(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097724
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001402
(22)【出願日】2023-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707CX01
3C707EU11
3C707HS27
3C707HT02
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT06
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】トレーへの盛り付け時等に、各食品片がばらばらになりにくく、集合体の状態の乱れを少なくすることのできるロボットハンドを実現すること。
【解決手段】食品を掬い上げて移動させるロボットハンドに、単一の食品片または食品片の集合体を、正方向への移動によって掬い上げ、逆方向への移動によって下ろす第1ベルト装置を設け、この第1ベルト装置の上側に間隔をおいて第2ベルト装置を配置し、第1ベルト装置の上面と第2ベルト装置の下面との上下間隔を変更する作動部材を設ける。また、第1ベルト装置の上面に掬い上げられることによって垂れ下がった食品または集合体の端部を、第1ベルト装置の下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、第1ベルト装置の下面側に折り畳みながら押し上げる作動部材を設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を掬い上げて移動させるロボットハンド(27)であって、このロボットハンド(27)に、単一の食品片(m)または食品片(m)の集合体(M)を、正方向への移動によって掬い上げ、逆方向への移動によって下ろす第1ベルト装置(PS)を設け、この第1ベルト装置(PS)の上側に間隔をおいて第2ベルト装置(TS)を配置し、前記第1ベルト装置(PS)の上面と第2ベルト装置(TS)の下面との上下間隔を変更する作動部材(63L,63R)を設けたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記第1ベルト装置(PS)の上面と前記第2ベルト装置(TS)の下面とが同方向に移動するように構成した請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記第2ベルト装置(TS)を、ロボットハンド(27)の本体(27S)に対して固定的に支持し、前記第1ベルト装置(PS)の上面を、前記作動部材(63L,63R)によって、第2ベルト装置(TS)の下面に対して上下動させるように構成した請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
載置状態の食品片(m)または集合体(M)を、正方向へ移動する第1ベルト装置(PS)の上面と前記第2ベルト装置(TS)の下面との間の間隔部(VL)に導入しながら掬い上げ、前記作動部材(63L,63R)によって前記第1ベルト装置(PS)の上面と第2ベルト装置(TS)の下面との上下間隔を縮小して、掬い上げた食品片(m)または集合体(M)を挟んだ状態で保持する一方、前記作動部材(63L,63R)によって前記第1ベルト装置(PS)の上面と第2ベルト装置(TS)の下面との上下間隔を拡大して、食品片(m)または集合体(M)の保持を解除し、前記第1ベルト装置(PS)の上面および第2ベルト装置(TS)の下面を逆方向へ移動させて、この食品片(m)または集合体(M)を下ろすように構成した請求項1または請求項2または請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記第2ベルト装置(TS)を、ロボットハンド(27)の本体(27S)に対して着脱可能に構成した請求項4に記載のロボットハンド。
【請求項6】
食品を掬い上げて移動させるロボットハンド(27)であって、このロボットハンド(27)に、単一の食品片(m)または食品片(m)の集合体(M)を、正方向への移動によって掬い上げ、逆方向への移動によって下ろす第1ベルト装置(PS)を設け、この第1ベルト装置(PS)の上面に掬い上げられることによって垂れ下がった食品片(m)または集合体(M)の端部を、前記第1ベルト装置(PS)の下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、前記第1ベルト装置(PS)の下面側に折り畳みながら押し上げる作動部材(63L,63R)を設けたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項7】
前記第1ベルト装置(PS)に、略平行な姿勢で上下に近接配置した上ベルト(43U)および下ベルト(43D)を備え、この上ベルト(43U)の上面と下ベルト(43D)の下面とが同方向に移動するように構成した請求項6に記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記上ベルト(43U)の上面に掬い上げることによって垂れ下がった食品片(m)または集合体(M)の端部を、前記作動部材(63L,63R)によって下ベルト(43D)の下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、下ベルト(43D)の下面側に折り畳みながら押し上げるように構成した請求項7に記載のロボットハンド。
【請求項9】
前記作動部材(63L,63R)による食品片(m)または集合体(M)の端部の押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、前記上ベルト(43U)および下ベルト(43D)を逆方向へ移動させて折り畳まれた食品片(m)または集合体(M)を下ろすように構成した請求項8に記載のロボットハンド。
【請求項10】
前記作動部材(63L,63R)を、ロボットハンド(27)の本体(27S)に対して着脱自在に構成した請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工工場では、塊状の生肉等の食品が、切断装置によってその先端部から所定間隔で順次切断され、食品片としてコンベア上に切り出される。
また、これらの複数の食品片は、その一部が互いに重なるように、ずらしながらコンベア上に順次載置され、複数の食品片からなる集合体が形成される。
この集合体を、作業者がヘラのような道具を使って掬い上げ、食品用のトレーに盛り付ける。
トレーに盛り付けられた集合体は、このトレーごと包装され、食品の種類、計測された総重量、価格等が印字されたラベルが貼られて、商品として出荷される。
【0003】
近年、このような食品片または集合体の盛り付け作業を自動化する試みがなされており、例えば特許文献1には、食品片をロボットハンドに備えたベルト装置によって掬い上げ、所定の位置に載置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたロボットハンドには、掬い上げた集合体の状態を保持する手段が備えられていない。
すなわち、集合体を形成する各食品片どうしの付着性を高める手段が設けられていないため、掬い上げた集合体を下ろすときに各食品片がばらばらになり、集合体の状態が乱れる問題が起こりうる。
【0006】
例えば、冷凍状態やチルド状態の塊状の生肉から切り出した肉片を、その一部が互いに重なるように載置した集合体の場合、その温度や油脂含有状態によって各肉片どうしの付着性が低くなることがある。
このため、トレーへの盛り付け時等に各食品片がばらばらになりやすく、集合体の盛り付け状態が乱れやすくなる。
これによって集合体の手直しが必要となり、生産能率が低下する問題を抱えていた。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決し、トレーへの盛り付け時等に、各食品片がばらばらになりにくく、集合体の状態の乱れを少なくすることのできるロボットハンドを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、食品を掬い上げて移動させるロボットハンド(27)であって、このロボットハンド(27)に、単一の食品片(m)または食品片(m)の集合体(M)を、正方向への移動によって掬い上げ、逆方向への移動によって下ろす第1ベルト装置(PS)を設け、この第1ベルト装置(PS)の上側に間隔をおいて第2ベルト装置(TS)を配置し、前記第1ベルト装置(PS)の上面と第2ベルト装置(TS)の下面との上下間隔を変更する作動部材(63L,63R)を設けたことを特徴とするロボットハンドとする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第1ベルト装置(PS)の上面と前記第2ベルト装置(TS)の下面とが同方向に移動するように構成した請求項1に記載のロボットハンドとする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記第2ベルト装置(TS)を、ロボットハンド(27)の本体(27S)に対して固定的に支持し、前記第1ベルト装置(PS)の上面を、前記作動部材(63L,63R)によって、第2ベルト装置(TS)の下面に対して上下動させるように構成した請求項2に記載のロボットハンドとする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、載置状態の食品片(m)または集合体(M)を、正方向へ移動する第1ベルト装置(PS)の上面と前記第2ベルト装置(TS)の下面との間の間隔部(VL)に導入しながら掬い上げ、前記作動部材(63L,63R)によって前記第1ベルト装置(PS)の上面と第2ベルト装置(TS)の下面との上下間隔を縮小して、掬い上げた食品片(m)または集合体(M)を挟んだ状態で保持する一方、前記作動部材(63L,63R)によって前記第1ベルト装置(PS)の上面と第2ベルト装置(TS)の下面との上下間隔を拡大して、食品片(m)または集合体(M)の保持を解除し、前記第1ベルト装置(PS)の上面および第2ベルト装置(TS)の下面を逆方向へ移動させて、この食品片(m)または集合体(M)を下ろすように構成した請求項1または請求項2または請求項3に記載のロボットハンドとする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記第2ベルト装置(TS)を、ロボットハンド(27)の本体(27S)に対して着脱可能に構成した請求項4に記載のロボットハンドとする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、食品を掬い上げて移動させるロボットハンド(27)であって、このロボットハンド(27)に、単一の食品片(m)または食品片(m)の集合体(M)を、正方向への移動によって掬い上げ、逆方向への移動によって下ろす第1ベルト装置(PS)を設け、この第1ベルト装置(PS)の上面に掬い上げられることによって垂れ下がった食品片(m)または集合体(M)の端部を、前記第1ベルト装置(PS)の下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、前記第1ベルト装置(PS)の下面側に折り畳みながら押し上げる作動部材(63L,63R)を設けたことを特徴とするロボットハンドとする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記第1ベルト装置(PS)に、略平行な姿勢で上下に近接配置した上ベルト(43U)および下ベルト(43D)を備え、この上ベルト(43U)の上面と下ベルト(43D)の下面とが同方向に移動するように構成した請求項6に記載のロボットハンドとする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記上ベルト(43U)の上面に掬い上げることによって垂れ下がった食品片(m)または集合体(M)の端部を、前記作動部材(63L,63R)によって下ベルト(43D)の下面側に折り畳んでから押し上げるか、または、下ベルト(43D)の下面側に折り畳みながら押し上げるように構成した請求項7に記載のロボットハンドとする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記作動部材(63L,63R)による食品片(m)または集合体(M)の端部の押し上げを解除した後に、または、押し上げを解除しながら、前記上ベルト(43U)および下ベルト(43D)を逆方向へ移動させて折り畳まれた食品片(m)または集合体(M)を下ろすように構成した請求項8に記載のロボットハンドとする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記作動部材(63L,63R)を、ロボットハンド(27)の本体(27S)に対して着脱自在に構成した請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のロボットハンドとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のロボットハンドによれば、食品片の集合体を盛り付けるときなどに、この集合体の状態の乱れを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施形態におけるスライサーとロボットの配置を示す説明用平面図。
【
図3】第1実施例のロボットハンドの説明用右側面図。
【
図4】第1実施例のロボットハンドの説明用左側面図。
【
図5】第1実施例のロボットハンドの説明用平面図。
【
図6】第1実施例のロボットハンドの要部の説明用正面図。
【
図8】実施形態における食品盛り付け制御装置のブロック図。
【
図9】実施形態における食品盛り付け制御のメインフローチャート。
【
図10】第1実施例のロボットハンドによる食品盛り付け制御のサブフローチャート。
【
図11】実施形態におけるロボットハンドの制御点の軌道を示す説明用側面図。
【
図12】第1実施例のロボットハンドによる集合体保持作動の説明図。
【
図13】第1実施例のロボットハンドによる食品盛り付け状態の説明図であって、(a)は盛り付け開始状態の平面図、(b)は盛り付け途中の状態の平面図。
【
図14】第2実施例のロボットハンドの説明用右側面図。
【
図15】第2実施例のロボットハンドの説明用左側面図。
【
図16】第2実施例のロボットハンドの説明用平面図。
【
図17】第2実施例のロボットハンドの要部の説明用正面図。
【
図18】第2実施例の変形例のロボットハンドの説明用右側面図。
【
図19】第2実施例の変形例のロボットハンドの説明用平面図。
【
図20】第2実施例のロボットハンドによる食品盛り付け制御のサブフローチャート。
【
図21】第2実施例のロボットハンドによる集合体保持作動の説明図。
【
図22】第2実施例のロボットハンドによる食品盛り付け状態の説明図であって、(a)は盛り付け開始状態の平面図、(b)は盛り付け途中の状態の平面図。
【
図23】第2実施例の変形例のロボットハンドの要部の説明用正面図。
【
図24】第3実施例のロボットハンドの説明用右側面図。
【
図25】第3実施例のロボットハンドの説明用左側面図。
【
図26】第3実施例のロボットハンドの説明用平面図。
【
図27】第3実施例のロボットハンドの要部の説明用正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に詳述する実施形態において、本発明のロボットハンドにて扱う食品を、チルド状態の塊状の生肉をスライサー1によって所定厚に切断した肉片(請求項の「食品片」)mと、この所定数の肉片mをずらしながら重ねて並列させた集合体Mとして説明する。
また、この肉片mは、スライサー1によって、切断後に二つ折りに折り畳まれたものであってもよい。
なお、本発明のロボットハンドにて扱う食品は、生肉以外の他の食品であってもよく、例えば、加工肉、魚肉、パン等の食品生地等であってもよく、種類を限定しない。
【0021】
(第1搬送装置及び第2搬送装置)
図1、
図2に示すように、スライサー1から切り出された肉片mは、スライサー1に備えた第1搬送装置2によって搬送される。
【0022】
(方向の定義)
なお、上述の第1搬送装置2の搬送方向において、スライサー1側を上流側とし、その反対側を下流側とする。
以下の各図において、「-Y」は上流側の方向を示し、「+Y」は下流側の方向を示す。
「+X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での右手側の方向を示し、「-X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での左手側の方向を示す。
「+Z」は上方向、「-Z」は下方向を示す。
X、Y、Zで示す方向は相互に直交しており、それぞれが三次元座標軸である。
【0023】
しかして、スライサー1から切り出された複数の肉片mを並列させた集合体Mは、そのX軸方向における長さ(幅)が、そのY軸方向における長さよりも長い状態で、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に形成される。
この集合体Mを搬送面3a上から掬い上げて採取するロボット4は、第1搬送装置2に対して、その下流側の左側の位置に配置する。
【0024】
なお、第1搬送装置2は、従動ローラー群と駆動ローラー(共に図示省略)にわたって無端状のベルト3を巻回したベルトコンベアとする。
この第1搬送装置2の終端側には、第1搬送装置2の搬送方向と平面視で直交し、左右方向に延在した第2搬送装置5を配置する。
この第2搬送装置5は、後述するように食品用のトレー6を第1搬送装置2の搬送終端に臨む待機位置へ搬送するベルトコンベアである。
【0025】
また、第1搬送装置2のベルト3は、
図8に示すサーボモータ7によって駆動される。
このサーボモータ7の回転位相は、
図8に示すエンコーダ8により検出され、この検出値がスライサーコントローラ9に入力される。
このスライサーコントローラ9からの出力によってサーボモータ7を制御し、ベルト3を駆動することにより、搬送面3a上の集合体Mを
図2に示す採取位置Tまで搬送する。
【0026】
ベルト3の駆動によって集合体Mが採取位置Tまで搬送されると、ベルト3が一時的に(微小時間)停止し、この停止状態において、採取位置Tにある集合体Mがロボット4によって採取される。
また、第2搬送装置5は、トレー6への設定数の集合体Mの盛り付けが完了するまでは、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6へ集合体Mの盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出すように構成する。
【0027】
(カメラ)
また、
図1及び
図2に示すように、採取位置Tよりも上流側の上方の位置に、採取位置Tに搬送される前(採取される前)の搬送面3a上の集合体Mを撮像するカメラ10を配置する。
【0028】
(ロボットアーム)
前述のロボット4は、食品盛り付け装置として機能する。
図1、
図2に示すように、このロボット4に備えたロボットアーム11は、複数の能動関節の軸J1~J6を中心として、全体の旋回および各部の回動を自在に構成する。
図1、
図8に示すように、この能動関節の軸J1~J6の全てに、サーボモータ12~17を備え、これらのサーボモータ12~17のそれぞれに、回転位置検出器としてのエンコーダ18~23を備える。
【0029】
また、このロボットアーム11は、基台11A、旋回ベース11B、ロアアーム11C、アッパアーム11D、リスト11E、及びハンド取付座11Fから構成する。
基台11Aは、加工工場のフロアまたはスライサー1側に連結された支持台24上に固定し、この基台11Aには、鉛直方向の軸J1周りに旋回ベース11Bを旋回自在に設ける。
この旋回ベース11Bには、水平方向の軸J2周りにロアアーム11Cを上下回動自在に軸支し、このロアアーム11Cの上端には、水平方向の軸J3周りにアッパアーム11Dの基部11DBを上下方回動自在に軸支する。
【0030】
この基部11DBの先端に取り付ける回転体11DRは、基部11DBの軸線に沿う軸J4の周りに回転自在に支持する。なお、軸J4は、軸J3と直交する。
回転体11DRの先端には、リスト11Eを横方向の軸J5周りに回動自在に支持する。この軸J5は、軸J4と直交する。
リスト11Eの先端には、ハンド取付座11Fを上下方向の軸J6周りに旋回自在に装着する。
【0031】
各軸J1~J6に備えたサーボモータ12~17は、後述する食品盛り付け制御装置25のロボットコントローラ26からの出力によって駆動するように構成する。
【0032】
(設定領域R)
図2に示すように、第2搬送装置5によって搬送され、第1搬送装置2の終端よりも下流側に離間する位置に待機させたトレー6の内底面上に、設定領域(盛り付け領域)Rを設定する。
この設定領域Rは矩形の領域として設定し、この設定領域R内において、X軸方向に「行」を設定し、Y軸方向に「列」を設定する。
【0033】
なお、この設定領域Rを設定する位置は、トレー6の底面上以外に、スライサー1周辺の固定位置など、適宜の位置に設定可能とする。
この設定領域R内に複数の集合体Mが置かれることで、集合体Mの再集合体が形成される。
【0034】
(第1実施例のロボットハンド)
まず、ロボットハンド27は、その基本姿勢をY軸方向に沿わせて配置し、「-Y」側から「+Y」側へ移動させながら、搬送面3a上の集合体Mを掬い上げて採取するものである。
このため、このロボットハンド27の構成については、「+Y」方向を「前」、「-Y」方向を「後」、「+X」方向を「右」、「-X」方向を「左」として説明する。
なお、この第1実施例のロボットハンド27で掬い上げる肉片mは、例えば厚さ5mm前後にスライスされた焼肉用の肉片としている。
【0035】
(掬い上げ部-第1ベルト装置)
図3~
図6に示すように、逆L字形状に形成した主支持板28の右側方に間隔をおいて、上下の副支持板29RU,29RDを平行に配置する。
そして、この主支持板28と各副支持板29RU,29RDの間を、左右方向を向く上下の連結棒30,30で連結する。
そして、上下の枠状ローラー31U,31Dの夫々の回転軸32U,32Dを、主支持板28と上下の副支持板29RU,29RDとの間に、夫々回転自在に軸受する。
【0036】
なお、この上下の枠状ローラー31U,31Dは、左右の円盤33,33の間における外周部に、回転軸32U,32Dの軸心方向に沿う各8本の棒体34の左右両端部を溶接固定して形成する。
また、この各8本の棒体34のうちの上下各1本の棒体34A,34Aについては、その左端部を左側の円盤33の基部に固定し、その右端部を右側の円盤33の外周部に形成した切り欠き部に臨ませる。これにより、棒体34A,34Aの夫々が、片持状態で支持される。
【0037】
そして、主支持板28の前方延在部と上下の副支持板29RU,29RDの前端部との間に、上部支持板35Uの後端部に形成した上方屈折部35UKと、下部支持板35Dの後端部に形成した下方屈折部35DKを接合する。
この状態で、主支持板28の前方延在部と、上部支持板35Uにおける左側の上方屈折部35UKとをボルト36で締結固定する。
また、上側の副支持板29RUと、上部支持板35Uにおける右側の上方屈折部35UKとをボルト36で締結固定する。
【0038】
また、主支持板28の前方延在部と、下部支持板35Dにおける左側の下方屈折部35DKとをボルト36で締結固定し、下側の副支持板29RDと、下部支持板35Dにおける右側の下方屈折部35DKとをボルト36で締結固定する。
これによって、上部支持板35Uと下部支持板35Dが、基部(後端部)を固定した状態で前方へ片持状態で延在し、かつ、上下方向に所定の隙間を有した状態で平行に配置される。
【0039】
なお、上部支持板35Uと下部支持板35Dは、いずれも薄い鋼板で形成しているため、上下方向の外力が加わった場合、基部を主支持板28に位置固定したまま、基部よりも先端部側の部位が上下方向に撓む。
この主支持板28を主体として、ロボットハンド27の本体27Sが形成される。
【0040】
また、上下のテンションローラー37U,37Dを回転自在に軸支した上下のテンションアーム38U,38Dの夫々を、主支持板28の右側面(内側面)に摺接ないし近接した位置に配置する。
そして、この上下のテンションアーム38U,38Dの各基部を、前述の上下の回転軸32U,32Dに上下回動自在に夫々軸支する。
【0041】
また、
図5に示すように、主支持板28の左側に間隔をおいて支持板39を配置し、この支持板39と主支持板28の左側面部との間を、連結ピン40を介して連結し、主支持板28と支持板39の間に空間部を形成する。
また、上下の枠状ローラー31U,31Dの回転軸32U,32Dの各端部に固定した上側の入力ギヤ41Uと下側の入力ギヤ41Dとを噛み合わせる。
【0042】
また、支持板39の左側面に固定した電動モータ42によって駆動される出力ギヤ42Gを、上述の空間部内において上側の入力ギヤ41Uに噛み合わせる。
これによって、電動モータ42が駆動すると、上下の枠状ローラー31U,31Dが互いに逆方向へ回転する。
【0043】
しかして、
図7に示すように、帆布等で2つのベルト43,43を形成し、各ベルト43の両端側に、切り欠き部43Sと幅狭部43Tを、ベルト43の幅方向に隣接させた状態で、点対称の位置に形成する。
そして、各ベルト43の一端側に形成した切り欠き部43Sの幅B1を、このベルト43の他端側に形成した幅狭部43Tの幅B2よりも大きく設定する。
【0044】
同様に、各ベルト43,43の他端側に形成した切り欠き部43Sの幅A2を、このベルト43の一端側に形成した幅狭部43Tの幅A1よりも大きく設定する。
このようにして上部ベルト(請求項の「上ベルト」)43Uおよび下部ベルト(請求項の「下ベルト」)43Dが形成される。
そして、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの一端側の幅狭部43Tの端部に、ループ状の係合部43Rを夫々形成し、この係合部43Rを上述の上下の枠状ローラー31U,31Dの各棒体34Aの基部に貫通状態で装着する。
【0045】
そして、上部ベルト43Uの他端側を、上部支持板35Uの上面側から、この上部支持板35Uの先端部で折り返して上部支持板35Uの下面側へ巻回す。
さらに、この上部ベルト43Uの他端側を上側の枠状ローラー31Uに所定長巻回した後、この上部ベルト43Uの他端側の幅狭部43Tに形成した係合部43Rを、上側の枠状ローラー31Uの棒体34Aの先端部側の部位に貫通装着する。
【0046】
一方、下部ベルト43Dの他端側を、下部支持板35Dの上面側から、この下部支持板35Dの先端部で折り返して下部支持板35Dの下面側へ巻回す。
さらに、この下部ベルト43Dの他端側を下側の枠状ローラー31Dに所定長巻回した後、この下部ベルト43Dの他端側の幅狭部43Tに形成した係合部43Rを、下側の枠状ローラー31Dの棒体34Aの先端側の部位に貫通装着する。
【0047】
以上により、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dにおける一端側の幅狭部43Tと他端側の幅狭部43Tとが、互いの間に左右方向の隙間を形成した状態で、各枠状ローラー31U,31Dにおける回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dにおける一端側の幅狭部43Tと他端側の幅狭部43Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0048】
なお、各枠状ローラー31U,31Dに対する上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの一端側の幅狭部43Tの巻き掛け方向と、他端側の幅狭部43Tの巻き掛け方向を、逆方向に設定する。
また、各枠状ローラー31U,31Dの回転による上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを、略同じ長さに設定する。
すなわち、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0049】
なお、
図3、
図5に示すように、各枠状ローラー31U,31Dの直前の位置において、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dにおける一端側の幅狭部43Tの外面に、各テンションローラー37U,37Dを当接させ、各ベルト43U,43Dに張力を与える。
このテンションローラー37U,37Dの上下位置を調節することにより、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの張力を調節することができ、また、作業によって生じる各ベルト43U,43Dの伸びを吸収することができる。
【0050】
以上、上部支持板35U、上部ベルト43U、下部支持板35D、下部ベルト43D、電動モータ42等により、掬い上げ部(請求項の「第1ベルト装置」)PSが形成される。
なお、
図7以外の図面では、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの実体を省略し、その存在位置のみを仮想矢線で示す。
【0051】
(作動部材)
図3~
図5に示すように、前方へ延在する支持部材44の基部を、主支持板28の上面に固定したスペーサ45の前面にボルト46で締結固定する。
そして、この支持部材44の前端部に、作動部48を上下動自在に支持する。
【0052】
すなわち、支持部材44の前端部に、上下動用エアシリンダ49を固定し、この上下動用エアシリンダ49のピストンの上端部に、連結板50をボルト50Bで固定する。
これにより、上下動用エアシリンダ49の伸縮作動によって、連結板50が支持部材44に対して上下動する。
また、連結板50の後端部に、支持部材44に対する連結板50の上昇端位置を規制する螺子部材50Nを取り付ける。
この螺子部材50Nの調節により、後述する左右の回動アーム(請求項の「作動部材」)63L,63Rを備えた作動部48の上昇端位置が上下方向に位置調節される。
【0053】
そして、この連結板50の前端部を、左右方向に配置された支持枠51の中央上部にボルト52で締結固定する。
この支持枠51の前端部には、上下方向の面を有する第1取付板53が、左右方向に延在するように一体形成される。
なお、支持枠51の左右両側部には、後方へ開放する囲繞部51Kが形成されており、支持枠51側に固定される左右のエア式のロータリーアクチュエータ54L,54Rの前部が、この囲繞部51Kによって囲繞される。
【0054】
そして、左右のロータリーアクチュエータ54L,54Rの出力軸55L,55Rは、第1取付板53に貫通形成した左右の孔に挿通し、この第1取付板53の前側に延出させ、この各延出端部に左右の出力ギヤ56L,56Rを固定する。
また、第1取付板53における左右の出力軸55L,55Rの下側の部位に、左右の中間軸57L,57Rの基部を固定し、各中間軸57L,57Rに左右の中間ギヤ58L,58Rを軸受する。
【0055】
そして、第1取付板53の前側に、所定の間隔をおいて第2取付板59を配置し、これら第1取付板53と第2取付板59における上下および左右の部位間を連結棒60で連結する。
また、第1取付板53と第2取付板59との下部における左右両端部に、前後方向に沿う左右の回転軸61L,61Rを貫通状態で軸受する。
そして、これら左右の回転軸61L,61Rにおける第1取付板53と第2取付板59の間の部位に、左右の入力ギヤ62L,62Rを夫々固定する。
【0056】
しかして、上述の左側の出力ギヤ56Lと左側の中間ギヤ58Lを噛み合わせ、この左側の中間ギヤ58Lと左側の入力ギヤ62Lを噛み合わせる。
同様に、右側の出力ギヤ56Rと右側の中間ギヤ58Rを噛み合わせ、この右側の中間ギヤ58Rと右側の入力ギヤ62Rを噛み合わせる。
そして、左右の回転軸61L,61Rにおける第2取付板59よりも前側へ突出した各先端部に、左右の回動アーム(請求項における「作動部材」)63L,63Rの基部に形成したボス部64L,64Rを嵌合し、このボス部64L,64Rを、各回転軸61L,61Rに対して蝶螺子65で締結固定する。
【0057】
これにより、蝶螺子65を緩めることで、左右の回動アーム63L,63Rを左右の回転軸61L,61Rから容易に取り外すことができる。
また、左右の回動アーム63L,63Rを左右の回転軸61L,61Rに取り付け、蝶螺子65を締めて固定することができる。
すなわち、左右の回動アーム63L,63Rがロボットハンド27の本体27Sに対して着脱自在に構成される。
【0058】
図6に示すように、この左右の回動アーム63L,63Rは、それぞれL字形状に屈折形成し、各自由端部に、左右方向内側へ延在する支持部材66L,66Rの基部をボルト67で締結固定する。
なお、この左右の支持部材66L,66Rは、左右の回動アーム63L,63Rに対して正面視で(左右の回転軸61L,61Rの軸心方向視で)直角に固定される。
【0059】
なお、
図3、
図4に示すように、左右の回動アーム63L,63Rの自由端部に長孔68を形成し、この長孔68にボルト67を挿通して、支持部材66L,66Rを締結固定する構成とする。
これにより、ボルト67を緩めて、回動アーム63L,63Rに対する支持部材66L,66Rの固定位置を、各回動アーム63L,63Rの長手方向に調節することができる。
【0060】
また、左右の支持部材66L,66Rの夫々には、左右方向に所定の間隔をおいて複数本(実施例として4本ないし3本)の支持杆69の前後方向中間部を固定する。
この支持杆69は、その後端部が後下がり傾斜姿勢に屈折した形状とする。
以上により、左右の回動アーム63L,63Rを備えた作動部48がアッセンブリーとして構成される。
これによって、上下動用エアシリンダ49が伸長作動すると、左右の回動アーム63L,63Rを含む作動部48全体が上動し、上下動用エアシリンダ49が短縮作動すると、左右の回動アーム63L,63Rを含む作動部48全体が下動する。
【0061】
(規制部-第2ベルト装置)
また、
図3~
図6に示すように、支持部材44の左右外側面に螺子孔71を形成し、側面視で逆へ字形状の左右の支持アーム70L,70Rの基部を、ボルト72で締結固定する。
そして、この左右の支持アーム70L,70Rの前端部に規制部(請求項の「第2ベルト装置」)TSの基部を支持する。
そして、この規制部TSを、上部ベルト43Uの上面と略平行な姿勢で、この上部ベルト43Uの上側に間隔部VLをおいて配置する。
また、この規制部TSの前端部を、掬い上げ部PSの前端部付近まで延在させる。
【0062】
すなわち、
図4に示すように、左側の支持アーム70Lの前端部に、左側の支持側板73Lの基部をボルト74で締結固定する。
また、
図3に示すように、右側の支持側板73Rの基部に取付板75を固定し、この取付板75を、右側の支持アーム70Rの前端部にノブボルト76で締結固定する。
【0063】
また、上述の左右の支持側板73L,73Rの間を複数の連結棒77によって連結して枠組みする。
そして、この左右の支持側板73L,73Rにおける後端部間に入力軸78を回転自在に軸架し、この入力軸78に幅広の駆動ローラー79を固定する。
一方、左右の支持側板73L,73Rにおける前端部外側の部位に、テンション調節機構80を備えた左右の調節板81を固定する。
このテンション調節機構80により、左右の調節板81の前端部間に軸架された従動ローラー82の回転軸83の前後位置を調節することができる。
【0064】
しかして、上述の駆動ローラー79と従動ローラー82にわたって無端状のベルト84を巻き掛ける。
なお、駆動ローラー79と従動ローラー82の間において、ベルト84の下側巻回域の内周面に摺接するガイド部材(図示省略)を設ける。
【0065】
そして、
図4に示すように、下側の枠状ローラー31Dの回転軸32Dの左側端部に固定した出力プーリー85と、入力軸78の左側端部に固定した入力プーリー86とにわたってタイミングベルト87を巻き掛ける。
これによって、上側の枠状ローラー31Uと、下側の枠状ローラー31Dと、駆動ローラー79とが同調して(同タイミング・同速度で)駆動される。
また、規制部TSにおけるベルト84の下側巻回域の下面と、掬い上げ部PSにおける上部ベルト43Uの上面とが、同方向に同速度で駆動されるように、変速比を設定する。
なお、前述の規制部TSの支持構成により、ベルト84における下側巻回域の下面は、ロボットハンド27の本体27Sに対して定位置に保持される。
【0066】
(上下間隔の変更)
しかして、電動モータ42を正転駆動すると、掬い上げ部PSの上部ベルト43Uの上面が後方向(請求項の「正方向」)へ移動するとともに、規制部TSのベルト84の下側巻回域の下面も後方向へ移動する。
これにより、ロボットハンド27の水平方向(+Y方向)への移動によって、第1搬送装置2における搬送面3a上の単一の肉片mまたは肉片mの集合体Mが、上部ベルト43Uの上面に掬い上げられながら、間隔部VLに導入される。
そして、例えば一つの集合体Mが掬い上げられた状態で、左右のロータリーアクチュエータ54L,54Rを駆動すると、左右の回動アーム63L,63Rが内側方(閉鎖方向)へ回動し、左右の支持部材66L,66Rが掬い上げ部PSの下側に入り込む。
【0067】
この状態で、上下動用エアシリンダ49を作動させて作動部48を上動させると、左右の支持部材66L,66Rおよび支持杆69,69によって掬い上げ部PSの下面(下部ベルト43Dの下面)が押し上げられる。
これによって、掬い上げ部PSにおける下部支持板35Dと上部支持板35Uが撓みながら上動し、上部ベルト43Uの上面が、規制部TSのベルト84の下側巻回域の下面に接近する方向へ移動する。
すなわち、上部ベルト43Uの上面と、ベルト84の下側巻回域の下面との上下間隔(請求項の「第1ベルト装置の上面と第2ベルト装置の下面との上下間隔)が縮小する。
この上下間隔の縮小によって、間隔部VLに導入された集合体Mが上部ベルト43Uの上面とベルト84の下側巻回域の下面とで挟まれる(または圧縮される)。
この結果、集合体Mを形成する各肉片mどうしが圧接されて付着力が高まり、並列状態が安定したものとなる。
また、螺子部材50Nを調節することで、作動部48ごと左右の回動アーム63L,63Rの上昇端位置を変更し、上部ベルト43Uの上面とベルト84の下側巻回域の下面との上下間隔の縮小量を調節することができる。
なお、掬い上げ部PSの下面を押し上げる機構として、上述の左右の回動アーム63L,63Rによるものには限定しない。
すなわち、この左右の回動アーム63L,63Rに替えて、掬い上げ部PSの下面を押し上げる専用のエアシリンダ、電動モータ、ソレノイド式のアクチュエータ等を用いた機構を設けてもよい。
【0068】
(着脱装置)
なお、
図3に示すように、ロボットハンド27におけるスペーサ45の斜面(斜辺)と、ロボットアーム11のリスト11Eに設けたハンド取付座11Fとの間に、着脱装置88を設ける。
この着脱装置88と、本体27Sに固定したハンドル89によって、ロボットハンド27をリスト11Eに対して容易に着脱できるものとし、ロボットハンド27の洗浄や、形態の異なるロボットハンド27の交換等の作業を容易に行なうことができる。
【0069】
(食品盛り付け制御装置)
図8に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ26に対して、その入力側に、上述のエンコーダ18~23と、カメラ10を接続する。
一方、ロボットコントローラ26の出力側には、上述のサーボモー12~17と、上下動用エアシリンダ49用のバルブソレノイド90と、左側のロータリーアクチュエータ54L用のバルブソレノイド91と、右側のロータリーアクチュエータ54R用のバルブソレノイド92と、電動モータ42を連繋する。
【0070】
なお、図示を省略しているが、ロボットコントローラ26の出力側には、各サーボモータ12~17および電動モータ42を作動させる個別のリレー回路が介在している。
なお、エアシリンダおよびロータリーアクチュエータ用の空圧は、工場内の圧縮空気供給設備、または、スライサー1に備えたエアポンプから供給される構成とする。
【0071】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ9には、その入力側に上述のエンコーダ8を接続し、その出力側は上述のサーボモータ7を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ26とスライサーコントローラ9を、通信線SLを介して接続する。
以上により、食品盛り付け制御装置25が構成される。
【0072】
(盛り付け制御)
本発明を実施する盛り付け制御について説明する。
図2に示すように、スライサー1によって塊状の生肉が所定の厚さに切断され、切断された肉片(または二つに折り畳まれた肉片)mが第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に順次載置される。
【0073】
搬送面3a上に載置された設定枚数の肉片mは、その一部が互いに重なるように並列されて集合体Mを形成し、この集合体Mどうしの間に既定の隙間を形成した状態で搬送される。
この集合体が採取位置Tに到達したことがエンコーダ8によって検出されたときに、スライサーコントローラ9からロボットコントローラ26へ採取開始信号を出力する。
【0074】
これにより、搬送面3a上に載置された集合体Mの移動状態と、この搬送面3a上の集合体Mを採取するタイミングとが同期する。
なお、設定数の集合体Mを採取しその盛り付けが全て完了したときには、ロボットコントローラ26からスライサーコントローラ9へ盛付完了信号が出力される。
しかして、
図9、
図10に盛り付け制御のフローチャートを示し、
図11にロボットハンド27の制御点(上部ベルト43Uの先端部における幅方向の中心位置)の移動軌跡を示し、
図12にロボットハンド27の作動状態を示し、
図13に集合体Mの盛り付け状態を示す。
なお、
図13では、3枚の肉片mから形成された集合体Mとしているが、集合体Mを形成する肉片mの数は、これに限定されない。
【0075】
(S10A)
図9に示すように、盛り付け制御が開始されると、S10Aにおいて、ロボットコントローラ26からの出力によってロボットアーム11を駆動制御し、ロボットハンド27を格納位置から移動させて、制御点を初期位置であるポイントP0に位置付ける。
このポイントP0は、集合体Mの採取位置Tにおいて、搬送面3aから直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
【0076】
また、このポイントP0において、ロボットハンド27の左右の回動アーム63L,63Rは上方回動した位置に待機している。
すなわち、
図12における(a)に示すように、左右の支持部材66L,66Rが下部ベルト43Dの下側から外側上方へ退避した開放状態となる。
この状態において、電動モータ42は停止しており、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの駆動は停止している。
【0077】
(S12)
S12では、スライサーコントローラ9によって、採取位置Tへ搬送中の集合体Mの属性の取得を行う。
すなわち、ロボットコントローラ26は、カメラ10で撮像した集合外Mの画像を処理し、この結果に基づいて集合体Mの大きさ(集合体MのX軸方向での長さ(幅)と面積)を取得する。
【0078】
(S14)
S14では、ロボットコントローラ26により、固定値として記憶された複数の所定列数Nのうち、使用するトレー6の大きさに対応する所定列数Nが選択される。
また、塊状肉の先端部の厚さ(高さ)及び画像処理に基づく集合体Mの大きさに基づいて、所定行数Mが自動的に算出される。
【0079】
これにより、トレー6の内底面の設定領域R内に、所定行数Mの行と、所定列数Nの列が設定される。
なお、各行、および、各行における各列は、それぞれが等間隔で設定される。
【0080】
(S16)
S16では、ロボットコントローラ26により、列カウンタのカウント値nおよび行カウンタのカウント値mにそれぞれ1をセットし、S18Aの「盛り付け処理」に移行する。
【0081】
(S18A:盛り付け処理)
図10は、S18Aにおける盛り付け処理のフローチャートである。
図13に示すように、最も+X側の列において、最も+Y側の行から-Y側の行へ集合体Mの盛り付け処理がなされ、1つの列が終了すると、この列に対して-X側に隣接する次の列において、同様の盛り付け処理がなされる。
【0082】
(盛り付け処理)
(S100)
ロボットコントローラ26によって「採取目標位置設定処理」および「軌道生成処理」を実行する。
採取目標位置設定処理では、カメラ10で得られた集合体Mの大きさに基づいて、この集合体Mの長さ方向の中心部または中心部の近傍の位置を、採取時の目標点BP(
図2、
図13参照)として設定する。
【0083】
軌道生成処理では、
図11に示すポイントP0からP7への移動、およびポイントP7からP0へ戻る軌道を生成する。
ポイントP0はロボットハンド27の初期位置であり、固定値として設定される。
すなわち、このポイントP0は、スライサー1の第1搬送装置2に備えたベルト3の幅の中心線tの直上方の位置に設定される。
【0084】
ポイントP1は、採取目標位置であり、ポイントP0の下方に位置し、採取位置Tにある集合体Mの目標点BPへアプローチするときのロボットハンド27の位置として設定される。
このポイントP1は、上部ベルト43Uの先端が搬送面3aに対して摺接可能な高さに設定される。
【0085】
ポイントP2は、ポイントP1のX軸座標およびZ軸座標と同じ位置であって、ポイントP1のY軸座標よりも下流側(+Y側)の位置に設定される。
このポイントP1からポイントP2までロボットハンド27の制御点が移動するときに、電動モータ42を正転駆動させながら、採取位置Tにある集合体Mを上部ベルト43Uの上面に掬い上げることとなる。
【0086】
また、ポイントP3のX軸座標およびY軸座標は、ポイントP2と同一に設定し、ポイントP3のZ軸座標はポイントP2のZ軸座標よりも大きく(高く)設定する。
このポイントP3の搬送面3aからの高さは、ロボットハンド27が集合体Mを掬い上げた状態で、この集合体Mの端部が垂れ下がったとしても、この端部が搬送面3aに接触しない高さとする。
【0087】
ポイントP5は、トレー6の内底面上に設定された設定領域Rの上側に所定距離だけ離間した位置に配置し、ロボットハンド27に保持した集合体Mの載置開始位置として設定する。
ポイントP4はポイントP5の直上方の位置に設定する。
【0088】
ポイントP6は、ポイントP5のZ軸座標と同一の位置において、ポイントP5のY軸座標よりも-Y側に配置し、集合体Mの載置終了位置として設定する。
ポイントP7はポイントP6の直上方の位置に設定する。
【0089】
(S101)
ロボットコントローラ26は、スライサーコントローラ9から集合体Mが採取位置Tに位置した際に出力される採取開始信号の受信を待つ。
採取信号を受信すると、S102に移行する。
【0090】
(S102)
ロボットコントローラ26によって、ポイントP1のX軸座標値をS100で得られた採取目標位置のX軸座標に変更する。
【0091】
(S103)
ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を作動制御し、ロボットハンド27に備えた上部ベルト43Uの幅方向での中心点である制御点を、ポイントP0からポイントP1へ下降させ、上部ベルト43Uの先端を搬送面3aに接触ないし近接させる。
【0092】
(S104)
そして、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2まで移動させる。
すなわち、ロボットハンド27に備えた上部ベルト43Uの先端部の幅方向での中心点(制御点)が、目標点BP(集合体Mにおける幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致するように、ロボットハンド27をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、上部ベルト43Uの先端部を集合体M側へ進出させる。
なお、このときロボットハンド27(ないし掬い上げ部PS)は前下がり傾斜した姿勢を維持している。
【0093】
このとき、ロボットコントローラ26から電動モータ42へ出力がなされ、掬い上げ部PSにおける上部ベルト43Uの上面と、規制部TSにおけるベルト84の下面とが正方向(+Y側から-Y側)へ移動して、集合体Mの掬い上げを開始する。(このとき下部ベルト43Dは上部ベルト43Uに対して逆方向へ移動する。)
ただし、この集合体Mの掬い上げは、集合体Mが上部ベルト43Uの上面に載ることで行われるものであり、ベルト84の下面は集合体Mの上面に接触しなくてもよい。
これによって、
図12(a)に示す状態のように、集合体Mは上部ベルト43Uの上面とベルト84の下面との間隔部VLに導入されながら掬い上げられる。
【0094】
なお、このようにして掬い上げられた集合体Mの左右両端部は、上部ベルト43Uの左右端部から外側方へはみだすこともある。
また、集合体Mの掬い上げが完了したとき、または、完了する直前に、ロボットハンド27(ないし掬い上げ部PS)を前下がり傾斜姿勢から水平姿勢へピッチングさせる構成としてもよい。
これによって、掬い上げた集合体Mを安定して保持することができる。
【0095】
(S105)
そして、集合体Mの掬い上げが完了するまでの設定時間の経過後に、電動モータ42への出力を終了して上部ベルト43Uの移動を停止してから、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP3へ移動させる。
なお、上部ベルト43Uとベルト84の移動継続によって集合体Mを掬い上げながら、制御点のポイントP3への移動を開始するように制御することも可能である。
【0096】
(S106)
ポイントP3において、まず、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド91,92へ出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ54L,54Rが回転駆動し、略水平な姿勢にあった左右の回動アーム63L,63Rが、起立姿勢に近付く方向へ回動(閉鎖作動)する。
これによって、
図12の(a)から(b)への変化に示すように、左右の支持部材66L,66Rが掬い上げ部PSの下側に入り込む。
【0097】
そして、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド90へ出力がなされ、上下動用エアシリンダ49が作動して、作動部48ごと左右の支持部材66L,66Rが設定ストロークPPだけ上動する。
これにより、
図12の(b)から(c)への変化に示すように、左右の支持部材66L,66Rおよび支持杆69,69によって掬い上げ部PSの下面(下部ベルト43Dの下面)が押し上げられ、掬い上げ部PSにおける下部支持板35Dと上部支持板35Uが撓みながら上方へ移動する。
これによって、上部ベルト43Uの上面が、ベルト84の下側巻回域の下面に接近する方向へ移動し、上部ベルト43Uの上面と、ベルト84の下側巻回域の下面との上下間隔(間隔部VLの上下長)が所定間隔まで縮小する。
【0098】
この結果、上部ベルト43U上に掬い上げられていた集合体Mが、この上部ベルト43Uの上面とベルト84の下側巻回域の下面とで挟まれ、この集合体Mを形成する各肉片mどうしの圧接(または圧縮ないし圧着)によって並列状態が安定したものとなる。
すなわち、集合体Mを形成する各肉片mの一部が互いに重なっていても、この肉片mが凍結状態またはこれに近い低温状態の場合、含有油脂等による付着力が小さく、並列状態が崩れやすい。
これに対し、上述のようにして集合体Mを上下のベルト間で挟むことで、各肉片m間の付着力が高まり、並列状態が崩れにくくなった状態で保持される。
【0099】
(S107)
このようにして掬い上げた集合体Mを保持した状態で、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP4へ移動させる。
(S108)
そして、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP5へ移動(下降)させる。
これによって、制御点は集合体Mの載置開始位置に至る。
【0100】
(S109)
ポイントP5において、
図12の(c)から(d)への変化に示すように、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド90へ逆方向の出力がなされ、上下動用エアシリンダ49が逆方向作動して、作動部48ごと左右の支持部材66L,66Rが設定ストロークPPだけ下動する。
これによって、掬い上げ部PSが初期位置まで下動する。
すなわち、上部ベルト43Uの上面が、ベルト84の下側巻回域の下面から離間する方向へ移動し、上部ベルト43Uの上面と、ベルト84の下側巻回域の下面との上下間隔(間隔部VLの上下長)が元の間隔まで拡大する。
この結果、上部ベルト43U上に掬い上げられている集合体Mが、ベルト84の下側巻回域の下面から離れ、圧接が解除される。
【0101】
(S110)
この状態で、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP6へ移動させる。
また、この制御点のポイントP5からP6への移動中に、ロボットコントローラ26から電動モータ42へ逆方向の出力がなされ、掬い上げ部PSにおける上部ベルト43Uの上面が(ベルト84の下面と共に)逆方向(-Y側から+Y側)へ移動して、集合体Mがトレー6の内底面上に設定された設定領域R内へ下ろされる。
これによって、一つの集合体Mが盛り付けられる。
【0102】
(S111)
そして、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP7へ移動させて、第1搬送装置2の終端部などの周囲の構造物への干渉を避ける位置まで上昇させる。
(S112)
続いて、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP0へ移動させ、初期位置に復帰させる。
【0103】
このとき、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド91,92へ逆方向の出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ54L,54Rが逆方向に回転駆動し、起立姿勢にあった左右の回動アーム63L,63Rが、略水平な姿勢まで回動(開放作動)する。
これによって、
図12の(d)から(a)への変化に示すように、左右の支持部材66L,66Rが掬い上げ部PSの下側から外側上方へ退避し、初期状態に復帰する。
以上により、S18Aの一つの集合体Mの盛り付け処理を完了し、
図9のフローにおけるS20Aへ移行する。
【0104】
(S20A)
上述のようにして一つの集合体Mの盛り付け処理が終了した後、S20Aで行カウンタのカウント値mをインクリメントし、S22Aへ移行する。
(S22A)
S22Aでは、ロボットコントローラ26によって、行カウンタのカウント値mが所定列数Mを超えているか否かを判定する。
カウント値mが所定行数Mを超えていない場合には、S18Aにリターンして、現在の列nにおいて、次の行順の肉降下点に対する集合体Mの盛り付け処理を行なう。
カウント値mが、所定行数Mを超えている場合には、S24Aに移行する。
【0105】
(S24A)
S24Aでは、列カウンタのカウント値nをインクリメントし、S26Aへ移行する。
(S26A)
S26Aでは、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えていない場合には、S28Aに移行し、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。
【0106】
(S28A)
S28Aでは、行カウンタのカウント値mを1にセットし、S18Aにリターンする。
S18Aにリターンすると、次の列の最初の行の肉降下点に対する集合体Mの盛り付け処理が開始される。
【0107】
以上によって、例えば
図13の(a)および(b)に示すように、1列目の集合体Mの盛り付けが完了した後、2列目の集合体Mが、1列目の集合体Mの一端部に重なるようにして盛り付けられる。
この2列目の最終行に対する盛り付けが完了した時点で、設定領域Rへの集合体Mの盛り付けを完了し、この設定領域R上に集合体Mの群が形成される。
なお、第2搬送装置5は、トレー6への集合体Mの盛り付けが完了するまでは、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への集合体Mの盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出す。
【0108】
(第2実施例のロボットハンド)
図14~
図21に、第2実施例のロボットハンド27を示す。
このロボットハンド27で掬い上げる肉片mは、例えば厚さ1~3mm程度に薄くスライスされた肉片、または、これを二つに折り畳んだ肉片である。
また、この第2実施例のロボットハンド27は、上述の第1実施例のロボットハンド27から規制部TSを取り外したものである。
すなわち、第1実施例のロボットハンド27に対して、タイミングベルト87を出力プーリー85と入力プーリー86から取り外し、4本のボルト74を抜いて、規制部TSを本体27Sからアッセンブリーで離脱させたものである。
規制部TSを取り外した点以外は、第1実施例のロボットハンド27と同一構成である。
すなわち、
図14~
図21において同一の符号を付した部分の構成は、第1実施例と同一であるため、この第2実施例のロボットハンド27の構成の説明は省略する。
また、食品盛り付け制御装置25についても、
図8のブロック図の構成が共用される。
【0109】
(盛り付け制御)
第2実施例のロボットハンド27による盛り付け制御について説明する。
まず、搬送面3a上の集合体Mが採取位置Tに到達したことがエンコーダ8によって検出されたときに、スライサーコントローラ9からロボットコントローラ26へ採取開始信号を出力する。
これにより、搬送面3a上に載置された集合体Mの移動状態と、この搬送面3a上の集合体Mを採取するタイミングとが同期する。
しかして、
図20に盛り付け制御のフローチャートを示し、
図21にロボットハンド27による集合体Mの折り畳み状態を示す。
【0110】
なお、盛り付け制御については、
図9に示す第1実施例のメインフローチャートのS10A~S16およびS20A~S28A(S18A以外のステップ)と同じであるため、これらのステップについての説明は省略する。
また、制御点の軌道も、
図11に示す第1実施例のものと同じであるため、説明を省略する。
【0111】
(S18A:盛り付け処理)
図20に示すS200~S211は、S18Aにおける盛り付け処理のフローチャートである。
図22に示すように、最も+X側の列において、最も+Y側の行から-Y側の行へ集合体Mの盛り付け処理がなされ、1つの列が終了すると、この列に対して-X側に隣接する次の列において、同様の盛り付け処理がなされる。
【0112】
(盛り付け処理)
(S200)
ロボットコントローラ26によって、採取目標位置設定処理および軌道生成処理を実行する。
この採取目標位置設定処理および軌道生成処理は、前述の第1実施例のものと同じであるため、説明を省略する。
【0113】
(S201)
ロボットコントローラ26は、スライサーコントローラ9から集合体Mが採取位置Tに位置した際に出力される採取開始信号の受信を待つ。採取信号を受信するとS202に移行する。
(S202)
ロボットコントローラ26によって、ポイントP1のX軸座標値をS200で得られた採取目標位置のX軸座標に変更する。
【0114】
(S203)
ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、ロボットハンド27に備えた上部ベルト43Uの幅方向での中心点である制御点をポイントP0からポイントP1へ移動(下降)させて、上部ベルト43Uの先端を搬送面3aに接触ないし近接させる。
【0115】
(S204)
ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2まで移動させる。
すなわち、ロボットハンド27に備えた上部ベルト43Uの先端部の幅方向での中心点(制御点)が、目標点BP(集合体Mにおける幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致するように、ロボットハンド27をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、上部ベルト43Uの先端部を集合体M側へ進出させる。
【0116】
このとき、ロボットコントローラ26から電動モータ42へ出力がなされ、上部ベルト43Uの上面が正方向へ移動して(このとき下部ベルト43Dの下面も正方向へ移動する)、集合体Mの掬い上げを開始する。
集合体Mの掬い上げが完了したとき、または、完了する直前に、前下がりに傾斜していたロボットハンド27を水平姿勢へピッチングさせる構成としてもよい。
なお、上部ベルト43Uの上面に掬い上げられた集合体Mの左右両端部は、この上部ベルト43Uの左右端部から下方向ないし斜め下方向へ垂れ下がる。
【0117】
(S205)
そして、集合体Mの掬い上げが完了するまでの設定時間の経過後に、電動モータ42への出力を終了して上部ベルト43Uの駆動を停止してから、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によって、ロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP3へ移動させる。
なお、上部ベルト43Uの移動継続によって集合体Mを掬い上げながら、制御点のポイントP3への移動を開始するように制御することも可能である。
このポイントP3への移動時において、左右の回動アーム(請求項の「作動部材」)63L,63Rの閉鎖作動と上動とが実行される。
【0118】
(作動部材の閉鎖作動)
すなわち、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド91,92へ出力がなされ、左右のロータリーアクチュエータ54L,54Rが出力回転し、略水平な姿勢にあった左右の回動アーム63L,63Rが、起立姿勢に近付く方向へ回動(閉鎖作動)する。
これによって、
図21の(a)から(b)への変化に示すように、垂れ下がっていた集合体Mの左右両端部が、左右の回動アーム63L,63Rに備えた支持部材66L,66Rの支持杆69上に載るようにして持ち上げられ、掬い上げ部PSの下面(下部ベルト43Dの下面)に近接する位置まで折り畳まれる。
【0119】
(作動部材の上動)
このようにして集合体Mの左右両端部が折り畳まれた後に、または、この折り畳みの途中で、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド90へ出力がなされ、上下動用エアシリンダ49の作動によって、作動部48ごと、左右の回動アーム63L,63Rが設定ストロークSSだけ上動する。
これに伴い、
図21の(b)から(c)への変化に示すように、掬い上げ部PS(上部ベルト43Uおよび下部ベルト43D)が略定位置に保持された状態で、左右の回動アーム63L,63Rに支持された左右の支持部材66L,66Rが、設定ストロークSSだけ上動する。
【0120】
これによって、折り畳まれた集合体Mの左右両端部、または、折り畳まれる途中にある集合体Mの左右両端部が、左右の支持部材66L,66Rに備えた支持杆69によって押し上げられ、掬い上げ部PSの下面(下部ベルト43Dの下面)に押し付けられる。
すなわち、支持杆69による集合体Mの左右両端部の押し上げによって、この集合体Mの左右両端部が、適切な状態に折り畳まれ、保持される。
【0121】
(S206)
そして、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、折り畳んだ集合体Mを保持したまま、制御点をポイントP3からポイントP4まで移動させる。
【0122】
(S207)
ポイントP4において、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド90へ逆方向の出力がなされ、上下動用エアシリンダ49の逆方向への作動によって、作動部48ごと、左右の回動アーム63L,63Rが設定ストロークSSだけ下動する。
これにより、
図21の(c)から(d)への変化に示すように、左右の回動アーム63L,63Rが初期位置に復帰し、支持杆69による集合体Mの左右両端部の押し上げが解除される。
ただし、この集合体Mの左右両端部は、支持杆69によって支持されることで、垂れ下がらず、折り畳まれた状態に維持される。
【0123】
(S208)
この後、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、折り畳んだ集合体Mを保持したまま、制御点をポイントP4からポイントP5まで移動(下降)させる。
【0124】
(S209)
そして、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17への出力によってロボットアーム11を制御し、制御点をポイントP5からポイントP6へ移動させる。
また、この移動時に、上部ベルト43Uおよび下部ベルト43Dの逆方向への移動が実行される。
【0125】
(上部ベルトおよび下部ベルトの逆方向への移動)
すなわち、ロボットコントローラ26から、サーボモータ12~17への出力と電動モータ42への逆方向の出力がなされる。
これによって、ロボットハンド27を-Y方向へ移動させながら上部ベルト43Uを逆方向へ駆動して、保持していた集合体Mを設定領域R内に下ろす(載置する)。(
図21の(e)は集合体Mを降ろした後の状態。)
このとき、下部ベルト43Dの下面によって、集合体Mにおける折り畳まれた部位にも移送力が作用し得て、この集合体Mが円滑に降ろされる。
【0126】
(S210)
この後、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17へ出力がなされ、制御点をポイントP6からポイントP7へ移動(上昇)させる。
【0127】
(S211)
さらに、ロボットコントローラ26からサーボモータ12~17へ出力がなされ、制御点をポイントP7からポイントP0へ移動させる。
このポイントP7からP0への移動の途中で、ロボットコントローラ26からバルブソレノイド91,92へ逆出力がなされる。
これにより、左右のロータリーアクチュエータ54L,54Rが逆方向へ出力回転し、起立姿勢にあった左右の回動アーム63L,63Rが、略水平な姿勢に近付く方向へ回動(開放作動)し、初期状態に復帰する。
以上により、一つの集合体Mの盛り付け処理を完了し、
図9のメインフローにおけるS20Aへ移行する。
【0128】
(S20A)
上述のようにして一つの集合体Mの盛り付け処理が終了した後、S20Aで行カウンタのカウント値mをインクリメントし、S22Aへ移行する。
【0129】
(S22A)
S22Aでは、ロボットコントローラ26によって、行カウンタのカウント値mが所定列数Mを超えているか否かを判定する。
カウント値mが所定行数Mを超えていない場合には、S18Aにリターンして、現在の列nにおいて、次の行順の肉降下点に対する集合体Mの盛り付け処理を行なう。
カウント値mが所定行数Mを超えている場合には、S24Aに移行する。
【0130】
(S24A)
S24Aでは、列カウンタのカウント値nをインクリメントし、S26Aへ移行する。
(S26A)
S26Aでは、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えていない場合には、S28Aに移行し、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。
【0131】
(S28A)
S28Aでは、行カウンタのカウント値mを1にセットし、S18Aにリターンする。
S18Aにリターンすると、次の列の最初の行の肉降下点に対する集合体Mの盛り付け処理が開始される。
【0132】
以上によって、例えば
図22の(b)に示すように、2列目の集合体Mが、その両端部を下側に折り畳まれた状態で、1列目の集合体Mの一部に重なるようにして盛り付けられる。
この2列目の最終行に対する盛り付けが完了した時点で、設定領域Rへの集合体Mの盛り付けを完了する。
【0133】
なお、第2搬送装置5は、トレー6への集合体Mの盛り付けが完了するまでは、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への集合体Mの盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出す。
【0134】
上述の第2実施例のロボットハンド27において、集合体Mの左右幅が小さく、端部を折り畳む必要が無い場合、左右の回動アーム63L,63Rを開放した状態のままで、集合体Mを掬い上げることになる。
しかしながら、このように開放した状態の回動アーム63L,63Rや支持杆69が、集合体Mをトレー6に盛り付けるときに、このトレー6の縁部等に接触し、トレー6の位置ずれ等によって盛り付けに支障を生じるおそれがある。
このために、左右の回動アーム63L,63Rを、左右の回転軸61L,61Rに対して着脱自在な構成とすればよい。
【0135】
すなわち、蝶螺子65による締結固定を解除することで、左右の回動アーム63L,63Rを左右の回転軸61L,61Rから容易に取り外すことができる構成とする。
これによって、左右の回動アーム63L,63Rを取り外した状態で、集合体Mを掬い上げるロボットハンド27に組み替えることができる。
また、ロボットハンド27や回動アーム63L,63R等の洗浄性も向上する。
なお、
図23に示すように、左右の回動アーム63L,63Rの着脱時に取り違えることがないように、各回動アーム63L,63Rと第1取付板53に、対応する数字等をレーザーマーキング等によって表示しておくとよい。
【0136】
(第3実施例のロボットハンド)
しかして、
図24~
図27に、第2実施例のロボットハンドから、更に左右の回動アーム63L,63Rを取り外したロボットハンド27を示す。
この第3実施例のロボットハンド27は、左右の回動アーム63L,63Rを取り外した点以外は、第2実施例のロボットハンド27と同一構成である。
すなわち、
図24~
図27において同一の符号を付した部分の構成は、前述の第1実施例および第2実施例と同一であるため、この第3実施例のロボットハンド27の構成の説明は省略する。
また、食品盛り付け制御装置25についても、
図8のブロック図の構成が共用され、制御点の軌道や設定領域Rへの盛り付け方法についても同一である。
以上のように、ロボットハンド27の本体27Sおよび食品盛り付け制御装置25を共用して、3つの形態のロボットハンドに組み替えて使用することができる。
【符号の説明】
【0137】
m 肉片(食品片)
M 集合体
PS 掬い上げ部(第1ベルト装置)
TS 規制部(第2ベルト装置)
VL 間隔部
27 ロボットハンド
27S 本体
43U 上部ベルト(上ベルト)
43D 下部ベルト(下ベルト)
63L 左側の回動アーム(作動部材)
63R 右側の回動アーム(作動部材)