(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097581
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ニオイ検出装置、ニオイの発生元の特定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/00 20060101AFI20240711BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01N33/00 C
G01N27/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001128
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠村 将人
【テーマコード(参考)】
2G046
【Fターム(参考)】
2G046AA05
2G046AA11
2G046AA22
2G046AA23
2G046AA24
(57)【要約】
【課題】複数のニオイの発生元候補が点在している場合に、ニオイの発生が検出されたときの発生元を特定するための技術を提供すること。
【解決手段】ニオイ検出装置10は、観測点におけるニオイの発生を検出するニオイセンサー12A~12Dと、観測点の位置情報を取得するGPSセンサー19と、観測点における風向情報を取得する風向計18とを含む。ニオイ検出装置10は、さらに、ニオイの発生が検出された場合に、2以上の発生元候補の位置情報を含むデータベースを参照することにより、観測点の位置情報および観測点の風向情報に基づいて、2以上の発生元候補から観測点におけるニオイに対応するニオイ発生元を特定する制御部11を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測点におけるニオイの発生を検出するニオイ検出ユニットと、
前記観測点の位置情報を取得する位置取得ユニットと、
前記観測点における風向情報を取得する風向取得ユニットと、
前記ニオイ検出ユニットにおいてニオイの発生が検出された場合に、2以上の発生元候補の位置情報を含むデータベースを参照することにより、前記観測点の位置情報および前記観測点の風向情報に基づいて、前記2以上の発生元候補から前記観測点におけるニオイに対応するニオイ発生元を特定する処理ユニットと、を備える、ニオイ検出装置。
【請求項2】
前記ニオイ発生元を特定する情報を出力する出力ユニットをさらに備える、請求項1に記載のニオイ検出装置。
【請求項3】
前記データベースにおいて、前記2以上の発生元候補の各々はニオイの種類に関連付けられており、
前記ニオイ検出ユニットは、前記観測点において発生したニオイの種類を特定し、
前記処理ユニットは、前記ニオイ検出ユニットによって検出されたニオイの種類をさらに利用して前記ニオイ発生元を特定する、請求項1または請求項2に記載のニオイ検出装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記2以上の発生元候補が、前記観測点の位置情報に対して前記風向情報によって特定される風向きに対応する位置情報を有する複数の発生元候補を含む場合に、前記複数の発生元候補のうち、前記ニオイ検出ユニットによって特定された前記ニオイの種類に関連付けられているものを前記ニオイ発生元として特定する、請求項3に記載のニオイ検出装置。
【請求項5】
前記処理ユニットは、前記ニオイ検出ユニットによってニオイの発生が検出された場合であって、前記2以上の発生元候補において前記ニオイ発生元を特定できなかったときには、ニオイの発生が検出されたことと前記ニオイ発生元が特定できなかったこととを報知する、請求項1または請求項2に記載のニオイ検出装置。
【請求項6】
少なくとも前記ニオイ検出ユニットおよび前記位置取得ユニットが移動可能に構成されている、請求項1または請求項2に記載のニオイ検出装置。
【請求項7】
観測点におけるニオイの発生を検出するステップと、
前記観測点の位置情報を取得するステップと、
前記観測点における風向情報を取得するステップと、
前記ニオイの発生が検出された場合に、2以上の発生元候補の位置情報を含むデータベースを参照することにより、前記観測点の位置情報および前記観測点の風向情報に基づいて、前記2以上の発生元候補から前記観測点におけるニオイに対応するニオイ発生元を特定するステップと、を備える、ニオイの発生元の特定方法。
【請求項8】
前記ニオイ発生元を特定する情報を出力するステップをさらに備える、請求項7に記載のニオイの発生元の特定方法。
【請求項9】
前記データベースにおいて、前記2以上の発生元候補の各々はニオイの種類に関連付けられており、
前記ニオイの発生を検出するステップは、前記観測点において発生したニオイの種類を特定することを含み、
前記ニオイ発生元を特定するステップは、特定された前記ニオイの種類をさらに利用して前記ニオイ発生元を特定することを含む、請求項7または請求項8に記載のニオイの発生元の特定方法。
【請求項10】
前記ニオイ発生元を特定するステップは、前記2以上の発生元候補が、前記観測点の位置情報に対して前記風向情報に対応する位置情報を有する複数の発生元候補を含む場合に、前記複数の発生元候補のうち、特定された前記ニオイの種類に関連付けられているものを前記ニオイ発生元として特定することを含む、請求項9に記載のニオイの発生元の特定方法。
【請求項11】
前記ニオイの発生が検出された場合であって、前記2以上の発生元候補において前記ニオイ発生元を特定できなかったときには、ニオイの発生が検出されたことと前記ニオイ発生元が特定できなかったこととを報知するステップをさらに備える、請求項7または請求項8に記載のニオイの発生元の特定方法。
【請求項12】
前記データベースを生成するステップをさらに備える、請求項7または請求項8に記載のニオイの発生元の特定方法。
【請求項13】
コンピューターによって実行されることにより、前記コンピューターに、請求項7または請求項8に記載のニオイの発生元の特定方法を実施させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニオイの発生元の特定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニオイに関する情報を情報処理装置を利用して扱うことについて、種々の提案がなされている。たとえば、特開2002-257568号公報(特許文献1)は、レストランの広告放送中に、その紹介に関する音声に同期して、レストランの料理のニオイをニオイ合成器から発生させる技術を開示している。
【0003】
さらに、情報処理装置を利用してニオイの発生を検出することについても、種々の提案がなされている。たとえば、特開平8-233680号公報(特許文献2)は、配管の外部に設けたニオイセンサーによって配管の内部から漏れたニオイを検出し、これにより、配管のひび割れを検出する技術を開示している。また、特許第6508440号公報(特許文献3)および特許第7070586号公報(特許文献4)は、複数の種類のニオイセンサーを含むニオイ検出装置を利用して、発生しているニオイを複数の種類のニオイの中から特定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-257568号公報
【特許文献2】特開平8-233680号公報
【特許文献3】特許第6508440号公報
【特許文献4】特許第7070586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のニオイの発生元候補が点在している場合、ニオイの発生が検出されたときに、どの発生元候補からのニオイなのかを特定することができなかった。
【0006】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、複数のニオイの発生元候補が点在している場合に、ニオイの発生が検出されたときの発生元を特定するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、観測点におけるニオイの発生を検出するニオイ検出ユニットと、観測点の位置情報を取得する位置取得ユニットと、観測点における風向情報を取得する風向取得ユニットと、ニオイ検出ユニットにおいてニオイの発生が検出された場合に、2以上の発生元候補の位置情報を含むデータベースを参照することにより、観測点の位置情報および観測点の風向情報に基づいて、2以上の発生元候補から観測点におけるニオイに対応するニオイ発生元を特定する処理ユニットと、を備える、ニオイ検出装置が提供される。
【0008】
ニオイ検出装置は、ニオイ発生元を特定する情報を出力する出力ユニットをさらに備えていてもよい。
【0009】
データベースにおいて、2以上の発生元候補の各々はニオイの種類に関連付けられており、ニオイ検出ユニットは、観測点において発生したニオイの種類を特定し、処理ユニットは、ニオイ検出ユニットによって検出されたニオイの種類をさらに利用してニオイ発生元を特定してもよい。
【0010】
処理ユニットは、2以上の発生元候補が、観測点の位置情報に対して風向情報によって特定される風向きに対応する位置情報を有する複数の発生元候補を含む場合に、複数の発生元候補のうち、ニオイ検出ユニットによって特定されたニオイの種類に関連付けられているものをニオイ発生元として特定してもよい。
【0011】
処理ユニットは、ニオイ検出ユニットによってニオイの発生が検出された場合であって、2以上の発生元候補においてニオイ発生元を特定できなかったときには、ニオイの発生が検出されたこととニオイ発生元が特定できなかったこととを報知してもよい。
【0012】
ニオイ検出装置では、少なくともニオイ検出ユニットおよび位置取得ユニットが移動可能に構成されていてもよい。
【0013】
本開示の他の局面に従うと、観測点におけるニオイの発生を検出するステップと、観測点の位置情報を取得するステップと、観測点における風向情報を取得するステップと、ニオイの発生が検出された場合に、2以上の発生元候補の位置情報を含むデータベースを参照することにより、観測点の位置情報および観測点の風向情報に基づいて、2以上の発生元候補から観測点におけるニオイに対応するニオイ発生元を特定するステップと、を備える、ニオイの発生元の特定方法が提供される。
【0014】
ニオイの発生元の特定方法は、ニオイ発生元を特定する情報を出力するステップをさらに備えていてもよい。
【0015】
データベースにおいて、2以上の発生元候補の各々はニオイの種類に関連付けられており、ニオイの発生を検出するステップは、観測点において発生したニオイの種類を特定することを含み、ニオイ発生元を特定するステップは、特定されたニオイの種類をさらに利用してニオイ発生元を特定することを含んでいてもよい。
【0016】
ニオイ発生元を特定するステップは、2以上の発生元候補が、観測点の位置情報に対して風向情報に対応する位置情報を有する複数の発生元候補を含む場合に、複数の発生元候補のうち、特定されたニオイの種類に関連付けられているものをニオイ発生元として特定することを含んでいてもよい。
【0017】
ニオイの発生元の特定方法は、ニオイの発生が検出された場合であって、2以上の発生元候補においてニオイ発生元を特定できなかったときには、ニオイの発生が検出されたこととニオイ発生元が特定できなかったこととを報知するステップをさらに備えていてもよい。
【0018】
ニオイの発生元の特定方法は、データベースを生成するステップをさらに備えていてもよい。
【0019】
本開示のさらに他の局面に従うと、コンピューターによって実行されることにより、コンピューターに、上記のニオイの発生元の特定方法を実施させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、観測点における位置情報および風向きに基づいて、2以上の発生元候補からニオイ発生元が特定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ニオイ検出装置がニオイ発生元を特定する状況の一例を示す図である。
【
図2】ニオイ検出装置がニオイ発生元を特定する状況の他の例を示す図である。
【
図3】ニオイ検出装置10の構成の一例を示す図である。
【
図4】発生元候補データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】ニオイ検出装置10の制御処理のフローチャートである。
【
図6】ディスプレイ14の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】ディスプレイ14の表示画面の他の例を示す図である。
【
図8】ディスプレイ14の表示画面のさらに他の例を示す図である。
【
図9】ニオイ検出装置がニオイ発生元を特定する状況のさらに他の例を示す図である。
【
図10】発生元候補データベースのデータ構造の他の例を示す図である。
【
図11】本開示の実施の形態に従うシステムの構成の一例を示す図である。
【
図12】第2端末10Bの構成の一例を示す図である。
【
図13】サーバー20の構成の一例を示す図である。
【
図14】
図11のシステムにおいて実施される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しつつ、本開示に係るシステムの一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0023】
[1.ニオイ発生元の特定]
図1は、ニオイ検出装置がニオイ発生元を特定する状況の一例を示す図である。
図1には、2つの状態ST11,ST12が示されている。状態ST11,ST12の各々には、3つの発生元候補OC1,OC2,OC3と観測点PT1とが示されている。本実施の形態において、ニオイ検出装置は観測点に位置する。
【0024】
状態ST11では、矢印AR11で示される向きの風が吹いている。観測点PT1でニオイの発生が検出された場合、ニオイ検出装置は、観測点PT1の位置情報および矢印AR11の向きに基づいて、当該ニオイの発生元として、発生元候補OC1を特定する。
【0025】
一方、状態ST12では、矢印AR12で示された向きの風が吹いている。観測点PT1でニオイの発生が検出された場合、ニオイ検出装置は、観測点PT1の位置情報および矢印AR12の向きに基づいて、当該ニオイの発生元として、発生元候補OC2を特定する。
【0026】
図2は、ニオイ検出装置がニオイ発生元を特定する状況の他の例を示す図である。
図1には、2つの状態ST21,ST22が示されている。
【0027】
状態ST21では、矢印AR21で示される向きの風が吹いている。矢印AR21の向きの風は、発生元候補OC1,OC2,OC3のいずれで発生したニオイをも観測点PT2へと運ぶことが想定されない。したがって、状態ST21では、ニオイ検出装置は、ニオイの発生を検出した場合、ニオイ発生元が発生元候補OC1,OC2,OC3ではないことを認識する。
【0028】
一方、状態ST22では、矢印AR12で示された向きの風が吹いている。状態ST22では、状態ST21の観測点PT2が矢印AR10に沿って移動することにより、観測点PT3で示される位置へと移動している。観測点PT3でニオイの発生が検出された場合、ニオイ検出装置は、観測点PT3の位置情報および矢印AR21の向きに基づいて、当該ニオイの発生元として、発生元候補OC1を特定する。
【0029】
[2.ニオイ検出装置の構成]
図3は、ニオイ検出装置10の構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、ニオイ検出装置10は、制御部11、4個のニオイセンサー12A,12B,12C,12D、ADC(Analog to Digital Converter:アナログデジタル変換器)12X、メモリー13、ディスプレイ14、操作スイッチ群15、バッテリー16、通信部17、風向計18、およびGPS(Global Positioning System)センサー19を含む。
【0030】
制御部11は、ニオイ検出装置10全体を統括的に制御する。一実現例では、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を含み、制御部11では、CPUが所与のプログラムを実行することにより種々の処理が実施される。一実現例では、プログラムはメモリー13に非一時的に格納されている。
【0031】
ニオイセンサー12A,12B,12C,12Dは、反応するニオイの種類が互いに異なる、半導体ガスセンサーである。ニオイセンサー12A,12B,12C,12Dは、検知対象ガス(主に反応する対象となるガス)の濃度を電気量に変換し、ガス濃度に対応する電気信号を出力する。ニオイセンサー12A~12Dの各々は、例えば、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)検出用ガスセンサー、CO検出用ガスセンサー、水素検出用ガスセンサー、炭化水素検出用ガスセンサー、アルコール検出用ガスセンサー、またはタバコ検出用ガスセンサーである。ニオイセンサー12A,12B,12C,12Dの各々は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプのセンサーであってもよい。
【0032】
ADC12Xは、ニオイセンサー12A~12Dから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、制御部11に出力する。制御部11は、ニオイセンサー12A~12Dの検出出力に基づいて、観測点(ニオイ検出装置10が位置する場所)において検出されるニオイの種類を特定する。なお、制御部11は、ニオイセンサー12A~12Dのすべての検出結果(ガス濃度)がそれぞれのセンサーが反応するニオイの種類に対して設定されている閾値を下回る場合には、観測点においてニオイが発生していないことを特定してもよい。
【0033】
メモリー13は、たとえば、不揮発性の半導体メモリーによって構成される。メモリー13には、各種のプログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターおよび/またはファイルが格納されている。
【0034】
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイなどの表示装置によって構成される。
【0035】
操作スイッチ群15は、電源をオン/オフさせる電源スイッチ、測定開始を指示するための測定スイッチを含む種々のスイッチを含む。操作スイッチ群15において、各スイッチは、押下されると、各スイッチの種類に応じた操作信号を制御部11へ出力する。
【0036】
バッテリー16は、ニオイ検出装置10の各部に電力供給を行う。バッテリー16は、たとえば、ニオイ検出装置10に対して着脱可能な、乾電池または充電池によって構成される。
【0037】
通信部17は、外部機器と通信するためのインターフェースである。
【0038】
風向計18は、ニオイ検出装置10が位置する場所(観測点)における風向きおよび風量を検出する。
【0039】
GPSセンサー19は、ニオイ検出装置10が位置する場所(観測点)の位置情報を検出する。一実現例では、位置情報は、緯度と経度を含む。
【0040】
[3.発生元候補データベース]
ニオイ検出装置10は、ニオイ発生元の特定において、2以上の発生元候補に関する情報を格納するデータベース(発生元候補データベース)を参照する。発生元候補データベースは、メモリー13に格納されていてもよいし、ニオイ検出装置10外の記憶装置に格納されていてもよい。
【0041】
図4は、発生元候補データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【0042】
図4を参照して、発生元候補データベースでは、各発生元候補の名称(OC1,OC2,OC3)が、位置情報およびニオイの種類に関連付けられている。位置情報は、発生元候補の位置を表し、たとえば緯度(la-1,la-2,la-3)と経度(lo-1,lo-2,lo-3)とを含む。ニオイの種類は、発生元候補において発生することが想定されるニオイの種類(A,B)を表す。登録されうるニオイの種類は、ニオイ検出装置10によって検出可能なニオイの種類である。より具体的には、ニオイ検出装置10は、ニオイセンサー12A,12B,12C,12Dの各々によって検出される濃度(または、これらのうち2以上のセンサーによって検出される濃度の組合せ)に基づいて、発生元候補データベースに登録される2以上の種類のニオイのそれぞれを検出する。
【0043】
[4.処理の流れ]
図5は、ニオイ検出装置10の制御処理のフローチャートである。
図5の処理は、たとえば、制御部11のCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。以下、
図5の処理の内容を説明する。
【0044】
ステップS10にて、制御部11は、発生元候補データベースの生成の指示を入力されたか否かを判断する。この指示は、たとえば、ユーザーが操作スイッチ群15の中のデータベース生成用のスイッチが操作されることによって、制御部11へ入力される。制御部11は、この指示が入力されたと判断すると(ステップS10にてYES)、ステップS12へ制御を進め、そうでなければ(ステップS10にてNO)、ステップS14へ制御を進める。
【0045】
ステップS12にて、制御部11は、発生元候補データベースを生成する。発生元候補データベースの生成において、制御部11は、1以上の発生元候補のそれぞれについて、位置情報およびニオイの種類を収集する。一実現例では、ユーザーが、1以上の発生元候補のそれぞれにおいて、操作スイッチ群15の中のデータ登録用のスイッチを操作する。これに応じて、制御部11は、当該スイッチを操作されたタイミングにおいてGPSセンサー19によって検出された位置情報を発生元候補の位置情報として取得する。制御部11は、また、当該スイッチを操作されたタイミングにおいてニオイセンサー12A~12Dの検出出力に基づいて特定されるニオイの種類を発生元候補のニオイの種類として取得する。ユーザーは、各発生元候補について、その名称(
図4において「OC1」等のように標記されている情報)をニオイ検出装置10に入力してもよい。制御部11は、入力された名称を発生元候補データベースに登録してもよい。
【0046】
ステップS14にて、制御部11は、ニオイ検出の指示を入力されたか否かを判断する。この指示は、たとえば、ユーザーが操作スイッチ群15の中の検出用のスイッチが操作されることによって、制御部11へ入力される。制御部11は、この指示が入力されたと判断すると(ステップS14にてYES)、ステップS16へ制御を進め、そうでなければ(ステップS14にてNO)、ステップS10へ制御を戻す。
【0047】
ステップS16にて、制御部11は、ニオイの検出を実施する。より具体的には、制御部11は、ニオイセンサー12A~12Dの検出出力に基づいて、何らかのニオイが発生しているか否かを特定する。
【0048】
ステップS18にて、制御部11は、ステップS16におけるニオイ検出の結果に基づいて、何らかのニオイが発生しているか否かを判断する。制御部11は、何らかのニオイが発生していると判断した場合には(ステップS18にてYES)、ステップS22へ制御を進める。一方、制御部11は、ステップS16におけるニオイ検出の結果としてニオイの発生が無いことを特定した場合には(ステップS18にてNO)、ステップS20へ制御を進める。
【0049】
ステップS20にて、制御部11は、ディスプレイ14にニオイの発生が無いことを報知する。
図6は、ディスプレイ14の表示画面の一例を示す図である。
図6の表示画面141は、文字列「ニオイは検出されませんでした。」を含む。一実現例では、制御部11は、表示画面141をディスプレイ14に表示する。その後、制御部11は、ステップS10へ制御を戻す。
【0050】
ステップS22にて、制御部11は、GPSセンサー19の検出出力に基づいて、観測点の位置情報を取得する。
【0051】
ステップS24にて、制御部11は、風向計18の検出出力に基づいて、観測点の風向情報を取得する。
【0052】
ステップS26にて、制御部11は、ステップS22において取得された位置情報(観測点の位置情報)、および、ステップS24において取得された風向情報を利用して、ニオイ発生元として特定されるべき発生元候補を発生元候補データベースにおいて検索する。より具体的には、制御部11は、観測点の位置情報に対して風向情報によって特定される向きに位置する発生元候補を検索する。たとえば、風向情報が「北西」である場合(すなわち、風が観測点に対して北西の方向から吹いている場合)、制御部11は、観測点の位置情報に対して北西の方向に位置する範囲において位置情報を有する発生元候補をニオイ発生元として特定する。なお、発生元候補データベースにおいて、観測点の位置情報に対して風向情報によって特定される向きに位置する発生元候補が登録されていない場合、制御部11は、ニオイ発生元がされなかったと判断する。
【0053】
ステップS28にて、制御部11は、ステップS26における検索によってニオイ発生元が特定されたか否かを判断する。制御部11は、ニオイ発生元が特定された場合には(ステップS28にてYES)、ステップS32へ制御を進め、ニオイ発生元が特定されなかった場合には(ステップS28にてNO)、ステップS30へ制御を進める。
【0054】
ステップS30にて、制御部11は、ニオイが検出されたことをディスプレイ14に報知する。
【0055】
図7は、ディスプレイ14の表示画面の他の例を示す図である。
図7の表示画面142は、発生したニオイの種類を表す文字列「ニオイの種類:X」と、ニオイ発生元が特定されなかったことを表す文字列「ニオイの発生元:特定できませんでした。」とを含む。一実現例では、制御部11は、ステップS30にて、表示画面142をディスプレイ14に表示する。その後、制御部11は、ステップS10へ制御を戻す。
【0056】
ステップS32にて、制御部11は、ニオイが検出されたことを、特定されたニオイ発生元を表す情報とともにディスプレイ14に報知する。
【0057】
図8は、ディスプレイ14の表示画面のさらに他の例を示す図である。
図7の表示画面143は、発生したニオイの種類を表す文字列「ニオイの種類:A」と、特定されたニオイ発生元を表す文字列「ニオイの発生元:OC1」とを含む。一実現例では、制御部11は、ステップS32にて、表示画面142をディスプレイ14に表示する。その後、制御部11は、ステップS10へ制御を戻す。
【0058】
以上説明された
図5の処理によれば、観測点において検出されたニオイについて、観測点の位置情報と風向情報に基づいてニオイ発生元が特定される。
【0059】
以上の説明において、「報知」の一例としてディスプレイ14での画面の表示が採用された。この意味において、ディスプレイ14は出力ユニットの一例である。なお、「報知」は、音声の出力などの他の態様によって実現されてもよい。
【0060】
ニオイ検出装置10は、他のニオイ検出装置との間で発生元候補データベースを共有することができる。すなわち、ニオイ検出装置10は、発生元候補データベースを生成する必要はなく、他のニオイ検出装置で生成された(または、他の記憶装置に格納されている)発生元候補データベースを利用してステップS26の制御を実施してもよい。
【0061】
制御部11は、風向計18からの検出出力の代わりに、観測点の位置情報に対応する気象データを観測点の風向情報として取得してもよい。一実現例では、制御部11は、通信部17を介して風向情報を取得する。この意味において、通信部17は、風向取得ユニットの一例を構成する。一実現例では、制御部11は、気象用API(Application Programming Interface)サーバから、観測点の気象データを取得する。
【0062】
ニオイ検出装置10は、ポータブルなデバイスによって実現されてもよい。ニオイ検出装置10が一定の場所に固定されている場合、発生元候補の近隣の住人に、発生元候補からニオイが発生する可能性を積極的に意識させることによって過度な不安を与える可能性がある。ニオイ検出装置10がポータブルなデバイスによって実現されることにより、ニオイ検出装置10は、ニオイ検出のときにのみ発生元候補の近傍に位置すればよく、これにより、発生元候補の近隣の住人に過度な不安を与える可能性が低減される。
【0063】
なお、ニオイ検出装置10において、少なくともニオイセンサー12A~12DとGPSセンサー19とがポータブルなユニットとして構成され、その他の要素は、装置本体として、所与の場所に固定されていてもよい。たとえば、ユーザが、ニオイセンサー12A~12DとGPSセンサー19とをポータブルなユニットを持って所与の敷地内を移動する。当該ユニットには、ニオイセンサー12A~12Dの検出結果の履歴が、GPSセンサー19によって検出される位置情報の履歴および時刻情報とともに、格納される。その後、上記ユニットが上記本体に結合される。制御部11は、上記検出結果の履歴と位置情報の履歴とを利用して、ニオイが発生したときの位置情報とその時刻を取得する。制御部11は、さらに、通信部17を介して、ニオイが発生した時刻の、ニオイが発生したときの位置情報に対応する気象データを取得する。そして、制御部11は、ニオイが発生したタイミングにおける観測点の位置情報と風向情報とを利用して、ニオイ発生元を特定する。
【0064】
[5.ニオイの種類をさらに利用したニオイ発生元の特定]
図5の処理では、ニオイ検出装置10は、ニオイの発生が検出されたときの、観測点における位置情報および風向情報に基づいてニオイ発生元を特定する。なお、ニオイ検出装置10は、さらに観測点において検出されたニオイの種類を利用して、ニオイ発生元を特定してもよい。
【0065】
図9は、ニオイ検出装置がニオイ発生元を特定する状況のさらに他の例を示す図である。
図10は、発生元候補データベースのデータ構造の他の例を示す図である。
【0066】
図9の状態ST31には、4つの発生元候補OC1,OC2,OC3,OC4が示されている。
図1の状態ST11では、矢印AR11で示される向きの風によって観測点PT1にニオイが送られる位置に1つの発生元候補OC1のみが存在しているのに対し、
図9の状態ST31では、矢印AR11で示される向きの風によって観測点PT1にニオイが送られる位置に2つの発生元候補OC1,OC4が存在している。
【0067】
図10に示されたデータ構造は、
図4に示されたデータ構造と比較して、発生元候補OC4の情報をさらに含む。
図10に示されるように、発生元候補OC1のニオイの種類は「A」であるのに対し、発生元候補OC4のニオイの種類は「C」である。制御部11は、観測点PT1において検出されたニオイの種類が「A」であれば、発生元候補OC1をニオイ発生元として特定することができ、また、観測点PT1において検出されたニオイの種類が「C」であれば、発生元候補OC4をニオイ発生元として特定することができる。
【0068】
この場合、
図5の処理は以下のように変更される。すなわち、制御部11は、ステップS16において、ニオイの発生が検出された場合に、ニオイの種類を特定する。そして、制御部11は、ステップS26において、ステップS22において取得された位置情報、ステップS24において取得された風向情報、および、ステップS16において特定されたニオイの種類を利用して、発生元候補データベースを検索する。より具体的には、制御部11は、観測点の位置に対して風向情報で特定される向きに位置し、かつ、特定されたニオイの種類に関連付けられた発生元候補を、ニオイ発生元として、発生元候補データベースにおいて検索する。
【0069】
[6.システムによる実現例]
以上説明された実施の形態では、ニオイ検出装置10が、データベースの生成とニオイ発生元の特定の双方を実施する。一方、データベースの生成とニオイ発生元の特定は、ニオイ検出装置10に対応する端末を含むシステムにおいて実現されてもよい。
【0070】
図11は、本開示の実施の形態に従うシステムの構成の一例を示す図である。
図11に示されたシステムは、第1端末10A(ニオイ検出用端末)、第2端末10B(データ生成要求端末)、およびサーバー20を含む。
【0071】
第1端末10Aは、
図3に示されたニオイ検出装置10の構成と同様の構成を有していても良い。
【0072】
図12は、第2端末10Bの構成の一例を示す図である。第1端末10A(ニオイ検出装置10)は風向計18を有しているのに対し、第2端末10Bは、風向計18を有していない。
【0073】
図13は、サーバー20の構成の一例を示す図である。サーバー20は、主な構成要素として、CPU201、RAM202、ストレージ203、ディスプレイ204、入力装置205、およびNIC(Network Interface)206を含む。
【0074】
CPU201は、サーバー20の動作を制御する。RAM202は、CPU201における処理実行時のワークエリアとして機能する。ストレージ203は、CPU201が実行する各種のプログラムおよびプログラムの実行に利用されるデータを格納する、不揮発性記憶装置である。ディスプレイ204は、CPU201によって実行されるプログラムの処理結果を示す画像を表示する、表示装置である。入力装置205は、ユーザーからの操作を受け付け、一実現例では、キーボード、操作キー、および/または、タッチセンサーによって実現される。NIC206は、サーバー20をネットワークを介して他の装置(第1端末10Aおよび第2端末10B)と通信させる通信インターフェースである。
【0075】
図11のシステムでは、第2端末10Bは、2以上の発生元候補OC4のそれぞれの位置情報およびニオイの種類をサーバー20へ提供する。サーバー20は、第2端末10Bから提供された情報を利用して、発生元候補データベースを生成する。
【0076】
一方、第1端末10Aは、観測点の位置情報と風向情報をサーバー20へ提供する。サーバー20は、第1端末10Aから提供された情報を利用して、ニオイ発生元を特定する。サーバー20は、特定したニオイ発生元を、発生元情報として、第1端末10Aに通知する。サーバー20は、さらに、ニオイ発生元に関連付けられたニオイの種類を、発生元情報として、第1端末10Aに通知してもよい。サーバー20は、第1端末10Aから提供された情報によってニオイの発生が検出されたがニオイ発生元が特定されなかった場合には、その旨を第1端末10Aに通知してもよい。第1端末10Aは、サーバー20からの通知に従った情報を報知してもよい。
【0077】
図14は、
図11のシステムにおいて実施される処理のフローチャートである。
図14には、第1端末10A、第2端末10B、およびサーバー20において実施される処理が示されている。一実現例では、第1端末10A、第2端末10B、およびサーバー20の各々では、各々のCPUが所与のプログラムを実行することによって
図14の処理が実現される。
【0078】
図14に示されるように、ステップSB10にて、第2端末10Bは、サーバー20へ、データベース生成用データを送信する。データベース生成用データとは、2以上の発生元候補の位置情報とニオイの種類である。一実現例では、ユーザーが第2端末10Bを持って各発生元候補に行き、データベース生成用のスイッチを操作する。これに応じて、第2端末10Bは、各発生元候補について、GPSセンサー19の検出出力に基づく位置情報と、ニオイセンサー12A~12Dの検出出力に基づくニオイの種類とを、サーバー20へ送信する。
【0079】
ステップSC10にて、サーバー20は、第2端末10Bから供給されたデータベース生成用データを利用して、発生元候補データベースを生成する。ステップSC10の制御は、
図5のステップS12の制御に相当する。
【0080】
ステップSA10にて、第1端末10Aは、ニオイ検出の指示を入力されたか否かを判断する。第1端末10Aは、この指示が入力されたと判断するまでステップSA10の制御を繰り返し(ステップSA10にてNO)この指示が入力されたと判断すると(ステップSA10にてYES)、ステップSA20へ制御を進める。ステップSA10の制御は、
図5のステップS14の制御に相当する。
【0081】
ステップSA20にて、第1端末10Aは、ニオイの検出を実施する。より具体的には、第1端末10Aは、ニオイセンサー12A~12Dの検出出力に基づいて、何らかのニオイが発生しているか否かを特定する。ステップSA20の制御は、
図5のステップS16の制御に相当する。
【0082】
ステップSA30にて、第1端末10Aは、ステップSA20におけるニオイ検出の結果に基づいて、何らかのニオイが発生しているか否かを判断する。第1端末10Aは、何らかのニオイが発生していると判断した場合には(ステップSA30にてYES)、ステップSA50へ制御を進める。一方、第1端末10Aは、ステップSA20におけるニオイ検出の結果としてニオイの発生が無いことを特定した場合には(ステップSA30にてNO)、ステップSA40へ制御を進める。ステップSA30の制御は、
図5のステップS18の制御に相当する。
【0083】
ステップSA40にて、第1端末10Aは、ディスプレイ14にニオイの発生が無いことを報知する。ステップSA40の制御は、
図5のステップS20の制御に相当する。その後、第1端末10Aは、ステップS10へ制御を戻す。
【0084】
ステップSA50にて、第1端末10Aは、GPSセンサー19の検出出力に基づいて、観測点の位置情報を取得する。ステップSA60にて、第1端末10Aは、風向計18の検出出力に基づいて、観測点の風向情報を取得する。ステップSA50,SA60の制御は、
図5のステップS22,S24の制御に相当する。
【0085】
ステップSA70にて、第1端末10Aは、サーバー20へ、発生元情報の要求を送信する。この要求は、ステップSA50において検出された位置情報と、ステップSA60において検出された風向情報とを含む。
【0086】
サーバー20は、第1端末10Aから発生元情報の要求を取得すると、ステップSC20にて、第1端末10Aから提供された情報を利用して、ニオイ発生元として特定されるべき発生元候補を発生元候補データベースにおいて検索する。ステップSC20の制御は、
図5のステップS26の制御に相当する。
【0087】
ステップSC30にて、サーバー20は、ステップSC20における検索の結果を、発生元情報として、第1端末10Aに通知する。
【0088】
ステップSA80にて、第1端末10Aは、サーバー20から提供された検索の結果を報知する。検索結果が、ニオイ発生元が特定されなかったことを示す場合、ステップSA80において、第1端末10Aは、
図5のステップS30として説明されたような情報の報知を実施してもよい。検索結果が、ニオイ発生元が特定されたことを示す場合、ステップSA80において、第1端末10Aは、
図5のステップS32として説明されたような情報の報知を実施してもよい。
【0089】
以上説明された
図14の処理では、ユーザーが観測点で第1端末10Aに対してニオイ検出の指示を入力すると、第1端末10Aは、ニオイの発生を検出する。ニオイの発生が検出された場合には、第1端末10Aは、サーバー20に対して、ニオイ発生元の特定を要求する。サーバー20は、第1端末10Aからの要求に応じて、発生元候補データベースにおいて、ニオイ発生元として特定されるべき発生元候補を検索し、その結果を第1端末10Aへ通知する。検索結果は、第1端末10Aにおいて報知される。なお、検索結果は、第1端末10Aにおいて報知される代わりに、または、第1端末10Aにおける報知に加えて、サーバー20において報知されてもよい。
【0090】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0091】
10 ニオイ検出装置、10A 第1端末、10B 第2端末、11 制御部、12A,12B,12C,12D ニオイセンサー、13 メモリー、14,204 ディスプレイ、15 操作スイッチ群、16 バッテリー、17 通信部、18 風向計、19 センサー、20 サーバー、141,142,143 表示画面、202 RAM、203 ストレージ、205 入力装置。