(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097834
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】配線部材の配索構造
(51)【国際特許分類】
B60K 7/00 20060101AFI20240711BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20240711BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20240711BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240711BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60K7/00
H02G3/22
B60L15/00 H
H02K7/14 Z
H02K5/22
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072822
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2020119761の分割
【原出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】村田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】山竹 尚文
(57)【要約】
【課題】インホイールモータに接続される配線部材の経路の自由度を高めることを目的とする。
【解決手段】配線部材の配索構造40は、インホイールモータ42と前記インホイールモータ42を収容するケーシング44とを含むインホイールモータユニット41と、前記インホイールモータ42と車体側機器80とを接続する配線部材50と、を備える。前記配線部材50において前記インホイールモータ42に接続される端部が第1固定部位51とされ、前記端部の次に車両に固定される部分が第2固定部位52とされる。前記ケーシング44に前記第2固定部位52が固定される配線固定部45が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インホイールモータと前記インホイールモータを収容するケーシングとを含むインホイールモータユニットと、
前記インホイールモータと車体側機器とを接続する配線部材と、
を備え、
前記配線部材において前記インホイールモータに接続される端部が第1固定部位とされ、前記端部の次に車両に固定される部分が第2固定部位とされ、
前記ケーシングに前記第2固定部位が固定される配線固定部が設けられている、配線部材の配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材の配索構造であって、
前記ケーシングに凹部が形成され、前記第1固定部位が前記凹部の底部の位置に固定され、前記第2固定部位が前記ケーシングのうち前記凹部の開口部を形成する部分に固定される、配線部材の配索構造。
【請求項3】
請求項2に記載の配線部材の配索構造であって、
前記ケーシングは放熱フィンを含み、
前記放熱フィンの少なくとも一部が前記配線固定部として用いられる、配線部材の配索構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の配線部材の配索構造であって、
前記第2固定部位において前記配線部材の周囲に設けられて前記開口部を覆う蓋部材をさらに備える、配線部材の配索構造。
【請求項5】
請求項4に記載の配線部材の配索構造であって、
前記蓋部材は本体と前記本体の周囲の外周部とを含み、
前記本体は弾性材料によって形成され、
前記配線部材は前記本体に形成された孔を通り、
前記外周部は前記弾性材料よりも高剛性の材料によってねじ形状に形成されたねじ形状部を有する、配線部材の配索構造。
【請求項6】
請求項5に記載の配線部材の配索構造であって、
前記本体は、前記外周部、前記配線部材及び前記ケーシングに密着する、配線部材の配索構造。
【請求項7】
請求項6に記載の配線部材の配索構造であって、
前記本体には第1リップ、第2リップ、及び第3リップが設けられており、
前記第1リップは、前記本体のうち前記ケーシングと接触する部分に設けられ、
前記第2リップは、前記本体のうち前記外周部と接触する部分に設けられ、
前記第3リップは、前記本体のうち前記配線部材と接触する部分に設けられている、配線部材の配索構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の配線部材の配索構造であって、
前記配線部材は複数の線状伝送部材と前記複数の線状伝送部材を覆うシースとを含み、
前記第1固定部位と前記第2固定部位との間に前記シースの端部が位置している、配線部材の配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材の配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両本体からインホイールモータへ電気信号を供給する配線装置を開示している。特許文献1において、配線の端部はインホイールモータのコネクタ部分に固定される。配線の端部への負荷を低減するため、配線の端部の次の固定部位は、ハンドル回転に応じたタイヤ切れ角変更時の回転の中心であるキングピンの付近に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インホイールモータに接続される配線部材の経路の自由度を高めることが望まれている。
【0005】
そこで、インホイールモータに接続される配線部材の経路の自由度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材の配索構造は、インホイールモータと前記インホイールモータを収容するケーシングとを含むインホイールモータユニットと、前記インホイールモータと車体側機器とを接続する配線部材と、を備え、前記配線部材において前記インホイールモータに接続される端部が第1固定部位とされ、前記端部の次に車両に固定される部分が第2固定部位とされ、前記ケーシングに前記第2固定部位が固定される配線固定部が設けられている、配線部材の配索構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、インホイールモータに接続される配線部材の経路の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる配線部材の配索構造を示す概略断面図である。
【
図2】
図2はインホイールモータユニットにおけるケーシングを示す正面図である。
【
図3】
図3は
図2のIII-III線に沿って切断された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材の配索構造は、次の通りである。
【0011】
(1)インホイールモータと前記インホイールモータを収容するケーシングとを含むインホイールモータユニットと、前記インホイールモータと車体側機器とを接続する配線部材と、を備え、前記配線部材において前記インホイールモータに接続される端部が第1固定部位とされ、前記端部の次に車両に固定される部分が第2固定部位とされ、前記ケーシングに前記第2固定部位が固定される配線固定部が設けられている、配線部材の配索構造である。ケーシングの配線固定部に第2固定部位が固定されることによって、インホイールモータユニットの周辺に配置される部品に第2固定部位を固定せずに済む。これにより、インホイールモータに接続される配線部材の経路の自由度を高めることが可能となる。
【0012】
(2)(1)の配線部材の配索構造において、前記ケーシングに凹部が形成され、前記第1固定部位が前記凹部の底部の位置に固定され、前記第2固定部位が前記ケーシングのうち前記凹部の開口部を形成する部分に固定されていてもよい。これにより、第1固定部位から第2固定部位までの間において線状伝送部材をなるべく曲げずに固定できる。
【0013】
(3)(2)の配線部材の配索構造であって、前記ケーシングは放熱フィンを含み、前記放熱フィンの少なくとも一部が前記配線固定部として用いられてもよい。これにより、放熱フィンが設けられるスペースを利用して、凹部を設けることができる。
【0014】
(4)(2)又は(3)の配線部材の配索構造において、前記第2固定部位において前記配線部材の周囲に設けられて前記開口部を覆う蓋部材をさらに備えていてもよい。これにより、第2固定部位を簡易にケーシングに取付けることができる。
【0015】
(5)(4)の配線部材の配索構造において、前記蓋部材は本体と前記本体の周囲の外周部とを含み、前記本体は弾性材料によって形成され、前記配線部材は前記本体に形成された孔を通り、前記外周部は前記弾性材料よりも高剛性の材料によってねじ形状に形成されたねじ形状部を有していてもよい。これにより、本体が弾性材料によって形成されているため配線部材に密着でき、配線部材のがたつきを抑制できる。またねじ形状に形成された外周部によって蓋部材が簡易にケーシングに取り付けられる。
【0016】
(6)(5)の配線部材の配索構造において、前記本体は、前記外周部、前記配線部材及び前記ケーシングに密着していてもよい。これにより、凹部内部を止水する簡易な止水構造が設けられる。
【0017】
(7)(6)の配線部材の配索構造において、前記本体には第1リップ、第2リップ、及び第3リップが設けられており、前記第1リップは、前記本体のうち前記ケーシングと接触する部分に設けられ、前記第2リップは、前記本体のうち前記外周部と接触する部分に設けられ、前記第3リップは、前記本体のうち前記配線部材と接触する部分に設けられていてもよい。これにより、凹部内部の止水性が高まる。
【0018】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの配線部材の配索構造において、前記配線部材は複数の線状伝送部材と前記複数の線状伝送部材を覆うシースとを含み、前記第1固定部位と前記第2固定部位との間に前記シースの端部が位置していてもよい。これにより、第2固定部位をケーシングに取り付ける際の複数の線状伝送部材の取扱いが容易となる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の配索構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材の配索構造について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材の配索構造40を示す概略断面図である。
図1は車体10の前後方向に対して直交し、かつ、車輪20の中心軸を通る面における概略断面図である。
図1において車輪20が断面図とされている。
図2はインホイールモータユニット41におけるケーシング44を示す正面図である。
図2は車体10の左右方向から見た図である。
図3は
図2のIII-III線に沿って切断された断面図である。
図3においてケーシング44の一部及び蓋部材60が断面図とされている。
【0021】
<配線部材の配索構造>
配線部材の配索構造40はインホイールモータユニット41と配線部材50とを備える。配線部材50は、インホイールモータユニット41におけるインホイールモータ(In-wheel motor)42と車体側機器80とを接続する配線用の部材である。配線部材50は、インホイールモータ42と車体側機器80とを接続する経路に沿って配索される。
【0022】
<配線部材の配索構造の適用対象について>
説明の便宜上、配線部材の配索構造40が適用される対象部分の構成について説明する。
【0023】
配線部材の配索構造40は車両における足回りに適用される。配線部材50の一部が配索される車体10は、自動車における車体である。
図1では車体10のうち前側の車輪20周りの部分が図示される。
図1では車輪20がステアリング操舵によって操舵されるものとして説明される。配線部材50は、ステアリング操舵によって操舵されない車輪用であってもよい。また、車輪20は前輪であってもよいし、後輪であってもよい。
【0024】
車体10は、フロア部分12と、ボディ部分14とを備える。フロア部分12は、地面に面する部分である。ボディ部分14は、フロア部分12の上側に設けられ、車体10の外装をなす。車体10は、剛性体であるフレームとボディとを一体化したモノコックボディであってもよいし、フレーム上にボディを搭載した構成であってもよい。なお、本実施形態において、自動車が通常走行する場合の走行方向を前、その反対側を後ろという場合がある。
【0025】
車体10に車輪20が回転可能に支持される。
図1に示す例では、フェンダーエプロン16内に車輪20が回転可能に支持される。懸架装置は、独立懸架方式等、如何なる懸架方式で車輪20を支持するものであってもよい。
図1に示す例では、ダンパ28とロアアーム30とによって車輪20が支持される例が示される。
図1に示す懸架装置は、ストラット式の懸架装置の一例である。
【0026】
車輪20は、ディスクホイール22とタイヤ24とを備える。ディスクホイール22は、鉄、アルミニウム等の金属によって形成されている。ディスクホイール22は、ディスク部22aと、タイヤ装着部22bとを備える。
【0027】
ディスク部22aは円板状に形成されている。ディスク部22aは例えば図示省略のホイールハブに固定される。当該ホイールハブはナックル部25、26によって回転可能に支持される。ナックル部25、26はダンパ28とロアアーム30とを介して車体10に支持される。
【0028】
タイヤ装着部22bは、ディスク部22aの周囲から車幅方向内側に突出する環状部分である。タイヤ装着部22bの両側縁に環状のリムが突出している。ゴム等の弾性部材によって形成されたタイヤ24が、上記タイヤ装着部22bの外周に装着される。
【0029】
図1に示す例では、ナックル部25、26として、上側ナックル部25と下側ナックル部26とが設けられている。
【0030】
上側ナックル部25は、車輪20の回転軸より上方においてホイールハブから車幅方向内側に向けて延びる。上側ナックル部25と車体10との間にバネ27及びダンパ28が設けられている。より具体的には、ダンパ28の上端部が車輪20の上側で車体10に対して支持されている。上側ナックル部25が軸受部29を介してダンパ28の下端部に回転可能に支持される。
【0031】
下側ナックル部26は、車輪20の回転軸より下方においてホイールハブから車幅方向内側に向けて延びる。下側ナックル部26はロアアーム30によって回転可能に支持されている。また下側ナックル部26には、ステアリング操舵の力を受けるアーム部26aが突設されている。
【0032】
ロアアーム30は金属等によって形成された部材である。ロアアーム30の基端部は、車輪20に対して車幅方向内側の位置で、フロア部分12に対して揺れ動き可能に支持される。ロアアーム30の基端部が揺れ動く際に中心となる軸は、車体10の前後方向に沿っている。ロアアーム30の基端部は、車輪20に対して斜め前方、内側、斜め後方、後方等でフロア部分12に揺れ動き可能に支持されていてもよい。これらの場合において、ロアアーム30が揺れ動く際の回転軸は、車体10の左右方向に沿っていてもよいし、前後方向に沿っていてもよいし、左右方向及び前後方向の両方に対して斜め方向に沿っていてもよい。
【0033】
ロアアーム30の先端部は、フロア部分12からフェンダーエプロン16内に向けて(ここでは車幅方向外側に向けて)延びる。ロアアーム30の先端部には、軸受部31が設けられている。下側ナックル部26が軸受部31を介してロアアーム30の先端部に回転可能に支持される。軸受部31による回転軸は、車輪20がフェンダーエプロン16内で回転する操舵回転中心軸である。
【0034】
上記したように、ロアアーム30の基端部がフロア部分12に対して揺れ動き可能に支持されているため、ロアアーム30は、車輪20を、フェンダーエプロン16内で上下方向に移動可能に支持している。ロアアーム30によって車輪20の移動方向が規制された状態で、ダンパ28が上側ナックル部25と車体10との間に介在する。このダンパ28と当該ダンパ28に外装されたバネ27とが、走行時における路面の凹凸による衝撃を吸収する。
【0035】
アーム部26aの先端部にタイロッド32が連結されている。運転者によるステアリング操舵によってステアリングホイール18が回転すると、その回転運動が、ステアリングシャフト18a及びラックアンドピニオン機構等の伝達機構18bを介して、車幅方向の動きとしてタイロッド32に伝達される。タイロッド32が車幅方向に動くと、下側ナックル部26が軸受部31の回転軸を中心として回転することができる。これにより、ステアリング操舵によって、車輪20が操舵回転中心軸を中心として回転することができる。車輪20が操舵回転中心軸を中心として回転することによって、車体10の進行方向が変えられる。
【0036】
以下、配線部材の配索構造40における各部について詳述する。
【0037】
<インホイールモータユニット>
インホイールモータユニット41は、インホイールモータ42とケーシング44とを含む。インホイールモータユニット41は、車輪20に組込まれる。
【0038】
インホイールモータ42は、車輪20を回転させる走行用のモータである。インホイールモータ42はモータ本体42aとモータシャフト42bとを含む。モータ本体42aは例えば3相誘導電動機である。モータ本体42aは3相誘導電動機以外の電動機であってもよい。モータシャフト42bはモータ本体42aによって回転駆動する。モータシャフト42bにはホイールハブが取付けられる。モータシャフト42bとホイールハブとは直結されてもよいし、ギアなどの伝達機構又は減速機構を介して取付けられてもよい。ホイールハブがモータシャフト42bの回転に応じて回転することにより、ホイールハブに固定されたディスク部22aも回転し、もって車輪20が回転する。
【0039】
インホイールモータ42には配線接続部43が設けられる。配線接続部43は配線部材50と接続される。ここでは配線接続部43はコネクタ43である。コネクタ43は例えばモータ本体42aの回路から延びる端子と、端子を収めるハウジングとを含む。配線接続部43はコネクタ43である必要はない。例えば、配線接続部はボルト固定部が設けられた端子台などであってもよい。配線接続部43はケーシング44の1つの側面44aにおいて外方に露出している。
【0040】
ケーシング44は、インホイールモータ42を収容する。ケーシング44は、ホイールハブを回転自在に支持するナックル部25、26に固定されている。
図1に示す例では、ケーシング44は、上側ナックル部25及び下側ナックル部26の間に設けられる。ケーシング44は金属又は樹脂等によって形成される。ケーシング44は1つの部品から構成されてもよいし、複数の部品が組み合わさって構成されていてもよい。
【0041】
ケーシング44には配線固定部45が設けられている。ここではケーシング44に凹部46が形成される。凹部46の開口部に配線固定部45が設けられている。凹部46の底部に配線接続部43が位置している。ケーシング44は放熱フィン47を含む。放熱フィン47の少なくとも一部が配線固定部45として用いられる。
【0042】
放熱フィン47はケーシング44において配線接続部43が露出する側面44aに設けられている。放熱フィン47は側面44aから外方に向けて突出する板状に形成されている。
図1に示す例では側面44aは車幅方向内側を向いている。側面44aはこれ以外の向きを向いていてもよい。配線接続部43は側面44aに形成された孔から外方に露出している。
図1に示す例では、配線接続部43は側面44aよりも外方に突出している。配線接続部43は側面44aよりも外方に突出していなくてもよい。
【0043】
ここでは放熱フィン47は互いに平行に複数設けられている。一部の放熱フィン47aは中間の領域において途切れている。この放熱フィン47が途切れた領域が凹部46とされる。つまり凹部46は放熱フィン47に囲まれた部分である。ここでは、放熱フィン47が途切れた部分にボス48が設けられている。
【0044】
ボス48は円筒状に形成されている。ボス48はケーシング44の側面44aに配線接続部43を囲うように設けられている。ボス48は円筒状以外の形状に形成されていてもよい。ボス48の内部が凹部46とされる。ボス48が凹部46の周壁である。周壁48は環状に形成されている。周壁48にはねじ形状部49が設けられている。ここでは周壁48の開口部の内面にねじ形状部49が設けられている。
【0045】
<配線部材>
配線部材50は、電気又は光を伝送する線状伝送部材を少なくとも1つ含む。線状伝送部材は例えば電線又は光ファイバケーブルなどである。ここでは配線部材50はインホイールモータ42に電力を供給するための電線を含む。
図3では、配線部材50が4つの電線53、54、55、56を含む例が示される。
【0046】
各電線53、54、55、56は芯線の周囲に被覆が形成された被覆電線である。各電線53、54、55、56は導電路が一つである単心線である。複数の単心線に代えて複数の芯線が押出被覆された被覆部によって1つにまとめられたケーブルが採用されてもよい。電線53、54、55は、例えばインホイールモータ42に3相交流を供給する電源線である。電線56は、例えば信号を伝達する信号線である。電線56はセンサ用又は制御用の信号線である。配線部材50は電線53、54、55、56に代えて又は加えて、光ファイバケーブルを含んでいてもよい。複数の電線53、54、55、56はシース57によってまとめられている。例えば、シース57は、複数の電線53、54、55、56の周囲に押出被覆されたものである。
【0047】
シース57によってまとめられている部分において、配線部材50の横断面の外形状は如何なる形状であってもよい。
図3では、配線部材50の横断面の外形状が円形をなす例が示される。配線部材50の横断面の外形状は、楕円形、長方形状等をなしていてもよい。なお、横断面とは、配線部材50の軸に対して直交する面における断面である。
【0048】
配線部材50の一端部は車体側機器80に接続されている。配線部材50の一端部は、車体側機器80に対してコネクタ接続されていてもよい。配線部材50は、車体側機器80から直接引出されていてもよい。配線部材50の一端部は、他の配線部材を介して車体側機器80に接続されてもよい。かかる車体側機器80は当該インホイールモータ42を駆動する駆動ユニットであることが想定される。例えば、インホイールモータ42が3相誘導電動機である場合、車体側機器80は、インホイールモータ42の駆動用のU相、V相、W相の三相交流を与えるためのインバータユニットであることが想定される。
【0049】
配線部材50の他端部はインホイールモータ42に接続されている。配線部材の他端部にはコネクタ58が設けられている。複数の電線53、54、55、56の端部はコネクタ58のハウジングに収められている。配線部材50とインホイールモータ42とはコネクタ58、43を介して接続されている。配線部材50とインホイールモータ42とはコネクタ58、43を介さずに直接接続されてもよい。配線部材50の他端部において、複数の電線53、54、55、56が分岐し、それぞれ別箇所に接続されてもよい。
【0050】
車体側機器80からインホイールモータ42に向かう配線部材50の経路は適宜設定可能である。例えば
図1に示す例では配線部材50の経路は、以下のように設定される。配線部材50は、車体10内の車体側機器80から延出して、フェンダーエプロン16を貫通し、フェンダーエプロン16内に導かれる。フェンダーエプロン16内において、配線部材50は、ダンパ28の側方部、上側ナックル部25の先端部、上側ナックル部25と下側ナックル部26との間などを経由してインホイールモータユニット41に向けて導かれる。インホイールモータユニット41において、配線部材50はケーシング44の凹部46の開口部から底部に向けて延び、底部の位置においてインホイールモータ42の配線接続部43に接続される。
【0051】
配線部材50においてインホイールモータ42に接続されて固定される端部が第1固定部位51とされる。第1固定部位51は配線接続部43に固定される。第1固定部位51は凹部46の底部の位置に固定される。第1固定部位51において複数の電線53、54、55、56はシース57の端部から延出し、ばらけた状態とされている。
【0052】
また、配線部材50においてインホイールモータ42に接続される端部の次に車両に固定される部分が第2固定部位52とされる。第2固定部位52は配線固定部45に固定される。第2固定部位52がケーシング44のうち凹部46の開口部を形成する部分に固定される。第2固定部位52において複数の電線53、54、55、56はシース57によってまとめられている。従って、シース57の端部は、第1固定部位51と第2固定部位52との間に位置する。
【0053】
配線部材50は第1固定部位51と第2固定部位52との間でケーシング44に沿って延びる。そして、配線部材50は第2固定部位52を境に、ケーシング44から離れるように車体側に向けて延びる。この場合、配線部材50のうちケーシング44に沿って延びる部分の一方の端部が第1固定部位51とされ、他方の端部が第2固定部位52とされる。なお、配線部材50がケーシング44に沿って延びる部分とは、ケーシング44の内部を延びたり、ケーシング44の表面に沿って延びたりする部分である。
【0054】
第2固定部位52は蓋部材60を介して凹部46の周壁48に固定されている。従ってここでは配線部材の配索構造40は蓋部材60をさらに備える。またフェンダーエプロン16内において配線部材50のうち第2固定部位52よりも車体10側の一部は、支持部材70によって支持されている。従ってここでは配線部材の配索構造40は支持部材70をさらに備える。
【0055】
<蓋部材>
蓋部材60は第2固定部位52において配線部材50の周囲に設けられている。蓋部材60は凹部46の開口部を覆う。ここでは蓋部材60は凹部46の開口部において周壁48の内周側に嵌る。蓋部材60は周壁48の内周側に嵌っていなくてもよい。例えば、蓋部材は周壁48の端面よりも外側に位置し凹部46の開口部を塞いでいてもよい。また例えば、蓋部材の外縁に軸方向に突出する突出部が設けられ、この突出部の内周側に周壁48が嵌っていてもよい。蓋部材60は本体62と外周部64とを含む。
【0056】
本体62は弾性材料によって形成される。本体62の形状は如何なる形状であってもよい。ここでは本体62の外形状は円形状に形成される。本体62の外形状は凹部46の横断面形状に応じた形状に形成されるとよい。本体62には孔62hが形成されている。
【0057】
孔62hは本体62を貫通する。孔62hは本体62において凹部46の底部を向く面とその反対を向く面とを貫通する。配線部材50は孔62hを通り、蓋部材60の一方側から他方側へ延びている。孔62hの形状は如何なる形状であってもよい。孔62hは配線部材50のうち第2固定部位52の横断面形状に応じた形状に形成されるとよい。ここでは配線部材50のうちシース57が設けられた部分が孔62hを通っている。シース57の外形状が円形状であるため、ここでは孔62hは円形状に形成される。
【0058】
複数の電線53、54、55、56はシース57によって1つにまとめられているため、孔62hの数は1つである。複数の電線53、54、55、56が1つにまとめられていない場合、孔62hの数は1つであってもよいし、複数であってもよい。孔62hの数が複数の場合、複数の孔62hの配置及び複数の孔62hに通される複数の電線53、54、55、56の配置は、コネクタ58における複数の電線53、54、55、56の配置に応じた配置とされていてもよい。
【0059】
配線部材50が通される前の孔62hの大きさは如何なる形状であってもよい。配線部材50が通される前の孔62hの大きさは配線部材50の大きさ(ここではシース57の大きさ)と同じかわずかに小さくてもよい。この場合、配線部材50が通される際、孔62hが広げられるとよい。配線部材50が通される前の孔62hの大きさは配線部材50の大きさ(ここではシース57の大きさ)よりわずかに大きくてもよい。孔62hと配線部材50との間に止水剤が設けられていてもよい。孔62hの長さ寸法(本体62の厚み寸法)は如何なる寸法であってもよい。孔62hに配線部材50を通す観点からは、孔62hはなるべく短い方がよい。孔62hによって配線部材50を保持する観点からは、孔62hは配線部材50を保持できる程度の長さがあった方がよい。
【0060】
本体62における孔62hの位置は如何なる位置であってもよい。孔62hの位置は配線接続部43と同軸上の位置に応じた位置に形成されるとよい。配線接続部43と同軸上の位置とは、
図2のようにケーシング44の正面視において、配線接続部43と孔62hとが重なる位置である。これにより、第1固定部位51から第2固定部位52に向けて配線部材50がなるべく曲がらずに延びることができる。
【0061】
外周部64は本体62の周囲に設けられた部分である。外周部64はねじ形状部65を有する。ねじ形状部65は弾性材料よりも高剛性の材料によって形成されている。ここでは外周部64の外向き面にねじ形状部65が設けられている。ねじ形状部65は周壁48のねじ形状部49に締められている。ねじ形状部49、65は対応する形状に形成されている。外周部64は蓋部材60の軸方向に沿って突出する部分を有し、その突出部の内向き面にねじ形状部が設けられていてもよい。
【0062】
外周部64におけるねじ形状部65と本体62とは回転自在とされるとよい。これによりねじ形状部49、65がねじ締めされる際、又はねじ形状部49、65のねじ締めが解除される際、本体62に通された配線部材50が回転することが抑制される。例えば、外周部64はねじ形状部65と本体62とを回転自在に連結するベアリングを有していてもよい。本体62の外周側にベアリングが設けられ、ベアリングの外周側にねじ形状部65が設けられていてもよい。
【0063】
ねじ形状部49、65がねじ締めされた状態で、本体62はねじ形状部65に対して回転することが抑制されるとよい。これにより、ねじ形状部49、65がねじ締めされた状態で、本体62に通された配線部材50が回転することが抑制される。例えば、周壁48においてねじ形状部49よりも底部側の部分が内周側に突出し、段差Sが設けられている。ねじ形状部49、65がねじ締めされた状態で、周壁48の段差部分と本体62の外縁とが密着する。これにより、ねじ形状部49、65がねじ締めされた状態で、周壁48と本体62との摩擦によってねじ形状部65に対する本体62の回転が抑制される。
【0064】
ここでは、蓋部材60によって凹部46の内部が止水されている。これについて、
図4を参照しつつ詳述する。
図4は、
図3の領域Aの拡大図である。
【0065】
具体的には、蓋部材60における本体62は、ケーシング44、外周部64及び配線部材50それぞれと密着している。これにより、本体62とケーシング44、外周部64及び配線部材50それぞれとの間からの水の浸入を抑制している。ここでは本体62は、配線部材50の径方向において外周部64と配線部材50とに密着し、配線部材50の長手方向において外周部64とケーシング44とに密着している。この際、本体62にはケーシング44、外周部64及び配線部材50それぞれと接する部分にリップが設けられている。かかるリップとして、
図4に示す例では、第1リップ63a、第2リップ63b、63c、及び第3リップ63dが設けられている。
【0066】
第1リップ63aは、本体62のうちケーシング44と接触する部分に設けられている。より詳細には、ケーシング44のうち周壁48の段差Sが環状に形成される。本体62のうち軸方向を向く端面のうち外周縁部が段差Sに接する。本体62における当該外周縁部に第1リップ63aが環状に設けられる。第1リップ63aは段差Sと軸方向に並ぶ。環状の第1リップ63aが全周にわたって段差Sに接する。第1リップ63aは、ねじ形状部49、65がねじ締めされた状態で、段差S及び外周部64によって軸方向に挟まれて押圧されているとよい。
【0067】
第2リップ63b、63cは、本体62のうち外周部64と接触する部分に設けられている。より詳細には、第2リップ63bは、本体62のうち第1リップ63aが設けられる端面の裏面に環状に設けられる。
図4に示す例では、第2リップ63bは第1リップ63aの真裏に設けられているが、第1リップ63a及び第2リップ63bは径方向に沿って内外に分かれて設けられていてもよい。第2リップ63bは外周部64と軸方向に並ぶ。環状の第2リップ63bが全周にわたって、外周部64の環状の端面に接する。第2リップ63bは、ねじ形状部49、65がねじ締めされた状態で、段差S及び外周部64によって軸方向に挟まれて押圧されているとよい。
【0068】
また第2リップ63cは、本体62のうち外周部64の内周面に対向する外周面に全周にわたって環状に設けられている。
図4に示す例では、第2リップ63cは本体62の外周面において軸方向に離れて2つ設けられている。第2リップ63cは外周部64と径方向に並ぶ。環状の第2リップ63cが全周にわたって、外周部64の内周面に接する。
【0069】
第3リップ63dは、本体62のうち配線部材50と接触する部分に設けられている。より詳細には、第3リップ63dは、本体62のうち孔62hの内周面に全周にわたって環状に設けられる。
図4に示す例では、第3リップ63dは孔62hの内周面において軸方向に離れて2つ設けられている。第3リップ63dは配線部材50のシース57と径方向に並ぶ。環状の第3リップ63dが全周にわたって、シース57の外周面に接する。
【0070】
もっとも、蓋部材60によって凹部46の内部が止水されている必要はない。また、蓋部材60によって凹部46の内部が止水されている場合でも、その構造は上記したものに限られない。例えば、
図4に示す例では、第1リップ63a及び第2リップ63bが1つずつ設けられ、第2リップ63c及び第3リップ63dが2つずつ設けられているが、各リップの数は、これに限られず、適宜設定可能である。また
図4に示す例では、2種類の第2リップ63b、63cが設けられていたが、第2リップ63bと第2リップ63cとのうちいずれかは省略されてもよい。また
図4に示す例では、蓋部材60は、ねじ形状部49、65がねじ締めされてケーシング44に取付けられるものであったが、蓋部材はケーシング44に圧入されるものであってもよい。
【0071】
さらに、蓋部材60はオイルシール性を有していてもよい。例えば、凹部46の内部にオイルが設けられ、当該オイルが凹部46から漏れることを蓋部材60が抑制するものであってもよい。かかるオイルシール性を有する蓋部材の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、蓋部材は、第3リップ63dの外側に第3リップ63dを配線部材50に向けて付勢する付勢部材を含んでいてもよい。この場合、本体62に付勢部材が装着される装着部が設けられると良い。かかる付勢部材は、例えば、コイルバネ等のばね部材が環状に形成されたものであってもよい。
【0072】
蓋部材60は配線部材50とは別に成形された部材であり、後から配線部材50に装着される。
【0073】
<支持部材70>
図1に示す例では、支持部材70は配線部材50に取付けられる。支持部材70は上側ナックル部25に支持されている。例えば支持部材70はブラケットである。ブラケットは取付対象にねじ止めされる。
【0074】
もっとも、支持部材70は、配線部材50のうち第2固定部位52と車体側機器80との間を上記配索形態で支持するものであればよく、そのための構成は特に限定されない。支持部材は、単一の支持部材であってもよいし、複数の支持部分を含んでもよい。また支持部材は、車体10側に支持されていてもよいし、車輪20側に支持されていてもよい。ここで、支持部材が車体10側に支持されるとは、操舵回転中心軸を中心として車輪20が回転しても回転しない部分に支持されていることをいう。例えば、支持部材が車体10に支持されている場合のほか、上記ダンパ28又はロアアーム30に支持されている場合である。また、支持部材70が車輪20側に支持されるとは、操舵回転中心軸を中心として車輪20が回転するとこれに追随して回転する部分に支持されていることをいう。例えば、支持部材70が上記上側ナックル部25又は下側ナックル部26に支持されている場合である。
【0075】
蓋部材60及び支持部材70の一方又は両方は、車両に取付けられる前に配線部材50に予め取付けられていると良い。配線部材50に蓋部材60及び支持部材70の一方又は両方が予め取付けられたものは配線モジュールととらえることもできる。配線部材50に蓋部材60及び支持部材70の両方が予め取付けられた配線モジュールにおいて、インホイールモータ42に接続される端部側から蓋部材60、支持部材70の順に設けられる。
【0076】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成された配線部材の配索構造40によると、ケーシング44の配線固定部45に第2固定部位52が固定されることによって、インホイールモータユニット41の周辺に配置される部品に第2固定部位52を固定する必要がなくなる。これにより、インホイールモータユニット41に接続される電線53、54、55、56の経路の自由度を高めることが可能となる。より詳細には、配線部材50の端部にかかる力を小さくするため、端部の次の固定部位の位置は端部近く(例えば、端部を基準にXmm以内の位置。Xは例えば100から300のいずれかの値。)に設定されることがある。この範囲で端部の次の固定部位の位置がインホイールモータ42近くの周辺部品に設定される場合、その固定位置が限定されることによって、配線部材50の経路の自由度が低くなる恐れがある。これに対してここでは、第2固定部位52がケーシング44の配線固定部45に固定されることによって、第2固定部位52よりも車体側機器80の経路の自由度が高くなる。また支持部材70の取付けられる位置の自由度も高くなる。
【0077】
また、第1固定部位51が凹部46の底部の位置に固定され、第2固定部位52が凹部46の開口部の位置に固定される。これにより、第1固定部位51から第2固定部位52までの間において配線部材50がなるべく曲がらずに固定されることができる。
【0078】
また、ケーシング44は凹部46の開口部の周縁に設けられた放熱フィン47を含む。これにより、放熱フィン47が設けられるスペースを利用して、凹部46を設けることができる。放熱フィン47が配線固定部45の一部を構成している。ケーシング44のうち放熱フィン47が設けられることによって突出する部分に凹部46が形成される。これにより、凹部46を形成するためにケーシング44の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0079】
また、配線部材50は第2固定部位52において配線部材50の周囲に設けられて凹部46の開口部に取付けられる蓋部材60をさらに備える。これにより、蓋部材60を介して第2固定部位52を簡易にケーシング44に取り付けることができる。
【0080】
また、蓋部材60の本体62が弾性材料によって形成されているため電線53、54、55、56に密着でき、電線53、54、55、56のがたつきを抑制できる。また、ねじ形状に形成された蓋部材60の外周部64によって蓋部材60が簡易にケーシング44に取り付けられる。
【0081】
また、凹部46の周壁48及び蓋部材60は凹部46の内部を止水している。具体的には、本体62は、ケーシング44、外周部64及び配線部材50それぞれと密着している。これにより、凹部46内部を止水する簡易な止水構造が設けられる。また、本体62にはケーシング44、外周部64及び配線部材50それぞれと接する部分に、第1リップ63a、第2リップ63b、63c、及び第3リップ63dが設けられている。これにより、凹部46内部の止水性が高まる。
【0082】
また第1固定部位51と第2固定部位52との間にシース57の端部が位置している。これにより、第2固定部位52をケーシング44に取り付ける際の複数の電線53、54、55、56の取扱いが容易となる。
【0083】
[変形例]
これまでケーシング44に凹部46が形成されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、ケーシングにおいて放熱フィンが形成されない側面に配線接続部が位置していてもよい。また第1固定部位51と第2固定部位52との間において配線部材50が曲げて配索されていてもよい。
【0084】
またこれまで凹部46における開口部の周縁に放熱フィン47が設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ケーシングにおいて放熱フィン47の設けられない部分に凹部46が形成されていてもよい。
【0085】
またこれまで蓋部材60によって第2固定部位52が配線固定部45に固定されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、ブラケットなど、蓋部材60以外の部品によって第2固定部位52が配線固定部45に固定されていてもよい。また配線固定部45がクリップ状などの配線部材50を直接支持可能な形状に形成されるなどして、第2固定部位52が直接ケーシング44に固定されていてもよい。
【0086】
またこれまで蓋部材60が弾性材料による本体62と本体62よりも高剛性の外周部64とを含むものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、蓋部材において、外周部64が省略されてもよい。この場合、蓋部材が凹部46の開口部に圧入されてもよい。また例えば、蓋部材と凹部46とはねじ形状部49、65とは別のねじによって、蓋部材が凹部46に取付けられていてもよい。この際、凹部の周壁の外側にねじ受が設けられ、外周部のうちねじ受に対応する位置にねじ孔が設けられていてもよい。また例えば、蓋部材は配線部材50をインサート物としてインサートモールド成形されたインサートモールド成形体であってもよい。
【0087】
またこれまで複数の電線53、54、55、56がシース57によって1つにまとめられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、複数の電線53、54、55、56は1つにまとめられていなくてもよい。また例えば、複数の電線53、54、55、56をまとめる部材は、シース57以外の保護部材であってもよい。かかる保護部材は、例えば、コルゲートチューブであってもよいし、螺旋巻された粘着テープであってもよいし、樹脂又は金属チューブであってもよい。また複数の電線53、54、55、56は、その長手方向全体に亘って1つにまとめられている必要はない。例えば、上記シース57が省略され、複数の電線53、54、55、56が、配線部材50を一定位置に支持する蓋部材60、ブラケットなどによって1つにまとめられていてもよい。ここでのブラケットは、支持部材70であってもよい。
【0088】
また配線部材50はインホイールモータユニット41用の電線53、54、55、56以外の配線を含んでいてもよい。かかる配線は、インホイールモータユニット41の周辺に配置される周辺機器に接続される。かかる周辺機器としては、例えば、センサ、電動ブレーキ等であることが想定される。例えば、センサは、車輪20の回転速度を検出するセンサであってもよいし、インホイールモータ42等の温度を検知する温度センサであってもよい。電動ブレーキは、自動車の駐停車時に使用される電動パーキングブレーキであってもよいし、自動車の走行時に使用されるブレーキであってもよい。
【0089】
これらの周辺機器と周辺機器用の配線との接続部は、電線53、54、55、56とインホイールモータ42との接続部と同じ位置に設けられてもよいし、異なる位置に設けられてもよい。周辺機器と周辺機器用の配線との接続部が電線53、54、55、56とインホイールモータ42との接続部と異なる位置に設けられる場合、電線53、54、55、56と周辺機器用の配線とは、蓋部材60よりも車体側機器80側で分岐していてもよい。
【0090】
周辺機器用の配線によって周辺機器と接続される車体側機器は、周辺機器との間で信号を送受したり、電力を供給したりする機器であればよい。例えば、車体側機器は、センサからの信号を受信したり、上記電動ブレーキを制御したりするECU(Electronic Control Unit)としての機能を含むものであってもよい。車体側機器は、車体10内に設けられてもよいし、車体10外に設けられてもよい。
【0091】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0092】
10 車体
12 フロア部分
14 ボディ部分
16 フェンダーエプロン
18 ステアリングホイール
18a ステアリングシャフト
18b 伝達機構
20 車輪
22 ディスクホイール
22a ディスク部
22b タイヤ装着部
24 タイヤ
25 上側ナックル部
26 下側ナックル部
26a アーム部
27 バネ
28 ダンパ
29 軸受部
30 ロアアーム
31 軸受部
32 タイロッド
40 配索構造
41 インホイールモータユニット
42 インホイールモータ
42a モータ本体
42b シャフト
43 配線接続部(コネクタ)
44 ケーシング
44a 側面
45 配線固定部
46 凹部
47 放熱フィン
48 ボス(凹部の周壁)
49 ねじ形状部
50 配線部材
51 第1固定部位
52 第2固定部位
53、54、55、56 電線
57 シース
58 コネクタ
60 蓋部材
62 本体
62h 孔
63a 第1リップ
63b、63c 第2リップ
63d 第3リップ
64 外周部
65 ねじ形状部
70 支持部材
80 車体側機器
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インホイールモータと前記インホイールモータを収容するケーシングとを含むインホイールモータユニットと、
前記インホイールモータと車体側機器とを接続する配線部材と、
を備え、
前記配線部材において前記インホイールモータに接続される端部が第1固定部位とされ、前記端部の次に車両に固定される部分が第2固定部位とされ、
前記ケーシングに前記第2固定部位が固定される配線固定部が設けられており、
前記配線部材のうち前記第2固定部位と前記車体側機器との間を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材はホイールハブを回転可能に支持するナックル部に支持されている、配線部材の配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材の配索構造であって、
前記ケーシングに凹部が形成され、前記第1固定部位が前記凹部の底部の位置に固定され、前記第2固定部位が前記ケーシングのうち前記凹部の開口部を形成する部分に固定される、配線部材の配索構造。
【請求項3】
請求項2に記載の配線部材の配索構造であって、
前記ケーシングは放熱フィンを含み、
前記放熱フィンの少なくとも一部が前記配線固定部として用いられる、配線部材の配索構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の配線部材の配索構造であって、
前記第2固定部位において前記配線部材の周囲に設けられて前記開口部を覆う蓋部材をさらに備える、配線部材の配索構造。
【請求項5】
請求項4に記載の配線部材の配索構造であって、
前記蓋部材は本体と前記本体の周囲の外周部とを含み、
前記本体は弾性材料によって形成され、
前記配線部材は前記本体に形成された孔を通り、
前記外周部は前記弾性材料よりも高剛性の材料によってねじ形状に形成されたねじ形状部を有する、配線部材の配索構造。
【請求項6】
請求項5に記載の配線部材の配索構造であって、
前記本体は、前記外周部、前記配線部材及び前記ケーシングに密着する、配線部材の配索構造。
【請求項7】
請求項6に記載の配線部材の配索構造であって、
前記本体には第1リップ、第2リップ、及び第3リップが設けられており、
前記第1リップは、前記本体のうち前記ケーシングと接触する部分に設けられ、
前記第2リップは、前記本体のうち前記外周部と接触する部分に設けられ、
前記第3リップは、前記本体のうち前記配線部材と接触する部分に設けられている、配線部材の配索構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の配線部材の配索構造であって、
前記配線部材は複数の線状伝送部材と前記複数の線状伝送部材を覆うシースとを含み、
前記第1固定部位と前記第2固定部位との間に前記シースの端部が位置している、配線部材の配索構造。