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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097704
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】路面標示用施工装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/22 20060101AFI20240711BHJP
   E01F 9/518 20160101ALI20240711BHJP
【FI】
E01C23/22
E01F9/518
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001366
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000101477
【氏名又は名称】アトミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】淵上 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 崇之
(72)【発明者】
【氏名】東 弘一朗
(72)【発明者】
【氏名】舘野 英雄
【テーマコード(参考)】
2D053
2D064
【Fターム(参考)】
2D053AA28
2D053AB06
2D053AD01
2D053EA02
2D053EA17
2D064AA05
2D064BA06
(57)【要約】
【課題】より一層の施工精度の向上を図ることが可能な路面標示用施工装置を提供すること。
【解決手段】本発明の路面標示用施工装置は、路面R上に線状の標示を塗装する塗装部と、塗布予定位置が予め路面Rに示された、前側aの基準線Lを撮像する前方カメラ13と、後側bの路面に示された基準線Lを撮像する後方カメラ14と、前方カメラ13で撮像された画像が表示される前方画像表示部と、後方カメラ14で撮像された画像が表示される後方画像表示部と、を備え、路面Rに対して平面視で、前方カメラ13の光軸と後方カメラ14の光軸とが一致する(POA)ように前方カメラ13及び後方カメラ14が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を走行する車両に搭載されて、当該路面上に標示を施工する路面標示用施工装置であって、
前記車両の側方に設けられ、前記路面上に塗料を塗布して線状の標示を塗装する塗装部と、
前記塗料を塗布する塗布予定位置が予め前記路面に示された基準線のうち前記車両の前側の路面に示された当該基準線を撮像する前方カメラと、
前記前方カメラで撮像される路面より後側の路面に示された前記基準線を撮像する後方カメラと、
前記前方カメラで撮像された画像が表示される前方画像表示部と、
前記後方カメラで撮像された画像が表示される後方画像表示部と、を備え、
前記路面に対して平面視で、前記前方カメラの光軸と前記後方カメラの光軸とが一致するように前記前方カメラ及び前記後方カメラが設けられている、路面標示用施工装置。
【請求項2】
前記路面に対して平面視で、前記前方カメラ及び前記後方カメラの光軸が、前記車両の幅方向と垂直になるように前記前方カメラ及び前記後方カメラが設けられている、請求項1に記載の路面標示用施工装置。
【請求項3】
前記前方カメラ及び前記後方カメラが、前記車両の運転席側、及び/または、前記車両の運転席とは反対側の側方において、前記車両の車幅から突出して設けられている、請求項1に記載の路面標示用施工装置。
【請求項4】
前記路面に対して平面視で、前記前方カメラの光軸と前記後方カメラの光軸とを結んだ線の延長線上に、前記塗装部が位置する、請求項3に記載の路面標示用施工装置。
【請求項5】
前記前方カメラ及び前記後方カメラが、台座に固定されており、
前記台座が、前記車両の幅方向にスライド可能に前記車両に取り付けられている、請求項4に記載の路面標示用施工装置。
【請求項6】
装置本体と、該装置本体から突出及び退避可能にスライドするスライド部と、を有するスライド駆動装置を備え、
前記スライド部が前記車両の幅方向にスライド可能となるように、前記装置本体が前記車両に固定されており、
前記台座が、前記スライド部に固定されている、請求項5に記載の路面標示用施工装置。
【請求項7】
前記車両の進行方向と前記基準線とが平行な状態の場合に前記前方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該前方画像表示部に、及び/または、前記車両の進行方向と前記基準線とが平行な状態の場合に前記後方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該後方画像表示部に、表示しておく、請求項1に記載の路面標示用施工装置。
【請求項8】
前記車両の進行方向と前記基準線とが平行な状態の場合に前記前方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該前方画像表示部に表示しておき、
前記後方カメラは、前記塗装部を撮像し、
前記塗装部により前記路面上に塗料が塗布される塗布位置を予め前記後方画像表示部に表示しておく、請求項1に記載の路面標示用施工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面標示用施工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道中央線、車線境界線、車道外側線等の区画線や追越し禁止線等の標示を路面上に施工する場合、路面上に標示を施工する位置を示す基準線を予め作図しておき、塗料を放出する塗装装置を搭載した施工車両を走行させながら、基準線の上に塗料を吹き付けて標示を施工している(特許文献1参照)。
【0003】
この施工車両には、右側に設けられた運転席とは反対側の左側に塗装装置が設けられており、塗装装置から放出される塗料が路面上に吹き付けられる位置を指示するガイド棒が前方側に設けられている。路面上に標示を施工する際には、このガイド棒を頼りに運転者が施工車両の向きを調整しながら運転して基準線の上に塗料を吹き付けている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の施工車両では、基準線とガイド棒が示す位置とを目視して塗料を吹き付けているため、運転者の視線が変化すると基準線とガイド棒が示す位置が変化してしまい、基準線から外れて塗料が吹き付けられる場合があった。また、道路運送車両の保安基準の関係上、ガイド棒を施工車両に取り付けるにはハードルがある他、安全上の問題からガイド棒の無い施工車両が有利である。
【0005】
ガイド棒を設けることなく、施工精度の向上を図ることが可能な路面標示用施工装置として、本発明者らは、特許文献2に記載の発明を提案している。特許文献2には、前側の路面に示された基準線を撮像した画像が表示される前方画像表示部と、後側の路面に示された基準線を撮像した画像が表示される後方画像表示部と、を備え、前方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該前方画像表示部に表示しておく発明が記載されている。特許文献2に記載の発明によれば、案内線が基準線に対して平行な状態を維持するように前方画像表示部の画像を目視しながら施工車両を走行させるだけで、塗料が塗布される位置と基準線とが一致するため、ガイド棒無しに、標示の施工精度を向上することができる。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の路面標示用施工装置においても、車両の運転者は、感覚的に、前方画像表示部や後方画像表示部に映し出される画像と、実際の走行状態や塗料の塗布状態との間に、多少の違和感を覚えることがある。この違和感を埋めるために、特許文献2に記載の路面標示用施工装置を用いて路面上に標示を施工する際、車両の運転者は、一層の神経を使って運転することが望まれることがある。そのため、路面標示の施工の際に施工精度の向上を図るにも限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-132152号公報
【特許文献2】特開2020-180480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、より一層の施工精度の向上を図ることが可能な路面標示用施工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様である路面標示用施工装置は、
路面を走行する車両に搭載されて、当該路面上に標示を施工する路面標示用施工装置であって、
前記車両の側方に設けられ、前記路面上に塗料を塗布して線状の標示を塗装する塗装部と、
前記塗料を塗布する塗布予定位置が予め前記路面に示された基準線のうち前記車両の前側の路面に示された当該基準線を撮像する前方カメラと、
前記前方カメラで撮像される路面より後側の路面に示された前記基準線を撮像する後方カメラと、
前記前方カメラで撮像された画像が表示される前方画像表示部と、
前記後方カメラで撮像された画像が表示される後方画像表示部と、を備え、
前記路面に対して平面視で、前記前方カメラの光軸と前記後方カメラの光軸とが一致するように前記前方カメラ及び前記後方カメラが設けられている。
【0010】
本発明の一態様においては、前記路面に対して平面視で、前記前方カメラ及び前記後方カメラの光軸が、前記車両の幅方向と垂直になるように前記前方カメラ及び前記後方カメラが設けられていてもよい。
【0011】
本発明の一態様においては、前記前方カメラ及び前記後方カメラが、前記車両の運転席側、及び/または、前記車両の運転席とは反対側の側方において、前記車両の車幅から突出して設けられていてもよい。
【0012】
本発明の一態様においては、前記路面に対して平面視で、前記前方カメラの光軸と前記後方カメラの光軸とを結んだ線の延長線上に、前記塗装部が位置していてもよい。
【0013】
本発明の一態様においては、前記前方カメラ及び前記後方カメラが、台座に固定されており、
前記台座が、前記車両の幅方向にスライド可能に前記車両に取り付けられていてもよい。
【0014】
本発明の一態様においては、装置本体と、該装置本体から突出及び退避可能にスライドするスライド部と、を有するスライド駆動装置を備え、
前記スライド部が前記車両の幅方向にスライド可能となるように、前記装置本体が前記車両に固定されており、
前記台座が、前記スライド部に固定されていてもよい。
【0015】
本発明の一態様においては、前記車両の進行方向と前記基準線とが平行な状態の場合に前記前方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該前方画像表示部に、及び/または、前記車両の進行方向と前記基準線とが平行な状態の場合に前記後方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該後方画像表示部に、表示しておいてもよい。
【0016】
本発明の一態様においては、前記車両の進行方向と前記基準線とが平行な状態の場合に前記前方画像表示部に表示される当該基準線に対して平行な案内線を予め当該前方画像表示部に表示しておき、
前記後方カメラは、前記塗装部を撮像し、
前記塗装部により前記路面上に塗料が塗布される塗布位置を予め前記後方画像表示部に表示しておいてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の路面標示用施工装置によれば、より一層の施工精度の向上を図ることが可能な路面標示用施工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の例示的一態様である実施形態にかかる路面標示用施工装置及び施工車両の斜視図である。
図2】本発明の例示的一態様である実施形態にかかる路面標示用施工装置及び施工車両の平面図である。
図3】本発明の例示的一態様である実施形態にかかる路面標示用施工装置の塗装部の構造を示す斜視図である。
図4】本発明の例示的一態様である実施形態にかかる路面標示用施工装置の撮像ユニットが施工車両のキャビンのルーフに取り付けられた状態を示す平面図である。
図5】本発明の例示的一態様である実施形態にかかる路面標示用施工装置の撮像ユニットとである。
図6】使用時における状態の撮像ユニット及び架台のみを抜き出した斜視図である。
図7】不使用時における状態の撮像ユニット及び架台のみを抜き出した斜視図である。
図8】キャビン内に設置されたモニタの表示例を示す図であり、(a)は前方画像表示部の表示例であり、(b)は後方画像表示部の表示例である。
図9】施工車両のキャビンのルーフ上における、車幅方向の中央部に前方カメラが取り付けられた従来例の場合における前方画像表示部の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的一態様である実施形態にかかる路面標示用施工装置10について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本実施形態にかかる路面標示用施工装置10及び施工車両(車両)1の斜視図であり、図2は同側面図であり、図3は同平面図である。
【0020】
本実施形態においては、塗料を塗布する塗布予定位置が予め路面Rに示された基準線Lに対して、所定の幅(例えば、道路の車道外側線の幅)を有する線状(帯状)の標示Mを路面標示用施工装置10を用いて形成する例を示すものである。基準線Lは、線状の標示を施工する前に塗料で塗布する予定の位置を予め路面R上に墨出し形成された作図線である。なお、基準線Lは、道路面Rにある摩耗等により一部の塗装が剥がれた既存の標示であってもよい。
【0021】
本実施形態においては、説明の便宜上、路面標示用施工装置10が搭載される施工車両1の長手方向において矢印a方向を前側aとし、矢印b方向を後側bとし、施工車両1の前後の方向を前後方向abとする。矢印a方向は、施工車両1の進行方向に等しい。また、施工車両1の長手方向に直交する方向において矢印c方向を右側cとし、矢印d方向を左側dとし、施工車両1の左右の方向を幅方向cdする。さらに、施工車両1の高さ方向において矢印e方向を上側eとし、矢印f方向を下側fとし、上下(高さ)の方向を上下方向efとする。
【0022】
本実施形態にかかる路面標示用施工装置10は、施工車両1に搭載されて、路面Rに塗料を塗布して車道中央線、車線境界線、車道外側線等の区画線や追越し禁止線等の標示を施工、あるいは、既存の標示を再施工する装置である。施工車両1は、キャビン2内に路面Rを走行するためのステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル等の運転装置(図示省略)を備え、運転装置を操作するための運転席が施工車両1の右側cに設けられた、いわゆる右ハンドルの車両である。
【0023】
図1図3に示されるように、路面標示用施工装置10は、施工車両1の荷台3に載置された塗料供給部11と、塗料を路面Rに塗布する塗装部12と、施工車両1のキャビン2のルーフ21に取り付けられた撮像ユニット4と、を備えている。塗料供給部11は、空気を圧縮するコンプレッサ112と、塗料を加熱するためのヒーター113と、塗料を圧送するためのポンプ114と、路面Rに塗布する塗料を貯留する塗料タンク115と、ビーズを貯留するビーズタンク116と、を有している。
【0024】
本実施形態において、塗装部12は、施工車両1の運転席とは反対側、すなわち左側dに設けられている。なお、本発明において、塗装部12は、施工車両1の運転席側、即ち、運転席側(右側c)に設けられていてもよいし、運転席側(右側c)とその反対側(左側d)の両方に設けられていてもよい。後述する前方カメラ13、後方カメラ14及びこれらの周辺構成についても、塗装部12が設けられた何れかの側もしくは両側に設けられる。塗装部12は、施工車両1の前輪5aと後輪5bとの間で荷台3の下側fに取り付けられている。
【0025】
図4は、路面標示用施工装置10の塗装部12の構造を示す斜視図である。図4に示されるように、塗装部12は、塗料を放出するスプレー装置23を有しており、施工車両1の右側c及び左側dへ移動させる左右移動装置22に取り付けられている。左右移動装置22は、油圧シリンダ221の油圧状態により、右側cまたは左側dへスプレー装置23を移動する。
【0026】
そして、不図示の制御装置により左右移動装置22を移動させて、スプレー装置23を右側cに移動して施工車両1の荷台3の下側に収容する収容位置、または、左側dへ移動して路面Rに塗料を塗布して標示を施工する施工位置の何れかが選択される。図1図3及び図4は、スプレー装置23が施工位置にある状態である。
【0027】
スプレー装置23は、施工車両1の走行に伴い路面Rに追従して回転するキャスター24に支持されており、塗料タンク115から供給される塗料を路面Rに放出する塗料ガン231と、ビーズタンク116から供給されるビーズを放出するビーズガン232と、塗料ガン231及びビーズガン232の上下位置を調整するガン調整装置233と、を有している。
【0028】
塗料ガン231は、不図示の制御装置により、路面Rに塗料を放出する放出状態と、放出が停止される遮断状態と、に切り替えられ、放出状態では、塗料放出口231aから路面Rに向かって塗料が出射される。ビーズガン232は、不図示の制御装置により、ビーズを放出する放出状態と、放出が停止される遮断状態と、に切り替えられ、放出状態では、ビーズ放出口232aからビーズを放出し、塗料ガン231により路面Rに塗布された直後の塗料の上にビーズを吹き付ける。なお、ビーズガン232によるビーズの放出は、ビーズが埋め込まれた路面表示を形成する際にのみ行い、路面表示にビーズが必要ない場合には、放出されない。以上のようにして、線状の標示Mが形成される。
【0029】
ガン調整装置233は、不図示の制御装置により、油圧シリンダ235の油圧状態により、上側eまたは下側fへ移動する。そして、不図示の制御装置により、塗料ガン231とビーズガン232を上側eまたは下側fに移動させて塗料ガン231及びビーズガン232の位置を調整する。なお、塗料ガン231及びビーズガン232は、ハンドル等の手動の調整装置によって上下位置及び左右位置を調整可能とする構成であってもよい。
【0030】
図5は、路面標示用施工装置10の撮像ユニット4が施工車両1のキャビン2のルーフ21に取り付けられた状態を示す平面図である。撮像ユニット4は、前方カメラ13、後方カメラ14、台座17及びスライド駆動装置18からなり、2本の架台19及び2本のレール20を介してルーフ21に取り付けられている。
【0031】
図6は、使用時における状態の撮像ユニット4及び架台19のみを抜き出した斜視図である。また、図7は、撮像ユニット4が施工車両1の幅方向cdの中心側(右側c)に退避した、不使用時における状態の撮像ユニット4及び架台19のみを抜き出した斜視図である。撮像ユニット4におけるスライド駆動装置18は、装置本体25と、装置本体25から突出及び退避可能にスライドする、3本のシャフト状のスライド部26と、を有している。
【0032】
スライド駆動装置18の装置本体25は、ネジなどの固定具(不図示)によって2本の架台19に取り付けられている。架台19は、前後方向abに延在して平行に配される棒状体であり、施工車両1の幅方向cdに延在して平行に配される2本のレール20に橋渡されて、ネジなどの固定具(不図示)によって固定されている。
【0033】
2本のレール20は、ルーフ21の左右の縁に橋渡された状態で、ネジなどの固定具(不図示)によって固定されている。スライド駆動装置18は、この2本のレール20における運転席とは反対側(左側d)寄りの位置に取り付けられる。
【0034】
なお、架台19を2本のレール20に対して着脱自在として、運転席側(右側c)寄りの位置に取り付け換えることを可能とする装置構成であっても構わない。この場合には、運転席側(右側c)に取り付け換える際に、前方カメラ13及び後方カメラ14が左右対称に構成されるように撮像ユニット4乃至スライド駆動装置18を改造可能としておくか、または、運転席側(右側c)用の撮像ユニット4を用意しておけばよい。後者の場合には、さらに、運転席とは反対側(左側d)寄りと運転席側(右側c)寄りの両方の位置にそれぞれ撮像ユニット4を取り付けても構わない。
【0035】
スライド駆動装置18は、装置本体25内に収容された不図示の駆動装置によって、スライド部26を左側dに(図7における矢印OUT方向に)突出させるように、及び、右側cに(図6における矢印IN方向に)退避させるように、それぞれスライド可能に構成されている。
【0036】
スライド駆動装置18のスライド機構は、手動で操作して駆動させる構成でもよいし、電動機器を使用してスイッチ操作で駆動させる構成でもよい。また、前方カメラ13及び/または後方カメラ14に位置センサーを持たせ、これらを組み合わせて、自動的に光軸FOAと光軸ROAとを合わせる機能や、それに加えて光軸POA(FOA,ROA)と基準線Lとを合わせる機能を有するようにしても構わない。
【0037】
図5図7に示されるように、前方カメラ13及び後方カメラ14は、ネジなどの固定具27によって台座17に取り付けられている。このとき、前方カメラ13の光軸FOAは、施工車両1に取り付けられた際に施工車両1の前側aの路面Rに向けられ、かつ、施工車両1の直進時の進行方向(施工車両1の長手方向)と平行になるように設置されている。前方カメラ13は、前方の路面R上を上側eから撮像する、例えばカラーカメラである。具体的には、塗料を塗布する塗布予定位置が予め路面Rに示された基準線Lのうち施工車両1の前側aの路面Rに示された基準線Laを撮像する。
【0038】
一方、後方カメラ14の光軸ROAは、施工車両1に取り付けられた際に施工車両1の左側dの側方から後側bにかけての路面Rに向けられ、かつ、施工車両1の長手方向に平行になるように設置されている。後方カメラ14は、主として後方の路面R上を上側eから撮像する、例えばカラーカメラである。具体的には、前方カメラ13で撮像される路面Rより後側bの路面Rに示された基準線Lbを撮像する。
【0039】
ただし、前方カメラ13で撮像される路面Rの後側bと後方カメラ14で撮像される路面Rの前側aとが重なっていても(換言すれば、基準線Laと基準線Lbとが重なっていても)構わない。即ち、ここで云う「前方カメラ13で撮像される路面Rより後側b」とは、後方カメラ14で撮像される画像が、前方カメラ13で撮像される画像よりも全体として後側b寄りであれば構わない趣旨である。
【0040】
本実施形態にかかる路面標示用施工装置10においては、図3図5に示されるように、路面Rに対して平面視で、前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとが一致し(図3及び図5における一点鎖線POAが当該平面視における光軸に相当)、かつ、施工車両1の幅方向(矢印cd方向)と垂直になる(即ち、前後方向abと一致する)ように前方カメラ13及び後方カメラ14が設けられている。
【0041】
また、本実施形態にかかる路面標示用施工装置10においては、図3に示されるように、路面Rに対して平面視で、前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとを結んだ線(図3及び図5における一点鎖線POA。以下、「光軸POA」と表記する。)の延長線上に、塗装部12における塗料ガン231(詳しくは、塗料放出口231a)が位置している。
【0042】
本実施形態にかかる路面標示用施工装置10においては、図5図7に示されるように、スライド部26が施工車両1の幅方向cdにスライド可能となるように、装置本体25が施工車両1のルーフ21上に固定されている。また、前方カメラ13及び後方カメラ14が取り付けられた台座17は、スライド駆動装置18におけるスライド部26の先端に取り付けられている。
【0043】
そのため、図7に示される撮像ユニット4の不使用時には、スライド部26が右側cに(図6における矢印IN方向)スライドして装置本体25に退避することで、前方カメラ13及び後方カメラ14が施工車両1の車幅に収まるように収容される。なお、前方カメラ13及び後方カメラ14は、不使用時であっても、施工車両1の車幅に完全には収まらずに、車幅から多少突出していても構わない。
【0044】
一方、図6に示される撮像ユニット4の使用時には、スライド部26が左側d(図7における矢印OUT方向)にスライドして装置本体25から突出することで、前方カメラ13及び後方カメラ14が施工車両1の車幅から突出して設けられた状態になる。なお、路面標示用施工装置10の使用状態を示す図1図3及び図5は、図6に示される撮像ユニット4の状態と同じである。
【0045】
図8は、キャビン2内に設置されたモニタの表示例を示す図であり、(a)はモニタにおける前方画像表示部15の表示例であり、(b)はモニタにおける後方画像表示部16の表示例である。前方画像表示部15及び後方画像表示部16は、キャビン2内の運転席から視認可能な位置(例えば、施工車両1のダッシュボードやダッシュボードの上など)に、図8に示されるように縦に並んで配置されている。
【0046】
前方画像表示部15には、前方カメラ13で撮像された画像が表示される。例えば、図8(a)に示されるように、前方画像表示部15の画面511上の表示領域512には、前方カメラ13で撮像された撮像領域の前方画像513が表示される。
【0047】
また、後方画像表示部16には、後方カメラ14で撮像された画像が表示される。例えば、図8(b)に示されるように、後方画像表示部16の画面611上の表示領域612には、後方カメラ14で撮像された撮像領域の後方画像613が表示される。
【0048】
なお、本実施形態において、後方画像表示部16の画面611上の表示領域612に表示される後方画像613は、後方カメラ14で撮像された画像データを、路面Rを上方から直下方向(下方向b)に見た状態、即ち平面視した状態になるように映し出されている。
【0049】
一方、図9は、施工車両1のキャビン2のルーフ21上における、車幅方向cdの中央部(図3中の符号Cで示される位置)に前方カメラ13が取り付けられた従来例の場合における前方画像表示部15′の表示例である。この前方画像表示部15′は、特許文献2における図4(a)と同一である。図中の符号G′は、特許文献2において前方画像513′上に表示された案内線である。当該案内線G′は、直線道路の路面Rに塗料を塗布して標示Mを施工する際、この案内線G′が基準線Laに対して平行な状態を維持するように、画面511′に表示された前方画像513′を目視しながら施工車両1を走行させるためのものである。
【0050】
既述の通り、特許文献2の例において、車両の運転者は、感覚的に、前方画像表示部15′に映し出された前方画像513′と、実際の走行状態や塗料の塗布状態との間に、多少の違和感を覚えることがある。この違和感の正体について、発明者らが鋭意検討の結果、施工車両1の進行方向と、前方画像表示部15′に映し出される前方画像513′の基準線Laの向きと、後方画像表示部(不図示、特許文献2における図4(b)参照)に映し出される前方画像(同)の基準線Lbの向きと、が一致せず、特に前方の基準線Laが前方画像513′において斜めになって(傾いて)いることに起因するものであることに想到した。
【0051】
路面標示を施工するには、モニタの表示画面を視認しつつ運転者が施工車両1を運転することになる。このとき、通常の運転と異なり、モニタの表示画面では立体的に周囲を認識することができないため、運転者は、モニタ上で斜めに表示された基準線Laと、施工車両1の進行方向における角度のズレを把握することが難しい。したがって、前方画像表示部15′に映し出される基準線Laと、車両直進状態における予測進行方向を示した案内線G′と、が重なるようにステアリングを操作するには、多大な神経を使うことが要求され、施工精度の向上を図るにも限界があった。
【0052】
本実施形態では、前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとが一致し、かつ、施工車両1の幅方向cdと垂直(前後方向ab)になるように前方カメラ13及び後方カメラ14が設けられている。そのため、図8に示されるように、施工車両1の進行方向と、前方画像表示部15に映し出される前方画像513の基準線Laの向きとが一致して、運転者は、両者の角度のズレを感じることがなく、状況を把握しやすい。
【0053】
また、前方画像表示部15に映し出される前方画像513の基準線Laの向きと、後方画像表示部16に映し出される後方画像613の基準線Lbの向きと、が一致して、運転者は、両者の角度のズレを感じることがなく、状況を把握しやすい。したがって、運転者は、モニタの表示画面を視認しつつ施工車両1を運転する際に違和感を覚えることがなく、施工精度のより一層の向上を図ることができる。
【0054】
次いで、本実施形態にかかる路面標示用施工装置10による標示の施工方法の一例について説明する。
路面標示用施工装置10は、路面表示の施工開始時において、スライド部26がスライドして装置本体25から突出することで、前方カメラ13及び後方カメラ14が施工車両1の車幅から突出して設けられた状態になる。一方、スプレー装置23については、左右移動装置22の移動はさせず、施工車両1の荷台3の下側に収容された収容位置のままにしておく。
【0055】
新規に標示を施工する場合には、まず、路面Rに塗料を塗布する塗布予定位置を示す基準線Lを予め手作業で作図する。路面Rに摩耗等により一部塗装が剥がれた既存の標示を復元するために路面表示を施工する場合には、当該既存の表示を基準線Lにしても構わないし、新たに基準線Lを手作業で作図しても構わない。
【0056】
次に、前方カメラ13及び後方カメラ14による撮像を開始する。撮像が開始されると、前方画像表示部15には前方画像513、後方画像表示部16には後方画像613が表示される。そして、施工車両1を走行させ、施工車両1の進行方向(矢印a方向)と基準線Lとが平行な状態にする。具体的には、前方画像表示部15に表示された前方画像513を目視することにより、施工車両1の進行方向(矢印a方向)と基準線Lとが平行となるような状態に施工車両1を移動する。
【0057】
また、後方画像表示部16に表示された後方画像613を目視することにより、塗装部12から放出される塗料が表示領域612に表示された基準線Lb上に塗布されるように施工車両1を移動する。
【0058】
そして、基準線Lに対して施工車両1を位置付けした状態で、前方画像表示部15の表示領域512に表示されている前方画像513の基準線Laに対して平行になるように、例えば、テープやシール等を画面511上に貼ることにより案内線G1を表示しておく。この案内線G1は、画面上に映像として映し出されるようにしても構わない。なお、案内線G1を基準線La上に重ねて表示しておいても構わない。
【0059】
また、後方画像表示部16の表示領域612に表示されている後方画像613の基準線Lbに対して平行になるように、前方画像表示部15の案内線G1と同様、塗布位置G2を表示しておく。この案内線G2も、画面上に映像として映し出されるようにしても構わない。なお、前方画像表示部15において、案内線G1を基準線La上に重ねて表示しておいた場合には、後方画像表示部16においても、案内線G2を基準線Lb上に重ねて表示しておくことが好ましい。
【0060】
以上のようにして、予め、前方画像表示部15に、前方画像513の基準線Laに対して平行な案内線G1を表示しておき、後方画像表示部16に、後方画像613の基準線Lbに対して平行な案内線G2を表示しておく。
【0061】
次に、不図示の制御装置により左右移動装置22を左側dへ移動することによって、塗装部12のスプレー装置23を所定の施工位置に移動させる。なお、スプレー装置23を所定の施工位置へ移動する操作は、例えば案内線G1や案内線G2を表示する前に行っても構わない。
【0062】
そして、施工車両1を走行させつつ、塗料ガン231からの塗料の放出、及び、ビーズガン232からのビーズの放出を適宜開始することにより、路面Rに塗料を塗布して線状の標示Mを施工する。
【0063】
具体的には、直線道路の路面Rに塗料を塗布して標示Mを施工する際、前方画像表示部15の画面511上の案内線G1が基準線Laに対して平行な状態を維持するように、画面511に表示された前方画像513を目視しながら施工車両1を走行させる。この時、案内線G1と基準線Laとの間が、一定の距離を保つように施工車両1を走行させる。なお、案内線G1を基準線La上に重ねて表示しておいた場合には、案内線G1が基準線La上に重なった状態を維持するように施工車両1を走行させる。
【0064】
また、曲線道路の路面Rに塗料を塗布して標示Mを施工する際、運転者は、後方画像表示部16の画面611上の案内線G2がスプレー装置23による塗装位置で基準線Lb上に重なるように、画面611に表示された後方画像613を目視しながら施工車両1を走行させる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、運転者は、案内線G1が基準線Laに対して平行な状態を維持するように、画面511に表示された前方画像513を目視しながら施工車両1を走行させるだけで、精度の高い路面標示を施工することができる。即ち、運転者は、施工車両1の運転者の視線が変化したとしても、前方画像表示部15に表示されている基準線Laに対して案内線G1が平行な状態を維持するだけで、塗料が塗布される位置と基準線Laとが一致しているため、前方へ長く延びたガイド棒無しに、高い施工精度を実現することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、運転者は、曲線道路であっても、案内線G2がスプレー装置23による塗装位置で基準線Lb上に重なるように、画面611に表示された後方画像613を目視しながら施工車両1を走行させるだけで、精度の高い路面標示を施工することができる。
【0067】
そして、路面Rに対して平面視で、前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとが一致し、かつ、施工車両1の幅方向cdと垂直(前後方向ab)になるように前方カメラ13及び後方カメラ14が設けられているため、前方画像表示部15に映し出される前方画像513の基準線Laが斜めに傾くことがない。
【0068】
即ち、前方画像表示部15に映し出される前方画像513の基準線Laは、施工車両1の進行方向、及び、後方画像表示部16に映し出される後方画像613の基準線Lbの何れとも、向きが一致している。そのため、前方画像表示部15や後方画像表示部16に映し出される画像(513,613)と、実際の走行状態や塗料の塗布状態との間に違和感が生じない。したがって、運転者は、多大な神経を使うことなく、安定した状態で施工車両1を運転し、路面標示を施工できるため、より一層の施工精度の向上を図ることができる。
【0069】
また、路面Rに対して平面視で、前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとが同軸のため、基準線L上に両カメラを位置させることにより、前方画像表示部15に映し出される前方画像513、及び、後方画像表示部16に映し出される後方画像613、の中心位置に垂直に基準線Lが表示される。基準線Lがモニターの中心位置に垂直方向に表示されるため、運転中、案内線G1,G2と基準線Lに誤差が生じた際、後方画像表示部16に垂直に表示させた案内線G2と基準線Lとの角度の違いを把握することで、基準線Lに対する車両進路の誤差の認識が容易になる。
【0070】
なお、本実施形態において、「前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとが一致」と云う場合の両光軸としては、厳密に一致させることは困難であり、当然に、ある程度のズレは発明の効果を奏する上で許容される。具体的に、路面Rに対して平面視で、光軸FOAと光軸ROAとの間の成す角としては、3°以下であれば両光軸が「一致」の範疇であり、1°以下であることが好ましく、0.5°以下であることがより好ましく、0°に近いことが最も好ましい。一方、路面Rに対して平面視で、光軸FOAと光軸ROAとが離間していても、両者の距離が50mm以下であれば両光軸が「一致」の範疇であり、30mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、0mmに近いことが最も好ましい。
【0071】
以上説明した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の路面標示用施工装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0072】
例えば、本実施形態においては、前方カメラ13及び後方カメラ14が、施工車両1の運転席とは反対側(左側d)の側方に設けられた例を挙げて説明しているが、前方カメラ13及び後方カメラ14は、施工車両1の運転席側(右側c)の側方にのみ設けられていても、これら両側に設けられていても構わない。
【0073】
また、本実施形態においては、路面Rに対して平面視で、前方カメラ13及び後方カメラ14の光軸POAが、施工車両1の幅方向cdと垂直になる(即ち、前後方向abと一致する)ように前方カメラ13及び後方カメラ14が設けられているが、光軸POAと前後方向abとは、必ずしも一致させなくても構わない。
【0074】
光軸POAと前後方向abとの間に角度が生じていれば、前方画像表示部15の画面511上に映し出される前方画像513、及び、後方画像表示部16の画面611上に映し出される後方画像613において、基準線La及び基準線Lbは斜めに表示される。しかし、前方カメラ13の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとが一致してさえいれば、前方画像513における基準線Laと後方画像613における基準線Lbは同じ角度に傾いた状態で表示される。
【0075】
そのため、運転者は、前方画像表示部15の画面511及び後方画像表示部16の画面611を視認しながら施工車両1を走行することで、高精度に標示Mを施工することができる。勿論、本実施形態の如く、さらに光軸POAと前後方向abとを一致させた方が、基準線La及び基準線Lbが前方画像表示部15及び後方画像表示部16において垂直に表示され、施工車両1の進行方向aと一致するため運転者の違和感がより軽減されるため、より好ましい。
【0076】
また、本実施形態においては、路面Rに対して平面視で、前方カメラ14の光軸FOAと後方カメラ14の光軸ROAとを結んだ線(光軸POA)の延長線上に、塗料ガン231(塗装部12)が位置する構成としているが、塗料ガン231の塗料放出口231aが正確に光軸POAの延長線上に無くても構わない。路面Rに対して平面視で、塗料放出口231aと光軸POAの延長線とが離間していても、両者の距離が50mm以下であれば本発明の効果は十分に期待でき、25mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、0mmに近いことが最も好ましい。
【0077】
また、本実施形態においては、前方カメラ14及び後方カメラ14の筐体を基準にして路面Rに対して平面視での光軸FOA,ROAを合わせているが、これに限定されない。例えば、前方カメラ14及び後方カメラ14の両カメラに位置センサーと光軸の移動装置を持たせ、これらを組み合わせて、自動的に光軸を合わせる機能を有するようにしても構わない。
【0078】
また、本実施形態においては、前方カメラ14及び後方カメラ14を1の台座17に固定し、かつ、スライド駆動装置18を用いることで、施工車両1の幅方向cdに前方カメラ14及び後方カメラ14がスライド可能となるように構成されているが、本発明においては、これに限定されず、前方カメラ14及び後方カメラ14の位置が固定されていても構わない。
【0079】
即ち、前方カメラ及び後方カメラが固定された台座が直接車両に取り付けられても構わないし、前方カメラと後方カメラが別部材を固定具材としてそれぞれ別に車両に取り付けられても構わない。ただし、いずれの態様であっても、施工時以外の時に、車幅内程度に格納できるようにしておいたり、前方カメラ及び後方カメラを取り外し可能にしておいたりすることが好ましい。車幅内程度に格納できるようにするには、例えば、車のドアミラーの如く折り畳み式の固定具材にしたり、アコーディオン式のアームを固定具材とし、これらを介して車両に固定する機構を挙げることができる。
【0080】
また、本実施形態においては、スライド駆動装置18がルーフ21上に取り付けられているが、前方カメラ13及び後方カメラ14やこれらを車両に取り付けるスライド駆動装置18の如き部材がルーフ21上に取り付けられることに限定されるものではない。例えば、荷台3の上の如く車両上や車両の側面等、車両の何れの箇所に取り付けられていても構わない。勿論、ルーフ21上の如く高い位置に前方カメラ13や後方カメラ14を配することは、撮像される画像の広域化を図ることができる点で好ましい。
【0081】
さらに、本実施形態においては、前方画像表示部15に案内線G1を、後方画像表示部16に案内線G2をそれぞれ表示しておく構成を例に挙げて説明しているが、例えば、前方画像表示部のみに案内線を設けても構わない。この場合に、後方画像表示部については、案内線に代えて、塗装部により路面上に塗料が塗布される塗布位置を例えば矢印等で指し示すようにして、予め後方画像表示部に表示しておく構成であっても、施工精度の向上と施工の容易を実現できる。
【符号の説明】
【0082】
1…施工車両(車両)、2…キャビン、3…荷台、4…撮像ユニット、5a…前輪、5b…後輪、10…路面標示用施工装置、11…塗料供給部、12…塗装部、13…前方カメラ、14…後方カメラ、15,15′…前方画像表示部、16…後方画像表示部、17…台座、18…スライド駆動装置、19…架台、20…レール、21…ルーフ、22…左右移動装置、23…スプレー装置、24…キャスター、25…装置本体、26…スライド部、27…固定具、112…コンプレッサ、113…ヒーター、114…ポンプ、115…塗料タンク、116…ビーズタンク、221…油圧シリンダ、231…塗料ガン、231a…塗料放出口、232…ビーズガン、232a…ビーズ放出口、233…ガン調整装置、235…油圧シリンダ、511,511′…画面、512,512′…表示領域、513,513′…前方画像、611…画面、612…表示領域、613…後方画像、FOA…光軸(前方カメラ)、ROA…光軸(後方カメラ)、POA…光軸(平面視)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9