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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097714
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20240711BHJP
【FI】
H02S50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001383
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】506249347
【氏名又は名称】株式会社発明屋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙治
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151JA07
5F151KA10
5F251JA07
5F251KA10
(57)【要約】
【課題】太陽光パネルの水没による二次災害を抑制する。
【解決手段】太陽光発電装置1は、太陽光パネル10が水没報知装置40を有する。水没報知装置40は、太陽光パネル10が水没すると、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に報知する。これにより、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知装置を備えた太陽光パネル。
【請求項2】
前記水没報知装置は前記太陽光パネルが出力する電力で動作する、請求項1の太陽光パネル。
【請求項3】
前記水没報知装置は、
前記太陽光パネルが水没したことを検知するための検知部と、
水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、
前記報知部は、
前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する、請求項1又は2の太陽光パネル。
【請求項4】
前記報知部は、
水没した太陽光パネルが存在することを振動により周囲に報知するための振動発生源を有する、請求項3の太陽光パネル。
【請求項5】
前記検知部は、水没によって短絡する一対の電極を有し、
前記報知部は、
前記一対の電極の間が短絡したら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する、請求項3の太陽光パネル。
【請求項6】
電気的に互いに直列に接続された複数の太陽光パネルと、
水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知装置と、
前記太陽光パネルが水没したときに太陽光パネル間の通電を遮断するための通電遮断装置と、を有する太陽光発電装置。
【請求項7】
太陽光パネルに装着される水没報知装置であって、
前記太陽光パネルが水没したことを検知するための検知部と、
水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、
前記報知部は、
前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する、水没報知装置。
【請求項8】
太陽光パネルを有する太陽光発電装置であって、
前記太陽光パネルは、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知装置を備える、太陽光発電装置。
【請求項9】
相隣接する両太陽光パネルを互いに電気的に直列に接続する電力経路を媒介する媒介装置であって、
前記太陽光パネルが水没したことを検知するための検知部と、
前記電力経路を遮断するための通電遮断部と、
水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、
前記通電遮断部は、前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら前記電力経路を遮断し、
前記報知部は、前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する、媒介装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光発電装置の安全性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネルとパワーコンディショナとを有する太陽光発電装置がある。太陽光パネルは、家屋の屋根など太陽光の当たる場所に設置される。太陽光パネルは太陽光を受光して発電する。パワーコンディショナは、太陽光パネルで発電した直流電力を交流電力に変換する。パワーコンディショナは、PV(Photovoltaic)インバータ或いは単にインバータとも呼ばれる。ほとんどの場合、パワーコンディショナは太陽光パネルよりも低い位置に設置される。
【0003】
太陽光発電装置は火力を使用しないため安全性が高いといわれる。
しかし、太陽光発電装置が水没すると漏電や感電の危険がある。太陽光発電装置は、太陽光パネルに太陽光が当たっているかぎり、太陽光パネルにより発電し続けるからである。
【0004】
そこで、パワーコンディショナの水没が発生したときに太陽電池パネルからパワーコンディショナへの電力を遮断する太陽光発電装置が提案された(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-216660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の太陽光発電装置によれば、パワーコンディショナの電力入力部における感電の危険性を低減し得る。
しかし、太陽光パネルは、太陽光が当たっているかぎり発電し続けるため、太陽光パネルの出力電流による感電の危険がある。このため例えば、漂流している太陽光パネルや漂着・放置されている太陽光パネルは、パワーコンディショナと切り離されているか否かにかかわらず、感電の危険がある。
【0007】
したがって、太陽光発電装置は、平常時には安全性が高い反面、太陽光パネルが水没すると感電の危険性があり、二次被害を引き起こす可能性がある。すなわち、太陽光パネルが設置された家屋が津波や河川の反乱などにより水没した場合、晴天の日中は感電の危険性があるため、避難、救助、復旧作業、等が遅れてしまう可能性がある。また、実際には太陽光パネルが設置されていない場合でも、太陽光パネルが設置されている可能性のある家屋や太陽光パネルが漂着している可能性のある場所では、慎重に作業を行う必要があるため、避難、救助、復旧作業、等が遅れてしまう可能性がある。
【0008】
本発明は太陽光パネルの水没による二次災害を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態の太陽光発電装置は、太陽光パネルが水没報知手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態の太陽光発電装置は、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知して二次災害を抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の太陽光発電装置の概念図である。
図2】第1実施形態の水没報知装置の概念図である。
図3】第1実施形態の検知部の概念図である。(a)は非水没時の状態を示す図である。(b)は水没時の状態を示す図である。
図4】第2実施形態の太陽光発電装置の概念図である。
図5】第2実施形態の媒介装置の第1の概念図である。
図6】第2実施形態の検知部の概念図である。(a)は非水没時の状態を示す図である。(b)は水没時の状態を示す図である。
図7】第2実施形態の媒介装置の第2の概念図である。
図8】第3実施形態の太陽光発電装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
[構成]
図1に示すように、第1実施形態の太陽光発電装置1は、太陽光パネル(モジュール)10と、接続箱20と、パワーコンディショナ30と、を有する。太陽光パネル10は複数の太陽電池セルを有する。太陽光パネル10は一対の出力端子11を有する。接続箱20は一対の入力端子21と一対の出力端子22とを有する。パワーコンディショナ30は一対の入力端子31と一対の出力端子32とを有する。太陽光パネル10の出力端子11は、ケーブル70を介して接続箱20の入力端子21に接続されている。接続箱20の出力端子22は、ケーブル70を介してパワーコンディショナ30の入力端子31に接続されている。パワーコンディショナ30の一対の出力端子32はケーブル(不図示)を介して受電設備(不図示)に接続されている。太陽光パネル10は出力端子11から直流電力を出力する。接続箱20は、太陽光パネル10が出力する直流電力を集電し、パワーコンディショナ30に供給する。パワーコンディショナ30は、太陽光パネル10から接続箱20を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、受電設備(不図示)に供給する。
【0014】
太陽光パネル10は、水没報知装置(水没報知手段)40を有する。水没報知装置40は、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知するための装置である。ここで、水没とは、太陽光パネル10の全体又は一部が水没したことを意味する。また、周囲とは、太陽光パネル10の近くの領域(例えば、太陽光パネル10から数メートル以内の領域)、太陽光パネル10の近くにいる人(例えば、太陽光パネル10から数メートル以内の距離にいる人)、水没した太陽光パネル10の出力電流による感電の危険性のある人、水没した太陽光パネル10の近くにいる人、等を意味する。これらの人には、例えば、太陽光パネル10が設置された家屋などから避難する人、太陽光パネル10が設置された家屋などから人やペットの救助を行う人、太陽光パネル10が設置された家屋などを含む領域で復旧作業を行う人、太陽光パネル10が設置された家屋などを含む領域で捜索作業を行う人、等が含まれる。
【0015】
水没報知装置40は耐水性である。水没報知装置40は、太陽光パネル10が出力する直流電力を用いて動作する。水没報知装置40は、図2に示すように、検知部41と報知部42とを有する。検知部41は、太陽光パネル10が水没したことを検知するための構成要素である。報知部42は、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知するための構成要素である。
【0016】
太陽光パネル10が水没したことを検知する方法は任意である。図3に例示する検知部41は、一対の電極411、412を有する。電極411、412は、例えば太陽光パネル10の背面(下面)又はその近傍に設けられる。図3(a)に示すように、通常時(非水没時)には、電極411、412間は空気Aにより絶縁されている。一方、図3(b)に示すように、水没時には、両電極411、412間は水Wにより短絡する。矢印Cは、短絡により両電極411、412間に流れる電流を表している。検知部41は、両電極411、412間の短絡を太陽光パネル10の水没として検知する。
【0017】
報知部42は、検知部41により水没が検知されると(図3の例では、両電極411、412間が短絡すると)、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0018】
水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する態様は任意である。例えば、図2に示す報知部42は、振動発生源(振動発生手段)421を有する。振動発生源421の例として、スピーカ、バイブレータ、等を挙げることができる。スピーカは、警報音(空気振動)を発生する手段である。警報音を発生することにより、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に聴覚的に報知できる。また、警報音として、水没した太陽光パネル10による感電の危険性があることを報知するための音声メッセージをスピーカから出力することにより、感電の危険性をより明確に周囲に報知し注意を促すことができる。音声メッセージには、それが放音されている場所すなわち、水没した太陽光パネル10に近づかないように促すメッセージ(例えば、「感電!危険!近づかないで!感電!危険!近づかないで!・・・」、「水没した太陽光パネルがあります。感電の危険があります。近づかないでください」、等)が含まれる。バイブレータは、太陽光パネル10そのものを振動(固体振動)させる手段である。太陽光パネル10そのものを振動させることにより、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に視覚的に報知できる。例えば、太陽光パネル10の振動により水面に一定周期で波紋が発生することにより、水没した太陽光パネル10の存在を報知し注意を促すことができる。また、太陽光パネル10の振動に起因して可聴音が発生することにより、水没した太陽光パネル10の存在を聴覚的に報知し注意を促すことができる。
【0019】
報知部42を作動させる態様は任意である。例えば、報知部42の非作動/作動を切り替える切替手段として、公知の常開接点装置を使用することができる。常開接点装置は、固定接点と、固定接点に対して接離可能な可動接点と、を有する。常開接点装置は報知部42への電力供給路に設けられる。常開接点装置は通常時(非水没時)には開いた状態を維持し、報知部42への電力の供給を遮断している。一方、検知部41の両電極411、412間が短絡すると、そのことをトリガとして、常開接点装置は閉じる。これにより、報知部42に電力が供給される。電力が供給されることにより、報知部42は作動し、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0020】
また、図3に例示する一対の電極411、412自体を、報知部42の非作動/作動を切り替える切替手段として使用することもできる。この場合、両電極411、412は、報知部42への電力供給路に設けられ、両電力間が短絡することにより報知部42に電力が供給される。電力が供給されることにより、報知部42は作動し、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0021】
[動作]
上記のように構成された第1実施形態の太陽光発電装置1は、太陽光パネル10が水没すると、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0022】
[効果]
上記のように構成され動作する第1実施形態の太陽光発電装置1によれば、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。水没した太陽光パネル10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0023】
以下の説明では、既に説明した構成要素と共通の構成要素には同一符号を付してその説明を適宜省略する。
[第2実施形態]
[構成]
図4に示すように、第2実施形態の太陽光発電装置2は、太陽電池モジュールストリング50と、接続箱20と、パワーコンディショナ30と、を有する。太陽電池モジュールストリング50は、複数の太陽光パネル(太陽電池モジュール)10を有する。複数の太陽光パネル10は、電気的に互いに直列に接続されている。隣り合う太陽光パネル10同士は、媒介装置60及び2本のケーブル70を介して電気的に接続されている。媒介装置60は、相隣接する両太陽光パネル10を互いに電気的に直列に接続する2本のケーブル(電力経路)70を媒介する。媒介装置60は、自身が媒介する両ケーブル70の端子70a、70b間の電気的接続を、非常時(水没時)に遮断する機能(電力経路遮断機能)を有する。
【0024】
太陽光パネル10は、水没報知装置(水没報知手段)40を各々有する。水没報知装置40は、太陽光パネル10の水没を検知すると、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0025】
媒介装置60は耐水性である。媒介装置60は太陽光パネル10の背面(下面)又はその近傍に配置される。媒介装置60は、太陽光パネル10が出力する直流電力に
より動作する。媒介装置60は、図5に示すように、検知部61と通電遮断部62とを有する。検知部61は、太陽光パネル10が水没したことを検知するための構成要素である。通電遮断部62は、相隣接する太陽光パネル10から延びるケーブル70の端子70aと端子70bとの間の導通を遮断するための構成要素(通電遮断装置)である。
【0026】
太陽光パネル10が水没したことを検知する態様は任意である。図6に例示する検知部61は、一対の電極611、612を有する。電極611、612は、例えば媒介装置60の筐体63(図7参照)の外面に設けられる。図6(a)に示すように、通常時(非水没時)には、電極611、612間は空気Aにより絶縁されている。一方、図6(b)に示すように、水没時には、両電極611、612間は水Wにより短絡する。矢印Cは、短絡により両電極611、612間に流れる電流を示している。検知部61は、両電極611、612間の短絡を太陽光パネル10の水没として検知する。
【0027】
電気遮断部62は、検知部61により水没が検知されると(図5の例では、両電極611、612間が短絡すると)、自身が媒介する両ケーブル70間の電気的接続を遮断する。その結果、互いに直列に接続された相隣接する太陽光パネル10間の電気的接続(通電)が遮断される。
【0028】
両ケーブル70間の電気的接続を遮断する態様は任意である。例えば、図5に示すように、電気遮断部62として常閉接点装置621を使用することができる。常閉接点装置621は、固定接点621aと、固定接点621aに対して接離可能な可動接点621bと、を有する。常閉接点装置621は両ケーブル70の端子70a、70b間の電力経路に設けられる。常閉接点装置621は通常時(非水没時)には閉じた状態を維持し、両ケーブル70間を電気的に接続している。この場合、検知部61の両電極611、612間が短絡したことをトリガとして、破線で示すように常閉接点装置621が開く。これにより、両ケーブル70間の電気的接続が遮断される。
【0029】
また、電気遮断部62として、図7に例示するように、アクチュエータ622を使用することができる。図7(a)に例示するように、アクチュエータ622の作動前には、ケーブル70の端子(雄端子)70aと媒介装置60の端子(雌端子)60bとは互いに接続されている。アクチュエータ622は、検知部61の両電極611、612間が短絡したことをトリガとして作動する。アクチュエータが作動すると、図7(b)に例示するように、ケーブル70が媒介装置60から完全に切り離される。すなわち、アクチュエータ622は、媒介装置60により媒介される両ケーブル70を電気的並びに構造的(機械的)に分離する。これにより、両ケーブル70間の電気的接続がより効果的に遮断される。アクチュエータ622の動力源として例えば電磁ソレノイドを用いることができる。
【0030】
[作用]
上記のように構成された第2実施形態の太陽光発電装置2は、太陽光パネル10が水没すると、互いに直列に接続された相隣接する太陽光パネル10間の電気的接続を遮断する。その結果、平常時には電気的に互いに直列に接続されていた複数の太陽光パネル10が、各々電気的に単体の太陽光パネル10に分離される。これにより、複数の太陽光パネル10が電気的に互いに直列に接続されている場合と比較して出力電圧が低下し、感電事故の危険度が低減される。例えば、図4に例示する太陽電池モジュールストリング50の場合、各々電気的に単体の3台の太陽光パネル10に分離することにより、開放電圧を理論上3分の1に低減することができる。
【0031】
また、上記のように構成された第2実施形態の太陽光発電装置2は、太陽光パネル10が水没すると、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0032】
[効果]
上記のように構成され作用する第2実施形態の太陽光発電装置2によれば、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害(避難、救助、復旧作業、等の遅れ)を抑制し得るとともに、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。水没した太陽光パネル10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0033】
[第3実施形態]
[構成]
図8に示すように、第3実施形態の太陽光発電装置3の水没報知装置80は、太陽光パネル10に装着される。水没報知装置80は耐水性である。水没報知装置80は、太陽光パネル10が出力する直流電力を用いて動作する。水没報知装置80は、太陽光パネル10の両出力端子11に接続される一対の入力端子81と、ケーブル70がそれぞれ接続される一対の出力端子82と、太陽光パネル10が水没したことを検知するための検知部41と、太陽光パネル10が水没したことを報知するための報知部42と、を有する。報知部42は、太陽光パネル10が水没したことが検知部41により検知されたら、水没した太陽光パネル10が存在することを周囲に報知する。
【0034】
[作用]
上記のように構成された第3実施形態の水没報知装置80は、既存の太陽光パネル10に後付けで装備可能である。そして、水没報知装置80は、それを備えた太陽光パネル10が水没した場合に、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に報知する。
【0035】
[効果]
上記のように構成され動作する第3実施形態の水没報知装置80によれば、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に報知して注意を促し、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。水没した太陽光パネル10の存在が周囲に報知されることで、感電しないように注意しつつ、避難、救助、復旧作業、等を行うことができる。
【0036】
[その他の実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態において、水没報知装置40は、既存のすなわち水没報知装置40を有していない太陽光パネル10に後付けで装備されるものであってもよい。また、水没報知装置40は、太陽光パネル10に統合されたものであってもよい。
【0037】
第2実施形態において、媒介装置60は、太陽光パネル10の水没時の異常電流により溶断する電流ヒューズを有してもよい。この構成によれば、太陽光パネル10の水没時に電流ヒューズが溶断し、太陽電池モジュールストリング50を構成する太陽光パネル10間の電気的接続が遮断される。この場合、電流ヒューズは、検知部61及び電気遮断部62として機能する。
【0038】
第2実施形態において、媒介装置60は、太陽光パネル10に統合されたものであってもよい。この場合、検知部61は、例えば太陽光パネル10の背面(下面)に設けられる。また、電気遮断部62は、例えば太陽光パネル10の出力端子11部に設けられる。そして、電気遮断部62は、太陽光パネル10の水没が検知部61により検知されると、太陽光パネル10の出力端子11と当該出力端子11に接続されたケーブル70との間の電気的接続を遮断する。これにより、太陽電池モジュールストリング50を構成する太陽光パネル10間の電気的接続が遮断される。この構成によれば、ケーブル70間を媒介する媒介装置60を省略し、太陽光発電装置2の構成を簡略化できる。
【0039】
第2実施形態において、太陽光発電装置2は、複数の太陽電池モジュールストリング50を互いに並列に電気的に接続した太陽電池モジュールアレイを有するものであってもよい。
【0040】
第1実施形態及び第2実施形態では、水没報知装置40を太陽光パネル10に設けたが、太陽光発電装置1、2のその他の構成要素(例えば、接続箱20、ケーブル70、等)に設けてもよい。
【0041】
第3実施形態において、水没報知装置80は、電気遮断部62を有するものであってもよい。この場合、電気遮断部62は、太陽光パネル10が水没したことが検知部41により検知されると、太陽光パネル10の出力端子11と当該出力端子11に接続されたケーブル70との間の電気的接続を遮断する。この構成は、第2実施形態の場合のように、太陽電池モジュールストリング50を有する太陽光発電装置2の水没報知装置に好適である。すなわち、電気遮断部62を有する水没報知装置80を、太陽電池モジュールストリング50を構成する既存の太陽光パネル10に装備することにより、ケーブル70とケーブル70とを媒介する媒介装置60を省略し、太陽光発電装置2の構成を簡素化することができる。そして、太陽光パネル10が水没した場合に、互いに直列に接続された相隣接する太陽光パネル10間の電気的接続を遮断するとともに、水没した太陽光パネル10の存在を周囲に報知することができる。
【0042】
第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態において、水没報知装置40、80の報知部42は、晴天の日中でも視認可能な輝度で発光可能な光源を有し、太陽光パネル10が水没したときに当該光源を発光させて、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に視覚的に報知するものであってもよい。また、報知部42は、当該光源と振動発生源421とを有し、発光及び振動(空気振動、固体振動)による報知動作を行うものであってもよい。これにより、水没した太陽光パネル10の存在をより確実に周囲に報知できる。発光の態様は任意である。発光の態様の態様として、例えば、一定輝度で発光を継続する連続発光、所定の周期で発光(点灯)と非発光(消灯)とを繰り返す点滅発光、所定の周期で発光波長を変化させる変色発光、振動のパターンに同期して発光(点灯)又は非発光(消灯)する同期発光、等を挙げることができる。
【0043】
第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態において、太陽光発電装置1、2、3は、家屋や地面に設置されるものであっても、移動体(車両、航空機、船舶、等)に搭載されるものであってもよい。
【0044】
この明細書は少なくとも以下の構成を開示するものである。なお、本発明の構成要素は以下の括弧内の符号付き構成要素に限定されない。
構成1:
水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知装置(水没報知装置40、水没報知装置80)を備えた太陽光パネル(太陽光パネル10)。
この構成によれば、水没した太陽光パネルの存在を周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0045】
構成2:
構成1の太陽光パネルにおいて、前記水没報知装置は前記太陽光パネルが出力する電力で動作する。
この構成によれば、外部から電力供給を受けることなく或いはバッテリを装備することなく、水没した太陽光パネルの存在を周囲に報知し得る。水没報知装置は、太陽光パネルに太陽光が当たっているときにのみ機能し、太陽光パネルに太陽光が当たっていなければ、太陽光パネルの水没時であっても機能しない。しかし、太陽光が当たっていなければ太陽光パネルは発電せず、感電の危険はないので問題ない。
【0046】
構成3:
構成1又は構成2の太陽光パネルにおいて、前記水没報知装置は、前記太陽光パネルが水没したことを検知するための検知部(検知部41)と、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための報知部(報知部42)と、を有する。報知部は、太陽光パネルが水没したことが検知部により検知されたら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する。
この構成によれば、太陽光パネルの水没を検知部により検知し報知部により報知する、という簡単な構成により、太陽光パネルの水没発生時にそのことを確実に周囲に報知できる。
【0047】
構成4:
構成3の太陽光パネルにおいて、前記報知部は、水没した太陽光パネルが存在することを振動により周囲に報知するための振動発生源(振動発生源421)を有する。
この構成によれば、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知手段として振動発生源を採用したことにより、太陽光パネルの水没が晴天の日中に発生した場合でも、水没した太陽光パネルが存在することを効果的に周囲に報知することができる。すなわち、太陽光パネルが発電するのは太陽光パネルに太陽光が当たっているときであるので、水没報知手段として光源を採用し発光による報知を行ったとしても、その報知動作は認識され難い可能性が高いが、振動発生源により振動(音、水没報知装置の振動、太陽光パネルの振動、水没報知装置の振動に伴う水面の振動、太陽光パネルの振動に伴う水面の振動、太陽光パネルに接する物の振動、水没報知装置に接する物の振動、等)を発生させて報知を行うことにより、その報知動作は認識され易くなる。音には、水没報知装置の振動音、太陽光パネルの振動音、が含まれる。太陽光パネルに接する物及び水没報知装置に接する物の例として、水害により流出した塵、瓦礫、木の枝葉、等を挙げることができる。
【0048】
構成5:
構成3の太陽光パネルにおいて、前記検知部は、水没によって短絡する一対の電極を有し、前記報知部は、前記一対の電極の間が短絡したら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する。
この構成によれば、太陽光パネルの水没を検知するための水没検知手段として、水没によって短絡する一対の電極を採用したことにより、水没検知手段を極めて簡単な構成で実現できる。
【0049】
構成6:
電気的に互いに直列に接続された複数の太陽光パネルと、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知装置と、前記太陽光パネルが水没したときに太陽光パネル間の通電を遮断するための通電遮断装置(通電遮断部62)と、を有する太陽光発電装置。
この構成によれば、太陽光発電装置は、太陽光パネルが水没したときに電力経路を遮断するとともに、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する。水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知して注意を促すことにより、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。相隣接する両太陽光パネルを互いに電気的に直列に接続する電力経路を遮断して、互いに電気的に直列に接続された複数の太陽光パネルを有するシステムの太陽光発電による出力電圧を低下させることにより、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。
【0050】
構成7:
太陽光パネルに装着される水没報知装置(水没報知装置80)であって、前記太陽光パネルが水没したことを検知するための検知部と、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、前記報知部は、前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する水没報知装置。水没報知装置は、例えば、太陽光パネルの出力端子部に装着され、太陽光パネルが出力する直流電力により動作する。
この構成によれば、水没報知装置を太陽光パネルに装着しておくことにより、太陽光パネルが水没した場合に、水没した太陽光パネルの存在を周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0051】
構成8:
太陽光パネルを有する太陽光発電装置であって、前記太陽光パネルは、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための水没報知装置を備えている太陽光発電装置(太陽光発電装置1、太陽光発電装置2、太陽光発電装置3)。
この構成によれば、太陽光パネルが水没したときに、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知して、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。
【0052】
構成9:
相隣接する両太陽光パネルを互いに電気的に直列に接続する電力経路(ケーブル70)を媒介する媒介装置(媒介装置60)であって、前記太陽光パネルが水没したことを検知するための検知部と、前記電力経路を遮断するための通電遮断部と、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知するための報知部と、を有し、前記通電遮断部は、前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら前記電力経路を遮断し、前記報知部は、前記太陽光パネルが水没したことが前記検知部により検知されたら、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知する、媒介装置。媒介装置は、太陽光パネルが出力する直流電力により動作する。
この構成によれば、相隣接する両太陽光パネルを互いに電気的に直列に接続する電力経路に媒介装置を介在させておくことにより、太陽光パネルが水没したときに電力経路を遮断するとともに、水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知することができる。水没した太陽光パネルが存在することを周囲に報知して注意を促すことにより、感電の危険性による二次災害を抑制し得る。相隣接する両太陽光パネルを互いに電気的に直列に接続する電力経路を遮断して、互いに電気的に直列に接続された複数の太陽光パネルを有するシステムの太陽光発電による出力電圧を低下させることにより、感電事故が発生した場合の危険度を減少させ得る。
【符号の説明】
【0053】
1 太陽光発電装置
2 太陽光発電装置
3 太陽光発電装置
10 太陽光パネル(モジュール)
11 出力端子
20 接続箱
21 入力端子
22 出力端子
30 パワーコンディショナ
31 入力端子
32 出力端子
40 水没報知装置(水没報知手段)
41 検知部
42 報知部
411 電極
412 電極
50 太陽電池モジュールストリング
60 媒介装置
61 検知部
62 通電遮断部(通電遮断装置)
611 電極
612 電極
621 常閉接点装置
621a 固定接点
621b 可動接点
622 アクチュエータ
63 筐体
70 ケーブル(電力経路)
70a 端子
70b 端子
80 水没報知装置(水没報知手段)
81 入力端子
82 出力端子
A 空気
W 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8