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特開2024-97785液状組成物、防火層、防火層を含む積層構造体、及び防火処理方法
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  • 特開-液状組成物、防火層、防火層を含む積層構造体、及び防火処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097785
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】液状組成物、防火層、防火層を含む積層構造体、及び防火処理方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/02 20060101AFI20240711BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20240711BHJP
   C09K 21/04 20060101ALI20240711BHJP
   B32B 19/04 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C09K21/02
E04B1/94 V
C09K21/04
B32B19/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065830
(22)【出願日】2024-04-16
(62)【分割の表示】P 2019134603の分割
【原出願日】2019-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】荒添 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 紳介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 直大
(72)【発明者】
【氏名】小泉 健二
(72)【発明者】
【氏名】久保田カリファ 有紀
(57)【要約】
【課題】壁紙用フィルムなどが適用される基材表面に高い防火性能を有する防火層を形成することが可能な液状組成物、液状組成物を用いて形成可能な防火層、防火層を含む積層構造体、及び液状組成物を用いた防火処理方法を提供する。
【解決手段】一実施態様の液状組成物は、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む液状組成物。
【請求項2】
水ガラス及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むフィルム形成性バインダーをさらに含む、請求項1に記載の液状組成物。
【請求項3】
前記クレイがモンモリロナイトを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の液状組成物。
【請求項4】
前記液状組成物がプライマー組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項5】
前記液状組成物が、前記液状組成物の固形分を基準として、前記クレイを30質量%~85質量%含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項6】
前記液状組成物が、前記液状組成物の固形分を基準として、前記2量体以上のリン酸塩を0.1質量%以上~10質量%含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の液状組成物。
【請求項7】
モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む防火層。
【請求項8】
ケイ酸塩及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むバインダーをさらに含む、請求項7に記載の防火層。
【請求項9】
前記防火層の単位面積当たりの固形分量が、1g/m~40g/mである、請求項7又は8のいずれかに記載の防火層。
【請求項10】
前記クレイがモンモリロナイトを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の防火層。
【請求項11】
モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む防火層と、
前記防火層の上に配置されたフィルムと
を含む積層構造体。
【請求項12】
前記防火層が、ケイ酸塩及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むバインダーをさらに含む、請求項11に記載の積層構造体。
【請求項13】
前記クレイがモンモリロナイトを含む、請求項11又は12のいずれかに記載の積層構造体。
【請求項14】
前記フィルムが、基材層、装飾層及び接着層を含む装飾フィルムである、請求項11~13のいずれか一項に記載の積層構造体。
【請求項15】
基材をさらに含み、前記防火層が前記基材の上に配置されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の積層構造体。
【請求項16】
前記基材が石膏ボードである、請求項15に記載の積層構造体。
【請求項17】
基材を用意すること、及び
前記基材の上に液状組成物を適用して、前記基材の上に防火層を形成すること
を含む、防火処理方法であって、前記液状組成物が、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む、方法。
【請求項18】
前記液状組成物が、水ガラス及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むフィルム形成性バインダーをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記クレイがモンモリロナイトを含む、請求項17又は18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記基材が石膏ボードである、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記防火層の上にフィルムを適用することをさらに含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルムが、基材層、装飾層及び接着層を含む装飾フィルムである、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液状組成物、防火層、防火層を含む積層構造体、及び防火処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物、車両、交通標識、看板、包装材料などにおいて、フィルム基材に感圧接着層が設けられた装飾フィルム又はシートが使用されている。例えば、建築物の内装に使用される壁紙用のフィルムについては、各国の建築基準法等に基づいて不燃材料であることの認証を受けることが要求されている。
【0003】
内装用装飾フィルムの不燃性を高める方法として、装飾フィルムの裏面側にある感圧粘着剤に難燃剤を添加する方法や、装飾フィルムに不燃性の高い材料を貼り合わせる方法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1(特表平10-501009号公報)は、「非ハロゲン発泡性難燃剤を接着剤に対して約10~約60重量%含有する、ラバーレジン接着剤およびアクリル性接着剤から成る群から選択される接着剤を含んで成る感圧接着剤組成物」を記載している。
【0005】
特許文献2(特開2013-44983号公報)は、「フィルム層と接着剤層とが積層され、直径20~500μmで数密度が2~700個/cmの微小な穴を有する装飾フィルム層、及びガラスクロス層を含む装飾シート」を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平10-501009号公報
【特許文献2】特開2013-44983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、日本における不燃材料認証の試験方法では、コーンカロリメータで測定される熱量の一部は、壁紙用フィルムの燃焼とは無関係に、壁紙用フィルムが適用される基材(壁材)、例えば石膏ボードを被覆する紙の燃焼などに由来する。したがって、壁紙用の装飾フィルム単体での不燃性を改善しても、それのみでは不燃材料認証を得られない場合がある。そのため、壁紙用フィルムだけではなく、それが適用される基材の不燃性を改善することが望ましい。また、石膏ボードなどの基材表面に防火層を形成することにより基材由来の熱量をさらに減少させて、壁紙用フィルムの材質及び厚みなど、基材表面に適用される材料の設計自由度を高めることも望まれている。
【0008】
本開示は、壁紙用フィルムなどが適用される基材表面に高い防火性能を有する防火層を形成することが可能な液状組成物、液状組成物を用いて形成可能な防火層、防火層を含む積層構造体、及び液状組成物を用いた防火処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施態様によれば、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む液状組成物が提供される。
【0010】
別の実施態様によれば、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む防火層が提供される。
【0011】
さらに別の実施態様によれば、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む防火層と、前記防火層の上に配置されたフィルムとを含む積層構造体が提供される。
【0012】
さらに別の実施態様によれば、基材を用意すること、及び前記基材の上に液状組成物を適用して、前記基材の上に防火層を形成することを含む、防火処理方法であって、前記液状組成物が、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む、方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、壁紙用フィルムなどが適用される基材表面に高い防火性能を有する防火層を形成することが可能な液状組成物、液状組成物を用いて形成可能な防火層、防火層を含む積層構造体、及び液状組成物を用いた防火処理方法を提供することができる。
【0014】
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施態様の積層構造体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0017】
本開示において「フィルム」には「シート」と呼ばれる物品も包含される。
【0018】
本開示において「感圧接着」とは、使用温度範囲で、例えば0℃以上、50℃以下の範囲で初期粘着性(タック)を有し、軽い圧力で様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない材料又は組成物の特性を意味する。
【0019】
一実施態様の液状組成物は、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む。この液状組成物を壁紙用フィルムなどが適用される基材(壁材)表面にあらかじめコーティングすることで、防火性能を有する防火層を基材表面に形成することができる。
【0020】
クレイは層状ケイ酸塩を主として含む鉱物である。モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイは、その層状構造が防火層において分散して平面状に配置されることにより、酸素バリア性を防火層に付与することができる。これにより、防火層により保護された基材等の燃焼及びそれによる発熱を抑制することができる。クレイは単独で又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0021】
モンモリロナイトは、2八面体型スメクタイトの一種であり、層間陽イオンとしてナトリウムイオンを主として含むNa型と、カルシウムイオンを主として含むCa型とに分類される。Na型モンモリロナイトは、Ca型モンモリロナイトと比較して、膨潤性、増粘性、懸濁安定性が高い。少量で防火層に酸素バリア性を付与することができる点で、Na型モンモリロナイトを使用することが有利である。液状組成物の粘度調整が容易であり、保存安定性が高い点で、Ca型モンモリロナイトを使用することが有利である。液状組成物が水ガラスを含む場合、Ca型モンモリロナイトを使用することで、Ca型モンモリロナイトから放出されるカルシウムイオンと水ガラスとの反応による高分子量のケイ酸化合物を生成させて、液状組成物を所望の程度に高粘度化することができる。モンモリロナイトとして、例えば、KUNIPIA-G(クニミネ工業株式会社、日本国東京都千代田区)が挙げられる。
【0022】
雲母は3八面体型雲母と2八面体型雲母とに分類され、いずれも使用することができる。3八面体型雲母として、金雲母(フロゴパイト)、黒雲母(バイオタイト)などが挙げられ、2八面体型雲母として白雲母(ムスコバイト)などが挙げられる。雲母は膨潤性を有することが望ましい。水性組成物中に高度に分散させることができ、フィルム形成性を有することから、雲母は親水性であることが望ましい。雲母として、例えば、ソマシフ ME-100(片倉コープアグリ株式会社、日本国東京都千代田区)が挙げられる。
【0023】
ヘクトライトは、3八面体型スメクタイトの一種である。層状構造の平均径が小さく分散性に優れていることから、ヘクトライトは合成ヘクトライトであることが有利である。ヘクトライトとして、例えば、LAPONITE-SL 25、LAPONITE-S482(いずれもビックケミー・ジャパン株式会社、日本国東京都新宿区)、及びSUMECTON-SWN(クニミネ工業株式会社、日本国東京都千代田区)が挙げられる。
【0024】
フルオロケイ酸塩は、ケイ酸塩を含むクレイの一部がフッ素で置換された層状構造を有する鉱物である。層状構造の平均径が小さく分散性に優れていることから、フルオロケイ酸塩は合成層状フルオロケイ酸塩であることが有利である。フルオロケイ酸塩として、例えば、LAPONITE-JS(ビックケミー・ジャパン株式会社、日本国東京都新宿区)が挙げられる。
【0025】
クレイはモンモリロナイトを含むことが不燃性の点で有利である。いかなる理論に拘束される訳ではないが、モンモリロナイトは、酸素バリア性に加えて、高温環境中でモンモリロナイトに接触する有機材料、例えば防火層の上に取り付けられる装飾フィルムの接着層に含まれる有機材料の炭化を促進して、燃焼による発熱を抑制することができると考えられる。
【0026】
一実施態様では、クレイは、モンモリロナイトと、雲母、ヘクトライト及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つとの組み合わせを含む。この実施態様では、層状構造の面の大きさが比較的小さいモンモリロナイトが、その他のクレイの層状構造の空隙を充填して、防火層の防火性能又は基材表面への密着性を高めることができる。
【0027】
一実施態様では、クレイの層状構造の平均径は、約5nm以上、約10nm以上、又は約15nm以上、約100μm以下、約90μm以下、又は約80μm以下である。本開示において層状構造の平均径とは、動的光散乱法によって測定される平均径である。
【0028】
一実施態様では、クレイは水分散性を有する。具体的には、クレイ2gをイオン交換水98gに混合したときに、流動性があることが好ましい。このようなクレイは、水性の液状組成物中でその層状構造の分散が促進されて、防火層の酸素バリア性をより効率的に高めることができる。
【0029】
クレイは分散剤、表面修飾剤などで変性されていてもよい。
【0030】
一実施態様では、クレイは、液状組成物の固形分を基準として、約30質量%以上、約35質量%以上、又は約40質量%以上、約85質量%以下、約80質量%以下、又は約75質量%以下の量で液状組成物に含まれる。クレイの含有量を約30質量%以上とすることにより、難燃性を向上できる。クレイの含有量を約85質量%以下とすることにより、コーティング適性を高めることができる。
【0031】
2量体以上のリン酸塩は、クレイの液状組成物中への分散を促進して、液状組成物の粘度を低下させてそのコーティング適性を高めることができる。クレイの層状構造が液状組成物中で分散したときに、カードハウス構造(1つの層状構造の端部が別の層状構造の平面に配位した三次元構造)が形成されて液状組成物が過度に増粘する場合がある。2量体以上のリン酸塩は、クレイの層状構造の端部に結合又は配位することでカードハウス構造の形成を阻害し、層状構造の分散性を高めることができる。2量体以上のリン酸塩は、それ自体も不燃剤又は難燃剤として、例えば、セルロースに対する難燃剤として機能することができる。
【0032】
2量体以上のリン酸塩は、式:Mn+23n+1で表すことができる。Mは1価のカチオンであり、H、Li、Na、及びKからなる群より選択され、nは2~30の整数である。Mは、ナトリウムであることが、価格の点で有利である。nは、2~21であることが、クレイの分散性の点で有利である。2量体以上のリン酸塩として、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。液状組成物の調製の際に、リン酸塩は水和物の形態であってもよく、この場合、水和水は液状組成物の溶媒の一部として含まれる。
【0033】
一実施態様では、2量体以上のリン酸塩は、液状組成物の固形分を基準として、約0.1質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1質量%以上、約10質量%以下、約7質量%以下、又は約5質量%以下の量で液状組成物に含まれる。2量体以上のリン酸塩の含有量を約0.1質量%以上とすることにより、クレイの分散性を改善できる。2量体以上のリン酸塩の含有量を約10質量%以下とすることにより、基材、特に石膏ボードを被覆する紙の収縮、変性などを抑制することができる。燃焼時の基材の収縮を抑制でき不燃性の点でも有利となる。なお、2量体以上のリン酸塩の含有量には水和水は含まれない。
【0034】
液状組成物は、水ガラス及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むフィルム形成性バインダーをさらに含んでもよい。フィルム形成バインダーを含む液状組成物は、強度、耐熱性又は耐寒性、基材への密着性、防火層の上に配置される材料との密着性などに優れた防火層を形成することができる。
【0035】
水ガラスは、防火層の形成時に縮合してケイ酸塩の被膜を形成し、クレイのバインダー、特に耐熱性バインダーとして機能する。ケイ酸塩の被膜自体も酸素バリア性を有するため、防火層の不燃性能をより高めることもできる。水ガラスはクレイと反応してジオポリマーを形成してもよく、これにより防火層からのクレイの脱落を効果的に抑制することができる。
【0036】
水ガラスとして、リチウムシリケート、ナトリウムシリケート、及びカリウムシリケートが挙げられる。これらの中でも、耐水性の点でリチウムシリケートを有利に使用することができる。
【0037】
一実施態様では、水ガラスは、液状組成物の固形分を基準として、約0.1質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1質量%以上、約70質量%以下、約65質量%以下、又は約60質量%以下の量で液状組成物に含まれる。水ガラスの含有量を約0.1質量%以上とすることにより、耐火性を向上できる。水ガラスの含有量を約70質量%以下とすることにより、液状組成物の経時での過度な粘度上昇を抑制して、液状組成物の保存安定性を高めることができる。
【0038】
有機樹脂は、防火層の上に配置される有機材料との親和性を有するため、例えば、防火層の上に接着層を有する装飾フィルムを取り付ける場合に、装飾フィルムの接着層と防火層との密着性を高めることができる。有機樹脂は水溶性高分子であってもよく、水性エマルションの形態で使用することもできる。
【0039】
有機樹脂として、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、オキサゾリン基含有ポリマーなどが挙げられる。
【0040】
一実施態様では、有機樹脂は、液状組成物の固形分を基準として、約2質量%以上、約5質量%以上、又は約10質量%以上、約55質量%以下、約50質量%以下、又は約45質量%以下の量で液状組成物に含まれる。有機樹脂の含有量を約2質量%以上とすることにより、密着性を向上できる。有機樹脂の含有量を約55質量%以下とすることにより、難燃性を向上できる。
【0041】
液状組成物は、フィルム形成性バインダーとして、水ガラスと有機樹脂の組み合わせを含むことが有利である。
【0042】
液状組成物は、任意成分として、本開示の効果を失わない範囲で、例えば、シリカゲル、ガラス繊維などのクレイ以外の無機充填材、界面活性剤、顔料、防腐剤などを含んでもよい。
【0043】
液状組成物は、溶媒として、水、有機溶媒、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。一実施態様では、液状組成物は水性組成物である。水性組成物は、作業環境又は施工期間に制約のある内装用途などに好適に使用することができる。
【0044】
一実施態様では、液状組成物の固形分は、約1質量%以上、約3質量%以上、又は約5質量%以上、約45質量%以下、約40質量%以下、又は約35質量%以下である。液状組成物の固形分を約45質量%以下とすることにより、コーティングの適性を高めることができる。
【0045】
液状組成物の粘度は、適用方法に応じて適宜決定することができる。一実施態様では、液状組成物の粘度は、レオメータ(DISCOVERY HR-2、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社、日本国東京都品川区)を用いて測定したときに、約1mPa・s以上、約10mPa・s以上、又は約20mPa・s以上、約5500mPa・s以下、約5000mPa・s以下、又は約4500mPa・s以下とすることができる。
【0046】
液状組成物はプライマー組成物として使用することができる。この実施態様では、液状組成物を用いて形成した防火層の上に、例えば、接着層を有する装飾フィルム又はシートなどを取り付けることができる。
【0047】
一実施態様の防火層は、モンモリロナイト、雲母、ヘクトライト、及びフルオロケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを含むクレイと、2量体以上のリン酸塩とを含む。クレイ及び2量体以上のリン酸塩は、液状組成物について説明したとおりである。防火層は酸素を遮断して、防火層が被覆する基材等の燃焼及びそれによる発熱を抑制することができる。
【0048】
防火層は上記液状組成物を用いて形成することができる。防火層は、例えば、噴霧、塗布、浸漬などにより液状組成物を基材表面に適用し、必要に応じて風乾又は加熱により溶媒を除去し、水ガラスなどの反応性成分を含む場合は必要に応じて加熱してそれらを反応させることにより、形成することができる。加熱温度は、一般に、約40℃~約150℃とすることができる。加熱時間は、一般に、約1分~約10分とすることができる。
【0049】
一実施態様では、防火層は、クレイを30質量%以上、約35質量%以上、又は約40質量%以上、約85質量%以下、約80質量%以下、又は約75質量%以下含む。
【0050】
一実施態様では、防火層は、2量体以上のリン酸塩を、約0.1質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1質量%以上、約10質量%以下、約7質量%以下、又は約5質量%以下含む。
【0051】
防火層は、ケイ酸塩及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むバインダーをさらに含む。ケイ酸塩は、液状組成物について説明した水ガラスの縮合物であってよい。有機樹脂は、液状組成物について説明したとおりである。
【0052】
一実施態様では、防火層は、バインダーとして、ケイ酸塩を、約0.1質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1質量%以上、約70質量%以下、約65質量%以下、又は約60質量%以下含む。
【0053】
一実施態様では、防火層は、バインダーとして、有機樹脂を、約2質量%以上、約5質量%以上、又は約10質量%以上、約55質量%以下、約50質量%以下、又は約45質量%以下含む。
【0054】
防火層の単位面積当たりの固形分量(g/m)は、約1g/m以上、約3g/m以上、又は約5g/m以上、約40g/m以下、約35g/m以下、又は約30g/m以下とすることができる。
【0055】
一実施態様の積層構造体は、上記防火層と、防火層の上に配置されたフィルムとを含む。フィルムは、基材フィルム層及びその裏面に接着層を有する装飾フィルムであってよく、基材フィルム層の上に直接若しくは他の層を介して、又は基材フィルム層と接着層の間に印刷層等の装飾層を有してもよい。装飾フィルムは建築物の内装又は外装に使用されてもよい。
【0056】
基材フィルム層としては、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース、及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。基材フィルム層は単層であってもよく、複数の層の積層体であってもよい。
【0057】
接着層は感圧接着層であってもよい。感圧接着層としては、例えば、アクリル系感圧接着剤が挙げられる。アクリル系感圧接着剤を用いることにより、装飾フィルムに優れた耐久性及び耐変色性を付与することができる。アクリル系感圧接着剤は変性が容易であることから用途に合わせて接着特性を調節することができる。アクリル系感圧接着剤は、粘着性アクリル系ホモポリマー及びコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の粘着性アクリル系ポリマーを含む。例えば、アクリル系感圧接着剤は、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、及びエタクリロニトリルからなる群より選択されるモノマーの粘着性ホモポリマー又は2種以上のこれらモノマーの粘着性コポリマーを含む。
【0058】
印刷層は、グラビア印刷、静電印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷などの印刷技術を用いることにより形成することができる。
【0059】
積層構造体は、建築物の壁材等の基材をさらに含んでもよく、防火層が基材の上に配置されていてもよい。図1に概略断面図で示す積層構造体100は、基材30の上に配置された防火層10を有し、防火層10の上にはフィルム20が配置されている。図1では、基材30は、石膏ボード32の両面が紙34で被覆されたものとして示されている。なお、図1では防火層10が基材30の上に配置されているが、基材の表層部の一部又は基材の全域に防火層成分が浸透し広がっていてもよく、防火層の境界は必ずしも明確ではない。
【0060】
基材として、例えば、石膏ボード、モルタル、セメント、コンクリート、木材、石、紙、布、ガラス、プラスチック、多孔質セラミックス、岩綿吸音板、ケイカル板などが挙げられる。一実施態様では、基材は石膏ボードである。石膏ボードはその片面又は両面が紙で被覆されていてもよい。基材は、壁材のような板状の形状に限らず、線状、フィルム状、球状、不定形、立体形状等、液状組成物が塗布できる対象物であれば、形状及び材料に限定はない。
【0061】
防火層は、積層構造体についてISO5660-1コーンカロリメータ試験に準拠して測定される総発熱量を、20分間の合計で、例えば約8MJ/m以下、約7.2MJ/m以下、又は約6.5MJ/m以下とすることができる。
【0062】
防火層は、積層構造体についてISO5660-1コーンカロリメータ試験に準拠して測定される、発熱速度が200kW/mを超える総時間を合計で約10秒以下、約8秒以下、又は約5秒以下とすることができる。
【0063】
防火材料規格値によれば、総発熱量が20分間の合計で8MJ/m以下であり、かつ発熱速度が200kW/mを超える総時間が合計で10秒以下である材料は、不燃材料に分類される。
【0064】
一実施態様の防火処理方法は、基材を用意すること、及び基材の上に液状組成物を適用して、基材の上に防火層を形成することを含む。基材、液状組成物、及び防火層については既に説明したとおりである。
【0065】
防火処理方法は、防火層の上にフィルムを適用することをさらに含んでもよい。フィルムについては既に説明したとおりである。
【0066】
本開示の液状組成物、防火層、積層構造体及び防火処理方法は、難燃性又は不燃性材料が要求される様々な分野、例えば、建築物、自動車、飛行機、列車及び電気・電子機器に使用することができる。
【実施例0067】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0068】
本実施例において使用した試薬及び材料を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
装飾シートの作製
ブチルアクリレート/アクリル酸のモノマー混合物を酢酸エチル中で共重合してアクリル系コポリマーの38質量%溶液をアクリル系感圧接着剤組成物として調製した。得られた感圧接着剤組成物を、エンボス加工されたPVCフィルム(スリーエムジャパン株式会社、日本国東京都品川区)に、乾燥後の厚みが40μmになるようにナイフコートを用いて塗布し装飾シートを作製した。PVCフィルムの組成は、ポリ塩化ビニル樹脂/可塑剤(フタル酸ジイソノニルを含む)/添加剤(アクリル樹脂、ステアリン酸亜鉛を含む)=76/17/7(質量比)であった。
【0071】
例1
蒸留水255gを撹拌しながらKUNIPIA-G 15gをゆっくりと加え、十分に撹拌した。室温で12時間以上静置したのち、固形分5.6質量%の粘稠な水分散体を得た。得られた水分散体4.0gに二リン酸ナトリウム十水和物0.019g、蒸留水4.0gを加え、十分に混合した。その後30%ケイ酸カリウム溶液0.93gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-R(10cm角)に4.4g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0072】
例2
蒸留水255gを撹拌しながらソマシフ ME-100 30gをゆっくりと加え、十分に撹拌した。室温で12時間以上静置したのち、固形分11質量%の水分散体を得た。得られた水分散体4.0gに二リン酸ナトリウム十水和物0.036g、蒸留水4.0gを加え、十分に混合した。その後30%ケイ酸カリウム溶液1.75gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに2.6g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0073】
例3
LAPONITE-SL 25 1.2gに蒸留水0.1g、二リン酸ナトリウム十水和物0.017gを加え、十分に混合した。その後、VINYBLAN 715 0.62gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードに1.1g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0074】
例4
固形分5.6質量%のKUNIPIA-Gの水分散体6.0gに二リン酸ナトリウム十水和物0.020gを加え、十分に混合した。その後、VINYBLAN 715 0.73gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに3.3g(固形分0.26g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0075】
例5
固形分5.6質量%のKUNIPIA-Gの水分散体6.0gに二リン酸ナトリウム十水和物0.020gを加え、十分に混合した。次いで、VINYBLAN 715 0.73gを混合した。その後リチウムシリケート75 0.05gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに3.4g(固形分0.27g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0076】
例6
蒸留水255gを撹拌しながらSUMECTON-SWN 20gをゆっくりと加え、十分に撹拌した。室温で12時間以上静置したのち、固形分7.3質量%のゲルを得た。得られたゲル8.2gに二リン酸ナトリウム十水和物0.034g、蒸留水0.4gを加え、十分に混合した。その後、VINYBLAN 715 1.24gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに2.7g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0077】
例7
固形分5.6質量%のKUNIPIA-Gの水分散体6.0gに固形分11質量%のソマシフ ME-100の水分散体4.0g、二リン酸ナトリウム十水和物0.045gを加え、十分に混合した。その後、VINYBLAN 715 1.6gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに2.5g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0078】
例8
固形分5.6質量%のKUNIPIA-Gの水分散体3.0gに固形分11質量%のソマシフ ME-100の水分散体2.0g、二リン酸ナトリウム十水和物0.022gを加え、十分に混合した。次いで、VINYBLAN 715 0.44g、OLFINE EXP.4123 0.12gを混合した。その後30%ケイ酸カリウム溶液0.24gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに2.5g(固形分0.27g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0079】
例9
蒸留水255gを撹拌しながらLAPONITE-JS 45gをゆっくりと加え、十分に撹拌した。室温で12時間以上静置したのち、固形分15質量%の水分散体を得た。得られた水分散体5.0gに二リン酸ナトリウム十水和物0.056gを加え、十分に混合した。次いで、KUNIPIA-G粉末0.3g、VINYBLAN 715 1.5g、OLFINE EXP.4123 0.12gを十分に混合した。その後、リチウムシリケート75 0.1gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに1.2g(固形分0.26g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0080】
例10
蒸留水255gを撹拌しながらLAPONITE-S482 45gをゆっくりと加え、十分に撹拌した。室温で12時間以上静置したのち、固形分15質量%の水分散体を得た。得られた水分散体75gに二リン酸ナトリウム十水和物0.83gを加え、十分に混合した。次いで撹拌しながらKUNIPIA-G粉末4.5gを加え、十分に混合した。VINYBLAN 715 23g、OLFINE EXP.4123 1.8gを混合し、その後、リチウムシリケート75 1.5gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに1.5g(固形分0.32g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0081】
比較例1
評価用サンプルとして石膏ボードGB-Rを処理せずそのまま使用した。
【0082】
比較例2
石膏ボードGB-RにDP-900N3を2.1g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0083】
比較例3
蒸留水20gに二リン酸ナトリウム十水和物0.84gを加え、溶解するまで十分に撹拌して二リン酸ナトリウムの水分散体を得た。得られた水分散体を石膏ボードGB-Rに10g(固形分0.24g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0084】
比較例4
蒸留水255gを撹拌しながらSUMECTON-ST 45gをゆっくりと加え、十分に撹拌した。室温で12時間以上静置したのち、固形分15質量%のゲルを得た。得られたゲル4.0gに二リン酸ナトリウム十水和物0.052g、蒸留水4.0gを加え、十分に混合した。その後30%ケイ酸カリウム溶液2.5gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに1.9g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0085】
比較例5
固形分15質量%のSUMECTON-STからなるゲル4gに二リン酸ナトリウム十水和物0.035g、蒸留水0.2gを加え、十分に混合した。その後、VINYBLAN 715 1.24gを混合し、塗布液を得た。得られた塗布液を石膏ボードGB-Rに1.5g(固形分0.25g)塗布し、自然乾燥させた後に装飾シートを貼り、評価用サンプルを得た。
【0086】
発熱性試験
ISO5660-1コーンカロリメータ試験に準拠して試験を行った。パラメータとして発熱速度(kW/m)及び総発熱量(MJ/m)を、コーンカロリメータ(株式会社東洋精機製作所、日本国東京都北区)を用いて測定した。コーンカロリメータのサンプル設置部位に試験片(10cm×10cm)を水平に置き、その上方からコーン型の電気ヒーターにより50kW/mの輻射加熱を与え、電気スパークの口火により着火させ、20分間の試験を行った。発熱量は燃焼ガス分析により酸素消費量に基づいて決定した。加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下でありかつ200kW/mを超える発熱速度を示した時間が合計で10秒以下である場合を合格、それ以外の場合を不合格と判定した。
【0087】
【表2-1】
【0088】
【表2-2】
【0089】
【表2-3】
【0090】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることも当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0091】
10 防火層
20 フィルム
30 基材
32 石膏ボード
34 紙
100 積層構造体
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
【表2-1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
【表2-2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
【表2-3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モンモリロナイトと、2量体以上のリン酸塩と、水ガラス及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むフィルム形成性バインダーと、を含む、
接着層を有する装飾フィルムを取り付ける対象物に塗布するためのプライマー組成物。
【請求項2】
前記フィルム形成性バインダーが、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、オキサゾリン基含有ポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項3】
前記フィルム形成性バインダーが、リチウムシリケート、ナトリウムシリケート、及びカリウムシリケートからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプライマー組成物。
【請求項4】
モンモリロナイトと、2量体以上のリン酸塩と、ケイ酸塩及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むバインダーとを含む、
接着層を有する装飾フィルムを取り付けるための防火層。
【請求項5】
モンモリロナイトと、2量体以上のリン酸塩と、ケイ酸塩及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むバインダーとを含む、防火層と、
前記防火層の上に配置された、接着層を有する装飾フィルムと
を含む、
積層構造体。
【請求項6】
基材をさらに含み、前記防火層が前記基材の上に配置されている、請求項5に記載の積層構造体。
【請求項7】
前記基材が石膏ボードである、請求項6に記載の積層構造体。
【請求項8】
基材を用意すること、
前記基材の上に液状組成物を適用して、前記基材の上に防火層を形成すること、
前記防火層の上に接着層を有する装飾フィルムを配置することとを含む、積層構造体の製造方法であって、前記液状組成物が、モンモリロナイトと、2量体以上のリン酸塩と、水ガラス及び有機樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むフィルム形成性バインダーとを含む、製造方法。