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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097601
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】塗料組成物及び塗膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/02 20060101AFI20240711BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20240711BHJP
   C08G 18/78 20060101ALI20240711BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240711BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240711BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 167/04 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 175/08 20060101ALI20240711BHJP
   C09D 171/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C09D175/02
C08G18/40
C08G18/78 037
C08G18/28 015
C08G18/32 028
C08G18/65 023
C09D167/04
C09D175/06
C09D175/08
C09D171/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001164
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳司郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽子
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA02
4J034CA15
4J034CA17
4J034CB01
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC09
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG08
4J034DG09
4J034DG10
4J034DG12
4J034DG14
4J034DP12
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB05
4J034HC03
4J034HC22
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA32
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4J038PB05
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】塗膜伸度に優れる塗膜を製造できる塗料組成物、及び前記塗料組成物を用いた塗膜の提供。
【解決手段】ポリアスパラティック主剤と、ポリイソシアネート組成物と、を含む塗料組成物であって、ポリイソシアネート組成物は、(A)、(B)及び(C)から誘導され、アロファネート基を含有するポリイソシアネートを含み、(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートであり、(B)は、炭素数が1~20のアルコールであり、(C)は、弾性成分ポリオールである、塗料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアスパラティック主剤と、ポリイソシアネート組成物と、を含む塗料組成物であって、
前記ポリイソシアネート組成物は、(A)、(B)及び(C)から誘導され、アロファネート基を含有するポリイソシアネートを含み、
前記(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートであり、
前記(B)は、炭素数が1~20のアルコールであり、
前記(C)は、数平均分子量が400以上20000以下のポリオールであって、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、側鎖を有するポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、又はポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種類の弾性成分ポリオールである、塗料組成物。
【請求項2】
前記(B)は、炭素数6~20のモノアルコールであり、
前記(C)は、数平均分子量が3500以上20000以下のポリオールであって、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、側鎖を有するポリエステルポリオール、オレフィン系ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種類以上であり、
前記ポリイソシアネートは、実質的にイソシアヌレート基を含まず、アロファネート基を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートの2量体以上からなるポリイソシアネート前駆体であり、
前記ポリイソシアネート前駆体は、イソシアヌレート基及びアロファネート基を有し、前記イソシアヌレート基と前記アロファネート基とのモル比(イソシアヌレート基:アロファネート基)は、1:99以上80:20以下である、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
金属又はプラスチックの塗装に用いられる、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項5】
建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として用いられる、請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の塗料組成物を硬化させた塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物及び塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレア塗料組成物のうち脂肪族系であるポリアスパラティック塗料組成物は、アミノ基を含有するアスパラギン酸エステル化合物並びにイソシアネート基を含有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネート組成物から形成される。芳香族系ポリウレア塗料組成物の欠点である紫外線暴露で塗膜黄変することが大きく低減されて、従来から各種塗料、床材、防水材等の広範囲な用途で利用されている。
【0003】
アスパラギン酸エステル化合物は、ポリウレタン塗料組成物の主剤ポリオールと比較して粘度が低く、ポリアスパラティック塗料組成物中の希釈溶剤を大幅に低減させられるために、ハイソリッド処方や無溶剤処方とすることが可能である。また、アスパラギン酸エステル化合物のアミノ基と脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基との反応性が速いために、ポリアスパラティック塗料組成物はポリウレタン塗料組成物と比較して室温下でも硬化速度が速く、機械強度に優れているという特長を有している。
【0004】
例えば、特許文献1には、アスパラギン酸エステル骨格を有する第二級アミノ基を含有するポリアミン成分と、脂肪族ポリイソシアネート組成物でイソシアネート基を含有するポリイソシアネート成分とからなる、脂肪族系ポリウレア塗料組成物であるポリアスパラティック塗料組成物が開示されている。当該塗料組成物は比較的にポットライフが長く、塗膜硬度が高いことから高圧衝突混合スプレー機を使用せずに施工可能であるという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3-43472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された方法では、得られる塗膜において、塗膜伸度が不足する場合がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、塗膜伸度に優れる塗膜を製造できる塗料組成物、及び前記塗料組成物を用いた塗膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]ポリアスパラティック主剤と、ポリイソシアネート組成物と、を含む塗料組成物であって、前記ポリイソシアネート組成物は、(A)、(B)及び(C)から誘導され、アロファネート基を含有するポリイソシアネートを含み、前記(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートであり、前記(B)は、炭素数が1~20のアルコールであり、前記(C)は、数平均分子量が400以上20000以下のポリオールであって、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、側鎖を有するポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、又はポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種類の弾性成分ポリオールである、塗料組成物。
[2]前記(B)は、炭素数6~20のモノアルコールであり、前記(C)は、数平均分子量が3500以上20000以下のポリオールであって、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、側鎖を有するポリエステルポリオール、オレフィン系ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種類以上であり、前記ポリイソシアネートは、実質的にイソシアヌレート基を含まず、アロファネート基を有する、[1]に記載の塗料組成物。
[3]前記(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートの2量体以上からなるポリイソシアネート前駆体であり、前記ポリイソシアネート前駆体は、イソシアヌレート基及びアロファネート基を有し、前記イソシアヌレート基と前記アロファネート基とのモル比(イソシアヌレート基:アロファネート基)は、1:99以上80:20以下である、[1]又は[2]に記載の塗料組成物。
[4]金属又はプラスチックの塗装に用いられる、[1]~[3]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[5]建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として用いられる、[1]~[3]のいずれか1つに記載の塗料組成物。
[6][1]~[5]のいずれか1つに記載の塗料組成物を硬化させた塗膜。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗膜伸度に優れる塗膜を製造できる塗料組成物、及び前記塗料組成物を用いた塗膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<塗料組成物>
本実施形態の塗料組成物は、ポリアスパラティック主剤と、ポリイソシアネート組成物と、を含む。
以下、各成分について説明する。
【0011】
≪ポリアスパラティック主剤≫
ポリアスパラティック主剤は、下記式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物である。
【0012】
【化1】
〔式(I)中、Xはn価のポリアミンの第一級アミノ基を除去することによって得られたn価の有機基であり、R及びRは反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である同じ又は異なった有機基であり、nは2以上の整数である。〕
【0013】
(X)
一般式(I)において、Xは、n価の有機基である。
【0014】
n価の有機基としては、脂肪族基であってもよく、芳香族基であってもよい。前記脂肪族基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。また、nは後述のとおり、2以上の整数である。
【0015】
前記直鎖状又は分岐状の脂肪族基としては、例えば、アルカンジイル基(アルキレン基)、アルキリデン基、アルキリジン基等が挙げられる。
【0016】
前記環状の脂肪族基としては、例えば、シクロアルキレン基等が挙げられる。
【0017】
前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基等のアリーレン基が挙げられる。
【0018】
Xとしてより具体的には、本実施形態のポリアスパラティック塗料組成物の耐黄変性の観点から、炭素数2以上20以下の直鎖状、分岐状又は環状の2価の脂肪族基であることが好ましい。前記炭素数2以上20以下の直鎖状、分岐状又は環状の2価の脂肪族基としては、例えば、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、2,2,4-トリメチルヘキサメチレン基、2,4,4-トリメチルヘキサメチレン基、3,3,5-トリメチル-5-メチルシクロヘキシレン基、ジシクロヘキシルメチレン基、3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメチレン基等が挙げられる。
【0019】
(R及びR
一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である有機基である。
【0020】
なお、本明細書において、「反応条件下でイソシアネート基に対して不活性」とは、R及びRが、水酸基、アミノ基、又はチオール基のようなツェレビチノフ活性水素含有基(CH酸性化合物)を有さないことを意味する。
【0021】
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であることがより好ましい。
【0022】
及びRは、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0023】
(n)
一般式(I)において、nは2以上の整数である。
中でも、nは、2以上6以下の整数であることが好ましく、2以上4以下の整数であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましく、2が特に好ましい。
【0024】
≪式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物の製造方法≫
式(I)で表されるアスパラギン酸エステル化合物は、国際公開第2018/163959号に記載の方法により製造できる。
【0025】
≪ポリイソシアネート組成物≫
本実施形態の塗料組成物は、ポリイソシアネート組成物を含む。ポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤として作用する。
ポリイソシアネート組成物は、(A)、(B)及び(C)から誘導され、アロファネート基を含有するポリイソシアネートを含む。
(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートである。
(B)は、炭素数が1~20のアルコールである。
(C)は、数平均分子量が400以上20000以下のポリオールであって、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、側鎖を有するポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、又は炭素数2以上20以下のジオールからなる群より選ばれる少なくとも2種類のジオールとカーボネート化合物とを共重合したポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種類の弾性成分ポリオールである。
【0026】
(A)
(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネートである。
【0027】
脂肪族ジイソシアネートとは分子中に飽和脂肪族基を有する化合物である。一方、脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有する化合物である。脂肪族ジイソシアネートを用いると、得られるポリイソシアネート組成物が低粘度となるので、好ましい。
【0028】
脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等が挙げられる。
【0029】
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;以下、「IPDI」と略記する場合がある)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン等が挙げられる。
【0030】
これらジイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、(A)ジイソシアネートとしては、工業的に入手し易いため、HDI、IPDI、水添キシリレンジイソシアネート又は水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。また、耐候性及び塗膜の柔軟性が非常に優れていることから、HDIが特に好ましい。
以下、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートを総称してジイソシアネートという場合がある。
【0031】
本実施形態において(A)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種類のジイソシアネートの2量体以上からなるポリイソシアネート前駆体であってもよい。
ポリイソシアネート前駆体は、イソシアヌレート基及びアロファネート基を有し、イソシアヌレート基とアロファネート基とのモル比(イソシアヌレート基:アロファネート基)は、1:99以上80:20以下であることが好ましい。
【0032】
2量体以上のジイソシアネートからなるポリイソシアネート前駆体は、下記式(1)で表されるポリイソシアヌレート基と下記式(2)で表されるアロファネート基の両方を有する。
【0033】
【化2】
【0034】
ポリイソシアネート前駆体におけるイソシアヌレート基とアロファネート基のモル比は0:100以上80:20以下であることが好ましく、上限は1:99が最も好ましい。下限は70:30以下がより好ましく、50:50以下がさらに好ましい。最も好ましいのは、5/95以下である。実質的にイソシアヌレート基を含まず、アロファネート基を含有する、ここでの「実質的に」とは、イソシアヌレート基とアロファネート基とのモル比が5/95以下である事を指す。モル比が上記範囲内にあることにより、相溶性、乾燥性、伸展性により優れる。イソシアヌレート基とアロファネート基のモル比は、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0035】
(B)
(B)は、炭素数が1~20のアルコールである。炭素数6~20のモノアルコールであることが好ましい。
アルコールの炭素数は、16以下が好ましく、12以下がより好ましく、9以下がさらに好ましい。炭素数が上記上限値以下であれば、塗膜の硬度が十分である。
アルコールの炭素数の下限値は特に限定されないが、6以上であると有機溶剤への溶解力が高くなりやすい。
【0036】
また本発明で用いるアルコールは、例えばメタノール、エタノール、ブタノールが使用できる。
また、分子内にエーテル基を含むもの、例えば、1-ブトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-ブトキシプロパノール、2-ブトキシプロパノール、3-ブトキシプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル等であってもよい。また、エステル基、カルボニル基、フェニル基、例えば、ベンジルアルコール等を含んでもよいが、好ましいのは飽和炭化水素基だけからなるモノアルコールである。更に、分岐を有しているモノアルコールがより好ましい。このようなモノアルコールとして例えば1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。この中で1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、1,3,5-トリメチルシクロヘキサノールがより好ましい。1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノールは、粘度がより低くなるため、より好ましい。2-ヘキサノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノールは、粘度もより低くなるので最も好ましい。
【0037】
本実施形態において、(B)は、炭素数が6~20のモノアルコールであることが好ましい。
(B)アルコールは1種類でも2種類以上混合して用いてもよい。
【0038】
(C)
(C)数平均分子量が400~20000であり、a)オキシプロピレン基、及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、b)側鎖を有するポリエステルポリオール、及びc)ポリオレフィン系ポリオール、d)炭素数2以上20以下のジオールからなる群より選ばれる少なくとも2種類のジオールとカーボネート化合物とを共重合したポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種類の弾性成分ポリオールを用いる。
【0039】
弾性成分ポリオールの数平均分子量は400~20000である。a)オキシプロピレン基、及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、b)側鎖を有するポリエステルポリオール、及びc)ポリオレフィン系ポリオールにおいては、数平均分子量は、3500以上が好ましい。数平均分子量は、15000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、8000以下が特に好ましい。数平均分子量が400~20000の範囲であれば、塗料組成物から得られる塗膜の低温時の伸展性が十分であり、かつ塗膜の硬化性も十分となる。
【0040】
a)オキシプロピレン基、及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオールとは、分子鎖の中に、オキシプロピレン基及び/またはオキシテトラメチレン基を有するポリエーテルポリオールである。この場合、オキシアルキレン繰り返し単位に、その他のオキシアルキレン基、具体的にはオキシエチレン基、あるいはオキシスチレン基などを含有していてもよい。側鎖を有するオキシプロピレン基及び/またはオキシテトラメチレン基が好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、最も好ましくは80モル%以上であると、有機溶剤への溶解性が更に向上する。また、オキシアルキレン基の中では、オキシプロピレン基は有機溶剤への溶解性が特に優れており、オキシテトラメチレン基は耐候性が優れている。
【0041】
このようなポリエーテルポリオールとして、ポリプロピレングリコールあるいはトリオール、ポリプロピレングリコールの末端にエチレンオキサイドを付加重合させた所謂プルロニック(登録商標)タイプのポリプロピレングリコールあるいはトリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンコポリマージオールあるいはトリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマージオールあるいはトリオール、ポリテトラメチレングリコールあるいはトリオール、ポリオキシジメチルプロピレンポリオキシブチレンコポリマージオールあるいはトリオール、ポリオキシジメチルプロピレンポリオキシブチレンブロックポリマージオールあるいはトリオールなどが挙げられる。特にポリプロピレングリコールあるいはトリオール、ポリプロピレングリコールの末端にエチレンオキサイドを付加重合させた所謂プルロニック(登録商標)タイプのポリプロピレングリコールあるいはトリオールが好ましい。ポリプロピレングリコールの末端にエチレンオキサイドを付加重合させた所謂プルロニック(登録商標)タイプのポリプロピレングリコールあるいはトリオールは反応性が優れているためにより好ましい。このようなポリエーテルポリオールとしては、エクセノール840(商品名、旭硝子株式会社製、ポリプロピレントリオール(末端エチレンオキサイド付加)、数平均分子量6500)、エクセノール510(商品名、旭硝子株式会社製、ポリプロピレングリコール(末端エチレンオキサイド付加)、数平均分子量4000)、プレミノール3010(商品名、旭硝子株式会社製、ポリプロピレントリオール、数平均分子量12000)などが挙げられる。
【0042】
ポリエーテルポリオールの製造方法としては、多価アルコール、多価フェノール、ポリアミン、アルカノールアミンの単独または混合物、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、エチレンジアミンなどのジアミンの単独または混合物に;例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒、または金属ポルフィリン、複合金属シアン化合物錯体、金属と3座配位以上のキレート化剤との錯体、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属錯体を使用して;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド必要に応じて、エチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られる方法や、多価アルコールを脱水縮合して得られる方法などが挙げられる。
【0043】
b)側鎖を有するポリエステルポリオールとは、原料となる二塩基酸、及び/または多価アルコールに側鎖を有するものである。ここでの側鎖は、ポリオールの数平均分子量が3500~20000である限りは、特に限定されない。このような化合物として、例えば、ダイマー酸(必要に応じてアジピン酸やイソフタル酸)とエチレングリコール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマー酸を還元して得られたダイマージオールから選ばれるジオールから得られるポリエステルポリオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールあるいは2-メチル-1,8-オクタンジオールと、アジピン酸から得られるポリエステルポリオールが挙げられる。このようなポリエステルポリオールとして、例えば、クラレポリオールP-4010(商品名、株式会社クラレ製、3-メチル-1,5-ペンタンジオールを用いたポリエステルポリオール、数平均分子量4000)などが挙げられる。
【0044】
ポリエステルポリオールの製造方法としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、12-ヒドロキシステアリルジオール、ダイマー酸を還元したジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等の多価アルコールの単独または混合物とを公知の縮合反応を行うことによって得ることができる。例えば、上記の成分を一緒にし、そして約160~220℃で加熱することによって行うことができる。更に、例えばε-カプロラクトンなどのラクトン類を、好ましくは側鎖を有する多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。原料に用いる二塩基酸、多価アルコールの少なくとも1方の原料は側鎖を有する必要がある。
【0045】
c)ポリオレフィン系ポリオールとは、ブタジエンやイソプレンなど分子内に2つの二重結合を有する化合物を重合して得られた末端OH基ポリマーに、水素添加することで、残存した二重結合を飽和脂肪族化した化合物である。ここで用いられる分子内に2つの二重結合を有する化合物は、生成したポリオールの数平均分子量が400~20000である限りは、特に限定されない。これらのポリオレフィン系ポリオールは、有機溶剤への溶解性が非常に優れている。
【0046】
d)ポリカーボネートジオールについて説明する。特に限定されないが、炭素数2~20のジオールからなる群より選ばれる少なくとも2種のジオール(以下、単に「2種のジオール」ともいう。)と、カーボネート化合物と、を共重合したものが好ましい。以下、ポリカーボネートジオールについて説明する。
【0047】
本実施形態で用いるポリカーボネートジオールの数平均分子量は、400~20000が好ましく、400~2500がより好ましく、500~2000がさらに好ましい。数平均分子量が上記範囲内であることにより、柔軟性及び作業性により優れる傾向にある。数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0048】
〔ポリカーボネートジオールの製造方法〕
ポリカーボネートジオールの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、2種のジオールと、カーボネート化合物と、を脱アルコール反応、脱フェノール反応等することにより得ることができる。または、高分子量のポリカーボネートポリオールを、2種のジオールを用いて、エステル交換反応することにより得ることができる。なお、ジオールと、カーボネート化合物との重合反応を行う方法に特に限定はなく、公知の方法、例えばH.Schnell著「Polymer Reviews 第9巻」(米国Interscience Publishers社より1964年に発行)の第9~20頁に記載の種々の方法等を用いることが出来る。
【0049】
上記2種のジオールとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジオール及び芳香族ジオールからなる群より選ばれるジオールが挙げられる。このなかでも、水酸基を2つ有する、炭素数が2~20のアルキレングリコールが好ましい。このようなジオールを用いることにより、ポリイソシアネート組成物を用いて得られる塗膜の耐候性及び耐薬品性がより優れる傾向にある。ここで「アルキレン基」とは、分岐を有してもよく、かつ脂環構造を含んでもよい。これらの2官能アルコールは、単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記ジオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、p-キシリレンジオール、p-テトラクロロキシリレンジオール、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、ビスヒドロキシメチルテトラヒドロフラン、ジ(2-ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,6’-ジヒドロキシエチルヘキシルエーテル、2,4’-ジヒドロキシエチルブチルエーテル、2,5’-ジヒドロキシエチルペンチルエーテル、2,3’-ジヒドロキシ-2’,2’-ジメチルエチルプロピルエーテル、チオグリコール等が挙げられる。
【0051】
この中でも、炭素数2~11のジオールが好ましく、炭素数3~6のジオールがより好ましい。また、ジオールの組み合わせとしては、炭素数5のジオールと炭素数6のジオールとの組み合わせ、炭素数4のジオールの2種以上の異性体の組み合わせ、又は炭素数4のジオールと炭素数6のジオールとの組み合わせがより好ましい。このような2種のジオールを用いることにより、ポリイソシアネート組成物を用いて得られる塗膜の伸展性、耐
熱性、耐水性(耐加水分解性)がより優れる傾向にある。このようなジオールとしては、特に限定されないが、具体的には、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及び2-メチル-1,3プロパンジオールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せが好ましく、1,6-ヘキサンジオールと1,5-ペンタンジオールの組合せ、1,6-ヘキサンジオールと1,4-ブタンジオールの組合せ、1,4-ブタンジオールと2-メチル-1,3プロパンジオールの組合せがより好ましい。
【0052】
ポリカーボネートジオールの製造に用いられるカーボネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート及びホスゲンから選ばれる化合物が挙げられる。このようなカーボネート化合物としては、特に限定されないが、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。このなかでも、製造の容易さの点でジエチルカーボネートが好ましい。
【0053】
本実施形態において(C)は、数平均分子量が400以上20000以下のポリオールであって、オキシプロピレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる少なくとも1種類以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオール、側鎖を有するポリエステルポリオール、オレフィン系ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種類以上であることが好ましい。
【0054】
本発明で用いる弾性成分ポリオールの量は、ポリイソシアネートに対して、好ましくは8~40質量%である。弾性成分ポリオールの量の上限は、より好ましくは35質量%、最も好ましくは30質量%である。下限は、より好ましくは10質量%である。弾性成分ポリオールの量が8~40質量%の範囲である場合に、塗料組成物から得られる塗膜に十分な伸展性を付与できる。
【0055】
なお、アロファネート基とイソシアヌレート基のモル比は、1H-NMRにより求めることができる。HDIおよびそれから得られるイソシアネートプレポリマーを原料として用いたポリイソシアネート組成物を1H-NMRで測定する方法の一例を以下に示す。
1H-NMRの測定方法例:ポリイソシアネート化合物を重水素クロロホルムに10質量%の濃度で溶解する(ポリイソシアネート化合物に対して0.03質量%テトラメチルシランを添加)。化学シフト基準は、テトラメチルシランの水素のシグナルを0ppmとする。1H-NMRにて測定し、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素に結合した水素原子(アロファネート基1molに対して、1molの水素原子)のシグナルと、3.85ppm付近のイソシアヌレート基に隣接したメチレン基の水素原子(イソシアヌレート基1モルに対して、6molの水素原子)のシグナルの面積比を測定し、以下の計算式でモル比を求める。
アロファネート基/イソシアヌレート基=(8.5ppm付近のシグナル面積)/(3.85ppm付近のシグナル面積/6)
【0056】
また、ウレトジオン体は、熱などにより解離してHDIを生成し易いため、含有量を削減することが好ましい。ウレトジオン体の含有量は、ポリイソシアネート組成物に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に一層好ましくは3質量%以下である。ウレトジオン体の含有量の測定は、ゲル濾過クロマトグラフィー(以下、GPC)の分子量336程度のピークの面積の割合を視差屈折計で測定することで求めることができる。336程度のピーク付近に測定の障害となるようなピークがある場合は、FT-IRを用いて、1770cm-1程度のウレトジオン基のピークの高さと、1720cm-1程度のアロファネート基のピークの高さの比を、内部標準を用いて定量する方法によっても求めることができる。
【0057】
以下、GPCの測定方法について述べる。ポリイソシアネート化合物の分子量に関する測定値は、全て以下の測定方法で行ったものである。使用機器:HLC-8120(東ソー株式会社製)、使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(何れも東ソー株式会社製)、試料濃度:5wt/vol%(例えば、試料50mgを1mlのTHFに溶解する)、キャリア:THF、検出方法:視差屈折計、流出量0.6ml/min.、カラム温度40℃)。GPCの検量線は、分子量50000~2050のポリスチレン(ジーエルサイエンス株式会社製PSS-06(Mw50000)、BK13007(Mp=20000、Mw/Mn=1.03)、PSS-08(Mw=9000)、PSS-09(Mw=4000)、及び5040-35125(Mp=2050、Mw/Mn=1.05))と、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート組成物(デュラネートTPA-100、旭化成ケミカルズ株式会社製)のイソシアヌレート体の3量体~7量体(イソシアヌレート3量体分子量=504、イソシアヌレート5量体分子量=840、イソシアヌレート7量体分子量=1176)及びHDI(分子量=168)を標準として作成した。
【0058】
ビウレット体、その他のジイソシアネート重合体は、有機溶剤への溶解性が低下するため、含有量が多くなるのは好ましくない。本発明のポリイソシアネート組成物にビウレット体、その他のジイソシアネート重合体が含まれる量の範囲としては、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に一層好ましくは3質量%以下が適当である。
【0059】
本発明で用いるポリイソシアネートのイソシアネート基含有量(以下、NCO含有量)は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で5~20質量%である。NCO含有量の下限は、好ましくは、6質量%、より一層好ましくは7質量%、最も好ましくは8質量%である。上限は、好ましくは19質量%、より好ましくは18質量%、最も好ましくは17質量である。5~20質量%の範囲であれば有機溶剤に十分溶解して、かつ十分な架橋性を有するポリイソシアネート組成物を得ることができる。
【0060】
本発明で用いるポリイソシアネートの25℃での粘度は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で好ましくは100~20000mPa.sである。粘度の下限は、より好ましくは150mPa.s、より一層好ましくは180mPa.s、更に一層好ましくは200mPa.sである。粘度の上限は、より好ましくは17000mPa.s、より一層好ましくは15000mPa.sである。100mPa.s以上であれば十分な架橋性を有するポリイソシアネート組成物を得ることができる。20000mPa.s以下であればVOC成分を減らした塗料組成物を得ることが可能となる。
【0061】
以下、本発明で用いるポリイソシアネートの製造方法について説明する。
本発明で用いるポリイソシアネートを製造する方法は、様々な方法が考えられるが、好ましい代表的な合成方法を以下に記載する。
(1)C6~20のモノアルコールとジイソシアネートを、ウレタン化反応し、その後、あるいは同時にアロファネート化反応を行い、未反応のジイソシアネートを精製により除去した後、弾性成分ポリオールとウレタン化反応し、本発明で用いるポリイソシアネートを得る方法。
(2)C6~20のモノアルコールとジイソシアネートを、ウレタン化反応し、その後、あるいは同時にアロファネート化反応を行い、反応停止剤でアロファネート化反応を停止した後、弾性成分ポリオールとウレタン化反応し、未反応のジイソシアネートを精製により除去することによって、本発明で用いるポリイソシアネートを得る方法。
(3)C6~20のモノアルコールとジイソシアネートと弾性成分ポリオールを、ウレタン化反応し、その後、あるいは同時にアロファネート化反応を行った後、未反応のジイソシアネートを精製により除去することによって、本発明で用いるポリイソシアネートを得る方法。
(4)C6~20のモノアルコールとジイソシアネートを、ウレタン化反応し、その後、あるいは同時にアロファネート化反応を行い、未反応のジイソシアネートを精製により除去する事により得られるポリイソシアネート化合物と、弾性成分ポリオールとジイソシアネートを、ウレタン化反応し、必要に応じて、未反応のジイソシアネートを精製により除去することによって得られるポリイソシアネート化合物とを混合する事によって、本発明で用いるポリイソシアネートを得る方法。
(5)C6~20のモノアルコールとジイソシアネートを、ウレタン化反応し、その後、あるいは同時にアロファネート化反応を行い、反応停止剤でアロファネート化反応を停止した反応液と、弾性成分ポリオールとジイソシアネートを、ウレタン化反応し、必要に応じて、その後、あるいは同時にアロファネート化反応を行い、反応停止剤でアロファネート化反応を停止した反応液とを混合し、未反応のジイソシアネートを精製により除去することによって、本発明で用いるポリイソシアネート化合物を得る方法。
上記(1)~(5)の方法を組み合わせて行ってもよい。
【0062】
ウレタン化反応は、好ましくは20~200℃、より好ましくは40~150℃、より一層好ましくは60~120℃で、好ましくは10分~24時間、より好ましくは15分~15時間、より一層好ましくは20分~10時間行われる。20℃以上で反応が速く、200℃以下でウレトジオン化などの副反応が抑制され、また着色も抑制される。時間は、10分以上であれば反応を完結させることが可能となり、24時間以下であれば生産効率に問題が無く、また副反応も抑制される。ウレタン化反応は、無触媒で、またはスズ系、アミン系などの触媒の存在下で行う事ができる。
【0063】
アロファネート化反応は、好ましくは20~200℃の温度で行われる。より好ましくは、40~180℃であり、より一層好ましくは60~160℃である。更に一層好ましくは90~150℃であり、最も好ましいのは110~150℃である。20℃以上で、アロファネート化触媒の量が少なくなると共に、反応の終結までに必要な時間が短い。また200℃以下で、ウレトジオン化などの副反応が抑制され、また、反応生成物の着色が抑えられる。
【0064】
(1)~(5)の方法でアロファネート化反応を行う場合は、触媒を用いた方が好ましく、特に生成するポリイソシアネートのアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が95/5~100/0となる触媒を選択する必要がある。このような触媒として、亜鉛、錫、ジルコニウム、ジルコニル等のカルボン酸塩等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
アロファネート化触媒は、反応液総質量を基準にして、好ましくは0.001~2.0質量%、より好ましくは、0.01~0.5質量%の量にて用いられる。0.001質量%以上で触媒の効果が十分に発揮できる。2重量%以下で、アロファネート化反応の制御が容易である。
【0065】
本発明において、アロファネート化触媒の添加方法は限定されない。例えば、ウレタン基を含有する化合物の製造の前、即ちジイソシアネートと水酸基を有する有機化合物のウレタン化反応に先だって添加してもよいし、ジイソシアネートと水酸基を有する有機化合物のウレタン化反応中に添加してもよく、ウレタン基含有化合物製造の後に添加してもよい。また、添加の方法として、所要量のアロファネート化触媒を一括して添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。または、一定の添加速度で連続的に添加する方法も採用できる。
【0066】
ウレタン化反応やアロファネート化反応は、無溶媒中で行うことができる。必要に応じて酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等の芳香族系溶剤、ジアルキルポリアルキレングリコールエーテル等のイソシアネート基との反応性を有していない有機溶剤、およびそれらの混合物を溶媒として使用する事ができる。
【0067】
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートを誘導するための触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化反応触媒が挙げられる。イソシアヌレート化反応触媒としては、特に限定されないが、好ましくは一般に塩基性を有するもので、例えば、(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩、(2)トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩、(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩、(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物が挙げられる。
【0068】
この中で、不要な副生成物を生じさせにくい観点からは、好ましくは4級アンモニウムの有機弱酸塩であり、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩である。
上述したイソシアヌレート化反応触媒は、仕込んだジイソシアネートモノマーの質量に対して、好ましくは10質量ppm以上1000質量ppm以下である。その上限値は、より好ましくは500質量ppmであり、さらに好ましくは100質量ppmである。また、イソシアヌレート化反応温度としては、好ましくは50℃以上120℃以下であり、より好ましくは60℃以上90℃以下である。イソシアヌレート化反応温度が120℃以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等を効果的に抑制できる傾向にある。
本発明におけるウレタン化反応、アロファネート化反応、イソシアヌレート化の過程は、反応液のNCO含有率を測定するか、屈折率を測定する事により追跡できる。
【0069】
アロファネート化反応、イソシアヌレート化反応は、室温に冷却するか、反応停止剤を添加することにより停止できる。触媒を用いる場合、反応停止剤を添加するほうが、副反応を抑制することができるために、好ましい。反応停止剤を添加する量は、触媒に対して、好ましくは0.25~20倍のモル量、より好ましくは0.5~16倍のモル量、より一層好ましくは1.0~12倍のモル量である。0.25倍以上で、完全に失活させることが可能となる。20倍以下で保存安定性が良好となる。反応停止剤としては、触媒を失活させるものであれば何を使ってもよい。反応停止剤の例としては、リン酸、ピロリン酸等のリン酸酸性を示す化合物、リン酸、ピロリン酸等のモノアルキルあるいはジアルキルエステル、モノクロロ酢酸などのハロゲン化酢酸、塩化ベンゾイル、スルホン酸エステル、硫酸、硫酸エステル、イオン交換樹脂、キレート剤等が挙げられる。工業的な観点からは、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、およびリン酸モノアルキルエステルや、リン酸ジアルキルエステルは、ステンレスを腐食し難いので、好ましい。リン酸モノエステルや、リン酸ジエステルとして、たとえば、リン酸モノエチルエステルや、リン酸ジエチルエステル、リン酸モノブチルエステルやリン酸ジブチルエステル、リン酸モノ(2-エチルヘキシル)エステルや、リン酸ジ(2-エチルヘキシル)エステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸ジデシルエステル、リン酸モノラウリルエステル、リン酸ジラウリルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸ジトリデシルエステル、リン酸モノオレイルエステル、リン酸ジオレイルエステルなど、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
また、シリカゲルや活性炭等の吸着剤を停止剤として用いることも可能である。この場合、反応で使用するジイソシアネートに対して、0.05~10質量%の添加量が好ましい。
【0070】
反応終了後、ポリイソシアネートからは、未反応のジイソシアネートや溶媒を分離してもよい。安全性を考えると、未反応のジイソシアネートは分離した方が好ましい。未反応のジイソシアネートや溶媒を分離する方法として、例えば、薄膜蒸留法や溶剤抽出法が挙げられる。
【0071】
(任意成分)
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物、上記主剤に加えて、更に、酸化防止剤を含有していてもよい。なお、酸化防止剤は、塗料組成物を製造する段階で添加してもよく、予めポリイソシアネート組成物に添加しておいてもよい。また、酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0072】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、耐光安定剤、耐熱安定剤等として用いられている酸化防止作用を有する物質が挙げられる。
【0073】
耐光安定剤として用いられている酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤、トリアジン系酸化防止剤、シアノアクリレート系酸化防止剤等が挙げられる。
【0074】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アデカスタブLA-52(商品名)、アデカスタブLA-68(商品名)、アデカスタブLA-77Y(商品名)(それぞれ株式会社アデカ製)、チヌビン(Tinuvin)622(商品名)、チヌビン765(商品名)、チヌビン770(商品名)、チヌビン791(商品名)(それぞれBASF社製)等が挙げられる。
【0075】
ベンゾフェノン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、Chimassorb81(商品名)(BASF社製)等が挙げられる。
【0076】
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、チヌビンP(商品名)、チヌビン234(商品名)(それぞれBASF社製)等が挙げられる。
【0077】
トリアジン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、チヌビン1577ED(商品名)(BASF社製)等が挙げられる。
【0078】
シアノアクリレート系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、Uvinul3035(商品名)(BASF社製)等が挙げられる。
【0079】
耐熱安定剤として用いられている酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン含有系酸化防止剤、硫黄含有系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、ヒドロキシアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0080】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」と略記する場合がある)、イルガノックス1010(商品名)、イルガノックス1135(商品名)、イルガノックス1330(商品名)、イルガノックス3114(商品名)、イルガノックス565(商品名)、イルガノックス1520L(商品名)(それぞれBASF社製)、アデカスタブAO-20(商品名)、アデカスタブAO-30(商品名)、アデカスタブAO-50(商品名)、アデカスタブAO-60(商品名)、アデカスタブAO-80(商品名)(それぞれ株式会社アデカ製)等が挙げられる。
【0081】
リン含有系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アデカスタブPEP-8(商品名)、アデカスタブHP-10(商品名)、アデカスタブ1178(商品名)、アデカスタブC(商品名)(それぞれ株式会社アデカ製)、イルガフォス168、イルガフォス38(商品名)(BASF社製)、スミライザーGP(商品名)(住友化学株式会社製)等が挙げられる。
【0082】
硫黄含有系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガノックスPS800FL(商品名)(BASF社製)等が挙げられる。
【0083】
ビタミンE系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガノックスE201(商品名)(BASF社製)等が挙げられる。
【0084】
ヒドロキシアミン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガスタブFS042(商品名)(BASF社製)等が挙げられる。
【0085】
中でも、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダートアミン系酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、及び、リン含有酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、酸化防止剤としては、チヌビン765(商品名)、BHT、イルガノックス565(商品名)、アデカスタブC(商品名)、及び、スミライザーGP(商品名)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0086】
≪塗料組成物の製造方法≫
本実施形態の塗料組成物は、溶剤塗料組成物で有用であり、以下に示す製造方法により得られる。
【0087】
本実施形態の塗料組成物が溶剤ベースの塗料組成物である場合には、例えば、まず、ポリアスパラティック主剤又はその溶剤希釈物に、必要に応じて、各種添加剤を加えたものに、上記ポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加する。次いで、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの塗料組成物を得ることができる。
また、ポリアスパラティック主剤を主成分とする主剤成分と、上記ポリイソシアネート組成物を主成分とする硬化剤成分と、上記各種添加剤の混合順序は特に限定されず、例えば、以下の順番で混合することができる。
1)各種添加剤を予め混合した主剤成分に、塗装現場において硬化剤成分を混合する。
2)塗装現場において主剤成分及び硬化剤成分を混合した後に、各種添加剤を混合する。
3)各種添加剤を予め混合した主剤成分に、塗装現場において各種添加剤を予め混合した硬化剤成分を混合する。
【0088】
<塗料組成物の使用用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法による塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。
また、本実施形態の塗料組成物は、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材から構成される成形品に対する塗料としても有用であり、金属又はプラスチックに対する塗料として特に好適である。
また、本実施形態の塗料組成物は、例えば、建築用塗料、重防食用塗料、自動車用塗料、情報家電用塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器用塗料に好適であり、建築構造物、自動車車体、自動車用金属部品、自動車用プラスチック部品、情報家電製品用金属部品又は情報家電製品用プラスチック部品のトップクリアー塗料として特に好適である。
【0089】
≪塗膜≫
本実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を硬化させてなるものであり、常に、安定した品質を発現し、且つ、耐水性、耐候性、屈曲性及び密着性に優れる。
また、本実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を硬化させてなるものであり、常に、安定した品質を発現し、且つ、耐酸性及び塗膜伸度に優れる。
【0090】
<塗膜の製造方法>
本実施形態の塗膜の製造方法は、上記塗料組成物を硬化させる工程を含む方法である。
【0091】
本実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法による塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の塗装方法を用いて、被塗物上に塗装した後に硬化させることで製造することができる。
被塗物としては、上記「<塗料組成物の使用用途>」において例示された素材から構成される成形品と同様のものが挙げられる。
【実施例0092】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における、ポリイソシアネート組成物の物性及び評価は、以下のとおり測定及び評価を行なった。なお、特に明記しない場合は、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0093】
アロファネート基とイソシアヌレート基のモル比は、1H-NMR(Bruker社製FT-NMR DPX-400)を用いて、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素原子上の水素のシグナルと、3.8ppm付近のイソシアヌレート基のイソシアヌレート環の窒素原子の隣のメチレン基の水素のシグナルの面積比から求めた。
NCO含有率は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンと反応させた後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
【0094】
粘度は、E型粘度計(株式会社トキメック社)を用いて25℃で測定した。標準ローター(1°34’×R24)を用い、回転数は、以下の通りとした。
100r.p.m.(128mPa.s未満の場合)
50r.p.m.(128mPa.s~256mPa.sの場合)
20r.p.m.(256mPa.s~640mPa.sの場合)
10r.p.m.(640mPa.s~1280mPa.sの場合)
5r.p.m.(1280mPa.s~2560mPa.sの場合)
【0095】
(イソシアネート平均官能基数(平均NCO数))
酢酸n-ブチル添加前のポリイソシアネート組成物を試料として、下記式によりイソシアネート平均官能基数(平均NCO数)を求めた。
【0096】
平均イソシアネート(NCO)数=(Mn×NCO%×0.01)/42
【0097】
式中、「NCO%」は、イソシアネート基含有率を表し、後述する(イソシアネート基含有率(NCO%))で得られた値を用いた。また、「Mn」は、数平均分子量を表し、以下に示す測定条件にてGPC測定を行い、ポリスチレン基準の分子量として求めた。
【0098】
(測定条件)
装置:HLC-8320GPC(TOSOH)
カラム:TSKgelSuperH2500×1本(TOSOH)
TSKgelSuperH4000×1本(TOSOH)
TSKgelSuperH5000×1本(TOSOH)
TSKgelSuperH6000×1本(TOSOH)
キャリアー:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
試料濃度:1.0質量%
注入量:20μL
温度:40℃
検出方法:示差屈折計
【0099】
(イソシアネート基含有率(NCO%))
NCO%は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
【0100】
[合成例1A]
撹拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコの内部を窒素置換し、HDIを1200gと2-エチル-1-ヘキサノールを93gとを仕込み、撹拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃に昇温後、アロファネート化触媒として2-エチルヘキサン酸ジルコニルの20%ミネラルスピリット溶液を0.42g加えた。60分後、反応液の屈折率の上昇が0.0055となった時点で、ピロリン酸の固形分10%2-エチル-1-ヘキサノール溶液(太平化学産業製、商品名「リン酸(105%)」を2-エチル-1-ヘキサノールで希釈したもの)を3.9g加え、反応を停止した。反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)で未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート化合物は透明の液体であり、収量330g、粘度100mPa.s、NCO含有率17.4%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は97/3であった。得られたポリイソシアネートをポリイソシアネー組成物A-1とする。
【0101】
[合成例2A]
合成例1Aと同様の装置に、HDIを1000gと2-エチル-1-ヘキサノールを100gとを仕込み、撹拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムの固形分10%n-ブタノール溶液を0.36g加えた。反応液の屈折率のNCO含有率が35.8%となった時点で、リン酸の固形分85%水溶液の0.58g(触媒に対して4.0倍モル)を加え、反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1Aと同様の方法で未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネート化合物は透明の液体であり、収量480g、粘度450mPa.s、NCO含有率17.7%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は63/37であった。得られたポリイソシアネートをポリイソシアネー組成物A-2とする。
【0102】
[合成例3A]
合成例1Aと同様の装置に、HDIを600gとイソホロンジイソシアネートを600gと2-エチル-1-ヘキサノールを82gとを仕込み、撹拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃に昇温後、アロファネート化触媒として2-エチルヘキサン酸ジルコニルの20%ミネラルスピリット溶液を0.42g加えた。反応液の屈折率の上昇が0.0053となった時点で、ピロリン酸の固形分10%2-エチル-1-ヘキサノール溶液(太平化学産業製、商品名「リン酸(105%)」を2-エチル-1-ヘキサノールで希釈したもの)を3.9g加え、反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1Aと同様の方法で未反応のHDIとイソホロンジイソシアネートを除去した。
得られたポリイソシアネート化合物は透明の液体であり、収量320g、粘度230mPa.s、NCO含有率16.3%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は97/3であった。得られたポリイソシアネートをポリイソシアネー組成物A-3とする。
【0103】
[合成例4A]
合成例1Aと同様の装置に、合成例1Aで得られたポリイソシアネートポリイソシアネー組成物A-1を100gとエクセノール510(商品名、旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール(末端EO付加タイプ)、数平均分子量=4000)を39gとを加え、撹拌下120℃で6時間ウレタン化反応を行った。得られたポリイソシアネート化合物は、粘度700mPa.s、NCO含有率10.8%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比はで97/3であった。このポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-4とする。
【0104】
[合成例5A]
合成例1Aと同様の装置に、HDIを1000gと2-エチル-1-ヘキサノールを100gとエクセノール840(商品名、旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール(末端EO付加タイプ)、数平均分子量=6500)を80gとを仕込み、撹拌化130℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化触媒として2-エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム12%」をミネラルスピリットで希釈したもの)を0.50g加えた。反応液の屈折率の上昇が0.007となった時点でピロリン酸の固形分10%2-エチル-1-ヘキサノール溶液(太平化学産業製、商品名「リン酸(105%)」を2-エチル-1-ヘキサノールで希釈したもの)を4.6g(触媒に対して14.0倍モル)を加え反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1Aと同様の方法で未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量400g、粘度420mPa.s、NCO含有率13.5%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は97/3であった。得られたポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-5とする。
【0105】
[合成例6A]
合成例1Aと同様の装置に、HDIを700gと3,3,5-トリメチル-1-ヘキサノールを60gとエクセノール510(商品名、旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール(末端EO付加タイプ)、数平均分子量=4000)を50gとを仕込み、撹拌化90℃で1時間ウレタン化反応を行った。130℃に昇温後、アロファネート化触媒として2-エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム12%」をミネラルスピリットで希釈したもの)を0.20g加えた。反応液の屈折率の上昇が0.007となった時点でピロリン酸の固形分10%2-エチル-1-ヘキサノール溶液(太平化学産業製、商品名「リン酸(105%)」を2-エチル-1-ヘキサノールで希釈したもの)を1.8g(触媒に対して14.0倍モル)を加え反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1Aと同様の方法で未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量240g、粘度720mPa.s、NCO含有率10.5%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は97/3であった。得られたポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-6とする。
【0106】
[合成例7]
合成例5Aで得られたポリイソシアネートA-5を300gと合成例2Aで得られたポリイソシアネートA-2を19gとを混合した。得られたポリイソシアネートは、粘度430mPa.s、NCO含有率13.7%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は95/5であった。このポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-7とする。
【0107】
[合成例8A]
合成例1Aと同様の装置に、合成例3で得られたポリイソシアネート組成物A-3を100gとエクセノール510(商品名、旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール(末端EO付加タイプ)、数平均分子量=4000)を25gとを加え、撹拌下120℃で6時間ウレタン化反応を行った。得られたポリイソシアネート化合物は、粘度900mPa.s、NCO含有率11.0%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は97/3であった。このポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-8とする。
【0108】
[合成例9A]
合成例4Aで得たポリイソシアネートA-4の全量に対し、TINUVIN765を1質量部添加し、ポリイソシアネート組成物A-9とした。
【0109】
[合成例10A]
合成例1Aと同様の装置に、HDIを1000gと2-エチル-1-ヘキサノールを100gとエクセノール510(商品名、旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール(末端EO付加タイプ)、数平均分子量=4000)を80gとを仕込み、撹拌化90℃で1時間ウレタン化反応を行った。アロファネート化/イソシアヌレート化触媒としての2-エチルヘキサン酸ビスマスの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスビスマス25%」をミネラルスピリットで希釈したもの)を0.55g加えた。反応液の屈折率の上昇が0.01となった時点でリン酸2-エチルヘキシルエステル(城北化学工業株式会社製、商品名「JP-508」)を2.3g(触媒に対して4.0倍モル)を加え反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1Aと同様の方法で未反応のHDIを除去した。
得られたポリイソシアネートは透明の液体であり、収量500g、粘度450mPa.s、NCO含有率14.7%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は85/15であった。得られたポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-10とする。
【0110】
[合成例11A]
合成例1Aと同様の装置に、合成例1Aで得られたポリイソシアネート組成物A-1を53gと合成例2Aで得られたポリイソシアネートA-2を87gとエクセノール840(商品名、旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール(末端EO付加タイプ)、数平均分子量=6500)を60gとを仕込み、撹拌下120℃で5時間ウレタン化反応を行った。得られたポリイソシアネートは、粘度1200mPa.s、NCO含有率13.2%であった。NMRを測定したところ、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比は76/24であった。このポリイソシアネートをポリイソシアネート組成物A-11とする。
【0111】
<塗料組成物の製造>
主剤として、「Desmophen1420」(アスパラギン酸エステル化合物、Covest ro社製の商品名、アミン価201mgKOH/樹脂g)を使用した。表1中、アスパラギン酸エステル化合物を「PAE」と記載する。
硬化剤として、上記で得たポリイソシアネート組成物A-4~A-11を使用した。
主剤と硬化剤とを、NCO/NH=1.1となる割合で配合し、酢酸nーブチルで塗料固形分=90質量%となるよう調整して、実施例1A~5A、比較例1A~2Aの塗料組成物をそれぞれ得た。
【0112】
また、得られた各塗料組成物を用いて、下記に記載の方法により、耐衝撃性と塗膜伸度を評価した。結果を表1に示す。
【0113】
[耐衝撃性]
各塗料組成物を軟鋼板に乾燥後の膜厚が40μmとなるようアプリケーターを用いて塗装し、20℃、湿度63%の条件で、1週間塗膜養生を行った。その後、その塗板について耐衝撃性を評価した。耐衝撃性時評価は1/4鉄心で1000gの重りで測定を行い、塗膜が破壊された高さで評価した。
(評価基準)
◎:50cmより高い。
〇:40cmより高く、50cm以下。
×:40cm以下。
【0114】
[塗膜伸度]
各塗料組成物をアプリケーターにて乾燥後膜厚50μmとなるよう塗布した。塗布後、23℃、湿度50%の条件で、7日間硬化させて各塗膜を得た。得られた塗膜を用いて引張り試験を行った。塗膜の伸度は、温度23℃、湿度50%の条件と、温度-20℃の条件で引張り試験器(島津製作所製、AGS 500G)を用いて、引張り速度20mm/分、掴み間隔20mmで測定した。以下に示す評価基準に従い、各塗膜の塗膜伸度を評価した。
(評価基準)
◎:塗膜伸度が200%以上。
〇:塗膜伸度が100%以上200%未満。
×:塗膜伸度が0%以上100%未満。
【0115】
【表1】
【0116】
上記結果に示した通り、実施例1A~6Aの塗料組成物を用いて形成した塗膜は、耐衝撃性及び塗膜伸度に優れていた。
【0117】
<ポリカーボネートジオール 数平均分子量>
後述する合成例7B~14Bで得られたポリカーボネートジオールの数平均分子量は、下式により求めた。
数平均分子量=2/(ポリカーボネートジオールのOH価×10-3/56.11)
【0118】
<ポリカーボネートジオール OH価>
合成例7B~14Bで得られたポリカーボネートジオールのOH価は、JIS K 0070:1992に従い求めた。具体的には、無水酢酸12.5gをピリジン50mLでメスアップしアセチル化試薬を調製した。次に、100mLナスフラスコに、合成例で製造したポリカーボネートジオールを2.5~5.0g精秤した。ナスフラスコに、アセチル化試薬5mLとトルエン10mLをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1時間撹拌加熱した。蒸留水2.5mLをホールピペットで添加し、さらに10min加熱撹拌した。2~3分冷却後、エタノールを12.5mL添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2~3滴入れた後に、0.5mol/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。
【0119】
一方で、空試験として、アセチル化試薬5mL、トルエン10mL、蒸留水2.5mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行った。この結果をもとに、下記数式でOH価を計算した。
OH価(mg-KOH/g)={(b-a)×28.05×f}/e
a:サンプルの滴定量(mL)
b:空試験の滴定量(mL)
e:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
【0120】
<ポリカーボネートジオール 共重合組成>
ポリカーボネートジオールの共重合組成は、以下のように測定した。
100mlのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1時間反応する。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2~3滴添加し、塩酸で中和する。冷蔵庫で1時間冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。分析は、カラムとしてDB-WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC-14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/1分間で250℃まで昇温した。
【0121】
<ポリイソシアネート前駆体の合成例>
〔合成例1B〕
(ポリイソシアネート前駆体aの合成)
撹拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコの内部を窒素置換した。HDI 1200gとイソブタノール0.6gを仕込み、反応器内温度を80℃として2時間撹拌してウレタン化反応を行った。その後、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.1g加え、イソシアヌレート化反応を行い、転化率が12%になった時点でリン酸を0.2g加え、反応を停止した。反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(27Pa)、2回目150℃(13Pa)で未反応のHDIを除去することにより、ポリイソシアネート前駆体aを得た。得られたポリイソシアネート前駆体aは、淡黄色透明の液体であり、収量230g、25℃における粘度は400mPa・s、イソシアネート含有率は22.6%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は78/22であった。
【0122】
〔合成例2B〕
(ポリイソシアネート前駆体bの合成)
合成例1Bと同様の装置に、HDI1000gと2-エチルヘキサノール30gを仕込み、反応器内温度を80℃として1時間撹拌してウレタン化反応を行った。反応器内温度を80℃に維持した状態で、アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムの固形分10%n-ブタノール溶液を0.36g添加した。さらに3時間撹拌した後、リン酸の固形分85%水溶液0.58gを加え、反応を停止した。反応液の濾過後、合成例1Bと同様の方法で未反応のHDIを除去することにより、ポリイソシアネート前駆体bを得た。得られたポリイソシアネート前駆体bは、淡黄色透明の液体であり、収量300g、25℃における粘度は450mPa・s、イソシアネート含有率は20.6%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は65/35であった。
【0123】
〔合成例3B〕
(ポリイソシアネート前駆体cの合成)
合成例1Bと同様の装置に、HDI1000gと2-エチルヘキサノール30gを仕込み、反応器内温度を90℃として1時間撹拌してウレタン化反応を行った。反応器内温度を90℃に維持した状態で、アロファネート化及びイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸テトラメチルアンモニウムの固形分5%イソブタノール溶液を0.6g加えた。さらに2時間撹拌した後、リン酸85%水溶液0.06gを加え、反応を停止した。反応液を濾過後、合成例1Bと同様の方法で未反応のHDIを除去することにより、ポリイソシアネート前駆体cを得た。得られたポリイソシアネート前駆体cは透明の液体であり、収量210g、25℃における粘度は340mPa・s、イソシアネート含有率は20.3%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は50/50であった。
【0124】
〔合成例4B〕
(ポリイソシアネート前駆体dの合成)
合成例1Bと同様の装置に、HDI561.9gとイソブタノール38.1gを仕込み、反応器内温度を90℃として1時間撹拌してウレタン化反応を行った。反応器内温度を120℃に上げた後、アロファネート化触媒として2-エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.28g加えた。さらに60分撹拌後、リン酸の形分85%水溶液0.097gを加え、反応を停止した。反応液を濾過後、合成例1Bと同様の方法で未反応のHDIを除去することにより、ポリイソシアネート前駆体dを得た。得られたポリイソシアネート前駆体dは、淡黄色透明の液体であり、収量203g、25℃における粘度は130mPa・s、イソシアネート含有率は18.8%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は3/97であった。
【0125】
〔合成例5B〕
(ポリイソシアネート前駆体eの合成)
合成例1Bと同様の装置に、HDIを500g仕込み、反応器内温度を60℃とし、撹拌下、テトラメチルアンモニウムカプリエート0.08gを加えた。反応器内温度60℃で反応を進行させ、4時間後反応液のイソシアネート基含有率及び屈折率測定により、ポリイソシアネートへの転化率が20%になった時点で、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。反応液を濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去することにより、ポリイソシアネート前駆体eを得た。得られたポリイソシアネート前駆体eは、淡黄色透明の液体であり、収量は102g、25℃における粘度は1400mPa・s、イソシアネート含有率は23.4%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は100/0であった。
【0126】
〔合成例6B〕
(ポリイソシアネート前駆体fの合成)
合成例4B及び5Bにて合成したポリイソシアネート前駆体d及びeを、d/e=54/46(質量比)となる割合で混合し、ポリイソシアネート前駆体fを得た。ポリイソシアネート前駆体fは、淡黄色透明の液体であり、25℃における粘度は770mPa・s、イソシアネート含有率は21.3%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は50/50であった。
【0127】
〔合成例7B〕
(ポリイソシアネート前駆体gの合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート0.1g、イソブタノール1.0g、2-エチルヘキサノール5.0gを同時に加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により、ポリイソシアネートへの転化率が25%になった時点で、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネート前駆体gを得た。得られたポリイソシアネート前駆体gは、淡黄色透明の液体であり、収量は253g、25℃における粘度は800mPa・s、イソシアネート含有率は22.8%であった。1H-NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は89/11であった。
【0128】
<ポリカーボネートジオールの合成例>
〔合成例8B〕
(ポリカーボネートジオールAの合成)
攪拌機、温度計、頭頂に還流ヘッドを有する真空ジャケット付きオルダーショウを備えた2Lセパラブルフラスコに、1,5-ペンタンジオール382g、1,6-ヘキサンジオール433g、エチレンカーボネート650gを仕込み、70℃で撹拌溶解した後、触媒として酢酸鉛三水和物を0.015g入れた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140℃、真空度1.0~1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、12時間反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替え、180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140~150℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温160~165℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに4時間反応した。この反応により、常温で粘稠な液体が得られた。得られたポリカーボネートジオールAのOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は1,5-ペンタンンジオール/1,6-ヘキサンジオール=50/50(モル比)であった。
【0129】
〔合成例9B〕
(ポリカーボネートジオールBの合成)
合成例8Bにおいて、オルダーショウを単蒸留装置に取り替えた後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温を160~165℃にして、生成するジオールを除去する時間を2.3時間にしたこと以外は同様の方法でポリカーボネートジオールBを合成した。得られた反応物のOH価は113.2(分子量1000)、共重合組成は1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=50/50(モル比)であった。
【0130】
〔合成例10B〕
(ポリカーボネートジオールCの合成)
合成例8Bにおいて、オルダーショウを単蒸留装置に取り替えた後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温を160~165℃にして、生成するジオールを除去する時間を1.5時間にしたこと以外は同様の方法でポリカーボネートジオールCを合成した。得られた反応物のOH価は224.4(分子量500)、共重合組成は1,5-ペンタンンジオール/1,6-ヘキサンジオール=50/50(モル比)であった。
【0131】
〔合成例11B〕
(ポリカーボネートジオールDの合成)
合成例8Bにおいて、1,5-ペンタンジオール382g、1,6-ヘキサンジオール433gの代わりに、2-メチル-1,3-プロパンジオール330g、1,4-ブタンジオール330gを用いた以外は同様の方法でポリカーボネートジオールDを合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は2-メチル-1,3-プロパンジオール/1,4-ブタンジオール=50/50(モル比)であった。
【0132】
〔合成例12B〕
(ポリカーボネートジオールEの合成)
合成例8Bにおいて、1,5-ペンタンジオール382g、1,6-ヘキサンジオール433gの代わりに、2-メチル-1,3-プロパンジオール330g、1,4-ブタンジオール330gを用い、オルダーショウを単蒸留装置に取り替えた後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温を160~165℃にして、生成するジオールを除去する時間を2.0時間にしたこと以外は同様の方法でポリカーボネートジオールEを合成した。得られた反応物のOH価は141.1(分子量800)、共重合組成は2-メチル-1,3-プロパンジオール/1,4-ブタンジオール=50/50(モル比)であった。
【0133】
〔合成例13B〕
(ポリカーボネートジオールFの合成)
合成例8Bにおいて、1,5-ペンタンジオール382g、1,6-ヘキサンジオール433gの代わりに、1,4-ブタンジオール462g、1,6-ヘキサンジオール260gを用いた以外は同様の方法でポリカーボネートジオールFを合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=70/30(モル比)であった。
【0134】
〔合成例14B〕
(ポリカーボネートジオールGの合成)
合成例8Bにおいて、1,5-ペンタンジオール382g、1,6-ヘキサンジオール433gの代わりに、1,4-ブタンジオール594g、1,6-ヘキサンジオール87gを用いた以外は同様の方法でポリカーボネートジオールGを合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=90/10(モル比)であった。
【0135】
〔合成例15B〕
(ポリカーボネートジオールHの合成)
攪拌機の付いた2Lの反応器に、1,6-ヘキサンジオール520g、エチレンカーボネート410gを仕込んだ後、触媒として酢酸鉛三水和物を0.009g入れ、規則充填物を充填した精留塔に接続した。反応機を210℃のオイルバスに浸漬し、留出液の一部を抜き出しながら、反応温度170℃で20時間反応した。その後、反応機を直接コンデンサーに接続し、オイルバスの温度を190℃に下げた後、圧力を徐々に下げでさらに8時間反応を行った。この反応により、常温で白色固体である脂肪族ポリカーボネートジオールHが517g得られた。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)であった。
【0136】
<ポリイソシアネート組成物の合成例>
〔ポリイソシアネート組成物1B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例1Bのポリイソシアネート前駆体aを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例8のポリカーボネートジオールAを用いた。これらをポリイソシアネート前駆体中のイソシアネート基5当量に対してポリカーボネートジオール中の活性水素が1当量となる割合で混合し、100℃で反応させた。反応液中のイソシアネート含有率が8.7%になったところで反応を終了して、ポリイソシアネート組成物1Bを得た。
【0137】
〔ポリイソシアネート組成物2B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物2Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.3%だった。
【0138】
〔ポリイソシアネート組成物3B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例3のポリイソシアネート前駆体cを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物3Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.3%だった。
【0139】
〔ポリイソシアネート組成物4B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物4Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は7.9%だった。
【0140】
〔ポリイソシアネート組成物5B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例6Bのポリイソシアネート前駆体fを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物5Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.5%だった。
【0141】
〔ポリイソシアネート組成物6B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例9BのポリカーボネートジオールBを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物6Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は11.1%だった。
【0142】
〔ポリイソシアネート組成物7B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例9BのポリカーボネートジオールBを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物7Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は10.4%だった。
【0143】
〔ポリイソシアネート組成物8B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例10BのポリカーボネートジオールCを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物8Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は13.2%だった。
【0144】
〔ポリイソシアネート組成物9B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例10BのポリカーボネートジオールCを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物9Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は12.3%だった。
【0145】
〔ポリイソシアネート組成物10B〕
共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物10Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.7%だった。
【0146】
〔ポリイソシアネート組成物11B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物11Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.3%だった。
【0147】
〔ポリイソシアネート組成物12B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例3Bのポリイソシアネート前駆体cを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物12Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.3%だった。
【0148】
〔ポリイソシアネート組成物13B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物13Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は7.9%だった。
【0149】
〔ポリイソシアネート組成物14B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例6Bのポリイソシアネート前駆体fを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物14Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.5%だった。
【0150】
〔ポリイソシアネート組成物15B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例12BのポリカーボネートジオールEを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物15Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は11.9%だった。
【0151】
〔ポリイソシアネート組成物16B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例12BのポリカーボネートジオールEを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物16Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は11.1%だった。
【0152】
〔ポリイソシアネート組成物17B〕
共重合したポリカーボネートジオールとして合成例13BのポリカーボネートジオールFを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物17Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.7%だった。
【0153】
〔ポリイソシアネート組成物18B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例13BのポリカーボネートジオールFを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物18Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.3%だった。
【0154】
〔ポリイソシアネート組成物19B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例13BのポリカーボネートジオールFを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物19Bのポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は7.9%だった。
【0155】
〔ポリイソシアネート組成物20B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例6Bのポリイソシアネート前駆体fを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例13BのポリカーボネートジオールFを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物例1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物20Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.5%だった。
【0156】
〔ポリイソシアネート組成物21B〕
共重合したポリカーボネートジオールとして合成例14BのポリカーボネートジオールGを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物21Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.7%だった。
【0157】
〔ポリイソシアネート組成物22B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例2Bのポリイソシアネート前駆体bを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例14BのポリカーボネートジオールGを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物22Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.3%だった。
【0158】
〔ポリイソシアネート組成物23B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例14BのポリカーボネートジオールGを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物23Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は7.9%だった。
【0159】
〔ポリイソシアネート組成物24B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例6Bのポリイソシアネート前駆体fを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例14BのポリカーボネートジオールGを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物24Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.5%だった。
【0160】
〔ポリイソシアネート組成物25B〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例3Bのポリイソシアネート前駆体cを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例8BのポリカーボネートジオールAを用いた。これらをポリイソシアネート前駆体中のイソシアネート基20当量に対してポリカーボネートジオール中の活性水素が1当量となる割合で混合し、100℃で反応させた。反応液中のイソシアネート含有率が15.5%になったところで反応を終了して、ポリイソシアネート組成物25Bを得た。
【0161】
〔ポリイソシアネート組成物26B〕
共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物25Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物26Bを得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は15.7%だった。
【0162】
〔ポリイソシアネート組成物27B〕
上記で得たポリイソシアネート組成物4Bの全量に対し、TINUVIN765を1質量部添加し、ポリイソシアネート組成物27Bとした。
【0163】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-1〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例5Bのポリイソシアネート前駆体eを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例8BのポリカーボネートジオールAを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-1を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.8%だった。
【0164】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-2〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例5Bのポリイソシアネート前駆体eを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-2を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.8%だった。
【0165】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-3〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例5Bのポリイソシアネート前駆体eを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例13BのポリカーボネートジオールFを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-3を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.8%だった。
【0166】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-4〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例5Bのポリイソシアネート前駆体eを用い、共重合したポリカーボネートジオールとして合成例14BのポリカーボネートジオールGを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-4を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.8%だった。
【0167】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-5〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例7Bのポリイソシアネート前駆体gを用い、ポリカーボネートジオールとして合成例8BのポリカーボネートジオールAを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-5を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.7%だった。
【0168】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-6〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例7Bのポリイソシアネート前駆体gを用い、ポリカーボネートジオールとして合成例11BのポリカーボネートジオールDを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-6を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は8.7%だった。
【0169】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-7〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例3Bのポリイソシアネート前駆体cを用い、ポリカーボネートジオールとして合成例15BのポリカーボネートジオールHを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物17Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-7を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は15.5%だった。
【0170】
〔ポリイソシアネート組成物Bb-8〕
ポリイソシアネート前駆体として、合成例4Bのポリイソシアネート前駆体dを用い、ポリカーボネートジオールとして合成例15BのポリカーボネートジオールHを用いた以外は、ポリイソシアネート組成物1Bと同様の方法でポリイソシアネート組成物Bb-8を得た。得られたポリイソシアネート組成物のイソシアネート含有率は13.5%だった。
【0171】
<塗料組成物の製造>
主剤として、「Desmophen1420」(アスパラギン酸エステル化合物、Covest ro社製の商品名、アミン価201mgKOH/樹脂g)を使用した。表2~5中、アスパラギン酸エステル化合物を「PAE」と記載する。
硬化剤として、上記で得たポリイソシアネート組成物1B~27B、Bb-1~Bb-8を使用した。
主剤と硬化剤とを、NCO/NH=1.1となる割合で配合し、酢酸nーブチルで塗料固形分=90質量%となるよう調整して、実施例1B~27B、比較例1B~28Bの塗料組成物をそれぞれ得た。
【0172】
また、得られた各塗料組成物を用いて、上記に記載の方法により、耐衝撃性と塗膜伸度を評価した。結果を表2~5に示す。
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】
【表4】
【0176】
【表5】
【0177】
上記結果に示した通り、実施例1B~27Bの塗料組成物を用いて形成した塗膜は、耐衝撃性及び塗膜伸度に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本実施形態によれば、塗膜としたと塗膜伸度に優れる塗料組成物を提供することができる。また、本実施形態の塗料組成物は、塗料、インキ、接着剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック材料の原料として使用することができる。本実施形態の塗料組成物は、建築用塗料、重防食用塗料、自動車用塗料、情報家電用塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器用塗料に好適である。