(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097481
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】情報収集方法、及び情報収集システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240711BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20240711BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000958
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川和田 卓也
【テーマコード(参考)】
5L010
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA01
5L030BB01
5L049AA01
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】サブスクリプションサービスを利用する利用企業のカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する。
【解決手段】情報収集方法は、サブスクリプションサービスを利用する利用企業120の成功を支援するためのカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集方法であって、情報を収集する収集システム130が、サブスクリプションサービスの利用の定着を実現するためのKPIを設定すること、及び収集システム130が、利用企業120においてサブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者122から、サブスクリプションサービスの利用を推進する活動についての活動レポートであってKPIのスコアを含む活動レポートを収集し、記憶すること、収集システム130が、活動レポートを、サブスクリプションサービスを提供する提供企業110に提供すること、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブスクリプションサービスを利用する利用企業の成功を支援するためのカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集方法であって、
前記情報を収集する収集システムが、前記サブスクリプションサービスの利用の定着を実現するためのKPI(Key Performance Indicator)を設定すること、及び
前記収集システムが、前記利用企業において前記サブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者から、前記サブスクリプションサービスの利用を推進する活動についての活動レポートであって前記KPIのスコアを含む活動レポートを収集し、記憶すること、
前記収集システムが、前記活動レポートを、前記サブスクリプションサービスを提供する提供企業に提供すること、を有する
ことを特徴とする情報収集方法。
【請求項2】
前記収集システムが、前記KPIのスコアに基づいて前記サブスクリプションサービスの利用の定着率を算出し、管理システムに送信すること、及び
前記管理システムが、算出した前記定着率に基づいてインセンティブを決定し、前記インセンティブを前記利用企業に提供すること、をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項3】
前記インセンティブは、前記サブスクリプションサービスの利用料金の割引であって、
前記インセンティブを前記利用企業に提供することは、前記管理システムが、算出した前記定着率に基づいて前記サブスクリプションサービスの利用料金の割引率を算出し、前記割引率を適用した利用料金を前記利用企業に請求すること、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の情報収集方法。
【請求項4】
前記活動レポートは、前記サブスクリプションサービスの利用の定着に向けた活動状況を含み、前記活動状況は、前記提供企業によって定量的に評価され、
前記管理システムが、前記提供企業から前記活動状況の評価を受信すること、をさらに有し、
前記インセンティブを前記利用企業に提供することは、前記管理システムが、前記算出した前記定着率及び前記活動状況の評価に基づいてインセンティブを決定し、前記インセンティブを前記利用企業に提供すること、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の情報収集方法。
【請求項5】
前記KPIは、
前記サブスクリプションサービスへのアクセス回数に関する指標、
前記サブスクリプションサービスの契約ライセンス数と利用ライセンス数とに基づく指標、
前記サブスクリプションサービスに対する問合せ回数に関する指標、
前記サブスクリプションサービスの利用を定量的に表すデータの件数に関する指標、又は
前記サブスクリプションサービスの説明会に関する指標、の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項6】
サブスクリプションサービスを利用する利用企業の成功を支援するためのカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集システムであって、
サブスクリプションサービスを提供する提供システムと、
前記サブスクリプションサービスの利用の定着を実現するためのKPI(Key Performance Indicator)を設定し、前記サブスクリプションサービスを利用する利用企業において前記サブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者から、前記サブスクリプションサービスの利用を推進する活動についての活動レポートであって前記KPIのスコアを含む活動レポートを収集し、記憶し、前記サブスクリプションサービスを提供する提供企業に提供する収集システムと、を備える
ことを特徴とする情報収集システム。
【請求項7】
前記収集システムは、前記KPIのスコアに基づいて前記サブスクリプションサービスの利用の定着率を算出し、
前記算出された前記定着率を前記収集システムから受信し、前記定着率に基づいてインセンティブを決定し、前記インセンティブを前記利用企業に提供する管理システム、をさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の情報収集システム。
【請求項8】
前記インセンティブは、前記サブスクリプションサービスの利用料金の割引であって、
前記管理システムは、算出した前記定着率に基づいて前記サブスクリプションサービスの利用料金の割引率を算出し、前記割引率を適用した利用料金を前記利用企業に請求する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報収集システム。
【請求項9】
前記活動レポートは、前記サブスクリプションサービスの利用の定着に向けた活動状況を含み、前記活動状況は、前記提供企業によって定量的に評価され、
前記管理システムは、前記算出した前記定着率及び前記活動状況の評価に基づいてインセンティブを決定し、前記インセンティブを前記利用企業に提供する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報収集システム。
【請求項10】
前記KPIは、
前記サブスクリプションサービスへのアクセス回数に関する指標、
前記サブスクリプションサービスの契約ライセンス数と利用ライセンス数とに基づく指標、
前記サブスクリプションサービスに対する問合せ回数に関する指標、
前記サブスクリプションサービスの利用を定量的に表すデータの件数に関する指標、又は
前記サブスクリプションサービスの説明会に関する指標、の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブスクリプションサービスを利用する利用企業のカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集方法、及び情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SaaS(Software as a Service)と言われるクラウドサービスやサブスクリプションサービスが増加傾向にある。そこで、サブスクリプションサービス事業において、契約顧客を維持(解約率を低減)し、顧客のLTV(Life Time Value)を最大化するカスタマーサクセス活動が重要な位置づけとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、サブスクリプションサービスのための営業支援方法として、「対象顧客に設定された、前記サービスの利用について顧客とサービス提供企業との間で契約が成立して、その後解約されるまでの期間を区分した複数の段階のうちのいずれかの段階を取得する第1のステップと、前記設定された段階に割り当てられた前記サービス提供企業の1又は複数の担当者のうちの少なくとも一人を選択する第2のステップと、前記選択された少なくとも一人の担当者のうちのいずれかが用いる第1の端末に、前記設定された段階において顧客に提示可能な1又は複数の行動のうちのいずれかを提示するための行動提示情報を送信する第3のステップと、前記行動提示情報に基づいて前記第1の端末を用いる担当者が顧客に対して取る行動を介した前記顧客とのコミュニケーションの結果として、すべての必須項目が入力されたことに応じて、前記対象顧客に次の段階を設定するステップとを含む」営業支援方法が開示されている。
【0005】
カスタマーサクセス活動において、以下の課題が挙げられる。
1.顧客の成功を達成する上で、顧客の活動状況を逐次細かく把握する必要があり、ICT(Information and Communication Technology)にてカスタマーサクセス活動に必要な各情報を収集する必要がある。
2.十分なカスタマーサクセス活動に必要な情報が収集できていない場合、真のCTA(Call to action、求める行動)やLTVを上げる活動が行えるまでの時間が多くかかる。
3.顧客の状況を把握した上で、CSM(Customer Success Manager)は、顧客の成功を支援しフォローするが、顧客のサービス利用に向けた本来の障壁が見えず、顧客の成功に向けた改善ができない場合がある。
4.顧客の成功に必要なKPI(Key Performance Indicator)を達成するためには、サービス利用側の利用推進者(adoption champion)の協力が必要になる。
【0006】
本発明は、サービス利用側の利用推進者から、サブスクリプションサービスの利用企業のカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報収集方法は、サブスクリプションサービスを利用する利用企業の成功を支援するためのカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集方法であって、情報を収集する収集システムが、サブスクリプションサービスの利用の定着を実現するためのKPI(Key Performance Indicator)を設定すること、及び収集システムが、利用企業においてサブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者から、サブスクリプションサービスの利用を推進する活動についての活動レポートであってKPIのスコアを含む活動レポートを収集し、記憶すること、収集システムが、活動レポートを、サブスクリプションサービスを提供する提供企業に提供すること、を有する。
【0008】
また、本発明の情報収集システムは、サブスクリプションサービスを利用する利用企業の成功を支援するためのカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集システムであって、サブスクリプションサービスを提供する提供システムと、サブスクリプションサービスの利用の定着を実現するためのKPI(Key Performance Indicator)を設定し、サブスクリプションサービスを利用する利用企業においてサブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者から、サブスクリプションサービスの利用を推進する活動についての活動レポートであってKPIのスコアを含む活動レポートを収集し、記憶し、サブスクリプションサービスを提供する提供企業に提供する収集システムと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報収集方法及び情報収集システムによれば、サブスクリプションサービスの利用企業側の利用推進者からの活動レポートを用いて、サブスクリプションサービスの利用企業のカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】情報収集システム100の全体構成を示す概略図である。
【
図2】カスタマーサクセス活動の流れを説明する図である。
【
図3】情報収集システム100のシステム構成図である。
【
図4】収集システム130及び管理システム140のハードウェアブロック図である。
【
図5】サービス定着率の算出方法を示したフローチャートである。
【
図8】インセンティブの算出方法を示したフローチャートである。
【
図11】利用金額の請求方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0012】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0014】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合及び原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値及び範囲についても同様である。
【0015】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
本願発明者は、カスタマーサクセス活動について、鋭意検討し、以下の分析結果を得ることができた。
・サブスクリプションサービスでは、継続してサービスを利用してもらうことがLTVの最大化につながる。
・サービスの解約の主な理由として、サービスの利用がうまくできていない、又はサービスを利用していないことが挙げられ、サービスの利用の定着率を上げる必要がある。
・サブスクリプションサービスの導入後のオンボーディング期間(例えば、導入から半年)でのサービスの定着に時間がかかるが、定着後ではサービスの解釈がされにくい傾向がある。
・サービスの利用の定着率は、サービス提供側の定期的なフォローによって上がるが、真の意味ではサービス利用側の利用推進者の影響が大きい。
上記した分析結果に基づいて、構築したシステムの実施形態について以下説明する。
【0017】
以下、図面を参照して、サブスクリプションサービスを利用する利用企業の成功を支援するためのカスタマーサクセス活動に必要な情報を収集する情報収集方法、及び、当該情報を収集する情報収集システム100を説明する。
【0018】
(情報収集システム100の全体構成)
図1は、情報収集システム100の全体構成を示す概略図である。本実施形態の情報収集システム100は、サブスクリプションサービスを利用する利用企業120のカスタマーサクセス(以下適宜、CSと略する)活動に必要な情報を収集し、収集した情報を用いて、真に必要なカスタマーサクセス活動につなげる。本実施形態の情報収集システム100は、サブスクリプションサービスを提供する提供企業110と、サブスクリプションサービスを利用する1又は複数の利用企業120と、を有する。
【0019】
提供企業110は、サブスクリプションサービスを利用企業120に提供するコンピュータシステムである提供システム111を備える。提供システム111は、契約した利用企業120の契約アカウントにサブスクリプションサービスを提供する。なお、提供企業110は、外部の提供システム111を介して、サブスクリプションサービスを利用企業120に提供してもよい。また、提供企業110は、提供企業110内でカスタマーサクセスを実践する管理者であるCSM(カスタマーサクセスマネージャ)112を有する。提供企業110は、利用企業120にサブスクリプションサービスを提供し、利用企業120は、その対価として利用料金(例えば、月額の利用料金)を支払う。
【0020】
提供企業110が利用企業120に提供するサブスクリプションサービスは、例えば、アプリケーションソフトを月額や年額で利用するサービス、動画配信サービス、音楽配信サービス、食材配送サービスなどであって、本発明のサブスクリプションサービスはこれらのサービスに限定されない。
【0021】
CSM112は、利用企業120から電話、メール、チャット、面談などの手段を使ってサブスクリプションサービスのヒアリングを行ったり、サブスクリプションサービスの利用情報などのICT情報を参照したりする。そして、ヒアリング結果やICT情報を参考にして、チャーン(サービス解約)の防止、提供プランの見直し、アップセル/クロスセルの提案などCS活動を行う。
【0022】
利用企業120では、サブスクリプションサービスを利用するアカウント(契約アカウント)を有する各利用者121がサブスクリプションサービスを利用する。利用企業120は、サブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者122を有する。利用推進者122は、一人であってもよいし複数人であってもよい。利用推進者122は、例えば利用企業120においてサブスクリプションサービスの利用を定着させる活動を行う従業員であって、当該サブスクリプションサービスに熟知した従業員、当該サブスクリプションサービスのファンなどである。この利用推進者122は、例えば、利用推進者122のロールと紐づけてアカウント登録される。利用推進者122は、利用企業120においてCS活動を行い、定期的にCS活動レポートを収集システム130に報告する。CS活動レポートの報告方法は、インターネットなどのネットワークを介してデジタル情報を報告する方法であってもよいし、書面を郵送するなどアナログ情報を報告する方法であってもよい。
【0023】
情報収集システム100は、利用企業120によるサブスクリプションサービスへのアクセス回数や契約ライセンス数など後述するKPI(Key Performance Indicator)に関するICT情報を収集する収集システム130を有する。また、収集システム130は、上記したCS活動レポートの情報を、CS活動に必要な情報として、データベースなどに記憶する。そして、収集システム130は、CS活動レポートの内容に応じて、サブスクリプションサービスの定着率(以下、サービス定着率と呼ぶ)を算出し、管理システム140に送信する。
【0024】
また、収集システム130は、利用推進者122から受信したCS活動レポート又はCS活動レポートの分析結果をCSM112に送信し、CSM112は、CS活動レポート又は分析結果に基づいて、真に必要なCS活動を利用企業120に提供する。
【0025】
情報収集システム100は、サブスクリプションサービスを利用する利用企業120の情報を管理したり、利用企業120に対して利用料金を請求したりする管理システム140を有する。管理システム140は、収集システム130からサービス定着率を受信し、当該サービス定着率に基づいてインセンティブを算出する。そして、収集システム130は、算出したインセンティブを利用企業120に提供する。インセンティブは、例えば利用料金の割引であって、収集システム130は、算出した割引率を適用した利用料金を利用企業120に請求する。なお、インセンティブは、利用料金の割引に限らず、サブスクリプションサービスの拡張機能の利用、サブスクリプションサービスの使用限度の拡張などであってもよい。
【0026】
情報収集システム100では、サブスクリプションサービスの提供企業110側のCSM112によるCS活動だけでなく、サブスクリプションサービスの利用企業120側の利用推進者122によるCS活動によって、サブスクリプションサービスの利用の定着を図る。そして、利用推進者122によるCS活動レポートを評価し、利用企業120にインセンティブを与える。
【0027】
(カスタマーサクセス活動の流れ)
ここで、
図2を参照して、カスタマーサクセス活動の流れについて説明する。
【0028】
まず、収集システム130は、提供企業110から提供企業110が管理する各種情報201を収集する。そして、収集システム130は、上記した各種情報201から利用企業120のカスタマーヘルス(健康状態)をスコアリングし、ヘルススコアを分析して、提供企業110のCSM112にコールする。そして、CSM112は、CTAを行う。以下、詳細に説明する。
【0029】
収集システム130は、提供企業110が管理する各種情報201を収集する。提供企業110が管理する各種情報201は、サービス利用情報、問合せ情報、メディア閲覧情報、コミュニティ活動顧客・案件情報、及び契約・請求情報を含む。サービス利用情報は、例えば、サブスクリプションサービスへのアクセス回数、利用時間などである。問合せ情報は、例えば、サブスクリプションサービスへの問合せ回数、問合せ内容などである。メディア閲覧情報は、例えば、サブスクリプションサービスのホームページへのアクセス、サブスクリプションサービスの新機能のホームページへのアクセスに関する情報などである。コミュニティ活動顧客・案件情報は、例えば、SNS(ソーシャル-ネットワーキングサービス)への関心度を示す情報である。契約・請求情報は、例えば、サブスクリプションサービスの利用料金、当該利用料金の支払い履歴などである。
【0030】
収集システム130は、収集した各種情報201をカスタマーヘルスの要素202に分類する。例えば、上記した各種情報201は、製品の利用に係る要素、製品の関心に係る要素、製品の契約・支払に係る要素に分類される。製品の利用に係る要素は、製品の定着率、カスタマーサポート、自立度などに細分類される。また、製品の関心に係る要素は、顧客との関係性、マーケティングへの関与度・参加度、コミュニティへの参加度などに細分類される。また、製品の契約・支払いに係る要素は、契約金額の増減、支払履歴などに細分類される。収集システム130は、カスタマーヘルスの要素202の要素毎にスコアリングを実施し、利用企業120のヘルススコアとして出力する。
【0031】
収集システム130は、ヘルススコアの分析203を行い、分析結果を提供企業110のCSM112にコールする。分析結果は、例えば、ヘルススコアの低下、プラン単位のMRR(月次経常収益)の低下、特定機能へのアクセス頻度の増加、特定データの使用率の閾値オーバなどである。
【0032】
CSM112は、分析結果に基づいて、利用企業120に対して、チャーンの防止、提供プランの見直し、アップセル/クロスセルの提案などのCTA204を行う。
【0033】
(情報収集システム100のシステム構成)
図3は、情報収集システム100のシステム構成図である。次に、情報収集システム100のシステム構成について説明する。情報収集システム100は、サブスクリプションサービスの提供等を行う提供システム111(サービスプロバイダ)と、各種データの収集を行う収集システム130と、複雑な課金体系やキャンペーン情報などを管理し利用料金の請求などを行う管理システム140と、を備える。
【0034】
提供システム111は、契約した利用企業にサブスクリプションサービスを提供する。また、提供システム111は、提供企業110が提供するサブスクリプションサービスについてのホームページやコンテンツを提供する。このホームページやコンテンツは、営業支援のツールとして利用される。また、提供システム111は、サブスクリプションサービスへの申し込みを受け付け、サブスクリプションサービスへの申し込みを行った顧客(利用企業)にサブスクリプションサービスを提供する。
【0035】
提供システム111は、ICT情報として、サービス利用情報、サービス申込情報(顧客情報、契約サービス情報)、問合せ情報、及びコンテンツへのアクセスに係るコンテンツアクセス情報を記憶する。サービス申込情報は、サブスクリプションサービスへの申し込みを行った顧客の名称、住所、電話番号などの顧客情報、及び当該顧客が契約したサブスクリプションサービスの情報、を含む。
【0036】
収集システム130は、提供システム111から各種情報を収集する。そして、収集システム130は、収集した各種情報に基づいて、利用企業120のヘルススコアを算出する。
【0037】
収集システム130は、さらに、利用企業120の利用推進者122からCS活動レポートを収集する。また、収集システム130は、サブスクリプションサービスに対する利用の定着を実現するためのKPIを設定する。例えば、収集システム130は、KPIとして、
(1)サブスクリプションサービスへのアクセス頻度(アクセス回数/日)
(2)契約ライセンスに対する利用ライセンスの割合(利用ライセンス数/契約ライセンス数)
(3)サブスクリプションサービスに対する問合せ頻度(問合せ回数/月)
(4)サブスクリプションサービスの利用を定量的に表すデータの件数(レコード数/日)
(5)サブスクリプションサービス説明会の実施率(実施回数/月)と参加率(参加人数/利用ライセンス数(又は契約ライセンス数))
を設定する。
【0038】
そして、収集システム130は、設定した各KPIのスコアを算出し、サービス定着率を算出する。例えば、収集システム130は、算出したKPIのスコアに重み付けを行い、サービス定着率を算出する。そして、収集システム130は、算出したサービス定着率を管理システム140に送信する。
【0039】
収集システム130は、顧客情報、契約サービス情報、各KPI設定値、各KPIに対するヘルススコア、サービス定着率、及びCS活動履歴(CS活動レポートの履歴)を記憶する。
【0040】
管理システム140は、提供システム111から顧客情報や契約サービス情報を受信し、管理する。そして、契約サービス情報に従って、利用料金を計算し(課金計算を行い)、利用企業120に利用料金の請求を行う。
【0041】
また、管理システム140は、収集システム130から受信したサービス定着率に従ってインセンティブを計算する。管理システム140は、利用料金にインセンティブを適用し、最終的な利用料金を算出する。例えば、利用企業の月額利用料金にインセンティブ(例えば、10%の割引)を適用して、最終的な利用料金を計算する。
【0042】
管理システム140は、提供システム111から受信した顧客情報及び契約サービス情報、利用企業毎に計算した利用金額及びその内訳(課金計算結果)、利用企業毎のインセンティブ計算結果、利用企業毎に請求した明細の情報を示す請求明細情報を記憶する。
【0043】
(収集システム130及び管理システム140のハードウェア構成)
図4を参照して、収集システム130及び管理システム140のハードウェア構成を説明する。
【0044】
収集システム130は、クラウドサーバやオンプレミスサーバであって、収集した各種情報をデータベースなどに記憶する。収集システム130は、プロセッサ401と、主記憶部402と、補助記憶部403と、入出力I/F404と、通信I/F405と、を有する。プロセッサ401は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などである。主記憶部402は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などであって、プロセッサ401の作業領域として使用される。補助記憶部403は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはそれらの組み合わせなどであって、収集した各種情報を記憶する。入出力I/F404には、キーボード、マウス、ディスプレイなどが接続される。また、通信I/F405は、ネットワーク420を介して、管理システム140や提供システム111などと通信する。I/Fは、インターフェースの略である。
【0045】
管理システム140も、クラウドサーバやオンプレミスサーバであって、請求情報などを管理する。管理システム140は、収集システム130と同様の構成であって、プロセッサ411、主記憶部412、補助記憶部413、入出力I/F414と、通信I/F415と、を有する。
【0046】
(サービス定着率の算出方法)
図5は、サービス定着率の算出方法を示したフローチャートである。
図5を参照して、本実施形態のサービス定着率の算出方法を説明する。
図5のフローチャートの各ステップは、例えば、収集システム130のプロセッサ401がサービス定着率算出プログラムを補助記憶部403から読み出して実行することによって、実行される。
【0047】
収集システム130は、サブスクリプションサービスの利用の定着を実現するためのKPIを設定する(S501)。収集システム130は、収集システム130の管理者が選択したKPIを設定してもよいし、提供企業110からのヒアリングに基づいて設定してもよい。ここでは、上記した(1)~(5)のKPIが設定されたものとする。
【0048】
収集システム130は、利用企業120において契約したサブスクリプションサービスの利用を推進する利用推進者122を登録する(S502)。収集システム130は、利用企業120によって推薦された利用推進者122を登録してもよいし、提供企業110によって推薦された利用推進者122を登録してもよいし、サブスクリプションサービスの利用頻度などから自動的に利用推進者122を登録してもよい。サブスクリプションサービスの利用企業120における利用推進者122は、サブスクリプションサービスのCS活動を行い、その活動レポート(CS活動レポート)を収集システム130に送信する。
【0049】
収集システム130は、利用推進者122からCS活動レポートを受信する(S503)。
【0050】
ここで、
図6を参照して、利用推進者122から送信されるCS活動レポートの詳細を説明する。CS活動レポート600は、サブスクリプションサービスの利用月毎の各KPIのスコア、及びサブスクリプションサービスの利用の定着に向けたWBS(Work Breakdown Structure)に関する情報を含む。各KPIのスコアは、上記したKPI(1)-(5)に対応する値である。各KPIのスコアは、収集システム130が提供システム111などから収集したサービス利用情報や問合せ情報、契約・請求情報などから自動的に入力されてもよいし、利用推進者122が手動で入力してもよい。
【0051】
また、CS活動レポート600は、例えば、サブスクリプションサービスの利用の定着に向けたWBS(活動状況)として、
(1)サブスクリプションサービスの説明会の実施
(2)サブスクリプションサービスへの問い合わせに対する回答
(3)サブスクリプションサービスの定着状況の確認と利用率の分析
などを有する。
また、CS活動レポート600は、各WBSの実施日(実施予定日)及び進捗率を含む。
【0052】
なお、上記したCS活動レポート600の内容は、収集システム130の表示部に表示可能である。
図7に示すように、収集システム130の表示部には、利用企業毎にCS活動レポート600の内容を表示可能である。この表示画面は、利用企業の詳細、KPIのスコア、サービス定着率やWBSの進捗率を含むヘルススコア、及びCTA状況を含む。利用企業の詳細に、利用推進者122の氏名など、利用推進者122を識別可能な情報を表示してもよい。
【0053】
次に、収集システム130は、CS活動レポート600のKPIのスコアに基づいて、サービス定着率を計算する(S504)。例えば、収集システム130は、算出したKPIのスコアに重み付けを行い、サービス定着率を計算する。
【0054】
そして、収集システム130は、計算したサービス定着率を管理システム140に送信する(S505)。
【0055】
(インセンティブの算出方法)
図8は、インセンティブの算出方法を示したフローチャートである。
図8を参照して、本実施形態のインセンティブの算出方法を説明する。
図8のフローチャートの各ステップは、例えば、管理システム140のプロセッサ411がインセンティブ算出プログラムを補助記憶部413から読み出して実行することによって、実行される。
【0056】
管理システム140は、収集システム130から受信したサービス定着率及びサービス定着に向けたWBSを参照する(S801)。
【0057】
次に、管理システム140は、CSM112によるCS活動レポートの定量的な評価を登録する(S802)。CS活動レポートは、CSM112にも送信され、CSM112は、CS活動レポートを評価する。例えば、CSM112は、CS活動レポートのサブスクリプションサービスの利用の定着に向けた活動状況(WBS)を評価し、管理システム140は、そのCSM112による評価結果を登録する。
【0058】
そして、管理システム140は、サービス定着率、顧客獲得単価(CAC)、及び顧客維持単価などに基づいて、インセンティブを計算する(S803)。例えば、管理システム140は、以下の算出方法によって、インセンティブを算出する。インセンティブの算出例を、
図9に示す。
具体的には、管理システム140は、
改善前のLTV/CAC>3ならば、
「(改善後LTV-改善前LTV)/改善後契約期間」によりインセンティブを計算し、
そうでなければ、
「(改善後LTV-改善前LTV-CRC)/改善後契約期間」によりインセンティブを計算する。
なお、CACは顧客獲得単価であり、CRCは顧客維持単価である。改善前LTVは、LTV(顧客生涯価値)及び改善前解約率によって計算される値であり、改善後LTVは、LTV(顧客生涯価値)及び改善後解約率によって計算される値である。改善後契約期間は、予め定めた期間(例えば60カ月)及び改善後解約率によって計算される値である。改善前解約率は、例えば、先月のサービス定着率(例えば、70%)によって計算される値(例えば、100%-70%=30%)であり、改善後解約率は、例えば、今月のサービス定着率(例えば、95%)によって計算される値(100%-95%=5%)である。
【0059】
例えば、CAC=18、CRC=3.2、改善後解約率=5%(サービス定着率95%)、改善前解約率=20%、及びLTV(顧客生涯価値)=60とした場合、改善前LTV/CAC>3を満たさないので、(改善後LTV-改善前LTV-CRC)/改善後契約期間により、インセンティブ=10.2%と算出される。なお、サービスの定着が進むほど、適用されるインセンティブが多くなってもよい。
【0060】
また、インセンティブの計算に、サービス定着率だけでなく、上記したサブスクリプションサービスの利用の定着に向けた活動状況(WBS)の評価結果を加味してもよい。
【0061】
なお、管理システム140は、
図10に示すように、表示部に計算したインセンティブを表示することができる。この表示画面は、利用企業の詳細、KPIのスコア、サービス定着率やWBSの進捗率を含むヘルススコア、CTA状況、及び算出したインセンティブを含む。
【0062】
(利用金額の請求方法)
図11は、利用金額の請求方法を示したフローチャートである。
図11を参照して、本実施形態の利用金額の請求方法を説明する。
【0063】
管理システム140は、スコアデータを取得する(S1101)。スコアデータは、
図12に示すように、例えば、顧客名、サブスクリプションサービスの利用月、サービス定着率、顧客CS活動進捗率、及びインセンティブを含む。
【0064】
管理システム140は、受信したスコアカードのインセンティブに従って、サービス利用料金(割引後の金額)を計算する(S1102)。
【0065】
そして、管理システム140は、サービス利用料金を含む請求明細を作成し、顧客に送信する(S1103)。
【0066】
請求明細は、
図13に示すように、
顧客名、顧客先住所、連絡先、支払方法、サービス定着率及び顧客CS活動率を含む顧客情報、
契約したサブスクリプションサービスのリスト、及び利用期間(適用日)を含む契約サービスの詳細、並びに
各サービスの利用料金、及び利用料金の合計額を含む請求明細
を含む。
【0067】
(実施形態の効果)
本実施形態では、サブスクリプションサービスの利用企業120側に利用推進者122を配置し、利用推進者122からサービスの利用に向けた本来の障壁となる情報などを含むCS活動レポートを収集することができる。これにより、顧客の成功に向けた適切な活動を行うことが可能となる。サブスクリプションサービスの利用の継続によって、サービス提供企業のLTVの最大化につながる。
【0068】
また、本実施形態では、利用推進者122の活動に対してインセンティブが発生するので、利用推進者122によるCS活動費を当該インセンティブによって還元することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記したインセンティブによる利用企業120側の早期のサービス定着化により、オンボーディング期間におけるサービス解約率を低下させることができ、サービス提供企業は安定した収益によるビジネス持続性を維持することができる。具体的には、オンボーディング期間及びオンボーディング期間以降での売上の増加を見込める。また、オンボーディング期間以降の機会損失を回避することができる。
【0070】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0071】
なお、上記した実施形態では、インセンティブの計算を管理システム140が行ったが、収集システム130がインセンティブを計算してもよい。
【0072】
また、上記した実施形態では、サービス定着率などからインセンティブを決定したが、利用推進者122の活動内容や活動予定を加味して、インセンティブを決定してもよい。
【0073】
また、上記した実施形態では、収集システム130と管理システム140とを別システムとしたが、収集システム130と管理システム140とを統合したシステムとしてもよい。
【0074】
また、上記した実施形態では、BtoBのサブスクリプションサービスについて説明したが、本発明のサブスクリプションサービスは、BtoCであってもよい。
【0075】
また、上記した実施形態では、KPIとして(1)サブスクリプションサービスへのアクセス頻度を設定したが、サブスクリプションサービスへのアクセス回数に関する指標であれば、当該アクセス頻度に限定されない。また、KPIとして、(2)契約ライセンスに対する利用ライセンスの割合を設定したが、サブスクリプションサービスの契約ライセンス数と利用ライセンス数とに基づく指標であれば、当該割合に限定されない。また、KPIとして(3)サブスクリプションサービスに対する問合せ頻度を設定したが、サブスクリプションサービスに対する問合せ回数に関する指標であれば、当該問合せ頻度に限定されない。また、KPIとして(4)サブスクリプションサービスの利用を定量的に表すデータの件数を設定したが、サブスクリプションサービスの利用を定量的に表すデータの件数に関する指標であれば、当該件数に限定されない。また、KPIとして(5)サブスクリプションサービス説明会の実施率と参加率を設定したが、サブスクリプションサービスの説明会に関する指標であれば、当該実施率及び参加率に限定されない。また、KPIは、上記した(1)~(5)の何れか1つを含んでいればよい。
【符号の説明】
【0076】
100 情報収集システム
110 提供企業
111 提供システム
112 CSM
120 利用企業
121 利用者
122 利用推進者
130 収集システム
140 管理システム
201 提供企業が管理する各種情報
202 カスタマーヘルスの要素
203 ヘルススコアの分析
204 CTA
401,411 プロセッサ
402,412 主記憶部
403,413 補助記憶部
404,414 入出力I/F
405,415 通信I/F
420 ネットワーク
600 CS活動レポート