(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097825
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】UV吸収性ポリマー、組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/533 20060101AFI20240711BHJP
C08G 61/10 20060101ALI20240711BHJP
C09B 69/10 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
G01N33/533
C08G61/10
C09B69/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071187
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2023566528の分割
【原出願日】2022-05-03
(31)【優先権主張番号】63/183,862
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/306,946
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アルンクマール イーシュワラン
(72)【発明者】
【氏名】マッシミリアーノ トマスロ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ グルニック
(72)【発明者】
【氏名】ボイ ホア サン
(57)【要約】
【課題】UV吸収性ポリマー、組成物およびその使用の提供。
【解決手段】
本開示はUV吸収性ポリマー色素およびUV吸収性ポリマー色素にコンジュゲートされている結合パートナーを使用することによる試料中の分析対象を検出する方法を提供する。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデム色素または消光したUVポリマー色素を含む組成物が提供される。本開示は新規なUV励起可能な(例えば、355nm)ポリマー色素、ポリマータンデム色素、ポリマー色素コンジュゲート、ポリマータンデム色素コンジュゲートを提供する。本開示はまたポリマー色素およびポリマー色素コンジュゲートを使用し、試料中の分析対象を例えばフローサイトメトリーによって検出する方法を提供する。UVポリマー色素、UVポリマータンデム色素、UVポリマーコンジュゲートおよびまたはUVポリマータンデム色素コンジュゲートを含む組成物も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2022年5月3日に出願されており、それらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年5月4日出願の米国仮特許出願第63/183,862号、および2022年2月4日出願の米国仮特許出願第63/306,946号の利益ならびにそれらの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
紫外(「UV」)光を吸収するポリマーは、リアルタイムでモニタリングすることができるシグナルを発生させることによって、様々な生物学的用途に使用することができ、生物学的標的および事象の検出のための単純かつ迅速な方法を提供する。
【0003】
しかし、これまでに報告されたUV吸収性ポリマーの多数は、疎水性が高い。多数のUV吸収性ポリマーの色素は、乏しい溶解度、輝度の不良およびスペクトルの広幅化のため、水性条件下では有用ではない。したがって、分析対象の検出を含めた、生物学的用途のためのUV吸収性ポリマーの色素の利用可能性の確保が十分ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の要約
本開示は、新規なUV励起可能な(例えば、355nm)ポリマー色素、ポリマータンデム色素、ポリマー色素コンジュゲートおよびポリマータンデム色素コンジュゲートを提供する。本開示はまた、ポリマー色素およびポリマー色素コンジュゲートを使用し、試料中の分析対象を、例えば、フローサイトメトリーによって検出する方法を提供する。UVポリマー色素、UVポリマータンデム色素、UVポリマーコンジュゲートおよび/またはUVポリマータンデム色素コンジュゲートを含む組成物もまた、提供される。
【0005】
本開示は、式Iの構造を有するUV吸収性ポリマーを提供する:
【化1】
[式中、各Xは、CおよびSiからなる群から独立して選択され、各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2、SiHR
2、SiHR
1およびSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、各R
1は、水可溶化(water-solubilizing)部分、リンカー部分、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)基、カルボン酸、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化2】
【化3】
からなる群から独立して選択され、各R
2は、水可溶化部分、リンカー部分、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、スルホンアミド-PEG、ホスホルアミド-PEG、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド
【化4】
からなる群から独立して選択され、各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、水可溶化部分およびPEG基からなる群から独立して選択され、各Zは、CH
2、CHR
4、O、NHおよびNR
4からなる群から独立して選択され、各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2からなる群から独立して選択され、各R
4は、H、PEG基、水可溶化部分、リンカー部分、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、消光性部分、L
2-E、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OR
9(R
9は、C
1~C
8アルキルであり、各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、C
2~C
18(ヘテロ)アリール基、アミド、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から独立して選択され、各W
1は、独立して、水可溶化部分であり、L
1、L
2およびL
3は、それぞれ独立して選択されるリンカー部分であり、各Eは、発色団、連結した発色団、官能基部分(functional moiety)、連結した官能基部分、基材、連結した基材、結合パートナーおよび連結した結合パートナーからなる群から独立して選択され、各R
7は、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステルおよび-OC
1~C
12ヒドロキシからなる群から独立して選択され、R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの少なくとも1つは、水可溶化部分を含み、各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、M
2およびM
1は、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されており、必要に応じた各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、Lは、必要に応じて置換されており、G
1およびG
2は、Eに必要に応じてコンジュゲートされている、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択され、a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、各bは、独立して、0または1であり、各fは、独立して、0~50の整数であり、mは、1~約10,000の整数であり、各nは、独立して、1~20の整数であり、sは、1または2であり、tは、0、1、2または3である]。
【0006】
式Iの構造を有するUV吸収性ポリマー色素は、約300nm~約400nmまたは約350nm~約400nmの範囲に近紫外励起スペクトルおよび/または吸収極大を有することができる。式Iの構造を有する近UV吸収性ポリマー色素は、水溶性ポリマーであり得る。一部の場合、UV吸収性ポリマーは、少なくとも1つの水可溶化基を含む。
【0007】
式Iに表されるUV吸収性ポリマー構造中の単位は、ポリマー主鎖内において、式I中に示されている通りの同じまたは異なる順序などのランダムを含めた、任意の好適な順序で生じることができる。M1およびM2単位は、ポリマー主鎖全体に、交互の位置にランダムに分布され得る。M1およびM2単位は、UV吸収性ポリマー中に、互いに対して任意の好適なモル比で存在することができる。各Lは、別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により独立して、置換されていてもよい。
【0008】
様々な態様では、本開示は、式I:
【化5】
の構造を有するUV吸収性ポリマーを提供する。
各Xは、CおよびSiから独立して選択される。各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2およびSiR
1R
2から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合している。各R
1は、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、-Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、-Z-(CH
2)
n-SO
2-NH-R
3および-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(R
4)-R
3から独立して選択される。各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、-Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、-Z-(CH
2)
n-SO
2-NH-R
3および-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(R
4)-R
3から独立して選択される。各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノおよびPEG基から独立して選択される。各Zは、CH
2、CHR
4、O、NR
4およびNHから独立して選択される。各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2から独立して選択される。各R
4は、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、-Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3およびC
2~C
18(ヘテロ)アリール基から独立して選択される。各修飾単位M
1およびM
2は、ポリマーのバンドキャップを改変することが可能なアリーレンまたはヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択される。各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有する。各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基である。各Lは、別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換され得る。
【0009】
G1およびG2は、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択される。一部の例では、可変要素G1およびG2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)または必要に応じて置換されているフルオレンからそれぞれ独立して選択されてもよく、必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されていてもよい。
【0010】
変数a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)である。各bは、独立して、0または1である。変数mは、1~約10,000の整数である。各nは、独立して、1~20の整数である。
【0011】
一部の例では、M1は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで一、二、三または四置換されているアリーレン;必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで一、二、三または四置換されているヘテロアリーレン;必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで一、二、三または四置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン;ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択されてもよい。一部の例では、各M2は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで一、二、三または四置換されているアリーレン;必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで一、二、三または四置換されているヘテロアリーレン;必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで一、二、三または四置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン;ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択されてもよい。一部の例では、M2は、M1とは異なる構造を有する。
【0012】
各リンカー部分は、L、L1、L2およびL3からなる群から独立して選択されてもよい。
【0013】
一部の例では、連結部分L1、L2およびL3は、独立して、以下に限定されないが、共有結合、C1~8アルキレン、2~8員のヘテロアルキレンであってもよい。一部の実施形態では、リンカーは、単一原子、直鎖、分枝鎖、環式部分である。一部の実施形態では、リンカーは、長さが2~50個の間の主鎖原子、または長さが2~20個の間の主鎖原子などの、長さが2~100個の間の主鎖原子(例えば、炭素原子)の鎖である。ある特定の場合、リンカー主鎖の1個、2個、3個、4個もしくは5個、またはそれより多い炭素原子が、硫黄、窒素または酸素により必要に応じて置き換えられ得る。主鎖原子の間の結合は、飽和または不飽和であり得、通常、1個、2個または3個以下の不飽和結合が、リンカー主鎖中に存在する。リンカーは、1つまたは複数の置換基(例えば、アルキル基またはアリール基)を含むことができる。リンカーは、非限定的に、オリゴ(エチレングリコール);エーテル;チオエーテル;三級アミン;およびアルキレン基(すなわち、二価アルキルラジカル)を含むことができ、これらは、直鎖または分岐であり得る。リンカー主鎖は、環式基、例えば、二価アリールラジカル、二価複素環式ラジカルまたは二価シクロアルキルラジカルを含むことができ、この場合、環式基の2個またはそれより多い原子、例えば、2個、3個または4個の原子が主鎖に含まれる。
【0014】
一部の例では、L1は、スルホンアミド、スルホンイミド、サルタム、ジスルフィンアミド、アミド、ホスホンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、セレノオナミド(selenoonamide)、セレンイナムデ(seleninamde)または二級アミンを含む。一部の実施形態では、L1は、スルホンアミド、アミド、ホスホンアミドまたは二級アミンを含む。一部の場合、L1は、L2-Eで必要に応じて終端したリンカー部分である。一部の場合、L2は、線状または分岐状の、飽和または不飽和なC1~30アルキレン基を含み、C1~30アルキレン基中の1個または複数の炭素原子は、O、S、NRaによって必要に応じておよび独立して、置き換えられており、C1~30アルキレン中の隣接炭素原子の2つまたはそれより多い集まり(grouping)は、必要に応じておよび独立して、-NRa(CO)-または-(CO)NRa-によって置き換えられており、各Raは、HおよびC1~6アルキルから独立して選択され、各Raは、HおよびC1~6アルキルから独立して選択される。
【0015】
一部の例では、L2は、発色団、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基部分で必要に応じて終端したリンカー部分である。
【0016】
一部の例では、L3は、共有結合、C1~8アルキレン、2~8員のヘテロアルキレン(例えば、-O-アルキルなどの二価アルコキシリンカー)、C3~8シクロアルキレン、C6~10アリーレン、5~12員のヘテロアリーレン、5~12員のヘテロシクリレン、アミン、-NHC(O)La-、-C(O)NHLa-、-C(O)La-およびそれらの組合せからなる群から選択され、Laは、C1~8アルキレンおよび2~8員のヘテロアルキレンからなる群から選択される。
【0017】
一部の場合、L
1、L
2およびL
3は、一緒になって、以下:
【化6】
[式中、R
8は、R
4、水素またはアミン保護基であり、
L
1aは、リンカー部分である]
を形成する。一部の場合、L
1aは、共有結合、C
1~8アルキレン、C
1~8アルコキシ、2~8員のヘテロアルキレン(例えば、二価アルコキシリンカー)、C
3~8シクロアルキレン、C
6~10アリーレン、5~12員のヘテロアリーレン、5~12員のヘテロシクリレン、-NHC(O)L
a-、-C(O)NHL
a-、-C(O)L
a-およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、L
1aは、共有結合、C
1~8アルキレン、2~8員のヘテロアルキレン、-NHC(O)L
a-、-C(O)NHL
a-および-C(O)L
a-からなる群から選択される。
【0018】
一部の例では、L
3は、第1のL
1部分(または、第1のL
1a部分)への第1の結合点、第2のL
1部分(または、第2のL
1a部分)への第2の結合点、およびAモノマーへの第3の結合点を有する、三価のアリールアルキル部分である。例えば、本開示の一部の実施形態は、式XIII:
【化7】
[式中、
L
3aは、共有結合、C
1~8アルキレン、2~8員のヘテロアルキレン、-NHC(O)L
a-、-C(O)NHL
a-および-C(O)L
a-からなる群から選択され、
L
1aは、C
1~8アルキレンまたは2~8員のヘテロアルキレンであり、W
1は、水可溶化部分であり、
波線は、Aモノマーへの結合点であり、各EおよびL
2は、独立して、本明細書の上に記載されている通りである]
に示されている通りに結合した発色団などの、2つまたはそれより多くのE基を有するコンジュゲートされたポリマーを提供する。
【0019】
一部の例では、各Eは、独立して選択される発色団(例えばおよび独立して選択されるフルオロフォア)である。一部の実施形態では、ポリマー中のE部分はすべて、同じフルオロフォア構造を有する。一部の実施形態では、ポリマー中のE部分はすべて、異なるフルオロフォア構造を有する。
【0020】
一部の例では、W1は、エチレングリコール、PEG基、カルボキシ基(以下に限定されないが、カルボン酸およびカルボキシレートを含む)、ポリビニルアルコール、グリコール、ペプチド、ポリホスフェート、ポリアルコール、スルホネート、ホスホネート、ボロネート、アミン、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、アルコール、ポリオール、オキサゾリン、双性イオン性誘導体、炭水化物、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、置換PEG基、置換カルボキシ基(以下に限定されないが、置換カルボン酸および置換カルボキシレートを含む)、置換グリコール、置換ペプチド、置換ポリホスフェート、置換ポリアルコール、置換スルホネート、置換ホスホネート、置換ボロネート、置換アミン、置換アンモニウム、置換スルホニウム、置換ホスホニウム、アルコール、置換双性イオン性誘導体、置換炭水化物、置換ヌクレオチド、置換ポリヌクレオチドまたはそれらの組合せから選択される水可溶化部分である。
【0021】
一部の場合、W1は、1つまたは複数のエチレングリコールモノマーを含む。一部の場合、W1は、PEG基を含む。
【0022】
一部の例では、可変要素G1およびG2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)または必要に応じて置換されているフルオレンからそれぞれ独立して選択されてもよく、必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されていてもよい。
【0023】
一部の例では、必要に応じた各Lは、
【化8】
【化9】
[式中、
各R
6は、H、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3-C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、必要に応じて置換されているベンジル、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、(OCH
2CH
2)
fOCH
3、
【化10】
からなる群から独立して選択され、
W
1は、水可溶化部分であり、R
3、R
4、R
7、Z、Q、f、n、sおよびtのそれぞれは、上記のそれぞれである]
からなる群から独立して選択されるリンカー部分である。
【0024】
一部の例では、本開示は、式XIV:
【化11】
[式中、
R
2、R
3、G
1、G
2、L、Q、X、Y、Z、a、b、c、e、nおよびmのそれぞれは、独立して、本明細書に記載されている通りであり、
各R
4’は、F、Cl、-CH
3、-CF
3および-(OCH
2CH
2)
fOR
9から独立して選択され、各R
4’’は、F、Cl、-CH
3、-CF
3および-(OCH
2CH
2)
fOR
9から独立して選択され、R
9は、C
1~C
8アルキルであり、fは、0~50または10~20であり、各oは、独立して、1、2、3または4から選択される整数であり、各pは、独立して、1、2、3または4から選択される整数である]
によるUV吸収性ポリマーを提供する。式XIVに表されるポリマー構造中の単位は、ポリマー主鎖内において、式XIV中に示されている通り、同じまたは異なる順序などの任意の好適なまたはランダムな順序で存在することができる。M
1およびM
2単位は、ポリマー主鎖全体に、交互の位置にランダムに分布され得る。一部の例では、式XIVによるUV吸収性ポリマーは、300nm~400nmまたは350nm~400nmの範囲に近紫外励起スペクトルおよび/または吸収極大を有する。
【0025】
一部の場合、本開示は、先に規定した式(I)の構造を含むコポリマーを提供する。
【0026】
一部の実施形態では、本開示は、先に規定した式(I)の構造を有するUV吸収性ポリマー色素、およびそのエネルギー受容近傍でUV吸収性ポリマー色素に共有結合されているシグナル伝達発色団を含む、ポリマータンデム色素を提供する。
【0027】
一部の場合、本開示は、先に規定した式(I)の構造を有するUV吸収性ポリマー色素、およびUV吸収性ポリマー色素に共有結合されている結合パートナーを含む、標識された結合パートナーを提供する。
【0028】
様々な態様では、本開示は、試料中の分析対象を検出するための方法を提供する。方法は、分析対象を含有することが疑われる試料を、本開示によるUV吸収性ポリマー(ポリマーコンジュゲート)にコンジュゲートされている分析対象と相互作用することが可能な結合パートナーと接触させるステップを含む。一部の場合、UV吸収性ポリマーコンジュゲートは、式I:
【化12】
[式中、X、Y、G
1、G
2、R
1、R
2、M
1、M
2、L、a、b、c、dおよびeはそれぞれ、本開示において個々に規定されている]
の構造を含む。
【0029】
一部の場合、Xは、CおよびSiから独立して選択され、各Yは、結合、CHR1、CHR2、CR1R2およびSiR1R2から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合している。各R1は、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、連結した発色団、-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3、-Z-(CH2)n-SO2-NH-R3および-Z-(CH2)n-SO2-N(R4)-R3から独立して選択される。各R2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、および-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3から独立して選択される。各R3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノおよびPEG基から独立して選択される。各Zは、CH2、CHR4、O、NHおよびNR4から独立して選択される。各Qは、結合、NH、NR4、CHR4、C1~C12アルキレンおよびCH2から独立して選択される。各R4は、発色団、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、C2~C12アルケン、C2~C12アルキン、C3~C12シクロアルキル、C1~C12ハロアルキル、C1~C12アルコキシ、C2~C18(ヘテロ)アリールオキシ、C2~C18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH2)x’(OCH2-CH2)y’OCH3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3およびC2~C18(ヘテロ)アリール基から独立して選択される。各修飾単位M1およびM2は、ポリマーのバンドキャップを改変することが可能なアリーレンまたはヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M1は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択される。各M2は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択され、M2は、M1とは異なる構造を有する。各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されている。
【0030】
一部の例では、可変要素G1およびG2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)または必要に応じて置換されているフルオレンからそれぞれ独立して選択されてもよく、必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されていてもよい。
【0031】
変数a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)である。各bは、独立して、0または1である。変数mは、1~約10,000の整数である。各nは、独立して、1~20の整数である。結合パートナーは、分析対象または標的結合生体分子と相互作用することができる。
【0032】
本開示のUV吸収性ポリマーは、約355nmにおいて吸収をもたらす他のポリマーと比較して、約405nmにおける励起も、約405nmにおける低減された励起も伴うことなく、スペクトル(例えば、350~400nmまたは355~375nm)の、近紫外(UV)領域において、例えば、約355nmにおける、良好な吸収をもたらすことができ、これによって、pacific blueチャネル(450±25nm)におけるスピルオーバーが低減/解消する。本開示のUV吸収性ポリマーは、355nmおよび375nmに良好な吸収を有することができ、したがって、355nmおよび375nmのレーザーを装備した機器で使用することができる。
【0033】
本開示は、ポリマー色素コンジュゲート同士の非特異的相互作用を低減または阻止するため、UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUVポリマー色素および非イオン性界面活性剤を含む組成物を提供する。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、ポリマー色素コンジュゲートであってもよい。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、水溶性UV吸収性ポリマー色素であってもよい。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、本開示によるポリマー色素であってもよい。
【0034】
本開示による組成物を含むキットであって、組成物を含む容器、および必要に応じて少なくとも1種または複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含む、キットも提供される。キットは、組成物を1つの容器に、および少なくとも1種または複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを別の容器に含むことができる。
【0035】
図面は、一般に、例として例示されているが、本開示の様々な実施形態を決して制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、355nmにおけるレーザー励起後の、競合的BUV395-CD4抗体コンジュゲート(A)(Becton Dickinson Biosciences)と比較した、CD4抗体とコンジュゲートされている、本開示によるUV吸収性ポリマーの異なるロット(B、C、D)の405nmのチャネルにおけるシグナル対ノイズ比の比較を例示する。本開示によるUVポリマー色素コンジュゲートは、競合製品と比較して、S/N比の改善を示す。
【0037】
【
図2】
図2は、355nmにおけるレーザー励起後の、競合的BUV737-CD4コンジュゲートと比較した、本開示の様々な態様による、本発明のUVポリマー-DY704タンデム色素CD4抗体コンジュゲートの740/40nmのチャネルにおける、シグナル対ノイズ比の比較を例示する。
【0038】
【
図3】
図3は、1%PF-68を含むまたは含まない、様々な濃度のUV吸収性ポリマーの存在下、染色し溶解した血液試料のフローサイトメトリー分析(FCA)ドットプロットを示す。左上側のパネルは、添加剤を含まない、血液だけを示し、右上側のパネルは、10ugの消光したポリマー3を添加したものを示し、中央列の4つのパネル(左から右に)は、2.5ug、5ug、10ugおよび20ugでUV吸収性ポリマーを添加したものを示し、下側の4つのパネル(左から右)は、1%PF-68と共に、2.5ug、5ug、10ugおよび20ugでUV吸収性ポリマーを添加したものを示す。単球のMFI値は、1%PF-68を含むまたは含まないUVポリマー(2.5ug~20ug/試験)は、対照細胞と比較して、細胞への強力な非特異的結合を示さなかった(血液だけのパネル、左上側)ことを示す。
【0039】
【
図4】
図4は、どちらも本開示による2種のポリマー色素コンジュゲート:CD20-UV励起可能なポリマー色素(UVEPD)およびCD4-UV408の混合物を含む染色し溶解したヒト全血試料における、UV吸収性ポリマーおよび染色用緩衝組成物の他の構成成分の効果を例示するFCAドットプロットを示す。Y軸は、FL1チャネルであり、X軸は、UV405チャネルである。合わせたUVポリマー(5~20μg/試験)+1%PF-68(下側の3つのパネル)の存在下で染色された細胞は、緩衝液の非添加試料(左上側のパネル)、1%PF-68(上中央パネル)、およびUVポリマー単独(右上側のパネル)を含め、対照よりもスピルオーバーが少ないことを示した。各パネルにおける値は、MFI値を示す。
【0040】
【
図5】
図5は、2つのタイプのポリマー色素コンジュゲート:CD20-SN v428(Beckman Coulter Life Sciences)およびCD4-BV650(Becton Dickinson Biosciences)の混合物を含む染色し溶解したヒト全血試料における、UV吸収性ポリマーおよび染色用緩衝組成物の他の構成成分の効果を例示するFCAドットプロットを示す。Y軸は、V450-PBチャネルであり、X軸は、V660チャネルである。合わせたUVポリマー(5~20μg/試験)+1%PF-68(左下側、下中央および右下側のパネル)の存在下で染色された細胞は、緩衝液の非添加試料(左上側)、1%PF-68(上中央)、およびUVポリマー単独(10ug/試験;右上側)を含め、対照の分離よりも分離は良好であることを示した。各パネルにおける値は、MFI値を示す。
【0041】
【
図6】
図6は、2種のポリマー色素コンジュゲート:CD20-SN v428(Beckman Coulter Life Sciences)およびCD4-BV650(Becton Dickinson Biosciences)の混合物を含む染色用緩衝組成物中の、本開示によるUVポリマー10ugの存在下、様々な濃度の非イオン性界面活性剤濃度(0.1~1%PF-68/試験)の効果を例示する、染色し溶解した全血細胞のFCAドットプロットを示す。Y軸は、V450-PBチャネルであり、X軸は、V660チャネルである。合わせたUVポリマー(10ug/試験)+様々な濃度(0.1~1%/試験)のPF-68(左下側、下中央および右下側のパネル)の存在下で染色された細胞は、緩衝液の非添加試料(左上側のパネル)、1%PF-68(上中央パネル)およびUVポリマー単独(10ug/試験;右上側のパネル)を含め、対照の分離よりも分離は良好であることを示した。各パネルにおける値は、MFI値を示す。
【0042】
【
図7】
図7は、355nmにおける励起後の本開示による3種の消光したUVポリマーの発光スペクトルを示す。消光剤のポリマーに対する比(D/P)は、2.5、5および10であると決定された。消光したポリマー1(D/P=2.5)、消光したポリマー2(D/P=5.0)および消光したポリマー3(D/P=10)の405nmにおける量子収率(QY)は、それぞれ、0.072、0.030および0.003である。非消光ポリマーの量子収率は、0.739である。
【0043】
【
図8】
図8は、2つの異なる市販のポリマー色素コンジュゲート:CD20-SN v428(Beckman Coulter Life Sciences)およびCD4-BV650(BD Biosciences)の混合物を使用して、染色し溶解した血液細胞のFCAドットプロットを示す。Y軸は、V450-PBチャネルであり、X軸は、V660チャネルである。添加剤を含まない(左下側のパネル)、1%PF-68を含む(左上側のパネル)、合わせた10ugのUVポリマー+1%PF-68を含む(左中央パネル)、1%PF-68と共に5ug、10ugまたは20ug/試験の消光したポリマー1(QY=0.072)を含む(それぞれ、左から2番目の上側、中央および下側のパネル)、1%PF-68と共に5ug、10ugまたは20ug/試験の消光したポリマー2(QY=0.03)を含む(それぞれ、右から2番目の上側、中央および下側のパネル)、および1%PF-68と共に5ug、10ugまたは20ug/試験の消光したポリマー3(QY=0.003)を含む(それぞれ、右上側、中央および下側のパネル)、染色された細胞。合わせたUVポリマー(10μg/試験)+1%PF-68を含む試験染色用緩衝組成物の存在下で染色された細胞(左中央パネル)、または1%PF-68と共に5ug、10ugもしくは20ug/試験の消光したポリマー1、2および3の存在下で染色された細胞(右側の3つの列、それぞれ、上側、中央、下側のパネル)はそれぞれ、添加剤なし(左下側のパネル)の対照よりも良好な分離を示した。各パネルにおける値は、MFI値を示す。
【0044】
【
図9】
図9は、CD4-BV650(BD Biosciences)およびCD19-SNv428(Beckman Coulter Life Sciences)の混合物を用いて染色し溶解した細胞のFCAドットプロットを示す。Y軸は、V450-PBチャネルであり、X軸は、V660チャネルである。緩衝液なしで(左側のパネル)、0.1%PF-68(左から2番目のパネル)、0.5%PF-68(右から2番目のパネル)、および1%PF-68(重量/体積)(右側のパネル)で染色された細胞。PF-68の様々な濃度(0.1~1%重量/体積)の存在は、PF-68がない場合と比較して分離が改善されたことによって立証される通り、混合物における非特異的相互作用の低減と関係している。
【0045】
【
図10】
図10は、2種のポリマー色素コンジュゲート:CD4-紫色に励起可能なポリマー色素1(CD4-VEPD1)およびCD19-紫色に励起可能なポリマー色素2(CD19-VEPD2)(どちらもBeckman Coulter Life Sciences製)の混合物を用いて染色し溶解した細胞のFCAドットプロットを示す。Y軸は、FL3チャネルであり、X軸は、FL2チャネルである。緩衝液を用いないで(上部パネル)、合わせた染色用緩衝液を用いて(UVポリマーの組成物+PF-68)、および様々な濃度(0、0.03%、0.05%および0.07%)のEmpigen(それぞれ、中央パネル:左側、左から2番目、右から2番目および右側)を用いて染色された細胞。染色用緩衝液中の様々な濃度のEmpigenの存在は、染色用緩衝液の性能に影響しない。下側パネル:単球のMFI値は、染色用緩衝液への様々な濃度のEmpigenの添加(下側パネル:左から右)により、細胞に対する非特異的結合が対照試料(左下のパネル)と比較して低減することを示すことを示している。
【0046】
【
図11】
図11は、本開示によるUV吸収性ポリマーを調製するための例示的な部分スキームを示しており、2つの異なる修飾単位M
1(例えば、ジフルオロフェニレン)およびM
2(例えば、トリフルオロフェニレン(trifluorphenylene))は、繰り返しDHP単位に対して、交互の位置にランダムに分布されていることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
これより、開示されている主題のある特定の実施形態について詳細に述べ、それらの例を、添付の図面に一部を例示する。開示されている主題は、列挙されている特許請求の範囲と関連して記載されているが、例示された主題は、特許請求の範囲を開示されている主題に限定することを意図するものではないことが理解される。
【0048】
この明細書全体を通じて、範囲形式で表される値は、範囲の限定として明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値および部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲のすべても含むと柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」の範囲は、単に約0.1%~約5%ではなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%および4%)および部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。「約X~Y」という記載は、特に示さない限り、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Yまたは約Z」という記載は、特に示さない限り、「約X、約Yまたは約Z」と同じ意味を有する。
【0049】
本明細書では、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」または「その(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、1つまたは1つより多いことを含むよう使用される。用語「または」は、特に示さない限り、非排他的な「または」を指すよう使用される。「AおよびBの少なくとも1つ」または「AまたはBの少なくとも1つ」という記載は、「A、BまたはAとB」と同じ意味を有する。さらに、本明細書において用いられ、かつ特に定義されていない、表現または専門用語は、説明目的のために過ぎず、限定目的ではないことを理解すべきである。項目の見出しの使用はいずれも、本明細書の一読する手助けをすることが意図されており、限定として解釈されるべきではない。項目の見出しに関連する情報は、その特定の項目内または項目外に現れることがある。本明細書に言及されているすべての公開物、特許および特許書類は、個々に参照により組み込まれているかのごとく、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書、および参照によりそのように組み込まれている文書との間で使用法が一致しない場合、組み込まれた参考文献での使用法は、本明細書の使用法を補足するものとみなされるべきであり、妥協しがたい矛盾に関しては、本明細書での使用法が優先する。
【0050】
本明細書に記載されている方法では、時間的順序または動作順序が明示的に列挙されている場合を除き、本開示の原理から逸脱することなく、任意の順序で行為を実行することができる。さらに、特定の行為は、個別に実行されると明示的な請求項の言い回しが列挙していない限り、それらの行為は同時に実行され得る。例えば、Xを行うという特許請求されている行為、およびYを行うという特許請求されている行為は、単一操作内で同時に実施することができ、結果としてのプロセスは、特許請求されているプロセスの文字通りの範囲内にある。
【0051】
用語「約」は、本明細書において使用する場合、値または範囲において、例えば、明記された値、または範囲の明記された境界値の10%以内、5%以内または1%以内の変動の程度を許容することができ、明記したまさにその値または範囲を含む。用語「実質的に」とは、本明細書において使用する場合、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは少なくとも約99.999%、またはそれより高い、または100%におけるように、大部分またはほとんどを指す。用語「実質的に含まない」は、本明細書において使用する場合、なにも有さないこと、あるいは存在する材料の量が材料を含む組成物の材料特性に影響を及ぼさないような、すなわち組成物の約0重量%~約5重量%、または約0重量%~約1重量%、または約5重量%もしくはそれ未満、または約4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01重量%未満もしくはこれらに等しい、または約0.001重量%もしくはそれ未満、または約0重量%が材料であるような、わずかな量を有することを意味することができる。
【0052】
本明細書において使用する場合、用語「部分」および「基」は、互換的に使用される。
【0053】
別段の指定がない限り、用語表現「室温」とは、18~27℃を指す。
【0054】
別段の指定がない限り、用語「重量パーセント」または「重量%」とは、重量パーセント/体積を指す。
【0055】
表現「すぐに使用できる試薬」、「すぐに使用できる試薬組成物」、「作業用濃縮試薬」および「作業用濃縮試薬組成物」とは、例えば、フローサイトメトリー分析(FCA)のために生体試料を染色するための、ポリマー色素コンジュゲートの混合物中での使用に適切な約1×の作業濃度で生成した染色用緩衝組成物を指す。
【0056】
表現「保護基」(「保護された基」とも称される)とは、反応性を低下させるために結合させた、分子中に存在する官能基の可逆的に形成される誘導体を指し、その結果、保護された官能基は、分子が供される合成条件下で反応しない。典型的なアミン保護基は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルバメート(CBz)またはフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基などのカルバメートを含むことができる。
【0057】
表現「濃縮された染色用緩衝液」または「濃縮された染色用緩衝組成物」とは、フローサイトメトリー分析のために生体試料を染色する際に、多色パネルにおける非特異的なポリマー相互作用を低減するために有用な作業用の濃縮染色用緩衝組成物が得られるよう、例えば、生物学的緩衝液(biological buffer)または水などの希釈液を用いた希釈のための、例えば、約10倍の濃縮係数(10×)で生成させた、染色用緩衝組成物を指す。濃縮された染色用緩衝組成物は、製造され、作業用の濃縮染色用緩衝組成物よりも、1倍(1×)から少なくとも10倍(10×)、または少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍もしくは10倍高い濃度において、安定な状態にあることができる。作業用の濃縮染色用緩衝組成物は、2~40℃、2~30℃または2~8℃の範囲内の温度において、未開封の元の容器中で保管した場合、製造日から少なくとも3か月、6か月、9か月もしくは少なくとも12か月、またはそれより長い間、安定である。濃縮された染色用緩衝組成物は、2~40℃、2~30℃または2~8℃の範囲内の温度において、未開封の元の容器中で保管した場合、製造日から少なくとも3か月、6か月、9か月、12か月もしくは少なくとも18か月またはそれより長い間、安定である。
【0058】
頭字語「SN」とは、SuperNova(商標)を指す。
【0059】
頭字語「SSC」とは、側方散乱を指す。
【0060】
用語「WBC」とは、白血球を指す。
【0061】
用語「量子収率」(QY)(Φ)または「蛍光量子収率」とは、放射されたフォトンの数の、吸収されたフォトンの数に対する比を指す。量子収率は、機器設定に無関係であり、フルオロフォアがどの程度効率的に励起エネルギーを蛍光に変換するかを説明するものである。実験により、相対蛍光量子収率は、試験色素と同じ実験パラメーター(励起波長、スリット幅、光電子倍増管電圧など)を用いて、既知の量子収率のフルオロフォアの蛍光を測定することによって決定することができる。量子収率は、当分野において公知の任意の方法によって決定することができる。例えば、QYは、選択した励起波長において、蛍光分光光度計または蛍光分光計で、製造業者の説明書に従って決定することができる。例えば、量子収率(QY)は、Shimadzu Rf-6000蛍光分光光度計で、指定条件(例えば、励起スリット1.5、発光スリット3.0、1cmの石英キュベット)下、特定の励起波長において吸光度を有する染色用緩衝液の希釈PBS溶液から、予め指定した波長(nm)における発光強度を測定することによって決定することができる。量子収率は、例えば、同一実験条件下、試料から測定した強度と、標準色素溶液から測定した強度とを比較することによって計算することができる。一部の実施形態では、QYは、例えば、Lawson-Wood et al., Application Note-Fluorescence Spectroscopy, Determination of relative fluorescence quantum yield using the FL5600 fluorescence spectrometer, 2018, PerkinElmer, Inc.に従って決定することができる
。選択される励起波長は、例えば、355nmであってもよい。一部の実施形態では、消光したポリマーのQYは、消光性部分を含まない親蛍光ポリマーと比較されてもよい。
【0062】
用語「基材」とは、本明細書において使用する場合、ある分子がその内部もしくは表面に結合している、または反応が起こり得る、試薬、媒体、表面、物質または材料を指す。基材は、様々な構成を有することができ、例えば、固体、繊維状、ゲルなどであり得る。基材は、以下に限定されないが、例えば、固体基材、例えば、粒子(例えば、磁性粒子)、ビーズ、シート、ウェルを有するプレート、繊維メッシュ、ヒドロゲル、多孔性マトリックス、ピン、マイクロアレイ表面、クロマトグラフィー支持体などの固体支持体を含む。
【0063】
用語「結合パートナー」とは、本明細書において使用する場合、互いに対する(例えば、ならびに抗体および分析対象)結合特異性を有する一対の分子の一方を指す。結合パートナーは、他の分子と特異的に結合して、結合性複合体を形成する。本明細書に記載されている任意のポリマー色素またはポリマータンデム色素は、色素および結合パートナー上の任意の都合のよい位置において、結合パートナーにコンジュゲートされ得る。例えば、結合パートナーは、官能基を介して、ポリマー色素(G1またはG2)上の末端基にコンジュゲートされ得る。
【0064】
用語「非特異的相互作用」または「非特異的結合」とは、本明細書において使用する場合、特異的結合によって引き起こされない任意の結合を一般に指し、より詳細には、標的分析対象に対する結合パートナーの特異的結合以外の手段による、ポリマー色素コンジュゲートの結合を指す。非特異的結合は、ポリマーの疎水性、免疫複合剤、荷電タンパク質、および染色用緩衝液または生体試料中に存在し得る抗体妨害性タンパク質を含めた、いくつかの因子に起因し得る。非特異的結合のタイプの1つは、1つもしくは複数、または2つもしくはそれより多い蛍光ポリマー色素コンジュゲート同士で起こり得る、ポリマー-ポリマー相互作用である。試験染色用緩衝組成物中の非特異的結合は、例えば、本明細書において提供される方法に従って、生体試料中の多色蛍光ポリマー色素コンジュゲートの混合物のFCAドットプロットを、同じ試料中の混合物の個々の単色蛍光ポリマー色素コンジュゲートのFCAドットプロットと比較することによって、またはR比の決定によって評価することができる。例えば、溶液が、非特異的結合によるポリマー-ポリマー相互作用の阻止に効率的である場合、それぞれの細胞集団は、個々に使用される単色コンジュゲートを用いて得られた染色と同様に十分に相殺されているように思われる。対照的に、溶液の効率が不良である場合、集団は、フローサイトメトリー分析ドットプロットでは、整列されず、傾いて見えるであろう。
【0065】
ポリマー-ポリマー相互作用などの非特異的結合を低減するための、本開示による染色用緩衝組成物の効率を測定するための代替方法は、それらが個々に使用される場合と混合して使用される場合の、コンジュゲートのネガティブ集団およびポジティブ集団のMFIを使用する。
【0066】
用語「有機基」とは、本明細書において使用する場合、任意の炭素含有官能基を指す。例には、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基などの酸素含有基、カルボン酸、カルボン酸塩およびカルボン酸エステルを含めたカルボキシル基、アルキルスルフィド基およびアリールスルフィド基などの硫黄含有基、ならびに他のヘテロ原子含有基を含むことができる。有機基の非限定例には、OR、OOR、OC(O)N(R)2、CN、CF3、OCF3、R、C(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、C(=NOR)R、および置換または無置換(C1~C100)ヒドロカルビルが含まれ、Rは、水素(他の炭素原子を含む例では)、または炭素ベースの部分とすることができ、炭素ベースの部分は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0067】
用語「置換されている」とは、本明細書で定義されている分子または有機基と関連して本明細書において使用する場合、その中に含有される1個または複数の水素原子が、1個または複数の非水素原子によって置き換えられた状態を指す。
【0068】
用語「官能基」または「置換基」とは、本明細書において使用する場合、分子上または有機基上で置換され得る、または置換されている基を指す。置換基または官能基の例には、以下に限定されないが、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrおよびI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基などの基中の酸素原子、カルボン酸、カルボン酸塩およびカルボン酸エステルを含めたカルボキシル基、チオール基、アルキルスルフィド基およびアリールスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基およびスルホンアミド基などの基中の硫黄原子、アミン、ヒドロキシアミン、ニトリル、ニトロ基、N-オキシド、ヒドラジド、アジドおよびエナミンなどの基中の窒素原子、ならびに様々な他の基中の他のヘテロ原子が含まれる。置換されている炭素(または、他の)原子に結合し得る置換基の非限定例には、F、Cl、Br、I、OR、OC(O)N(R)2、CN、NO、NO2、ONO2、アジド、CF3、OCF3、R、O(オキソ)、S(チオノ)、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0~2N(R)C(O)R、(CH2)0~2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、およびC(=NOR)Rが含まれ、Rは、水素または炭素ベースの部分とすることができ、例えば、Rは、水素、(C1~C100)ヒドロカルビル、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルとすることができるか、または窒素原子もしくは隣接窒素原子に結合した2つのR基は、窒素原子(単数または複数)と一緒になって、ヘテロシクリルを形成することができる。官能基の例には、別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、以下に限定されないが、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基が含まれる。
【0069】
用語「アルキル」とは、本明細書において使用する場合、1~40個の炭素原子、1~約20個の炭素原子、1~12個の炭素、または一部の実施形態では、1~8個の炭素原子を有する、直鎖および分岐アルキル基、ならびにシクロアルキル基を指す。直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルおよびn-オクチル基などの1~8個の炭素原子を有するものが含まれる。分岐アルキル基の例には、以下に限定されないが、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチルおよび2,2-ジメチルプロピル基が含まれる。本明細書において使用する場合、用語「アルキル」は、n-アルキル、イソアルキルおよびアンテイソアルキル基、ならびにアルキルの他の分岐鎖形態を包含する。代表的な置換アルキル基は、本明細書において列挙されている基のいずれか、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシおよびハロゲン基により1回または複数回、置換され得る。
【0070】
用語「アルケニル」とは、本明細書において使用する場合、少なくとも1つの二重結合が2個の炭素原子間に存在する以外、本明細書で定義されている、直鎖および分枝鎖および環式アルキル基を指す。したがって、アルケニル基は、2~40個の炭素原子または2~約20個の炭素原子もしくは2~12個の炭素原子、または一部の実施形態では、2~8個の炭素原子を有する。例には、とりわけ、以下に限定されないが、ビニル、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルが含まれる。
【0071】
用語「アルキニル」とは、本明細書において使用する場合、少なくとも1つの三重結合が2個の炭素原子間に存在する以外、直鎖および分枝鎖アルキル基を指す。したがって、アルキニル基は、2~40個の炭素原子、2~約20個の炭素原子もしくは2~12個の炭素、または一部の実施形態では、2~8個の炭素原子を有する。例には、以下に限定されないが、とりわけ、-C≡CH、-C≡C(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)および-CH2C≡C(CH2CH3)が含まれる。
【0072】
用語「アシル」とは、本明細書において使用する場合、カルボニル部分を含有する基であって、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子は、水素に結合して、「ホルミル」基を形成するか、または別の炭素原子に結合しており、これは、アルキル、アリール、アラルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部とすることができる。アシル基は、カルボニル基に結合した、0~約12個、0~約20個または0~約40個のさらなる炭素原子を含むことができる。アシル基は、本明細書における意味の範囲内の二重または三重結合を含むことができる。アクリロイル基は、アシル基の例である。アシル基はまた、本明細書における意味の範囲内のヘテロ原子を含むことができる。ニコチノイル基(ピリジル-3-カルボニル)は、本明細書における意味の範囲内のアシル基の例である。他の例には、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイルおよびアクリロイル基などが含まれる。カルボニル炭素原子に結合している炭素原子を含有する基が、ハロゲンを含有する場合、基は、「ハロアシル」基と呼ばれる。例は、トリフルオロアセチル基である。
【0073】
用語「シクロアルキル」とは、本明細書において使用する場合、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基などの環式アルキル基を指す。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、3から約8~12環員を有することができる一方、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3~4、5、6または7の範囲にある。シクロアルキル基は、以下に限定されないが、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニルおよびカレニル基などの多環式シクロアルキル基、ならびに以下に限定されないが、デカリニルなどの縮合環をさらに含む。シクロアルキル基はまた、本明細書で定義されている直鎖または分岐鎖アルキル基により置換されている環を含む。代表的な置換シクロアルキル基は、一置換され得るか、あるいは、以下に限定されないが、2,2-、2,3-、2,4-、2,5-もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、または一置換、二置換もしくは三置換ノルボルニル基またはシクロヘプチル基などの1度より多く置換され得、これらの基は、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシおよびハロゲン基により置換され得る。用語「シクロアルケニル」は、単独でまたは組み合わせて、環式アルケニル基を表す。
【0074】
用語「アリール」とは、本明細書において使用する場合、環中にヘテロ原子を含有しない、環式芳香族炭化水素基を指す。すなわち、アリール基には、以下に限定されないが、フェニル、ベンジル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニルおよびナフチル基が含まれる。一部の実施形態では、アリール基は、基の環部分に約6~約14個の炭素を含有する。アリール基は、本明細書で定義されている通り、置換されていなくても、置換されていてもよい。代表的な置換アリール基は、一置換されるか、あるいは、以下に限定されないが、フェニル環、ベンジルの2位、3位、4位、5位もしくは6位のうちのいずれか1つもしくは複数において置換されているフェニルもしくはベンジル基、またはその2位~8位のいずれか1つもしくは複数において置換されているナフチル基など、1度より多く置換され得る。例えば、必要に応じて置換されているベンジル基は、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、PEG基、(OCH
2CH
2)
fOCH
3、
【化13】
により必要に応じて置換されていてもよい。
【0075】
用語「アリーレン」とは、本明細書において使用する場合、環中にヘテロ原子を含有しない環式芳香族炭化水素基を指し、2個の環炭素原子からの水素原子の除去によってアリール基から誘導される二価基である。一部の実施形態では、アリーレンは、フェニレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレンまたはビナフチル基であってもよい。一部の例では、アリーレンは、9,10-ジヒドロフェナントレンであってもよい。一部の例では、アリーレンはフェニレンである。一部の例では、アリーレンは、1,4-フェニレンである。一部の例では、アリーレンは、1,3-フェニレンである。一部の例では、ヘテロアリーレンは、カルバゾールまたはオキセピンであってもよい。一部の例では、アリーレンは、ビフェニル基ではない。一部の例では、アリーレンは、スルホニルジベンゼン基ではない。一部の場合、アリーレンは、必要に応じて置換されていてもよい。例えば、必要に応じて置換されているアリーレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、PEG基、(OCH
2CH
2)
fOCH
3、
【化14】
により置換されていてもよい。
【0076】
用語「アラルキル」とは、本明細書において使用する場合、アルキル基の水素または炭素の結合が、本明細書で定義されているアリール基への結合に置き換えられている、本明細書において定義されているアルキル基を指す。代表的なアラルキル基には、ベンジルおよびフェニルエチル基ならびに4-エチル-インダニルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基が含まれる。アラルケニル基とは、アルキル基の水素または炭素の結合が、本明細書で定義されているアリール基への結合に置き換えられている、本明細書で定義されているアルケニル基である。
【0077】
用語「ヘテロアリール」とは、本明細書において使用する場合、5~16個の環原子を含有する、単環式または縮合二環式または三環式芳香族環アセンブリを指し、この場合、環原子の1~4個は、N、OまたはSなどのヘテロ原子である。例えば、ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル(imadozolyl)、チエニル、または例えば、アルキル、ニトロもしくはハロゲンによって置換されている、とりわけ一置換もしくは二置換されている任意の他のラジカルを含む。ピリジルは、2-または3-ピリジルなどの2-、3-または4-ピリジルを表す。チエニルは、2-または3-チエニルを表す。キノリニルは、好ましくは、2-、3-または4-キノリニルを表す。イソキノリニルは、好ましくは、1-、3-、または4-イソキノリニルを表す。ベンゾピラニルおよびベンゾチオピラニルは、それぞれ、好ましくは3-ベンゾピラニルまたは3-ベンゾチオピラニルを表す。チアゾリルは、好ましくは2-または4-チアゾリル、例えば4-チアゾリルを表す。トリアゾリルは、好ましくは1-、2-または5-(1,2,4-トリアゾリル)である。テトラゾリルは、好ましくは、5-テトラゾリルである。
【0078】
好ましくは、ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、キノニル、ピロリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、オキサゾイル(oxazoy1)、インダゾリル、または一置換もしくは二置換されている
などの置換されているラジカルのいずれかである。
【0079】
アリール基およびヘテロアリール基の置換基は、芳香族環系上の0から自由価数の合計数までの範囲の数の、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R’’、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R’’、-C(O)R’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’’C(O)2R’、-NR’-C(O)NR’’R’’、-NH-C(CH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-N3、-CH(Ph)2、パーフルオロ(C1~C4)アルコキシおよびパーフルオロ(C1~C4)アルキルから選択することができ、R’、R’’およびR’’’は、水素、(C1~C8)アルキルおよびヘテロアルキル、無置換アリールおよびヘテロアリール、(無置換アリール)-(C1~C4)アルキルおよび(無置換アリール)オキシ-(C1~C4)アルキルから独立して選択される。
【0080】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、必要に応じて、式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基により置き換えられていてもよく、TおよびUは、独立して、-NH-、-O-、-CH2-または単結合であり、qは、0~2の整数である。代替的に、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、式-A-(CH2)r-B-の置換基により必要に応じて置き換えられていてもよく、AおよびBは、独立して、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-または単結合であり、rは、1~3の整数である。こうして形成された新しい環の単結合の1つは、必要に応じて、二重結合により置き換えられていてもよい。代替的に、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基により必要に応じて置き換えられていてもよく、sおよびtは、独立して、0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-または-S(O)2NR’-である。-NR’-および-S(O)2NR’-中の置換基R’は、水素または無置換(C1~C6)アルキルから選択される。
【0081】
用語「(ヘテロ)アリールアミノ」とは、本明細書において使用する場合、アリール基により置換されているアミンラジカル(例えば、-NH-アリール)を指す。アリールアミノはまた、アミン基により置換されているアリールラジカルであってもよい(例えば、-アリール-NH2)。アリールアミノは、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0082】
用語「アルコキシ」とは、本明細書において使用する場合、本明細書において定義されている通り、シクロアルキル基を含めた、アルキル基に接続した酸素原子を指す。線状アルコキシ基の例には、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが含まれる。分岐アルコキシの例には、以下に限定されないが、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが含まれる。環式アルコキシの例には、以下に限定されないが、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれる。アルコキシ基は、酸素原子に結合した、約1~約12個、約1~約20個または約1~約40個の炭素原子を含むことができ、二重または三重結合をさらに含むことができ、ヘテロ原子も含むことができる。例えば、アリルオキシ基またはメトキシエトキシ基もまた、ある構造の2個の隣接原子がメチレンジオキシ基により置換されている状況におけるメチレンジオキシ基のように、本明細書における意味の範囲内のアルコキシ基である。
【0083】
用語「アミン」とは、本明細書において使用する場合、例えば、式N(基)3を有する、一級、二級および三級アミンを指し、この場合、各基は、独立して、アルキル、アリールなどのHまたは非Hとすることができる。アミンは、以下に限定されないが、R-NH2、例えば、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン;R2NH(各Rは、独立して選択される)(ジアルキルアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、ヘテロシクリルアミンなど)、およびR3N(各Rは、独立して選択される)(トリアルキルアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン、トリアリールアミンなど)を含む。用語「アミン」はまた、本明細書において使用する場合、アンモニウムイオンを含む。
【0084】
用語「アミノ基」とは、本明細書において使用する場合、形態-NH2、-NHR、-NR2、-NR3
+(各Rは、独立して選択される)、およびそれぞれのプロトン化形態(プロトン化され得ない-NR3
+を除外)の置換基を指す。したがって、アミノ基により置換されているいずれの化合物も、アミンとして見ることができる。本明細書における意味の範囲内の「アミノ基」は、一級、二級、三級または四級アミノ基とすることができる。「アルキルアミノ」基には、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびトリアルキルアミノ基が含まれる。
【0085】
用語「カルバメート」とは、本明細書において使用する場合、構造-NR’’CO2R’を有する官能基を指し、R’およびR’’は、水素、(C1~C8)アルキルおよびヘテロアルキル、無置換アリールおよびヘテロアリール、(無置換アリール)-(C1~C4)アルキルおよび(無置換アリール)オキシ-(C1~C4)アルキルから独立して選択される。カルバメートの例は、t-Boc、Fmoc、ベンジルオキシ-カルボキシル、alloc、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、Tbfmoc、Climoc、Bimoc、DBD-Tmoc、Bsmoc、Troc、Teoc、2-フェニルエチルカルバメート、Adpoc、2-クロロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、DB-t-BOC、TCBOC、Bpoc、t-Bumeoc、Pyoc、Bnpeoc、N-2-(ピバロイルアミノ)-1,1-ジメチルエチルカルバメートおよびNpSSPeocを含むことができる。
【0086】
用語「ハロ」、「ハロゲン」または「ハライド」基は、本明細書において使用する場合、これら自体または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
【0087】
用語「ハロアルキル」基は、本明細書において使用する場合、モノハロアルキル基、ポリハロアルキル基(すべてのハロ原子は、同であっても、異なっていてもよい)、およびパーハロアルキル基(すべての水素原子が、フルオロなどのハロゲン原子によって置き換えられている)を含む。ハロアルキルの例には、トリフルオロメチル、1,1-ジクロロエチル、1,2-ジクロロエチル、1,3-ジブロモ-3,3-ジフルオロプロピル、パーフルオロブチルなどが含まれる。
【0088】
本明細書において使用する場合、「オリゴエーテル」は、エーテル官能基を有する構造の繰り返し単位を含有する、オリゴマーを意味する。本明細書において使用する場合、「オリゴマー」は、1つもしくは複数の特定可能な構造の繰り返し単位、または同一もしくは異なる式を含む分子を意味する。
【0089】
本明細書において使用する場合、「スルホネート官能基」または「スルホネート」とは、遊離スルホン酸陰イオン(-S(=O)2O-)およびその塩の両方を指す。したがって、用語スルホネートは、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸リチウム、スルホン酸カリウム、スルホン酸アンモニウムなどのスルホン酸塩を包含する。
【0090】
本明細書において使用する場合、用語「スルホンアミド(sulfonamido)」または「ス
ルホンアミド(sulfonamide)」とは、式-SO2NHR-または-SO2N(R4)R
-の基を指し、Rは、以下に限定されないが、水素、アルキル、アリール、水可溶化部分、PEG基、リンカー基、カルボン酸基とすることができる。
【0091】
水溶解度の増大をもたらすために、水可溶化部分が、ポリマー色素中に含まれてもよい。溶解度の増大は、様々となり得るが、一部の例では、水可溶化部分を含まないポリマー色素と比較した場合の増大は、少なくとも2倍またはそれより高く、例えば、5倍、10倍、25倍、50倍、100倍またはそれより高くあり得る。
【0092】
用語「水可溶化部分」とは、水性環境、例えば、生理的条件下で、十分に溶媒和され、この基が結合している分子に、水溶解度の改善をもたらす基を指す。水可溶化部分は、水性環境において十分に溶媒和される、任意の適切な親水性基であり得る。一部の場合、親水性水可溶化基は、電荷を帯びている、例えば、正または負の電荷を帯びている。ある特定の場合、親水性水可溶化基は、中性親水性基である。一部の実施形態では、水可溶化部分は、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース、キトサンまたはそれらの誘導体である。水可溶化部分は、以下に限定されないが、カルボキシレート、ホスホネート、ホスフェート、スルホネート、サルフェート、スルフィネート、スルホニウム、エステル、スルホンアミド、ポリエチレングリコール(PEG)、修飾PEG、ヒドロキシル、アミン、アンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウム、ポリアミンおよびスルホニウム、ポリアルコール、直鎖または環式糖、一級、二級、三級または四級アミンおよびポリアミン、ホスホネート基、ホスフィネート基、アスコルベート基、グリコールを含むことができる。一部の実施形態では、水可溶化部分はPEG基である。
【0093】
用語「水溶性UV吸収性ポリマー色素」とは、室温において水中、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mLもしくは50mg/mL、または1~250mg/mL、2~200mg/mL、3~150mg/mL、4~125mg/mL、5~100mg/mL、7~70mg/mLもしくは10~50mg/mLを超える溶解度を示す、UV吸収性ポリマー色素、タンデム色素もしくは消光した色素、またはそれらのコンジュゲートを指す。
【0094】
本明細書において使用する場合、用語「ポリエチレングリコール」または「ポリ(エチレングリコール)」または「PEG」とは、式-(CH2-CH2-O-)n-またはその誘導体によって記載されるエチレングリコールモノマー単位に基づいた、生体適合性の水可溶化線状ポリマーのファミリーを指す。PEGn部分は、水可溶化部分として用いられてもよい。水可溶化部分は、それが結合している分子に対して、室温において水中、少なくとも1mg/mL、少なくとも5mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも20mg/mL、少なくとも30mg/mL、少なくとも40mg/mLもしくは少なくとも50mg/mL、または1~250mg/mL、2~200mg/mL、3~150mg/mL、4~125mg/mL、5~100mg/mL、7~70mg/mLもしくは10~50mg/mLの溶解度を付与することが可能であり得る。一部の実施形態では、「n」は、1000またはそれ未満、500またはそれ未満、200またはそれ未満、100またはそれ未満、50またはそれ未満、40またはそれ未満、30またはそれ未満、20またはそれ未満、15またはそれ未満(3~15または10~15など)である。PEGポリマー基は、任意の好都合の長さのものであってもよく、以下に限定されないが、アルキル、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、アルカノール、-OCH3、-O-C1~C4アルキル、アミノ、アシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アシルオキシおよびアミド末端および/または置換基を含めた、様々な末端基および/またはさらなる置換基を含むことができることが理解される。「PEG」の後ろの数は、平均分子量を指す。
【0095】
用語「Mw」とは、重量平均分子量を指し、「Mn」とは、数平均分子量を指す。ポリマーの平均分子量は、任意の適切な方法によって決定することができる。例えば、ポリマーの平均分子量は、光散乱技法またはサイズ排除クロマトグラフィーによって決定することができる。ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量を決定するために、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用することができる。
【0096】
用語「クロストーク指数」とは、それぞれ、紫色およびUVレーザーの励起波長である、355nmにおける吸光度に対する405nmにおける残留吸光度のUVポリマー色素のパーセンテージを指す。吸収スペクトルに由来するクロストーク指数の計算は、PBS中のポリマー色素のろ過(0.22u)溶液の吸収スペクトルを得ることによって行うことができる。355nmおよび405nmの波長における吸光度を記録する。405nmの、355nmに対する吸光度の比を測定し、この比は、このポリマーから作製されたコンジュゲートの場合の、紫色レーザーによる励起時にpacific blueチャネルにおいて予測することができる全漏れに関する妥当な見解をもたらす。
【0097】
本明細書において使用する場合、用語「カルボキシレート」とは、カルボン酸の共役塩基を指し、一般に、式RCOOによって表すことができる。例えば、用語「マグネシウムカルボキシレート」とは、カルボン酸のマグネシウム塩を指す。
【0098】
本明細書において使用する場合、用語「活性化エステル」とは、カルボキシル基の、アミノ酸誘導体の遊離アミノ基との容易な縮合を促進するための、ペプチド化学において用いられる、カルボキシル活性化基を指す。これらのカルボキシル活性化基の説明は、ペプチド化学の一般教書、例えば、K. D. Kopple, "Peptides and Amino Acids", W.
A. Benjamin, Inc., New York, 1966, pp. 50 - 51およびE. Schroder and K. Lubke, "The Peptides"; Vol. 1, Academic Press, New York, 1965, pp. 77 - 128に見出すことができる。
【0099】
用語「ヒドラジン」および「ヒドラジド」とは、その1つが一級アミン官能基である、単独で結合した窒素を含有する化合物を指す。
【0100】
用語「アルデヒド」とは、本明細書において使用する場合、-CHO基を有する化学化合物を指す。
【0101】
用語「チオール」とは、本明細書において使用する場合、硫黄-水素結合で構成される官能基を含有する化合物を指す。チオール官能基の一般的な化学構造は、R-SHであり、Rは、アルキル、アルケン、アリールまたは他の炭素含有原子群を表す。
【0102】
用語「シリル」とは、本明細書において使用する場合、Si(Rz)3を指し、各Rzは独立して、アルキル、アリールまたは他の炭素含有原子群である。
【0103】
用語「ジアゾニウム塩」とは、本明細書において使用する場合、R-N2
+X-の構造を有する有機化合物の基を指し、Rは、任意の有機残基(例えば、アルキルまたはアリール)とすることができ、Xは、無機または有機陰イオン(例えば、ハロゲン)である。
【0104】
「トリフルオロメタンスルホネート(trifluromethanesulfonate)」とも称される用語「トリフレート」は、式CF3SO3を有する基である。
【0105】
用語「ボロン酸」とは、本明細書において使用する場合、構造-B(OH)2を指す。ボロン酸は、合成の様々な段階において、ボロン酸エステルとして存在し得ることが当業者によって認識されている。ボロン酸は、このようなエステルを含むことが意図される。用語「ボロン酸エステル」または「ボロネートエステル」とは、本明細書において使用する場合、-B(Z1)(Z2)部分を含有する化学化合物を指し、Z1およびZ2は、一緒になって、各場合において、ホウ素に結合している原子が酸素原子である部分を形成する。ボロン酸エステル部分は、5員環、6員環、または5員環と6員環との混合物であり得る。
【0106】
用語「炭化水素」または「ヒドロカルビル」とは、本明細書において使用する場合、炭素原子および水素原子を含む、分子または官能基を指す。用語はまた、炭素原子と水素原子の両方を通常、含む分子または官能基を指すことができるが、水素原子のすべてが、他の官能基により置換されている。用語「ヒドロカルビル」とは、直鎖、分岐または環式炭化水素から誘導される官能基を指し、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アシルまたはそれらの任意の組合せとすることができる。ヒドロカルビル基は、(Ca~Cb)ヒドロカルビルとして示すことができ、aおよびbは、整数であり、a~bの炭素原子数のいずれかを有することを意味する。例えば、(C1~C4)ヒドロカルビルは、ヒドロカルビル基がメチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)またはブチル(C4)であり得ることを意味し、(C0~Cb)ヒドロカルビルは、ある特定の実施形態では、ヒドロカルビル基が存在しないことを意味する。ヒドロカルビレン基は、ジラジカル炭化水素、例えば、2つの位置で結合した炭化水素である。
UV吸収性ポリマー
【0107】
様々な態様では、本開示は、式Iの構造を有するUV吸収性ポリマーを提供する:
【化15】
[式中、各Xは、CおよびSiからなる群から独立して選択され、各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2、SiHR
2、SiHR
1およびSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、各R
1は、水可溶化部分、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)基、カルボン酸、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化16】
【化17】
からなる群から独立して選択され、各R
2は、水可溶化部分、リンカー部分、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、スルホンアミド-PEG、ホスホルアミド-PEG、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化18】
からなる群から独立して選択され、各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、水可溶化部分およびPEG基からなる群から独立して選択され、各Zは、CH
2、CHR
4、O、NHおよびNR
4からなる群から独立して選択され、各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2からなる群から独立して選択され、各R
4は、H、PEG基、水可溶化部分、リンカー部分、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、消光性部分、L
2-E、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、C
2~C
18(ヘテロ)アリール基、アミド、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から独立して選択され、各W
1は、独立して、水可溶化部分であり、
L
1、L
2およびL
3は、それぞれ独立して選択されるリンカー部分であり、各Eは、発色団、官能基部分、基材および結合パートナーからなる群から独立して選択され、各R
7は、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステルおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択され、R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの少なくとも1つは、水可溶化部分を含み、
各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、M
2およびM
1は、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されており、必要に応じた各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、G
1およびG
2は、Eに必要に応じてコンジュゲートされている、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択され、a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、各bは、独立して、0または1であり、各fは、独立して、0~50の整数であり、mは、1~約10,000の整数であり、各nは、独立して、1~20の整数であり、sは、1または2であり、tは、0、1、2または3である]。
【0108】
式(I)によるUV吸収性ポリマー色素において、各Xは、CおよびSiから独立して選択することができる。各Yは、結合、CR1R2、CHR1、CHR2、SiHR2、SiHR1およびSiR1R2から独立して選択することができ、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合している。各R1は、ポリエチレングリコール(PEG)、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテルおよび-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3から独立して選択することができる。一部の実施形態では、Yは、結合であり、R1およびR2は、それぞれ独立して、-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3である。各R2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、および-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3から独立して選択することができる。各R3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノおよびPEG基(例えば、-PEG-R5または-PEG-OMe)から独立して選択することができる。各Zは、C、OおよびNから独立して選択することができる。各Qは、結合、NH、NR4、C1~C12アルキレンおよびCH2から独立して選択することができる。各R4は、発色団(例えば、アクセプター色素)、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、C2~C12アルケン、C2~C12アルキン、C3~C12シクロアルキル、C1~C12ハロアルキル、C1~C12アルコキシ、C2~C18(ヘテロ)アリールオキシ、C2~C18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH2)x’(OCH2-CH2)y’OCH3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3およびC2~C18(ヘテロ)アリール基から独立して選択することができる。各修飾単位M1およびM2は、ポリマーのバンドキャップを改変することが可能なアリーレンまたはヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M1は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択することができる。例えば、各M1は、1~4つ(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ)のR4またはトリフルオロメチル置換基を有することができる。各M2は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択することができ、M2は、M1とは異なる構造を有する。例えば、各M2は、1~4つ(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ)のR4またはトリフルオロメチル置換基を有することができる。各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり得、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されている。
【0109】
一部の例では、可変要素G1およびG2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)または必要に応じて置換されているフルオレンからそれぞれ独立して選択されてもよく、必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されていてもよい。
【0110】
変数a、c、dおよびeは、構造内の各単位のmol%を規定し、この構造の各々は、均等またはランダムに繰り返され得、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)である。各bは、独立して、0または1とすることができる。変数mは、整数1~約10,000とすることができる(例えば、少なくとも2または10,000未満であるが、5、10、15、20、25、50、100、150、200、250、500、1,000、5,000もしくは7,500より大きい、これらより小さいまたはこれらに等しい)。各nは、独立して、1~20の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20)とすることができる。UV吸収性ポリマーは、水溶性とすることができる。
【0111】
本明細書に記載されているポリマーでは、a、c、dおよびeによって規定される単位は、式(I)の構造に示されている順序など、または異なる順序などのポリマー主鎖中の任意の順序内で存在することができる。単位は、ポリマー主鎖内の均等なまたはランダムな配列で存在することができる。
【0112】
用語「ポリマー色素」とは、本明細書において使用する場合、UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性ポリマー色素コンジュゲート、UV吸収性ポリマータンデム色素、UV吸収性ポリマータンデム色素コンジュゲートまたは消光したUV吸収性ポリマー色素を指すことができる。ポリマー色素は、例えば、R
1またはR
2において、例えばリンカーLを介して主鎖に、またはモノマーに結合した1つまたは複数のアクセプター色素部分であってもよく、これによりエネルギー移動を介して主鎖に結合したアクセプター色素の発光のモニタリングがもたらされる。一部の実施形態では、R
1またはR
2の少なくとも一方は、-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(発色団)-R
3、-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(L
2-発色団)-R
3、
【化19】
である。
【0113】
発色団は、ポリマー主鎖の励起を可能にし、かつ主鎖に結合したアクセプター色素の発光のモニタリングを可能にする、アクセプター色素とすることができる。
【0114】
タンデムポリマー色素に有用なアクセプター色素は、例えば、シアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素、アクリジン色素、FITC、CY3B、Cy55、Alexa488、Alexa750、Texas red、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy7、Cy55、Alexa750、800CW、Biotium CF 555、ジエチルクマリン、DY705(Dyomics)、DY431、DY485XL、DY500XL、DY610、DY640、DY654、DY682、DY700、DY701、DY704、DY730、DY731、DY732、DY734、DY752、DY778、DY782、DY800、DY831を含むことができる。アクセプター色素は、ペンダントアクセプター色素であってもよい。
【0115】
例えば、タンデムポリマー色素に有用なアクセプター色素には、例えば、Dyomics DY704、FITC、CY3B、Cy55、Alexa488、Texas red、Cy5、Cy7、Alexa750および800CWが含まれる。タンデム色素は、1つもしくは複数の、2つもしくはそれより多くの、3つもしくはそれより多くの、1~30の、2~20の、または2.5~10のアクセプター色素部分を含む、本開示によるUVポリマーであってもよい。
【0116】
一部の実施形態では、アクセプター色素部分は、例えば、Dyomics DY704であっても、これから誘導されてもよい。
【化20】
【0117】
一部の実施形態では、UVポリマー色素は、例えば、R
1またはR
2において、例えば、リンカーLを介して主鎖に、またはモノマーに結合した1つまたは複数の消光性部分を含む消光したUVポリマーとすることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのR
2は、-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(消光性部分)-R
3である。一部の実施形態では、アクセプター色素は、消光性部分とすることができる。例えば、消光性部分は、例えば、DABCYL、DABSYL、Black Hole Quencher1(BHQ1)、BHQ-0、Deep Dark Quencher I、DDQI、EDQ、QSY7、QSY9、QSY35、TAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)、Dabcyl Q、Dabcyl plus、Anaspec490Q、Dyomics425Q、Dyomics505Qから選択されてもよい。消光性部分の非限定例は、例えば、
【化21】
を含むことができる。
【0118】
一部の実施形態では、1~30、2~20または2.5~10の消光性部分を含む、本開示による消光したUVポリマー色素が提供される。一部の実施形態では、消光性部分は、dabcyl部分である。一部の実施形態では、消光したUVポリマー色素は、2.5~10のdabcyl部分(ポリ-Dabcyl UVポリマー)を含む。本明細書において提供される通り、タンデム色素または消光したポリマー色素は、アクセプター部分のNHSエステル、例えば、消光性部分のNHSエステル部分などの活性エステルを本開示のUVポリマー色素と反応させることによって調製されてもよい。このようなアクセプター色素NHSエステルは、市販の、例えば、Dyomics製のDY-705NHSエステル、またはAbcam製のDabcyl SE(Dabcylスクシンイミジルエステル)である。
【0119】
少なくとも1つの消光性部分、必要に応じて、1~30、2~20または2.5~10の消光性部分を含む、本開示による消光したUVポリマー色素を含む、染色用緩衝組成物が提供される。消光性部分は、任意の適切な消光性部分から選択されてもよい。非限定例は、DABCYL、DABSYL、BHQ1、BHQ0、DDQI、EDQ、QSY7、QSY9、QSY35、TAMRA、Dabcyl Q、Dabcyl plus、490Q、425Qおよび505Qを含んでもよい。
【0120】
ポリマーは、式II:
【化22】
の構造を有することができる。
【0121】
ポリマーは、式III:
【化23】
の構造を有することができる。各fは、独立して、0~50の整数とすることができる。各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択することができる。
【0122】
ポリマーは、式IV:
【化24】
[式中、各fは、独立して、0~50、10~20または11~18の整数とすることができる]
の構造を有することができる。
【0123】
ポリマーは、式V:
【化25】
の構造を有するコポリマーとすることができる。変数gおよびhは一緒になって、10~100%(mol%)とすることができる。各fは、独立して、0~50の整数とすることができる。各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択することができる。
【0124】
ポリマーは、式VI:
【化26】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数とすることができる]
の構造を有することができる。各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択することができる。
【0125】
ポリマーは、式VII:
【化27】
の構造を有するコポリマーとすることができる。変数gおよびhは一緒になって、10~100%(mol%)とすることができる。各fは、独立して、0~50の整数とすることができる。
【0126】
ポリマーは、式VIII:
【化28】
の構造を有することができる。各fは、独立して、0~50の整数とすることができる。
【0127】
本明細書に記載されている式では、各fは(すなわち、PEG基の多重度)は、独立して、5~40、3~30、5~20、10~25、10~20、11~18などの0~50、あるいは50未満であるが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40もしくは45より大きいか、またはこれらに等しい整数とすることができる。
【0128】
本明細書に記載されている式では、修飾単位M1は、ポリマーのバンドギャップを改変することが可能であり得る。各M1は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、ならびに必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M1は、独立して、必要に応じてさらに置換されている、ハライド、MeO-PEG-CH2および/またはMeO-PEGで置換されているアリーレン(例えば、フェニレン)とすることができる。各M1は、必要に応じてさらに置換されている、ハライド(例えば、フッ素)および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、ならびに必要に応じてさらに置換されている、ハライド(例えば、フッ素)および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M1は、独立して、1~4個のハライド置換基を有する、ハライドで置換されているアリーレンとすることができる。各M1は、独立して、1~4個のフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているアリーレンとすることができる。各M1は、独立して、1~4個のハライド置換基を有する、ハライドで置換されているフェニレンとすることができ、フェニレンは、必要に応じてさらに置換されている。各M1は、独立して、1~4個のフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンとすることができ、フェニレンは、必要に応じてさらに置換されている。各M1は、独立して、2個もしくは3個のハライド置換基を有する、ハライドで置換されているフェニレン、または2個もしくは3個のフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンとすることができる。
【0129】
各M1は、二ハライドで置換されているフェニレンとすることができる。各M1は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および3位、2位および5位または2位および6位においてハライドで二ハライド置換されているフェニレン、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位、3位および5位においてハライドで三ハライド置換されているフェニレン、その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および4位、2位および5位、4位および5位または4位および6位において、ハライドで二ハライド置換されているフェニレン、ならびにその1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4位、5位および6位、2位、4位および5位、または2位、4位および6位において、ハライドで三ハライド置換されているフェニレンから独立して選択することができる。各M1は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および3位、2位および5位または2位および6位においてハライドで二ハライド置換されているフェニレン、ならびにその1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および4位、2位および5位、4位および5位または4位および6位において、ハライドで二ハライド置換されているフェニレンから独立して選択することができる。
【0130】
各M1は、ジフルオロで置換されたフェニレンとすることができる。各M1は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および3位、2位および5位または2位および6位においてフッ素で二ハロ(例えば、ジフルオロ)置換されているフェニレン、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位、3位および5位においてフッ素で三ハロ(例えばトリフルオロ)置換されているフェニレン、その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および4位、2位および5位、4位および5位または4位および6位において、フッ素で二ハロ(例えば、ジフルオロ)置換されているフェニレン、ならびにその1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4位、5位および6位、2位、4位および5位、または2位、4位および6位において、フッ素で三ハロ(例えば、トリフルオロ)置換されているフェニレンから独立して選択することができる。各M1は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および3位、2位および5位または2位および6位において、フッ素でジフルオロ置換されているフェニレン、ならびにその1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および4位、2位および5位、4位および5位または4位および6位において、フッ素でジフルオロ置換されているフェニレンから独立して選択することができる。
【0131】
一部の実施形態では、各R4は、F、Cl、-CF3、-OCH3、-CN、-CH3、-O(CH2CH2O)fOCH3および-CO2Hから独立して選択されてもよい。
【0132】
各M
1は、
【化29】
【化30】
【化31】
から独立して選択することができる。
【0133】
各M
1は、
【化32】
から独立して選択することができる。
【0134】
各M
1は、
【化33】
から独立して選択することができる。
【0135】
各M
1は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2,5-ジフルオロ置換されている、フェニレンとすることができる。各M
1は、
【化34】
とすることができる。
【0136】
各M
1は、必要に応じて置換されているビナフチルとすることができる。各M
1は、
【化35】
とすることができる。
【0137】
本明細書に記載されている式では、修飾単位M2は、ポリマーのバンドギャップを改変することが可能であり得る。
【0138】
M2は、M1とは異なる構造を有することができる。
【0139】
各M
2は、
【化36】
【化37】
【化38】
から独立して選択することができる。
【0140】
各M
2は、
【化39】
から独立して選択することができる。
【0141】
各M
2は、
【化40】
から独立して選択することができる。
【0142】
各M2は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、ならびに必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M2は、独立して、必要に応じてさらに置換されている、ハライド、MeO-PEG-CH2および/またはMeO-PEGで置換されているアリーレン(例えば、フェニレン)とすることができる。各M2は、必要に応じてさらに置換されている、フッ素および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、ならびに必要に応じてさらに置換されている、フッ素および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレンから独立して選択することができる。各M2は、独立して、1~4個のハライド置換基を有する、ハロゲンで置換されているアリーレンとすることができる。各M2は、独立して、1~4個のフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているアリーレンとすることができる。各M2は、独立して、1~4個のハライド置換基を有する、ハライドで置換されているフェニレンとすることができ、フェニレンは、必要に応じてさらに置換されている。各M2は、独立して、1~4個のフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンとすることができ、フェニレンは、必要に応じてさらに置換されている。各M2は、独立して、2個もしくは3個のハライド置換基を有する、ハライドで置換されているフェニレン、または2個もしくは3個のフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンとすることができる。
【0143】
各M
2は、
【化41】
から独立して選択することができる。
【0144】
各M2は、三ハライドで置換されているフェニレンとすることができる。各M2は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位、3位および5位においてハライドで三ハライド置換されているフェニレン、ならびにその1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4位、5位および6位、2位、4位および5位、または2位、4位および6位において、ハライドで三ハライド置換されているフェニレンから独立して選択することができる。各M2は、その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4,5,6-三ハライド置換されている、フェニレンとすることができる。
【0145】
各M
2は、トリフルオロで置換されているフェニレンとすることができる。各M
2は、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位、3位および5位において、フッ素でトリフルオロ置換されているフェニレン、ならびにその1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4位、5位および6位、2位、4位および5位または2位、4位および6位において、フッ素でトリフルオロ置換されているフェニレンから独立して選択することができる。各M
2は、その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4,5,6-トリフルオロ置換されたフェニレンとすることができる。各M
2は、
【化42】
とすることができる。
【0146】
各M
2は、必要に応じて置換されているビナフチルとすることができる。各M
2は、
【化43】
とすることができる。
【0147】
修飾単位M
1およびM
2は、ポリマー鎖に沿って均等またはランダムに配列され得る。例えば、
図11は、本開示によるUV吸収性ポリマーに関する例示的なスキームを示しており、2つの異なる修飾単位M
1およびM
2は、繰り返しDHP単位に対して、交互の位置にランダムに分布されている。セグメントの数は、異なる鎖長の個々のポリマー分子の平均Mnを表す図である。
【0148】
各M
1およびM
2はそれぞれ、
【化44】
から独立して選択することができ、M
1およびM
2は、異なる。
【0149】
一部の実施形態では、本開示は、式XIV:
【化45】
[式中、各R
2、R
3、G
1、G
2、L、Q、X、Y、Z、a、b、c、e、nおよびmは、独立して、本明細書に記載されている通りであり、各R
4’は、R
4から独立して選択され、少なくとも1つのR
4’は、Hではなく、各R
4’’は、R
4から独立して選択され、少なくとも1つのR
4’’は、Hではなく、R
9は、C
1~C
8アルキルであり、各fは、独立して、0~50または10~20の整数であり、各oは、独立して、1、2、3または4から選択される整数であり、各pは、独立して、1、2、3または4から選択される整数である]
によるUV吸収性ポリマーを提供する。一部の例では、式XIVによるUV吸収性ポリマーは、300nm~400nmまたは350nm~400nmの範囲に近紫外励起スペクトルおよび/または吸収極大を有する。
【0150】
本明細書に記載されている式では、各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり得、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、これは、別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーにコンジュゲートされ得る。各Lは、
【化46】
【化47】
から独立して選択することができる。各R
6は、H、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3-C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、必要に応じて置換されているベンジル、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシまたは(OCH
2CH
2)
fOCH
3から独立して選択することができる。各fは、独立して、0~50、10~20または11~18の整数とすることができる。各nは、独立して、1~20の整数とすることができる。
【0151】
UV吸収性ポリマーは、G
1およびG
2として、本明細書における式中に表されているキャッピング単位を含むことができる。キャッピング単位G
1およびG
2は、それぞれ独立して、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端とすることができる。例えば、G
1およびG
2は、それぞれ、水素、ハロゲン、アルキン、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されているフルオレンから独立して選択することができる。必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換され得る。一部の例では、少なくとも1つのキャッピング単位G
1またはG
2は、基材または結合パートナーにコンジュゲートされている。キャッピング単位G
1およびG
2はそれぞれ、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されているフルオレン、官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されているアリール、および官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されているヘテロアリールから独立して選択することができる。一部の例では、キャッピング単位G
1およびG
2はそれぞれ、
【化48】
[式中、各R
6は、H、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3-C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、必要に応じて置換されているベンジル、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシまたは(OCH
2CH
2)
fOCH
3から独立して選択することができる]
から独立して選択することができる。各fは、独立して、0~50または11~18の整数とすることができる。各nは、独立して、1~20の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20)とすることができる。
【0152】
変数a、c、dおよびeは、構造内の各単位のmol%を規定し、この構造の各々は、均等またはランダムに繰り返され得、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)である。変数aは、mol%で、10~100%、25%~75%、35%~65%、45%~55%、または10%、15、20、25、30、35、40、42、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、58、60、65、70、75、80、85、90もしくは95%より高いか、もしくはこれらに等しくあり得る。変数cは、mol%で、>0~90%、5%~80%、10%~40%、15%~35%、20%~30%、または90%未満もしくはこれに等しいが、1%、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80もしくは85%より高いかもしくはこれらに等しくあり得る。変数dは、mol%で、0~90%、5%~80%、10%~40%、15%~35%、20%~30%、または90%未満もしくはこれに等しいが、0%、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80もしくは85%より高いか、もしくはこれらに等しくあり得る。変数eは、mol%で、0~25%、0%~20%、0%~10%、または25%未満もしくはこれに等しいが、0%、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22もしくは24%より高いかもしくはこれらに等しくあり得る。
【0153】
ポリマーは、式IX:
【化49】
の構造を有することができる。
【0154】
変数fは、独立して、0~50の整数とすることができる。式IXに表されるポリマー構造中の単位は、ポリマー主鎖内において、式IX中に示されている通り、同じまたは異なる順序などの任意の好適な順序で存在し得る。例えば、式IXにおいて表されるポリマー構造中の単位は、式X:
【化50】
に示されている順番で存在し得る。
【0155】
例えば、式IXまたはXにおいて表されるポリマー構造中の単位は、式XI:
【化51】
に示されている順番で存在し得る。
【0156】
式XおよびXIにおいて、変数m、pおよびnは、構造内の各単位のmol%を規定する。変数mは、式I~IXまたはXIVに関して本明細書に記載されているものと同じとすることができる。本明細書に記載されている式では、基M1およびM2は、UV吸収性ポリマー中に、互いに対して任意の好適なモル比を有することができる。例えば、M1基のM2基に対するモル比は、0.5:1~1.5:1、0.7:1~1.3:1、0.9:1~1.1:1、約1:1、または1.5:1未満もしくはこれに等しいが、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1または1.4:1より大きいかもしくはこれらに等しくあり得る。
【0157】
UV吸収性ポリマーは、300nm~400nm、320nm~380nm、330nm~380nm、335nm~380nm、340nm~380nm、350nm~380nm、350nm~375nm、340nm~360nm、345nm~356nmの範囲内、または380nmより短いかもしくはこれに等しいが、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376もしくは378nmより長いかもしくはこれらに等しい吸収極大を有することができる。ポリマーは、約380nmもしくはこれより長い、または約380nm~約1000nm、約380nm~約800nm、380nm~430nm、406nm~415nmの範囲内、または430nmより短いかもしくはこれに等しいが、380nm、382、384、386、388、390、392、394、396、398、400、402、404、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、418、420、422、424、426もしくは428nmより長いかもしくはこれに等しい発光極大を有することができる。一部の例では、発光極大は、1000nmより長いことがある。
【0158】
UV吸収性ポリマー色素は、任意の適切な分子量(MW)を有することができ、これは、例えば、g/molまたはキロダルトン(kDa)で表すことができる。一部の場合、UV吸収性ポリマー色素のMWは、平均分子量として表されてもよい。一部の例では、UVポリマー色素は、2,000~400,000、5,000~300,000、10,000~200,000、25,000~175,000、30,000~150,000、40,000~150,000などの1,000~500,000の範囲の平均分子量、または50,000~100,000もの平均分子量さえ有することができる。UV吸収性ポリマー色素は、20~150kDa、30~130kDa、40~120kDa、50~100kDaまたは60~70kDaの平均分子量を有することができる。
【0159】
本開示のUV吸収性ポリマーを調製するためのモノマーは、9,10-フェナントレンジオンベースのモノマーおよび/またはフルオレンベースmpモノマーなどの、ジヒドロフェナントレン(DHP)ベースのモノマーを含むことができる。例えば、本開示のモノマーは、
【化52】
を含むことができ、モノマーの両末端は、独立して、またはどちらも、Pdまたはニッケル塩触媒重合反応を受けることができる、ハロゲン原子、ボロン酸エステルまたはボロン酸、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、スルホネートまたはホスフェートである。可変要素(変数)R
1、R
2、X、Y、Z、n、R
3、fおよびR
5は、本明細書に記載されている通りである。
【0160】
一部の実施形態では、本発明のモノマーは、架橋されたモノマーも含む。例えば、本開示の架橋されたモノマーは、
【化53】
を含むことができる。
【0161】
本発明の様々な態様では、ポリマーは、ポリマーに連結した結合パートナーをさらに含む。一部の態様では、結合パートナーは、抗体とすることができる。本開示の「結合パートナー」は、標的分析対象に特異的に結合することができる、任意の分子または分子の複合体とすることができる。本開示の結合パートナーとしては、例えば、タンパク質、有機低分子、炭水化物(多糖を含む)、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、親和性リガンド、抗体、抗体断片、アプタマーなどが挙げられる。一部の実施形態では、結合パートナーは、抗体またはその断片である。本開示の文脈における特異的結合とは、不均一な集団の存在下で標的分析対象の存在を決定付ける結合反応を指す。したがって、指定されたアッセイ条件下では、特定された結合パートナーは、特定のタンパク質、または特定のタンパク質のアイソフォームに優先的に結合し、試料中に存在する他のタンパク質にも他のアイソフォームにも、有意な量で結合しない。
【0162】
結合パートナーが抗体である場合、それらは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよい。抗体という用語は、本明細書において使用する場合、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的活性部分を指す。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異的ポリクローナル抗体、抗体模倣体、キメラ、単鎖、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片、FvならびにFab発現ライブラリを含むことができる。
【0163】
一般に、本開示のUV吸収性ポリマーは、当業者に公知の技法を使用して、または本明細書に記載されている方法と組み合わせて当分野において公知の方法を使用して、結合パートナーにコンジュゲートすることができる。
【化54】
【0164】
例えば、ポリマーNHSエステルの調製は、以下の通り進めることができる。清浄なバイアル中に5mgのポリマーをとり、1mLの乾燥CH3CNに溶解する。ここに、15mgのTSTUを添加し、さらに2分間、撹拌する。ここに、100μLのDIPEAを添加し、パラフィルムで密封したキャップを用いて、一晩、撹拌を継続する。この後に、反応混合物中の有機溶媒を留去する。素早いボルテックスによって、約750μLの1×BBS緩衝液(pH8.8)中に粗製NHSを溶解し、これをZebraカラム40K MWCOに移す。試料を2200RPMで2分間、遠沈させ、ポリマーNHSを直ちに使用する。
【0165】
ポリマーNHSのCD4とのコンジュゲートは、以下の通り進めることができる。遠沈させた1×BBS(約800μL)にポリマーNHSをとり、0.6mgのCD4を添加し、100μLの0.5Mホウ酸塩緩衝液(pH9.0)と混合する。30秒間、素早くボルテックスし、コールターミックス中で3~4時間、混合する。
【0166】
Histrap HPカラムによるコンジュゲートの精製は、以下の通り進めることができる。手法1:粗製反応後、Histrap HPカラムを使用してコンジュゲートを精製する。1×PBS緩衝液を使用して試料をロードし、未結合フラクションを収集する。これは、20CVの緩衝液を使用して行うことができる。この後に、緩衝液を交換して、コンジュゲートと遊離抗体の両方を有する結合フラクションを洗浄する。これは、0.25Mイミダゾールを含む1×PBSを使用し、10CVを流して行うことができる。手法2:Histrap SPセファロースFFカラム。カラムを平衡にして、20mMのクエン酸緩衝液(pH3.5)を使用して試料をロードし、未結合フラクションを収集する。これは、20CVの緩衝液を使用して行うことができる。この後に、緩衝液を交換して、コンジュゲートと遊離抗体の両方を有する、結合フラクションを溶出する。これは、20mM Tris緩衝液(pH8.5)を使用して、20CVを流して行うことができる。手法3:300K MWCO膜を備えたタンジェンシャルフローろ過システムに、粗製コンジュゲートをロードする。ろ液が、405nmにおいて吸収を示さなくなるまで、コンジュゲートを1×PBSを使用して洗浄することができる。この後、化合物を濃縮する。
【0167】
SECカラムによるコンジュゲートの精製は、以下の通り進めることができる。遊離抗体を含有する粗製コンジュゲートをサイズ排除カラムに1×PBSを使用してロードする。吸収スペクトルの確認後にチューブをプールし、30KDa MWCO遠心式濃縮器を有するAmicon Ultra-15中で濃縮する。
試料中の分析対象を検出するための方法
【0168】
本開示は、試料中の分析対象を検出するための方法であって、分析対象を含有することが疑われる試料を、本開示のUV吸収性ポリマー(以下に限定されないが、UV吸収性ポリマー-タンデムポリマーを含む)(例えば、式I~XIまたはXIVに示されているUV吸収性ポリマー、例えば、本開示による式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXIVのいずれか1つ、ならびにそれらのポリマータンデム色素)にコンジュゲートされている結合パートナーと接触させるステップを含む、方法を提供する。結合パートナーは、分析対象と相互作用することができる。分析対象が存在する場合、結合パートナーおよび分析対象は、ポリマー色素コンジュゲート複合体を形成することができる。結合パートナーは、必要に応じて、基材に結合され得る。結合パートナーは、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体断片、糖、脂質、核酸またはアプタマーとすることができる。試料に、ポリマーを励起することができる光源を適用し、コンジュゲートしたポリマー複合体から放射された光を検出する。典型的なアッセイでは、本開示のUV吸収性ポリマーは、320nm~380nm、340nm~360nm、345nm~356nm、または380nmより短いかもしくはこれに等しいが、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376もしくは378nmより長いかもしくはこれらに等しい波長を有する光により励起可能である。放射光は、通常、380nm~430nm、406nm~415nm、または430nmより短いかもしくはこれに等しいが、380nm、382、384、386、388、390、392、394、396、398、400、402、404、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、418、420、422、424、426もしくは428nmより長いかもしくはこれらに等しい波長である。
【0169】
試料中の分析対象を検出するための方法であって、本開示による組成物に、少なくとも1種のポリマー色素コンジュゲートを添加してポリマー色素コンジュゲート組成物を形成させるステップと、分析対象を含有することが疑われる生体試料をポリマー色素コンジュゲート組成物と接触させて、分析対象との蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体を形成させるステップと、試料に少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体を励起することができる光源を適用するステップと、蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体から放射された光を検出するステップとを含む、方法が提供される。
【0170】
一部の実施形態では、光源からの光は、約340nm~約450nmの間の波長を有する。一部の実施形態では、放射光は、約380nm~約1000nm、または380~800nmの間の波長を有する。光を検出するステップは、フローサイトメトリーによって分析して、第1のフローサイトメトリープロットを得るステップを含み、第1のフローサイトメトリープロットは、生体試料を、非イオン性界面活性剤を含まず、かつUV吸収性ポリマー色素も消光したUVポリマー色素も含まない組成物と接触させるステップを含んで得られる第2のフローサイトメトリープロットと比較した場合、ポリマー色素コンジュゲートの非特異的相互作用の低減;およびポリマー色素コンジュゲートの凝集の低減からなる群の1つまたは複数を示す、ステップをさらに含むことができる。
【0171】
本開示の方法における生体試料は、例えば、血液、骨髄、脾臓細胞、リンパ細胞、骨髄穿刺液(または、骨髄から得られる任意の細胞)、尿(洗浄液)、血清、唾液、脳脊髄液、尿、羊水、間質液、便、粘液または組織(例えば、腫瘍試料、解凝集組織、解凝集固形腫瘍)であり得る。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、血液試料は全血である。標準的な臨床手順を使用して、全血を対象から得ることができる。一部の実施形態では、試料は、全血の1つまたは複数の細胞(例えば、赤血球、白血球、リンパ球、食細胞、単球、マクロファージ、顆粒球、好塩基球、好中球、好酸球、血小板、または1種もしくは複数の検出可能なマーカーを含む任意の細胞)のサブセットである。リンパ球細胞の例には、T細胞、B細胞またはNK細胞を挙げることができる。一部の実施形態では、試料は、細胞培養物に由来し得る。
【0172】
対象は、ヒト(例えば、疾患に罹患している患者)、商業的に重要な哺乳動物(例えば、サル、ウシまたはウマを含む)であり得る。試料はまた、例えば、イヌまたはネコを含めた家庭用ペットから得ることもできる。一部の実施形態では、対象は、疾患の動物モデルとして使用されるまたは薬物スクリーニングのための実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギまたはモルモットである。
【0173】
「分析対象」とは、本明細書において使用する場合、その存在量/濃度が一部の分析手順によって決定される、物質、例えば分子を指す。例えば、本開示において、分析対象は、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物または低分子であり得る。
【0174】
標的分析対象は、例えば、核酸(DNA、RNA、mRNA、tRNAまたはrRNA)、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、イオン、単糖、オリゴ糖、多糖、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質またはそれらの断片とすることができる。一部の実施形態では、標的分析対象は、タンパク質であり、例えば、構造的マイクロフィラメント、微小管および中間フィラメントタンパク質、細胞小器官特異的マーカー、プロテアソーム、膜貫通タンパク質、表面受容体、核膜孔タンパク質、タンパク質/ペプチドトランスロカーゼ、タンパク質フォールディングシャペロン、シグナル伝達足場、イオンチャネルなどとすることができる。タンパク質は、活性化可能なタンパク質、または以下に限定されないが、転写因子、DNAおよび/もしくはRNA結合性タンパク質および修飾タンパク質、核内輸入および輸出受容体、アポトーシスもしくは生存の調節因子などを含む、疾患罹患細胞または異常細胞において、差次的に発現または活性化されるタンパク質とすることができる。分析対象は、細胞表面に発現されるタンパク質とすることができる。
【0175】
結合した分子を定量するための結合パートナーおよび蛍光標識を利用するアッセイシステムは周知である。このようなシステムの例は、フローサイトメーター、走査型サイトメーター、イメージングサイトメーター、蛍光顕微鏡および共焦点蛍光顕微鏡を含む。
【0176】
一部の実施形態では、方法は、フローサイトメトリー向けに構成され得る。フローサイトメトリーを使用して、蛍光を検出することができる。この使用に好適ないくつかのデバイスが利用可能であり、当業者に公知である。例には、BCI Navios、Gallios、AquiosおよびCytoFLEXフローサイトメーターが含まれる。
【0177】
他の実施形態では、方法は、免疫アッセイとして構成され得る。本開示に有用な免疫アッセイの例には、フルオロ発光アッセイ(FLA)などが含まれる。アッセイはまた、タンパク質アレイで行うこともできる。
【0178】
結合パートナーが抗体である場合、抗体または多重抗体サンドイッチアッセイもまた使用することができる。サンドイッチアッセイとは、特定の分析対象の存在をシグナル伝達するための、様々な結合パートナーおよびレポーティングエレメントの層を構築する連続的認識事象の使用を指す。サンドイッチアッセイの例は、米国特許第4,486,530号、およびその中に記されている参照文献中に開示されている。
【0179】
一部の実施形態では、方法は、さらなる分析対象を同時に検出するため、追加の結合パートナー(例えば、1種より多い結合パートナー)を用意するステップを含むことができる。
染色用緩衝組成物
【0180】
ポリマー色素(PD)は疎水性であり、大きな見かけ分子量を有しており、これによって、ポリマー色素は水性緩衝液中で凝集する傾向がある。したがって、ポリマー色素が抗体にコンジュゲートされると、得られたコンジュゲートはやはり、相互におよび/または同一試料中に存在する他のポリマー色素コンジュゲートと相互作用する傾向が高い。同一試料を染色するために、1種より多いポリマー色素コンジュゲートを使用する場合、ポリマー色素同士の非特異的相互作用が通常、発生し、これによって、データの不足補償をもたらされ得、不正確なデータ分析を引き起こす恐れがある。先行技術である競合的染色用緩衝組成物が市販されている。しかし、これらの染色用緩衝液は、いくらか、色素特異的であり、多色パネルでは、異なる色素クラスにわたり色素対色素相互作用を阻止する効果の低下を示す。すべてのタイプのポリマー色素コンジュゲートに起因する色素対色素相互作用を抑制することが可能なユニバーサル染色用緩衝液が望ましい。
【0181】
ポリマー色素コンジュゲートの多色パネルとの使用に好適なユニバーサル染色用緩衝液を開発するため、様々な洗剤、PEG、アミノ酸、DNA、ペプチド、タンパク質、ポリマー(バイオレットポリマー、ウルトラバイオレットポリマーなど)、ウレアなどが、単独でまたは組み合わせて試験された。
【0182】
本開示は、色素クラス全体の多色パネルにおいて、ポリマー-ポリマー相互作用を低減すること、実質的に低減すること、または解消することが可能な染色用緩衝組成物を提供する。例えば、様々な市販供給業者製の様々なポリマー色素コンジュゲートを含めた、多色パネルにおける使用に好適なユニバーサル染色用緩衝溶液が開発された。多色パネルは、1種もしくは複数の、または2種もしくはそれより多くの様々なタイプのポリマー色素コンジュゲートを含むことができる。
【0183】
多色パネルにおけるポリマー色素コンジュゲートは、一部の実施形態では、例えば、紫外(例えば、351nm、355nm、375nm、334~364nm、351~356nm)、紫色(例えば、405nm、407nm、414nm、395~425nm)、青色(例えば、436nm、458nm)、青色~緑色(例えば、488nm)、緑色(例えば、514nm、532nm、541nm、552nm)、黄色~緑色(例えば、561nm、563nm)、黄色(例えば、568nm)、赤色(例えば、627~640nm、633nm、637nm、640nm、647nm)および/または近赤外レーザー(例えば、673nm、750nm、780nmまたは660~800nmの範囲)によって励起することができる、蛍光色素コンジュゲートであってもよい。
【0184】
本開示は、ポリマー色素コンジュゲート同士の非特異的相互作用を低減または阻止するための、UVポリマー色素または消光したUVポリマー色素および非イオン性界面活性剤を含む染色用緩衝組成物を提供する。生体試料を染色する際の使用のための、結合パートナーにコンジュゲートされている少なくとも1種の蛍光ポリマー色素との使用のための組成物であって、少なくとも1種のUV吸収性ポリマー色素または消光したUV吸収性色素;非イオン性界面活性剤;および必要に応じて生物学的緩衝液を含む、組成物が提供される。一部の実施形態では、UVポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、本開示による色素であってもよい。組成物は、組成物の非存在下での少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートと比較した場合、少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートの非特異的結合を低減する。
【0185】
染色用緩衝組成物は、細胞を染色する前のポリマー色素コンジュゲートの多色パネルに添加されてもよく、例えば、生体試料のフローサイトメトリー分析(FCA)において、ポリマー色素コンジュゲートの非特異的相互作用を効果的に低減または阻止することができる。染色用緩衝組成物は、多色色素コンジュゲートパネルにおいて、非特異的なポリマー色素コンジュゲート相互作用を実質的に低減することが見出された。これは、UV吸収性ポリマー色素も消光したUVポリマー色素も含まず、かつ非イオン性界面活性剤を含まない同一試料と比較して場合の、処理後の全血試料のFCAにおいて立証された。
【0186】
本開示のすぐに使用できる染色用緩衝組成物は、例えば、紫色励起可能なポリマー色素コンジュゲート、紫外励起可能なポリマー色素コンジュゲート、青色励起可能なポリマー色素コンジュゲート、赤色励起可能なポリマー色素コンジュゲートなどを含めた、すべてのポリマー色素クラスにわたる全タイプのポリマー色素コンジュゲートに機能する、ユニバーサル溶液である。染色用緩衝組成物は、複数のポリマー色素コンジュゲートによる細胞染色の間に起こる恐れのある非特異的相互作用を実質的に低減するか、または完全に解消することが見出された。
UV吸収性ポリマー色素
【0187】
本開示による染色用緩衝組成物は、1種または複数のUV吸収性ポリマー色素、1種もしくは複数のUV吸収性タンデムポリマー色素および/または1種もしくは複数の消光したUV吸収性ポリマー色素を含んでもよい。染色用緩衝組成物における使用のためのUV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUV吸収性ポリマー色素は、一部の実施形態では、DHPベースの色素、フルオレンベースの色素、ビナフチル(binapthyl)ベースの色素、カルバゾールベースの色素、オキセピンベースの色素
(例えば、フルオレノオキセピン(fluorenooxepine)ベースの色素)またはそれらの組
合せであってもよい。染色用緩衝組成物における使用のための、UVポリマー色素、UVタンデムポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、1つまたは複数の水可溶化部分を有してもよい。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUV吸収性ポリマー色素は、結合パートナーにコンジュゲートされ得る。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUV吸収性ポリマー色素は、水溶性UV吸収性ポリマー色素であってもよい。UV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデムポリマー色素または消光したUV吸収性ポリマー色素は、本開示によるものであってもよい。
【0188】
紫外(UV)は、約10nm~約400nmの電磁スペクトルの領域である。一部の例では、本開示は、近紫外励起スペクトルおよび/または近UV吸収極大を有する、UV吸収性ポリマー色素を提供する。一部の例では、本開示は、近紫外励起スペクトルおよび/または近UV吸収極大を有する、水溶性UV吸収性ポリマー色素を提供する。近紫外(UV)は、350nm~400nmなどの、約300nm~約400nmの電磁スペクトルの領域である。用語「近紫外励起スペクトル」とは、電磁スペクトルの近UV領域内にある波長範囲を規定する半値全幅(FWHM)を有するUV吸収性ポリマー色素の吸収スペクトルを指すことができる。
【0189】
染色用緩衝組成物における使用のためのUVポリマー色素は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXIVのいずれかによる構造を有することができる。一部の例では、UVポリマー色素は、UV吸収性ポリマータンデム色素(「UVポリマータンデム色素」)、例えば、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXIVのいずれかによる、消光したUV吸収性ポリマー色素(「消光したUVポリマー色素」)であってもよい。一部の実施形態では、UV吸収性ポリマー色素は、結合パートナーを含まない。一部の実施形態では、消光したUVポリマー色素は、結合パートナーを含まない。
【0190】
一部の実施形態では、染色用緩衝液における使用のためのUVポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、例えば、それらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、US9,719,998;US10,228,375;US11,119,107;US10,605,813;US2019/0194467A1またはWO2022/013198に教示されているなどの、当分野で公知のUVポリマー色素を含むことができる。
【0191】
一部の実施形態では、本開示による染色用緩衝液は、結合パートナーを含む、UVポリマー色素または消光したUVポリマー色素を含む。一部の実施形態では、染色用緩衝液における使用のためのUVポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、結合パートナーを含まない。
【0192】
消光したポリマーは、1つもしくは複数の、または多数の消光性部分、例えば、1~50、2~25または5~8の消光性部分を含む、本開示によるポリマー色素を含むことができる。一部の実施形態では、消光したポリマーは、0.1Φ以下、または0.06Φ以下、または0.056Φ以下、0.05Φ以下、0.02Φ以下、または0.015Φ以下の量子収率(QY)を示す。
【0193】
一部の実施形態では、UV吸収性色素は、約5~約150kDa、約10~約150kDa、約20~約150kDa、約40~約120kDa、約50~約100kDaまたは約60~約70kDaの範囲の平均分子量を有することができる。
【0194】
染色用緩衝組成物は、本開示によるUVポリマー色素または消光したUVポリマーを0.01~10mg/mL、0.02~5mg/mL、0.05~2mg/mL、0.1~1mg/mL、0.2~0.8mg/mLまたは約0.5mg/mL含むことができる。試験あたりのUVポリマー色素または消光したUVポリマーの量は、約1~約50ug/試験、約2~約30ug/試験または約5~約20ug/試験とすることができる。
【0195】
非イオン性界面活性剤
【0196】
組成物は、1種または複数の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。ポリマー色素コンジュゲートの凝集を阻止するため、十分量の非イオン性界面活性剤が含まれ得る。非イオン性界面活性剤の非限定例には、ポロキサマー188(例えば、PLURONIC(登録商標)F-68;PF-68)などのポロキサマー界面活性剤、TWEEN(登録商標)20およびTWEEN(登録商標)80などのポリソルベート非イオン性界面活性剤、ならびに例えば、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(BRIJ(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル(TRITON(登録商標))またはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(IGEPAL)界面活性剤などのエーテル連結非イオン性界面活性剤が含まれる。一部の実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー非イオン性界面活性剤である。
【0197】
用語「ポロキサマー非イオン性界面活性剤」または「ポロキサマー」とは、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシド(PEG-PPG-PEG)非イオン性トリブロックコポリマーを指す。ポロキサマー非イオン性界面活性剤は、例えば、PLURONIC(登録商標)(BASF)非イオン性界面活性剤、Kolliphor(登録商標)(BASF)非イオン性界面活性剤およびSynperonic(商標)(CRODA)非イオン性界面活性剤という商標名によって知られている。PLURONIC(登録商標)界面活性剤の非限定例は、例えば、PLURONIC(登録商標)F68、F77、F87、F98、F108、F123、F127、P103、P104、P105、P123、PE 3100、PE4300、PE6100、PE6200、PE6400、PE6800、PE8100、PE9400、PE10100、PE10400、PE10500(BASF Corporation)を含むことができる。ポロキサマー界面活性剤は、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央部の疎水性鎖がポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖によってはさまれていることにより特徴付けられる、ポリオキシエチレンオキシド)-ポリオキシプロピレンオキシド-ポリオキシエチレンオキシド(PEO-PPO-PEO)などの非イオン性トリブロックコポリマーを含む。
【0198】
染色用緩衝組成物は、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)トリブロックコポリマーである、非イオン性界面活性剤を含むことができる。例示的な非イオン性トリブロックコポリマーは、式XIIによる構造
【化55】
[式中、各aは独立して、2~130の独立した範囲の整数であり、bは、15~67の範囲の整数である]
を含むことができる。一部の実施形態では、aは、50~100の範囲にあり、bは、20~40の範囲にある。一部の実施形態では、aは、70~90の範囲にあり、bは、25~30の範囲にある。非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー188であってもよい。
【0199】
ポロキサマーの非限定例には、例えば、a=80およびb=27を有する、Pluronic F-68またはKOLLIPHOR(登録商標)P188としても知られている、ポロキサマー188が含まれ得る。他のポロキサマーには、Synperonic(商標)PE/F108としても知られているポロキサマー338、Synperonic(商標)PE/F127としても知られているポロキサマー407、Synperonic(商標)PE/L101としても知られているポロキサマー331が含まれる。
【0200】
ポリマーブロックの長さは、カスタマイズすることができるので、わずかに特性が異なる多数の様々なポロキサマーが存在する。ポロキサマーコポリマーは、文字「P」(ポロキサマーの場合)とその後の3桁の数を用いて一般に命名され、最初の2桁×100は、ポリオキシプロピレンコアの概算の分子質量を示し、最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有量のパーセンテージを示す(例えば、P407=4,000g/molのポリオキシプロピレン分子質量、および70%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマー)。PluronicおよびSynperonicポロキサマーの商標名の場合、これらのコポリマーのコードの付与は、室温におけるその物理形態を規定する文字(L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))で始まり、2桁または3桁の数が後に続く。数字の表示における、最初の桁(3桁数では2桁)を300で乗算したものが、疎水性鎖の概算の分子量を示し、最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有量のパーセンテージを示す(例えば、F-68は、ポリオキシプロピレン分子質量が1,800g/molであり、80%のポリオキシエチレン含有量であることを示す)。
【0201】
ポロキサマー188としても知られている、用語「PLURONIC(登録商標)F68」、「Pluronic F-68」または「PF-68」とは、平均分子量である平均Mn、8350~8400を有する、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックポリ(エチレングリコール)コポリマーを指す。
ポロキサマー407としても知られている、用語「PLURONIC(登録商標)F127」とは、ポリプロピレングリコールの中央部の疎水性ブロックがポリエチレングリコール(PEG)の2つの親水性ブロックによってはさまれていることからなる、トリブロックコポリマーを指す。2つのPEGブロックの概算の長さは、101個の繰り返し単位である一方、プロピレングリコールブロックの概算の長さは、56個の繰り返し単位である。これはまた、平均12,600g/molのCroda(商標名)Synperonic PE/F127によって知られている。用語「PLURONIC(登録商標)F108」とは、平均Mnが約14,600である、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックポリ(エチレングリコール)を指す。用語「PLURONIC(登録商標)P103」とは、平均Mwが約4,950の、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックポリ(エチレングリコール)を指す。用語「PLURONIC(登録商標)P104」とは、平均Mwが約5,900の、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックポリ(エチレングリコール)を指す。用語「PLURONIC(登録商標)P123」とは、平均Mnが約5,800の、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロックポリ(エチレングリコール)を指す。
【0202】
例示的なポロキサマー界面活性剤には、以下に限定されないが、Pluronic F-68が含まれる。PF-68は、非イオン性トリブロックコポリマーである、ポロキサマー188などのポリオキシエチレンオキシド-ポリオキシプロピレンオキシド-ポリオキシエチレンオキシド(PEO-PPO-PEO)である。使用される界面活性剤の濃度は、経験的に決定することができる(すなわち、コンジュゲートの沈殿が起こらないように滴定される)。一部の実施形態では、染色用緩衝組成物は、ポロキサマー界面活性剤などの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。非イオン性界面活性剤は、Pluronic
F-68であってもよい。一部の例では、非イオン性界面活性剤は、単独で使用されて(すなわち、緩衝液中にUV色素もUV消光した色素も含まない)、非特異的相互作用を低減または阻止することができる。非イオン性界面活性剤は、0.1%~20%、0.1~15%、0.2~9%、0.5~8%または1~7%(wt/vol)の範囲内で、組成物、例えば、作業用の濃縮染色用緩衝組成物(1×)中に存在してもよい。非イオン性界面活性剤は、試験あたり、約0.1~2%、0.5~1.5%、または約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%または9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、またはその間の任意の値の最終濃度(wt/vol)で存在してもよい。非イオン性界面活性剤は、例えば、1~90%、1~80%、1~70%、2~60%、3~50%、4~40%または5~25%(wt/vol)の範囲内で、濃縮された染色用組成物(10×)中に存在してもよい。非イオン性界面活性剤は、例えば、0.1~70%、0.2~60%、0.3~50%、0.4~40%または0.5~25%(wt/vol)の範囲内で、濃縮された染色用組成物(10×)中に存在してもよい。
生物学的緩衝液
【0203】
用語「生物学的緩衝液」とは、細胞不含系において、pH6~8、6.5~8または7~8の生物学的範囲のpHを維持する、1種または複数の生物学的緩衝剤を含む、生理学的に適合する水溶液を指す。水溶液は、注射用水、milliQ水または高度に精製された水の別の形態を含むことができる。水溶液は、生理食塩水またはアルコールを含むことができる。生物学的緩衝液は、水および1種または複数の生物学的緩衝剤を含むことができる。生物学的緩衝液は、PBS、ハンクス溶液、リンゲル液または生理食塩水緩衝液を含むことができる。
【0204】
ある特定の実施形態では、生物学的緩衝剤は、とりわけ緩衝剤の中でも、N-(2-アセトアミド)-アミノエタンスルホン酸(ACES)、酢酸塩、N-(2-アセトアミド)-イミノ二酢酸(ADA)、2-アミノエタンスルホン酸(AES)、アンモニア、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(AMPSO)、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、炭酸水素塩、N,N’-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-グリシン、[ビス-(2-ヒドロキシエチル)-イミノ]-トリス-(ヒドロキシメチルメタン)(BIS-Tris)、1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]プロパン(BIS-Tris-プロパン)、ホウ酸、ジメチルアルシン酸、3-(シクロヘキシルアミノ)-プロパンスルホン酸(CAPS)、3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(CAPSO)、炭酸塩、シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸(CHES)、クエン酸塩、3-[N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、ギ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-エタンスルホン酸(HEPES)、乳酸塩、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-3-プロパンスルホン酸(HEPPS、EPPS)、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、イミダゾール、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸(MES)、3-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸(MOPS)、3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、リン酸塩、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、ピリジン、ポリビニルピロリドン(PVP)、コハク酸塩、3-{[トリス(ヒドロキシメチル)-メチル]-アミノ}-プロパンスルホン酸(TAPS)、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、2-アミノエタンスルホン酸、AES(タウリン)、トレハロース、トリエタノールアミン(TEA)、2-[トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]-エタンスルホン酸(TES)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)-メチル]-グリシン(トリシン)、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(Tris)、グリセルアルデヒド、マンノース、グルコサミン、マンノヘプツロース、ソルボース-6-ホスフェート、トレハロース-6-ホスフェート、ヨード酢酸塩、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、リン酸アンモニウムのうちの1つまたは複数を含むことができる。代表的な緩衝剤は、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸などの有機酸塩の塩;Tris(トロメタミン)塩酸塩またはリン酸塩を含むことができる。慣用的な生物学的緩衝液の具体例は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2-([2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ)エタンスルホン酸(TES)、3-[N-トリス(ヒドロキシ-メチル)エチルアミノ]-2-ヒドロキシエチル]-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、トリス[ヒドロキシメチル]-アミノメタン(THAM)、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)およびトリス[ヒドロキシメチル]メチルアミノメタン(TRIS)緩衝液を含むことができる。慣用的な生物学的緩衝液は、生理的範囲のpKを有し、この範囲で最も効果的に機能することができる。生物学的緩衝液は、例えば、10~100mMまたは5~25mMの濃度の水溶液中であってもよい。
【0205】
生物学的緩衝液は、PBSとすることができる。用語「PBS」とは、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化カリウムおよび/またはリン酸二水素カリウムを含有することができる水性緩衝液である、リン酸緩衝生理食塩水を指す。例えば、PBSは、milliQ水または脱イオン水および137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、1.8mM KH2PO4を含有してもよい。pHは、約pH7.0~7.4とすることができる。PBSは、アジ化ナトリウムなどのアジドを用いて保存されてもよく、または保存されなくてもよい。PBSは、等張性溶液であってもよい。緩衝液は、PBA緩衝液であってもよい。PBA緩衝液は、PBS、BSAおよびアジ化ナトリウムを含んでもよい。PBA緩衝液は、1×PBS、約2mg/mLのBSAおよび約0.1%(wt/vol)アジ化ナトリウムを含んでもよい。
追加の構成成分
【0206】
本開示の組成物は、例えば、フローサイトメトリー試料分析において、染色用緩衝組成物として使用することができ、こうして、以下に限定されないが、任意の好適な担体、安定剤、塩、キレート剤(例えば、EDTA)、着色剤または保存剤のうちの1種または複数を含めた、追加の構成成分を含むことができる。組成物はまた、追加的な1種または複数の界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤)を含むことができる。イオン性界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤であってもよい。染色用緩衝組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化用作用剤を含むことができる。例えば、染色用緩衝組成物は、水などの担体、または例えば、可溶化剤として、DMSO、DMFおよびアセトニトリルなどの溶媒を含有することができる。組成物はまた、pH調節剤を含むことができ、通常、緩衝液は、有機酸または塩基から調製される塩である。
【0207】
染色用緩衝組成物は、タンパク質安定剤を含んでもよい。用語「タンパク質安定剤」とは、非特異的結合を低減するよう、例えば、細胞-細胞相互作用を低減するよう、または抗体と非標的分子との間の非特異的結合を阻止する一助となるよう働くタンパク質を指す。本開示による組成物は、タンパク質安定剤を含んでもよい。タンパク質安定剤は、血清アルブミン、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたはゼラチンからなる群のうちの1種または複数から選択されてもよい。タンパク質安定剤は、BSAであってもよい。タンパク質安定剤は、0.1~10mg/mL、0.5~5mg/mL、1~3mg/mLまたは約2mg/mLの濃度で、本開示の組成物中に存在してもよい。
【0208】
染色用緩衝組成物は、任意の適切な保存剤を含んでもよい。保存剤は、抗酸化剤、殺生物剤または抗微生物剤であってもよい。保存剤は、無機塩であってもよい。例えば、保存剤は、アジ化ナトリウム、2-クロロアセトアミド、2-メチルイソチアゾリノン、サリチル酸、ProClin(商標)、Kathon(商標)CG、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンまたは2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンであってもよい。保存剤は、0.01~0.5%、0.05~0.3%または約0.1%(wt/vol)で、本開示の組成物中に存在してもよい。
【0209】
本開示の染色用緩衝組成物は、追加の界面活性剤を含んでもよい。本明細書に記載されている方法に従って、必要に応じて使用することができる好適な追加の界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、およびホスホベタインなどのベタインなどの双性イオン性界面活性剤を含むことができる。好適な双性イオン性界面活性剤の例には、一般式R1’[CO-X(CH2)j]g-N+(R2’)(R3’)-(CH2)f-[CH(OH)CH2]h-Y-[式中、R1’は、C8~18アルキル、飽和C10~16アルキルまたは飽和C12~14アルキルなどの飽和または不飽和C6~22アルキルであり、Xは、NH、NR4’であり、R4’は、C1~4アルキル、OまたはSであり、jは、2~5および3などの1~10の整数であり、gは、0または1であり、R2’およびR3’はそれぞれ、独立して、C1~4アルキル、必要に応じてヒドロキシエチル基またはメチルによって置換されているヒドロキシであり、fは、1、2または3などの1~4の整数であり、hは、0または1であり、Yは、COO、SO3、OPO(OR5’)OまたはP(O)(OR5’)Oであり、R5’は、HまたはC1~4アルキルである]の界面活性剤が含まれる。
【0210】
好適な双性イオン性界面活性剤の例には、式:
R1’-N+(CH3)2-CH2COO-;
R1’-CO-NH(CH2)3-N+(CH3)2-CH2COO-;
R1’-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3
-;および
R1’-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3
-
のものなどのアルキルベタインが含まれる。
【0211】
好適なベタインおよびスルホベタインの例は、以下(INCIに準拠して表示する):アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘンアミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、キャノールアミドプロピルベタイン(canolamidopropyl betaine
)、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチルソイグリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチル獣脂グリシネート、PG-ベタインのジメチコンプロピル、ドルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素化獣脂ベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルサルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン(milk amidopropyl betaine)、ミルクアミドプロピルベタイン(milkamidopropyl betaine)、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリバミドプロピルベタイン、パルマミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、パーム核アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノールアミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、獣脂アミドプロピルベタイン、獣脂アミドプロピルヒドロキシスルタイン、獣脂ベタイン、獣脂ジヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタインおよび小麦胚芽アミドプロピルベタインである。
【0212】
例えば、ココナッツジメチルベタインは、AMONYL265(登録商標)という商標名でSeppicから市販されており、ラウリルベタインは、商標名EMPIGEN BB(登録商標)でSigma-Aldrichから市販されている。さらなる例のベタインは、商標名MIRATAINE H2C-HA(登録商標)でRhodiaから市販されているラウリル-イミノ-ジプロピオネートである。染色用緩衝組成物中の必要に応じた双性イオン性界面活性剤の存在は、生体試料中の非特異的結合を低減することがあり、例えば、単球または他の血液構成成分への非特異的結合を低減することがある。必要に応じた双性イオン性界面活性剤は、0~0.5%、0.01~0.3%で、組成物中に存在することができる。
組成物
【0213】
染色用緩衝組成物は、生体試料中のポリマー色素コンジュゲート同士のポリマー-ポリマー相互作用を低減するため、および色素コンジュゲートの沈殿を低減するために提供される。染色用緩衝組成物は、2種またはそれより多くのポリマー色素コンジュゲートを含む多色パネル中のポリマー色素コンジュゲート同士のポリマー-ポリマー相互作用を低減するため提供される。
【0214】
染色用緩衝組成物は、1種もしくは複数の、または多数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートと共に使用することができる。本開示の染色用緩衝組成物は、複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲート同士の非特異的結合を実質的に低減することができる。
【0215】
本開示による組成物は、ポリマー色素コンジュゲート同士のポリマー-ポリマー相互作用などの非特異的結合を低減するため、実質的に低減するため、および/または阻止するため、生体試料に添加する前、添加と同時に、または添加後に、1種もしくは複数の、2種もしくはそれより多くの、または3種もしくはそれより多くのポリマー色素コンジュゲートを含む色素コンジュゲートの混合物と共に使用されてもよい。色素コンジュゲートの混合物は、1種もしくは複数の、2種もしくはそれより多くの、または3種もしくはそれより多くのポリマー色素コンジュゲートを含んでもよい。
【0216】
UVポリマー色素または消光したUVポリマー色素および非イオン性界面活性剤を含む染色用緩衝組成物が提供される。UVポリマー色素または消光したUVポリマー色素は、本開示によるものとすることができる。染色用緩衝組成物は、生物学的緩衝液中に、本開示によるUVポリマー色素または消光したUVポリマー色素、および非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0217】
染色用緩衝組成物は、生物学的緩衝液中に、5~20ug/試験のUVポリマー色素および0.1~2%(wt/vol)/試験の非イオン性界面活性剤を供給することができる。
【0218】
UVポリマー色素は、任意の適切なUVポリマー色素または消光したUVポリマーであってもよい。UVポリマー色素は、本開示によるものとすることができる。一部の実施形態では、UVポリマー色素は、結合パートナーを含まない。一部の実施形態では、UVポリマー色素は、結合パートナーを含む。一部の実施形態では、結合パートナーは、抗体でもその断片でもない。UVポリマーは、1種または複数のアクセプター色素を含むタンデムUVポリマーであってもよい。UVポリマーは、1種または複数の消光性部分を含む消光したUVポリマーであってもよい。消光したUVポリマー色素は、結合パートナーを含んでもよく、または含まなくてもよい。非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー非イオン性界面活性剤であってもよい。ポロキサマーは、Pluronic F-68であってもよい。必要に応じて、組成物は、タンパク質安定剤をさらに含む。必要に応じて、組成物は、保存剤を含む。必要に応じて、組成物は、双性イオン性界面活性剤を含む。生物学的緩衝液は、PBS緩衝液であってもよい。タンパク質安定剤は、BSAであってもよい。保存剤は、NaN3であってもよい。組成物は、多色パネルにおけるポリマー-ポリマー相互作用を低減すること、実質的に低減すること、または解消することができる。
【0219】
代表的な染色用緩衝組成物が、表1Aに提示されている。
【0220】
【0221】
本開示の染色用緩衝組成物は、多色パネルにおけるポリマー-ポリマー相互作用を低減すること、実質的に低減すること、または解消することができる。
【0222】
用語「多色パネル」とは、1種もしくは複数の、2種もしくはそれより多くの、または3種もしくはそれより多くの蛍光ポリマー色素コンジュゲート、および必要に応じて、例えば、フルオレセイン、クマリン、シアニン、ローダミン色素コンジュゲートなど、例えば、FITC、PE、ECD、PC5、PC5.5、PC7、APC、AA700、AA750、PBE、Alexa Fluor(登録商標)488(AF488)、AF532、AF647、AF700、AF750、Atlantis Bioscience CF(登録商標)350色素、CF(登録商標)405S、CF(登録商標)405、CF(登録商標)405L、CF(登録商標)430、CF(登録商標)440、CF(登録商標)450、CF(登録商標)488A、CF(登録商標)514、AAT Bioquest iFluor(商標)488、iFluor(商標)350、iFluor(商標)405、mFluor(商標)Blue570、mFluor(商標)Blue580、mFluor(商標)Blue590、mFluor(商標)Blue620、mFluor(商標)Blue630、mFluor(商標)Blue660、ThermoFisher Scientific NovaFluor Blue510、NovaFluor Blue530、NovaFluor Blue555、NovaFluor Blue585、NovaFluor Blue610/30S、NovaFluor Blue660/40S、NovaFluor Blue660/120S、BioLegend(登録商標)Kiravia Blue520(商標)、KrO色素コンジュゲートなどの1種もしくは複数の、2種もしくはそれより多くの、3種もしくはそれより多くの蛍光色素コンジュゲートを含むことができる色素コンジュゲートの混合物を指す。
【0223】
用語「蛍光色素」とは、光励起時に光を再放射することができる、光により励起可能なフルオロフォアを含む色素を指す。用語「フルオロフォア」とは、光励起時に光を再放射することができる、蛍光化学化合物を指す。フルオロフォアは、いくつかの混合型芳香族基、またはいくつかのパイ結合を有する平面および環式分子を通常、含有し得る。用語「蛍光色素」とは、蛍光モノマーおよび他の従来的な蛍光色素を含めた、蛍光ポリマーの色素と蛍光非ポリマーの色素の両方を包含する。蛍光ポリマー色素は、任意の適切な蛍光ポリマー色素であってもよい。
【0224】
本開示による組成物は、任意のポリマー色素コンジュゲートと共に使用することができる。ポリマー色素コンジュゲートは、タンデムポリマー色素コンジュゲートとすることができる。ポリマー色素コンジュゲートは、任意の以前に開示されているまたは市販の蛍光ポリマー色素を含むことができる。例えば、ポリマー色素は、公開PCT出願第WO2017/180998号;米国出願第2021/0047476号;米国出願第2020/0190253号;米国出願第2020/0048469号;米国出願第2020/0147615号;米国出願第2021/0108083号;米国出願第2019/0194467号;米国出願第2018/0364245号;米国出願第2018/0224460号;米国特許第11,034,840号;米国特許第11,119,107号;米国特許第10,962,546号;米国特許第10,920,082号;米国特許第10,001,475号;米国特許第10,107,818号;米国特許第10,228,375号;米国特許第10,844,228号;米国特許第10,605,813号;米国特許第10,604,657号;米国特許第10,545,137B2号;米国特許第10,533,092号;米国特許第10,472,521号;米国特許第10,240,000号;米国特許第9,971,998号;米国特許第9,758,625号;米国特許第9,719,998号;米国特許第7,214,489号;米国特許第9,012,643号;米国特許第8,623,332号;米国特許第8,431,416号;米国特許第8,354,239号;米国特許第8,575,303号;米国特許第8,969,509号;およびWO2022/013198に開示されている任意の色素とすることができ、それらのそれぞれは、それらの全体が本明細書において完全に説明されているかのごとく、参照により組み込まれている。ポリマー色素は、その全体が、あたかも本明細書に完全に説明されているかのごとく、参照により組み込まれている、公開された米国出願第2020/0190253A1号に開示されている任意の水溶性蛍光ポリマー色素の構造を有することができる。ポリマー色素コンジュゲートは、その全体が、あたかも本明細書に完全に説明されているかのごとく、参照により組み込まれている、公開された米国出願第2019/0144601号に開示されている任意の水溶性蛍光ポリマー色素の構造を有することができる。
【0225】
ポリマー色素コンジュゲートは、例えば、紫外(例えば、351nm、355nm、375nm、334~364nm、351~356nm)、紫色(例えば、405nm、407nm、414nm、395~425nm)、青色(例えば、436nm、458nm)、青色~緑色(例えば、488nm)、緑色(例えば、514nm、532nm、541nm、552nm)、黄色~緑色(例えば、561nm、563nm)、黄色(例えば、568nm)、赤色(例えば、627~640nm、633nm、637nm、640nm、647nm)および/または近赤外レーザー(例えば、673nm、750nm、780nmまたは660~800nmの範囲)によって励起可能な任意の市販のポリマー色素とすることができる。ポリマー色素は、紫色レーザーによって励起可能なポリマー色素を含むことができる。ポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、約395nm~約425nm、例えば、405nm、407nmまたは414nmの波長の紫色レーザーによって励起可能なポリマー色素を含んでもよい。ポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、紫色レーザー(405nm)により励起可能なポリマー色素を含んでもよい。
【0226】
一部の実施形態では、ポリマー色素コンジュゲートは、SuperNovaポリマー色素(SN)(Beckman Coulter,Inc)を含むことができる。SuperNovaポリマー色素は、フローサイトメトリー用途に有用な、新世代のポリマー色素である。ポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、SNv428、SNv605またはSNv786を含むことができる。SNv428は、抗体または他の結合剤にコンジュゲートされている場合、かなり明るいコンジュゲートをもたらす、特有の光物理特性を有する。例えば、SNv428は、414nmの励起極大、428nmの発光ピークを有する紫色レーザー(例えば、405nm)によって最適に励起されるポリマー色素であり、450/50バンドパスフィルターまたは等価物を使用して検出することができる。SNv428は、紫色レーザーによって励起可能な最高輝度の色素の1つであり、したがって、微かに発現されるマーカーを評価するのに特に適している。抗体とコンジュゲートされているSuperNovaポリマー色素は、抗CD19抗体-SNv428、抗CD22抗体-SNv428、抗CD25抗体-SNv428および抗CD38抗体-SNv428抗体-ポリマーの色素コンジュゲートを含むことができる。SNv605およびSNv786(Beckman Coulter,Inc)は、コアSNv428から誘導されたタンデムポリマー色素である。どちらも、414nmに最大励起を有する、同じ吸光度特徴を共有する。それぞれ、605nmおよび786nmに発光ピークを有するSNv605およびSNv786を用いると、それらは、フローサイトメーターの610/20nmおよび780/60nmのバンドパスフィルターを使用して、最適に検出される。SNv605およびSNv786は、例えば、抗CD19抗体、抗CD22抗体、抗CD25抗体および抗CD38抗体とコンジュゲートされていてもよい。
【0227】
ポリマー色素コンジュゲートは、紫外(「UV」)レーザーによって励起可能なポリマー色素を含むことができる。ポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、320nm~380nm、340nm~360nm、345nm~356nm、または380nmより短いかもしくはこれに等しいが、320nmより長いかもしくはこれに等しい波長のUVレーザーによって励起可能なポリマー色素を含むことができる。ポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、UV励起可能なポリマー色素を含んでもよい。UV励起可能なポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、通常、380nm~1000nm、380nm~800nm、380nm~430nm、406nm~415nm、または430nmより短いかまたはこれに等しいが、380nmより長いかもしくはこれに等しい波長において光を放射発光することができる。
【0228】
ポリマー色素コンジュゲートは、Brilliant Violet421(商標)(励起極大405nm、発光極大421nm、450/50フィルター)、Brilliant Violet510(商標)(励起極大405nm、発光極大510nm、510/50フィルター)、Brilliant Violet570(商標)(励起極大405nm、発光極大570nm、585/42フィルター)、Brilliant Violet605(商標)(励起極大405nm、発光極大603nm、610/20フィルター)、Brilliant Violet650(商標)(励起極大405nm、発光極大645nm、660/20フィルター)、Brilliant Violet711(商標)(励起極大405nm、発光極大711nm、710/50フィルター)、Brilliant Violet750(商標)(励起極大405nm、発光極大750nm、780/60フィルター)、Brilliant Violet785(商標)(励起極大405nm、発光極大785nm、780/60フィルター)などのBrilliant Violet(商標)色素(BioLegend(登録商標)/Sirigen
Group Ltd)を含むことができる。ポリマー色素またはポリマー色素コンジュゲートは、Spark Violet(商標)538(BioLegend,Inc)(励起極大405nm、発光極大538nm)を含むことができる。
【0229】
ポリマー色素コンジュゲートは、Super Brightポリマー色素(Invitrogen、ThermoFisher Scientific)を含むことができる。Super Bright色素は、紫色レーザー(405nm)によって励起されてもよい。Super Bright色素は、Super Bright436(励起極大414nm、発光極大436nm、450/50バンドパスフィルター)、Super Bright600(発光極大600nm、610/20バンドパスフィルター)、Super Bright645(発光極大645nm、660/20バンドパスフィルター)またはSuper Bright702(発光極大702nm、710/50バンドパスフィルター)であってもよい。
【0230】
ポリマー色素コンジュゲートは、BD Horizon Brilliant(商標)Violet(「BV」)ポリマー色素(Becton,Dickinson and Co.、BD Life Sciences)を含んでもよい。ポリマー色素は、BD Horizon Brilliant(商標)BV421(450/40または431/28フィルター)、BV480(525/40フィルター)、BV510(525/40フィルター)、BV605(610/20フィルター)、BV650(660/20フィルター)、BV711(710/50フィルター)、BV786(786/60フィルター)ポリマー色素を含んでもよい。
方法
【0231】
血液試料などの生体試料における少なくとも1種のポリマー色素コンジュゲートまたは少なくとも2種のポリマー色素コンジュゲートのポリマー-ポリマー相互作用などの、非特異的結合を低減または解消するための方法であって、ポリマー色素コンジュゲートが生体試料と接触される前、その間またはその後に、少なくとも1種の色素コンジュゲートを、少なくとも1種のUVポリマー色素および非イオン性界面活性剤と接触させるステップであって、生体試料中の少なくとも1種のまたは少なくとも2種のポリマー色素コンジュゲートのポリマー-ポリマー相互作用の低減などの非特異的結合の低減をもたらす、ステップを含む、方法が提供される。
【0232】
一部の実施形態では、本開示は、生体試料における少なくとも1種のまたは少なくとも2種のポリマー色素コンジュゲートのポリマー-ポリマー相互作用などの非特異的結合を低減または解消するための方法であって、色素コンジュゲートを生体試料と接触させる前、その間またはその後に、その少なくとも1種のポリマー色素コンジュゲートをUV吸収性ポリマー色素および非イオン性界面活性剤と接触させるステップであって、試料中のポリマー色素コンジュゲート同士の非特異的結合の低減をもたらす、ステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、多色パネルにおける少なくとも1種または少なくとも2種のポリマー色素コンジュゲート間のポリマー-ポリマー相互作用を低減または解消するための方法であって、ポリマー色素コンジュゲートを血液試料と接触させる前、その間またはその後に、少なくとも1種または少なくとも2種のポリマー色素コンジュゲートを、少なくとも1種のUV吸収性ポリマー色素および/または非イオン性界面活性剤と接触させるステップであって、生体試料中の少なくとも1種または少なくとも2種のポリマー色素コンジュゲートの非特異的結合の低減をもたらす、ステップを含む、方法を提供する。本開示の組成物および方法は、血液試料におけるポリマー色素コンジュゲートの非特異的結合を低減するか、または解消する。
【実施例0233】
本開示の様々な実施形態は、例示により提示される以下の実施例を参照することによってよりよく理解され得る。本開示は、本明細書に示されている実施例に限定されない。
(実施例1)
初期スクリーニング
【0234】
最初の着目点は、DHPモノマーなどのモノマーと反応すると、355nm近くにポリマー色素の吸収極大をシフトさせて、405nmにおける吸収を最小限にすることができる、1つまたは複数の修飾単位を特定することであった。ポリマーの調製に関する一般反応スキームをスキーム1に示す。
【0235】
【0236】
モノマーおよび修飾単位の初期スクリーニングを、試験重合反応を使用して行った。
【0237】
355nmにおける良好な吸収、および405nmにおける最小励起を有するポリマーを生じた修飾単位を、大規模重合に選択した。
【0238】
DHPモノマー、および1種または2種の修飾単位を使用する試験重合反応(1:0.5:0.5の比で)を行った。表1Bには、DHPモノマー単位(f=11~40)を評価した。吸光度と発光極大の両方をモニタリングした。表1Bの項目1は、348nmにおける吸収極大、および408nmにおける発光極大を示した。さらに、吸収スペクトルは、比較的鋭く、したがって、405nmにおけるクロストークは最小限であった(クロストークは、2.1であった)。ポリマーは、輝度に関して優れた光物理特性、低いクロストーク、および高いコンジュゲーション収率を示した。1種および2種の修飾単位を使用するDHPモノマーの試験重合を、表1Bの項目1~16に示す通りに行った。これらの結果に基づいて、標的ポリマーの構成成分としてのジフルオロおよびトリフルオロベースの修飾単位と共に、DHPモノマーを用いて進めることに決めた(項目1に示されている)。他の好ましい標的ポリマーは、表1B、項目2、3、4、5、6、7、12または15の重合生成物を含む。表1B中の変数「f」は、11~40の整数である。表1B中の変数「p」は、18である。
【0239】
【表1B-1】
【表1B-2】
【表1B-3】
【表1B-4】
(実施例2)
キャップポリマーの合成
【0240】
方法1:丸底フラスコに、修飾単位およびDHPモノマーの両方を、(DMF-水)混合物にとり、窒素で10分間、パージした。窒素下、約20当量のCsFおよび10%のPd(OAc)2を混合し、80℃で加熱した。UV-Vis分光法およびSECクロマトグラフィーを使用して重合をモニタリングした。この後に、反応混合物に、適切な官能基を含有するキャッピング剤(G1から選択)を添加し、3時間後、第2のキャッピング剤(G2から選択)を添加した。反応後、粗製反応混合物を留去して、ゲルろ過カラムに通して、有機低分子および低MWオリゴマーを除去した。その後、粗製ポリマーをタンジェンシャルフローろ過システムに通した。
【0241】
方法2:丸底フラスコに、修飾単位およびDHPモノマー(1:1)の両方をとり、10当量のK2CO3および3%Pd(PPh3)4を含有するTHF-水(4:1)混合物に溶解した。反応混合物をシュレンクラインに取り付け、3回の凍結-ポンプ-解凍サイクルで脱気し、次に、窒素下、18時間、激しく撹拌しながら、80℃に加熱した。その後に、反応混合物に、窒素過圧下、適切な官能基を含有するキャッピング剤(G1から選択)をカニューレにより添加し、3時間後、第2のキャッピング剤(G2から選択)を添加した。反応後、粗製反応混合物を留去して、ゲルろ過カラムに通して、有機低分子および低MWオリゴマーを除去した。その後、粗製ポリマーをタンジェンシャルフローろ過システムに通した。
【0242】
NMR(ポリマーの品質)、GPC(Mw、MnおよびPDI)および分光法(モル消光係数、量子収率、輝度)およびキャップ効率を使用して、ポリマーをさらに特徴付けた。
【0243】
ポリマーは、以下の構造X(「f」は、0~50、または11~40の整数であり、G
1およびG
2は、本明細書に記載されている通りである):
【化57】
を有した。
【0244】
図1は、BUV395-CD4コンジュゲート(A)(Becton Dickinson Biosciences)と比較した、CD4抗体とコンジュゲートされているUV吸収性ポリマーの異なる3つのロット(B、C、D)の405nmのチャネルにおけるシグナル対ノイズ比の比較を例示する。レーザー励起は、355nmにおけるものとした。
【0245】
図1は、355nmのレーザーフローサイトメーターにおけるコンジュゲートされたポリマーは、BUV395CD4コンジュゲートAと比較して、405nmのチャネルにおいて2×超の輝度を有したことを示している。表2は、375nmおよび355nmにおける、BUV395-CD4コンジュゲートおよびポリマーCD4コンジュゲートの吸光度を示している。この後に、このポリマーCD4コンジュゲートを375nmのレーザーフローサイトメーターで分析し、このコンジュゲートは、405nmにおいて、BUV395CD4コンジュゲートに比較して、約5.5×の輝度を有した。表2に示されている通り、ポリマーCD4コンジュゲートは、355nmにおける吸光度と比較すると、375nmでは約75%の吸光度を有した一方、BUV395CD4コンジュゲートは、355nmに比較して、375nmにおける吸光度にわずか約5%の差しか有さなかったので、上記の結果は妥当である。したがって、本発明のUV吸収性ポリマーCD4コンジュゲートは、比較BUV395CD4コンジュゲートの性能よりも、375nmのレーザーシステムにおいて優れた性能を示した。これは、355nmと375nmの両方のレーザーフローシステムにおけるポリマーにとって、有利であり得る。
【0246】
【0247】
この実施例では、アクセプター色素を有するポリマータンデム色素は、実施例2に示されている一般方法に従って作製し、ポリマーは、以下に示されている構造(「f」は、0~50の整数であり、G
1およびG
2は、本明細書に記載されている通りである)を有しており、これを、次に、CD4抗体にコンジュゲートした。
【化58】
【0248】
ポリマータンデム色素を形成するため、実施例2からのポリマーを使用した。合成に関する反応スキームをスキーム2に示す。
【0249】
スキーム2.ポリマータンデム色素の合成。
【化59】
【0250】
NHBoc UVポリマーを合成するための手順:窒素雰囲気下、ポリマー溶液を、炭酸セシウム(100当量)を含有する10mLの反応フラスコに移した。tert-ブチル-3-ヨードプロピル-カルバメート溶液を保存溶液(無水DMF中の10mg/mL)から希釈し、ポリマー混合物に10当量を添加した。密封した反応フラスコを50℃に加熱し、反応を500rpmでの撹拌下、1時間、継続した。反応混合物を室温に冷却し、高真空下、回転式蒸発器でDMFを蒸発させた。粗製反応混合物をクロロホルム(25mL)で希釈し、15%w/vブライン溶液(25mL)で洗浄した。有機層を250mLのコニカルフラスコに収集し、追加のクロロホルム(12mL)を添加し、混合物を30%w/vブライン溶液(10mL)で3回、洗浄した。有機フラクションを20gの無水硫酸ナトリウムを添加することによって乾燥し、次に、Whatman Paper2に通してろ過し、150mLの平底フラスコに入れた。ろ過した硫酸ナトリウムをクロロホルム(15mL)で2回、洗浄して、残っているポリマー色素を回収し、同じ平底フラスコにろ過して入れた。クロロホルムを45℃および150~200rpmにおいて回転式蒸発器で蒸発させた。50℃で30~40分間、残留DMFを高真空ポンプ下で除去した。乾燥後のポリマーをジエチルエーテル(2×2mL)で洗浄し、2分間、音波処理して、未反応tert-ブチル-3-ヨードプロピル-カルバメートを取り除いた。ポリマーを高真空下で5分間、乾燥した後、ポリマーの収率を、初期ポリマー量に対して計算した。乾燥後のポリマー生成物は、1H NMRを使用して特徴付けた。1.4ppmにおけるプロトンのシグナルは、ポリマー中のNH-Boc部分の存在を示している。
【0251】
NH2 UVポリマーを合成するための手順:上記の通りに調製したNHBocポリマー50mgを20mLの丸底フラスコに添加し、1mLのメタノールおよび1mLの水に5分間、ボルテックスし、5分間、音波処理することによって溶解した。得られた溶液に、12M HCl(2mL)を添加し、混合物を室温で2時間、反応させた。次に、反応混合物を小さなビーカーに移し、15%w/vのK2CO3溶液を使用して、pHを9~10に調整し、さらに15分間、撹拌した。100mLの分離漏斗中、25mLのクロロホルムを用いてポリマーを抽出し、有機層をコニカルフラスコに収集した。水層にブライン溶液(15%w/v)を添加し、追加分のクロロホルムを使用して、残っているポリマーを回収した。UVランプを用いて抽出プロセスをモニタリングした。
【0252】
有機層を約40gの無水硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、Whatmanろ紙2に通してろ過し、250mLの平底フラスコに入れた。追加のクロロホルム洗液(2×20mL)を使用して、ろ過後の硫酸ナトリウムから残っているポリマーを回収した。合わせたクロロホルム層を、約40℃において回転式蒸発器で蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させた後に、固体を再度、クロロホルム(10mL)に溶解し、5分間、3000rpmで遠心分離して、15mLのファルコン管で塩不純物を除去した。上清を20mLバイアルでデカンテーションし、回転式蒸発器で濃縮し、高真空下で乾燥した。脱保護アミン官能基化ポリマーの収率は、保護したポリマーの量に対して計算した。
【0253】
ポリマータンデム色素を形成するため、10mgのポリマーをガラス製バイアルに秤量し、200μLの無水DMSOに溶解した。ポリマーが完全に溶解したことを確実にするため、ボルテックス、音波処理、および50℃の水浴での約10~15分間のインキュベーションの組合せを適用した。ここに、200μLのアセトニトリルおよび20μLのジイソプロピルエチルアミンを添加した。アクセプター色素NHSエステル(例えば、約700~800nmの中央に発光を有するアクセプター色素)の10mg/mL(w/v)溶液を無水DMSO中で調製し、8当量の色素をポリマー溶液に添加した。混合物を室温で2時間、撹拌し、光から保護すると、ポリマー鎖あたり、平均で2~3つの色素を含有する生成物が得られた。ポリマー鎖あたり1~6つの色素を含有する生成物は、反応に使用したアクセプター色素の量を調整することによって調製することができる。ポリマータンデム色素をCD4抗体とコンジュゲートした。
【0254】
精製したポリマーCD4コンジュゲートの吸収および発光の測定を行った。アクセプター対ドナー比は、1.7と計算された。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を355nmでポリマーを励起することによって検討し、ドナー発光の>90%の消光を伴うFRETによる、アクセプター色素からの発光をもたらした。このポリマーが405nmで励起されると、ポリマーとアクセプター色素の両方からいかなる蛍光もほとんど観察されなかった。このことは、現行の主鎖は、標準化技法を使用して修飾され得、好適なアクセプター色素を見出すことによって、効率的なエネルギー移動を得ることができることを示している。
【0255】
図2は、この実施例において形成された本発明のUVポリマー-Dy704タンデム-CD4コンジュゲートポリマータンデム色素に対する、BD Horizon BUV737の比較CD4コンジュゲートのS/N740/40nmチャネル(355におけるレーザー励起を用いる)におけるシグナル対ノイズ比を例示している。
【0256】
用いられている用語および表現は、説明の用語として使用されており、制限の用語として使用されておらず、示して説明されている特色のいかなる等価物もその一部も除外するこのような用語および表現の使用を意図しているわけではないが、本開示の実施形態の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本開示は、具体的な実施形態および必要に応じた特色によって具体的に開示されているが、本明細書において開示されている概念の修正および変形は、当業者によって使用され得ること、ならびにこのような修正および変形は、本開示の実施形態の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
(実施例4)
フローサイトメトリーのための試料調製物中の同時固定化緩衝液による表面染色のための手順
【0257】
この手順では、色素コンジュゲート間に経時的に起こり得る、考えられるいずれの非特異的相互作用も回避するため、本開示による染色用緩衝液を試験管に添加した後、色素コンジュゲートを添加する。固定化とは、蛍光抗体による染色後、数時間、劣化することなく白血球調製物を保管することを可能にする段階である。フローサイトメトリー向けの生体試料の調製において、赤血球を溶解するために、溶解溶液を使用してもよい。
【0258】
1. 25μLの未希釈IOTest 3 10× Fixative Solution(AO7800、Beckman Coulter,Inc)を1mLのVersaLyse(商標)溶解溶液(AO9777、Beckman Coulter,Inc)に添加することによって、「固定および溶解」混合物を即座に調製する。溶解する生物試験試料の数に応じて、十分な量の「固定および溶解」混合物を調製する(管あたり1uLの混合物)。
2. 各試験管において、10μLまたは20μLの本開示による染色用緩衝液を添加する。
3. 適切な量の色素コンジュゲートを添加する。管を穏やかにボルテックスする。
4. 各管に試験試料100μLを添加する。管を穏やかにボルテックスする。
5. 光から保護して、室温(18~25℃)で15~20分間、インキュベートする。次に、赤血球の溶解を行う:
6. 即座に調製した、「固定および溶解」混合物1mlを添加し、直ちに1秒間、ボルテックスする。
7. 光から保護して、室温で10分間、インキュベートする。
8. 室温において、5分間、150×gで遠心分離する。
9. 上清を吸引によって除去する。
10. 3mLのPBSを使用して、細胞ペレットを再懸濁する。
11. 室温において、5分間、150×gで遠心分離する。
12. 上清を吸引によって除去する。
13. 0.5mLのPBSおよび0.1%のホルムアルデヒド(0.1%ホルムアルデヒドのPBSは、1mLのPBS中、その10×の濃度で、12.5μLのIOTest 3 Fixative Solution(PNに関しては、カタログを参照されたい)を希釈することによって得ることができる)を使用して、細胞ペレットを再懸濁する。
【0259】
これらの調製物は、フローサイトメトリーによる分析前に、2~8℃の間で24時間、維持し、光から保護してもよい。
(実施例5)
細胞との非特異的相互作用を回避するための染色用緩衝組成物の構成成分の選択
【0260】
フローサイトメトリー中で生体試料を染色する際の使用のための1種または複数のポリマー色素コンジュゲートを含む多色パネルとの使用のための染色用緩衝組成物を開発した。第1の目的は、生体試料中の細胞との非特異的相互作用を回避する、組成物構成成分を選択することであった。
【0261】
1%PF-68を含む、または含まない本開示による、様々な濃度のUV吸収性ポリマーをヒト全血に添加した。赤血球を溶解し、白血球を2回、洗浄し、CytoFlex LXフローサイトメーターにかけた。FCAドットプロットを
図3に示す。上部パネルは、添加剤を含まない血液だけを示しており、中央の4つのパネルは、2.5ug/試験、5ug/試験、10ug/試験および20ug/試験(左から右に)の本開示によるUV吸収性ポリマーの添加を示しており、下の4つのパネルは、1%PF-68と共に、2.5ug、5ug、10ugおよび20ug(左から右に)の、本開示によるUV吸収性ポリマーの添加を示す。右上側のパネルは、10ugの消光したポリマー3の添加を示している。単球のMFI値は、1%PF-68を含むまたは含まないUVポリマー(2.5ug~20ug/試験)は、対照細胞と比較した場合、細胞に対する強力な非特異的結合を示さなかったことを示す(血液だけのパネル)。
【0262】
例示的な染色用緩衝組成物は、PBA緩衝液(PBS/BSA/NaN3)中、本開示によるUVポリマー色素(5~20ug/試験)、0.1~2%/試験のPF-68を提供する。
【0263】
例えば、FCA分析前の、生体試料を染色するための、多色パネルに添加する、ポリマー色素コンジュゲートを含む代表的な組成物を表4に示す。1つの例示的な染色用緩衝組成物は、PBS緩衝液中、0.5mg/mLのUVポリマー、7%のPF-68、2mg/mLのBSA、0.02%のNaN3を含む。UVポリマーは、本開示による任意のUVポリマーとすることができる。UVポリマーは、1種または複数のアクセプター色素を含むタンデムUVポリマーであってもよい。UVポリマーは、1種または複数の消光性部分を含む消光したUVポリマーであってもよい。
【0264】
染色用緩衝組成物を作製する方法を開発した。
【0265】
保存溶液は、以下の通り調製した。UVポリマー:1.3mgのポリマーを秤量し、次に、130uLのDMSOを添加して、ボルテックスによってポリマーを溶解して、10mg/mLのUVポリマー保存溶液を作製した。PF-68:10%PF-68の市販溶液を入手したまま使用する。BSA:20mgのBSAを秤量し、次に、1mLの緩衝液-PBSを添加して、20mg/mLの保存溶液を作製する。NaN3:10mgのNaN3を秤量し、次に、1mLの緩衝液-PBSを添加して、1%の保存溶液を作製する。
【0266】
表3に示されている上記の保存溶液を使用して、染色用緩衝組成物を製剤化した。
【0267】
【0268】
例えば、細胞を染色する前に、ポリマー色素コンジュゲートに表4の染色用緩衝組成物を添加することができる。例えば、生体試料を添加する前に、20uLの染色用緩衝組成物、次いでポリマー色素コンジュゲートを試験管に添加してもよい。
(実施例6)
2種の異なるUVポリマー色素コンジュゲートを含む染色用緩衝組成物の性能
【0269】
添加剤を含む/含まないで、様々な濃度のUVポリマーの存在下、どちらも本開示による2種のポリマー色素コンジュゲート:CD20-UV励起可能なポリマー色素(UVEPD)およびSN uv408-CD4(Beckman Coulter Life Sciences)を用いて、ヒト全血を染色した。2種のポリマー色素コンジュゲートおよび様々な添加剤で染色された細胞のFCAドットプロットを
図4に示す。左上側のパネルは、添加剤を含まないで染色された細胞を示し、上中央パネルは、1%PF-68で染色された細胞を示し、右上側のパネルは、本開示によるUVポリマー(10ug/試験)で染色された細胞を示し、左下側のパネルは、5ugのUVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示し、下中央パネルは、10ug/試験のUVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示し、ならびに右下側パネルは、20ugのUVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示す。この実施例では、UVポリマー(5~20μg/試験)+1%PF-68(下側の3つのパネル)を合わせたものの存在下で染色された細胞は、緩衝液の非添加試料(左上側パネル)、1%PF-68(上中央パネル)、およびUVポリマー単独(右上側のパネル)を含め、対照よりもスピルオーバーが少ないことを示した。各パネルにおける値は、MFI値を示している。
(実施例7)
2種の異なる紫色ポリマー色素コンジュゲートを含む染色用緩衝組成物の性能
【0270】
添加剤および/またはUVポリマーを含む/含まない、CD20-SN v428(Beckman Coulter Life Sciences)およびCD4-BV650(BD Biosciences)ポリマー色素コンジュゲートでヒト全血を染色し、溶解した。FCAドットプロットを
図5に示す。左上側のパネルは、添加剤を含まないPBS中での染色された細胞を示し、上中央パネルは、1%PF-68で染色された細胞を示し、右上側のパネルは、本開示によるUVポリマー(10ug/試験)で染色された細胞を示し、左下側パネルは、5ug/試験のUVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示し、下中央パネルは、10ug/試験のUVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示し、ならびに右下側パネルは、20ug/試験のUVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示す。
【0271】
この実施例では、UVポリマー(5~20μg/試験)+1%PF-68を合わせたものの存在下で染色された細胞(3つの下側のパネル)は、緩衝液の非添加試料(左上側)、1%PF-68(上中央)、およびUVポリマー単独(右上側)を含め、対照の分離よりも分離は良好であることを示した。各パネルにおける値は、MFI値を示している。
(実施例8)
UVポリマーおよび様々な濃度の非イオン性界面活性剤を含む染色用緩衝組成物の性能
【0272】
この実施例では、様々な濃度の非イオン性界面活性剤(0.1~1%PF-68)の効果を試験用の染色用緩衝液で検討した。CD20-SN v428(Beckman Coulter Life Sciences)およびCD4-BV650(BD Biosciences)でヒト全血を染色した。染色された細胞のFCAドットプロットを
図6に示す。右上側のパネルは、UVポリマー(10ug)で染色された細胞を示し、真ん中の中央パネルは、1%PF-68を含むPBS中で染色された細胞を示し、左上側のパネルは、緩衝液の非添加試料を示し、左下側のパネルは、UVポリマーおよび1%PF-68で染色された細胞を示し、下中央パネルは、UVポリマーおよび0.5%PF-68で染色された細胞を示し、右下側のパネルは、UVポリマーおよび0.1%PF-68で染色された細胞を示す。
この実施例では、UVポリマー+様々な濃度(0.1~1%)のPF-68を合わせたものの存在下で染色された細胞(左下側、下中央および右下側のパネル)は、緩衝液の非添加試料(左上側のパネル)、1%PF-68(上中央パネル)およびUVポリマー単独(10ug/試験;右上側のパネル)を含め、対照の分離よりも分離は良好であることを示した。各パネルにおける値は、MFI値を示している。
(実施例9)
2種の異なるポリマー色素コンジュゲートの混合物中のUVポリマーおよび消光したUVポリマーの染色用緩衝組成物のフローサイトメトリー性能
【0273】
本開示による3種の異なる消光したUVポリマー(消光したポリマー1~3)を、UV吸収性ポリマーおよびDabcyl色素消光性部分から調製した。消光剤のポリマー(D/P)に対する比は、3種の消光したUVポリマーに関して、2.5、5または10であると決定した。355nmの励起後の消光したポリマーの発光スペクトルの強度が、
図7に示されている。365~600nmの発光スペクトルが示される。消光したポリマー1(D/P=2.5)、消光したポリマー2(D/P=5.0)および消光したポリマー3(D/P=10)の405nmにおける量子収率(QY)は、それぞれ、0.072、0.030および0.003である。非消光ポリマーの量子収率は0.739である。
【0274】
2種の市販のポリマー色素コンジュゲートCD20-SN v428(Beckman
Coulter Life Sciences)およびCD4-BV650(BD Biosciences)の全血細胞との混合物中、D/P=2.5、5および10を有する3種の消光したポリマー(消光したポリマー1、消光したポリマー2および消光したポリマー3)をそれぞれ、1%PF-68を含む染色用緩衝液添加剤として、試験あたり5ug、10ugおよび20ugで用いた。
図8に、添加剤を含まない(左下側パネル)、対照である1%PF-68(左上側のパネル)、1%PF-68を含む比較の10ugのUVポリマー色素(左中央パネル)、ならびに1%PF-68を含む5ug、10ugまたは20ug/試験の消光したポリマー1、2および3(2列目のパネル、3列目のパネルおよび右側の列のパネル)を含む、CD20-SN v428-およびCD4-BV650との混合物中で、染色し、溶解した細胞のFCAドットプロットを示す。UVポリマー(10μg/試験)+1%PF-68を合わせたものを含む試験染色用緩衝組成物の存在下で染色された細胞(左中央パネル)、または1%PF-68を含む5ug、10ugもしくは20ug/試験の消光したポリマー1、2および3の存在下で染色された細胞(右側の3つの列、それぞれ、上側、中央、下側のパネル)はそれぞれ、添加剤を含まない(左下側のパネル)の対照よりも良好な分離を示した。各パネルにおける値は、MFI値を示している。
(実施例10)
2種の異なるポリマー色素コンジュゲートの混合物中の非イオン性界面活性剤単独のフローサイトメトリー性能
【0275】
非イオン性界面活性剤は、UV吸収性ポリマーまたは消光したUVポリマーを含む染色用緩衝組成物において、非特異的なポリマー色素コンジュゲートの相互作用を低減するための、望ましい添加剤であることが判明した。2種の異なるポリマー色素コンジュゲートの混合物を使用して、染色し、溶解した細胞のFCAに対する様々な濃度の非イオン性界面活性剤単独の効果を評価した。
図9は、緩衝液を含まない(左側のパネル)、0.1%PF-68を含む(左側から2番目のパネル)、0.5% PF-68(右側から2番目のパネル)を含む、および1%PF-68(wt/vol)を含む(右側のパネル)、CD4-BV650(BD Biosciences)とCD19-SNv428(Beckman Coulter Life Sciences)との混合物で染色し、溶解した細胞のFCAドットプロットを示す。PF-68(0.1~1%wt/vol)の濃度の向上の存在は、PF-68を含まない場合と比較して分離が改善されたことによって立証される通り、混合物中での非特異的相互作用の低減と関連している。
(実施例11)
2種の異なるポリマー色素コンジュゲートの混合物中の必要に応じた双性イオン性界面活性剤を含む染色用緩衝液のフローサイトメトリー性能
【0276】
一部の例では、本開示による組成物に、双性イオン性界面活性剤をやはり添加することが望ましいことがある。
図10は、緩衝液を用いない(上部パネル)、染色用緩衝液(UVポリマー+PF-68の組成物)と様々な濃度(0、0.03%、0.05%および0.07%)のEmpigen(それぞれ、中央パネル:左側、左から2番目、右から2番目、および右側)を合わせたもので染色された細胞を評価したものを示している。染色用緩衝液中の様々な濃度のEmpigenの存在は、染色用緩衝液の性能に影響しない。下側パネル:単球のMFI値は、染色用緩衝液への様々な濃度のEmpigenの添加(下側パネル:左から右)により、細胞に対する非特異的結合が対照試料(左下のパネル)と比較して低減することを示すことを示している。
例示的な実施形態
【0277】
以下の例示的な実施形態が提示され、その番号付けは、重要度のレベルを表すと解釈されるべきではない。
【0278】
実施形態1aは、式Iの構造を有するUV吸収性ポリマーを提供する:
【化60】
[式中、
各Xは、CおよびSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2、SiHR
2、SiHR
1およびSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、
各R
1は、水可溶化部分、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)基、カルボン酸、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化61】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、水可溶化部分、リンカー部分、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、スルホンアミド-PEG、ホスホルアミド-PEG、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化62】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、水可溶化部分およびPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、CH
2、CHR
4、O、NHおよびNR
4からなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2からなる群から独立して選択され、
各R
4は、H、PEG基、水可溶化部分、リンカー部分、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、消光性部分、L
2-E、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、C
2~C
18(ヘテロ)アリール基、アミド、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から独立して選択され、
各W
1は、独立して、水可溶化部分であり、
L
1、L
2およびL
3は、それぞれ独立して選択されるリンカー部分であり、
各Eは、発色団、官能基部分、基材および結合パートナーからなる群から独立して選択され、
各R
7は、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸およびC
2~C
12カルボン酸エステルからなる群から独立して選択され、
R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの少なくとも1つは、水可溶化部分を含み、
各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、
各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、M
2およびM
1は、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されており、
必要に応じた各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、
G
1およびG
2は、Eに必要に応じてコンジュゲートされている、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択され、
a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、
各bは、独立して、0または1であり、
各fは、独立して、0~50の整数であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数であり、
sは、1または2であり、
tは、0、1、2または3である]。
【0279】
実施形態1bは、式Iの構造を有する、実施形態1aのポリマーを提供する:
【化63】
[式中、
各Xは、CおよびSiから独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2およびSiR
1R
2から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、
各R
1は、ポリエチレングリコール(PEG)、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテルおよび-Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3から独立して選択され、
各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、および-Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノおよびPEG基から独立して選択され、
各Zは、CH
2、CHR
4、O、NHおよびNR
4から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2から独立して選択され、
各R
4は、発色団、連結した発色団、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、-Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3およびC
2~C
18(ヘテロ)アリール基から独立して選択され、
各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択され、
各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、
各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、
G
1およびG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)または必要に応じて置換されているフルオレンからそれぞれ独立して選択され、必要に応じて置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されていても、基材または結合パートナーにコンジュゲートされていてもよく、
a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、
各bは、独立して、0または1であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数である]。
【0280】
実施形態2aは、式II:
【化64】
の構造を有する、実施形態1aおよびIbのいずれか1つのポリマーを提供する。
【0281】
実施形態3は、式III:
【化65】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される]
の構造を有する、実施形態1a~2bのいずれか1つのポリマーを提供する。
【0282】
実施形態4は、式IV:
【化66】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数である]
の構造を有する、実施形態1a~3のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0283】
実施形態5は、式V:
【化67】
[式中、gおよびhは一緒になって、10~100%(mol%)であり、各fは、独立して、0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される]
の構造を有する、実施形態1a~4のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0284】
実施形態6は、式VI:
【化68】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される]
の構造を有する、実施形態1a~5のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0285】
実施形態7は、式VII:
【化69】
[式中、gおよびhは一緒になって、10~100%(mol%)であり、各fは、独立して、0~50の整数である]
の構造を有する、実施形態1a~6のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0286】
実施形態8は、式VIII:
【化70】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数である]
の構造を有する、実施形態1a~7のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0287】
実施形態9aは、式XIV:
【化71】
[式中、
R
2、R
3、G
1、G
2、L、Q、X、Y、Z、a、b、c、e、nおよびmのそれぞれは、独立して、本明細書に記載されている通りであり、
各R
4’は、F、Cl、-CH
3、-CF
3および-(OCH
2CH
2)
fOR
9から独立して選択され、各R
4’’は、F、Cl、-CH
3、-CF
3および-(OCH
2CH
2)
fOR
9から独立して選択され、R
9は、C
1~C
8アルキルであり、各fは、独立して、0~50または10~20の整数であり、各oは、独立して、1、2、3または4から選択される整数であり、各pは、独立して、1、2、3または4から選択される整数である]
による構造を含む、実施形態1a~8のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0288】
実施形態9bは、各M1が、独立して、1~4つのフッ素置換基を有するフッ素で置換されているアリーレンであるか、または各M1が、独立して、必要に応じてさらに置換されている、ハライド、MeO-PEG-CH2および/またはMeO-PEGで置換されているアリーレン(例えば、フェニレン)である、実施形態1a~9aのいずれか1つのポリマーを提供する。
【0289】
実施形態10は、各M1が、独立して、1~4つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンであり、フェニレンが、必要に応じてさらに置換されている、実施形態1a~9bのいずれか1つのポリマーを提供する。
【0290】
実施形態11は、各M1が、独立して、2つまたは3つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンである、実施形態1a~10のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0291】
実施形態12は、各M1が、ジフルオロ置換フェニレンである、実施形態1a~11のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0292】
実施形態13は、各M1が、
その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および3位、2位および5位または2位および6位において、フッ素でジフルオロ置換されているフェニレン、
その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位、3位および5位において、フッ素でトリフルオロ置換されているフェニレン、
その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および4位、2位および5位、4位および5位または4位および6位において、フッ素でジフルオロ置換されているフェニレン、ならびに
その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4位、5位および6位、2位、4位および5位または2位、4位および6位において、フッ素でトリフルオロ置換されているフェニレン
から独立して選択される、実施形態1a~12のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0293】
実施形態14は、各M1が、
その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および3位、2位および5位または2位および6位において、フッ素でジフルオロ置換されているフェニレン、ならびに
その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位および4位、2位および5位、4位および5位または4位および6位において、フッ素でジフルオロ置換されているフェニレン
から独立して選択される、実施形態1a~13のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0294】
実施形態15は、各M
1が、
【化72】
[式中、各fは、独立して、0~50、10~20または11~18の整数である]
から独立して選択される、実施形態1a~14のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0295】
実施形態16は、各M
1が、
【化73】
である、実施形態1a~15のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0296】
実施形態17は、各M1が、その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2,5-ジフルオロ置換されている、フェニレンである、実施形態1a~16のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0297】
実施形態18は、各M2が、独立して、1~4つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているアリーレンであるか、または各M2が、独立して、必要に応じてさらに置換されている、ハライド、MeO-PEG-CH2および/またはMeO-PEGで置換されているアリーレン(例えば、フェニレン)である、実施形態1a~17のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0298】
実施形態19は、各M2が、独立して、1~4つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンであり、フェニレンが、必要に応じてさらに置換されている、実施形態1a~18のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0299】
実施形態20は、各M2が、独立して、2つまたは3つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているフェニレンである、実施形態1a~19のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0300】
実施形態21は、各M2が、トリフルオロで置換されているフェニレンである、実施形態1a~20のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0301】
実施形態22は、各M2が、
その1位および4位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、2位、3位および5位において、フッ素でトリフルオロ置換されているフェニレン、ならびに
その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4位、5位および6位、2位、4位および5位または2位、4位および6位において、フッ素でトリフルオロ置換されているフェニレン
から独立して選択される、実施形態1a~21のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0302】
実施形態23は、各M
2が、
【化74】
[各fが、独立して、0~50、10~20または11~18の整数であり、M
2がM
1とは異なる]
である、実施形態1a~22のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0303】
実施形態24は、各M2が、その1位および3位がポリマーの主鎖に置換されているフェニレンであって、4,5,6-トリフルオロ置換されている、フェニレンである、実施形態1a~23のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0304】
実施形態25は、各Lが、
【化75】
[式中、
各R
6は、H、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3-C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、および1つまたは複数のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシまたは(OCH
2CH
2)
fOCH
3により必要に応じて置換されているベンジルから独立して選択され、
各fは、独立して、0~50の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数である]
から独立して選択される、実施形態1a~24のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0305】
実施形態26は、G1およびG2が、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されているフルオレン、官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されているアリール、および官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されているヘテロアリールからそれぞれ独立して選択される、実施形態1a~25のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0306】
実施形態27は、G
1およびG
2が、
【化76】
【化77】
[式中、
各R
6は、H、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3-C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、および1つまたは複数のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシまたは(OCH
2CH
2)
fOCH
3により必要に応じて置換されているベンジルからそれぞれ独立して選択され、
各fは、独立して、0~50の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数である]
から独立して選択される、実施形態1a~26のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0307】
実施形態28は、式IX:
【化78】
[式中、fは、独立して、0~50の整数である)
の構造を有する、実施形態1a~27のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0308】
実施形態29は、M1基のM2基に対するモル比が、0.5:1~1.5:1である、実施形態1a~28のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0309】
実施形態30は、M1基のM2基に対するモル比が、0.7:1~1.3:1である、実施形態1a~29のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0310】
実施形態31は、M1基のM2基に対するモル比が、0.9:1~1.1:1である、実施形態1a~30のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0311】
実施形態32は、M1基のM2基に対するモル比が、約1:1である、実施形態1a~31のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0312】
実施形態33は、bが0である、実施形態1a~32のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0313】
実施形態34は、aが25%~75%である、実施形態1a~33のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0314】
実施形態35は、aが35%~65%である、実施形態1a~34のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0315】
実施形態36は、aが45%~55%である、実施形態1a~35のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0316】
実施形態37は、cが5%~80%である、実施形態1a~36のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0317】
実施形態38は、cが10%~40%である、実施形態1a~37のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0318】
実施形態39は、cが15%~35%である、実施形態1a~38のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0319】
実施形態40は、cが20%~30%である、実施形態1a~39のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0320】
実施形態41は、dが0%である、実施形態1a~40のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0321】
実施形態42は、dが5%~80%である、実施形態1a~41のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0322】
実施形態43は、dが10%~40%である、実施形態1a~42のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0323】
実施形態44は、dが15%~35%である、実施形態1a~43のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0324】
実施形態45は、dが20~30%である、実施形態1a~44のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0325】
実施形態46は、eが0%である、実施形態1a~45のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0326】
実施形態47は、eが0%~20%である、実施形態1a~46のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0327】
実施形態48aは、少なくとも1つのR2が、-Z-(CH2)n-SO2-N(発色団)-R3である、実施形態1a~47のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0328】
実施形態49は、320nm~380nmに吸収極大を有する、実施形態1a~48のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0329】
実施形態50は、340nm~360nmに吸収極大を有する、実施形態1a~49のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0330】
実施形態51は、345nm~356nmに吸収極大を有する、実施形態1a~50のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0331】
実施形態52は、380nm~430nmの発光極大を有する、実施形態1a~51のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0332】
実施形態53は、406nm~415nmの発光極大を有する、実施形態1a~52のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0333】
実施形態54は、ポリマーに連結した結合パートナーをさらに含む、実施形態1a~53のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0334】
実施形態55は、結合パートナーが抗体である、実施形態54のポリマーを提供する。
【0335】
実施形態56aは、試料中の分析対象を検出するための方法であって、
分析対象を含有することが疑われる試料を、式I:
【化79】
[式中、
各Xは、CおよびSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2およびSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、
各R
1は、水可溶化部分、リンカー部分、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)基、カルボン酸、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化80】
からなる群から独立して選択され、各R
2は、水可溶化部分、リンカー部分、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、スルホンアミド-PEG、ホスホルアミド-PEG、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化81】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、水可溶化部分およびPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、CH
2、CHR
4、O、NHおよびNR
4からなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2からなる群から独立して選択され、
各R
4は、H、PEG基、水可溶化部分、リンカー部分、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、消光性部分、L
2-E、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、C
2~C
18(ヘテロ)アリール基、アミド、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から独立して選択され、
各W
1は、独立して、水可溶化部分であり、
L
1、L
2およびL
3は、それぞれ独立して選択されるリンカー部分であり、
各Eは、発色団、官能基部分、基材および結合パートナーからなる群から独立して選択され、
各R
7は、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸およびC
2~C
12カルボン酸エステルからなる群から独立して選択され、
R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの少なくとも1つは、水可溶化部分を含み、
各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、
各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、M
2およびM
1は、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されており、
必要に応じた各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、
G
1およびG
2は、Eに必要に応じてコンジュゲートされている、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択され、
a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、
各bは、独立して、0または1であり、
各fは、独立して、0~50の整数であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数であり、
sは、1または2であり、
tは、0、1、2または3である]
の構造を含むポリマーにコンジュゲートされている結合パートナーと接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0336】
実施形態56bは、ポリマーが、式I
[式中、
各Xは、CおよびSiから独立して選択され、
各Yは、結合、CR1R2およびSiR1R2から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、
各R1は、ポリエチレングリコール(PEG)、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテルおよび-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3から独立して選択され、
各R2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、および-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3から独立して選択され、
各R3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノおよびPEG基から独立して選択され、
各Zは、CH2、CHR4、O、NHおよびNR4から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR4、C1~C12アルキレンおよびCH2から独立して選択され、
各R4は、発色団、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、C2~C12アルケン、C2~C12アルキン、C3~C12シクロアルキル、C1~C12ハロアルキル、C1~C12アルコキシ、C2~C18(ヘテロ)アリールオキシ、C2~C18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH2)x’(OCH2-CH2)y’OCH3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3およびC2~C18(ヘテロ)アリール基から独立して選択され、
各M1は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択され、
各M2は、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルから独立して選択され、M2は、M1とは異なる構造を有しており、
各リンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、
G1およびG2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)および必要に応じて置換されているフルオレンからなる群からそれぞれ独立して選択され、置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPは、基材または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、例えば、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、
a、c、dおよびeは、ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、
各bは、独立して、0または1であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数である]
の構造を有し、
結合剤が、分析対象または標的結合生体分子と相互作用することができる、
実施形態56aの方法を提供する。
【0337】
実施形態57は、結合パートナーが、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体断片、糖、脂質、核酸またはアプタマーである、実施形態56aまたは56bの方法を提供する。
【0338】
実施形態58は、結合パートナーが抗体である、実施形態56a~57のいずれか1つの方法を提供する。
【0339】
実施形態59は、フローサイトメトリー向けに構成されている、実施形態56a~58のいずれか1つの方法を提供する。
【0340】
実施形態60は、結合パートナーが基材に結合している、実施形態56a~59のいずれか1つの方法を提供する。
【0341】
実施形態61は、分析対象が細胞表面に発現されるタンパク質である、実施形態56a~60のいずれか1つの方法を提供する。
【0342】
実施形態62は、免疫アッセイとして構成されている、実施形態56a~61のいずれか1つの方法を提供する。
【0343】
実施形態63は、さらなる分析対象を同時に検出するため、追加の結合パートナーを用意するステップをさらに含む、実施形態56a~62のいずれか1つの方法を提供する。
【0344】
実施形態64は、Yが、結合であり、R1およびR2が、それぞれ独立して、-Z-(CH2)n-SO2-Q-R3である、実施形態1a~55のいずれか1つのポリマーまたは実施形態56a~63のいずれか1つの方法を提供する。
【0345】
実施形態65は、各fが、独立して、5~30の整数であり、各nが、独立して、2~10の整数である、実施形態1a~55のいずれか1つのポリマーまたは実施形態56a~63のいずれか1つの方法を提供する。
【0346】
実施形態66は、各fが、独立して、10~25の整数であり、各nが、独立して、3~5の整数である、実施形態1a~55のいずれか1つのポリマーまたは実施形態56a~63のいずれか1つの方法を提供する。
【0347】
実施形態67は、アクセプター色素が消光性部分である、実施形態1a~55、64または65のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0348】
実施形態68は、結合パートナーを含まない、実施形態1a~55または64~67のいずれか1つのポリマーを提供する。
【0349】
実施形態69は、列挙されているすべての要素または選択肢が、使用または選択するために利用可能であるよう、必要に応じて構成されている、実施形態1a~68のいずれか1つまたは任意の組合せのポリマーまたは方法を提供する。
【0350】
実施形態70は、生体試料の染色における使用のための結合パートナーにコンジュゲートされている少なくとも1種の蛍光ポリマー色素との使用のための組成物であって、少なくとも1種のUV吸収性ポリマー色素または消光したUVポリマー色素(必要に応じて、UV吸収性ポリマー色素または消光したポリマー色素は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、Xおよび/もしくはXIVのいずれか、または実施形態1a~55のいずれか1つによる構造を含む)、非イオン性界面活性剤;および生物学的緩衝液を含み、組成物の非存在下での少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートと比較した場合、少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートの非特異的結合を低減する、組成物を提供する。
【0351】
実施形態71は、消光したUVポリマー色素が、少なくとも1つの消光性部分、必要に応じて1~30、2~20または2.5~10の消光性部分を含むUV吸収性ポリマー色素を含む、実施形態70の組成物を提供する。
【0352】
実施形態72は、消光性部分が、DABCYL、DABSYL、BHQ1、BHQ0、DDQI、EDQ、QSY7、QSY9、QSY35、TAMRA、Dabcyl Q、Dabcyl plus、490Q、425Qおよび505Qからなる群から選択される、実施形態70または71の組成物を提供する。
【0353】
実施形態73は、非イオン性界面活性剤が、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)トリブロックコポリマーである、実施形態70~72のいずれか1つの組成物を提供する。
【0354】
実施形態74は、非イオン性界面活性剤が、式(XII)
【化82】
[式中、各aは、独立して、2~130の範囲にあり、bは、15~67の範囲にある]による構造を含む、実施形態70~73のいずれか1つの組成物を提供する。
【0355】
実施形態75は、組成物が、タンパク質安定剤、保存剤およびさらなる界面活性剤からなる群から選択される追加の添加剤をさらに含み、必要に応じて、さらなる界面活性剤が、双性イオン性界面活性剤またはイオン性界面活性剤である、実施形態70~74のいずれか1つの組成物を提供する。
【0356】
実施形態76は、複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含み、複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲート同士の非特異的結合を実質的に低減する、実施形態70~75のいずれか1つの組成物を提供する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの構造を含む、UV吸収性ポリマー色素:
【化83】
[式中、
各Xは、CおよびSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2、SiHR
2、SiHR
1およびSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、
各R
1は、水可溶化部分、リンカー部分、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)基、カルボン酸、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化84】
【化85】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、水可溶化部分、リンカー部分、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、スルホンアミド-PEG、ホスホルアミド-PEG、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化86】
【化87】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、水可溶化部分、発色団およびPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、CH
2、CHR
4、O、NR
4およびNHからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2からなる群から独立して選択され、
各R
4は、H、PEG基、水可溶化部分、リンカー部分、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、消光性部分、L
2-E、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OR
9(式中、各R
9は、C
1~C
8アルキルであり、x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、C
2~C
18(ヘテロ)アリール基、アミド、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から独立して選択され、
各W
1は、独立して、水可溶化部分であり、
L、L
1、L
2およびL
3は、それぞれ独立して選択されるリンカー部分であり、
各Eは、発色団、官能基部分、基材および結合パートナーからなる群から独立して選択され、
各R
7は、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸、C
2~C
12カルボン酸エステルおよび-OC
1~C
12ヒドロキシからなる群から独立して選択され、
R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの少なくとも1つは、水可溶化部分を含み、
各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、
必要に応じた各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、M
2およびM
1は、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されており、
必要に応じた各リンカーLは、独立して、リンカー部分であり、
G
1およびG
2は、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択され、必要に応じてEにコンジュゲートされており、
a、c、dおよびeは、前記ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る前記構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、
各bは、独立して、0または1であり、
各fは、独立して、0~50の整数であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数であり、
sは、1または2であり、
tは、0、1、2または3である]。
(項目2)
G
1およびG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、ホスフェート、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されているアリール、必要に応じて置換されているヘテロアリール、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)および必要に応じて置換されているフルオレンからなる群からそれぞれ独立して選択され、前記置換されているアリール、ヘテロアリール、フルオレンまたはDHPが、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシルスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、必要に応じてEにコンジュゲートされている、項目1に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目3)
G
1およびG
2が、必要に応じて置換されているジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されているフルオレン、官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されているアリール、および官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されているヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、それぞれが、必要に応じてEにコンジュゲートされている、項目1に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目4)
必要に応じた各リンカーLが、前記ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基からなる群から独立して選択され;アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、必要に応じてEにコンジュゲートされている、項目1から3のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目5)
必要に応じた各リンカーLが、
【化88】
【化89】
[式中、
各R
6は、H、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3-C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、必要に応じて置換されているベンジル、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、(OCH
2CH
2)
fOCH
3、
【化90】
【化91】
からなる群から独立して選択される]
からなる群から独立して選択される、項目1から4のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目6)
前記ポリマーが、式II:
【化92】
の構造を有する、項目1から5のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目7)
前記ポリマーが、式III:
【化93】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される]
の構造を有する、項目1から6のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目8)
前記ポリマーが、式V:
【化94】
[式中、gおよびhは一緒になって、10~100%(mol%)であり、各fは、独立して、0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される]
の構造を有するコポリマーである、項目1から7のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目9)
前記ポリマーが、式VI:
【化95】
[式中、各fは、独立して、0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノおよびC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される]
の構造を有する、項目1から6のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目10)
前記ポリマーが、式XIV:
【化96】
[式中、
各R
4’は、F、Cl、-CH
3、-CF
3および-(OCH
2CH
2)
fOR
9から独立して選択され、
各R
4’’は、F、Cl、-CH
3、-CF
3および-(OCH
2CH
2)
fOR
9から独立して選択され、
各R
9は、C
1~C
8アルキルであり、
各fは、独立して、0~50または10~20の整数であり、
各oは、独立して、1、2、3または4から選択される整数であり、
各pは、独立して、1、2、3または4から選択される整数である]
の構造を有する、項目1から7のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目11)
前記ポリマーが、式IX:
【化97】
[式中、fは、独立して、0~50、10~20または11~40の整数である]
の構造を有する、項目10に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目12)
Yが、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2または結合である、項目1から6または10のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目13)
各M
1が、
【化98】
からなる群から独立して選択され、
各fが、独立して、0~50、10~20または11~18の整数である、
項目1から10または12のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目14)
各M
1が、独立して、必要に応じてさらに置換されている、ハライド、MeO-PEG-CH
2および/またはMeO-PEGで置換されているアリーレンであり、必要に応じた各M
2が、独立して、必要に応じてさらに置換されている、ハライド、MeO-PEG-CH
2および/またはMeO-PEGで置換されているアリーレンである、項目1から10、12または13のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目15)
各M
1が、独立して、1~4つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているアリーレンであり、各M
2が、独立して、1~4つのフッ素置換基を有する、フッ素で置換されているアリーレンであり、M
1とM
2が異なる、項目1から10または12から14のいずれか一項の記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目16)
各M
2が、
【化99】
からなる群から独立して選択され、
各fが、独立して、0~50の整数である、
項目1から10または12から15のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目17)
各M
2が、トリフルオロで置換されているフェニレンであり、必要に応じて、各M
2が、
【化100】
である、項目1から16のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目18)
各M
1が、
【化101】
からなる群から独立して選択され、各M
2が、
【化102】
である、項目1から10または12から17のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目19)
各M
1が、
【化103】
である、項目1から18のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目20)
M
1基のM
2基に対するモル比が、0.5:1~1.5:1である、項目1から19のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目21)
少なくとも1つのR
1が、-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(発色団)-R
3、-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(連結した発色団)-R
3、-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(消光性部分)-R
3または-Z-(CH
2)
n-SO
2-N(連結された消光性部分)-R
3である、項目1から20のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー。
(項目22)
前記ポリマーが、320nm~380nmの範囲の吸収極大、および380nm~1000nm、380nm~800nmまたは380nm~430nmの範囲の発光極大を有する、項目1から21のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目23)
前記ポリマーに共有結合されている結合パートナーを含み、前記結合パートナーが、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体断片、糖、脂質、核酸またはアプタマーである、項目1から22のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー。
(項目24)
項目1から23のいずれか一項に記載のポリマーを含む、UV吸収性コポリマー。
(項目25)
そのエネルギー受容近傍で発色団に共有結合している、項目1から24のいずれか一項に記載のポリマーを含む、UV吸収性ポリマータンデム色素。
(項目26)
300nm~400nm、320nm~400nmまたは350nm~400nmの範囲の近紫外励起スペクトルおよび/または吸収極大を有する近UV吸収性ポリマー色素である、項目1から25のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目27)
水溶性UV吸収性ポリマー色素である、項目1から26のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマー色素。
(項目28)
試料中の分析対象を検出するための方法であって、
前記分析対象を含有することが疑われる試料を、項目1から27のいずれか一項に記載のUV吸収性ポリマーにコンジュゲートされている結合パートナーと接触させて、前記分析対象との蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体を形成させるステップと、
前記試料に、少なくとも1種の前記蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体を励起することができる光源を適用するステップと、
前記蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体から放射された光を検出するステップと
を含む、方法。
(項目29)
ポリマーにコンジュゲートされている前記結合パートナーが、式I:
【化104】
[式中、
各Xは、CおよびSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、CHR
1、CHR
2、SiHR
2、SiHR
1およびSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、Yが、結合である場合、Xは、両方の環に直接、結合しており、
各R
1は、水可溶化部分、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、(ヘテロ)アリールオキシ、(ヘテロ)アリールアミノ、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)基、カルボン酸、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化105】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、水可溶化部分、リンカー部分、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アルキルアンモニウム塩、アルキルオキシアンモニウム塩、オリゴエーテルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルコキシスルホン酸塩、オリゴエーテルスルホン酸塩、スルホンアミドオリゴエーテル、スルホンアミド、スルフィンアミド、ホスホンアミデート、ホスフィンアミド、
【化106】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、水可溶化部分およびPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、CH
2、CHR
4、O、NR
4およびNHからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、C
1~C
12アルキレン、CHR
4およびCH
2からなる群から独立して選択され、
各R
4は、H、PEG基、水可溶化部分、リンカー部分、発色団、連結した発色団、官能基、連結した官能基、基材、連結した基材、結合パートナー、連結した結合パートナー、消光性部分、L
2-E、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3(各x’は、独立して、0~20の整数であり、各y’は、独立して、0~50の整数である)、Z-(CH
2)
n-SO
2-Q-R
3、C
2~C
18(ヘテロ)アリール基、アミド、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボン酸エステル、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基からなる群から独立して選択され、
各W
1は、独立して、水可溶化部分であり、
L
1、L
2およびL
3は、それぞれ独立して選択されるリンカー部分であり、
各Eは、発色団、官能基部分、基材および結合パートナーからなる群から独立して選択され、
各R
7は、H、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、C
2~C
12カルボン酸およびC
2~C
12カルボン酸エステルからなる群から独立して選択され、
R
1、R
2、R
3またはR
4のうちの少なくとも1つは、水可溶化部分を含み、
各M
1は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、
必要に応じた各M
2は、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されているヘテロアリーレン、必要に応じてさらに置換されている、R
4および/またはトリフルオロメチルで置換されている9,10-ジヒドロフェナントレン、ならびに必要に応じて置換されているビナフチルからなる群から独立して選択され、M
2は、M
1とは異なる構造を有しており、M
2およびM
1は、ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されており、
必要に応じた各リンカーLは、前記ポリマー主鎖に沿って均等またはランダムに分布されているアリールまたはヘテロアリール基であり、かつ別の基材、アクセプター色素、分子または結合パートナーへのコンジュゲーションのための、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオールおよびそれらの保護された基から選択される官能基で終端した1つまたは複数のペンダント鎖により置換されており、
G
1およびG
2は、非修飾ポリマー末端および修飾ポリマー末端からなる群からそれぞれ独立して選択され、必要に応じてEまたはL
2-Eにコンジュゲートされており、
a、c、dおよびeは、前記ポリマー主鎖に沿ってそれぞれ均等またはランダムに繰り返され得る前記構造内の各単位のmol%を規定し、ここで、aは、10~100%(mol%)であり、cは、>0~90%(mol%)であり、各dは、0~90%(mol%)であり、各eは、0~25%(mol%)であり、
各bは、独立して、0または1であり、
各fは、独立して、0~50の整数であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して、1~20の整数であり、
sは、1または2であり、
tは、0、1、2または3である]
の構造を含み、
前記結合パートナーが、前記分析対象または標的結合生体分子と相互作用することができる、
項目28に記載の、試料中の分析対象を検出するための方法。
(項目30)
前記結合パートナーが、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体断片、糖、脂質、核酸またはアプタマーである、項目28または29に記載の方法。
(項目31)
フローサイトメトリーのために構成されている、項目28から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
免疫アッセイとして構成されている、項目28から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
生体試料の染色における使用のための組成物であって、結合パートナーにコンジュゲートされている少なくとも1種の蛍光ポリマー色素との使用のためであり、
必要に応じて、項目1から27のいずれか一項によるものである、少なくとも1種のUV吸収性ポリマー色素、UV吸収性タンデム色素または消光したポリマー色素、
非イオン性界面活性剤、および
生物学的緩衝液
を含み、
前記組成物の非存在下での少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートと比較した場合、前記少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートの非特異的結合を低減する、
組成物。
(項目34)
前記消光したUVポリマー色素が、少なくとも1つの消光性部分、必要に応じて1~30、2~20または2.5~10の消光性部分を含むUV吸収性ポリマー色素を含む、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記消光性部分が、DABCYL、DABSYL、BHQ1、BHQ0、DDQI、EDQ、QSY7、QSY9、QSY35、TAMRA、Dabcyl Q、Dabcyl
plus、490Q、425Qおよび505Qからなる群から選択される、項目34に記載の組成物。
(項目36)
前記非イオン性界面活性剤が、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)トリブロックコポリマーである、項目33から35のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
前記非イオン性界面活性剤が、式XII:
【化107】
[式中、各aは、独立して、2~130の範囲にあり、bは、15~67の範囲にある]による構造を含む、項目33から36のいずれか一項に記載の組成物。
(項目38)
タンパク質安定剤、保存剤およびさらなる界面活性剤からなる群から選択される追加の添加剤をさらに含む、項目33から37のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
前記さらなる界面活性剤が、双性イオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される、項目38に記載の組成物。
(項目40)
複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含み、前記複数の蛍光ポリマー色素コンジュゲート同士の前記非特異的結合を実質的に低減する、項目33から39のいずれか一項に記載の組成物。
(項目41)
試料中の分析対象を検出するための方法であって、
項目33から40のいずれか一項に記載の組成物に、少なくとも1種のポリマー色素コンジュゲートを添加して、ポリマー色素コンジュゲート組成物を形成させるステップと、
分析対象を含有することが疑われる生体試料を前記ポリマー色素コンジュゲート組成物と接触させて、前記分析対象との蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体を形成させるステップと、
前記試料に、前記少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体を励起することができる光源を適用するステップと、
前記蛍光ポリマー色素コンジュゲート複合体から放射された光を検出するステップと
を含む、方法。
(項目42)
前記生体試料が、血液、骨髄、脾臓細胞、リンパ細胞、骨髄穿刺液、尿、血清、唾液、脳脊髄液、尿、羊水、間質液、便、粘液または組織からなる群から選択される、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記生体試料が血液試料である、項目41または42に記載の方法。
(項目44)
前記血液試料が全血試料である、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記生体試料が、全血の1種または複数の細胞を含む、項目41から44のいずれか一項の記載の方法。
(項目46)
全血の前記1種または複数の細胞が、赤血球、白血球、リンパ球、食細胞、単球、マクロファージ、顆粒球、好塩基球、好中球、好酸球、血小板または1種もしくは複数の検出可能なマーカーを含む任意の細胞である、項目44に記載の方法。
(項目47)
前記生体試料が細胞培養物に由来する、項目41に記載の方法。
(項目48)
2種またはそれより多くのポリマー色素コンジュゲートが前記組成物に添加される、項目41から47のいずれか一項の記載の方法。
(項目49)
前記放射された光が、約380nmより長い、または約380nm~約1000nm、もしくは約380nm~約800nmの範囲内の波長を有する、項目41から48のいずれか一項の記載の方法。
(項目50)
前記光を検出するステップが、フローサイトメトリーによって分析して、第1のフローサイトメトリープロットを得るステップであって、前記第1のフローサイトメトリープロットが、
前記生体試料を、前記非イオン性界面活性剤を含まず、かつ前記UV吸収性ポリマー色素も消光したUVポリマー色素も含まない組成物と接触させるステップを含んで得られる第2のフローサイトメトリープロットと比較した場合、
ポリマー色素コンジュゲートの非特異的相互作用の低減、および
ポリマー色素コンジュゲートの凝集の低減
からなる群の1つまたは複数を示す、ステップをさらに含む、
項目41から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
項目33から40のいずれか一項に記載の組成物を含むキットであって、前記組成物を含む容器、および必要に応じて前記少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを含む、キット。
(項目52)
項目33から40のいずれか一項に記載の組成物を含むキットであって、前記組成物を1つの容器に、前記少なくとも1種の蛍光ポリマー色素コンジュゲートを別の容器に含む、キット。