(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097661
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】バッテリ冷却システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20240711BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240711BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240711BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240711BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/625
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001275
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 大地
(72)【発明者】
【氏名】山田 保雄
(72)【発明者】
【氏名】安江 孝浩
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031HH03
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】固体電池のバッテリ温度が出力制限開始温度を超過した場合でも、固体電池のバッテリ温度が出力許可上限温度に到達しないようにしながら固体電池の出力を維持することができるバッテリ冷却システムを提供する。
【解決手段】バッテリ冷却システム10は、固体電池20と、排熱装置30と、冷媒Wが循環する冷却回路40と、バッテリ制御装置50と、を備え、冷媒Wは、固体電池20から吸熱して固体電池20を冷却し、固体電池20から吸熱した熱を排熱装置30で排熱する。バッテリ制御装置50は、バッテリ温度T
BATTが出力制限開始温度T
sを超過した場合に、バッテリ発熱量Q
BATTと、冷媒Wのバッテリ吸熱量Q
Aと、冷媒Wの排熱装置排熱量Q
EXと、が等しくなるように、固体電池20の出力電流I
BATTを制御し、バッテリ温度T
BATTを出力制限開始温度T
s以上且つ出力許可上限温度T
lim未満の温度となるように制御する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電池と、
排熱装置と、
前記固体電池と前記排熱装置とを冷媒が循環する冷却回路と、
前記固体電池の入出力電力を制御可能なバッテリ制御装置と、を備え、
前記冷媒は、前記固体電池から吸熱して前記固体電池を冷却し、前記固体電池から吸熱した熱を前記排熱装置で排熱する、バッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池の温度であるバッテリ温度が所定の出力制限開始温度を超過した場合に、
前記固体電池の発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量と、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流を制御し、
前記バッテリ温度を、前記出力制限開始温度以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度未満の温度となるように制御する、バッテリ冷却システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池の発熱量を検出又は算出により取得し、
前記固体電池に導入される前記冷媒の温度であるバッテリ入口温度と、前記固体電池から排出される前記冷媒の温度であるバッテリ出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記バッテリ入口温度と前記バッテリ出口温度とに基づいて、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量を算出により取得し、
前記排熱装置に導入される前記冷媒の温度である排熱装置入口温度と、前記排熱装置から排出される前記冷媒の温度である排熱装置出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記排熱装置入口温度と前記排熱装置出口温度とに基づいて、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量を算出により取得し、
前記バッテリ温度が、前記出力制限開始温度以上のとき、
前記固体電池の発熱量が、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量よりも大きい場合、
前記固体電池の出力電流を第1制限電流値となるように制限し、
その後、それぞれ取得した、前記固体電池の発熱量、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量、及び、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量に基づいて、前記固体電池の発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量と、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流をフィードバック制御する、バッテリ冷却システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池と前記冷媒との間の熱抵抗値が記憶されており、
前記熱抵抗値に基づいて、前記固体電池の発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量と、が等しくなる前記固体電池の電流値を算出し、
前記固体電池の出力電流を当該電流値になるように制御する、バッテリ冷却システム。
【請求項4】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記バッテリ温度が、前記出力制限開始温度以下の温度である制御目標温度より低く、且つ、前記固体電池の出力電流が、前記バッテリ温度を前記制御目標温度まで上昇させるために必要な電流値より小さい場合、
前記固体電池の出力電流を増大させるように制御する、バッテリ冷却システム。
【請求項5】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記バッテリ温度が所定の第1閾値温度より低く、且つ、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量が前記冷媒の前記排熱装置での排熱量よりも小さい場合、
前記固体電池の出力電流を増大させるように制御する、バッテリ冷却システム。
【請求項6】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池に導入される前記冷媒の温度であるバッテリ入口温度と、前記固体電池から排出される前記冷媒の温度であるバッテリ出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記バッテリ入口温度と、前記バッテリ出口温度と、前記冷媒の質量流量と、前記冷媒の比熱と、に基づいて、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量を算出し、
前記排熱装置に導入される前記冷媒の温度である排熱装置入口温度と、前記排熱装置から排出される前記冷媒の温度である排熱装置出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記排熱装置入口温度と、前記排熱装置出口温度と、前記冷媒の質量流量と、前記冷媒の比熱と、に基づいて、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量を算出する、バッテリ冷却システム。
【請求項7】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ冷却システムは、前記固体電池及び前記排熱装置以外の発熱部品をさらに備え、
前記冷却回路は、前記固体電池と前記排熱装置と前記発熱部品とを前記冷媒が循環し、
前記冷媒は、前記固体電池から吸熱して前記固体電池を冷却し、前記発熱部品から吸熱して前記発熱部品を冷却し、前記固体電池及び前記発熱部品から吸熱した熱を前記排熱装置から排熱し、
前記バッテリ制御装置は、
前記バッテリ温度が前記出力制限開始温度を超過した場合に、
前記固体電池の前記発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの前記吸熱量と、前記冷媒の前記排熱装置での前記排熱量と、が等しくなることに代えて、
前記固体電池の前記発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの前記吸熱量と、が等しく、且つ、前記冷媒の前記固体電池からの前記吸熱量と前記冷媒の前記発熱部品からの吸熱量との和と、前記冷媒の前記排熱装置での前記排熱量と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流を制御する、バッテリ冷却システム。
【請求項8】
請求項7に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池に導入される前記冷媒の温度であるバッテリ入口温度と、前記固体電池から排出される前記冷媒の温度であるバッテリ出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記バッテリ入口温度と、前記バッテリ出口温度と、前記冷媒の質量流量と、前記冷媒の比熱と、に基づいて、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量を算出し、
前記排熱装置に導入される前記冷媒の温度である排熱装置入口温度と、前記排熱装置から排出される前記冷媒の温度である排熱装置出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記排熱装置入口温度と、前記排熱装置出口温度と、前記冷媒の質量流量と、前記冷媒の比熱と、に基づいて、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量を算出し、
前記発熱部品に導入される前記冷媒の温度である発熱部品入口温度と、前記発熱部品から排出される前記冷媒の温度である発熱部品出口温度と、を検出又は算出により取得し、
前記発熱部品入口温度と、前記発熱部品出口温度と、前記冷媒の質量流量と、前記冷媒の比熱と、に基づいて、前記冷媒の前記発熱部品からの吸熱量を算出する、バッテリ冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などに搭載される固体電池を冷却するバッテリ冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。近年は、特に、高い安全性と、高いエネルギー密度とを実現可能な固体電池の研究開発が盛んに行われている。
【0003】
二次電池は、所定の温度域で動作させる必要があるため、二次電池を温調するためのバッテリ温調システムが知られている。例えば、特許文献1には、ペルチェ素子に供給する温度制御用電流を制御することによって、二次電池の温度を目標温度付近に維持するバッテリ温調システムが記載されている。特許文献1に記載のバッテリ温調システムは、目標温度と環境温度との差分温度に対応して二次電池の外部の環境から二次電池への熱流量を設定したマップテーブルを保持し、目標温度と環境温度との差分温度に基づいてマップテーブルを参照して二次電池への熱流量を決定し、ペルチェ素子に供給する温度制御用電流を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固体電池の場合、固体電池の使用温度域が広がることで固体電池の出力制限開始温度が、過昇温判定に伴う車両走行停止温度等、固体電池の出力許可上限温度に近づくため、特許文献1に記載のバッテリ温調システムでは、固体電池が出力制限開始温度を超過した場合に、出力許可上限温度に到達してしまう虞がある。固体電池の温度が出力許可上限温度に到達すると、固体電池の出力電流を厳しく制限する必要があるため、固体電池が出力制限開始温度を超過した場合には、出力許可上限温度に到達にしないように、固体電池の温度をより厳密に管理することが望ましい。
【0006】
本発明は、固体電池のバッテリ温度が出力制限開始温度を超過した場合でも、固体電池のバッテリ温度が出力許可上限温度に到達しないようにしながら固体電池の出力を維持することができるバッテリ冷却システムを提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
固体電池と、
排熱装置と、
前記固体電池と前記排熱装置とを冷媒が循環する冷却回路と、
前記固体電池の入出力電力を制御可能なバッテリ制御装置と、を備え、
前記冷媒は、前記固体電池から吸熱して前記固体電池を冷却し、前記固体電池から吸熱した熱を前記排熱装置で排熱する、バッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池の温度であるバッテリ温度が所定の出力制限開始温度を超過した場合に、
前記固体電池の発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量と、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流を制御し、
前記バッテリ温度を、前記出力制限開始温度以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度未満の温度となるように制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固体電池のバッテリ温度が出力制限開始温度を超過した場合でも、固体電池のバッテリ温度が出力許可上限温度に到達しないようにしながら固体電池を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態のバッテリ冷却システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その1)である。
【
図3】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その2)である。
【
図4】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その3)である。
【
図5】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その4)である。
【
図6】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その5)である。
【
図7】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その6)である。
【
図8】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例において、
図2から
図4の制御フローを行った際に、バッテリ温度T
BATTが所定の出力制限開始温度T
sを超過し、且つ、バッテリ発熱量Q
BATT>バッテリ吸熱量Q
A>排熱装置排熱量Q
EXである場合のバッテリ温度T
BATT、出力電流I
BATT、バッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、排熱装置排熱量Q
EXの遷移イメージを示す図である。
【
図9】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例において、
図5から
図7の制御フローを行った際に、バッテリ温度T
BATTが第1閾値温度T
1を下回り、且つ、バッテリ発熱量Q
BATT<バッテリ吸熱量Q
A<排熱装置排熱量Q
EXである場合のバッテリ温度T
BATT、出力電流I
BATT、バッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、排熱装置排熱量Q
EXの遷移イメージを示す図である。
【
図10】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例を示すフローチャート(その1)である。
【
図11】
図1のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例を示すフローチャート(その2)である。
【
図12】本発明の第2実施形態のバッテリ冷却システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その1)である。
【
図14】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その2)である。
【
図15】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その3)である。
【
図16】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その4)である。
【
図17】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その5)である。
【
図18】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例を示すフローチャート(その6)である。
【
図19】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例を示すフローチャート(その1)である。
【
図20】
図12のバッテリ冷却システムのバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のバッテリ冷却システムの各実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。
【0011】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態のバッテリ冷却システムについて
図1から
図11を参照しながら説明する。
【0012】
<バッテリ冷却システムの構成>
図1に示すように、本実施形態のバッテリ冷却システム10は、車両に搭載されている。バッテリ冷却システム10は、固体電池20と、排熱装置30と、固体電池20と排熱装置30とを冷媒Wが循環する冷却回路40と、バッテリ制御装置50と、を備える。そして、本実施形態の車両は、固体電池20に充電された電力で駆動可能な車両である。
【0013】
冷却回路40は、固体電池20と排熱装置30とを冷媒Wが循環するように形成された配管である。本実施形態では、冷媒Wは、冷却水である。
【0014】
固体電池20は、電解質の少なくとも一部に固体材料が用いられた二次電池である。固体電池20は、電解質に固体電解質のみを使用した全固体電池に限らず、半固体電池であってもよい。固体電池20は、例えば、高分子ゲルに電解液を含有させたゲルポリマー型の半固体電池であってもよいし、正極/負極の電極材料に電解液を練り込んだ粘土(クレイ)状の材料を用いたクレイ型の半固体電池であってもよいし、固体電解質に流動性のある液体材料や柔軟性をもったゲルポリマーを少量添加した液添加型の半固体電池であってもよい。
【0015】
排熱装置30は、例えば、チラーやラジエータ等の熱交換器である。排熱装置30は、冷却回路40を介して排熱装置30に導入された冷媒Wの熱を熱交換によって外部に排熱する。
【0016】
バッテリ制御装置50は、固体電池20の入出力電力を制御可能な制御装置である。バッテリ制御装置50は、各種データを記憶する制御記憶部51を備える。
【0017】
制御記憶部51は、固体電池20の入出力電力を制御する際に用いる各種情報を記憶している。
【0018】
また、バッテリ冷却システム10は、冷媒Wを一時貯留する貯留タンク60と、冷媒Wを圧送する圧送ポンプ70と、を備える。圧送ポンプ70は、電動ウォーターポンプである。貯留タンク60及び圧送ポンプ70は、冷却回路40に設けられている。貯留タンク60及び圧送ポンプ70は、いずれも、冷却回路40において、排熱装置30の冷媒W排出側と、固体電池20の冷媒W導入側と、の間に設けられており、貯留タンク60が排熱装置30の冷媒W排出側、圧送ポンプ70が固体電池20の冷媒W導入側に設けられている。
【0019】
したがって、冷却回路40を循環する冷媒Wは、圧送ポンプ70から圧送されて固体電池20に導入され、固体電池20から吸熱して固体電池20を冷却した後、排熱装置30に導入され、固体電池20から吸熱した熱を排熱装置30で排熱した後、貯留タンク60に貯留される。そして、貯留タンク60に貯留された冷媒Wは、再び圧送ポンプ70から圧送される。
【0020】
また、バッテリ冷却システム10は、固体電池20の温度であるバッテリ温度TBATT[℃]を検出するバッテリ温度センサ41と、固体電池20に導入される冷媒Wの温度であるバッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN[℃]を検出するバッテリ入口冷媒温度センサ42と、固体電池20から排出される冷媒Wの温度であるバッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT[℃]を検出するバッテリ出口冷媒温度センサ43と、排熱装置30に導入される冷媒Wの温度である排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN[℃]を検出する排熱装置入口冷媒温度センサ44と、排熱装置30から排出される冷媒Wの温度である排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT[℃]を検出する排熱装置出口冷媒温度センサ45と、を備える。
【0021】
<バッテリ制御装置における制御フローの第1実施例>
続いて、
図2から
図7を参照して、バッテリ制御装置50における固体電池20の入出力電力の制御フローの第1実施例について説明する。
【0022】
図2に示すように、バッテリ制御装置50は、まず、バッテリ温度T
BATT[℃]、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN[℃]、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT[℃]、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN[℃]、及び、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT[℃]を取得する(ステップS101)。本実施形態では、バッテリ温度センサ41、バッテリ入口冷媒温度センサ42、バッテリ出口冷媒温度センサ43、排熱装置入口冷媒温度センサ44、及び、排熱装置出口冷媒温度センサ45による検出により、バッテリ温度T
BATT[℃]、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN[℃]、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT[℃]、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN[℃]、及び、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT[℃]を取得する。
【0023】
続いて、ステップS102へと進み、固体電池20の発熱量であるバッテリ発熱量QBATT[J]、冷媒Wの固体電池20からの吸熱量であるバッテリ吸熱量QA[J]、及び、冷媒Wの排熱装置30での排熱装置排熱量QEX[J]を、算出により取得する。
【0024】
バッテリ発熱量QBATT[J]は、次の(1)式を用いて算出される。(1)式において、IBATT[A]は固体電池20を流れる実際の出力電流値、R[Ω]は固体電池20のバッテリ抵抗値を示す。バッテリ抵抗値Rは、マップとしてバッテリ制御装置50の制御記憶部51に記憶されている。
QBATT=IBATT
2×R×Δt ・・・(1)
【0025】
バッテリ吸熱量QA[J]は、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN[℃]と、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT[℃]と、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]に基づいて算出される。具体的には、バッテリ吸熱量QA[J]は、次の(2)式を用いて算出される。
QA=(TW_BATT_OUT-TW_BATT_IN)×qm×cL×Δt ・・・(2)
なお、冷媒Wの質量流量qm[g/s]は、次の(3)式を用いて算出される。(3)式において、q[L/s]は冷媒Wの冷媒流量、ρL[g/L]は冷媒Wの冷媒密度を示す。
qm=q×ρL ・・・(3)
【0026】
排熱装置排熱量QEX[J]は、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN[℃]と、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT[℃]と、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]に基づいて算出される。具体的には、排熱装置排熱量QEX[J]は、次の(4)式を用いて算出される。
QEX=(TW_EX_OUT-TW_EX_IN)×qm×cL×Δt ・・・(4)
なお、冷媒Wの質量流量qm[g/s]は、前述した(3)式を用いて算出される。
【0027】
このように、バッテリ吸熱量QAは、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_INと、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUTと、冷媒Wの質量流量qmと、冷媒Wの比熱cLと、基づいて算出され、排熱装置排熱量QEXは、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_INと、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTと、冷媒Wの質量流量qmと、冷媒Wの比熱cLと、に基づいて算出される。
【0028】
これにより、冷媒Wの冷却回路40における各位置での温度を検出することで、簡素な方法で精度よくバッテリ吸熱量QA及び排熱装置排熱量QEXを算出により取得することができる。
【0029】
続いて、ステップS103へと進み、ステップS101で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Ts[℃]を超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS103:YES)は、ステップS104へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS103:NO)は、後述するステップS400へと進む。
【0030】
ステップS104では、ステップS102で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい値であるか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい値である場合(ステップS104:YES)は、ステップS105へと進み、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい値でない、すなわち、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QA以下である場合(ステップS104:NO)は、ステップS201へと進む。
【0031】
ステップS105では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imap[A]に基づいて、新たな許可電流値Inew[A]を算出し、固体電池20の出力電流IBATT[A]を、新たな許可電流値Inew[A]となるように制御する。新たな許可電流値Inew[A]は、次の(5)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p1 ・・・(5)
なお、p1は、0<p1<1を満たす所定値である。
【0032】
続いて、ステップS106へと進み、許可電流値ImapをステップS105で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0033】
続いて、ステップS107へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0034】
続いて、ステップS108へと進み、ステップS107で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0035】
続いて、ステップS109へと進み、ステップS107で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS109:YES)は、ステップS110へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS109:NO)は、後述するステップS400へと進む。
【0036】
ステップS110では、ステップS108で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。ステップS108で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS110:NO)は、ステップS105に戻ってステップS105からステップS110を繰り返し、ステップS108で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS110:YES)、ステップS201へと進む。
【0037】
図3に示すように、ステップS201では、ステップS102又はステップS108で算出により取得した、最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EXよりも大きい値であるか否かを判定する。バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EXよりも大きい値である場合(ステップS201:YES)は、ステップS211へと進み、バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EXよりも大きい値でない、すなわち、バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EX以下である場合(ステップS201:NO)は、ステップS221へと進む。
【0038】
ステップS211では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(6)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p2 ・・・(6)
なお、p2は、0<p2<1を満たす所定値である。
【0039】
続いて、ステップS212へと進み、許可電流値ImapをステップS211で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0040】
続いて、ステップS213へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0041】
続いて、ステップS214へと進み、ステップS213で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0042】
続いて、ステップS215へと進み、ステップS213で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS215:YES)は、ステップS216へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS215:NO)は、後述するステップS400へと進む。
【0043】
ステップS216では、ステップS214で算出したバッテリ吸熱量QAが、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAが、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS216:NO)は、ステップS211に戻ってステップS211からステップS216を繰り返し、ステップS214で算出したバッテリ吸熱量QAが、排熱装置排熱量QEXと等しくなると(ステップS216:YES)、ステップS301へと進む。
【0044】
一方、ステップS221では、ステップS102又はステップS108で算出により取得した、最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS221:YES)は、ステップS301へと進み、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS221:NO)は、ステップS222へと進む。なお、ステップS221において、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくないと判定された場合(ステップS221:NO)は、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEX以下(ステップS201:NO)、且つ、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない(ステップS221:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ吸熱量QAは、排熱装置排熱量QEXよりも小さいこととなる。
【0045】
ステップS222では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(7)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P1 ・・・(7)
なお、P1は、1<P1を満たす所定値である。
【0046】
続いて、ステップS223へと進み、許可電流値ImapをステップS222で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0047】
続いて、ステップS224へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0048】
続いて、ステップS225へと進み、ステップS224で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0049】
続いて、ステップS226へと進み、ステップS224で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS226:YES)は、ステップS201へと戻り、バッテリ吸熱量QAが、排熱装置排熱量QEXと等しくなるまでS201以降の処理を繰り返す。ステップS226において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS226:NO)は、後述するステップS400へと進む。
【0050】
図4に示すように、ステップS301では、ステップS102、ステップS108、ステップS214、及び、ステップS225のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ発熱量Q
BATTが、バッテリ吸熱量Q
Aと等しいか否かを判定する。
【0051】
ステップS301において、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS301:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0052】
なお、ステップS301において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS301:YES)は、ステップS102、ステップS108、ステップS214、及び、ステップS225のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しく(ステップS216:YES、ステップS221:YES)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい(ステップS301:YES)、という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しいこととなる。
【0053】
一方、ステップS301において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS301:NO)は、ステップS302へと進む。
【0054】
ステップS302では、ステップS102、ステップS108、ステップS214、及び、ステップS225のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さい場合(ステップS302:YES)は、ステップS303へと進み、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さくない場合(ステップS302:NO)は、ステップS105へと戻る。なお、ステップS302において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さくないと判定された場合(ステップS302:NO)は、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない(ステップS301:NO)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さくない(ステップS302:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTは、バッテリ吸熱量QAよりも大きいこととなる。
【0055】
ステップS303では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(8)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P2 ・・・(8)
なお、P2は、1<P2を満たす所定値である。
【0056】
続いて、ステップS304へと進み、許可電流値ImapをステップS303で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0057】
続いて、ステップS305へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0058】
続いて、ステップS306へと進み、ステップS305で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0059】
続いて、ステップS307へと進み、ステップS305で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS307:YES)は、ステップS308へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS307:NO)は、後述するステップS400へと進む。
【0060】
ステップS308では、ステップS306で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS308:NO)は、ステップS302に戻ってステップS302からステップS308を繰り返し、ステップS306で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS308:YES)、ステップS309へと進む。
【0061】
ステップS309では、ステップS306で算出したバッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS309:NO)は、ステップS201に戻る。
【0062】
ステップS309において、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS309:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0063】
なお、ステップS309において、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS309:YES)は、ステップS306で算出したバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しく(ステップS308:YES)、且つ、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい(ステップS309:YES)、という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しいこととなる。
【0064】
このように、バッテリ制御装置50は、一連の制御において、バッテリ温度TBATTが所定の出力制限開始温度Tsを超過した場合に、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを制御する。
【0065】
バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しい状態になると、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、一定に保たれる。このようにして、バッテリ制御装置50は、バッテリ温度TBATTを、出力制限開始温度Ts以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度Tlim[℃]未満の温度となるように制御する。なお、出力許可上限温度Tlimは、固体電池20の電池特性に応じて予め設定されており、制御記憶部51に記憶されている。
【0066】
これにより、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過した場合でも、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力許可上限温度Tlimに到達しないようにしながら固体電池20を使用することができる。したがって、固体電池20からの出力が急激に制限されることを回避でき、固体電池20からの安定した出力を維持できる。
【0067】
また、前述した一連の制御において、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以上のとき、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい場合、固体電池20の出力電流IBATTを新たな許可電流値Inewとなるように制限する。その後、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、を更新し、更新したバッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、に基づいて、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTと許可電流値Imapとをフィードバック制御する。
【0068】
これにより、実使用環境下におけるバッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、に合わせて、固体電池20の出力電流IBATTをフィードバック制御することができるので、実使用環境下において、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを制御することができ、バッテリ温度TBATTを一定に保つことができる。
【0069】
一方、前述したように、ステップS103、ステップS109、ステップS215、ステップS226、及び、ステップS307において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts[℃]を超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts[℃]以下である場合は、ステップS400へと進む。
【0070】
図5に示すように、ステップS400では、バッテリ温度T
BATTが、所定の第1閾値温度T
1[℃]よりも低いか否かを判定する。所定の第1閾値温度T
1は、出力制限開始温度T
sよりも低い温度に設定されており、予め制御記憶部51に記憶されている。そして、バッテリ温度T
BATTが、第1閾値温度T
1よりも低い場合(ステップS400:YES)は、ステップS401へと進み、バッテリ温度T
BATTが、第1閾値温度T
1よりも低くない、すなわち、バッテリ温度T
BATTが、第1閾値温度T
1以上である場合(ステップS400:NO)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0071】
ステップS401では、制御記憶部51に記憶されているバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも小さい値であるか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも小さい値である場合(ステップS401:YES)は、ステップS402へと進み、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも小さい値でない、すなわち、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QA以上である場合(ステップS401:NO)は、ステップS501へと進む。
【0072】
ステップS402では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(9)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P3 ・・・(9)
なお、P3は、1<P3を満たす所定値である。
【0073】
続いて、ステップS403へと進み、許可電流値ImapをステップS402で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0074】
続いて、ステップS404へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0075】
続いて、ステップS405へと進み、ステップS404で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0076】
続いて、ステップS406へと進み、ステップS404で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS406:YES)は、ステップS407へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS406:NO)は、前述したステップS104へと進む。
【0077】
ステップS407では、ステップS405で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。ステップS405で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS405:NO)は、ステップS402に戻ってステップS402からステップS407を繰り返し、ステップS405で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS407:YES)、ステップS501へと進む。
【0078】
図6に示すように、ステップS501では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EXよりも小さい値であるか否かを判定する。バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EXよりも小さい値である場合(ステップS501:YES)は、ステップS511へと進み、バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EXよりも小さい値でない、すなわち、バッテリ吸熱量Q
Aが排熱装置排熱量Q
EX以上である場合(ステップS501:NO)は、ステップS521へと進む。
【0079】
ステップS511では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(10)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P4 ・・・(10)
なお、P4は、1<P4を満たす所定値である。
【0080】
続いて、ステップS512へと進み、許可電流値ImapをステップS511で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0081】
続いて、ステップS513へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0082】
続いて、ステップS514へと進み、ステップS513で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0083】
続いて、ステップS515へと進み、ステップS513で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS515:YES)は、ステップS516へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS515:NO)は、前述したステップS104へと進む。
【0084】
ステップS516では、ステップS514で算出したバッテリ吸熱量QAが、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS516:NO)は、ステップS501に戻ってステップS501以降の処理を繰り返し、ステップS514で算出したバッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくなると(ステップS516:YES)、ステップS601へと進む。
【0085】
一方、ステップS521では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS521:YES)は、ステップS601へと進み、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS521:NO)は、ステップS522へと進む。なお、ステップS521において、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくないと判定された場合(ステップS521:NO)は、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEX以上(ステップS501:NO)、且つ、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない(ステップS521:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ吸熱量QAは、排熱装置排熱量QEXよりも大きいこととなる。
【0086】
ステップS522では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(11)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p3 ・・・(11)
なお、p3は、0<p3<1を満たす所定値である。
【0087】
続いて、ステップS523へと進み、許可電流値ImapをステップS522で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0088】
続いて、ステップS524へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0089】
続いて、ステップS525へと進み、ステップS524で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0090】
続いて、ステップS526へと進み、ステップS524で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS526:YES)は、ステップS501へと戻り、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくなるまで、ステップS501以降の処理を繰り返す。ステップS526において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS526:NO)は、前述したステップS104へと進む。
【0091】
図7に示すように、ステップS601では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ発熱量Q
BATTがバッテリ吸熱量Q
Aと等しいか否かを判定する。
【0092】
ステップS601において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS601:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0093】
なお、ステップS601において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS601:YES)は、ステップS102、ステップS405、ステップS514、及び、ステップS525のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しく(ステップS516:YES、ステップS521:YES)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい(ステップS601:YES)、という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しいこととなる。
【0094】
一方、ステップS601において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS601:NO)は、ステップS602へと進む。
【0095】
ステップS602では、ステップS102、ステップS405、ステップS514、及び、ステップS525のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きい場合(ステップS602:YES)は、ステップS603へと進み、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きくない場合(ステップS602:NO)は、ステップS402へと戻る。なお、ステップS602において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きくないと判定された場合(ステップS602:NO)は、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない(ステップS601:NO)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きくない(ステップS602:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTは、バッテリ吸熱量QAよりも小さいこととなる。
【0096】
ステップS603では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(12)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p4 ・・・(12)
なお、p4は、0<p4<1を満たす所定値である。
【0097】
続いて、ステップS604へと進み、許可電流値ImapをステップS603で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0098】
続いて、ステップS605へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTを取得する。
【0099】
続いて、ステップS606へと進み、ステップS605で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0100】
続いて、ステップS607へと進み、ステップS605で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS607:YES)は、ステップS608へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS607:NO)は、前述したステップS104へと進む。
【0101】
ステップS608では、ステップS606で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS608:NO)は、ステップS602に戻ってステップS602からステップS608を繰り返し、ステップS606で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS608:YES)、ステップS609へと進む。
【0102】
ステップS609では、ステップS606で算出したバッテリ吸熱量QAが、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS609:NO)は、ステップS501に戻る。
【0103】
ステップS609において、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS609:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0104】
なお、ステップS609において、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS609:YES)は、ステップS606で算出したバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しく(ステップS608:YES)、且つ、バッテリ吸熱量QAが排熱装置排熱量QEXと等しい(ステップS609:YES)、という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しいこととなる。
【0105】
このように、バッテリ制御装置50は、一連の制御において、バッテリ温度TBATTが第1閾値温度T1よりも低く、且つ、バッテリ発熱量QBATTが排熱装置排熱量QEXよりも小さい場合、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを増大させるように制御する。
【0106】
そして、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しい状態になると、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、一定に保たれる。
【0107】
これにより、バッテリ温度TBATTが第1閾値温度T1よりも低く、且つ、バッテリ発熱量QBATTが排熱装置排熱量QEXよりも小さい場合には、バッテリ温度TBATTを一定温度に保ちつつ、固体電池20の出力電流IBATTを増大させて、固体電池20の出力性能を有効に活用することができる。例えば、バッテリ冷却システム10が搭載されている車両がエンジンを備え、当該エンジンの動力と固体電池20の電力との双方を駆動源として走行可能なハイブリッド車両である場合には、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを駆動源として活用することでエンジンの負荷を低減することができ、燃費が向上する。また、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを車両に搭載された補機用の低電圧バッテリに充電してもよいし、車両に搭載された空調装置の動作電力として活用してもよい。
【0108】
ここで、一連の制御において、バッテリ温度T
BATTが所定の出力制限開始温度T
sを超過し、且つ、バッテリ発熱量Q
BATT>バッテリ吸熱量Q
A>排熱装置排熱量Q
EXである場合のバッテリ温度T
BATT、出力電流I
BATT、バッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、排熱装置排熱量Q
EXの遷移イメージを、
図8を参照して説明する。なお、本図における発熱量は単位時間当たりの発熱量をイメージしたものである。
【0109】
バッテリ温度TBATTが上昇し、時刻t1に出力制限開始温度Tsに達すると、出力電流IBATTを、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapから、バッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXとなる新たな許可電流値Inew[A]となるように制限する。
【0110】
そして、出力電流IBATTを制限してバッテリ発熱量QBATTを低下させつつ、バッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXとなるように、固体電池20の出力電流IBATTのフィードバック制御を継続する。
【0111】
そして、出力電流IBATTの制限によってバッテリ吸熱量QAを低下させることで、バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXを実現する。
【0112】
これにより、時刻t2にバッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXとなる。バッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXの状態になると、時刻t2以降、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、所定温度Taに一定に保たれる。このようにして、バッテリ温度TBATTは、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度Tlim[℃]未満の温度となるように制御される。
【0113】
次に、一連の制御において、バッテリ温度T
BATTが第1閾値温度T
1よりも低く、且つ、バッテリ発熱量Q
BATT<バッテリ吸熱量Q
A<排熱装置排熱量Q
EXである場合のバッテリ温度T
BATT、出力電流I
BATT、バッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、排熱装置排熱量Q
EXの遷移イメージを、
図9を参照して説明する。なお、本図における発熱量は単位時間当たりの発熱量をイメージしたものである。
【0114】
バッテリ温度TBATTが低下し、時刻t3に第1閾値温度T1に達すると、出力電流IBATTを、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapから、バッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXとなる新たな許可電流値Inew[A]となるように増大する。
【0115】
そして、出力電流IBATTを増大してバッテリ発熱量QBATTを増大させつつ、バッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXとなるように、固体電池20の出力電流IBATTのフィードバック制御を継続する。
【0116】
そして、出力電流IBATTの増大によってバッテリ吸熱量QAを増大させることで、バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXを実現する。
【0117】
これにより、時刻t4にバッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXとなる。バッテリ発熱量QBATT=バッテリ吸熱量QA=排熱装置排熱量QEXの状態になると、時刻t4以降、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、所定温度Tbに一定に保たれる。
【0118】
<バッテリ制御装置における制御フローの第2実施例>
続いて、
図10及び
図11を参照して、バッテリ制御装置50における固体電池20の入出力電力の制御フローの第2実施例について説明する。
【0119】
図10に示すように、バッテリ制御装置50は、まず、バッテリ温度T
BATT、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC[%]、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV[V]、を取得する(ステップS701)。本実施形態では、バッテリ温度センサ41、バッテリ入口冷媒温度センサ42、バッテリ出口冷媒温度センサ43、排熱装置入口冷媒温度センサ44、及び、排熱装置出口冷媒温度センサ45による検出により、バッテリ温度T
BATT、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN、及び、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUTを取得する。バッテリ電圧CCVは、例えば、固体電池20に設けられた不図示の電圧センサによる検出により取得する。バッテリ残量SOCは、例えば、取得したバッテリ電圧CCVに基づいて算出により取得される。
【0120】
続いて、ステップS702へと進み、固体電池20の発熱量であるバッテリ発熱量QBATT、冷媒Wの固体電池20からの吸熱量であるバッテリ吸熱量QA、及び、冷媒Wの排熱装置30での排熱装置排熱量QEXを、算出により取得する。
【0121】
バッテリ発熱量QBATTは、次の(13)式を用いて算出される。(13)式において、IBATTは固体電池20を流れる実際の出力電流値、OCVは、固体電池20のバッテリ開回路電圧を示す。バッテリ開回路電圧OCVは、バッテリ残量SOCに応じて変化する値であり、SOC-OCVマップとしてバッテリ制御装置50の制御記憶部51に記憶されている。
QBATT=IBATT×(CCV-OCV)×Δt ・・・(13)
【0122】
バッテリ吸熱量QAは、前述したバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述した(2)式を用いて算出される。
【0123】
排熱装置排熱量QEXは、前述したバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述した(4)式を用いて算出される。
【0124】
続いて、ステップS703へと進み、ステップS701で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Ts[℃]を超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS703:YES)は、ステップS704へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS703:NO)は、後述するステップS801へと進む。
【0125】
ステップS704では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ残量SOCと、SOC-OCVマップと、に基づいて、バッテリ開回路電圧OCVを取得する。
【0126】
そして、ステップS705へと進み、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しくなる新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。
【0127】
ここで、温度と熱抵抗の関係から次の(14)式が成り立つ。
QA/Δt×Rth=TBATT-TW_BATT_IN ・・・(14)
Rth[K/W]は、固体電池20と冷媒Wとの間の熱抵抗値である。この熱抵抗値Rthは、予め制御記憶部51に記憶されている。
【0128】
(13)式及び(14)式から、QBATT=QAとなる新たな許可電流値Inewは、次の(15)式によって算出される。
QBATT=QA
⇔Inew×(CCV-OCV)×Δt=(TBATT-TW_BATT_IN)×Δt/Rth
⇔Inew=(TBATT-TW_BATT_IN)/(Rth×(CCV-OCV))
・・・(15)
【0129】
続いて、ステップS706へと進み、許可電流値ImapをステップS705で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0130】
続いて、ステップS707へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、を取得する。
【0131】
続いて、ステップS708へと進み、ステップS707で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、に基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0132】
続いて、ステップS709へと進み、ステップS707で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS709:YES)は、ステップS710へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts[℃]以下である場合(ステップS709:NO)は、後述するステップS801へと進む。
【0133】
ステップS710では、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXとが等しいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXとが等しくない場合(ステップS710:NO)は、ステップS704へと戻って、ステップS704からステップS710を繰り返す。そして、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXとが等しくなる(ステップS710:YES)と、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0134】
このように、バッテリ制御装置50は、一連の制御において、バッテリ温度TBATTが所定の出力制限開始温度Tsを超過した場合に、バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを制御する。
【0135】
バッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しい状態になると、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、一定に保たれる。このようにして、バッテリ制御装置50は、バッテリ温度TBATTを、出力制限開始温度Ts以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度Tlim[℃]未満の温度となるように制御する。なお、出力許可上限温度Tlimは、固体電池20の電池特性に応じて予め設定されており、制御記憶部51に記憶されている。
【0136】
これにより、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過した場合でも、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力許可上限温度Tlimに到達しないようにしながら固体電池20を使用することができる。したがって、固体電池20からの出力が急激に制限されることを回避でき、固体電池20からの安定した出力を維持できる。
【0137】
また、この一連の制御において、バッテリ制御装置50は、固体電池20と冷媒Wとの間の熱抵抗値Rthが制御記憶部51に記憶されており、この熱抵抗値Rthに基づいて、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しくなる固体電池20の新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを新たな許可電流値Inewになるように制御する。
【0138】
これにより、固体電池20の出力電流IBATTのハンチングを抑制しながら、短時間でバッテリ発熱量QBATTと、バッテリ吸熱量QAと、排熱装置排熱量QEXと、が等しい状態になるように固体電池20の出力電流IBATTを制御することができる。
【0139】
一方、前述したように、ステップS703及びステップS709において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合は、ステップS801へと進む。
【0140】
図11に示すように、ステップS801では、バッテリ温度T
BATTが、制御目標温度T
g[℃]よりも低いか否かを判定する。制御目標温度T
gは、出力制限開始温度T
s以下の所定の温度であり、予め制御記憶部51に記憶されている。なお、制御目標温度T
gは、出力制限開始温度T
sと同一温度であってもよい。
【0141】
ステップS801において、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgよりも低くない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tg[℃]以上である場合(ステップS801:NO)は、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0142】
ステップS801において、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgよりも低い場合(ステップS801:YES)は、ステップS802へと進む。
【0143】
ステップS802では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ残量SOCに基づいて、SOC-OCVマップからバッテリ開回路電圧OCVを取得する。
【0144】
そして、ステップS803へと進み、許容最大電流値Imax[A]を算出により取得する。許容最大電流値Imaxは、バッテリ温度TBATTを制御目標温度Tgまで上昇させるために必要な電流値である。
【0145】
ここで、バッテリ温度TBATTを制御目標温度Tgまで上昇させるために必要な固体電池20に加える熱量を最大バッテリ許容熱量QBATT_MAX[J]とした場合、次の(16)式が成り立つ。
QBATT_MAX-QA=CBATT×(Tg-TBATT) ・・・(16)
なお、CBATT[J/K]は、固体電池20のバッテリ熱容量であり、予め制御記憶部51に記憶されている。
【0146】
(16)式、(13)式、及び、(14)式から、次の(17)式が成り立つ。よって、ステップS803では、(17)式を満たす許容最大電流値Imaxを算出により取得する。
Imax×(CCV-OCV)×Δt
=CBATT×(Tg-TBATT)+(TBATT-TW_BATT_IN)×Δt/Rth
・・・(17)
【0147】
続いて、ステップS804へと進み、ステップS803で取得した許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imap以下であるか否かを判定する。ステップS803で取得した許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imap以下である場合(ステップS804:YES)は、ステップS805へと進む。ステップS803で取得した許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imapよりも高い場合(ステップS804:NO)は、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0148】
ステップS805では、固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS803で取得した許容最大電流値Imaxよりも低いか否かを判定する。固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS803で取得した許容最大電流値Imaxよりも低い場合(ステップS805:YES)は、ステップS806へと進む。固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS803で取得した許容最大電流値Imaxよりも低くない場合、すなわち、固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS803で取得した許容最大電流値Imax以上である場合(ステップS805:NO)は、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0149】
ステップS806では、固体電池20の出力電流IBATTを、許容最大電流値Imaxとなるように制御する。
【0150】
続いて、ステップS807へと進み、許可電流値ImapをステップS803で算出された許容最大電流値Imaxに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0151】
続いて、ステップS808へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、を取得する。
【0152】
続いて、ステップS809へと進み、ステップS808で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、に基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0153】
そして、ステップS801へと戻り、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgよりも低い場合は、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgに到達するまで、ステップS801からステップS809を繰り返す。
【0154】
このように、バッテリ制御装置50は、バッテリ温度TBATTが制御目標温度Tgより低く、且つ、固体電池20の出力電流IBATTが、バッテリ温度TBATTを制御目標温度Tgまで上昇させるために必要な電流値である許容最大電流値Imax[A]より小さい場合、固体電池20の出力電流IBATTを増大させるように制御する。ただし、本実施形態では、許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imapよりも高い場合は、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imapが優先される。このように、「出力電流を増大させるように制御する」とは、出力電流を増大させる制御があることを意味し、出力電流に関する他の制御が併用されていてもよい。例えば、許容最大電流値Imaxが、許可電流値Imapよりも大きい場合に、許可電流値Imapが優先されて出力電流が増大しない場合があってもよい。
【0155】
この制御は、バッテリ冷却システム10の固体電池20の冷却能力に応じた、固体電池20の出力電流開放制御と換言することができる。これにより、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgより低い場合には、バッテリ冷却システム10における固体電池20の冷却能力に応じて固体電池20の出力電流IBATTを増大させることで、固体電池20の出力性能を有効に活用することができる。例えば、バッテリ冷却システム10が搭載されている車両がエンジンを備え、当該エンジンの動力と固体電池20の電力との双方を駆動源として走行可能なハイブリッド車両である場合には、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを駆動源として活用することでエンジンの負荷を低減することができ、燃費が向上する。また、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを車両に搭載された補機用の低電圧バッテリに充電してもよいし、車両に搭載された空調装置の動作電力として活用してもよい。
【0156】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態のバッテリ冷却システム100について
図12から
図20を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態のバッテリ冷却システム10と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略又は簡略化し、第1実施形態のバッテリ冷却システム10との相違点について、詳細に説明する。
【0157】
<バッテリ冷却システムの構成>
図12に示すように、第2実施形態のバッテリ冷却システム100は、第1実施形態のバッテリ冷却システム10の固体電池20、排熱装置30、冷却回路40、及び、バッテリ制御装置50、に加えて、第1発熱部品81、及び、第2発熱部品82をさらに備える。第1発熱部品81、及び、第2発熱部品82は、いずれも、固体電池20及び排熱装置30以外の発熱部品である。そして、冷却回路40は、固体電池20と、排熱装置30と、第1発熱部品81と、第2発熱部品82と、を冷媒Wが循環するように形成されている。
【0158】
第1発熱部品81及び第2発熱部品82は、冷却回路40に設けられている。第1発熱部品81及び第2発熱部品82は、いずれも、冷却回路40において、固体電池20の冷媒W排出側と、排熱装置30の冷媒W導入側と、の間に設けられており、第1発熱部品81が固体電池20の冷媒W排出側(上流側)、第2発熱部品82が排熱装置30の冷媒W導入側(下流側)に設けられている。
【0159】
第1発熱部品81は、例えば、固体電池20の入出力電力を昇降圧するDCDCコンバータ、外部電源からの電力を受け付ける充電器、等である。
【0160】
第2発熱部品82は、例えば、車両に搭載された駆動用モータの入出力電力を制御するインバータを有する電力制御装置(PCU:Power Control Unit)等である。
【0161】
バッテリ冷却システム100は、バッテリ温度センサ41と、バッテリ入口冷媒温度センサ42と、バッテリ出口冷媒温度センサ43と、排熱装置入口冷媒温度センサ44と、排熱装置出口冷媒温度センサ45と、に加えて、第1発熱部品81に導入される冷媒Wの温度である第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN[℃]を検出する第1発熱部品入口冷媒温度センサ46と、第1発熱部品81から排出され、第2発熱部品82に導入される冷媒Wの温度である第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT[℃]を検出する第1発熱部品出口冷媒温度センサ47と、第2発熱部品82から排出される冷媒Wの温度である第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUT[℃]を検出する第2発熱部品出口冷媒温度センサ48と、をさらに備える。
【0162】
<バッテリ制御装置における制御フローの第1実施例>
続いて、
図13から
図18を参照して、バッテリ制御装置50における固体電池20の入出力電力の制御フローの第1実施例について説明する。
【0163】
図13に示すように、バッテリ制御装置50は、まず、バッテリ温度T
BATT[℃]、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN[℃]、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT[℃]、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN[℃]、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT[℃]、第1発熱部品入口冷媒温度T
W_B_IN[℃]、第1発熱部品出口冷媒温度T
W_B_OUT[℃]、及び、第2発熱部品出口冷媒温度T
W_C_OUT[℃]を取得する(ステップS1001)。本実施形態では、バッテリ温度センサ41、バッテリ入口冷媒温度センサ42、バッテリ出口冷媒温度センサ43、排熱装置入口冷媒温度センサ44、排熱装置出口冷媒温度センサ45、第1発熱部品入口冷媒温度センサ46、第1発熱部品出口冷媒温度センサ47、及び、第2発熱部品出口冷媒温度センサ48による検出により、バッテリ温度T
BATT、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度T
W_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度T
W_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度T
W_C_OUTを取得する。
【0164】
続いて、ステップS1002へと進み、固体電池20の発熱量であるバッテリ発熱量QBATT[J]、冷媒Wの固体電池20からの吸熱量であるバッテリ吸熱量QA[J]、冷媒Wの第1発熱部品81からの吸熱量である第1発熱部品吸熱量QB[J]、冷媒Wの第2発熱部品82からの吸熱量である第2発熱部品吸熱量QC[J]、及び、冷媒Wの排熱装置30での排熱装置排熱量QEX[J]を、算出により取得する。
【0165】
バッテリ発熱量QBATTは、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(1)式を用いて算出される。
【0166】
バッテリ吸熱量QAは、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(2)式を用いて算出される。
【0167】
第1発熱部品吸熱量QBは、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_INと、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUTと、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]と、に基づいて算出される。具体的には、第1発熱部品吸熱量QBは、次の(18)式を用いて算出される。
QB=(TW_B_OUT-TW_B_IN)×qm×cL×Δt ・・・(18)
なお、冷媒Wの質量流量qm[g/s]は、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(3)式を用いて算出される。
【0168】
第2発熱部品吸熱量QCは、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUTと、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTと、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]と、に基づいて算出される。具体的には、第2発熱部品吸熱量QCは、次の(19)式を用いて算出される。
QB=(TW_C_OUT-TW_B_OUT)×qm×cL×Δt ・・・(19)
なお、冷媒Wの質量流量qm[g/s]は、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(3)式を用いて算出される。
【0169】
排熱装置排熱量QEXは、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(4)式を用いて算出される。
【0170】
このように、バッテリ吸熱量QAは、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_INと、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUTと、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]と、に基づいて算出され、第1発熱部品吸熱量QBは、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUTと、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTと、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]と、に基づいて算出され、第2発熱部品吸熱量QCは、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUTと、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTと、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]と、に基づいて算出され、排熱装置排熱量QEXは、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_INと、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUTと、冷媒Wの質量流量qm[g/s]と、冷媒Wの比熱cL[J/g・K]と、に基づいて算出される。
【0171】
これにより、冷媒Wの冷却回路40における各位置での温度を検出することで、簡素な方法で精度よくバッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを算出により取得することができる。
【0172】
続いて、ステップS1003へと進み、ステップS1001で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Ts[℃]を超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS1003:YES)は、ステップS1004へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS1003:NO)は、後述するステップS4000へと進む。
【0173】
ステップS1004では、ステップS1002で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい値であるか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい値である場合(ステップS1004:YES)は、ステップS1005へと進み、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい値でない、すなわち、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QA以下である場合(ステップS1004:NO)は、ステップS2001へと進む。
【0174】
ステップS1005では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imap[A]に基づいて、新たな許可電流値Inew[A]を算出し、固体電池20の出力電流IBATT[A]を、新たな許可電流値Inew[A]となるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(20)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p10 ・・・(20)
なお、p10は、0<p10<1を満たす所定値である。
【0175】
続いて、ステップS1006へと進み、許可電流値ImapをステップS1005で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0176】
続いて、ステップS1007へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0177】
続いて、ステップS1008へと進み、ステップS1007で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0178】
続いて、ステップS1009へと進み、ステップS1007で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS1009:YES)は、ステップS1010へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS1009:NO)は、後述するステップS4000へと進む。
【0179】
ステップS1010では、ステップS1008で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。ステップS1008で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS1010:NO)は、ステップS1005に戻ってステップS1005からステップS1010を繰り返し、ステップS1008で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS1010:YES)、ステップS2001へと進む。
【0180】
図14に示すように、ステップS2001では、ステップS1002又はステップS1008で算出により取得した、最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、第1発熱部品吸熱量Q
B、第2発熱部品吸熱量Q
C、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ吸熱量Q
Aと、第1発熱部品吸熱量Q
Bと、第2発熱部品吸熱量Q
Cと、の和が、排熱装置排熱量Q
EXよりも大きい値であるか否かを判定する。バッテリ吸熱量Q
Aと、第1発熱部品吸熱量Q
Bと、第2発熱部品吸熱量Q
Cと、の和が、排熱装置排熱量Q
EXよりも大きい値であるか場合(ステップS2001:YES)は、ステップS2011へと進み、バッテリ吸熱量Q
Aと、第1発熱部品吸熱量Q
Bと、第2発熱部品吸熱量Q
Cと、の和が、排熱装置排熱量Q
EXよりも大きい値でない、すなわち、バッテリ発熱量Q
BATTが、排熱装置排熱量Q
EX以下である場合(ステップS2001:NO)は、ステップS2021へと進む。
【0181】
ステップS2011では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(21)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p20 ・・・(21)
なお、p20は、0<p20<1を満たす所定値である。
【0182】
続いて、ステップS2012へと進み、許可電流値ImapをステップS2011で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0183】
続いて、ステップS2013へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0184】
続いて、ステップS2014へと進み、ステップS2013で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0185】
続いて、ステップS2015へと進み、ステップS2013で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS2015:YES)は、ステップS2016へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS2015:NO)は、後述するステップS4000へと進む。
【0186】
ステップS2016では、ステップS2014で算出したバッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS2016:NO)は、ステップS2011に戻ってステップS2011からステップS2016を繰り返し、ステップS2014で算出したバッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなると(ステップS2016:YES)、ステップS3001へと進む。
【0187】
一方、ステップS2021では、ステップS1002又はステップS1008で算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS2021:YES)は、ステップS3001へと進み、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS2021:NO)は、ステップS2022へと進む。なお、ステップS2021において、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくないと判定された場合(ステップS2021:NO)は、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEX以下(ステップS2001:NO)、且つ、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない(ステップS2021:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和は、排熱装置排熱量QEXよりも小さいこととなる。
【0188】
ステップS2022では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(22)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P10 ・・・(22)
なお、P10は、1<P10を満たす所定値である。
【0189】
続いて、ステップS2023へと進み、許可電流値ImapをステップS2022で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0190】
続いて、ステップS2024へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0191】
続いて、ステップS2025へと進み、ステップS2024で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0192】
続いて、ステップS2026へと進み、ステップS2024で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS2026:YES)は、ステップS2001へと戻り、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなるまで、ステップS2001以降の処理を繰り返す。ステップS2026において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS2026:NO)は、後述するステップS4000へと進む。
【0193】
図15に示すように、ステップS3001では、ステップS1002、ステップS1008、ステップS2014、及び、ステップS2025のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、第1発熱部品吸熱量Q
B、第2発熱部品吸熱量Q
C、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ発熱量Q
BATTがバッテリ吸熱量Q
Aと等しいか否かを判定する。
【0194】
ステップS3001において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS3001:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0195】
なお、ステップS3001において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS3001:YES)は、ステップS1002、ステップS1008、ステップS2014、及び、ステップS2025のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しく(ステップS2016:YES、ステップS2021:YES)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい(ステップS3001:YES)、という条件を満たすこととなる。
【0196】
一方、ステップS3001において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS3001:NO)は、ステップS3002へと進む。
【0197】
ステップS3002では、ステップS1002、ステップS1008、ステップS2014、及び、ステップS2025のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さい場合(ステップS3002:YES)は、ステップS3003へと進み、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さくない場合(ステップS3002:NO)は、ステップS1005へと戻る。なお、ステップS3002において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さくないと判定された場合(ステップS3002:NO)は、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない(ステップS3001:NO)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも小さくない(ステップS3002:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTは、バッテリ吸熱量QAよりも大きいこととなる。
【0198】
ステップS3003では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(23)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P20 ・・・(23)
なお、P20は、1<P20を満たす所定値である。
【0199】
続いて、ステップS3004へと進み、許可電流値ImapをステップS3003で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0200】
続いて、ステップS3005へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0201】
続いて、ステップS3006へと進み、ステップS3005で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0202】
続いて、ステップS3007へと進み、ステップS3005で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS3007:YES)は、ステップS3008へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS3007:NO)は、後述するステップS4000へと進む。
【0203】
ステップS3008では、ステップS3006で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS3008:NO)は、ステップS3002に戻ってステップS3002からステップS3008を繰り返し、ステップS3006で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS3008:YES)、ステップS3009へと進む。
【0204】
ステップS3009では、ステップS3006で算出したバッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS3009:NO)は、ステップS2001に戻る。
【0205】
ステップS3009において、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS3009:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0206】
なお、ステップS3009において、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS3009:YES)は、ステップS3006で算出したバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しく(ステップS3008:YES)、且つ、バッテリ吸熱量QAと、第1発熱部品吸熱量QBと、第2発熱部品吸熱量QCと、の和が、排熱装置排熱量QEXと等しい(ステップS3009:YES)、という条件を満たすこととなる。
【0207】
このように、バッテリ制御装置50は、一連の制御において、バッテリ温度TBATTが所定の出力制限開始温度Tsを超過した場合に、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを制御する。
【0208】
バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しい状態になると、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、一定に保たれる。このようにして、バッテリ制御装置50は、バッテリ温度TBATTを、出力制限開始温度Ts以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度Tlim[℃]未満の温度となるように制御する。なお、出力許可上限温度Tlimは、固体電池20の電池特性に応じて予め設定されており、制御記憶部51に記憶されている。
【0209】
これにより、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過した場合でも、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力許可上限温度Tlimに到達しないようにしながら固体電池20を使用することができる。したがって、固体電池20からの出力が急激に制限されることを回避でき、固体電池20からの安定した出力を維持できる。
【0210】
また、前述した一連の制御において、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以上のとき、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きい場合、固体電池20の出力電流IBATTを新たな許可電流値Inewとなるように制限する。その後、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新し、更新したバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTと許可電流値Imapとをフィードバック制御する。
【0211】
これにより、実使用環境下におけるバッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和と、排熱装置排熱量QEXと、に合わせて、固体電池20の出力電流IBATTをフィードバック制御することができるので、実使用環境下において、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを制御することができ、バッテリ温度TBATTを一定に保つことができる。
【0212】
一方、前述したように、ステップS1003、ステップS1009、ステップS2015、ステップS2026、及び、ステップS3007において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合は、ステップS4000へと進む。
【0213】
図16に示すように、ステップS4000では、バッテリ温度T
BATTが、所定の第1閾値温度T
1[℃]よりも低いか否かを判定する。所定の第1閾値温度T
1は、出力制限開始温度T
sよりも低い温度に設定されており、予め制御記憶部51に記憶されている。そして、バッテリ温度T
BATTが、第1閾値温度T
1よりも低い場合(ステップS4000:YES)は、ステップS4001へと進み、バッテリ温度T
BATTが、第1閾値温度T
1よりも低くない、すなわち、バッテリ温度T
BATTが、第1閾値温度T
1以上である場合(ステップS4000:NO)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0214】
ステップS4001では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも小さい値であるか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも小さい値である場合(ステップS4001:YES)は、ステップS4002へと進み、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも小さい値でない、すなわち、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QA以上である場合(ステップS4001:NO)は、ステップS5001へと進む。
【0215】
ステップS4002では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(24)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P30 ・・・(24)
なお、P30は、1<P30を満たす所定値である。
【0216】
続いて、ステップS4003へと進み、許可電流値ImapをステップS4002で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0217】
続いて、ステップS4004へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0218】
続いて、ステップS4005へと進み、ステップS4004で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0219】
続いて、ステップS4006へと進み、ステップS4004で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS4006:YES)は、ステップS4007へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS4006:NO)は、前述したステップS1004へと進む。
【0220】
ステップS4007では、ステップS4005で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。ステップS4005で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS4005:NO)は、ステップS4002に戻ってステップS4002からステップS4007を繰り返し、ステップS4005で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS4007:YES)、ステップS5001へと進む。
【0221】
図17に示すように、ステップS5001では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、第1発熱部品吸熱量Q
B、第2発熱部品吸熱量Q
C、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ吸熱量Q
Aと第1発熱部品吸熱量Q
Bと第2発熱部品吸熱量Q
Cとの和が、排熱装置排熱量Q
EXよりも小さい値であるか否かを判定する。バッテリ吸熱量Q
Aと第1発熱部品吸熱量Q
Bと第2発熱部品吸熱量Q
Cとの和が、排熱装置排熱量Q
EXよりも小さい値である場合(ステップS5001:YES)は、ステップS5011へと進み、バッテリ吸熱量Q
Aと第1発熱部品吸熱量Q
Bと第2発熱部品吸熱量Q
Cとの和が、排熱装置排熱量Q
EXよりも小さい値でない、すなわち、バッテリ吸熱量Q
Aと第1発熱部品吸熱量Q
Bと第2発熱部品吸熱量Q
Cとの和が、排熱装置排熱量Q
EX以上である場合(ステップS5001:NO)は、ステップS5021へと進む。
【0222】
ステップS5011では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(25)式を用いて算出される。
Inew=Imap×P40 ・・・(25)
なお、P40は、1<P40を満たす所定値である。
【0223】
続いて、ステップS5012へと進み、許可電流値ImapをステップS5011で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0224】
続いて、ステップS5013へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0225】
続いて、ステップS5014へと進み、ステップS5013で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0226】
続いて、ステップS5015へと進み、ステップS5013で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS5015:YES)は、ステップS5016へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS5015:NO)は、前述したステップS1004へと進む。
【0227】
ステップS5016では、ステップS5014で算出したバッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS5016:NO)は、ステップS5001に戻ってステップS5001以降の処理を繰り返し、ステップS5014で算出したバッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなると(ステップS5016:YES)、ステップS6001へと進む。
【0228】
一方、ステップS5021では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS5021:YES)は、ステップS6001へと進み、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS5021:NO)は、ステップS5022へと進む。なお、ステップS5021において、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくないと判定された場合(ステップS5021:NO)は、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEX以上(ステップS2001:NO)、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない(ステップS2021:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和は、排熱装置排熱量QEXよりも大きいこととなる。
【0229】
ステップS5022では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(26)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p30 ・・・(26)
なお、p30は、0<p30<1を満たす所定値である。
【0230】
続いて、ステップS5023へと進み、許可電流値ImapをステップS5022で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0231】
続いて、ステップS5024へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0232】
続いて、ステップS5025へと進み、ステップS5024で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0233】
続いて、ステップS5026へと進み、ステップS5024で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS5026:YES)は、ステップS5001へと戻り、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくなるまで、ステップS5001以降の処理を繰り返す。ステップS5026において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS5026:NO)は、前述したステップS1004へと進む。
【0234】
図18に示すように、ステップS6001では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量Q
BATT、バッテリ吸熱量Q
A、第1発熱部品吸熱量Q
B、第2発熱部品吸熱量Q
C、及び、排熱装置排熱量Q
EXに基づいて、バッテリ発熱量Q
BATTが、バッテリ吸熱量Q
Aと等しいか否かを判定する。
【0235】
ステップS6001において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS6001:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0236】
なお、ステップS6001において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい場合(ステップS6001:YES)は、ステップS1002、ステップS4005、ステップS5014、及び、ステップS5025のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しく(ステップS5016:YES、ステップS5021:YES)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しい(ステップS6001:YES)、という条件を満たすこととなる。
【0237】
一方、ステップS6001において、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS6001:NO)は、ステップS6002へと進む。
【0238】
ステップS6002では、ステップS1002、ステップS4005、ステップS5014、及び、ステップS5025のいずれかで算出により取得した、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXに基づいて、バッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAよりも大きいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きい場合(ステップS6002:YES)は、ステップS6003へと進み、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きくない場合(ステップS6002:NO)は、ステップS4002へと戻る。なお、ステップS6002において、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きくないと判定された場合(ステップS6002:NO)は、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない(ステップS6001:NO)、且つ、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAよりも大きくない(ステップS6002:NO)という条件を満たすこととなるので、バッテリ発熱量QBATTは、バッテリ吸熱量QAよりも小さいこととなる。
【0239】
ステップS6003では、固体電池20に従来許可されていた許可電流値Imapに基づいて、新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、次の(27)式を用いて算出される。
Inew=Imap×p40 ・・・(27)
なお、p40は、0<p40<1を満たす所定値である。
【0240】
続いて、ステップS6004へと進み、許可電流値ImapをステップS6003で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0241】
続いて、ステップS6005へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTを取得する。
【0242】
続いて、ステップS6006へと進み、ステップS6005で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTに基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0243】
続いて、ステップS6007へと進み、ステップS6005で取得したバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下であるか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS6007:YES)は、ステップS6008へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下でない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS6007:NO)は、前述したステップS1004へと進む。
【0244】
ステップS6008では、ステップS6006で算出したバッテリ発熱量QBATTが、バッテリ吸熱量QAと等しいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくない場合(ステップS6008:NO)は、ステップS6002に戻ってステップS6002からステップS6008を繰り返し、ステップS6006で算出したバッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しくなると(ステップS6008:YES)、ステップS6009へと進む。
【0245】
ステップS6009では、ステップS6006で算出したバッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しいか否かを判定する。バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しくない場合(ステップS6009:NO)は、ステップS5001に戻る。
【0246】
ステップS6009において、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS6009:YES)は、一連の制御が終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0247】
なお、ステップS6009において、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しい場合(ステップS6009:YES)は、ステップS6006で算出したバッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXについて、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しく(ステップS6008:YES)、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しい(ステップS6009:YES)、という条件を満たすこととなる。
【0248】
このように、バッテリ制御装置50は、一連の制御において、バッテリ温度TBATTが第1閾値温度T1よりも低く、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が排熱装置排熱量QEXよりも小さい場合、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が排熱装置排熱量QEXと等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを増大させるように制御する。
【0249】
そして、バッテリ発熱量QBATTがバッテリ吸熱量QAと等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が排熱装置排熱量QEXと等しい状態になると、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、一定に保たれる。
【0250】
これにより、バッテリ温度TBATTが第1閾値温度T1よりも低く、且つ、バッテリ発熱量QBATTが排熱装置排熱量QEXよりも小さい場合には、バッテリ温度TBATTを一定温度に保ちつつ、固体電池20の出力電流IBATTを増大させて、固体電池20の出力性能を有効に活用することができる。例えば、バッテリ冷却システム10が搭載されている車両がエンジンを備え、当該エンジンの動力と固体電池20の電力との双方を駆動源として走行可能なハイブリッド車両である場合には、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを駆動源として活用することでエンジンの負荷を低減することができ、燃費が向上する。また、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを車両に搭載された補機用の低電圧バッテリに充電してもよいし、車両に搭載された空調装置の動作電力として活用してもよい。
【0251】
<バッテリ制御装置における制御フローの第2実施例>
続いて、
図19及び
図20を参照して、バッテリ制御装置50における固体電池20の入出力電力の制御フローの第2実施例について説明する。
【0252】
図19に示すように、バッテリ制御装置50は、まず、バッテリ温度T
BATT、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度T
W_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度T
W_B_OUT、第2発熱部品出口冷媒温度T
W_C_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、を取得する(ステップS7001)。本実施形態では、バッテリ温度センサ41、バッテリ入口冷媒温度センサ42、バッテリ出口冷媒温度センサ43、排熱装置入口冷媒温度センサ44、排熱装置出口冷媒温度センサ45、第1発熱部品入口冷媒温度センサ46、第1発熱部品出口冷媒温度センサ47、及び、第2発熱部品出口冷媒温度センサ48による検出により、バッテリ温度T
BATT、バッテリ入口冷媒温度T
W_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度T
W_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度T
W_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度T
W_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度T
W_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度T
W_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度T
W_C_OUTを取得する。バッテリ電圧CCVは、例えば、固体電池20に設けられた不図示の電圧センサによる検出により取得する。バッテリ残量SOCは、例えば、取得したバッテリ電圧CCVに基づいて算出により取得される。
【0253】
続いて、ステップS7002へと進み、固体電池20の発熱量であるバッテリ発熱量QBATT、冷媒Wの固体電池20からの吸熱量であるバッテリ吸熱量QA、冷媒Wの第1発熱部品81からの吸熱量である第1発熱部品吸熱量QB、冷媒Wの第2発熱部品82からの吸熱量である第2発熱部品吸熱量QC、及び、冷媒Wの排熱装置30での排熱装置排熱量QEXを、算出により取得する。
【0254】
バッテリ発熱量QBATTは、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例と同様、前述の(13)式を用いて算出される。
【0255】
バッテリ吸熱量QAは、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例と同様、前述した(2)式を用いて算出される。
【0256】
第1発熱部品吸熱量QBは、第2実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(18)式を用いて算出される。
【0257】
第2発熱部品吸熱量QC[J]は、第2実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第1実施例と同様、前述の(19)式を用いて算出される。
【0258】
排熱装置排熱量QEX[J]は、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例と同様、前述の(4)式を用いて算出される。
【0259】
続いて、ステップS7003へと進み、ステップS7001で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS7003:YES)は、ステップS7004へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合(ステップS7003:NO)は、後述するステップS8001へと進む。
【0260】
ステップS7004では、取得した最新のバッテリ残量SOCに基づいて、SOC-OCVマップからバッテリ開回路電圧OCVを取得する。
【0261】
そして、ステップS7005へと進み、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しくなる新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを、新たな許可電流値Inewとなるように制御する。新たな許可電流値Inewは、第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例と同様、前述の(15)式によって算出される。
【0262】
続いて、ステップS7006へと進み、許可電流値ImapをステップS7005で算出された新たな許可電流値Inewに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0263】
続いて、ステップS7007へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、を取得する。
【0264】
続いて、ステップS7008へと進み、ステップS7007で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、に基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0265】
続いて、ステップS7009へと進み、ステップS7007で取得したバッテリ温度TBATTが、予め設定された出力制限開始温度Tsを超過しているか否かを判定する。そして、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過している場合(ステップS7009:YES)は、ステップS7010へと進み、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts[℃]を超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts[℃]以下である場合(ステップS7009:NO)は、後述するステップS8001へと進む。
【0266】
ステップS7010では、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXとが等しいか否かを判定する。バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXとが等しくない場合(ステップS7010:NO)は、ステップS7004へと戻って、ステップS7004からステップS7010を繰り返す。そして、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXとが等しくなる(ステップS7010:YES)と、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0267】
このように、バッテリ制御装置50は、一連の制御において、バッテリ温度TBATTが所定の出力制限開始温度Tsを超過した場合に、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXとが等しくなるように、固体電池20の出力電流IBATTを制御する。
【0268】
バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXと等しい状態になると、バッテリ温度TBATTは、上昇も下降もせず、一定に保たれる。このようにして、バッテリ制御装置50は、バッテリ温度TBATTを、出力制限開始温度Ts以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度Tlim[℃]未満の温度となるように制御する。なお、出力許可上限温度Tlimは、固体電池20の電池特性に応じて予め設定されており、制御記憶部51に記憶されている。
【0269】
これにより、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過した場合でも、固体電池20のバッテリ温度TBATTが、出力許可上限温度Tlimに到達しないようにしながら固体電池20の出力を維持することができる。したがって、固体電池20からの出力が急激に制限されることを回避でき、固体電池20からの安定した出力を維持できる。
【0270】
また、この一連の制御において、バッテリ制御装置50は、固体電池20と冷媒Wとの間の熱抵抗値Rthが制御記憶部51に記憶されており、この熱抵抗値Rthに基づいて、バッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しくなる固体電池20の新たな許可電流値Inewを算出し、固体電池20の出力電流IBATTを新たな許可電流値Inewになるように制御する。
【0271】
これにより、固体電池20の出力電流IBATTのハンチングを抑制し、短時間でバッテリ発熱量QBATTとバッテリ吸熱量QAとが等しく、且つ、バッテリ吸熱量QAと第1発熱部品吸熱量QBと第2発熱部品吸熱量QCとの和が、排熱装置排熱量QEXとが等しい状態になるように固体電池20の出力電流IBATTを制御することができる。
【0272】
一方、前述したように、ステップS7003及びステップS7009において、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Tsを超過していない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、出力制限開始温度Ts以下である場合は、ステップS8001へと進む。
【0273】
図20に示すように、ステップS8001では、バッテリ温度T
BATTが、制御目標温度T
g[℃]よりも低いか否かを判定する。制御目標温度T
gは、出力制限開始温度T
s以下の所定の温度であり、予め制御記憶部51に記憶されている。なお、制御目標温度T
gは、出力制限開始温度T
sと同一温度であってもよい。
【0274】
ステップS8001において、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgよりも低くない、すなわち、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tg以上である場合(ステップS8001:NO)は、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0275】
ステップS8001において、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgよりも低い場合(ステップS8001:YES)は、ステップS8002へと進む。
【0276】
ステップS8002では、制御記憶部51に記憶されている最新のバッテリ残量SOCに基づいて、SOC-OCVマップからバッテリ開回路電圧OCVを取得する。
【0277】
そして、ステップS8003へと進み、許容最大電流値Imaxを算出により取得する。許容最大電流値Imaxは、バッテリ温度TBATTを制御目標温度Tgまで上昇させるために必要な電流値である。第1実施形態のバッテリ制御装置における制御フローの第2実施例と同様、前述の(17)式によって算出される。
【0278】
続いて、ステップS8004へと進み、ステップS8003で取得した許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imap以下であるか否かを判定する。ステップS8003で取得した許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imap以下である場合(ステップS8004:YES)は、ステップS8005へと進む。ステップS8003で取得した許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imapよりも高い場合(ステップS8004:NO)は、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0279】
ステップS8005では、固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS8003で取得した許容最大電流値Imaxよりも低いか否かを判定する。固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS8003で取得した許容最大電流値Imaxよりも低い場合(ステップS8005:YES)は、ステップS8006へと進む。固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS8003で取得した許容最大電流値Imaxよりも低くない場合、すなわち、固体電池20の出力電流IBATTが、ステップS8003で取得した許容最大電流値Imax以上である場合(ステップS8005:NO)は、一連の制御を終了する。そして、スタートへと戻り、バッテリ制御装置50は、この一連の制御を繰り返す。
【0280】
ステップS8006では、固体電池20の出力電流IBATTを、許容最大電流値Imaxとなるように制御する。
【0281】
続いて、ステップS8007へと進み、許可電流値ImapをステップS8003で算出された許容最大電流値Imaxに更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0282】
続いて、ステップS8008へと進み、再度、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、を取得する。
【0283】
続いて、ステップS8009へと進み、ステップS8008で取得したバッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUT、固体電池20のバッテリ残量SOC、及び、固体電池20のバッテリ電圧CCV、に基づいて、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを、算出により取得し、バッテリ発熱量QBATT、バッテリ吸熱量QA、第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC、及び、排熱装置排熱量QEXを更新して、制御記憶部51に記憶する。
【0284】
そして、ステップS8001へと戻り、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgよりも低い場合は、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgに到達するまで、ステップS8001からステップS8009を繰り返す。
【0285】
このように、バッテリ制御装置50は、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgより低く、且つ、固体電池20の出力電流IBATTが、バッテリ温度TBATTを制御目標温度Tgまで上昇させるために必要な電流値である許容最大電流値Imaxより小さい場合、固体電池20の出力電流IBATTを増大させるように制御する。ただし、本実施形態では、許容最大電流値Imaxが、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imapよりも高い場合は、制御記憶部51に記憶されている許可電流値Imapが優先される。このように、「出力電流を増大させるように制御する」とは、出力電流を増大させる制御があることを意味し、出力電流に関する他の制御が併用されていてもよい。例えば、許容最大電流値Imaxが、許可電流値Imapよりも大きい場合に、許可電流値Imapが優先されて出力電流が増大しない場合があってもよい。
【0286】
この制御は、バッテリ冷却システム10の固体電池20の冷却能力に応じた、固体電池20の出力電流開放制御と換言することができる。これにより、バッテリ温度TBATTが、制御目標温度Tgより低い場合には、バッテリ冷却システム10における固体電池20の冷却能力に応じて固体電池20の出力電流IBATTを増大させることで、固体電池20の出力性能を有効に活用することができる。例えば、バッテリ冷却システム10が搭載されている車両がエンジンを備え、当該エンジンの動力と固体電池20の電力との双方を駆動源として走行可能なハイブリッド車両である場合には、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを駆動源として活用することでエンジンの負荷を低減することができ、燃費が向上する。また、増大させた固体電池20の出力電流IBATTを車両に搭載された補機用の低電圧バッテリに充電してもよいし、車両に搭載された空調装置の動作電力として活用してもよい。
【0287】
以上、本発明の各実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0288】
例えば、第2実施形態では、バッテリ冷却システム100は、固体電池20及び排熱装置30以外の発熱部品として、第1発熱部品81及び第2発熱部品82の2つの発熱部品を備えるものとしたが、バッテリ冷却システム100が備える固体電池20及び排熱装置30以外の発熱部品は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0289】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTは、バッテリ温度センサ41、バッテリ入口冷媒温度センサ42、バッテリ出口冷媒温度センサ43、排熱装置入口冷媒温度センサ44、排熱装置出口冷媒温度センサ45、第1発熱部品入口冷媒温度センサ46、第1発熱部品出口冷媒温度センサ47、及び、第2発熱部品出口冷媒温度センサ48による検出により取得するものとしたが、バッテリ温度TBATT、バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN、バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT、排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN、排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT、第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、及び、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUTは、他の検出値に基づいて、算出により取得するものであってもよい。
【0290】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0291】
(1) 固体電池(固体電池20)と、
排熱装置(排熱装置30)と、
前記固体電池と前記排熱装置とを冷媒(冷媒W)が循環する冷却回路(冷却回路40)と、
前記固体電池の入出力電力を制御可能なバッテリ制御装置(バッテリ制御装置50)と、を備え、
前記冷媒は、前記固体電池から吸熱して前記固体電池を冷却し、前記固体電池から吸熱した熱を前記排熱装置で排熱する、バッテリ冷却システム(バッテリ冷却システム10)であって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池の温度であるバッテリ温度(バッテリ温度TBATT)が所定の出力制限開始温度(出力制限開始温度Ts)を超過した場合に、
前記固体電池の発熱量(バッテリ発熱量QBATT)と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量(バッテリ吸熱量QA)と、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量(排熱装置排熱量QEX)と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流(出力電流IBATT)を制御し、
前記バッテリ温度を、前記出力制限開始温度以上、且つ、出力が許可される上限の温度である所定の出力許可上限温度(出力許可上限温度Tlim)未満の温度となるように制御する、バッテリ冷却システム。
【0292】
(1)によれば、固体電池のバッテリ温度が出力制限開始温度を超過した場合でも、固体電池のバッテリ温度が出力許可上限温度に到達しないようにしながら固体電池を使用することができる。したがって、固体電池からの出力が急激に制限されることを回避でき、固体電池からの安定した出力を維持できる。
【0293】
(2) (1)に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池の発熱量を検出又は算出により取得し、
前記固体電池に導入される前記冷媒の温度であるバッテリ入口温度(バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN)と、前記固体電池から排出される前記冷媒の温度であるバッテリ出口温度(バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記バッテリ入口温度と前記バッテリ出口温度とに基づいて、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量を算出により取得し、
前記排熱装置に導入される前記冷媒の温度である排熱装置入口温度(排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN)と、前記排熱装置から排出される前記冷媒の温度である排熱装置出口温度(排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記排熱装置入口温度と前記排熱装置出口温度とに基づいて、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量を算出により取得し、
前記バッテリ温度が、前記出力制限開始温度以上のとき、
前記固体電池の発熱量が、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量よりも大きい場合、
前記固体電池の出力電流を第1制限電流値(許可電流値Inew)となるように制限し、
その後、それぞれ取得した、前記固体電池の発熱量、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量、及び、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量に基づいて、前記固体電池の発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量と、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流をフィードバック制御する、バッテリ冷却システム。
【0294】
(2)によれば、実使用環境下における固体電池の発熱量と、冷媒の固体電池からの吸熱量と、冷媒の排熱装置での排熱量と、に合わせて、固体電池の出力電流をフィードバック制御することができるので、実使用環境下において、固体電池の発熱量と、冷媒の固体電池からの吸熱量と、冷媒の排熱装置での排熱量と、が等しくなるように、固体電池の出力電流を制御することができ、バッテリ温度を一定に保つことができる。
【0295】
(3) (1)又は(2)に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池と前記冷媒との間の熱抵抗値(熱抵抗値Rth)が記憶されており、
前記熱抵抗値に基づいて、前記固体電池の発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量と、が等しくなる前記固体電池の電流値を算出し、
前記固体電池の出力電流を当該電流値になるように制御する、バッテリ冷却システム。
【0296】
(3)によれば、固体電池の出力電流のハンチングを抑制しながら、短時間で固体電池の発熱量と、冷媒の固体電池からの吸熱量と、冷媒の排熱装置での排熱量と、が等しい状態になるように固体電池の出力電流を制御することができる。
【0297】
(4) (1)に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記バッテリ温度が、前記出力制限開始温度以下の温度である制御目標温度(制御目標温度Tg)より低く、且つ、前記固体電池の出力電流が、前記バッテリ温度を前記制御目標温度まで上昇させるために必要な電流値(許容最大電流値Imax)より小さい場合、
前記固体電池の出力電流を増大させるように制御する、バッテリ冷却システム。
【0298】
(4)によれば、バッテリ温度が制御目標温度より低い場合には、バッテリ冷却システムにおける固体電池の冷却能力に応じて固体電池の出力電流を増大させることで、固体電池の出力性能を有効に活用することができる。ここで、「出力電流を増大させるように制御する」とは、出力電流を増大させる制御があることを意味し、出力電流に関する他の制御が併用されていてもよい。例えば、許容最大電流値Imaxが、許可電流値Imapよりも大きい場合に、許可電流値Imapが優先されて出力電流が増大しない場合があってもよい。
【0299】
(5) (1)に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記バッテリ温度が所定の第1閾値温度(第1閾値温度T1)より低く、且つ、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量が前記冷媒の前記排熱装置での排熱量よりも小さい場合、
前記固体電池の出力電流を増大させるように制御する、バッテリ冷却システム。
【0300】
(5)によれば、バッテリ温度が所定の第1閾値温度より低く、且つ、冷媒の固体電池からの吸熱量が冷媒の排熱装置での排熱量よりも小さい場合に、固体電池の出力電流を増大させて、固体電池の出力性能を有効に活用することができる。
【0301】
(6) (1)に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池に導入される前記冷媒の温度であるバッテリ入口温度(バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN)と、前記固体電池から排出される前記冷媒の温度であるバッテリ出口温度(バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記バッテリ入口温度と、前記バッテリ出口温度と、前記冷媒の質量流量(質量流量qm)と、前記冷媒の比熱(比熱cL)と、に基づいて、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量を算出し、
前記排熱装置に導入される前記冷媒の温度である排熱装置入口温度(排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN)と、前記排熱装置から排出される前記冷媒の温度である排熱装置出口温度(排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記排熱装置入口温度と、前記排熱装置出口温度と、前記冷媒の質量流量(質量流量qm)と、前記冷媒の比熱(比熱cL)と、に基づいて、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量を算出する、バッテリ冷却システム。
【0302】
(6)によれば、冷媒の冷却回路における各位置での温度を検出することで、簡素な方法で精度よく冷媒の固体電池からの吸熱量及び冷媒の排熱装置での排熱量を算出により取得することができる。
【0303】
(7) (1)に記載のバッテリ冷却システム(バッテリ冷却システム100)であって、
前記バッテリ冷却システムは、前記固体電池及び前記排熱装置以外の発熱部品(第1発熱部品81、第2発熱部品82)をさらに備え、
前記冷却回路は、前記固体電池と前記排熱装置と前記発熱部品とを前記冷媒が循環し、
前記冷媒は、前記固体電池から吸熱して前記固体電池を冷却し、前記発熱部品から吸熱して前記発熱部品を冷却し、前記固体電池及び前記発熱部品から吸熱した熱を前記排熱装置から排熱し、
前記バッテリ制御装置は、
前記バッテリ温度が前記出力制限開始温度を超過した場合に、
前記固体電池の前記発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの前記吸熱量と、前記冷媒の前記排熱装置での前記排熱量と、が等しくなることに代えて、
前記固体電池の前記発熱量と、前記冷媒の前記固体電池からの前記吸熱量と、が等しく、且つ、前記冷媒の前記固体電池からの前記吸熱量と前記冷媒の前記発熱部品からの吸熱量(第1発熱部品吸熱量QB、第2発熱部品吸熱量QC)との和と、前記冷媒の前記排熱装置での前記排熱量と、が等しくなるように、前記固体電池の出力電流を制御する、バッテリ冷却システム。
【0304】
(7)によれば、バッテリ冷却システムは、固体電池及び排熱装置以外の発熱部品をさらに備え、冷却回路は、固体電池及び排熱装置に加えて発熱部品にも冷媒が循環し、冷媒は、発熱部品も冷却する。そして、(7)によれば、固体電池の発熱量と、冷媒の固体電池からの吸熱量と、が等しく、且つ、冷媒の固体電池からの吸熱量と冷媒の発熱部品からの吸熱量との和と、冷媒の排熱装置での排熱量と、が等しくなるように、固体電池の出力電流を制御するので、固体電池のバッテリ温度が出力制限開始温度を超過した場合でも、固体電池のバッテリ温度が出力許可上限温度に到達しないようにしながら固体電池を使用することができる。したがって、固体電池からの出力が急激に制限されることを回避でき、固体電池からの安定した出力を維持できる。
【0305】
(8) (7)に記載のバッテリ冷却システムであって、
前記バッテリ制御装置は、
前記固体電池に導入される前記冷媒の温度であるバッテリ入口温度(バッテリ入口冷媒温度TW_BATT_IN)と、前記固体電池から排出される前記冷媒の温度であるバッテリ出口温度(バッテリ出口冷媒温度TW_BATT_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記バッテリ入口温度と、前記バッテリ出口温度と、前記冷媒の質量流量(質量流量qm)と、前記冷媒の比熱(比熱cL)と、に基づいて、前記冷媒の前記固体電池からの吸熱量を算出し、
前記排熱装置に導入される前記冷媒の温度である排熱装置入口温度(排熱装置入口冷媒温度TW_EX_IN)と、前記排熱装置から排出される前記冷媒の温度である排熱装置出口温度(排熱装置出口冷媒温度TW_EX_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記排熱装置入口温度と、前記排熱装置出口温度と、前記冷媒の質量流量(質量流量qm)と、前記冷媒の比熱(比熱cL)と、に基づいて、前記冷媒の前記排熱装置での排熱量を算出し、
前記発熱部品に導入される前記冷媒の温度である発熱部品入口温度(第1発熱部品入口冷媒温度TW_B_IN、第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT)と、前記発熱部品から排出される前記冷媒の温度である発熱部品出口温度(第1発熱部品出口冷媒温度TW_B_OUT、第2発熱部品出口冷媒温度TW_C_OUT)と、を検出又は算出により取得し、
前記発熱部品入口温度と、前記発熱部品出口温度と、前記冷媒の質量流量(質量流量qm)と、前記冷媒の比熱(比熱cL)と、に基づいて、前記冷媒の前記発熱部品からの吸熱量を算出する、バッテリ冷却システム。
【0306】
(8)によれば、冷媒の冷却回路における各位置での温度を検出することで、簡素な方法で精度よく冷媒の固体電池からの吸熱量、冷媒の排熱装置での排熱量、及び、冷媒の発熱部品からの吸熱量を算出により取得することができる。
【符号の説明】
【0307】
10 バッテリ冷却システム
100 バッテリ冷却システム
20 固体電池
30 排熱装置
40 冷却回路
50 バッテリ制御装置
cL 比熱
IBATT 出力電流
Imax 許容最大電流値(電流値)
Inew 許可電流値(第1制限電流値)
QBATT バッテリ発熱量(発熱量)
QA バッテリ吸熱量(吸熱量)
QB 第1発熱部品吸熱量(吸熱量)
QC 第2発熱部品吸熱量(吸熱量)
QEX 排熱装置排熱量(排熱量)
qm 質量流量
Rth 熱抵抗値
T1 第1閾値温度
TBATT バッテリ温度
Tg 制御目標温度
Tlim 出力許可上限温度
Ts 出力制限開始温度
TW_BATT_IN バッテリ入口冷媒温度(バッテリ入口温度)
TW_BATT_OUT バッテリ出口冷媒温度(バッテリ出口温度)
TW_B_IN 第1発熱部品入口冷媒温度(発熱部品入口温度)
TW_B_OUT 第1発熱部品出口冷媒温度(発熱部品出口温度、発熱部品入口温度)
TW_C_OUT 第2発熱部品出口冷媒温度(発熱部品出口温度)
TW_EX_IN 排熱装置入口冷媒温度(排熱装置入口温度)
TW_EX_OUT 排熱装置出口冷媒温度(排熱装置出口温度)
W 冷媒