(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097625
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】箱体及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20240711BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20240711BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B65D77/06 B
B65D5/02 D
B65D5/54 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001211
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 雅教
(72)【発明者】
【氏名】松室 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 悠太
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA08
3E060BB01
3E060BC02
3E060CE04
3E060CE18
3E060DA04
3E060EA02
3E060EA03
3E060EA04
3E067AA03
3E067AA04
3E067AA05
3E067BA05C
3E067BA12B
3E067BB02C
3E067BB12B
3E067BB14B
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067BB25B
3E067BC06C
3E067BC07B
3E067CA06
3E067CA24
3E067EA18
3E067EB17
3E067EB27
3E067FA04
3E067FB15
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】スパウト被覆部の除去が意匠性に与える影響について減じられた箱体を提供する。
【解決手段】箱体(1)は、スパウト(22)を有する軟包材(2)を収容する箱体(1)であって、スパウト(22)が突出した状態で軟包材(2)を収容する収容箱(11)と、スパウト(22)を覆う被覆部(13)、及び収容箱(11)の内側に配置され、被覆部(13)と収容箱(11)とを接続する接続部(14)を含むスパウトカバー(12)と、接続部(14)に設けられ、被覆部(13)を収容箱(11)から除去するための切断予定線(141)と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトを有する軟包材を収容する箱体であって、
前記スパウトが突出した状態で前記軟包材を収容する収容箱と、
前記スパウトを覆う被覆部、及び前記収容箱の内側に配置され、前記被覆部と前記収容箱とを接続する接続部を含むスパウトカバーと、
前記接続部に設けられ、前記被覆部を前記収容箱から除去するための切断予定線と、
を備える箱体。
【請求項2】
前記収容箱は、厚み方向に対向する表面部及び裏面部と、前記表面部の一端に連結され、前記表面部との連結部分で前記裏面部側に折り曲げられる蓋部とを含み、
前記接続部は、前記表面部の一端と対向する前記裏面部の一端に連結され、前記裏面部との連結部分で前記収容箱の内側に折り込まれる、請求項1に記載の箱体。
【請求項3】
前記接続部は、
前記切断予定線の位置で折り曲げられた折曲部と、
前記切断予定線の少なくとも一端側に設けられた切欠部と、
をさらに含む、請求項1に記載の箱体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の箱体と、
前記収容箱に収容され、スパウトを有する軟包材と、
を含む包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトを有する軟包材を収容する箱体に関する。
【背景技術】
【0002】
液体等の内容物を収容するための包装体として、スパウトを有する軟包材(パウチ)と該軟包材を収容する箱体とを備える包装体が知られている。この種の包装体に関し、例えば、特許文献1には、スパウトを覆うスパウト被覆部を箱体が有し、使用時に切断予定線に沿ってスパウト被覆部を除去可能な包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装体は、切断予定線に沿ってスパウト被覆部を除去した後の切断面が露出するため、使用時における箱体の意匠性が低下する問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、スパウト被覆部の除去が意匠性に与える影響について減じられた箱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る箱体は、スパウトを有する軟包材を収容する箱体であって、前記スパウトが突出した状態で前記軟包材を収容する収容箱と、前記スパウトを覆う被覆部、及び前記収容箱の内側に配置され、前記被覆部と前記収容箱とを接続する接続部を含むスパウトカバーと、前記接続部に設けられ、前記被覆部を前記収容箱から除去するための切断予定線と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、スパウト被覆部の除去が意匠性に与える影響について減じられた箱体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る包装体を示す裏面側の斜視図である。
【
図3】上記包装体の側面側の斜視図の一部を拡大した図である。
【
図5】上記包装体に用いられる軟包材を示す平面図である。
【
図6】上記包装体に用いられる箱体の箱体材料の展開平面図である。
【
図7】上記包装体の接続部を折り返した状態を示す図である。
【
図8】上記包装体において収容箱から被覆部を除去する様子を示す図面である。
【
図9】上記包装体において収容箱から被覆部を除去した状態を示す図面である。
【
図10】上記箱体の箱体材料の変形例の一例を示す展開平面図である。
【
図11】上記箱体の箱体材料の変形例の他の例を示す展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
(包装体の概要)
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明に係る包装体の例示であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態1に係る包装体A1を示す斜視図であり、包装体A1を主に裏面部111側から見た図である。
図2は包装体A1を他の方向から見た斜視図であり、包装体A1を主に表面部112側から見た図である。なお、
図1では、包装体A1の構造を説明するために、包装体A1の内部における軟包材2のスパウト22及び箱体1のスパウトカバー12を破線で図示している。また、
図2では、被覆部13の収容箱11への固定を説明するために、包装体A1の内部における被覆部13の舌部134aを破線で図示している。
図3は、包装体A1の側面側の斜視図一部を拡大した図である。
図4は、包装体A1の
図1におけるT-T矢視断面図である。
【0011】
図1から
図4に示すように、包装体A1は、箱体1にスパウト22を有する軟包材2を収容したものである。包装体A1では、流通時において箱体1の収容箱11から突出したスパウト22を箱体1の被覆部13が覆うことにより、スパウト22の損傷を抑制する。また、包装体A1では、使用時において収容箱11の内側に設けられた切断予定線141を切断することで、被覆部13が収容箱11から除去される。これにより、被覆部13を除去した後の切断予定線141の切断面が箱体1の外部に露出せず視認されないため、使用時における被覆部13の除去が箱体1の意匠性に与える影響を減じることができる。
【0012】
[包装体の構成]
次に、
図1から
図6に基づき、包装体A1の構成について説明する。なお、以降において便宜上、軟包材2のスパウト22が配置される側を上側とし、包装体A1における上下方向をy軸方向、包装体A1の厚み方向をz軸方向、包装体A1の幅方向をx軸方向として説明する。
【0013】
図1に示すように、包装体A1は、箱体1と、軟包材2とを備えており、箱体1は軟包材2を収容している。そのため、包装体A1の外形は箱体1の外形と一致する。包装体A1は、内容物が充填された軟包材2を箱体1に収容した状態で流通する。また、包装体A1は、被覆部13を収容箱11から除去した後、軟包材2を箱体1に収容したまま包装体A1から内容物を抽出可能になっている。
【0014】
(軟包材)
まず、
図5に基づき、軟包材2について説明する。
図5は、包装体A1に用いられる軟包材2を示す平面図である。なお、
図5における3軸は、
図1において軟包材2が箱体1に収められた際の方向を示している。軟包材2は内容物を収容する。内容物は特に限定されず、液体、ゼリー状、ペースト状のものであってもよく、粉体や粉粒体であってもよい。本発明の包装体の用途は洗剤等の日用品に限定されず、各種食料品等や医療用途に適用されてもよい。
【0015】
軟包材2は、一対のシート21及びスパウト22を備えており、軟包材2には、スパウト接合部23及び周端シール部24が形成されている。本実施形態では、軟包材2は略四角形(四方シールの平パウチ形状)として説明する。ただし、上記に限らず、軟包材2は箱体1に収容される形状及び大きさであれば、台形や湾曲部分を有する形状でもよく、側部や下部に襠を設けたサイドガゼットパウチや底ガゼットパウチの形状であってもよい。一対の略四角形のシート21は、互いに重ね合わされており、互いの間の空間が内容物を収容する収容部25を構成している。シート21の材料は特に限定されず、例えば、最外面の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルム等からなる基材層と、最内面の直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレン系フィルム等からなるシーラント層と、を含むラミネートフィルム、または上記基材層と上記シーラント層との間に、内容物や用途に応じてアルミニウム箔や、エチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリアー性樹脂、各種蒸着フィルム等の中間層をさらに設けたラミネートフィルム等の一般的な材料を採用することができる。なお、基材層には表示や着色の印刷が設けられてもよく、各層は単層に限らず複層構成でもよい。
【0016】
スパウト22は、収容部25に収容された内容物を注出する。スパウト22は、一対のシート21の端部同士の間に配置されている。スパウト22は、互いに脱着可能とされた筒部221及び蓋部223を有することにより、開閉が可能である。筒部221と蓋部223とは、内容物や用途に応じて各種口径や開口部形状、スクリューキャップ仕様やヒンジキャップ仕様等を採用できる。筒部221には、一対のフランジ222が形成されている。一対のフランジ222は、スパウト22を通じて軟包材2の内部(収容部25)が外部と通じる方向(y軸方向)に並んで設けられている。なお、フランジ222は一対(2つ)でなく、3つ以上でも1つでもよい。また、本実施形態のフランジ222は円形であるが、フランジ222は円形に限らず楕円や多角形状等でもよい。
【0017】
スパウト接合部23は、一対のシート21とスパウト22とが接合された部位である。本実施形態においては、スパウト接合部23は、一対のシート21の1つの辺の一部が、スパウト22の筒部221の一部、例えば、x軸及びz軸を通る平面での断面が、x軸方向における中央部から両側に向けてz軸方向の幅が狭くなるような船形状に形成された筒部221の一部の外面に接合された構成である。スパウト22は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の射出成形品からなり、スパウト接合部23において、シート21のシーラント層とヒートシールにより接合されている。なお、スパウト22の材料はポリエステル等の他の樹脂や金属との複合材料でもよく、接合方法も、これに限定されず、例えば接着剤を用いた方法等であってもよい。
【0018】
周端シール部24は、一対のシート21の周端部を例えばヒートシールによって接合する。これにより、収容部25は、スパウト22、スパウト接合部23及び周端シール部24によって密閉されている。また、軟包材2は、箱体1に収容できるように、上下方向(y軸方向)及び幅方向(x軸方向)よりも奥行方向(z軸方向)の寸法が顕著に小さい扁平な形状である。
【0019】
(箱体)
次に、
図1から
図4、
図6及び
図7に基づき、箱体1について説明する。
図6は包装体A1に用いられる箱体1の箱体材料10の展開平面図である。箱体材料10は、箱体1を形成するためのものであり、一枚のシート状材料からなる。
図6では箱体1の表側となる箱体材料10が図示されている。
図7は接続部14を折り返した状態を示す図であり、
図7では
図6で示す箱体材料10の裏側が図示されている。
【0020】
箱体1は、スパウトを有する軟包材2を収容する。
図1及び
図2に示すように、箱体1は、略直方体であり、奥行方向が25mm以下となる扁平な形状である。これにより、箱体1は、住宅の一般的な郵便受けに投入することができる。また、箱体1の表面部112は幅(x軸方向)120mm×高さ(y軸方向)130mm以上とすることが望ましい。これにより、表面部112に配送用の伝票を貼付することができ、伝票を貼付するための外装を不要にできる。なお、箱体1の表面部112は幅(x軸方向)130mm×高さ(y軸方向)120mm以上であってもよい。
【0021】
箱体1は底面部115の底面本体115aが表面部112側から裏面部111側(z方向マイナス側から+側)に向かうにつれて、下側から上側(y軸方向マイナス側からプラス側)に向かうように傾斜しており、裏面部111の下側の一端111bが、底面本体115aよりも下側に突出している。これにより、奥行き方向(z方向)が短い扁平形状の箱体1であっても容易に自立することができる。
【0022】
箱体1の材質は特に限定されない。軟包材2を適切に収容し且つ保護し得るものであればよい。箱体材料10の材質としては、例えばボール紙等の厚紙やG段(Gフルート段ボール紙)等の薄手の段ボール紙等の紙材が合成樹脂の使用量を抑制できるため好ましい。箱体材料10として合成樹脂材料を用いる場合、ポリプロピレン、ポリエステル等の厚さ0.3mm以上1.0mm以下程度の樹脂シート材が挙げられ、軟包材2のシート21の材質よりも剛性が高い材質が好ましい。以降においては、箱体材料10の材質として耐水性を上げるためにプラスチックフィルムを積層した厚紙が用いられた場合を例に説明する。箱体1は、収容箱11と、スパウトカバー12と、を備えている。
【0023】
(収容箱)
図1に示すように、収容箱11は、箱体1の下側に位置し、スパウト22が突出した状態で軟包材2を収容する。また、
図6に示すように、収容箱11は、裏面部111と、表面部112と、側面部113・114と、底面部115と、蓋部116と、を有する。なお、
図6において、箱体材料10に設けられた破線は押し罫線等の罫線により折曲げが容易とされた折曲予定線を示すものであり、1点鎖線は切断が容易とされた切断予定線141を示す。これらは、以降の図においても同様である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、裏面部111及び表面部112は、厚み方向(z軸方向)に対向し、厚み方向において軟包材2を挟むように配置される。裏面部111及び表面部112は平面視(z軸方向における平面視)において、略長方形であり、軟包材2の大きさに応じた面積を有する。
【0025】
側面部113及び側面部114は、幅方向(
図1におけるx軸方向)において軟包材2を挟むように配置される。
図6で図示された展開平面図の例においては、箱体材料10では裏面部111と表面部112との間に側面部113が設けられており、表面部112に対して側面部113とは反対側に側面部114が設けられている。なお、裏面部111に対して側面部113とは反対側に設けられている側面補助部114aはのりしろであり、箱体1を組み立てる際に、側面補助部114aの表側の面と114の裏側の面とが接着される。
【0026】
側面部113及び側面部114の短辺方向は、包装体A1における表裏方向(厚さ方向)に相当する。側面部113及び側面部114の短辺の寸法は、長辺と比べて顕著に小さい。これにより、箱体1は扁平な形状となる。
【0027】
図1に示すように、底面部115の底面本体115a及び蓋部116の蓋部本体116aは、上下方向(y軸方向)において軟包材2を挟むように配置される。
図1、
図3及び
図4に示すように、蓋部116は、表面部112の一端112aに連結され、表面部112との連結部分で裏面部111側に折り曲げられ、収容箱11の上部において表面部112と裏面部111との間を覆う。
【0028】
図6に示すように、蓋部116は、蓋部本体116aと、蓋部補助部116bと、を有している。箱体1を組み立てる際に、蓋部補助部116bが裏面部111と略平行になるように収容箱11の内側に差し込まれることで、蓋部本体116aが裏面部111と表面部112との間を覆うように固定される(
図3及び
図4参照)。
【0029】
図6に戻り、蓋部116にはスパウト固定部182が設けられている。スパウト固定部182は、蓋部116の略中央部に形成され、箱体1に軟包材2のスパウト22を固定するためのものである。スパウト固定部182は、第1貫通孔182a及び第2貫通孔182bが連結した貫通孔であり、第1貫通孔182aの箱体1の幅方向の長さL1は、スパウト22の2つのフランジ222間の筒部221の外形より大きく、フランジ222の外形未満となっている。これにより、
図4に示すように、蓋部本体116aの厚さ方向の上下にスパウト22のフランジ222が位置するように、第1貫通孔182aにスパウト22の筒部221を嵌めることで、第1貫通孔182aにフランジ222を引っ掛けて軟包材2を収容箱11に収容することができ、スパウト22をスパウト固定部182に固定することができる。なお、例えばフランジ222が一つの場合、フランジ222とスパウト接合部23との間に蓋部本体116aが挿入されることで、スパウト22をスパウト固定部182に固定することが可能である。
【0030】
第2貫通孔182bは、スパウト22を蓋部116の裏側から表側に容易に貫通させるために設けられている。そのため、略円形である第2貫通孔182bの内径L2は、フランジ222の外形以上となる。第2貫通孔182bは、蓋部補助部116bに設けられている。上述のように蓋部補助部116bが収容箱11の内側に差し込まれることにより、第2貫通孔182bが露出しなくなると共に、スパウト22がスパウト固定部182から抜けにくくなる。
【0031】
スパウト固定部182の形状は、スパウト22の形状に応じて決定される。包装体A1において軟包材2のスパウト22を固定する方法は上記に限らず、略円形の貫通孔の周縁に放射状に複数の切込みを設けた孔にスパウトを挿し込むことで固定するものであってもよい。
【0032】
また、
図6に示すように、底面部115は、表面部112の下側の一端112bに連結され、収容箱11の下部において表面部112と裏面部111との間を覆う。底面部115は、底面本体115aと、底面補助部115bと、を有している。箱体1を組み立てる際に、底面補助部115bが裏面部111と略平行になるように収容箱11の内側に差し込まれることで、底面本体115aが裏面部111と表面部112との間を覆うように固定される。
【0033】
底面本体115a及び蓋部本体116aのそれぞれの短辺方向は、箱体1における表裏方向(厚さ方向)に相当する。軟包材2が上述した扁平な形状であることにより、底面部115及び蓋部116の短辺の寸法は、長辺と比べて顕著に小さい。
【0034】
(スパウトカバー)
図1及び
図4に示すように、スパウトカバー12は、収容箱11に接続され、スパウト22を覆う。スパウトカバー12は、箱体1において、収容箱11以外の構成を示し、被覆部13と、接続部14と、を備えている。被覆部13と接続部14とは連続して形成されており、被覆部13と接続部14との境界は、裏面部111の上側の一端111aと略一致する。
【0035】
(被覆部)
被覆部13はスパウト22を覆う。
図1から
図4に示すように、被覆部13はスパウトカバー12において、箱体1の裏面部111の上側の一端111aより上側に位置する構成である。被覆部13はx軸方向に延伸する略筒状の形状であり、y軸及びz軸を通る面で切断した場合の切断面が略四角形となる。なお、本実施形態における上記切断面は、略長方形状であるが、上記に限らず上記切断面が台形状になるように被覆部13が形成されてもよい。
【0036】
図3に示すように、被覆部13における箱体1の幅方向(x軸方向)の両端は、開放されていてもよく、塞がれていてもよい。被覆部13の両端が開放されていることで、軟包材2を箱体1に容易に収容することができ、包装体A1を組み立てる手間を減らすことができる。また、被覆部13の両端が開放されていることで、被覆部13が変形しやすくなり、被覆部13を箱体1から除去しやすくなる。
【0037】
図4及び
図6に示すように、被覆部13は、裏面側被覆部131と、上側被覆部132と、表面側被覆部133と、下側被覆部134と、を有している。裏面側被覆部131、上側被覆部132、表面側被覆部133及び下側被覆部134は、それぞれ略四角形でありこの順で連続して形成されている。
【0038】
図4に示すように、裏面側被覆部131はスパウト22の裏面部111側に位置し、裏面部111と略平行となる。上側被覆部132はスパウト22の上側に位置し、底面本体115a(
図1参照)と略平行となる。表面側被覆部133はスパウト22の表面部112側に位置し、裏面側被覆部131と略平行となる。下側被覆部134はスパウト22の下側かつ蓋部本体116aの上側に位置し、上側被覆部132と略平行となる。
【0039】
図6に示すように、下側被覆部134は、先端の幅が広くなった舌部134aを有する。舌部134aは、表面側被覆部133と下側被覆部134との境界線に沿って2箇所に設けられ、表面側被覆部133から下側被覆部134に向かって凸となる。
【0040】
箱体1を組み立てる際に、各舌部134aの対となる差込部112cに各舌部134aを挿入することで、被覆部13を確実に収容箱11に固定することができる(
図2参照)。差込部112cは表面部112の一端112aの辺に沿って、各舌部134aに対応する位置に設けられている。
【0041】
図1に戻り、下側被覆部134には、軟包材2を収容箱11に収容した状態でスパウト22に対応する位置において、裏面部111側から表面部112側に向かって凹となる凹部134bが形成されている。これにより、軟包材2が収容箱11に収容された状態において、蓋部本体116aの上側に下側被覆部134を重ねた状態で(
図3及び
図4参照)、舌部134aにより被覆部13を収容箱11に固定することができるので、より安定させて被覆部13を収容箱11に固定することができる。また、凹部134bをスパウト22の筒部221の外形に接触した状態で嵌り合う寸法形状にすることで、スパウト22の箱体1への固定と被覆部13の収容箱11への固定を互いに補助することができる。なお、下側被覆部134の凹部134bにより被覆部13を固定できる場合は、舌部134a及び差込部112cを省略してもよい。また、舌部134aにより被覆部13を固定できる場合は、下側被覆部134を省略してもよい。
【0042】
(接続部)
接続部14は、収容箱11の内側に配置され、被覆部13と収容箱11とを接続する。
図1及び
図4に示すように、接続部14は、表面部の一端112aと対向する裏面部111の一端111aに連結され、スパウトカバー12において、箱体1の裏面部111の上側の一端111aより下側、且つ、収容箱11の内側に位置する構成である。
【0043】
接続部14は、
図6のハッチング部分に該当する。
図4及び
図6に示すように、接続部14は、第1接続部142と、第2接続部143と、折曲部16と、切欠部17と、切断予定線141とを含む。
【0044】
図4に示すように、折曲部16は、接続部14が折り返された部分である。接続部14は折曲部16を境に第1接続部142と第2接続部143とに分けられる。
図7の矢印T1に示すように、接続部14は、第1接続部142の表側と第2接続部143の表側とが接するように折曲部16で折り返えされる。その状態で、
図7の矢印T2に示すように、第1接続部142の裏側が裏面部111の裏側に接するように、裏面部111の上側の一端111aで接続部14が折り返される。これにより、
図4に示すように、接続部14は、収容箱11の内側に配置される。言い換えると、接続部14は、裏面部111との連結部分で収容箱11の内側に折り込まれる。
【0045】
その結果、箱体1の表面側には表面部112と蓋部116との連結部分(折曲部)が位置するため、被覆部13を除去した後において包装体A1の意匠性がよくなる。
【0046】
なお、収容箱11の内側に折り込まれた接続部14は、裏面部111の裏側(収容箱11の内側)における
図6に示す貼付部S1に対応する位置で、裏面部111と接着される。これにより、軟包材2を収容箱11に収容する際に接続部14が収容の妨げとなるのを防ぐことができる。なお、本実施形態においては、貼付部S1の2箇所と、側面部114と側面補助部114aとの接着の1箇所との合計3箇所のみの接着で包装体A1の組み立てが可能となる。
【0047】
また、
図4に示すように、軟包材2が収容箱11に収容された状態では、接続部14が軟包材2のシート21を押す。これにより、収容箱11に軟包材2を固定することができ、軟包材2を収容箱11から抜けにくくすることができる。
【0048】
切断予定線141は、接続部14に設けられ、被覆部13を収容箱11から除去するための線である。被覆部13を収容箱11から除去するとは、収容箱11に連続的に形成されており収容箱11と一体となっていた被覆部13を収容箱11から切り離すことを示す。本実施形態においては、切断予定線141は折曲部16と一致する。すなわち、接続部14の折曲部16は切断予定線141の位置で折り曲げられている。切断予定線141は、例えば線状に切断部分と非切断部分が繰り返し形成されたミシン目線であり、接続部14から被覆部13を完全に切り離すことができるように、切断予定線141は接続部14において箱体1の幅方向の一端から他端まで延伸している。ミシン目線は、容易に切断できるように切断部分を長く(例えば5mm以上15mm以下)、非切断部分を短く(例えば0.5mm以上2mm以下)形成してもよい。
【0049】
切断予定線141は、包装体A1の箱体1からスパウト22を露出させる際に切断される部分である。切断予定線141で接続部14を切断することで、スパウトカバー12から被覆部13が切り離される。これにより、被覆部13が収容箱11から切り離され、除去される。
【0050】
被覆部13を収容箱11から除去するための切断予定線141が、収容箱11の内側に配置される接続部14に設けられているため、被覆部13を除去した後の切断面が収容箱11の内側に位置し、切断面が外部に露出しない。従って、被覆部13の除去が箱体1の意匠性に与える影響を減じることができる。切断面が外部に露出しないため、例えばユーザの手などが切断面に触れることを回避することができる。従って、ミシン目線等を切断し凸凹が生じた切断面で指などを切ることを防ぐことができるので安全性が向上する。
【0051】
また、切断予定線141の両端には切欠部17が設けられている。このように、本実施形態では、切断予定線141が折曲部16に設けられ、且つ、切断予定線141の両端側に切欠部17が設けられているため、収容箱11から被覆部13を除去しやすくなる。切断予定線141の両端に切欠部17があることで、切断予定線141の一端側からでも他端側からでも容易に接続部14から被覆部13を切り離すことができる。
【0052】
なお、切欠部17は、切断予定線141の両端ではなく、切断予定線141の少なくとも一端側に設けられていればよい。切欠部17が切断予定線141の一端側のみに設けられている場合、切り離す方法(切り取りの方向や把持する位置等)の案内を、例えば、箱体1に表示することが望ましい。
【0053】
本実施形態では、切欠部17としてV字切欠が形成されている。V字切欠は、切断予定線141から裏面部111の上側の一端111aに向かって第1接続部142の幅が広くなり、切断予定線141から被覆部13に向かって第2接続部143の幅が広くなるように形成されている。切欠部17が形成されることで、切断予定線141が箱体1の幅よりも短くなり、接続部14から被覆部13を切り離し易くなる。切断予定線141の長さは、例えば裏面側被覆部131の幅寸法の50%以上80%以下である。
【0054】
なお、切欠部17の形状はV字に限らず、切断予定線141の長さが、裏面側被覆部131の幅寸法よりも短くなるように形成されればよい。
【0055】
[被覆部の除去方法]
図8は、包装体A1において収容箱11から被覆部13を除去する様子を示す図面である。
図9は包装体A1において収容箱11から被覆部13を除去した状態を示す図面である。
【0056】
ユーザは被覆部13をつかみ、持ち上げるように引っ張り上げることで、
図8に示すように、被覆部13を収容箱11から除去する。箱体1は扁平形状であるため、ユーザは被覆部13を容易につかんで収容箱11から被覆部13を切り離すことができる。
【0057】
また、被覆部13が収容箱11に接続されている個所は、裏面部111の内側に位置する接続部14に配置されている切断予定線141の一か所のみであり、表面部112側等では被覆部13は収容箱11に接続されていない。これにより、さらに被覆部13は収容箱11から切り取りやすくなっている。なお、本実施形態では、この際に各舌部134aが差込部112cから抜き取られることになるが、舌部134aと被覆部13との接続部である舌部134aの根元(幅狭の部分)にミシン目等の切断線を設けて、舌部134aが抜き取られることなく切断されるようにしてもよい。
【0058】
被覆部13が収容箱11から除去されると、
図9に示すように、スパウト22が露出し、ユーザはスパウト22から内容物を抽出して使用することが可能となる。また、上述したように、被覆部13を収容箱11から除去した後の切断面が収容箱11の内側に位置し、切断面が外部に露出しない。さらに、箱体1の表面側には表面部112と蓋部116との連結部分(折曲部)が位置している。これにより、被覆部13の除去が箱体1の意匠性に与える影響について減じられ、被覆部13の除去後においても意匠性に優れた箱体を提供することができる。
【0059】
〔変形例1〕
本発明の変形例について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0060】
図10は、箱体1の箱体材料10の変形例である箱体材料10aの一例を示す展開平面図である。
図10に示すように、箱体材料10と箱体材料10aとでは、切断予定線141の位置が異なり、その他の構成は同じである。
【0061】
切断予定線141は、折曲部16以外に形成されていてもよく、例えば、
図10に示すように、切断予定線141は、折曲部16と被覆部13との間に形成されていてもよい。このように、切断予定線141は折曲部16と一致していなくとも、切断予定線141が、折曲部16と被覆部13との間に形成されることで、安定した切断性が得られやすく、また、波線状や傾斜した線状部を含むミシン目線等、折り曲げに関わりなく切断予定線141の設計が可能になる。
【0062】
〔変形例2〕
本発明の他の変形例について、以下に説明する。
図11は、箱体1の箱体材料10の変形例の他の例を示す箱体材料10bの展開平面図である。
図11に示すように、箱体材料10と箱体材料10bでは、スパウト固定部182の位置、及び、スパウトカバー12の形状が異なり、その他の構成は同じである。
【0063】
スパウト22は、箱体1の幅方向において軟包材2の中央に位置していてもよく、端部付近に位置していてもよい。箱体材料10bでは、スパウト固定部182が、箱体1の幅方向において蓋部116の端部付近に形成されている。その為、箱体材料10bによると、スパウト22が軟包材2の幅方向の端部付近に位置している場合の箱体1を組み立てることができる。
【0064】
また、被覆部13は、少なくともスパウト22を被覆できればよい。そのため、箱体材料10bでは、箱体1の幅方向における被覆部13の長さが、スパウト22を覆うために必要な長さのみとなっている。それに合わせて、接続部14の箱体1の幅方向の長さも短くなっている。ただし、接続部14において第1接続部142は、箱体1の幅方向の長さを裏面部111と同じ長さとしている。これにより、被覆部13をスパウト22にあわせて短くした場合であっても、スパウトカバー12を安定させることができる。
【0065】
なお、軟包材2のスパウト22は箱体1の角部に位置していてもよく、側面に位置していてもよい。その場合は、スパウト22の位置に応じてスパウト固定部182の位置を調整し、箱体1を作成する。
【0066】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る箱体(1)は、スパウト(22)を有する軟包材(2)を収容する箱体(1)であって、前記スパウト(22)が突出した状態で前記軟包材(2)を収容する収容箱(11)と、前記スパウト(22)を覆う被覆部(13)、及び前記収容箱(11)の内側に配置され、前記被覆部(13)と前記収容箱(11)とを接続する接続部(14)を含むスパウトカバー(12)と、前記接続部(14)に設けられ、前記被覆部(13)を前記収容箱(11)から除去するための切断予定線(141)と、を備えている。
【0067】
前記構成では、被覆部を収容箱から除去するための切断予定線が、収容箱の内側に配置される接続部に設けられている。そのため、被覆部を除去した後の切断面が収容箱の内側に位置するため、切断面が外部に露出しない。従って、前記構成によれば、被覆部の除去が意匠性に与える影響について減じられた箱体を提供することができる。
【0068】
また、前記構成では、切断面が外部に露出しないため、例えばユーザの手などが切断面に触れることを回避することができる。従って、前記構成によれば、切断面で指などを切ることを防ぐことができるので安全性が向上する。
【0069】
本発明の態様2に係る箱体(1)は、上記態様1において、前記収容箱(11)は、厚み方向に対向する表面部(112)及び裏面部(111)と、前記表面部の一端(112a)に連結され、前記表面部(112)との連結部分で前記裏面部(111)側に折り曲げられる蓋部(116)とを含み、前記接続部(14)は、前記表面部の一端(112a)と対向する前記裏面部の一端(111a)に連結され、前記裏面部(111)との連結部分で前記収容箱(11)の内側に折り込まれていてもよい。
【0070】
上記の構成では、箱体の表面側に蓋部が連結され、且つ、箱体の裏面側にスパウトカバーが連結されている。そのため、箱体の表面側には表面部と蓋部との連結部分(折曲部)が位置するため、被覆部を除去した後の箱体の意匠性がよくなる。
【0071】
本発明の態様3に係る箱体(1)は、上記態様1または2において、前記接続部(14)は、前記切断予定線(141)の位置で折り曲げられた折曲部(16)と、前記切断予定線(141)の少なくとも一端側に設けられた切欠部(17)とを含んでいてもよい。
【0072】
上記の構成によれば、切断予定線が折曲部に設けられ、且つ、切断予定線の一端側に切欠部が設けられているため、収容箱から被覆部を除去しやすくなる。
【0073】
本発明の態様4に係る包装体(A1)は、上記態様1から3のいずれかの箱体(1)と、前記収容箱(11)に収容され、スパウト(22)を有する軟包材(2)と、を含む。
【0074】
上記の構成によれば、被覆部の除去が意匠性に与える影響について減じられた箱体に軟包材が収容された包装体を提供することができる。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 箱体
2 軟包材
11 収容箱
12 スパウトカバー
13 被覆部
14 接続部
16 折曲部
17 切欠部
22 スパウト
111 裏面部
111a 裏面部の一端
112 表面部
112a 表面部の一端
116 蓋部
141 切断予定線
A1 包装体