(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097756
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】フィルム構造体、フィルム構造体の製造方法、及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/20 20180101AFI20240711BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20240711BHJP
【FI】
C09J7/20
C09J7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220075
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2023001344
(32)【優先日】2023-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004CE03
4J004EA01
4J004EA04
4J004FA05
(57)【要約】
【課題】実装面に凹部を有する電子部品に接着材層を貼付することができるフィルム構造体を提供する。
【解決手段】フィルム構造体は、基材2と、被着体に貼付される接着フィルム3を備え、上面に接着フィルム3が設けられた貼付部4と、接着フィルム3が設けられていない非貼付部5とを有し、貼付部4が非貼付部5より突出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
被着体に貼付される接着フィルムを備え、
上面に上記接着フィルムが設けられた貼付部と、上記接着フィルムが設けられていない非貼付部とを有し、上記貼付部が上記非貼付部より突出する、フィルム構造体。
【請求項2】
上記接着フィルムは、絶縁性バインダー中に導電粒子が含まれている請求項1に記載のフィルム構造体。
【請求項3】
上記基材はテープ状をなし、
上記基材の長さ方向に複数の上記貼付部が配列されている請求項1又は2に記載のフィルム構造体。
【請求項4】
上記貼付部は、上記基材に設けられた接着材層と上記接着材層に積層された支持層とを有し、上記支持層に上記接着フィルムが支持されている請求項1又は2に記載のフィルム構造体。
【請求項5】
上記支持層と上記接着フィルムとの剥離力P1と、上記接着材層と上記支持層との剥離力P2と、上記基材と上記接着材層との剥離力P3が以下の関係を有する請求項4に記載のフィルム構造体。
P1<P2,P3
【請求項6】
上記基材の長さ方向Lの上記支持層間の距離Dは、0.1mm以上である請求項3に記載のフィルム構造体。
【請求項7】
上記請求項1又は2に記載のフィルム構造体が巻芯に巻装してなるフィルム巻装体。
【請求項8】
上記支持層と上記接着フィルムとの剥離力P1と、上記接着材層と上記支持層との剥離力P2と、上記基材と上記接着材層との剥離力P3と、上記接着フィルムとこれに巻回された上記基材との剥離力P4が以下の関係を有する請求項7に記載のフィルム巻装体。
P4<P1<P2,P3
【請求項9】
テープ状の基材と、上記基材に積層された接着材層と、上記接着材層に積層された支持層と、上記支持層に積層された接着フィルムとを備える原反フィルムを作製する工程と、
上記原反フィルムに、上記接着材層まで切れ込みを入れる工程と、
上記接着フィルムが設けられた所定の貼付部を残して上記接着材層、上記支持層、及び上記接着フィルムを剥離して上記接着フィルムが設けられていない非貼付部を形成する工程を有するフィルム構造体の製造方法。
【請求項10】
上記基材の長さ方向に複数の上記貼付部を配列させる請求項9に記載のフィルム構造体の製造方法。
【請求項11】
テープ状の基材と、上記基材上に設けられ、被着体に貼付される接着フィルムを備え、上面に上記接着フィルムが設けられた貼付部と、上記接着フィルムが設けられていない非貼付部とを有し、上記貼付部が上記非貼付部より突出するフィルム構造体の上記貼付部を、凹部を有する第1の電子部品の上記凹部上に搬送する工程と、
上記貼付部を上記基材側から押圧して、上記接着フィルムを上記凹部に転着する工程と、
上記接着フィルムを介して第2の電子部品を接続する工程を有する接続構造体の製造方法。
【請求項12】
上記基材から上記接着フィルム表面までの高さは、上記凹部の深さの50%以上である請求項11に記載の接続構造体の製造方法の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電子部品を被着体に接続するフィルム構造体、フィルム構造体の製造方法、及びフィルム構造体を用いて電子部品が接続された接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電子部品同士を接続するための接続フィルムとして、導電粒子含有型の導電フィルムや、ACF(Anisotropic Conductive Film)、NCF(Non Conductive Film)などが知られている。これら接続フィルムは、一般に基材フィルムに接着材層が積層されたフィルム構造をなし、リール状に巻回されている。使用に際しては、接続フィルムは、リール巻装体から巻き出され、貼付領域に応じた長さにハーフカットされた後、基板等の一方の電子部品に、ボンディングツールを用いて所定の圧力、温度で押圧されることにより接着材層のみが仮貼りされる。その後、接着材層上にICチップ等のもう一方の電子部品が搭載され、ボンディングツールを用いて所定の圧力、温度で押圧されることにより接着材層が硬化され、電子部品が実装された接続構造体を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、実装面の一部に凹部を有する電子部品が知られている。例えばカメラモジュールでは、イメージセンサを収容するために例えばセラミック基板の一部が中抜きされることにより形成された凹部を有し、凹部内や凹部の周縁部に端子を形成したものがある。また、実装面に凸部で囲まれた領域を有し、この凸部で囲まれた領域内やその周縁部に端子を有するものも想定される。凸部で囲まれた領域は、剥離処理された平坦な基材フィルム上に設けられた従来のベタな接着フィルムを、そのままでは実装面に貼り付けることが困難な領域といえる。本明細書では、凸部で囲まれた領域も凹部の一形態とする。
【0005】
このような実装面に凹部を有する電子部品は、従来の工法を用いて接続フィルムの接着材層を貼付することが困難となる。すなわち、基板に設けられた凹部に接着材層を仮貼りする場合、ボンディングツールと凹部の周縁部や凸部が干渉し、凹部の底面に基材フィルムに積層された接着材層が届かず、貼り付けることができない。若しくは、接着材層を十分な圧力で押圧することができず、精度よく貼り付けることができない。また、貼り付けることができたとしても、作業性が悪化してしまい、生産性が低下してしまう。
【0006】
また、接続フィルムを貫通させて基材フィルムまでハーフカットすることにより、接着材層を貼付領域に応じた大きさの個片に加工することもできるが、凹部の深さや凸部の高さが個片化された接着材層の厚さよりも大きい場合、基材フィルムと個片がほぼ同じ高さの平面に存在するため、同様に貼付けに支障が生じ得る。
【0007】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、既存の設備を用いて、実装面に凹部を有する電子部品に接着材層を貼付することができるフィルム構造体、フィルム構造体の製造方法、及び接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本技術に係るフィルム構造体は、基材と、被着体に貼付される接着フィルムを備え、上面に上記接着フィルムが設けられた貼付部と、上記接着フィルムが設けられていない非貼付部とを有し、上記貼付部が上記非貼付部より突出するものである。
【0009】
また、本技術に係るフィルム構造体の製造方法は、テープ状の基材と、上記基材に積層された接着材層と、上記接着材層に積層された支持層と、上記支持層に積層された接着フィルムとを備える原反フィルムを作製する工程と、上記原反フィルムに、上記接着材層まで切れ込みを入れる工程と、上記接着フィルムが設けられた所定の貼付部を残して上記接着材層、上記支持層、及び上記接着フィルムを剥離して上記接着フィルムが設けられていない非貼付部を形成する工程を有するものである。
【0010】
また、本技術に係る接続構造体の製造方法は、テープ状の基材と、上記基材上に設けられ、被着体に貼付される接着フィルムを備え、上面に上記接着フィルムが設けられた貼付部と、上記接着フィルムが設けられていない非貼付部とを有し、上記貼付部が上記非貼付部より突出するフィルム構造体の上記貼付部を、凹部を有する第1の電子部品の上記凹部上に搬送する工程と、上記貼付部を上記基材側から押圧して、上記接着フィルムを上記凹部に転着する工程と、上記接着フィルムを介して第2の電子部品を接続する工程を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、既存の設備を用いて、基板に設けられた凹部に接続フィルムを貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本技術が適用されたフィルム構造体を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1の電子部品と第2の電子部品が接続された接続構造体を示す断面図である。
【
図3】
図3は、テープ状基材の長さ方向Lに複数の貼付部を配列したフィルム構造体を示す断面図である。
【
図4】
図4は、平面視において加工した場合の一例であるコの字型形状とした接着フィルムを示す平面図である。
【
図5】
図5は、フィルム構造体が巻回されたフィルム巻装体を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、凹部底面に接着フィルムが貼付されたフィルム構造体を示す断面図である。
【
図7】
図7は、フィルム巻装体におけるフィルム構造体の巻回構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、フィルム構造体の製造工程例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図9は
図8に示すフィルム構造体の製造工程の各工程における構造を示す断面図であり、(A)は基材及び支持フィルムを示す断面図、(B)は基材と支持フィルムとが積層されたフィルム積層体を示す断面図、(C)は原反フィルムを示す断面図である。
【
図10】
図10(A)はハーフカットされた原反フィルムの平面図であり、
図10(B)は
図10(A)に示すA-A’断面図である。
【
図11】
図11(A)は所定の貼付部を残して接着材層、支持層、及び接着フィルムを剥離する工程を示す原反フィルムの平面図であり、
図11(B)は
図11(A)に示すA-A’断面図である。
【
図13】
図13は、シート状のフィルム構造体を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【
図14】
図14は、フィルム構造体の貼付部が第1の電子部品上に搬送された状態を示す断面図である。
【
図15】
図15は、ボンディングツールで基材側から押圧することにより、貼付部が凹部内に進入し、接着フィルムが支持層から凹部の底面に転着される工程を示す断面図である。
【
図16】
図16は、1つの凹部内に複数の貼付部が進入する工程を示す断面図である。
【
図17】
図17は、基材にハーフカットにより切れ込みを設け、押圧することで、基材を下方に撓ませて貼付部を凹部内に進入させる工程を示す断面図である。
【
図18】
図18は、貼付部の上面から接着フィルムが剥離された状態を示す断面図である。
【
図19】
図19は、接着フィルムが硬化された硬化樹脂層を介して第1の電子部品と第2の電子部品が接続された接続構造体を示す断面図である。
【
図20】
図20は、シート状のフィルム構造体の貼付部が第1の電子部品上に搬送された状態を示す断面図である。
【
図21】
図21は、実施例に使用した第1の電子部品を示す図であり、(A)外観斜視図、(B)は平面図、(C)は断面図である。
【
図22】
図22は、実施例及び比較例に係るフィルム構造体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術が適用されたフィルム構造体、フィルム構造体の製造方法、及び接続構造体の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[フィルム構造体]
図1は、本技術が適用されたフィルム構造体1を示す断面図である。フィルム構造体1は、基材2と、基材2上に設けられ、被着体に貼付される接着フィルム3を備える。フィルム構造体1は、上面に接着フィルム3が設けられた貼付部4と、接着フィルム3が設けられていない非貼付部5とを有し、貼付部4が非貼付部5より突出する。
【0015】
フィルム構造体1は、電子部品同士を接続するための接続フィルムとして使用されるものであり、特に凹部が形成された電子部品に好適に使用される。
図2に示すように、本明細書では、フィルム構造体1が貼付される被着体を第1の電子部品11という。また、接着フィルム3を介して第1の電子部品11と接続される接続対象物を第2の電子部品12という。第1の電子部品11に搭載されるものを第2の電子部品12と考えてもよい。接着フィルム3が硬化された硬化樹脂層9を介して第1の電子部品11と第2の電子部品12が接続された構造体を接続構造体30という。
【0016】
第1の電子部品11及び第2の電子部品12としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばセラミック基板、リジット基板、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、ガラス基板、プラスチック基板、樹脂多層基板、IC(Integrated Circuit)モジュール、ICチップといった半導体素子等が挙げられる。半導体素子には、ミニLEDやマイクロLEDなどの発光素子や、センシング用途のものなども含まれる。例えば、第1の電子部品11はステージに載置される基板であり、第2の電子部品は基板に実装されるFPCやICチップと考えてもよい。第1の電子部品上に第2の電子部品が複数実装されていてもよく、複数実装される内の一つが本発明による実装と考えてもよい(他の第2電子部品は、従来の実装で行われており、凸部として囲っている状態と考えてもよい)。本発明はこのような態様を含みうる。また、第1の電子部品の実装面に段差や高さの異なる部位がある態様も、本発明は包含する。
【0017】
また、フィルム構造体1が貼付される第1の電子部品11には、凹部13が形成され、その底面に接着フィルム3が貼付される。凹部13は、第1の電子部品11の一部が中抜きされる等により形成された凹面領域や、第1の電子部品11に設けられた凸部で囲まれた領域をいう。
【0018】
凹部13の形状は特に制限はなく、例えば矩形状の他、曲線を有した形状、円形状、多角形状などであってもよい。なお、凹部13が凹面領域として形成されている場合、凹部底面の一部が貫通されていてもよい。また、凹部13が凸部によって囲まれることにより形成されたものである場合、全周が凸部によって囲まれていてもよく、一部に凸部を欠く部位があってもよい。段差や高さの異なる部位があることで、従来のベタな接着フィルムの貼り付け(貼着)が難しい部位を凸部と考えてもよい。後述する理由から、便宜的に、凸部を段部と言い換えてもよい。
【0019】
フィルム構造体1は、上面に接着フィルム3が設けられた貼付部4が基材2から突出しているため、第1の電子部品11の凹部底面に貼付部4を進入させることができる。これにより、ボンディングツールで基材2を接着フィルム3が設けられた面と反対側の面から押圧することにより基材2が凹部周縁部や凸部に当接しても、接着フィルム3を必要とする面積の全面を凹部底面にツール形状に応じて押圧し、貼り付けることができる。
【0020】
フィルム構造体1は、貼付部4が第1の電子部品11の凹部13内に進入し、接着フィルム3を凹部底面に貼り付けることができる。このため、貼付部4は、凹部13内に進入可能な面積で形成されている。
【0021】
また、貼付部4は、凹部13の深さに応じた厚さで形成されている。すなわち、凹部の深さが貼付部4の厚さよりも大きい場合、ボンディングツールで基材2を押圧しても接着フィルム3が凹部底面に接触しない、若しくは接触したとしても十分な圧力で押圧できず、貼付けに支障が生じ得る。このため、フィルム構造体1は、凹部13の深さに応じて、貼付部4の厚さTが少なくとも凹部13の深さDの50%以上有することが好ましい。なお、貼付部4の厚さTとは、基材2の表面から接着フィルム3の上面までの垂直方向の距離をいう。
【0022】
ここで、
図3に示すように、フィルム構造体1は、基材2をテープ状とし、基材2の長さ方向Lに複数の貼付部4を配列してもよい。これにより、基材2の表面には個片化された接着フィルム3が配列される。接着フィルム3の配列ピッチは、基材2をボンディングツールで押圧した際に、貼付される接着フィルム3に隣接する接着フィルム3が凹部13の周縁部と被らないように設定される。
【0023】
[基材]
基材2としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などが挙げられる。また、基材2はフィルムであり、リールに巻取れる長尺のテープ状である。また、後述するように、基材2は、重ね合わせて梱包できるシート状であってもよい。
【0024】
基材2の厚さは、特に限定されるものではない。基材の厚さの下限は、巻回や巻出しにおける捻じれやしわの発生を抑制し、作業性を確保する点で10μm以上が好ましく、25μm以上であることがより好ましく、38μm以上であることが更により好ましい。基材の厚さの上限は、厚すぎると可撓性を失い接着フィルム3の凹部13内への転着に支障をきたしたり、過度に接着フィルム3に圧力がかかりすぎたりすることが懸念されるため、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、50μm以下であることがより更に好ましい。
【0025】
また、基材2の幅は、特に限定されるものではない。基材2をリールに巻取れるフィルム状にする場合の幅の下限は、巻き回す上で1mm以上が好ましく、2mm以上であることがより好ましく、4mm以上であることが更により好ましい。基材2の幅の上限は、大きすぎると持ち運びや取り扱いが困難となることが懸念されるため、250mm以下でもよく、120mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることが更により好ましい。基材2の幅は、接着フィルム3が貼付される凹部13の大きさから、適宜調整してもよい。なお、生産性の都合からは、基材2の幅方向の端面と接着フィルム3の幅方向の端面が面一となっていることが好ましい。
【0026】
[貼付部・非貼付部]
また、基材2は、上面に接着フィルム3が設けられた貼付部4と、接着フィルム3が設けられていない非貼付部5とを有する。貼付部4は、凹部13の底面に接着フィルム3を貼り付ける際に、第1の電子部品11の凹部13内に進入する部位である。非貼付部5は、凹部13内に進入することなく凹部13の周縁部と対向する部位である。そして、貼付部4が非貼付部5より厚く形成され、基材2の表面上に突出している。
【0027】
貼付部4は、例えば、基材2に設けられた接着材層7と接着材層7に積層された支持層8とを有し、支持層8に接着フィルム3が支持されている。貼付部4は、基材2の表面上に設けられた接着材層7、支持層8及び接着フィルム3によって所定の厚さを有する。支持層8が基材2上に凸状に設けられ、凸の天面に接着フィルム3が分離可能に設けられている、と考えてもよい。第1の電子部品11にある凸部と紛らわしい場合は、基材2上に設けられるものを凸(即ち、「凸」のみとして言い表す)とし、第1の電子部品11にある凸部(即ち、「凸部」として言い表す)としてもよい。便宜的に、凸部は段部と言い換えてもよい。
【0028】
接着材層7は、公知の絶縁性バインダーを用いることができる。硬化型としては、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられる。例えば、(メタ)アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合型樹脂組成物、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物などが挙げられる。また、公知の粘着剤組成物を用いてもよい。なお、ホットメルト型の場合は特開2014-060025号公報の組成物を使用することができる。
【0029】
接着材層7は、支持層8が基材2から剥離しない接着強度を有する。接着材層7の厚さの下限は、特に制限はなく、例えば2μm以上とすることができ、より好ましくは10μm以上である。また、接着材層7の厚さの上限は、特に制限はなく、例えば100μm以下とすることができ、より好ましくは40μm以下である。
【0030】
支持層8は、上述した基材2と同様の材料を用いることができ、接着材層7を介して基材2に接着されている。支持層8上には接着フィルム3が積層されている。支持層8の接着フィルム3が積層される面(天面)には、例えばシリコーン樹脂などの公知の離形処理剤により剥離処理されていることが好ましい。支持層8の高さの下限は基材2の厚みと略同じであることから10μm以上が好ましく、上限は同様に250μm以下であることが好ましい。支持層の面積が大きい場合(例えば、0.4mm2以上)は500μm以下としてもよい。これは入手容易性や加工の容易性といった実用上の利点から求めている。尚、支持層8の高さと平面視における一辺の最小寸法からなるアスペクト比はフィルムを巻装体にする長さによって調整すればよい。貼付部4も同様である。
【0031】
貼付部4は、接着材層7と支持層8の厚さを調整することによって容易に所望の厚さTに調整することができる。接着材層7の厚さは任意で調整可能である。接着材層7と支持層8の合計厚さは、特に制限はなく、例えば12μm以上とすることができ、より好ましくは40μm以上である。また、接着材層7と支持層8の合計厚さの上限は、特に制限はなく、例えば350μm以下とすることができ、より好ましくは112μm以下である。
【0032】
[接着フィルム]
接着フィルム3としては、特に制限はなく、フィルム状の導電性フィルム、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、フィルム状の接着フィルム(NCF:Non Conductive Film)などが挙げられる。また、接続フィルムの硬化型としては、特に制限はなく、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられる。また、接着フィルム3は、熱可塑性樹脂を用いたホットメルト型であってもよい。本技術に係る接着フィルム3は、貼付部4の最上面をなし、フィルム構造体1の他の部位、例えば支持層8に支持されるとともに、凹部13の底面に貼付される際には、支持層8から剥離可能とされている。支持層と接着フィルムが分離可能なものが本発明の対象であり、支持層に接着層や粘着層が分離不可能に一体となっているものとの大きな相違点となる。
【0033】
以下、接着フィルム3の具体例として、絶縁性バインダー中に導電粒子が含まれる異方性導電フィルムを例に挙げて説明する。異方性導電フィルムの厚さの下限は、例えば導電粒子径と同じであってもよく、好ましくは導電粒子径の1.3倍以上もしくは2μm以上とすることができる。また、異方性導電フィルムの厚さの上限は、例えば40μm以下もしくは導電粒子径の2倍以下とすることができる。また、異方性導電フィルムは、導電粒子を含有していない接着剤層や粘着剤層を積層してもよく、その層数や積層面は、対象や目的に合わせて適宜選択することができる。また、接着剤層や粘着剤層の絶縁性樹脂としては、異方性導電フィルムと同様のものを使用することができる。導電粒子は樹脂中に分散していてもよく、規則配列されていてもよい。また、導電粒子は、個々に非接触で離間していてもよい。
【0034】
支持層8の、平面視における一辺の大きさは、特に制限はないが、加工性の観点から最大長の一辺が50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。また、上限はフィルムをリールに巻き回して巻装体にする場合のフィルム幅と同じでもよいが狭くすることが望ましく、上述したフィルム幅の上限の95%としてもよく、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。もしくは従来の接続装置の仕様変更や改良を最小限にする意図などから実用上50mm以下が好ましく、30mm以下が好ましく、10mm以下が更により好ましい。最大長と最小長の差は、作成可能であれば特に制限はないが、20倍以内であることが実用上好ましい。なお、接着フィルム3は支持層8の天面と同じ大きさであってもよいが、支持層3の天面よりも小さくともよい。
【0035】
導電粒子としては、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウムなどの金属粒子、ハンダなどの合金粒子、ポリアミド、ポリベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面をニッケルなどの金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を挙げることができる。表面が、導通性能を阻害しない程度に、絶縁処理されていてもよい。また、表面形状に突起を有していてもよい。
【0036】
導電粒子の粒子径は、特に制限されないが、粒子径の下限は、1μm以上であることが好ましく、粒子径の上限は、例えば50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。なお、導電粒子の粒子径は、画像型粒度分布計(一例として、FPIA-3000:マルバーン社製)により測定した値とすることができる。この個数は1000個以上、好ましくは2000個以上であることが好ましい。
【0037】
絶縁性バインダー(絶縁性樹脂)は、公知の絶縁性バインダーを用いることができる。硬化型としては、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられる。例えば、(メタ)アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合型樹脂組成物、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物などが挙げられる。また、公知の粘着剤組成物を用いてもよい。なお、ホットメルト型の場合は特開2014-060025号公報の組成物を使用することができる。
【0038】
以下、具体例として、膜形成樹脂と、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、重合開始剤と、シランカップリング剤とを含有する熱ラジカル重合型の絶縁性バインダーを挙げて説明する。なお、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリルモノマー、及びメタクリルモノマーのいずれも含む意味である。
【0039】
膜形成樹脂としては、特に制限はなく、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂を用いることが特に好ましい。フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂であって、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、例えば、10質量%~60質量%であることが好ましい。
【0040】
エラストマーとしては、特に制限はなく、例えば、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0041】
(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、単官能(メタ)アクリルモノマーであっても、2官能以上の多官能(メタ)アクリルモノマーであってもよい。重合体の応力緩和の観点から、絶縁性バインダー中の(メタ)アクリルモノマーのうち、80質量%以上が単官能(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。
【0042】
また、接着性の観点から、単官能(メタ)アクリルモノマーは、カルボン酸を有することが好ましい。また、カルボン酸を有する単官能(メタ)アクリルモノマーの分子量は、100~500であることが好ましく、200~350であることがより好ましい。また、カルボン酸を有する単官能(メタ)アクリルモノマーの絶縁性バインダーにおける含有量は、3質量%~20質量%であることが好ましく、5質量%~10質量%であることがより好ましい。
【0043】
重合開始剤としては、熱圧着時の所定温度で(メタ)アクリルモノマーを硬化できるものであれば特に制限はなく、例えば、有機過酸化物などが挙げられる。有機過酸化物としては、例えばラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の絶縁性バインダーにおける含有量は、特に制限はなく、例えば0.5質量%~15質量%であることが好ましい。
【0044】
シランカップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。シランカップリング剤の絶縁性バインダーにおける含有量は、特に制限はなく、例えば0.1質量%~5.0質量%であることが好ましい。
【0045】
[個片形状]
接着フィルム3の形状は、凹部13の底面に形成された端子配列等に応じて適宜設計することができる。例えば、接着フィルム3は、平面視で、矩形状、円形状、Uの字形状、Cの形状、面内の一部を取り除いて中抜きされた形状等であってもよいが、これらに限定されるものではない。また、1つの凹部13内に所定のパターンで複数の接着フィルム3を転着する場合、所定のパターンに配置されたこれら複数の接着フィルム3の組合せを1つの個片とみなしてもよい。
【0046】
その他、接着フィルム3の形状は、特開2020-198422号公報に記載の接続フィルムの単位領域の形状と同様の形状を採ることができる。すなわち、平面視において、矩形状だけでなく、例えば曲線を有した形状、円形状、多角形状などであってもよい。具体的には、例えば六角形、八角形、十二角形などの多角形形状、コの字型形状(
図4参照)、又は曲線からなるUの字型、Cの字型としてもよい。また、円筒形の貼付部4としてもよい。また、接着フィルム3は、直線と曲線が混在した形状や屈曲が複数ある複雑な形状でもよい。多角形形状は、正多角形であってもよい。また、これらの形状の角部を面取りしてもよい。また、接着フィルム3は、一部を欠損させる形状としてもよい。例えば矩形の角部を欠損させ、接続フィルムの貼付部を十字型かそれに類似した形状としてもよい。また、接着フィルム3の形状は、接続フィルム面内の一部を取り除いた形状であってもよく、これらを組み合わせた、多角形状であってもよい。1つの支持層8上に複数の接着フィルム3が分離して設けられている場合は、複数の接着フィルム3を1つの集合した接着フィルムと考えてもよい。支持層8の天面上にある離間している1つの接着フィルムは、継ぎ目がある形状であってもよい。即ち、分離したそれぞれの接着フィルムが距離を空けずに設けられていてもよい。例えば形状加工のために屈曲部かその近傍に切り込みが入った状態も分離したものに含まれる。言い換えれば、支持層8の天面上にある複数からなる接着フィルムの集合を一つの接着フィルムと見なしてもよい。
【0047】
さらに、接着フィルム3の形状は、幅のある直線からなる矩形とこれが複数設けられて複合した形状であってもよい。また、接着フィルム3の形状は、幅のある直線、幅のある曲線、又は幅のある直線及び曲線が混在した形状であってもよい。また、接着フィルム3の形状は、幅のある線が、屈曲や中抜きを有している形状としてもよい。幅のある線は、全て同じ太さでもよく、複数の太さを有していてもよい。屈曲の回数、中抜きの個数や面積に、特に制限はない。
【0048】
[アスペクト比]
貼付部4は、形状に対してのアスペクト比には、特に制限はなく、上述した支持層8と同様と考えてよい。即ち、フィルム巻装体20に巻装されたフィルム構造体1の引き出し方向であるフィルム長手方向で最大長の一辺が50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。また、上限はフィルムをリールに巻き回して巻装体にする場合のフィルム幅と同じでもよいが狭くすることが望ましく、フィルム幅の上限の95%としてもよく、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。加工性の観点から、例えば0.5mm以上とすることができ、より好ましくは1mm以上である。また、貼付部4のフィルム長手方向と直交するフィルム幅方向に関しても、特に制限はなく、引き出し方向と同様に考えてよい。加工性の観点から、例えば0.5mm以上とすることができ、より好ましくは1mm以上である。
【0049】
[フィルム巻装体]
テープ状(長尺で巻回し可能な形状)に形成されたフィルム構造体1は、リール状に巻回されたフィルム巻装体20として提供される。
図5に示すように、フィルム巻装体20は、フィルム構造体1が巻きまわされる巻芯17と、巻回されたフィルム構造体1の巻崩れ等を防止するフランジ18を有するリール部材19にフィルム構造体1が巻回されたものである。巻芯17は、フィルム巻装体20を回転させるための回転軸が挿入される軸穴を有し、フィルム構造体1の長手方向の一方の端部を接続してフィルム構造体が巻回されている。フィルム巻装体20に巻装されるフィルム構造体1の長さは、特に限定されることはないが、長さの下限は5m以上、10m以上、50m以上であり、長さの上限は5000m以下、3000m以下、1000m以下のものを好適に用いることができる。
【0050】
[剥離力]
ここで、フィルム構造体1は、支持層8と接着フィルム3との剥離力P1と、接着材層7と支持層8との剥離力P2と、基材2と接着材層7との剥離力P3が以下の関係を有することが好ましい(
図6参照)。
P1<P2,P3
【0051】
これにより、接着フィルム3が凹部13の底面に貼付された際に、支持層8や接着材層7が基材2から剥離して接着フィルム3とともに凹部13内に転着される事態を防止することができる。
【0052】
また、フィルム構造体1は、フィルム巻装体20としたときに、接着フィルム3とこれに巻回された基材2との剥離力P4と上記剥離力P1~P3が以下の関係を有することが好ましい(
図7参照)。
P4<P1<P2,P3
【0053】
これにより、フィルム巻装体20からフィルム構造体1を巻き出す際に、基材2とともにこれに接する接着フィルム3が支持層8から剥離されて共に巻き出されてしまう事態を防止することができる。
【0054】
なお、基材2との剥離力P3,P4や、支持層8との剥離力P1,P2は、例えば基材2や支持層8の接着フィルム3と接する一方の面に対してシリコーン樹脂等により剥離処理を行う、接着フィルム3の仮貼り条件における接着材層7を構成する接着剤の硬化率や接着強度を調整する等により設定することができる。
【0055】
テープ状に形成されたフィルム構造体1において、基材2の長さ方向Lの支持層8間の距離Dは、0.1mm以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5mm以上である。これにより、フィルム構造体1をフィルム巻装体20として提供する場合に、接着フィルム3にかかる荷重が過大となることによって接着フィルム3がはみ出し、隣接する接着フィルム3に接触することによるブロッキングのリスクを抑制することができる。すなわち、フィルム巻装体20においては、テープ状のフィルム構造体1が巻回されることにより接着フィルム3に荷重が掛かり、この荷重は上記支持層8間の距離Dに比例して大きくなる。接着フィルム3は、荷重が過大になると圧縮されてはみだし、隣接する接着フィルム3との接触によるブロッキングが生じる恐れがある。そこで、上記支持層8間の距離Dを0.1mm以上とすることにより、ブロッキングを回避することができる。また、接着フィルム3の貼付け作業の利便性を考慮すると、支持層8間の距離Dを0.5mm以上とすることが好ましい。なお、支持層8間の距離Dの上限は、例えば巻芯の外周に対して支持層8の数が4個以上になる距離である。
【0056】
また、フィルム巻装体20において、基材2の長さ方向Lに亘る貼付部4の個数は、巻芯の外周あたり4個以上であり、好ましくは10個以上、より好ましくは80個以上が好ましい。巻芯にフィルムを巻きまわす場合、巻芯に巻かれている部位が最も巻き回しの荷重を受けるため、これを基準に接着フィルムの巻芯長さ当たりの個数を考える。フィルムとして巻芯に巻かれている最初の凸から1周した長さ、と考えてもよい。巻芯長さ当たりの貼付部4の個数の上限は、支持層8の大きさによって変動するが、実用上好ましくは4000個以下、より好ましくは2000個以下、更により好ましくは1000個以下である。なお、フィルム巻装体20とした場合は、公知の異方性導電フィルムと同様に、フィルムを引き出して裁断もしくはハーフカットして接続工程で使用できる。
【0057】
また、フィルム構造体1は、凸状の支持層8とその上に設けられた接着フィルム3が所定の間隔(例えば、正方格子、長方格子、六方格子やこれに類似した格子配列。接着フィルムにかかる圧力が均される均等な配置であれば特に制限はない)で設けられたシートとして形成してもよい。このシート状フィルム構造体1は、複数枚重ねた状態で提供されることもある。1枚のシート状フィルム構造体1において、支持層8は、一又は複数形成してもよい。1枚のシート状フィルム構造体1当たりの支持層8の個数密度は、支持層8のサイズによって適宜調整することができ、例えば、100個/m2以上が好ましく、400個/m2以上がより好ましく、800個/m2以上が更により好ましい。上限は、5×107個/m2以下が好ましく、2.5×107個/m2以下がより好ましく、1×107個/m2以下が更により好ましい。これにより、シートを重ねて束状にした場合に、接着フィルムにかかる圧力を均すことができる。なお、シート状とした場合、縦横で裁断し、個片化した後に接続工程で使用してもよい。ハーフカットして使用してもよく、裁断とハーフカットを組み合わせて使用してもよい。
【0058】
[フィルム構造体の製造方法]
次いで、フィルム構造体1の製造工程について説明する。フィルム構造体1は、例えば、特開2020-198422号公報に記載のフィルム構造体の製造方法と同様の工程により形成することができる。以下、フィルム構造体1の製造工程例について詳細に説明する。フィルム構造体1の製造方法は、テープ状の基材2と、基材2に積層された接着材層7と、接着材層7に積層された支持層8と、支持層8に積層された接着フィルム3とを備える原反フィルム22を作製する工程と、原反フィルム22に、接着材層7まで切れ込みを入れる工程と、接着フィルム3が設けられた所定の貼付部4を残して接着材層7、支持層8、及び接着フィルム3を剥離して接着フィルム3が設けられていない非貼付部5を形成する工程を有する。
【0059】
図8は、フィルム構造体1の製造工程例を示す図であり、
図9は
図8に示すフィルム構造体1の製造工程の各工程における構造を示す断面図である。
図8に示す工程では、基材2がロール状に巻回された第1の原反ロール23と、支持層8に接着材層7が積層された支持フィルム24がロール状に巻回された第2の原反ロール25と、接着フィルム3を積層する積層機構26を有する。
図9(A)は、第1の原反ロール23に巻回された基材2、及び第2の原反ロール25に巻回された支持フィルム24を示す断面図である。
【0060】
支持フィルム24は支持層8上に接着材層7を構成する接着剤組成物を印刷や塗布、乾燥する等、公知の手法により形成される。また、積層機構26は、接着フィルム3を支持層8上に積層する機構であれば特に制限はなく、スクリーン印刷やインクジェット印刷、コーターなどの公知の塗工手段を用いて支持層8上に接着フィルム3を構成する接着剤組成物を塗工し、必要に応じてオーブンやドライヤー等により乾燥させる方法、別途形成した接着フィルム3を支持層8上にラミネート加工する方法等を用いることができる。接着材層7は支持層8から一部がはみ出してもよい。本発明の場合、接着材層7が支持層8から微小にはみ出したとしてもブロッキングなどの問題は発生しにくいからである。また、支持層8には樹脂組成物によって凸状部が印刷や塗布などで形成されてもよく、接着フィルム3が設けられる面が剥離処理されたものであってもよい。
【0061】
製造工程では、先ず、第1の原反ロール23から巻き出された基材2と、第2の原反ロール25から巻き出された支持フィルム24の接着材層7とがラミネートされる。
図9(B)は、基材2と支持フィルム24とが積層されたフィルム積層体27を示す断面図である。次いで、支持層8の上面に接着フィルム3を構成する接着剤組成物が塗布等により積層され、適宜オーブンにより乾燥させる。これにより原反フィルム22を得る。
図9(C)は、原反フィルム22を示す断面図である。原反フィルム22は、必要に応じてリール部材に巻回されフィルム巻装体20として保管、運搬等される。
【0062】
次いで、原反フィルム22に凹部13の寸法に応じた加工を行い、個片化された接着フィルム3が配列されたフィルム構造体1を得る。具体的に、この個片化加工は、原反フィルム22に、接着材層7まで切れ込みを入れる工程と、接着フィルム3が設けられた所定の貼付部4を残して接着材層7、支持層8、及び接着フィルム3を剥離して接着フィルム3が設けられていない非貼付部5を形成する工程を有する。
【0063】
図10~
図12は、接着フィルム3の個片が基材2の長手方向に配列されたフィルム構造体1の製造工程を示す図である。
図10に示すように、先ず原反フィルム22に接着フィルム3の加工寸法に応じたパターンで接着フィルム3から接着材層7までを切断する切れ込みを入れる。切れ込みは基材2までは切断しないハーフカットによる。
図10(A)はハーフカットされた原反フィルム22の平面図であり、
図10(B)は(A)に示すA-A’断面図である。
図10に示す例では、基材2の幅方向の両側を長手方向に沿ってハーフカットするとともに、所定のピッチで基材2の幅方向にわたってハーフカットしている。
【0064】
次いで、
図11に示すように、接着フィルム3が設けられた所定の貼付部4を残して接着材層7、支持層8、及び接着フィルム3を剥離する。所定の貼付部4とは、凹部13の寸法に応じて残存される接着フィルム3に相当する部位である。
図11(A)は所定の貼付部4を残して接着材層7、支持層8、及び接着フィルム3を剥離する工程を示す原反フィルム22の平面図であり、
図11(B)は(A)に示すA-A’断面図である。
【0065】
これにより、
図12に示すように、接着フィルム3が設けられた所定の貼付部4を残して接着材層7、支持層8、及び接着フィルム3を剥離して接着フィルム3が設けられていない非貼付部5が形成されたフィルム構造体1を得る。非貼付部5は基材2が露出する部位となる。
図12(A)はフィルム構造体1の平面図であり、
図12(B)は(A)に示すA-A’断面図である。
【0066】
なお、上述したように、接着フィルム3は、平面視で、矩形状、円形状、Uの字型形状、Cの字型、面内の一部を取り除いて中抜きされた形状等、各種形状を取り得る。面内の一部を取り除く場合も中抜き形状に応じてハーフカットを施し、中抜き部分を剥離することにより、中抜き形状の接着フィルム3を形成することができる。
【0067】
なお、ハーフカットで貼付部4を形成した場合、基材2に痕跡が残らないことがあるが、刃によるカッティングで形成されているかどうかは、接着フィルム3そのものの形状、例えば、接着フィルム3の端部(すなわち、カッティングによる断面)から類推できる。また、接着フィルム3を印刷で形成した場合も、接着フィルムの端部の形状から類推できる。
【0068】
また、
図10~
図12に示す例では、基材2の幅方向の両側を長手方向に沿ってハーフカットし基材2を残したが、フルカットすることにより、基材2の幅方向の両側を切り落としてもよい。接着材層7は、支持層8の形状加工に際して、硬化が完了し支持層8が基材と一体となっていてもよく、硬化完了前の粘着している状態で形状加工し、支持層8にならない余剰部分を除去した後に、硬化を完了させて固定させてもよい。これらは支持層8の寸法や間隔、作業容易性の観点から選択すればよい。また、接着材層7は、粘着力が高くなるように設計し、第2の電子部品12の貼り付けまで硬化させずに使用してもよい(すなわち、高粘着の層としてもよい)。
【0069】
また、フィルム構造体1は、表面に接着フィルム3を個片として個々に離間して形成した原反フィルムと、予め支持層8を設けた基材2とを用意し、支持層8の天面に個片の接着フィルム3を転写して設けてもよい。接着フィルム3の個片と支持層8の配置は、予め転写できるように設計すればよい。基材2は、裏面(剥離処理されていない)に接着材層7を設け、接着材層7を支持層8の配列形状になるように裁断加工した後、当該剥離処理されていない面上に支持層8を載置し、加熱や光照射することで接着材層7を硬化させることで支持層8を固定することができる。接着材層7に用いられる樹脂は、コンタミ防止等の観点から接着フィルム3に使用する接着剤組成物と略同じ成分であることが好ましい。接着材層7の重合開始剤や重合性樹脂は、支持層8を設ける工程の環境や作業時間に応じて配合量や種類を調整してもよい。
【0070】
また、フィルム構造体1は、表面に支持フィルム上に個片加工された接着フィルム3、支持層8、接着材層7がこの順に積層された原反フィルムと、基材2とを用意し、基材2上に原反フィルムの接着材層7を貼り付けることにより貼付部4を形成してもよい。また、フィルム構造体1は、基材2に個片化された接着フィルム3の形状および配列に応じて接着材層7及び支持層8を設け、支持層8の上に接着フィルム3を構成する接着剤組成物を印刷することにより形成してもよい。
【0071】
このフィルム構造体1は、必要に応じてリール部材に巻回されフィルム巻装体20として保管、運搬等され、使用する際に巻き出される。フィルム構造体1は、個片化された接着フィルム3が所定のピッチで配列されていることにより、接着フィルム3や接着材層7の樹脂が非貼付部5にも移動することができるため、巻装体にした場合に発生するはみ出しやブロッキングを抑制することができることから引き出し時の不良を回避し易くなるとともに、接着フィルム3の配合設計の自由度が増す利点がある。
【0072】
なお、接着フィルム3を個片化加工したのちに巻装体にした場合、接着フィルム3と加工部位が接触することで、接着フィルム3に加工の痕跡が残り、外観上好ましくなくなる場合がある。これを防止するためにカバーフィルムを設けてもよい。カバーフィルムの厚みは、5μm以上から痕跡防止効果を発揮し、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。また、カバーフィルムの厚みは、厚くなりすぎると全体の重量が増加し取り扱い性が低下することから、150μm以下が好ましく、より好ましくは、100μm以下である。カバーフィルムの厚みは、基材2の厚みや支持層8および接着フィルム3を合計した高さによって適宜調整することができる。カバーフィルムは、接着フィルム3を凹部13に転着する前に接着フィルム3上から剥離される。
【0073】
また、
図10~
図12に示す例では、基材2の長手方向に沿って個片化された接着フィルム3が配列された長尺状のフィルム構造体1を製造する工程例を示したが、
図13に示すように貼付部4及び非貼付部5を形成した後、非貼付部5の中間で基材2をフルカットすることにより、個片化された接着フィルム3が設けられた貼付部4とその周囲に設けられた非貼付部5を有するシート状のフィルム構造体1を製造してもよい。また、シート状のフィルム構造体1は、例えば、特開2020-198422号公報に記載のフィルム構造体の製造方法と同様の工程により形成することができる。
【0074】
[接続構造体の製造方法]
次いで、フィルム構造体1を用いた接続構造体の製造方法について説明する。接続構造体の製造方法は、フィルム構造体1の貼付部4を、凹部13を有する第1の電子部品11の凹部13上に搬送する工程と、貼付部4を基材2側から押圧して、接着フィルム3を凹部13に転着する工程と、接着フィルム3を介して第2の電子部品12を接続する工程を有する。
【0075】
上述したように、貼付部4は、凹部13内に進入可能な面積で形成されている。また、貼付部4は、接着フィルム3が凹部13の底面に貼付可能な厚さTを有する。カバーフィルムは、厚さTに含めない。
【0076】
図14に示すように、フィルム構造体1は、フィルム巻装体20から巻き出される等により、貼付部4が第1の電子部品11上に搬送される。次いで、貼付部4と凹部13底面の接着フィルム3の貼付部位とのアライメントを行い、
図15に示すように、ボンディングツール31を用いて、適宜緩衝材を介在させて、フィルム構造体1の基材2側から押圧する。これにより、貼付部4が凹部13内に進入し、接着フィルム3が支持層8から凹部13の底面に転着される。
【0077】
接着フィルム3の転着工程においては、ボンディングツール31によってフィルム構造体1を押圧する他にも、加熱押圧により接着フィルム3を支持層8sから剥離し凹部13の底面に転着しやすくしてもよい。
【0078】
なお、フィルム構造体1の非貼付部5は、凹部13の周囲と正対され、凹部13の深さに対する貼付部4の厚さTによっては凹部13の周囲と干渉するが、貼付部4は、接着フィルム3が凹部13の底面に押圧され転着するのに足りる厚さTを有する。
【0079】
また、
図16に示すように、複数の貼付部4を1つの凹部13に進入させ、複数の接着フィルム3を1回の押圧工程で貼り合わせてもよい。この場合、1つの貼付部4における接着フィルム3は、1又は複数の電極に対応していてもよく、1又は複数の第2の電子部品12に対応していてもよい。例えば、2つの貼付部4の各接着フィルム3が、それぞれ1つの電極に対応し、且つ1つの第2の電子部品12に対応していてもよい。また、2つの貼付部4の各接着フィルム3が、それぞれ複数の電極に対応し、且つ1つの第2の電子部品12に対応していてもよい。また、2つの貼付部4の各接着フィルム3が、それぞれ1つの電極に対応し、且つ各接着フィルム3が別々の第2の電子部品12に対応していてもよい。また、2つの貼付部4の各接着フィルム3が、それぞれ複数の電極に対応し、且つ各接着フィルム3が別々の第2の電子部品12に対応していてもよい。
【0080】
なお、
図16のように複数の支持層8で1つの凹部13に対する1つの貼付単位と考えても良い。1つの貼付単位を構成する複数の接着フィルム3の大きさは同じでも異なっていても良い。また、1つの貼付単位の中にある複数の支持層8に関しては、すべて同じ高さでもよく、異なる高さであってもよい。同様に、1つの貼付単位の中にある複数の接着フィルム3の厚みも全て同じであってもよく、異なっていてもよい。貼付対象となる部品によって、適宜、厚み調整するためである。なお、一つの貼付単位にある支持層8(凸)の天面に設けられた接着フィルムの形状は、支持層8の天面と同様の形状でもよく、上述した接続フィルムの単位領域の形状と同様の形状を採ってもよい。この形状は各支持層8で同じでもよく、異なっていてもよい。
【0081】
なお、テープ状のフィルム構造体1における上記貼付部4間の距離Dを広く設け、凹部13の周囲と貼付部4との距離を広く確保することにより、
図17に示すように、基材2にハーフカットにより切れ込み32を設ける又は基材2をカットすることなく、ボンディングツール31によりフィルム構造体1の基材2側から押圧することで、基材2を下方に撓ませて貼付部4を凹部13内に進入させることができ、接着フィルム3を凹部13の底面に転着することができる。これにより、貼付部4の厚みTが凹部13の深さDの50%に満たない場合でも、接着フィルム3を凹部13の底面に転着することができる。
【0082】
接着フィルム3が転着された後、
図18に示すように、基材2は、上面から接着フィルム3が剥離された貼付部4とともに搬送され、リール部材に巻き取られる。
【0083】
次いで、
図19に示すように、接着フィルム3が転着された凹部13の底面には、第2の電子部品12が搭載され、ボンディングツールによって押圧されるとともに、接着フィルム3の硬化系に応じて加熱、光照射等により接着フィルム3が硬化される。これにより、接着フィルム3が硬化された硬化樹脂層9を介して第1の電子部品11と第2の電子部品12が接続された接続構造体30を得る。
【0084】
なお、フィルム構造体1は、個片化された接着フィルム3が設けられた1又は複数の貼付部4とその周囲に設けられた非貼付部5を有するシートとして提供された場合や、フィルム巻装体20から巻き出された後、1又は複数の貼付部4が設けられたシート状に切断されることにより、シート状フィルム構造体1に加工された場合は、
図20に示すように、シートごとにピックアップされて凹部13底面の所定の位置に転着される。
【0085】
なお、本技術は、例えば、半導体装置(ドライバICの他、光学素子や熱電変換素子、光電変換素子など半導体を利用したものは全て含む)、表示装置(モニター、テレビ、ヘッドマウントディスプレイなど)、携帯機器(タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末など)、ゲーム機、オーディオ機器、撮像装置(カメラモジュールなどのイメージセンサを用いるもの)、車両(移動装置)用電装実装、医療機器、センサーデバイス(タッチセンサー、指紋認証、虹彩認証など)、家電製品などの電子部品が電気的に接続されるあらゆる接続構造体の製造方法に用いることができる。
【実施例0086】
次いで、本技術の実施例について説明する。本実施例では、貼付部の構成及び厚さを変えたフィルム構造体を用意し、凹部を有する第1の電子部品の当該凹部に接着フィルムを仮貼り(転着)できたか否かを評価した。
【0087】
[第1の電子部品]
第1の電子部品として、イメージセンサが実装されるカメラモジュール用基板を使用した。
図21は、第1の電子部品を示す図であり、(A)外観斜視図、(B)は平面図、(C)は断面図である。第1の電子部品は、
図21に示すように、矩形状セラミック基板の中央に、3.0×3.0mm、深さ150μmの凹部が形成されている。また、第1の電子部品の凹部を取り囲む対向する2辺の外縁部には、複数の端子が配列されている。
【0088】
[ボンディングツール/緩衝材]
ボンディングツールは、10mm×100mmのスクエアーヘッドを使用し、緩衝材として厚さ200μmのラバーを使用した。
【0089】
[熱加圧条件]
ボンディングツールによる接着フィルムの仮貼り条件は、40℃-1MPa-2secとした。
【0090】
[仮貼り評価]
接着フィルムが凹部底面にフィルム全面にわたって仮貼りできた場合をA(優)、フィルムの一部に貼付されていない部分を有するがほぼ全面が仮貼りされている場合をB(良)、接着フィルムが凹部底面に貼付できなかった場合をC(不可)とした。
<実施例1>
【0091】
[接着フィルムの作製]
実施例1では、凹部底面に転着する接着フィルムを、以下の方法で作製した。平均粒径20μmの樹脂コア導電粒子(Ni(下地)/Au(表面)メッキ、樹脂コア)5質量部と、絶縁性バインダー95質量部とを遊星式撹拌装置(製品名:あわとり錬太郎、THINKY社製)に投入し、1分間撹拌して異方性導電接着組成物を作製した。
【0092】
絶縁性バインダーは、フェノキシ樹脂(商品名:YP-50、新日化エポキシ製造株式会社製)47質量部、単官能モノマー(商品名:M-5300、東亞合成株式会社製)3質量部、ウレタン樹脂(商品名:UR-1400、東洋紡績株式会社製)25質量部、ゴム成分(商品名:SG80H、ナガセケムテックス株式会社製)15質量部、シランカップリング剤(商品名:A-187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)2質量部、及び有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日油株式会社製)3質量部を、固形分が50質量%となるように含有する、酢酸エチルとトルエンとの混合溶液とした。
【0093】
[支持フィルムの作成]
貼付部を構成する支持層として厚さ100μmのPETフィルムを使用した。このPETフィルム上に接着剤層を構成する絶縁性バインダー樹脂を、乾燥後厚さが25μmとなるように塗布し、支持フィルムを作製した。
【0094】
絶縁性バインダー樹脂は、コンタミ防止の観点から接着フィルムの絶縁性バインダーと同じ絶縁性バインダーを高粘着層として形成した。
【0095】
[フィルム構造体の作成]
基材となる厚さ50μmのPETフィルムと支持フィルムの接着剤層側をラミネートした後、接着フィルムを構成する異方性導電接着組成物を、乾燥後厚さが25μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで5分間乾燥させることにより、貼付部の厚さTが150μm(接着剤層厚さ:25μm/支持層厚さ:100μm/接着フィルム厚さ:25μm)のフィルム原反を得た。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は100.0%である。
【0096】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、凹部の一辺より短い2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た(
図22(A))。
【0097】
<実施例2>
実施例2では、実施例1と同様の方法により、貼付部の厚さTが125μm(接着剤層厚さ:25μm/支持層厚さ:75μm/接着フィルム厚さ:25μm)のフィルム原反を作製した。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は83.3%である。
【0098】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、凹部の一辺より短い2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た(
図22(B))。
【0099】
<実施例3>
実施例3では、実施例1と同様の方法により、貼付部の厚さTが100μm(接着剤層厚さ:25μm/支持層厚さ:50μm/接着フィルム厚さ:25μm)のフィルム原反を作製した。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は66.7%である。
【0100】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、凹部の一辺より短い2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た(
図22(C))。
【0101】
<実施例4>
実施例4では、実施例1と同様の方法により、貼付部の厚さTが88μm(接着剤層厚さ:25μm/支持層厚さ:38μm/接着フィルム厚さ:25μm)のフィルム原反を作製した。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は58.7%である。
【0102】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、凹部の一辺より短い2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た(
図22(D))。
【0103】
<実施例5>
実施例5では、実施例1と同様の方法により、貼付部の厚さTが75μm(接着剤層厚さ:25μm/支持層厚さ:25μm/接着フィルム厚さ:25μm)のフィルム原反を作製した。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は50.0%である。
【0104】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、凹部の一辺より短い2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た(
図22(E))。
【0105】
<比較例1>
比較例1では、基材となる厚さ50μm、幅2.4mmのPETフィルムに、実施例1と同じ接着フィルムを構成する異方性導電接着組成物を、乾燥後厚さが25μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで5分間乾燥させることにより、貼付部の厚さTが25μmのフィルム原反を得た。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は16.7%である。
【0106】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工は行わず、そのままフィルム構造体とした(
図22(F))。
【0107】
<比較例2>
比較例2では、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た他は、比較例1と同様である(
図22(G))。
【0108】
<比較例3>
比較例3では、基材となる厚さ50μm、幅2.4mmのPETフィルムを基材とし、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行わず、そのままフィルム構造体とした他は、実施例1と同様である(
図22(H))。
【0109】
<比較例4>
比較例4では、実施例1と同様の方法により、貼付部の厚さTが62μm(接着剤層厚さ:25μm/支持層厚さ:12μm/接着フィルム厚さ:25μm)のフィルム原反を作製した。第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合は41.3%である。
【0110】
その後、フィルム原反に対して、第1の電子部品の凹部形状に応じた個片化加工を行い、凹部の一辺より短い2.4mm×2.4mmの正方形の貼付部、及び非貼付部を有するフィルム構造体を得た(
図22(I))。
【0111】
【0112】
表1に示すように、実施例1~5に係るフィルム構造体は、接着フィルムを凹部の底面に転着することができた。実施例5では、第1の電子部品の凹部深さ(150μm)に対する貼付部の厚さ(貼付部厚さT/凹部深さ)の割合が低下したことから、フィルムの一部に貼付されていない部分を有するがほぼ全面が仮貼りされていた。
【0113】
一方、基材に接着フィルムを設けた比較例1,2は、第1の電子部品の凹部深さに対する貼付部の厚さが不足し、個片化加工の有無に関わらず接着フィルムを転着することができなかった。また、比較例3は、実施例1と同じ貼付部の厚さを有していたが、個片化加工が施されていないため、凹部の周辺とフィルム構造体とが干渉し、接着フィルムを凹部の底面まで押し込めず、転着することができなかった。比較例4は、個片化加工を施したものの、第1の電子部品の凹部深さに対する貼付部の厚さが不足し、接着フィルムを転着することができなかった。
1 フィルム構造体、2 基材、3 接着フィルム、4 貼付部、5 非貼付部、7 接着材層、8 支持層、11 第1の電子部品、12 第2の電子部品、13 凹部、17 巻芯、18 フランジ、19 リール部材、20 フィルム巻装体、22 原反フィルム、23 第1の原反ロール、24 支持フィルム、25 第2の原反ロール、26 積層機構、30 接続構造体、31 ボンディングツール、32 切れ込み