(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097531
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】キャッパー装置
(51)【国際特許分類】
B67B 3/20 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B67B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001035
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】516166317
【氏名又は名称】株式会社サイレック
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】横原 大
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA07
3E080CD08
3E080CF07
3E080CF11
3E080CF15
3E080DD15
3E080EE02
3E080EE03
3E080FF11
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でもってコスト高を招くことなく処理能力を高めることができる安価で新規なキャッパー装置を提供する。
【解決手段】所定位置に順次搬送されて保持される容器Aの口部A1に対して、真上よりキャップBを供給して載せるキャップ供給機構20と、容器Aの口部A1上のキャップBを両側から挟み込み位置決めした後、該キャップBに両側から逆方向の回転力を伝達して容器Aの口部A1に巻き締めるキャップ巻締機構30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル等の容器の口部にキャップを供給して巻き締めるキャッパー装置において、
所定位置に順次搬送されて保持される容器の口部に対して、真上よりキャップを供給して載せるキャップ供給機構と、
前記容器の口部上のキャップを両側から挟み込み位置決めした後、該キャップに両側から逆方向の回転力を伝達して容器の口部に巻き締めるキャップ巻締機構と、を備えたことを特徴とするキャッパー装置。
【請求項2】
前記キャップ供給機構は、
水平方向に180度ずつ正逆回転する反転支持バーと、
前記反転支持バーの一端側と他端側に、それぞれ上下方向に昇降可能に支持され、キャップを吸着して保持可能な一対の吸着ヘッドと、を有し、
前記反転支持バーは、一端側の前記吸着ヘッドが、順次搬送された定位置のキャップの天面に触れるように下降し吸着してから上昇すると共に、他端側の前記吸着ヘッドが、順次搬送された所定位置の容器の口部上に吸着保持中のキャップを載せるように下降し吸着解放してから上昇する動作に合わせて、正逆回転することを特徴とする請求項1に記載のキャッパー装置。
【請求項3】
前記キャップ巻締機構は、
所定位置に保持された容器の口部上のキャップに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持され、キャップに近接した際に圧接可能な一対の締付回転体を有し、
前記各締付回転体は、先ずキャップに圧接して容器の口部に対してずれない状態に位置決めした後、次いで互いに逆方向に回転することにより、キャップを回転させて容器の口部に本締め相当のトルク値で締め付け可能としたことを特徴とする請求項2に記載のキャッパー装置。
【請求項4】
前記各締付回転体の駆動系を含む構成部品とその可動領域を、前記キャップ供給機構における前記反転支持バーおよび前記各吸着ヘッドの動作軌跡に干渉しない位置に配置したことを特徴とする請求項3に記載のキャッパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル等の容器の口部にキャップを供給して巻き締めるキャッパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のボトル等の容器の口部にキャップを供給して巻き締めるキャッパー装置としては、様々な種類が既に提案されており、例えば代表的なタイプとして、(a)回転下降タイプ、(b)回転下降・簡易仮締めタイプ、(c)前工程キャップ載せタイプ、と3つのタイプが知られている。
【0003】
前記(a)の回転下降タイプは、キャップを保持し回転下降することで、キャップの供給と巻き締めを行うように構成されている。例えば特許文献1に記載の装置では、複雑な機構のキャップ保持具によってキャップを保持し、容器の真上から回転下降しつつ供給と同時に巻き締めを行っていた。
【0004】
前記(b)の回転下降・簡易仮締めタイプは、前記(a)の回転下降タイプにおいて、キャップ保持部が簡易的な吸着パッドになったものである。このタイプでは、回転トルクをキャップに十分に伝えることができず、後工程に本締めのキャッパー装置を別途必要としていた。
【0005】
前記(c)の前工程キャップ載せタイプは、前工程で容器(ボトル等)にキャップを載せて、後工程でベルト式キャッパーに、キャップを載せた容器を供給して巻き締するように構成されている。例えば特許文献2,3に記載の装置では、何れもキャップを容器の上に被せるだけの装置がキャッパーの前工程に装備され、その後工程でベルト式等の可変域の大きなキャッパーへ供給されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4141370号公報
【特許文献2】特開2017-171339号公報
【特許文献3】特開平9-132293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記(a)の回転下降タイプでは、そもそも構成が複雑であり、コストが嵩むという問題があった。また、キャップの位置決め具やキャップ保持具等、キャップに応じて精度良い部品を製作する必要があり、各部品の可変域も狭いため、処理対象のキャップを変更する都度、これらの部品を変更する必要があった。また、精度良い位置決め具等を製作したにも関わらず、回転下降するための構造が複雑になり、回転下降中に若干のブレが生じてしまうことがあった。かかる問題を解決するには、よりいっそう複雑で高価な装置になるという問題が生じてしまう。
【0008】
また、前記(b)の回転下降・簡易仮締めタイプでは、簡易的な吸着パッドによる保持ではあるが、吸着時にキャップの位置がずれないように、キャップごとに位置決め具を製作する必要がある。その結果として、キャップごとに切替え作業が発生するため、処理が面倒であり時間がかかるという問題があった。特に、キャップを吸着しつつ巻き締めるため、巻き締めに関する細かな精度出しも必要となり、なおさら設計および処理が面倒であった。
【0009】
ここで吸着パッドの動作に関しては、吸着のみならず、上下方向の移動と、回転駆動による巻き締めも同時に行われるため、吸着パッドを支持するロッドが、その設計上限られた外径であるにも関わらず、過負荷がかかって破損しやすいという構造的な問題もあった。しかも、キャップの吸着による保持では、キャップの巻き締めのトルクを高めることができない関係上、後工程で高いトルクでキャップの本締めを行う別装置を付加しなければならず、コストが嵩むという問題があった。
【0010】
さらに、前記(c)の前工程キャップ載せタイプでは、その前工程では単純にキャップを載せるだけであるが、それなりの位置決め精度が要求されるため、キャップごとに各部品を製作する必要があり、当然切替え作業が発生する。従って、前記(b)のタイプと同様に、処理が面倒であり時間がかかるという問題があった。また、前工程で精度良く水平にキャップを載せても、容器を移送する途中で振動によりキャップの位置がずれ、巻き締めミスが発生する虞があった。
【0011】
本発明の目的は、以上のような従来の技術が有する問題点に着目してなされたものであり、容器の口部に真上から供給されたキャップを容易に位置決めすることができると共に、その後に続くキャップの巻き締めを確実に行うことが可能であり、簡易な構成でもってコスト高を招くことなく処理能力を高めることができる安価で新規なキャッパー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記した目的を達成するために、ボトル等の容器の口部にキャップを供給して巻き締めるキャッパー装置において、所定位置に順次搬送されて保持される容器の口部に対して、真上よりキャップを供給して載せるキャップ供給機構と、前記容器の口部上のキャップを両側から挟み込み位置決めした後、該キャップに両側から逆方向の回転力を伝達して容器の口部に巻き締めるキャップ巻締機構と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の好ましい態様として、前記キャップ供給機構は、水平方向に180度ずつ正逆回転する反転支持バーと、前記反転支持バーの一端側と他端側に、それぞれ上下方向に昇降可能に支持され、キャップを吸着して保持可能な一対の吸着ヘッドと、を有し、前記反転支持バーは、一端側の前記吸着ヘッドが、順次搬送された定位置のキャップの天面に触れるように下降し吸着してから上昇すると共に、他端側の前記吸着ヘッドが、順次搬送された所定位置の容器の口部上に吸着保持中のキャップを載せるように下降し吸着解放してから上昇する動作に合わせて、正逆回転することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の別の好ましい態様として、前記キャップ巻締機構は、所定位置に保持された前記容器の口部上のキャップに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持され、キャップに近接した際に圧接可能な一対の締付回転体を有し、前記各締付回転体は、先ずキャップに圧接して前記容器の口部に対してずれない状態に位置決めした後、次いで互いに逆方向に回転することにより、キャップを回転させて容器の口部に本締め相当のトルク値で締め付け可能としたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の別の好ましい態様として、前記各締付回転体の駆動系を含む構成部品とその可動領域を、前記キャップ供給機構における前記反転支持バーおよび前記各吸着ヘッドの動作軌跡に干渉しない位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るキャッパー装置によれば、容器の口部に真上から供給されたキャップを容易に位置決めすることができると共に、その後に続くキャップの巻き締めを確実に行うことが可能であり、簡易な構成でもってコスト高を招くことなく処理能力を高めることができるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す背面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す右側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るキャッパー装置の全体を示す左側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るキャッパー装置のキャップ供給機構を拡大して示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構を拡大して示す平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るキャッパー装置のキャップ巻締機構を拡大して示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1から
図8は、本発明の一実施形態を示している。
本実施形態に係るキャッパー装置10は、ボトル等の容器Aの口部A1にキャップBを供給して巻き締める装置である。
【0019】
容器Aの種類は、特に限定されるものではないが、何れも口部A1の外周側にあるネジ山に、キャップBの内周側にあるネジ溝を螺合させて巻き締めるいわゆるスクリュータイプが該当する。以下、本実施形態の容器Aは、例えば化粧水等が内部に充填された化粧品用のボトルに適用した場合を例に説明する。なお、本実施形態に記載される具体的な構成や形状等は、あくまで本発明の一例に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0020】
<キャッパー装置10の概要>
図1に示すように、本実施形態に係るキャッパー装置10は、その外郭をなす本体フレーム11の内外に、本発明の構成要素であるキャップ供給機構20、キャップ巻締機構30等の各構成部品が組み込まれている。なお、本実施形態に記載される「上」と「下」、「前」と「後」、「左」と「右」等の方向を表す用語は、各構成要素の位置関係を説明するために便宜上定めたものであり、実際の装置の設置状態等を限定するものではない。
【0021】
<本体フレーム11>
図1に示すように、本体フレーム11は、全体的には金属製の各部材により立方体状の枠組みとして構成されている。すなわち、本体フレーム11は基本的には、左右一対のベース台12,12と、各ベース台12上に立設された4本の支柱13,13…と、各支柱13の上端に固定された上部フレーム14と、から成る。また、各支柱13間には、キャップ巻締機構30を配設するステージ台15が上下方向に移動可能に支持されている。
【0022】
詳しくは後述するがステージ台15は、正面向かって左側(
図1中で左側)の2本の支柱13,13間に支持された右ステージ台15Aと、正面向かって右側(
図1中で右側)の2本の支柱13,13間に支持された左ステージ台15Bと、に分かれている、ここで各ステージ台15A,15Bは、それぞれ同期して上下方向に位置調整が可能に支持されている。また、右ステージ台15A上には、キャップ供給機構20を配設するフレーム枠16が一体に設けられている。なお、各ステージ台15A,15Bを総称するときは、単にステージ台15と表記する。
【0023】
各ベース台12は、それぞれ前後方向に延びる平板状に形成されており、互いに平行な状態でフロア等の据付場所に水平に載置される。ベース台12の下面側には、例えばフレーム本体11の全体の4隅となる箇所で、それぞれ高さ調整ないし水平出しが可能なアジャスター(図示せず)を設けると良い。また、各ベース台12の中間には、容器搬送コンベヤ1が配置されている。言い換えればキャッパー装置10は、そのベース台12を容器搬送コンベヤ2の両外側に位置させて、容器搬送コンベヤ1の上方に据え置かれる。
【0024】
<容器搬送コンベヤ1>
図1に示すように、容器搬送コンベヤ1は、一般的なベルトコンベアから成り、平坦状の無端ベルトの上面側が、図面手前の前方から奥の後方へ向かって長手方向に延び、一定速度で回転駆動される。無端ベルトとしては、その表面が比較的滑りの良い材質ないし構造のものが採用されている。容器搬送コンベヤ1上には、その手前側から容器Aが供給される。ここで容器Aには、予め化粧水等の内容物が充填されており、例えば、容器搬送コンベヤ1上に人手によって容器Aを立てた状態で順次供給される。なお、容器搬送コンベヤ1は、キャッパー装置10の構成の一部として捉えても良い。
【0025】
<キャップ搬送コンベヤ2>
また、右側のベース台12の外側に沿って、キャップ搬送コンベヤ2が配置されている。キャップ搬送コンベヤ2も、前記容器搬送コンベヤ1と同様に一般的なベルトコンベアから成り、平坦状の無端ベルトの上面側が、図面手前の前方から奥の後方へ向かって長手方向に延び、一定速度で回転駆動される。キャップ搬送コンベヤ2の無端ベルトも、その表面が比較的滑りの良い材質ないし構造のものが使用されている。キャップ搬送コンベヤ2上には、その手前側からキャップBが順次供給される。ここでキャップBは、キャップ搬送コンベヤ2上に人手によって開口が下を向く状態で供給される。なお、キャップ搬送コンベヤ2も、キャッパー装置10の構成の一部として捉えても良い。
【0026】
<ガイド40>
また、容器搬送コンベヤ1の途中の両側に沿って、左右一対のガイド40,40が、互いに間隔をあけて対向するように配設されている。各ガイド40は、容器搬送コンベヤ1により搬送される容器Aを、その進行に伴って無端ベルトの幅方向の中央に一列に導くものである。各ガイド40によって、容器Aは1つずつ各ガイド40の後端より後方の所定位置まで導かれ、次述する左右一対のクランプ50,50によって、容器Aは所定位置に順次位置決め保持される。
【0027】
各ガイド40は、それぞれロッド41を介して取付板42に固定され、各取付板42は、それぞれの側にあるベース台12に対して、容器搬送コンベヤ1の長手方向と直交する左右方向に位置調整が可能に取り付けられている。これにより、各ガイド40間の間隔は、容器Aの大きさ等に応じて調整できるように構成されている。なお、各ガイド40の先端側は、末広がりに開いて容器Aを受け入れやすいように形成されている。
【0028】
<クランプ50>
また、容器搬送コンベヤ1の途中の両側に沿って、前記各ガイド40の後方には、左右一対のクランプ50,50が、互いに間隔をあけて対向するように配設されている。各クランプ50は、後述する締付回転体31の下方で、容器搬送コンベヤ1上をガイド40を経て所定位置に供給された容器Aに両側から圧接して、容器Aを所定位置に位置決め保持するものである。
【0029】
各クランプ50は、それぞれ可動板51に固定され、各可動板51は、それぞれの側にあるベース台12に対して、容器搬送コンベヤ1の長手方向と直交する左右方向に移動可能に取り付けられている。これにより各クランプ50は、互いに離間ないし近接が可能に構成されている。各クランプ50が互いに近接して容器Aを圧接保持する動作は、例えばエアシリンダー52による圧縮空気を利用して行われ、近接時にはレギュレターを用いて、程良い圧力で容器Aを保持することができるように構成されている。
【0030】
各クランプ50間の間隔は、通常時は互いに離間して開いており、容器Aの大きさ等に応じて、容器搬送コンベヤ1の進行に伴い容器Aを所定位置に位置決め保持できるように構成されている。ここで各クランプ50によって容器Aを保持するタイミングは、具体的には例えば、前記ガイド40によって導かれる容器Aをレーザー検知器(図示せず)で検知し、その信号に基づいて、所定時間の経過後に前述の圧縮空気を作動させて、各クランプ50の間隔を狭めるように移動させて行われる。
【0031】
<キャップ供給機構20>
キャップ供給機構20は、容器搬送コンベヤ1によって所定位置まで搬送された容器Aに対して、キャップ搬送コンベヤ2によって定位置まで搬送されたキャップBを順次供給する機構である。キャップ供給機構20は、フレーム枠16に組み込まれたユニットとして構成されている。ここでフレーム枠16は、その前後壁が右ステージ台15A上に一体に固定され、前後壁の上端間に亘る上壁の下面側に、取付ブラケット16aが固定されている。
【0032】
キャップ供給機構20は、回転動作の駆動源である電動モーター21と、電動モーター21によって水平方向に180度ずつ正逆回転する反転支持バー22と、反転支持バー22の一端側と他端側に支持された一対の吸着ヘッド23,23と、を有して成る。電動モーター21は、前記取付ブラケット16aを介してフレーム枠16に固定され、電動モーター21より垂下する出力軸21a(
図6参照)に対して、反転支持バー22は中間部が一体に軸支されている。
【0033】
反転支持バー22は、細幅な直線状の延びる板状に形成され、一端部と他端部とは、中間部の回転中心を間にして180度対極に位置する。この一端部と他端部には、それぞれ上下方向に昇降可能な一対の昇降ロッド24,24が支持され、各昇降ロッド24の下端側に吸着ヘッド23が設けられている。ここで各昇降ロッド24の昇降は、前述したクランプ50の動作と同様に、例えば圧縮空気を利用して行われる。
図6に示すように、反転支持バー22の一端部と他端部には、それぞれ昇降ロッド24を、ブラケット25を介して昇降させるエアシリンダー26が設けられている。
【0034】
吸着ヘッド23は、前記キャップ搬送コンベヤ2によって順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れた状態で、キャップBを真空吸着して保持するものである。吸着ヘッド23は、下方に開口した筒状に形成され、その内側は昇降ロッド24内の吸気通路を介して真空源(図示せず)に連通している。また、吸着ヘッド23において、キャップBの天面に接触する口部は、例えばウレタン樹脂等の弾性材質により形成されている。なお、吸着ヘッド23は、回転駆動されることはないが、昇降ロッド24の下端に対しては自由に回転可能に連結されている。
【0035】
キャップ供給機構20の基本的な動作として、反転支持バー22は、一端側の吸着ヘッド23が、キャップ搬送コンベヤ2上で順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れるように下降し吸着してから上昇すると共に、他端側の吸着ヘッド23が、容器搬送コンベヤ1で順次搬送された所定位置の容器Aの口部A1上に吸着保持中のキャップBを載せるように下降し吸着解放してから上昇する動作に合わせて180度ずつ正逆回転する。なお、前記キャップ搬送コンベヤ2の後端寄りには、キャップBを吸着される定位置に一時的に留めるためのストッパ3(
図1参照)が無端ベルト上に架設されている。
【0036】
このようなキャップ供給機構20の一連の動作の詳細なタイミングは、後述する制御盤によって制御されるように構成されている。なお、キャップ供給機構20は、容器Aの口部A1にキャップBを単に載せた状態とするものである。すなわち、キャップ供給機構20は、従来技術のように、キャップBを容器Aに一周り程ネジ込ませる必要はなく、単にキャップBを容器Aの口部に載せるように供給するだけで足りるものである。
【0037】
<キャップ巻締機構30>
キャップ巻締機構30は、所定位置にある容器Aの口部A1上のキャップBを両側から挟み込み位置決めした後、該キャップBに両側から逆方向の回転力を伝達して容器Aの口部A1に巻き締める機構である。キャップ巻締機構30は、左右に分かれた各ステージ台15A,15Bに対して、それぞれ分割して構成されている。
【0038】
すなわち、キャップ巻締機構30は、各ステージ台15A,15B上に別々に取り付けられた一対の締結回転体31,31を有して成る。一対の締結回転体31,31は、所定位置に保持された容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持されており、キャップBに近接した際に圧接可能なものである。
【0039】
図7,
図8に示すように、締付回転体31は、相対向する側に配された2つの把持ローラー311と、各把持ローラー311の後方で互いに広い間隔に配された2つの張架ローラー312と、各張架ローラー312間の後方に配された駆動ローラー313と、これらの外側に張架された無端の環状体310で構成されている。環状体310は、ベルト状あるいは紐状に摩擦力のある弾性材質により形成されたものであり、本実施形態では細幅な平坦ベルトが採用されている。また、2つの把持ローラー311間には、環状体310を部分的に凹状に巻き回すピン状のガイドローラー316も配されている。
【0040】
各張架ローラー312と駆動ローラー313は、左右で形状の異なる移動台32A,32Bの下面側に回転可能に軸支されている。各把持ローラー311とガイドローラー316は、移動台32A,32Bの下面側に対して位置調整可能な調整板33下に回転可能に軸支されている。各把持ローラー311は、環状体310を介してキャップBに直接的に圧接するものである。ここで環状体310は、ガイドローラー316によって各把持ローラー311間に直線状に張られていないため、キャップBは左右両側から4点で保持されることになる。また、各把持ローラー311は、調整板33ごと移動台32A,32Bに対する取付位置を予め調整して固定することができる。
【0041】
各張架ローラー312は、環状体310を外側に付勢して、その張力を適切に保つ機能を果たすものである。また、駆動ローラー313は、環状体310を回転駆動するものであり、移動台32A,32Bの上面側に配設された電動モーター34の出力軸に連結されている。ここで駆動ローラー313は、電動モーター34ごと移動台32A,32Bに対する取付位置を調整して固定することにより、前記調整板33の取付位置の調整と相俟って、予め環状体310は最適な張力となるように設定されている。
【0042】
このように各締付回転体31は、それぞれ移動台32A,32Bに固定され、各移動台32A,32Bは、それぞれの側にある各ステージ台15A,15B上に対して、容器搬送コンベヤ1の長手方向と直交する左右方向に移動可能に取り付けられている。これにより各締付回転体31は、互いに離間ないし近接が可能に構成されている。各締付回転体31(移動台32A,32B)が互いに近接して、キャップBに圧接し位置決めする動作は、例えばエアシリンダー35による圧縮空気を利用して行われ、近接時にはレギュレターを用いて、本締め可能な圧力でキャップBを保持することができるように構成されている。
【0043】
各締付回転体31によるキャップBの圧接による位置決めは、本実施形態では、例えば容器Aが左右一対のクランプ50,50によって保持された直後に、前述した圧縮空気を作動させて各締付回転体31の間隔を狭めるように移動させて行われる。その後、各締付回転体31の環状体310は、互いに逆方向に回転駆動されることにより、容器Aの口部A1にキャップBは巻き締められるように構成されている、ここでのキャップBの巻き締めは、仮締めではなく本締め相当のトルク値で行われるように設定されている。
【0044】
また、各移動台32A,32Bの初期位置では、各締付回転体31がキャップBの外径よりも広く離間しているが、この間隔は、キャップBの大きさ等に応じて予め調整できるように構成されている。すなわち、左右一対の移動台32A,32Bは、それぞれの各ステージ台15A,15B上で、例えばハンドル等の操作によって近接ないし離間して位置調整できるように構成されている。従って、各締結回転体31は、互いに離間した初期位置から近接する間隔を、キャップBの大きさに合わせて調整することができる。
【0045】
さらに、各締付回転体31は、ベース台12に対して高さ調整可能に構成されており、各種の容器AのキャップBの高さに応じて、キャップBの両側から確実に圧接できるように構成されている。すなわち、各ステージ台15A,15Bは、それぞれ上下方向に位置調整が可能に構成されている。なお、キャップ巻締機構30のフレーム枠16も、左側のステージ台15Aと一緒に上下方向に移動する。
【0046】
図1に示すように、本体フレーム11の両側後方の各支柱13の手前には、一対となる昇降用のスクリューロッド17,17が平行に並ぶように立設されている。この各スクリューロッド17の回転に伴い上下移動するナット等の動力伝達系を介して、各ステージ台15A,15Bは上下方向に同時に移動可能に支持されている。よって、キャップ巻締機構30は、各ステージ台15A,15Bごと上下方向に位置調整することができる。なお、一方のスクリューロッド17の上端には、回転操作用のハンドル18が設けられており、他方のスクリューロッド17にも同時に回転操作が伝達されるように、ベルト19を介して連結されている。
【0047】
<その他、制御系>
本体フレーム11の適所(例えば上部フレーム14上等)には、別体の電装ボックス(図示せず)が配設されている。電装ボックスは、その内部にキャップ供給機構20やキャップ巻締機構30等の各構成要素の動作を制御する制御盤(シーケンサ)等の電装機器が収納されている。また、図示省略したが電装ボックスの正面側には、各種操作を行うタッチパネル式の設定画面等が設けられている。その他、電装ボックスには、本キャッパー装置10の運転中の異常発生時等に緊急停止するための安全機構に関する非常停止スイッチ等の各種スイッチや警報ブザー等も設けると良い。
【0048】
<キャッパー装置10の作用>
以下に、本実施形態に係るキャッパー装置10の作用について説明する。
最初にキャッパー装置10を運転するに際しては、扱う容器AおよびキャップBの種類に応じて各部品の位置を予め調整しておく。例えば、キャップ巻締機構30を配設した左右一対のステージ台15A,15Bは、ハンドル18の回転操作により同期して上下方向に移動可能である。よって、各締付回転体31の高さ位置を、容器Aの高さに応じて予め調整しておく。
【0049】
また、前述したように、各締結回転体31が互いに離間した初期位置での間隔、各クランプ50が互いに離間した初期位置での間隔、それに各ガイド40間の固定された間隔も、それぞれ容器AおよびキャップBの大きさに応じて予め調整しておく。このように本キャッパー装置10は、各部品の可動域が広いため、様々な種類の容器AおよびキャップBを部品交換することなく扱うことができる。
【0050】
キャッパー装置10の電源を投入した後、図示省略した制御盤の設定画面によって、各構成部品の動作制御に関する設定も行う。例えば、容器搬送コンベヤ1およびキャップ搬送コンベヤ2の搬送速度、容器搬送コンベヤ1上を搬送される容器Aの検知に基づき各クランプ50が動作するタイミング、キャップ搬送コンベヤ2上を搬送されるキャップBの検知に基づきキャップ供給機構20が動作するタイミング、それにキャップ供給機構20の動作に連動してキャップ巻締機構30が動作するタイミング等を適宜設定する。
【0051】
キャッパー装置10の運転準備が済んだら、先ず作業者は、別工程で化粧水等の内容物が充填された容器Aを、容器搬送コンベヤ1の手前側に順次供給する。容器搬送コンベヤ1に立てた状態で置かれた容器Aは、ベルトの回転進行に伴って左右一対のガイド40,40間に案内され、ベルトの幅方向の位置が調整されつつ、左右一対のクランプ50,50間の所定位置に到達する。各クランプ50は、互いに近接して容器Aを圧接保持する。容器搬送コンベヤ1のベルト表面は滑りが良いから、容器搬送コンベヤ1の進行にも関わらず、各クランプ50による保持によって、容器Aは容器搬送コンベヤ1上において所定位置に停止ないし固定される。
【0052】
容器Aがクランプ50により保持固定されると同時に、キャップ供給機構20によって、容器Aの口部A1に真上よりキャップBが載せられる。このとき、従来技術のキャッパー装置のように、容器Aの口部A1にキャップBを一回り程度もネジ込む必要は一切ない。ただ単にキャップBを容器Aの口部に被せて載せるだけで足りる。従って、キャップ供給機構20の動作に関しては、容器搬送コンベヤ1上の所定位置にある容器Aと、キャップ搬送コンベヤ2上の定位置にあるキャップBと、に対する吸着ヘッド23の昇降動作が、単に上下方向に合致する程度の精度出しで足りる。
【0053】
キャップ供給機構20では、反転支持バー22が電動モーター21によって180度ずつ正逆回転を繰り返す。このとき、反転支持バー22の一端側の吸着ヘッド23は、キャップ搬送コンベヤ2上を順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れるように下降し吸着してから上昇する。一方、反転支持バー22の他端側の吸着ヘッド23は、所定位置に保持固定されている容器Aの口部A1上に吸着保持中のキャップBを載せるように下降し吸着解放してから上昇する。
【0054】
このように本キャッパー装置10のキャップ供給機構20では、いわば一往復(一回転)ごとのキャップの供給ではなく、片道(半回転)ごとにキャップBを連続して供給することが可能となり、キャップBの供給に関する処理能力を格段に向上させることができる。一方、従来技術のキャッパー装置では、キャップを吸着して供給する動作において、一般にキャップを吸着している最中は他の動作(新たなキャップの吸着等)は何もしてないため、処理能力が上がらず動作の往復分だけ工程に無駄が生じていた。
【0055】
前述したキャップ供給機構20の効率的な動作は、キャップ巻締機構30における各締付回転体31の駆動系を含む構成部品とその可動領域を、キャップ供給機構20における反転支持バー22および各吸着ヘッド23の動作軌跡に干渉しない位置に配置したことによって実現されている。
【0056】
すなわち、キャップ巻締機構30における一対の締付回転体31,31は、左右に分離されて配置され、容器搬送コンベヤ1上で容器Aが保持される所定位置の真上には、キャップ供給機構20の構成部品以外は存在しない。従来技術のキャッパー装置では、キャップの巻締位置にある容器Aの真上には、一般にキャップを吸着保持ないし回転させるための電動モーターやその動力伝達機構が存在するため、キャップ供給機構20のような構成を設けることは配置スペース上できなかった。
【0057】
次いで、容器Aの口部A1上にキャップBが載せられると、直ぐにキャップ巻締機構30が作動する。すなわち、左右一対の締付回転体31,31の間隔が狭まるように、キャップBの両側から接近してキャップBに圧接し、キャップBが容器Aの口部A1からずれない状態に位置決めする。その後、各締付回転体31は、互いに環状体310が逆方向に回転する。これにより、キャップBは、容器Aの口部A1に本締め相当のトルク値で確実に締め付けられる。
【0058】
詳しく言えば各締付回転体31は、
図8に示すように、一対の把持ローラー311,311が、環状体310を介してキャップBに直接的に圧接する。ここで環状体310は、ガイドローラー316によって各把持ローラー311間に直線状に張らないため、キャップBは左右両側から4点で保持されることになる。このような各締付回転体31によれば、キャップBをいっそう確実に位置決めした状態で保持することが可能となる。なお、各把持ローラー311は、それぞれの軸心を鉛直ではなく互いに対向する側に下向きに軸支することにより、容器Aが浮き上がることを防ぐことができる。
【0059】
本キャッパー装置10では、以上のような一連の動作が繰り返されることになる。なお、一連の動作は、図示省略した電装ボックスにある制御盤によって所定のプログラムに基づき制御されるが、以下に、キャップ供給機構20およびキャップ巻締機構30の具体的な動作の制御について詳述する。
【0060】
<キャップ供給機構20の動作の制御>
キャップ供給機構20の動作に関しては、特に、吸着ヘッド23による吸着解放の開始時間が重要となる。図示省略した制御盤の設定画面では、キャップBを反転供給した後における吸着ヘッド23の真空破壊のタイミングを設定する。吸着ヘッド23の真空破壊は、多少エアーを吹き出すことになり、キャップBを吹き飛ばす力が発生する。ここで吸着ヘッド23は、キャップBを吸着したままの状態でも、フリーで回転可能となっているため、後のキャップ巻締機構30による巻き締め動作に、大きく影響を及ぼすことはない。
【0061】
また、キャップBを容器Aの口部A1上に供給する際は、基本的に昇降ロッド24のストロークの下限を、吸着ヘッド23が容器Aの口部A1にぎりぎりぶつからない程度に調整する。ここでキャップBの内周側にあるネジ溝に、容器Aの口部A1の外周側にあるネジ山の始端がぶつかると、容器Aの口部A1とキャップBの軸心が斜めにずれた状態となり、口部A1のネジ山とキャップBのネジ溝が嵌合不良(所謂かじり)を起こす原因の一つとなっている。
【0062】
吸着ヘッド23の真空破壊のタイミングとしては、具体的には以下の3つがある。
a)巻き締め回転で解放
キャップBを各締結回転体31で挟み込み位置決めした後、各締結回転体31が回転し始めると同時に、解放する。通常は、このタイミングに設定して使用する。
【0063】
b)巻き締め停止で解放
吸着ヘッド23でキャップBを吸着したまま、キャップBの巻き締めを行い、巻き締め停止と同時に解放する。かかるタイミングは、キャップBの入りが悪く、ネジ山の始端を探し難い容器等に使用する。この場合、キャップBの供給のストロークの下限は、容器Aの口部A1にぶつけるぐらいとし、キャップBを吸着ヘッド23および昇降ロッド24の重量のみで押さえている状態となる。また、キャップBを吸着したまま、各締結回転体31で巻き締め動作を行うと、容器Aが持ち上がり、着地の際に転倒の虞があるため、容器Aの安定性が悪い場合は、この動作のタイミングは選択しない。
【0064】
c)巻き締め終了後にタイマーで解放
各締結回転体31の回転とは無関係に、タイマーにて所定時間の経過後に解放する。このタイマーによる制御は、例えば生産能力を向上させたい場合等に使用する。また、キャップBの上面が水平でないものでも、0秒を設定することで、各締結回転体31で挟む直前に解放し、各締結回転体31で挟み込むことで、キャップBを水平にし、巻き締め動作を可能にすることができる。
【0065】
<キャップ巻締機構30の動作の制御>
<<巻締回転開始タイミング>>
従来技術である標準的なベルト式キャッパー装置は、常に巻締ベルト(環状体310に相当)が回転しており、巻締ベルトがキャップに触れると同時に巻き締めを行うが、本キャッパー装置10では、いったん位置決め動作を行う必要があるために、各締結回転体31の回転が停止した状態で、キャップBを両側から挟み込み位置決めし、その後で巻き締めを開始する。
【0066】
従って、本キャッパー装置10では、キャップBの位置決め後、タイマーにて所定時間の経過後に各締結回転体31が回転するように設定するが、その他の設定として、各締結回転体31を自動運転起動によって常に回転する制御も選択できるように構成しても良い。かかる常時回転の制御は、例えば生産能力を上げたい場合に選択すると良い。ただし、キャップBの巻き締めの確実性を重視する場合は、前述したタイマーによる回転開始を選択することにより、キャップBの嵌合不良(所謂かじり)の発生率を軽減することができる。
【0067】
<<巻き締め回転停止タイミング>>
各締結回転体31によるキャップBの巻き締め回転を停止させるタイミングとしては、次の2通りのパターンが考えられる。
a)トルクアップしてから回転を停止
本キャッパー装置10を、本締めキャッパーの代替として使用する場合は、電動モーター34のトルクアップ信号により巻き締め回転を停止する。キャップBを挟んだ瞬間やキャップBを水平に締結回転体31で挟むことができなかった場合に、トルクアップ信号が出力されてしまうことがあるため、無視する時間(トルク無視時間)を設定することができるように構成されている。
【0068】
b)巻き締め終了後にタイマーで停止
生産能力を優先し、仮に後工程に本締め用のキャッパー装置を装備する場合には、前述したトルクアップとは無関係に、タイマーにて所定時間の経過後に回転を停止する設定に選択できるようにする。このようなタイマーによる停止制御の方が生産能力ならびに巻き締めトルクの安定性が向上する。
【0069】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0070】
先ず、本発明は、ボトル等の容器Aの口部A1にキャップBを供給して巻き締めるキャッパー装置10において、
所定位置に順次搬送されて保持される容器Aの口部A1に対して、真上よりキャップBを供給して載せるキャップ供給機構20と、
前記容器Aの口部A1上のキャップBを両側から挟み込み位置決めした後、該キャップBに両側から逆方向の回転力を伝達して容器Aの口部A1に巻き締めるキャップ巻締機構30と、を備えたことを特徴とする。
【0071】
このような構成によれば、キャップ供給機構20では、単に吸着したキャップBを容器の真上から載せる動作だけで足り、容器Aに対してキャップBを回転させる動作は一切不要であり、かかる回転動作に応じた細かな精度出しは行わなくて済む。従って、容器の種類が変更されても、部品交換を行うことなく対応することができる。
【0072】
次いで、キャップ締付機構30では、容器Aの口部A1に真上から供給されたキャップBを容易に位置決めすることができ、その後に続くキャップBの巻き締めのトルクを高めてもキャップBが位置ずれする虞がなく、高いトルクでキャップBを強固に巻き締めることができる。従って、別工程で本締めを行う本締め機構を付加する必要はなく、装置全体のコストを大幅に低減することができる。
【0073】
また、本発明では、前記キャップ供給機構20は、
水平方向に180度ずつ正逆回転する反転支持バー22と、
前記反転支持バー22の一端側と他端側に、それぞれ上下方向に昇降可能に支持され、キャップBを吸着して保持可能な一対の吸着ヘッド23,23と、を有し、
前記反転支持バー22は、一端側の前記吸着ヘッド23が、順次搬送された定位置のキャップBの天面に触れるように下降し吸着してから上昇すると共に、他端側の前記吸着ヘッド23が、順次搬送された所定位置の容器Aの口部A1上に吸着保持中のキャップBを載せるように下降し吸着解放してから上昇する動作に合わせて、正逆回転することを特徴とする。
【0074】
このような構成によれば、キャップ供給機構20では、いわば一往復(一回転)ごとのキャップBの供給ではなく、片道(半回転)ごとにキャップBを連続して供給することが可能となり、キャップBの供給に関する処理能力を格段に向上させることができる。
【0075】
また、本発明では、前記キャップ巻締機構30は、
所定位置に保持された前記容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持され、キャップBに近接した際に圧接可能な一対の締付回転体31,31を有し、
前記各締付回転体31は、先ずキャップBに圧接して容器Aの口部A1に対してずれない状態に位置決めした後、次いで互いに逆方向に回転することにより、キャップBを回転させて容器Aの口部A1に本締め相当のトルク値で締め付け可能としたことを特徴とする。
【0076】
このような構成によれば、簡易な構成のキャップ供給機構20により、容器Aの口部A1上のキャップBを容易に位置決めすることができると共に、その後に続くキャップBの巻き締めを確実に行うことができる。
【0077】
さらに、本発明では、前記各締付回転体31の駆動系を含む構成部品とその可動領域を、前記キャップ供給機構20における前記反転支持バー22および前記各吸着ヘッド23の動作軌跡に干渉しない位置に配置したことを特徴とする。
【0078】
このような構成は、キャップ巻締機構30における一対の締付回転体31,31を、容器搬送コンベヤ1の左右両側に分離したことにより実現され、容器Aが保持される所定位置の真上には、キャップ供給機構20の構成部品以外は存在しない。従って、前述したキャップ供給機構20の効率的な動作が可能となる。
【0079】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の主要部をなすキャップ供給機構20およびキャップ巻締機構30における各部品の具体的な形状ないし配置は、図示した構成に限定されることはない。
【0080】
また、本キャッパー装置10を、本体フレーム11ごと全体的に囲むケーシングを備えても良い。ケーシングは、例えば、金属製フレーム材で組んだ枠組みの各面を透明な樹脂製のパネルで覆って構成される。これにより本キャッパー装置10を、衛生的な閉鎖空間で運転することができる。なお、パネルの適所には、各搬送コンベヤ1,2等を適宜通すための開口部を設けることになる。
【0081】
さらに、本出願人が特開2022-123639号によって既に提案しているように、一対の締付回転体31,31(移動台32A,32B)を、それぞれが相対向する位置において回転方向に向けて水平面よりも斜め下方に傾斜するように配置しても良い。これにより、容器Aの口部A1にキャップBを単に乗せた状態であっても、確実にキャップBを容器Aの口部A1に締め付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係るキャッパー装置は、様々な容器におけるキャップの巻き締めに広く適用することができ、例えば、無菌室での比較的高価な中身の充填作業を伴う分野において特に有効利用され得るものである。
【符号の説明】
【0083】
A…容器
A1…口部
B…キャップ
1…容器搬送コンベヤ
2…キャップ搬送コンベヤ
10…キャッパー装置
11…本体フレーム
15…ステージ台
20…キャップ供給機構
21…電動モーター
22…反転支持バー
23…吸着ヘッド
30…キャップ巻締機構
31…締結回転体
32…移動台
33…調整板
40…ガイド
50…クランプ
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記キャップ巻締機構は、
所定位置に保持された容器の口部上のキャップに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持され、キャップに近接した際に圧接可能な一対の締付回転体を有し、
前記各締付回転体は、先ずキャップに圧接して容器の口部に対してずれない状態に位置決めした後、次いで互いに回転することにより、キャップを回転させて容器の口部に本締め相当のトルク値で締め付け可能としたことを特徴とする請求項2に記載のキャッパー装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明の別の好ましい態様として、前記キャップ巻締機構は、所定位置に保持された前記容器の口部上のキャップに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持され、キャップに近接した際に圧接可能な一対の締付回転体を有し、前記各締付回転体は、先ずキャップに圧接して前記容器の口部に対してずれない状態に位置決めした後、次いで互いに回転することにより、キャップを回転させて容器の口部に本締め相当のトルク値で締め付け可能としたことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
各締付回転体31によるキャップBの圧接による位置決めは、本実施形態では、例えば容器Aが左右一対のクランプ50,50によって保持された直後に、前述した圧縮空気を作動させて各締付回転体31の間隔を狭めるように移動させて行われる。その後、各締付回転体31の環状体310は、互いに同一の方向に回転駆動されることにより、容器Aの口部A1にキャップBは巻き締められるように構成されている、ここでのキャップBの巻き締めは、仮締めではなく本締め相当のトルク値で行われるように設定されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
次いで、容器Aの口部A1上にキャップBが載せられると、直ぐにキャップ巻締機構30が作動する。すなわち、左右一対の締付回転体31,31の間隔が狭まるように、キャップBの両側から接近してキャップBに圧接し、キャップBが容器Aの口部A1からずれない状態に位置決めする。その後、各締付回転体31は、互いに環状体310が同一の方向に回転する。これにより、キャップBは、容器Aの口部A1に本締め相当のトルク値で確実に締め付けられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
また、本発明では、前記キャップ巻締機構30は、
所定位置に保持された前記容器Aの口部A1上のキャップBに対して、その両側から近接ないし離間可能に支持され、キャップBに近接した際に圧接可能な一対の締付回転体31,31を有し、
前記各締付回転体31は、先ずキャップBに圧接して容器Aの口部A1に対してずれない状態に位置決めした後、次いで互いに回転することにより、キャップBを回転させて容器Aの口部A1に本締め相当のトルク値で締め付け可能としたことを特徴とする。