(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097771
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】放射線測定の方法、装置、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
G01T 1/16 20060101AFI20240711BHJP
G01T 1/00 20060101ALI20240711BHJP
A61L 2/08 20060101ALI20240711BHJP
G21K 5/02 20060101ALN20240711BHJP
G21K 5/04 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
G01T1/16 A
G01T1/00 D
A61L2/08
G21K5/02 X
G21K5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000782
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】23150623
(32)【優先日】2023-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509125981
【氏名又は名称】イオン・ビーム・アプリケーションズ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・プリエルス
【テーマコード(参考)】
2G188
4C058
【Fターム(参考)】
2G188AA27
2G188BB02
2G188CC01
2G188DD16
2G188EE29
2G188FF28
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD13
4C058EE26
4C058KK03
4C058KK32
(57)【要約】
【課題】製品への照射線量を、場合によってはリアルタイムでチェックするための、新しい改善されたデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】本発明は、測定デバイスを使用して放射線源による製品の照射を測定し、チェックするための方法を開示する。製品を放射線源の前に搬送した後、放射線ビームは、製品の前面を照射し、コリメータによって放射線源の同じターゲットゾーンを指す少なくとも2つの検出器に当たるように通過する。最後に、各検出器の記録された信号は、稼働時適格性確認で決定された信号と比較される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源(20)によって製品(10)が受けた放射線量をチェックするための方法であって、
- 参照製品が受けた稼働時適格性確認ステップ中に少なくとも2つの検出器(5)の系列(1)の少なくとも1つの検出器によって前記放射線量の少なくとも1つの参照信号Sdn,PQ(t)を測定するステップであって、少なくとも2つの検出器(5)の前記系列(1)は、前記少なくとも2つの検出器(5)が、照射ビームを生成するコンバータ(31)に面する平面(40)内に配置構成されるような仕方で前記放射線源(20)から所定の距離のところに置かれた検出部(3)およびコリメータ(2)を各々備え、前記製品(10)の少なくとも一部によって部分的にまたは完全に遮られる前記放射線源(20)の同じターゲットゾーン(30)を指す、ステップと、
- 前記製品(10)の前面(11)の少なくとも一部が前記放射線源(20)から生成された照射ビームを照射されるように前記製品(10)を前記放射線源(20)の前に搬送するステップと、
- 前記少なくとも2つの検出器(5)の前記系列(1)の各検出器(5)によって前記製品(10)が受ける前記放射線量の信号Sdn,Process(t)を測定するステップと、
- コントローラ(80)によって、前記同じ系列(1)の前記少なくとも2つの検出器(5)の各測定された信号を、前記少なくとも1つの検出器(5)によって測定された前記少なくとも1つの参照信号と比較するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記同じ系列(1)の前記少なくとも2つの検出器(5)の少なくとも2つの比
【数1】
を比較することによって、誤差が前記製品(10)に起因しているのか、または前記放射線源(20)に起因しているのかが決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同じ系列(1)の前記少なくとも2つの検出器(5)の前記少なくとも2つの比
【数2】
の間の類似の偏差は、前記放射線源(20)に起因する可能な誤差を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記同じ系列(1)の前記少なくとも2つの検出器(5)の前記少なくとも2つの比
【数3】
の間の異なる偏差は、前記製品(10)に起因する可能な誤差を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの参照信号Sdn,PQ(t)は、前記同じ系列(1)の各検出器(5)によって測定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記製品(10)は、前記コンバータ(31)と少なくとも2つの検出器(5)の前記系列(1)との間に置かれ、前記放射線源(20)が前記ターゲットゾーン(30)と少なくとも2つの検出器(5)の前記系列(1)との間で放射するのを遮る、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コリメータ(2)は、前記検出部(3)を部分的にまたは完全に覆い、前記ターゲットゾーン(30)からの放射線の受け取りを狭めて前記放射線量をキャプチャすることを意図したコンバータ(31)に面している、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各検出器(5)は、0.1Hzから10kHzの間、好ましくは1Hzの周波数で前記放射線量をリアルタイムで読み取り、キャプチャするために使用される電位計(6)を装備する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの検出器(5)の各々の前記検出部(3)は、電位計(6)に接続された、電離箱、好ましくは二重電離箱である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記製品(10)の放射中に前記電位計(6)によって読み取られた各検出部(3)の前記信号S
dn,Process(t)は、前記製品(10)の前記稼働時適格性確認ステップ中に前記同じ検出部(3)の前記参照信号S
dn,PQ(t)と比定され、それにより、第1の検出器(5)の比
【数4】
が、前記コントローラ(80)によって、少なくとも2つの検出器(5)の前記同じ系列(1)からの少なくとも別の検出器(5)の比
【数5】
とリアルタイムで比較される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記稼働時適格性確認に使用される前記参照製品は、前記製品(10)と同じ特性、特質、特徴、材料、および構造を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を使用する製品(10)の前記照射のための装置であって、
- 前記照射される製品(10)の前面(11)の少なくとも一部を通過する放射線ビームを供給するための放射線源(20)と、
- 前記少なくとも2つの検出器(5)が前記放射線源(20)に面する平面(40)内に配置構成されるように、記放射線源(20)から所定の距離のところに置かれた検出部(3)およびコリメータ(2)を各々備え、前記製品(10)の少なくとも一部によって部分的または完全に遮られる前記放射線源(20)の同じターゲットゾーン(30)を指す、少なくとも2つの検出器(5)の系列(1)と、
- 前記稼働時適格性確認中に前記少なくとも2つの検出器(5)のうちの1つから記録された少なくとも1つの信号Sdn,PQ(t)と、前記製品(10)の前記照射中に前記同じ少なくとも2つの検出器(5)から記録された信号Sdn,Process(t)との比較を行うためのコントローラ(80)と、
- 前記製品(10)を前記放射線源(20)の前、および前記放射線源(20)と前記少なくとも2つの検出器(5)の前記系列(1)との間で搬送する搬送デバイスとを備える、装置。
【請求項13】
前記同じ系列(1)の前記少なくとも2つの検出器(5)の前記少なくとも2つの比
【数6】
を比較することによって、誤差が前記製品(10)に起因しているのか、または前記放射線源(20)に起因しているのかが決定される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法または請求項12および13のいずれか一項に記載の装置に使用される放射線ビームの放射線量を測定するための測定デバイスであって、
- 電離箱、好ましくは二重電離箱を装備する検出部(3)と、
- ビームの受け取りを狭めることを意図して前記検出部(3)を部分的にまたは完全に覆うコリメータ(2)と、
- 0.1Hzから10kHz、好ましくは約1Hzの周波数で放射線量をリアルタイムでキャプチャし、読み取るために使用される電位計(6)と
を各々備える少なくとも2つの検出器(5)の系列(1)を備え、
前記少なくとも2つの検出器(5)のうちの一方の検出器の前記コリメータ(2)は、前記少なくとも2つの検出器(5)のうちの他方の検出器の他方のコリメータのビームの同じターゲット領域を指している、測定デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも2つの検出器(5)の各々の前記コリメータ(2)は、前記平面(40)内に取り付けられている前記検出部(3)を部分的にまたは完全に覆っている、請求項14に記載の放射線測定デバイス。
【請求項16】
前記平面(40)は、前記製品(10)の少なくとも一部の通過を意図した空間によって放射線源の前記ターゲット領域から離隔される、請求項14または15に記載の放射線測定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の放射線照射の分野に関するものであり、より具体的には、必要な放射線が線量要件を満たしていることを、場合によってはリアルタイムで、チェックするための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線を使用する滅菌技術は、当技術分野でよく知られている。しかしながら、医療デバイス、医薬品、化粧品、または他の材料を満載したパレットなどの大量のものを取り扱うために、X線照射が、深部まで十分に浸透し、高速で効率的な的を絞った処理が小サイズ製品の規模から製品満載パレットの規模まで円滑に対応できるという点で最も適切である。
【0003】
十分な線量の高エネルギー放射線を製品に照射すると、製品汚染の原因となる、寄生細菌およびウイルスなどの、生物または細胞に損傷を与え、死滅させる。
【0004】
照射された製品に沈着した放射線の線量を知ることは、その製品が正しく照射されているかどうかを決定し、計画された照射計画に比べて照射量の不足も過剰もないことを確認するために不可欠である。しかしながら、製品が適切な線量を受けることを保証するために、標準的技法は、数回のキャリブレーションおよび検証を実行することからなり、これは時間を要し、誤差が生じやすく、パレットの単一点における線量を検証するだけなので不完全である。
【0005】
検出器の信号からの照射問題をリアルタイムで検出できることは非常に興味深い。しかしながら、問題が製品それ自体に起因するのか、または照射システムに起因するのかを区別し、即座に効率よく対処することも不可欠である。製品の背後に置かれた検出器の信号データを収集しても、この区別を行えない。さらに、照射されるべき製品の前に検出器を置くことは、照射システムから発せられるビームを分析することを可能にする。これは、照射システムの問題を検出するのに有用であり得る。しかしながら、この解決方法には多くの欠点があり、たとえば、X線コンバータとコンベアとの間の距離を長くすることを必要とし、エネルギー効率を低下させる。それに加えて、X線コンバータの真後ろに検出器を置くと、検出器が急速に飽和して温度が上昇し、そのため感度が低下し、さらに重たい冷却システムを必要とし得る。その結果、同じ条件で使用されない検出器を製品の前方および背後に使用すると、信号エラーが発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、製品への照射線量を、場合によってはリアルタイムでチェックするための、新しい改善されたデバイスおよび方法を提供する。それに加えて、本発明は、上記の問題を克服し、問題が製品に起因するのか、または照射中の照射システムに起因するのかを明確に検出することができる新しいデバイスおよび方法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、付属の請求項において説明されているような放射線測定の方法、装置、およびデバイスに関する。
【0008】
本発明は、放射線源によって製品が受けた放射線量をチェックするための方法に関するものであり、方法は、
- 参照製品が受けた稼働時適格性確認ステップ中に少なくとも2つの検出器の系列の少なくとも1つの検出器によって放射線量の少なくとも1つの参照信号Sdn,PQ(t)を測定するステップであって、少なくとも2つの検出器の前記系列は、前記少なくとも2つの検出器が、照射ビームを生成するコンバータに面する平面内に配置構成されるような仕方で放射線源から所定の距離のところに置かれた検出部およびコリメータを各々備え、製品の少なくとも一部によって部分的にまたは完全に遮られる放射線源の同じターゲットゾーンを指す、ステップと、
- 製品の前面の少なくとも一部が前記放射線源から生成された照射ビームを照射されるように製品を放射線源の前に搬送するステップと、
- 少なくとも2つの検出器の系列の各検出器によって前記製品が受ける放射線量の信号Sdn,Process(t)を測定するステップと、
- コントローラによって、同じ系列の少なくとも2つの検出器の各測定された信号を、同じ系列の少なくとも1つの検出器によって測定された少なくとも1つの参照信号と比較するステップとを含む。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、誤差が製品に起因しているのか、または放射線源に起因しているのかを決定するために、同じ系列の検出器のうちの少なくとも2つの検出器の少なくとも2つの比
【数1】
を比較することを含む。ここで、同じ系列の検出器のうちの少なくとも2つの検出器の少なくとも2つの比
【数2】
の間に類似の偏差が検出された場合、誤差は放射線源に起因している可能性が高い。逆に、この偏差が異なる場合に誤差は製品に由来しているものとしてよい。
【0010】
別の実施形態では、少なくとも1つの参照信号Sdn,PQ(t)は、同じ系列の検出器のうちの各検出器によって測定される。
【0011】
本発明は、説明されている方法を使用して製品を照射するための装置に関するものであり、これは
- 照射される製品の前面の少なくとも一部を通過する放射線ビームを供給する放射線源と、
- 少なくとも2つの検出器が放射線源に面する平面内に配置構成されるように、放射線源から所定の距離のところに置かれた検出部およびコリメータを各々備え、製品の少なくとも一部によって部分的または完全に遮られる放射線源の同じターゲットゾーンを指す、少なくとも2つの検出器の系列と、
- 稼働時適格性確認中に少なくとも2つの検出器のうちの1つから記録された少なくとも信号Sdn,PQ(t)と、製品の照射中に同じ少なくとも2つの検出器から記録された信号Sdn,Process(t)との比較を行うコントローラと、
- 製品を放射線源の前、および前記放射線源と少なくとも2つの検出器の系列との間で、搬送する搬送デバイスとを備える。
【0012】
本発明は、少なくとも2つの検出器の系列を備える説明されている方法または装置に使用される放射線ビームの放射線量を測定するための測定デバイスに関するものであり、これは
- 電離箱、好ましくは二重電離箱を装備する検出部と、
- ビームの受光を狭めることを意図して検出部を部分的にまたは完全に覆うコリメータと、
- 0.1Hzから10kHz、好ましくは約1Hzの周波数で放射線量をリアルタイムでキャプチャし、読み取るために使用される電位計であって、少なくとも2つの検出器のうちの一方の検出器のコリメータは、少なくとも2つの検出器のうちの他方の検出器の他方のコリメータのビームの同じターゲット領域を指している、電位計とを備える。
【0013】
本発明の他の態様、目的、および利点は、次の詳細な説明から、添付図面と併せて考察することでより明らかになるであろう。
【0014】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示し、本明細書とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】少なくとも2つの検出器の系列を有する放射線ビームを測定するための測定デバイスを備える製品の照射のための装置の正面図である。
【
図2】少なくとも2つの検出器の2つの系列を有する放射線ビームを測定するための測定デバイスを備える製品の照射のための装置の正面図である。
【
図3】少なくとも2つの検出器の1つの移動可能系列を有する放射線ビームを測定するための測定デバイスを備える製品の照射のための装置の正面図である。
【
図4】1つまたは複数のターゲットゾーンの配置を示すコンバータの斜視図である。
【
図5】コリメータを介して放射線源の同じターゲットゾーンを指している少なくとも2つの検出器の系列の拡大図である。
【
図6】検出器を覆い壁面に設置されたコリメータの斜視図(A)および断面図(B)である。
【
図7】本発明の一実施形態において検出部3として使用される高度なMarkus Chamber IC Type 34045 (PTW)の断面図である。
【
図8a】複数の検出器が位置決めされる壁の斜視図である。
【
図8b】複数の検出器が位置決めされる壁の異なる実施形態の側面図である。
【
図9】検出器に関してコントローラおよびサーミスタのセットアップを示す説明図である。
【
図10a】検出器による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された参照信号と、製品の放射線プロセスにおける2つの検出器の2つの信号との間の信号比較の標準的な例、さらには誤差が検出されなかったときの各検出器の各信号と参照信号との比を示す図である。
【
図10b】検出器による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された参照信号と、製品の放射線プロセスにおける2つの検出器の2つの信号との間の信号比較の標準的な例、さらには間違った製品がパレット上に局所的に装填されたときの各検出器の各信号と参照信号との比を示す図である。
【
図10c】検出器による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された参照信号と、製品の放射線プロセスにおける2つの検出器の2つの信号との間の信号比較の標準的な例、さらには放射線の瞬時的な問題が発生したときの各検出器の各信号と参照信号との比を示す図である。
【
図11a】検出器1による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された1つの参照信号と、製品の放射線プロセスにおける検出器1および2の2つの信号との間の信号比較の一例、さらには誤差が検出されなかったときの検出器1および2の各信号と検出器1の参照信号との比を示す図である。
【
図11b】検出器1による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された1つの参照信号と、製品の放射線プロセスにおける検出器1および2の2つの信号との間の信号比較の一例、さらには間違った製品がパレット上に局所的に装填されたときの検出器1および2の各信号と検出器1の参照信号との比を示す図である。
【
図11c】検出器1による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された1つの参照信号と、製品の放射線プロセスにおける検出器1および2の2つの信号との間の信号比較の一例、さらには放射線の瞬時的な問題が発生したときの検出器1および2の各信号と検出器1の参照信号との比を示す図である。
【
図12a】検出器1および2による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された2つの参照信号と、製品の放射線プロセスにおける検出器1および2の2つの信号との間の信号比較の一例、さらには誤差が検出されなかったときの検出器1および2の各信号と検出器1および2の参照信号との比を示す図である。
【
図12b】検出器1および2による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された2つの参照信号と、製品の放射線プロセスにおける検出器1および2の2つの信号との間の信号比較の一例、さらには間違った製品がパレット上に局所的に装填されたときの検出器1および2の各信号と検出器1および2の参照信号との比を示す図である。
【
図12c】検出器1および2による参照製品による稼働時適格性確認中に記録された2つの参照信号と、製品の放射線プロセスにおける検出器1および2の2つの信号との間の信号比較の一例、さらには放射線の瞬時的な問題が発生したときの検出器1および2の各信号と検出器1および2の参照信号との比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、いくつかの好ましい実施形態に関して説明されるが、それらの実施形態に限定する意図はない。反対に、その意図は、付属の請求項において定義されているように本発明の精神および範囲内に収まるようなすべての代替的形態、修正形態、および等価形態を対象とする。
【0017】
図1は、X線によって製品を照射するために使用される照射システムまたは装置の一般的な説明図である。第1の部分は、コンバータ31を介したX線ビームの発生および放射に関係する。第2の部分は、1つまたは複数の通路内で滅菌を引き起こすビームを通して照射されるべき製品10を照射システムの前に通過させることを確実にするコンベアシステム12から構成される。
【0018】
X線は、電子加速器または粒子加速器24により電子が生成され加速される電子ビームとして始まる。次に、高エネルギー電子ビームは、コンバータ31と名付けられた高原子番号金属で作られた箔を通過し、電子を制動放射線を介してX線に変換する。電子ビームは、通常、金属箔に到達する前にスキャンホーンで上下に走査され、その結果得られるX線はターゲットの高さ全体にわたって放射される。
【0019】
「加速器」という用語は、好ましくは数百万電子ボルト(MeV)単位で測定されるエネルギーおよびキロワット(kW)単位で測定されるパワーを有する高エネルギー電子を供給することができる装置または線源を意味する。当業者には、加速器24は、限定はしないが、走査電磁石22、ターゲット、フランジ、電源、パワーモジュレータ、冷却システム、発電機、線形ビーム真空管23、および他の多くのコンポーネントなどの、補助機器を含むことは明らかである。
【0020】
「スキャニングホーン(scanning horn)」または単に「ホーン」と称される用語は、結果として生じるX線または他のあらゆるタイプの放射線がターゲットの高さ全体にわたって放射されるように金属箔に到達する前に指定された角度範囲にわたって高エネルギー電子のビームを走査するように設計されたデバイスを意味する。同じ寸法または異なる寸法の複数のホーンがシステム内で使用され得る。
【0021】
「稼働時適格性確認」という用語は、製品が吸収線量の所定の範囲内で取り扱うことができることを確実にする高エネルギー電子またはX線を用いて製品を処理する放射線装置または設備における定期的処理を意味する。稼働時適格性確認は、放射線滅菌プロセスのいくつかの他の段階と併せて必要とされる線量マッピングによって製品中の吸収線量の大きさおよび分布を決定するのに役立つ。特定の製品、通常は、照射されるべき製品と同じ特質および特性を有する参照製品を使用し、照射装置が所定の基準に従って一貫して動作し、定義済みの指定された線量を照射し、それによって、指定された要件を満たす製品が結果として得られることを実証する。したがって、稼働時適格性確認では、吸収線量要件を満たすすべてのプロセスパラメータを確立する。製品内の吸収線量の分布は、放射線と製品との相互作用によって決定され、これは、次いで、放射線の種類およびエネルギー、ならびに1パスで照射されるのか、または複数パスで照射されるのかに依存する。稼働時適格性確認線量マッピングの主目的は、照射された参照製品における最小線量と最大線量との間の関係、さらには定期的モニタリング配置における線量との関係を決定することである。言い換えると、稼働時適格性確認線量マッピングは、製品が意図された効果に必要な線量および最大許容線量で照射され得ることを実証するために実行される。稼働時適格性確認では、製品内部の局所密度は一定でなく、および/または深さ方向に連続的であるので、製品の不均一性を考慮するべきである。照射された製品の検査室測定および検証が実施され、最小線量と最大線量とを検証し妥当性確認し、それを照射プロセスの閾値として使用する。
【0022】
稼働時適格性確認に使用される製品は、製品10と同じ特性、特質、特徴、および構造を有する参照製品と呼ばれ得る。1つよりも多い、好ましくは3つよりも多い参照製品が、測定の再現性をチェックするために使用され得る。
【0023】
稼働時適格性確認の間またはその後に、放射線パラメータは、妥当性確認され、放射線装置にセットされる。検出器5は、結果の再現性を確認するために、複数の製品10(同じまたは異なる)に対して測定を実行するように位置決めされる。これらの記録されたデータは、線量マップ演習において取得可能な線量測定再現性の最初の推定値を表し、放射線プロセスにおいて後から比較されるべき各条件および/または各製品10の参照データまたは信号Sdn,PQ(t)として取り込まれる。しかしながら、参照信号Sdn,PQ(t)は、稼働時適格性確認ステップでも取られ得る。参照信号Sdn,PQ(t)を定義することは、稼働時適格性確認ステップによって制限されない。いくつかの測定値およびデータが、参照信号が線形に解釈されるように、または他のモデルによって解釈されるように異なる参照製品に異なる放射線量を照射するときに稼働時適格性確認時に導出され、キャプチャされ得る。さらに、専用ソフトウェアを介した理論計算またはシミュレーションも、参照信号Sdn,PQ(t)を決定するために採用され得る。
【0024】
製品10に照射するまたは放射線を当てることは、放射線源20に曝すことを意味する。製品またはパレット10は、製品10の少なくとも一部を照射するために部分的にまたは全体的に放射線源20の前に置かれるべきである。
【0025】
照射は、製品10の1つの表面または複数の表面を放射線源20に暴露することによって一気にまたは段階的に実行され得る。
【0026】
製品10は、同じであるかまたは異なる、任意の物体または物体の任意のパックを意味することができることは理解されるべきである。それに加えて、製品10は、いかなる材料、種類、サイズ、または形状にも限定されない。
【0027】
照射時間の短縮と線量均一比の改善との組合せは、滅菌、さらにはX線による他の用途、様々な製品に対する実行可能な処理オプションをもたらす。
【0028】
X線放射は、それが遭遇する任意の材料に電子破壊を生じさせる。より正確には、これらの電子が生体細胞のDNAまたは他の細胞構造に遭遇したときに、それらは生体細胞を損傷させ死滅させ、その結果、生命体を死滅させるか、または生殖不能にする。したがって、この技術は、製品10のパッケージ、その環境、または製品10それ自体の中に存在し得るあらゆる生体汚染物質を著しく減少させるのに便利である。
【0029】
高精度の照射線量をもたらすには、継続的な監査、キャリブレーション、および検証を必要とする。したがって、パレット全体または製品10を徹底的に滅菌するために最低限必要な線量を確保するのに十分な線量を照射し、製品のいかなる劣化を回避するために最大線量を超えないようにすることが極めて重要である。
【0030】
本発明は、医療デバイス、医薬品、化粧品、原料、動物飼料、および包装材料などの様々な製品の滅菌、ならびに材料処理または高分子修飾のような他の用途に適用される。さらに、線量測定デバイスまたは測定デバイスは、X線照射を投与することに限定されず、ガンマ線または電子ビームなどの他の種類の照射を投与するためにも使用され得る。
【0031】
ここでまた
図1を参照すると、電子加速器24が、高速電子をコンバータ31に衝突させるために採用され、これは、限定はしないが、結果としてX線の放射を引き起こすタンタルまたはタングステンなどの、高原子数変換プレートを伴う金属箔であってもよい。電子加速器24は、また、照射のために高速電子を直接放出してもよい。
【0032】
照射される電子のエネルギーは、製品の寸法および密度に応じて選択され、通常は、照射プロセスを取り付けて、安定させる瞬間に定められる。国の規制および製品の種類が、特定の範囲のエネルギーの使用を制限することもあり得る。本発明の実施形態では、1MeVから10MeVの間のエネルギーが生成され得る。
【0033】
コンバータ31に面し、照射源20によって照射される、製品10の表面が前面11と想定する。その場合、背面13は、壁または平面40を照射するために照射ビームが出て来る表面である。したがって、裏面13と壁または平面40との間のゾーン内に配置される物体は、製品10の背後に位置決めされると考えられる。
【0034】
ここでまた
図1を参照すると、製品10の背後の、コンバータ31から固定された距離のところに置かれた2つの検出器5からなる系列1がある。系列1の間の距離は、製品10のサイズおよび/または電子のエネルギーに依存し得る、照射プロセスの前に事前決定される。検出器の系列1は、製品またはパレット10を透過した放射線の線量を測定するために製品10の背後に存在する壁であり得る、同じ平面40内に配置構成された少なくとも2つの検出器5から構成され得る。少なくとも2つの検出器5を含む複数の系列1も、同じ平面40内または別の平面内に置かれ得る。複数の平面40の場合も、同じ条件が適用され得る。より正確には、平面40は、コンバータ31に面し、製品10の背後に立ち、製品10の搬送を可能にするように所定の固定された距離を空ける。好ましくは、平面40は、コンバータ31に平行である。それでもなお、検出器5を含む、平面40は、放射線が製品を通過し、検出器5によって記録され、収集され得るように製品10の周囲の異なる配置に置かれてもよい。
【0035】
照射電子の電流は、製品10に適切な線量を照射するためにコンベア12の速度と同期され得る。したがって、コンベア12の速度、さらにはビーム流、ビームライン光学系またはX線変換ターゲットが使用されるものとしてよく、これにより照射線量を調整し得る。また、製品の周囲、たとえば、隣接するパレット、パレット支持体、およびコンベア12は、照射線量に影響を及ぼし得る。
【0036】
ビームエネルギー、ビーム電流、ならびに走査振幅および擬似/四重極を含む、ビームライン光学系、X線変換ターゲット、製品の移動速度、パレットの内容物、および周囲環境が、照射線量を決定する。最初の4つのパラメータは、エネルギースペクトル、位相空間、および生成速度などのX線放射に直接影響する。製品10が適切な線量を受けることを保証するために、標準的技法は、稼動性能適格性確認、稼働時適格性確認、定期的線量チェック、前述のパラメータのいくつかまたはすべてのモニタリングなど、いくつかのキャリブレーションおよび検証を実行することである。しかしながら、これらの技法は時間を要し、誤差が生じやすく、不完全である。たとえば、これらの定期的チェックは、パレットまたは製品10の1つの単一点における線量を検証することである。したがって、スキャンホーンを越えてビームをモニタリングすることが望ましい。
【0037】
放射線量に影響を及ぼし得るパラメータは多数あるので、滅菌不足の製品をもたらし得る製品10の照射不足と製品の劣化または他の望ましくない結果をもたらし得る照射過剰との間の良好なバランスを確実に保つことが必要である。しかしながら、すべての製品またはパレット10をチェックすることは、第1に時間を要し、第2に破壊的である。したがって、リアルタイムで線量をチェックすることが非常に好ましい。
【0038】
本発明の実施形態では、X線放射線が放射線として好ましい。しかしながら、限定はしないが、電子ビームまたはガンマ線などの、他の放射線も使用され得る。それに加えて、同じまたは異なる、複数の放射線源が採用されてもよい。
【0039】
照射線量をリアルタイムで制御するために、放射線源20の放射線量を測定する測定デバイスが放射線をキャプチャして測定し、その信号を電位計6に送る。好ましくは、測定デバイスは、少なくとも2つの検出器5の系列1を装備する。しかしながら、2つよりも多い検出器5も取り付けられ得る。放射線源20は、コンバータ31の近くに存在する同じターゲットゾーン30からキャプチャされることが不可欠である。また、誤差が製品10に由来するのか、または放射線源20に由来するのかを区別することを可能にするためには、キャプチャされたビームが製品10を横切っていることが不可欠である。2つの製品10の通過の間のギャップから得られた測定値は、放射線源20の参照測定値と考えることができる。言い換えると、放射線ビームの中断がないときに、検出器5は製品10による直接的干渉なしで放射線源20のビームをキャプチャし測定する。系列1の検出器5の間に偏差があると想定する。その場合、偏差はすべての検出器5で類似していることが予想される。
【0040】
1つの系列1に束ねられる多数の検出器があり得る。言い換えると、各系列1は少なくとも2つの検出器5を含むが、各系列1の検出器5の数に制限はない。好ましくは、各系列1は照射源20に向けられている。より正確には、各系列1は、放射線源20の同じターゲットゾーン30を指している。系列1は、放射線源20に面し、好ましくはコンバータ31に平行な平面40内に位置決めされ得る。検出器5の系列1とコンバータ31を含む平面とを含む平面40は、垂直、水平、または傾斜して置かれ得る。
【0041】
図2は、少なくとも2つの検出器5の複数の系列1が使用される本発明の別の実施形態を例示している。この実施形態は、複数の対の検出器5を置くことである。検出器5の各対は、ターゲットゾーン30の特定の点を指し、照射される製品10の特定の部分を遮断するための特定の(x,y)位置を有し得る。
【0042】
図2は、高さ約1.6mのパレット10を処理するために高さ1mから10m、好ましくは約2mの走査システムからなる照射システムを例示している。パレット10が水平方向さらには垂直方向に移動することを可能にするコンベア12のおかげで他のパレットの高さを扱うことも可能であろう。コンベア12はまた、製品10が放射線源20の前に置かれたときに回転運動を行い複数の側面から製品10に放射線を与え得る。前壁40は、空気充填電離箱3の垂直アレイを含む測定デバイスを含み得る(
図8aのCおよびD)。空気充填電離箱3の数は、2から1000の間、好ましくは4から64の間、より好ましくは32であってよい。平面40は、ホーン出口窓から0.5mから10mの間、好ましくは1mから5mの間、より好ましくは1.5mから2.5mの間の距離だけ離隔しており、パレット10の少なくとも一部、好ましくはパレット10全体の通過を許す。壁40は、x線コンバータ31を含む平面に平行であり得る。
【0043】
図2に示されているように、検出器5のアレイは、放射線源20、およびしたがってコンバータ31に面している。コンバータ31の出口ゾーンは、ターゲットゾーン30を含み、検出器5のうちの少なくとも2つは、放射線源20を読み取り、キャプチャするように配向される。2つまたはそれ以上の検出器5が同じターゲットゾーン30に配向されていてもよい。また、複数のターゲットゾーン30が、少なくとも2つの検出器5の同じ系列1によって、または各ターゲットゾーン30が少なくとも2つの検出器5の系列1によって、ターゲットにされ得る。複数のターゲットゾーン30に由来する照射線量を複数の検出器5で測定することは、偏差誤差が検出器5の一方または両方の損傷によって引き起こされるかどうかを検証するのに役立つ。これは、また、照射プロセスの一時的スローダウンにつながる可能性のあるメンテナンスの必要性を省くために検出器5の予備系列1としての役割を果たし得る。同じことが、2つより多い検出器5の系列1にも当てはまる。
図2の例示されている実施形態において、2つの検出器5の2つの系列1が壁40に装着されている。各検出器5は、コリメータ2を介して当該ターゲットゾーン30に焦点を合わせている。
【0044】
「コリメータ」という用語は、放射されたまたは受け取った放射線が通過するデバイスであって、放射線を狭め、広げ、または所望の方向もしくは幾何学的形状に整形するデバイスを意味する。コリメータ2は、浅いまたは細長い内部プロファイルに限定されないが、異なるプロファイルを有し得る。これらのプロファイルは、平行であるか、鋭角または鈍角で傾斜していてもよい。言い換えると、コリメータ2は、放射線ビームの受け取りまたは放射を正確な配置に集束させるのに役立つ。コリメータ2は、手動または自動で調整可能であり得る。
【0045】
検出器5は、製品10の放射線の前の特定のパラメータを決定し、いくつかのキャリブレーションを可能にするか、または後の比較のために考慮されるいくつかの参照測定値を登録するために使用され得る。
【0046】
検出器5は、放射線量および他のパラメータを0.1Hzから10kHzの間、好ましくは1Hzの周波数で読み取るために使用される電位計6を備え、製品10の照射中にリアルタイムで読み取りを可能にし得る。読み取り値は、限定はしないが、製品密度、搬送速度、寸法、電子ビームのエネルギーおよびパワー、および多くの他のパラメータなどの他のパラメータと組み合わされ、それにより任意の変化を調整し、計算し、または制御し得る。
【0047】
図3は、枢動可能コリメータ2の各々を備える検出器5の対の系列1を含む別の実施形態である。それに加えて、検出器5は、3自由度を有し得る、好ましくはxおよびy方向に2自由度を有し得る移動支持体70に装着され得る。移動支持体70は、検出器5の位置が各検出器5のコリメータ2と同期して変更され、複数のターゲットゾーン30および/または製品10の別の部分に到達できるように手動または自動で移動され得る。これは、たとえば、走査オフセットに関する誤差、異なるターゲットゾーン30におけるx線コンバータ31に関する誤差、または製品10の別の箇所における誤差を検出するのに有利であり得る。
【0048】
ここでまた
図3を参照すると、コリメータ2は、事前定義されたターゲットゾーン30に由来する放射線源20の正確な指し示し、したがって検出を保証するために系列1または移動支持体70の任意の移動と同期し得る枢動可能または回転可能な移動を有し得る。移動支持体70と同様に、コリメータ2の移動は、手動または自動で制御され得る。
【0049】
図1、
図2、および
図3は、水平照射を例示しているが、製品10を垂直または任意の傾斜で照射することも可能である。
【0050】
本発明の別の実施形態は、検出器アセンブリがターゲットゾーン30の単一点を指すのではなく、ターゲットのセグメントを覆うような特定の開口部を有するコリメータ2を使用することである。その結果、そのようなコリメータ2を装備した検出器5は、より多量のx線源または放射線源20を検出し得る。有利には、放射線源20または製品10に関係する正確な点を指す感度に起因する誤差は、著しく低減し得る。それに加えて、ターゲットゾーン30のより広い領域が覆われ得るので、複数の検出器5が必要になり得る。
【0051】
ターゲットゾーン30は、約10cm2の寸法、好ましくは約1cm2の寸法を有する領域、エリア、または点、より好ましくは点として定義され得る。ターゲットゾーン30が小さければ小さいほど、少なくとも2つの検出器5の信号はより正確になり、得られる偏差ノイズは少なくなる。ターゲットゾーン30は、同じ系列1からの2つより多い検出器5、さらには複数の系列1によって配向され得る。複数のターゲットゾーン30も使用されてよい。
【0052】
図4Aは、ターゲットゾーン30が強調表示されている、コンバータ31を示す斜視図である。必要なx線を取得するために、主にタンタルシート34、水層33、およびステンレス鋼シート32から作られた多層構造が考えられる。タンタルシート31はまた、入射電子ビームから制動放射線を発生させることができるタングステンシートまたは他の高原子番号材料に置き換えられ得る。水層33は、タンタルシート31上に堆積された熱を除去するために使用され、ステンレス鋼シート32は、主に、制動放射線とともに出てくる不要な電子汚染を阻止するために使用される。ターゲットゾーン30は、ステンレス鋼シート32の表面上の任意の場所または領域に配置され得る。ステンレス鋼シート32を任意の他の層もしくはシートで置き換える場合、または何らかの理由でコンバータ31に他の層が追加される場合、ターゲットゾーン30は、コンバータ31の外層の表面に置かれるべきである。
図4Bは、複数のターゲットゾーン30、30’、30’’、30’’’、および30’’’’を例示している。ターゲットゾーン30の数に制限はなく、各ターゲットゾーン30は、1つまたは複数の検出器5によって、好ましくは同じ系列1の少なくとも2つの検出器5によって、ターゲットにされるか、または指し示され得る。
【0053】
本発明の方法の一実施形態において、製品10を照射するために使用される放射線源20を測定し制御するために、次の手順が使用される。
- 製品10を適切に照射するために必要な最小線量および最大線量に対する必要パラメータを定義するために、製品10と同じ特性、特質、特徴、および構造を有する参照製品に対して稼働時適格性確認ステップ、その後任意のキャリブレーションステップが実行される。これらのステップの一方または両方の実行中または実行後に、各検出器の参照線量および/または信号S
dn,PQ(t)がコントローラ80に登録される。
- 製品10、この実施形態では、パレット10は、放射線源20の前に制御された速度で装填され、搬送される。製品10の前面11の少なくとも1つの位置は、照射されるべき放射線源20、たとえばx線またはガンマ線の前に曝される。コンベア速度は、0.1m/分から100m/分、理想的には0.5m/分から10m/分、好ましくは3m/分程度で可変であり得る。搬送速度は、製品10に必要な照射線量に基づき計算され、適格性確認手順において定義される。
- 線源20からの放射線は、前面11に向かって放射され、製品10の深さを通って伝播し、コリメータ2を介して系列1の検出器5によって部分的に検出される。各検出器5のコリメータ2は、放射線源20からのビームの受光を狭めるために重要である。コリメータ2のおかげで、各系列1の少なくとも2つの検出器5は、同じ放射線源20から、同じターゲットゾーン30から、ビームを受光する。系列1は、コンバータ31に対向する平面40上に固定された少なくとも2つの検出器5を含む。複数の系列1が、同じ平面40、またはコンベア12に面する別の平面内で使用され、照射源20から発せられ、製品10を部分的にまたは完全に照射するビームを受光することができる。平面40上に位置決めされた検出器5は、製品10が放射線源20の前に部分的または完全に移動することを可能にするようにコンバータ31から離隔される必要がある。
- 各検出器5の信号は、電離箱、好ましくは二重電離箱によって検出され、電位計6によって0.1Hzから10kHzの間、好ましくは約1Hzの周波数でリアルタイムで読み取られる。これらの信号S
dn,Process(t)は、コントローラ80によって受信され、稼働時適格性確認手順S
dn,PQ(t)で同じ検出器5から記録された信号と比較される。より詳細には、コントローラ80は、各検出器5について、製品10の稼働時適格性確認中または確認後に決定された信号と、製品10の照射中の同じ検出器5の信号との比(すなわち、
【数3】
および
【数4】
)を記録し得る。誤りなく照射プロセスが実行した場合、2つの前記信号の比は1に等しくなるべきである。しかしながら、比が1からずれたときに、これはパラメータ、および/または製品、および/または照射装置のコンポーネントのいずれかに誤りがあることを示している。放射線源20の同じターゲットゾーン30を指す複数の検出器5を含む系列1のおかげで、各前記検出器5の偏差を比較することは、誤差が放射線源20に由来するものであるか、または製品10に由来するものであるかを定義することの指針となり得る。より詳細には、この偏差がすべての検出器5に対して類似している場合、放射線源20がこの誤差の原因である可能性がより高い。次いで、限定はしないが、ビーム電流、ビームエネルギー、コンバータ31、走査速度、およびビーム走査振幅などのパラメータをチェックすることが推奨される。逆に、偏差が似ていないときに、誤差は、たとえば、間違った製品10、不適切な包装、または間違った製品10の位置決めなどに起因している可能性が最も高い。照射ビームが検出器5に当たることに起因する温度上昇の影響など、いくつかのキャリブレーション技法および要因は、最小の外乱で信頼できる比較を達成するために必要であるか、または考慮される必要があり得る。
【0054】
図5を参照すると、検出部3は、電離箱からの収集電流をリアルタイムで受け取り測定するために電位計6に接続されている。
【0055】
セットアップステップに従って、少なくとも2つの検出器5のコリメータ2の位置を調整し、整列させる。より詳細には、コリメータ2が、製品10の背後の異なる3軸座標(x,y,z)に位置決めされ得るので(
図8aおよび
図8b)、それらは同じターゲットゾーン30から照射されるビームを指し示し、受けるように調整され、キャリブレートされる。同じ系列1からの少なくとも2つのコリメータ2は、ターゲットゾーン30から発した照射ビームが製品10を照射し、穴またはギャップを通過して検出部3に到達することを可能にする。
【0056】
1つの検出部3を覆うコリメータ2の一例が、
図6に例示されている。コリメータ2は、製品10を通過するターゲットゾーン30から来るビームの特定の部分を主に許容するように受けたビームを狭める役割を果たす。コリメータ2の中心穴は、50mmから0.5mm、好ましくは20mmから1mm、より好ましくは3mm程度で可変である。コリメータの穴が小さければ小さいほど、信号強度が低下し、散乱光子の影響が減少し、したがって精度が向上し得る。コリメータ2は、電離箱または二重電離箱であり得る検出部3を収納する収納部2aを備え得る。ハウジング部2aはまた、検出部3の劣化および/または高温上昇を緩和するために検出部3が照射に完全に曝されないように保護する。
【0057】
検出部3について、高度なMarkus Chamber IC Type 34045 (PTW)が使用され得るが、それはハウジングからの散乱放射線の影響を低減することによって摂動効果を回避するガードリングが広い設計であるからである。
図7に示されているように、Markus Chamberは狭い入口窓および防水保護キャップを有している。それに加えて、サイズが小さいため、高い空間分解能を提供し、相対および絶対電子線量測定に適した選択肢となり得る。本発明において提示される測定デバイスは、Markus Chamberまたは他のあらゆる種類の検出器に限定されるものではない。それでも、二重電離箱を有する検出器を使用することが好ましい。
【0058】
図8aおよび
図8bを参照すると、検出器5は、垂直方向(
図8aのA、C、およびD)または水平方向に並んで整列され、調整されていても、または調整されていなくてもよい(
図8aのB)。検出器5は、水平、垂直、または傾斜していてもよい、平面40内に置かれるが(
図8bのC)、それらは同じ平面内になくてもよい。支持体あり、またはなしの、高さの異なる検出器5が、同じ系列1に使用され得る。サイズ、位置、形状、種類、高さ、およびアライメントとは無関係に、コリメータ2は、検出器5を指定されたターゲットゾーン30に向ける。
【0059】
電位計6から収集された測定値は、プロセスの品質を評価するために、制御ユニット80によって製品10の放射中または放射後にリアルタイムで分析される。
【0060】
図9を参照すると、コントローラ80は、各検出器5の検出部3、好ましくは二重電離箱、からデータを受信し、製品10による吸収照射線量の値を決定するために、限定はしないが、コンベア速度、サーミスタ90、ビームパラメータ、製品パラメータなどの他のデータを使用する。複数のコントローラ80が、測定デバイスに使用される複数の検出器5のデータを受信するために使用され得る。吸収線量の測定データは、連続的に記録され、稼働時適格性確認における参照信号および同じターゲットゾーン30を指し示す、同じ系列1からの各検出器5の記録された信号の両方と比較され得る。偏差が定義された閾値を超えたときに、同じ系列1からのすべての検出器5の信号のチェックが実行される。たとえば、記録された偏差が類似している場合、誤差は放射線源20に由来する可能性が最も高い。その一方で、偏差が異なる場合、製品10が誤りを引き起こしていることもあり得る。
【0061】
サーミスタ90は、あらゆる温度変化を測定し追跡するために各検出器5の近くに置かれる。好ましくは、複数のサーミスタ90が検出器5の近くの異なる配置に置かれ、より好ましくは、3つのサーミスタ90が各検出器5に向かって分散した位置に置かれ、各検出器5の中央に1つ、後方に1つ、前方に1つ置かれる。
図7は、温度制御システムの一実施形態を例示している。これらの測定結果は、検出器の加熱を確認するものとなっており、そのため空気密度が低下すると電流が減少する。したがって、サーミスタ90が取り付けられているすべての位置で記録された温度上昇に基づく補正係数が必要である。検出器5の温度変化に関係するこの補正は、信頼できる比較を可能にするより正確な結果をもたらす。
【0062】
検出器5を製品10の背後に置くことは、製品10による吸収線量に対するエネルギーの損失が生じることおよび放射線源20からの距離が長くなるにつれて広がることの両方に起因して放射線の強度が製品10を通過するときに低下するので温度上昇に起因して測定感度を低下するのを助け得る。
【0063】
検出器5の少なくとも1つの対の各々のコリメータ2は、ターゲットゾーン30の同じ点を指す。各検出器5の信号を参照信号と比較することによって、放射線源20に由来する誤差と製品10における誤差とを区別することが可能である。より詳細には、測定された信号が両方の検出器5で類似している場合に、誤差は、おそらく放射線源20の問題が引き金となって生じ得る可能性が最も高い。逆に、検出器5の間で偏差が異なる場合、誤差は、製品10によって引き起こされる可能性が最も高いと思われる。
【0064】
必要な照射線量は、ビーム電流およびコンベア速度などの適切な照射パラメータを定義し、提供するために計算される。装置は、1から10MeVの範囲から電子を発生させ得る。しかしながら、製品10においてより多くのエネルギーを蓄積させ、より高い滅菌力または特殊な高分子修飾を有するようにより高いエネルギーの電子が要求される場合により高い範囲も可能である。代替的に、搬送速度を下げるか、または製品10を照射源20の前により長く曝すことも、製品10により多くのエネルギーを蓄積させることになる。さらに、製品10を反転させ、および/またはマルチパスを適用すると、その結果、吸収エネルギーが累積されるので追加の照射を受け得る。
【0065】
各検出器5の信号の初期測定は、製品10の稼働時適格性確認中に実行され得る。照射プロセス中に、2つの比
【数5】
および
【数6】
の比較を可能にするように同じ検出器の信号も記録され得、
S
d1,PQ(t)は、製品10の稼働時適格性確認中に決定された、第1の検出器5の信号である。
S
d2,PQ(t)は、製品10の稼働時適格性確認中に決定された、第2の検出器5の信号である。
S
d1,Process(t)は、製品10の処理中の第1の検出器5の信号である。
S
d2,Process(t)は、製品10の処理中の第2の検出器5の信号である。
正常運転の下でいかなる誤差もない場合、両方の比
【数7】
および
【数8】
は、1に等しくなければならない。これらの比率のうちの一方がこの値から外れた場合、コントローラ80は、採用されているすべての検出器5の比を分析し、検出器5のうちの1つの検出器の記録された偏差が、同じ系列1の他の検出器5のうちの1つまたは複数と類似しているかまたは異なっているかをチェックする。ここでもまた、各々の中に2つより多い検出器5がある複数の系列1が本発明において採用され得る。たとえば、同じターゲットゾーン30を指している検出器5の比の偏差が類似していると仮定する。その場合、誤差は、放射線源20またはコンベアに由来する。その一方で、偏差が似ていない場合、これは、誤差が製品10に由来することを示し得る。
【0066】
検出器5の比の信号のリアルタイムでの測定および比較は、あらゆる範囲外の照射線量を即座に明らかにし、オペレータがデータドリブンに基づきあらゆる誤差または偏差の可能の引き金もしくは原因を決定してしかるべく行動するようにガイドし、その結果、品質管理棄却を最小限度に抑え得る。たとえば、限定はしないが、ビーム電流、ビームエネルギー、x線変換、およびビーム走査振幅の許容範囲外は、照射の分野の当業者にとって一般的なビーム誤差である。同じ原理に従って、比
【数9】
と
【数10】
の間に異なる偏差がある場合、間違った製品、および/または間違った包装、および/または製品の間違った位置決めが根本原因の1つである可能性が最も高い。さらに、コンベア速度は照射線量に影響することもあり得るので、これは比の偏差の場合に検証すべきパラメータとも考えられる。この検出器セットアップは、また、いくつかの製品バッチにわたるおよび/または長期間にわたるあらゆる偏差の検出など、他の分析も可能にする。これは、いくつかの照射パラメータの遅いドリフトを検出することを可能にする。
【0067】
さらなる実施形態において、1つの検出器のみの1つの参照信号が記録され、同じ系列1の少なくとも2つの検出器5、または同じ系列1からのより多くの検出器の測定信号と比較され得る。
【0068】
さらなる実施形態において、1つの検出器のみの1つの参照信号が記録され、同じまたは異なる系列1からの複数の検出器の測定信号と比較され得る。
【0069】
さらなる実施形態において、稼働時適格性確認中に複数の検出器によって記録された複数の参照信号は、照射プロセス中に複数の検出器によって記録された信号との比較に使用され得る。
【0070】
さらなる実施形態において、製品10の照射中に記録された信号は、同じ検出器または異なる検出器によって記録された複数の参照信号と比較され得る。
【0071】
本発明を説明する文脈において(特に次の請求項の文脈において)、「比較される」および「比較」および「複数の比較」および「比較する」という言い回しおよび類似の指示対象の使用は、類似点および相違点に注目するための任意の調査方法をカバーするものと考えられるべきである。
【0072】
信号を比較することは、参照製品の稼働時適格性確認中に測定された参照信号と製品10の照射中の信号との間の比を比較することのみに限定されない。より詳細には、本明細書における「比」という用語は、2つまたはそれ以上の信号を比較するための任意の適切な方式または方法で解釈され得る。たとえば、限定はしないが、信号を減算すること、または2つもしくはそれ以上の信号の比較につながる他の数学的計算を使用することは、特に断りのない限り、本発明の保護範囲を対象とする。2つまたはそれ以上の信号を比較するための視覚的、分析的、アルゴリズム的、または他の方法などの他の比較方法も含まれる。
【0073】
検出器5は、特にビームに曝されたときの、温度変化に敏感であり得る。たとえば電離箱、好ましくは二重電離箱であることもあり得る、各検出器5の検出部3は、徐々に加熱される。温度が上昇すればするほど、空気密度は低くなり、したがって収集電流は低下する。リアルタイム測定に使用される検出器5の感度は温度に依存する。したがって、稼働時適格性確認、慣らし運転、および照射装置の動作中の温度変化のあらゆる影響を排除するために記録された信号に補正係数が適用されるべきである。代替的に、冷却システムが、検出器5の安定温度を維持するために使用されてもよい。そうでない場合、温度制御ガスで電離箱を換気することが、あらゆる温度補正の必要性をなくし得る。
【0074】
図10a、
図10b、および
図10cは、正しい照射、パレットに局所的に装填された間違った製品、および、それに応じた放射線の照射の瞬間的な問題の3つのシナリオ測定の例を例示している。正しい照射の場合(
図10a)、同じ系列1からの2つの検出器5の2つの記録された信号は類似しており、放射線プロセス中に使用された製品10と同じ特性および特質を有する参照製品との稼働時適格性確認中に同じ検出器5の1つによって記録された参照信号に対応している。実際には、製品10は、同じ製品の均一な数のユニットを装填されたパレットであってもよい。参照信号は、放射線装置によって照射される必要のある製品と同じ特性および特質を有する参照製品のユニットの同じ数および同じ構造を有する参照パレットを使用して取得される。また、製品10の照射中に放射線量を測定するために使用された検出器とは異なる検出器で記録された参照信号が比較に使用されてもよい。3つの曲線は、見やすいように並べられている。原則として、曲線は、両端側で一定の信号を有し、参照製品または製品10がコンバータ31または放射線ゾーンの前を通過するときに振動が現れ始める。各曲線の中間部は、製品10または参照製品の放射中の信号を表す。
図10aの右上と左下に例示されている各検出器信号と参照信号との比は、製品または放射線のいずれにも誤差がないときに1に近くなっているべきである。しかしながら、1つの比が1から逸脱している場合(
図10b)、照射された製品10に関係する問題が、この逸脱の原因である可能性が高い。たとえば、限定はしないが、パレット上に誤った製品が局所的に装填される、不適切な包装が使用される、または製品が誤って位置決めされるということがある。対照的に、比の逸脱が両方の検出器に出現する場合、問題は放射線源に由来している(
図10c)。一般的な説明のため、
図10a、
図10b、および
図10cには参照信号が1つだけ示されていることを言及しておいてもよいだろう。
【0075】
図11a、
図11b、および
図11cは、誤差のない照射、パレットに局所的に装填された間違った製品、および、それに応じた放射線の照射の瞬間的な問題の3つのシナリオ測定の例を例示している。正しい照射の場合(
図11a)、同じまたは異なる系列1からの2つの検出器5の2つの記録された信号は、必要な放射線を正しい製品に照射したことを確認する参照信号の傾向と類似する傾向を示す。
図11aの右側は2本の線を示しており、1本は第1検出器の信号と参照信号との比を表し、もう1本は第2検出器の信号と同じ参照信号との比を表している。この実施形態において、1つの参照信号のみが2つの検出器5のうちの1つによって測定され、前記2つの検出器5の測定信号と比較されるために採用されている。同じ検出器が、放射プロセスにおいて参照信号と測定信号の両方に使用されるときに、比の値は、誤差が生じない場合に1に近い値になり得る。対照的に、この比は、放射線プロセス中に使用される検出器が稼働時適格性確認中に参照信号を測定するために使用される検出器と異なるときに1より低い値または高い値でほとんど一定に保たれる。参照信号を記録するために使用される検出器および放射線プロセス中に使用される検出器の異なる位置は、この信号シフトの原因であり得る。放射線ビームは、製品10の異なる部分から収集され、製品10によって異なる仕方で吸収され得る。言い換えると、検出器によって検出されたビームは、横断する製品の深さに応じて異なる。
図11bおよび
図11cは、製品がパレット上に間違って装填され、したがって放射線が間違って照射されるシナリオを例示している。パレット10が複数の類似の製品を装填されるときに、測定された信号によって表される曲線の傾向および変動は、参照信号の曲線の傾向および変動に類似しているべきである。誤差がある場合、1つの検出器(
図11b)のみの偏差、または2つの検出器(
図11c)の偏差が顕著になり、容易に検出可能である。
【0076】
図12a、
図12b、および
図12cを参照すると、同じ検出器が参照信号、さらには放射プロセス中に製品10によって吸収された信号を測定するために使用されることを除き、同じ論理が適用される。
【0077】
本発明を説明する英語原文の文脈において「a」および「an」および「the」という語および類似の指示対象を使用している場合(特に、次の請求項の文脈において)、本明細書において特に断りのない限り、または文脈上明確に矛盾していない限り、単数形と複数形の両方を含むものと解釈されるべきである。「comprising(備える、含む)」、「having(有する)」、「including(含む、備える)」、および「containing(含む、収容する、含有する)」という語は、特に断りのない限り、制約のない言い回し(すなわち、「including, but not limited to,(限定はしないが、含む)」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書に記載されている値の範囲の記載は、本明細書において断りのない限り、範囲内に含まれる各個別の値を個別に参照するための略記法として機能することを意図しているに過ぎず、各個別の値は、それが個別に本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書において特に断りのない限り、または文脈に明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書において提供されるあらゆるすべての例、または例示的な文言(たとえば、「など」)の使用は、単に本発明をより際立たせることを意図しており、特許請求項に別の記載がない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、特許請求の範囲に記載されていないにも関わらず本発明の実施に不可欠とされるいかなる要素を示すとも解釈されるべきではない。
【0078】
本発明の好ましい態様は、本明細書において説明されており、本発明を実施するために発明者に知られている最良の態様を含む。これらの好ましい態様の変更態様は、上記の説明を読んだ後、当業者にとって明確になるものとしてよい。発明者らは、当業者がそのような変更形態を適宜採用することを期待しており、発明者らは、本明細書に特に説明されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法により許されているとおりに付属の請求項に記載されている主題のすべての修正形態および等価形態を含む。さらに、本明細書に特に断りのない限り、または文脈に明確に矛盾しない限り、上で説明されている要素の任意の組合せが、その可能なすべての変更形態において、本発明に包含される。
【符号の説明】
【0079】
1 検出器
2 検出器
2a 収納部
3 検出部
5 検出器
6 電位計
10 製品
11 前面
12 コンベアシステム
13 背面
20 放射線源
22 スキャニング電磁石
23 線形ビーム真空管
24 電子加速器または粒子加速器
30、30’、30’’、30’’’、30’’’’ ターゲットゾーン
31 コンバータ
32 ステンレス鋼シート
33 水層
34 タンタルシート
40 壁または平面
70 移動支持体
80 コントローラ
90 サーミスタ
【外国語明細書】