(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097589
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001141
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 展行
(57)【要約】
【課題】既設または新設の開閉装置において、巻取軸の脱落を確実に防止することができる開閉装置を提供することを課題とする。
【解決手段】躯体Bに設置される開閉装置であって、巻取軸2と、前記巻取軸2に巻装されるシャッターカーテン3と、前記巻取軸2を回転自在に支持する左右一対のブラケット4と、を備え、前記躯体Bには、前記ブラケットが取り付け固定されるとともに、前記ブラケット4に隣接して、前記左右一対の前記ブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限する移動制限部材10,20が取り付け固定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に設置される開閉装置であって、
巻取軸と、
前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、
前記巻取軸を回転自在に支持する左右一対のブラケットと、
を備え、
前記躯体には、前記ブラケットが取り付け固定されるとともに、前記ブラケットに隣接して、前記左右一対の前記ブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限する移動制限部材が取り付け固定されている
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記移動制限部材は、略水平状に配置される板状の第1板状部と、前記第1板状部の前後方向の後端縁に連接された略鉛直に延びる板状の第2板状部と、前記第1板状部の左右方向の側端縁に連接された略鉛直に延びる板状の第3板状部と、を有し、
前記第2板状部は、前記躯体に取り付け固定されるとともに、前記第3板状部は、前記ブラケットに対向して配置されることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記移動制限部材の前記第3板状部は、前記ブラケットに当接するように対向配置されることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記移動制限部材の前記第3板状部は、前記ブラケットと所定距離だけ離間するように対向配置されることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項5】
前記ブラケットと前記第3板状部との対向する前記所定距離だけ離間した空間には、前記ブラケットと前記第3板状部とが接触した場合に生じる当接音を低減させる緩衝部材が配置されていることを特徴とする請求項4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記移動制限部材は、前記ブラケットの上縁側に隣接して配置される上側の前記移動制限部材と、前記ブラケットの下縁側に隣接して配置される下側の前記移動制限部材とを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記移動制限部材の前記第1板状部は、平面視において前方に向かって先細りとなるように形成されていることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記移動制限部材の前記第1板状部には、貫通する開口が設けられていることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項9】
前記移動制限部材の前記第1板状部は、長尺に形成されるとともに、前記第2板状部及び前記第3板状部に跨るように連接されていることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、天井部材で仕切られている天井裏空間に、左右のブラケットが配置され、これらのブラケットに巻取軸の軸方向の両端部が回転自在に支持されているシャッター装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシャッター装置は、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸を備え、この巻取軸の軸方向の両端部に設けられた軸部は、軸受け部材を介して左右のブラケットに回転自在に支持されている。
ところで、このような構造を有するシャッター装置においては、例えば、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合、シャッター装置が振動し、ブラケットと巻取軸とが相対変位(相対移動)することで、巻取軸の軸部がブラケット側の軸受け部材から脱落することも考えられ、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、既設または新設の開閉装置(例えば、シャッター装置)において、巻取軸の脱落を確実に防止することができる開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸と、前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、前記巻取軸を回転自在に支持する左右一対のブラケットと、を備え、前記躯体には、前記ブラケットが取り付け固定されるとともに、前記ブラケットに隣接して、前記左右一対の前記ブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限する移動制限部材が取り付け固定されていることを特徴とする開閉装置。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシャッター装置の全体を示す概略正面図である。
【
図2】同シャッター装置の全体(要部)を示す概略斜視図である。
【
図3】同シャッター装置におけるブラケットと移動制限部材との配置の例を示す概略斜視図である。
【
図4】同シャッター装置におけるブラケットと移動制限部材との配置の例を示し、
図4(a)は概略側面図であり、
図4(b)は概略正面図である。
【
図5】移動制限部材の他の例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本明細書中、「左右方向」とは、開閉装置(シャッター装置)の横幅方向(
図1の左右方向)を意味し、「前後方向」とは、「左右方向」に略直交する水平方向(
図1の紙面手前側及び
図4(a)の左側が「前方」、
図1の紙面奥側及び
図4(a)の右側が「後方」)を意味し、「上下方向」とは、開閉装置(シャッター装置)における上下方向(
図1~
図4の上下方向)を意味する。
また、巻取軸の「軸方向」とは、上記「左右方向」と同方向を意味する。
本発明の実施形態は、例えば、開閉装置の一例である防災用のシャッター装置1として構成される。
【0009】
(シャッター装置の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るシャッター装置の全体を示す概略正面図であり、
図2は、同シャッター装置の全体(要部)を示す概略斜視図である。シャッター装置1は、巻取軸2と、巻取軸2に巻装されるシャッターカーテン3と、巻取軸2を回転自在に支持する左右一対のブラケット4と、巻取軸2を正逆回転させる開閉機6と、を含み構成されている。
【0010】
巻取軸2は、
図1に示すように、天井材Aで形成される天井によって仕切られる天井裏空間T1に配置されている。この巻取軸2には、通常時、シャッターカーテン3が巻き取られており、火災等の非常事態発生時にシャッターカーテン3が巻取軸2から繰り出されて閉じ移動することにより、室内空間T2に防災区画が形成される。
巻取軸2の軸方向の両端部は、左右一対のブラケット4により回転自在に支持される。また、巻取軸2の左右方向一方側の軸部2aの先端部には軸部2aと一体回転する従動回転体2b(例えば、従動スプロケット)が外嵌されている。
【0011】
シャッターカーテン3は、多数のスラットを上下に連設することによって形成されたカーテン本体部3aと、このカーテン本体部3aの下端部に取り付けられた座板3bを含み構成されている。シャッターカーテン3は、室内空間T2に配置される壁等の躯体Cに取り付けられた左右一対のガイドレール8に案内されて上下方向に移動する。
【0012】
左右一対のブラケット4は、巻取軸2を回転自在に支持する支持部をなし、防災用のシャッター装置1が設置される建物等の構造物(躯体B)にアンカー部材等の固定手段により取り付けられる。構造物(躯体B)は、例えば金属材(山形、I形、C形、H形等の鋼材)あるいは非金属材(木材など)からなる複数の柱材B1を有し、これら柱材B1が上下方向及び横方向に組まれて構成されている。
なお、構造物(躯体B)は、複数の柱材B1に、例えば、不燃材として、無機材料からなる、石膏ボード、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)、ALC板、フレキシブルボード等からなる下地材(不図示)が取り付けられて構成されてもよい。
【0013】
左右一対のブラケット4は、
図3及び
図4に示すように、例えば、平板状の本体部4aと、本体部4aの上縁部から左右方向外方に向けて折曲された上側フランジ部4bと、本体部4aの下縁部から左右方向外方に向けて折曲された下側フランジ部4cと、本体部4aの後方の縁部から左右方向内方に向けて折曲された取付部4dと、を備えて構成されている。
なお、
図3及び
図4には、シャッター装置1における左右方向の一方側(右側)に配置されるブラケット4が示されているが、左右方向の他方側(左側)に配置されるブラケット4も同様に構成されている。
【0014】
ブラケット4の本体部4aには、巻取軸2の軸部2aを挿入するための切欠き部4a1が形成されている。この切欠き部4a1は、ブラケット4の前方に向かって開口する凹部をなすように形成されており、この切欠き部4a1に、例えばビス等の止着具でブラケット4の内側に止着されている軸受け部材5を介して巻取軸2の軸部2aが回転自在に支持される。
【0015】
ブラケット4の上側フランジ部4b及び下側フランジ部4cは、後述する移動制限部材10,20とそれぞれ対向するように配置されている。
ブラケット4の取付部4dは、躯体Bに対する取付部をなし、例えば上下に延在する躯体Bの柱材B1にアンカー部材等の固定手段や溶接(柱材B1が金属の場合)によって取り付け固定される。
【0016】
開閉機6は、巻取軸2を回転駆動するためのものであり、
図2に示すように、左右一対のブラケット4のうち、一方のブラケット4に取り付けられる。例えば、ブラケット4の前端縁に、ネジやビス等の一体化手段により連結した支持板9に開閉機6を設置することができる。
【0017】
開閉機6は、例えば電動モータ等からなる開閉機本体6a、出力軸(不図示)及び駆動回転体6b(例えば、駆動スプロケット)を含み構成されており、支持板9の内面に開閉機本体6aが固定支持される。この開閉機本体6aの出力軸は、支持板9に形成された貫通孔(不図示)から外方に突出し、その先端部に出力軸と一体回転する駆動回転体6bが外嵌されている。
【0018】
開閉機6の駆動回転体6bと、巻取軸2の軸部2aに外嵌された従動回転体2b(例えば、従動スプロケット)との間には、例えば、伝動チェーンや伝動ベルト等からなる伝動連結体7が懸回され、開閉機6の正逆回転に伴い巻取軸2が正逆回転されるように構成されている。
この開閉機6の回転駆動は、不図示の自動閉鎖装置、手動閉鎖装置、操作部、検知器(煙感知器、熱感知器またはヒューズ装置)、リミットスイッチ等に接続される制御装置によって制御される。
【0019】
通常時のシャッターカーテン3は、このシャッターカーテン3の略全体が巻取軸2に巻き取られていることにより全開状態となっている。
火災が発生すると、煙等を検知した不図示の検知器からの信号により、制御装置が開閉機を作動させてシャッターカーテン3を下方へ閉じ移動させる。シャッターカーテン3は、
図1に示すように、室内空間T2に配置される壁等の躯体Cに取り付けられた左右一対のガイドレール8に案内されながら下方へ閉じ移動し、これにより、室内空間T2に防災区画が形成される。
なお、上述した実施形態は、開閉装置の一例である防災用のシャッター装置の例として説明したが、本発明の実施形態に係るシャッター装置は、出入口等の開口部をシャッターカーテンが開閉する各種シャッター装置にも適用可能である。
【0020】
(巻取軸の脱落防止部)
次に、シャッター装置1における巻取軸2の脱落を防止する脱落防止部の構成について説明する。
図3及び
図4には、シャッター装置1におけるブラケットと移動制限部材(脱落防止部)との配置の例が示されており、
図3はその概略斜視図であり、
図4(a)はその概略側面図であり、
図4(b)はその概略正面図である。
【0021】
この脱落防止部は、
図1に示すように、躯体B(柱材B1)に取り付け固定される移動制限部材10,20により構成される。この移動制限部材10,20は、ブラケットに隣接して配置され、左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限することで、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止する。
【0022】
本実施形態において、脱落防止部は、ブラケット4の左右方向外側に隣接して配置される複数の移動制限部材10,20により構成されており、ブラケット4の上縁側(例えば、上側フランジ部4b)に隣接して上側の移動制限部材10(以下「上側移動制限部材10」と称する。)が配置され、ブラケット4の下縁側(例えば、下側フランジ部4c)に隣接して下側の移動制限部材20(以下「下側移動制限部材20」と称する。)が配置されている。
【0023】
以下、各移動制限部材10,20の具体的な構成について説明する。
<上側移動制限部材>
上側移動制限部材10は、
図3及び
図4に示されるように、本体部をなす第1平面部10a(第1板状部)と、第1平面部10aの後端縁から下方に略垂直に延びる第2平面部10b(第2板状部)と、第1平面部10aの側端縁から下方に略垂直に延びる第3平面部10c(第3板状部)と、を有する。この上側移動制限部材10は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって、あるいは、合成樹脂により一体成形することができる。
【0024】
第1平面部10a(第1板状部)は、平面視略三角形状をなし、前方に向かって先細りに形成されている。この第1平面部10aは、躯体Bに上側移動制限部材10を設置した場合、略水平状に配置される。
この第1平面部10aは、第2平面部10b及び第3平面部10cに跨るように形成されており、第2平面部10b及び第3平面部10cを支持する本体部として強固な剛体構造を有している。
なお、第1平面部10aの形状は、特に限定されるものではないが、平面視略三角形状の先細りに形成することで、軽量化及びコンパクト化が図れ、上側移動制限部材10の設置性も向上する。
【0025】
第2平面部10b(第2板状部)は、複数のネジ孔10b1を有し、躯体Bの柱材B1に当接する取付部位をなす。この第2平面部10bは、ネジ孔10b1に挿通される取付けネジ等の固定手段や溶接(柱材B1が金属の場合)によって躯体Bの柱材B1に固定される。
【0026】
第3平面部10c(第3板状部)は、ブラケット4の上側フランジ部4bの左右方向外方の端面4b1と対向するように配置される。本実施形態において、第3平面部10cの外面10c1は、ブラケット4における上側フランジ部4bの端面4b1に対して、所定距離Dだけ離間して配置(
図4(b)参照)されている。
この所定距離Dは、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(
図1の左右方向)外側に所定範囲以上変位(移動)することを抑制するように設定されている。つまり、左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限するように設定されている。
【0027】
また、ブラケット4の上側フランジ部4bの左右方向外方の端面4b1と上側移動制限部材10の第3平面部10cの外面10c1とが対向する所定距離Dだけ離間した空間には、ブラケット4の上側フランジ部4bと上側移動制限部材10の第3平面部10cとが接触した場合に生じる当接音を低減させるゴムや樹脂材等の材料からなる緩衝部材30が配置されている。
【0028】
緩衝部材30が配置されていない場合には、地震等によってブラケット4が巻取軸2の軸方向(
図1の左右方向)に変位(ブラケット4が先拡がり状に拡開移動)すると、ブラケット4の上側フランジ部4bと、上側移動制限部材10の第3平面部10cとが当接(接触)し、その当接(接触)による当接音(接触音)が生じることになるが、本実施形態では、上側移動制限部材10の第3平面部10cと、ブラケット4における上側フランジ部4bの端面4b1との間(所定距離D間)の空間に緩衝部材30が配置されているので、そのような当接音(接触音)を防止することができる。
【0029】
緩衝部材30は、上側移動制限部材10の第3平面部10c(外面10c1)に、両面テープや接着剤等の接着手段により固定することができる。
また、緩衝部材30は、第3平面部10cの外面10c1を含む全体を覆うようにキャップ状に被せて設けることもできる。
また、緩衝部材30は、ブラケット4の上側フランジ部4bの端面4b1を含む全体を覆うようにキャップ状に被せて設けることもできる。
【0030】
なお、
図3及び
図4には、シャッター装置1における左右方向の一方側(右側)に配置される上側移動制限部材10が示されているが、左右方向の他方側(左側)に配置される上側移動制限部材10も同様に構成されている。
【0031】
また、上記実施形態において、第3平面部10cの外面10c1は、ブラケット4における上側フランジ部4bの端面4b1に対して、所定距離Dだけ離間して配置しているが、第3平面部10cの外面10c1を、上側フランジ部4bの端面4b1に当接するように配置(緩衝部材30は配置しない)してもよい。この場合には、左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することをさらに制限することができる。
【0032】
<下側移動制限部材>
下側移動制限部材20は、
図3及び
図4に示されるように、本体部をなす第1平面部20a(第1板状部)と、第1平面部20aの後端縁から下方に略垂直に延びる第2平面部20b(第2板状部)と、第1平面部20aの側端縁から上方に略垂直に延びる第3平面部20c(第3板状部)と、を有する。この下側移動制限部材20は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって、あるいは、合成樹脂により一体成形することができる。
【0033】
第1平面部20a(第1板状部)は、平面視略三角形状をなし、前方に向かって先細りに形成されている。この第1平面部20aは、躯体Bに下側移動制限部材20を設置した場合、略水平状に配置される。
この第1平面部20aは、第2平面部20b及び第3平面部20cに跨るように形成されており、第2平面部20b及び第3平面部20cを支持する本体部として強固な剛体構造を有している。
なお、第1平面部20aの形状は、特に限定されるものではないが、平面視略三角形状の先細りに形成することで、軽量化及びコンパクト化が図れ、下側移動制限部材20の設置性も向上する。
【0034】
第2平面部20b(第2板状部)は、複数のネジ孔20b1を有し、躯体Bの柱材B1に当接する取付部位をなす。この第2平面部20bは、ネジ孔20b1に挿通される取付けネジ等の固定手段や溶接(柱材B1が金属の場合)によって躯体Bの柱材B1に固定される。
【0035】
第3平面部20c(第3板状部)は、ブラケット4の下側フランジ部4cの左右方向外方の端面4c1と対向するように配置される。本実施形態において、第3平面部20cの外面20c1は、ブラケット4における下側フランジ部4cの端面4c1に対して、所定距離Dだけ離間して配置(
図4(b)参照)されている。
この所定距離Dは、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、シャッター装置1のブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(
図1の左右方向)外側に所定範囲以上変位(移動)することを抑制するように設定されている。つまり、左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限するように設定されている。
【0036】
また、ブラケット4の下側フランジ部4cの左右方向外方の端面4c1と下側移動制限部材20の第3平面部20cの外面20c1とが対向する所定距離Dだけ離間した空間には、ブラケット4の下側フランジ部4cと下側移動制限部材20の第3平面部20cとが接触した場合に生じる当接音を低減させるゴムや樹脂材等の材料からなる緩衝部材30が配置されている。この緩衝部材30は、上述した上側移動制限部材10の第3平面部10cの外面10c1と、ブラケット4における上側フランジ部4bの端面4b1との間に配置した緩衝部材30と同様の構成であるのでその説明を省略する。
【0037】
なお、
図3及び
図4には、シャッター装置1における左右方向の一方側(右側)に配置される下側移動制限部材20が示されているが、左右方向の他方側(左側)に配置される下側移動制限部材20も同様に構成されている。
【0038】
また、上記実施形態において、第3平面部20cの外面20c1は、ブラケット4における下側フランジ部4cの端面4c1に対して、所定距離Dだけ離間して配置しているが、第3平面部20cの外面20c1を、下側フランジ部4cの端面4c1に当接するように配置(緩衝部材30は配置しない)してもよい。この場合には、左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することをさらに制限することができる。
【0039】
以上のとおり、上側移動制限部材10及び下側移動制限部材20を、ブラケット4の左右方向の外側に隣接して配置することで、地震等によって建物(躯体)に強い揺れが生じた場合であっても、各移動制限部材10,20によりブラケット4が、巻取軸2に対して巻取軸2の軸方向(
図1の左右方向)外側に所定範囲以上変位(移動)することを制限、つまり、左右一対のブラケット4が所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限することで、巻取軸2の軸部2aがブラケット4から脱落(抜出)するのを防止することができる。
【0040】
本発明の脱落防止部は、既設または新設の開閉装置(例えば、シャッター装置)に適用できる。
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0041】
上記実施態様において、左右の移動制限部材10,20の第1平面部10a,20aは、平面視略三角形状の先細りに形成したが、この形状、構造に限定されない。以下、本発明に係る移動制限部材の変形例について説明する。
[変形例1]
図5(a)には、本発明に係る移動制限部材の他の例(変形例1)を示す概略平面図が示されている。同図に示される移動制限部材40は、本体部をなす第1平面部40a(第1板状部)を平面視略矩形状(四角形状)に形成したものである。第2平面部40b(第2板状部)及び第3平面部40c(第3板状部)は、上述した上側移動制限部材10(
図3参照)の第2平面部10b及び第3平面部10cと同様に構成されている。
この移動制限部材40は、第1平面部40aが平面視略矩形状(四角形状)に形成されているため、本体部としてより強固な剛体構造を有している。
なお、移動制限部材40は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって、あるいは、合成樹脂により一体成形することができる。
【0042】
[変形例2]
図5(b)には、本発明に係る移動制限部材の他の例(変形例2)を示す概略平面図が示されている。同図に示される移動制限部材50は、本体部をなす第1平面部50a(第1板状部)に略矩形状に貫通する開口50a1を設け、平面視略矩形枠状(四角形状の枠)に形成したものである。第2平面部50b(第2板状部)及び第3平面部50c(第3板状部)は、上述した上側移動制限部材10(
図3参照)の第2平面部10b及び第3平面部10cと同様に構成されている。
この移動制限部材50は、第1平面部50aに開口50aが形成されているため、より軽量化が図れ、設置性も向上する。
なお、移動制限部材50は、例えば、金属製の板材を曲げ加工することによって、あるいは、合成樹脂により一体成形することができる。
【0043】
[変形例3]
図5(c)には、本発明に係る移動制限部材の他の例(変形例3)を示す概略平面図が示されている。同図に示される移動制限部材60は、直線状に延びる長尺に形成された本体部をなす第1平面部60a(第1板状部)を第2平面部60b(第2板状部)と第3平面部60c(第3板状部)に跨るように配置したものである。
第1平面部60aの一端側が第2平面部60bに連接されるとともに、第1平面部60aの他端側が第3平面部60cに連接される。
なお、第2平面部60b及び第3平面部60cは、上述した上側移動制限部材10(
図3参照)の第2平面部10b及び第3平面部10cと同様に構成されている。
この移動制限部材60は、第1平面部60aを直線状の長尺に形成しているため、より軽量化が図れ、設置性も向上する。
なお、移動制限部材60は、例えば、金属製の板材からなる第1平面部60a、第2平面部60b及び第3平面部60cのそれぞれを溶接することや、接着材により接合することで一体化することができる。また、合成樹脂により一体成形してもよい。
【0044】
[変形例4]
図5(d)には、本発明に係る移動制限部材の他の例(変形例4)を示す概略平面図が示されている。同図に示される移動制限部材70は、平面視略L字状に延びる長尺に形成された本体部をなす第1平面部70a(第1板状部)を第2平面部70b(第2板状部)と第3平面部70c(第3板状部)に跨るように配置したものである。第1平面部70aの一端側が第2平面部70bに連接されるとともに、第1平面部70aの他端側が第3平面部70cに連接される。
なお、第2平面部70b及び第3平面部70cは、上述した上側移動制限部材10(
図3参照)の第2平面部10b及び第3平面部10cと同様に構成されている。
この移動制限部材70は、第1平面部70aを平面視略L字状の長尺に形成しているため、より軽量化が図れ、設置性も向上する。
なお、移動制限部材70は、例えば、金属製の板材からなる第1平面部60a、第2平面部60b及び第3平面部60cのそれぞれを溶接することや、接着材により接合することで一体化することができる。また、合成樹脂により一体成形してもよい。
【0045】
また、上記実施形態において、脱落防止部は、ブラケット4の左右方向外側に隣接して配置される複数の移動制限部材10,20により構成され、ブラケット4の上縁側(例えば、上側フランジ部4b)に隣接して上側移動制限部材10が配置され、ブラケット4の下縁側(例えば、下側フランジ部4c)に隣接して下側移動制限部材20が配置されているが、そのいずれか一方の移動制限部材のみを配置するように構成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、上側移動制限部材10及び下側移動制限部材20の各第3平面部10c,20c(第3板状部)は、それぞれ、ブラケット4の上側フランジ部4bの左右方向外方の端面4b1及び下側フランジ部4cの左右方向外方の端面4c1と対向するように配置されているが、それぞれ、ブラケット4の本体部4aに対向するように配置してもよい。
【0047】
また、上記実施形態の上側移動制限部材10は、第2平面部10b(第2板状部)を第1平面部10a(第1板状部)の後端縁から下方に略垂直に延びるように形成するとともに、第3平面部10c(第3板状部)を第1平面部10a(第1板状部)の側端縁から下方に略垂直に延びるように形成し、下側移動制限部材20は、第2平面部20b(第2板状部)を第1平面部20a(第1板状部)の後端縁から下方に略垂直に延びるように形成するとともに、第3平面部20c(第3板状部)を第1平面部20a(第1板状部)の側端縁から上方に略垂直に延びるように形成しているが、その形状に限定されてない。
【0048】
例えば、各第2平面部10b,20b(第2板状部)を、各第1平面部10a,20a(第1板状部)の後端縁から上方に略垂直に延びるように形成するとともに、上側移動制限部材10については、第3平面部10c(第3板状部)を第1平面部10a(第1板状部)の側端縁から上方に略垂直に延びるように形成し、下側移動制限部材20については、第3平面部20c(第3板状部)を第1平面部20a(第1板状部)の側端縁から下方に略垂直に延びるように形成してもよい。
【0049】
また、例えば、各第1平面部10a,20a(第1板状部)の後端縁に各第2平面部10b,20b(第2板状部)を略Tの字状に連接するとともに、各第1平面部10a,20a(第1板状部)の側端縁に各第3平面部10c,20c(第3板状部)を略Tの字状に連接するように構成してもよい。
【0050】
このように、上側移動制限部材10及び下側移動制限部材20は、略水平状に配置される板状の第1板状部と、第1板状部の前後方向の後端縁に連接された略鉛直に延びる板状の第2板状部と、第1板状部の左右方向の側端縁に連接された略鉛直に延びる板状の第3板状部と、を有するように構成されればよい。
【0051】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
躯体に設置される開閉装置であって、巻取軸と、前記巻取軸に巻装されるシャッターカーテンと、前記巻取軸を回転自在に支持する左右一対のブラケットと、を備え、前記躯体には、前記ブラケットが取り付け固定されるとともに、前記ブラケットに隣接して、前記左右一対の前記ブラケットが所定範囲を超えて先拡がり状に拡開移動することを制限する移動制限部材が取り付け固定されていることを特徴とする開閉装置(
図1~
図5参照)。
(2)
前記移動制限部材は、略水平状に配置される板状の第1板状部と、前記第1板状部の前後方向の後端縁に連接された略鉛直に延びる板状の第2板状部と、前記第1板状部の左右方向の側端縁に連接された略鉛直に延びる板状の第3板状部と、を有し、前記第2板状部は、前記躯体に取り付け固定されるとともに、前記第3板状部は、前記ブラケットに対向して配置されることを特徴とする上記(1)記載の開閉装置(
図3~
図5参照)。
(3)
前記移動制限部材の前記第3板状部は、前記ブラケットに当接するように対向配置されることを特徴とする上記(2)記載の開閉装置。
(4)
前記移動制限部材の前記第3板状部は、前記ブラケットと所定距離だけ離間するように対向配置されることを特徴とする上記(2)記載の開閉装置(
図3、
図4参照)。
(5)
前記ブラケットと前記第3板状部との対向する前記所定距離だけ離間した空間には、前記ブラケットと前記第3板状部とが接触した場合に生じる当接音を低減させる緩衝部材が配置されていることを特徴とする上記(4)記載の開閉装置(
図3、
図4参照)。
(6)
前記移動制限部材は、前記ブラケットの上縁側に隣接して配置される上側の前記移動制限部材と、前記ブラケットの下縁側に隣接して配置される下側の前記移動制限部材とを含むことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の開閉装置(
図1~
図4参照)。
(7)
前記移動制限部材の前記第1板状部は、平面視において前方に向かって先細りとなるように形成されていることを特徴とする上記(2)~(6)のいずれかに記載の開閉装置(
図3参照)。
(8)
前記移動制限部材の前記第1板状部には、貫通する開口が設けられていることを特徴とする上記(2)~(7)のいずれかに記載の開閉装置(
図5(b)参照)。
(9)
前記移動制限部材の前記第1板状部は、長尺に形成されるとともに、前記第2板状部及び前記第3板状部に跨るように連接されていることを特徴とする上記(2)~(6)のいずれかに記載の開閉装置。
【符号の説明】
【0052】
2:巻取軸
3:シャッターカーテン
4:ブラケット
10:上側移動制限部材(移動制限部材)
10a:第1平面部(第1板状部)
10b:第2平面部(第2板状部)
10c:第3平面部(第3板状部)
20:下側移動制限部材(移動制限部材)
20a:第1平面部(第1板状部)
20b:第2平面部(第2板状部)
20c:第3平面部(第3板状部)
30:緩衝部材
40,50,60,70:移動制限部材
40a,50a,60a,70a:第1平面部(第1板状部)
40b,50b,60b,70b:第2平面部(第2板状部)
40c,50c,60c,70c:第3平面部(第3板状部)
B:躯体