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特開2024-9772非線形補償性能の評価方法、装置及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009772
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】非線形補償性能の評価方法、装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/073 20130101AFI20240116BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20240116BHJP
【FI】
H04B10/073
H04B17/309
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107301
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202210808020.6
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・コォ
(72)【発明者】
【氏名】タオ・ジェヌニン
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102KA12
5K102KA39
5K102LA04
5K102LA05
5K102LA11
5K102LA38
5K102LA53
(57)【要約】
【課題】本発明は、非線形補償性能の評価方法、装置及び通信システムを提供する。
【解決手段】該方法は、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価するステップを含み、該確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号の確率密度関数(PDF)がノッチング前と比べて変わらない信号である。例えば、確率保持ノッチ信号を生成し、該確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の該確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定し、該スペクトルに基づいて該非線形補償処理の性能を推定する。確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いることで、非線形補償された信号の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトルを便利、且つ正確に測定することができる。該残留する非線形歪みの電力スペクトルは、通信システムの実際のBERと良好な一対一の対応関係を確立することができるため、非線形補償の性能を正確に推定することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形補償性能の評価装置であって、
確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価し、
前記確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号の確率密度関数がノッチング前と比べて変わらない信号である、装置。
【請求項2】
確率保持ノッチ信号を生成する生成部と、
前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する補償部と、
前記スペクトルに基づいて前記非線形補償処理の性能を推定する推定部と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記生成部は、実際の通信システムにより伝送される信号のタイプに応じて、対応する確率保持ノッチ信号を生成し、前記確率保持ノッチ信号の確率密度関数は、前記実際の通信システムにより伝送される信号の確率密度関数と同一又は類似であり、前記確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記補償部は、
生成された前記確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行うプリディストーション部と、
送信機を用いて、デジタルプリディストーション処理された前記確率保持ノッチ信号を送信する第1の送信部と、
電気スペクトラムアナライザ又は光スペクトラムアナライザを用いて、デジタルプリディストーション処理されて前記送信機を通過した後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する測定部と、を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記補償部は、
送信機を用いて、生成された前記確率保持ノッチ信号を送信する第2の送信部と、
受信機を用いて前記確率保持ノッチ信号を受信する受信部と、
前記受信機により受信された前記確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行う後補償部と、
前記非線形後補償処理された前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算する第1の計算部と、を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記スペクトルに基づいて雑音電力比を計算し、計算された前記雑音電力比を補正し、補正後の前記雑音電力比に基づいて前記非線形補償処理の性能を推定する、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記推定部は、異なる周波数における前記雑音電力比に対して雑音電力比の平均値を求め、前記平均値に基づいて前記非線形補償処理の性能を推定する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含み、
前記異なる周波数における雑音電力比は、1つ又は2つのノッチ帯域のみを含み、且つノッチ帯域の中心周波数がそれぞれ異なる複数の前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものであり、或いは、前記異なる周波数における雑音電力比は、複数の異なるノッチ帯域を含む1つの前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
確率保持ノッチ信号を生成する生成装置と、
生成された前記確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行うデジタルプリディストーション装置と、
デジタルプリディストーション処理された前記確率保持ノッチ信号を送信する送信機と、
デジタルプリディストーション処理されて前記送信機を通過した後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定するスペクトラムアナライザと、
前記送信機により送信された前記確率保持ノッチ信号を受信する受信機と、を含む、通信システム。
【請求項10】
確率保持ノッチ信号を生成する生成装置と、
生成された前記確率保持ノッチ信号を送信する送信機と、
前記確率保持ノッチ信号を受信する受信機と、
受信された前記確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行う補償装置と、
前記非線形後補償処理された前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算する計算装置と、を含む、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に関し、特に非線形補償性能の評価方法、装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発展に伴い、送受信機(transceiver)、特に送信機デバイスの非線形性が通信システムの伝送性能に与える影響は益々重要になっている。このため、送受信機デバイスの非線形性の影響に対抗する様々な非線形補償技術が開発されている。
【0003】
所在する位置に応じて、これらの非線形補償技術は、一般に、送信機側に位置するデジタルプリディストーション(Digital Pre-distortion:DPD)と受信機側に位置する非線形後補償(Post-compensation)との2つの主要な種類に分けられてもよい。
【0004】
実際の配備では、多数の非線形補償方法から最適な技術的解決策を選択し、最適なプリディストーション装置又は後補償装置の係数を決定することが重要であり、それは便利、且つ正確な非線形補償性能の評価方法に依存する。
【0005】
1つの一般的で正確な評価方法は、ばか力(brute-force)式のビット誤り率(Bit Error Rate:BER)の解析方法であり、また、それと類似するエラーベクトル振幅(Error Vector Magnitude:EVM)の解析方法がある。BER及びEVMの両方は、通信システムの伝送性能を正確に表現することができるが、これらの測定は、デジタルストレージオシロスコープ(Digital Storage Oscilloscope:DSO)及び受信機の介在を必要とし、特にデジタルプリディストーション性能評価では、実装が容易ではない。また、高速DSOは高価であり、容易に入手することができない。さらに、BER及びEVMは、様々な要因の影響を受けるため、BER又はEVMからだけでは、送受信機デバイスの非線形補償の動作が正常であるか否かを直接判断することができない。
【0006】
もう1つの便利な評価方法は、補償された信号の隣接チャネル電力比(Adjacent Channel Power Ratio:ACPR)又は帯域外の相互変調歪み(Intermodulation Distortion:IMD)電力を周波数領域で直接測定することである。無線通信システムでは、この方法は、通常、電気スペクトラムアナライザ(Electrical Spectrum Analyzer:ESA)により実現される。光通信システムでは、この方法は、通常、光スペクトラムアナライザ(Optical Spectrum Analyzer:OSA)により実現される。しかし、この方法は非常に便利であるが、ACPRでも帯域外のIMDでも、現在のチャネルの非線形効果により生成された他のチャネルへの干渉を反映しており、現在のチャネルのBERと信頼性のある一対一の対応関係を確立することができないため、非線形補償技術の真の性能を正確に評価することができない。また、広帯域信号の場合、ACPR及び帯域外のIMDは、送受信機及び測定機器の帯域制限の影響を受けやすい。
【0007】
なお、上述した背景技術の説明は、本発明の技術案を明確、完全に理解させるための説明であり、当業者を理解させるために記述されているものである。これらの技術案は、単なる本発明の背景技術部分として説明されたものであり、当業者により周知されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の問題を鑑み、本発明の実施例は、非線形補償の性能を正確に推定することができる、非線形補償性能の評価方法、装置及び通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例の1つの態様では、非線形補償性能の評価装置であって、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価し、前記確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号の確率密度関数がノッチング前と比べて変わらない信号である、装置を提供する。
【0010】
幾つかの態様では、前記装置は、確率保持ノッチ信号を生成する生成部と、前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する補償部と、前記スペクトルに基づいて前記非線形補償処理の性能を推定する推定部と、を含む。
【0011】
本発明の実施例のもう1つの態様では、非線形補償性能の評価方法であって、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価するステップ、を含み、前記確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号の確率密度関数がノッチング前と比べて変わらない信号である、方法を提供する。
【0012】
幾つかの態様では、該方法は、確率保持ノッチ信号を生成するステップと、前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定するステップと、前記スペクトルに基づいて前記非線形補償処理の性能を推定するステップと、を含む。
【0013】
本発明の実施例のもう1つの態様では、確率保持ノッチ信号を生成する生成装置と、生成された前記確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行うデジタルプリディストーション装置と、デジタルプリディストーション処理された前記確率保持ノッチ信号を送信する送信機と、デジタルプリディストーション処理されて前記送信機を通過した後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定するスペクトラムアナライザと、前記送信機により送信された前記確率保持ノッチ信号を受信する受信機と、を含む、通信システムを提供する。
【0014】
本発明の実施例のもう1つの態様では、確率保持ノッチ信号を生成する生成装置と、生成された前記確率保持ノッチ信号を送信する送信機と、前記確率保持ノッチ信号を受信する受信機と、受信された前記確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行う補償装置と、前記非線形後補償処理された前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算する計算装置と、を含む、通信システムを提供する。
【0015】
本発明の実施例の有利な効果は以下の通りである。確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いることで、非線形補償された信号の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトルを便利、且つ正確に測定することができる。該残留する非線形歪みの電力スペクトルは、通信システムの実際のBERと良好な一対一の対応関係を確立することができるため、非線形補償の性能を正確に推定することができる。
【0016】
本発明の特定の実施形態は、後述の説明及び図面に示すように、詳細に開示され、本発明の原理を採用されることが可能な方式を示している。なお、本発明の実施例は、範囲上には限定されるものではない。本発明の実施例は、添付されている特許請求の範囲の主旨及び内容の範囲内、各種の改変、修正、及び均等的なものが含まれる。
【0017】
ある一つの実施形態に説明及び又は示されている特徴は、同一又は類似の方式で一つ又は多くの他の実施形態に使用されてもよく、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよく、他の実施形態における特徴を代替してもよい。
【0018】
なお、用語「含む/有する」は、本文に使用される際に、特徴、要素、ステップ又は構成要件の存在を意味し、一つ又は複数の他の特徴、要素、ステップ又は構成要件の存在又は追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例の1つの図面及び1つの実施形態に記載された要素及び特徴は、1つ又はさらに多くの図面又は実施形態に示された要素及び特徴と組み合わせてもよい。また、図面において、類似の符号は複数の図面における対応する素子を示し、1つ以上の実施形態に用いられる対応素子を示してもよい。
【0020】
ここで含まれる図面は、本発明の実施例を理解させるためのものであり、本明細書の一部を構成し、本発明の実施例を例示するためのものであり、文言の記載と合わせて本発明の原理を説明する。なお、ここに説明される図面は、単なる本発明の実施例を説明するためのものであり、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面を容易に得ることができる。
図1】本発明の実施例に係る非線形補償性能の評価方法の1つの概略図である。
図2】本発明の実施例に係る非線形補償性能の評価方法のもう1つの概略図である。
図3】生成された確率保持ノッチ信号のスペクトルの1つの概略図である。
図4図2の実施例のステップ202の1つの態様の概略図である。
図5】デジタルプリディストーション処理及び実際の非線形システムにより処理されたPM-notch信号のスペクトルの概略図である。
図6図2の実施例のステップ202のもう1つの態様の概略図である。
図7】本発明の実施例に係る非線形補償性能の評価装置の1つの概略図である。
図8図7の装置の補償部の1つの態様の概略図である。
図9図7の装置の補償部のもう1つの態様の概略図である。
図10】本発明の実施例に係る通信システムの1つの概略図である。
図11】本発明の実施例に係る通信システムのもう1つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面及び下記の説明により理解できるものである。明細書及び図面では、本発明の特定の実施形態、即ち本発明の原則に従う一部の実施形態を表すものを公開している。なお、本発明は説明される実施形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内の全ての修正、変更されたもの、及び均等なものを含む。
【0022】
本発明の実施例では、用語「第1」、「第2」などは、タイトルで異なる要素を区別するために用いられるが、これらの要素の空間的配列又は時間的順序などを表すものではなく、これらの要素はこれらの用語に制限されない。用語「及び/又は」は、関連するリストに列挙された用語の1つ又は複数のうち何れか1つ及び全ての組み合わせを含む。用語「含む」、「包括する」、「有する」などは、列挙された特徴、要素、素子又は構成部材の存在を意味するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、素子又は構成部材の存在又は追加を排除するものではない。
【0023】
本発明の実施例では、単数形の「1つ」、「該」などは複数形を含み、「1種類」又は「1類」と広義的に理解されるべきであり、「1個」に限定されない。また、用語「前記」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、単数形及び複数形両方を含むと理解されるべきである。また、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、用語「に記載の」は「少なくとも一部に記載の」と理解されるべきであり、用語「に基づいて」は「少なくとも一部に基づいて」と理解されるべきである。
【0024】
以下は、図面を参照しながら本発明の実施例の各態様を説明する。
【0025】
<実施例1>
本発明の実施例は、非線形補償性能の評価方法を提供する。
【0026】
図1は、本発明の実施例に係る非線形補償性能の評価方法の1つの概略図である。図1に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0027】
ステップ101:確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価する。該確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号の確率密度関数(Probability Density Function:PDF)がノッチング前と比べて変わらない信号である。
【0028】
本発明の実施例によれば、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いることで、非線形補償された信号の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトルを便利、且つ正確に測定することができる。該残留する非線形歪みの電力スペクトルは、通信システムの実際のBERと良好な一対一の対応関係を確立することができるため、非線形補償の性能を正確に推定することができる。
【0029】
図2は、本発明の実施例に係る非線形補償性能の評価方法のもう1つの概略図である。図2に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0030】
ステップ201:確率保持ノッチ信号を生成する。
【0031】
ステップ202:該確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の該確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する。
【0032】
ステップ203:該スペクトルに基づいて該非線形補償処理の性能を推定する。
【0033】
なお、以上の図2は、単なる本発明の実施例を概略的に説明するものであり、本発明はこれに限定されない。例えば、各ステップの実行順序を適切に調整してもよいし、他のステップを追加したり、その一部のステップを削除したりしてもよい。当業者は、上記の内容に従って適切な変形を行ってもよく、上記の図2の説明に限定されない。
【0034】
本発明の実施例では、確率保持ノッチ信号をテスト信号とすることで、非線形補償後の信号の残留する帯域内非線形歪みに対応する雑音電力比(Noise Power Ratio:NPR)を容易に直接測定することができる。また、テスト信号のノッチ周波数を変更することで、完全な帯域内歪みの電力スペクトルを取得することができる。
【0035】
ここで、ノッチは、テスト信号のある周波数における電力が非常に小さく、ほぼゼロであることを意味するため、このように非線形補償された後、該周波数においてスペクトラムアナライザにより測定された信号の電力は、非線形補償された後の残留する非線形歪みの量である。また、非線形効果及び非線形補償の作用効果は、デバイス自体の非線形特性及び具体的な補償方法だけでなく、システムの入力信号の統計的特徴にも関係するからである。実際の通信システムでは、ノッチのない信号を用いているが、測定では、ノッチのある信号を用いている。確率保持の特性によれば、測定された非線形効果及び非線形補償の作用効果と実際の非線形効果及び非線形補償の作用効果とを一致させることができる。この帯域内歪みの電力スペクトルは、通信システムの性能を表現するBERと正確な一対一の対応関係を確立することができるため、デジタルプリディストーション装置又は非線形後補償装置の性能を正確に評価することができる。
【0036】
本発明の実施例では、確率保持ノッチ信号の生成方法に限定されず、例えば、実際の通信システムにより伝送される信号のタイプに応じて、対応する確率保持ノッチ信号を生成してもよい。該確率保持ノッチ信号のPDFは、該実際の通信システムにより伝送される信号のPDFと同一又は類似であり、該確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含む。図3は、生成された確率保持ノッチ信号のスペクトルの1つの概略図である。
【0037】
上記の実施例では、実際に伝送される信号の代わりに、生成された該確率保持ノッチ信号を用いて、非線形補償の性能を推定してもよい。
【0038】
例えば、実際の通信システムにより伝送される信号がPAM8信号である場合、確率密度関数(PDF)がPAM8と同一又は類似であり、且つ周波数領域において1つ又は複数のノッチ帯域を含むPM-notch信号(確率保持ノッチ信号)を生成する。理想的なPAM8信号の確率密度関数は8つのδ関数である。類似とは、δ関数の代わりに、一定の幅を有するパルス関数を用いることを意味し、パルスの幅は、類似の程度を表し、測定精度の条件に基づいて決定された所定の値である。また、該PM-notch信号のスペクトルは、ノッチ帯域以外の箇所において、実際に伝送されるPAM8信号のスペクトルとほぼ同一である。実際の通信システムにより伝送される信号が64QAM又は確率的整形(Probabilistic Shaping:PS)64QAM信号である場合、対応して生成されたPM-notch信号については同様である。
【0039】
上記の実施例では、確率保持ノッチ信号のノッチ帯域の中心周波数及び帯域幅に限定されず、実際の状況に応じて合理的に選択されてもよい。
【0040】
本発明の実施例では、評価すべき非線形補償技術がデジタルプリディストーションに属する場合、上記のステップ202は、図4に示す方法により実現されてもよい。図4に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0041】
ステップ401:生成された確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行う。
【0042】
ステップ402:送信機を用いて、デジタルプリディストーション処理された確率保持ノッチ信号を送信する。
【0043】
ステップ403:電気スペクトラムアナライザ又は光スペクトラムアナライザを用いて、デジタルプリディストーション処理されて送信機を通過した後の確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する。
【0044】
上記のステップ401において、生成された確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行ってもよい。
【0045】
本発明は、デジタルプリディストーションのタイプに限定されない。例えば、間接学習(Indirect Learning:IDL)アーキテクチャに基づいてもよいし、直接学習(Direct Learning:DL)アーキテクチャに基づいてもよい。デジタルプリディストーションモデルは、Volterra級数であってもよいし、記憶多項式、Winnerモデル又はHammersteinモデルなどのVolterra級数の簡略化されたモデルであってもよいし、ルックアップテーブル(Look Up Table:LUT)であってもよい。
【0046】
また、本発明は、デジタルプリディストーションが実施される際の信号のサンプリングレートに限定されなく、即ち、評価すべきデジタルプリディストーションは、シンボル領域において動作してもよいし、波形領域において動作してもよい。
【0047】
上記のステップ402において、送信機を用いて、デジタルプリディストーション処理された確率保持ノッチ信号を送信してもよい。
【0048】
本発明の実施例では、送信機全体は実際の非線形システムであり、非線形歪みは主にその内部の幾つかの構成要素により引き起こされる。無線送信機の場合、この構成要素は、通常、電力増幅器(Power Amplifier:PA)であり、光送信機の場合、この構成要素は、通常、ドライバ(Driver)及びマッハツェンダー変調器(Mach-Zehnder Modulator:MZM)である。
【0049】
上記のステップ403において、電気スペクトラムアナライザ又は光スペクトラムアナライザを用いて、デジタルプリディストーション処理されて実際の非線形システムを通過した後のPM-notch信号のスペクトルを測定して、該スペクトルに基づいて該デジタルプリディストーション処理の性能を推定してもよい。
【0050】
幾つかの態様では、該スペクトルに基づいて雑音電力比(NPR)を計算し、該雑音電力比(NPR)に基づいて該非線形補償処理の性能を推定してもよい。好ましくは、計算された前記雑音電力比(NPR)を補正し、補正後の雑音電力比(NPR)に基づいて該非線形補償処理の性能を推定してもよい。例えば、異なる周波数における雑音電力比(NPR)に対して雑音電力比の平均値を求め、該平均値に基づいて該非線形補償処理の性能を推定する。
【0051】
幾つかの態様では、該確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含み、該異なる周波数における雑音電力比は、1つ又は2つのノッチ帯域のみを含み、且つノッチ帯域の中心周波数がそれぞれ異なる複数の該確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものであり、或いは、該異なる周波数における雑音電力比は、1つの確率保持ノッチ信号(例えば、複数の異なるノッチ帯域を含む確率保持ノッチ信号)に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものである。
【0052】
例えば、生成されたPM-notch信号に数の少ない(1つ又は2つなどの)ノッチ帯域のみが含まれる場合、ノッチ帯域の中心周波数が異なる複数のPM-notch信号を生成し、図4のプロセスを繰り返し、複数回の測定により、信号の通過帯域内の異なる周波数におけるNPRを取得してもよい。
【0053】
また、例えば、生成されたPM-notch信号に複数のノッチ帯域が含まれる場合、1回の測定により、信号の通過帯域内の異なる周波数におけるNPRを取得すればよい。
【0054】
上記の2つの方法のいずれによっても、信号の通過帯域内の異なる周波数におけるNPR、即ち、残留帯域内歪みの完全な電力スペクトルを測定することができる。本発明は、具体的な方法に限定されず、具体的な実際の要求に応じて方法を決定してもよい。
【0055】
上記の態様では、生成されたPM-notch信号のノッチ深さは有限であり、一定の干渉成分を含み、雑音電力比NPRを用いて記述されてもよい。この干渉成分は、電気スペクトラムアナライザ又は光スペクトラムアナライザにより取り込まれて、NPRの測定結果を干渉するため、本発明の実施例では、以下の式を用いてNPRの測定結果を補正してもよい。
【0056】
NPR=1/(1/NPR-1/NPR
PM-notch信号は測定前に生成されているため、上記の式ではNPRが既知である。異なる周波数におけるNPRの平均を求めることによって、残留帯域内歪みに対応する平均雑音電力比<NPR>を取得することができる。<NPR>は、システムの実際のBERと良好な一対一の対応関係を有するため、現在のデジタルプリディストーション装置の性能を正確に評価することができる。
【0057】
図5は、デジタルプリディストーション処理及び実際の非線形システムにより処理されたPM-notch信号のスペクトルの概略図である。図5に示すように、NPRは、信号電力Psに対する雑音電力Pnの比であり、即ち、NPR=Pn/Ps。
【0058】
本発明の実施例では、評価すべき非線形補償技術が非線形後補償に属する場合、上記のステップ202は、図6に示す方法により実現されてもよい。図6に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0059】
ステップ601:送信機を用いて、生成された確率保持ノッチ信号を送信する。
【0060】
ステップ602:受信機を用いて該確率保持ノッチ信号を受信する。
【0061】
ステップ603:受信機により受信された確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行う。
【0062】
ステップ604:非線形後補償処理された確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算する。
【0063】
上記のステップ601において、送信機を用いて、生成された確率保持ノッチ信号を送信してもよい。該送信機は、非線形システムとして機能し、その非線形歪みは、主にその内部の幾つかの構成要素により引き起こされる。その詳細はステップ403において既に説明されており、ここでその内容を援用し、その説明を省略する。
【0064】
上記のステップ602において、受信機を用いて、送信機により送信された該確率保持ノッチ信号を受信してもよい。該受信機は、非線形システムとしても機能し、トランスインピーダンス増幅器(Tran-impedance Amplifier:TIA)はその主な非線形ソースである。
【0065】
上記のステップ603において、受信された確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行う。本発明は、非線形後補償処理の方法に具体的に限定されず、Volterra級数の非線形等化器に基づいてもよいし、ニューラルネットワークの非線形等化器に基づいてもよい。
【0066】
上記のステップ604において、非線形後補償処理された確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算し、該スペクトルに基づいて該非線形後補償処理の性能を推定してもよい。
【0067】
通常、非線形後補償処理された信号は、既に離散的な信号サンプル点であるため、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)により対応する信号のスペクトルを直接計算することができる。
【0068】
上記の態様では、計算されたスペクトルから、該確率保持ノッチ信号の通過帯域内の異なる周波数におけるNPR、即ち、残留帯域内歪みの完全なスペクトルを得ることができる。NPRは非線形補償処理の性能を測定又は表現しているため、該雑音電力比から非線形補償処理の性能を推定することができる。
【0069】
上記の態様では、NPRを計算する方法及び計算されたNPRを補正する方法は、図4の例と同様であり、ここでその説明を省略する。
【0070】
なお、以上の図4及び図6は、単なる本発明の実施例を概略的に説明するものであり、本発明はこれに限定されない。例えば、各ステップの実行順序を適切に調整してもよいし、他のステップを追加したり、その一部のステップを削除したりしてもよい。当業者は、上記の内容に従って適切な変形を行ってもよく、上記の図4及び図6の説明に限定されない。
【0071】
上記の実施例は、本発明の実施例を例示するだけであり、本発明はこれに限定されず、上記の各実施例に基づいて適切な変形を行ってもよい。例えば、上記の各実施例のそれぞれを単独で使用してもよいし、上記の各実施例の1つ又は複数を組み合わせて使用してもよい。例えば、上記のデジタルプリディストーション処理と上記の非線形後補償処理とを同時に行って、プリディストーションと後補償との共通性能を評価してもよい。
【0072】
本発明の実施例の方法によれば、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いることで、デジタルプリディストーション処理された信号の非線形システムを通過した後の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトル、又は非線形システムにより出力された信号の非線形後補償処理された後の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトル、又はデジタルプリディストーション及び非線形後補償の両方により処理された後の信号の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトルを便利、且つ正確に測定することができる。該電力スペクトルは、通信システムのBERと一対一の対応関係を有するため、非線形補償の性能を正確に評価することができる。
【0073】
<実施例2>
本発明の実施例は、非線形補償性能の評価装置を提供する。該非線形補償性能の評価装置は、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価する。該確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号の確率密度関数がノッチング前と比べて変わらない信号である。該装置の問題を解決する原理は実施例1の方法と同様であるため、その具体的な実施は実施例1の方法の実施を参照してもよく、同様な内容についてその説明を省略する。
【0074】
図7は、本発明の実施例に係る非線形補償性能の評価装置の1つの概略図である。図7に示すように、非線形補償性能の評価装置700は、生成部701、補償部702及び推定部703を含む。
【0075】
生成部701は、確率保持ノッチ信号を生成する。補償部702は、該確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の該確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する。推定部703は、該スペクトルに基づいて該非線形補償処理の性能を推定する。
【0076】
幾つかの態様では、生成部701は、実際の通信システムにより伝送される信号のタイプに応じて、対応する確率保持ノッチ信号を生成する。該確率保持ノッチ信号の確率密度関数は、実際の通信システムにより伝送される信号の確率密度関数と同一又は類似であり、該確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含む。
【0077】
図8は、補償部702の1つの態様の概略図である。図8に示すように、幾つかの態様では、補償部702は、以下の各部を含む。
【0078】
プリディストーション部801は、生成された該確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行う。
【0079】
第1の送信部802は、送信機を用いて、デジタルプリディストーション処理された該確率保持ノッチ信号を送信する。
【0080】
測定部803は、電気スペクトラムアナライザ又は光スペクトラムアナライザを用いて、デジタルプリディストーション処理されて送信機を通過した後の確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定する。
【0081】
図9は、補償部702のもう1つの態様の概略図である。図9に示すように、幾つかの態様では、補償部702は、以下の各部を含む。
【0082】
第2の送信部901は、送信機を用いて、生成された確率保持ノッチ信号を送信する。
【0083】
受信部902は、受信機を用いて該確率保持ノッチ信号を受信する。
【0084】
後補償部903は、受信機により受信された確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行う。
【0085】
第1の計算部904は、非線形後補償処理された確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算する。
【0086】
幾つかの態様では、推定部703は、該スペクトルに基づいて雑音電力比を計算し、計算された雑音電力比を補正し、補正後の雑音電力比に基づいて非線形補償処理の性能を推定する。
【0087】
上記の態様では、推定部703は、異なる周波数における雑音電力比に対して雑音電力比の平均値を求め、該平均値に基づいて非線形補償処理の性能を推定する。
【0088】
上記の態様では、確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含み、異なる周波数における雑音電力比は、1つ又は2つのノッチ帯域のみを含み、且つノッチ帯域の中心周波数がそれぞれ異なる複数の確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものであり、或いは、異なる周波数における雑音電力比は、複数の異なるノッチ帯域を含む1つの確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものである。
【0089】
なお、以上の図7乃至図9は、単なる本発明の実施例を概略的に説明するものであり、本発明はこれに限定されない。例えば、各ステップの実行順序を適切に調整してもよいし、他のステップを追加したり、その一部のステップを削除したりしてもよい。当業者は、上記の内容に従って適切な変形を行ってもよく、上記の図7乃至図9の説明に限定されない。
【0090】
上記の実施例は、本発明の実施例を例示するだけであり、本発明はこれに限定されず、上記の各実施例に基づいて適切な変形を行ってもよい。例えば、上記の各実施例のそれぞれを単独で使用してもよいし、上記の各実施例の1つ又は複数を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
本発明の実施例の装置によれば、確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いることで、デジタルプリディストーション処理された信号の非線形システムを通過した後の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトル、又は非線形システムにより出力された信号の非線形後補償処理された後の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトル、又はデジタルプリディストーション及び非線形後補償の両方により処理された後の信号の残留する帯域内非線形歪みの電力スペクトルを便利、且つ正確に測定することができる。該電力スペクトルは、通信システムのBERと一対一の対応関係を有するため、非線形補償の性能を正確に評価することができる。
【0092】
<実施例3>
本発明の実施例は、通信システムを提供する。
【0093】
図10は、本発明の実施例に係る通信システムの1つの概略図である。図10に示すように、通信システム1000は、生成装置1001、デジタルプリディストーション装置1002、送信機1003、スペクトラムアナライザ1004及び受信機1005を含む。ここで、生成装置1001は、確率保持ノッチ信号を生成し、図2のステップ201により実現されてもよい。デジタルプリディストーション装置1002は、生成された確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行い、図4のステップ401により実現されてもよい。送信機1003は、デジタルプリディストーション処理された確率保持ノッチ信号を送信し、図4のステップ402により実現されてもよい。スペクトラムアナライザ1004は、デジタルプリディストーション処理されて送信機を通過した後の確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定し、図4のステップ403により実現されてもよい。スペクトラムアナライザ1004は、電気スペクトラムアナライザであってもよいし、光スペクトラムアナライザであってもよく、本発明はその態様に限定されない。受信機1005は、送信機により送信された確率保持ノッチ信号を受信する。受信機1005の構成及び態様は、関連技術を参照してもよく、ここでその説明を省略する。また、実施例1では、ステップ201及びステップ401~ステップ403について既に説明したため、ここでその内容を援用し、その説明を省略する。
【0094】
上記の態様では、測定されたスペクトルから、上記のデジタルプリディストーション処理(非線形補償処理)の性能を推定することができる。具体的な態様は、実施例1のステップ203を参照してもよく、その説明を省略する。
【0095】
図11は、本発明の実施例に係る通信システムのもう1つの概略図である。図11に示すように、通信システム1100は、生成装置1101、送信機1102、受信機1103、補償装置1104及び計算装置1105を含む。生成装置1101は、確率保持ノッチ信号を生成し、図2のステップ201により実現されてもよい。送信機1102は、生成された確率保持ノッチ信号を送信し、図6のステップ601により実現されてもよい。受信機1103は、該確率保持ノッチ信号を受信し、図6のステップ602により実現されてもよい。補償装置1104は、受信された確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行い、図6のステップ603により実現されてもよい。計算装置1105は、非線形後補償処理された確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算し、図6のステップ604により実現されてもよい。
【0096】
上記の態様では、計算されたスペクトルから、上記の非線形後補償処理(非線形補償処理)の性能を推定することができる。具体的な態様は、実施例1のステップ203を参照してもよく、その説明を省略する。
【0097】
上記の図10及び図11は、本発明に関連する通信システムの構成及び機能についてのみ説明したものであり、他の構成要素をさらに含んでもよく、関連技術を参照してもよく、ここでその説明を省略する。
【0098】
本発明の実施例は、非線形補償性能の評価装置又はコンピュータ機器においてプログラムを実行する際に、コンピュータに、該非線形補償性能の評価装置又はコンピュータ機器に上記実施例1に記載の方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムをさらに提供する。
【0099】
本発明の実施例は、非線形補償性能の評価装置又はコンピュータ機器に上記実施例1に記載の方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する、記憶媒体をさらに提供する。
【0100】
本発明の上記の装置及び方法は、ハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアを結合して実現されてもよい。本発明はコンピュータが読み取り可能なプログラムに関し、該プログラムはロジック部により実行される際に、該ロジック部に上述した装置又は構成要件を実現させる、或いは該ロジック部に上述した各種の方法又はステップを実現させることができる。本発明は上記のプログラムを記憶するための記憶媒体、例えばハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリ等に関する。
【0101】
本発明の実施例を参照しながら説明した方法/装置は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせで実施されてもよい。例えば、図面に示す機能的ブロック図における1つ若しくは複数、又は機能的ブロック図の1つ若しくは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよいし、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、図面に示す各ステップにそれぞれ対応してもよい。これらのハードウェアモジュールは、例えばフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールをハードウェア化して実現されてもよい。
【0102】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、モバイルハードディスク、CD-ROM又は当業者にとって既知の任意の他の形の記憶媒体に位置してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ったり、記憶媒体に情報を書き込むように該記憶媒体をプロセッサに接続してもよいし、記憶媒体がプロセッサの構成部であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体はASICに位置する。該ソフトウェアモジュールは移動端末のメモリに記憶されてもよいし、移動端末に挿入されたメモリカードに記憶されてもよい。例えば、機器(例えば移動端末)が比較的に大きい容量のMEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置を用いる場合、該ソフトウェアモジュールは該MEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置に記憶されてもよい。
【0103】
図面に記載されている一つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの一つ以上の組合せは、本願に記載されている機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理装置、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の適切な組み合わせで実現されてもよい。図面に記載されている一つ以上の機能ブロック及び/又は機能ブロックの一つ以上の組合せは、例えば、コンピューティング機器の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSP通信と組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成で実現されてもよい。
【0104】
以上は具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明しているが、上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び原理を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び変更を行ってもよく、これらの変形及び変更も本発明の範囲に属する。
【0105】
また、上述の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
非線形補償性能の評価方法であって、
確率保持ノッチ信号をテスト信号として用いて非線形補償性能を評価するステップ、を含み、
前記確率保持ノッチ信号は、ノッチング後の信号のPDF(確率密度関数)がノッチング前と比べて変わらない信号である、方法。
(付記2)
S1:確率保持ノッチ信号を生成するステップと、
S2:前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行い、処理後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定するステップと、
S3:前記スペクトルに基づいて前記非線形補償処理の性能を推定するステップと、を含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
S1は、
実際の通信システムにより伝送される信号のタイプに応じて、対応する確率保持ノッチ信号を生成するステップであって、前記確率保持ノッチ信号のPDFは、前記実際の通信システムにより伝送される信号のPDFと同一又は類似であり、前記確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含む、ステップ、を含む、付記2に記載の方法。
(付記4)
S2は、
S21:生成された前記確率保持ノッチ信号に対してデジタルプリディストーション処理を行うステップと、
S22:送信機を用いて、デジタルプリディストーション処理された前記確率保持ノッチ信号を送信するステップと、
S23:電気スペクトラムアナライザ又は光スペクトラムアナライザを用いて、デジタルプリディストーション処理されて前記送信機を通過した後の前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを測定するステップと、を含む、付記2に記載の方法。
(付記5)
S2は、
S21’:送信機を用いて、生成された前記確率保持ノッチ信号を送信するステップと、
S22’:受信機を用いて前記確率保持ノッチ信号を受信するステップと、
S23’:前記受信機により受信された前記確率保持ノッチ信号に対して非線形後補償処理を行うステップと、
S24’:前記非線形後補償処理された前記確率保持ノッチ信号のスペクトルを計算するステップと、を含む、付記2に記載の方法。
(付記6)
S3は、
S31:前記スペクトルに基づいて雑音電力比(NPR)を計算するステップと、
S33:前記雑音電力比(NPR)に基づいて前記非線形補償処理の性能を推定するステップと、を含む、付記2に記載の方法。
(付記7)
S3は、
S32:計算された前記雑音電力比(NPR)を補正するステップ、をさらに含み、
S33において、補正後の雑音電力比(NPR)に基づいて前記非線形補償処理の性能を推定する、付記6に記載の方法。
(付記8)
S33は、
異なる周波数における前記雑音電力比(NPR)に対して雑音電力比の平均値を求めるステップと、
前記平均値に基づいて前記非線形補償処理の性能を推定するステップと、を含む、付記6又は7に記載の方法。
(付記9)
前記確率保持ノッチ信号は、1つ又は複数のノッチ帯域を含み、
前記異なる周波数における雑音電力比は、1つ又は2つのノッチ帯域のみを含み、且つノッチ帯域の中心周波数がそれぞれ異なる複数の前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものであり、或いは、前記異なる周波数における雑音電力比は、複数の異なるノッチ帯域を含む1つの前記確率保持ノッチ信号に対して非線形補償処理を行った後に測定されたものである、付記8に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11