(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097475
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20240711BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
E04B1/58 508N
E04B1/30 Z
E04B1/58 505N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000946
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】桂 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 有章
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 樹
(72)【発明者】
【氏名】松戸 正士
(72)【発明者】
【氏名】平野 徹
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直美
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB12
2E125AC01
2E125AC23
2E125AC24
2E125AG14
2E125CA05
2E125CA06
(57)【要約】
【課題】仕口に現場打ちコンクリートを施工しなくても、柱と木質梁とを接合することが可能な柱梁接合構造を提供すること。
【解決手段】柱梁接合構造100は、柱40と合わせ木質梁10Aとが接合されている柱梁接合構造100であって、上下方向において柱40と接合される連結部50と、連結部50から合わせ木質梁10Aの長手方向である第1方向Xに張り出し、合わせ木質梁10Aの木質梁20,30の間に配置される張り出し部60と、を備え、張り出し部60は、合わせ木質梁10Aの木質梁20,30が離隔する方向である第2方向Yに合わせ木質梁10Aの木質梁20,30と接合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と合わせ木質梁とが接合されている柱梁接合構造であって、
上下方向において前記柱と接合される連結部と、
前記連結部から前記合わせ木質梁の長手方向である第1方向に張り出し、前記合わせ木質梁の間に配置される張り出し部と、を備え、
前記張り出し部は、前記合わせ木質梁が離隔する方向である第2方向に前記合わせ木質梁と接合されることを特徴とする、柱梁接合構造。
【請求項2】
前記張り出し部に埋め込まれ、前記第2方向の両側に張り出す複数の締結部材を備え、
前記合わせ木質梁の長手方向の端部には、前記合わせ木質梁の幅方向に貫通する複数の貫通孔が開設され、
前記複数の貫通孔に前記複数の締結部材が挿通されて、前記張り出し部に前記合わせ木質梁が接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項3】
前記合わせ木質梁の上面または下面には床版が配置され、
前記合わせ木質梁のうち、前記上面以外の側面及び底面が、耐火被覆材によって覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項4】
前記連結部及び前記張り出し部は、プレキャストコンクリート製であることを特徴とする、請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項5】
前記第1方向において、前記張り出し部の長さは、前記梁のせいの10%以上、150%以下の長さであることを特徴とする請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項6】
前記第2方向において、前記張り出し部の幅は、前記連結部の幅よりも狭く、
前記第2方向において、前記合わせ木質梁の側面は、前記連結部の側面と面一であることを特徴とする、請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項7】
柱と合わせ木質梁とが接合されている柱梁接合構造であって、
前記柱の側面に設けられたエンドプレートと、
前記エンドプレートから前記合わせ木質梁の長手方向である第1方向に張り出し、前記合わせ木質梁の間に配置される張り出し部と、を備え、
前記張り出し部は、前記合わせ木質梁が離隔する方向である第2方向に前記合わせ木質梁と接合されることを特徴とする、柱梁接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱梁接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、柱と、木質梁と、コンクリート製の仕口と、を備える柱梁接合構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の柱梁接合構造は、木質梁の端面から、木質梁の長手方向に突出し、仕口に埋設される定着具を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係る柱梁接合構造では、木質梁の端面から突出する定着具を仕口に配置した後に、仕口にコンクリートを打設する必要があった。このような工法を採用する柱梁接合構造は、現場にてコンクリートを打設する必要があるため、プレキャスト工法を採用するには、不向きであった。
【0005】
本発明は、仕口に現場打ちコンクリートを施工しなくても、柱と木質梁とを接合することが可能な柱梁接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成すべく、本発明による柱梁接合構造の一態様は、
柱と合わせ木質梁とが接合されている柱梁接合構造であって、
上下方向において前記柱と接合される連結部と、
前記連結部から前記合わせ木質梁の長手方向である第1方向に張り出し、前記合わせ木質梁の間に配置される張り出し部と、を備え、
前記張り出し部は、前記合わせ木質梁が離隔する方向である第2方向に前記合わせ木質梁と接合されることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、柱に連結される連結部から合わせ木質梁の長手方向である第1方向に張り出す張り出し部に対して、合わせ木質梁が離隔する方向である第2方向に合わせ木質梁を接合することにより、連結部と合わせ木質梁とを接合することができる。張り出し部と木質梁とは、第2方向に接合されている。このような構造を採用することにより、木質梁の端面から棒状の定着具を突出させて、現場にてコンクリートを打設する工法を採用せずに、柱と木質梁とを接合することができる。本態様では、連結部から張り出し部が張り出す構造を採用することにより、現場にてコンクリートを打設しなくてもよく、プレキャスト工法を採用して、木質梁と柱とを接合することができる。
【0008】
また、本発明の他の態様において、
前記張り出し部に埋め込まれ、前記第2方向の両側に張り出す複数の締結部材を備え、
前記合わせ木質梁の長手方向の端部には、前記合わせ木質梁の幅方向に貫通する複数の貫通孔が開設され、
前記複数の貫通孔に前記複数の締結部材が挿通されて、前記張り出し部に前記合わせ木質梁が接合されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、張り出し部から第2方向に張り出すように締結部材を配置し、この締結部材を合わせ木質梁の幅方向に貫通させて、合わせ木質梁と張り出し部とを連結することができる。このような構造により、張り出し部を挟むように合わせ木質梁を配置して、第2方向に張り出す締結部材を介して、張り出し部と合わせ木質梁とを接合することができる。
【0010】
また、本発明の他の態様において、
前記合わせ木質梁の上面または下面には床版が配置され、
前記合わせ木質梁のうち、前記上面以外の側面及び底面が、耐火被覆材によって覆われていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、合わせ木質梁のうち、床版によって覆われていない面が、耐火被覆材によって覆われることになる。これにより、合わせ木質梁を有する架構の耐火性能の向上を図ることができる。また、本態様によれば、耐火性能が向上された架構によって、床版を支持することができる。
【0012】
また、本発明の他の態様において、
前記連結部及び前記張り出し部は、プレキャストコンクリート製であることを特徴する。
【0013】
本態様によれば、連結部及び張り出し部がプレキャストコンクリート製であることにより、施工現場においてコンクリートを打設する範囲を減らすことができ、工期の短縮を図ることができる。
【0014】
また、本発明の他の態様において、
前記第1方向において、前記張り出し部の長さは、前記梁のせいの10%以上、150%以下の長さであることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、第1方向において連結部から張り出す張り出し部の長さを確保することができ、張り出し部と合わせ木質梁との接合の信頼性の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明の他の態様において、
前記第2方向において、前記張り出し部の幅は、前記連結部の幅よりも狭く、
前記第2方向において、前記合わせ木質梁の側面は、前記連結部の側面と面一であることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、第2方向において、連結部の側面と合わせ木質梁との側面とが面一であることにより、同じ厚さの1枚の耐火被覆材により、連結部及び合わせ木質梁とを覆うことができる。そのため、耐火被覆材の施工を容易とすることができる。
【0018】
また、本発明の他の態様において、
柱と合わせ木質梁とが接合されている柱梁接合構造であって、
前記柱の側面に設けられたエンドプレートと、
前記エンドプレートから前記合わせ木質梁の長手方向である第1方向に張り出し、前記合わせ木質梁の間に配置される張り出し部と、を備え、
前記張り出し部は、前記合わせ木質梁が離隔する方向である第2方向に前記合わせ木質梁と接合されることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、柱に設けられたエンドプレートから合わせ木質梁の長手方向である第1方向に張り出す張り出し部に対して、合わせ木質梁が離隔する方向である第2方向に合わせ木質梁を接合することにより、柱と合わせ木質梁とを接合することができる。張り出し部と木質梁とは、第2方向に接合されている。このような構造を採用することにより、木質梁の端面から棒状の定着具を突出させて、現場にてコンクリートを打設する工法を採用せずに、柱と木質梁とを接合することができる。本態様では、柱に設けられたエンドプレートから張り出し部が張り出す構造を採用することにより、現場にてコンクリートを打設しなくてもよく、木質梁と柱とを接合することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明から理解できるように、本発明によれば、仕口に現場打ちコンクリートを施工しなくても、柱と木質梁とを接合することが可能な柱梁接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XZ面に沿う断面を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XY面に沿う断面を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
【
図6】連結部及び張り出し部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図9】第4実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
【
図10】第4実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図11】第5実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XZ面に沿う断面を示す図である。
【
図12】第6実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
【
図13】変形例に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XZ面に沿う断面を示す図である。
【
図14】変形例に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XY面に沿う断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係る柱梁接合構造について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0023】
[第1実施形態に係る柱梁接合構造]
図1乃至
図4を参照して、第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例について説明する。ここで、
図1は、第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XZ面に沿う断面を示す図である。
図4は、第1実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XY面に沿う断面を示す図である。また、各図において、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を適宜図示する場合がある。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に沿う。Z軸方向は、鉛直方向に沿う。
【0024】
柱梁接合構造100を有する建物の躯体は、柱40、及び合わせ木質梁10A,10Bを備える。柱40は、例えば鉄筋コンクリート造(RC造)の柱である。柱40は、RC造の柱に限定されず、鉄骨造(S造)の柱でもよく、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の柱でもよく、木造の柱でもよく、コンクリート充填鋼管構造(CFT造、Concrete Filled Steel Tube)の柱でもよい。
【0025】
合わせ木質梁10A,10Bは、2本の木質梁20,30を有する。合わせ木質梁10Aは、X軸方向に延在し、合わせ木質梁10Bは、Y軸方向に延在する。木質梁20,30は、合わせ木質梁10A,10Bの幅方向に離れて配置されている。合わせ木質梁10Aの幅方向は、Y軸方向であり、合わせ木質梁10Bの幅方向は、X軸方向である。
【0026】
木質梁20,30は、複数の層が積層されて形成され、これらの層に含まれるひき板は、隣接する層のひき板と繊維方向が互いに直交するように配置されている。複数の層は、互いに接着されている。木質梁20,30は、CLTでもよく、LVL(Laminated Veneer Lumber、単板積層材)などその他の木質の梁でもよい。
【0027】
木質梁20は、上面21、下面22、一対の側面23、及び先端面24を有する。一対の側面23は、木質梁20の幅方向に対向する。先端面24は、木質梁20の長手方向における端面である。木質梁30は、上面31、下面32、一対の側面33、及び先端面34を有する。一対の側面33は、木質梁30の幅方向に対向する。先端面34は、木質梁30の長手方向における端面である。木質梁20の側面23と、木質梁30の側面33とは、合わせ木質梁10A,10Bの幅方向において対向する。
図4に示されるように、先端面24,34は、木質梁20,30の長手方向において、柱40に近い方の面である。
【0028】
次に、柱梁接合構造100について説明する。柱梁接合構造100は、柱40と合わせ木質梁10A,10Bとを接合する。柱梁接合構造100は、連結部50と張り出し部60とを備える。連結部50は、複数の柱40を上下方向に接合する。連結部50は、上方に配置された柱40と、下方に配置された柱40との間に配置されている。連結部50は、仕口である。連結部50のX軸方向に沿う幅は、柱40のX軸方向に沿う幅と同じでもよく、柱40のX軸方向に沿う幅よりも大きくてもよい。同様に、連結部50のY軸方向に沿う幅は、柱40のY軸方向に沿う幅と同じでもよく、柱40のY軸方向に沿う幅よりも大きくてもよい。
【0029】
連結部50は、例えばRC造である。連結部50は、RC造のものに限定されず、S造の連結部50でもよく、SRC造の連結部50でもよく、CFT造の連結部50でもよい。
【0030】
図2及び
図4に示されるように、連結部50は、複数の側面51,52を有する。側面51は、X軸方向に対向し、側面52は、Y軸方向に対向する。
【0031】
張り出し部60は、連結部50から合わせ木質梁10A,10Bの長手方向に張り出し、木質梁20,30間に配置される。合わせ木質梁10A,10Bの長手方向の端部は、張り出し部60に接合される。合わせ木質梁10Aに接合される張り出し部60は、側面51からX軸方向に張り出す。合わせ木質梁10Bに接合される張り出し部60は、側面52からY軸方向に張り出す。
【0032】
張り出し部60は、上面61、下面62、一対の側面63、及び先端面64を有する。一対の側面63は、木質梁20,30の幅方向に対向する。
図4に示されるように、一方の側面63は、木質梁20の側面23と対面し、他方の側面63は、木質梁30の側面33と対面している。
【0033】
柱梁接合構造100の連結部50及び張り出し部60は、一体として形成されている。連結部50及び張り出し部60は、プレキャストコンクリート製である。
図3及び
図4に示されるように、連結部50は、複数の鉄筋111~114、121、123、及びコンクリート131を有する。X軸方向に張り出す張り出し部60は、複数の鉄筋111~113及びコンクリート131を有する。
図4に示されるように、Y軸方向に張り出す張り出し部60は、複数の鉄筋114,115及びコンクリート131を有する。これらの鉄筋111~115、121、123は、例えば異形鉄筋である。鉄筋111~115,121は、異形鉄筋に限定されず、その他の鉄筋でもよい。連結部50及び張り出し部60は、鉄筋111~115、121、123以外のその他の鉄筋を有するものでもよい、
【0034】
連結部50の鉄筋121は、Z軸方向に延在する。鉄筋121は、主筋である。
【0035】
連結部50の鉄筋123はフープ筋であり、複数の鉄筋121を囲むように配置されている。
【0036】
図3に示されるように、鉄筋111,112は、X軸方向に延在する。鉄筋111は、上端主筋であり、鉄筋112は下端主筋である。鉄筋111,112は、連結部50からX軸方向に張り出し、張り出し部60の内部まで延在する。鉄筋111の端部は、先端面64の近傍で折り曲げられて、下向きに延びる。鉄筋111の端部は定着部として機能する。なお、定着部はその他の構造でもよい。
【0037】
鉄筋113は、フープ筋であり、鉄筋111,112を囲むように配置されている。鉄筋113は、張り出し部60の内部に配筋されている。
【0038】
図4に示されるように、Y軸方向に張り出す60は、X軸方向に張り出す60と同じ構造である。鉄筋114は、Y軸方向に延在する上端主筋である。図示していないが、Y軸方向に張り出す張り出し部60は、Y軸方向に延在する下端主筋を有する。鉄筋114は、連結部50からY軸方向に張り出し、張り出し部60の内部まで延在する。鉄筋114の端部は、先端面64の近傍で折り曲げられて、下向きに延びる。鉄筋114の端部は定着部として機能する。鉄筋114は、フープ筋であり、Y軸方向に張り出す張り出し部60の内部に配筋されている。
【0039】
連結部50は、上面及び下面を有する。Z軸方向に延在する鉄筋121は、連結部50の上面及び下面からZ軸方向に張り出している。連結部50からZ軸方向に張り出す鉄筋121は、柱40の内部で、柱40の主筋141に連結されている。柱40は、主筋141、フープ筋142を有する。また、連結部50の上面及び下面には、エンドプレートが配置されていてもよい。エンドプレートには、鉄筋を貫通させるための開口が形成されている。
【0040】
図4に示されるように、張り出し部60には、合わせ木質梁10A,10Bの幅方向に延在する高ナット66が埋め込まれている。張り出し部60の側面63には、高ナット66のめねじ部が配置されている。
【0041】
複数のボルト71は、張り出し部60の側面63から合わせ木質梁10A,10Bの幅方向に突出する。ボルト71は、高ナット66のめねじ部にねじ込まれて、張り出し部60に対して固定されている。ボルト71は、例えばハイテンションボルトでもよい。ボルト71は、締結部材の一例である。また、締結部材は、ボルトに限定されず、木ダボでもよく、ドリフトピンでもよく、その他の棒状の締結部材でもよい。
【0042】
図2及び
図4に示されるように、木質梁20の端部20aには、複数の貫通孔72が形成されている。貫通孔72は、木質梁20の幅方向に貫通する。ボルト71は、貫通孔72に挿通されて、張り出し部60の高ナット66にねじ込まれる。また、ボルト71のヘッドと、木質梁20の側面23との間には、ワッシャ73が配置される。複数のボルト71を張り出し部60に高ナット66にねじ込むことにより、木質梁20を張り出し部60に対して、接合することができる。X軸方向に延在する木質梁20に対して、ボルト71は、Y軸方向に沿って配置され、木質梁20の端部20aは、張り出し部60の側面63に対して接合される。
【0043】
同様に、木質梁30の端部30aには、複数の貫通孔72が形成され、この貫通孔72にボルト71が挿通されて、張り出し部60の高ナット66にねじ込まれる。これにより、木質梁30と張り出し部60とが接合される。
【0044】
合わせ木質梁10Aの木質梁20,30は、Y軸方向において木質梁20と木質梁30との間に配置された張り出し部60に接合される。
【0045】
合わせ木質梁10Aが張り出し部60に接合されている状態において、合わせ木質梁10Aの木質梁20,30の先端面24,34は、連結部50の側面51と対向するように配置されている。同様に、合わせ木質梁10Bが張り出し部60に接合されている状態において、合わせ木質梁10Bの木質梁20,30の先端面24,34は、連結部50の側面52と対向するように配置されている。木質梁20,30の先端面24,34と、連結部50の側面51,52は、当接していてもよい。
【0046】
図3に示されるように、張り出し部60の張り出し長さL1は、木質梁20,30の梁せいH1の25%以上、200%以下である。張り出し部60の張り出し長さL1は、木質梁20,30の梁せいH1の25%以上、100%以下であることが好ましい。木質梁20,30の梁せいH1は、木質梁20,30のZ軸方向における上面21,31と下面22,32との間の長さである。張り出し長さL1は、木質梁20,30の長手方向における張り出し部60の長さであり、連結部50の側面51と先端面64との間の長さである。
【0047】
合わせ木質梁10A,10Bの上には、床版80が載置される。床版80は、木質面材と鉄筋コンクリートスラブとを有する合成スラブでもよい。木質面材は、CLTパネルでもよく、LVL(Laminated Veneer Lumber、単板積層材)などその他の木質面材でもよい。鉄筋コンクリートスラブは、プレキャストコンクリートスラブでもよく、現場にて打設されたコンクリートを含むものでもよい。床版80は、木質面材を有していないものでもよい。床版80は、張り出し部60の上面61、及び木質梁20,30の上面21,31の上に載置されている。
【0048】
(作用効果)
このように、第1実施形態に係る柱梁接合構造100は、柱40と合わせ木質梁10A,10Bとを接合する鉄筋コンクリート造の柱梁接合構造100であって、上下方向において柱40と接合される連結部50と、連結部50から合わせ木質梁10A,10Bの長手方向に張り出し、木質梁20と木質梁30との間に配置される張り出し部60と、を備え、張り出し部60は、木質梁20と木質梁30とが離隔する方向に、木質梁20,30と接合されている。
【0049】
このような柱梁接合構造100によれば、柱40に連結される連結部50から合わせ木質梁10A,10Bの長手方向に張り出す張り出し部60に対して、木質梁20と木質梁30とが離隔する方向に木質梁20,30を接合することにより、連結部50と合わせ木質梁10A,10Bとを接合することができる。張り出し部60と木質梁20,30は、木質梁20,30の幅方向に接合されている。本態様では、このような構造を採用することにより、木質梁の端面から棒状の定着具を突出させて、現場にてコンクリートを打設する従来の工法を採用せずに、柱40と合わせ木質梁10A,10Bとを接合することができる。本態様では、連結部50から張り出し部60が張り出す構造を採用することにより、現場にて仕口にコンクリートを打設しなくてもよく、プレキャスト工法を採用して、木質梁と柱とを接合することができる。
【0050】
また、柱梁接合構造100は、張り出し部60に埋め込まれ、木質梁20,30の幅方向の両側に張り出す複数のボルト71を備え、木質梁20,30の端部20a,30a端部には、木質梁20,30の幅方向に貫通する複数の貫通孔72が開設され、複数の貫通孔72に複数のボルト71がそれぞれ挿通されて、張り出し部60に木質梁20,30がボルト接合されている。
【0051】
本態様によれば、張り出し部60から木質梁20,30の幅方向に張り出すようにボルト71を配置し、このボルト71を木質梁20,30の幅方向に貫通させて、木質梁20,30と張り出し部60とを連結することができる。このような構造により、張り出し部60を挟むように木質梁20,30を配置して、木質梁20,30の幅方向に張り出すボルト71を介して、張り出し部60と木質梁20,30とを接合することができる。
【0052】
また、柱梁接合構造100では、連結部50及び張り出し部60は、プレキャストコンクリート製である。本態様の柱梁接合構造100によれば、連結部50及び張り出し部60がプレキャストコンクリート製であることにより、施工現場においてコンクリートを打設する範囲を減らすことができ、工期の短縮を図ることができる。
【0053】
また、柱梁接合構造100では、木質梁20,30の長手方向において、張り出し部60の長さL1は、木質梁20,30梁せいH1の25%以上、200%以下の長さである。本態様によれば、木質梁20,30の長手方向において連結部50から張り出す張り出し部60の長さL1を確保することができ、張り出し部60と木質梁20,30との接合の信頼性の向上を図ることができる。
【0054】
[第2実施形態に係る柱梁接合構造]
次に、
図5及び
図6を参照して第2実施形態に係る柱梁接合構造100Bについて説明する。
図5は、第2実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
図6は、連結部及び張り出し部を拡大して示す斜視図である。
図5及び
図6に示される第2実施形態に係る柱梁接合構造100Bが、第1実施形態に係る柱梁接合構造100と違う点は、RC造の張り出し部60に代えて、S造の張り出し部60Bを備える点、及び連結部50とは異なる構造の連結部50Bを備える点である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0055】
柱梁接合構造100Bは、連結部50B及び張り出し部60を備える。柱梁接合構造100Bは、H形鋼150及びプレート154,155を備える。H形鋼150は、木質梁20,30の長手方向に延在する。長手方向において、H形鋼150の一方の部分150aは、連結部50Bの内部に埋め込まれ、他方の部分150bは、連結部50Bから張り出す。H形鋼150のうち、連結部50Bの側面51から張り出す部分150bは、張り出し部60Bに含まれる。
【0056】
連結部50Bは、H形鋼150の一方の部分150aと、コンクリート131と、を含む。連結部50Bは、
図3及び
図4に示されるように、鉄筋121、123を有する。
【0057】
図6に示されるように、張り出し部60Bは、H形鋼150の他方の部分150bと、プレート154,155を含む。H形鋼150は、ウェブ151、上フランジ152、及び下フランジ153を有する。プレート154,155は、H形鋼150の幅方向に対向する。プレート154,155は、ウェブ151を挟んで、H形鋼150の両側に配置されている。プレート154,155の板厚方向は、ウェブ151の板厚方向と同じである。プレート154,155の上端部及び下端部は、上フランジ152及び下フランジ153の幅方向における端部に溶接されている。
【0058】
プレート154,155には、板厚方向に貫通する複数の貫通孔72が形成されている。また、同様に、ウェブ151にも貫通孔72が形成されていてもよい。また、貫通孔72には、
図4に示されるように、高ナット66が設けられていてもよい。
【0059】
図5に示されるように、張り出し部60Bには、木質梁20,30がボルト接合されている。木質梁20,30は、木質梁20,30の幅方向に延在するボルト71を用いて、張り出し部60Bに接合されている。木質梁20の側面は、張り出し部60Bのプレート154に当接し、木質梁30の側面は、張り出し部60Bのプレートと155に当接している。
【0060】
このような第2実施形態に係る柱梁接合構造100Bにおいても、上記の第1実施形態の柱梁接合構造100と同様の作用効果を奏する。柱梁接合構造100Bの張り出し部60Bは、H形鋼150及びプレート154,155を有し、S造でもよい。
【0061】
[第3実施形態に係る柱梁接合構造]
次に、
図7及び
図8を参照して第3実施形態に係る柱梁接合構造100Cについて説明する。
図7は、第3実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
図8は、第3実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
図7及び
図8に示される第3実施形態に係る柱梁接合構造100Cが、第2実施形態に係る柱梁接合構造100Bと違う点は、Y軸方向に張り出す張り出し部60Cを備える点、及び連結部50Bとは異なる構造の連結部50Cを備える点である。なお、第3実施形態の説明において、第1,2実施形態と同様の説明は省略する。また、
図8では、合わせ木質梁10Bの図示が省略されている。
【0062】
柱梁接合構造100Cは、連結部50C及び張り出し部60B,60Cを備える。張り出し部60Bは、連結部50CからX軸方向に張り出し、張り出し部60Cは、連結部50CからY軸方向に張り出す。張り出し部60Bには、X軸方向に延在する合わせ木質梁10Aが接合され、張り出し部60Cには、Y軸方向に延在する合わせ木質梁10Bが接合される。
【0063】
柱梁接合構造100Cは、H形鋼150,150C及びプレート154,155を備える。プレート154,155は、
図6に図示されている。プレート154,155は、H形鋼150Cに対しても同様に溶接されている。
【0064】
H形鋼150は、X軸方向に延在し、H形鋼150Cは、Y軸方向に延在する。H形鋼150Cは、H形鋼150に対して直交している。H形鋼150Cは、H形鋼150に対して溶接されている。H形鋼150Cは、第1部分157及び第2部分158を有する。H形鋼150Cは、長手方向に複数に分割されている。第1部分157及び第2部分158は、互いに反対側に延びる。第1部分157は、H形鋼150に対して、合わせ木質梁10Bとは反対側に延びる。第2部分158は、H形鋼150に対して、合わせ木質梁10Bが配置されている方へ延びる。
【0065】
第1部分157の大部分は、連結部50Cのコンクリートに埋め込まれている。第1部分157のうち、H形鋼150から遠い方の端部は、連結部50Cから外部に露出していてもよい。
【0066】
第2部分158のうち、H形鋼150に近い方の部分は、連結部50Cのコンクリートに埋め込まれている。第2部分158のうち、H形鋼150から遠い方の部分は、連結部50Cから張り出している。H形鋼150Cの第2部分158のうち、連結部50Cから張り出している部分は、張り出し部60Cに含まれる。張り出し部60Cは、H形鋼150Cの第2部分158の一部と、H形鋼150Cに溶接されたプレート154,155とを備える。このような張り出し部60Cのプレート154,155には、複数の貫通孔72が設けられている。
【0067】
Y軸方向に延在する合わせ木質梁10Bの木質梁20,30は、Y軸方向に張り出す張り出し部60Cにボルト接合されている。合わせ木質梁10Bの木質梁20,30は、X軸方向において、張り出し部60Cの両側にそれぞれ配置され、X軸方向に延在するボルト71を用いてボルト接合されている。
【0068】
このような第3実施形態に係る柱梁接合構造100Cにおいても、上記の第1,2実施形態の柱梁接合構造100,100Bと同様の作用効果を奏する。連結部50Cは、直交するように配置されたH形鋼150,150Cを備えていてもよい。連結部50Cから張り出すH形鋼150,150Cに対してプレート154,155を溶接することにより、張り出し部60B,60Cを形成することができる。このような張り出し部60B,60Cに対して、合わせ木質梁10A,10Bの木質梁20,30を接合することができる。
【0069】
[第4実施形態に係る柱梁接合構造]
次に、
図9及び
図10を参照して第4実施形態に係る柱梁接合構造100Dについて説明する。
図9は、第4実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
図10は、第4実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す分解斜視図である。
図9及び
図10に示される第4実施形態に係る柱梁接合構造100Dが、第1実施形態に係る柱梁接合構造100と違う点は、RC造の張り出し部60に代えて、S造の張り出し部60Dを備える点、及び、RC造の連結部50に代えて、S造の連結部50Dを備える点である。なお、第4実施形態の説明において、第1~3実施形態と同様の説明は省略する。また、
図10では、合わせ木質梁10Bの図示が省略されている。
【0070】
柱梁接合構造100Dは、連結部50D及び張り出し部60Dを備える。張り出し部60Dは、連結部50Dから張り出す。X軸方向に張り出す張り出し部60Dには、合わせ木質梁10Aが接合され、Y軸方向に張り出す張り出し部60Dには、合わせ木質梁10Bが接合される。
【0071】
連結部50Dは、柱40Dと柱40Dとを上下に連結する。柱40Dは、S造の柱であり角型鋼管を有する。連結部50Dは、本体161と、ダイアフラム162、163とを有するS造の連結部である。本体161は、例えば角形鋼管である。ダイアフラム162は、本体161の上端に溶接され、本体161の下端に溶接されている。ダイアフラム162,163の板厚方向は、Z軸方向に沿う。
【0072】
ダイアフラム162には、連結部50Dの上方に配置される柱40Dが溶接されている。ダイアフラム163には、連結部50Dの下方に配置される柱40Dが溶接されている。本体161は、ダイアフラム162,163を介して、柱40Dに接合されている。
【0073】
張り出し部60Dは、H形鋼150Dと、プレート154,155とを備える。H形鋼150Dは、ウェブ151、上フランジ152、及び下フランジ153を有する。プレート154,155の上端部及び下端部は、上フランジ152及び下フランジ153の幅方向における端部に溶接されている。また、プレート154,155の本体161に近い方の端部は、本体161の側面に溶接されている。
【0074】
プレート154,155には、板厚方向に貫通する複数の貫通孔72が形成されている。また、同様に、ウェブ151にも貫通孔72が形成されていてもよい。また、貫通孔72には、
図4に示されるように、高ナット66が設けられていてもよい。
【0075】
X軸方向に延在する合わせ木質梁10Aの木質梁20,30は、X軸方向に張り出す張り出し部60Dにボルト接合されている。合わせ木質梁10Aの木質梁20,30は、Y軸方向において、張り出し部60Dの両側にそれぞれ配置され、Y軸方向に延在するボルト71を用いてボルト接合されている。同様に、合わせ木質梁10Bは、Y軸方向に張り出す張り出し部60Dにボルト接合されている。
【0076】
このような第4実施形態に係る柱梁接合構造100Dにおいても、上記の第1~3実施形態の柱梁接合構造100,100B,100Cと同様の作用効果を奏する。柱40D及び連結部50Dは、角形鋼管を有するS造の柱及び連結部でもよい。このような連結部50Dから張り出す張り出し部60Dに対して、木質梁20,30を接合することができる。なお、柱40D及び連結部50Dは、例えば、コンクリート充填鋼管構造(CFT造、Concrete Filled Steel Tube)の柱及び連結部でもよい。
【0077】
[第5実施形態に係る柱梁接合構造]
次に、
図11を参照して第5実施形態に係る柱梁接合構造100Eについて説明する。
図11は、第5実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
図11に示される第5実施形態に係る柱梁接合構造100Eが、第1実施形態に係る柱梁接合構造100と違う点は、逆梁である合わせ木質梁10Aを備える点である。なお、第5実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0078】
柱梁接合構造100Eは、連結部50及び張り出し部60を備える。連結部50及び張り出し部60の構造は、柱梁接合構造100の連結部50及び張り出し部60と同じである。X軸方向に張り出す張り出し部60に対して、合わせ木質梁10Aの木質梁20,30が接合される。
【0079】
床版80は、合わせ木質梁10Aの下方に施工されている。床版80は、例えばRCスラブである。床版80は、合わせ木質梁10Aの木質梁20,30の下面22,32に接するように施工されている。木質梁20の下面22は、
図1に示されている。張り出し部60は、プレキャスト工法により施工されたものでもよく、施工現場にてコンクリートを打設することにより形成されたものでもよく、床版80とともに一体に形成されたものでもよい。
【0080】
次に、逆梁工法における施工手順について説明する。まず、コンクリートを打設する前に型枠を設置する。合わせ木質梁10Aが配置される位置よりも下方に床版80が配置されるように型枠を設置する。
【0081】
次に、型枠の上に床版80の鉄筋を配筋する。床版80のスラブの天端となる位置に合わせ木質梁10Aの木質梁20,30を配置する。このとき、張り出し部60に木質梁20,30を接合する。このあと、型枠にコンクリートを打設する。これにより、木質梁20,30の下方に床版80が施工される。
【0082】
このような第5実施形態に係る柱梁接合構造100Eにおいても、上記の第1実施形態の柱梁接合構造100と同様の作用効果を奏する。柱梁接合構造100Eの張り出し部60Bに接合される合わせ木質梁10Aは、逆梁工法により施工されるものでもよい。同様に、例えば、上記の第2~4実施形態に係る柱梁接合構造において、逆梁工法を適用してもよい。
【0083】
[第6実施形態に係る柱梁接合構造]
次に、
図12を参照して第6実施形態に係る柱梁接合構造100Fについて説明する。
図12は、第6実施形態に係る柱梁接合構造の一例を示す斜視図である。
図12に示される第6実施形態に係る柱梁接合構造100Fが、第1実施形態に係る柱梁接合構造100と違う点は、柱40Fが木質柱である点、連結部50Fは、柱40Fの一部である点、及び、S造の張り出し部60Fを備える点である。なお、第6実施形態の説明において、第1~5実施形態と同様の説明は省略する。
【0084】
柱梁接合構造100Fは、エンドプレート156及び張り出し部60Fを備える。張り出し部60Fは、H形鋼150F、及びプレート154,155を備える。プレート154,155は、
図10に示される第4実施形態のプレート154,155と同様である。H形鋼150Fは、
図10に示される第4実施形態のH形鋼150と同様に、ウェブ151、上フランジ152、及び下フランジ153を有する。
【0085】
H形鋼150及びプレート154,155は、エンドプレート156に溶接されている。エンドプレート156の板厚方向は、例えばX軸方向に沿う。エンドプレート156は、連結部50Fの側面に接合されている。連結部50Fは、柱40Fの一部であり、張り出し部60Fが連結される連結部である。
【0086】
エンドプレート156は、連結部50Fに対して、例えばボルト接合されている。エンドプレート156には、貫通孔が形成されこの貫通孔にボルトが挿通されている。木質梁20,30の端面には、ボルトの頭部に対応する位置に凹部が形成されている。張り出し部60Fは、エンドプレート156から合わせ木質梁10Aの長手方向に張り出す。
【0087】
このような第6実施形態に係る柱梁接合構造100Fにおいても、上記の第1実施形態の柱梁接合構造100と同様の作用効果を奏する。合わせ木質梁10Aが接合される柱40Fは、木造の柱でもよい。また、柱梁接合構造100Fにおいて、柱40Fは、木質柱に限定されず、例えば、角形鋼管を有するS造の柱でもよく、CFT造の柱でもよい。
【0088】
[変形例に係る柱梁接合構造]
次に、
図13及び
図14を参照して、変形例に係る柱梁接合構造100について説明する。
図13は、変形例に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XZ面に沿う断面を示す図である。
図14は、変形例に係る柱梁接合構造の一例を示す断面図であり、XY面に沿う断面を示す図である。
図13及び
図14に示される変形例に係る柱梁接合構造100が、第1実施形態に係る柱梁接合構造100と違う点は、柱40、木質梁20,30、連結部50、張り出し部60が、木被覆材91および耐火被覆材92~94によって覆われている点である。
【0089】
図13に示されるように、柱40の側面は、木被覆材91によって覆われている。張り出し部60の下面62及び木質梁20,30の下面22,32は、耐火被覆材92によって覆われている。
【0090】
図14に示されるように、連結部50の側面52及び木質梁20の側面23は、耐火被覆材93によって、覆われている。また、連結部50の側面52と、木質梁20の側面23は、面一となるように形成されている。例えばY軸方向において、木質梁20の側面23と、連結部50の側面52との間の長さは、木質梁20の幅W1に対応している。なお、木質梁20の側面23と、連結部50の側面52とにおいて、段差が形成されていてもよい。
【0091】
同様に、木質梁20,30の側面23,33は、耐火被覆材94によって覆われている。また、張り出し部60の先端面64の一部又は全部が、耐火被覆材によって覆われていてもよい。
【0092】
連結部50の鉄筋121,122は、Z軸方向に延在する。鉄筋121は、主筋であり、Z軸方向に見て、鉄筋122よりも中央に配置されている。鉄筋122は、鉄筋121よりも外側に配置されている。鉄筋122は、鉄筋121よりも、張り出し部60に近い位置に配置されている。
【0093】
連結部50の鉄筋123はフープ筋であり、複数の鉄筋121を囲むように配置されている。鉄筋124はフープ筋であり、複数の鉄筋122を囲むように配置されている。
【0094】
このように柱梁接合構造100は、木被覆材91及び耐火被覆材92~94によって覆われていてもよい。
【0095】
変形例に係る柱梁接合構造100では、木質梁20,30の上面21,31には床版80が配置され、木質梁20,30のうち、上面21,31以外の側面23,33及び下面22,32が、耐火被覆材92~94によって覆われている。
【0096】
本態様によれば、木質梁20,30のうち、床版80によって覆われていない下面22,32及び側面23,33が、耐火被覆材92~94によって覆われることになる。これにより、木質梁20,30を有する架構の耐火性能の向上を図ることができる。また、本態様によれば、耐火性能が向上された架構によって、床版80を支持することができる。
【0097】
また、柱梁接合構造100では、張り出し部60の幅W2は、連結部50の幅W3よりも狭く、木質梁20の側面23は、連結部50の側面52と面一でもよい。本態様によれば、連結部50の側面52と木質梁20の側面23とが面一であることにより、同じ厚さの1枚の耐火被覆材93により、連結部50及び木質梁20とを覆うことができる。そのため、耐火被覆材93の施工を容易とすることができる。
【0098】
上記の第1~6実施形態において、柱40,40D,40F、木質梁20,30、連結部50,50B,50C,50D,50F、及び張り出し部60,60B,60C,60D,60Fの一部又は全部は、木被覆材91及び耐火被覆材92~94によって覆われていてもよい。
【0099】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0100】
上記の実施形態では、連結部50及び張り出し部60は、プレキャストコンクリート製である場合について例示しているが、連結部及び張り出し部60は、プレキャストコンクリート製のものに限定されず、施工現場でコンクリートを打設することにより施工されたものでもよい。
【0101】
上記の実施形態では、RC造の張り出し部60について例示しているが、張り出し部60は、RC造のものに限定されず、S造でもよく、SRC造でもよく、CFT造でもよい。また、H形鋼150を有するS造の張り出し部60Bについて例示しているが、例えば、H形鋼150以外の形鋼材を有する張り出し部60Bでもよい。例えば、柱梁接合構造100は、角形鋼管及びプレートを有する張り出し部60Bを備えるものでもよい。張り出し部60は、木造でもよい。
【0102】
上記の実施形態では、RC造の連結部50について例示しているが、連結部50は、RC造のものに限定されず、S造でもよく、SRC造でもよく、CFT造でもよい。連結部50は、木造でもよい。
【0103】
上記の実施形態では、連結部50を備える柱梁接合構造100について例示しているが、連結部50は、上下両方に柱40が連結されているものに限定されず、上方または下方のいずれか一方に柱40が連結されているものでもよい。
【0104】
上記の実施形態では、連結部50を備える柱梁接合構造100について例示しているが、柱梁接合構造100は、連結部50を備えていなくてもよい。柱梁接合構造100は、柱40の側面から張り出す張り出し部60を備える構成でもよい。
【符号の説明】
【0105】
100,100B,101C,101D,101E,101F:柱梁接合構造
10A,10B:合わせ木質梁
20,30:木質梁
40,40D,40F:柱
50,50B,50C,50D,50F:連結部
60,60B,60C,60D,60F:張り出し部
71:ボルト(締結部材)
72:貫通孔
156:エンドプレート
H1:梁せい
L1:張り出し部の長さ
W2:張り出し部の幅
W3:連結部の幅
X: X軸方向(第1方向、第2方向)
Y: Y軸方向(第1方向、第2方向)
Z: Z軸方向