(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097460
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ロボットシステムの制御方法およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240711BHJP
B25J 17/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B25J17/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000918
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】清水 興子
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS12
3C707BT18
3C707CT05
3C707CU05
3C707CV08
3C707CW08
3C707CX01
3C707CY01
3C707CY32
3C707DS01
3C707ES03
3C707KS31
3C707KS34
3C707KV01
3C707KW03
3C707KX06
3C707LT07
3C707LU08
3C707LU09
3C707LV04
3C707LV15
3C707LV17
3C707MT02
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】作業時間の短縮と、正確な力制御とを両立することができるロボットシステムの制御方法およびロボットシステムを提供すること。
【解決手段】ダンパー機構の弾性率を第1の弾性率に設定した状態でロボットアームを移動させつつ、力センサーの検出結果に基づいて、エンドエフェクターまたはエンドエフェクターが把持する把持物が対象物に接触したか否かを判断する第1ステップと、第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、ダンパー機構の弾性率を第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、ロボットアームに対して力制御を行いつつ、エンドエフェクターにより対象物に第1作業を行う第2ステップとを有するロボットシステムの制御方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、前記ロボットアームに設置され、弾性率の調整が可能なダンパー機構と、前記ダンパー機構に設置され、前記ロボットアームに加わる力を検出する力センサーと、前記力センサーに設置され、対象物に第1作業を行うエンドエフェクターと、を備えるロボットシステムの作動を制御するロボットシステムの制御方法であって、
前記ダンパー機構の弾性率を第1の弾性率に設定した状態で前記ロボットアームを移動させつつ、前記力センサーの検出結果に基づいて、前記エンドエフェクターまたは前記エンドエフェクターが把持する把持物が前記対象物に接触したか否かを判断する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、前記ダンパー機構の弾性率を前記第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、前記ロボットアームに対して力制御を行いつつ、前記エンドエフェクターにより前記対象物に前記第1作業を行う第2ステップと、を有することを特徴とするロボットシステムの制御方法。
【請求項2】
前記第1ステップでは、位置制御により前記ロボットアームを移動させる請求項1に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項3】
前記第2ステップでは、倣い制御により前記ロボットアームを駆動する請求項1または2に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項4】
ロボットアームと、前記ロボットアームに設置され、ダンパーの弾性を調整する弾性率調整部を有するダンパー機構と、前記ダンパー機構に設置され、前記ロボットアームに加わる力を検出する力センサーと、前記力センサーに設置され、対象物に第1作業を行うエンドエフェクターと、前記弾性率調整部による弾性率の調整を制御する第1制御部と、前記力センサーの検出結果に基づいて前記ロボットアームの作動を制御する第2制御部とを有する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1制御部の制御により前記ダンパー機構の弾性率を第1の弾性率に設定した状態で前記ロボットアームを移動させつつ、前記力センサーの検出結果に基づいて、前記エンドエフェクターまたは前記エンドエフェクターが把持する把持物が前記対象物に接触したか否かを判断する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、前記第1制御部の制御により前記ダンパー機構の弾性率を前記第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、前記第2制御部の制御により前記ロボットアームに対して力制御を行いつつ、前記エンドエフェクターにより前記対象物に前記第1作業を行う第2ステップと、を実行するよう制御することを特徴とするロボットシステム。
【請求項5】
前記ダンパー機構は、エアシリンダーまたは電動シリンダーを有する請求項4に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムの制御方法およびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場では人件費の高騰や人材不足により、ロボットアームを有するロボットを用いて製造、加工、組み立て等の作業が行われるようになり、人手で行われてきた作業の自動化が加速している。
【0003】
特許文献1に記載されているロボットでは、ロボットアームの手首部、すなわち、先端部に柔軟部が設けられている。柔軟部は、作業の安全性を考慮して設置され、バネやゴムのような弾性体や、各種シリンダー等により構成されている。このような柔軟部によって、ロボットアームの先端が受けた衝撃を緩和しつつ、正確な作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているロボットを用いて力制御を行った場合、衝突時の緩衝作用を十分に得るために十分な柔軟性を確保する必要から、ロボットアームの手首が柔らか過ぎてしまい、そのため、正確な作業、迅速な作業を行うのが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例にかかるロボットシステムの制御方法は、ロボットアームと、前記ロボットアームに設置され、弾性率の調整が可能なダンパー機構と、前記ダンパー機構に設置され、前記ロボットアームに加わる力を検出する力センサーと、前記力センサーに設置され、対象物に第1作業を行うエンドエフェクターと、を備えるロボットシステムの作動を制御するロボットシステムの制御方法であって、
前記ダンパー機構の弾性率を第1の弾性率に設定した状態で前記ロボットアームを移動させつつ、前記力センサーの検出結果に基づいて、前記エンドエフェクターまたは前記エンドエフェクターが把持する把持物が前記対象物に接触したか否かを判断する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、前記ダンパー機構の弾性率を前記第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、前記ロボットアームに対して力制御を行いつつ、前記エンドエフェクターにより前記対象物に前記第1作業を行う第2ステップとを有する。
【0007】
本発明の適用例にかかるロボットシステムは、ロボットアームと、前記ロボットアームに設置され、ダンパーの弾性率を調整する弾性率調整部を有するダンパー機構と、前記ダンパー機構に設置され、前記ロボットアームに加わる力を検出する力センサーと、前記力センサーに設置され、対象物に第1作業を行うエンドエフェクターと、前記弾性率調整部による弾性率の調整を制御する第1制御部と、前記力センサーの検出結果に基づいて前記ロボットアームの作動を制御する第2制御部とを有する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1制御部の制御により前記ダンパー機構の弾性率を第1の弾性率に設定した状態で前記ロボットアームを移動させつつ、前記力センサーの検出結果に基づいて、前記エンドエフェクターまたは前記エンドエフェクターが把持する把持物が前記対象物に接触したか否かを判断する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、前記第1制御部の制御により前記ダンパー機構の弾性率を前記第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、前記第2制御部の制御により前記ロボットアームに対して力制御を行いつつ、前記エンドエフェクターにより前記対象物に前記第1作業を行う第2ステップと、を実行するよう制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のロボットシステムの制御方法を実行するロボットシステムの第1実施形態の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すロボットシステムのブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すロボットアームの先端部および周辺部の縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すロボットが行う作業の一例を示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すロボットが行う作業の一例を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すロボットが行う作業の一例を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、ダンパー機構が省略されたロボットを用いて第1作業を行った場合と、ダンパー機構を備えるロボットを用いて第1作業を行った場合とを比較したタイムチャートである。
【
図8】
図8は、本発明のロボットシステムの制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明のロボットシステムの第2実施形態が有するロボットアームの先端部および周辺部の側面図である。
【
図10】
図10は、本発明のロボットシステムの第3実施形態が有するロボットアームの先端部および周辺部の側面図である。
【
図11】
図11は、本発明のロボットシステムの第4実施形態が有するロボットアームの先端部および周辺部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明のロボットシステムの制御方法を実行するロボットシステムの第1実施形態の全体構成を示す図である。
図2は、
図1に示すロボットシステムのブロック図である。
図3は、
図1に示すロボットアームの先端部および周辺部の縦断面図である。
図4は、
図1に示すロボットが行う作業の一例を示す縦断面図である。
図5は、
図1に示すロボットが行う作業の一例を示す縦断面図である。
図6は、
図1に示すロボットが行う作業の一例を示す縦断面図である。
図7は、ダンパー機構が省略されたロボットを用いて第1作業を行った場合と、ダンパー機構を備えるロボットを用いて第1作業を行った場合とを比較したタイムチャートである。
図8は、本発明のロボットシステムの制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0011】
図1中では、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸が設定されており、
図3~
図6中、
図9~
図11中にもそれぞれ同様の3軸が示されている。3軸のうちZ軸方向は鉛直方向を示し、X-Y平面は水平面を示す。
【0012】
本明細書において、「鉛直」とは、鉛直と一致している場合のみならず、鉛直に対して若干、例えば±10°以内傾斜している場合も含む意味である。また、本明細書において、「平行」とは、2つの対象が平行と一致している場合のみならず、平行から若干、例えば±10°以内傾斜している場合も含む意味である。
【0013】
本明細書では、説明の便宜上、ロボットアームについては、
図1中の基台11側を「基端」、その反対側、すなわち、エンドエフェクター20側を「先端」とも言う。また、
図3~
図6、
図9~
図11中、上側を「上」、下側を「下」とも言う。
【0014】
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット1の各部の作動を制御する制御装置3と、を備える。
【0015】
まず、ロボット1について説明する。
図1に示すロボット1は、本実施形態では単腕の6軸垂直多関節ロボットであり、基台11と、ロボットアーム10と、を有する。また、ロボットアーム10の先端部にエンドエフェクター20を装着することができる。なお、エンドエフェクター20は、ロボット1の構成要件であってもよく、ロボット1とは別部材、すなわち、ロボット1の構成要件でなくてもよい。
【0016】
なお、ロボット1は、図示の構成に限定されず、例えば、双腕型の多関節ロボットであってもよい。また、ロボット1は、水平多関節ロボットであってもよい。
【0017】
基台11は、ロボットアーム10をその基端側において、駆動可能に支持する支持体であり、例えば工場内の床に固定されている。ロボット1は、基台11が中継ケーブルを介して制御装置3と電気的に接続されている。なお、ロボット1と制御装置3との接続は、
図1に示す構成のように有線による接続に限定されず、例えば、無線による接続であってもよい。また、インターネット等のネットワークを介して接続されていてもよい。
【0018】
本実施形態では、ロボットアーム10は、第1アーム12と、第2アーム13と、第3アーム14と、第4アーム15と、第5アーム16と、第6アーム17とを有し、これらのアームが基台11側からこの順に連結されている。なお、ロボットアーム10が有するアームの数は、6つに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは7つ以上であってもよい。また、各アームの全長等の大きさは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。
【0019】
基台11と第1アーム12とは、関節171を介して連結されている。そして、第1アーム12は、基台11に対し、鉛直方向に延びる第1回動軸を回動中心とし、その第1回動軸回りに回動可能となっている。このように、第1回動軸は、基台11が固定される床の床面の法線と一致しており、ロボットアーム10の全体が第1回動軸の軸回りに正方向・逆方向のいずれへも回転することができる。
【0020】
第1アーム12と第2アーム13とは、関節172を介して連結されている。そして、第2アーム13は、第1アーム12に対し、水平方向に延びる第2回動軸を回動中心として回動可能となっている。
【0021】
第2アーム13と第3アーム14とは、関節173を介して連結されている。そして、第3アーム14は、第2アーム13に対し、水平方向に延びる第3回動軸を回動中心として回動可能となっている。第3回動軸は、第2回動軸と平行である。
【0022】
第3アーム14と第4アーム15とは、関節174を介して連結されている。そして、第4アーム15は、第3アーム14に対し、第3アーム14の中心軸方向と平行な第4回動軸を回動中心として回動可能となっている。第4回動軸は、第3回動軸と直交している。
【0023】
第4アーム15と第5アーム16とは、関節175を介して連結されている。そして、第5アーム16は、第4アーム15に対して第5回動軸を回動中心として回動可能となっている。第5回動軸は、第4回動軸と直交している。
【0024】
第5アーム16と第6アーム17とは、関節176を介して連結されている。そして、第6アーム17は、第5アーム16に対して第6回動軸を回動中心として回動可能となっている。第6回動軸は、第5回動軸と直交している。
【0025】
第6アーム17は、ロボットアーム10の中で最も先端側に位置するロボットアーム先端部となっている。第6アーム17の先端側には、ダンパー機構5が設置され、ダンパー機構5の先端側には、力センサー19が設置され、力センサー19の先端側には、エンドエフェクター20が設置されている。換言すると、
図3に示すように、第6アーム17の下端に、ダンパー機構5、力センサー19およびエンドエフェクター20が下方へ向かってこの順に設置されている。
【0026】
第6アーム17は、ロボットアーム10の駆動により、ダンパー機構5、力センサー19およびエンドエフェクター20ごと変位する。
【0027】
図1に示すエンドエフェクター20は、ワークまたは工具を把持することができる把持部を有する構成である。第6アーム17の先端側にエンドエフェクター20を装着した状態では、エンドエフェクター20の先端部は、ツールセンターポイントTCPとなる。本実施形態では、エンドエフェクター20は、後述するように、ワークW1を把持しつつ下方へ移動して対象物であるワークW2の挿入孔200に挿入するという第1作業を行う。
【0028】
ロボット1は、駆動部としてのモーターM1、モーターM2、モーターM3、モーターM4、モーターM5およびモーターM6と、エンコーダーE1、エンコーダーE2、エンコーダーE3、エンコーダーE4、エンコーダーE5およびエンコーダーE6とを備える。モーターM1は、関節171に内蔵され、基台11に対し第1アーム12を前記第1回動軸回りに回転させる。モーターM2は、関節172に内蔵され、第1アーム12と第2アーム13とを前記第2回動軸回りに相対的に回転させる。モーターM3は、関節173に内蔵され、第2アーム13と第3アーム14とを前記第3回動軸回りに相対的に回転させる。モーターM4は、関節174に内蔵され、第3アーム14と第4アーム15とを前記第4回動軸回りに相対的に回転させる。モーターM5は、関節175に内蔵され、第4アーム15と第5アーム16とを前記第5回動軸回りに相対的に回転させる。モーターM6は、関節176に内蔵され、第5アーム16と第6アーム17とを前記第6回動軸回りに相対的に回転させる。
【0029】
また、エンコーダーE1は、関節171に内蔵され、モーターM1の位置を検出する。エンコーダーE2は、関節172に内蔵され、モーターM2の位置を検出する。エンコーダーE3は、関節173に内蔵され、モーターM3の位置を検出する。エンコーダーE4は、関節174に内蔵され、モーターM4の位置を検出する。エンコーダーE5は、第5アーム16に内蔵され、モーターM5の位置を検出する。エンコーダーE6は、第6アーム17に内蔵され、モーターM6の位置を検出する。なお、ここで言う「位置を検出」とは、モーターの回転角すなわち正逆を含む回転量および角速度を検出することを言い、当該検出された情報を「位置情報」と言う。
【0030】
図2に示すように、モータードライバーD1~モータードライバーD6は、それぞれ、対応するモーターM1~モーターM6に接続され、これら各モーターの駆動を制御する。モータードライバーD1~モータードライバーD6は、それぞれ、関節171、関節172、関節173、関節174、第5アーム16および第6アーム17に内蔵されている。
【0031】
エンコーダーE1~エンコーダーE6、モーターM1~モーターM6およびモータードライバーD1~モータードライバーD6は、それぞれ、制御装置3と電気的に接続されている。エンコーダーE1~エンコーダーE6で検出されたモーターM1~モーターM6の位置情報、すなわち、回転量および角速度は、制御装置3に電気信号として送信される。そして、この位置情報に基づいて、制御装置3は、
図2に示すモータードライバーD1~モータードライバーD6に制御信号を出力し、モーターM1~モーターM6を駆動させる。すなわち、ロボットアーム10を制御するということは、モーターM1~モーターM6の駆動を制御して、ロボットアーム10に属する第1アーム12~第6アーム17の作動を制御することである。
【0032】
また、ロボット1では、ロボットアーム10の先端側に、ダンパー機構5および力センサー19が着脱自在に設置される。ロボットアーム10は、ダンパー機構5および力センサー19が設置された状態で駆動される。力センサー19は、本実施形態では、6軸力覚センサーである。力センサー19は、エンドエフェクター20に加わる力、すなわち、エンドエフェクター20が把持するワークW1が受ける力または対象物であるワークW2からの反力を検出するものである。
【0033】
具体的には、力センサー19は、互いに直交する3つの検出軸上の力の大きさと、当該3つの検出軸回りのトルクの大きさとを検出する。すなわち、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の各軸方向の力成分と、X軸回りとなるW方向の力成分と、Y軸回りとなるV方向の力成分と、Z軸回りとなるU方向の力成分とを検出する。なお、本実施形態では、Z軸方向が鉛直方向となっている。また、各軸方向の力成分を「並進力成分」と言い、各軸回りの力成分を「トルク成分」と言うこともできる。
【0034】
力センサー19は、制御装置3と電気的に接続されており、力センサー19が検出した検出結果、すなわち外力の情報は、外力の方向、大きさに応じた電気信号を制御装置3に出力する。制御装置3は、信号を取得する信号取得部34を有し、力センサー19から出力された電気信号、すなわち力センサー19の検出値または検出結果を、信号取得部34を介して取得する。そして、制御装置3は、力センサー19の検出結果に基づいて後述するように力制御等を行う。なお、力センサー19は、6軸力覚センサーに限定されず、他の構成のものであってもよい。
【0035】
このような力センサー19の基端側には、ダンパー機構5が設置されている。
図3に示すように、ダンパー機構5は、先端側の部位に対し緩衝作用を発揮する、例えばエアシリンダーで構成されるダンパー50を有する。このダンパー50は、弾性率を調整可能ないわゆる可変ダンパーである。すなわち、ダンパー機構5は、ダンパー50と、ダンパー50の弾性率を調整する弾性率調整部53と、を備えている。
【0036】
ダンパー50は、内部空間Sを有する基部51と、基部51に対し上下方向に移動可能に支持されたカム52とを備える。
【0037】
基部51は、外形形状が円柱状をなす中空のブロック体で構成される。基部51は、下方に開放する開口511と、通気口513とを有する。開口511および通気口513は、それぞれ内部空間Sと連通している。開口511の縁部512は、その全周が内側に向かって突出している。基部51は、この縁部512の上面にてカム52を支持している。
【0038】
カム52は、円柱状をなすブロック体で構成される。カム52は、上端部に形成され、周方向外側に向かって突出するフランジ部521を有する。フランジ部521は、その下面が基部51の縁部512の上面と係合している。これにより、カム52が基部51に対して下方に抜けてしまうのを防止することができる。カム52には、内部空間Sの空気圧による下方へ向かう力が作用しているが、下方またはその他の方向からの外力が加わると、カム52は、前記空気圧による力に抗して、基部51に対し上方に移動可能であるとともに、X-Y平面上の任意の方向の軸回りに揺動可能である。このような移動や変位によって緩衝作用が発現する。
【0039】
開口511は、カム52により気密的に塞がれている。よって、内部空間Sへの空気の注入量を調整して内部空間Sの圧力を調整することにより、ダンパー50の弾性率を調整することができる。なお、弾性率を調整するということは、定量的に数値を設定または変更することだけではなく、ダンパーの硬さすなわち剛性の高い状態と低い状態とを切り替えることも含んでいる。開口511の気密性を確保するために、フランジ部521の外周部または縁部512の内周部に、例えばシールリング、ダイアフラム、ベローズ等の図示しないシール部材が設置されており、カム52に移動や変位が生じても内部空間Sの空気が開口511から漏れ出すことが防止されている。
【0040】
弾性率調整部53は、ダンパー50の内部空間Sへの空気の注入量を調整して内部空間Sの圧力を調整し、ダンパー50の弾性率を調整することができる。この場合、後述する第1制御部31Aの制御により、ダンパー50の弾性率は、第1の弾性率と、第1の弾性率よりも弾性率が高い第2の弾性率とに設定することができる。
【0041】
本実施形態では、弾性率調整部53は、例えばロータリー式ポンプ、シリンダー式ポンプ等のポンプで構成されている。ポンプと通気口513とは、管531により接続されている。ポンプは、内部空間Sへの送気および内部空間Sからの吸気が可能なポンプである。すなわち、例えばポンプ内の図示しないローターを所定方向に回転することにより、管531および通気口513を介して内部空間Sに空気を注入し、図示しない切り替え弁を切り替えることにより吸気ポートと排気ポートとを反転させ、通気口513および管531を介して内部空間Sの空気を排気することができる。
図2および
図3に示すように、弾性率調整部53であるポンプの電源部は、制御装置3と電気的に接続されている。制御装置3の第1制御部31Aがポンプへの通電条件を制御することにより、ポンプの作動を制御することができる。すなわち、弾性率調整部53であるポンプの作動を、所定のタイミングで、内部空間Sへの空気の注入と、内部空間Sからの空気の排出とを切り替え、ダンパー50の弾性率を第1の弾性率と第2の弾性率のいずれかに設定することができる。
【0042】
なお、弾性率調整部53の構成は、図示のものに限らず、例えば、ポンプは、内部空間Sへの送気のみ行い、内部空間Sからの空気の排出は、管531の途中に設けられた電磁弁によるリリースバルブを開くことにより行うような構成としてもよい。この場合も、ポンプおよびリリースバルブは、それぞれ、制御装置3と電気的に接続されており、第1制御部31Aがポンプおよびリリースバルブへの通電条件を制御することにより、内部空間Sへの吸気の供給、排出の制御を行う。
【0043】
このようなダンパー機構5は、第1の弾性率である低弾性率状態と、第1の弾性率よりも高い第2の弾性率である高弾性率状態とを取り得る。低弾性率状態とは、柔軟性に富み、低剛性である状態であり、高弾性率状態とは、柔軟性に乏しく、高剛性である状態である。本明細書において、「弾性率」とは、ダンパー機構5の変位部の変位のしにくさ、すなわち本実施形態では、所定の外力を受けたときのカム52の変位のしにくさのことを言う。「変位のしにくさ」とは、例えば、同じ力を加えた場合の移動量の大小、移動時間の長短、振動の振幅の大小、収束するまでの時間の長短、振動の周波数の大小等の概念が含まれる。
【0044】
第1の弾性率である低弾性率状態では、第2の弾性率である高い弾性率状態よりも、同じ力を加えた場合の移動量が大きく、移動時間が長く、振動の振幅が大きく、収束するまでの時間が長く、振動の周波数が大きい。すなわち、第1の弾性率(低弾性率)は柔軟性に富む。このため、第1の弾性率(低弾性率)は、第2の弾性率(高弾性率)よりも緩衝効果が大きい。つまり、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20が把持している把持物(ワークW1)に、同じ大きさ、同じ方向の外力が加わった場合、ダンパー機構5が第1の弾性率(低弾性率)であるときは、第2の弾性率(高弾性率)であるときに比べ、より効果的に衝撃を吸収することができる。また、このように緩衝効果が大きいということは、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20が把持するワークW1のワークW2またはその他の箇所への接触、衝突に対する許容度が大きくなり、そのため、第1の弾性率(低弾性率)の状態は、第2の弾性率(高弾性率)の状態よりも、ロボットアーム10の移動速度、すなわちエンドエフェクター20の移動速度を速くすることができる。
以上をまとめると、下記表1のようになる。
【0045】
【0046】
弾性率調整部53を作動して内部空間Sに空気を注入すると、内部空間Sの圧力が高まり、カム52が下側に押圧されて第2の弾性率(高弾性率)の状態となる。この低弾性率状態では、一定の外力に対するダンパー50の伸縮性は乏しく、エンドエフェクター20に外力が加わった場合、移動量が少ない。このため、ダンパー機構5全体で見たとき、弾性率が比較的低く、緩衝作用が比較的小さい。その分、ロボットアーム10の駆動による力がエンドエフェクター20まで効率よく伝達される。
【0047】
高弾性率状態は、後述するような第1作業の作業時に、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20が把持している把持物であるワークW1に対し、ロボットアーム10が駆動した際の力が十分に伝達され、第1作業を正確に行うことができる程度に弾性率が低い状態である。従って、高弾性率状態における内部空間Sの圧力は、作業時のロボットアーム10の移動速度の大小、移動方向、エンドエフェクター20の把持物であるワークW1の種類、サイズ、重量、材質等、または、対象物であるワークW2の種類、サイズ、重量、材質等のワーク条件等に応じて適宜設定される。
【0048】
一方、低高弾性率状態は、内部空間Sの圧力が前記高弾性率状態に比べて低く設定される。低弾性率状態を得る方法としては、例えば、弾性率調整部53により内部空間Sに空気を注入していない状態、高弾性率状態から弾性率調整部53の作動により内部空間S内の空気を所定量排気した状態、弾性率調整部53の作動により高弾性率状態よりも内部空間Sへの空気の供給量を少なくした状態とすることが挙げられる。低弾性率状態では、高弾性率状態よりもカム52が下側に押圧される力が軽減された状態となる。この低弾性率状態では、一定の外力に対するダンパー50の伸縮性は高弾性率状態に比べ大きく、エンドエフェクター20に外力が加わった場合、カム52の移動量が比較的大きい。このため、ダンパー機構5全体で見たとき、弾性率が比較的低く、緩衝作用が比較的大きい。
【0049】
低弾性率状態では、後述するように、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20が把持しているワークW1が所定の速度でワークW2と接触した際、接触した双方が損傷しない程度の十分な緩衝作用を有する。従って、低弾性率状態における空気の注入量は、設定されたロボットアーム10の移動速度の大小や、エンドエフェクター20の把持物であるワークW1の種類、サイズ、重量、材質等、または、対象物であるワークW2の種類、サイズ、重量、材質等のワーク条件に応じて適宜設定される。
【0050】
制御装置3の第1制御部31Aは、ダンパー機構5の弾性率調整部53に対し、上記の高弾性率状態および低弾性率状態を適宜切り替えるよう制御する。ロボットシステム100では、ダンパー機構5の弾性率調整部53の作動を制御するという簡単な方法によって、ダンパー機構5の弾性率を調整すること、すなわち適時に第1の弾性率と第2の弾性率とに設定することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、高弾性率状態および低弾性率状態を切り替える場合、すなわち、弾性率を2段階に切り替える構成について説明するが、本発明ではこれに限定されず、3段階以上の弾性率に段階的に切り替える構成であってもよく、あるいは、弾性率を連続的に切り替える構成であってもよい。
【0052】
ロボットアーム10の先端部には、エンドエフェクター20を着脱可能に装着することができる。本実施形態では、エンドエフェクター20は、互いに接近、離間可能な一対の爪部を有し、各爪部により後述するワークW1または工具(図示せず)を把持、解除するハンドで構成される。このエンドエフェクター20に装着された図示しない力検出器は、両爪部でワークW1を把持した際の把持力の反力の大きさや向きを検出することができる。
【0053】
なお、エンドエフェクター20としては、図示の構成に限定されず、例えば吸着部を有し、該吸着部の吸着によりワークW1または工具を把持する構成のものであってもよい。また、エンドエフェクター20としては、例えば、研磨機、研削機、切削機、ドライバー、レンチ等の工具であってもよい。
【0054】
次に、制御装置3について説明する。
図1に示すように、制御装置3は、本実施形態では、ロボット1と離れた位置に設置されている。ただし、この構成に限定されず、制御装置3は、基台11に内蔵されていてもよい。また、制御装置3は、ロボット1の駆動を制御する機能を有し、前述したロボット1の各部と電気的に接続されている。
図2に示すように、制御装置3は、第1制御部31Aと、第2制御部31Bと、記憶部32と、通信部33と、信号取得部34とを有する。これらの各部は、例えばバス、その他の電気線、回路等を介して相互に通信可能に接続されている。
【0055】
記憶部32は、第1制御部31Aおよび第2制御部31Bで実行される各種プログラム等を保存する。記憶部32としては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等を有する構成のものが挙げられる。
【0056】
通信部33は、例えば有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等の外部インターフェースを用いて他の機器との間で信号の送受信を行う。この場合、図示しないサーバーを介して通信を行ってもよく、また、インターネット等のネットワークを介して通信を行ってもよい。
【0057】
信号取得部34は、力センサー19から出力された電気信号、すなわち力センサー19の検出値または検出結果を取得する。信号取得部34は、例えば、電気信号を受信し得る複数の端子または複数の端子を有するコネクターで構成されている。信号取得部34は、力センサー19から出力された電気信号以外の信号を取得する機能を有していてもよい。なお、信号取得部34が取得した信号は、通信部33を介して他の機器へ送信されてもよい。また、信号取得部34は、通信部33に設置または接続されていてもよい。
【0058】
第1制御部31Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の少なくとも1つのプロセッサーで構成され、記憶部32に記憶されている動作プログラム等の各種プログラムを読み出し、実行する。具体的には、第1制御部31Aは、ダンパー機構5の弾性率調整部53の作動を制御し、高弾性率状態および低弾性率状態を切り替える制御を行う。切替タイミングについては、後述する。
【0059】
第2制御部31Bは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の少なくとも1つのプロセッサーで構成され、記憶部32に記憶されている動作プログラム等の各種プログラムを読み出し、実行する。第2制御部31Bで生成された信号は、通信部33を介してロボット1の各部に送信され、ロボット1の各部からの信号は、通信部33を介して第2制御部31Bで受信される。第2制御部31Bで受信された信号は、所定の処理が施され、記憶部に32に記憶され、あるいはロボットアーム10の動作の制御や教示作業に利用される。
【0060】
第2制御部31Bがロボットアーム10に対して行う制御としては、位置制御と力制御とが挙げられる。
【0061】
位置制御は、ツールセンターポイントTCPが、予め設定された開始位置から目標位置に位置するようにロボットアーム10の姿勢を変更する制御である。位置制御におけるツールセンターポイントTCPの速度は、予め設定された速度とされ、ツールセンターポイントTCPは、等速運動で移動してもよく、加速運動で移動してもよく、これらを組み合わせて移動してもよい。ツールセンターポイントTCPの経路および速度は、各モーターM1~M6の回転速度の制御の組み合わせにより決定する。
【0062】
力制御は、力センサー19の検出結果に基づいて、エンドエフェクター20の位置、すなわち、ツールセンターポイントTCPの位置や、第1アーム12~第6アーム17の姿勢を変更するロボットアームの動作の制御のことである。
【0063】
力制御には、例えば、フォーストリガー制御と、インピーダンス制御とが含まれている。フォーストリガー制御では、力センサー19により力検出を行い、その力センサー19により所定の力を検出するまで、ロボットアーム10に移動や姿勢の変更の動作をさせる。
【0064】
インピーダンス制御は、倣い制御を含む。倣い制御では、ロボットアーム10の先端部に加わる力を可能な限り所定の力に維持、すなわち、力センサー19により検出される所定方向の力を可能な限り目標力fStに維持するようにロボットアーム10の動作を制御する。これにより、例えば、ロボットアーム10に対してインピーダンス制御を行うと、ロボットアーム10は、対象物や、オペレーターから加わった外力に対し、前記所定方向について倣う動作を行う。なお、目標力fStには、0も含まれる。例えば、倣い動作の場合の設定の1つとしては、目標値を「0」とすることができる。なお、目標力fStを0以外の数値とすることもできる。この目標力fStは、作業者が適宜設定可能である。
【0065】
このような第2制御部31Bによれば、エンドエフェクター20がワークW1を把持した状態で、ツールセンターポイントTCPを目標位置に向かって移動させつつ、かつ、目標力fStが予め設定された値になるまでツールセンターポイントTCPが移動するようにロボットアーム10を駆動することができる。以下、ロボット1が行う第1作業の一例として、嵌合作業について説明する。
【0066】
図4~
図6に示すように、嵌合作業は、エンドエフェクター20がワークW1を把持し、対象物であるワークW2の挿入孔200にワークW1を挿入、嵌合させる作業である。まず、
図4に示すように、作業開始位置にツールセンターポイントTCPを位置させ、
図5に示すように、挿入孔200のテーパ部210にワークW1が接触するまで、ワークW1を把持したエンドエフェクター20が下降するようロボットアーム10を駆動する。ワークW1がテーパ部210に接触した後は、テーパ部210の内面に沿わせるようにワークW1を下降させ、その後、
図6に示すように、挿入孔200にワークW1を挿入、嵌合させる。
【0067】
テーパ部210の内面に沿わせるようにワークW1を下降させる制御を、倣い制御とも言い、挿入孔200にワークW1を挿入、嵌合させる制御を、嵌め合い制御とも言う。倣い制御および嵌め合い制御では、力センサー19が検出する力に、それぞれ、目標力が設定されており、設定された目標力を維持するよう下降動作を行う。これにより、ワークW1およびワークW2に過剰に負荷がかかるのを防止または抑制することができる。
【0068】
「嵌合」とは、狭義の嵌合のみならず、嵌入、係合、隙間をもって緩く嵌るいわゆる遊嵌等を含む広い概念で用いられる。したがって、ワークW1およびワークW2の構成によっては、「嵌合」を「嵌入」、「係合」、「遊嵌」等と読み換えることができる。なお、ワークW2を把持してワークW1をワークW2に挿入する作業であってもよい。
【0069】
なお、ロボット1が行う作業は、上記嵌合作業に限定されず、その他の組み立て作業、例えば、ネジ締め等の作業等にも適用可能である。
【0070】
このような作業を行う場合、挿入孔200のテーパ部210にワークW1が接触するまでの間、ダンパー機構5が第1の弾性率(低弾性率)の状態でロボットアーム10を駆動する。これにより、ワークW2からワークW1に加わった反力による衝撃を、ダンパー機構5が効果的に吸収することができる。
【0071】
図7は、ダンパー機構5が省略されたロボットを用いて上記嵌合作業を行った場合と、ダンパー機構5を備えるロボット1を用いて上記嵌合作業(本発明および参考例)を行った場合とを比較したタイムチャートである。
【0072】
<1.ダンパー機構のないロボット>
ダンパー機構5が省略された従来のロボットでは、ロボットアームの移動開始からワークW1とワークW2との接触を検知するまでに時間Tx1を要する。これは、上述したダンパー機構5の緩衝作用を得ることができないため、ロボットアームの移動速度を比較的遅くすることで、ワークW1およびワークW2に過剰な衝撃が加わるのを防止する必要があるからである。
【0073】
ワークW1とワークW2との接触後、本発明と同様の上述した倣い制御および嵌め合い制御を行った場合、それらの合計時間はTx2である。
【0074】
<2.ダンパー機構を有するロボット(本発明)>
ダンパー機構5を備えるロボット1では、ロボットアーム10の移動開始からワークW1とワークW2との接触を検知するまでの間、ダンパー機構5が第1の弾性率(低弾性率)となるよう、第1制御部31Aが弾性率調整部53の作動を制御する。これにより、接触や衝突の際に十分な緩衝効果が得られるため、ロボットアーム10の移動速度を比較的速くすることができる。よって、作業開始からワークW1とワークW2との接触を検知するまでの時間を、時間Tx1よりも短い時間T1とすることができる。その結果、作業時間の短縮を図ることができる。
【0075】
ワークW1とワークW2との接触を検知すると、ダンパー機構5が第2の弾性率(高弾性率)となるよう、第1制御部31Aが弾性率調整部53の作動を制御する。これにより、上述した倣い制御において、ワークW1をテーパ部210の内面に良好に沿わせつつ下降させることができるとともに、上述した嵌め合い制御において、ワークW1を挿入孔200に押し込む力を効率よくワークW1に伝達することができる。よって、力制御による嵌合作業をより正確かつ良好に行うことができる。
【0076】
接触を検知後の倣い制御および嵌め合い制御に要する合計時間はT2であるが、この嵌合作業は、上述したように、効率よく正確に行うことができるため、時間T2は、時間Tx2よりも、若干ではあるが短くすることができる。
【0077】
<3.ダンパー機構を有するロボット(参考例)>
ダンパー機構5を備えるロボット1において、ロボットアーム10の移動開始からワークW1とワークW2との接触を検知するまでの間および検知した後のそれぞれで、ダンパー機構5を第2の弾性率(高弾性率)の状態に固定した場合、ワークW1とワークW2との接触を検知するまでに時間Ty1を要し、接触検知後の倣い制御および嵌め合い制御には時間T2を要する。時間Ty1は、時間Tx1より短くすることはできるが、時間T1よりは長くなる。
【0078】
以上より、作業開始から作業終了までの時間、すなわちトータルの作業時間は、上記ダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率と第2の弾性率とに切り替えて移動および嵌合作業を行う上記2.の本発明のロボット1を用いた方法が、最も短い。しかも、本発明のロボット1を用いた場合、倣い制御および嵌め合い制御によりワークW1を挿入孔200に挿入する嵌合作業を、適正、安全、迅速に行うことができる。
【0079】
次に、
図8に示すフローチャートを用いて、本発明のロボットシステム100の制御方法の一例について説明する。
【0080】
まず、ステップS101において、ダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率、すなわち低弾性率状態に設定する。具体的には、第1制御部31Aの制御により弾性率調整部53を作動し、内部空間Sの圧力を所定値まで高め、ダンパー50を低弾性率状態とする。
【0081】
次いで、ステップS102において、低弾性率状態でロボットアーム10の移動を開始する。すなわち、低弾性率状態で、ワークW1を把持したエンドエフェクター20がワークW2の上方に位置するようにロボットアーム10を作動させ、次いでワークW1をワークW2に向けて下降させるようロボットアーム10を移動させる。この際のロボットアーム10の移動速度は、ワークW1およびワークW2の種類、サイズ、重量、材質等のワーク条件や、ダンパー機構5の弾性率の程度、低弾性率状態における内部空間Sの気圧等に応じて適宜設定される。
【0082】
本ステップにおける移動は、位置制御であってもよく、力制御(フォーストリガー制御)であってもよい。いずれの場合であっても、ダンパー機構5を低弾性率状態としているため、エンドエフェクター20が把持するワークW1のワークW2またはその他の箇所への接触、衝突に対する許容度が大きく、よってワークW1の移動速度を比較的速く設定することができる。
【0083】
次いで、ステップS103において、ワークW1がワークW2の挿入孔200のテーパ部210に接触したか否かを判断する。本ステップにおける判断は、力センサー19が所定の値以上の力を検出したか否かに基づいてなされる。なお、所定の値は、ワークW1がワークW2に過剰に負荷がかからない程度の値であり、ワークW1およびワークW2の種類、サイズ、重量、材質等のワーク条件や、ロボットアーム10の移動速度や、低弾性率状態における内部空間Sの気圧等に応じて適宜設定される。
【0084】
以上のようなステップS101~ステップS103が、ダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率に設定した状態でロボットアーム10を移動させつつ、力センサー19の検出結果に基づいて、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20を把持する把持物(ワークW1)が対象物(ワークW2)に接触したか否かを判断する第1ステップである。
【0085】
ステップS103において、ワークW1がワークW2に接触したと判断した場合、ステップS104において、ダンパー機構5の弾性率を第2の弾性率、すなわち低弾性率状態に設定し、力制御を行う。具体的には、第1制御部31Aの制御により弾性率調整部53を作動し、内部空間Sの圧力を所定値まで下げ、ダンパー50を高弾性率状態とし、高弾性率状態で、第2制御部31Bにより力センサー19の検出結果に基づいてロボットアーム10の作動を力制御により制御する。この高弾性率状態では、一定の外力に対するダンパー50の伸縮性は乏しく、よって、エンドエフェクター20に外力が加わった場合、移動量が少ない。このため、ダンパー機構5全体で見たとき、弾性率が比較的低く、緩衝作用が比較的小さい。その分、ロボットアーム10の駆動による力がエンドエフェクター20およびエンドエフェクター20が把持するワークW1まで効率よく伝達される。よって、力制御による嵌合作業を正確に行うことができ、また、嵌合作業の作業時間を短縮することもできる。なお、本ステップでは、前述したように、倣い制御および嵌め合い制御を順次行い、ワークW1を挿入孔200に挿入、嵌合させる。
【0086】
なお、ステップS103において、ワークW1がワークW2に接触していないと判断した場合は、当該ステップS103を繰り返し実行する。
【0087】
以上のようなステップS104が、ダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率よりも低い第2の弾性率に設定し、ロボットアーム10に対して力制御を行いつつ、エンドエフェクター20によりワークW2に対し第1作業(嵌合作業)を行う第2ステップである。
【0088】
以上説明したように、ロボットシステムの制御方法は、ロボットアーム10と、ロボットアーム10に設置され、弾性率の調整が可能なダンパー機構5と、ダンパー機構5に設置され、ロボットアーム10に加わる力を検出する力センサー19と、力センサー19に設置され、対象物であるワークW2に第1作業の一例である嵌合作業を行うエンドエフェクター20と、を備えるロボットシステム100の作動を制御するロボットシステムの制御方法である。また、ロボットシステムの制御方法は、ダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率に設定した状態でロボットアーム10を移動させつつ、力センサー19の検出結果に基づいて、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20が把持する把持物であるワークW1がワークW2に接触したか否かを判断する第1ステップと、第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、ダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、ロボットアーム10に対して力制御を行いつつ、エンドエフェクター20によりワークW2に第1作業を行う第2ステップと、を有する。これにより、ロボットアーム10の移動や作業等、状況に応じてダンパー機構5の弾性率を調整することができ、よって、力制御のもとで、嵌合作業のような第1作業を正確、迅速に行いつつ、トータルの作業時間を短縮することができる。
【0089】
なお、上記では、一例としてエンドエフェクター20の把持物が対象物に接触する作業について説明したが、本発明ではこれに限定されず、エンドエフェクター20が対象物に接触する作業であっても、本発明のロボットの制御方法を適用することができる。
【0090】
また、第1ステップでは、位置制御によりロボットアーム10を移動させる。これにより、ロボットアーム10の移動速度をさらに速くすることができ、トータルの作業時間をより短縮することができる。
【0091】
なお、第1ステップでは、力制御、特に、フォーストリガー制御によりロボットアーム10を移動させてもよい。
【0092】
また、第2ステップでは、倣い制御によりロボットアーム10を駆動する。倣い制御は、ロボットアーム10を特に繊細に動作させる必要がある。このような倣い制御を第2ステップにおける力制御に適用することにより、ダンパー機構5を第2の弾性率に設定したことの効果をより顕著に発揮することができる。
【0093】
さらに、本発明では、第1ステップでは、位置制御によりロボットアーム10を移動させ、第2ステップでは、倣い制御によりロボットアーム10を駆動するのが好ましい。これにより、第1作業をより正確、迅速に行いつつ、トータルの作業時間をより短縮することができる。
【0094】
本実施形態では、倣い制御および嵌め合い制御を順次行うが、いずれもダンパー機構5を第2の弾性率としてロボットアーム10を駆動する構成について説明した。ただし、これに限らず、倣い制御を第2の弾性率とし、嵌め合い制御を第2の弾性率とは異なる第3の弾性率としてもよい。この場合、嵌め合い制御では、第3の弾性率は、高弾性率である第2の弾性率よりさらに高い弾性率であることが好ましい。これにより、ワークW1の滑りを防止または抑制することができる。
【0095】
ロボットシステム100は、ロボットアーム10と、ロボットアーム10に設置され、ダンパー50の弾性率を調整する弾性率調整部53を有するダンパー機構5と、ダンパー機構5に設置され、ロボットアーム10に加わる力を検出する力センサー19と、力センサー19に設置され、対象物であるワークW2に第1作業の一例である嵌合作業を行うエンドエフェクター20と、弾性率調整部53による弾性率の調整を制御する第1制御部31Aと、力センサー19の検出結果に基づいてロボットアーム10の作動を制御する第2制御部31Bとを有する制御装置3と、を備える。制御装置3は、第1制御部31Aの制御によりダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率に設定した状態でロボットアーム10を移動させつつ、力センサー19の検出結果に基づいて、エンドエフェクター20またはエンドエフェクター20が把持する把持物であるワークW1がワークW2に接触したか否かを判断する第1ステップと、第1ステップにおいて、接触したと判断した場合、第1制御部31Aの制御によりダンパー機構5の弾性率を第1の弾性率よりも高い第2の弾性率に設定し、第2制御部31Bの制御によりロボットアーム10に対して力制御を行いつつ、エンドエフェクター20によりワークW2に第1作業を行う第2ステップと、を実行するよう制御する。これにより、力制御のもとで、嵌合作業のような第1作業を正確、迅速に行いつつ、トータルの作業時間を短縮することができる。
【0096】
このようロボットシステム100においても、第1ステップでは、位置制御によりロボットアーム10を移動させ、第2ステップでは、倣い制御によりロボットアーム10を駆動するのが好ましい。これにより、第1作業をより正確、迅速に行いつつ、トータルの作業時間をより短縮することができる。
【0097】
<第2実施形態>
図9は、本発明のロボットシステムの第2実施形態が有するロボットアームの先端部および周辺部の側面図である。
【0098】
以下、
図9を参照しつつ本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムの第2実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0099】
図9に示すように、本実施形態におけるダンパー機構5Aは、電動シリンダーで構成されている。ダンパー機構5Aは、弾性率調整部であるモーター54と、モーター54の出力軸に接続されたボールネジシャフト55と、ボールネジシャフト55に係合(螺合)するボールネジナット56とを有する。モーター54は、第6アーム17の先端部に設置されている。モーター54は、第1制御部31Aと電気的に接続されており、通電条件が制御される。
【0100】
ボールネジナット56は、ボールネジシャフト55の下端部を挿通しており、ボールネジシャフト55に対して上下動可能である。ボールネジナット56の下端には、力センサー19が固定されている。
【0101】
ボールネジナット56に下側から力が加わると、ボールネジナット56は、上側に移動しようとする。この移動に伴い、ボールネジシャフト55に回転する力を与えるが、モーター54への通電条件によって、ボールネジシャフト55の回転のしやすさが変わる。ボールネジシャフト55が比較的回転しやすい状態であると、ボールネジナット56が比較的上下動しやすく、ボールネジシャフト55が比較的回転しにくい状態であると、ボールネジナット56が比較的上下動しにくい。
【0102】
モーター54への通電を停止するか、あるいは所定電圧値以下または所定電流値以下で通電する場合には、ボールネジナット56は、比較的上下動しやすく、柔軟性に富んだ動きをする。この状態が、第1の弾性率である低弾性率状態である。一方、モーター54への通電が所定電圧値以上または所電流値以上では、ボールネジナット56は、比較的上下動しにくく、柔軟性に乏しい動きをする。この状態が、第2の弾性率である低弾性率状態である。
【0103】
このように、ダンパー機構5Aは、第1制御部31Aによるモーター54への通電制御により、第1の弾性率(低弾性率)と第2の弾性率(高弾性率)とを取り得る。ダンパー機構5Aを第1の弾性率とするタイミング、第2の弾性率とするタイミングは、前記第1実施形態と同様である。
【0104】
ロボットアーム10を駆動するに際し、ダンパー機構5Aを所定のタイミングで低弾性率状態と高弾性率状態とに切り替えることにより、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、本実施形態では、上下方向の緩衝作用をモーター54への通電条件の変更により直接調整することができ、また応答性に優れるため、第1実施形態で述べたような上下方向の嵌合作業を正確、迅速に行うのに有利である。
【0105】
このようにダンパー機構5は、第1実施形態のようなエアシリンダーまたは第2実施形態のような電動シリンダーを有する。これにより、良好な緩衝作用を得ることができるとともに、力制御を正確に行うことができる。
【0106】
なお、本発明では、上記エアシリンダー、電動シリンダー以外にも、例えば、オイル等の液体が封入されたショックアブソーバーで構成され、その弾性率を第1の弾性率と第2の弾性率とに調整可能な液体シリンダーを用いることもできる。
【0107】
<第3実施形態>
図10は、本発明のロボットシステムの第3実施形態が有するロボットアームの先端部および周辺部の側面図である。
【0108】
以下、
図10を参照しつつ本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムの第3実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0109】
図10に示すように、本実施形態におけるダンパー機構5Bは、電気粘性流体を含むブロック体57で構成されている。ダンパー機構5Bの内部には、電気粘性流体が収納された弾性率調整部が設置されている。電気粘性流体は、当該電気粘性流体に作用する電界を強めると粘性が高まり、当該電気粘性流体に作用する電界を弱めると粘性が低くなる性質を有する物質である。
【0110】
ダンパー機構5Bは、第1制御部31Aにより電気粘性流体に作用する電解を制御することにより、第1の弾性率(低弾性率)と第2の弾性率(高弾性率)とを取り得る。ダンパー機構5Bを第1の弾性率とするタイミング、第2の弾性率とするタイミングは、前記第1実施形態と同様である。ロボットアーム10を駆動するに際し、ダンパー機構5Bを所定のタイミングで低弾性率状態と高弾性率状態とに切り替えることにより、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
<第4実施形態>
図11は、本発明のロボットシステムの第4実施形態が有するロボットアームの先端部および周辺部の側面図である。
【0112】
以下、
図11を参照しつつ本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムの第4実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0113】
図11に示すように、第6アーム17の下端部には、フランジ部18が形成または接続されている。フランジ部18には、当該フランジ部18を上下方向に貫通し、ボルト60が上下動可能に挿通される複数の挿通孔181が形成されている。各ボルト60の下端部は、力センサー19の上部に固定されている。このため、エンドエフェクター20および力センサー19は、外力を受けた際、上下動可能、すなわち第6アーム17に対し接近、離間可能である。
【0114】
本実施形態におけるダンパー機構5Cは、磁石58とコイル59とで構成される弾性率調整部を有する。磁石58は、板状をなし、第6アーム17の下端に固定されている。コイル59は、力センサー19の外周部に巻回され、固定されている。コイル59は、第1制御部31Aと電気的に接続されており、通電条件が制御される。コイル59は、通電により、磁力が発生し、通電方向を切り替えることにより、磁極NSが反転する。
【0115】
コイル59に対し所定方向に通電して、コイル59の上端側の磁極を磁石58の下面側の磁極と同じとした場合は、磁石58とコイル59とは反発しあい、力センサー19およびこれに固定されたエンドエフェクター20は、下方へ向けて付勢される。エンドエフェクター20および力センサー19は、それらの自重と、磁石58およびコイル59の反発とにより下方へ移動し、ボルト60上端のヘッド部がフランジ部18の挿通孔181の外周部に当接して、下方への移動の限界に達し、この状態が維持される。この状態で、エンドエフェクター20および力センサー19は、外力を受けた際、上下動可能であるが、磁石58およびコイル59の反発力により、第6アーム17に対し接近しにくく、柔軟性に乏しい動きをする。この状態が、第2の弾性率である高弾性率状態である。
【0116】
一方、コイル59に対し前記と逆方向に通電して、コイル59の上端側の磁極を磁石58の下面側の磁極と異ならせた場合、またはコイル59へ通電せず磁力が生じていない場合は、磁石58とコイル59とは反発しない。この状態で、エンドエフェクター20および力センサー19は、外力を受けた際、上下動可能であり、第6アーム17に対し、接近、離間しやすく、柔軟性に富んだ動きをする。この状態が、第1の弾性率である低弾性率状態である。
【0117】
以上のように、ダンパー機構5Cは、第1制御部31Aによりコイル59への通電・切電を制御するか、またはコイル59への通電方向を制御することにより、第1の弾性率(低弾性率)と第2の弾性率(高弾性率)とを取り得る。ダンパー機構5Cを第1の弾性率とするタイミング、第2の弾性率とするタイミングは、前記第1実施形態と同様である。ロボットアーム10を駆動するに際し、ダンパー機構5Cを所定のタイミングで低弾性率状態と高弾性率状態とに切り替えることにより、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
なお、本実施形態において、第1の弾性率と第2の弾性率との切り替えは、第1制御部31Aによりコイル59への通電量、通電パターン等の他の通電条件を制御することにより行うこともできる。
【0119】
また、図示されていないが、ボルト60上端のヘッド部と、フランジ部18の挿通孔181の外周部との間のボルト60外周に、コイルバネ等の付勢部材を設置し、該付勢部材によりエンドエフェクター20および力センサー19を上方へ向けて付勢する構成としてもよい。
【0120】
以上、本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムを図示の各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。各実施形態における構成を、適宜組み合わせたり置換したりすることができる。また、ロボットシステムの制御方法には、任意の工程が付加されていてもよい。また、ロボットシステム、ロボット、ダンパー機構等を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構造物と置換することができ、また、任意の構造物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…ロボット、3…制御装置、5…ダンパー機構、5A…ダンパー機構、5B…ダンパー機構、5C…ダンパー機構、10…ロボットアーム、11…基台、12…第1アーム、13…第2アーム、14…第3アーム、15…第4アーム、16…第5アーム、17…第6アーム、18…フランジ部、19…力センサー、20…エンドエフェクター、31A…第1制御部、31B…第2制御部、32…記憶部、33…通信部、34…信号取得部、50…ダンパー、51…基部、52…カム、53…弾性率調整部、54…モーター、55…ボールネジシャフト、56…ボールネジナット、57…ブロック体、58…磁石、59…コイル、60…ボルト、100…ロボットシステム、171…関節、172…関節、173…関節、174…関節、175…関節、176…関節、181…挿通孔、200…挿入孔、210…テーパ部、511…開口、512…縁部、513…通気口、521…フランジ部、531…管、D1…モータードライバー、D2…モータードライバー、D3…モータードライバー、D4…モータードライバー、D5…モータードライバー、D6…モータードライバー、E1…エンコーダー、E2…エンコーダー、E3…エンコーダー、E4…エンコーダー、E5…エンコーダー、E6…エンコーダー、M1…モーター、M2…モーター、M3…モーター、M4…モーター、M5…モーター、M6…モーター、S…内部空間、TCP…ツールセンターポイント、Tx1…時間、Tx2…時間、T1…時間、T2…時間、Ty1…時間、W1…ワーク、W2…ワーク