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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009785
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】炭素ナノ素材コーティング用組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240116BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20240116BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240116BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240116BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20240116BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240116BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240116BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240116BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20240116BHJP
   C01B 32/168 20170101ALI20240116BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20240116BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240116BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240116BHJP
   C09D 139/04 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C09D201/00
H01B1/24 A
H01B13/00 503Z
H01M4/36 C
H01M4/485
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
H01M4/48
C01B32/168
C01B32/194
C09D7/61
C09D7/63
C09D139/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112263
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0085069
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523259802
【氏名又は名称】カーボン ティーアンドシー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CARBON T&C Co. Ltd.
【住所又は居所原語表記】#517, 184, Gasan digital 2-ro, Geumcheon-gu, Seoul, 08501, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴン ス
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨン ビン
【テーマコード(参考)】
4G146
4J038
5G301
5G323
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA11
4G146AB06
4G146AD25
4G146CA15
4G146CB10
4G146CB26
4J038CK021
4J038CK031
4J038HA036
4J038JB37
4J038KA19
4J038MA06
4J038NA17
4J038PB09
5G301DA18
5G301DA19
5G301DA20
5G301DA42
5G301DA60
5G301DD02
5G301DE01
5G323AA03
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050DA09
5H050DA18
5H050GA01
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、双極性化合物、アミン系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材コーティング用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の炭素ナノ素材コーティング用組成物は、イオン性分散剤を使用する既存のコーティング溶液と異なり高分子系分散剤と共に使用することで、コーティング時発生される費用を減少させ、水分内にコーティングが完了されることでコーティングに所要される時間が短縮され、150℃以上の温度で乾燥が必要な既存のコーティング溶液と異なり低い温度でも乾燥が可能であるので、本発明のコーティング用組成物は時間と費用を節約することができる効果を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
双極性化合物、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項2】
前記双極性化合物はカフェイン(caffeine)、アデノシン(adenosine)、アラニン(alanine)、アルギニン(arginine)、ヒスチジン(histidine)、エタノールアミン(ethanolamine)、ウレア(urea)、アミノスルフェート(aminosulfate)及びMBA(N-N'-Methylenebisacrylamide)からなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項3】
前記ポリビニル系分散剤はピロリドンを含む高分子であることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項4】
前記ポリビニル系分散剤はPoly(4VP-co-NVP)またはPEG(PolyEthylene Glycol)-PVP(PolyVinylPyrrolidone)共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項5】
前記Poly(4VP-co-NVP)は4-ビニルピリジン及びN-ビニルピロリドンによって重合されることを特徴とする請求項4に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項6】
前記溶媒はHO、エタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、DMF、DMSO及びアセトンからなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項7】
前記炭素ナノ素材コーティング用組成物は、
炭素ナノ素材、ポリアクリル系分散剤、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液と共に使用されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項8】
前記炭素ナノ素材は炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、炭素繊維(carbon fiber)、グラフェン(graphene)、カーボンブラック(carbonblack)及びこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項9】
前記ポリアクリル系分散剤は、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリアクリル酸(Polyacrylic acid)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、PMMA(polymethyl methacrylate)、PEMA(polyethylmethacrylate)、Poly-HEMA(Poly-2-hydroxyethyl methacrylate)及びこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項10】
前記炭素ナノ素材分散液はポリエチレン系分散剤をさらに含み、前記ポリエチレン系分散剤はSDS(Sodium Dodecyl Sulfate)、SLS(sodium lauryl sulfate)、SDP(sodium dodecyl phosphate)、PVC(Polyvinyl chloride)、PVDC(Poly(vinylidene dichloride))、PGA(Polyglycolide)、PEG(Polyethylene glycol)、PEO(Polyethylene Oxide)及びこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項11】
前記ポリビニル系分散剤は、請求項1のポリビニル系分散剤と等しいことを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項12】
前記溶媒はHO、エタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、DMF、DMSO及びアセトンからなる群から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物。
【請求項13】
1)炭素ナノ素材、ポリビニル系分散剤、ポリアミン系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液にコーティング対象物質を混合してコーティング対象物質表面に炭素ナノ素材を吸着させる段階と、
2)請求項1乃至請求項12のうちで何れか一項に記載の炭素ナノ素材コーティング用組成物を添加して炭素ナノ素材を前記コーティング対象物質表面にコーティングさせる段階と、
3)前記コーティング対象物質を乾燥させる段階と、
を含む、炭素ナノ素材コーティング方法。
【請求項14】
前記コーティング対象物質はリチウム電池正極材、SiOx、SiNx、SiOxNy、AlOx、酸化亜鉛(ZnO)、シリコンカーバイド(SiC)のうちで何れか一つであることを特徴とする請求項13に記載の炭素ナノ素材コーティング方法。
【請求項15】
前記リチウム電池正極材はLTO(Li14Ti15O12)、LCO(LiCoO)、NCM(Li[Ni、Co、Mn]O)、NCMA(Li[Ni.Co.Mn.Al]O)、NCA(Li[Ni、Co、Al]O)、LMO(LiMnO)、LFP(LiFePO)及びLCP(LiCoPO)からなる群から選択される一つ以上を含むことを特徴とする請求項14に記載の炭素ナノ素材コーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極性化合物(bipolar compound)、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材コーティング用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近エネルギー貯蔵技術に対する関心がますます高くなっているし、炭素素材はレジャー用品で商用化を始めとして現在自動車、航空、IT、新再生エネルギーなど活用範囲が徐徐に拡がる趨勢である。
【0003】
ナノ炭素素材とは炭素基盤のナノ素材として、炭素の0次元構造体である炭素量子点、あるいはフラーレン、1次元構造体である炭素ナノリボン及び炭素ナノチューブ、2次元構造体であるグラフェンなどを指す素材である。ナノ炭素素材を物質の状態によって分類すれば、大きく炭素量子点、フラーレン、炭素ナノリボン、炭素ナノチューブ、グラフェンなどで分けることができるし、これはそれぞれの製作方法によってtop-down方式、bottom-up方式で区分することができる。
【0004】
強度と熱伝導性高くて伝導性がある炭素素材の特性を持っているし、特に、炭素量子点のように材料の大きさが非常に小さい場合量子物理学的現象(発光現象、バンドギャップの変化、エネルギー遷移によるdown-conversionなど多様な特性)を確認することができるし、このようなナノ炭素素材は優秀な電気的、物理的、化学的、機械的特性を持っていて既存産業分野の技術的限界を克服する新素材として注目されている。
【0005】
既存部品素材が徐徐に炭素素材に置き換えられる趨勢で、競争力強化次元で民間企業からも炭素素材に対する関心が増大しており、製品化方案を積極的に研究している。更にナノ炭素素材は伝導性素材で電磁波遮蔽及びタッチパネル用コーティング材料などで注目されており、従来の電気伝導性高分子複合素材を置き換えるなど速い速度で拡散している。
【0006】
CNTの固有な物性は多様な応用分野の革新に影響を及ぼすことができる潜在力を保有しているし、これらの分野で今後CNTを活用した多様な製品革新が現われることが予想される。炭素繊維の軽量、高強度特性によって建材、コンクリート構造物、耐震補強などの土木建築分野、圧縮天然ガス貯蔵(CNG)タンク、風力発電用ブレード、遠心分離ローター、フライホイールなどの代替エネルギー分野に対する需要が増加する情勢である。
【0007】
また一つのナノ炭素素材であるGrapheneの固有な物性はCNTと同じく多様な応用分野の革新が期待される素材であり、CNTは線形構造であるが、Grapheneは板状構造でCNTのように多様な分野に需要が増加されている。
【0008】
最近5G、6Gの開発が進行されながら放熱材料に使用されるアルミナまたはボロンパウダーの放熱特性を改善しようとするニーズが大きくなっており、自動車などに使用されるLED放熱も課題となっている。
【0009】
代表的なチップ部品である積層セラミックコンデンサー、インダクター、チップ抵抗などの製造時に、セラミックスパウダーと数多くの添加剤が加えられるが、この添加剤の性能を高めて大容量小型化が進行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1321097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、双極性化合物、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材コーティング用組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の実施例によれば、
1)炭素ナノ素材、ポリビニル系分散剤、ポリアミン系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液にコーティング対象物質を混合してコーティング対象物質表面に炭素ナノ素材を吸着させる段階と、
2)請求項1乃至請求項12のうちで何れか一つの炭素ナノ素材コーティング用組成物を添加して炭素ナノ素材を前記コーティング対象物質表面にコーティングさせる段階と、
3)前記コーティング対象物質を乾燥させる段階と、
を含む、炭素ナノ素材コーティング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、双極性化合物、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材コーティング用組成物を提供する。
【0014】
前記双極性化合物は、カフェイン(caffeine)、アデノシン(adenosine)、アラニン(alanine)、アルギニン(arginine)、ヒスチジン(histidine)、エタノールアミン(ethanolamine)、ウレア(urea)、アミノスルフェート(aminosulfate)及びMBA(N-N'-Methylenebisacrylamide)からなる群から選択されることができるが、これに制限されない。
【0015】
前記ポリビニル系分散剤はピロリドンを含む高分子であることができるが、これに制限されない。
【0016】
前記ポリビニル系分散剤はPoly(4VP-co-NVP)またはPEG(Poly Ethylene Glycol)-PVP(Poly Vinyl Pyrrolidone)共重合体であることがあるが、これに制限されない。
【0017】
前記Poly(4VP-co-NVP)は4-ビニルピリジン及びN-ビニルピロリドンによって重合されることができるが、これに制限されない。
【0018】
前記溶媒はHO、エタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、DMF、DMSO及びアセトンからなる群から選択された何れか一つであることができるが、これに制限されない。
【0019】
前記炭素ナノ素材コーティング用組成物は、炭素ナノ素材、ポリアクリル系分散剤、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液と共に使用されることができるが、これに制限されるものではない。
【0020】
前記炭素ナノ素材は炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、炭素繊維(carbon fiber)、グラフェン(graphene)、カーボンブラック(carbon black)及びこれらの組合せからなる群から選択されることができるが、これに制限されない。
【0021】
前記ポリアクリル系分散剤は、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリアクリル酸(Polyacrylic acid)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリメタクリレート(polymethacrylate)、PMMA(polymethyl methacrylate)、PEMA(polyethyl methacrylate)、Poly-HEMA(Poly-2-hydroxyethyl methacrylate)及びこれらの組合せからなる群から選択されることができるが、これに制限されない。
【0022】
前記炭素ナノ素材分散液はポリエチレン系分散剤をさらに含み、前記ポリエチレン系分散剤はSDS(Sodium Dodecyl Sulfate)、SLS(sodium lauryl sulfate)、SDP(sodium dodecyl phosphate)、PVC(Polyvinyl chloride)、PVDC(Poly(vinylidene dichloride))、PGA(Polyglycolide)、PEG(Polyethylene glycol)、PEO(Polyethylene Oxide)及びこれらの組合せからなる群から選択されることができるが、これに制限されない。
【0023】
前記ポリビニル系分散剤は請求項1のポリビニル系分散剤と等しいことがあるが、これに制限されるものではない。
【0024】
前記溶媒はHO、エタノール、N-メチルピロリドン(NMP)、DMF、DMSO及びアセトンからなる群から選択されることができるが、これに制限されない。
【0025】
本発明の他の実施例によれば、
1)炭素ナノ素材、ポリビニル系分散剤、ポリアミン系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液にコーティング対象物質を混合してコーティング対象物質表面に炭素ナノ素材を吸着させる段階と、
2)請求項1乃至請求項12のうちで何れか一つの炭素ナノ素材コーティング用組成物を添加して炭素ナノ素材を前記コーティング対象物質表面にコーティングさせる段階及び、
3)前記コーティング対象物質を乾燥させる段階を含む、炭素ナノ素材コーティング方法を提供する。
【0026】
前記コーティング対象物質はリチウム電池正極材、SiOx、SiNx、SiOxNy、AlOx、酸化亜鉛(ZnO)、シリコンカーバイド(SiC)のうちで何れか一つであることができるが、これに制限されない。
【0027】
前記リチウム電池正極材はLTO(Li14Ti15O12、LCO(LiCoO)、NCM(Li[Ni、Co、Mn]O)、NCMA(Li[Ni.Co.Mn.Al]O)、NCA(Li[Ni、Co、Al]O)、LMO(LiMnO)、LFP(LiFePO)及びLCP(LiCoPO)からなる群から選択される一つ以上であることがあるが、これに制限されない。
【発明の効果】
【0028】
本発明の炭素ナノ素材コーティング用組成物は、イオン性分散剤を使用する既存のコーティング溶液と異なり高分子系分散剤と共に使用することで、コーティング時に発生する費用を減少させ、水分内にコーティングが完了することで、コーティングに所要される時間が短縮され、150℃以上の温度で乾燥が必要な既存のコーティング溶液と異なり低い温度でも乾燥が可能であるので、本発明のコーティング用組成物は時間と費用を節約することができる効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の炭素ナノ素材コーティング液組成物を使用してNCM(Polycrystalline)表面にコーティングされた炭素ナノチューブを確認するためのSEMイメージである。
図2】本発明の炭素ナノ素材コーティング液組成物を使用してNCM(Single Crytal)表面にコーティングされた炭素ナノチューブを確認するためのSEMイメージである。
図3】本発明の炭素ナノ素材コーティング液組成物を使用してLFP表面にコーティングされた炭素ナノチューブを確認するためのSEMイメージである。
図4】本発明の炭素ナノ素材コーティング液組成物を使用してSiOx表面にコーティングされた炭素ナノチューブを確認するためのSEMイメージである。
図5】本発明の炭素ナノ素材コーティング液組成物を使用してSiC表面にコーティングされた炭素ナノチューブを確認するためのSEMイメージである。
図6】本発明の炭素ナノ素材コーティング液組成物を使用してSiC表面にコーティングされた炭素ナノチューブを確認するためのSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の明細書全体で、ある部分がある構成要素を“包含”するとする時、これは特別に反対される記載がない限り他の構成要素を除くことではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
本発明の明細書全体で、ある段階が他の段階と“上に”または“前に”位置していると言う時、これはある段階が他の段階と直接的時系列的な関係にある場合だけではなく、各段階後の混合する段階のように二つの段階の手順に時系列的手順が変わることがある間接的時系列的関係にある場合と等しい権利を含むことができる。
【0032】
本発明の明細書全体で使用される程度の用語“約”、“実質的に”などは言及された意味に固有な製造及び物質許容誤差が提示される時その数値で、またはその数値に近接した意味で使用され、本発明の理解を助けるために正確であるか、または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。本願明細書全体で使用される用語“~(する)段階“または、“~の段階”は“~のための段階”を意味しない。
【0033】
本発明は、双極性化合物(bipolar compound)、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材コーティング用組成物を提供する。前記炭素ナノ素材コーティング用組成物は溶媒96~99重量%、双極性化合物0.1~1重量%及びポリビニル系分散剤0.1~3重量%を含むことができる。
【0034】
前記炭素ナノ素材コーティング用組成物は炭素ナノ素材、ポリアクリル系分散剤、ポリビニル系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液と共に使用されることができるが、これに制限されるものではない。
【0035】
前記炭素ナノ素材分散液は溶媒93~98重量%、炭素ナノ素材0.1~2重量%、ポリアクリル系分散剤0.1~3重量%及びポリビニル系分散剤0.1~2重量%を含むことができる。
【0036】
前記炭素ナノ素材分散液はポリエチレン系分散剤をさらに含むことができる。前記ポリエチレン系分散剤は分散効果を向上させるために添加されることができる。高分子分散剤は、主分散剤で効果的であるが、高分子間の結合力によって分散力が少し落ちることがある。したがって、ポリエチレン系分散剤を、副分散剤で添加する場合分散効果を向上させることができる。
【0037】
本発明の他の実施例によれば、
1)炭素ナノ素材、ポリビニル系分散剤、ポリアミン系分散剤及び溶媒を含む炭素ナノ素材分散液にコーティング対象物質を混合してコーティング対象物質表面に炭素ナノ素材を吸着させる段階と、
2)請求項1乃至請求項12のうちで何れか一つの炭素ナノ素材コーティング用組成物を添加して炭素ナノ素材を前記コーティング対象物質表面にコーティングさせる段階と、
3)前記コーティング対象物質を乾燥させる段階と、
を含む、炭素ナノ素材コーティング方法を提供する。
【0038】
前記段階1)で炭素ナノ素材分散液100重量部に対してコーティング対象物質100~300重量部混合されることがあるが、これに制限されない。
【0039】
前記段階2)で炭素ナノ素材分散液100重量部に対して炭素ナノ素材コーティング用組成物50~200重量部混合されることができるが、これに制限されない。
【0040】
前記乾燥段階の温度は50~100℃であることがあるが、これに制限されるものではない。
【0041】
<実施例1>
1.炭素ナノチューブ分散液製造
溶媒N-メチルピロリドン96gにポリアクリル酸(Polyacrylic acid)2gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌後、炭素ナノチューブ1gを入れて分散した後、最終炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0042】
2.炭素ナノ素材コーティング液製造
溶媒N-メチルピロリドン98.4gに双極電荷を有する物質EDA(ethanolamine)0.6gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌して炭素ナノ素材コーティング液を製造した。
【0043】
3.分散液及びコーティング液を利用した炭素ナノチューブコーティング
前記製造した炭素ナノチューブ分散液100gにコーティングしようとするNCM200gを入れて混合して炭素ナノチューブがNCM表面に吸着されるようにした後、炭素ナノ素材コーティング液を100g入れて吸着された炭素ナノチューブがNCM表面にコーティングされるようにした。
【0044】
前記炭素ナノチューブがコーティングされたNCM表面を80℃の温度で乾燥した後、SEM顕微鏡で観察した結果、NCM表面に炭素ナノチューブがコーティングされたことを確認することができた(図1)。
【0045】
<実施例2>
1.炭素ナノチューブ分散液製造
溶媒水96gにポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)2gとポリビニル系分散剤PEG-PVP1gを入れて撹拌後、炭素ナノチューブ1gを入れて分散した後、最終炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0046】
2.炭素ナノ素材コーティング液製造
溶媒水98.4gに双極電荷を有する物質カフェイン(Caffeine)0.6gとポリビニル系分散剤PEG-PVP1gを入れて撹拌して炭素ナノ素材コーティング液を製造した。
【0047】
3.分散液及びコーティング液を利用した炭素ナノチューブコーティング
前記製造した炭素ナノチューブ分散液100gにコーティングしようとするNCM200gを入れて混合して炭素ナノチューブがNCM表面に吸着されるようにした後、炭素ナノ素材コーティング液を100g入れて吸着された炭素ナノチューブがNCM表面にコーティングされるようにした。
【0048】
前記炭素ナノチューブがコーティングされたNCM表面を80℃の温度で乾燥した後、SEM顕微鏡で観察した結果、NCM表面に炭素ナノチューブがコーティングされたことを確認することができた(図2)。
【0049】
<実施例3>
1.炭素ナノチューブ分散液製造
溶媒N-メチルピロリドン96gにポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)2gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌後、炭素ナノチューブ1gを入れて分散した後、最終炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0050】
2.炭素ナノ素材コーティング液製造
溶媒N-メチルピロリドン98.4gに双極電荷を有する物質EDA(ethanolamine)0.6gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌して炭素ナノ素材コーティング液を製造した。
【0051】
3.分散液及びコーティング液を利用した炭素ナノチューブコーティング
前記製造した炭素ナノチューブ分散液100gにコーティングしようとするNCM200gを入れて混合して炭素ナノチューブがLFP表面に吸着されるようにした後、炭素ナノ素材コーティング液を100g入れて吸着された炭素ナノチューブがLFP表面にコーティングされるようにした。
【0052】
前記炭素ナノチューブがコーティングされたLFP表面を80℃の温度で乾燥した後、SEM顕微鏡で観察した結果、LFP表面に炭素ナノチューブがコーティングされたことを確認することができた(図3)。
【0053】
<実施例4>
1.炭素ナノチューブ分散液製造
溶媒N-メチルピロリドン96gにポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)2gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌後、炭素ナノチューブ1gを入れて分散した後、最終炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0054】
2.炭素ナノ素材コーティング液製造
溶媒N-メチルピロリドン98.4gに双極電荷を有する物質アデノシン(adenosine)0.6gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌して炭素ナノ素材コーティング液を製造した。
【0055】
3.分散液及びコーティング液を利用した炭素ナノチューブコーティング
前記製造した炭素ナノチューブ分散液100gにコーティングしようとするSiOx200gを入れて混合して炭素ナノチューブがSiOx表面に吸着されるようにした後、炭素ナノ素材コーティング液を100g入れて吸着された炭素ナノチューブがSiOx表面にコーティングされるようにした。
【0056】
前記炭素ナノチューブがコーティングされたSiOx表面を80℃の温度で乾燥した後、SEM顕微鏡で観察した結果、SiOx表面に炭素ナノチューブがコーティングされたことを確認することができた(図4)。
【0057】
<実施例5>
1.炭素ナノチューブ分散液製造
溶媒N-メチルピロリドン96gにポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)2gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌後、炭素ナノチューブ1gを入れて分散した後、最終炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0058】
2.炭素ナノ素材コーティング液製造
溶媒N-メチルピロリドン98.4gに双極電荷を有する物質EDA(ethanolamine)0.6gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌して炭素ナノ素材コーティング液を製造した。
【0059】
3.分散液及びコーティング液を利用した炭素ナノチューブコーティング
前記製造した炭素ナノチューブ分散液100gにコーティングしようとするSiC200gを入れて混合して炭素ナノチューブがSiC表面に吸着されるようにした後、炭素ナノ素材コーティング液を100g入れて吸着された炭素ナノチューブがSiC表面にコーティングされるようにした。
【0060】
前記炭素ナノチューブがコーティングされたSiC表面を80℃の温度で乾燥した後、SEM顕微鏡で観察した結果、SiC表面に炭素ナノチューブがコーティングされたことを確認することができた(図5)。
【0061】
<実施例6>
1.グラフェン分散液製造
溶媒N-メチルピロリドン96gにポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)2gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌後、グラフェン1gを入れて分散した後、最終グラフェン分散液を製造した。
【0062】
2.炭素ナノ素材コーティング液製造
溶媒N-メチルピロリドン98.4gに双極電荷を有する物質EDA(ethanolamine)0.6gとポリビニル系分散剤Poly(4VP-co-NVP)1gを入れて撹拌して炭素ナノ素材コーティング液を製造した。
【0063】
3.分散液及びコーティング液を利用したグラフェンコーティング
前記製造したグラフェン分散液100gにコーティングしようとするSiC200gを入れて混合してグラフェンがSiC表面に吸着されるようにした後、前記製造した炭素ナノ素材コーティング液を100g入れて吸着されたグラフェンがSiC表面にコーティングされるようにした。
【0064】
前記グラフェンがコーティングされたSiC表面を80℃の温度で乾燥した後、SEM顕微鏡で観察した結果、SiC表面にグラフェンがコーティングされたことを確認することができた(図6)。
【0065】
<実験例>
1.電気化学的特性測定
NCM523を利用して次のようにCNTをコーティングしたNCM523と電気抵抗を測定比較した。
【0066】
実験例1は、CNTがコーティングされないBare NCM523:Super-P:PVdFを98:1:1で混合してアルミニウム集電体上にコーティングした。
【0067】
実験例2は、CNTがコーティングされないBare NCM523:CNT:PVdFを98:1:1で混合してアルミニウム集電体上にコーティングした。
【0068】
実験例3は、CNTがコーティングされないBare NCM523:CNT:Super-P:PVdFを97.5:0.5:1:1で混合してアルミニウム集電体上にコーティングした。
【0069】
実験例4は、CNTが0.5%コーティングされたNCM523:Super-P:PVdFを97.5(+0.5%CNT):1:1で混合してアルミニウム集電体上にコーティングした。この時、CNTコーティング時分散剤で炭素ナノ素材分散液総重量対比0.1wt%PVPを使用した。
【0070】
実験例5は、CNTが0.5%コーティングされたNCM523:Super-P:PVdFを97.5(+0.5%CNT):1:1で混合してアルミニウム集電体上にコーティングした。この時、CNTコーティング時分散剤で炭素ナノ素材分散液総重量対比0.5wt%PVPを使用した。
【0071】
実験例6は、CNTが0.5%コーティングされたNCM523:Super-P:PVdFを97.5(+0.5%CNT):1:1で混合してアルミニウム集電体上にコーティングした。この時、CNTコーティング時分散剤で炭素ナノ素材分散液総重量対比1.0wt%PVPを使用した。
【0072】
前記アルミニウム集電体にコーティングした実験例1~6は、真空乾燥(100℃6時間)を進行した後、表面測定器(ST-4)を利用して測定した。
【0073】
【表1】
【0074】
実験例1と2は、導電材であるSuper-PとCNTの面抵抗を測定比較したデータでSuper-Pに比べてCNTが優秀な伝導度を示している。
【0075】
実験例3と4は、Bare NCMとCNTがコーティングされたNCMの面抵抗である。導電材でCNTを別に投入した場合とNCMにCNTをあらかじめコーティングした場合、CNTをまずコーティングしたNCMがCNT分散の側面で有利であるので、低い面抵抗を有することを示している。
【0076】
実験例4、5、そして、6はCNTをコーティングする時使用したバインダーの含量が増加するほど面抵抗が高くなることを示している。
【0077】
上のデータを見ると、Super-PよりはCNTが導電材で優秀であり、CNTをあらかじめNCMにコーティングした場合、CNTの分散がさらに優秀で面抵抗が低いことを示している。
【0078】
以上で本発明の特定な部分を詳しく記述したが、当業界の通常の知識を有した者において、このような具体的な技術は単に望ましい具体例であるだけで、これに本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。よって、本発明の実質的な範囲は添付された請求項とその等価物によって定義されるとするであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6