも1つの固体発光素子321は、拡散光学素子39及び波長変換装置5Aに入射する光を+X方向に出射する。固体発光素子321は、励起光である青色光を出射する。例えば、固体発光素子321は、ピーク波長が440nmのレーザー光を出射するLD(Laser Diode)である。
光源32が出射する光は、光分離合成素子36に対するs偏光の青色光BLsである。しかしながら、これに限らず、光源32が出射する光は、光分離合成素子36に対するp偏光の青色光BLpであってもよく、s偏光とp偏光とが混在した青色光であってもよい。後者の場合、第1位相差素子34を省略できる。
【0023】
[アフォーカル光学素子の構成]
アフォーカル光学素子33は、光源32から+X方向に入射する青色光BLsの光束径を調整する。アフォーカル光学素子33は、入射する光を集光するレンズ331と、レンズ331によって集光された光束を平行化するレンズ332とにより構成されている。なお、アフォーカル光学素子33は無くてもよい。
【0024】
[第1位相差素子の構成]
第1位相差素子34は、レンズ331とレンズ332との間に設けられている。第1位相差素子34は、入射する青色光BLsの一部を青色光BLpに変換して、s偏光の青色光BLsとp偏光の青色光BLpとが含まれる光を出射する。第1位相差素子34は、回転装置によって、光軸Ax2に沿う回転軸を中心として回転されてもよい。この場合、第1位相差素子34の回転角に応じて、第1位相差素子34から出射される青色光におけるs偏光成分とp偏光成分との割合を調整できる。
【0025】
[拡散透過素子の構成]
拡散透過素子35は、レンズ332から-Z方向に入射する青色光BLp,BLsの照度分布を均一化する。拡散透過素子35を通過した青色光BLs,BLpは、光分離合成素子36に入射する。拡散透過素子35は、ホログラムを有する構成、複数の小レンズが光軸直交面に配列された構成、及び、光が通過する面が粗面である構成を例示できる。
なお、拡散透過素子35に代えて、一対のマルチレンズを有するホモジナイザー光学素子を採用してもよい。
【0026】
[光分離合成素子の構成]
光分離合成素子36は、入射する光を分離する光分離素子としての機能と、二方向から入射する光を合成する光合成素子としての機能と、を有する。
光分離合成素子36は、偏光ビームスプリッターであり、入射する光に含まれるs偏光成分とp偏光成分とを分離する。具体的に、光分離合成素子36は、s偏光成分を反射させ、p偏光成分を透過させる。また、光分離合成素子36は、s偏光成分及びp偏光成分のいずれの偏光成分であっても、所定波長以上の光を透過させる色分離特性を有する。従って、拡散透過素子35から光分離合成素子36に入射する青色光BLp,BLsのうち、p偏光の青色光BLpは、光分離合成素子36を+X方向に透過して、第2位相差素子37に入射する。一方、s偏光の青色光BLsは、光分離合成素子36にて-Z方向に反射されて、第2集光素子40に入射する。
なお、光分離合成素子36は、光源32から拡散透過素子35を介して入射される光のうち、一部の光を通過させ、残りの光を反射させるハーフミラーの機能と、拡散光学素子39から入射する青色光を反射し、波長変換装置5Aから入射し、かつ、青色光の波長よりも長い波長を有する蛍光を透過するダイクロイックミラーの機能と、を有するものであってもよい。この場合、第1位相差素子34を省略できる。
【0027】
[第2位相差素子の構成]
第2位相差素子37は、光分離合成素子36に対して+X方向に配置されている。すなわち、第2位相差素子37は、光分離合成素子36と第1集光素子38との間に配置されている。第2位相差素子37は、光分離合成素子36を+X方向に通過した青色光BLpを円偏光の青色光BLcに変換する。第2位相差素子37を+X方向に通過した青色光BLcは、第1集光素子38に入射する。
【0028】
[第1集光素子の構成]
第1集光素子38は、光分離合成素子36を+X方向に透過して第2位相差素子37から入射する青色光BLcを拡散光学素子39に集光する。また、第1集光素子38は、拡散光学素子39から-X方向に入射する光を平行化して第2位相差素子37に出射する。本実施形態では、第1集光素子38は、3つのレンズ381,382,383によって構成されているが、第1集光素子38を構成するレンズの数は問わない。
【0029】
[拡散光学素子の構成]
拡散光学素子39は、波長変換装置5Aから出射される蛍光YLと同様の拡散角で、入射する青色光BLcを拡散させる。具体的に、拡散光学素子39は、第1集光素子38から+X方向に入射する青色光BLcを-X方向に反射させて拡散させる。拡散光学素子39は、入射する青色光BLcをランバート反射させる反射素子である。なお、拡散光学素子39は、回転装置によって光軸Ax2と平行な回転軸を中心として回転されてもよい。
拡散光学素子39にて拡散された青色光BLcは、第1集光素子38を通過した後、第2位相差素子37に入射する。拡散光学素子39に入射した青色光BLcは、拡散光学素子39にて反射される際に、回転方向が反対方向の円偏光に変換される。このため、第1集光素子38を介して第2位相差素子37に入射する青色光BLcは、第2位相差素子37によって、s偏光の青色光BLsに変換される。そして、青色光BLsは、光分離合成素子36にて+Z方向に反射されて、第3位相差素子41に入射する。
【0030】
[第2集光素子の構成]
第2集光素子40は、光分離合成素子36にて-Z方向に反射された青色光BLsを波長変換装置5Aが有する蛍光体ホイール51の後述する波長変換部53に集光する。また、第2集光素子40は、波長変換部53から+Z方向に入射する蛍光YLを平行化し、平行化した蛍光YLを光分離合成素子36に出射する。本実施形態では、第2集光素子40は、3つのレンズ401,402,403によって構成されているが、第2集光素子40を構成するレンズの数は問わない。
【0031】
[波長変換装置の概略構成]
波長変換装置5Aは、光源用筐体31の後述する周壁311とともに、蛍光体ユニットPS1を構成する。すなわち、光源装置3は、蛍光体ユニットPS1を備える。
波長変換装置5Aは、第2集光素子40から入射する青色光BLsの波長を変換して蛍光YLを出射する蛍光体ホイール51を備える。蛍光体ホイール51は、いわゆる反射型の波長変換素子であり、励起光である青色光BLsの入射方向とは反対方向に蛍光YLを出射する。なお、波長変換装置5Aの構成は、後に詳述する。
【0032】
波長変換装置5Aから+Z方向に出射された蛍光YLは、第2集光素子40によって平行化された後、光分離合成素子36に入射する。上記のように、光分離合成素子36は、蛍光YLを透過する特性を有することから、光分離合成素子36に+Z方向に沿って入射する蛍光YLは、光分離合成素子36を透過して、第3位相差素子41に入射する。すなわち、光分離合成素子36から第3位相差素子41に入射する光は、青色光BLs及び蛍光YLが混在した白色光である。
【0033】
[第3位相差素子の構成]
第3位相差素子41は、光分離合成素子36から入射する青色光BLs及び蛍光YLを含む白色光をs偏光及びp偏光が混在する白色光に変換する。このように変換された白色光は、照明光LTとして+Z方向に出射されて、上記した均一化光学系21に入射する。
【0034】
[光源用筐体の構成]
光源用筐体31は、光源32、アフォーカル光学素子33、第1位相差素子34、拡散透過素子35、光分離合成素子36、第2位相差素子37、第1集光素子38、拡散光学素子39、第2集光素子40、第3位相差素子41及び波長変換装置5Aの一部を収容する。光源用筐体31は、塵埃等が内部に侵入しづらい密閉筐体である。
【0035】
[周壁の構成]
図3は、波長変換装置5Aの配置位置における光源用筐体31を示す断面図である。すなわち、
図3は、XY平面に沿う周壁311の断面を示す図である。
光源用筐体31は、
図2及び
図3に示すように、波長変換装置5Aの蛍光体ホイール51の周囲に配置されて、蛍光体ホイール51の回転軸Rxを中心とする周方向に沿って蛍光体ホイール51を囲む周壁311を有する。
周壁311は、蛍光体ユニットPS1の一部を構成する。周壁311の内縁は、
図3に示すように、青色光BLsの入射側から見て、蛍光体ホイール51の形状に合わせた円形状に形成されている。詳しくは後述するが、蛍光体ホイール51が回転すると、蛍光体ホイール51の回転軸Rx側の領域から蛍光体ホイール51の外側に向かって流通する気流が発生する。周壁311は、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流を折り返して、後述する受熱板57及び受熱フィン58に流通させる。
このような周壁311は、熱伝導率が高い金属によって構成されており、周壁311は、周壁311に接触した気流から受熱し、受熱した熱を周壁311の外面から放出する。
【0036】
[波長変換装置の構成]
波長変換装置5Aは、
図2及び
図3に示すように、蛍光体ホイール51を備える他、
図2に示すように、回転装置56を備える。
回転装置56は、例えばモーターによって構成され、蛍光体ホイール51の基板52を回転させる。回転装置56は、蛍光体ホイール51の中央に配置される。
【0037】
[蛍光体ホイールの構成]
蛍光体ホイール51は、光軸Ax3に沿う回転軸Rxを中心に回転装置56によって回転される。蛍光体ホイール51は、
図2及び
図3に示すように、基板52、波長変換部53及び反射部54を備える他、
図2に示す放熱フィン55を備える。
【0038】
[基板の構成]
基板52は、
図3に示すように、例えば円盤状に形成された板状体であり、回転装置56によって回転軸Rxを中心に回転される。基板52は、波長変換部53、反射部54及び放熱フィン55を支持する支持体として機能する他、波長変換部53にて発生した熱を放熱フィン55に伝達する熱伝達体として機能する。
基板52は、+Z方向を向く第1面521と、第1面521とは反対側に設けられる第2面522と、を有する。第2面522は、後述する受熱板57と対向する。
【0039】
[波長変換部及び反射部の構成]
波長変換部53は、
図2及び
図3に示すように、第1面521に配置されている。波長変換部53は、第2集光素子40から入射する励起光の波長を変換する蛍光体を含有する。すなわち、波長変換部53は、励起光である青色光BLsによって励起されて、青色光BLsの波長よりも長い波長を有する非偏光の蛍光YLを出射する。蛍光YLは、緑色光及び赤色光を含む光であり、更に光分離合成素子36に対するs偏光成分及びp偏光成分を含む光である。
波長変換部53は、
図3に示すように、回転軸Rxを中心とするリング状に形成されており、基板52が回転することによって、波長変換部53に対する青色光BLsの入射位置が移動する。これにより、波長変換部53に青色光BLsが局所的に入射し続けることが抑制され、波長変換部53の温度が局所的に上昇することが抑制される。なお、波長変換部53は、青色光BLsの入射によって発熱する。波長変換部53にて発生した熱のうち、一部の熱は、波長変換部53から直接放熱され、他の熱は、反射部54を介して基板52に伝達されて放熱される。
反射部54は、波長変換部53と第1面521との間に設けられ、波長変換部53から入射する光を+Z方向に反射する。なお、第1面521を反射面として利用可能な場合には、反射部54は無くてもよい。
【0040】
[放熱フィンの構成]
放熱フィン55は、
図2に示すように、第2面522に配置され、基板52とともに回転する。放熱フィン55には、基板52を介して波長変換部53の熱が伝達される。基板52が回転すると、放熱フィン55によって、-Z方向から見て第2面522の中央から外側に向かう気流が発生する。放熱フィン55は、発生した気流に波長変換部53から伝達された熱を放熱する。
【0041】
図4は、青色光BLsの入射側とは反対側から蛍光体ホイール51を見た図である。すなわち、
図4は、-Z方向から見た放熱フィン55を示す図である。
図4では、放熱フィン55を構成する複数の第1フィン551のうち、一部の第1フィン551についてのみ符号を付す。
放熱フィン55は、
図4に示すように、複数の第1フィン551を有する。
複数の第1フィン551のそれぞれは、回転軸Rx側の端部から蛍光体ホイール51の外側に向かって延在し、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って配置されている。詳述すると、複数の第1フィン551のそれぞれは、蛍光体ホイール51の外側に向かうに従って、蛍光体ホイール51の回転方向であるR1方向とは反対方向に湾曲している。
このような放熱フィン55が設けられた基板52がR1方向に回転すると、第2面522の中心側から基板52の外側に向かって流通する気流が発生する。
【0042】
[波長変換装置の他の構成]
図5は、YZ平面に沿う波長変換装置5Aの断面を示す図である。
波長変換装置5Aは、上記した蛍光体ホイール51及び回転装置56の他、
図5に示すように、受熱板57、受熱フィン58、熱電変換素子59及び放熱装置60を備える。すなわち、
図2及び
図5に示すように、蛍光体ユニットPS1は、周壁311、蛍光体ホイール51、回転装置56、受熱板57、受熱フィン58、熱電変換素子59及び放熱装置60を備える。
【0043】
[受熱板の構成]
受熱板57は、光源用筐体31に固定され、光源用筐体31を密閉する。受熱板57は、回転軸Rx上にて回転軸Rxと交差して蛍光体ホイール51と対向し、蛍光体ホイール51から離間して配置されている。受熱板57は、回転する蛍光体ホイール51の放熱フィン55に沿って流通して熱を帯びた気流から受熱する。詳述すると、受熱板57は、当該気流から直接受熱する他、受熱フィン58から伝達される熱を受熱する。受熱板57は、蛍光体ホイール51と対向する受熱面571と、受熱面571とは反対側の放熱面572と、配置部573と、を有する。
【0044】
受熱面571は、+Z方向を向く面であり、蛍光体ホイール51の第2面522と対向する。受熱面571には、受熱フィン58が設けられる。
放熱面572は、-Z方向を向く面である。放熱面572には、熱電変換素子59が接続される。
配置部573は、受熱面571の中央から受熱面571よりも蛍光体ホイール51側に突出した部分である。配置部573には、回転装置56が配置される。すなわち、受熱板57は、回転軸Rx上にて回転軸Rxと交差する。
受熱板57は、本実施形態では、ベイパーチャンバーによって構成されており、受熱面571に伝達された熱は、受熱板57の内部にて拡散し、放熱面572に伝達される。これにより、受熱面571にて受熱した熱を効率よく放熱面572に輸送できる。しかしながら、これに限らず、受熱板57は、例えば銅等の金属板であってもよい。
【0045】
[受熱フィンの構成]
図6は、受熱フィン58を+Z方向から見た斜視図である。
図7は、受熱フィン58を+Z方向から見た平面図である。
受熱フィン58は、
図6及び
図7に示すように、蛍光体ホイール51側から見て、内周縁及び外周縁のそれぞれが回転軸Rxを中心とする略円形状に形成されている。すなわち、受熱フィン58は、配置部573を避けるように、回転軸Rxを中心とするリング状に形成されている。
図3に示すように、回転軸Rxを中心とする受熱フィン58の外径は、回転軸Rxを中心とする蛍光体ホイール51の外径よりも大きい。
なお、+Z方向から見たときの受熱フィン58の中心は、蛍光体ホイール51の第2面522の中心を通る回転軸Rxと交差する。
【0046】
受熱フィン58は、
図5に示すように、回転軸Rxに沿う方向において受熱板57の受熱面571と放熱フィン55との間に設けられた複数の第2フィン581を有する。本実施形態では、複数の第2フィン581は、複数の受熱板側フィンに相当する。
複数の第2フィン581のそれぞれは、
図6及び
図7に示すように、回転軸Rxを中心とする周方向に配列されている。複数の第2フィン581のそれぞれは、受熱面571に接触した状態にて固定され、受熱面571から起立している。すなわち、複数の第2フィン581のそれぞれは、受熱面571と熱伝達可能に接続されている。
複数の第2フィン581のそれぞれは、回転軸Rx側の部分から周壁311に向かって延在している。詳述すると、複数の第2フィン581のそれぞれは、+Z方向から見て、受熱フィン58の外周縁に向かうに従って時計回りに傾くように直線状に延出している。
【0047】
複数の第2フィン581のフィン間には、気流が流通可能な隙間が形成されている。このため、蛍光体ホイール51の回転に伴って蛍光体ホイール51の外側に流通して周壁311にて折り返された気流は、複数の第2フィン581に流通し、複数の第2フィン581に沿って回転軸Rx側に流通する。すなわち、複数の第2フィン581のフィン間には、蛍光体ホイール51から周壁311及び受熱板57を介して蛍光体ホイール51に循環する気流が間を流通する。複数の第2フィン581は、フィン間を流通する気流から受熱し、受熱した熱を受熱板57に伝達する。これにより、蛍光体ホイール51の第2面522において負圧となる中央部分に流通する気流が冷却される。
【0048】
[熱電変換素子の構成]
図5に示す熱電変換素子59は、受熱板57と放熱装置60との間に配置され、受熱板57から伝達される熱を放熱装置60に輸送する。
熱電変換素子59は、受熱板57の放熱面572に接続される第1面591と、放熱装置60のヒートシンク601に接続される第2面592と、を有する。第1面591と第2面592とは、熱電変換素子59において互いに反対側の面である。
本実施形態では、熱電変換素子59は、ペルチェ素子によって構成されている。ペルチェ素子である熱電変換素子59では、第1面591は吸熱面として機能し、第2面592は放熱面として機能する。熱電変換素子59は、第1面591にて受熱板57から熱を積極的に吸熱し、第2面592を介して放熱装置60に放熱する。
なお、受熱板57から放熱装置60への熱伝達が良好であれば、熱電変換素子59は無くてもよい。この場合、放熱装置60は、受熱板57の放熱面572に熱伝達可能に接続される。
【0049】
[放熱装置の構成]
図8は、XZ平面に沿う放熱装置60の断面を示す図である。
放熱装置60は、受熱板57に対して蛍光体ホイール51とは反対側に設けられている。放熱装置60は、熱電変換素子59を介して受熱板57から伝達される熱を光源用筐体31の外部に放熱する。放熱装置60は、
図8に示すように、ヒートシンク601、ダクト602及び冷却ファン603を備える。
【0050】
[ヒートシンクの構成]
図9は、ダクト602を構成するカバー部材6023を取り外した状態の光源装置3を示す斜視図である。
図9においては、複数のフィン6011のうち、一部のフィン6011についてのみ符号を付す。
ヒートシンク601は、
図5及び
図8に示すように、熱電変換素子59の第2面592に熱伝達可能に接続され、
図8及び
図9に示すように、ダクト602内に設けられる。ヒートシンク601は、熱電変換素子59を介して受熱板57から伝達される熱を、ダクト602内を流通する冷却気体に伝達する。
【0051】
ヒートシンク601は、ダクト602内を流通する冷却気体の流通方向に沿って延出する複数のフィン6011を有する。具体的に、複数のフィン6011のそれぞれは、
図9に示すように、+X方向に沿って延出し、+Y方向に並んで配置されている。各フィン6011には、冷却ファン603によってダクト602内を流通する冷却気体が流通し、各フィン6011は、伝達された蛍光体ホイール51の熱を冷却気体に伝達する。
なお、ヒートシンク601の中央に設けられた凹部6012は、回転装置56を受熱板57に固定する図示しないねじを配置するための部分である。
【0052】
[ダクトの構成]
ダクト602は、
図8に示すように、冷却ファン603及びヒートシンク601を収容し、冷却ファン603によって流通する冷却気体をヒートシンク601に流通させる。ダクト602は、ダクト本体6021及びカバー部材6023を有する。
ダクト本体6021は、受熱板57に連結されている。ダクト本体6021は、-Z方向に開口する開口部6022を有する。なお、ダクト本体6021は、熱伝導性が良好な材料によって構成されており、ダクト本体6021は、受熱板57から伝達される熱の一部を放熱する。
カバー部材6023は、ダクト本体6021に取り付けられて、開口部6022を閉塞する板状体である。カバー部材6023における-X方向の部分には、ダクト602の外部の気体をダクト602内に導入する導入口6024が設けられている。
このようなダクト602は、ダクト本体6021とカバー部材6023とが組み合わされることによって形成される排出口6025を+X方向の端部に有する。
【0053】
[冷却ファンの構成]
冷却ファン603は、
図8及び
図9に示すように、ダクト602内に配置され、
図8に示した導入口6024を介してダクト602の外部の気体を吸引し、冷却気体としてダクト602内に送出する。冷却ファン603から+X方向に送出された冷却気体は、複数のフィン6011のフィン間を流通した後、排出口6025を介してダクト602の外部に排出される。なお、冷却ファン603は、ヒートシンク601に流通する冷却気体の流路における上流側ではなく下流側に配置されていてもよい。
【0054】
[蛍光体ユニットにおける気流及び熱の輸送]
図10は、-Z方向から見た蛍光体ユニットPS1の断面を示す図であり、蛍光体ユニットPS1における気流の流通方向と、蛍光体ホイール51にて発生した熱の伝達方向とを示す図である。
回転装置56によって蛍光体ホイール51が回転すると、
図10において矢印A1に示すように、放熱フィン55によって、蛍光体ホイール51の外側に向かって流通する気流が発生する。放熱フィン55は、複数の第1フィン551のフィン間を流通する気流に、基板52を介して波長変換部53から伝達された熱を伝達するため、放熱フィン55から蛍光体ホイール51の外側に流出した気流は、放熱フィン55からの熱を帯びる。
蛍光体ホイール51の外側に排出された気流は、矢印A2に示すように、周壁311の内面にて折り返され、第2面522と対向する受熱板57に流通する。受熱板57には受熱フィン58が設けられていることから、周壁311にて折り返された気流は、矢印A3に示すように、受熱フィン58を構成する複数の第2フィン581のフィン間を回転軸Rx側に流通する。このように流通する気流は、複数の第2フィン581によって受熱されて冷却される。回転軸Rx側に流通した気流は、回転する蛍光体ホイール51によって再び吸引され、矢印A1に示すように、放熱フィン55を介して蛍光体ホイール51の外側に流出される。
【0055】
一方、受熱フィン58にて受熱された熱は、矢印B1に示すように、受熱フィン58から受熱板57に伝達された後、熱電変換素子59を介して放熱装置60のヒートシンク601に伝達される。
ヒートシンク601には、矢印C1に示すように、冷却ファン603によって冷却気体が流通する。ヒートシンク601によって熱が伝達された冷却気体は、排出口6025を介してダクト602の外部、ひいては、光源用筐体31の外部に排出される。
これにより、蛍光体ホイール51の波長変換部53にて発生した熱が、光源用筐体31の外部に排出され、光源用筐体31内の温度、ひいては、波長変換部53の温度が低く維持される。
【0056】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、光源装置3と、光源装置3からの光を画像光に変調する光変調素子243と、画像光を投射する投射光学装置26と、を備える。
光源装置3は、蛍光体ユニットPS1と、蛍光体ユニットPS1に入射する励起光である青色光BLsを出射する固体発光素子321と、を備える。蛍光体ユニットPS1は、青色光BLsが入射すると、青色光BLsの波長を変換した蛍光YLを含む光を出射する。
【0057】
蛍光体ユニットPS1は、蛍光体ホイール51、周壁311、受熱板57及び受熱フィン58を備える。
蛍光体ホイール51は、回転軸Rxを中心に回転する。蛍光体ホイール51は、基板52、波長変換部53及び放熱フィン55を含む。
基板52は、第1面521と、第1面521とは反対側に設けられて受熱板57と対向する第2面522と、を有する。基板52は、回転軸Rxを中心に回転する。
波長変換部53は、第1面521に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する。
放熱フィン55は、第2面522に配置されている。放熱フィン55は、基板52の回転により第2面522の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に波長変換部53から伝達された熱を放熱する複数の第1フィン551を有する。
【0058】
周壁311は、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って蛍光体ホイール51を囲む。
受熱板57は、回転軸Rx上にて回転軸Rxと交差して蛍光体ホイール51と対向し、蛍光体ホイール51から離間して配置されている。
受熱フィン58は、受熱板57に固定されて、周壁311に囲まれている。受熱フィン58は、複数の第2フィン581を有する。
複数の第2フィン581には、蛍光体ホイール51から周壁311及び受熱板57を介して蛍光体ホイール51に循環する気流が流通する。複数の第2フィン581は、流通する気流から受熱して受熱板57に伝熱する。
【0059】
このような構成によれば、波長変換部53に含有された蛍光体は、入射する光の波長を変換する際に発熱する。蛍光体にて発生した熱のうち、一部の熱は基板52に伝達され、基板52に伝達された熱のうち、一部の熱は基板52を介して放熱フィン55に伝達する。
基板52が回転すると、基板52の第1面521の周囲の気体が波長変換部53に流通して、波長変換部53を冷却する。
また、基板52が回転すると、第2面522に設けられた放熱フィン55によって、第2面522の中心から外側に向かう方向の気流が発生する。発生した気流が複数の第1フィン551のフィン間に流通することによって、波長変換部53から基板52を介して複数の第1フィン551に伝達された熱が気流に伝達する。これにより、波長変換部53が更に冷却される。
【0060】
放熱フィン55を流通した気流は、蛍光体ホイール51の周囲に配置された周壁311によって折り返され、基板52の回転によって負圧となる第2面522の中央に向かって流通する。すなわち、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流は、周壁311及び受熱板57を介して、第2面522の中央へと循環する。循環する気流は、受熱板57に固定された受熱フィン58が有する複数の第2フィン581のフィン間を流通し、複数の第2フィン581は、気流から受熱する。複数の第2フィン581によって受熱された熱は、受熱板57に伝達される他、受熱板57も気流から受熱する。これにより、第2面522の中央に向かう気流が冷却される。そして、冷却された気流は、第2面522の中央側の領域から外側へと流通する過程にて放熱フィン55に再度流通する。
このように、受熱板57に固定された受熱フィン58によって、放熱フィン55に流通する気流の温度を低く維持できるので、波長変換部53の冷却効率を高めることができる。また、気流は、蛍光体ホイール51、周壁311及び受熱板57によって囲まれる空間を流通して放熱フィン55を冷却する。このため、波長変換部53の冷却構造をコンパクトに構成できる。
この他、波長変換部53の冷却効果が高いので、波長変換部53に入射する励起光の光量を高めることができる。従って、出射光量が大きい光源装置3を構成できる他、輝度が高い画像光を投射可能なプロジェクター1を構成できる。
【0061】
蛍光体ユニットPS1では、複数の第2フィン581のそれぞれは、受熱板57から起立している。複数の第2フィン581のそれぞれは、回転軸Rx側の部分から周壁311に向かって延在している。換言すると、複数の第2フィン581のそれぞれは、受熱フィン58の外周縁から回転軸Rxに向かって延在している。
このような構成によれば、蛍光体ホイール51、周壁311及び受熱板57によって囲まれる空間内を循環する気流の流通方向に沿って複数の第2フィン581を配置できる。これにより、複数の第2フィン581のフィン間に気流を流通させやすくすることができ、各第2フィン581によって気流の熱を受熱しやすくすることができる。従って、気流から受熱フィン58への熱の伝達効率を高めることができる。
【0062】
蛍光体ユニットPS1では、複数の第2フィン581は、回転軸Rxに沿う方向において受熱板57と放熱フィン55との間に配置された複数の受熱板側フィンに相当する。複数の第2フィン581には、放熱フィン55から蛍光体ホイール51の外側に流通した気流が周壁311にて折り返された後に流通し、複数の第2フィン581は、周壁311にて折り返された気流を回転軸Rx側に流通させる。
このような構成によれば、複数の第2フィン581が、放熱フィン55から外側に流通して周壁311にて折り返された気流から受熱できる。従って、気流を循環させながら、気流の熱を受熱板57に伝達して、蛍光体ホイール51を冷却できる。
【0063】
蛍光体ユニットPS1では、受熱板57は、ベイパーチャンバーによって構成されている。
このような構成によれば、放熱フィン55から気流及び受熱フィン58を介して受熱板57に伝達された熱は、ベイパーチャンバーである受熱板57の全体に拡散される。このため、受熱板57から放熱装置60に熱が局所的に伝達されることを抑制でき、受熱板57から放熱装置60に効率よく熱を伝達させることができる。従って、放熱装置60によって熱を効率よく放熱できる。
【0064】
蛍光体ユニットPS1は、受熱板57に対して蛍光体ホイール51とは反対側に設けられ、受熱板57に伝達された熱を放熱する放熱装置60を備える。
このような構成によれば、受熱板57に伝達された波長変換部53の熱を放熱装置60にて放熱できるので、波長変換部53の熱を速やかに放熱できる。従って、波長変換部53の冷却効率を高めることができる。
【0065】
蛍光体ユニットPS1は、受熱板57と放熱装置60との間に設けられた熱電変換素子59を備える。
このような構成によれば、熱電変換素子59によって、受熱板57から放熱装置60への熱伝達をアシストできる。従って、受熱板57から放熱装置60への熱伝達効率を高めることができ、ひいては、放熱装置60による波長変換部53の熱の放熱効率を高めることができる。
【0066】
蛍光体ユニットPS1では、放熱装置60は、ヒートシンク601を備える。
このような構成によれば、受熱板57に伝達された熱は、ヒートシンク601にて放熱される。このため、比較的簡易な構成で、放熱装置60を構成できる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、蛍光体ユニットが備える受熱フィンの構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
[プロジェクターの概略構成]
図11は、本実施形態に係る蛍光体ユニットPS2を示す断面図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る蛍光体ユニットPS1に代えて、
図11に示す蛍光体ユニットPS2を備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置3は、第1実施形態に係る蛍光体ユニットPS1に代えて蛍光体ユニットPS2を備える他は、第1実施形態に係る光源装置3と同様の構成及び機能を備える。
【0069】
[蛍光体ユニットの構成]
蛍光体ユニットPS2は、第1実施形態に係る受熱フィン58に代えて、
図11に示す受熱フィン61を備える他は、第1実施形態に係る蛍光体ユニットPS1と同様の構成及び機能を備える。具体的に、蛍光体ユニットPS2は、光源用筐体31の周壁311と、波長変換装置5Bとを備える。波長変換装置5Bは、
図11に示すように、蛍光体ホイール51、受熱板57及び受熱フィン61及び放熱装置60を備える他、
図11では図示しない回転装置56及び熱電変換素子59を備える。
【0070】
[受熱フィンの構成]
図12は、蛍光体ユニットPS2が備える受熱フィン61を示す斜視図である。
図13は、+Z方向から見た受熱フィン61を示す平面図である。
図12及び
図13においては、受熱フィン61を構成する複数の第2フィン611のうち、一部の第2フィン611についてのみ符号を付し、第2フィン611を構成する複数の周壁側フィン612及び複数の受熱板側フィン613のうち、一部の周壁側フィン612及び一部の受熱板側フィン613についてのみ符号を付す。
受熱フィン61は、
図12及び
図13に示すように、受熱板57に熱伝達可能に設けられている。受熱フィン61は、蛍光体ホイール51の放熱フィン55を流通した後の気流から受熱し、受熱した熱を受熱板57に伝達する複数の第2フィン611を有する。
複数の第2フィン611のそれぞれは、受熱板57から起立し、回転軸Rx側の部分から周壁311に向かって延在している。複数の第2フィン611は、蛍光体ホイール51の回転軸Rxを中心とする周方向に配列されている。
複数の第2フィン611は、複数の周壁側フィン612と、複数の受熱板側フィン613とを含む。本実施形態では、周壁側フィン612と受熱板側フィン613とは分離している。
【0071】
[周壁側フィンの構成]
図14は、XZ平面に沿う波長変換装置5Bの断面を示す図である。換言すると、
図14は、+Z方向における周壁側フィン612の位置と放熱フィン55の位置とを示す図である。なお、
図14においては、熱電変換素子59及び放熱装置60の図示を省略している。
複数の周壁側フィン612は、
図11に示すように、+Z方向から見て蛍光体ホイール51と周壁311との間に設けられている。すなわち、複数の周壁側フィン612は、回転軸Rxに直交する方向において蛍光体ホイール51と周壁311との間に設けられている。複数の周壁側フィン612は、
図14に示すように、受熱板57から+Z方向に起立しており、各周壁側フィン612における+Z方向の端部は、放熱フィン55における-Z方向の端部よりも+Z方向に配置されている。すなわち、周壁側フィン612と放熱フィン55は、回転軸Rxに直交する方向において互いに重なって配置されている。
複数の周壁側フィン612のそれぞれは、
図11及び
図13に示すように、回転軸Rxを中心とする周方向に並んでいる。そして、複数の周壁側フィン612のそれぞれは、+Z方向から見て回転軸Rx側の端部から周壁311に向かうに従って時計回りに傾斜するように直線状に延在している。すなわち、複数の周壁側フィン612のそれぞれは、回転軸Rx側の端部から周壁311側に向かうに従って蛍光体ホイール51の回転方向であるR1方向に傾斜するように直線状に延在している。
【0072】
各周壁側フィン612には、蛍光体ホイール51の回転によって発生する気流が流通する。具体的に、各周壁側フィン612における+Z方向の領域には、蛍光体ホイール51から外側に向かって流通する気流のうち、周壁311に到達する前の気流が流通する。
各周壁側フィン612における-Z方向の領域には、周壁311にて折り返された気流が流通する。このため、周壁側フィン612において、+Z方向の領域を流通する気流の流通方向と-Z方向の領域を流通する気流の流通方向とは、互いに反対方向である。
各周壁側フィン612は、流通する気流から受熱し、受熱した熱を受熱板57に伝達する。
【0073】
図15は、+Z方向に直交する面に沿う放熱フィン55及び周壁側フィン612の断面を示す図である。換言すると、
図15は、周壁側フィン612の延出方向を示す図である。
ここで、上記したように、放熱フィン55を構成する第1フィン551は、回転軸Rx側の端部から基板52の外側に向かうに従って、R1方向とは反対方向に湾曲しつつ延在している。このため、各第1フィン551のフィン間を通った気流は、蛍光体ホイール51の外周縁から回転軸Rxを中心とする放射状に流通しつつ、R1方向に巻き込むように流通する。
これに対し、各周壁側フィン612は、
図15に示すように、周壁側フィン612の内周側端部と回転軸Rxとを結ぶ仮想線VL1に対してR1方向に傾斜して延在している。周壁側フィン612の内周側端部とは、周壁側フィン612における回転軸Rx側の端部である。換言すると、各周壁側フィン612は、周壁側フィン612の内周側端部と回転軸Rxとを結ぶ仮想線VL1上の蛍光体ホイール51の外周縁における接線に対して蛍光体ホイール51の回転方向とは反対方向に傾斜して延出している。
【0074】
本実施形態では、仮想線VL1と1つの周壁側フィン612の延在方向とのなす角αを、0°≦α<90°としている。すなわち、1つの周壁側フィン612の内周側端部と回転軸Rxとを結ぶ仮想線VL1上に位置する蛍光体ホイール51の外周縁における接線TGと、当該1つの周壁側フィン612の延在方向との交差角γを、0°<γ≦90°としている。換言すると、接線TGに平行で、かつ、当該1つの周壁側フィン612の内周側端部を通る仮想線VL2と、当該1つの周壁側フィン612の延在方向との交差角γを、0°<γ≦90°としている。
より詳述すると、交差角γが35°≦γ≦85°を満たすように、好ましくは40°≦γ≦70°を満たすように、複数の周壁側フィン612は配置されている。
これらの範囲は、以下の実験結果に基づくものである。
【0075】
図16は、上記交差角γと複数の周壁側フィン612を通過して周壁311に向かって流通する気流の流速との関係を示すグラフである。
波長変換部53の表面温度は、放熱フィン55に円滑に低い温度の気流を流通させることによって低く維持できる。すなわち、蛍光体ホイール51の回転によって発生する気流が複数の周壁側フィン612を通過するときの流路抵抗を低くすることによって、円滑に気流を循環させることができ、ひいては、波長変換部53の表面温度を低く維持できる。
本件発明者は、このような知見に基づき、上記交差角γが異なる複数の周壁側フィン612を備える蛍光体ユニットPS2を複数構成し、蛍光体ホイール51を回転させたときに複数の周壁側フィン612を通過した気流の流速を測定する実験を行った。このような実験の結果を
図16に示す。
なお、実験における蛍光体ホイール51の単位時間当たりの回転数は、6000rpmとしている。この回転数は、蛍光体ホイール51の冷却効率を考慮した回転数である他、蛍光体ホイール51の単位時間当たりの回転数と光変調素子243の駆動周波数とが一致してフリッカが発生する場合を考慮した回転数である。
【0076】
図16の実験結果によると、上記交差角γが35°≦γ≦85°を満たす場合に、複数の周壁側フィン612を通過して周壁311に向かう気流の流速を高く維持でき、交差角γが40°≦γ≦70°を満たす場合に、当該気流の流速を更に高く維持できることが分かった。
【0077】
図17は、上記交差角γと波長変換部53の表面温度との関係を示すグラフである。
また、本件発明者は、上記交差角γが異なる複数の周壁側フィン612を備える蛍光体ユニットPS2を複数構成し、回転する蛍光体ホイール51に励起光を入射させたときの波長変換部53の表面温度を測定する実験を行った。このような実験の結果を
図17に示す。なお、実験における蛍光体ホイール51の単位時間当たりの回転数は、上記実験と同じ6000rpmである。
図17の実験結果によると、上記交差角γが35°≦γ≦85°を満たす場合に、波長変換部53の表面温度を低く維持でき、交差角γが40°≦γ70°を満たす場合に、波長変換部53の表面温度を更に低く維持できることが分かった。
これらの実験結果から、本実施形態における受熱フィン61では、上記交差角γが35°≦γ≦85°を満たすように、複数の周壁側フィン612が配置され、これにより、波長変換部53の冷却効率を高めている。
【0078】
[受熱板側フィンの構成]
図14に示すように、複数の受熱板側フィン613は、回転軸Rxに沿う方向において受熱板57と放熱フィン55との間に設けられている。複数の受熱板側フィン613は、
図12~
図14に示すように、+Z方向から見て複数の周壁側フィン612に対して回転軸Rx側の領域に設けられている。
複数の受熱板側フィン613は、複数の第2フィン581と同様の構成及び機能を備える。すなわち、複数の受熱板側フィン613のそれぞれは、回転軸Rx側の部分から周壁311に向かって延在しており、周壁311に向かうに従って時計周りに傾斜するように直線状に延出している。すなわち、複数の受熱板側フィン613のそれぞれは、回転軸Rx側の端部から周壁311に向かうに従ってR1方向に傾斜するように直線状に延在している。複数の受熱板側フィン613のそれぞれは、回転軸Rxを中心とする周方向に並んでいる。
各受熱板側フィン613には、周壁311にて折り返されて複数の周壁側フィン612を通過した気流が流通し、複数の受熱板側フィン613は、当該気流を回転軸Rx側に流通させる。各受熱板側フィン613は、流通する気流から受熱して、受熱した熱を受熱板57に伝達する。
【0079】
ここで、
図13に示すように、回転軸Rxを中心とする周方向における複数の周壁側フィン612のフィン間ピッチと、当該周方向における複数の受熱板側フィン613のフィン間ピッチとは異なる。詳述すると、複数の周壁側フィン612のフィン間ピッチは、複数の受熱板側フィン613のフィン間ピッチよりも小さい。本実施形態では、当該周方向における複数の周壁側フィン612のフィン間ピッチは、3.6°であるのに対し、当該周方向における複数の受熱板側フィン613のフィン間ピッチは、5.0°である。
このようなフィン間ピッチにて複数の周壁側フィン612と複数の受熱板側フィン613とが配置されていることによって、外周縁と回転軸Rxとの間の寸法が大きい複数の周壁側フィン612を、外周縁と回転軸Rxとの間の寸法が小さい複数の受熱板側フィン613よりも密に配置できる。従って、各フィン612,613における気流との接触面積を増大させつつ、気流の円滑な流通を実現させている。
【0080】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
蛍光体ユニットPS1では、複数の第2フィン611は、回転軸Rxに直交する方向において蛍光体ホイール51と周壁311との間に配置された複数の周壁側フィン612を含む。複数の周壁側フィン612は、蛍光体ホイール51側の周壁側フィン612を介して蛍光体ホイール51の外側に流通した気流を周壁311に流通させる。そして、周壁311は、気流を折り返して、受熱板57側の周壁側フィン612に流通させる。なお、蛍光体ホイール51側の周壁側フィン612は、周壁側フィン612における+Z方向の部分を指し、受熱板57側の周壁側フィン612は、周壁側フィン612における-Z方向の部分を指す。
このような構成によれば、受熱板57から起立する複数の周壁側フィン612の全体を利用して、放熱フィン55を流通した気流から効率よく受熱でき、放熱フィン55に流通する気流の温度を低下させることができる。従って、蛍光体ホイール51の冷却効率を高めることができる。
また、複数の周壁側フィン612によって、蛍光体ホイール51、周壁311及び受熱板57の間を循環する気流を円滑に循環させることができるも可能となる。
【0081】
蛍光体ユニットPS2では、複数の第2フィン611は、複数の周壁側フィン612と、複数の受熱板側フィン613と、を含む。
複数の周壁側フィン612は、回転軸Rxに直交する方向において蛍光体ホイール51と周壁311との間に配置されている。
複数の受熱板側フィン613は、複数の周壁側フィン612に対する回転軸Rx側に設けられ、回転軸Rxに沿う方向において受熱板57と放熱フィン55との間に配置されている。
複数の周壁側フィン612は、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流を周壁311に流通させ、複数の受熱板側フィン613は、周壁311にて折り返された気流を回転軸Rx側に流通させる。
このような構成によれば、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流は、複数の周壁側フィン612及び複数の受熱板側フィン613に流通した後、回転軸Rx側に流通するので、気流から効率よく受熱でき、蛍光体ホイール51に流通する気流の冷却効率、ひいては、波長変換部53の冷却効率を高めることができる。
【0082】
蛍光体ユニットPS2において、複数の周壁側フィン612のそれぞれは、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って配置され、複数の受熱板側フィン613のそれぞれは、回転軸Rxを中心とする周方向に沿って配置されている。複数の周壁側フィン612のフィン間ピッチは、複数の受熱板側フィン613のフィン間ピッチよりも小さい。
このような構成によれば、上記のように配置された複数の周壁側フィン612及び複数の受熱板側フィン613に、蛍光体ホイール51、周壁311及び受熱板57を循環する気流を円滑に流通させることができる。
また、複数の周壁側フィン612を複数の受熱板側フィン613の外側に密に配置できる。このため、周壁側フィン612と気流との接触面積を大きくでき、気流の冷却効率、ひいては、蛍光体ホイール51の冷却効率を高めることができる。
このため、蛍光体ユニットPS2の容積に対する波長変換部53の冷却効率が高いことから、波長変換部53の冷却構造を小型化できる。従って、蛍光体ユニットPS2の小型化、ひいては、蛍光体ユニットPS2が採用される光源装置3、更にはプロジェクター1の小型化に寄与できる。
【0083】
蛍光体ユニットPS2では、複数の周壁側フィン612のそれぞれは、回転軸Rx側の端部から周壁311に向かうに従って蛍光体ホイール51の回転方向に傾斜している。複数の周壁側フィン612のうち1つの周壁側フィン612の内周側端部と回転軸Rxとを結ぶ仮想線VL1上に位置する蛍光体ホイール51の外周縁における接線TGと、当該1つの周壁側フィン612の延在方向との交差角γは、35°以上、85°以下である。
このような構成によれば、放熱フィン55から蛍光体ホイール51の外側に流出した気流を、複数の周壁側フィン612のフィン間に効率よく流入させることができる。従って、複数の周壁側フィン612による気流からの受熱効率を高めることができる。
【0084】
[第2実施形態の変形]
上記した蛍光体ユニットPS2では、受熱フィン61は、複数の周壁側フィン612及び複数の受熱板側フィン613を含む複数の第2フィン611を備えるとした。そして、複数の周壁側フィン612と複数の受熱板側フィン613とは、分離されているとした。しかしながら、これに限らず、受熱フィン61を構成する複数の第2フィン611は、周壁側フィン612と受熱板側フィン613とが一体化されたフィンであってもよい。
【0085】
図18は、蛍光体ユニットPS2の変形である蛍光体ユニットPS2Aの受熱フィン61Aを+Z方向から見た平面図である。
具体的に、蛍光体ユニットPS2の変形である蛍光体ユニットPS2Aは、受熱フィン61に代えて、
図18に示す受熱フィン61Aを備える他は、蛍光体ユニットPS2と同様の構成及び機能を有する。
【0086】
受熱フィン61Aは、回転軸Rxを中心とする周方向に並んだ複数の第2フィン611Aを有し、複数の第2フィン611Aのそれぞれは、回転軸Rx側の端部から周壁311に向かうに従ってR1方向に傾斜して延在している。
このような各第2フィン611Aは、周壁側フィン612と受熱板側フィン613とが一体化されたフィンである。すなわち、複数の第2フィン611Aのそれぞれは、周壁側フィン部612Aと受熱板側フィン部613Aとを有する1つのフィンである。
このため、受熱フィン61Aの外周縁における複数の第2フィン611Aのフィン間ピッチと、内周縁における複数の第2フィン611Aのフィン間ピッチとは同じである。
このような蛍光体ユニットPS2Aを備えるプロジェクターによっても、上記した蛍光体ユニットPS2を備えるプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
【0087】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第2実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、受熱フィンが複数の周壁側フィン612を囲む周壁部を有する点で異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
[プロジェクターの概略構成]
図19は、本実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットPS3の受熱フィン62を+Z方向から見た平面図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、蛍光体ユニットPS1に代えて、
図19に示す蛍光体ユニットPS3を備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置3は、蛍光体ユニットPS1に代えて蛍光体ユニットPS3を備える他は、第1実施形態に係る光源装置3と同様の構成及び機能を備える。
【0089】
[蛍光体ユニットの構成]
蛍光体ユニットPS3は、第1実施形態に係る受熱フィン58に代えて、
図19に示す受熱フィン62を備える他は、第1実施形態に係る蛍光体ユニットPS1と同様の構成及び機能を備える。具体的に、蛍光体ユニットPS3は、波長変換装置5Cを備える。波長変換装置5Cは、第2実施形態に係る受熱フィン61に代えて受熱フィン62を備える他は、第2実施形態に係る波長変換装置5Bと同様の構成及び機能を備える。
すなわち、蛍光体ユニットPS3は、蛍光体ホイール51、回転装置56、受熱板57、受熱フィン62、熱電変換素子59及び放熱装置60を備える。
【0090】
[受熱フィンの構成]
受熱フィン62は、周壁部624を更に備える他は、第2実施形態に係る受熱フィン62と同様の構成及び機能を備える。詳述すると、受熱フィン62は、第2実施形態に係る複数の周壁側フィン612及び複数の受熱板側フィン613を含む複数の第2フィン611と、周壁部624と、を有し、複数の第2フィン611は、受熱した熱を受熱板57に伝熱する。
【0091】
[周壁部の構成]
周壁部624は、回転軸Rxに対して複数の第2フィン611の外側に位置する。周壁部624は、回転軸Rxを中心として複数の周壁側フィン612を囲むリング状に形成されており、光源用筐体31の周壁311よりも回転軸Rx側に配置されている。詳述すると、周壁部624は、+Z方向から見て複数の周壁側フィン612のそれぞれの外周側端部を接続するリング状に形成されている。+Z方向における周壁部624の寸法は、+Z方向における周壁側フィン612の寸法と略同じである。
周壁部624における-Z方向の端部は、受熱板57に接続されているが、受熱板57に接続されていなくてもよい。
周壁側フィン612における+Z方向の端部が、蛍光体ホイール51における第2面522によりも+Z方向に位置している場合、周壁部624は、複数の周壁側フィン612において+Z方向を向く部分間を接続してもよい。
【0092】
図20は、XZ平面に沿う受熱フィン62の断面を示す図である。なお、
図20では、周壁部624の機能を理解しやすくするために、周壁側フィン612及び受熱板側フィン613の一部の図示を省略している。
周壁部624は、
図20に示すように、第2実施形態に係る蛍光体ユニットPS2の周壁311と同様に、回転する蛍光体ホイール51から蛍光体ホイール51の外側に排出されて複数の周壁側フィン612間を流通した気流を折り返す。
【0093】
具体的に、蛍光体ホイール51が回転すると、矢印D1に示すように、放熱フィン55によって、回転軸Rx側から外側に向かう気流が発生する。蛍光体ホイール51の外側に流出された気流は、矢印D2に示すように、複数の周壁側フィン612における+Z方向の領域のフィン間を流通した後、周壁部624にて折り返される。折り返された気流は、複数の周壁側フィン612における-Z方向の領域のフィン間を回転軸Rx側に流通する。複数の周壁側フィン612のフィン間を流通した気流は、矢印D3に示すように、複数の受熱板側フィン613のフィン間を回転軸Rx側に流通する。そして、受熱フィン62の中央に流通した気流は、回転する蛍光体ホイール51によって再び吸引され、矢印D1に示すように、放熱フィン55を介して蛍光体ホイール51の外側に流出される。
このように、周壁部624が気流を折り返すことから、蛍光体ユニットPS3は、光源用筐体31の周壁311を備えなくてもよい。
【0094】
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第2実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
すなわち、蛍光体ユニットPS3は、蛍光体ホイール51、受熱板57及び受熱フィン62を備える。
蛍光体ホイール51は、回転軸Rxを中心に回転する。蛍光体ホイール51は、基板52、波長変換部53及び放熱フィン55を含む。
基板52は、第1面521と、第1面521とは反対側に設けられて受熱板57と対向する第2面522と、を有する。基板52は、回転軸Rxを中心に回転する。
波長変換部53は、第1面521に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する。
放熱フィン55は、第2面522に配置されている。放熱フィン55は、基板52の回転により第2面522の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に波長変換部53から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する。
【0095】
受熱板57は、回転軸Rx上にて回転軸Rxと交差して蛍光体ホイール51と対向する。受熱板57は、蛍光体ホイール51から離間している。
受熱フィン62は、受熱板57に固定されている。受熱フィン62は、周壁部624と、複数の第2フィン611と、を有する。
周壁部624は、複数の第2フィン611と、周壁部624と、を有する。
複数の第2フィン611は、受熱した熱を受熱板57に伝熱する。
周壁部624は、回転軸Rxに対して複数の第2フィン611の外側に位置する。
蛍光体ホイール51から流れる気流は、受熱フィン62の周壁部624及び複数の第2フィン611を介して蛍光体ホイール51に循環する。
【0096】
このような構成によれば、第2実施形態に係る蛍光体ユニットPS2と同様に、波長変換部53を効果的に冷却できる。
具体的に、放熱フィン55を流通して蛍光体ホイール51から流れる気流は、周壁部624及び複数の第2フィン611を介して蛍光体ホイール51に循環する。循環する気流は、受熱板57に固定された受熱フィン62が有する複数の第2フィン611に流通し、複数の第2フィン611は、気流から受熱する。複数の第2フィン611によって受熱された熱は、受熱板57に伝達される他、受熱板57も気流から受熱する。これにより、放熱フィン55に流通する気流が冷却される。このように、受熱板57に固定された受熱フィン62によって、放熱フィン55に流通する気流の温度を低く維持できるので、波長変換部53の冷却効率を高めることができる。
また、放熱フィン55に流通する気流は、蛍光体ホイール51、周壁部624及び複数の第2フィン611によって囲まれる空間を循環して放熱フィン55を冷却する。このため、蛍光体ユニットPS3の容積に対する波長変換部53の冷却効率が高いことから、波長変換部53の冷却構造を小型化できる。従って、蛍光体ユニットPS3の小型化、ひいては、蛍光体ユニットPS3が採用される光源装置3、更にはプロジェクター1の小型化に寄与できる。
なお、上記した第2実施形態の変形例に係る蛍光体ユニットPS2Aと同様に、受熱フィン62を構成する複数の第2フィン611のそれぞれは、周壁側フィン部及び受熱板側フィン部を有し、周壁側フィン612と受熱板側フィン613とが一体化されたフィンであってもよい。
【0097】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第3実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、熱輸送素子であるヒートパイプを更に備える点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0098】
[プロジェクターの概略構成]
図21は、本実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットPS4のXZ平面に沿う断面を示す図である。なお、
図21では、放熱装置60を構成するダクト602及び冷却ファン603の図示を省略している。
本実施形態に係るプロジェクターは、蛍光体ユニットPS1に代えて、
図21に示す蛍光体ユニットPS4を備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置3は、蛍光体ユニットPS1に代えて蛍光体ユニットPS4を備える他は、第1実施形態に係る光源装置3と同様の構成及び機能を備える。
【0099】
[蛍光体ユニットの構成]
蛍光体ユニットPS4は、
図21に示すように、複数のヒートパイプ63を更に備える他は、第3実施形態に係る蛍光体ユニットPS3と同様の構成及び機能を備える。具体的に、蛍光体ユニットPS4は、周壁311と波長変換装置5Dとを備える。波長変換装置5Dは、蛍光体ホイール51、回転装置56、受熱板57、受熱フィン62、熱電変換素子59及び放熱装置60を備える他、複数のヒートパイプ63を備える。
【0100】
複数のヒートパイプ63は、受熱フィン62と放熱装置60とを接続し、受熱フィン62によって気流から受熱された熱の一部を、放熱装置60に輸送する。
詳述すると、複数のヒートパイプ63のそれぞれは、受熱板57及び熱電変換素子59を回転軸Rxに沿って貫通している。各ヒートパイプ63の一端は、受熱フィン62に接続され、ヒートパイプ63の他端は、放熱装置60のヒートシンク601に接続されている。
なお、各ヒートパイプ63は、受熱フィン62を構成する複数の第2フィン611のフィン間に露出して配置されており、複数の第2フィン611のフィン間を流通する気流から受熱する。
【0101】
複数のヒートパイプ63は、複数の第1ヒートパイプ631と、複数の第2ヒートパイプ632と、を含む。
複数の第1ヒートパイプ631のそれぞれは、受熱フィン62を構成する複数の周壁側フィン612のうち少なくとも1つの周壁側フィン612と接続される。第1ヒートパイプ631は、少なくとも1つの周壁側フィン612にて受熱された熱のうち、一部の熱をヒートシンク601に輸送する。この他、第1ヒートパイプ631は、複数の周壁側フィン612のフィン間を流通する気流から受熱した熱を、ヒートシンク601に輸送する。
複数の第2ヒートパイプ632のそれぞれは、受熱フィン62を構成する複数の受熱板側フィン613のうち少なくとも1つの受熱板側フィン613と接続される。第2ヒートパイプ632は、少なくとも1つの受熱板側フィン613にて受熱された熱のうち、一部の熱をヒートシンク601に輸送する。この他、第2ヒートパイプ632は、複数の受熱板側フィン613のフィン間を流通する気流から受熱した熱を、ヒートシンク601に輸送する。
【0102】
[第4実施形態の効果]
本実施形態に係るプロジェクターは、第3実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
蛍光体ユニットPS4では、受熱フィン62と放熱装置60とを接続するヒートパイプ63を備える。
このような構成によれば、受熱フィン62にて気流から受熱した熱を、受熱板57を介して放熱装置60に伝達するだけでなく、受熱フィン62から放熱装置60にヒートパイプ63を介して伝達できる。従って、受熱フィン62にて受熱した熱を効率よく放熱装置60に伝達できる。
なお、蛍光体ユニットPS4は、熱電変換素子59を備えていなくてもよい。
また、蛍光体ユニットPS4は、受熱フィン62に代えて、第1実施形態に係る受熱フィン58、又は、第2実施形態に係る受熱フィン61を備えていてもよい。
【0103】
[第5実施形態]
次に、本開示の第5実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクターと同様の構成を備えるが、蛍光体ユニットにおける受熱フィンの構成及び配置が異なる他、ヒートパイプが設けられている点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
[プロジェクターの概略構成]
図22は、本実施形態に係るプロジェクターが備える蛍光体ユニットPS5を示す斜視図であり、
図23は、XZ平面に沿う蛍光体ユニットPS5の断面を示す図である。なお、
図22及び
図23においては、ダクト602及び冷却ファン603の図示を省略し、
図21においては、更に周壁311の図示を省略している。
本実施形態に係るプロジェクターは、蛍光体ユニットPS1に代えて、
図22及び
図23に示す蛍光体ユニットPS5を備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源装置3は、蛍光体ユニットPS1に代えて蛍光体ユニットPS5を備える他は、第1実施形態に係る光源装置3と同様の構成及び機能を備える。
【0105】
[蛍光体ユニットの構成]
蛍光体ユニットPS5は、周壁311及び波長変換装置5Eを備え、第1~第4実施形態に係る蛍光体ユニットPS1~PS4と同様の機能を備える。
波長変換装置5Eは、受熱フィン58、熱電変換素子59及び放熱装置60に代えて、受熱フィン64、ヒートパイプ65及び放熱装置66を備える他は、蛍光体ユニットPS1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置5Eは、蛍光体ホイール51、回転装置56、受熱板57、受熱フィン64、ヒートパイプ65及び放熱装置66を備える。
【0106】
[受熱フィンの構成]
受熱フィン64は、受熱フィン58,61,62,と同様に、蛍光体ホイール51から外側に流通する気流から受熱する。詳しくは後述するが、受熱フィン64は、ヒートパイプ65によって受熱板57に固定されている。
受熱フィン64は、回転軸Rxに直交する方向に延在し、かつ、受熱板57と重なるように回転軸Rxに沿って配置された複数の第2フィン641を備える。
複数の第2フィン641は、複数の周壁側フィン642と、複数の受熱板側フィン643と、を含む。各周壁側フィン642と各受熱板側フィン643とは、
図22に示すように、+Z方向から見てリング状に形成され、
図23に示すように、平板状に形成されている。
【0107】
複数の周壁側フィン642は、
図22及び
図23に示すように、回転軸Rxに直交する方向において蛍光体ホイール51と周壁311との間に配置され、回転軸Rxに沿う方向に並んで配置されている。すなわち、複数の周壁側フィン642は、周壁311の内側で、かつ、蛍光体ホイール51を囲む。複数の周壁側フィン642は、
図23に示すように、回転軸Rxに沿う+Z方向において、蛍光体ホイール51の第2面522と放熱フィン55において受熱板57と対向する面55Aとの間に設けられている。
蛍光体ホイール51の回転に伴って放熱フィン55から蛍光体ホイール51の外側に流通した気流は、複数の周壁側フィン642のフィン間を流通して、各周壁側フィン642によって受熱された後、周壁311に向かって流通する。
本実施形態では、周壁側フィン642は、2つ設けられている。
【0108】
複数の受熱板側フィン643は、
図23に示すように、回転軸Rxに沿う+Z方向において放熱フィン55の面55Aと受熱板57の受熱面571との間に配置されている。複数の受熱板側フィン643は、周壁311にて折り返された気流を、回転軸Rx側に流通させる。複数の受熱板側フィン643は、回転軸Rx側に流通する気流が複数の受熱板側フィン643のフィン間を流通する過程にて、気流から受熱する。
なお、各受熱板側フィン643は、-Z方向から見て放熱フィン55と重なる内側領域6431と、放熱フィン55よりも外側に配置された外側領域6432と、を有する。このような外側領域6432が、受熱板側フィン643に設けられていることにより、受熱板側フィン643の表面積を拡大でき、ひいては、気流との接触面積を拡大できる。
本実施形態では、受熱板側フィン643は、5つ設けられている。
【0109】
[放熱装置の構成]
説明の便宜上、ヒートパイプ65より先に放熱装置66について説明する。
放熱装置66は、ヒートパイプ65から伝達される熱を光源用筐体31の外部にて放熱する。放熱装置66は、
図22及び
図23に示すように、ヒートシンク661を備える他、
図22及び
図23では図示を省略するが、第1実施形態に係るダクト602及び冷却ファン603を備える。
ヒートシンク661は、回転軸Rxに直交する板状のフィン6611が回転軸Rxに沿って複数配置された構成を有する。すなわち、複数のフィン6611のフィン間には、冷却ファン603から送出されてダクト602内を流通する冷却気体が、+X方向に沿って流通可能である。複数のフィン6611は、フィン間を+X方向に沿って流通する冷却気体に、ヒートパイプ65から伝達される熱を伝達する。
【0110】
[ヒートパイプの構成]
ヒートパイプ65は、第4実施形態に係るヒートパイプ63と同様に、受熱フィン64と放熱装置66とを接続する。詳述すると、ヒートパイプ65は、受熱フィン64の各第2フィン641と放熱装置66のヒートシンク661とを熱伝達可能に接続する。ヒートパイプ65は、複数の第2フィン641によって受熱された熱をヒートシンク661に輸送する。
【0111】
本実施形態では、ヒートパイプ65は、複数設けられている。複数のヒートパイプ65のそれぞれは、回転軸Rxに沿って延在し、受熱板57を貫通している。複数のヒートパイプ65は、
図23に示すように、複数の第1ヒートパイプ651と、複数の第2ヒートパイプ652と、を含む。
各第1ヒートパイプ651における+Z方向の端部は、各周壁側フィン642と、各受熱板側フィン643の外側領域6432とに接続され、受熱板57を回転軸Rxに沿って貫通している。換言すると、第1ヒートパイプ651は、受熱板57に周壁側フィン642及び受熱板側フィン643を固定する支柱として機能する。各第1ヒートパイプ651における-Z方向の端部は、ヒートシンク661の各フィン6611と接続されている。
各第2ヒートパイプ652における+Z方向の端部は、各受熱板側フィン643の内側領域6431に接続され、受熱板57を回転軸Rxに沿って貫通している。換言すると、第2ヒートパイプ652は、受熱板57に受熱板側フィン643を固定する支柱として機能する。各第2ヒートパイプ652における-Z方向の端部は、ヒートシンク661の各フィン6611と接続されている。
【0112】
[蛍光体ユニットにおける熱伝達]
放熱フィン55のフィン間を流通して蛍光体ホイール51の外側に送出された気流は、複数の周壁側フィン642のフィン間を流通して、各周壁側フィン642にて受熱された後、周壁311に到達する。周壁311にて折り返された気流は、複数の受熱板側フィン643のフィン間を回転軸Rxに向かって流通し、複数の受熱板側フィン643にて受熱される。各受熱板側フィン643に沿って流通した気流は、蛍光体ホイール51によって吸引され、再び放熱フィン55のフィン間を流通して、蛍光体ホイール51の外側に送出される。
【0113】
複数の周壁側フィン642、複数の受熱板側フィン643及び受熱板57の受熱面571にて受熱された熱は、複数のヒートパイプ65を介して、ダクト602内の複数のフィン6611に輸送される。
複数のフィン6611に輸送された熱は、冷却ファン603によって複数のフィン6611のフィン間を流通する冷却気体に伝達される。複数のフィン6611のフィン間を流通した冷却気体は、ダクト602外に排出される。
このように、密閉筐体である光源用筐体31内に配置された波長変換部53の熱は、光源用筐体31の外部に放熱される。
【0114】
[第5実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクターと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
蛍光体ユニットPS5では、受熱フィン64が有する複数の第2フィン641のそれぞれは、蛍光体ホイール51の回転軸Rxに交差する方向に延在し、かつ、受熱板57に重なるように回転軸Rxに沿って配置されている。
このような構成によれば、気流は、受熱板57に重なるように配置された複数の第2フィン641の間を流れる。これにより、波長変換部53の熱を受熱した気流から複数の第2フィン641に熱を伝達でき、波長変換部53に流通する気流の温度を低くできる。
【0115】
蛍光体ユニットPS5では、複数の第2フィン641は、回転軸Rxに沿う方向において受熱板57と放熱フィン55との間に設けられて、回転軸Rxに沿って配置された複数の受熱板側フィン643を含む。複数の受熱板側フィン643は、周壁311にて折り返された気流を、回転軸Rx側に流通させる。
このような構成によれば、複数の受熱板側フィン643は、放熱フィン55から周壁311に流通して周壁311にて折り返された気流を、回転軸Rx側に流通させつつ、当該気流から受熱する。これにより、気流を円滑に循環させつつ、気流から受熱できる。
【0116】
蛍光体ユニットPS5では、複数の第2フィン641は、回転軸Rxに直交する方向において蛍光体ホイール51と周壁311との間に設けられ、回転軸Rxに沿って配置された複数の周壁側フィン642を含む。複数の周壁側フィン642は、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流を周壁311に流通させる。
このような構成によれば、放熱フィン55を流通した気流は、周壁側フィン642に流れた後に、周壁311に流通する。周壁311に流通した気流は、周壁311にて折り返された後、受熱フィン64を流通して、回転軸Rx側に流通する。これによれば、気流を円滑に循環させつつ、気流から受熱できる。
【0117】
蛍光体ユニットPS5では、複数の第2フィン641は、複数の周壁側フィン642と、複数の受熱板側フィン643と、を含む。
複数の周壁側フィン642は、回転軸Rxに直交する方向において蛍光体ホイール51と周壁311との間に設けられ、回転軸Rxに沿って配置されている。
複数の受熱板側フィン643は、回転軸Rxに沿う方向において受熱板57と放熱フィン55との間に設けられ、回転軸Rxに沿って配置されている。
複数の周壁側フィン642は、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流を周壁311に流通させ、複数の受熱板側フィン643は、周壁311にて折り返された気流を、回転軸Rx側に流通させる。
このような構成によれば、蛍光体ホイール51の外側に流通した気流は、複数の周壁側フィン642及び複数の受熱板側フィン643に流通した後、回転軸Rx側に流通するので、気流から効率よく受熱できる他、気流を円滑に循環させることができる。従って、蛍光体ホイール51に流通する気流の冷却効率、ひいては、波長変換部53の冷却効率を高めることができる。
【0118】
蛍光体ユニットPS5は、受熱フィン64と放熱装置66とを接続するヒートパイプ65を備える。
このような構成によれば、受熱フィン64にて気流から受熱した熱を、受熱板57に伝達できるだけでなく、放熱装置66に伝達できる。従って、受熱フィン64にて受熱した熱を効率よく放熱装置66に伝達できる。
また、ヒートパイプ651は、周壁側フィン642及び受熱板側フィン643を含む複数の第2フィン641を受熱板57に固定する支柱として機能する。このため、当該支柱を別途設ける必要が無い。従って、受熱フィン64から放熱装置66への熱輸送を効率よく実施できるように、蛍光体ユニットPS5を構成しつつ、蛍光体ユニットPS5の部材点数が増加することを抑制できる。
【0119】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記各実施形態では、放熱装置60,66は、ヒートシンク601,661、ダクト602及び冷却ファン603を備えるとした。すなわち、放熱装置60,66は、波長変換部53の熱を光源用筐体31の外部に流通する冷却気体に放熱するものとした。しかしながら、これに限らず、放熱装置は、他の構成を備えるものであってもよい。
【0120】
図24は、受熱板57の放熱面572に熱電変換素子59を介して接続される放熱装置67を示す斜視図である。
例えば、放熱装置60,66に代えて、
図24に示す放熱装置67を蛍光体ユニットPS1,PS2,PS2A,PS3に採用してもよい。
放熱装置67は、流入部671及び流出部672を有し、内部を冷却液体が流通可能に構成されている。すなわち、放熱装置67の内部には、冷却液体が流通する図示しない流路が設けられている。
放熱装置67では、矢印F1に沿って流入部671に流通した冷却液体は、放熱装置67内の流路を矢印F2に沿って流通し、矢印F3に沿って流出部672から排出される。放熱装置67は、内部を流通する冷却液体に、熱電変換素子59を介して受熱板57から伝達される熱を伝達する。
【0121】
このような放熱装置66が蛍光体ユニットPS1,PS2,PS2A,PS3に採用された場合には、以下の効果を奏することができる。
放熱装置67は、伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に伝達する。
このような構成によれば、受熱板57から伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に伝達するので、放熱装置67での放熱効率を高めることができる。従って、波長変換部53の冷却効率を高めることができる。
なお、放熱装置67内にヒートパイプ65の一部が配置される等して、ヒートパイプ65によって輸送される熱を冷却液体に伝達可能であれば、第4実施形態に係る蛍光体ユニットPS4に放熱装置67を採用することも可能である。
【0122】
上記各実施形態では、周壁311は、光源用筐体31の一部を構成するとした。しかしながら、これに限らず、蛍光体ユニットを構成する周壁は、第3実施形態に係る周壁部624のように、光源用筐体31から独立した部材であってもよい。この場合、周壁は、光源用筐体31と接続される部材であってもよい。
【0123】
上記第2~第4実施形態では、受熱フィン61,62は、複数の周壁側フィン612及び複数の受熱板側フィン613を含む複数の第2フィン611を有するとした。上記第5実施形態では、受熱フィン64は、複数の周壁側フィン642及び複数の受熱板側フィン643を含む複数の第2フィン641を有するとした。しかしながら、これに限らず、受熱フィンを構成する複数の第2フィンは、周壁側フィンと受熱板側フィンとのうち一方のフィンを含み、他方のフィンを含まなくてもよい。
また、複数の周壁側フィンの数、及び、複数の受熱板側フィンの数は、上記に限定されず、適宜変更してよい。
【0124】
上記第2~第4実施形態では、周壁側フィン612は、回転軸Rx側の端部から周壁311に向かうに従って蛍光体ホイール51の回転方向に傾斜しているとした。そして、周壁側フィン612の回転軸Rx側の端部と回転軸Rxとを結ぶ仮想線VL1上に位置する蛍光体ホイール51の外周縁における接線TGと、回転軸Rx側の端部からの周壁側フィン612の延在方向との交差角γは、35°以上、85°以下であるとした。しかしながら、これに限らず、周壁側フィンの延在方向は、上記に限定されない。
【0125】
上記各実施形態では、蛍光体ユニットPS1,PS2,PS2A,PS3,PS4,PS5は、放熱装置60,66を備えるとした。また、上記のように、蛍光体ユニットPS1,PS2,PS2A,PS3,PS4,PS5には、放熱装置67を採用可能であるとした。しかしながら、これに限らず、例えば受熱板57によって光源用筐体31の外部に効率よく放熱可能であれば、放熱装置は無くてもよい。
【0126】
上記各実施形態では、蛍光体ユニットPS1,PS2,PS2A,PS3,PS4,PS5は、受熱板57と放熱装置60,66との間に設けられる熱電変換素子59を備えるとした。しかしながら、これに限らず、熱電変換素子59は無くてもよい。放熱装置67が採用される場合も同様である。
【0127】
上記各実施形態では、プロジェクターは、3つの光変調素子243R,243G,243Bを備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調素子を備えるプロジェクターにも、上記構成を適用可能である。
上記各実施形態では、画像投射装置2を構成する光学部品は、
図1に示したように略L字状の光学部品用筐体25に配置されていた。これに限らず、画像投射装置2を構成する光学部品は、例えば略U字状の光学部品用筐体に配置されてもよい。
【0128】
上記各実施形態では、光変調素子243として、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルが例示されるとした。しかしながら、光変調素子は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを備えて構成されていてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調素子であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。
【0129】
上記各実施形態では、光源装置3をプロジェクターに適用した例を挙げた。しかしながら、これに限らず、本開示に係る光源装置は、照明器具及び自動車等のヘッドライト等に使用してもよい。
【0130】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
回転軸を中心に回転する蛍光体ホイールと、
前記回転軸を中心とする周方向に沿って前記蛍光体ホイールを囲む周壁と、
前記回転軸上にて前記回転軸と交差して前記蛍光体ホイールと対向し、前記蛍光体ホイールから離間した受熱板と、
前記受熱板に固定されて、前記周壁に囲まれた受熱フィンと、を備え、
前記蛍光体ホイールは、
第1面、及び、前記第1面とは反対側に設けられて前記受熱板と対向する第2面を有し、前記回転軸を中心に回転する基板と、
前記第1面に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する波長変換部と、
前記第2面に配置され、前記基板の回転により前記第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に前記波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、
前記受熱フィンは、前記蛍光体ホイールから前記周壁及び前記受熱板を介して前記蛍光体ホイールに循環する気流が流通し、流通する気流から受熱して前記受熱板に伝熱する複数の第2フィンを有する、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【0131】
このような構成によれば、波長変換部に含有された蛍光体は、入射する光の波長を変換する際に発熱する。蛍光体にて発生した熱のうち、一部の熱は基板に伝達され、基板に伝達された熱のうち、一部の熱は基板を介して放熱フィンに伝達する。
基板が回転すると、基板の第1面の周囲の気体が波長変換部に流通して、波長変換部を冷却する。
また、基板が回転すると、第2面に設けられた放熱フィンによって、第2面の中心から外側に向かう気流が発生する。発生した気流が複数の第1フィンに流通することによって、波長変換部から基板を介して複数の第1フィンに伝達された熱が気流に伝達する。これにより、波長変換部が更に冷却される。
【0132】
放熱フィンを流通した気流は、蛍光体ホイールを囲む周壁によって折り返され、基板の回転によって負圧となる第2面の中央に向かって流通する。すなわち、蛍光体ホイールの外側に流通した気流は、周壁及び受熱板を介して、第2面の中央へと循環する。循環する気流は、受熱板に固定された受熱フィンが有する複数の第2フィンの間を流通し、複数の第2フィンは、気流から受熱する。複数の第2フィンによって受熱された熱は、受熱板に伝達される他、受熱板も気流から受熱する。これにより、第2面の中央側の領域に向かう気流が冷却される。そして、冷却された気流は、第2面の中央から外側へと流通する過程にて放熱フィンに再度流通する。
このように、受熱板に固定された受熱フィンによって、放熱フィンに流通する気流の温度を低く維持できるので、波長変換部の冷却効率を高めることができる。
また、放熱フィンに流通する気流は、蛍光体ホイール、周壁及び受熱板によって囲まれる空間を流通して放熱フィンを冷却する。このため、波長変換部の冷却構造をコンパクトに構成できる。
【0133】
[付記2]
付記1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンのそれぞれは、前記受熱板から起立し、前記回転軸側の部分から前記周壁に向かって延在している、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、周壁から回転軸側に流通する気流の流通方向に沿って複数の第2フィンを配置できる。これにより、複数の第2フィンのフィン間に気流を流通させやすくすることができ、各第2フィンによって気流の熱を受熱しやすくすることができる。従って、気流から受熱フィンへの熱の伝達効率を高めることができる。
【0134】
[付記3]
付記1又は付記2に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に配置された複数の受熱板側フィンを含み、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、複数の受熱板側フィンは、放熱フィンから外側に流通して周壁にて折り返された気流から受熱できる。従って、気流を循環させながら、気流の熱を受熱板に伝達して、蛍光体ホイールを冷却できる。
【0135】
[付記4]
付記1又は付記2に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に配置された複数の周壁側フィンを含み、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、複数の周壁側フィンによって、放熱フィンを流通した気流から効率よく受熱でき、放熱フィンに流通する気流の温度を低下させることができる。従って、蛍光体ホイールの冷却効率を高めることができる。
また、複数の周壁側フィンによって、蛍光体ホイール、周壁及び受熱板の間を循環する気流を円滑に循環させることができるも可能となる。
【0136】
[付記5]
付記1又は付記2に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、
前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に配置された複数の周壁側フィンと、
前記複数の周壁側フィンに対する前記回転軸側に設けられ、前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に配置された複数の受熱板側フィンと、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させ、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、蛍光体ホイールの外側に流通した気流は、複数の周壁側フィン及び複数の受熱板側フィンに流通した後、回転軸側に流通するので、気流から効率よく受熱でき、蛍光体ホイールに流通する気流の冷却効率、ひいては、波長変換部の冷却効率を高めることができる。
このため、蛍光体ユニットの容積に対する波長変換部の冷却効率が高いことから、波長変換部の冷却構造を小型化できる。従って、蛍光体ユニットの小型化、ひいては、蛍光体ユニットが採用され得る光源装置等の装置の小型化に寄与できる。
【0137】
[付記6]
付記5に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の周壁側フィンのそれぞれは、前記回転軸を中心とする周方向に沿って配置され、
前記複数の受熱板側フィンのそれぞれは、前記回転軸を中心とする周方向に沿って配置され、
前記複数の周壁側フィンのフィン間ピッチは、前記複数の受熱板側フィンのフィン間ピッチよりも小さい、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、複数の周壁側フィン部を複数の受熱板側フィンの外側に密に配置できる。このため、周壁側フィンと気流との接触面積を大きくでき、気流の冷却効率、ひいては、蛍光体ホイールの冷却効率を高めることができる。
【0138】
[付記7]
付記4から付記6のいずれか1つに記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の周壁側フィンのそれぞれは、前記回転軸側の端部から前記周壁に向かうに従って前記蛍光体ホイールの回転方向に傾斜し、
前記複数の周壁側フィンのうち1つの周壁側フィンの前記回転軸側の端部と前記回転軸とを結ぶ仮想線上に位置する前記蛍光体ホイールの外周縁における接線と、前記回転軸側の端部からの前記1つの周壁側フィンの延在方向との交差角は、35°以上、85°以下である、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、放熱フィンから流出した気流を、複数の周壁側フィンのフィン間に効率よく流入させることができる。従って、複数の周壁側フィンによる気流からの受熱効率を高めることができる。
【0139】
[付記8]
付記1に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンのそれぞれは、前記回転軸に交差する面に沿って延在し、かつ、前記受熱板に重なるように前記回転軸に沿って配置されている、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、気流は、受熱板に重なるように配置された複数の第2フィンの間を流れる。これにより、波長変換部の熱を受熱した気流から複数の第2フィンに熱を伝達でき、波長変換部に流通する気流の温度を低くできる。
【0140】
[付記9]
付記8に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の受熱板側フィンを含み、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を、前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、複数の受熱板側フィンが、放熱フィンから周壁に流通して周壁にて折り返された気流を、回転軸側に流通させつつ、当該気流から受熱する。これにより、気流を円滑に循環させつつ、気流から受熱できる。
【0141】
[付記10]
付記8又は付記9に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の周壁側フィンを含み、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、放熱フィンを流通した気流は、周壁側フィンに流れた後に、周壁に流通する。周壁に流通した気流は、周壁にて折り返された後、受熱フィンを流通して、回転軸側に流通する。これにより、気流を円滑に循環させつつ、気流から受熱できる。
【0142】
[付記11]
付記8に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記複数の第2フィンは、
前記回転軸に直交する方向において前記蛍光体ホイールと前記周壁との間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の周壁側フィンと、
前記回転軸に沿う方向において前記受熱板と前記放熱フィンとの間に設けられ、前記回転軸に沿って配置された複数の受熱板側フィンと、を含み、
前記複数の周壁側フィンは、前記蛍光体ホイールの外側に流通した気流を前記周壁に流通させ、
前記複数の受熱板側フィンは、前記周壁にて折り返された気流を、前記回転軸側に流通させる、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、蛍光体ホイールの外側に流通した気流は、複数の周壁側フィン及び複数の受熱板側フィンに流通した後、回転軸側に流通するので、気流から効率よく受熱でき他、気流を円滑に循環させることができる。従って、蛍光体ホイールに流通する気流の冷却効率、ひいては、波長変換部の冷却効率を高めることができる。
【0143】
[付記12]
回転軸を中心に回転する蛍光体ホイールと、
前記回転軸上にて前記回転軸と交差して前記蛍光体ホイールと対向し、前記蛍光体ホイールから離間した受熱板と、
前記受熱板に固定された受熱フィンと、を備え、
前記蛍光体ホイールは、
第1面、及び、前記第1面とは反対側に設けられて前記受熱板と対向する第2面を有し、前記回転軸を中心に回転する基板と、
前記第1面に配置されて、入射する光の波長を変換する蛍光体を含有する波長変換部と、
前記第2面に配置され、前記基板の回転により前記第2面の中央から外側に向かう方向の気流を発生し、発生した気流に前記波長変換部から伝達された熱を放熱する複数の第1フィンを有する放熱フィンと、を含み、
前記受熱フィンは、
受熱した熱を前記受熱板に伝熱する複数の第2フィンと、
前記回転軸に対して前記複数の第2フィンの外側に位置する周壁部と、を有し、
前記蛍光体ホイールから流れる気流は、前記受熱フィンの前記周壁部及び前記複数の第2フィンを介して前記蛍光体ホイールに循環する、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
【0144】
このような構成によれば、上記した蛍光体ユニットと同様に、波長変換部を効果的に冷却できる。
すなわち、放熱フィンを流通して蛍光体ホイールから流れる気流は、周壁部及び複数の第2フィンを介して蛍光体ホイールに循環する。循環する気流は、受熱板に固定された受熱フィンが有する複数の第2フィンに流通し、複数の第2フィンは、気流から受熱する。複数の第2フィンによって受熱された熱は、受熱板に伝達される他、受熱板も気流から受熱する。これにより、放熱フィンに流通する気流が冷却される。
このように、受熱板に固定された受熱フィンによって、放熱フィンに流通する気流の温度を低く維持できるので、波長変換部の冷却効率を高めることができる。
また、放熱フィンに流通する気流は、蛍光体ホイール、周壁部及び複数の第2フィンによって囲まれる空間を循環して放熱フィンを冷却する。このため、蛍光体ユニットの容積に対する波長変換部の冷却効率が高いことから、波長変換部の冷却構造を小型化できる。従って、蛍光体ユニットの小型化、ひいては、蛍光体ユニットが採用され得る光源装置等の装置の小型化に寄与できる。
【0145】
[付記13]
付記1から付記12のいずれか1つに記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱板は、ベイパーチャンバーによって構成されている、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、放熱フィンから受熱板に伝達された熱は、ベイパーチャンバーである受熱板の全体に拡散される。このため、受熱板から放熱装置に熱が局所的に伝達されることを抑制でき、受熱板から放熱装置に効率よく熱を伝達させることができる。従って、放熱装置によって熱を効率よく放熱できる。
【0146】
[付記14]
付記1から付記13のいずれか1つに記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱板に対して前記蛍光体ホイールとは反対側に設けられ、前記受熱板に伝達された熱を放熱する放熱装置を備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、受熱板に放熱された熱を放熱装置にて放熱できるので、波長変換部の熱を速やかに放熱できる。従って、波長変換部の冷却効率を高めることができる。
【0147】
[付記15]
付記14に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱フィンと前記放熱装置とを接続するヒートパイプを備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、受熱フィンにて気流から受熱した熱を、受熱板に伝達できるだけでなく、放熱装置に伝達できる。従って、受熱フィンにて受熱した熱を効率よく放熱装置に伝達できる。
【0148】
[付記16]
付記14又は付記15に記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記受熱板と前記放熱装置との間に設けられた熱電変換素子を備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、熱電変換素子によって、受熱板から放熱装置への熱伝達をアシストできる。従って、受熱板から放熱装置への熱伝達効率を高めることができ、ひいては、放熱装置による波長変換部の熱の放熱効率を高めることができる。
【0149】
[付記17]
付記14から付記16のいずれか1つに記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記放熱装置は、ヒートシンクを備える、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、受熱板に伝達された熱は、ヒートシンクにて放熱される。このため、比較的簡易な構成で、放熱装置を構成できる。
【0150】
[付記18]
付記14から付記16のいずれか1つに記載の蛍光体ユニットにおいて、
前記放熱装置は、伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に伝達する、ことを特徴とする蛍光体ユニット。
このような構成によれば、受熱板から伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に伝達するので、放熱装置での放熱効率を高めることができる。従って、波長変換部の冷却効率を高めることができる。
【0151】
[付記19]
付記1から付記18のいずれか1つに記載の蛍光体ユニットと、
前記蛍光体ユニットに入射する励起光を出射する固体発光素子と、を備え、
前記蛍光体ユニットは、前記励起光が入射すると、前記励起光の波長を変換した蛍光を含む光を出射する、ことを特徴とする光源装置。
このような構成によれば、蛍光体ホイールが有する波長変換部の冷却効果が高いので、波長変換部に入射する励起光の光量を高めることができるので、出射光量が大きい光源装置を構成できる。
【0152】
[付記20]
付記19に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を画像光に変調する光変調素子と、
前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、光源装置と同様の効果を奏することができ、輝度が高い画像光を投射可能なプロジェクターを構成できる。
【符号の説明】
【0153】
1…プロジェクター、243…光変調素子、26…投射光学装置、3…光源装置、31…光源用筐体、311…周壁、32…光源、321…固体発光素子、5A,5B,5C,5D,5E…波長変換装置、51…蛍光体ホイール、52…基板、521…第1面、522…第2面、53…波長変換部、54…反射部、55…放熱フィン、551…第1フィン、56…回転装置、57…受熱板、571…受熱面、572…放熱面、58…受熱フィン、581…第2フィン(受熱板側フィン)、59…熱電変換素子、60…放熱装置、601…ヒートシンク、602…ダクト、6025…排出口、603…冷却ファン、61…受熱フィン、611…第2フィン、612…周壁側フィン、613…受熱板側フィン、62…受熱フィン、624…周壁部、63…ヒートパイプ、631…第1ヒートパイプ、632…第2ヒートパイプ、64…受熱フィン、641…第2フィン、642…周壁側フィン、643…受熱板側フィン、65…ヒートパイプ、651…第1ヒートパイプ、652…第2ヒートパイプ、66…放熱装置、661…ヒートシンク、67…放熱装置、PS1,PS2,PS2A,PS3,PS4,PS5…蛍光体ユニット。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
図17は、上記交差角γと波長変換部53の表面温度との関係を示すグラフである。
また、本件発明者は、上記交差角γが異なる複数の周壁側フィン612を備える蛍光体
ユニットPS2を複数構成し、回転する蛍光体ホイール51に励起光を入射させたときの
波長変換部53の表面温度を測定する実験を行った。このような実験の結果を
図17に示
す。なお、実験における蛍光体ホイール51の単位時間当たりの回転数は、上記実験と同
じ6000rpmである。
図17の実験結果によると、上記交差角γが35°≦γ≦85°を満たす場合に、波長
変換部53の表面温度を低く維持でき、交差角γが
40°≦γ≦70°を満たす場合に、
波長変換部53の表面温度を更に低く維持できることが分かった。
これらの実験結果から、本実施形態における受熱フィン61では、上記交差角γが35
°≦γ≦85°を満たすように、複数の周壁側フィン612が配置され、これにより、波
長変換部53の冷却効率を高めている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
[蛍光体ユニットの構成]
蛍光体ユニットPS5は、周壁311及び波長変換装置5Eを備え、第1~第4実施形
態に係る蛍光体ユニットPS1~PS4と同様の機能を備える。
波長変換装置5Eは、受熱フィン58、熱電変換素子59及び放熱装置60に代えて、
受熱フィン64、ヒートパイプ65及び放熱装置66を備える他は、波長変換装置5Aと
同様の構成及び機能を備える。すなわち、波長変換装置5Eは、蛍光体ホイール51、回
転装置56、受熱板57、受熱フィン64、ヒートパイプ65及び放熱装置66を備える
。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0118
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0118】
蛍光体ユニットPS5は、受熱フィン64と放熱装置66とを接続するヒートパイプ6
5を備える。
このような構成によれば、受熱フィン64にて気流から受熱した熱を、受熱板57に伝
達できるだけでなく、放熱装置66に伝達できる。従って、受熱フィン64にて受熱した
熱を効率よく放熱装置66に伝達できる。
また、第1ヒートパイプ651は、周壁側フィン642及び受熱板側フィン643を含
む複数の第2フィン641を受熱板57に固定する支柱として機能する。このため、当該
支柱を別途設ける必要が無い。従って、受熱フィン64から放熱装置66への熱輸送を効
率よく実施できるように、蛍光体ユニットPS5を構成しつつ、蛍光体ユニットPS5の
部材点数が増加することを抑制できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
このような放熱装置67が蛍光体ユニットPS1,PS2,PS2A,PS3に採用さ
れた場合には、以下の効果を奏することができる。
放熱装置67は、伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に伝達する。
このような構成によれば、受熱板57から伝達された熱を、内部を流通する冷却液体に
伝達するので、放熱装置67での放熱効率を高めることができる。従って、波長変換部5
3の冷却効率を高めることができる。
なお、放熱装置67内にヒートパイプ65の一部が配置される等して、ヒートパイプ6
5によって輸送される熱を冷却液体に伝達可能であれば、第4実施形態に係る蛍光体ユニ
ットPS4に放熱装置67を採用することも可能である。