(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097710
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】紙製網袋体および紙製網袋連続体
(51)【国際特許分類】
A45C 3/04 20060101AFI20240711BHJP
B65D 30/06 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
A45C3/04 G
B65D30/06 BRP
B65D30/06 BRQ
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001375
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 哲治
【テーマコード(参考)】
3B045
3E064
【Fターム(参考)】
3B045AA53
3B045CB05
3B045CE07
3B045FA03
3B045FC10
3B045GA01
3B045GD01
3E064AA01
3E064BA01
3E064BC20
3E064EA02
3E064EA15
3E064FA01
3E064HM01
(57)【要約】
【課題】物品の持ち運びに用いることができる紙製網袋体を提供する。
【解決手段】紙製網袋体1は、切り込み110を破線状に形成した複数の切開線11を、所定間隔をあけて隣り合う切開線11で切り込み110のピッチをずらして加工した紙シート10を2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く縁(左右両側縁と下縁)をシール加工した形態をなしている。紙製網袋体1に物品を収容すると、物品の重さまたは体積により、切開線11に含まれる切り込み110の一部またはすべてが広がり、紙製網袋体1を構成する紙シート10に網目が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り込みを破線状に形成した複数の切開線を、所定間隔をあけて隣り合う前記切開線で前記切り込みのピッチをずらして加工した紙シートを2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く縁をシール加工した形態をなしていることを特徴とする紙製網袋体。
【請求項2】
前記紙製網袋体の幅方向に複数の前記切開線を延設したことを特徴とする、請求項1に記載した紙製網袋体。
【請求項3】
直線状の把手用切り込みを前記切開線よりも上縁側に加工したことを特徴とする、請求項2に記載した紙製網袋体。
【請求項4】
シール加工しない非シール部を両側縁側の上部に設けたことを特徴とする、請求項2に記載した紙製網袋体。
【請求項5】
前記紙製網袋体の長さ方向に複数の前記切開線を延設したことを特徴とする、請求項1に記載した紙製網袋体。
【請求項6】
切り込みを破線状に形成した複数の切開線を、所定間隔をあけて隣り合う前記切開線で前記切り込みのピッチをずらして加工した紙シートを2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く縁をシール加工した形態をなした複数の紙製網袋体を連接し、前記紙製網袋体の境となる箇所に破断線を設けた構成の紙製網袋連続体。
【請求項7】
前記紙製網袋体の幅方向に前記切開線を延設した複数の前記紙製網袋体を前記紙製網袋体の幅方向に連接したことを特徴とする、請求項6に記載した紙製網袋連続体。
【請求項8】
直線状の把手用切り込みを前記切開線よりも上縁側に加工した複数の前記紙製網袋体を前記紙製網袋体の幅方向に連接したことを特徴とする、請求項7に記載した紙製網袋連続体。
【請求項9】
シール加工しない非シール部を両側縁側の上部に設けた複数の前記紙製網袋体を前記紙製網袋体の幅方向に連接したことを特徴とする、請求項7に記載した紙製網袋連続体。
【請求項10】
前記紙製網袋体の長さ方向に前記切開線を延設した複数の前記紙製網袋体を前記紙製網袋体の長さ方向に連接したことを特徴とする、請求項6に記載した紙製網袋連続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り込みを利用して網状に形成できる網袋体に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロプラスチックなどのプラスチックごみが問題視されている。このことを受けて、プラスチック素材を用いたプラスチック袋体を、環境に優しい素材を用いた袋体に置き換えることが検討されている。
【0003】
プラスチック袋体の代りとして使用でき、かつ、環境に優しい素材を用いた袋体として、紙を素材とする紙袋体がある。しかし、紙袋体の場合、紙袋体の容量を増やすには、紙袋体のサイズを大きくしたり、マチを設けたりしなければならず、紙袋体で用いる紙の量が増えてしまう。
【0004】
袋体のサイズを大きくしたり、マチを設けたりしなくとも袋体の容量を増やす手法として網袋体が以前より知られている(例えば、特許文献1,2)。ここで、網袋体とは、切り込みが広がることで網目状をなす袋体を意味する。
【0005】
しかし、従来の網袋体は、特許文献1,2で開示された考案のように、網目を形成するための複数の切り込みを加工した一枚のシートから構成される。このため、一枚のシートから構成される網袋体は、軽い物品の持ち運びには適していない。一枚のシートから構成される網袋体は、軽い物品を収容する場合、シートに加工した切り込みが広がらず袋体の形態にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3224791号公報
【特許文献2】実用新案登録第3225976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願で開示する発明では、物品の重量などに係わらず、物品の持ち運びに用いることができる紙製網袋体、および、この紙製網袋体を複数連ねた連続袋体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の課題を解決する第1発明は、切り込みを破線状に形成した複数の切開線を、所定間隔をあけて隣り合う前記切開線で前記切り込みのピッチをずらして加工した紙シートを2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く縁をシール加工した形態をなしていることを特徴とする紙製網袋体である。
本願の課題を解決する第1発明では、前記紙製網袋体の幅方向に前記切開線を延設できる。前記紙製網袋体の幅方向に前記切開線を延設すると、前記切開線の一部を把手に利用できる。また、第1発明では、把手を設けるために、直線状の把手用切り込みを前記切開線よりも上縁側に加工することもできる。また、第1発明では、把手を設けるために、シール加工しない非シール部を両側縁側の上部に設けることもできる。
なお、第1発明では、前記紙製網袋体の長さ方向に前記切開線を延設することもできる。
【0009】
本願の課題を解決する第2発明は、切り込みを破線状に形成した複数の切開線を、所定間隔をあけて隣り合う前記切開線で前記切り込みのピッチをずらして加工した紙シートを2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く縁をシール加工した形態をなした複数の紙製網袋体を連接し、前記紙製網袋体の境となる箇所に破断線を設けた構成の紙製網袋連続体である。第2発明は、第1発明に係る紙製網袋体を複数連ねた連続袋体に係る発明である。
第2発明に係る紙製網袋連続体は、前記紙製網袋体の幅方向に前記切開線を延設した複数の前記紙製網袋体を幅方向に連接した形態であってもよい。また、第2発明に係る紙製網袋連続体は、直線状の把手用切り込みを前記切開線よりも上縁側に加工した複数の前記紙製網袋体を幅方向に連接した形態であってもよい。更に、第2発明に係る紙製網袋連続体は、シール加工しない非シール部を両側縁側の上部に設けた複数の前記紙製網袋体を幅方向に連接した形態であってもよい。
なお、第2発明に係る紙製網袋連続体は、前記紙製網袋体の長さ方向に前記切開線を延設した複数の前記紙製網袋体を長さ方向に連接した形態にもできる。
【発明の効果】
【0010】
本願で開示する発明に係る紙製網袋体に物品を収容すると、物品の重さまたは体積により、切開線に含まれる切り込みの一部またはすべてが広がり、紙製網袋体を構成する紙シートに網目が形成される。紙製網袋体を構成する紙シートに網目が形成されると、紙製網袋体の表面積が実質的に大きくなり、紙製網袋体の容量が増える。よって、マチを設けなくとも、立体的な物品を紙製網袋体に収容できる。また、紙製網袋体は袋状の形態をなしているため、網目状が形成されない物品(例えば、シート状をなした.軽い物品)の持ち運びにも紙製網袋体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図7】本実施形態に係る紙製網袋連続体を説明する図。
【
図8】変形例1に係る紙製網袋連続体を説明する図。
【
図9】変形例2に係る紙製網袋連続体を説明する図。
【
図10】変形例3に係る紙製網袋連続体を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る実施形態について記載する。本実施形態は,本発明の理解を容易にするためのものであり,本発明は,本実施形態に限定されるものではない。また,特に断りのない限り,図面は,本発明の理解を容易にするために描かれた模式的な図である。
【0013】
ここから、本実施形態に係る紙製網袋体1について説明する。
図1は、本実施形態に係る紙製網袋体1の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る紙製網袋体1の正面図である。
図3は、物品を収容した紙製網袋体1を示した図である。
【0014】
図1では、物品を収容していない状態の紙製網袋体1を図示している。
図1で図示した紙製網袋体1は、切り込み110を破線状に形成した複数の切開線11を、所定間隔をあけて隣り合う切開線11で切り込み110のピッチをずらして加工した紙シート10を2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く縁(左右両側縁と下縁)をシール加工した形態をなしている。
図1などでは、シール加工した領域を点線12で示している。
【0015】
図1では、物品を収容していない紙製網袋体1は略シート状である。
図1で図示した紙製網袋体1において、シール加工していない紙製網袋体1の上縁が袋口となる。紙製網袋体1に収容した物品は、シール加工した紙製網袋体1の3つの縁により支持される。
【0016】
図2で図示したごとく、紙製網袋体1を構成する紙シート10には、幅方向に延設した複数の切開線11を加工している。本実施形態に係る切開線11は、切り込み110のピッチよりも切り込み110の長さが長い長破線状になっている。
【0017】
紙製網袋体1に物品を収容したとき、紙製網袋体1に網目が形成されるように、本実施形態に係る紙製網袋体1では、所定間隔をあけて上下に隣り合う切開線11で切り込み110のピッチを1/2ずらしている。ピッチを1/2ずらすとは、上側になる切開線11における切り込み110の隙間が、下側になる切開線11の切り込み110の中央真上になるように、上下に隣り合う2本の切開線11を配置することを意味している。
【0018】
プラスチックごみにならないように、本実施形態において、紙製網袋体1を構成する紙シート10の材質は紙である。紙製網袋体1に求められる耐荷重などに応じて、紙製網袋体1の紙シート10に用いる紙を選定できる。紙製網袋体1に求められる耐荷重が低くてよければ、上質紙またはコート紙を紙シート10に用いることができる。高い耐荷重と高い耐水性が紙製網袋体1に求められる場合、耐洗紙、または、薬品を含浸させた含浸紙を紙製網袋体1の紙シート10に用いることができる。2枚の紙シート10をシール加工する手法は任意である。シール加工に水糊を用いてもよく、また、シール加工にホットメルト接着剤を用いてもよい。
【0019】
図3で図示したごとく、複数の切開線11を加工した紙製網袋体1に物品を収容すると、物品の重量などにより、紙製網袋体1に加工した切開線11に含まれる切り込み110の一部またはすべてが広がり、紙製網袋体1に網目110aが形成される。紙製網袋体1に網目110aが形成されると、紙製網袋体1の表面積が実質的に大きくなり、紙製網袋体1の容量が増える。このことにより、紙製網袋体1にマチを設けなくとも、シート状ではない立体的な物品を紙製網袋体1に収容できる。
図3では、円筒状物品1aを紙製網袋体1に収容している。
【0020】
紙製網袋体1の容量は、紙製網袋体1に形成される網目110aの大きさに少なくとも依存する。紙製網袋体1に形成される網目110aを大きくすると、紙製網袋体1の容量を大きくできる。切開線11に含まれる切り込み110を長くすると、紙製網袋体1に形成される網目110aを大きくできる。また、紙製網袋体1の容量は、紙製網袋体1に形成する切開線11の本数にも依存する。紙シート10に加工する切開線11の本数を多くすると、紙製網袋体1に形成される網目110aの数も増え、紙製網袋体1の容量を大きくできる。しかし、紙シート10に加工する切開線11の本数が多すぎると、切開線11の間が狭くなり過ぎ、紙製網袋体1の耐荷重が低くなるので注意が必要である。
【0021】
物品を収容した紙製網袋体1を持ち運ぶことを考慮すると、物品を収容した紙製網袋体1を持ち運ぶ際に手(または、指)を入れる把手が紙製網袋体1にあることが望ましい。本実施形態に係る紙製網袋体1を構成する紙シート10には、幅方向に延びる切開線11を加工しているため、本実施形態に係る紙製網袋体1では、
図3で図示したごとく、紙製網袋体1の上縁に近い切開線11の中央付近を把手に利用できる。
【0022】
ここから、本実施形態に係る紙製網袋体1の変形例について説明する。
図4は、変形例1に係る紙製網袋体2を説明する図である。
図5は、変形例2に係る紙製網袋体3を説明する図である。
図6は、変形例3に係る紙製網袋体4を説明する図である。
【0023】
図4で図示した変形例1に係る紙製網袋体2は、
図1などで図示した紙製網袋体1と同様に、切り込み210を破線状に形成した複数の切開線21を幅方向に延びるように加工した紙シート20を2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く3つの縁をシール加工した形態になっている。
図4では、シール加工した領域を点線22で示している。
【0024】
図1などで図示した紙製網袋体1と変形例1に係る紙製網袋体2の相違点は、破線状でなく直線状になっている把手用切り込み23を切開線21よりも上縁側に加工した点である。
図4では、紙製網袋体1の上縁と最上段の切開線21の間に、切開線21と平行になっている把手用切り込み23を加工している。変形例1に係る紙製網袋体2では、把手用切り込み23を加工した箇所を把手に利用できる。
図4では、把手用切り込み23により形成される把手の強度を高めるために、変形例1に係る紙製網袋体2の上縁と把手用切り込み23の間、および、把手用切り込み23と最上段の切開線21の間をそれぞれ広くしている。
【0025】
図5で図示した変形例2に係る紙製網袋体3は、
図1などで図示した紙製網袋体1と同様に、切り込み310を破線状に形成した複数の切開線31を幅方向に延びるように加工した紙シート30を2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く3つの縁をシール加工した形態になっている。
図5では、シール加工した領域を点線32で示している。
【0026】
図1などで図示した紙製網袋体1と変形例2に係る紙製網袋体3の相違点は、シール加工しない非シール部33を両側縁側の上部に設けた点である。シール加工しない非シール部33は輪状に変形させることができ、変形例2に係る紙製網袋体3では、輪状に変形させた非シール部33を把手に利用できる。
【0027】
図6で図示した変形例3に係る紙製網袋体4は、切り込み410を破線状に形成した複数の切開線41を長さ方向に延びるように加工した紙シート40を2枚重ね合わせ、袋口となる上縁を除く3つの縁をシール加工した形態になっている。
図4では、シール加工した領域を点線42で示している。
【0028】
図1などで図示した紙製網袋体1と変形例3に係る紙製網袋体4の相違点は、切開線11の延設方向である。
図1などで図示した紙製網袋体1では、切開線11を幅方向に延設しているが、
図6で図示した変形例3に係る紙製網袋体4では、切開線41を長さ方向に延設している。変形例3に係る紙製網袋体4では、切開線41を長さ方向に延設しているため、物品を収容したときに形成される網目は縦長になる。
【0029】
ここから、本願に係る紙製網袋連続体について説明する。
図7は、本実施形態に係る紙製網袋連続体5を説明する図である。
図8は、変形例1に係る紙製網袋連続体6を説明する図である。
図9は、変形例2に係る紙製網袋連続体7を説明する図である。
図10は、変形例3に係る紙製網袋連続体8を説明する図である。
【0030】
図7で図示した網状袋連続体5は、
図1,2で図示した紙製網袋体1を幅方向に連接させ、紙製網袋体1の境となる箇所に破断線51を設けた構成になっている。
図7で図示した網状袋連続体5は、2枚の帯状紙シート50を重ね合わせて、左側の側縁にシール加工を施し、更に、幅方向のシール加工を
図1,2で図示した紙製網袋体1の長さの間隔で施した後、切り込み110を破線状に形成した複数の切開線11を帯状紙シート50の長手方向に加工し、更に、1,2で図示した紙製網袋体1の長さの間隔で破断線51を加工することで製造できる。
【0031】
図8で図示した変形例1に係る紙製網袋連続体6は、
図4で図示した変形例1に係る紙製網袋体2を幅方向に連接させ、変形例1に係る紙製網袋体2の境となる箇所に破断線61を設けた構成になっている。
図9で図示した変形例2に係る紙製網袋連続体7は、
図5で図示した変形例2に係る紙製網袋体3を幅方向に連接させ、変形例2に係る紙製網袋体3の境となる箇所に破断線71を設けた構成になっている。
図10で図示した変形例3に係る紙製網袋連続体8は、
図6で図示した変形例3に係る紙製網袋体4を長さ方向に連接させ、変形例3に係る紙製網袋体4の境となる箇所に破断線81を設けた構成になっている。変形例1に係る紙製網袋連続体6、変形例2に係る紙製網袋連続体7および変形例3に係る紙製網袋連続体8それぞれは、
図7で図示した紙製網袋連続体5と同様な製造工程で製造できる。
【符号の説明】
【0032】
1 紙製網袋体
10 紙シート
11 切開線
110 切り込み
110a 網目
2 紙製網袋連続体
50 帯状の紙シート
51 破断線