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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097762
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】水晶振動子及び水晶振動子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20240711BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H03H9/19 D
H03H3/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222900
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】112100761
(32)【優先日】2023-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522111611
【氏名又は名称】安碁科技股▲フェン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AKER TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【弁理士】
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】ホン ロイ ホア
(72)【発明者】
【氏名】リン イー ルン
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE03
5J108HH05
5J108KK01
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
【課題】水晶振動子の提供。
【解決手段】振動本体2と頂電極層3と底電極層4と少なくとも1つの磁性層5とを含み、振動本体2は、薄肉部21と少なくとも1つのフレーム部22と複数の側面201とを備え、薄肉部21は、互いに反対する両側にある上平面211及び下平面212を備え、上平面211は、振動本体2の複数の側面201と間隔が開いている上ワークエリア2111を有し、下平面212は、振動本体2の複数の側面201と間隔が開いている下ワークエリア2121を有し、フレーム部22は、薄肉部21から上へ延伸するように構成されており、頂電極層3は、上ワークエリア2111に設置されている上ワーク部31を備え、底電極層4は、下ワークエリア2121に設置されている下ワーク部41を備え、少なくとも1つの磁性層5は、頂電極層3と互いに接続せずに、少なくとも1つのフレーム部22を覆っている。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動本体と頂電極層と底電極層と少なくとも1つの磁性層とを含み、
前記振動本体は、薄肉部と少なくとも1つのフレーム部と複数の側面とを備え、
前記薄肉部は、互いに反対する両側にある上平面及び下平面を備え、
前記上平面は、前記振動本体の前記複数の側面と間隔が開いている上ワークエリアを有し、
前記下平面は、前記振動本体の前記複数の側面と間隔が開いている下ワークエリアを有し、
前記フレーム部は、前記複数の側面における前記フレーム部にある前記側面が、前記複数の側面における前記薄肉部にある前記側面と同じ面になるよう前記薄肉部から離れて上へ延伸するように構成されており、
前記頂電極層は、前記上ワークエリアに設置されている上ワーク部を備え、
前記底電極層は、前記下ワークエリアに設置されている下ワーク部を備え、
前記少なくとも1つの磁性層は、前記頂電極層と互いに接続せずに、前記少なくとも1つのフレーム部を覆っている、ことを特徴とする水晶振動子。
【請求項2】
前記振動本体は、前記薄肉部における反対する両側にある2つの前記フレーム部を備え、
前記磁性層は、2つあって、前記2つのフレーム部のそれぞれを対応して覆っている、ことを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
【請求項3】
前記振動本体は、前記薄肉部における反対する両側にある2つの前記フレーム部を備え、
前記頂電極層は、頂電極層延伸部を更に備え、
且つ、前記2つのフレーム部のうちの1つの前記フレーム部は、互いに間隔が開いている2つの凸部と前記2つの凸部により画成される凹部と、を有し、
前記凹部の底面は、前記薄肉部の前記上平面と同じ高さである同一平面になるように形成されており、
前記頂電極層の前記頂電極層延伸部は、前記上ワーク部から前記凹部の前記底面へ向かって、前記凹部の前記底面が連接している前記側面と連接するように延伸し、
前記磁性層は、3つあって、前記2つの凸部と、前記2つのフレーム部のうちの他の前記フレーム部と、のそれぞれを対応して覆っている、ことを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
【請求項4】
前記底電極層は、底電極層延伸部を更に備え、
前記底電極層延伸部は、下延伸部と、中間延伸部と、上延伸部と、を備え、
前記下延伸部は、前記下ワーク部から前記凹部が連接している前記側面と連接するように延伸し、
前記上延伸部は、前記頂電極層延伸部から間隔が開きながら前記磁性層と互いに接続せずに前記凹部の前記底面に位置しており、
前記中間延伸部は、前記下延伸部と前記上延伸部とを連接するように前記凹部の前記底面が連接している前記側面に形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の水晶振動子。
【請求項5】
圧電基板の下表面に、前記圧電基板の複数の側面と間隔が開いている下ワーク部を備える底電極層を形成するステップaと、
前記圧電基板の前記下表面及び前記底電極層を仮基板に貼り付けるステップbと、
前記ステップbの後に、前記圧電基板の前記下表面の反対面である上表面から前記圧電基板をパターン化して、薄肉部と少なくとも1つのフレーム部と前記複数の側面とを備える振動本体を形成するステップであって、前記薄肉部は、互いに反対する両側にある上平面及び下平面を備え、前記上平面は、前記振動本体の前記複数の側面及び前記少なくとも1つのフレーム部と間隔が開いている上ワークエリアを有し、前記下平面は、前記振動本体の前記複数の側面と間隔が開いており且つ前記底電極層が設置されている下ワークエリアを有し、且つ、前記フレーム部は、前記複数の側面における前記フレーム部にある前記側面が、前記複数の側面における前記薄肉部にある前記側面と同じ面になるよう前記薄肉部から離れて上へ延伸するように構成されているステップcと、
前記薄肉部の前記上ワークエリアを露出させる電極開口を画成する第1の内環面と、前記第1の内環面と間隔が開いており且つ前記少なくとも1つのフレーム部を露出させながら前記少なくとも1つのフレーム部に位置決めされるように挿入されることできる少なくとも1つの位置決め開口を画成する少なくとも1つの第2の内環面と、前記薄肉部の上平面に向かっている下面と、を備える金属マスクを、前記第1の内環面の周りの前記下面が前記フレーム部の頂面より前記薄肉部の前記上ワークエリアに近くなり且つ前記金属マスクが前記フレーム部に位置決めされるよう前記フレーム部を対応の前記位置決め開口に挿入させるように、前記振動本体に設置するステップdと、
前記薄肉部の前記上ワークエリアを覆う上ワーク部を備える頂電極層を形成し且つ前記少なくとも1つのフレーム部を覆うと共に前記頂電極層と互いに接続しない少なくとも1つの磁性層を形成するように、前記金属マスクが設置されている前記振動本体に金属層を形成するステップeと、
前記ステップeの後に、前記仮基板を除去して前記底電極層を露出させるステップfと、を含む、ことを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項6】
前記ステップcにおいて、前記振動本体は、前記薄肉部における反対する両側にある2つの前記フレーム部を備え、
前記ステップdにおいて、前記金属マスクは、前記2つのフレーム部のそれぞれを対応して露出させる前記位置決め開口をそれぞれ画成する2つの前記第2の内環面を備え、且つ、前記金属マスクを、前記第1の内環面の周りの前記下面が前記2つのフレーム部の頂面より前記薄肉部の前記上ワークエリアに近くなり且つ前記金属マスクが前記2つのフレーム部に位置決めされるよう前記2つのフレーム部を対応の前記2つの位置決め開口に挿入させるように、前記振動本体に設置し、
前記ステップeにおいて、前記金属マスクが設置されている前記振動本体における金属層の前記形成により、前記2つのフレーム部のそれぞれを対応して覆う2つの前記磁性層を形成する、ことを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項7】
前記ステップcにおいて、前記振動本体は、前記薄肉部における反対する両側にある2つの前記フレーム部を備え、且つ、前記2つのフレーム部のうちの1つの前記フレーム部は、互いに間隔が開いている2つの凸部と、前記2つの凸部により画成される凹部と、を有し、且つ、前記凹部の底面は、前記薄肉部の前記上平面と同じ高さである同一平面になるように形成されており、
前記ステップdにおいて、前記金属マスクは、前記2つの凸部と前記2つのフレーム部のうちの他のフレーム部とのそれぞれを対応して露出させる前記位置決め開口をそれぞれ画成する3つの前記第2の内環面を備える上、前記下面の反対側にある上面と、前記上面及び前記下面を貫通して、前記位置決め開口と間隔が開いており且つ前記電極開口から前記凹部の前記底面へ向かって、前記凹部の前記底面が連接している前記側面に延伸し、前記金属マスクが前記振動本体に設置されると、前記薄肉部の前記上平面の一部及び前記凹部の前記底面の一部を露出させる第1の通路とを更に備え、且つ、前記金属マスクを、前記第1の内環面の周りの前記下面が前記2つの凸部及び前記他のフレーム部の頂面より前記薄肉部の前記上ワークエリアに近くなり且つ前記金属マスクが前記2つの凸部及び前記他のフレーム部に位置決めされるよう前記2つの凸部及び前記他のフレーム部を対応の前記3つの位置決め開口に挿入させるように、前記振動本体に設置し、
前記ステップeにおいて、前記金属マスクが設置されている前記振動本体における金属層の前記形成により、前記薄肉部の前記上ワークエリアを覆う前記上ワーク部と、前記第1の通路に位置する前記上平面の前記一部と前記第1の通路に位置する前記底面の前記一部とを覆う頂電極層延伸部と、を備える前記頂電極層を形成し、且つ、前記2つの凸部と、前記他のフレーム部とのそれぞれを対応して覆う3つの前記磁性層を形成し、前記頂電極層延伸部は、前記上ワーク部から前記凹部の前記底面へ向かって、前記凹部の前記底面が連接している前記側面と連接するように延伸する、ことを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項8】
前記ステップaにおいて、前記底電極層は、前記下ワーク部から前記凹部の前記底面が連接している前記側面と連接するように前記底面が連接している前記側面へ延伸する下延伸部を備える底電極層延伸部を備え、
前記ステップdにおいて、前記金属マスクは、前記第1の通路及び前記位置決め開口と間隔が開くように前記上面及び前記下面を貫通して、前記凹部の前記底面が連接している前記側面に延伸し、前記金属マスクが前記振動本体に設置されると、前記凹部の前記底面の一部を露出させる第2の通路を更に備え、
前記ステップeにおいて、前記金属マスクが設置されている前記振動本体における金属層の前記形成により、前記第2の通路に位置する前記凹部の前記底面の前記一部を覆って、前記磁性層と互いに接続しない、前記底電極層延伸部に属する上延伸部を更に形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項9】
前記ステップeまたは前記ステップfの後に、前記底電極層の前記下延伸部と前記底電極層の前記上延伸部とを連接するように前記凹部の前記底面が連接している前記側面に前記底電極層延伸部に属する中間延伸部を形成するステップe’を更に含む、ことを特徴とする請求項8に記載の水晶振動子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子(oscillator)に関し、特に水晶振動子(crystal oscillator)及び水晶振動子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は、水晶(石英)の結晶自身の圧電効果を利用して、振動周波数を生じる素子であり、各種類の電子製品(例えば通信設備)に広く配置されている。
【0003】
従来の水晶振動子は、水晶(石英)基板と、水晶基板の頂面に形成されている頂電極と、水晶基板の底面に形成されている底電極とを含む。その中で、底電極は、水晶基板の底面から水晶基板の周縁へ延伸するが、外部との電気的な接続に利するために、この技術分野の技術者は、底電極を頂電極と同一表面に位置させる傾向がある。
【0004】
また、水晶基板が薄いほど、生じる振動周波数が高いことは、この技術分野の開発者、研究者及び業者によく知られていることである。
【0005】
従って、水晶振動子を高い周波数帯に応用するために、水晶基板を、必要とされる振動周波数帯で振動することができる厚さに薄化する必要がある。
【0006】
図1及び図2に示されるように、特許文献1には、振動子11と、頂励振電極12と、底励振電極13とを含む振動素子1が開示されている。
【0007】
振動子11は、上ワーク面1111及び下ワーク面1112を有する薄肉部111と、薄肉部111の一部を囲繞し、厚さが薄肉部111より厚いフレーム部112とを有する。
【0008】
頂励振電極12は、薄肉部111の上ワーク面1111に設置されている頂ワーク電極部121と、頂ワーク電極部121からフレーム部112へ延伸する頂リード電極部122と、頂リード電極部122の一端に接続されている頂パッド電極123とを備える。
【0009】
底励振電極13は、薄肉部111の下ワーク面1112に設置されている底ワーク電極部131と、底ワーク電極部131からフレーム部112へ延伸する底リード電極部132と、底リード電極部132の一端に接続されている底パッド電極133とを備える。
【0010】
特許文献1に開示されている振動素子1は、頂ワーク電極部121及び底ワーク電極部131が設置されている薄肉部111を有することにより、高い振動周波数帯が要求されている通信系電信製品(図示せず)に提供して使用される。しかし、前述のように、頂励振電極12及び底励振電極13が同じ平面に位置していないので、特許文献1の振動素子1を外部の通信系電信製品の回路基板に接続する際、ボンディングワイヤ(bonding wire)を介して、通信系電信製品の回路基板を頂励振電極12の頂パッド電極123に電気的接続する必要があるので、より多くの製造工程が必要とされる。
【0011】
また、頂励振電極12の形成方法は、フォトリソグラフィ(photolithography)プロセス及び薄膜堆積(thin film deposition)プロセスを合わせた方法(以下、方法1と称する)により完成する、または、金属マスク及び薄膜堆積プロセスを合わせた方法(以下、方法2と称する)により完成することが専らである。
【0012】
振動子11の薄肉部111の厚さが非常に薄いため、方法1で頂励振電極12を形成すると、フォトリソグラフィプロセス中に薄肉部111を損傷しやすいことがよく知られている。
【0013】
また、方法2で頂励振電極12を形成すると、振動子11のフレーム部112の厚さが比較的に薄肉部111より厚いので、振動子11全体を覆うように振動子11の真上に設置されており且つ頂励振電極12の輪郭に対応する電極開口を有する金属マスク(図示せず)と、薄肉部111における頂励振電極12を堆積する部分との間の距離が増え、該金属マスクの電極開口と薄肉部111における頂励振電極12を堆積する部分との間に位置合わせの誤差が生じることにより、薄膜堆積プロセスで得られる頂励振電極12のサイズの精確度が落ちる。
【0014】
また、振動素子1を通信系電信製品に応用するために回路基板に移動する場合は、機械アームにより振動子11のフレーム部112を挟んで振動子11を移動する以外、他の方法がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第6079280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記の説明によれば、水晶振動子を薄化する前提で水晶振動子の製造方法及びその構造を改良して、水晶振動子を回路基板に移動する方法を増やし、且つフレーム部の厚さによる位置合わせの誤差及び電極のサイズの精確度が落ちるなどの問題点を解決することは、この技術分野の技術者の課題である。
【0017】
従って、本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの問題点を解消する水晶振動子及び従来技術の少なくとも1つの問題点を解消する水晶振動子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成すべく、本発明は、
振動本体と頂電極層と底電極層と少なくとも1つの磁性層とを含み、
前記振動本体は、薄肉部と少なくとも1つのフレーム部と複数の側面とを備え、
前記薄肉部は、互いに反対する両側にある上平面及び下平面を備え、
前記上平面は、前記振動本体の前記複数の側面と間隔が開いている上ワークエリアを有し、
前記下平面は、前記振動本体の前記複数の側面と間隔が開いている下ワークエリアを有し、
前記フレーム部は、前記複数の側面における前記フレーム部にある前記側面が、前記複数の側面における前記薄肉部にある前記側面と同じ面になるよう前記薄肉部から離れて上へ延伸するように構成されており、
前記頂電極層は、前記上ワークエリアに設置されている上ワーク部を備え、
前記底電極層は、前記下ワークエリアに設置されている下ワーク部を備え、
前記少なくとも1つの磁性層は、前記頂電極層と互いに接続せずに、前記少なくとも1つのフレーム部を覆っている、ことを特徴とする水晶振動子を提供する。
【0019】
また、本発明は、
圧電基板の下表面に、前記圧電基板の複数の側面と間隔が開いている下ワーク部を備える底電極層を形成するステップaと、
前記圧電基板の前記下表面及び前記底電極層を仮基板に貼り付けるステップbと、
前記ステップbの後に、前記圧電基板の前記下表面の反対面である上表面から前記圧電基板をパターン化して、薄肉部と少なくとも1つのフレーム部と前記複数の側面とを備える振動本体を形成するステップであって、前記薄肉部は、互いに反対する両側にある上平面及び下平面を備え、前記上平面は、前記振動本体の前記複数の側面及び前記少なくとも1つのフレーム部と間隔が開いている上ワークエリアを有し、前記下平面は、前記振動本体の前記複数の側面と間隔が開いており且つ前記底電極層が設置されている下ワークエリアを有し、且つ、前記フレーム部は、前記複数の側面における前記フレーム部にある前記側面が、前記複数の側面における前記薄肉部にある前記側面と同じ面になるよう前記薄肉部から離れて上へ延伸するように構成されているステップcと、
前記薄肉部の前記上ワークエリアを露出させる電極開口を画成する第1の内環面と、前記第1の内環面と間隔が開いており且つ前記少なくとも1つのフレーム部を露出させながら前記少なくとも1つのフレーム部に位置決めされるように挿入されることできる少なくとも1つの位置決め開口を画成する少なくとも1つの第2の内環面と、前記薄肉部の上平面に向かっている下面と、を備える金属マスクを、前記第1の内環面の周りの前記下面が前記フレーム部の頂面より前記薄肉部の前記上ワークエリアに近くなり且つ前記金属マスクが前記フレーム部に位置決めされるよう前記フレーム部を対応の前記位置決め開口に挿入させるように、前記振動本体2に設置するステップdと、
前記薄肉部の前記上ワークエリアを覆う上ワーク部を備える頂電極層を形成し且つ前記少なくとも1つのフレーム部を覆うと共に前記頂電極層と互いに接続しない磁性層を形成するように、前記金属マスクが設置されている前記振動本体に金属層を形成するステップeと、
前記ステップeの後に、前記仮基板を除去して前記底電極層を露出させるステップfと、を含む、ことを特徴とする水晶振動子の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】特許文献1に開示されている振動素子を示す平面図である。
図2図1の線II-II断面図である。
図3】本発明の水晶振動子の製造方法の実施形態におけるステップaを説明する正面図である。
図4図3の平面図である。
図5】上記の実施形態におけるステップbを説明する正面図である。
図6図5の平面図である。
図7】上記の実施形態におけるステップcを説明する正面図である。
図8図7の平面図である。
図9】上記の実施形態におけるステップdに使用する金属マスクを示す斜視図である。
図10】上記の実施形態におけるステップdを説明する正面図である。
図11】上記の実施形態におけるステップeを説明する正面図である。
図12図11の左側面図である。
図13】上記の実施形態におけるステップfを説明する平面図である。
図14図13の左側面図である。
図15】上記の実施形態におけるステップe’を説明する左側面図である。
図16図15の平面図である。
図17】上記の実施形態により製造された水晶振動子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態の目的、技術手段、及び利点をより明確に説明するために、以下、本発明の実施形態の添付図面を組み合わせて、本発明の実施形態における技術手段に対して明確且つ完全に説明する。説明する実施形態は、本発明の一部の実施形態であり、すべての実施形態ではないことが明らかであろう。通常、添付図面に描きまた示す本発明の実施形態の部品は各種異なる配置で布置及び設計することができる。従って、以下、添付図面中に提供した本発明の実施形態の詳細説明は、本発明の保護範囲に対していかなる制限も構成せず、単に本発明の選択された実施形態を示すのみである。
【0022】
本発明をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合には、参照符号または参照符号の末端部分が、対応するまたは類似する要素を示すために図間で繰り返されており、これらは任意に同様の特性を有することができることに留意されたい。
【0023】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方位や位置関係を示す用語は、より簡単且つ明瞭に説明するために、図面に示される方位や位置関係、または本発明の製品を使用する際に習慣的に置かれる方位や位置関係に基づくものであり、対応する装置やデバイスが特定の方位、特定の方位における構造や操作などを有することを教示または示唆するものではなく、本発明に対する限定ではない。
【0024】
また、本発明の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、ただ区別を目的として使用され、相対的な重要性を教示または示唆するものではない。
【0025】
本発明の水晶振動子の製造方法の実施形態において、以下のステップa~ステップfを含む。
【0026】
図3及び図4に示されるように、ステップaは、圧電基板200の下表面202(図3においては上方にある)に、圧電基板200の複数の側面201と間隔が開いている下ワーク部41を備える底電極層4を形成するステップである。
【0027】
この実施形態において、石英基板を圧電基板200の例として説明する。
【0028】
図5及び図6に示されるように、ステップbは、圧電基板200の下表面202及び底電極層4を仮基板6に貼り付けるステップである。
【0029】
詳しく説明すると、ステップbにおいて、底電極層4を仮基板6に面して、ワックス7(wax)、光剥離接着材料または熱剥離接着材料を使用して圧電基板200の下表面202及び底電極層4を仮基板6に貼り付ける。
【0030】
この実施形態においては、ステップbにおいてワックス7を使用して圧電基板200の下表面202及び底電極層4を仮基板6に貼り付けるが、それに限らない。
【0031】
図7及び図8に示されるように、ステップcは、ステップbの後に、圧電基板200の下表面202の反対面である上表面203から圧電基板200をパターン化して、薄肉部21と少なくとも1つのフレーム部22と複数の側面201とを備える振動本体2を形成するステップである。
【0032】
薄肉部21は、互いに反対する両側にある上平面211及び下平面212を備える。
【0033】
上平面211は、振動本体2の複数の側面201及び少なくとも1つのフレーム部22と間隔が開いている上ワークエリア2111を有する。
【0034】
下平面212は、振動本体2の複数の側面201と間隔が開いており、且つ底電極層4が設置されている下ワークエリア2121を有する。
【0035】
フレーム部22は、複数の側面201におけるフレーム部22にある前記側面201が、複数の側面201における薄肉部21にある側面201と同じ面になるよう薄肉部21から離れて上へ延伸するように構成されている。この実施形態において、フレーム部22は、複数の側面201におけるフレーム部22にある前記側面201が、複数の側面201における薄肉部21にある側面201と同じ平面になるように構成されている。
【0036】
図9及び図10に示されるように、ステップdは、薄肉部21の上ワークエリア2111を露出させる電極開口8010を画成する第1の内環面801と、第1の内環面801と間隔が開いており且つ少なくとも1つのフレーム部22を露出させながら少なくとも1つのフレーム部22に位置決めされるように挿入されることできる少なくとも1つの位置決め開口8020を画成する少なくとも1つの第2の内環面802と、薄肉部21の上平面211に向かっている下面81とを備える図9の金属マスク8を、第1の内環面801の周りの下面81がフレーム部22の頂面より薄肉部21の上ワークエリア2111に近くなり且つ金属マスク8がフレーム部22に位置決めされるようフレーム部22を対応の位置決め開口8020に挿入させるように、振動本体2に設置するステップである。
【0037】
即ち、金属マスク8を振動本体2に設置すると、金属マスク8は、フレーム部22が位置決め開口8020に挿入することにより位置決めされる。
【0038】
図11及び図12に示されるように、ステップeは、薄肉部21の上ワークエリア2111を覆う上ワーク部31を備える頂電極層3を形成し且つ少なくとも1つのフレーム部22を覆うと共に頂電極層3と互いに接続しない少なくとも1つの磁性層5を形成するように、金属マスク8が設置されている振動本体2に金属層を形成するステップである。
【0039】
即ち、該金属層は、図11及び図12に示されるように、一部が金属マスク8に覆い、一部が薄肉部21の上ワークエリア2111を覆う頂電極層3になり、一部が少なくとも1つのフレーム部22を覆う少なくとも1つの磁性層5になる。
【0040】
一部の実施形態において、ステップcにおいて、図7及び図8に示されるように、振動本体2は、薄肉部21における反対する両側にある2つのフレーム部22を備え、ステップdにおいて、金属マスク8は、2つのフレーム部22のそれぞれを対応して露出させる位置決め開口8020をそれぞれ画成する2つの第2の内環面802を備え、即ち、2つの位置決め開口8020は、2つのフレーム部22のそれぞれに位置決めされるように挿入されすることできるよう画成され、且つ、金属マスク8を、第1の内環面801の周りの下面81が2つのフレーム部22の頂面より薄肉部21の上ワークエリア2111に近く且つ金属マスク8が2つのフレーム部22に位置決めされるよう2つのフレーム部22を対応の2つの位置決め開口8020に挿入させるように、振動本体2に設置し、ステップeにおいて、金属マスク8が設置されている振動本体2における金属層の前記形成により、2つのフレーム部22のそれぞれを対応して覆う2つの磁性層5を形成する。
【0041】
この実施形態において、ステップcにおいて、図7及び図8に示されるように、振動本体2は、薄肉部21における反対する両側にある2つのフレーム部22を備え、且つ、2つのフレーム部22のうちの1つのフレーム部22(即ち、図7及び図8における左側のフレーム部22)は、互いに間隔が開いている2つの凸部222と2つの凸部222の間で2つの凸部222により画成される凹部221とを有し、且つ、凹部221の底面2211は、薄肉部21の上平面211と実質同じ高さである同一平面になるように形成されている。
【0042】
具体的に、本発明のステップcにおけるパターン化する手段は、圧電基板200の上表面203に所定のパターンを有するマスク層(図示せず)を形成した後、圧電基板200の上表面203に対してウェットエッチング(wet etching)またはドライエッチング(dry etching)を行って該マスク層に覆われない部分を除去することにより、薄肉部21と2つのフレーム部22とを備え且つ2つのフレーム部22のうちの1つのフレーム部22(即ち、図7及び図8における左側のフレーム部22)が互いに間隔が開いている2つの凸部222と2つの凸部222の間で2つの凸部222により画成される凹部221とを有する振動本体2を形成する。
【0043】
また、2つのフレーム部22は、図7及び図8に示されるように、上記の構成で薄肉部21における反対する左右両側にある。
【0044】
この実施形態において、ステップdにおいて、図9及び図10に示されるように、金属マスク8は、2つの凸部222と2つのフレーム部22のうちの他のフレーム部22とのそれぞれを対応して露出させる位置決め開口8020をそれぞれ画成する3つの第2の内環面802を備え、即ち、3つの位置決め開口8020は2つの凸部222と前記他のフレーム部22とのそれぞれに位置決めされるように挿入されることができるよう画成され、且つ、下面81の反対側にある上面82と、上面82及び下面81を貫通し、金属マスク8が振動本体2に設置されると、薄肉部21の上平面211の一部及び凹部221の底面2211の一部を露出させる第1の通路83とを更に備える。
【0045】
詳しく説明すると、第1の通路83は、位置決め開口8020と間隔が開いており且つ電極開口8010から凹部221の底面2211へ向かって、凹部221の底面2211が連接している側面201に延伸するように形成されており、3つの第2の内環面802のうちの2つの凸部222に対応する2つの第2の内環面802(即ち図9における左側にある2つの第2の内環面802)は、図9における左側にあるフレーム部22が有する2つの凸部222のそれぞれに位置決めされるように2つの凸部222のそれぞれに根本部分まで挿入されて貫通されることができる2つの位置決め開口8020を画成し、且つ、3つの第2の内環面802のうちの残りの第2の内環面802(即ち図9における右側にある第2の内環面802)は、前記他のフレーム部22(即ち図10における右側にあるフレーム部22)に位置決めされるように前記他のフレーム部22に根本部分まで挿入されて貫通されることができる位置決め開口8020を画成する。そして、金属マスク8を、第1の内環面801及び第1の通路83の周りの下面81が2つの凸部222及び前記他のフレーム部22の頂面より薄肉部21の上ワークエリア2111及び第1の通路83に対応する上平面211に近くなり且つ金属マスク8が2つの凸部222及び前記他のフレーム部22に位置決めされるよう根本部分まで2つの凸部222及び前記他のフレーム部22を対応の3つの位置決め開口8020に挿入させて対応の3つの位置決め開口8020を貫通するように、振動本体2に設置する。
【0046】
この実施形態において、ステップeにおいて、金属マスク8が設置されている振動本体2における金属層の前記形成は、薄膜堆積プロセスにより行い、該形成により、図11及び図12に示されるように、薄肉部21の上ワークエリア2111を覆う上ワーク部31と、第1の通路83に位置する上平面211の前記一部と第1の通路83に位置する底面2211の前記一部とを覆う頂電極層延伸部32とを備える頂電極層3を形成し、且つ、図11における左側にあるフレーム部22が有する2つの凸部222と、図11における右側にある前記他のフレーム部22のそれぞれとを対応して覆う3つの磁性層5を形成し、それにより、頂電極層延伸部32は、上ワーク部31から凹部221の底面2211へ向かって、凹部221の底面2211が連接している側面201と連接するように延伸する。
【0047】
また、この実施形態において、ステップaにおいて、図8に示されるように、底電極層4は、下ワーク部41から凹部221の底面2211が連接している側面201と連接するように底面2211が連接している側面201へ延伸する下延伸部421を備える底電極層延伸部42を備える。
【0048】
そして、この実施形態において、図9に示されるように、ステップdにおいて、金属マスク8は、第1の通路83及び前記位置決め開口8020と間隔が開くように上面82及び下面81を貫通して、図10に示されるように凹部221の底面2211が連接している側面201に延伸し、金属マスク8が振動本体2に設置されると、凹部221の底面2211の一部を露出させる第2の通路84を更に備え、そして、金属マスク8を、第1の内環面801、第1の通路83及び第2の通路84の周りの下面81が2つの凸部222及び前記他のフレーム部22の頂面より薄肉部21の上ワークエリア2111及び第1の通路83と第2の通路84とに対応する上平面211に近くなり且つ金属マスク8が2つの凸部222及び前記他のフレーム部22に位置決めされるよう根本部分まで2つの凸部222及び前記他のフレーム部22を対応の3つの位置決め開口8020に挿入させて対応の3つの位置決め開口8020を貫通するように、振動本体2に設置する。
【0049】
即ち、この実施形態のステップdにおいて、金属マスク8を、第1の内環面801、第1の通路83及び第2の通路84の周りの下面81が薄肉部21の上平面211に非常に近接し且つ2つの凸部222及び前記他のフレーム部22が対応の3つの位置決め開口8020より突出するように、振動本体2に設置する。
【0050】
また、この実施形態において、図11及び図12に示されるように、ステップeにおいて、金属マスク8が設置されている振動本体2における金属層の前記形成により、第2の通路84に位置する凹部221の底面2211の前記一部を覆って、磁性層5と互いに接続しない、底電極層延伸部42に属する上延伸部423を更に形成する。
【0051】
図13及び図14に示されるように、ステップfは、ステップeの後に、金属マスク8に形成された金属層と共に図12に示されるように金属マスク8を除去して底電極層延伸部42の上延伸部423を露出させ、且つ、仮基板6を除去して底電極層4を露出させるステップである。
【0052】
詳しく説明すると、この実施形態のステップbは、ワックス7を使用して圧電基板200の下表面202及び底電極層4を仮基板6に貼り付けるので、この実施形態のステップfを実施する時に、ワックス7の融点より少し高い温度で振動本体2及び底電極層4の下にあるワックス7を融解して、仮基板6を振動本体2及び底電極層4から脱落させることができる。また、光剥離接着材料または熱剥離接着材料を使用してステップbを実施する場合、ステップfにおいては照光または加熱により仮基板6を除去することができる。
【0053】
また、図15及び図16に示されるように、ステップeまたはステップfの後に、底電極層4の下延伸部421と底電極層4の上延伸部423とを連接するように凹部221の底面2211が連接している側面201に底電極層延伸部42に属する中間延伸部422を形成するステップe’を更に含む。
【0054】
この実施形態において、ステップfの後に、機械アーム(図示せず)を用いて銀ペースト(silver paste)を、底電極層4の下延伸部421と底電極層4の上延伸部423とを連接するように凹部221の底面2211が連接している側面201に設置することにより、底電極層延伸部42の中間延伸部422を形成する。
【0055】
上記の本発明の水晶振動子の製造方法の実施形態により、図17に示される本発明の水晶振動子の実施形態を得られる。
【0056】
本発明の水晶振動子の実施形態は、図17に示されるように、振動本体2と頂電極層3と底電極層4と3つの磁性層5とを含む。
【0057】
振動本体2は、薄肉部21と2つのフレーム部22と圧電基板200由来の複数の側面201とを備える。
【0058】
薄肉部21は、互いに反対する両側にある上平面211及び下平面212を備える。
【0059】
上平面211は、振動本体2の複数の側面201と間隔が開いている上ワークエリア2111を有する。この実施形態において、上ワークエリア2111は、振動本体2の複数の側面201及び2つのフレーム部22と間隔が開いている。
【0060】
下平面212は、振動本体2の複数の側面201と間隔が開いている下ワークエリア2121を有する。
【0061】
2つのフレーム部22は、薄肉部21における反対する両側(即ち図17における左右両側)にあり、且つ、それぞれは、複数の側面201におけるフレーム部22にある側面201が、複数の側面201における薄肉部21にある側面201と同じ面になるよう薄肉部21から離れて上へ延伸するように構成されている。この実施形態において、各フレーム部22は、複数の側面201におけるフレーム部22にある側面201が、複数の側面201における薄肉部21にある側面201と同じ平面になるように構成されている。
【0062】
2つのフレーム部22のうちの1つのフレーム部22(即ち図17における左側にあるフレーム部22)は、互いに間隔が開いている2つの凸部222と2つの凸部222の間で2つの凸部222により画成される凹部221とを有し、且つ、凹部221の底面2211は、薄肉部21の上平面211と実質同じ高さである同一平面になるように形成されている。
【0063】
頂電極層3は、上ワークエリア2111に設置されている上ワーク部31と、上ワーク部31から凹部221の底面2211へ向かって、凹部221の底面2211が連接している側面201と連接するように延伸する頂電極層延伸部32とを備える。
【0064】
底電極層4は、下ワークエリア2121に設置されている下ワーク部41と、底電極層延伸部42とを備える。
【0065】
底電極層延伸部42は、下延伸部421と、中間延伸部422と、上延伸部423と、を備える。
【0066】
下延伸部421は、下ワーク部41から凹部221の底面2211が連接している側面201と連接するように底面2211が連接している側面201へ延伸する。
【0067】
上延伸部423は、頂電極層延伸部32から間隔が開くように磁性層5と互いに接続せずに凹部221の底面2211に位置している。この実施形態において、上延伸部423は、凹部221の底面2211が連接している側面201と連接する。
【0068】
中間延伸部422は、下延伸部421と上延伸部423とを連接するように凹部221の底面2211が連接している側面201に形成されている。
【0069】
3つの磁性層5は、頂電極層3及び底電極層延伸部42の上延伸部423と互いに接続せずに、図17における左側にあるフレーム部22が有する2つの凸部222と、2つのフレーム部22のうちの他の1つのフレーム部22(即ち図17における右側にあるフレーム部22)とのそれぞれを対応して覆っている。
【0070】
この実施形態において、頂電極層3及び磁性層5は、磁性を有するニッケル金属(Ni)により構成されている。
【0071】
また、ステップdを実施する際、金属マスク8を設置した後、金属マスク8は、図9及び図10に示されるように、図9における左側にある2つの第2の内環面802が、それぞれ図10における左側にあるフレーム部22の2つの凸部222に位置決めされるように、2つの凸部222の根本部分を囲繞しながら、2つの凸部222が対応の位置決め開口8020から突出して露出するよう対応の位置決め開口8020に挿入しており(図12に示されるように)、且つ、図9における右側にある第2の内環面802が、図10における右側にあるフレーム部22に位置決めされるように、該フレーム部22の根本部分を囲繞しながら、該フレーム部22が右側の位置決め開口8020から突出して露出するように右側の位置決め開口8020に挿入しており(図12に示されるように)、且つ、第1の内環面801、第1の通路83及び第2の通路84の周りの下面81は、薄肉部21の上平面211に非常に近接している。
【0072】
したがって、ステップeを実施する際、第1の内環面801、第1の通路83及び第2の通路84の周りの下面81は、薄肉部21の上平面211に非常に近接しているので、ステップeにおいて、堆積により形成される頂電極層3の上ワーク部31及び頂電極層延伸部32と、底電極層延伸部42の上延伸部423とのサイズの精確度を向上させることができる。
【0073】
即ち、本発明のステップd及びステップeを実施することにより、背景技術における方法2の欠点(即ちフレーム部112の厚さが薄肉部111より厚いことにより金属マスクと振動子11との間の距離が増えて、該金属マスクの電極開口と頂励振電極12を堆積する部分との間に位置合わせの誤差が生じて、薄膜堆積プロセスで得られる頂励振電極12のサイズの精確度が落ちる欠点)を解消できる。
【0074】
また、ステップeを実施する際、堆積により形成される金属層は、振動本体2の上平面211を覆っている頂電極層3及び底電極層延伸部42の上延伸部423と、各凸部222及び右側にあるフレーム部22のそれぞれを覆っている3つの磁性層5であり、即ち、ステップeを実施することにより頂電極層3及び底電極層延伸部42の上延伸部423及び各磁性層5を形成し、且つ、各磁性層5、頂電極層3及び底電極層延伸部42の上延伸部423は互いに接続しない。
【0075】
したがって、本発明の水晶振動子を通信系電信製品に応用する時に、磁力を帯びる装置、例えば通電することによって磁気吸着力を発生させる電磁吸引部を有する装置を使用して、磁性層5を吸着することにより本発明の水晶振動子を通信系電信製品の回路基板に移動することができ、即ち、機械アームにより挟んで移動する以外の方法で移動できる。
【0076】
上記の内容によれば、本発明の水晶振動子の製造方法により、堆積により形成される頂電極層3の上ワーク部31及び頂電極層延伸部32と、底電極層延伸部42の上延伸部423とのサイズの精確度を向上させることができ、且つ、磁性層5を形成することができて、本発明の水晶振動子は、磁性層5により磁力を帯びる装置で水晶振動子の移動を行うことができる。
【0077】
従って、本発明の目的を確実に達成できる。
【0078】
本発明は、例示的な実施形態と考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、そのような修正及び同等の配置をすべて包含するように最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な配置を対象とすることが意図されていることが理解される。
【0079】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能である。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、水晶振動子の製造方法及び水晶振動子の提供に適する。
【符号の説明】
【0081】
200 圧電基板
201 側面
202 下表面
203 上表面
2 振動本体
21 薄肉部
211 上平面
2111 上ワークエリア
212 下平面
2121 下ワークエリア
22 フレーム部
221 凹部
2211 底面
222 凸部
3 頂電極層
31 上ワーク部
32 頂電極層延伸部
4 底電極層
41 下ワーク部
42 底電極層延伸部
421 下延伸部
422 中間延伸部
423 上延伸部
5 磁性層
6 仮基板
7 ワックス
8 金属マスク
81 下面
82 上面
83 第1の通路
84 第2の通路
801 第1の内環面
8010 電極開口
8020 位置決め開口
802 第2の内環面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17