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特開2024-9762過圧保護により穴を恒久的に封止する方法とそのための接着要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009762
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】過圧保護により穴を恒久的に封止する方法とそのための接着要素
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/16 20060101AFI20240116BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240116BHJP
【FI】
F16K17/16
H01M50/342
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023099157
(22)【出願日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】10 2022 117 176.0
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】マグダレーナ・ゾマー
(72)【発明者】
【氏名】カーチャ・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ニーマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ケニー・クローベダンツ
(72)【発明者】
【氏名】イェニファー・キプケ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板内の貫通した空隙を封止(閉鎖)し、かつ過剰な圧力の結果として、ベントによって確実に圧力減少を可能とする方法を提供する。
【解決手段】接着要素(14)が、キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域における前記キャリア層の平均厚さが、前記圧力開口領域における前記キャリア層の平均厚さよりも小さくなっており、ここで、圧力開口領域への所定の開口圧力の作用が、接着要素を脆弱化領域において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素に貫通穴が形成するように、接着要素が構成されており、そして、ここで、圧力開口領域が基板(12)中の貫通した空隙(10)を少なくとも部分的に覆うように接着要素が接着されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(12)中の貫通した空隙(10)を封止するための方法であって、
a)以下を含む接着要素(14)を製造または提供するステップ:
i)接着剤を含む接着剤層(16)、および
ii)接着剤層(16)上に配置され、第1のキャリアレイヤー(19)を含むキャリア層(18)、
b)接着剤層(16)によって接着要素(14)を基板(12)に接着し、接着要素(14)が貫通した空隙(10)を完全に覆い、貫通した空隙(10)が接着要素(14)によって流体密に封止されるようにするステップ、
を含み、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)が形成するように、接着要素(14)が構成されており、
そして、ここで、圧力開口領域(20)が基板(12)中の貫通した空隙(10)を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)が接着される、前記方法。
【請求項2】
脆弱化領域(22)が、キャリア層(18)に溝状の空隙として形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定の開口圧力が10kPa以上である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリア層(18)が、第1のキャリアレイヤー(19)の面のうち接着剤層(16)とは反対の面側レイヤーに、さらなるキャリアレイヤーとして保護箔(26)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
接着要素(14)が、さらに、接着剤層(16)の面のうちキャリア層(18)とは反対の面側で圧力開口領域(20)に取り付けられているカバー要素(28)を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
接着された接着要素(14)が圧力開口領域(20)においてキャリア層(18)への所定の負荷圧力の作用に耐え、その結果、接着要素(14)が脆弱化領域(22)において不可逆的に破壊されずかつ接着要素(14)中に貫通穴(24)が形成されないように、貫通した空隙(10)の縁を超える圧力開口領域(20)の少なくとも部分的な張り出し部分によって接着要素(14)の接着が行われる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
所定の負荷圧力が100kPa以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
貫通した空隙を、過圧保護して恒久的に封止するための接着要素(14)であって、
i)接着剤を含む接着剤層(16)、および、
ii)接着剤層(16)上に配置され、第1のキャリアレイヤー(19)を含むキャリア層(18)
を含み、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)を形成するように、接着要素(14)が構成されている、前記接着要素(14)。
【請求項9】
少なくとも1つの流体密に封止された開口部を有する流体密に封止された内部を含む過圧保護基板(12)であって、
ここで、封止された開口部は、請求項8に記載の接着要素(14)で流体密に封止されており、接着要素(14)の圧力開口領域(20)は、封止された開口部を少なくとも部分的に覆っており、
ここで、内部における所定の過圧の結果として、接着要素(14)が脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊され、そうして接着要素(14)に形成された貫通穴(24)によって内部の圧力低下が生じ得るように、過圧保護基板(12)が構成されている、前記過圧保護基板(12)。
【請求項10】
基板(12)中の貫通した空隙を恒久的に封止するため、および過圧保護を生成するための請求項8に記載の接着要素の使用であって、ここで、貫通した空隙は、圧力開口領域(20)が基板(12)内の貫通した空隙を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)で封止される、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板中の貫通した空隙を封止する方法、対応する過圧保護基板、過圧保護手段により恒久的に穴を封止するための接着要素、および基板の穴を恒久的に封止し、過圧保護手段を製造するための対応する接着要素の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑な製品を製造する場合、製造上の理由から、多くの場合、加工された部品や基板に穴を設ける必要があり、この穴を通して、製造過程でさらなる作業工程を行うことができる。しかし、製造工程の終了時には、これらの穴は多くの場合もはや必要なく、例えば湿気や不純物の侵入を許すため、多くの最終用途にとって不利でさえある。この目的のために、例えばEP3569406A1、EP3943283A1またはEP3992259A1のように、いわゆるダイカットのような接着要素の使用などが、穴を恒久的に封止する効率的な方法であり、製造過程において基板中の対応する貫通した空隙を恒久的に封止して対応することが先行技術では公知である。
【0003】
しかしながら、多くの場合、基板中の貫通した空隙は単なる製造目的だけではない。むしろ、例えばバッテリーハウジングのような基板の内部の圧力に影響を与えることができるようにすることが必要な場合があり、そのために必要な圧力管理のために、例えばバルブの形をした適切な圧力調整装置を貫通した空隙の領域に設ける必要がある。
【0004】
いわゆる過圧保護(過圧保護手段)は、時には「バーストシステム」とも呼ばれ、基板内部の圧力管理の分野で特に重要である。このような過圧保護は、通常、構造的により複雑であるが、例えば、電子装置内に設置された部品を保護し、ベント中に過剰な圧力を解放することによって、規定された内圧に達したときの圧力を周囲の環境の圧力と等しくすることができるようにするために使用される。
【0005】
これに対応する過圧保護は、例えば電気自動車の分野で今日使用されているような電池ハウジングに特に関連する。これらの電池ハウジングは、電気化学的エネルギーの貯蔵および発生のために使用され、例えばいわゆるパウチセルの形態であり、電気化学的セルの構成要素の内部に含まれる。これに対応する電気化学的セル、例えばリチウムイオン電池は、複雑なものであり、場合によっては、特に多くの場合、それらは可燃性物質、特に電解質を含んでいるため、故障しやすいシステムであり、運転中に高温が発生する可能性がある。
【0006】
その結果、電池で起こりうる最悪のシナリオとして熱暴走と呼ばれるものである。このような熱暴走が起こると、多くの場合、放出されたガスや蒸発した液体成分によって電池ハウジングの内部が高圧になり、電池ハウジングが制御不能に破壊される可能性があり、ひいては、電池ハウジングの周囲を損傷する可能性があり、最悪の場合、望ましくない連鎖反応が結果として起こり得る。
【0007】
このため、性能に優れた過圧保護は、特に電池ハウジングの安全性に関連する。自動車産業における電気自動車の重要性の高まりと、電気化学エネルギー貯蔵装置の使用の増加は、特に電池ハウジングでの使用に適した過圧保護の改良への継続的な関心を意味する。
【0008】
先行技術から公知の1つの過圧保護は、例えば、CN107178638Aに開示されている。先行技術から公知の過圧保護装置は、多くの場合、技術的に複雑な部品であり、一般に、基板の貫通した空隙に嵌め込まなければならず、多くの製造コストと労力を伴い、比較的高い固有の重量と一定の固有の体積を有する。さらに、対応する先行技術のバーストシステムは、多くの場合、特定の穴の幾何学的形状に対して特別に設計されなければならず、多くの場合、封止される穴の異なる寸法に柔軟に適合させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】CN107178638A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第一の目的は、先行技術の欠点をなくすか、少なくとも減らすことである。
【0011】
特に、本発明の目的は、基板内の貫通した空隙(durchgehenden Ausnehmung)を封止(閉鎖)するための方法を提供することであり、この方法であれば、貫通した空隙を確実かつ流体密に封止が可能であり、過剰な圧力の結果として、ベントによって確実に圧力減少を可能とすることができる。
【0012】
本発明の目的は、できるだけスペースが少なく、かつ、重量の少ない部品を用いて、特定する方法を実施できるようにすべきことであった。
【0013】
さらに、本発明の目的は、特定されるべき方法における貫通した空隙の封止が、特に簡単な方法で可能であるべきであり、望ましくは、自動化のための容易な能力が確保されるべきであることであった。
【0014】
本発明のさらなる目的は、特定されるべき方法が、特に時間的およびコスト的に効率的な方法で、特に高いスループット率で実施できることであり、また、望ましくは、その方法で使用される成分の貯蔵に関連する貯蔵コストを可能な限り低くすることであった。
【0015】
本発明の補足的な目的は、使用される構成部品の結果として、特定される方法が、異なる穴形状を有する貫通した空隙を封止するために、特に柔軟性を有するべきであり、理想的には、異なる穴の幾何学的形状に対して、使用される構成部品の特定の適合が必要とすべきでないということであった。
【0016】
本発明のさらなる目的は、過圧保護が挿入されるまで(過圧保護の開始まで)、特定される方法で、特に信頼性が高く、長時間の穴の封止ができることであった。この点に関して、本発明の補足的な目的は、特定される方法で製造される過圧保護は、過圧保護の顕著な方向依存性を可能にし、その結果、外部からの封止に作用する過剰圧力が、高過圧であっても圧力の均等化をもたらさないようにすることであった。
【0017】
上記の観察に照らして、本発明の目的は、特定される方法で製造される過圧保護基板を特定することであった。
【0018】
さらに、本発明の目的は、規定される方法で使用できる、過圧保護を有する穴を恒久的に封止するための部品を特定することであり、さらに、この部品に基づく用途を特定することであった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、基板中の貫通した空隙を封止するための複雑な構造のバーストシステムの代わりに、貫通した空隙を流体密着させた形態で接着することができる特定の接着要素を使用すれば、上述した目的を驚くほど達成することができることを見出した、この接着要素は、キャリア層の脆弱化の結果、圧力開口領域を含み、これは、所定の開口圧力がかかった場合に大部分が不可逆的に開口する圧力開口領域を含む、その結果、接着要素の貫通穴を通して圧力の均等化が行われ、この均等化は特許請求の範囲に定義されている通りである。
【0020】
驚くべきことに、接着要素のこの設計と、対応する方法におけるそれらの使用は、基板における貫通した空隙の信頼性の高い流体密シーリングを可能にするだけでなく、過圧の場合に、キャリア層の脆弱化の程度を介して正確に調整可能な、信頼性の高い開口挙動をも可能にする。本発明者は、接着要素の比較的単純な設計とその単純な適用により、特に有利な方法が得られることを見出した。
【0021】
その適用に関して、対応する接着要素は、特に自動化が容易であり、生産するのに費用対効果が高いだけでなく、特に固有の重量および容量が少ない。有利なことに、対応する接着要素、ひいては対応する方法は、穴の形状のずれに対して高い許容度を有し、その結果、製造許容誤差を低くすることができ、かつ接着要素を用いて、異なる寸法の貫通した空隙を封止することができる。
【0022】
したがって、上記の目的は、特許請求の範囲に定義される本発明の主題によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項および以下の記述から明らかである。
【0023】
このような実施形態は、好ましいものとして以下に言及されるが、特に好ましい実施形態において、好ましいと指定された他の実施形態の特徴と組み合わされる。従って、以下に記載される実施形態の2つ以上の組合せが、非常に好ましい。また、好ましいと指定される1つの実施形態の特徴が、好ましいと指定される他の実施形態の1つまたは複数のさらなる特徴と組み合わされる実施形態が好ましい。好ましい接着要素、過圧保護された基板(過圧保護基板)および用途の特徴は、好ましい方法の特徴から明白である。
【0024】
本発明は、基板中の貫通した空隙を封止する方法であって、以下のステップを含む方法に関する:
a)以下を含む接着要素を製造または提供する:
i)接着剤を含む接着剤層、
ii)接着剤層上に配置され、第1のキャリアレイヤーを含むキャリア層と
b)接着剤層によって接着要素を基板に接着し、接着要素が貫通した空隙を完全に覆い、貫通した空隙が接着要素によって流体密に封止されるようにする、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)が形成するように、接着要素(14)が構成されており、
そして、ここで、圧力開口領域(20)が基板(12)中の貫通した空隙(10)を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)が接着される。
【0025】
本発明の方法は、基板中の貫通した空隙、より詳細には穴の封止、より詳細には流体密な封止に役立ち、実際には、基板内の内部が周囲と流体連通している穴の封止に特に関連する。これに対応して好ましいのは、基板が、接着要素を貫通した空隙に接着させることによって流体密に封止される内部を含む、本発明の方法である。
【0026】
本発明の方法の有利な特徴は、基板の性質に関する制限が実質的にないことである。しかしながら、本発明者の推定では、本発明の方法は、電池ハウジングの封止に特に適している。なぜなら、多くの場合、これらのハウジングは、個々の要素の数が多いため、本発明の文脈で見出される解決策の低重量および低製造コストの恩恵を特に大きく受けるからである。それに応じて特に好ましくは、本発明の方法において、基板がハウジング、好ましくは電子装置または電池のハウジング、特に好ましくは電池のハウジングである。追加的または代替的に好ましいのは、また、本発明の方法において、基板が、金属、複合材料、例えば、ガラス繊維または炭素繊維を含む複合材料、プラスチックから成る群から選択され、好ましくはプラスチックおよび金属、特に好ましくは金属、より特に被覆金属を含む。
【0027】
当業者は、対応する基板が2つ以上の貫通した空隙を含んでいてもよいが、その場合、すべての空隙が本発明の方法で封止されることが好ましいことを当業者であれば理解する。しかしながら、代替的に、基板に存在する貫通した空隙も、場合によっては本発明の方法で封止され、場合によっては他の方法、例えば過圧保護を伴わない従来の接着要素で封止され得る。従って、好ましくは、本発明の方法において、基板が2つ以上の貫通した空隙を含み、好ましくは、貫通した空隙の全てが本発明の方法で封止される。
【0028】
当業者の理解に一致するように、本発明の方法において使用される接着要素は、シート状の接着要素であり、これは、1つの平面の2つの空間方向において、平面に直交する方向よりも著しく大きな広がりを有することを意味する。ここでの対応する接着要素は、例えば、当業者に周知の方法を用いて製造することができ、また、例えば、他の接着要素の製造においても採用される種類の方法を用いて製造することができる。典型的には、対応するシート状の接着要素は、予め製造されたより大きな接着複合体から適切な切断方法によって分離され、接着要素は大量に入手可能である。分離は、例えば、接着要素のダイカット(打ち抜き)によって行われ、この場合、要素は通常ダイカットと呼ばれる。したがって、本発明の方法において好ましいのは、接着要素が接着レイヤーと接着レイヤー上に配置されたキャリアレイヤーとを含む接着複合体からダイカットされ、脆弱化領域は、好ましくはダイカットの前に製造される。特に好ましいのは、それに従って、接着要素がダイカットである本発明の方法である。
【0029】
本発明の方法において、例えば切断によって接着要素を製造する代わりに、例えば供給業者から購入することによって、接着要素を単に提供することもできる。
【0030】
使用される接着要素は、接着剤層とキャリア層を含み、これらの層は、多数の接着テープや同等の接合製品から接着技術の当業者に知られているように、互いに接合(結合)されている。接着剤層は、接着要素を基板に接着させる役割を果たし、基板の両面の間の圧力差が比較的小さい場合、またはその他の機械的負荷が生じた場合に、不要な早期剥離を防止するために、基板上での接着要素の必要な接着を保証する。
【0031】
本発明者は、可能な限り効率的にプロセスを実施するために、特に接着要素を容易に適用することが可能であるが、必要に応じて不完全な適用を簡単に修正することも可能であることから、接着剤を感圧接着剤として設計することを提案している。従って、本発明による方法において、好ましくは、接着剤は感圧接着剤である。
【0032】
感圧接着剤は、当業者の理解においては、感圧接着特性を有する接着剤、すなわち、比較的弱い印加圧力下でも基板に耐久性のある接着を行う能力を有する接着剤である。対応する感圧接着テープは、一般に、室温でも永久的な固有の粘着性(タック)を有し、つまり、低い印加圧力下でも基板の表面を湿らせるように、一定の粘性と接触粘着性を有する。この理論に縛られることなく、感圧接着剤は、弾性成分を有する極めて高い粘度の流体であると考えることができ、したがって、上記の永久的な固有粘着性と感圧接着能力をもたらす特徴的な粘弾性特性を有すると、しばしば想定される。このような感圧接着剤では、機械的変形時に粘性流動プロセスが存在し、弾力性の復元力が発生すると想定される。粘性流動成分は粘着性の達成に役立ち、弾性復元力は特に凝集力の達成に必要である。レオロジーと感圧接着性の関係は従来技術で知られており、例えばSatas, “Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology”, third edition,(1999),153ページ~203ページに記載されている。弾性成分および粘性成分の程度を特徴付けるために、貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を採用するのが通常であり、これは、例えばWO2015/189323に開示されているように、例えばレオメータを用いた動的機械分析(DMA)によって確認することができる。本発明の目的のために、接着剤は、好ましくは、10~10rad/secの変形周波数範囲における23℃の温度において、G’およびG’’がそれぞれ少なくとも部分的に10~10Paの範囲にあるとき、感圧接着性を有し、したがって感圧接着剤であると理解される。
【0033】
上述したPSAとしての好ましい実施形態の可能な代替実施形態として、接着剤を反応性接着剤として、すなわち硬化ステップの結果としてのみ硬化する接着剤として実施することが考えられ、その結果、接着剤の硬化および構造接着剤としての効果により、この実施形態は、比較的高い所定の開口圧力が設定される用途に特に興味深いものとなる。したがって、本発明に係る方法において、特定の用途に好ましいのは、接着剤が硬化性接着剤、好ましくは放射線硬化性接着剤および/または熱硬化性接着剤であり、この場合、この方法は、好ましくは、方法におけるステップb)の後に、以下の方法ステップをさらに含む:
c)硬化性接着剤を少なくとも部分的に硬化させるステップ。
【0034】
本発明者の評価によれば、接着要素に使用される接着剤の化学的性質に関して非常に柔軟であることが、本発明の方法の主な利点であると考えられる。本発明の方法の基本的な機能性は、特に、本発明者の評価では、特異的に弱められたキャリア層と一般的な接着剤との相互作用から生じるものであり、したがって化学的に特異な接着剤に限定されるものではない。このことは、他の適用要件、特にそれぞれの基板上の接着力および/または目標とする適用領域に対する温度安定性の観点から、適切な接着剤を有利に選択することを可能にする。したがって、本発明者は、特に性能的に優れた接着要素が得られると推定される接着剤を特定することに成功した。実際に好ましいのは、本発明の方法において、接着剤が、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートおよび合成ゴムからなる群から選択される1種以上のポリマー、好ましくはポリ(メタ)アクリレートおよび合成ゴム、特に好ましくはポリ(メタ)アクリレートを含む。
【0035】
本発明の文脈において、「ポリ(メタ)アクリレート」という表現は、当業者の理解に一致するように、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ならびにこれらのポリマーのコポリマーも包含する。ポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートに由来しないモノマー単位を比較的少量含んでいてもよい。したがって、「ポリ(メタ)アクリレート」は、本発明の文脈においては、モノマーベースの質量に基づいて、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選択されるモノマーの質量分率が70%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上である(コ)ポリマーであると理解される。アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの質量分率は、好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である。ポリ(メタ)アクリレートは、一般に、アクリル系モノマーおよび/またはメタクリル系モノマー、さらに任意に、共重合可能なモノマーのラジカル重合によって得ることができる。
【0036】
本発明者の評価によれば、接着剤を発泡接着剤として実施する、例えば、従来技術から基本的に知られている膨張マイクロバルーンを合成発泡接着剤、または、例えば、ブローイングガスを用いて生成され得る物理発泡接着剤として実施することが、特定の最終用途にとって有利である。このような発泡接着剤は、特に耐衝撃性に関してしばしば利点を有する。従って、本発明者の評価によれば、接着剤の発泡が本発明の接着要素の基本的な機能性の妨げにならないことは、本発明の方法の利点と見なすことができる。したがって、本発明による方法において、特定の用途に好ましいのは、接着剤が発泡接着剤であり、接着剤は、好ましくは、物理的に発泡した接着剤であり、および/または、中空球体および少なくとも部分的に膨張したマイクロバルーンからなる群から選択される1つ以上の成分を含む。
【0037】
できるだけ材料を節約した製造と良好な取り扱い性の観点から、本発明者は、接着剤層とキャリア層の寸法をできるだけ類似させることを提案する。用途によっては、キャリア層を接着剤層上に突出させることが好ましい場合もあるが、特に製造効率の観点からは、この層が接着剤層によって完全に覆われていることが好ましい。従って好ましいのは、片側のキャリア層が、50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、より特に好ましくは実質的に完全に接着剤層によって覆われている本発明の方法である。
【0038】
本発明に従って、キャリア層は第1のキャリアレイヤーを含み、多くの場合、実際にはキャリア層は実質的にこのキャリアレイヤーからなる。さらに、本発明の方法において、大多数の実施形態に関連し、接着剤層が第1のキャリアレイヤー上に配置される。
【0039】
この文脈において、本発明の方法は、第1のキャリアレイヤーの材料の選択に関して基本的に非常に柔軟であり、当業者は、接着技術の分野でキャリア材料として既に知られている典型的な材料に頼ることができるという利点があると認められる。しかしながら、本発明者は、あらゆる場合に本発明の方法で使用するための非常に信頼性が高く強力な接着要素を得ることができる適切な材料を特定することに成功した。本発明においてより好ましいのは、第1のキャリアレイヤーが、ポリマー箔、例としてはポリエステル箔、PEEK箔、PAEK箔、ポリイミド箔またはポリアミド箔からなる群から選択される箔であり、より詳細にはポリエステル箔、および金属箔、好ましくは金属箔である。さらにまたは代替的に、本発明による方法が好ましい。
【0040】
特に比較的要求の厳しい用途、例えば接着封止が使用中に予想される大きな熱的および/または化学的および/または機械的負荷を受ける場合には、キャリア層が第1のキャリアレイヤーに加えて、さらなるキャリア層を含むことが可能であり、これは、例えば物理化学的特性、特に表面特性を最適化する。本発明による好ましい方法において、キャリア層が1枚以上、好ましくは2枚以上、特に好ましくは3枚以上のさらなるキャリアレイヤーを含み、キャリア層におけるキャリアレイヤーが好ましくは中間接着剤層によって互いに連結される。
【0041】
本発明者の評価によれば、好ましい実施形態においては、特に、キャリア層が、下層のキャリアレイヤー、特に第1のキャリアレイヤーを環境の影響から遮蔽する保護箔を追加のレイヤーとして含むものであり、これは、第1のキャリアレイヤーが金属で形成されている場合に特に有利であり、この不要な腐食の結果として、第1のキャリア層に生じるであろう損傷を長期的にも防止することができる。本発明の方法において、より好ましくは、キャリア層が、さらなるキャリアレイヤーとして、接着剤層から離れた第1のキャリアレイヤーのその面に保護箔を含み、保護箔が好ましくはポリマー箔からなる群から選択され、特に好ましくは保護箔がキャリア層の表面を実質的に完全に覆う。
【0042】
本発明に従って、貫通した空隙は対応する接着要素で完全に覆われ、それによって流体密に封止される。当業者は、以下に詳細に説明するこの種の過圧保護は、作用圧力が発生した場合にこの流体密封を破開することができることを意味することを理解する。このために、本発明による接着要素は、キャリア層の平均厚さが接着要素の残りの部分に対して減少している脆弱化領域を含み、脆弱化領域においてキャリア層は減少した機械的堅牢性をしめし、それによってキャリア層の一種の所定の破断点を表す。所定の開口圧力、すなわち過圧保護が作用する圧力は、有利には、脆弱化領域における脆弱化の程度を介して調整することができる。好ましい本発明の方法においては、脆弱化領域のキャリア層が、5~150μmの範囲、好ましくは10~100μmの範囲、特に好ましくは15~60μmの範囲の平均厚さを有し、および/または脆弱化領域のキャリア層の平均厚さが、圧力開口領域のキャリア層の平均厚さよりも5%~95%、好ましくは10%~80%、特に好ましくは20%~60%の範囲で小さいことである。
【0043】
したがって、当業者は、圧力開口領域に所定の開口圧力が作用した場合に、接着要素が貫通穴を形成するように構成されていることを理解する。当業者の理解では、この所定の開口圧力の作用は、例えば、接着要素が密閉容器内の空隙を覆い、容器内の圧力が上昇した場合に生じる、接着要素の両側面間の圧力差を意味する。当業者にとって、所定の開口圧力は、接着要素のすべての側面および領域で同じように経験される周囲圧力を意味しないことは明らかであり、したがって、接着要素の他の部分に対して圧力開口領域に作用する力の影響はない。言い換えれば、したがって、所定の開口圧力は開口圧力差を示す。
【0044】
本発明の文脈で使用される「少なくとも部分的に不可逆的に破壊される」という記載は、当業者の理解するところにおいて、破壊が接着要素に貫通穴を形成するのに十分である限り、脆弱化領域の完全な破壊は必要ではないことを意味する。例えば、圧力開口領域を完全に取り囲む円形の脆弱化領域は、所定の開口圧力のために、円周の一部にわたってのみ破壊され得るので、圧力開口領域は部分的にのみ接着要素から除去される。また、破壊が完全に不可逆的である必要もない。典型的な接着剤の物理化学的特性、特にその流動挙動の結果として、持ち上げられた圧力開口部が接着剤層によって所定の位置に保持されるように、接着要素に押し戻された圧力開口領域が、不可逆的に破壊されたキャリア層にもかかわらず、接着剤の相互作用を介して、少なくとも暫定的に閉じることができることが少なくとも理論的には考えられる。
【0045】
理論的には、厚さを減少させた比較的大きく広範な領域を提供することが考えられ、そのような比較的複雑な脆弱化領域は、特定の用途にとって合理的であり得るが、本発明者の認識においては、単純な製造と組み合わせて脆弱化領域を正確に開くという観点から、これらの領域を実質的に溝状の空隙、すなわち細長いくぼみの形態でキャリア層に具現化することが好ましい。これに対応して好ましい本発明の方法において、脆弱化領域がキャリア層の溝状の空隙(rillenfoermige Ausnehmung)として設計される。
【0046】
当業者であれば、穴が封止された後に作用圧力差に対して接着要素が提供できる抵抗は、キャリア層および第1のキャリアレイヤーの機械的堅牢性によって優位に影響され、一方、特に多くの場合、接着剤層はある程度は流体であるため、接着剤層の寄与は低くなることを理解している。従って、所定の開口圧力が非常に低い圧力で効果を発揮するように意図されていない場合には、低い圧力での流体の早期通過を防止するために、キャリア層を完全に貫通した穿孔を伴わずに形成することが有用である。本発明の方法において好ましくは、脆弱化領域が、キャリア層、特に、第1のキャリアレイヤーを完全に貫通する空隙を含まない。
【0047】
通常どのような場合にも存在するものであるキャリア層による所定の開口圧力および接着剤の流動挙動に対する上述の決定的な影響のため、有利には、脆弱化領域と相補的な態様で、接着剤層における対応する平均厚さの減少を提供する必要はなく、それに応じて製造が単純化され得る。このような背景から、本発明に係る好ましい方法においては、脆弱化領域における接着剤層の平均厚さが、圧力開口領域における接着剤層の平均厚さよりも、20%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下、より特に好ましくは0.1%以下だけ小さいとよい。
【0048】
圧力開口領域の寸法は、脆弱化領域のプロファイルに依存することを当業者は理解する。したがって、その形状および寸法については、過度の圧力が生じた場合に接着要素から少なくとも部分的に除去される圧力開口領域は、その原因となる所定の破断点、すなわち脆弱化領域によって規定される。したがって、本発明者の評価によれば、圧力開口領域には複数の基本形状を設けることができ、ここで、適用を簡単にし、接着要素を基板上に確実に保持する観点から、多くの場合、圧力開口領域の形状を被覆すべき空隙の形状に合わせ、圧力開口領域を接着要素の比較的中央に配置することが好ましい。その結果、好ましいのは、圧力開口領域が、円、部分円、特に半円、楕円または多角形からなる群から選択される基本形状を有し、好ましくは、円、半円および楕円からなる群から選択される本発明の方法である。追加的または代替的に好ましいのは、圧力開口領域が、貫通した空隙の断面に実質的に対応する基本形状を有する本発明の方法である。本発明の方法の全ての実施形態において特に好ましいのは、接着要素の中心点が圧力開口領域内にあることである。
【0049】
本発明の方法およびそれに使用する接着要素により、有利には、接着要素の製造工程における比較的小さな変更によって、過圧保護が介入したときに接着要素がどこまで開口されるかを含む要因に影響を及ぼし、したがって流体の流れに影響を及ぼすことが可能になることを、本発明者は認識した。ここでは特に、圧力開口領域が脆弱化領域によって可能な限り広く取り囲まれている場合に、非常に広い開口の貫通された穴(貫通穴)が得られる。この場合、一実施形態では、圧力開口領域を脆弱化領域と共に実質的に完全に取り囲むことが特に興味深く、これにより、作用する過剰圧力の結果として接着要素から持ち上げられた(浮き上がった)圧力開口領域を接着要素から完全に除去することが特に容易になる。これに対応して本発明の方法において好ましいのは、圧力開口領域の円周を基準として、圧力開口領域が、円周の50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、より特に好ましくは実質的に100%の範囲で脆弱化領域によって取り囲まれている。
【0050】
これに対する代替的な実施形態として、本発明者は、圧力開口領域の円周の部分に脆弱化領域を意図的に設けないことが可能であり、これにより、持ち上げられた圧力開口領域と接着要素の残りの部分との間に脆弱化されていない接続が残り、この脆弱化されていない接続により、持ち上げられた圧力開口領域が機械的負荷の結果としてあまりにも容易に切り離なされ、例えばハウジング内に異物として残ることを有利に防止することが可能になることを提案する。従って、本発明の方法において、好ましくは、圧力開口領域の円周を基準として、圧力開口領域が、円周の0.1%~10%、好ましくは0.2%~5%、特に好ましくは0.5%~2%の範囲で脆弱化領域によって囲まれていないことである。
【0051】
接着要素における脆弱化領域、すなわちキャリア層における平均厚さの局所的な減少は、本発明者の推定によれば、広範な可能な方法を用いて有利に生成することができ、特にダイカットは、接着要素を大量に製造するのに適しており、一方、レーザー構造化の使用は、特に正確な脆弱化領域を確立するのに適している。それに応じて好ましいのは、接着要素における脆弱化領域が、材料切除または切断加工法、好ましくはレーザー構造化または型抜きの手段によって製造される、本発明の方法である。
【0052】
本発明の開発の過程において、本発明者は、接着要素の材料を加工できる異なる方向で実験した。最初の試みでは、材料をキャリア層の方向から、すなわち接着剤層から離れた面から加工した。これによって満足のいく脆弱化領域が得られたが、それにもかかわらず、特に機械的な加工方法の場合、場合によっては、キャリア層への力の作用が、下層の接着剤層にも影響を及ぼし、例えば下の表面に対して押圧する可能性があり、接着剤層の望ましくない接着および/または接着剤層の変形につながる可能性があることが、妨げとなる要因となった。本発明者は、驚くべきことに、キャリア層が接着剤層で覆われた側から加工される場合、すなわち、加工がいわば接着剤層を介して行われる場合に、脆弱化領域がより容易に生成されることを認識した。このようなことが可能なのは、驚くべきことに、接着剤層が接着剤によって一定の流動性を有しており、キャリア層の加工過程で生じる材料の局所的な変位が、時間の経過とともに比較的簡単に補正されるからである。本発明の方法おいて、いくつかの用途に好ましいのは、接着要素における脆弱化領域が、接着剤層から離れたキャリア層の面を加工することによって生成される。しかし、代替的に特に好ましいのは、接着要素における脆弱化領域が、接着剤層で覆われている面を加工することによって生成される本発明の方法であり、加工は好ましくは接着剤層を介して行われる。
【0053】
所定の開口圧力は、使用される接着要素の設計、特に脆弱化領域の寸法および実施形態によって決定的に影響され、したがって、接着要素の構造設計によって、所望の開口挙動を精密に調整することが可能になることを当業者であれば理解する。本発明者らの評価によれば、所定の開口圧力が非常に低い場合、多くの場合において、接着要素全体の構造的完全性が本質的に低下し、ここで、脆弱化領域における製造に関連する偏差、および、その結果、所定の開口圧力における絶対的な変動が比較的大きな不確実性として現れる可能性がある。それに応じて、本発明者は、低すぎない所定の開口圧力を選択することを提案する。同時に、特に高い所定の開口圧力は、少なくとも間接的に、使用される接着剤および/または基板上の接着強度に比較的厳密な要件を課すものであり、その意図は、接着要素全体の接着不良、ひいては圧力開口領域の開口前の早期のガス抜き(ベント)を防止することにある。それに応じて、本発明者は、開口圧力に対する有効な下限値だけでなく、本発明者の評価によれば、多くの用途に対して適切であり、典型的な接着剤およびキャリア材料を用いて効果的に確立することができる範囲および関連する上限値も提案する。本発明の方法において好ましいのは、所定の開口圧力が10kPa以上、好ましくは15kPa以上、特に好ましくは20kPa以上、特に好ましくは25kPa以上、、および/または所定の開口圧力が5~200kPaの範囲、好ましくは10~150kPaの範囲、特に好ましくは15~100kPaの範囲、特に好ましくは2~50kPaの範囲である。
【0054】
本発明の方法の利点として、特に従来技術から知られているバーストシステムと比較して、必要な接着要素の接着が特に容易であり、したがって自動化も容易であることが挙げられる。これに対応して本発明の方法において好ましいのは、接着要素の接着が、好ましくはロボットアームを用いて自動的に行われることである。
【0055】
過度の圧力が加わった場合に最適な開口効果を得るために、本発明者は、圧力開口領域を貫通した空隙上に実質的に同心状に配置することを提案する。本発明の方法において好ましくは、圧力開口領域が貫通した空隙上に同心状に配置される。
【0056】
特に簡便な一実施形態においては、特にそれで封止される穴形状に関して大きな柔軟性を示し、圧力開口領域が封止される貫通した空隙よりも小さく、平面の観点において貫通した空隙が圧力開口領域の上に完全に位置する場合に得られる。このような場合に本発明の方法において好ましくは、圧力開口領域が貫通した空隙の断面よりも小さい面積を有し、接着要素が、好ましくは、圧力開口領域が貫通した空隙の上に完全に配置されるように接着される。
【0057】
しかしながら、圧力開口領域が貫通した空隙の端部によって完全に囲まれている上述の実施形態の場合、本発明者自身の実験において、異方的な開口挙動を確立することがより困難であるという不利な点が証明されている。言い換えれば、対応する実施形態は、例えば、外側から基板に作用する過剰な圧力がキャリア層の面に作用する結果、すなわち、ほとんどの用途において、外部からの過剰な圧力が基材に作用する結果、封止されたハウジングの内側に開口しやすくなる。これは特定の実施形態にとっては望ましい場合であっても、この種の開口挙動は、特に電池ハウジングの領域では、大部分の用途にとって不利であると認識されている。開発の過程において、本発明者は、開口挙動の方向依存性を確立するために、圧力開口領域が貫通した空隙の端部を少なくとも部分的に越えて張り出すように接着要素が接着されるべきであることを認識した。この効果は、有利には、貫通した空隙の縁部と圧力開口領域との間のオーバーラップ(重なり)が、キャリア層の剛性と相俟って、密封された空隙の方向への圧力開口領域の不所望な開口を打ち消すことである。したがって、特に好ましくは、本発明による方法において、貫通した空隙の円周を基準として、圧力開口領域が、少なくとも部分的に、好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、極めて好ましくは95%以上、より特に好ましくは円周の実質的に100%の範囲で、接着要素が、貫通した空隙の縁部を越えて張り出すように接着され、および/または圧力開口領域が貫通した空隙の断面よりも大きな面積を有する。
【0058】
この知見に基づき、オーバーラップの程度を利用して、有利には、圧力が外部から作用した場合、すなわちキャリア層の方向から作用した場合、圧力開口領域が接着要素から除去されない負荷圧力まで調整することも可能であり、その結果、開口挙動の有利な異方性を達成することができるだけでなく、両方向に正確に調整することも可能であることを、本発明者は認識した。本発明の方法において、特に好ましくは、また、これに対応して、貫通した空隙の端部を超える圧力開口領域の少なくとも部分的な張り出し部分によって、接着要素が、圧力開口領域においてキャリア層に対する所定の負荷圧力の作用に耐えるように接着され、その結果、脆弱化領域における接着要素が不可逆的に破壊されず、接着要素に貫通穴が形成されない。ここで本発明の方法において、特に好ましいのは、所定の負荷圧力が100kPa以上、好ましくは200kPa以上、特に好ましくは300kPa以上、特に好ましくは400kPa以上である。
【0059】
圧力開口領域と空隙の端部との少なくとも部分的なオーバーラップを有する上述の有利な実施形態において、本発明者は、所定の負荷圧力の同時調整しながら、所定の開口圧力の最も自由な調整を制限することができる効果を観察した。特に、高い負荷圧を設定するために必要となり得る高いレベルのオーバーラップにおいて、少なくとも、キャリア層を接着剤層で実質的に覆うことが好ましい場合には、オーバーラップ領域における接着剤層の接着相互作用が、必要な開口圧力に顕著に寄与することができる、なぜなら、この場合、圧力開口領域を持ち上げるために、接着剤層と空隙の端部との間の接着相互作用をも克服する必要があるからである。この場合、したがって、所定の開口圧力は、もはやキャリア層の脆弱化によって本質的に決まるものではなく、その代わりに、むしろ開口に必要な圧力は、接着剤層と基板との接着相互作用をも克服する必要がある。大きな所定の負荷圧力にもかかわらず、すなわち、例えば、外部負荷要因に対する高い耐性にもかかわらず、小さな所定の開口圧力さえも実現できるようにするために、本発明者によって提案された解決策は、付加的なカバー要素を提供することであり、これは接着剤層に適用することができ、その寸法が圧力開口領域の寸法に可能な限り柔軟に対応する。この場合、カバー要素は、圧力開口領域の領域における接着剤層と基板との間の接着剤相互作用を減少させるか、または防止するので、接着要素は、例えば、専ら圧力開口領域の外側の接着剤層の接着剤相互作用を介してのみ基板上に固定される。外部から圧力の作用の下で、すなわち接着剤層から離れた面からの圧力の作用の下で、オーバーラップの結果として、接着要素は、所望しない開口に対する抵抗を示し、これは、カバー要素の付加的な構造的完全性によってさらに、有利には、増大させることができる。なぜなら、破開(Aufbrechen)のためには最初に変形しなければならないからである。しかし、他の方向から見ると、カバー要素は、接着剤層の関連部分と、過圧開口時に持ち上げられる領域の基板の端部との間の接着剤相互作用を防止し、その結果、低い所定の開口圧力を確立することさえ可能にする。したがって、本発明の方法において、特に好ましくは、接着要素が、キャリア層から離れた接着剤層の面の圧力開口領域に取り付けられるカバー要素をさらに含み、カバー要素が好ましくは圧力開口領域を超えて実質的に張り出さず、および/またはカバー要素の寸法が好ましくは圧力開口領域の寸法に実質的に対応するか、または、接着要素が接着される前に、貫通した空隙が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、カバー要素で覆われ、カバー要素の寸法が、好ましくは、圧力開口領域の寸法に実質的に対応し、接着要素は、圧力開口領域が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、カバー要素を覆うように接着される。当業者は、本発明の方法において、カバー要素が接着剤を含まないものであることが有利であることを理解する。その代わりに、本発明の方法において好ましいのは、カバー要素がポリマー箔および金属箔からなる群から選択される箔を含む。
【0060】
本発明者は、接着剤層、キャリア層およびカバー要素について適切な寸法を規定することに成功した。本発明の方法において、好ましくは、実際、接着剤層が5~1500μmの範囲、好ましくは10~500μmの範囲、特に好ましくは35~100μmの範囲の平均厚さを有し、および/またはキャリア層が30~2000μmの範囲、好ましくは40~1000μmの範囲、特に好ましくは50~500μmの範囲の平均厚さを有し、および/またはカバー要素が5~340μmの範囲、好ましくは10~200μmの範囲、特に好ましくは12~100μmの範囲の平均厚さを有する。
【0061】
本発明が、本発明の方法において使用することができ、上述の利点を得ることができる接着要素にも関することを、当業者は理解する。したがって、本発明は、好ましくは、本発明の方法において、貫通穴を、過圧保護して恒久的に封止するための接着要素であって、以下を含む接着要素にも関する:
i)接着剤を含む接着剤層、および、
ii)接着剤層上に配置され、第1のキャリアレイヤーからなるキャリア層、
ここで、前記接着要素が、キャリア層に形成された脆弱化領域によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域を備え、脆弱化領域におけるキャリア層の平均厚さが、圧力開口領域におけるキャリア層の平均厚さよりも小さくなっており、
圧力開口領域への所定の開口圧力の作用が、接着要素を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素に貫通穴(24)を形成するように、接着要素が構成されていることを特徴とする。
【0062】
本発明者の評価によれば、有利なのは本発明の方法とそれに使用される本発明の接着要素だけではない;その代わりに、その利点は、それに従って製造される基板にも直接伝達され、この基板は、特に、本発明の接着要素の低い固有重量および低い固有体積により、有利な過圧保護を有し、また、所定の開口圧力で確実に開口し、その結果、過圧保護基板は、特に電気自動車の分野において、例えば電池ハウジングの形態のように、多数の用途に特に適している。本発明はまた、それに対応して、好ましくは本発明の方法で製造可能な過圧保護基板であって、少なくとも1つの流体密封された開口部を有する流体密封された内部を含み、該密封された開口部が本発明の接着要素で流体密封されており、該接着要素の圧力開口領域が少なくとも部分的に該密封開口部を覆っている過圧保護基板に関し、当該、過圧保護基板は、内部における所定の過圧の結果として、接着要素が脆弱化領域において少なくとも部分的に不可逆的に破壊され、内部の圧力が接着要素に形成された貫通穴によって緩和され得るように構成されている。
【0063】
最後に、本発明はまた、基板上の穴を恒久的に封止し、過圧保護を生成するための本発明の接着要素の使用に関し、穴は、圧力開口領域が基板上の穴を少なくとも部分的に覆うように接着要素で封止される。
【0064】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付の図を参照してより詳細に説明し、示す:
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、好ましい実施形態における、基板に適用する前の本発明の接着要素の構造を示す第1の概略分解図である;
図2図2は、好ましい実施形態において基板に適用する前の本発明の接着要素の構造を示す第2の概略分解図である;
図3図3は、好ましい実施形態における本発明の接着要素を介した概略断面図である;
図4図4は、本発明の過圧保護基板を、その過圧保護が閉じられた状態で示す概略図である;
図5図5は、本発明の過圧保護基板を、過圧保護が開口された状態で示す概略図である。
【0066】
図1は、本発明の方法において行われる、基板12に適用する前の本発明の接着要素14の構造を示す第1の概略分解図である。
【0067】
本発明の接着要素14は接着剤層16を含み、この接着剤層16を介して接着要素を基板12に取り付け、基板12内の貫通した空隙10を流体密に、特に、気密に封止することができる。図1に示す例では、基板12は金属製の電池ハウジングであり、その内部を区画する電池ハウジングの一方の壁のみが示されている。
【0068】
図示の実施形態例においては、接着剤層16は、ポリ(メタ)アクリレートをベースとする感圧接着剤を含み、これは、例えば、膨張マイクロバルーンを使用して合成発泡させることもできる。
【0069】
接着剤層16は、マルチレイヤーキャリア層18の第一のキャリアレイヤー19上に配置され、接着剤の接着を介して接続されている。図1に示す例においては、分解表示から明らかなように、第一のキャリアレイヤー19は、片面が接着剤層16によって実質的に完全に覆われている。このことは、図1の分解表示を部分的に統合した図2の表示から明らかになり、第一のキャリアレイヤー19と接着剤層16の接続が明確になる。
【0070】
図1および図2において、第1のキャリアレイヤー19は、約80μmの平均厚さを有する金属箔である。第1のキャリアレイヤー19に加えて、キャリア層18は、さらなるレイヤーとしてポリエチレンテレフタレートの保護箔26を含み、この保護箔26は、同様に広範囲に塗布された中間接着剤層30を介して第1のキャリアレイヤー19に接続されている。
【0071】
図1および図2の各々において明らかなのは、キャリア層18における接着要素14が、脆弱化領域22によって形成される圧力開口領域20を含むことである。圧力開口領域20は、ここでは接着要素14の中心に位置し、図示の例では実質的に円形であるため、その結果、基本的な形状に関しては、本発明の方法において封止される基板12の貫通した空隙10に実質的に対応する。
【0072】
この構造の結果、本発明の接着要素14は、例えば、基板12の内部に広がる過剰圧力の結果として、圧力開口領域20に対する所定の開口圧力の作用が、脆弱化領域22において、少なくとも部分的に不可逆的な破壊をもたらすことができるように構成され、これにより、接着要素14に貫通穴24が形成される。
【0073】
図示の例では、脆弱化領域22は、キャリア層18の溝状の空隙として形成されており、この空隙は、保護箔26を貫通して第1のキャリアレイヤー19内に延び、圧力開口領域20を実質的に完全に取り囲んでおり、脆弱化領域22の領域におけるキャリア層18の平均厚さは、キャリア層18の元の厚さに対して、所望の開口圧力に応じて約20~60%低減されており、したがって圧力開口領域20におけるその平均厚さに対しても小さくなっている。
【0074】
図1において、図示の例では、接着剤層16は実質的に一定の平均厚さを有し、これは、この場合、キャリア層18の方向から、ダイカットによって行われた脆弱化領域22の機械的に形成されることが明らかであり、接着剤層16は、このダイカットの影響を受けない。
【0075】
図1および図2の実施例では、本発明の方法において、本発明の接着要素14は、例えばロボットアームを用いて自動的に接着され、図示の実施例では、圧力開口領域20と貫通した空隙10とが同心円状に配置されている。開口挙動の有利な異方性を達成するために、貫通した空隙10の全周にわたって圧力開口領域20が貫通した空隙10の端部を超えて張り出すように、ここでの接着が行われ、これにより、オーバーラップ部分が外部から作用する負荷圧力に対する抵抗(耐性)を呈することができる。
【0076】
本発明の接着要素14と貫通した空隙10の端部とのオーバーラップにもかかわらず、所望の開口圧力の正確な調整を可能にするために、本発明の接着要素14は、カバー要素28を含み、これは、高分子箔で形成され、その寸法が実質的に圧力開口領域20の寸法に対応し、圧力開口領域20において接着剤層16を実質的に完全に覆う。
【0077】
図3は、本発明の接着要素14の構造を断面図で視覚化したものであり、概略的に表された接着要素14は、多くの側面において図1および図2の接着要素14に対応する構造を有する。しかしながら、図3では、脆弱化領域22を生成する目的のためのキャリア層18の加工は、接着剤層16を介して少なくとも部分的に行われる可能性もあることが示されており、ここで、有利には、接着剤層16の流動挙動の結果として、例えば、減少した厚さの形態での加工の痕跡は、短時間後にこの層に残らない。
【0078】
次に、図4は、本発明の過圧保護基板12を示し、例えば図1および図2から得られるような、接着要素14によって流体密に封止された貫通した空隙10を有する。接着要素14の上述の構造および貫通した空隙10上のその配置のため、過圧保護基板12は、脆弱化領域22における接着要素14の破壊なしに、キャリア層18の方向から作用する400kPa以上の負荷圧力に耐えるように設計することができる。実際、対応する構造は、本発明者の実験において、高圧ウォータージェットクリーナー(IPX9K、ISO 20653:2013)による過圧保護基板12のブラストに、封止の不全なし(封止が破壊されることなく)に耐えることさえできた。
【0079】
同時に、例えば5~200kPaの範囲の所定の開口圧力を目標通りに確立することが可能であり、この開口圧力は、所望の開口方向、すなわち例えば電池ハウジングの内部から外部へ向かって作用するとき、脆弱化領域22の少なくとも部分的な破壊の結果として、圧力開口領域20が接着要素14から持ち上げられ、それによって、過圧を解放することができる貫通穴24を形成する。過圧保護の介入から生じる最終状態は、図5に概略的に視覚化されている。ここで、有利な実施形態においては、脆弱化領域22が全周にわたって形成されていないため、圧力開口領域20と接着要素14の残りの部分との間に脆弱化されていない接続が残るという事実によって、接着要素14からの圧力開口領域20の完全な離脱がさらに防止される。
【0080】
参考記号一覧
10 貫通した空隙
12 基板
14 接着要素
16 接着剤層
18 キャリア層
19 第1のキャリアレイヤー
20 圧力開口領域
22 脆弱化領域
24 貫通穴
26 保護箔
28 カバー要素
30 中間接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(12)中の貫通した空隙(10)を封止するための方法であって、
a)以下を含む接着要素(14)を製造または提供するステップ:
i)接着剤を含む接着剤層(16)、および
ii)接着剤層(16)上に配置され、第1のキャリアレイヤー(19)を含むキャリア層(18)、
b)接着剤層(16)によって接着要素(14)を基板(12)に接着し、接着要素(14)が貫通した空隙(10)を完全に覆い、貫通した空隙(10)が接着要素(14)によって流体密に封止されるようにするステップ、
を含み、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)が形成するように、接着要素(14)が構成されており、
そして、ここで、圧力開口領域(20)が基板(12)中の貫通した空隙(10)を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)が接着される、前記方法。
【請求項2】
脆弱化領域(22)が、キャリア層(18)に溝状の空隙として形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定の開口圧力が10kPa以上である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリア層(18)が、第1のキャリアレイヤー(19)の面のうち接着剤層(16)とは反対の面側レイヤーに、さらなるキャリアレイヤーとして保護箔(26)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
接着要素(14)が、さらに、接着剤層(16)の面のうちキャリア層(18)とは反対の面側で圧力開口領域(20)に取り付けられているカバー要素(28)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
接着された接着要素(14)が圧力開口領域(20)においてキャリア層(18)への所定の負荷圧力の作用に耐え、その結果、接着要素(14)が脆弱化領域(22)において不可逆的に破壊されずかつ接着要素(14)中に貫通穴(24)が形成されないように、貫通した空隙(10)の縁を超える圧力開口領域(20)の少なくとも部分的な張り出し部分によって接着要素(14)の接着が行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
所定の負荷圧力が100kPa以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
貫通した空隙を、過圧保護して恒久的に封止するための接着要素(14)であって、
i)接着剤を含む接着剤層(16)、および、
ii)接着剤層(16)上に配置され、第1のキャリアレイヤー(19)を含むキャリア層(18)
を含み、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)を形成するように、接着要素(14)が構成されている、前記接着要素(14)。
【請求項9】
少なくとも1つの流体密に封止された開口部を有する流体密に封止された内部を含む過圧保護基板(12)であって、
ここで、封止された開口部は、請求項8に記載の接着要素(14)で流体密に封止されており、接着要素(14)の圧力開口領域(20)は、封止された開口部を少なくとも部分的に覆っており、
ここで、内部における所定の過圧の結果として、接着要素(14)が脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊され、そうして接着要素(14)に形成された貫通穴(24)によって内部の圧力低下が生じ得るように、過圧保護基板(12)が構成されている、前記過圧保護基板(12)。
【請求項10】
基板(12)中の貫通した空隙を恒久的に封止するため、および過圧保護を生成するための請求項8に記載の接着要素の使用であって、ここで、貫通した空隙は、圧力開口領域(20)が基板(12)内の貫通した空隙を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)で封止される、前記使用。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
参考記号一覧
10 貫通した空隙
12 基板
14 接着要素
16 接着剤層
18 キャリア層
19 第1のキャリアレイヤー
20 圧力開口領域
22 脆弱化領域
24 貫通穴
26 保護箔
28 カバー要素
30 中間接着剤層
さらに、本発明は以下の項目を含む。
[項目1]
基板(12)中の貫通した空隙(10)を封止するための方法であって、
a)以下を含む接着要素(14)を製造または提供するステップ:
i)接着剤を含む接着剤層(16)、および
ii)接着剤層(16)上に配置され、第1のキャリアレイヤー(19)を含むキャリア層(18)、
b)接着剤層(16)によって接着要素(14)を基板(12)に接着し、接着要素(14)が貫通した空隙(10)を完全に覆い、貫通した空隙(10)が接着要素(14)によって流体密に封止されるようにするステップ、
を含み、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)が形成するように、接着要素(14)が構成されており、
そして、ここで、圧力開口領域(20)が基板(12)中の貫通した空隙(10)を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)が接着される、前記方法。
[項目2]
脆弱化領域(22)が、キャリア層(18)に溝状の空隙として形成されている、項目1に記載の方法。
[項目3]
所定の開口圧力が10kPa以上である、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
前記キャリア層(18)が、第1のキャリアレイヤー(19)の面のうち接着剤層(16)とは反対の面側レイヤーに、さらなるキャリアレイヤーとして保護箔(26)を含む、項目1~3のいずれかに記載の方法。
[項目5]
接着要素(14)が、さらに、接着剤層(16)の面のうちキャリア層(18)とは反対の面側で圧力開口領域(20)に取り付けられているカバー要素(28)を含む、項目1~4のいずれかに記載の方法。
[項目6]
接着された接着要素(14)が圧力開口領域(20)においてキャリア層(18)への所定の負荷圧力の作用に耐え、その結果、接着要素(14)が脆弱化領域(22)において不可逆的に破壊されずかつ接着要素(14)中に貫通穴(24)が形成されないように、貫通した空隙(10)の縁を超える圧力開口領域(20)の少なくとも部分的な張り出し部分によって接着要素(14)の接着が行われる、項目1~5のいずれかに記載の方法。
[項目7]
所定の負荷圧力が100kPa以上である、項目6に記載の方法。
[項目8]
貫通した空隙を、過圧保護して恒久的に封止するための接着要素(14)であって、
i)接着剤を含む接着剤層(16)、および、
ii)接着剤層(16)上に配置され、第1のキャリアレイヤー(19)を含むキャリア層(18)
を含み、
ここで、前記接着要素(14)が、前記キャリア層(18)に形成された脆弱化領域(22)によって少なくとも部分的に囲まれた圧力開口領域(20)を含み、ここで、前記脆弱化領域(22)における前記キャリア層(18)の平均厚さが、前記圧力開口領域(20)における前記キャリア層(18)の平均厚さよりも小さくなっており、
ここで、圧力開口領域(20)への所定の開口圧力の作用が、接着要素(14)を脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊し、かつ接着要素(14)に貫通穴(24)を形成するように、接着要素(14)が構成されている、前記接着要素(14)。
[項目9]
少なくとも1つの流体密に封止された開口部を有する流体密に封止された内部を含む過圧保護基板(12)であって、
ここで、封止された開口部は、項目8に記載の接着要素(14)で流体密に封止されており、接着要素(14)の圧力開口領域(20)は、封止された開口部を少なくとも部分的に覆っており、
ここで、内部における所定の過圧の結果として、接着要素(14)が脆弱化領域(22)において少なくとも部分的に不可逆的に破壊され、そうして接着要素(14)に形成された貫通穴(24)によって内部の圧力低下が生じ得るように、過圧保護基板(12)が構成されている、前記過圧保護基板(12)。
[項目10]
基板(12)中の貫通した空隙を恒久的に封止するため、および過圧保護を生成するための項目8に記載の接着要素の使用であって、ここで、貫通した空隙は、圧力開口領域(20)が基板(12)内の貫通した空隙を少なくとも部分的に覆うように接着要素(14)で封止される、前記使用。
【外国語明細書】