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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097662
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20240711BHJP
   B32B 15/06 20060101ALI20240711BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240711BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20240711BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20240711BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20240711BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240711BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240711BHJP
   B29D 30/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B32B15/06 Z
B32B15/08 N
B32B25/08
B32B27/06
B32B7/12
B32B7/022
B60C1/00 Z
B29D30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001276
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】武田 亜衣
【テーマコード(参考)】
3D131
4F100
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3D131AA28
3D131AA30
3D131AA60
3D131BA03
3D131BA18
3D131BB19
3D131BC05
3D131BC31
3D131BC36
3D131BC51
3D131CC03
3D131LA28
4F100AB10A
4F100AB31A
4F100AK04B
4F100AK29C
4F100AK41D
4F100AK46D
4F100AK51D
4F100AK73C
4F100AL07B
4F100AL09D
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4F100AN02B
4F100AN02C
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CA16C
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4F100EJ64C
4F100GB32
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4F501TE26
4F501TH03
4F501TV26
4F501TV27
(57)【要約】
【課題】 金属体と樹脂体との接合強度を向上させることが可能な積層体を提供する。
【解決手段】 金属体2と樹脂体3とが接着層4を介して接合された積層体1である。この積層体1は、樹脂体3と接着層4との間に、加硫ゴムからなるゴム層5を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属体と樹脂体とが接着層を介して接合された積層体であって、
前記樹脂体と前記接着層との間に、加硫ゴムからなるゴム層を含む、
積層体。
【請求項2】
前記ゴム層は、天然ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムの少なくとも1つを含有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ゴム層は、粘着付与剤を含有する、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ゴム層は、前記樹脂体と接触する第1の面を有し、
前記第1の面は、ハロゲン処理されている、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記第1の面は、接着剤の層を介することなく、前記樹脂体に直接接合されている、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記ゴム層の70℃での複素弾性率は、3~50MPaである、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項7】
前記ゴム層の厚さは、1~5mmである、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項8】
前記接着層の厚さは、10~50μmである、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項9】
前記接着層は、塩化ゴム又はクロロスルホン化ポリエチレンを主成分として構成される、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項10】
23℃での前記金属体と前記樹脂体との間の引張せん断強度は、1.0MPa以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項11】
前記樹脂体は、熱可塑性エラストマーを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項12】
前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、又は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーである、請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の積層体を含む、エアレスタイヤ。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の積層体の製造方法であって、
前記接着層との接触が予定されている前記金属体の第2の面に、前記接着層を形成するための接着剤と、前記ゴム層を形成するための未加硫ゴムとを配置する工程と、
前記未加硫ゴムを加硫して、前記ゴム層を形成する工程と、
液状の樹脂を、前記ゴム層に接触させて硬化させることにより、前記樹脂体を形成する工程とを含む、
積層体の製造方法。
【請求項15】
前記接着剤及び前記未加硫ゴムを配置する工程に先立ち、前記第2の面に凹凸部を形成する工程をさらに含む、請求項14に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属体と樹脂体とが接着層を介して接合された積層体が、様々な用途に用いられている。近年、エアレスタイヤの開発に、このような積層体が用いられている。
【0003】
下記特許文献1には、エアレスタイヤが記載されている。このエアレスタイヤは、接地面を有する円筒状のトレッドリングと、トレッドリングの半径方向内側に配されかつ車軸に固定されるハブと、トレッドリングとハブとを連結するスポークとを具えている。
【0004】
ハブは、金属体で形成されている。一方、スポークは、樹脂体で形成されている。したがって、ハブとスポークとからなる複合体は、上述の積層体に相当する。これらのハブ及びスポークは、接着剤を介して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-130071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、金属体と樹脂体とは、熱膨張率が異なる。このため、金属体及び樹脂体に熱収縮等が生じると、それらの間の接着層に応力が作用する。このような応力が、接着層で吸収されることで、金属体と樹脂体との接合強度が維持されるものの、積層体の耐久性向上の観点から、接合強度のさらなる向上が望まれていた。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、金属体と樹脂体との接合強度を向上させることが可能な積層体を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金属体と樹脂体とが接着層を介して接合された積層体であって、前記樹脂体と前記接着層との間に、加硫ゴムからなるゴム層を含む、積層体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層体は、上記の構成を採用したことにより、金属体と樹脂体との接合強度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の積層体の部分断面図である。
図2】(a)~(c)は、金属体の第2の面に、接着剤と未加硫ゴムとを配置する工程を説明する断面図である。
図3】(a)及び(b)は、樹脂体を形成する工程を説明する断面図である。
図4】本実施形態のエアレスタイヤを車軸方向からみた部分正面図である。
図5図4の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0012】
[積層体の全体構造]
図1には、本実施形態の積層体1の部分断面図が示される。本実施形態の積層体1は、金属体2と樹脂体3とが、接着層4を介して接合されたものである。
【0013】
[金属体]
本実施形態の金属体2には、例えば、鉄系金属、アルミニウム系金属、マグネシウム系金属、銅系金属、及び、チタン系金属などが採用されうる。金属体2は、接着層4と接触する第2の面S2を有している。
【0014】
鉄系金属には、例えば、鉄、鋼、及びステンレス等が挙げられる。アルミニウム系金属には、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等が挙げられる。マグネシウム系金属には、例えば、マグネシウム合金等が挙げられる。銅系金属には、例えば、銅や銅合金等が挙げられる。チタン系金属には、例えば、チタン及びチタン合金等が挙げられる。
【0015】
本実施形態の金属体2には、上記の金属のうち、アルミニウム系金属が採用される。このようなアルミニウム系金属は、他の金属に比べて、軽量かつ加工性の高い性質を有している。
【0016】
[樹脂体]
本実施形態の樹脂体3は、高分子材料で構成されている。高分子材料は、特に限定されるものではないが、樹脂又はエラストマーとして、射出法又は注型法で成型が可能であるものが好ましい。
【0017】
樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及び、シリコン樹脂等が挙げられる。
【0018】
本実施形態では、上記の高分子材料(樹脂又はエラストマー)のうち、成型・加工性や、材料設計の自由度の観点から、熱可塑性エラストマーが含まれるのが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されないが、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、又は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましい。これらの熱可塑性エラストマーのうち、耐久性の向上の観点から、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂が好適に採用されうる。
【0019】
[接着層]
本実施形態の接着層4は、接着剤4Aの硬化物として構成されている。接着剤4Aは、金属体2と樹脂体3との接着に用いられるものであれば、特に限定されない。本実施形態の接着剤4Aには、市販の接着剤が用いられ、下塗り接着剤(プライマー)と、上塗り接着剤とが含まれる。下塗り接着剤には、例えば、製品名「ケムロック205」(ロード・ファー・イーストコーポレーション社製)等が採用されうる。一方、上塗り接着剤には、例えば、製品名「ケムロック6125」や製品名「ケムロック6108」(いずれも、ロード・ファー・イーストコーポレーション社製)等が採用されうる。
【0020】
ところで、金属体2と樹脂体3とは、熱膨張率が異なる。このため、金属体2及び樹脂体3に熱収縮等が生じると、それらの間の接着層4に応力が作用する。このような応力が、接着層4で吸収されることで、金属体2と樹脂体3との接合強度が維持されるものの、積層体1の耐久性向上の観点から、接合強度のさらなる向上が望まれていた。
【0021】
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、樹脂体3と接着層4との間に、加硫ゴムからなるゴム層5を設けることで、上記の熱収縮等による応力が、接着層4とともにゴム層5で吸収され、接合強度がさらに向上することを知見した。このような知見に基づいて、本実施形態の積層体1では、樹脂体3と接着層4との間に、ゴム層5が設けられる。
【0022】
[ゴム層]
本実施形態のゴム層5は、加硫ゴムで構成される。ゴム層5は、樹脂体3と接触する第1の面S1を有している。このようなゴム層5は、弾性変形が可能なクッション材として機能し、金属体2及び樹脂体3の熱収縮等に起因して作用する応力を、接着層4とともに吸収することができる。したがって、金属体2と樹脂体3との接合強度が向上し、積層体1の耐久性が向上する。
【0023】
本実施形態のゴム層5は、接着層4よりも大きな弾性変形が可能であるため、金属体2に比べると熱収縮が大きくなる樹脂体3側に配置されることで、樹脂体3の大きな熱収縮に追従して弾性変形することができる。これにより、金属体2と樹脂体3との間の応力が効果的に吸収され、金属体2と樹脂体3との接合強度が向上する。
【0024】
ゴム層5は、加硫ゴムで構成されれば、特に限定されない。ゴム層5には、天然ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムの少なくとも1つが含有されるのが好ましい。これらのゴムが含有されることで、上記の応力の吸収性、樹脂体3との接着性、強度及び耐久性が向上する。なお、ゴム層5には、従来の加硫ゴムと同様に、例えば、加硫剤、加硫促進剤、熱老化防止剤及びワックス等が含有されてもよい。
【0025】
ゴム層5には、粘着付与剤が含有されるのが好ましい。このような粘着付与剤により、樹脂体3との接着性が向上し、金属体2と樹脂体3との接合強度が向上する。粘着付与剤は、適宜選択することができ、例えば、フェノール系粘着付与剤や、石油系粘着付与剤等が採用されうる。
【0026】
ゴム層5の第1の面S1は、ハロゲン処理されるのが好ましい。これにより、ゴム層5と樹脂体3との接着性が向上する。ハロゲン処理は、従来と同様の手順に基づいて、第1の面S1にハロゲンを付加反応させることで行われうる。
【0027】
本実施形態では、上記のハロゲン処理による接着性の向上により、第1の面S1が接着剤の層(図示省略)を介することなく、樹脂体3に直接接合されうる。これにより、例えば、樹脂体3とゴム層5との間に接着剤の層(図示省略)が介在する場合に比べて、ゴム層5を、樹脂体3の熱収縮に直接追従させて弾性変形させることができる。これにより、金属体2と樹脂体3との間の応力が効果的に吸収されうる。さらに、ゴム層5は、接着剤の層よりも耐熱性が高いことから、高温環境下での接合強度が向上する。
【0028】
ゴム層5の70℃での複素弾性率E*は、3~50MPaに設定されるのが好ましい。複素弾性率E*が50MPa以下に設定されることで、ゴム層5の柔軟性が維持され、金属体2と樹脂体3との間の応力が効果的に吸収されうる。一方、複素弾性率E*が3MPa以上に設定されることで、ゴム層5の剛性及び耐久性が維持される。このような観点より、複素弾性率E*は、好ましくは40MPa以下であり、また、好ましくは10MPa以上である。
【0029】
ゴム層5の70℃での複素弾性率E*は、JIS-K6394の規定に準拠して、下記の条件で、GABO社製動的粘弾性測定装置(イプレクサーシリーズ)を用いて測定された値である。
周波数:10Hz
初期歪:5%
動歪の振幅:±1%
変形モード:引張
測定温度:70℃
【0030】
ゴム層5の厚さW1は、1~5mmに設定されるのが好ましい。厚さW1が1mm以上に設定されることで、樹脂体3との接着性が向上し、さらに、金属体2と樹脂体3との間の応力が吸収されうる。一方、厚さが5mm以下に設定されることで、ゴム層5の破壊や、加硫不良が抑制される。このような観点より、厚さW1は、好ましくは2mm以上であり、また、好ましくは4mm以下である。
【0031】
接着層4の厚さW2は、10~50μmに設定されるのが好ましい。厚さW2が10μm以上に設定されることで、金属体2との接着性が向上し、さらに、金属体2と樹脂体3との間の応力が吸収されうる。一方、厚さが50μm以下に設定されることで、厚さが大きくなることに起因する接着層4の凝集力の低下が抑制され、接合強度が維持される。このような観点より、厚さW2は、好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは40μm以下である。
【0032】
接着層4は、塩化ゴム又はクロロスルホン化ポリエチレンを主成分として構成されるのが好ましい。このような接着層4により、金属体2との接着性、及び、金属体2及び樹脂体3の熱収縮等に起因する応力の吸収性が向上する。上記を主成分とする接着層4の形成には、例えば、上記の接着剤が用いられる。
【0033】
23℃での金属体2と樹脂体3との間の引張せん断強度は、1.0MPa以上に設定されるのが好ましい。23℃での引張せん断強度が1.0MPa以上に設定されることで、常温環境下での接着層4の凝集破壊が抑制される。このような観点から、23℃での引張せん断強度は、3.0MPa以上に設定されるのが望ましい。
【0034】
引張せん断強度は、JIS K6850「剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法」に準じて、金属体2と樹脂体3とを接着面に沿って位置ずれさせ、接着層4及びゴム層5に作用する引張せん断応力によって、接着層4及びゴム層5が破断したときの破断応力として測定される。また、引張せん断強度は、接着層4の硬度や厚さW2、及び、ゴム層5の複素弾性率及び厚さW1を調整することで、適宜設定されうる。
【0035】
金属体2の第2の面S2には、凹凸部(図示省略)が形成されるのが好ましい。このような凹凸部により、接着層4とのアンカー効果が発現され、金属体2と接着層4との接着強度が高められる。
【0036】
凹凸部(図示省略)は、例えば、レーザー加工や、ショットブラスト等による既知の下地処理によって形成されうる。本実施形態では、任意の粗さを有する凹凸部を、高い精度で形成可能なレーザー加工が採用される。
【0037】
[積層体の製造方法]
次に、本実施形態の積層体1の製造方法(以下、「製造方法」ということがある。)が説明される。
【0038】
[接着剤及び未加硫ゴムを配置]
本実施形態の製造方法では、先ず、接着層4との接触が予定されている金属体2の第2の面S2に、接着層4を形成するための接着剤4Aと、ゴム層5を形成するための未加硫ゴムとを配置する工程が行われる。図2(a)~(c)は、金属体2の第2の面S2に、接着剤4Aと未加硫ゴム5Aとを配置する工程を説明する断面図である。
【0039】
本実施形態の工程では、先ず、図2(a)に示されるように、金属体2の第2の面S2に、接着層4を形成するための接着剤4Aが塗布される。本実施形態のように、下塗り接着剤(プライマー)と、上塗り接着剤とが含まれる場合には、第2の面S2に下塗り接着剤が塗布された後に、上塗り接着剤が塗布される。本実施形態では、接着層4の厚さW2(図1に示す)が上記の範囲内となるように、接着剤4Aが塗布される。
【0040】
接着剤4Aの接着力を向上させるために、第2の面S2に塗布された接着剤4Aを予熱する工程が行われてもよい。接着剤の予熱には、例えば、加温機(図示省略)が用いられてもよい。接着剤4Aの温度は、例えば、30~120℃に設定されるのが望ましい。また、予熱時間は、例えば、10~30分に設定されるのが望ましい。
【0041】
金属体2の第2の面S2に、凹凸部(図示省略)が形成される場合には、接着剤4Aが塗布される工程に先立ち、第2の面S2に、凹凸部を形成する工程が実施されるのが好ましい。凹凸部の形成は、上記の手順で行われる。
【0042】
次に、図2(b)に示されるように、接着剤4Aが塗布された金属体2(図2(a)に示す)を、金型11のキャビティ12に配置する工程が行われる。金属体2がセットされたキャビティ12には、図2(c)に示す未加硫ゴム5Aが供給可能なように、空きスペース13が残されている。また、未加硫ゴム5Aとの接触が予定されている接着剤4Aの第3の面S3は、キャビティ12の空きスペース13に面するように位置決めされる。
【0043】
次に、図2(c)に示されるように、本実施形態の工程では、接着剤4Aの第3の面S3に、未加硫ゴム5Aが配置される。本実施形態では、ゴム層5の厚さW1(図1に示す)が上記の範囲内となるように、未加硫ゴム5Aが充填される。
【0044】
[未加硫ゴムを加硫してゴム層を形成]
次に、本実施形態の製造方法では、未加硫ゴム5Aを加硫して、ゴム層5を形成する工程が行われる。本実施形態では、金属体2、接着剤4A及び未加硫ゴム5Aが配置された金型11が加熱される。これにより、未加硫ゴム5Aが加硫されて、ゴム層5が形成される。さらに、接着剤4Aが硬化して、接着層4が形成される。これにより、金属体2、接着層4及びゴム層5の一体物14が形成される。加硫温度及び加硫時間は、未加硫ゴム5Aの配合等に応じて適宜設定される。加硫温度は、例えば、150~190℃に設定される。加硫時間は、10~25分に設定される。圧力は、0.5~10MPaに設定される。一体物14は、金型11から取り出される。
【0045】
[液状の樹脂を硬化]
次に、本実施形態の製造方法では、液状の樹脂を、ゴム層5に接触させて硬化させることにより、樹脂体を形成する工程が実施される。図3(a)及び(b)は、樹脂体3を形成する工程を説明する断面図である。
【0046】
本実施形態では、先ず、図3(a)に示されるように、金型15のキャビティ16に、金属体2、接着層4及びゴム層5の一体物14が配置される。一体物14がセットされたキャビティ16には、図3(b)に示す液状の樹脂3Aが供給可能なように、空きスペース17が残されている。液状の樹脂3Aとの接触が予定されているゴム層5の第1の面S1は、キャビティ16の空きスペース17に面するように位置決めされる。
【0047】
次に、本実施形態では、既知の射出成形機のシリンダー(図示省略)内において、樹脂3Aが温調(例えば、180~300℃)される。これにより、樹脂3Aが液状に融解される。
【0048】
次に、キャビティ16の空きスペース17に、射出成形機のシリンダー(図示省略)から、液状の樹脂3Aが供給(射出)される。これにより、ゴム層5の第1の面S1に、液状の樹脂3Aが接触する。そして、樹脂3Aが冷却及び硬化されることで、樹脂体3が形成される。これにより、接着層4及びゴム層5を介して、金属体2と樹脂体3とを接合(一体成型)させた積層体1(図1に示す)が得られる。
【0049】
本実施形態の製造方法では、金属体2と樹脂体3との間に、接着層4及びゴム層5が設けられているため、金属体2及び樹脂体3の熱収縮等で作用する応力が、接着層4及びゴム層5の双方で吸収されうる。これにより、本実施形態の製造方法では、金属体2と樹脂体3との接合強度を向上させた積層体1の製造が可能となる。
【0050】
本実施形態では、液状の樹脂3Aをゴム層5に接触させて硬化させるため、樹脂体3の大きな熱収縮に追従して、ゴム層5を弾性変形させることができる。これにより、金属体2と樹脂体3との間で作用する応力が効果的に吸収され、金属体2と樹脂体3との接合強度が向上する。
【0051】
本実施形態のように、図2(a)に示した金属体2の第2の面S2に凹凸部(図示省略)が形成される場合には、接着層4とのアンカー効果が発現し、金属体2と接着層4との接着強度をさらに向上させた積層体1が製造されうる。
【0052】
液状の樹脂3A(図3(b)に示す)をゴム層5に接触させるのに先立ち、図3(a)に示したゴム層5の第1の面S1が、ハロゲン処理されるのが好ましい。これにより、ゴム層5と樹脂体3との接着性が向上する。さらに、本実施形態の第1の面S1は、接着剤の層を介することなく、樹脂体3に直接接合されるため、積層体1の製造工程が簡略化されうる。なお、ゴム層5の配合によっては、第1の面S1が、接着剤の層(図示省略)を介して、樹脂体3に接合されてもよい。
【0053】
[エアレスタイヤ]
次に、積層体1を含むエアレスタイヤが説明される。
図4は、本実施形態のエアレスタイヤ18を車軸方向からみた部分正面図である。図3に示されるように、エアレスタイヤ18は、車軸に固定されるハブ部19と、地面に接触させるための環状のトレッドリング20と、ハブ部19とトレッドリング20とを接続するスポーク部21とを含んで構成されている。
【0054】
ハブ部19は、例えば、金属材料で形成されている。
【0055】
トレッドリング20は、加硫ゴムで形成されている。トレッドリング20は、その周方向剛性等を高めるために、例えば、内部に補強コード層25(破線で示す)を備えても良い。
【0056】
本実施形態のスポーク部21は、例えば、タイヤ半径方向外側のアウター部21oと、タイヤ半径方向内側のインナー部21iと、複数のスポークエレメント21cとを一体的に含んでいる。
【0057】
アウター部21oは、トレッドリング20の内周面に接合された環状体である。インナー部21iは、ハブ部19の外周面に接合された環状体である。各スポークエレメント21cは、それぞれ、アウター部21oとインナー部21iとの間のタイヤ半径方向に延びて、これらを互いに接続している。
【0058】
本実施形態では、積層体1の金属体2(図1に示す)がハブ部19を形成し、積層体1の樹脂体3(図1に示す)がスポーク部21(インナー部21i)を形成している。ハブ部19とスポーク部21との間には、接着層4及びゴム層5が設けられている。したがって、本実施形態のエアレスタイヤ18には、積層体1が利用されている。
【0059】
積層体1は、接着層4及びゴム層5により、金属体2(ハブ部19)と、樹脂体3(スポーク部21)との接合性が向上する。さらに、加硫ゴムからなるゴム層5は、金属体2(ハブ部19)と、樹脂体3(スポーク部21)との間で弾性変形することができる。このため、エアレスタイヤ18は、ハブ部19と、スポーク部21との接合強度が高められ、耐久性(高速耐久性)が向上する。
【0060】
[エアレスタイヤの製造方法]
次に、本実施形態のエアレスタイヤ18の製造方法(以下、「製造方法」ということがある。)が説明される。本実施形態の製造方法には、例えば、特許文献(特開2015-217717号公報)等に記載の公知の手順が用いられる。以下、公知ではない手順を中心に説明され、公知の手順は省略される場合がある。図5は、図4の部分拡大図である。
【0061】
[ハブ部を準備]
本実施形態の製造方法では、先ず、図4に示したハブ部19(金属体2)を準備する工程が行われる。なお、ハブ部19において、接着層4との接触が予定されている第2の面S2(図5に示す)に、凹凸部(図示省略)が形成される場合には、接着剤4A及び未加硫ゴム5Aを配置する工程に先立ち、第2の面S2に、凹凸部を形成する工程が実施されてもよい。凹凸部の形成は、上記の手順で行われる。
【0062】
[トレッドリングを加硫成形]
次に、本実施形態の製造方法では、図4に示した環状のトレッドリング20を加硫成型する工程が行われる。この工程では、トレッドリング20の内周面に、表面処理層(図示省略)が形成されている。表面処理層は、例えば、塩素化処理により形成される。
【0063】
[接着剤及び未加硫ゴムを配置]
次に、本実施形態の製造方法では、図5に示した接着層4との接触が予定されているハブ部19の第2の面S2に、接着層4を形成するための接着剤4Aと、ゴム層5を形成するための未加硫ゴム5Aとを配置する工程が行われる。接着剤4A及び未加硫ゴム5Aの配置は、図2(a)~(c)に示した積層体1の製造方法と同様の手順で行われる。
【0064】
[未加硫ゴムを加硫してゴム層を形成]
次に、本実施形態の製造方法では、未加硫ゴム5Aを加硫して、ゴム層5を形成する工程が行われる。本実施形態では、ハブ部19、接着剤4A及び未加硫ゴム5Aが配置された金型(図示省略)が加熱される。これにより、未加硫ゴム5Aが加硫されて、ゴム層5が形成される。さらに、接着剤4Aが硬化して、接着層4が形成される。加硫温度及び加硫時間は、積層体1の製造方法と同様に設定されうる。これにより、ハブ部19、接着層4及びゴム層5の一体物22が形成される。一体物22は、金型から取り出される。
【0065】
[一体物及びトレッドリングを金型に配置]
次に、本実施形態の製造方法では、図4に示したハブ部19(金属体2)、接着層4及びゴム層5の一体物22と、トレッドリング20とを、金型のキャビティ(いずれも図示省略)に配置する工程が行われる。金型のキャビティには、一体物22及びトレッドリング20が配置された後、スポーク部21を成型するための空きスペース(図示省略)が形成される。
【0066】
[液状の樹脂を硬化]
次に、本実施形態の製造方法では、スポーク部21(樹脂体3)を形成するための液状の樹脂3A(図5に示す)を、ゴム層5に接触させて硬化させることにより、スポーク部21を形成する工程が実施される。樹脂3Aは、積層体1の製造方法と同様の手順で、液状に融解される。
【0067】
次に、本実施形態では、金型のキャビティの空きスペース(いずれも図示省略)に、射出成形機のシリンダー(図示省略)から、液状の樹脂3Aが供給される。これにより、樹脂3Aとの接触が予定されているゴム層5の第1の面S1に、液状の樹脂3Aが接触する。そして、樹脂3Aが冷却及び硬化されることで、樹脂体3が形成される。これにより、接着層4及びゴム層5を介して、ハブ部19及びスポーク部21が接合(一体成型)された積層体1と、トレッドリング20とが一体化したエアレスタイヤ18(図4に示す)が得られる。
【0068】
本実施形態の製造方法では、ハブ部19とスポーク部21との間に、接着層4及びゴム層5が設けられているため、ハブ部19及びスポーク部21の熱収縮等で作用する応力が、接着層4及びゴム層5の双方で効果的に吸収されうる。これにより、本実施形態の製造方法では、ハブ部19とスポーク部21との接合強度を向上させたエアレスタイヤ18を製造することが可能となる。
【0069】
本実施形態では、ゴム層5に液状の樹脂3Aを接触させて硬化させるため、樹脂体3の大きな熱収縮に追従して、ゴム層5を弾性変形させることができる。これにより、ハブ部19とスポーク部21との間で作用する応力が効果的に吸収され、ハブ部19とスポーク部21との接合強度が向上する。
【0070】
本実施形態のように、図5に示したハブ部19の第2の面S2に凹凸部(図示省略)が形成される場合には、接着層4とのアンカー効果が発現し、ハブ部19とスポーク部21との接着強度をさらに向上させたエアレスタイヤ18が製造されうる。
【0071】
液状の樹脂3Aをゴム層5に接触させるのに先立ち、図5に示したゴム層5の第1の面S1が、ハロゲン処理されるのが好ましい。これにより、ゴム層5とスポーク部21との接着性が向上する。さらに、第1の面S1は、接着剤の層を介することなく、スポーク部21に直接接合されるため、エアレスタイヤ18の製造工程が簡略化されうる。
【0072】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0073】
以下、本発明のより具体的かつ非限定的な実施例が説明される。
図2(a)に示されるように、凹凸部が形成された第2の面を有する金属体のサンプルが準備された(実施例1~3)。この金属体のサンプルの第2の面には、接着層を形成するための接着剤が塗布された。図2(b)に示されるように、金属体のサンプルが金型のキャビティに入れられた。図2(c)に示されるように、キャビティの空きスペースには、ゴム層を形成するための未加硫ゴムが供給された。そして、未加硫ゴムを加硫してゴム層が形成され、金属体、接着層及びゴム層の一体物が形成された。加硫温度は170℃に設定され、加硫時間は12分に設定された。ゴム層の厚さW1は、1.0mmに設定された。接着層の厚さW2は、0.045mmに設定された。
【0074】
次に、上記の一体物が図3(a)に示した別の金型のキャビティに入れられた後に、キャビティの空きスペースに、樹脂体を形成するための液状の樹脂が供給された。これにより、ゴム層の第1の面に液体の樹脂が接触された。そして、液状の樹脂が冷却及び硬化されることで、樹脂体が形成された。これにより、接着層及びゴム層を介して、金属体と樹脂体とを接合させた積層体が形成された。
【0075】
表1に記載されるように、実施例1~3の接着層は、塩化ゴムを主成分とする塩化ゴム系接着剤を用いて形成された。一方、実施例4の接着層は、ウレタンを主成分とするウレタン系接着剤を用いて形成された。
【0076】
また、実施例1~3では、液状の樹脂をゴム層に接触させるのに先立ち、ゴム層の第1の面がハロゲン処理された。さらに、実施例3では、ゴム層の第1の面に、接着剤の層が設けられた。
【0077】
実施例1~3の積層体から、幅25mm及び長さ12mmの短冊状の試料が、積層体のサンプルとして切り出された。実施例の共通仕様は、次のとおりである。
金属体:アルミニウム合金
凹凸部の十点平均粗さRz:614μm
【0078】
比較のために、樹脂体と接着層との間に、ゴム層を含まない積層体が形成された(比較例)。比較例の積層体は、ゴム層が形成される工程が省略される点を除いて、実施例1~3と同様の工程で形成された。
【0079】
積層体における金属体と樹脂体との接合強度を評価するために、引張せん断接着強さ試験(剥離試験)が行われた。引張せん断接着強さ試験は、JIS K 6850に準拠し、室温環境下(23℃かつ湿度55%)と、高温環境下(80℃かつ湿度55%)とでそれぞれ行われた。
テストの結果が、表1に示される。
【0080】
【表1】
【0081】
テストの結果、実施例1~3の積層体は、室温環境下において、樹脂体にて材料破壊が生じており、金属体と接着層との間の界面、接着層とゴム層との界面、及び、ゴム層と樹脂体との間の界面において剥離は生じなかった。これは、実施例1~3の積層体が、ゴム層と接着層との双方において、金属体及び樹脂体の熱収縮等に起因する応力が吸収されるため、金属体と樹脂体との接合強度が向上したことによるものと考えられる。
【0082】
実施例1~2の積層体は、高温環境下において、樹脂体にて材料破壊が生じており、金属体と接着層との間の界面、接着層とゴム層との界面、及び、ゴム層と樹脂体との間の界面において剥離は生じなかった。一方、実施例3の積層体は、高温環境下において、ゴム層と樹脂体との間の界面で剥離が生じた。これは、ゴム層の耐熱性が、接着剤の耐熱性よりも高いことから、第1の面が接着剤の層を介することなく樹脂体に直接接合される実施例1~2の積層体が、接着剤の層を介して接合される実施例3の積層体に比べて、高温環境下での接合強度が向上したことによるものと考えられる。
【0083】
実施例1~3では、接着層の形成に塩化ゴム系接着剤が用いられるため、金属体との接着性が好ましく向上した。さらに、実施例1~3では、ゴム層の第1の面がハロゲン処理されているため、ゴム層と樹脂体との接着性が向上した。また、ゴム層に粘着付与剤が含有されている実施例1では、ゴム層に粘着付与剤が含有されていない実施例2に比べて、複素弾性率E*が高くなり、さらに、樹脂体との接着性が好ましく向上した。
【0084】
一方、比較例の積層体は、室温環境下及び高温環境下の双方において、金属体と接着層との間の界面、又は、接着層と樹脂体との間の界面で剥離が生じた。
【0085】
次に、表1の積層体に基づいて、エアレスタイヤが試作され、それらについて高速耐久性が評価された。高速耐久性の評価では、ドラム試験機を用い、荷重2.6kNをエアレスタイヤに負荷し、初期速度100km/hでの転動を開始してから、10分が経過するごとに10km/hずつ速度を増加させた。そして、エアレスタイヤに損傷が生じたときの速度よりも1ステップ低い速度(10km/hを減じた速度)が、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、高速耐久性が優れていることを示している。
【0086】
テストの結果、実施例1~3では、金属体と樹脂体との接合性を向上させることができ、エアレスタイヤに求められる高速耐久性を発揮することができた。さらに、実施例1~3では、接着層の形成に塩化ゴム系接着剤が用いられるため、金属体との接着性が向上し、高速耐久性が好ましく向上した。さらに、実施例1~3では、ゴム層の第1の面がハロゲン処理されているため、高速耐久性が好ましく向上した。また、ゴム層に粘着付与剤が含有されている実施例1では、ゴム層に粘着付与剤が含有されていない実施例2に比べて、複素弾性率E*が高くなり、高速耐久性が好ましく向上した。さらに、実施例1~2は、第1の面が、接着剤の層を介することなく、樹脂体に直接接合されるため、接着剤の層を介して接合される実施例3に比べて高速耐久性が向上した。
【0087】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0088】
[本発明1]
金属体と樹脂体とが接着層を介して接合された積層体であって、
前記樹脂体と前記接着層との間に、加硫ゴムからなるゴム層を含む、
積層体。
[本発明2]
前記ゴム層は、天然ゴム、ブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムの少なくとも1つを含有する、本発明1に記載の積層体。
[本発明3]
前記ゴム層は、粘着付与剤を含有する、本発明1又は2に記載の積層体。
[本発明4]
前記ゴム層は、前記樹脂体と接触する第1の面を有し、
前記第1の面は、ハロゲン処理されている、本発明1ないし3のいずれかに記載の積層体。
[本発明5]
前記第1の面は、接着剤の層を介することなく、前記樹脂体に直接接合されている、本発明4に記載の積層体。
[本発明6]
前記ゴム層の70℃での複素弾性率は、3~50MPaである、本発明1ないし5のいずれかに記載の積層体。
[本発明7]
前記ゴム層の厚さは、1~5mmである、本発明1ないし6のいずれかに記載の積層体。
[本発明8]
前記接着層の厚さは、10~50μmである、本発明1ないし7のいずれかに記載の積層体。
[本発明9]
前記接着層は、塩化ゴム又はクロロスルホン化ポリエチレンを主成分として構成される、本発明1ないし8のいずれかに記載の積層体。
[本発明10]
23℃での前記金属体と前記樹脂体との間の引張せん断強度は、1.0MPa以上である、本発明1ないし9のいずれかに記載の積層体。
[本発明11]
前記樹脂体は、熱可塑性エラストマーを含む、本発明1ないし10のいずれかに記載の積層体。
[本発明12]
前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、又は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーである、本発明11に記載の積層体。
[本発明13]
本発明1ないし12のいずれかに記載の積層体を含む、エアレスタイヤ。
[本発明14]
本発明1ないし12のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
前記接着層との接触が予定されている前記金属体の第2の面に、前記接着層を形成するための接着剤と、前記ゴム層を形成するための未加硫ゴムとを配置する工程と、
前記未加硫ゴムを加硫して、前記ゴム層を形成する工程と、
液状の樹脂を、前記ゴム層に接触させて硬化させることにより、前記樹脂体を形成する工程とを含む、
積層体の製造方法。
[本発明15]
前記接着剤及び前記未加硫ゴムを配置する工程に先立ち、前記第2の面に凹凸部を形成する工程をさらに含む、本発明14に記載の積層体の製造方法。
【符号の説明】
【0089】
1 積層体
2 金属体
3 樹脂体
4 接着層
5 ゴム層
図1
図2
図3
図4
図5