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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097846
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】耳装着機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074221
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2020039482の分割
【原出願日】2020-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】市川 憲造
(72)【発明者】
【氏名】三本木 正雄
(57)【要約】
【課題】耳に挿入されたとしても違和感を覚えにくく、外部の環境音を取り込むことができるイヤーピース、及び耳装着機器を提供する。
【解決手段】イヤーピース100は、ユーザの外耳道に挿入される耳装着機器の挿入部に取り付けられる取付部120と、略ドーム状の形状を有し、中央に取付部120が設けられたドーム状部110と、を備える。ドーム状部110は、挿入部が外耳道に挿入された状態において外耳道の壁部に部分的に接触し、ドーム状部110における取付部120が設けられた部分以外の部分であって外耳道に接触しない部分には、第1連通路102が形成されている。また、イヤーピース100は、ドーム状部110の第1連通路102が形成された部分を補強するとともに、第1連通路102に連通する第2連通路131が形成された補強部130をさらに備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの外耳道に挿入される耳装着機器の挿入部に取り付けられる取付部と、
略ドーム状の形状を有し、中央に前記取付部が設けられたドーム状部と、を備え、
前記ドーム状部は、前記挿入部が前記外耳道に挿入された状態において前記外耳道の壁部に部分的に接触し、
前記ドーム状部における前記取付部が設けられた部分以外の部分であって前記外耳道に接触しない部分には、第1連通路が形成されており、
前記ドーム状部の前記第1連通路が形成された部分を補強するとともに、前記第1連通路に連通する第2連通路が形成された補強部をさらに備え、
前記挿入部が前記外耳道に挿入された状態において、前記外耳道における前記ドーム状部よりも内側の部分が、前記第1連通路及び前記第2連通路を介して、前記ドーム状部よりも外側の外部に連通している、
イヤーピース。
【請求項2】
前記補強部は、多孔質材料で構成され、互いの間で空気が通り抜け可能な複数の通気路を前記第2連通路として有している、
請求項1に記載のイヤーピース。
【請求項3】
前記第1連通路は、前記挿入部の挿入方向に貫通する貫通孔を含み、
前記補強部は、前記ドーム状部の内周面と前記取付部とによって区画される空間に、前記貫通孔を覆うようにして設けられている、
請求項1又は2に記載のイヤーピース。
【請求項4】
前記第1連通路は、複数の前記第1連通路を含み、前記複数の第1連通路は、前記ドーム状部の中央を中心とした円周上に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のイヤーピース。
【請求項5】
挿入部が形成された筐体と、
前記筐体に設けられた電子機器と、
前記挿入部に取付部を介して取り付けられる請求項1~4のいずれか1項に記載のイヤーピースと、を備える、
耳装着機器。
【請求項6】
前記電子機器は、前記挿入部に設けられ、前記ユーザの生体情報を検出する検出部を有する、
請求項5に記載の耳装着機器。
【請求項7】
前記挿入部には、第1音導孔が形成され、
前記取付部には、前記第1音導孔に連通する第2音導孔が形成されており、
前記電子機器は、前記第1及び第2音導孔を介して前記外耳道に音を発する音発生部を有する、
請求項5に記載の耳装着機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤーピース、及び耳装着機器に関する。
【背景技術】
【0002】
耳に装着して使用される耳装着機器として、例えば、本体部に取り付けたイヤーピースを外耳道に挿入して音声を聞くイヤホン(いわゆるカナル型のイヤホン)がある。この種のイヤホンでは、イヤーピースで外耳道が密閉されることによって、外部の環境音が取り込みにくくなるという問題がある。
【0003】
引用文献1は、イヤーピースを外耳道に挿入した状態であっても、外耳道よりも外側の外部の環境音を聞こえやすくしたイヤホンを開示している。このイヤホンは、本体部の一部を構成する音導管に、外耳道とスピーカが設けられた空間とを連通させる貫通孔と、外耳道と外部とを連通させる通気孔とが形成されている。これにより、音導管に取り付けたイヤーピースを外耳道に挿入したとしても、通気孔を介して外部の環境音を外耳道に取り込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2013/014852号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のイヤホンでは、音導管に、スピーカからの音を外耳道に導くための貫通孔に加え、外部の環境音を外耳道に導くための通気孔が形成されている。そのため、音導管が大型化し、音導管に取り付けられたイヤーピースを耳に挿入した際に違和感を覚えやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、耳に挿入されたとしても違和感を覚えにくく、外部の環境音を取り込むことができるイヤーピース、及び耳装着機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るイヤーピースは、ユーザの外耳道に挿入される耳装着機器の挿入部に取り付けられる取付部と、略ドーム状の形状を有し、中央に前記取付部が設けられたドーム状部と、を備え、前記ドーム状部は、前記挿入部が前記外耳道に挿入された状態において前記外耳道の壁部に部分的に接触し、前記ドーム状部における前記取付部が設けられた部分以外の部分であって前記外耳道に接触しない部分には、第1連通路が形成されており、前記ドーム状部の前記第1連通路が形成された部分を補強するとともに、前記第1連通路に連通する第2連通路が形成された補強部をさらに備え、前記挿入部が前記外耳道に挿入された状態において、前記外耳道における前記ドーム状部よりも内側の部分が、前記第1連通路及び前記第2連通路を介して、前記ドーム状部よりも外側の外部に連通している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耳に挿入されたとしても違和感を覚えにくく、外部の環境音を取り込むことができるイヤーピース、及び耳装着機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る耳装着機器の斜視図。
図2】本発明の実施の形態に係る耳装着機器の分解斜視図。
図3】本発明の実施の形態に係る耳装着機器の機器本体の断面図。
図4】本発明の実施の形態に係るイヤーピースを示す図であり、(a)は平面図、(b)は補強部が設けられている様子を示した説明図。
図5】本発明の実施の形態に係るイヤーピースを示す図であり、(a)は図4(a)中の矢印VAからみたイヤーピースの側面図、(b)は(a)中の切断線B-Bで切断したイヤーピースの断面図。
図6】本発明の実施の形態に係る耳装着機器がユーザの耳に挿入された様子を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(耳装着機器1の概要)
図1に示すように、耳装着機器1は、機器本体10とイヤーピース100とを備えている。耳装着機器1は、機器本体10に取り付けられたイヤーピース100がユーザの外耳道に挿入されることにより、ユーザの耳に装着されるいわゆるカナル型のイヤホンである。耳装着機器1は、ユーザの左耳に装着される左耳用の機器と、ユーザの右耳に装着される右耳用の機器とがあるが、両者は左右対称の構成を有している。そこで、重複する記載を避けるために、以下、右耳用の耳装着機器1の詳細について説明し、左耳用の耳装着機器の詳細については説明を省略する。
【0012】
(機器本体10の構成)
機器本体10は、図2及び図3に示すように、第1筐体20と第2筐体30とが組み合わされて構成される筐体40と、筐体40の内部に収容される電子機器としての通信部50及び音発生部60と、を備えている。
【0013】
第1筐体20は、例えば合成樹脂製で、図2に示すように、筐体40のイヤーピース100が取り付けられる側の部分を構成する。第1筐体20は、図2及び図3に示すように、筐体40の収容空間S(図3)の一部を区画するお椀状の収容部21と、収容部21から突出するように形成された挿入部22とを有している。また第1筐体20には、図3に示すように、収容部21と挿入部22とを貫通する第1音導孔としての音導孔23が形成されている。音導孔23は、大径の第1孔部23aと小径の第2孔部23bとを有しており、筐体40の内部に収容された音発生部60からの音を、挿入部22の先端に向けて導く。
【0014】
挿入部22は、後述するように、耳装着機器1(図1)がユーザの耳に装着される際にユーザの外耳道に挿入される部分である。図3に示すように、挿入部22のうち先端側の縮径した部分は、図1に示すイヤーピース100が装着される装着部25である。装着部25の外周面には、イヤーピース100を係止するための突起部24が形成されている。
【0015】
第2筐体30は、例えば合成樹脂製で、筐体40の収容空間S(図3)の一部を区画する。第2筐体30は、図2に示すように、筐体40のイヤーピース100が取り付けられる側とは反対側の部分を構成する。
【0016】
通信部50は、図2に示すように、回路基板51に搭載されており、図示しない携帯端末からの電気信号を無線通信により受信する。この無線通信の規格は、例えばBluetooth(登録商標)である。
【0017】
音発生部60は、図示しないD/A(デジタル/アナログ)変換回路を備えている。音発生部60は、回路基板51を介して、通信部50と電気的に接続されている。音発生部60は、通信部50から送信されてきた電気信号を変換して音を発する。なお、音発生部60は、図3に示すように、音導孔23の一端に形成された開口に対向するように配置される。これにより、音発生部60から発信された音は、音導孔23内に放出される。
【0018】
(イヤーピース100の構成)
イヤーピース100は、ユーザの外耳道に挿入されても違和感を覚えにくい柔らかい材料から構成されており、例えばシリコンから構成されている。イヤーピース100は、図2及び図5に示すように、外耳道への挿入方向(図2においては、矢印IVが示す方向とは反対の方向、図5においては上方向)に湾曲した(膨らんだ)ドーム状部110と、ドーム状部110の中央かつ内部に形成された円筒状の着脱部120(取付部120)と、ドーム状部110の内周面110aと着脱部120の外周面120aとによって区画された空間に設けられた補強部130と、を有している。
【0019】
イヤーピース100の中央には、図4(a)及び図5(b)に示すように、ドーム状部110と着脱部120とを貫通する第2音導孔としての音導孔101が形成されている。音導孔101は、図5(b)に示すように、着脱部120の端部からドーム状部110に向けて形成された大径の第1孔部101aと、第1孔部101aに連続するとともにドーム状部110の中央部を貫通する小径の第2孔部101bとを有している。この第1孔部101aには、イヤーピース100が機器本体10に取り付けられる際に、機器本体10(図3)の装着部25が挿入される。第1孔部101aには、図5(b)に示すように、挿入された装着部25の突起部24と合致する、周方向に沿って形成された係止溝101cが形成されている。装着部25が第1孔部101aに挿入されて、係止溝101cに嵌りこんだ突起部24は、イヤーピース100を機器本体10から引き抜こうとする力に抵抗する。これにより、取り付けられたイヤーピース100が意図せずに機器本体10(図3)から外れてしまうといった不具合を防止することができる。
【0020】
また、図5(b)に示すように、第1孔部101aと第2孔部101bとの境界には、段差部101dが形成されている。段差部101dは、第1孔部101aに挿入される装着部25の先端と当接する。これにより、イヤーピース100の機器本体10に対しての位置決めが行われる。
【0021】
また、イヤーピース100のドーム状部110には、図4(a)に示すように、第2孔部101bの中心を中心とした仮想円Cの円周上に、等角度の間隔で8つの貫通孔102が形成されている。各貫通孔102は、略正三角形状に形成され、略正三角形の頂点のうち1つの頂点が音導孔101の中心を向くように形成されている。また、貫通孔102は、図5(b)に示すように、円筒状の着脱部120が形成された領域Rの外側に形成されている。すなわち、貫通孔102は、着脱部120を貫通する音導孔101の周囲に設けられた独立した孔である。
【0022】
前記補強部130は、内部の気泡同士が互いにつながった連続気泡体である多孔質材料から構成されており、例えばポリウレタンフォームから構成されている。この補強部130の内部に設けられた連続気泡が通気路131となり、空気が補強部130を通り抜けることが可能となっている。なお、補強部130の内部の連続気泡は、大きさ及び形状が異なる気泡が種々の方向につながった複雑な構成を有している。しかしながら、図5(b)及び図6において、発明の理解を容易にするため、連続気泡を一方向に延びる通気路131として模式的に図示している。また、図4(b)においては、補強部130の詳細が理解できるように、補強部130を破線で図示して、補強部130が設けられた領域にハッチングを付している。したがって、図4(b)における補強部130に付したハッチングは、断面を表すものではない。図4(b)及び図5(b)に示すように、補強部130は、リング状に形成されており、着脱部120を取り囲むようにドーム状部110の内部に取り付けられている。補強部130の取り付けは、例えば接着剤を用いて行われる。このように取り付けられた補強部130は、ドーム状部110に形成された貫通孔102の全てを、ドーム状部110の内部から覆う。これにより、図5(b)に示すように、ドーム状部110に形成された貫通孔102と、補強部130に形成された通気路131とが接続される。
【0023】
(耳装着機器1の使用方法)
耳装着機器1を使用して例えば音楽を聞く場合、ユーザは、まず図3に示す機器本体10の装着部25を、図5(b)に示すイヤーピース100の第1孔部101aに挿入する。これにより、イヤーピース100を機器本体10に取り付けることができる。これにより、図6に示すように、機器本体10に形成された音導孔23と、イヤーピース100に形成された通気路131とを接続することができる。
【0024】
続いて、ユーザは、図6に示すように、機器本体10に取り付けられたイヤーピース100を自身の外耳道200に挿入する。このとき、ドーム状部110は外周方向から外耳道200に押圧され、イヤーピース100は縮径した状態で外耳道200に挿入される。これにより、耳装着機器1は、ユーザの耳に安定した状態で装着される。
【0025】
同様に、ユーザは、左耳用の耳装着機器1のイヤーピース100も左耳の外耳道に挿入する。これにより、左右の耳に耳装着機器1を装着することができる。
【0026】
続いてユーザは、図示しない携帯端末を操作することにより、機器本体10に設けられた音発生部60から音を発生させる。音発生部60から発せられた音は、矢印Y1で示すように、機器本体10に設けられた音導孔23と、イヤーピース100に設けられた音導孔101とに導かれて、ユーザの外耳道200に放出音S1として放出される。やがて、放出音S1は外耳道200を通り鼓膜201に到達する。これにより、ユーザは、イヤホンから放出された放出音S1を聞くことができる。
【0027】
(効果)
上記の実施の形態によれば、耳装着機器1がユーザの耳に装着されているとき、図6に示すように、ドーム状部110に形成された第1連通路としての貫通孔102と、補強部130に形成された第2連通路としての通気路131とにより、ユーザの外耳道200のドーム状部110よりも内側(鼓膜201側)と外部空間Eとが連通される。ここで外部空間Eとは、外耳道200に挿入されたドーム状部110よりも外側の空間である。これにより、図6の矢印Y2で示すように、外部空間Eの音が通気路131と貫通孔102を通過して、周囲の環境音S2として外耳道200に放出される。そのため、耳装着機器1が装着されたとしても、周囲の環境音S2がユーザの外耳道200に取り込まれやすい。これにより、イヤーピース100が外耳道200に挿入された状態であっても、ユーザは周囲の環境音S2を聞くことができる。
【0028】
また、イヤーピース100において、ドーム状部110の内部に補強部130を設けることによって、ドーム状部110に8つの貫通孔102が形成されたことで低下したイヤーピース100の強度を高め、イヤーピース100に適度な強度を持たせることができる。これにより、外耳道200に挿入されたイヤーピース100を外耳道200に密着させることができ、耳装着機器1の装着性を向上させることができる。
【0029】
また、補強部130を設けてイヤーピース100の強度を高めた構成とすることで、通常の耳装着機器1の使用時にイヤーピース100に作用する外力によって、ドーム状部110に形成された貫通孔102と、補強部130に形成された通気路131とが閉塞してしまうといった状況となることを防ぐことができる。これにより、耳装着機器1の使用時に、イヤーピース100を通り抜ける空気の通り道が確保され、周囲の環境音S2を外耳道200に取り込みやすいといった状態を維持することができる。
【0030】
また、ユーザの外耳道200のドーム状部110よりも内側と外部空間Eとを連通させる貫通孔102及び通気路131をイヤーピース100に設け、機器本体10の挿入部22に設けていない。そのため、機器本体10の挿入部22は、音を導く孔として音発生部60からの音を導く音導孔23しか有しておらず、その寸法をコンパクトにすることができる。その分、柔らかい材質から構成されたイヤーピース100に厚みを持たせることができ、挿入部22を外耳道200に挿入したときに感じる違和感を低減することができる。
【0031】
また、機器本体10の挿入部22に音導孔23のみしか設けない構成のため、機器本体10の構成を簡略化でき、機器本体10の製造コストの抑制を図ることができる。
【0032】
また、貫通孔102及び通気路131が形成されたイヤーピース100を機器本体10に着脱できる構成としていることから、外部空間Eの環境音S2を取り込みたい場合には、イヤーピース100を取り付けた耳装着機器1を使用すればよい。一方、外部空間Eの環境音S2を取り込む必要がない場合、あるいは音発生部60から発せられる放出音S1のみを聞きたい場合には、環境音S2を取り込むための孔が形成されていない一般的なイヤーピースを取り付けた耳装着機器を使用すればよい。このように、取り付けるイヤーピースを変更するだけで、外部空間Eの環境音S2を取り込みやすい状態と、外部空間Eの環境音S2を取り込みにくい状態との切り替えを行うことができる。
【0033】
(変形例)
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、図4に示すように、イヤーピース100の中央を中心とした仮想円Cの円周上に、略正三角形状の8つの貫通孔102が形成されていた。しかしながら、貫通孔102の形状、数、及び配置態様は任意決定することができ、耳装着機器1の使用時に、外耳道200のドーム状部110よりも内側と外部空間Eとを連通させることができる貫通孔102が形成されていればよい。
【0034】
また、補強部130は、多孔質材料の一例であるポリウレタンフォームから構成されていると説明した。しかしながら、補強部130の材料は多孔質材料の中から任意に決定することができる。具体的には、貫通孔102が形成されていることによって強度が低下したイヤーピース100を補強することができ、かつ貫通孔102を通過する空気を通すことができる多孔質材料であれば、補強部の材料として採用することができる。例えば、ポリエチレンフォーム、塩化ビニルフォーム、あるいはゴムスポンジ等から、補強部130を構成することができる。
【0035】
また、補強部130の材料は、多孔質材料のものに限定されない。例えば、貫通孔102と同形状かつ同寸法の貫通孔が同じ配置態様で設けられた補強用シートを、貫通孔102を一致させた状態でドーム状部110の内周面110aに貼り付けてもよい。これにより、貫通孔102が形成されたことによって低下した強度を補い、ドーム状部110の貫通孔102の周囲を補強することができる。なお、補強用シートは、イヤーピース100と同じ材料から構成してもよいし、ゴムシートを加工して形成してもよい。
【0036】
また、イヤーピース100は、シリコン製であると説明したが、他の材質のものから構成してもよく、例えばポリウレタンから構成してもよいし、アクリルから構成してもよい。
【0037】
また、補強部130はドーム状部110に接着剤により取り付けられていると説明したが、取付方法は種々の方法の中から任意に選択することができる。例えば、ドーム状部110を成形した後に補強部130を成形する2色成形によって、ドーム状部110に補強部130を取り付けてもよい。あるいは、溶着、圧着等の種々の接合方法を採用して補強部130を取り付けてもよい。
【0038】
また、耳装着機器1は携帯端末(不図示)と無線通信を行うイヤホンとして説明したが、Bluetooth(登録商標)以外の無線規格を採用してもよい。あるいは、耳装着機器1は、携帯端末(不図示)と有線で接続して通信を行う機器であってもよい。
【0039】
また、イヤーピース100は、機器本体10に着脱できると説明したが、イヤーピース100が機器本体10に接着剤を介して取り付けられた構成を採用することもできる。この場合、図5(b)に示す第1孔部101aの内壁に接着剤を塗布し、挿入された装着部25に接着する。この場合、図5(b)に示す着脱部120に相当する部分は取付部として、装着部25に取り付けられる。なお、取付手段としては、接着剤に限定されず、イヤーピース100と機器本体10の材質に適した公知の取付手段の中から採用することができる。
【0040】
また、上記実施の形態では、耳装着機器はイヤホンであると説明したが、その他の機器に本発明を適用してもよい。例えば、挿入部をユーザの外耳道に挿入して、検出部で人体の生体情報を取得する機器に適用することができる。例えば、特願2019-172667及び特願2019-172673の明細書及び図面等に開示された機器に、本発明を適用してもよい。この場合、前述した従来の場合と異なり、外耳道に挿入される挿入部に外音を取り込むための孔を形成せずに済むので、この挿入部に温度センサを設けるための十分なスペースを用意でき、ひいては、機器を容易に製造することができる。
【0041】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲とを逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、前述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0042】
(付記)
(付記1)
ユーザの外耳道に挿入される耳装着機器の挿入部に取り付けられる取付部と、
略ドーム状の形状を有し、中央に前記取付部が設けられたドーム状部と、を備え、
前記ドーム状部は、前記挿入部が前記外耳道に挿入された状態において前記外耳道の壁部に部分的に接触し、
前記ドーム状部における前記取付部が設けられた部分以外の部分であって前記外耳道に接触しない部分には、第1連通路が形成されており、
前記ドーム状部の前記第1連通路が形成された部分を補強するとともに、前記第1連通路に連通する第2連通路が形成された補強部をさらに備え、
前記挿入部が前記外耳道に挿入された状態において、前記外耳道における前記ドーム状部よりも内側の部分が、前記第1連通路及び前記第2連通路を介して、前記ドーム状部よりも外側の外部に連通している、
イヤーピース。
【0043】
(付記2)
前記補強部は、多孔質材料で構成され、互いの間で空気が通り抜け可能な複数の通気路を前記第2連通路として有している、
付記1に記載のイヤーピース。
【0044】
(付記3)
前記第1連通路は、前記挿入部の挿入方向に貫通する貫通孔を含み、
前記補強部は、前記ドーム状部の内周面と前記取付部とによって区画される空間に、前記貫通孔を覆うようにして設けられている、
付記1又は2に記載のイヤーピース。
【0045】
(付記4)
前記第1連通路は、複数の前記第1連通路を含み、前記複数の第1連通路は、前記ドーム状部の中央を中心とした円周上に配置されている、
付記1~3のいずれか1つに記載のイヤーピース。
【0046】
(付記5)
挿入部が形成された筐体と、
前記筐体に設けられた電子機器と、
前記挿入部に取付部を介して取り付けられる付記1~4のいずれか1つに記載のイヤーピースと、を備える、
耳装着機器。
【0047】
(付記6)
前記電子機器は、前記挿入部に設けられ、前記ユーザの生体情報を検出する検出部を有する、
付記5に記載の耳装着機器。
【0048】
(付記7)
前記挿入部には、第1音導孔が形成され、
前記取付部には、前記第1音導孔に連通する第2音導孔が形成されており、
前記電子機器は、前記第1及び第2音導孔を介して前記外耳道に音を発する音発生部を有する、
付記5に記載の耳装着機器。
【符号の説明】
【0049】
1・・・耳装着機器、10・・・機器本体、20・・・第1筐体、21・・・収容部、22・・・挿入部、23・・・音導孔、23a・・・第1孔部、23b・・・第2孔部、24・・・突起部、25・・・装着部、30・・・第2筐体、40・・・筐体、50・・・通信部、51・・・回路基板、60・・・音発生部、100・・・イヤーピース、101・・・音導孔、101a・・・第1孔部、101b・・・第2孔部、101c・・・係止溝、101d・・・段差部、102・・・貫通孔、110・・・ドーム状部、110a・・・内周面、120・・・着脱部(取付部)、120a・・・外周面、130・・・補強部、131・・・通気路、200・・・外耳道、201・・・鼓膜、C・・・仮想円、E・・・外部空間、R・・・領域、S・・・収容空間、S1・・・放出音、S2・・・環境音
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、耳装着機器に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、外部の環境音を取り込むことができる耳装着機器を提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る耳装着機器は、
音発生部と、前記音発生部からの音を導く第1音導孔と、を有する機器本体と、
前記機器本体に装着されることによって前記第1音導孔に連通する第2音導孔と、前記第2音導孔と分離して設けられた貫通孔と、通気のために前記貫通孔に接続される通気路が設けられた補強部と、を有するイヤーピースと、を備え、
前記通気路は、前記第2音導孔と直接連通していない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明によれば、外部の環境音を取り込むことができる耳装着機器を提供することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音発生部と、前記音発生部からの音を導く第1音導孔と、を有する機器本体と、
前記機器本体に装着されることによって前記第1音導孔に連通する第2音導孔と、前記第2音導孔と分離して設けられた貫通孔と、通気のために前記貫通孔に接続される通気路が設けられた補強部と、を有するイヤーピースと、を備え、
前記通気路は、前記第2音導孔と直接連通していない、耳装着機器。
【請求項2】
前記機器本体は、前記イヤーピースを装着する装着部を有し、
前記装着部には、前記イヤーピースを係止する突起部が設けられている、請求項1に記載の耳装着機器。
【請求項3】
前記機器本体に装着された前記イヤーピースの前記補強部は、前記突起部の外周側に配置されている、請求項2に記載の耳装着機器。
【請求項4】
前記第1音導孔は、第1孔部と、前記第1孔部より小さい径の第2孔部と、を有し、前記突起部は、前記第2孔部の外周側に設けられている、請求項2又は3に記載の耳装着機器。
【請求項5】
前記通気路は複数設けられており、1つの前記貫通孔に対して複数の前記通気路が接続されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の耳装着機器。
【請求項6】
前記通気路及び前記貫通孔はそれぞれ複数設けられており、前記貫通孔は、それぞれ互いに異なる前記通気路に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の耳装着機器。