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特開2024-97804線状物の挿入方法、制御装置、三次元カメラ、線状物の孔挿入システム
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  • 特開-線状物の挿入方法、制御装置、三次元カメラ、線状物の孔挿入システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097804
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】線状物の挿入方法、制御装置、三次元カメラ、線状物の孔挿入システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069252
(22)【出願日】2024-04-22
(62)【分割の表示】P 2019146818の分割
【原出願日】2019-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167988
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 大介
(72)【発明者】
【氏名】小寺 熱気
(57)【要約】
【課題】湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入する線状物の挿入方法を提供する。
【解決手段】ロボットハンド12でチューブTを把持する工程と、チューブTの先端を孔Hに挿入する工程と、チューブTの先端の挿入後、チューブTの把持された部分の向きが孔Hの中心軸Cと実質的に一致するように、かつ、チューブTの把持された部分が孔Hの中心Cから所定の距離ZとなるようにチューブTを孔Hに押し込む工程とを有する線状物の挿入方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入する線状物の挿入方法であって、
前記ロボットハンドの把持部が前記線状物を把持する工程と、
前記線状物の先端を前記孔に挿入する工程と、
前記先端の挿入後に、前記線状物の把持された部分の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、前記把持された部分が前記孔の中心から所定の距離となるように前記線状物を前記孔に押し込む工程とを有する、
線状物の挿入方法。
【請求項2】
前記把持する工程の後に、前記線状物の先端の位置及び向き情報を取得する工程をさらに有する、
請求項1に記載の線状物の挿入方法。
【請求項3】
前記線状物の先端を前記孔に挿入する工程は、前記線状物の先端の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように挿入する工程である、
請求項1または2に記載の線状物の挿入方法。
【請求項4】
前記ロボットハンドは、前記ロボットハンドの把持部と前記線状物の把持された部分とが略垂直となるように前記線状物を把持する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の線状物の挿入方法。
【請求項5】
前記線状物が透明であり、
前記ロボットハンドが前記線状物を把持する工程は、
背景を濃色にして順光で撮像した前記線状物の画像から前記線状物の三次元形状を取得する工程を含み、
前記線状物の三次元形状に基づいて前記ロボットハンドが前記線状物を把持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の線状物の挿入方法。
【請求項6】
前記線状物が透明であり、
前記ロボットハンドが前記線状物を把持する工程は、
逆光で撮像した前記線状物の画像から前記線状物の三次元形状を取得する工程を含み、
前記線状物の三次元形状に基づいて前記ロボットハンドが前記線状物を把持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の線状物の挿入方法。
【請求項7】
前記線状物が可撓性を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の線状物の挿入方法。
【請求項8】
前記線状物が、樹脂チューブである、
請求項7に記載の線状物の挿入方法。
【請求項9】
湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入するために用いられるロボットを制御する制御装置であって、
前記線状物を把持するための情報と、
前記線状物の先端を孔に挿入させるための情報と、
前記線状物の把持された部分の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、前記線状物の把持された部分が前記孔の中心から所定の距離となるように前記線状物を前記孔に押し込むための情報と、を前記ロボットに通知する、
制御装置。
【請求項10】
湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入するロボットの動作を制御するために用いられる三次元カメラであって、
当該三次元カメラは、カメラ制御装置を含み、
前記カメラ制御装置は、
前記三次元カメラで撮像した画像から前記線状物の三次元形状を取得し、
前記三次元形状に基づいて、前記線状物の先端を孔に挿入するための情報を前記ロボットに通知し、
前記三次元形状に基づいて、前記線状物の把持された部分の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、前記線状物の把持された部分が前記孔の中心から所定の距離となるように前記線状物を前記孔に押し込むための情報を前記ロボットに通知する、
三次元カメラ。
【請求項11】
請求項10に記載の三次元カメラと、
前記線状物を把持するロボットハンドを備えたロボットとを有する、
線状物の孔挿入システム。
【請求項12】
前記線状物を把持するロボットハンドを備えたロボットと、三次元計測装置と、請求項9に記載の制御装置とを有する、
線状物の孔挿入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲している線状物をロボットハンドで把持して孔へ挿入する線状物の挿入方法、その挿入方法に用いられる制御装置、三次元カメラ、線状物の孔挿入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な作業がロボットハンドを用いて行われている。そのようなロボットハンドによる作業において、線状物を操作する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、ケーブルの先端をロボット装置に把持させ、コネクタに接続する技術が開示されている。
本出願人は、特許文献2に示すように、複数の線状物からロボットハンドに把持させる注目線状物を決定する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-176917号公報
【特許文献2】WO2019/098074
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また本出願人は、特願2018-31263に示すように、複数の線状物から注目線状物を把持させ、その注目線状物の先端を孔(目標位置)まで移動させる方法を提案している。しかし、線状物が湾曲している場合、線状物の先端を孔(目標位置)に移動しただけでは、線状物を孔にスムースに挿入することができないという新たな問題が見つかった。詳しくは、目標位置におけるロボットハンドの姿勢を維持したまま線状物を孔に押し込む場合、ロボットハンドが孔の開口縁と衝突し、線状物をロボットハンドの把持している位置まで深く押し込むことができない。また、ロボットハンドが押し込み動作をしている最中に、湾曲した線状物が孔の中で引っかかり、線状物を孔の奥深くまで押し込むことができない場合がある。
このように本発明は、線状物をロボットハンドで把持して線状物の先端を所定の位置まで移動させた後、線状物の一部を孔へ挿入する線状物の挿入方法、その挿入方法に用いられる制御装置、三次元カメラ、線状物の孔挿入システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の線状物の挿入方法は、湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入する線状物の挿入方法であって、前記ロボットハンドの把持部が前記線状物を把持する工程と、前記線状物の先端を前記孔に挿入する工程と、前記先端の挿入後に、前記線状物の把持された部分の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、前記把持された部分が前記孔の中心から所定の距離となるように前記線状物を前記孔に押し込む工程とを有することを特徴としている。
本発明の線状物の挿入方法は、線状物の先端を挿入した後、線状物の把持された部分の向きが孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、把持された部分が孔の中心から所定の距離となるようにロボットハンドを移動させて線状物を孔に押し込むため、線状物をロボットハンドが把持している部分近辺まで確実に挿入することができる。
【0006】
本発明の線状物の挿入方法であって、前記把持する工程の後に、前記線状物の先端の位置及び向き情報を取得する工程をさらに有するのが好ましい。線状物が可撓性を有している場合、ロボットハンドの把持によって線状物の湾曲形状が変わることがある。把持後の線状物の先端の位置及び向き情報を取得することにより、線状物の湾曲形状が変わっても確実に線状物を孔に挿入することができる。
本発明の線状物の挿入方法であって、前記線状物の先端を前記孔に挿入する工程が、前記線状物の先端の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように挿入する工程であるのが好ましい。この場合、線状物の先端を確実に孔に挿入することができる。
本発明の線状物の挿入方法であって、前記ロボットハンドは、前記ロボットハンドの把持部と前記線状物の把持された部分とが略垂直となるように前記線状物を把持するのが好ましい。つまり、ロボットハンドの把持部が前記孔の中心軸と略垂直となるようにして前記線状物を前記孔に押し込むのが好ましい。
【0007】
本発明の線状物の挿入方法であって、前記線状物が透明であり、前記ロボットハンドが前記線状物を把持する工程が、背景を濃色にして順光で撮像した前記線状物の画像から前記線状物の三次元形状を取得する工程を含み、または、逆光で撮像した前記線状物の画像から前記線状物の三次元形状を取得する工程を含み、その線状物の三次元形状に基づいて前記ロボットハンドが前記線状物を把持するのが好ましい。この場合、カメラ等によって線状物の形状を明確に撮像することができ、詳細な線状物の三次元形状を取得することができる。
【0008】
本発明の線状物の挿入方法は、可撓性を有する線状物に好ましい。特に、樹脂チューブが好ましい。
【0009】
本発明の制御装置は、湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入するために用いられるロボットを制御する制御装置であって、前記線状物を把持するための情報と、前記線状物の先端を孔に挿入させるための情報と、前記線状物の把持された部分の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、前記線状物の把持された部分が前記孔の中心から所定の距離となるように前記線状物を前記孔に押し込むための情報と、を前記ロボットに通知することを特徴としている。なお、線状物を前記孔に押し込むための情報の通知は、前記線状物の先端を孔に挿入する前であっても、挿入する後であってもよい。
【0010】
本発明の三次元カメラは、湾曲した線状物をロボットハンドで把持して孔に挿入するロボットの動作を制御するために用いられる三次元カメラであって、当該三次元カメラは、カメラ制御装置を含み、前記カメラ制御装置は、前記三次元カメラで撮像した画像から前記線状物の三次元形状を取得し、前記三次元形状に基づいて、前記線状物の先端を孔に挿入するための情報を前記ロボットに通知し、前記三次元形状に基づいて、前記線状物の把持された部分の向きが前記孔の中心軸と実質的に一致するように、かつ、前記線状物の把持された部分が前記孔の中心から所定の距離となるように前記線状物を前記孔に押し込むための情報を前記ロボットに通知することを特徴としている。
【0011】
本発明の線状物の孔挿入システムは、本発明の三次元カメラと、前記線状物を把持するロボットハンドを備えたロボットとを有することを特徴としている。
本発明の線状物の孔挿入システムの第2の態様は、線状物を把持するロボットハンドを備えたロボットと、三次元計測装置と、本発明の制御装置とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湾曲した線状物であっても、確実に線状物を孔へ挿入し、孔の奥まで押し込むことができる。これにより煩雑な湾曲した線状物の挿入作業が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の線状物の挿入方法を実施するための線状物の孔挿入システムを示す概略図である。
図2】本発明の線状物の挿入方法の一実施形態を示すフロー図である。
図3図3aはロボットハンドでチューブを把持する直前の状態を示す概略図であり、図3bはロボットハンドでチューブを把持した直後の状態を示す概略図であり、図3cは第2撮像位置におけるロボットハンドで把持したチューブを示す概略図である。
図4図4aはロボットハンドを挿入手前位置に移動させたときの概略図であり、図4bはロボットハンドを挿入位置に移動させたときの概略図である。
図5図5aはロボットハンドを挿入完了位置に移動させたときの概略図であり、図5bはロボットハンドの軌跡を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1にチューブT(線状物)の挿入方法を実施するための線状物の孔挿入システム1を示す。線状物の孔挿入システム1は、ロボットハンド12を有するロボット10と、三次元計測装置(三次元カメラ)20と、制御装置30とを有する。作業空間には、チューブTが収容された収納筒Sと、チューブTを挿入する孔Hとが配置されている。収納筒Sには、チューブTの先端が突出して挿入されている。
この線状物の孔挿入システム1は、収納筒Sに収容された湾曲したチューブTをロボットハンド12で把持し、収納筒Sから取り出し、チューブTを孔Hに挿入する。
【0015】
初めにチューブTについて説明する。
チューブTは、可撓性を有する透明な樹脂チューブである。ここで可撓性とは、チューブTをロボットハンド等で把持したとき、把持した位置から先端までが自重により弾力的に撓むものをいう。つまり、自重により撓んでいるチューブTの軸線は、鉛直面上において、一方向に湾曲した連続曲線として表すことができる。
ここで、透明とは半透明も含み、透明なチューブの材料としては、ナイロン、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの透明な樹脂、ガラス、ポリアミドエラストマー、シリコン、テフロン(登録商標)が好ましく挙げられる。しかし、非透明なチューブであってもよい。そのような非透明チューブとしては工業用チューブなどが挙げられる。またチューブ以外の可撓性を有する線状物であってもよい。チューブ以外の可撓性を有する線状物としては、例えば、電線、ワイヤーハーネス、紐、糸、繊維、ガラス繊維、光ファイバ、乾麺等が挙げられる。
チューブTの径としては、例えば、0.1mm~3mm、好ましくは0.15mm~2mm、特にこのましくは0.2mm~1mmである。
【0016】
収納筒Sは、チューブTを挿入して収容するものである。チューブTを挿入したとき、チューブTの一部が突出する長さになっている。収納筒Sは、作業空間内において固定されている。なお、チューブTは必ずしも収納筒に収納されている必要はなく、作業台等に置かれていてもよい。収納筒からチューブTの把持される部分が突出しているなど、把持される部分がどこにも接地していない方がロボットハンドで把持しやすく好適である。
孔Hは、円形となっており、その内面は円筒となっている。孔Hは、作業空間内において固定されており、水平方向に開口している。なお、孔Hはテーパー構造であってもよい。孔Hが開口面から奥に向かって径が小さくなるテーパー構造である場合、本発明の効果がより顕著に得られる。チューブに対する孔のクリアランスが小さい場合、孔の前にテーパー構造の挿入補助治具を設けて、実質的に孔の開口部の径を広げ、本発明を適用することも可能である。孔Hの向きは特に限定されない。孔Hの径は、挿入するチューブの径プラス0.5mm以上、10mm以下が好ましい。孔Hの直径がチューブの径プラス10mmより大きい場合、押し込み動作中にチューブが孔の途中で引っかかり、挿入が阻害されることが少なく、本発明を適用する必要性が少ないためである。
なお、孔Hは、円でなくてもよい。その場合、孔Hの内接円の径が、この明細書でいう孔の径となる。
【0017】
次に線状物の孔挿入システム1について説明する。
ロボット10は、多関節アーム11と、その先端に設けられたロボットハンド12とを有し、ロボットハンド12が一対のフィンガ(把持部)12aを備えた公知のものである。フィンガ12aとしては、特に限定されるものではなく、チューブ(線状物)Tを面状または線状で接触して把持するものや、点で把持するものが挙げられる。
【0018】
三次元計測装置20は、第1カメラ21及び第2カメラ22と、カメラ制御部23とを有するステレオカメラである。第1カメラ21は、カラーの二次元画像である第1画像を撮像するカラーカメラであり、第2カメラ22は、カラーの二次元画像である第2画像を撮像するカラーカメラである。第1カメラ21および第2カメラ22は、異なる位置に固定されている。カメラ制御部23は、第1カメラ21および第2カメラ22を制御し、チューブTの三次元形状を算出し、制御装置30と通信を行う。詳しくは、制御装置30から撮像指示を受信して第1カメラ21および第2カメラ22に撮像を指示し、第1画像および第2画像からチューブTの三次元形状を算出し、その三次元形状を制御装置30に送信する。なお、第1画像および第2画像は、作業空間におけるチューブTの撮像位置において、背景を濃色として順光でチューブTの反射光を撮像するか、または、透過照明を用いて逆光でチューブTを撮像し、チューブTのシルエット画像を取得して三次元形状を算出するのが好ましい。このように撮像することで、チューブTが透明であっても、撮像して得られる画像において、チューブTと背景との輝度の差が大きくなるため、チューブTの形状を明確に露出させることができ、より精確にチューブTの三次元形状を取得することができるためである。
なお、順光とは、カメラ側からチューブTへ光が照射されている状態を意味し、逆光とは、チューブTの背後側から光が照射されている状態を意味する。
ステレオカメラによる三次元形状の算出方法としては、第1カメラの第1画像及び第2カメラの第2画像から計測したい計測点を求め、第1カメラと第2カメラの位置関係から三角測量の原理によって計測点の三次元座標を算出する。
なお、三次元計測装置20は、ステレオカメラに限定されるものではなく、線状物の三次元形状を取得できるものであれば、三次元スキャナーなどを用いてもよい。また、線状物全体の三次元形状を算出する必要はなく、少なくとも線状物上のロボットハンドに把持される部分の位置および向きと、孔に挿入される側の先端の位置および向きを算出できればよい。
【0019】
制御装置30は、三次元計測装置20と通信し、三次元計測装置20から取得したチューブTの三次元形状に基づいてロボット10を指示し、そして、各種演算を行う。なお、制御装置30は、ロボット10および三次元計測装置20と独立した制御装置としても、三次元計測装置20が備えるカメラ制御部23、ロボット10が備えるロボット制御装置のいずれであってもよい。制御装置30には、収納筒Sおよび孔Hの位置が予め登録されている。
【0020】
次に、図2に基づいて、収納筒SのチューブTをロボットハンド12で取り出して孔Hに挿入する線状物の挿入方法について説明する。
線状物の挿入方法は、チューブTを撮像してチューブTの三次元形状を取得する工程1と、チューブTの把持される部分Gの位置を算出する工程2と、ロボットハンド12の把持姿勢および把持位置を算出する工程3と、ロボットハンドでチューブTを把持する工程4と、チューブTを第2撮像位置まで移動する工程5と、第2撮像位置で把持された状態のチューブTを撮像して、チューブTの三次元形状を取得する工程6と、把持された状態のチューブT(挿入部I)の先端Eの位置および向きを算出する工程7と、ロボットハンドを挿入手前位置まで移動させる工程8と、ロボットハンドを挿入位置まで移動させる工程9と、チューブTを孔Hに押し込んでロボットハンドを挿入完了位置まで移動させる工程10とを有する。
【0021】
チューブTを撮像してチューブTの三次元形状を取得する(工程1)。
工程1は、上述の三次元計測装置20によって、収納筒Sから突出したチューブTを第1撮像位置で計測し、その三次元形状を算出する。詳しくは、ステレオカメラによって、チューブTが挿入された収納筒Sのある作業空間を撮像し、2枚の画像を演算処理して収納筒Sから突出したチューブTの三次元形状を取得する。チューブTの三次元形状は、直交座標系または斜交座標系で表され、好ましくは直交座標系で表される。
【0022】
チューブTのロボットハンドに把持される部分Gの位置を算出する(工程2)。
工程2は、図3aに示すように、チューブTの先端から所定の長さXをロボットハンドに把持される部分Gとするなど、予め定めた条件に基づいて、チューブTの三次元形状からチューブTの把持される部分Gを決定し、その把持される部分Gの位置(座標)を取得する。
先端Eから把持される部分Gまでの挿入部Iの長さXは、10mm~100mm、好ましくは15mm~90mm、特に好ましくは20mm~80mmである。この挿入方法では、このチューブTの挿入部Iが挿入される。長さXが100mmより長いと、挿入部Iの撓みが大きくなりすぎて、工程10の押し込み工程ができなくなるおそれが生じる。
【0023】
ロボットハンド12の把持姿勢および把持位置を算出する(工程3)。
ロボットハンドの把持姿勢は、図3a、図3bに示すように、ロボットハンド12でチューブTの把持される部分Gを把持させたとき、ロボットハンド12のフィンガ12aの向きF1とチューブTの把持される部分Gの向きD1とが略垂直となる姿勢が好ましい。後述する線状物の押し込み工程で、フィンガ12aと孔Hとが干渉しにくく、フィンガの向きF1と孔の中心軸とを略垂直にすることで、線状物を孔のより深くまで押し込むことが可能なためである。
ロボットハンドの把持方向は、チューブTの把持される部分Gの軸回りに360度のいずれの方向から把持してもよい。しかし、ロボットハンド12は湾曲しているチューブTの凸側に位置するのが好ましい。特に、湾曲しているチューブTの軸線Tを含む鉛直面Spと平行となるようにしてチューブTの凸側に位置するのが好ましい。ここでロボットハンド12が、鉛直面Spと平行になるとは、一対のフィンガ12aの当接面が鉛直面Spと平行であり、かつ、一対のフィンガ12aの中心がその鉛直面上にあることをいう。そして、ロボットハンド12を湾曲しているチューブTの凸側からチューブTに近づかせ、一対のフィンガ12aでチューブTの把持される部分Gを把持させたときの姿勢が好ましい。
なお、ロボットハンド12のフィンガ12aの向きF1は、フィンガ12aの先端の向きまたは一対のフィンガ12aを含む平面の向き(図3aの符号F1を含む紙面方向の面)をいい、特に、フィンガ12aがチューブTを把持する際にチューブTに向かってアプローチする向きをいう。
ロボットハンドに把持される部分Gの向きD1は、チューブTの三次元形状よりフィンガ12aで把持される部分の線分L1の平均ベクトルを求めることにより算出する。線分L1の長さは、例えばチューブTの把持される位置を中心としたフィンガ12aの厚み分の長さとするなど、予め定めた所定の長さに設定することができる。
【0024】
このようにロボットハンド12の把持位置および把持姿勢とは、図3bに示すように、ロボットハンド12が把持される部分Gを把持したときのロボットハンド12の座標及び姿勢である。
そして、フィンガ12aの向きF1と把持される部分Gの向きD1とを略垂直として、ロボットハンド12にチューブTを把持させることにより、後述するように、工程10において、孔へチューブTを挿入部Iの奥(把持される部分G直前)までしっかり挿入することができる。またロボットハンド12を、上記鉛直面のチューブの凸側に位置させ、かつ、当該鉛直面と平行にすることにより、チューブTの撓んだ先端部分等に干渉することなく、ロボットハンドでチューブTの把持位置を把持することが可能である。
【0025】
ロボットハンド12でチューブTを把持する(工程4)。
工程4は、ロボットハンド12を待機位置から把持位置まで移動させ、把持位置においてチューブTの把持される部分Gを把持する。
ロボットハンド12の待機位置は、特に限定されるものではなく、予め定めておいてもよく、例えば、チューブTから把持方向と逆向きに所定距離離れた位置(例えば、図3aのロボットハンド12の位置)に決定するなどチューブTの三次元形状に基づいて決定させてもよい。しかし、例えば、ロボットの各リンクの角度などによって、待機位置の座標および姿勢を予め定めて制御装置に登録しておいてもよい。同種のチューブを複数回把持する場合、チューブの撓み方等が似ているため、1本目の把持位置および把持姿勢を予め登録しておけば、その後、同種のチューブを同じ把持位置および把持姿勢で把持できることが多いためである。
ロボットハンド12の待機位置から把持位置までの軌跡は、特に限定されるものではない。ロボットハンド12が収納筒S等の障害物と接触しないように、ロボットハンド12を把持される部分Gへ接近させる。その軌跡の算出は、例えば、待機位置から把持位置の軌跡が直線となるように軌跡を算出する直線補間、待機位置から把持位置の軌跡が円弧となるように軌跡を算出する円弧補間、待機位置及び把持位置における各リンクの関節角度差を均等に補間させて軌跡を算出する関節補間などの目的地に漸次向かわせる手段によってできる。
【0026】
チューブTを第2撮像位置まで移動する(工程5)。
ロボットハンドの第2撮像位置は、工程6において、ロボットハンド12に把持された状態のチューブTを撮像する位置である。この第2撮像位置の座標は、特に限定されないが、収納筒Sと孔Hの間の位置でもよく、チューブTを完全に収納筒Sから完全に取り出した位置でもよく、チューブTを収納筒Sから完全に取り出す前の位置でもよい。例えば、1台の三次元計測装置20の撮像範囲内に、工程1の第1撮像位置と工程5の第2撮像位置を含めることにより、1つの三次元計測装置20で把持される前のチューブTと、把持された後のチューブTとの両方の画像を取得することができて好ましい。
このようなロボットハンド12の第2撮像位置(座標および姿勢)は、例えば、ロボットの各リンクの角度などによって、その座標および撮像姿勢を予め定めて制御装置に登録しておくのが好ましい。
【0027】
把持された状態のチューブTの三次元形状を取得する(工程6)。
工程6は、第2撮像位置において工程1と同様に三次元計測装置20によって把持された状態のチューブTを撮像し、その画像から把持されたチューブTの三次元形状を算出する。これにより挿入直前の把持された状態のチューブT(挿入部I)の詳細な三次元形状を取得することができる。つまり、上述したようにチューブTは可撓性を有しているため、ロボットハンドで把持したときのチューブTの三次元形状は、収納筒Sに収納されたときのチューブTの三次元形状と異なる場合がある(例えば、図3bと図3c)。したがって、第2撮像位置に置いて、把持された状態のチューブTの三次元形状を再度算出する。しかし、チューブTがある程度硬く、チューブTの先端の位置が実質的に変化しない場合は、工程5~工程7は省略し、工程1のチューブTの三次元形状を把持された状態のチューブTの挿入部Iの三次元形状として取り扱ってもよい。
なお、挿入部Iの三次元形状も、直交座標系で表すのが好ましい。
【0028】
把持された状態のチューブT(挿入部I)の先端Eの位置および向きを算出する(工程7)。
先端Eの位置は、挿入部Iの三次元形状に基づいて先端Eの座標を求める。また、例えば、チューブTは一方向に湾曲した状態となっているため、把持された部分Gからどれだけの距離にあるかを計測してもよい。
チューブTの先端Eの向きD2は、挿入部Iの三次元形状より、先端Eから所定の長さ(例えば、約10mm)の線分L2の平均ベクトルを求めることにより算出する。
【0029】
ロボットハンドを挿入手前位置まで移動させる(工程8)。
工程8は、ロボットハンドの挿入手前位置を算出し、ロボットハンド12を第2撮像位置から挿入手前位置まで移動させる。
ロボットハンドの挿入手前位置は、孔の近傍の任意の場所に設定することができるが、好ましくは図4aに示すように、ロボットハンドがチューブTを把持した状態で、チューブTの先端Eの向きD2が略水平(孔Hの中心軸Cと実質的に一致)となり、かつ、そのチューブTの先端Eが孔Hの中心Cに対して所定の距離Yとなったときのロボットハンドの位置(座標および姿勢)である。このような状態となるときのロボットの各リンクの角度を算出する。
なお、ロボットハンド12が挿入手前位置にあるときのチューブTの先端Eの座標は、孔H近辺となるのが好ましい。例えば、チューブTの先端Eが孔Hの中心Cに対する距離Yは、5~100mm、好ましくは7mm~70mm、特に好ましくは10~50mmとなる位置が挙げられる。
第2撮像位置から挿入手前位置までの軌跡は、特に限定されるものではなく、好ましくは直線補間、円弧補間、関節補間等で算出する。
【0030】
ロボットハンド12を挿入位置まで移動させる(工程9)。
工程9は、ロボットハンドの挿入位置を算出し、ロボットハンド12を挿入手前位置から挿入位置まで移動させる。
ロボットハンド12の挿入位置は、図4bに示すように、ロボットハンドがチューブTを把持した状態で、チューブTの先端Eの向きが孔Hの中心軸Cと一致し、かつ、チューブTの先端Eが孔Hの内部にあるときのロボットハンドの位置(座標および姿勢)である。ここで、先端Eと孔Hの中心Cとの距離Y1は、0~20mm、好ましくは1~15mm、特に好ましくは2~10mmである。挿入位置における先端Eの孔Hの中心Cからの距離Y1は、取り扱うチューブTの湾曲度やチューブTの孔Hに対するクリアランスに応じて適宜選択する。
つまり、工程8の挿入手前位置(図4a)において、チューブTの先端Eの向きD2が孔Hの中心軸Cと実質的に一致し、かつ、そのチューブTの先端Eが孔Hの中心Cに対して所定の距離Yとなっているため、工程9では、孔Hの中心Cから所定の距離Yだけ離れているチューブTの先端が孔Hに挿入されるまでチューブTを平行移動させる。それによりチューブTの先端を真っ直ぐ孔に挿入できる。
このようにロボットハンド12を挿入位置に移動させることにより、少なくともチューブTの先端Eが孔Hに挿入される。
【0031】
チューブTを孔に押し込みながらロボットハンド12を挿入完了位置まで移動させる(工程10)。
工程10は、ロボットハンド12の挿入完了位置を算出し、ロボットハンド12を挿入位置から挿入完了位置まで移動させながらチューブTを孔に押し込み、チューブTの挿入を完了させる。
ロボットハンドの挿入完了位置は、図5aに示すように、ロボットハンドがチューブTを略垂直に把持した状態で、ロボットハンドのフィンガ12aが孔Hの中心軸Cと略垂直であり、かつ、ロボットハンドのフィンガ12aの中心O(チューブTの把持された部分Gの中心)と孔Hの中心Cとの距離Zにあるときのロボットハンドの位置(座標および姿勢)である。なお、このロボットハンドの挿入完了位置は、ロボットハンドと孔Hの関係であるため、例えば、ロボットの各リンクの角度などによって、その座標および撮像姿勢を予め定めて制御装置に登録しておくのが好ましい。
【0032】
ロボットハンドがチューブTを略垂直に把持していない状態の場合、挿入完了位置は、チューブTの把持された部分Gの向きD1が孔Hの中心軸Cと実質的に一致し、かつ、把持された部分Gが孔Hの中心から所定の距離となるときのロボットハンドの位置(座標および姿勢)である。工程1で得られたチューブT三次元形状とロボットのチューブ把持方向とから、チューブTの把持された部分の向きを取得することができる。このチューブの把持された部分の向きとロボットハンドの把持姿勢とから、挿入完了位置でのロボットハンドの姿勢(ロボットハンドのフィンガの向きF1)を算出することができる。
このようにロボットハンド12を挿入完了位置まで移動させることにより、チューブTの挿入部Iが湾曲していたとしても、孔の途中で引っかかることなく、実質的にチューブTの被挿入部全体が孔に押し込まれる。
【0033】
ロボットハンドの挿入完了位置としては、例えば、ロボットハンドのフィンガ12aの中心O(チューブTの把持された部分Gの中心)と孔Hの中心Cとの距離Zが、0より大きく50mm以下の位置、好ましくは0より大きく20mm以下の位置、特に好ましくは0より大きく10mm以下の位置が挙げられる。なお、ロボットハンドのフィンガ12aの中心Oと孔Hの中心Cの距離Zが0である場合、フィンガ12aと孔Hとは接触することになるため実用的ではない。ロボットハンドのフィンガ12aと孔Hの距離Zが50mmより大きいとチューブTの把持工程から挿入完了までの間のチューブTのハンドリング動作において、チューブTの撓みの影響が不要に大きくなる。
【0034】
ロボットの挿入位置から挿入完了位置までの軌跡は、特に限定されるものではなく、上述したように直線補間、円弧補間、関節補間で算出する。特に関節補間によって算出させるのが好ましい。つまり、挿入位置のロボットの各リンクの関節角度と、挿入完了位置のロボットの各リンクの関節角度とを取得し、各リンクの関節角度差を計算し、それらを補間させて軌跡を決定する。これにより、図5bに示すように、ロボットハンド12を、湾曲しているチューブTの形状に沿うように孔Hの開口面に漸次近づかせながら挿入完了位置まで移動させることができる。つまり、湾曲したチューブTの形状に近い軌跡を辿らせることができ、チューブTが途中で折れたり、孔Hの途中でつっかえたりしにくい。しかし、ロボットの挿入位置から挿入完了位置までを円弧と近似し、その円弧を軌跡とするように円弧補間によってロボットハンド12の軌跡を算出させてもよい。この場合、関節補間に比べて計算が煩雑になるが、一層湾曲しているチューブTの形状に沿って移動させることができるため、チューブTが非常に柔らかいとき、押し込み工程においてチューブTが折れにくく好ましい。
このように、ロボットハンド12を挿入完了位置においてチューブTが把持された部分の向きD1が孔Hの中心軸Cと実質的に一致するように、挿入位置から移動させることにより、孔に挿入されたチューブTの挿入部Iは、孔Hにガイドされて略直線状となり、把持された部分Gの近辺まで確実に挿入される。
【0035】
このように図2の線状物の挿入方法は、ロボットハンドを挿入手前位置に移動させているため、チューブTの挿入操作が簡単にできる。またロボットハンドを挿入位置まで移動させているため、チューブTの先端Eを確実に孔Hに挿入させることができる。そして、ロボットハンドを挿入完了位置まで移動させているため、挿入部Iの基端(チューブTの把持される部分G)のぎりぎりまでロボットハンドを孔に接触させることなく挿入することができる。
【0036】
図2の線状物の挿入方法において、同じ材質で同じ形状の複数のチューブTの挿入を行う場合、これらのチューブTの湾曲度は実質的に同じになる。その場合、ロボットの第2撮像位置、ロボットの挿入手前位置、ロボットハンドの挿入位置、および、ロボットハンドの軌跡を予め制御装置30に覚えさせてもよい。このようにロボットハンドに挿入位置および挿入完了位置を事前にティーチングすることにより、その後の線状物の挿入方法における工程5~工程8の計算を省略させることができる。
この場合も、ロボットハンドは挿入完了位置まで移動することになるので、上記の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0037】
上記の実施形態において、ロボットハンドを挿入手前位置まで移動させていたが、挿入手前位置を経由させず、把持位置または第2撮像位置から直接挿入位置に移動させてもよい。つまり、工程8を省略してもよい。
【0038】
上記の実施形態では、収納筒Sに収容された一本のチューブTを把持し、孔Hに挿入したが、地面等に置かれたチューブTを把持し、孔Hに挿入させてもよい。また、複数のチューブTから一本のチューブを選択、把持して孔Hに挿入させてもよい。複数の線状物から一本を把持する方法としては、例えば、特許文献2に示すように、注目線状物を決定して把持させればよい。収納筒Sに複数のチューブTを挿して、注目線状物を決定させてもよい。
【0039】
上記の実施形態では、可撓性を有する線状物を対象としているが、線状体の挿入部が非直線状であれば、可撓性を有さない硬い線状物であってもよい。この場合、初めにチューブTの三次元形状を取得すれば、挿入部の三次元形状は取得しなくてもよい(工程5~7を省略)。また、上記の実施形態のチューブは、自重によって一方向に湾曲しているが、もともと曲がり癖がついている線状物も対象とすることができる。
【0040】
上記の実施形態では、チューブT(線状物)がある程度の硬度または弾性を有している、または、チューブTの先端から把持する部分Gまでの距離が短く撓みが小さいため、問題としていないが、線状物が非常に柔らかい場合、工程5のロボットハンドの第2撮像位置における把持される部分Gの向きを、工程9のロボットハンドの挿入位置における把持される部分Gの向きと実質的に同じにするのが好ましい。つまり、線状物(チューブT)の湾曲度(撓み具合)はチューブTの把持される部分Gの向きによって異なる。詳しくは、線状物(チューブT)の把持される部分Gが上を向いている場合、撓みが大きくなり、下向きに向かって撓みが小さくなる。そのため、工程5のロボットハンドの第2撮像位置における把持される部分Gの向きが、工程9のロボットハンドの挿入位置における把持される部分Gの向きと異なると、線状物の撓み形状(湾曲度)が異なる。結果、工程5の第2撮像位置において撮像した画像に基づいた線状物の先端の位置および向き(工程7)では、工程9において挿入できなくなる。このようにロボットハンドの第2撮像位置における把持される部分Gの向きを、工程9のロボットハンドの挿入位置における把持される部分Gの向きと実質的に同じにすることにより、非常に柔らかい線状物であっても正確に孔に挿入することができる。
なお、工程5の第2撮像位置におけるロボットハンドの向きは、例えば、予めサンプルのチューブを用いて適当な向きを登録したり、1本前の線状物の工程9で把持している向きを覚えさせたりする方法が挙げられる。
【符号の説明】
【0041】
1 線状物の孔挿入システム
10 ロボット
11 多関節アーム
12 ロボットハンド
12a フィンガ
20 三次元計測装置
21 第1カメラ
22 第2カメラ
23 カメラ制御部
30 制御装置
C 孔の中心軸
E 把持された状態のチューブ(挿入部)の先端
G 把持される部分
H 孔
I 挿入部
S 収納筒
Sp 鉛直面
T チューブ
図1
図2
図3
図4
図5