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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009771
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】耐損傷性キャビテーションノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/06 20060101AFI20240116BHJP
   B24B 31/00 20060101ALI20240116BHJP
   B24C 5/04 20060101ALI20240116BHJP
   B24C 1/10 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B05B1/06
B24B31/00 C
B24C5/04 A
B24C1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106716
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/856,934
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デ シルバ, カンドーデッジ チャンナ ルワン
(72)【発明者】
【氏名】サンダーズ, ダニエル ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】シマブクロ, ジョン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】祖山 均
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キャビテーション研磨表面仕上げのための耐損傷性ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル210は、プレート226と、中空体224と、中空体と取り外し可能に係合されたキャップ228であって、中空体の遠位端部236に接するようにプレートを保持するキャップと、を含む。プレートは、中央開孔230と遠位面234とを有してよく、遠位面は溝によって二分されており、中空体は、中央開孔を通して高圧流体を送出するよう構成される。送出された高圧流体は、キャビテーション噴流222として放出されうる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央開孔(230)と溝(262)によって二分されている遠位面(234)とを有する、プレート(226)と、
前記中央開孔を通して高圧流体(114、220)を送出するよう構成された、中空体(224)と、
前記中空体と取り外し可能に係合されたキャップ(228)であって、前記中空体の遠位端部(236)に接するように前記プレートを保持する、キャップ(228)と、を備える、キャビテーションノズル(110、210)であって、
前記中央開孔に送出された前記高圧流体がキャビテーション噴流(222)として放出される、
ノズル(110、210)。
【請求項2】
前記プレート(226)がダイヤモンド結晶材料を含む、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項3】
前記プレート(226)が、立方晶窒化ホウ素、窒化炭素、炭窒化ホウ素、金属ホウ化物、及びナノ構造フラーレン、という材料のうちの一又は複数を含む、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項4】
前記プレート(226)が、冷間加工鋼、油焼入れ鋼、空気焼入れ鋼、高速度鋼、るつぼ鋼、炭素含有量が約0.5パーセントと1.5パーセントとの間の鋼、クロム-モリブデン鋼、及び炭化バナジウム、という材料のうちの一又は複数を含む、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項5】
前記遠位面(234)が円錐台形状を有する、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項6】
前記プレート(226)の前記中央開孔(230)が、狭窄部(250)及び拡張部(252)を含む、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項7】
前記プレート(226)の前記遠位面(234)が複数の凹部(266、268)を含む、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項8】
前記複数の凹部(266、268)が、前記二分溝(262)の両側部に配置された円弧状凹部(266)の対を含む、請求項7に記載のノズル(110、210)。
【請求項9】
前記複数の凹部(266、268)が、放射状の直線セクション(268)を含み、かつ前記二分溝(262)を中心として対称である、請求項7に記載のノズル(110、210)。
【請求項10】
前記キャップ(228)が、前記プレート(226)及び前記中空体(224)の前記遠位端部(236)を受容する中央チャネル(238)を含む、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項11】
前記キャップ(228)が、前記中央チャネル(238)と流体連通している直線状スリット(282)を含み、これにより、前記プレート(226)の前記中央開孔(230)から放出される前記キャビテーション噴流(222)が前記スリットを通って放出される、請求項10に記載のノズル(110、210)。
【請求項12】
前記スリット(282)が、前記中央チャネル(238)と同心の円形開口(286)を含む、請求項11に記載のノズル(110、210)。
【請求項13】
前記プレート(226)の前記中央開孔(230)が、流体の流れの方向(246)に対して垂直な狭長形の断面形状を有する、請求項1に記載のノズル(110、210)。
【請求項14】
水(218)と研磨媒体(216)とのスラリ(126、212)を内包するタンク(124)と、
前記スラリ中に沈められたノズル(110、210)と、
を備える、キャビテーションシステム(100)であって、前記ノズル(110、210)が、
中央開孔(230)と溝(262)によって二分されている遠位面(234)とを有する、プレート(226)と、
前記中央開孔を通して高圧流体(114、220)を送出するよう構成された、中空体(224)と、
前記中空体と取り外し可能に係合されたキャップ(228)であって、前記中空体の遠位端部(236)に接するように前記プレートを保持する、キャップと、を含み、
前記中央開孔に送出された前記高圧流体が、前記スラリ中に放出されて、キャビテーション気泡とエネルギー供給された研磨粒子とのクラウド(146、254、280)を形成する、
キャビテーションシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
キャビテーション研磨表面仕上げ(CASF)は、機械的に洗浄、粗面平滑化、及びピーニングを行う、有望な新方法である。キャビテーション噴流が専用のノズルを使用して流体中に注入され、流速及び内部エネルギーの増加によって生じる気相への移行により、流体中にキャビテーション気泡が形成される。気泡は次いで、流速及び周囲圧力が消散するにつれて崩壊し、マイクロ噴流が発生する。このマイクロ噴流により、表面がピーニングされ、かつ/又は研磨粒子(これらが衝突時に表面から材料を除去する)にエネルギーが供給されうる。しかし、エネルギー供給された研磨粒子は、ノズルに衝突して、早期に重大な損傷を引き起こすこともある。
【発明の概要】
【0002】
本開示では、キャビテーション研磨表面仕上げのための耐損傷性ノズルに関連する、システム、装置、及び方法が提示される。一部の例では、キャビテーションノズルは、プレートと、中空体と、中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、を含みうる。プレートは、中央開孔及び遠位面を有してよく、遠位面は溝によって二分され、中空体は、中央開孔を通じて高圧流体を送出するよう構成される。送出される高圧流体はキャビテーション噴流として放出されうる。
【0003】
一部の例では、キャビテーションノズルは、プレートと、中空体と、中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、を含みうる。プレートは、遠位面と、流体の流れ軸を画定する中央開孔とを有しうる。中空体は、高圧流体を、中央開孔を通してキャビテーション噴流として送出するよう構成されうる。キャップはスリットを有してよく、このスリットは、遠位表面を二分し、プレートの中央開孔を露出させる。
【0004】
一部の例では、キャビテーションシステムは、水と研磨媒体とのスラリを内包するタンクと、スラリ中に沈められたノズルと、を含みうる。ノズルは、プレートと、中空体と、中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、を含みうる。プレートは、中央開孔及び遠位面を有してよく、遠位面は溝によって二分され、中空体は、中央開孔を通して高圧流体を送出するよう構成される。送出される高圧流体は、スラリ中に放出されて、キャビテーション気泡とエネルギー供給された研磨粒子とのクラウド(cloud)を形成しうる。
【0005】
特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な例において個別に実現可能でありうるか、又は、更に別の例においては組み合わされうる。このことについての更なる詳細は、下記の説明及び図面を参照することで理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の態様による、耐損傷性ノズルを含むキャビテーション研磨表面仕上げシステムの一例の概略図である。
図2】スラリ中に沈められた、耐損傷性ノズルの別の例の概略断面図である。
図3】流れを均一にするノズルプレートの一例の概略断面図である。
図4】キャビテーション研磨表面仕上げ中の、ノズルプレートの別の例の概略等角図である。
図5】円錐台形のノズルプレートの一例の概略断面図である。
図6】溝を有するノズルプレートの一例の等角図である。
図7】円弧状凹部を有する図6のノズルプレートの等角図である。
図8】放射状凹部を有する図6のノズルプレートの等角図である。
図9】不均一な放射状凹部を有する図6のノズルプレートの等角図である。
図10】ダイヤモンドインサートを有するノズルプレートの一例の等角図である。
図11】ノズルプレート中央開孔の開口部の形状の4つの例の概略図である。
図12】発生したキャビテーションクラウド渦を含む、図2のノズルプレートとキャップの等角図である。
図13】流送される(entrained)研磨媒体の噴射噴流を含む、図2のノズルプレートとキャップの等角図である。
図14】広角度キャップの一例の等角図である。
図15】本書の教示による、キャビテーション研磨表面仕上げ中のノズル損傷を軽減するための、方法の一例のステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
摩耗性衝突による損傷に耐性を有するよう構成されたキャビテーションノズル並びに関連するシステム及び方法の様々な態様及び例について、以下で説明すると共に、関連図面に図示する。特に明記しない限り、本書の教示によるノズル及び/又はかかるノズルの様々な構成要素は、本書で説明され、例示され、かつ/又は本書に組み込まれた構造、構成要素、機能性、及び/又は変形例、のうちの少なくとも1つを包含しうる(ただしそれが必須というわけではない)。更に、特に除外されない限り、本教示に関連して本書で説明され、例示され、かつ/又は本書に組み込まれたプロセスステップ、構造、構成要素、機能性、及び/又は変形例は、他の類似のデバイス及び方法に含まれてよく、開示されている例同士の間で交換可能であることを含む。様々な例についての以下の説明は、基本的に単なる例示にすぎず、本開示、その応用又は用途を限定することを意図するものでは全くない。加えて、以下に記載の例によって提供される利点は、基本的に例示であり、全ての例が同じ利点又は同程度の利点を提供するわけではない。
【0008】
この「発明を実施するための形態」は、この直後に記載の(1)-(4)のセクションを含む。(1)概要、(2)例、構成要素、及び代替例、(3)例示的な組み合わせ及び追加の例、(4)利点、特徴、及び恩恵、並びに(5)結論「例、構成要素、及び代替例」のセクションは、更にセクションAとBとに分けられ、セクションA、Bの各々はそのように付号される。
【0009】
概要
一般に、本書の教示によるキャビテーションノズルは、少なくとも1つの耐損傷性の特徴を含みうる。耐損傷性の特徴は、耐損傷性の材料(ダイヤモンドなど)、流れ方向付け構造(ノズルプレートの凹部及び/又は溝など)、並びに流れ分離を低減する形状寸法(傾斜面など)を含む。ノズルは、性能を向上させる特徴(扇形の噴流を発生させるための挟長開孔、研磨粒子を流送するための遠位部スリット、及び/又は流れをより均一にするための開孔の狭窄及び拡張など)を更に含みうる。
【0010】
図1は、耐損傷性キャビテーションノズル110を含む、キャビテーション研磨表面仕上げシステム100の一例の概略図である。高圧ポンプ112を含む供給リザーバシステム113が、導管116に沿って加圧流体114を供給する。制御バルブ120が、導管116に沿ってノズル110に供給される流体の圧力及び流量の正確な制御を可能にしうる。
【0011】
ノズル110は、研磨粒子材料が液体と混合されたスラリ126で充填された加圧タンク124内に沈められる。スラリは、タンクから集液容器130内へとオーバーフローすることが許容される。研磨スラリ126は更に、制御バルブ134によって調節される導管132に沿って、タンク124から排出される。一部の例では、スラリは、別のタンクへと排出されてよく、この別のタンク内で処理されて、スラリ中の砥粒が回収され、再利用されうる。
【0012】
ノズル110は、タンク124内の被加工物136の表面に向けて方向付けられる。被加工物136は、製造又は補修された部品であって、ピーニング、洗浄、表面材料の除去、及び/又は粗面平滑化を必要とする任意の部品を含みうる。例えば、被加工物は、高い表面粗さを有する付加製造されたアルミニウム構成要素、又はアルファケース層を有するチタン構成要素でありうる。
【0013】
高圧流体114が、ノズル110を通ってタンク124の研磨スラリ126中に、キャビテーション噴流として注入される。キャビテーション噴流と研磨スラリとの相互作用により、キャビテーション気泡と研磨粒子との渦クラウド146が形成される。クラウド146の気泡が崩壊する際に、研磨材料の粒子は活性化され(excited)、動的にエネルギー供給されうる。気泡の崩壊によって作り出されるマイクロ噴流は、集合的に、粒子の運動を加速させうる。
【0014】
気泡と粒子との混合物が被加工物136の表面に接触する際に、粒子が表面に衝突し、材料を除去しうる。つまり、研磨粒子は、キャビテーションクラウドの強い力から作用を受けて、被加工物の表面を平滑化しうる。キャビテーション気泡は被加工物136の表面と直接相互作用するので、通常のキャビテーションピーニングも発生しうる。これにより、表面はピーニングされ、残留応力及び疲労強度が改善され、洗浄されて、塗装又は使用が実施できるようになりうる。
【0015】
キャビテーション気泡は、研磨粒子にランダム方向の運動を行わせうるが、その結果として、ノズル110への衝突がいくらか生じることがある。ノズル110は、研磨粒子の衝突による損傷に耐性を有するよう、かつ、/又は流れ動態を変化させて衝突の回数を減少させるよう、設計されてよく、これにより、被加工物136の処理中の、ノズルへの損傷が低減しうる。例えば、ノズルは、耐損傷性の材料を含んでよく、ノズル表面における流れ分離を低減するように形作られてよく、ノズルの近傍に渦を発生させるための特徴を含んでよく、かつ/又は、クラウドの渦146内への研磨粒子の流送を改善するよう構成されうる。
【0016】
キャビテーション気泡の崩壊衝撃力は、注入された流体114の圧力、タンク124内のスラリ126の砥粒密度、並びにタンク124の流体114及びスラリ126の温度、によって部分的に決定される。これらのパラメータを最適化するために、圧力、流量、又は温度のセンサが、タンク124及び/又は導管116若しくは132に含まれうる。高圧流体114は、1平方インチ当たり50ポンドと22,000ポンドとの間でありうるか、又は任意の有効圧力でありうる。流体114の好ましい圧力は、タンク124内のスラリ126の砥粒密度、被加工物136の処理される表面の形状寸法、及びノズル110のサイズに依拠しうる。好ましい圧力は、キャビテーションノズルの設計、形状寸法、材料、又はその他の特性にも関連しうる。
【0017】
これらのパラメータを最適化するために、砥粒密度測定デバイス及び温度センサが、タンク124に、又は導管116若しくは132のいずれかに含まれうる。システム100全体にわたる圧力、流れ、及び温度の条件の正確な協調制御を可能にするために、制御バルブ120及び134のみならず、リザーバ供給システム113及び温度制御システムも、電子コントローラ又は他の同様な構成要素に接続されうる。
【0018】
図示している例では、キャビテートされる流体は水である。しかし、任意の望ましい流体が使用されうる。使用される流体の特性(粘度など)が、キャビテーション気泡の崩壊力に影響を与えることがあり、流体は、衝撃を改善するよう、又は望ましい衝撃レベルに必要な圧力が低減されるよう、選択されうる。流体は更に、使用される研磨材料の特性に従って、かつ/又はスラリ126の望ましい特性を実現するよう、選択されうる。ノズル110を通るように加圧流体をポンピングするために、任意の有効な流体流動デバイスが使用されうる。
【0019】
高圧流体114がノズル110によってタンク124内に注入される際に、スラリ126中の液体と研磨粒子との比率は、影響を受けうる。スラリ126の望ましい比率を維持するために、研磨材料150が供給源152から追加されうる。供給源152は、液体の導入、研磨材料の導入、スラリ126のオーバーフロー、及び導管132を通じたスラリのオーバーフロー、を調和させるよう構成された電子コントローラによって、調節されうる。
【0020】
この例では、スラリ126は、体積比でおおよそ、研磨材料が3分の1であり、水が3分の2であることが好ましい。研磨材料、使用されるキャビテーション流体、被加工物136の材料に従って、好適な比率が選択されうる。スラリ中の研磨材料の密度、種類、又は濃度は、望ましい材料除去速度(MRR)を実現するよう選択されうる。
【0021】
研磨材料150の粒子は、重力の作用のもとで、経時的に、スラリ126中の懸濁から沈殿する傾向もありうる。スラリ126の懸濁を維持するために、混合デバイス154がタンク124内に配置される。この例では、混合デバイス154は、機械的撹拌機(回転プロペラなど)であり、タンク124の底部に配置されている。一般に、掻き混ぜ、混合し、攪拌し、又は別様にスラリ126中の研磨粒子の懸濁を維持する、任意の有効な手段が使用されうる。例えば、超音波撹拌機が使用されてもよく、撹拌機はタンク124の上部若しくは側部に配置されてもよく、かつ/又は、複数の撹拌機がタンク全体の複数の場所に配置されることもある。
【0022】
研磨材料150は、任意の有効な材料の粒子若しくは任意のグリットサイズの粒子を含んでよく、又は、複数の材料の混合物を含みうる。例えば、研磨材料は、金属、ガラス、セラミック、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、イットリウム、ガーネット、軽石、堅果殻、トウモロコシ穂軸、及び/又はプラスチック粒子、を含みうる。別の例としては、研磨材料は、天然若しくは合成のゴム、シリコン、フルオロポリマー、エラストマ、ビトン(Viton)、テフロン(Teflon)、及び/又はフラーレンベースのカーボンナノ材料の粒子、を含みうる。全ての粒子は、好ましくは、約16~1200ANSIのグリットサイズの範囲内にありうる。
【0023】
例、構成要素、及び代替例
以下のセクションは、キャビテーション研磨表面仕上げのための例示的な耐損傷性ノズル並びに関連するシステム及び/又は方法の、選択された態様について説明するものである。以下のセクションにおける例は、例示を目的としており、本開示の全範囲を限定するものと解釈すべきではない。各セクションは、一又は複数の個別の例、並びに/又は、文脈上の若しくは関連する情報、機能、及び/若しくは構造、を含みうる。
【0024】
A.例示的なノズル
図2-14に示しているように、このセクションは、例示的な耐損傷性キャビテーション研磨表面仕上げノズル210について説明する。ノズル210はキャビテーションノズルの一例であり、上述したキャビテーション研磨表面仕上げシステムにおいて使用されうる。
【0025】
図2は、被加工物214の表面を仕上げるための、スラリ212中に沈められたノズル210の概略断面図である。スラリ212は、水218中に懸濁された研磨材料の複数の粒子216を含む。高圧水220が、ノズル210を通じて、キャビテーション噴流のプルーム222としてスラリ212中に注入される。図4及び図12に示しているように、キャビテーション噴流は、スラリ212と相互作用して、キャビテーション気泡の渦クラウドを形成する。
【0026】
ノズル210は、中空体224、ノズルプレート226、及びキャップ228を含む。高圧水220は、ポンプ又はその他のシステムによって中空体224に供給され、中空体によってノズルプレート226の中央開孔230へと送出される。中空体224は、概して円筒形であり、望ましいキャビテーションに適した内部構造を更に含みうる。例えば、中空体は一又は複数の内部狭窄部を含むこともある。この例では、キャビテーション噴流のプルーム222を形成するのに十分な狭窄を実現するために、中空体は、中央開孔230の直径の少なくとも約4倍の内径を有する。
【0027】
ノズルプレート226は、キャップ228によって、中空体224に接するように保持される。ノズルプレートは、ほぼ円筒形又はディスク形状であり、近位面232及び遠位面234を含む。これらの面は、流体の流れ方向に対して上流側及び下流側とも説明されうる。中央開孔230は、近位面232から遠位面234まで、プレートを通って延在する。近位面232は、中空体224の遠位端部236に接するように固定され、密封を形成する。一部の例では、ノズルは、高圧水220の圧力に適した密封を提供するために、ノズルプレート226と中空体224との間及び/又はキャップ228の中央チャネル238の周囲に、密封剤又は密封構成要素を含みうる。
【0028】
キャップ228は、ノズルプレート226及び中空体224の遠位端部236を受容するよう構成された、中央チャネル238を含む。中央チャネルは、ノズルプレート226の遠位面234と相補的な内面240であって、プレートの遠位面に当接するよう構成された、内面240を含む。図2に示している例では、内面240と遠位面234とは両方とも平面である。一部の例では、遠位面234と内面240とは、相補的な円錐形、及び/又は互いに係合する突起と凹部を有しうる。
【0029】
この例では、中央チャネル238は、遠位端部236の外面のねじ部244と係合するよう構成された、ねじ面242を更に含む。キャップ228が遠位端部236と螺合する際に、キャップが中空体224に沿って前進することにより、ノズルプレート226は、中空体の遠位端部に接するように付勢されうる。一般に、キャップ228及び中空体224は、キャップが中空体に取り外し可能に固定されて、ノズルプレート226を定位置に保持しうるように、可逆的な取り付けを容易にする一又は複数の任意のフィーチャ(特徴部)を含みうる。
【0030】
一部の例では、ノズルプレート226及び/又はキャップ228は、中空体224に恒久的に固定されうる。例えば、ノズルプレートの近位面232を中空体の遠位端部236に接合するために、接着剤が使用されることもある。一部の例では、ノズルプレート226は遠位端部236に解放可能に直接的に固定されてよく、ノズル210からキャップ228が省略されうる。例えば、ノズルプレートは、近位面232に、中空体の遠位端部と螺合して係合するよう構成された、ねじチャネルを含むこともある。
【0031】
ノズルプレート226の容易な交換を可能にするためには、キャップ228により、ノズルプレート226を中空体224に取り外し可能に固定することが、好ましいことでありうる。図4を参照して更に後述するように、ノズルプレートの中央開孔230の近傍は、ノズル210の、キャビテーション中に最大に摩耗される部分でありうる。ノズルプレート226の代わりにキャップ228などに接続及び/又は密封用のフィーチャ(ねじ部など)を含むことで、ノズルプレートの設計が簡素化され、したがって、交換用のノズルプレートを製造するためのコストと、ノズルプレートの交換に必要な時間の、両方が削減されうる。
【0032】
中央開孔230は、(図3及び図5に示しているような)流体の流れ軸246を画定すると説明されうる。高圧水220は、流体の流れ軸にほぼ平行な方向に、中空体224に沿って流れ、中央開孔を通って流出しうる。図2及び図5に示している例では、中央開孔230は直線状であり、一定した直径248を有している。換言すると、開孔は狭窄も拡張も有していない。中央開孔230は、流体の流れ軸246に対して垂直に切ると、近位面232から遠位面234まで一定した断面形状を維持する。一部の例では、望ましい特性を有するキャビテーション噴流が発生するよう、中央開孔230は湾曲し、狭窄し、かつ/又は別様に構築されることもある。
【0033】
図3に示している例では、中央開孔230は砂時計形状を有している。より具体的には、この中央開孔は、対称に湾曲した狭窄部250と拡張部252とを有している。中央開孔230の直径248は、流体の流れ軸246に沿って、減少してから増大し、近位面232及び遠位面234において最大値となり、これらの面の中間で最小値となる。かかる狭窄は、流体の流れを統一(homogenize)することによって、流れをより均一にし、キャビテーション噴流をより均等にしうる。
【0034】
中央開孔230は、近位面232と遠位面234の各々に開口部を画定すると説明されうる。図4に示しているように、遠位面234の開口部256は、スラリ212及び研磨粒子216に曝露されうる。図4は、キャビテーション中の、スラリ212中に沈められたノズルプレート226の概略図であるが、簡略化のために、ノズルキャップ及び本体は描かれていない。ノズルによって発生したキャビテーション噴流は、キャビテーション気泡の渦クラウド254を形成する。
【0035】
研磨粒子216は、2つのメカニズムによって、ノズルプレート226に損傷を与えうる。第1に、崩壊するキャビテーション気泡が、研磨粒子216にランダムな推進力を付与し、これにより、研磨粒子216の一部が、戻る方向に方向付けられてノズルプレート226の遠位面234に衝突しうる。第2に、スラリ212が、高圧のキャビテーション噴流及び/又はクラウドの渦254の作用によって、遠位面234に沿うように引き寄せられ、粒子216は、開口部256の近傍の渦クラウド中に流送されうる。開口部の周囲の流れ分離により、研磨粒子の一部が遠位面234に衝突しうる。結果として、ノズルプレート226に対する最大の摩耗損傷は、開口部256又はその近傍で発生しうる。
【0036】
したがって、遠位面234に対する損傷は、開口部256の周囲の流れ分離領域を減少させるか又はなくすことによって、低減されうるか、又は回避されうる。図5は、流れ分離をなくすよう形作られた遠位面234を有する、ノズルプレート226の一例を示している。図示している例では、ノズルプレート226は円錐台形である。つまり、遠位面234は、流体の流れ軸246との間に斜めの角度258を形成する。角度258は、意図された動作条件(温度、作動流体、圧力、流速など)において計算され、かつ/又はモデル化された流体力学にしたがって、選択されうる。この角度は、スラリ212が大体矢印260で示しているように、遠位面234から離れることなく、遠位面に沿って流れ、渦クラウド中に流入するように、選択されうる。
【0037】
ノズルプレート226の遠位面234に対する損傷は、遠位面における流体の流れの中に渦を発生させ、研磨粒子216をノズルプレートから遠ざけるように方向付けることによっても軽減されうる。図6-9では、かかる渦流を発生させるのに有効なノズルプレートのフィーチャの、4つの例を図示している。各例において、ノズルプレート226の遠位面234は、直線状の溝262によって二分されている。中央開孔230は溝262内に配置され、溝は、ノズルプレートの全直径にわたり端から端まで延在している。溝は、長軸264を有すると説明されうる。図示している例では、溝262は、長軸に対して垂直な、半円形の断面形状を有する。
【0038】
図7に示している例では、ノズルプレート226は、遠位面234に円弧状凹部266の対を更に含む。円弧状凹部は、遠位面の溝とも称されうる。円弧状凹部266は対称形であり、溝262の両側部に対称に配置されている。この例では、各凹部は、中央開孔230を中心として、約60度の円弧を通るように延在している。
【0039】
図8に示している例では、ノズルプレート226は、複数の直線状凹部268を更に含む。直線状凹部は、遠位面の溝とも称されうる。各凹部は、中央開孔230から径方向外側へと延在しているが、中央開孔及び溝262から離隔している。複数の凹部は6つの凹部を含み、溝262の両側のそれぞれに3つずつ凹部がある。6つの凹部は全て同じ長さであり、それぞれの長さは、遠位面234の半径の約4分の1である。
【0040】
図9に示している例でも、ノズルプレート226は、複数の直線状凹部268を含む。各凹部は、中央開孔230から径方向外側へと延在しているが、中央開孔及び溝262から離隔している。複数の凹部は6つの凹部を含み、溝262の両側のそれぞれに3つずつ凹部がある。3つの凹部によるグループの各々の中央の凹部の長さは、隣り合った2つの凹部よりも長い。中央の凹部は遠位面234の半径の約2分の1である一方、隣り合った凹部は、半径の約4分の1である。
【0041】
遠位面234は、望ましい渦、流れ、又はその他の流れ動態を発生させるのに有効な、追加構造及び/又は代替構造を含みうる。例えば、遠位面は、螺旋状凹部を含むこと、及び/又は、一又は複数の隆起部若しくは突起を含むことがある。図示している遠位面の構成は、容易な製造、及びそれによるコストの削減のために、好ましいものでありうる。特に、硬い耐損傷性の材料の場合、シンプルな直線状及び/又は円弧状の凹部は、製造が最も容易であると共に、有効な流体力学的効果を生ぜしめうる。
【0042】
ノズルプレート226の一部又は全部が、耐損傷性の材料で構成されることがある。図10に示している例では、ノズルプレートは強化部270を含む。強化部は、中央開孔230及び開口部256を取り囲んでこれらを画定することによって、遠位面234の、研磨粒子による衝突及び浸食を最も受ける領域に耐損傷性をもたらす。この例では、強化部270は、単結晶成長したダイヤモンドの円筒状インサートである。
【0043】
図6図9に示しているような一部の例では、ノズルプレート226は、全体が耐損傷性の材料で構成されている。一般に、十分に硬い耐衝突性の任意の材料が使用されうる。例としては、立方晶窒化ホウ素、炭窒化ホウ素、金属ホウ化物、及びナノ構造フラーレンベースの材料、が含まれる。最大の耐損傷性を得るためには、合成成長したダイヤモンド及び天然のダイヤモンドを含む、単結晶ダイヤモンドが好ましいことがある。ダイヤモンド又は上述したその他の硬質材料は、砥粒を用いないキャビテーションピーニングに使用されるノズルプレートの寿命を延長する上でも、有用でありうる。
【0044】
一部の例では、後述するノズルプレート226及び/又はキャップの形状寸法の設計が、ノズルプレートに必要な硬度及び衝突耐性のレベルを低下させるのに十分なほど、流れ動態を変化させうる。かかる例では、より一般的又は安価な硬質材料が、許容可能な寿命長を有することもある。例としては、セラミック(炭化バナジウムなど)及び硬鋼(冷間加工鋼、油焼入れ鋼、空気焼入れ鋼、高速度鋼、るつぼ鋼、炭素含有量が約0.5パーセント(%)と1.5%との間の鋼、及びクロム-モリブデン鋼(例えば4140鋼)など)が含まれる。
【0045】
材料又は材料の組み合わせは、ノズルプレート226のコストと寿命との望ましいバランスに従って選択されうる。選択される材料は、天然材料、合成材料、又はこれらの組み合わせでありうる。例えば、長時間の処理を要する大型部品又は粗面の表面仕上げには、処理途中でノズルプレートの交換が必要になることを避けるために、全体がダイヤモンドのノズルプレートが好ましいことがある。一方、頻繁なノズルプレート交換が許容される場合には、コスト削減のために、より安価な材料(硬化鋼など)のノズルプレート、及び/又はインサートのみにダイヤモンドを含むノズルプレートが好ましいこともある。
【0046】
図11には、ノズルプレートの中央開孔の開口部256の4つの例(円形開口部272、楕円形開口部274、角丸長方形状の(lozenge-shaped)開口部276、及び十字葉形(lobular)開口部278を含む)が図示されている。各形状は、開口部256のみの形状であることも、ノズルプレートを部分的に通るか又はノズルプレート全体を貫通する中央開孔の断面形状であることもある。開口部の形状は、発生するキャビテーション噴流、及びその結果として生じる渦クラウドの望ましい特性に従って選択されうる。
【0047】
円形の開口部272は、シンプルな円筒形の渦巻き噴流を発生させうる。楕円形の開口部274及び角丸長方形の開口部276の各々は、長軸265を有する狭長形と説明されうる。溝262を伴う狭長形開口部は各々、複雑かつ概して扇形の噴流(開口部の長軸に対して垂直方向の寸法が幅広になる)を発生させうる。図12には、かかる扇状噴流が図示されている。扇形噴流により、キャビテーション強度を低下させることなく、より広い領域を処理することが可能になりうる。十字葉形開口部278は、クローバー形状と説明されることもあり、境界があいまいに画定されるガウス形状の処理面を実現させうる。そのような処理領域により、ノズルの重複的な通過が容易になることで、被加工物表面の全体的な適用範囲が改善されうる。
【0048】
ノズルプレートの例示的なフィーチャについて、本書では個別に図示し、説明している。一般に、上述した、ノズルプレートの損傷軽減及び/又は性能向上のための一又は複数のフィーチャは、任意の望ましい組み合わせで使用されうる。例えば、ノズルプレートは、ダイヤモンドで構成されてよく、狭長形開口部を有する砂時計形状の中央開孔を含んでよく、かつ、中央開孔によって画定される流体の流れ軸に対して斜角の遠位面であって、二分する溝及び複数の放射状凹部を含む遠位面を有しうる。
【0049】
図12は、キャップ228及び図6に示しているノズルプレート226の例の等角図であり、二分溝262を含み、かつ、図11の276で示している角丸長方形状の中央開孔230の開口部256を有している。この例では、開口部256の長軸265は溝262の長軸に平行である。一部の例では、開口部の長軸と溝の長軸とは直交しうるか、又は斜角を形成しうる。
【0050】
図12には、スラリ212に沈められ、渦クラウド254を発生させている、稼働中のキャップ228及びノズルプレート226が図示されている。溝262を伴う狭長形状の開口部256により、ノズルプレート226は扇状噴流を発生させ、その結果として生じる渦クラウド254も扇形になる。クラウドは、開口部256の長軸265に対して垂直な方向に幅広になるとも説明されうる。図12では、開口部の長軸が垂直方向に配向されていることで、扇状クラウドが水平方向に発生している。扇状クラウドは、楕円形の処理面を有することがあり、キャビテーション強度を低下させることなく、より広い表面積のピーニングを可能にしうる。
【0051】
渦クラウド254は、開口部256から離れるにつれて、渦度(vorticity)が増大する。ノズルプレート226の近傍では、クラウドは、ゼロ次モードの渦度を有する、又は楕円リング形状を有すると説明されうる。より遠くでは、渦度は、一次モードと二次モード又はらせん形状と二重らせん形状のそれぞれに移行しうる。クラウド254の渦度は、開口部256の長軸265に平行な方向に、強度が増しうる。
【0052】
研磨粒子は、渦によって、スラリ212からクラウド254中に流送されうる。1つの軸に沿って渦の強度が増すことの結果として、研磨スラリは、図13に示しているように、渦に平行に、扇状に広がりうる。換言すると、開口部256の長軸265に対して垂直な方向に幅広な、砥粒の噴射噴流すなわち研磨ファンスラリ280が形成されうる。図示しているように、渦クラウドが水平方向に扇状に広がることから、動的に活性化された研磨粒子も、水平方向に扇状に広がる。
【0053】
スラリ212からの研磨粒子の流送は、キャップ228におけるスリット282によっても支援されうる。スリットは、キャップ228の下流側又は遠位表面284における、直線状の凹部又は開口と説明されうる。図2に示しているように、スリット282は、キャップの中央チャネル238に対して開いている。図12及び図13で視認可能なように、スリットは、ノズルプレート226の中央開孔230を露出させ、キャビテーション噴流がキャップ228を通過することを可能にする。
【0054】
図12及び図13に示しているように、キャップ228は概して円筒形であるが、その両側に第1平坦面及び第2平坦面288を含む。スリット282は、遠位表面284を横切るように、一方の平坦面288から他方の平坦面まで延在し、各平坦面に開口を形成する。この例では、スリット282は四角形の断面形状を有し、両平坦面288に四角形の開口を形成している。一部の例では、スリット282は、半円形状、及び/又は、研磨粒子を流送するのに有効な任意の形状を有しうる。
【0055】
スリット282は、遠位表面284を二分し、長軸267を画定する。この例では、スリット282の長軸267は、開口部256の長軸265に対して垂直であり、したがって、研磨ファン280の幅広方向に平行である。一部の例では、スリットの長軸は、開口部の長軸に平行でありうるか、又は開口部の長軸と斜角を形成しうる。しかし、最大の流送を実現するには、長軸が垂直であることが好ましいことがある。
【0056】
図14は、中央ボア286を更に含む、キャップ228の別の例を示している。中央ボアは、ほぼ円形であり、ノズルプレート226の中央開孔230を中心としており、かつ、スリット282と交差している、又はスリット282に対して開いていると説明されうる。中央ボア286は、キャップ228の中央チャネルに対して開いているが、その直径はノズルプレート226の直径よりも小さく、そのため、キャップは依然として、ノズルの中空体にノズルプレートを有効に固定しうる。中央ボア286は、発生したキャビテーション気泡のクラウドの渦度を強化することが可能であり、これによって、キャビテーション強度を増大させうる。
【0057】
この例では、図12-14に示しているように、ノズルプレート226とキャップ228とは別個の構成要素である。一部の例では、プレートとキャップとは、単一の構成要素を構成してよく、かつ/又は、より大きな一体型ノのズルアセンブリの一部を構成しうる。しかし、別個の構成要素を使用することで、ノズルプレート226が耐衝突性の材料から製造されうる一方、キャップ228は、より安価な、より軽量な、かつ/又は加工がより容易な、異なる材料から製造されることが、可能になりうる。加えて、別個の構成要素を使用することで、衝突による損傷の大部分が発生する小型の構成要素(ノズルプレート226など)のみを交換することが可能になりうる。
【0058】
B.例示的な方法
このセクションでは、キャビテーション研磨表面仕上げのための例示的な方法300のステップ(図15参照)について説明する。上述したノズル及び/又はノズル構成要素の態様は、後述する方法ステップにおいて利用されうる。必要に応じて、各ステップの実行において使用されうる構成要素及びシステムを参照する場合がある。かかる参照は例示のためのものであり、本方法の何らかの特定のステップを実行するのに可能なやり方を限定することを意図するものではない。
【0059】
図15は、例示的な方法において実施されるステップを示すフロー図であり、本方法の完全なプロセス又は全てのステップを列挙しているわけではないことがある。方法300の様々なステップが後述され、図15に示されているが、ステップは必ずしも全て実施することが必要な訳ではなく、場合によっては、同時に又は図示している順序とは異なる順序で実施されることもある。
【0060】
方法は、ステップ310において、研磨スラリに中に被加工物を沈めることを含む。例えば、被加工物は、スラリで満たされたタンク内のステージに固定されうるか、又は、ラックに固定されてタンク内に下降されうる。被加工物は、一又は複数の任意の部品であって、一又は複数の表面に研磨表面仕上げが必要な部品を含みうる。スラリは、液体(水など)中に懸濁された一又は複数の研磨媒体の粒子を含みうる。選択されたスラリ条件(粒子密度、液体温度、及び/又は圧力など)が、オペレータ又は制御システムによって維持されうる。
【0061】
方法のステップ312は、ノズルから被加工物に向けてキャビテーション噴流を放出することを含む。高圧流体(水など)が、選択された圧力、流量、及び/又は温度で、ポンプによってノズルに供給されうる。ノズルは、研磨スラリ中の処理されるべき被加工物の表面から選択されたスタンドオフ距離のところに沈められうる。ノズルは、被加工物表面上に噴流を走査させることによって被加工物表面を処理するために、オペレータ及び/又は電動機動的機構(コンピュータ数値制御(CNC)の多関節アーム又はロボットアームなど)によって、被加工物表面に平行に動かされうる。
【0062】
ステップ312のサブステップ314は、ノズルの開孔の狭窄部及び拡張部により、放出されるキャビテーション噴流の流れを均一化することを含む。キャビテーション噴流は開孔を通って周囲のスラリ中に放出されてよく、この噴流の流れ動態は、開孔の内部の形状寸法によって変更されうる。狭窄部及び拡張部は対称であり、砂時計形状と説明されうる。この狭窄部及び拡張部により、より均一な処理のために、噴流の中心軸に沿って流れが集中することが防止され、噴流の外縁部の流れが増大しうる。
【0063】
ステップ312のサブステップ316は、開孔の狭長形断面により、噴流を幅広にすることを含む。開孔の下流側の開口部は、狭長形状(楕円形又は角丸長方形など)を有し、これにより、扇形の噴流が生じうる。噴流は、開口部の狭長形状に平行な方向(垂直方向)に、幅広になりうる。かかる幅広な噴流により、噴流の処理表面積が増大し、これによって、被加工物の処理時間全体が短縮されうる。
【0064】
方法は、ステップ318において、キャビテーション噴流により研磨粒子にエネルギー供給することを含む。キャビテーション噴流は、周囲の研磨スラリと相互作用して、キャビテーション気泡の渦クラウドを発生させうる。クラウドの渦作用により、周囲のスラリから、研磨粒子が引き込まれ、流送されうる。キャビテーション気泡の崩壊により、流送される研磨粒子に運動エネルギーが付与されうる。
【0065】
サブステップ320は、ノズルのキャップの遠位表面における直線状のスリットにより、噴流中に粒子を流送することを含む。スリットは、ノズルの開孔に向かって開いていること、及びノズルの開孔を露出していることがある。一部の例では、キャップが、ノズルのノズルプレート又はその他の構成要素を定位置に固定しうる。スリットは直線状であってよく、その断面は四角形でありうる。スリットが、幅広のキャビテーション噴流がもたらす非対称の渦強度によって発生する扇状の流送研磨粒子の幅広方向寸法に平行になるように、スリットは、開孔の狭長形開口部の長軸に対して垂直に延在しうる。
【0066】
サブステップ322は、表面の溝により、エネルギー供給された粒子をノズルの遠位面から遠ざかるように方向付けることを含む。この表面は、ノズルの開孔を含む、ノズルのノズルプレート又はその他の構成要素の表面でありうる。溝は、ノズルの遠位面の近傍に渦流を発生させるよう構成されてよく、任意の有効な形状を有してよく、かつ/又は、遠位面は複数の溝を含みうる。例えば、遠位面は、直線状の溝によって二分されていてよく、一又は複数の円弧状の溝を含んでよく、かつ/又は複数の放射状の溝セクションを含みうる。
【0067】
ステップ324は、エネルギー供給された粒子を用いて、被加工物から材料を除去することを含む。粒子は、材料を除去するのに十分なエネルギーを有して、被加工物の表面に衝突しうる。衝撃力及び除去される材料の量は、キャビテーションの強度に、したがって、粒子に付与されるエネルギー量及び選択された一又は複数の砥粒に、依拠しうる。エネルギー供給された粒子は、集合的に、被加工物から材料の層を除去しうる。例えば、粒子は、(付加製造プロセスによって作製されるもののような)粗い表面層を除去すること、又は、(チタンの高温処理によって生じるような)アルファケース層をなくすことが、可能である。被加工物の表面は、発生した渦クラウドのキャビテーション気泡が崩壊することによって、同時にピーニングもされうる。
【0068】
例示的な組み合わせ及び追加の例
このセクションでは、耐損傷性ノズル及びそれに関連するシステム及び方法の更なる態様及び特徴について説明するが、これらの態様及び特徴は、限定されることなく一連の段落として提示され、その一部又は全部は、明確性及び有効性のために、英数字により指定されうる。これらの段落の各々は、任意の好適な様態で、この出願内の、一又は複数の他の段落及び/又は他所の開示と、組み合わされうる。以下の段落の一部は、他の段落を明示的に参照し更に限定して、いくつかの好適な組み合わせの例を提供しているが、好適な組み合わせの例がそれらに限定されるわけではない。そのため、本開示は、以下の条項による例を含む。
【0069】
A0.
中央開孔及び遠位面を有するプレートであって、遠位面が溝によって二分されている、プレートと、
中央開孔を通して高圧流体を送出するよう構成された中空体と、
中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、を備える、キャビテーションノズルであって、
中央開孔に送出された高圧流体が、キャビテーション噴流として放出される、
ノズル
【0070】
A1.
プレートの遠位面が複数の凹部を含む、条項A0に記載のノズル。
【0071】
A2.
複数の凹部が、二分溝の両側部に配置された円弧状凹部の対を含む、条項A1に記載のノズル。
【0072】
A3.
複数の凹部が、放射状の直線セクションを含み、かつ二分溝を中心として対称である、条項A1又はA2に記載のノズル。
【0073】
A4.
遠位面が円錐台形状を有する、条項A0からA3のいずれか一項に記載のノズル。
【0074】
A5.
プレートがダイヤモンド結晶材料を含む、条項A0からA4のいずれか一項に記載のノズル。
【0075】
A6.
プレートがダイヤモンド部分を含み、ダイヤモンド部分が中央開孔の直近を取囲む、条項A5に記載のノズル。
【0076】
A7.
キャップが、プレート及び中空体の遠位端部を受容する中央チャネルを含む、条項A0からA6のいずれか一項に記載のノズル。
【0077】
A8.
キャップが、中央チャネルに対して垂直な直線状スリットであって、中央チャネルと流体連通している直線状スリットを含み、これにより、プレートの中央開孔から放出されるキャビテーション噴流がスリットを通って放出される、条項A7に記載のノズル。
【0078】
A9.
スリットが、流体環境から、放出されたキャビテーション噴流中に粒子を流送するよう構成されている、条項A8に記載のノズル。
【0079】
A10.
スリットが、中央チャネルと同心の円形開口を含む、条項A8又はA9に記載のノズル。
【0080】
A11.
プレートの中央開孔が、流体の流れの方向に対して垂直な狭長形の断面形状を有する、条項A0からA10のいずれか一項に記載のノズル。
【0081】
A12.
中央開孔が、流体の流れの方向に対して垂直方向に一定した幅を有する、条項A11に記載のノズル。
【0082】
A13.
プレートの中央開孔が狭窄部及び拡張部を含む、条項A0からA12のいずれか一項に記載のノズル。
【0083】
A14.
中央開孔が、流体の流れの方向に平行な砂時計状の断面形状を有する、条項A13に記載のノズル。
【0084】
A15.
プレートが、立方晶窒化ホウ素、窒化炭素、炭窒化ホウ素、金属ホウ化物、及びナノ構造フラーレン、という材料のうちの一又は複数を含む、条項A0からA14のいずれか一項に記載のノズル。
【0085】
A16.
プレートが、冷間加工鋼、油焼入れ鋼、空気焼入れ鋼、高速度鋼、るつぼ鋼、炭素含有量が約0.5パーセントと1.5パーセントとの間の鋼、クロム-モリブデン鋼、及び炭化バナジウム、という材料のうちの一又は複数を含む、条項A0からA15のいずれか一項に記載のノズル。
【0086】
B0.
水と研磨媒体とのスラリを内包するタンクと、
スラリ中に沈められたノズルと、を備える、キャビテーションシステムであって、ノズルが、
中央開孔及び遠位面を有するプレートであって、遠位面が溝によって二分されている、プレートと、
中央開孔を通して高圧流体を送出するよう構成された中空体と、
中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、を含み、
中央開孔に送出された高圧流体が、スラリ中に放出されて、キャビテーション気泡とエネルギー供給された研磨粒子とのクラウドを形成する、
キャビテーションシステム。
【0087】
B1.
ノズルが、条項A0からA14のいずれか一項に記載のノズルである、条項B0に記載のキャビテーションシステム。
【0088】
C0.
ダイヤモンド結晶材料で構成されたプレートであって、遠位面と、流体の流れ軸を画定する中央開孔とを有する、プレートと、
高圧流体を、中央開孔を通して、キャビテーション噴流として送出するよう構成された中空体と、
を備える、キャビテーションノズル。
【0089】
C1.
プレートの遠位面が第1の溝を有する、条項C0に記載のキャビテーションノズル。
【0090】
C2.
第1の溝がプレートの遠位面を二分している、条項C1に記載のキャビテーションノズル。
【0091】
C3.
遠位面が複数の放射状の溝を有する、条項C2に記載のキャビテーションノズル。
【0092】
C4.
第1の溝が流体の流れ軸と交差する、条項C1からC3のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0093】
C5.
第1の溝が直線状である、条項C1からC4のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0094】
C6.
第1の溝が湾曲している、条項1からC5のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0095】
C7.
プレートの中央開孔が、流体の流れ軸に対して垂直な狭長形の断面形状を有する、条項C0からC6のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0096】
C8.
中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持する、キャップを更に含む、条項C0からC7のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0097】
C9.
キャップが、プレートの遠位面の下流に遠位表面を有する、条項C8に記載のキャビテーションノズル。
【0098】
C10.
キャップの遠位表面が、流体の流れ軸に対して垂直な長軸を有するスリットによって二分されている、条項C9に記載のキャビテーションノズル。
【0099】
C11.
プレートの中央開孔が、狭長形であり、キャップのスリットの長軸に対して垂直な長軸を有する、条項C10に記載のキャビテーションノズル。
【0100】
C12.
プレートの遠位面が、流体の流れ軸と90度未満の角度を形成する、条項C0からC11のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0101】
D0.
遠位面と流体の流れ軸を画定する中央開孔とを有する、プレートと、
高圧流体を、中央開孔を通してキャビテーション噴流として送出するよう構成された中空体と、
中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、を備え、
キャップは、遠位表面を二分してプレートの中央開孔を露出させるスリットを有する、
キャビテーションノズル。
【0102】
D1.
プレートが、遠位面を二分する溝を有する、条項D0に記載のキャビテーションノズル。
【0103】
D2.
スリットが長軸を有し、溝は、スリットの長軸に対して垂直な長軸を有する、条項D1に記載のキャビテーションノズル。
【0104】
D3.
中央開孔が狭長形の断面を有する、条項D1又はD2に記載のキャビテーションノズル。
【0105】
D4.
溝が長軸を有し、中央開孔は、溝の長軸に平行な長軸を有する、条項D1からD3のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0106】
D5.
プレートがダイヤモンド結晶材料で構成されている、条項A0からA4のいずれか一項に記載のノズル。
【0107】
E0.
遠位面と流体の流れ軸を画定する中央開孔とを有するプレートであって、遠位面が流体の流れ軸と鋭角を形成する、プレートと、
高圧流体を、中央開孔を通してキャビテーション噴流として送出するよう構成された中空体と、
中空体と取り外し可能に係合されたキャップであって、中空体の遠位端部に接するようにプレートを保持するキャップと、
を備える、キャビテーションノズル。
【0108】
E1.
プレートがダイヤモンド結晶材料で構成されている、条項E0に記載のキャビテーションノズル。
【0109】
E2.
プレートが、遠位面を二分する溝を有する、条項E0又はE1に記載のキャビテーションノズル。
【0110】
E3.
中央開孔が、溝の長軸に平行な長軸を有する、条項E2に記載のキャビテーションノズル。
【0111】
E4.
プレートが焼入れ鋼で構成されている、条項E0からE3のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0112】
E5.
プレートがフラーレンで構成されている、条項E0からE4のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0113】
E6.
プレートがナノ構造材料で構成されている、条項E0からE5のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0114】
E7.
プレートが、ホウ素と炭素の少なくとも一方を有する窒化物系化合物で構成されている、条項E0からE6のいずれか一項に記載のキャビテーションノズル。
【0115】
F0.
キャビテーション研磨表面仕上げの方法であって、
液体と砥粒との混合物中に被加工物を沈めることと、
被加工物の表面に向けて、ノズルのプレートの中央開孔を通してキャビテーション噴流を放出することと、
キャビテーション噴流により、研磨粒子にエネルギー供給することと、
プレートの遠位面の溝により、ノズルのプレートから遠ざかるように、エネルギー供給された粒子を方向付けることと、
エネルギー供給された粒子を用いて、被加工物の表面から材料を除去することと、
を含む、方法。
【0116】
F1.
中央開孔の狭窄部及び拡張部により、キャビテーション噴流の流れを均一化することを更に含む、条項F0に記載の方法。
【0117】
F2.
中央開孔の狭長形の断面により、キャビテーション噴流を幅広にすることを更に含む、条項F0又はF1に記載の方法。
【0118】
F3.
プレートを固定しているキャップにおける直線状のスリットにより、キャビテーション噴流中に研磨粒子を流送することを更に含む、条項F0からF2のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
G0.
遠位面と流体の流れ軸を画定する中央開孔とを有する、プレートと、
高圧流体を、中央開孔を通してキャビテーション噴流として送出するよう構成された中空体と、を備え、
プレートが、立方晶窒化ホウ素、窒化炭素、炭窒化ホウ素、金属ホウ化物、ナノ構造フラーレン、冷間加工鋼、油焼入れ鋼、空気焼入れ鋼、高速度鋼、るつぼ鋼、炭素含有量が約0.5パーセントと1.5パーセントとの間の鋼、クロム-モリブデン鋼、及び炭化バナジウム、という材料のうちの一又は複数を含む、
キャビテーションノズル。
【0120】
利点、特徴、及び恩恵
本書に記載のノズルの種々の例は、研磨環境におけるキャビテーションピーニングに関する既知の解決策を凌駕する、いくつかの利点を提供する。例えば、本書に記載の実施例は、摩耗損傷を最も受けやすいノズル構成要素の簡単な交換を可能にする。
【0121】
加えて、本書に記載の実施例は、他にもある恩恵の中でも特に、耐損傷性材料の使用によりノズルの有用寿命が延長される。
【0122】
加えて、本書に記載の実施例は、他にもある恩恵の中でも特に、ノズルの遠位面において渦を形成してエネルギー供給された研磨粒子を遠ざけるように方向付けることによって、研磨損傷を低減する。
【0123】
加えて、本書に記載の実施例は、他にもある恩恵の中でも特に、流れ分離領域を減少させること及び/又はなくすことによって、摩耗損傷を低減する。
【0124】
加えて、本書に記載の実施例は、他にもある恩恵の中でも特に、ノズルによって発生するキャビテーション噴流中への砥粒の流送を改善する。
【0125】
加えて、本書に記載の実施例は、他にもある恩恵の中でも特に、噴流の適用範囲を増大させること、及び流れを統一することによって、処理時間を短縮する。
【0126】
加えて、本書に記載の実施例は、他にもある恩恵の中でも特に、境界があいまいに画定されるガウス形状の処理面を発生させることによって、重複処理を可能にする。
【0127】
上述の作用を、特に高強度のキャビテーションピーニングの実現とともに実施しうる、システムもデバイスも既知ではない。ゆえに、本書に記載の実施例は、キャビテーション研磨表面仕上げに特に有用である。しかし、本書に記載の全ての例が同じ利点又は同程度の利点を提供するものではない。
【0128】
結論
上記に記述している開示は、独立した有用性を有する複数の個別の例を包括しうる。例の各々は、その好ましい形態(複数可)で開示されているが、数多くの変形例が可能であることから、本書で開示し、例示している例のうち特定のものを、限定的な意味で解釈すべきではない。この開示内ではセクションの見出しが使用されているが、その範囲内では、かかる見出しは記載整理の目的で使用されているにすぎない。本開示の主題は、本書に記載の様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、新規的かつ非自明の組み合わせ及び部分組み合わせの全てを含む。下記の特許請求の範囲は、新規かつ非自明と見なされるある種の組み合わせ及び部分組み合わせを、特に指し示すものである。特徴、機能、要素、及び/又は特性のその他の組み合わせ及び部分組み合わせは、この出願又は関連出願からの優先権を主張する出願において、特許請求されうる。かかる特許請求の範囲は、出願当初の特許請求の範囲よりも広いか、狭いか、それと等しいか、又は異なるかにかかわらず、同様に、本開示の主題中に含まれると見なされる。
図1
図2
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【外国語明細書】