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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097551
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】積層体及び化粧材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240711BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001076
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】柏女 恵
(72)【発明者】
【氏名】栃木 華恵
(72)【発明者】
【氏名】長島 麻美
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK01D
4F100AK04A
4F100AK07D
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK51E
4F100AR00B
4F100AT00A
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CA02E
4F100CA07D
4F100CB00C
4F100EH171
4F100EH17D
4F100EH462
4F100EH46E
4F100HB01B
4F100HB31B
4F100JL01
4F100JN01D
4F100YY00
(57)【要約】
【課題】本開示は、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた積層体及び化粧材を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態の化粧シート10は、少なくとも、原反層7と、絵柄印刷層6と、接着剤層5と、透明樹脂層1と、をこの順に備える積層体であって、絵柄印刷層6および接着剤層5で構成される中間層50は、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定したエロージョン率E1の平均値Eaが1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、原反と、絵柄印刷層と、接着剤層と、透明樹脂層と、をこの順に備える積層体であって、
前記絵柄印刷層および前記接着剤層で構成される中間層は、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定したエロージョン率Eの平均値Eaが1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内である
ことを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記透明樹脂層は、単層であり、
前記球状アルミナ粒子を用いて測定した前記透明樹脂層のエロージョン率Eと前記平均値Eaとの差分が、4.0μm/g以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記透明樹脂層は、複層から構成され、第一透明樹脂層と、前記第一透明樹脂層と前記接着剤層との間に位置する第二透明樹脂層とを有し、
前記球状アルミナ粒子を用いて測定した前記第二透明樹脂層のエロージョン率Eと前記平均値Eaとの差分が、4.0μm/g以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記接着剤層がウレタン系樹脂を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記絵柄印刷層がウレタン系樹脂を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記透明樹脂層上に最表層となる表面保護層が積層されている
ことを特徴とする請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
化粧材用基材と、
前記化粧材用基材に貼り合わされた請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層体と、
を備えることを特徴とする化粧材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体及び当該積層体を用いた化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
床、天井、壁、玄関ドア等の建築物の内装材又は外装材、扉、窓枠、手摺り、廻り縁、巾木、モール等の建具又は造作部材として、一般的に、鋼板等の金属部材、樹脂部材、木質部材等で構成された被着材に化粧シートを貼りあわせて用いられる。化粧シートは、複数の層を有する積層体として形成されている。また化粧シート(積層体)は、上述のような建築物の内装材、外装材、建具、造作部材の他、キッチン、家具又は家電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、さらに車両の内装材又は外装材等にも幅広く用いられる。
【0003】
複数の層(例えば、基材層、絵柄印刷層、透明樹脂層など)を貼り合せて上記積層体としての化粧シートを製造する場合、絵柄印刷層の上に接着剤層を設けることがある。例えば、基材層上に絵柄印刷層および接着剤層を設け、さらに透明樹脂層を設けた積層体では、基材層や透明樹脂層との間に良好な密着性をもつポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を絵柄印刷層および接着剤層に用いることが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4737722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、化粧シートは積層体である場合が多い。しかしながら、従来の化粧シートでは層間密着性が十分でなく、特に建物外装や浴室等の用途では化粧シート内部に水分が浸入し、層間剥離を起こすといった問題が生じることがある。
また層間剥離を抑制するために、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂に代えて、加水分解を起こす官能基のないアクリル樹脂を用いることができるが、アクリル樹脂を用いると、絵柄印刷層および接着剤層が硬く脆い層となり得る。この場合、化粧シートを建材の形態に加工する際の後加工性が低減し、当該加工時にワレ(割れ)が生じて白化や化粧シート内部への水分の浸入などが起きるという問題が生じ得る。
つまり、従来の化粧シートは、良好な層間密着および後加工性を両立することができないという問題があった。したがって、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れる化粧シートの開発が望まれている。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた積層体及び化粧材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様による積層体は、少なくとも、原反と、絵柄印刷層と、接着剤層と、透明樹脂層と、をこの順に備える積層体であって、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定した前記絵柄印刷層のエロ―ジョン率Eと前記球状アルミナ粒子を用いて測定した前記接着剤層のエロージョン率E2との平均値Erが1.5μm/g以上5.0μm/g以下の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の一態様による化粧材は、化粧材用基材と、前記化粧材用基材に貼り合わされた前記積層体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた積層体及び化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る化粧シートの概略構成を表す断面図である。
図2】本開示の一実施形態の第1変形例に係る化粧シートの概略構成を表す断面図である。
図3】本開示の一実施形態の第2変形例に係る化粧材の概略構成を表す断面図である。
図4】本開示の一実施形態の第2変形例に係る化粧材の他の構成例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る化粧シート及び化粧部材について、図面を参照しつつ説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。本開示の範囲内にあるものであれば、必ずしも図面に示す順に積層してある必要はない。またこの図面に記載されていない層が付加されていても良い。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
【0012】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、化粧シート(積層体)において、絵柄印刷層および接着剤層で構成される中間層のエロ―ジョン率の平均値が特定の範囲内であることにより、積層体に対して十分な層間密着性および後加工性を付与できることを見出した。これにより、本発明者らは、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧シート(積層体)およびその化粧シートを備えた化粧材を発明するに至った。
以下、図面を参照して本開示の第1実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。
【0013】
(エロージョン率Eの測定)
まず、本実施形態において規定する「エロージョン率E」について説明する。
本実施形態におけるエロージョン率Eは、例えば、材料表面精密試験機(マイクロ・スラリージェット・エロージョン試験機、以下MSE試験機、株式会社パルメソ製/装置名ナノ・エム・エス・イー/型式N-MSE-A)を用いて測定される値である。また、エロージョン率Eの具体的な測定方法は、次の通りである。
平均粒子径D50=3.0μmの球状アルミナ粉末(球形アルミナ粒子)を水に分散させて、スラリーの総質量に対して球状アルミナ粉末を3質量%含むスラリーを調製する。化粧シートを台に固定し、その化粧シートと、上記スラリーを噴射するためのノズルとの投射距離を4mmに設定する。ノズルのノズル径は1mm×1mmとする。ノズルから球状アルミナ粉末を含んだスラリーを噴射し、台に固定された化粧シートを表面保護層から順次切削する。この時の噴射強度は、事前に同様の実験条件にて既存の硬さ基準片、SiウエハまたはPMMA基板を切削し、スラリーの噴射量に対する削れた変位(即ち、スラリー1gを吹き付けた際に切削される深さ)から標準投射力Xを求め、その値に基づいて決定される。
【0014】
球形アルミナ粉末を用いた本実施形態では、既存の硬さ基準片HRC-45に対して1.000μm/g削れたときの投射力を標準投射力Xとした。
本実施形態において、球状アルミナ粉末の場合は、X=1/1投射力(既存の硬さ基準片HRC-45に対して1.0μm/g削れたときの投射力)とした。
切削された部分を水で洗浄した後に、切削の深さ、即ちエロージョン深さZを測定する。エロージョン深さZは、例えば、触針式表面形状測定器(株式会社小坂研究所製/型式PU-EU1/触針子先端R=2μm/荷重200μN/計測倍率10,000/測長5mm/計測速度0.2mm/sec)を用いて測定する。本実施形態では、上述の投射力より算出した投射粒子量X’[g]とエロージョン深さZ[μm]とを用いて、エロージョン率E[μm/g]を算出した。
なお、エロージョン率Eは、エロージョン率Eの測定を実施する際、深さ方向に存在する下層のエロージョン率Eの大小に影響を受けないことがわかっている。よって、エロージョン率Eを測定する際には、最表面に位置する第1の表面保護層から順にMSE試験を実施してもよい。
【0015】
また、本実施形態におけるエロージョン率Eは、絵柄印刷層および接着剤層、透明樹脂層の各層について測定するものである。したがって、その測定方法において、上述のように表面保護層から順次切削してもよいし、各層の形成時において順次切削してもよい。
以下、エロ―ジョン率Eについて、絵柄印刷層および接着剤層の2層を測定して得た値をエロ―ジョン率E、透明樹脂層を測定して得た値をエロ―ジョン率Eとする。
【0016】
(化粧シートの構成)
以下に、本実施形態の化粧シート(積層体の一例)の各構成について説明する。なお、本実施形態では、透明樹脂層が単層の場合を想定して説明する。
【0017】
図1に示す化粧シート10は、複数の層を備える積層体であって、図面上部側から順に、表面保護層4、透明樹脂層1、接着剤層5(感熱接着剤層、アンカーコート層、ドライラミ接着剤層)、絵柄印刷層6、隠蔽層3、原反層7、易接着層8を備えている。原反層7は、化粧シート10の基材となる層であって、基材シートまたは基材層とも称する。
本実施形態に係る化粧シート10は、透明樹脂層1の一方の面側に、少なくとも接着剤層5、絵柄印刷層6、原反層7を設けた構成の化粧シートであればよい。すなわち、化粧シート10は積層体であって、少なくとも原反層7と、絵柄印刷層6と、接着剤層5と、透明樹脂層1と、をこの順に備える化粧シートであればよい。また、本実施形態に係る化粧シート10において、絵柄印刷層6および接着剤層5で構成される積層体を中間層50とする。
【0018】
また、意匠性を向上させるために透明樹脂層1の表面保護層4側の面にエンボス模様を適宜設けてもよい。
また、化粧シート10の総厚は、60μm以上250μm以下の範囲内とすることが好適である。総厚が60μmより薄い場合、化粧シートの性能として求められる隠蔽性(化粧材用基材の下地を隠す性能)や、耐傷性の低減が懸念される。また、総厚が250μmより厚い場合、コストが高くなることや、化粧シートと化粧材用基材とを貼り合わせる際に加工性が低減することが懸念される。
また、本実施形態の化粧シートは、塩化ビニル樹脂を含有していないものが好ましい。非塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートとすることにより、焼却時における有毒ガス等の発生の心配が低減される。
以下、本実施形態の化粧シートを構成する各層の詳細について説明する。
【0019】
(原反層)
原反層(原反)7は、化粧シートに意匠性、耐傷性及び耐後加工性を付与する場合には、例えば、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙などの紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成樹脂、あるいはこれら合成樹脂の発泡体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンなどのゴム、有機もしくは無機系の不織布、合成紙、アルミニウム、鉄、金、銀などの金属箔などから適宜選択して用いてもよい。また、原反層7は、透明樹脂層1と同一の樹脂組成物からなるシートであってもかまわない。上記のなかでもポリプロピレンやポリエチレンといったポリオレフィン系の材料を用いることが望ましい。
【0020】
原反層7に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
【0021】
原反層7として、ポリオレフィン系材料のような表面が不活性な基材を用いる場合には、原反層7の表裏に、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等を行うことが望ましい。さらには、原反層7と絵柄印刷層6との間に密着を確保させるためにプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
【0022】
化粧シートに隠蔽性を付与したい場合には、原反層7に隠蔽性の着色シートを使用してもよいし、図1に示すように、原反層7の上層であって絵柄印刷層6の下層に隠蔽層3を設けてもよい。隠蔽層3については、後述する。原反層7として着色シートを使用する場合は、原反層7を構成する樹脂材料に着色剤を添加して着色することができる。着色剤としては、例えば、無機顔料(酸化チタンやカーボンブラック等)や有機顔料(フタロシアニンブルー等)の他、染料も使用することができる。本実施形態の着色剤は、公知または市販の着色剤から1種類または2種類以上を選択して用いることができ、所望の隠蔽性と意匠性とが得られるように添加量も調整可能である。
【0023】
原反層7には、必要に応じて、例えば、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、着色剤、つや消し剤など各種添加剤を加えてもよい。
また原反層7の厚みは、印刷作業性、コストなどを考慮して20μm以上150μm以下の範囲内が好適である。
【0024】
(絵柄印刷層)
絵柄印刷層6を設ける方法としては、原反層7または透明樹脂層1に、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インキジェット印刷などを行う方法がある。
絵柄印刷層6の形成にインキを使用する場合は、当該インキに含まれるバインダーは、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定すればよい。これらは水性、溶剤系、エマルションタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。
さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。中でも好ましい方法は、ウレタン系のインキを用いてイソシアネートで硬化させる方法である。つまり、本実施形態に係る化粧シート10において絵柄印刷層6は、バインダーとしてウレタン系樹脂を含むことが好ましい。
【0025】
絵柄印刷層6に用いるウレタン系樹脂は、特に限定されず、例えば1液硬化タイプ、2液硬化タイプのいずれも用いることができる。例えば1液硬化タイプのウレタン系樹脂として、1液型エステル系ポリウレタン樹脂を好適に用いることができる。また、2液硬化タイプのウレタン系樹脂としては、例えば、主剤としてOH基を有するポリオール成分と、硬化剤成分としてイソシアネート成分とを含むものを採用できる。OH基を有するポリオール成分としては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。また、イソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネートが挙げられる。本実施形態において、絵柄印刷層6には主剤としてポリエステルポリオールを用いたポリエステルウレタン樹脂を好適に用いることができる。
【0026】
絵柄印刷層6において、上記バインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されていてもよい。特によく用いられる顔料には、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。また、インキの塗布とは別に、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すことも可能である。
絵柄印刷層6の厚みは、1μm以上10μm以下の範囲内が好適であり、1μm以上2μm以下の範囲内がより好適である。絵柄印刷層6の膜厚を十分に厚くすることで化粧シート10における層間密着性(例えば、原反層7、隠蔽層3、接着剤層5との密着性)を良好とすることができる。一方で絵柄印刷層6の厚みが厚くなり過ぎると、後加工性(例えば、曲げ加工性)が低減する場合がある。
したがって、上述のように絵柄印刷層6の厚みを1μm以上10μm以下の範囲内とすることで、層間の密着性および後加工性を良好とすることができる。
【0027】
(隠蔽層)
隠蔽層3は、絵柄印刷層6と同様の印刷方法によって、原反層7上、または透明樹脂層1に形成された絵柄印刷層6上に設けることができる。隠蔽層3は必要に応じて形成すればよく、例えば原反層7に隠蔽性の着色シートを用いる場合には省略することができる。隠蔽層3を施す場合は、例えば、コンマコーター、ナイフコーター、リップコーター、金属蒸着あるいはスパッタ法等を用いてもよい。なお、隠蔽層3は、一般的には、原反層7の上層であって絵柄印刷層6の下層に設けられる。
隠蔽層3に使用される材料も基本的には絵柄印刷層6と同じ材料でよい。隠蔽層3は、その目的として隠蔽性を持たせる必要があるために、顔料として、例えば、不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また、隠蔽性を向上させるために、例えば、金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加させることが多い。塗布厚み、即ち隠蔽層3の厚みは、2μmに満たない場合には隠蔽性を付与しにくく、10μmを超える場合には樹脂層の凝集力が弱くなる傾向がある。このため、隠蔽層3の厚みは、2μm以上10μm以下の範囲内が好適である。
【0028】
(接着剤層)
接着剤層5には、任意の材料選定が可能であり、接着剤層5を用いた接着方法としては、例えば、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等がある。接着剤層5に含まれる接着剤は、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、フタル酸(アルキド酸)系等の材料から選定できる。接着剤層5に含まれる接着剤は、通常はその凝集力の高さから2液硬化タイプのものが望ましく、特に作業性、価格、凝集力の高さからイソシアネートを用いたポリオールとの反応で得られるウレタン系の材料を用いることが望ましい。つまり、接着剤層5は、ウレタン樹脂を含むことが好ましい。
接着剤層5に用いるウレタン系樹脂は、特に限定されず、例えば1液硬化タイプ、2液硬化タイプのいずれも用いることができる。例えば1液硬化タイプのウレタン系樹脂として、1液型エステル系ポリウレタン樹脂を好適に用いることができる。また、2液硬化タイプのウレタン系樹脂としては、例えば、主剤としてOH基を有するポリオール成分と、硬化剤成分としてイソシアネート成分とを含むものを採用できる。OH基を有するポリオール成分としては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。また、イソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネートが挙げられる。本実施形態において、接着剤層5には主剤としてポリエステルポリオールを用いたポリエステルウレタン樹脂を好適に用いることができる。
【0029】
接着剤層5の厚みは、1μm以上10μm以下範囲内が好適であり、1μm以上5μm以下の範囲内がより好適である。接着剤層5の膜厚を十分に厚くすることで化粧シート10における層間密着性(例えば、原反層7、隠蔽層3、透明樹脂層1との密着性)を良好とすることができる。一方で接着剤層5の厚みが厚くなり過ぎると、後加工性(例えば、曲げ加工性)が低減する場合がある。
したがって、上述のように接着剤層5の厚みを1μm以上10μm以下の範囲内とすることで、層間の密着性および後加工性を良好とすることができる。
また後加工性を良好とする観点から、中間層50の総厚(絵柄印刷層6と接着剤層5との厚みの合計)は、20μm未満が好ましい。
【0030】
(中間層のエロージョン率)
本実施形態に係る化粧シート10は、絵柄印刷層6および接着剤層5で構成される中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが特定の範囲内であることによって、十分な層間密着性および後加工性を付与される。これにより、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧シート(積層体)を提供することが可能となる。以下、本実施形態における中間層のエロージョン率Eおよびエロージョン率Eの平均値Eaについて詳しく説明する。
【0031】
〔平均値Eaの算出〕
ここで、エロージョン率Eの平均値Eaの算出方法の一例を説明する。
例えば、エロージョン率Eの平均値Eaは、エロージョン率E[μm/g]の測定を「n回」繰り返し、得られたn回分のエロ―ジョン率Eの合計を、繰り返し回数(n)で除算して得られる(平均値Ea=n回分のエロ―ジョン率Eの合計/n)。
【0032】
具体的には、中間層50に係るエロージョン率Eであるエロージョン率Eを測定する。エロージョン率Eの測定方法は上記のとおりである。エロージョン率Eの測定時には、上記形状測定器によるエロージョン深さZの測定(形状測定)を設定回数(N回)分繰り返して実施し、N回分の形状計測データを取得した上でエロージョン率E[μm/g]を算出する。絵柄印刷層6および接着剤層5はいずれも薄膜であるため、個別にエロージョン率Eを測定することが難しい場合がある。そこで、本実施形態では、絵柄印刷層6および接着剤層5で構成される積層体である中間層50についてエロージョン率Eを測定している。
【0033】
本実施形態では、平均値Eaを取得するために、中間層のエロージョン率Eを複数回測定する。具体的には、上記N回の形状測定を含む一連のエロージョン率Eの測定処理をn回(n=2以上の整数)実行する。エロージョン率Eの測定回数(n)は2以上であればよいが、通常は2~4が想定される。つまり、中間層50のエロージョン率Eは、2回から4回繰り返して実施される。なお、測定されたエロージョン率Eの値が異常値(例えば、他の測定値と顕著に異なる値)である場合には、平均値Eaの計測には使用しないことが好ましい。つまり、異常値を除くエロージョン率Eの測定値が2回分以上取得できればよい。
【0034】
n回分のエロージョン率Eを取得した後、上述のように得られたn回分のエロージョン率Eの合計を、繰り返し回数(n)で除算することで、平均値Eaが算出することができる。なお、上述の算出方法は一例であって、平均値Eaの算出方法は当該算出方法に限定するものではない。
【0035】
本実施形態において、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定した中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaは、1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内であればよい(1.5μm/g<Ea≦5.0μm/g)。また、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaは、1.5μm/gを超過し4.5μm/g以下である(1.5μm/g<Ea≦4.5)ことがより好ましく、1.5μm/gを超過し4.0μm/g以下である(1.5μm/g<Ea≦4.0)ことがさらに好ましい。
【0036】
エロージョン率Eの平均値Eaが1.5μm/g以下の場合、中間層50が軟らかくなり、化粧材に加工する際に絵柄印刷層6でインキ流れが発生して絵柄が不明瞭になってしまう。また、エロージョン率Eの平均値Eaが5.0μm/gを超えると、中間層50(絵柄印刷層6、接着剤層5)が硬く脆くなり、化粧材に加工する際に割れ等の不良が発生し、さらに不良部分から化粧シート内部への水分の浸入が起こり得る。化粧シート10において、中間層50(絵柄印刷層6、接着剤層5)のエロージョン率Eの平均値Eaが上記範囲内であることにより、中間層50の硬化、脆化を抑制して加工時における不良(割れ等)を抑制し、当該不良箇所から化粧シート内部への水分の浸入を抑制することができる。
つまり、化粧シート10は、層間密着性に優れ、且つ化粧材に加工する際の後加工性(例えば、曲げ加工性)を良好とすることができる。したがって、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0037】
エロージョン率Eは、例えば絵柄印刷層6および接着剤層5で構成される中間層50の材料選択や、形成条件(硬化方法)によって、制御することができる。例えば、紫外線や電子線等で樹脂材料(例えばウレタン系樹脂)硬化させることによってエロージョン率Eを上昇させることができる。また、2液硬化型樹脂を用いた場合には、硬化剤の添加量を増加してエロージョン率Eを上昇させ、硬化剤の添加量を減らして硬化阻害することによってエロージョン率Eを下降させることができる。また、中間層50(絵柄印刷層6および接着剤層5)において主剤としてアクリル系樹脂を用いることで、エロージョン率を上昇させてもよい。また、化粧シート(積層体)の最終形態となるまでの温度履歴によって中間層50の硬化度合いを制御してもよい。
(透明樹脂層)
透明樹脂層1は、接着剤層5の上に形成されている。中間層50に接する透明樹脂層1のエロージョン率Eと、上述した中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaとの差(差分)が、特定の範囲内であることによって、層間密着性がより良好な化粧シートを提供することが可能となる。以下、本実施形態における透明樹脂層1について、詳しく説明する。
【0038】
平均粒径(D50)が3.0μmである球状アルミナ粉末を用いて測定した透明樹脂層1のエロージョン率Eは、隣接する中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分(ΔEr)が4.0μm/g以下(ΔEr≦4.0μm/g)であることが好ましい。つまり本実施形態に係る化粧シート10において、透明樹脂層1の上記エロージョン率Eと、中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分は、4.0μm/g以下であることが好ましい。透明樹脂層1と隣接する中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaとの差分が大きい場合、差分が大きな箇所に応力が集中し易く、層間密着性の低減が起こり得る。つまり、上記エロージョン率Eとエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分が小さいほど、中間層50と透明樹脂層1との層間密着性が向上する。本実施得形態に係る化粧シート10は、透明樹脂層1の上記エロージョン率Eと、中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分を4.0以下とすることにより、層間密着性がより優れた化粧シートを得ることができる。
【0039】
また本実施形態において、透明樹脂層1のエロージョン率Eは、中間層50におけるエロージョン率Eの上記平均値Eaとの大小関係は限定されない。つまり差分の上限値(4.0μm/g)は絶対値であり、エロージョン率Eの値が上記平均値Ea以上でもよいし(E≧Ea)、エロージョン率Eの値が上記平均値Ea以下でもよい(E≦Ea)。例えば透明樹脂層1のエロージョン率Eが上記平均値Eaより4.0μm/g大きい(E=Ea+4.0μm/g)場合も、上記平均値Eaより4.0μm/g小さい(E=Ea-4.0μm/g)も含まれる。
【0040】
エロージョン率Eは、例えば透明樹脂層1の材料選択や、形成時におけるプロセス条件によって、制御することができる。プロセス条件による結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化度の制御は、既知の方法で行うことができる。プロセス条件としては、例えば、透明樹脂層1が結晶性ポリプロピレン樹脂で形成される場合、透明樹脂層1の成膜時の加熱制御により、結晶化度を高めることで、エロージョン率Eを上昇させ、結晶化度を下げることでエロージョン率Eを下降させることができる。
【0041】
透明樹脂層1は上述のように接着剤層5上に形成されている。透明樹脂層1は、製膜によって成形されたシートであってもよいし、既に成形したシートを積層したものであってもよい。透明樹脂層1は、ポリオレフィン樹脂を用いて形成することが好ましい。具体的には、透明樹脂層1としてポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。透明樹脂層1は、例えば、高結晶性ポリプロピレン樹脂で形成されている。
また、透明樹脂層1の片面または両面は、必要に応じて、例えばコロナ処理、プラズマ処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等で活性化してもよい。
【0042】
透明樹脂層1を製膜によるシートで成形する場合には、例えば、押出機を用いる方法を用いるのが一般的である。透明樹脂層1を積層して成形する場合は、特に規制はなく、例えば、熱圧を応用した方法、押出ラミネート法及びドライラミネート法等を用いるのが一般的である。また、エンボス模様1aを施す場合には、一旦各種方法でラミネートしたシートに、例えば、後から熱圧によりエンボスを入れる方法や、冷却ロールに凹凸模様を設け、その冷却ロールを用いて押出ラミネートと同時にエンボスを施す方法がある。より詳しくは、エンボス模様1aは、透明樹脂層1である、例えば高結晶性ポリプロピレンシートに直接付与され、その方法は製膜された当該シートに熱及び圧力により凹凸模様を有するエンボス版を用いてエンボス模様を付与する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いて冷却と同時にエンボスを設ける方法などがある。ここではエンボス部としてのエンボス模様1aにインキを埋め込み、さらに意匠性を向上させることも可能である。なお、エンボス模様1aは必要であれば設ければよく、不要な場合は設けなくてもよい。
【0043】
透明樹脂層1の厚みは、40μm以上170μm以下の範囲内であることが好ましい。透明樹脂層1の厚みが40μmに満たない場合には、耐候性や耐傷性が低下することがある。また透明樹脂層1の厚みが170μmを超える場合には、製造コストが高くなり、また可撓性が低下することがある。透明樹脂層1には、必要に応じて、例えば、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、そして、本実施形態の特徴を損なわない範囲で、例えば、着色剤、光散乱剤及び艶調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。
【0044】
熱安定剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等を、また難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を、また紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等を、また光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系等を、それぞれ任意の組み合わせで添加するのが一般的である。特に、本用途に用いる場合は耐候性を考慮する必要があり、その場合には透明樹脂層1に紫外線吸収剤と光安定剤と添加してもよく、添加量はそれぞれ透明樹脂層1を100質量%として、0.1質量%以上2.0質量%以下の範囲内が適量である。また、透明樹脂層1は、超臨界逆相蒸発法によってベシクル化処理された結晶核剤(ナノサイズの造核剤)を含んでもよい。
【0045】
また、透明樹脂層1を形成する結晶性ポリプロピレン樹脂は、ペンタッド分率の異なるアイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ロックポリプロピレン及びこれらの混合物から適宜選択して設計することができる。より好ましくは、結晶性ポリプロピレン樹脂が、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)95%以上、より好ましくは96%以上のプロピレンの単独重合体、すなわちホモポリマーである高結晶性ホモポリプロピレン樹脂とされることが重要である。なお、透明樹脂層1を構成する結晶性ポリプロピレン以外の樹脂は、結晶性ポリプロピレンの物性に著しく悪影響を与えないならば、その配合の目的によって適宜選定が可能である。但し、V溝曲げ加工適性を維持するためには透明樹脂層1を構成する結晶性ポリプロピレン樹脂との相溶性がよいものが好ましい。
なお、透明樹脂層1の材料はこれに限られず、柔軟性の高い、エチレンコンテンツを含有するランダムポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン樹脂を用いることができる。
【0046】
以下、簡単に透明樹脂層1に関する上記説明において用いた用語の説明をする。
造核剤とは、樹脂の結晶化時において、結晶核の生成を促進させる、もしくは、造核剤自体を結晶核とするために添加されるものである。造核剤には、添加時に基材の樹脂に溶融し再度析出して結晶核を生成する溶融型もしくは基材に添加した核剤が溶融することなくそのままの粒径で結晶核となる非溶融型の造核剤がある。ポリプロピレン樹脂の造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー及びタルク等が挙げられる。特に、本実施形態においては、ナノ化処理との効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしてもよい。
【0047】
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、質量数13の炭素C(核種)を用いた13C-NMR測定法(核磁気共鳴測定法)により、透明樹脂層1を構成する樹脂材料を所定の共鳴周波数にて共鳴させて得られる数値(電磁波吸収率)から算出されるものであり、樹脂材料中の原子配置、電子構造、分子の微細構造を規定するものである。ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックペンタッド分率とは、13C-NMRにより求めたプロピレン単位が5個並んだ割合のことであって、結晶化度あるいは立体規則性の尺度として用いられる。そして、このようなアイソタクチックペンタッド分率は、主に表面の耐傷性を決定付ける重要な要因の一つであり、基本的にはアイソタクチックペンタッド分率が高いほどシートの結晶化度が高くなるため、耐傷性が向上する。
【0048】
(表面保護層)
図1に示すように、表面保護層4は透明樹脂層1の上に形成されている。つまり化粧シート10は、透明樹脂層1上に最表層となる表面保護層4が積層されている。
表面保護層4は、化粧シート10に、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられる層である。
表面保護層4は、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤及び艶調整剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0049】
表面保護層4を構成する材料としては、硬化性樹脂組成物が挙げられる。本実施形態において表面保護層4は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含んでいる。
より具体的には、表面保護層4を構成する硬化性樹脂組成物は、熱で硬化する樹脂、即ち熱硬化性樹脂、または紫外線や電子線照射で硬化する樹脂、即ち電離放射線硬化性樹脂のうち、少なくとも一方を含んで形成されることが好ましい。つまり、表面保護層4は、硬化性樹脂組成物として熱硬化型樹脂のみを含んで形成されていてもよいし、電離放射線硬化型樹脂のみを含んで形成されてもよい。また、表面保護層41は、熱硬化型樹脂および電離放射線硬化型樹脂の両方、すなわち熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂との混合組成物を含んで形成されてもよい。
【0050】
表面保護層4に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系等から適宜選択できる。形態も水性、エマルション、溶剤系のいずれでも可能で、且つ硬化も1液タイプでも硬化剤を用いた2液タイプでもよい。それらの中でもイソシアネート反応を利用したウレタン系のトップコートが作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。
具体的には、表面保護層4に用いる熱硬化性樹脂として、アクリルポリオールを主剤としてイソシアネート硬化剤を組み合わせたアクリルウレタン樹脂を用いることが好ましい。つまり、表面保護層4を構成する熱硬化性樹脂は、アクリルポリオール(アクリルポリオール化合物)とイソシアネート硬化剤とで構成されることが好ましい。
【0051】
イソシアネートには、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの誘導体であるアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体や各種プレポリマーなどの硬化剤から適宜選択して用いることができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)もしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)をベースとする硬化剤を使用することが好ましい。
【0052】
表面保護層4に用いる電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、アクリルアクリレート系などから適宜選択して用いることができるが、特に、耐候(光)性が良好なウレタンアクリレート系及びアクリルアクリレート系のものを用いることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂の硬化方法としては、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化することが作業性の観点から好ましい。電子線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては180nm以上400nm以下の範囲内が好ましい。
【0053】
表面保護層4に用いる熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との混合物については、例えば、熱硬化性樹脂としてのアクリルポリオールとイソシアネートとを反応して得られるウレタン系樹脂と、電離放射線硬化性樹脂としてのウレタンアクリレート系樹脂とを混合して用いることがより好ましい。熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との混合物を用いることによって、表面硬度を向上させるとともに、硬化収縮の抑制及び無機微粒子(無機フィラー)の密着性の少なくとも1つを向上させることができる。
【0054】
また、表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線で硬化する紫外線硬化型性樹脂であることが好ましい。
表面保護層4を構成する紫外線硬化性樹脂は、表面保護層4を構成する紫外線硬化性樹脂は、官能基が4以上であり、質量平均分子量が500以上の成分を1種以上含むものであることが好ましい。より好ましくは、官能基が4以上であり、質量平均分子量が500以上5,000以下の範囲内の成分を1種以上含むものである。紫外線硬化性樹脂の官能基が4に満たない場合には、架橋密度が小さく、耐傷性が著しく低下するため好ましくない。紫外線硬化性樹脂の質量平均分子量が500に満たない場合には、塗工時の面状態が著しく悪化するため好ましくない。紫外線硬化性樹脂の質量平均分子量が5,000を超える場合には、塗液の粘度が上昇し、塗工適性が著しく低下するため、好ましくない。
【0055】
光開始剤の添加量は特に限定されず、主剤樹脂100質量部に対し、0.1~15質量部程度が好ましい。
光開始剤の種類は特に限定されない。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光開始剤として、例えば、アセトフェノン系やベンゾフェノン系、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル-N,Nジメチルアミノベンゾエートなどの少なくとも1種類を選択することができる。また、光源や生産環境に合わせて、複数種を組み合わせて設計することが望ましい。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光開始剤として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩などの少なくとも1種が選択できる。
【0056】
表面保護層4の形成方法は特に限定されるものではなく、前述の材料を塗液化したものを、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化、紫外線硬化など樹脂材料に適合した方法で硬化させることで表面保護層4を形成してもよい。
この表面保護層4は、接着剤層5を介して原反層7に設けた絵柄印刷層6と透明樹脂層1とを接合した後に透明樹脂層1に設けてもよいし、透明樹脂層1と原反層7とを接合する前に透明樹脂層1に設けてもよい。
【0057】
さらに耐候性を向上させるために、表面保護層4に紫外線吸収剤及を添加してもよい。つまり、表面保護層4は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤から選ばれる紫外線吸収剤を用いることができる。
また、紫外線吸収剤に加えて、表面保護層4に光安定剤を適宜添加してもよい。
【0058】
また表面の耐傷性の向上、あるいは意匠性付与に伴う艶(光沢)調整のため、表面保護層4に、光沢調整剤として無機フィラーを加えることが望ましい。
表面保護層4に添加する無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、アルミノシリケート、ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズ、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロポレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、ガラス繊維等を添加してもよい。無機フィラーとして、平均粒子径が1μm以上30μm以下の範囲内の無機微粒子を用いることができ、特に1μm以上10μm以下の範囲内の無機微粒子が好適である。無機フィラーの平均粒子径が1μmに満たない場合には、艶消し効果を得にくい傾向がある。これは、艶消し効果を発揮するためには、無機フィラーが添加された膜(層)の厚みと同程度、もしくは大きな粒子径であることが理想的であるためである。無機フィラーの平均粒子径が30μm、より確実には10μmを超える場合には、高荷重条件下で無機フィラーが表面保護層4から脱落しやすく、艶が変化し表面が悪化して見える傾向がある。
【0059】
例えば、表面保護層4の形成方法としてグラビア印刷を選択した場合、一層の塗布厚みは4μm以上21μm以下の範囲内が妥当である。この場合は、上述のように、一度に塗布可能な厚み以下から同程度の平均粒子径を有する無機フィラーを選択するのが好ましい。
表面保護層4における無機フィラーの含有量は、表面保護層4を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下の範囲内であることが好ましい。無機フィラーの含有量が1質量部に満たない場合には、耐傷性が低下することがある。また無機フィラーの含有量が20質量部を超える場合には、表面の艶が非常に低下するため、意匠を損なうことおよび耐候性や耐汚染性が低下すること起こり得る。
【0060】
表面保護層4が含有する無機フィラーには、表面処理を施すことが望ましい。無機フィラーに表面処理を施すことで、表面保護層4との結合強化を図ることができる。なお、表面保護層4には表面が未処理の無機フィラーを添加してもよい。
また、表面処理を施す際は、無機フィラー表面の疎水化及び表面保護層4との反応性を付与する官能基を有することが望ましい。つまり、無機フィラーの表面を処理する表面処理剤は、表面保護層4を構成する主剤樹脂と反応する反応基を有することが望ましい。
無機フィラーの表面処理を実施する際は、手法は特に限定せず、公知の方法を選ぶことができる。
【0061】
無機フィラーの表面処理に用いられる表面処理剤としては、界面活性剤、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、シリコーン、ワックス、及び変性樹脂のうち少なくとも1つを使用することができる。本実施形態の表面処理剤としては、例えば、シリコーンオイル系、アルキルシラザン系、トリメチルシリル化剤、アルコキシシラン系、シロキサンやシランカップリング剤の他、チタンカップリング剤やリン酸系・脂肪酸系界面活性剤などを選ぶことができ、1種類でも複数種の掛け合わせたものであっても構わない。
シリコーンオイル系処理剤としては、例えば、ストレートシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなど)や変性シリコーンオイル(アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性変性、異種官能基変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸含有変性、フッ素変性シリコーンオイルなど)を選択することができる。
【0062】
アルキルシラザン系処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ビニルシラザンなどを選択することができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトシキシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物、トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシランなどのクロロシラン化合物を選択することができる。
【0063】
トリメチルシリル化剤としては、シランカップリング剤中のアルコキシシラン化合物を選択することができる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネーと、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル-1ブチル)ビス(ジートリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、などを選択することができる。
アルミネート系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを選択できる。
【0064】
表面保護層4側の透明樹脂層1の面にエンボス模様1aを施した場合には、このエンボス模様の中に、表面保護層4を形成するインキをワイピング加工により埋め込んで意匠性を向上させることも可能である。
耐候性の面からは、基材としての透明樹脂層1を守るために、上記のように表面保護層4及び透明樹脂層1にそれぞれ耐候性を付与する方法もある。また、それだけではなく、絵柄印刷層6を守るために接着剤層5、絵柄印刷層6自体にそれぞれ紫外線吸収剤及び光安定剤を添加する方法もある。
また図示は省略するが、表面保護層4の最表面側に、エンボス模様1aと同様のエンボス模様を設けてもよい。これにより、意匠性をさらに向上させることができる。
【0065】
また図1では、表面保護層4が単層である例を説明したが、本実施形態に係る化粧シート10において表面保護層4は単層に限られない。
表面保護層4は単層であってもよいし、複層構成であってもよい。つまり、表面保護層4は1層以上で構成されていればよい。したがって、表面保護層4は、全体での厚みが4μm以上21μm以下の範囲内であってもよい。
また、表面保護層4が複層構成の場合、異なる樹脂で形成される層が含まれていてもよい。
また、表面保護層4が複層構成である場合、光沢調整剤は、複層構成のうち1層以上に含まれていればよい。
また、表面保護層4が複層である場合、少なくとも最上層が硬化性樹脂組成物の硬化物を含んで構成されていればよく、異なる種類の樹脂材料で形成された層が含まれていてもよい。
【0066】
(易接着層)
易接着層8は、化粧シート10の被着材(例えば、化粧材用基材)と原反層7とを貼り合せるための層であって、プライマー層ともいう。
易接着層8に使用される材料は、基本的には絵柄印刷層6や隠蔽層3と同じ材料でよい。また、化粧シートの裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、易接着層8に例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させてもよい。塗布厚み、即ち易接着層8(プライマー層)の厚みは、基材である原反層7との密着を確保することが目的であるので、0.1μm以上10.0μm以下の範囲内が妥当であり、より好ましくは0.1μm以上3.0μm以下の範囲内である。
易接着層8は、原反層7がオレフィン系材料のように表面が不活性な場合には必要であるが、表面が活性である場合は特に必要ではない。
【0067】
<第1変形例>
第1実施形態に係る化粧シートの第1変形例について、図2を用いて説明する。図2は、第1実施形態の第1変形例による化粧シート20の一構成例を説明するための断面模式図である。本変形例による化粧シート20は、透明樹脂層が単層ではなく、複層である点で、上記第1実施形態に係る化粧シート10と異なる。
【0068】
図2に示す化粧シートは、図面上部側から順に、表面保護層4、透明樹脂層11、接着剤層5(感熱接着剤層、アンカーコート層、ドライラミ接着剤層)、絵柄印刷層6、隠蔽層3、原反層7、易接着層8を備えている。詳しくは後述するが、透明樹脂層11は複層構成であり、透明樹脂層1と透明樹脂層2とを有している。
より詳しくは、本変形例に係る化粧シート20は、複層構成である透明樹脂層11の一方の面(透明樹脂層2側)に、少なくとも接着剤層5、絵柄印刷層6、原反層7を設けた構成の化粧シートであればよい。すなわち、化粧シート10は積層体であって、少なくとも原反層7と、絵柄印刷層6と、接着剤層5と、透明樹脂層11(透明樹脂層1,2)と、をこの順に備える化粧シートであればよい。
【0069】
以下、化粧シート20において化粧シート10と異なる構成である透明樹脂層11について詳細に説明する。なお、化粧シート20において、透明樹脂層11以外の構成は化粧シート10と同等である。このため、化粧シート10と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0070】
なお、本変形例においても平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定した中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaは、1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内である。これにより、本変形例に係る化粧シート20においても、層間密着性に優れ、且つ化粧材に加工する際の後加工性(例えば、曲げ加工性)を良好とすることができる。
【0071】
(透明樹脂層)
図2に示すように、化粧シート20は透明樹脂層11を備えている。透明樹脂層11は複層(本例では2層)構成であり、透明樹脂層1と透明樹脂層2とで構成されている。より具体的には、透明樹脂層11は、複層から構成され、第一透明樹脂層となる透明樹脂層1と、透明樹脂層1と接着剤層5との間に位置する第二透明樹脂層となる透明樹脂層2とを有している。
【0072】
〔第一透明樹脂層〕
図2に示すように、本変形例における透明樹脂層11の第一透明樹脂層である透明樹脂層1は、表面保護層4と接しており、透明樹脂層2の上層に位置している。透明樹脂層11の第一透明樹脂層である透明樹脂層1は、上記第1実施形態に係る化粧シート10の透明樹脂層1と同等の構成であるため、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。なお、本変形例では、透明樹脂層1は中間層50と接していない。このため、透明樹脂層1のエロージョン率Eと中間層50の上記エロージョンEの平均値Eaとの差分については特に限定されない。
〔第二透明樹脂層〕
図2に示すように、本変形例に係る化粧シート20において、上記第一透明樹脂層である透明樹脂層1と接着剤層5との間に、第二透明樹脂層である透明樹脂層2が設けられている。つまり、透明樹脂層2は、透明樹脂層1の下層に位置しており、中間層50(特に接着剤層5)と隣接している。
透明樹脂層2は、特に押出ラミネート方法において透明樹脂層を形成する場合において、さらなるラミネート強度を求める場合に設けることがある。
【0073】
本変形において透明樹脂層2は、上述のように中間層50と隣接している。このため、中間層50に接する透明樹脂層2のエロージョン率Eと、隣接する中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差(差分)が、特定の範囲内であることによって、層間密着性がより良好な化粧シートを提供することが可能となる。ここで、透明樹脂層2のエロージョン率Eをエロージョン率Eとする。エロージョン率Eの測定方法は、上記エロージョン率Eと同等であるため、説明は省略する。以下、本実施形態における透明樹脂層2について、詳しく説明する。
【0074】
平均粒径(D50)が3.0μmである球状アルミナ粉末を用いて測定した透明樹脂層1のエロージョン率Eは、隣接する中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分(ΔEr)が4.0μm/g以下(ΔEr≦4.0μm/g)であることが好ましい。つまり本変形例に係る化粧シート20において、透明樹脂層2の上記エロージョン率Eと、中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分は、4.0μm/g以下であることが好ましい。透明樹脂層2と隣接する中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaとの差分が大きい場合、差分が大きな箇所に応力が集中し易く、層間密着性の低減が起こり得る。つまり、上記エロージョン率Eとエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分が小さいほど、中間層50と透明樹脂層2との層間密着性が向上する。本変形例に係る化粧シート20は、透明樹脂層1の上記エロージョン率Eと、中間層50のエロージョン率Eの上記平均値Eaとの差分を4.0以下とすることにより、層間密着性がより優れた化粧シートを得ることができる。
【0075】
透明樹脂層11における透明樹脂層1と透明樹脂層2とは、共押出法でラミネートされて成形される場合が一般的である。透明樹脂層2に含まれる樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル系等の樹脂に酸変性を施したものが望ましい。
透明樹脂層2の厚みは接着力向上の目的から2μm以上であることが望ましい。透明樹脂層2の厚みが2μmに満たない場合には、十分な接着力が得にくい傾向がある。
また、透明樹脂層2の厚みは、20μm以下が望ましい。透明樹脂層2の厚みが20μmを超えると、長期使用時に透明樹脂層2の劣化が生じ、凝集破壊を起こし剥離しやすくなる傾向がある。
つまり、透明樹脂層2の厚みは、2μm以上20μm以下の範囲内が好ましい。
【0076】
また、透明樹脂層11において、透明樹脂層1の厚みと透明樹脂層2の厚みとの合計は、40μm以上170μm以下であることが好ましい。つまり、透明樹脂層11の総厚が40μm以上170μm以下であることが好ましい。これにより、耐候性や耐傷性を良好としつつ、製造コストの上昇や可撓性の低下を抑制することができる。
【0077】
<第2変形例>
本実施形態の第2変形例に係る化粧材について、図3を用いて説明する。本実施形態に係る化粧シートは、化粧材用基材と積層することにより化粧材を作製する用途に好適に用いることができる。図3は、本実施形態の第二変形例に係る化粧材100の一構成例を説明するための断面図である。
【0078】
図3に示すように、本変形例に係る化粧材100は、本実施形態に係る化粧シート10の表面保護層4が最表面層となるように、化粧シート10を化粧材用基材16上に積層することにより得られる。すなわち、化粧材100は、接着剤15および化粧材用基材16を備える点で、第一実施形態に係る化粧シート10と相違する。
【0079】
図3に示すように、本変形例に係る化粧材100は、本実施形態に係る化粧シート10の表面保護層4が最表面層となるように、化粧シート10を化粧材用基材16上に積層することにより得られる。すなわち、化粧材100は、接着剤15および化粧材用基材16を備える点で、上記実施形態に係る化粧シート10と相違する。
【0080】
(化粧材)
図3に示すように、化粧材100は、化粧シート10における原反層7の一方の面側に、隠蔽層3、絵柄印刷層6、接着剤層5、透明樹脂層1および表面保護層4がこの順に積層されており、原反層7の他方の面側に、易接着層8、接着剤15および化粧材用基材16が設けられている。つまり、化粧材100は、化粧材用基材16と、化粧材用基材16に貼り合わされた積層体である化粧シート10と、を備える。
これにより、化粧材100は、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧材を提供することが可能となる。
【0081】
(化粧材用基材)
化粧材用基材16としては、木質基材又は金属基材を使用することができる。木質基材としては、例えば木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板、チップボード等を採用することができる。また、金属基材としては、鋼板・アルミ板などを採用することができる。また、化粧材用基材16は、プラスチックなどの樹脂、またはそれらの複合材料であっても良い。化粧材用基材16を樹脂基材とする場合、例えば塩化ビニル樹脂を採用することができる。
また化粧材用基材16は、例えば不燃仕様の鋼板又は建設省告示1400号で定められた不燃材料から構成しても良い。
化粧材用基材16の形状は特に限定されないが、例えば平板とすることができる。化粧材用基材16と化粧シート10とを貼り合わせるには、接着剤15を用いることができる。接着剤15は、上記第1実施形態の第2変形例における接着剤15と同等であるため、同一の符号を付して、説明は省略する。
【0082】
化粧材用基材16と化粧シート10とを貼り合わせる際は、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機、真空プレス等の貼着装置を用いることができる。
化粧材用基材16と化粧シート10との接合後は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナを用いてサネ加工、V字形状の溝加工、四辺の面取り加工(例えばC面取り加工)等を施してもよい。
【0083】
本変形例による化粧材100は、化粧シート10側から化粧材用基材16に至る溝部及び/又は面取り部を設けて、当該溝部及び面取り部を着色塗料によって塗装してもよい。
溝部及び面取り部を塗装するための着色塗料は、例えば、接着剤層5にも使用できる着色剤(有機顔料、無機顔料)をビヒクルに溶解又は分散させることによりインキ化したものが使用できる。具体的な着色剤の例示については上述の着色剤と同じである。ビヒクルとしては、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらのビヒクルは、単独又は2種以上を混合して使用できる。なお、着色塗料には、前記の通り、改質樹脂層のシラノール基と化学的に結合するイソシアネートなどの硬化剤を含有するものを採用することが好ましい。その他、溶剤や補助剤等を必要に応じて添加することもできる。
【0084】
以上、本変形例による化粧材100について説明した。なお、図3では上記第1実施形態に係る化粧シート10を用いて化粧材100を構成する例を図示しているが、本開示はこれに限られない。化粧材100は、図4に示すように本実施形態の上記第1変形例に係る化粧シート20を用いて構成されてもよい。例えば、化粧材100は、化粧シート20における原反層7の一方の面側に、隠蔽層3、絵柄印刷層6、接着剤層5、透明樹脂層2、透明樹脂層1、表面保護層4がこの順に積層されており、原反層7の他方の面側に、易接着層8、接着剤15及び化粧材用基材16が設けられていてもよい。
つまり、化粧材100は、化粧材用基材16と、化粧材用基材16に貼り合わされた積層体である化粧シート20と、を備える構成であってもよい。これにより、化粧材100は、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧材を提供することが可能となる。
【0085】
(第1実施形態の効果)
本実施形態に係る化粧シートおよび化粧材は、以下の効果を有する。
(1)本実施形態に係る化粧シート(化粧シート10,20)は、少なくとも、原反層7と、絵柄印刷層6と、接着剤層5と、透明樹脂層(透明樹脂層1,11)と、をこの順に備える積層体であって、絵柄印刷層6および接着剤層5で構成される中間層50は、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定したエロージョン率Eの平均値Eaが1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内である。
この構成によれば、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧シート(積層体)を提供することができる。
(2)化粧シート10において透明樹脂層1は、単層であり、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定した透明樹脂層1のエロージョン率Eと上記平均値Eaとの差分が、4.0μm/g以下である。
この構成によれば、中間層50と透明樹脂層1との間に応力が集中することを抑制し、層間密着性をより向上することができる。
(3)化粧シート20において透明樹脂層11は、複層から構成され、第一透明樹脂層である透明樹脂層1と、透明樹脂層1と接着剤層5との間に位置する第二透明樹脂層である透明樹脂層2とを有し、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定した透明樹脂層2のエロージョン率Eと上記平均値Eaとの差分が、4.0μm/g以下である。
この構成によれば、中間層50と透明樹脂層2との間に応力が集中することを抑制し、層間密着性をより向上することができる。
【0086】
(4)本実施形態に係る化粧シート(化粧シート10,20)において、接着剤層5がウレタン系樹脂を含む。
この構成によれば、作業性が良好であって製造コストを抑制することができ、また凝集力が高いため層間密着性をさらに向上させることができる。
(5)本実施形態に係る化粧シート(化粧シート10,20)において、絵柄印刷層6がウレタン系樹脂を含む。
この構成によれば、作業性が良好であって製造コストを抑制することができ、また凝集力が高いため層間密着性をさらに向上させることができる。
(6)本実施形態に係る化粧シート(化粧シート10,20)において、透明樹脂層(透明樹脂層1,11)上に最表層となる表面保護層4が積層されている。
この構成によれば、化粧シートに対し、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与することができる。
(7)本実施形態に係る化粧材100は、化粧材用基材16と、化粧材用基材16に貼り合わされた積層体である化粧シート(化粧シート10,20)と、備える。
この構成によれば、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れた化粧材を提供することができる。
【0087】
(1.3)実施例
以下、本開示を実施例によりさらに詳しく説明する。なお本開示は、実施例により何ら限定されるものではない。
また、本実施例では、中間層50のうち接着剤層5を形成する樹脂材料として、主に以下のウレタン樹脂A~Cを用いた。また中間層50のうち絵柄印刷層6を形成する樹脂として以下のウレタン樹脂a~cを用いた。また本実施例では、以下のウレタン系樹脂A~C,a~cの各樹脂材料の選択および硬化条件(硬化温度、又は硬化剤の添加量)によって中間層50のエロージョン率を制御した。
〔ウレタン樹脂A〕
ポリエステルウレタン樹脂であって、具体的には1液型エステル系ポリウレタン樹脂を用いた。
〔ウレタン樹脂B〕
カプロラクトン系ポリエステルポリオールを主剤とし、硬化剤としてイソホロンジイソシアネートを含む2液硬化ポリエステルウレタン樹脂を用いた。
〔ウレタン樹脂C〕
ポリエステルポリオールを主剤とし、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを含む2液硬化ポリエステルウレタン樹脂を用いた。
〔ウレタン樹脂a〕
1液型エステル系ポリウレタン樹脂を用いた。
〔ウレタン樹脂b〕
カプロラクトン系ポリエステルポリオールを主剤とし、硬化剤としてイソホロンジイソシアネートを含む2液硬化ポリエステルウレタン樹脂を用いた。
〔ウレタン樹脂c〕
ポリエステルポリオールを主剤とし、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを含む2液硬化ポリエステルウレタン樹脂を用いた。
【0088】
また、本実施例では、以下のポリプロピレン樹脂A~Cの各樹脂材料の選択および結晶化度制御条件(押出時温度、成膜時冷却ロール水温(冷却ロール温度))により、透明樹脂層1,2のエロージョン率を制御した。
〔ポリプロピレン樹脂A〕
ランダムポリプロピレン樹脂「F219DA」((株)プライムポリマー製)、MFR8.0g/10Min.)
〔ポリプロピレン樹脂B〕
ポリオレフィン熱可塑性エラストマー「F3740」((株)プライムポリマー製)、MFR4.5g/10Min.)
〔ポリプロピレン樹脂C〕
高結晶性ホモポリプロピレン樹脂「F109V」((株)プライムポリマー製、MFR30.0g/10Min.)
【0089】
<実施例1>
原反層7として隠蔽性のあるポリエチレン原反(厚み70μm)に、ウレタン樹脂aをバインダーとするウレタンインキを用いて木目柄をグラビア印刷して絵柄印刷層6(厚さ3μm)を設け、さらに絵柄印刷層6上にウレタン樹脂Aを用いて接着剤層5(厚さ1μm)を設けて中間層50とした。さらに接着剤層5を介し、透明樹脂層1をドライラミネートした。
中間層50は、ウレタン樹脂A、ウレタン樹脂aを60℃で加熱して硬化することで、エロージョン率E1の平均値Eaが1.6μm/gとなるように硬さを調整した。本実施例における平均値Eaの算出方法については、後述する。
また透明樹脂層1は、ポリプロピレン樹脂Bで形成した。より詳細には、ポリプロピレン樹脂B100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010;BASF社製)を0.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(CYASORB UV-1164;SUNCHEM製)を0.5質量部、NOR型光安定剤(Tinuvin XT850 FF;BASF社製)を0.5質量部それぞれ配合した樹脂材料を、溶融押出機を用いて押出し、透明樹脂層1として使用する厚さ90μmの透明樹脂シート(保護フィルム)を製膜した。
透明樹脂層1は、プロセス制御として、上記ポリプロピレン樹脂Bの押出温度を220℃、成膜時冷却ロール水温を25℃とすることで透明樹脂層1のエロージョン率Eが5.5μm/gとなるよう硬さを調整した。
【0090】
さらに表面保護層4としてアクリルポリオール(メチルメタクリレートと2ヒドロキシメタクリレートの共重合体)と硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体)からなる2液硬化ポリウレタン樹脂層を、透明樹脂層1(上記保護フィルム)上に塗布形成(層厚10μm)し、実施例1の化粧シート10を得た。
【0091】
<実施例2>
絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂bとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Bとした。また、中間層50における硬化剤(イソホロンジイソシアネート)の添加量を調整することで、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが2.5μm/gとなるように硬さを調整した。具体的には、硬化剤の添加量をウレタン樹脂B100質量%に対して10質量%とした。またウレタン樹脂bにおいてもウレタン樹脂Bと同様の割合で硬化剤を添加した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例2の化粧シート10を得た。
<実施例3>
絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂cとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Cとした。また、中間層50における硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート)の添加量を調整することで、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが4.0μm/gとなるように硬さを調整した。具体的には、硬化剤の添加量をウレタン樹脂C100質量%に対して10質量%とした。またウレタン樹脂cにおいてもウレタン樹脂Cと同様の割合で硬化剤を添加した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例3の化粧シート10を得た。
<実施例4>
透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、押出温度を200℃、成膜時冷却ロール水温を25℃とすることで透明樹脂層のエロージョン率Eが3.5μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例4の化粧シート10を得た。
<実施例5>
実施例2と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂bとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Bとして中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが2.5μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、実施例4と同様にしてエロージョン率Eを3.5μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例5の化粧シート10を得た。
<実施例6>
実施例3と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂cとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Cとして中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが4.0μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、実施例4と同様にしてエロージョン率Eを3.5μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例6の化粧シート10を得た。
<実施例7>
透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、押出温度を230℃、成膜時冷却ロール水温を55℃とすることで透明樹脂層のエロージョン率Eが0.6μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例7の化粧シート10を得た。
<実施例8>
実施例2と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂bとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Bとして中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが2.5μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、実施例7と同様にしてエロージョン率Eが0.6μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例8の化粧シート10を得た。
<実施例9>
実施例3と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂cとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Cとして中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが4.0μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、実施例7と同様にしてエロージョン率Eが0.6μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例9の化粧シート10を得た。
<実施例10>
絵柄印刷層6のバインダーとしてウレタン樹脂cを選択し、接着剤層5に用いる樹脂としてフタル酸系樹脂を選択して接着剤層5の厚みは10μmとした。樹脂材料の選択により、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが3.0μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、実施例4と同様にしてエロージョン率Eが3.5μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例10の化粧シート10を得た。
【0092】
<実施例11>
原反層7上に実施例1と同様の中間層50(絵柄模様層6、接着剤層5を設け)、接着剤層5を介し、エロージョン率Eを5.0μm/gとなるよう硬さを調整した透明樹脂層2をドライラミネートした。
透明樹脂層2はポリプロピレン樹脂Bに各種の添加剤を配合した樹脂材料で形成した。より詳細には、ポリプロピレン樹脂B100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010;BASF社製)を0.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(CYASORB UV-1164;SUNCHEM製)を0.5質量部、NOR型光安定剤(Tinuvin XT850 FF;BASF社製)を0.5質量部それぞれ配合した樹脂材料を、溶融押出機を用いて押出し、透明樹脂層2として使用する厚さ20μmの透明樹脂シートを製膜した。透明樹脂層2は、プロセス制御として、ポリプロピレン樹脂Bの押出温度を220℃、成膜時冷却ロール水温を40℃とした。これにより、上記のようにエロ―ジョン率Eが5.0μm/gとなる透明樹脂層2を成膜した。
さらに接着剤(タケラックA540;三井化学(株)製)(厚み2μm)を介し、ポリプロピレン樹脂Cで形成した透明樹脂層1をドライラミネートした。透明樹脂層1は、厚みを70μmとした以外は、実施例4と同様にして溶融押出機を用いて押出し、透明樹脂層1として使用する透明樹脂シートを製膜した。また表面保護層4は、実施例1と同等の構成とした。これにより、透明樹脂層が2層である実施例11の化粧シート20を得た。
【0093】
<実施例12>
透明樹脂層2に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、実施例4と同様のプロセス制御(押出温度、成膜時冷却ロール水温)によって透明樹脂層2のエロージョン率Eを3.5μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例11と同様の方法で実施例12の化粧シート20を得た。
<実施例13>
透明樹脂層2に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Cとし、押出温度を230℃、成膜時冷却ロール水温を55℃とすることで透明樹脂層2のエロージョン率Eを0.6μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例11と同様の方法で実施例13の化粧シート20を得た。
【0094】
<実施例14>
実施例2と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂bとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Bとし、実施例2と同様の硬化剤添加量および絵柄模様層6、接着剤層5の厚みをそれぞれ10μmとすることで、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが2.8μm/gとなるように硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例14の化粧シート10を得た。
<実施例15>
実施例2と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂bとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Bとし、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが2.5μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に用いた樹脂をポリプロピレン樹脂Bとし、押出温度を220℃、成膜時冷却ロール水温を50℃とすることで透明樹脂層1のエロージョン率Eを6.5μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例15の化粧シート20を得た。
<実施例16>
実施例2と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂bとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Bとし、硬化剤の添加量を調整することで、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが1.0μm/gとなるように硬さを調整した。具体的には、硬化剤の添加量をウレタン樹脂B100質量%に対して15質量%とした。またウレタン樹脂bにおいてもウレタン樹脂Bと同様の割合で硬化剤を添加した。それ以外は、実施例11と同様にして実施例16の化粧シート10を得た。
<実施例17>
実施例3と同様に絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂cとし、および接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Cとし、硬化剤の添加量を調整することで、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが5.0μm/gとなるように硬さを調整した。具体的には、硬化剤の添加量をウレタン樹脂C100質量%に対して5質量%とした。またウレタン樹脂cにおいてもウレタン樹脂Cと同様の割合で硬化剤を添加した。それ以外は、実施例11と同様にして実施例17の化粧シート10を得た。
【0095】
<実施例18>
実施例3と同様に、絵柄印刷層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂cとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Cとし、中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが4.0μm/gとなるように硬さを調整した。また、透明樹脂層1に使用した樹脂をポリプロピレン樹脂Aとし、押出温度を200℃、成膜時冷却ロール水温を50℃とすることで透明樹脂層1のエロージョン率Eを9.8μm/gとなるよう硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で実施例18の化粧シート10を得た。
【0096】
<比較例1>
絵柄模様層6のバインダーおよび接着剤層5にアクリル樹脂を用いて、加熱して硬化することによって中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが7.0μm/gとなるように硬さを調整した。それ以外は実施例1と同様の方法で比較例1の化粧シートを得た。
<比較例2>
柄模様層6のバインダーに用いた樹脂をウレタン樹脂aとし、接着剤層5に用いた樹脂をウレタン樹脂Aとし、常温(25℃)で自然乾燥(放置)することで中間層50のエロージョン率Eの平均値Eaが1.2μm/gとなるように硬さを調整した。それ以外は、実施例1と同様にして比較例2の化粧シート10を得た。
【0097】
<MSE試験におけるエロージョン率測定>
実施例1から18及び比較例1、2で得られた各化粧シートのエロージョン率(エロージョン率E,E,E)の測定方法について、以下で説明する。
平均粒子径D50=3.0μmの球状アルミナ粉末を水に分散させて、スラリーの総質量に対して球状アルミナ粉末を3質量%含むスラリーを調製した。各化粧シートを台に固定し、その化粧シートと、上記スラリーを噴射するためのノズルの投射距離を4mmに設定した。ノズルのノズル径は1mm×1mmとした。ノズルから球状アルミナ粉末を含んだスラリーを噴射し、台に固定された化粧シートを表面保護層から順次切削した。この時の噴射強度は、事前に同様の実験条件にて既存の硬さ基準片を切削し、スラリーの噴射量に対する削れた変位(即ち、スラリー1gを吹き付けた際に切削される深さ)から標準投射力Xを求め、その値に基づいて決定した。球状アルミナ粉末を用いた本実施例における測定方法では、既存の硬さ基準片HRC-45に対して1.0μm/g削れたときの投射力を標準投射力Xとした。
本実施例では、上記エロージョン処理と、上記形状測定器による形状測定を設定回数(2回)繰り返して実施し、2回分の形状計測データを取得した。また、本実施例では、上述の投射力より算出した投射粒子量X’[g]とエロージョン深さZ[μm]とを用いて、エロージョン率E[μm/g]を算出した。
【0098】
本実施例において、X=1投射力(既存の硬さ基準片HRC-45に対して1.0μm/g削れたときの投射力)とした。切削された部分を水で洗浄した後に、切削の深さ、即ちエロージョン深さZを測定した。エロージョン深さZは、触針式表面形状測定器(株式会社小坂研究所製/型式PU-EU1/触針子先端R=2μm/荷重200μN/計測倍率10,000/測長5mm/計測速度0.2mm/sec)で測定された値である。より詳しくは、まず、計測長の中で摩耗していない両端基準エリアA、Bを用いて傾き補正を実施した。次に、基準となる回帰直線から摩耗痕中心部C(50μm幅の平均値)までの段差を測定した。次に、0g投射での段差データと、各投射量での段差データとの差分をとり、エロージョン深さZを取得した。取得した投射量-エロージョン深さZの各データから、エロージョン進行グラフおよびエロージョン率分布グラフを作成した。こうして、エロージョン深さZを特定した。
【0099】
<平均値Eaの算出>
上述のMSE試験による中間層のエロ―ジョン率Eの測定を2回繰り返し、得られた2回分のエロ―ジョン率Eの合計を、繰り返し回数(2)で除算して得平均値Eaを得た(平均値Ea=2回分のエロ―ジョン率Eの合計/2)。
【0100】
(評価)
上記の方法により得られた実施例1~18及び比較例1、2の化粧シートに対し、層間密着性の評価および後加工性の評価を以下のように行った。
【0101】
(層間密着性の評価)
以下のようにして、中間層と透明樹脂層との密着性を評価した。具体的には、25℃50%RHの条件下で2日間保持した後、各実施例および各比較例による化粧シートに対してJIS K5600-5-6に準拠したクロスカット法による密着性試験を実施した。その後、化粧シート表面を目視で観察して、上記密着性試験後の層間剥離(ここでは、中間層と、中間層に隣接する透明樹脂層との剥離)の有無、すなわち層間密着性を下記の基準で評価した。
◎:化粧シートの中間層と隣接する透明樹脂層との剥離がなかった
〇:化粧シートの中間層表面(接着剤層表面)の面積あたり10%未満の範囲で透明樹脂層との剥離があった
△:化粧シートの中間層表面の面積あたり15%未満の範囲で透明樹脂層との剥離があった
×:化粧シートの中間層表面の面積あたり15%以上の範囲で透明樹脂層の剥離があった
なお、層間密着性の評価において、「◎」「○」、「△」を合格とした。
<後加工性の評価>
後加工性の評価は以下の方法で評価を行った。
建具基材である厚み3mmのMDF(広葉樹)の表面に、接着剤として2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製「リカボンド」(重量比BA-10L/BA-11B=100:2.5))をウエット状態で100g/mに塗工した後、実施例1~18及び比較例1、2の化粧シートをそれぞれ貼り合わせ、24時間養生することで、実施例1~18及び比較例1、2による化粧材とした。これらの化粧材にVカット加工を実施し、折り曲げ頂上部の目視確認にて外観状態を確認した。Vカット加工は、建具化粧材において化粧シートが張り付けられていない面側から上記建具基材と化粧シートとを貼り合わせている境界まで、化粧シートにキズが付かないようにV型の溝を入れた。次に、実施例1~18及び比較例1、2の化粧シートを貼付した面が山折りとなるようにして、化粧材の基材を当該V型の溝に沿って90度まで折り曲げた。次に、化粧シートの折れ曲がった部分に白化や亀裂(割れ)などが生じていないかを光学顕微鏡および目視を用いて観察し、後加工性の優劣の評価を行った。
【0102】
下記の評価基準で評価を行い、表1に記載した。なお、評価が「◎」~「△」であれば実使用において問題ないと評価される。
◎:折り曲げ頂上部に、表面保護層の割れ、白化等を確認できない
〇:折り曲げ頂上部に光学顕微鏡で観察すると一部に軽微な表面保護層の割れ、白化等が発生するが、目視では分からない
△:折り曲げ頂上部に光学顕微鏡で観察すると表面保護層の割れ、白化等が発生するが、目視では分からない
×:折り曲げ頂上部に、目視でもわかる顕著な表面保護層の割れ、白化が発生している
【0103】
【表1】
【0104】
<評価結果>
表1に示すように、実施例1~18において層間密着性および後加工性のいずれも評価結果が合格(△以上)となった。つまり、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定した中間層のエロージョン率Eの平均値Eaが1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内である化粧シートは、層間密着性に優れ尚且つ後加工性に優れていることが分かった。
なお、実施例14では、中間層の厚みが20μm(接着剤層10μm、絵柄印刷層10μm)と他の実施例と比べて厚みがあることから、層間密着性が非常に良好(評価「◎」)であるが、実用可能な範囲内で後加工性がやや低減した(評価「△」)と考えられる。
【0105】
また、実施例18では、上記平均値Eaと中間層と隣接する透明樹脂層のエロージョン率(エロージョン率E)との差分が4.0μm/gを超過していることから、実用可能な範囲内で層間密着性がやや低減した(評価「△」)ものと考えられる。
また、上記平均値Eaが1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内であり、且つ上記平均値Eaと透明樹脂層のエロージョン率(エロージョン率E,E)との差分が4.0μm/g以下である場合、層間密着性がより良好(評価「〇」以上)となることが分かった。
【0106】
一方、比較例1、2は後加工性が不合格(評価「×」)であった。
比較例1は、中間層のエロージョン率Eの平均値Eaが5.0μm/gを超える7.0μm/gであって硬く脆い性質であり、樹脂材料の脆さにより絵柄印刷層に割れが生じて実用が困難なレベルまで後加工性が悪くなったと考えられる。また比較例2は中間層のエロージョン率Eの平均値Eaが1.5μm/g未満の1.2μm/gであって柔軟性が増したことにより、インキ流れが発生した上、後加工性が悪くなったと考えられる。
【0107】
以上、表1より明らかなように、本開示の第1実施例1~18による化粧シートは、全ての評価項目で「合格」であり層間密着性および後加工性にバランスよく優れる結果となった。つまり、本開示の上記実施形態に係る化粧シート及び化粧材は優れた層間密着性および後加工性を有することが示された。
【0108】
また、例えば、本実施形態は以下のような構成を取ることができる。
(1)
少なくとも、原反と、絵柄印刷層と、接着剤層と、透明樹脂層と、をこの順に備える積層体であって、
前記絵柄印刷層および前記接着剤層で構成される中間層は、平均粒径(D50)が3.0umの球状アルミナ粒子を用いて測定したエロージョン率Eの平均値Eaが1.5μm/gを超過し5.0μm/g以下の範囲内である
ことを特徴とする積層体。
(2)
前記透明樹脂層は、単層であり、
前記球状アルミナ粒子を用いて測定した前記透明樹脂層のエロージョン率Eと前記平均値Eaとの差分が、4.0μm/g以下である
ことを特徴とする上記(1)に記載の積層体。
(3)
前記透明樹脂層は、複層から構成され、第一透明樹脂層と、前記第一透明樹脂層と前記接着剤層との間に位置する第二透明樹脂層とを有し、
前記球状アルミナ粒子を用いて測定した前記第二透明樹脂層のエロージョン率Eと前記平均値Eaとの差分が、4.0μm/g以下である
ことを特徴とする上記(1)に記載の積層体。
(4)
前記接着剤層がウレタン系樹脂を含む
ことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(5)
前記絵柄印刷層がウレタン系樹脂を含む
ことを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の積層体。
(6)
前記透明樹脂層上に最表層となる表面保護層が積層されている
ことを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の積層体。
(7)
化粧材用基材と、
前記化粧材用基材に貼り合わされた上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の積層体と、
を備えることを特徴とする化粧材。
【符号の説明】
【0109】
1、2 透明樹脂層
1a エンボス模様
3 隠蔽層
4 表面保護層
5 接着剤層
6 絵柄印刷層
7 原反層
8 易接着層
10、20 化粧シート
100 化粧材
図1
図2
図3
図4