IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青島海爾洗衣机有限公司の特許一覧 ▶ ハイアールアジアインターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗濯機 図1
  • 特開-洗濯機 図2
  • 特開-洗濯機 図3
  • 特開-洗濯機 図4
  • 特開-洗濯機 図5
  • 特開-洗濯機 図6
  • 特開-洗濯機 図7
  • 特開-洗濯機 図8
  • 特開-洗濯機 図9
  • 特開-洗濯機 図10
  • 特開-洗濯機 図11
  • 特開-洗濯機 図12
  • 特開-洗濯機 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097527
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/44 20200101AFI20240711BHJP
   D06F 34/06 20200101ALI20240711BHJP
   D06F 19/00 20060101ALI20240711BHJP
   D06F 103/38 20200101ALN20240711BHJP
【FI】
D06F33/44
D06F34/06
D06F19/00
D06F103:38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001029
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】荒井 英行
(72)【発明者】
【氏名】税所 貴史
【テーマコード(参考)】
3B167
3B168
【Fターム(参考)】
3B167AA01
3B167AA11
3B167AB04
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA45
3B167BA48
3B167BA52
3B167HA11
3B167JA01
3B167JA03
3B167JA55
3B167KA14
3B167KA18
3B167KA74
3B167KB16
3B167LA09
3B167LA21
3B167LC03
3B167LC30
3B167LD03
3B167LD12
3B168AA01
3B168AA11
3B168AB04
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE04
3B168AE05
3B168AE07
3B168BA45
3B168BA48
3B168BA52
3B168JM01
3B168JM02
3B168JM03
(57)【要約】
【課題】超音波洗浄装置による洗浄運転を再度行う必要が生じたり、洗浄運転が終了するのを長く待つ必要が生じたりすることを低減でき得る洗濯機を提供する。
【解決手段】全自動洗濯機1は、筐体内に配置された外槽と、外槽内に回転可能に配置され、被洗浄物が収容される洗濯脱水槽と、洗浄水が溜められる貯水槽と、超音波発生体が発生した超音波を貯水槽内の洗浄水に浸された被洗浄物に作用させる超音波洗浄部とを含む超音波洗浄装置と、超音波洗浄装置により被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行する制御部701と、を備える。制御部701は、洗浄運転において、超音波発生体を動作させた後、当該動作の開始から現在設定されている運転時間が経過したことに基づいて、超音波発生体の動作を停止させ、洗浄運転が終了後に再度開始された場合に、運転時間を、現在設定されている運転時間よりも長い時間に設定する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、被洗浄物が収容される内槽と、
洗浄水が溜められる貯水槽と、超音波発生体が発生した超音波を前記貯水槽内の洗浄水に浸された被洗浄物に作用させる超音波洗浄部とを含む超音波洗浄装置と、
前記超音波洗浄装置により被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、当該洗浄運転において前記超音波発生体を動作させる時間である運転時間を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記洗浄運転において、前記超音波発生体を動作させた後、当該動作の開始から現在設定されている前記運転時間が経過したことに基づいて、前記超音波発生体の動作を停止させ、
前記洗浄運転が終了後に再度開始された場合に、前記運転時間を、現在設定されている前記運転時間よりも長い時間に設定する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って値が増える延長カウンタを、さらに備え、
前記制御部は、前記延長カウンタの値が増えるに従って前記運転時間を増やす、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記制御部は、
前記洗浄運転において、現在設定されている前記運転時間が経過する前に前記洗浄運転を中止するための中止操作が行われたことに基づいて、前記超音波発生体の動作を停止させ、
前記中止操作が行われた場合に、前記運転時間を、現在設定されている前記運転時間よりも短い時間に設定する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機において、
前記中止操作が行われた回数が増えるに従って値が増える短縮カウンタを、さらに備え、
前記制御部は、前記短縮カウンタの値が増えるに従って前記運転時間を減らす、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項3に記載の洗濯機において、
前記洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って値が増える延長カウンタと、
前記中止操作が行われた回数が増えるに従って値が増える短縮カウンタと、をさらに備え、
前記制御部は、前記延長カウンタの値が増えるに従って増える延長時間から前記短縮カウンタの値が増えるに従って増える短縮時間を減算した時間を、予め設定された初期時間に加算することにより、前記運転時間を求める、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項2または5に記載の洗濯機において、
前記制御部は、
前記内槽内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、
前記洗濯運転において、前記延長カウンタの値が第1閾値に達している場合には、被洗浄物が洗われれる洗い時間を長くする、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項7】
請求項2または5に記載の洗濯機において、
前記内槽内に回転可能に配置されたパルセータを、さらに備え、
前記制御部は、
前記内槽内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、
前記洗濯運転において、前記延長カウンタの値が第1閾値に達している場合には、前記パルセータが発生させる水流を強くする、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項8】
請求項4または5に記載の洗濯機において、
前記内槽内に回転可能に配置されたパルセータと、
前記外槽内に溜められた水の汚れ量を検出する汚れセンサと、をさらに備え、
前記制御部は、
前記内槽内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、
前記洗濯運転において、前記汚れ量が多いと判定した場合に、前記短縮カウンタの値が第2閾値に達しているときには、前記パルセータが発生させる水流の強さを増加させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項9】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、被洗浄物が収容される内槽と、
洗浄水が溜められる貯水槽と、超音波発生体が発生した超音波を前記貯水槽内の洗浄水に浸された被洗浄物に作用させる超音波洗浄部とを含む超音波洗浄装置と、
前記超音波洗浄装置により被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行とともに、当該洗浄運転において前記超音波発生体を動作させる時間である運転時間を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記洗浄運転において、前記超音波発生体を動作させた後、当該動作の開始から現在設定されている前記運転時間が経過したこと、または、現在設定されている前記運転時間が経過する前に前記洗浄運転を中止するための中止操作が行われたことに基づいて、前記超音波発生体の動作を停止させ、
前記中止操作が行われた場合に、前記運転時間を、現在設定されている前記運転時間よりも短い時間に設定する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波洗浄装置を備えた洗濯機が、特許文献1に記載されている。超音波洗浄装置は、洗浄水が溜められる貯水槽と、貯水槽の上方に配置された超音波発生体とを有する。超音波洗浄装置による洗浄運転が開始されると、貯水槽内に洗浄水が溜められた後に超音波発生体が動作する。貯水槽内の洗浄水に浸された被洗浄物に超音波発生体から発生した超音波が作用し、被洗浄物が洗浄される。ユーザが所定の終了操作を行うと、超音波発生体の動作が停止し、洗浄運転が終了する。
【0003】
ユーザは、洗濯機での洗濯に先立って、超音波洗浄装置を用いた被洗浄物の部分洗浄を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-23547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の洗濯機において、ユーザが逐一、終了操作を行わなくて済むように、超音波発生体の動作開始から所定の運転時間が経過すると、超音波発生体の動作が自動的に停止し、洗浄運転が終了するような構成を採ることができる。
【0006】
しかしながら、このような構成とされた場合、部分洗浄に時間をかけるユーザの間では、部分洗浄の途中で運転時間が経過して洗浄運転が終了し、洗浄運転を再度行わなければならないことが生じやすい。洗浄運転が再度開始される場合、ユーザは、貯水槽内に洗浄水が溜められて超音波発生体が動作を開始するのを待つことになり、不便に感じやすくなる。
【0007】
運転時間が長い時間に設定されれば、部分洗浄に時間をかけるユーザにとって、洗浄運転を再度行わなければならないことが生じにくくなる。一方で、部分洗浄に時間をかけないユーザの間では、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するまで待つ時間が長くなりやすく、ユーザが不便に感じやすくなる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされものであり、超音波洗浄装置による洗浄運転が時間経過により自動的に終了するような構成が採られた場合に、洗浄運転を再度行う必要が生じたり、洗浄運転が終了するのを長く待つ必要が生じたりすることを低減でき得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、被洗浄物が収容される内槽と、洗浄水が溜められる貯水槽と、超音波発生体が発生した超音波を前記貯水槽内の洗浄水に浸された被洗浄物に作用させる超音波洗浄部とを含む超音波洗浄装置と、前記超音波洗浄装置により被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、当該洗浄運転において前記超音波発生体を動作させる時間である運転時間を設定する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記洗浄運転において、前記超音波発生体を動作させた後、当該動作の開始から現在設定されている前記運転時間が経過したことに基づいて、前記超音波発生体の動作を停止させ、前記洗浄運転が終了後に再度開始された場合に、前記運転時間を、現在設定されている前記運転時間よりも長い時間に設定する。
【0010】
長い時間に設定された運転時間は、再度開始された洗浄運転から適用されてもよいし、当該洗浄運転では適用されず、洗濯機の電源が一度遮断されて投入された後に実行される洗浄運転から適用されてもよい。
【0011】
本態様に係る洗濯機によれば、洗浄運転が終了後に再度開始された場合は、現在の運転時間では部分洗浄のために時間が足りないと見做されて、運転時間が現在よりも長くされる。これにより、超音波洗浄装置を用いた被洗浄物の部分洗浄に時間をかけるユーザにとって、その後の洗浄運転において部分洗浄の途中で運転が終了することが減るため、洗浄運転を再度行う必要が生じることを減らすことができる。
【0012】
しかも、洗浄運転が再度開始されることが起こらず、現在の運転時間で時間が足りていると見做される場合には、運転時間が長くされない。よって、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が長くなるということが生じにくい。
【0013】
本態様に係る洗濯機において、前記洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って値が増える延長カウンタを、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記延長カウンタの値が増えるに従って前記運転時間を増やすような構成とされ得る。
【0014】
上記の構成によれば、洗浄運転が再度開始された回数が増えるほど運転時間が増えるので、部分洗浄に長く時間がかかりやすいほど運転時間が長くなる。これにより、洗浄運転を再度行う必要が生じることを、一層減らすことができる。
【0015】
本態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記洗浄運転において、現在設定されている前記運転時間が経過する前に前記洗浄運転を中止するための中止操作が行われたことに基づいて、前記超音波発生体の動作を停止させ、前記中止操作が行われた場合に、前記運転時間を、現在設定されている前記運転時間よりも短い時間に設定するような構成とされ得る。
【0016】
上記の構成によれば、洗浄運転の中止操作が行われた場合には、現在の運転時間では部分洗浄の後に時間が余りやすいと見做されて、運転時間が現在よりも短くされる。これにより、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が短くなる。
【0017】
本態様に係る洗濯機において、前記中止操作が行われた回数が増えるに従って値が増える短縮カウンタを、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記短縮カウンタの値が増えるに従って前記運転時間を減らすような構成とされ得る。
【0018】
上記の構成によれば、洗浄運転の中止操作が行われた回数が増えるほど運転時間が減るので、部分洗浄が早く終わりやすいほど運転時間が短くなる。これにより、部分洗浄がより早く終わるようなユーザについても、洗浄運転が終了するのを待つ時間を十分に短くできる。
【0019】
本態様に係る洗濯機において、前記洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って値が増える延長カウンタと、前記中止操作が行われた回数が増えるに従って値が増える短縮カウンタと、をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記延長カウンタの値が増えるに従って増える延長時間から前記短縮カウンタの値が増えるに従って増える短縮時間を減算した時間を、予め設定された初期時間に加算することにより、前記運転時間を求めるような構成とされ得る。
【0020】
上記の構成によれば、部分洗浄に時間がかけられる状況と部分洗浄に時間がかけられない状況の双方が加味されて運転時間が設定されるので、ユーザによる洗浄運転の使用状況に応じた細かな運転時間の調整を行うことができる。
【0021】
本態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記内槽内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、前記洗濯運転において、前記延長カウンタの値が第1閾値に達している場合には、被洗浄物が洗われれる洗い時間を長くするような構成とされ得る。
【0022】
上記の構成によれば、延長カウンタの値が第1閾値に達していることにより、ユーザが汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると見做すことができる場合には、洗い時間が長くされるので、被洗浄物の汚れ落ちを良くすることができる。
【0023】
本態様に係る洗濯機において、前記内槽内に回転可能に配置されたパルセータを、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記内槽内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、前記洗濯運転において、前記延長カウンタの値が第1閾値に達している場合には、前記パルセータが発生させる水流を強くするような構成とされ得る。
【0024】
上記の構成によれば、延長カウンタの値が第1閾値に達していることにより、ユーザが汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると見做すことができる場合には、パルセータが発生させる水流が強くされるので、被洗浄物の汚れ落ちを良くすることができる。
【0025】
本態様に係る洗濯機において、前記内槽内に回転可能に配置されたパルセータと、前記外槽内に溜められた水の汚れ量を検出する汚れセンサと、をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記内槽内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、前記洗濯運転において、前記汚れ量が多いと判定した場合に、前記短縮カウンタの値が第2閾値に達しているときには、前記パルセータが発生させる水流の強さを増加させるような構成とされ得る。
【0026】
上記の構成によれば、洗濯物の汚れが多い場合に、短縮カウンタの値が第2閾値に達していることにより、ユーザが待ち時間を嫌う傾向にあると見做すことができるときには、洗い時間が延ばされるのではなく、水流が強くされる。これにより、洗濯運転でのユーザの待ち時間を延ばすことなく、所期の洗浄性能を確保できる。
【0027】
本発明の第2の態様に係る洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、被洗浄物が収容される内槽と、洗浄水が溜められる貯水槽と、超音波発生体が発生した超音波を前記貯水槽内の洗浄水に浸された被洗浄物に作用させる超音波洗浄部とを含む超音波洗浄装置と、前記超音波洗浄装置により被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行とともに、当該洗浄運転において前記超音波発生体を動作させる時間である運転時間を設定する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記洗浄運転において、前記超音波発生体を動作させた後、当該動作の開始から現在設定されている前記運転時間が経過したこと、または、現在設定されている前記運転時間が経過する前に前記洗浄運転を中止するための中止操作が行われたことに基づいて、前記超音波発生体の動作を停止させ、前記中止操作が行われた場合に、前記運転時間を、現在設定されている前記運転時間よりも短い時間に設定する。
【0028】
本態様に係る洗濯機によれば、洗浄運転の中止操作が行われた場合には、現在の運転時間では部分洗浄の後に時間が余りやすいと見做されて、運転時間が現在よりも短くされる。これにより、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が短くなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、超音波洗浄装置による洗浄運転が時間経過により自動的に終了するような構成が採られた場合に、洗浄運転を再度行う必要が生じたり、洗浄運転が終了するのを長く待つ必要が生じたりすることを低減でき得る洗濯機を提供できる。
【0030】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、給水ユニットの構成を示す概略図である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。図3(b)および(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る、貯水部が基体部から離脱した状態の超音波洗浄装置の斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および基体部の側面断面図である。
図6図6は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置、貯留タンク、供給バルブ、供給ノズルおよび排水受け部の側面断面図である。
図7図7は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置、貯留タンク、供給バルブ、供給ノズルおよび排水受け部の側面断面図である。
図8図8は、実施の形態に係る、貯留タンク、供給バルブおよび供給ノズルの斜視図である。
図9図9は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の構成を示すブロック図である。
図10図10は、実施の形態に係る、洗浄運転における制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図11図11は、実施の形態に係る、制御部による延長カウンタおよび短縮カウンタのカウント制御を示すフローチャートである。
図12図12は、実施の形態に係る、制御部により実行される洗い工程での運転条件を設定する処理を示すフローチャートである。
図13図13は、変更例1に係る、制御部により実行される洗い工程での運転条件を設定する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0034】
全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御ユニット16が配置される。制御ユニット16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0035】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が配置される。外槽20は、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22は、上面が開口し、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配置される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。洗濯脱水槽22は、本発明の内槽に相当する。
【0036】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配置される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0037】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0038】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0039】
外槽20内の底部には、外槽20内に溜められた水の汚れ量を検出する汚れセンサ27が配置される。汚れセンサ27は、たとえば、互いに対向する発光素子および受光素子を備える構成とすることができる。この構成では、発光素子からの光が、外槽20内の水を介して受光素子で受光される。水の汚れ量が多く、水の透過度が低くなるほど、受光センサの受光量が少なくなる。汚れセンサ27は、上記のような光センサを用いた構成以外の構成とすることもできる。
【0040】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、洗浄運転が行われることにより、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去できる。即ち、ユーザは、超音波洗浄装置50を用いて被洗浄物の部分洗浄を行うことができる。
【0041】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水が、洗浄水として溜められる。
【0042】
排水受け部70は、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。
【0043】
上面板12の後部には、給水ユニット80が配置される。給水ユニット80は、水道栓に繋がり、水道栓から送られてきた水を洗濯脱水槽22内に供給する。
【0044】
図2は、給水ユニット80の構成を示す概略図である。
【0045】
給水ユニット80は、給水バルブ81を有する。給水バルブ81は、いわゆる2連バルブであり、電磁バルブであるメインバルブ82とサブバルブ83とを有する。給水バルブ81の入水口81aは、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。メインバルブ82の出口には、メイン給水路84が接続される。メイン給水路84は、洗濯脱水槽22の上部に位置する注水ボックス85に接続される。注水ボックス85の底面には、注水口85aが形成される。
【0046】
給水ユニット80には、洗濯脱水槽22内に洗濯用の液剤の一つである液体洗剤を自動投入するための自動投入機構90が含まれる。自動投入機構90は、貯留タンク60に洗浄水を供給する機能も備える。
【0047】
自動投入機構90は、洗剤タンク91と、供給パイプ92と、第1三方バルブ93と、サブ給水路94と、洗剤供給路95と、第2三方バルブ96と、洗浄水供給路97と、供給ポンプ98とを備える。給水バルブ81のサブバルブ83も、自動投入機構90に含まれる。
【0048】
洗剤タンク91には、液体洗剤が原液の状態で貯留される。供給パイプ92は、洗剤タンク91の液体洗剤を第1三方バルブ93の一方の入口へと導く。
【0049】
サブ給水路94は、サブバルブ83の出口と第1三方バルブ93の他方の入口とに接続される。
【0050】
第1三方バルブ93の出口に洗剤供給路95が接続される。洗剤供給路95は、注水ボックス85に接続される。
【0051】
第1三方バルブ93は、供給パイプ92を洗剤供給路95に連通させる状態と、サブ給水路94を洗剤供給路95に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0052】
洗剤供給路95には、第2三方バルブ96が設けられる。第2三方バルブ96の入口には、洗剤供給路95の上流側供給路95aが接続され、第2三方バルブ96の一方の出口には、洗剤供給路95の下流側供給路95bが接続される。また、第2三方バルブ96の他方の出口には、洗浄水供給路97の一端が接続される。洗浄水供給路97の他端は、貯留タンク60に接続される。
【0053】
第2三方バルブ96は、上流側供給路95aを下流側供給路95bに連通させる状態と、上流側供給路95aを洗浄水供給路97に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0054】
上流側供給路95aには、供給ポンプ98が配置される。供給ポンプ98は、たとえば、ピストン式ポンプとすることができる。
【0055】
次に、超音波洗浄装置50の構成と、貯留タンク60および排水受け部70を含む、超音波洗浄装置50の周辺の構成について、詳細に説明する。
【0056】
図3(a)は、超音波洗浄装置50が収納部17から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。図3(b)および(c)は、超音波洗浄装置50が収納部17に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。図3(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー19の図示が省略されている。
【0057】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口18として開口する。出入口18には、カバー19が設けられる。
【0058】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、基体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。基体部300は、超音波洗浄部100を保持する。貯水部200は、基体部300に装着され、超音波発生体110の下方に位置する。貯水部200には、洗浄水が溜められる貯水槽210が設けられる。
【0059】
図3(a)に示すように、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は、収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す。一方、図3(b)および(c)に示すように、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は、収納部17に収納される。出入口18がカバー19により閉じられる。
【0060】
図4は、貯水部200が基体部300から離脱した状態の超音波洗浄装置50の斜視図である。図5は、超音波洗浄部100および基体部300の側面断面図である。
【0061】
超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120とを備える。超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。超音波発生体110は、超音波振動子111の高周波振動により、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。
【0062】
ハウジング120は、前後方向に長く、その先端部121が下方に屈曲するようなアーム形状を有する。ハウジング120内の前部に超音波発生体110が配置される。超音波発生体110は、枠状の固定部材130により上側から押さえ付けられる。振動ホーン112の先端部がハウジング120の開口部122から露出する。
【0063】
貯水部200は、樹脂材料により形成され、前後方向にやや長く且つ上下方向に扁平であって左側部分が右側部分よりも後方に張り出すような形状を有する。貯水部200には、前面に取っ手201が形成される。
【0064】
貯水部200には、貯水槽210が形成される。貯水槽210は、貯水部200の形状に沿った形状、即ち左側部分が右側部分よりも後方に張り出すような皿形状を有する。
【0065】
貯水槽210には、後面の下部に排水口211が形成される。排水口211は、弁体220により閉塞される。弁体220には、弁可動部材230が連結される。弁可動部材230は、後部231が貯水部200よりも後方に張り出す。弁可動部材230は、図示しないスプリングにより、弁体220が閉じる後方向に付勢される。
【0066】
基体部300は、正面視において、ほぼ方形状を有する。基体部300の左右の下端部には、前方へ延びるレール部301が設けられる。また、基体部300には、左側に、貯水部200の後部と供給ノズル500が通される開口部302が形成される。ハウジング120の後部123が、基体部300の上部に固定される。
【0067】
貯水部200は、前方から基体部300に装着される。基体部300の左右のレール部301が、貯水部200の左右の端部に設けられた挿入部202に挿入されることにより、貯水部200がレール部301に案内される。貯水部200の左側の後部が、基体部300の開口部302を通過する。
【0068】
図6は、超音波洗浄装置50が収納部17に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置50、貯留タンク60、供給バルブ400、供給ノズル500および排水受け部70の側面断面図である。図7は、超音波洗浄装置50が収納部17から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置50、貯留タンク60、供給バルブ400、供給ノズル500および排水受け部70の側面断面図である。図8は、貯留タンク60、供給バルブ400および供給ノズル500の斜視図である。
【0069】
収納部17には、貯留タンク60と、供給バルブ400と、供給ノズル500とが超音波洗浄装置50の背後に配置される。
【0070】
供給バルブ400は、電磁バルブである。供給バルブ400は、左右の側面に入口を有し、下面に出口を下面に有するバルブケーシング410と、バルブケーシング410の出口を開閉する弁体420と、弁体420を駆動するソレノイド等の駆動部430と、を含む。バルブケーシング410の出口は、供給ノズル500の入口に接続される。
【0071】
貯留タンク60は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400を挟んで第1タンク61と第2タンク62とに分かれる。第1タンク61と第2タンク62は、それらの上部が第1タンク61から延びる連通部63により繋がる。第1タンク61の下部に形成された流出口64が、バルブケーシング410の左側の入口に接続される。第2タンク62の下部に形成された流出口65が、バルブケーシング410の右側の入口に接続される。第1タンク61と第2タンク62は、互いの流出口64,65がバルブケーシング410を介して繋がる。
【0072】
第1タンク61には、貯留タンク60内への洗浄水の流入口66が形成される。流入口66は、自動投入機構90の洗浄水供給路97に接続される。自動投入機構90から供給された洗浄水は、流入口66から第1タンク61内に流入した後、バルブケーシング410および連通部63を通じて第2タンク62内へ流入する。これにより、貯留タンク60内に洗浄水が溜められる。貯留タンク60の貯水容量は、貯水槽210の貯水容量よりも大きくされている。
【0073】
供給バルブ400、即ち弁体420が開放されると、貯留タンク60の第1タンク61内および第2タンク62内の各々から、洗浄水がバルブケーシング410の出口を通じて流出する。
【0074】
供給ノズル500は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400から前方に延び、その先端部500aが下方に屈曲する。先端部500aの下面には、放出口501が形成される。
【0075】
収納部17には、超音波洗浄装置50の下方に、ほぼ方形の皿状の排水受け部70が配置される。排水受け部70の右側面には、後部の下端に排出孔71が形成される。排出孔71から右方に延びる接続管73に、排水パイプ72が接続される。
【0076】
図9は、全自動洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0077】
全自動洗濯機1は、上述した構成に加え、操作部610と、水位検出部620とを備える。また、制御ユニット16は、制御部701、記憶部702、操作検出部703、モータ駆動部704、クラッチ駆動部705、5つのバルブ駆動部706~710、ポンプ駆動部711および振動子駆動部712を含む。
【0078】
操作部610は、電源オンボタン611、電源オフボタン612、スタートボタン613、コース選択ボタン614、洗浄ボタン615等の各種の操作ボタンを含む。電源オンボタン611および電源オフボタン612は、それぞれ、全自動洗濯機1に電源を投入および遮断するためのボタンである。スタートボタン613は、洗濯運転および洗浄運転をスタートさせるためのボタンである。コース選択ボタン614は、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのボタンである。洗浄ボタン615は、洗浄運転を選択するためのボタンである。
【0079】
汚れセンサ27は、外槽20内の水の汚れ量に応じた汚れ信号を制御部701に出力する。
【0080】
水位検出部620は、貯留タンク60内に配置された一対の電極端子を含み、貯留タンク60内の水位が満水状態の水位になったことを検出し、検出信号を制御部701に出力する。
【0081】
操作検出部703は、操作部610の各種操作ボタンの中から、ユーザに操作された操作ボタンに応じた操作信号を制御部701に出力する。
【0082】
モータ駆動部704、クラッチ駆動部705、5つのバルブ駆動部706~710、ポンプ駆動部711および振動子駆動部712は、それぞれ、制御部701からの制御信号に従って、駆動モータ31、クラッチ機構32a、給水バルブ81、第1三方バルブ93、第2三方バルブ96、供給バルブ400、排水バルブ40、供給ポンプ98および超音波振動子111を駆動する。
【0083】
記憶部702は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部702には、各種運転コースの洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部702には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0084】
制御部701は、CPU等を含み、操作検出部703、水位検出部620、汚れセンサ27等からの各信号に基づいて、記憶部702に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部704、クラッチ駆動部705、5つのバルブ駆動部706~710、ポンプ駆動部711、振動子駆動部712等を制御する。この結果、制御部701は、超音波発生体110、給水ユニット80および自動投入機構90を制御する。
【0085】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。運転コースによっては、複数回のすすぎ工程および中間脱水工程が実行される場合がある。
【0086】
洗い工程では、洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。水流および洗剤の力により洗濯物が洗われる。パルセータ24は、予め定められた洗い時間、回転する。
【0087】
すすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により発生した水流の力により洗濯物がすすがれる。パルセータ24は、予め定められたすすぎ時間、回転する。
【0088】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0089】
洗い工程での給水時には、自動投入機構90により、洗濯脱水槽22内に液体洗剤が自動投入される。この際、まず、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ96が、上流側供給路95aを下流側供給路95bに連通させる状態に切り替えられる。供給ポンプ98が作動すると、ポンプ作用によって、図2の破線矢印に示すように、洗剤タンク91内の液体洗剤が洗剤供給路95に排出される。供給ポンプ98は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の液体洗剤が洗剤供給路95に溜まる。
【0090】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられ、メインバルブ82とサブバルブ83が開かれる。水道栓からの水がメイン給水路84を流れて注水ボックス85の注水口85aから洗濯脱水槽22内に放出される。同時に、図2の実線矢印に示すように、水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93を通って洗剤供給路95へと流れ、液体洗剤を押し流す。水に押し流された液体洗剤は、図2の一点鎖線矢印に示すように、水とともに洗剤供給路95を流れ、注水口85aから洗濯脱水槽22内へ投入される。洗濯脱水槽22内の水位が所定の洗い水位に到達すると、メインバルブ82とサブバルブ83が閉じられて、給水が終了する。
【0091】
さらに、全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転を行うことができる。
【0092】
後述のように、洗浄運転において超音波発生体110を動作させる時間である運転時間が、制御部701により設定される。洗浄運転では、超音波発生体110の動作開始から現在設定されている運転時間が経過すると、超音波発生体110の動作が自動的に停止して運転が終了する。このように、洗浄運転が時間経過に基づいて自動的に終了するような構成が採られた場合、部分洗浄に時間をかけるユーザの間では、部分洗浄の途中で運転時間が経過して洗浄運転が終了し、洗浄運転を再度行わなければならないことが生じやすい。運転時間を長い時間に設定することも考えられるが、この場合、部分洗浄に時間をかけないユーザの間では、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するまで待つ時間が長くなりやすい。
【0093】
そこで、本実施の形態では、洗浄運転を再度行う必要が生じたり、洗浄運転が終了するのを長く待つ必要が生じたりすることを低減できるように、運転時間が、ユーザによる洗浄運転の使用状況に合わせて調整される。
【0094】
図9に示すように、制御部701には、洗浄運転において運転時間を設定するために用いられる延長カウンタ701aおよび短縮カウンタ701bが備えられる。
【0095】
洗浄運転が終了後に再度開始された回数が増えるに従って延長カウンタ701aの値が増える。即ち、洗浄運転が再度開始された回数が1つ増える度に、延長カウンタ701aの値が所定の数だけ増加する。
【0096】
洗浄運転は、電源オフボタン612が操作されると、全自動洗濯機1の電源が遮断される前に強制的に終了する。よって、洗浄運転の途中で被洗浄物の洗浄を終えたユーザは、運転の終了を待たない場合に、電源オフボタン612による電源オフ操作、即ち洗浄運転の中止操作を行う。
【0097】
中止操作が行われた回数が増えるに従って短縮カウンタ701bの値が増える。即ち、中止操作が行われた回数が1つ増える度に、短縮カウンタ701bの値が所定の数だけ増える。
【0098】
以降、延長カウンタ701aの値を、「延長カウンタ値」と称し、短縮カウンタ701bの値を、「短縮カウンタ値」する。
【0099】
ユーザは、洗浄運転を行う場合、図3(a)にように、超音波洗浄装置50を収納部17から引き出す。図8に示すように、貯水槽210は、弁体220により排水口211が閉鎖された状態となる。
【0100】
ユーザにより、洗浄ボタン615が操作されて洗浄運転が選択された後、スタートボタン613が操作されると、洗浄運転が開始される。
【0101】
図10は、洗浄運転における制御部701の制御動作を示すフローチャートである。
【0102】
洗浄運転が開始されると、制御部701は、以下の演算式により、延長カウンタ値および短縮カウンタ値に基づいて運転時間を算出する(S101)。
運転時間=初期時間+(延長カウンタ値-短縮カウンタ値)×単位時間
【0103】
初期時間および単位時間は、予め設定される。初期時間は、たとえば、180秒に設定され、単位時間は、たとえば、1秒に設定される。
【0104】
即ち、制御部701は、延長カウンタ値に単位時間を乗算して延長時間を求め、短縮カウンタ値に単位時間を乗算して短縮時間を求める。そして、制御部701は、延長時間から短縮時間を減算した時間を初期時間に加算することにより、運転時間を求める。
【0105】
最初の運転時間は、延長カウンタ値および短縮カウンタ値が0であるため、初期時間となる。
【0106】
洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って、延長カウンタ値が増える。制御部701は、延長カウンタ値が増えるに従って、即ち洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って、運転時間を増やす。
【0107】
洗浄運転の中止操作が行われた回数が増えるに従って、短縮カウンタ値が増える。制御部701は、短縮カウンタ値が増えるに従って、即ち中止操作が行われた回数が増えるに従って、運転時間を減らす。
【0108】
制御部701は、算出した運転時間が、上限時間を上回るか否か、および、下限時間を下回るか否かを判定する(S102,S103)。上限時間は、超音波振動子111の通電時の温度上昇などを考慮して予め設定される。上限時間は、たとえば、240秒に設定される。下限時間は、最低限の洗浄性能の確保などを考慮して予め設定される。下限時間は、たとえば、120秒に設定される。
【0109】
制御部701は、算出した運転時間が、上限時間を上回らず、且つ、下限時間を下回らない場合(S102:NO→S103:NO)、運転時間を更新し、算出した運転時間を新たな運転時間に設定する(S104)。
【0110】
一方、制御部701は、算出した運転時間が、上限時間を上回る場合(S102:YES)、または、下限時間を下回る場合(S102:NO→S103:YES)、算出した運転時間を採用せず、現在の運転時間を維持する(S105)。
【0111】
なお、設定された運転時間は、設定の直後や洗浄運転の終了時等、適宜のタイミングにおいて記憶部702に記憶される。
【0112】
次に、制御部701は、自動投入機構90を動作させて、貯留タンク60内への洗浄水の供給を行う(S106)。
【0113】
第1三方バルブ93が、供給パイプ92を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ96が、上流側供給路95aを洗浄水供給路97に連通させる状態に切り替えられる。さらに、供給バルブ400が閉じられる。供給ポンプ98が所定時間動作し、所定量の液体洗剤が洗剤供給路95に溜まる。
【0114】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられ、サブバルブ83が開かれる。水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93を通って洗剤供給路95へと流れ、液体洗剤を押し流す。水と液体洗剤とが混合されて洗浄水となる。図2の太線矢印に示すように、洗浄水は、洗浄水供給路97を通り、貯留タンク60内に流入する。
【0115】
貯留タンク60内の水位が満水状態の水位に達したことが水位検出部620により検出されると、サブバルブ83が閉じられる。こうして、自動投入機構90からの洗浄水の供給により、貯留タンク60内に所定の水量および所定の洗剤濃度の洗浄水が溜められる。
【0116】
次に、制御部701は、供給バルブ400を開放する(S107)。貯留タンク60内の洗浄水が、供給ノズル500を通って放出口501から貯水槽210内に放出される。貯水槽210内に洗浄水が溜められ、貯水槽210内の水位が上昇する。図7の一点鎖線のように、貯水槽210内の水位が放出口501の高さまで上昇し、放出口501が洗浄水で塞がれると、貯留タンク60内の空気圧と外部の空気圧とが釣り合う。これにより、供給バルブ400が開かれた状態のままで、貯留タンク60からの給水が停止する。貯留タンク60内には、満水時の3分の1程度の洗浄水が残る。超音波発生体110の先端が水面に触れる。
【0117】
貯水槽210内に洗浄水が溜められると、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分を、貯水槽210と超音波発生体110の振動ホーン112との間にセットする。被洗浄物の汚れの付着部分が洗浄水に浸され、被洗浄物の内部に浸透した洗浄水が表面に浸み出す。被洗浄物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン112が接触する状態となる。
【0118】
被洗浄物が吸水することにより、貯水槽210内の水量が減少して水位が下がり、供給ノズル500の放出口501が洗浄水で塞がれなくなると、放出口501が再び洗浄水で塞がれるまで貯留タンク60から貯水槽210内に洗浄水が補給される。これにより、貯水槽210内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0119】
制御部701は、供給バルブ400を開放してから所定の待機時間が経過すると(S108:YES)、超音波振動子111に通電することにより、超音波発生体110を動作させる(S109)。振動ホーン112の先端から超音波が発生し、超音波の作用によって被洗浄物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0120】
制御部701は、超音波発生体110が動作を開始してから現在設定されている運転時間が経過したか否かを判定する(S110)。さらに、制御部701は、電源オフボタン612による電源オフ操作、即ち洗浄運転の中止操作が行われたか否かを判定する(S111)。
【0121】
制御部701は、現在設定されている運転時間が経過すると(S110:YES)、超音波振動子111への通電を停止することにより、超音波発生体110の動作を停止させる(S112)。こうして、洗浄運転が終了する。
【0122】
ユーザは、今回の洗浄運転で全ての被洗浄物の部分洗浄が終わらなかった場合、再び、洗浄ボタン615により洗浄運転を選択した後、スタートボタン613を操作する。これにより、洗浄運転が再度開始される。
【0123】
ユーザは、洗浄運転中、即ち運転時間が経過する前に、全ての被洗浄物の部分洗浄が終わり、その後、運転時間の経過による運転終了を待たない場合に、電源オフボタン612による中止操作を行う。
【0124】
制御部701は、現在設定されている運転時間が経過する前に中止操作が行われると(S110:NO→S111:YES)、超音波発生体110の動作を停止させる(S112)。こうして、洗浄運転が終了し、さらに、全自動洗濯機1の電源が遮断される。
【0125】
ユーザは、超音波洗浄装置50による被洗浄物の洗浄を最後まで終えると、図3(b)および(c)のように、超音波洗浄装置50を収納部17に収納する。図6に示すように、弁可動部材230が、排水受け部70の後壁に当接して前方へ移動する。これにより、弁体220が前方へ移動し、排水口211が開放される。排水口211が開放されると、貯水槽210内の洗浄水が排水受け部70へ排出される。排水受け部70に排出された洗浄水は、排出孔71から排出され、排水パイプ72、溢水パイプ26および排水ホース41を流れて、機外へ排出される。このとき、供給バルブ400は開放されており、貯留タンク60に残った洗浄水も貯水槽210等を経由して機外へ排出される。
【0126】
図11は、制御部701による延長カウンタ701aおよび短縮カウンタ701bのカウント制御を示すフローチャートである。
【0127】
制御部701は、全自動洗濯機1に電源が投入されている間、洗浄運転が再度開始されたか否か、および、洗浄運転の中止操作が行われたか否かを監視する(S201,S202)。たとえば、制御部701には、運転フラグが備えられる。運転フラグは、洗浄運転が行われるとセットされ、洗濯運転が行われるか全自動洗濯機1の電源が遮断されるとリセットされる。制御部701は、運転フラグがセットされると、洗浄運転が再度開始されたと判定する。
【0128】
制御部701は、洗浄運転が再度開始された場合(S201:YES)、延長カウンタ値が第1値増加するよう、延長カウンタ701aに第1値分のカウントを行わせる(S203)。第1値は、たとえば、10に設定することができる。この場合、洗浄運転が再度開始される度に延長カウンタ値が10増える。洗浄運転で行われる図10のステップS101の処理では、単位時間が1秒である場合、洗浄運転が再度開始される度に、運転時間が、現在設定されている運転時間よりも10秒長くなる。
【0129】
制御部701は、洗浄運転の中止操作が行われた場合(S202:YES)、当該中止操作が行われたのが洗浄運転の終了間近、即ち、運転時間の経過間近(たとえば、運転時間の経過10秒前以内)であるか否かを判定する(S204)。制御部701は、中止操作が行われたのが洗浄運転の終了間近でない場合(S204:NO)、短縮カウンタ値が第2値増加するよう、短縮カウンタ701bに第2値分のカウントを行わせる(S205)。第2値は、たとえば、10に設定することができる。この場合、洗浄運転の中止操作が行われる度に短縮カウンタ値が10増える。洗浄運転で行われる図10のステップS101の処理では、単位時間が1秒である場合、中止操作が行われる度に、運転時間が、現在設定されている運転時間よりも10秒短くなる。
【0130】
第2値は、第1値と同じ値であってもよい。あるいは、第2値は、第1値よりも小さい値であってもよい。たとえば、第1値が10とされる場合に、第2値が5とされてもよい。超音波洗浄装置50を用いて被洗浄物の部分洗浄を行うユーザにとっては、部分洗浄が長くなる状況と短くなる状況とが同程度であるときに運転時間が長くなるほうに重みづけされているほうが良い、と考えることもできるためである。
【0131】
さらに、第1値および第2値がともに1、即ち、延長カウンタ701aおよび短縮カウンタ701bが、再運転および中止操作1回当たり1ずつカウントを行うようにされてもよい。この場合、運転時間の演算式において、単位時間が、たとえば10秒に設定される。
【0132】
中止操作が洗浄運転の終了間近に行われた場合は、実質的に洗浄運転が最後まで行われたと見做すことができる。よって、制御部701は、中止操作が行われたのが洗浄運転の終了間近である場合(S204:YES)、短縮カウンタ701bを動作させず、現在の短縮カウンタ値を維持させる。
【0133】
このように、本実施の形態では、洗浄運転が終了後に再度開始された場合は、現在の運転時間では部分洗浄のために時間が足りないと見做されて、運転時間が現在よりも長くされる。これにより、部分洗浄に時間をかけるユーザにとって、その後の洗浄運転において部分洗浄の途中で運転が終了することが減るため、洗浄運転を再度行う必要が生じることを減らすことができる。しかも、洗浄運転が再度開始されることが起こらず、現在の運転時間で時間が足りていると見做される場合には、運転時間が長くされない。よって、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が長くなるということが生じにくい。
【0134】
さらに、洗浄運転の中止操作が行われた場合には、現在の運転時間では部分洗浄の後に時間が余りやすいと見做されて、運転時間が現在よりも短くされる。これにより、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が短くなる。
【0135】
本実施の形態では、洗濯運転の運転コースの中に、洗い工程での洗い時間、水流の強さなどの運転条件が、汚れセンサ27が検出した汚れ量に応じて変更される運転コースが含まれる。
【0136】
ところで、超音波洗浄装置50を用いた被洗浄物の部分洗浄に時間をかけるユーザは、汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると考えられる。また、部分洗浄が早く終わった後に洗浄運転を中止することが多いユーザは、待ち時間を嫌う傾向にあると考えられる。
【0137】
そこで、本実施の形態では、上記の運転コースにおいて、ユーザの上記のような特徴を加味した洗い工程での運転条件の設定が行われる。
【0138】
図12は、制御部701により実行される洗い工程での運転条件を設定する処理を示すフローチャートである。
【0139】
この運転条件の設定処理は、たとえば、洗い工程において、外槽20、即ち洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が洗い水位まで溜められた後、パルセータ24の回転による洗濯物の洗い動作が開始される前に行われる。なお、外槽20内への給水時に適宜のタイミングでパルセータ24が回転し、洗濯物に付着した汚れが水中に出される。
【0140】
図12を参照して、制御部701は、延長カウンタ値が第1閾値以上であるか否かを判定する(S301)。第1閾値は、洗浄運転が再度開始される回数が、ユーザが汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると判断できる規定回数に達したときの延長カウンタ値である。たとえば、規定回数が3回とされ、1回当たりの延長カウンタ701aのカウント数が10とされた場合、第1閾値は30とされる。
【0141】
延長カウンタ値が第1閾値以上である場合(S301:YES)、ユーザが汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると見做すことができる。よって、この場合、制御部701は、洗い時間を、標準の時間よりも長い時間に設定する(S302)。
【0142】
洗い時間が長くなるため、洗濯物(被洗浄物)の汚れが落ちやすくなる。
【0143】
延長カウンタ値が第1閾値未満である場合(S301:NO)、制御部701は、外槽20内に溜められた水の汚れ量が多いか否かを判定する(S303)。制御部701は、汚れセンサ27により検出された汚れ量が所定量より多い場合に、汚れ量が多いと判定する。洗濯脱水槽22内に収容された洗濯物の汚れが多い場合、汚れ量が多くなる。
【0144】
制御部701は、汚れ量が多いと判定すると(S303:YES)、短縮カウンタ値が第2閾値以上であるか否かを判定する(S304)。第2閾値は、洗浄運転の中止操作が行われた回数が、ユーザが待ち時間を嫌う傾向にあると判断できる規定回数に達したときの短縮カウンタ値である。たとえば、規定回数が5回とされ、1回当たりの短縮カウンタ701bのカウント数が10とされた場合、第2閾値は50とされる。
【0145】
短縮カウンタ値が第2閾値未満である場合(S304:NO)、ユーザが待ち時間を嫌う傾向にないと見做すことができる。よって、この場合、制御部701は、洗い時間を、標準の時間よりも長い時間に設定する(S305)。
【0146】
洗い時間が長くなるため、洗濯物が汚れ多くても所期の洗浄性能を確保できる。
【0147】
一方、短縮カウンタ値が第2閾値以上である場合(S304:YES)、ユーザが待ち時間を嫌う傾向にあると見做すことができる。よって、この場合、制御部701は、パルセータ24が発生させる水流を、標準の水流よりも強い水流に設定する(S306)。即ち、制御部701は、パルセータ24の回転数が高くなるように設定したり、パルセータ24の1回のオン時間が長くなるように設定したりする。
【0148】
水流が強くなるため、洗濯物が汚れ多くても所期の洗浄性能を確保できる。しかも、洗濯運転の時間は延びないので、ユーザの待ち時間が長引かない。
【0149】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1が、洗浄水が溜められる貯水槽210と、超音波発生体110が発生した超音波を貯水槽210内の洗浄水に浸された被洗浄物に作用させる超音波洗浄部100とを含む超音波洗浄装置50と、超音波洗浄装置50により被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、当該洗浄運転において超音波発生体110を動作させる時間である運転時間を設定する制御部701と、を備える。そして、制御部701が、洗浄運転において、超音波発生体110を動作させた後、当該動作の開始から現在設定されている運転時間が経過したことに基づいて、超音波発生体110の動作を停止させ、洗浄運転が終了後に再度開始された場合に、運転時間を、現在設定されている運転時間よりも長い時間に設定する。
【0150】
この構成によれば、洗浄運転が終了後に再度開始された場合は、現在の運転時間では部分洗浄のために時間が足りないと見做されて、運転時間が現在よりも長くされる。これにより、超音波洗浄装置50を用いた被洗浄物の部分洗浄に時間をかけるユーザにとって、その後の洗浄運転において部分洗浄の途中で運転が終了することが減るため、洗浄運転を再度行う必要が生じることを減らすことができる。
【0151】
しかも、洗浄運転が再度開始されることが起こらず、現在の運転時間で時間が足りていると見做される場合には、運転時間が長くされない。よって、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が長くなるということが生じにくい。
【0152】
さらに、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1が、洗浄運転が再度開始された回数が増えるに従って値が増える延長カウンタ701aを備える。そして、制御部701が、延長カウンタ701aの値が増えるに従って運転時間を増やす。
【0153】
この構成によれば、洗浄運転が再度開始された回数が増えるほど運転時間が増えるので、部分洗浄に長く時間がかかりやすいほど運転時間が長くなる。これにより、洗浄運転を再度行う必要が生じることを、一層減らすことができる。
【0154】
さらに、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1において、制御部701が、洗浄運転において、現在設定されている運転時間が経過する前に洗浄運転を中止するための中止操作が行われたことに基づいて、超音波発生体110の動作を停止させ、中止操作が行われた場合に、運転時間を、現在設定されている運転時間よりも短い時間に設定する。
【0155】
この構成によれば、洗浄運転の中止操作が行われた場合には、現在の運転時間では部分洗浄の後に時間が余りやすいと見做されて、運転時間が現在よりも短くされる。これにより、部分洗浄に時間をかけないユーザにとって、部分洗浄が終わった後に洗浄運転が終了するのを待つ時間が短くなる。
【0156】
さらに、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1が、中止操作が行われた回数が増えるに従って値が増える短縮カウンタ701bを備える。そして、制御部701が、短縮カウンタ701bの値が増えるに従って運転時間を減らす。
【0157】
この構成によれば、洗浄運転の中止操作が行われた回数が増えるほど運転時間が減るので、部分洗浄が早く終わりやすいほど運転時間が短くなる。これにより、部分洗浄がより早く終わるようなユーザについても、洗浄運転が終了するのを待つ時間を十分に短くできる。
【0158】
さらに、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1において、制御部701が、延長カウンタ701aの値が増えるに従って増える延長時間から短縮カウンタ701bの値が増えるに従って増える短縮時間を減算した時間を、予め設定された初期時間に加算することにより、運転時間を求める。
【0159】
この構成によれば、部分洗浄に時間がかけられる状況と部分洗浄に時間がかけられない状況の双方が加味されて運転時間が設定されるので、ユーザによる洗浄運転の使用状況に応じた細かな運転時間の調整を行うことができる。
【0160】
さらに、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1において、制御部701が、洗濯脱水槽22内で被洗浄物を洗濯する洗濯運転を実行し、当該洗濯運転において、延長カウンタ701aの値が第1閾値に達している場合には、被洗浄物が洗われれる洗い時間を長くする。
【0161】
この構成によれば、延長カウンタ値が第1閾値に達していることにより、ユーザが汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると見做すことができる場合には、洗い時間が長くされるので、被洗浄物の汚れ落ちを良くすることができる。
【0162】
さらに、本実施の形態によれば、全自動洗濯機1が、外槽20内に溜められた水の汚れ量を検出する汚れセンサ27を備える。そして、制御部701が、洗濯運転において、汚れ量が多いと判定した場合に、短縮カウンタ701bの値が第2閾値に達しているときには、パルセータ24が発生させる水流を強くする。
【0163】
この構成によれば、洗濯物の汚れが多い場合に、短縮カウンタ値が第2閾値に達していることにより、ユーザが待ち時間を嫌う傾向にあると見做すことができるときには、洗い時間が延ばされるのではなく、水流が強くされる。これにより、洗濯運転でのユーザの待ち時間を延ばすことなく、所期の洗浄性能を確保できる。
【0164】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0165】
<変更例1>
図13は、変更例1に係る、制御部701により実行される洗い工程での運転条件を設定する処理を示すフローチャートである。
【0166】
図13に示すように、本変更例では、設定処理において、制御部701は、延長カウンタ値が第1閾値以上であると判定すると(S301:YES)、パルセータ24が発生させる水流を、標準の水流よりも強い水流に設定する(S311)。
【0167】
本変更例の構成によれば、延長カウンタ701aの値が第1閾値に達していることにより、ユーザが汚れ落ちを気にしやすい傾向にあると見做すことができる場合には、パルセータ24が発生させる水流が強くされるので、被洗浄物の汚れ落ちを良くすることができる。
【0168】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、洗浄運転において、常に、図10のステップS101~S105による運転時間の設定が行われる。この場合、再度開始される洗浄運転では、延長カウンタ値の増加に基づいて、1回目の洗浄運転よりも運転時間が長くなる。
【0169】
しかしながら、再度開始される洗浄運転では、既に1回分の洗浄運転による部分洗浄が終わっているため、運転時間を延ばさなくても運転時間内に残りの部分洗浄が終わる可能性が高い。よって、再度開始される洗浄運転では、図10のステップS101~S105による運転時間の設定が行われず、その前の洗浄運転と同じ運転時間が適用されるようにしてもよい。この場合、全自動洗濯機1の電源が一度遮断されて投入された後に実行される洗浄運転から運転時間が長くなる。
【0170】
さらに、再度の洗浄運転では運転時間が変更されない構成とされる場合、ステップS101~S105による運転時間の設定と、設定された運転時間の記憶部702への記憶とが、洗浄運転において行われるのではなく、洗浄運転が再度開始されないことが決定したタイミング、たとえば、洗濯運転が開始されるタイングや電源オフボタン612の操作により電源が遮断されるタイミングにおいて実行されてもよい。
【0171】
さらに、上記実施の形態では、洗浄運転中に電源オフボタン612が操作されると、中止操作が行われたとして、超音波発生体110の動作が停止されて、洗浄運転が中止された。しかしながら、専用の操作ボタンなど、電源オフボタン612以外の操作ボタンにより中止操作が行われてもよい。
【0172】
さらに、上記実施の形態では、制御部701が、洗浄運転において、現在設定されている運転時間が経過する前に洗浄運転を中止するための中止操作が行われたことに基づいて、超音波発生体110の動作を停止させ、中止操作が行われた場合に、運転時間を、現在設定されている運転時間よりも短い時間に設定する。しかしながら、中止操作が行われたことに基づいて運転時間が短くされるような構成が採られないようにされてもよい。この場合、短縮カウンタ701bが設けられない。そして、図10のステップS101では、次の演算式により運転時間が算出される。
運転時間=初期時間+延長カウンタ値×単位時間
【0173】
さらに、上記実施の形態では、制御部701が、洗浄運転が終了後に再度開始された場合に、運転時間を、現在設定されている運転時間よりも長い時間に設定する。しかしながら、洗浄運転が再度開始されたことに基づいて運転時間が長くされるような構成が採られないようにされてもよい。この場合、延長カウンタ701aが設けられない。そして、図10のステップS101では、次の演算式により運転時間が算出される。
運転時間=初期時間-短縮カウンタ値×単位時間
【0174】
さらに、上記実施の形態では、貯留タンク60が設けられたが、貯留タンク60が設けられず、給水ユニット80から貯水槽210へ、直接、洗浄水が供給される構成が採られてもよい。
【0175】
さらに、上記実施の形態では、制御部701は、中止操作が行われたのが洗浄運転の終了間近である場合に、短縮カウンタ701bを動作させず、現在の短縮カウンタ値を維持させる。しかしながら、制御部701は、中止操作が行われたのが洗浄運転の終了間近である場合にも、短縮カウンタ701bを動作させてもよい。この場合、図11に示す制御において、ステップS204の処理が削除される。
【0176】
さらに、上記実施の形態では、洗剤が含まれた水が、洗浄水として、給水ユニット80により貯留タンク60に供給されて貯水槽210内に溜められた。しかしながら、洗剤が含まれていない水が、洗浄水として、給水ユニット80により貯留タンク60に供給されて貯水槽210内に溜められてもよい。
【0177】
さらに、上記実施の形態において、自動投入機構90は、洗剤と柔軟剤とを自動投入可能な構成とされてもよい。この場合、液体の柔軟剤を収容する柔軟剤タンクが設けられる。柔軟剤タンクは、供給パイプと三方バルブとを介して、サブ給水路94に繋がる。すすぎ工程の際、洗剤タンク91からの洗剤の供給と同様な動作により、柔軟剤タンク内の柔軟剤が洗濯脱水槽22内へ供給される。
【0178】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50が全自動洗濯機1に備えられる。しかしながら、超音波洗浄装置50が、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、ドラム式洗濯機に備えられてもよい。また、超音波洗浄装置50が、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機やドラム式洗濯乾燥機に備えられてもよい。ドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機では、外槽内に、内槽である横軸型のドラムが配置される。
【0179】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
22 洗濯脱水槽(内槽)
24 パルセータ
27 汚れセンサ
50 超音波洗浄装置
100 超音波洗浄部
110 超音波発生体
210 貯水槽
701 制御部
701a 延長カウンタ
701b 短縮カウンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13