(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097858
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】スライド式スプールバルブでの改良点、またはそれに関連する改良点、およびそれらの方法
(51)【国際特許分類】
F16K 3/24 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
F16K3/24 D
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074791
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2022525676の分割
【原出願日】2019-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】522173929
【氏名又は名称】グローバルフォース アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダフ,ウィリアム マイケル
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,イアン クレイグ
(57)【要約】
【課題】改良されたスプールバルブを提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間で流体を流量調節し、その中に動作可能に関連付けられたスプールを備えたボアを有するスプールバルブが開示されている。ボアは、1つ以上の入口ポートと少なくとも1つの出口ポートを有する。少なくとも1つのボア内シールが、ボア内に配置されており、シールは、シール外径上でボアの内径を流体的にシールし、シール内径上でスプール外径を選択的に流体的にシールする。ボア内で、少なくとも1つのボア内シールに隣接して配置され、スペーサ内径からスペーサ外径への流体連絡を有しており、少なくとも1つの入口ポートまたは少なくとも1つの出口ポートと流体連絡している少なくとも1つのスペーサも存在する。スプールが移動して、入口ポートから出口ポートへの流れを可能にするか、または防止する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間で流体を流量調節するためのスプールバルブであって、その中に動作可能に関連付けられたスプールを備えたボアを有しており、
前記少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも1つの出口ポートのうちの1つ以上を有する、前記ボアと、
前記ボア内に配置された少なくとも1つのボア内シールであって、シール外径上で前記ボアの内径を流体的にシールし、シール内径上でスプール外径を選択的に流体的にシールする、少なくとも1つのボア内シールと、
前記ボア内で、前記ボアの前記主長手方向軸に沿って浮き、前記少なくとも1つのボア内シールに隣接して配置された少なくとも1つのスペーサであって、スペーサ内径からスペーサ外径への流体連絡を有しており、前記少なくとも1つの入口ポート、または前記少なくとも1つの出口ポートと流体連絡する、少なくとも1つのスペーサと、
前記ボア内に前記少なくとも1つのスペーサおよび前記少なくとも1つのボア内シールを保持する、取り外し可能な保持構成要素と、
前記ボアの前記主長手方向軸に沿って並進するために前記ボア内にスライド式に装着されたスプールであって、
前記スプールが、前記少なくとも1つのボア内シールに流体的にシールすることによって、前記少なくとも1つの入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを防止する第1の位置と、
前記スプールが、前記少なくとも1つのボア内シールからシール解除することによって、前記少なくとも1つの入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを可能にする少なくとも1つの第2の位置と、を有する、スプールと、
を備えるか、または含み、
スプールバルブが形成されて、前記スプールバルブを横切る流体の流れを可能にするか、または拒むように切り替えるようになっており、
前記少なくとも1つのボア内シールおよび前記少なくとも1つのスペーサが前記ボア内に組み立てられて前記取り外し可能な保持構成要素によって前記ボア内に保持されると、前記少なくとも1つのボア内シールおよび前記少なくとも1つのスペーサが、前記ボアの前記主長手方向軸に沿ってスライドするが前記少なくとも1つのボア内シールが前記少なくとも1つの入口ポートまたは前記少なくとも1つの出口ポートと相互作用しないように、構成されている、スプールバルブ。
【請求項2】
前記スプールバルブが、流体の流れを可能にするか、または流体の流れを防止するように切り替えられるように構成されているが、流体の流れを変化させることができない、請求項1に記載のスプールバルブ。
【請求項3】
ボア入口の外向きに配置された第2のボア内シールが存在する、請求項1または2に記載のスプールバルブ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスペーサが、前記少なくとも1つの入口ポート、または少なくとも1つの出口ポートの真上にあるか、またはそれらと一列に並んでおり、流体連絡している、請求項1~3のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項5】
前記スプールは、前記少なくとも1つの入口ポート又は他の入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポート又は他の出口ポートへの流体の流れを可能にするか、又は、前記少なくとも1つの入口ポート又は他の入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポート又は他の出口ポートへの流体の流れを防止する、またはその逆に作用する、第3の位置に切り替えられるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項6】
複数のボア内シールが存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項7】
前記複数のボア内シールの各々が、選択的であるかどうかにかかわらず、それぞれのスプール外径をシールする、請求項6に記載のスプールバルブ。
【請求項8】
前記複数のボア内シールの各々の間にスペーサが存在する、請求項6または7に記載のスプールバルブ。
【請求項9】
前記スプールが、前記少なくとも1つの入口ポートのうちの1つ以上、または前記少なくとも1つの出口ポートのうちの1つ以上を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項10】
代替的に、前記ボアが、すべての前記入口ポートおよびすべての前記出口ポートを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項11】
前記スプールが、前記第1の位置から別の位置への、またはその逆の移動のために、ボア入口で、またはボア入口に向けて一端におけるアクチュエータによって外部から作動される、請求項1~10のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項12】
前記スプールが、弾性要素によって、第1の方向に付勢されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項13】
前記スプールが、前記スプールまたはその一部にかかる流体圧力によって、前記第1の方向とは反対の第2の方向に動かされる、請求項12に記載のスプールバルブ。
【請求項14】
前記スプールが、前記ボアへの外部入口にあるか、または前記ボアへの前記外部入口に向いた、係合端部と、前記係合端部から遠位にあり、少なくとも前記第1の位置または前記第2の位置について前記ボア内に配置された動作端部と、を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項15】
前記係合端部がピストンである、請求項14に記載のスプールバルブ。
【請求項16】
流体圧力が前記ピストンに作用して、前記スプールを前記第1の位置から前記第2の位置へ、またはその逆にスライドさせることができる、請求項15に記載のスプールバルブ。
【請求項17】
スプール外径が、前記少なくとも1つのスペーサの第1のスペーサのスペーサ内径で支持されてガイドとして作用する、請求項1~16のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項18】
前記スペーサが、前記それぞれのボア内シールとは別個であり、それらが離間している、請求項1~17のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項19】
代替的に、前記スペーサのうちの1つ以上が、間隔を空けている前記ボア内シールのうちの少なくとも1つに接続されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項20】
前記流体連絡が、前記スペーサ内径から前記スペーサ外径へ通る少なくとも1つの開口部によって提供される、請求項1~19のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項21】
前記スペーサの外径が前記スペーサの外周の周りで凹んでおり、前記少なくとも1つの開口部から前記少なくとも1つの入口ポート、または少なくとも1つの出口ポートへの前記流体連絡を提供する、請求項20に記載のスプールバルブ。
【請求項22】
前記ボア内シールの構成要素、スペーサが、前記保持構成要素が除去されると、前記主長手方向軸に沿って前記ボアからスライド式に取り外すことによって取り外し可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項23】
前記保持構成要素の取り外しがまた、前記スプールの取り外しをも可能にする、請求項1~22のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項24】
前記ボア間を流体的にシールし、前記スプールの外面上でスライド式にシール接触している、少なくとも1つの恒久的ボア内シールが存在する、請求項1~23のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項25】
シールが、前記ボアの前記内径および前記スプールの外径に対する前記ボア内シールの半径方向の圧力によって達成され、換言すると、前記主長手方向軸に平行な表面上でシールが生じる、請求項1~24のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項26】
前記ボア内シールが、円形、正方形、またはリップシール断面のうちのいずれか1つを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項27】
前記スプールの外径のシール面の前縁部および/または後縁部がテーパ状になっており、前記スプールの外径へのシールおよびシール解除時に、前記ボア内シールの移行部を提供する、請求項1~26のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項28】
前記ボア内シールが、前記ボアまたはスペーサに直接的に、前記ボアの主長手方向軸に沿った方向にだけ圧力を加えるが、直接的または間接的にかかわらず、別のボア内シールには圧力を加えない、請求項1~27のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項29】
前記スプールが、1つ以上の通路を含み、それらの長さに沿って開いているか、または前記流体のための追加の流体経路を可能にする前記スプール外径に対して閉じているかである、請求項1~28のいずれか一項に記載のスプールバルブ。
【請求項30】
少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間で流体を流量調節すためのスプールバルブを提供する方法であって、
前記少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも1つの出口ポートのうちの1つ以上を有するボアを提供するステップ、
前記ボア内で少なくとも部分的にスプールを直線的にスライドさせるステップ、
少なくとも1つのボア内シールを使用して、内径と、前記スプールの外径との選択的なスライド係合で、前記ボアの前記内径をシールするステップ、
前記ボアの前記長手方向軸に沿って浮く少なくとも1つのスペーサを使用して、前記ボア内で前記少なくとも1つのボア内シールの間隔を空けるステップ、
少なくとも1つのスペーサが少なくとも前記1つのボア内シールを保持するように、前記少なくとも1つのボア内シールと、前記少なくとも1つのスペーサと、前記スプールと、をボア内に保持するステップ、
前記外径が前記少なくとも1つのボア内シールから離れており、前記少なくとも1つの入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを可能にする第1の位置と、前記外径が前記少なくとも1つのボア内シールにシールされて、前記少なくとも1つの入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを防止する第2の位置と、の間で選択的にスライド係合するように、前記スプールをスライドするステップ、を
備える(comprising)か、または含み(including)、
前記少なくとも1つのボア内シールおよび前記少なくとも1つのスペーサが前記ボア内に組み立てられて前記取り外し可能な保持構成要素によって前記ボア内に保持されると、前記方法が、
前記少なくとも1つのボア内シールおよび前記少なくとも1つのスペーサが、前記ボアの前記主長手方向軸に沿ってスライドすることを可能にするステップであって、前記少なくとも1つのボア内シールが前記少なくとも1つの入口ポートまたは前記少なくとも1つの出口ポートと相互作用しない、ステップ、
をさらに備える、方法。
【請求項31】
前記方法が、半径方向の力を通じて前記外径をシールすることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
流体を流量調節するためのスプールバルブであって、
1つ以上の入口、および1つ以上の出口を有するボアと、
前記ボア内でスライド式に動作可能なスプールと、
前記ボア内に収容された1つ以上のボア内シールであって、シール外径上で前記ボアの内側を流体的にシールし、シール内径上でスプール外径を選択的に流体的にシールする、ボア内シールと、
前記ボア内で、前記ボアの前記長手方向軸に沿って浮き、前記少なくとも1つのボア内シールに隣接して配置された少なくとも1つのスペーサであって、スペーサ内径からスペーサ外径への流体連絡を有しており、前記少なくとも1つの入口ポート、または前記少なくとも1つの出口ポートと流体連絡する、少なくとも1つのスペーサと、
前記ボア内に前記少なくとも1つのスペーサと前記少なくとも1つのボア内シールを保持する取り外し可能な保持構成要素と、
を備えるか、または含み、
前記スプールが、少なくとも2つの位置の間をスライドし、第1の位置が、前記1つ以上の入口のうちの少なくとも1つから前記出口の少なくとも1つ以上への流れを、少なくとも1つのスプール外径上で前記ボア内シールの少なくとも1つのシールを介して防止し、第2の位置が、前記1つ以上の入口のうちの少なくとも1つから前記出口のうちの少なくとも1つ以上への流れを、少なくとも1つのスプール外径上での前記ボア内シールの少なくとも1つのシール解除によって可能にし、
前記1つ以上のボア内シールおよび前記少なくとも1つのスペーサが前記ボア内に組み立てられて前記取り外し可能な保持構成要素によって前記ボア内に保持されると、前記1つ以上のボア内シールおよび前記少なくとも1つのスペーサが、前記ボアの前記主長手方向軸に沿ってスライドすることが可能であるが、前記少なくとも1つ以上のボア内シールが前記1つ以上の入口または前記少なくとも1つ以上の出口と相互作用できない、スプールバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式スプールバルブに関する。
【0002】
具体的には、本発明は、それだけではないが、空気または流体で作動する工具または機械などで使用するためのスライド式スプールバルブに関する。
【背景技術】
【0003】
スライド式スプールバルブは、空気圧および油圧作動油制御システムで多く使用される。
【0004】
例えば、空気圧または油圧ソレノイド、パイロット(空気圧または空気圧)、スプリング、または手動で作動するスライド式スプールバルブは、空気圧アクチュエータが取り付けられた大型のオイルおよびガスバルブを制御するために、大型の油圧動力式建設機械の中で使用される。
【0005】
それらはまた、ネイルガンなどの空気圧動作式工具および機器の空気圧トリガー配置をトリガーするためにも使用される。
【0006】
スプールバルブは、通常、ボア内に収容されたピストンや同様の形状のものを有する。ピストンは、ボア内でスライドすることができ、ボアに流体的にシールされ、ピストンのスライドを可能にするが、通常使用条件下では、ボアに流体的にシールされたままである。このピストンの動きは、次いで、ボアへの1つ以上の供給ポートまたは排出ポートを開き、流体が、ボアを横切って、またはボアに沿って、1つ以上の排出ポートまたは供給ポートへ移動することを可能にする。そうすることで、ピストンはまた、1つ以上の供給ポートまたは排出ポートから1つ以上の排気ポートまたは供給ポートへのアクセスを遮断することもできる。したがって、開いた、または閉じたバルブとして機能するだけでなく、排出ポートおよび入口ポートの配置に対し、その線形位置に応じて、必要に応じて流体を再方向付けすることができる。
多くの場合、ピストンに装着されたシールが使用される。これらのシールは、Oリング、リップシール、または同様のシールであり、例えば、位置決め溝内でピストンに装着され、次いでボアとピストンの間で圧縮されて流体シールを形成する。油圧システムでは、ピストンの直径に十分に近い直径のボアの断面も、ピストンとボアの間の隙間に沿った流れを大幅に制限するのに十分な作動流体の粘度によって、シールとしても機能することができる。このように、剛性部材がシールになり得ることは合理的である。
【0007】
ピストンに装着されたシールでは、いくつかの問題が生じる。
【0008】
これらのうち第1のものはアセンブリである。シールは、ピストンの位置決め溝に入って所定の位置に位置決めされる必要がある。このことは、ピストンが形状的に単純な場合、および/または位置決め溝が、ピストンの一端に近くにあり、その一端と位置決め溝との間で、そのOリングが伸長することができない場合には単純になり得る。しかしながら、位置決め溝がピストンのさらに下にある場合、またはアセンブリするシールがいくつかある場合、またはピストンの大部分に小径のシールが伸長される必要がある場合(例えば、マルチポート配置において)、Oリングを正しい位置へと動かすことは、シールが正しい溝に入るまで、シールが各位置決め溝を通過する必要があるために難しくなり得る。このことは、シールがOリングであり、伸長することができることを前提としている。Oリングであるかどうかにかかわらず、シールが伸長することができない場合、または伸長が限られている場合、そのようなアセンブリは、不可能ではないにしてもさらに困難になり、したがって、利用可能な設計上の選択肢を制限する。スプリットシールは、Oリングを伸長するのと同じように開くことができるため、このアセンブリの問題を解決することができるが、これらのシールには本質的に漏れ経路があるため、常に適用可能ではない。
【0009】
同様に、バルブのメンテナンスが必要な場合、シールを取り外すのは困難になり、シールを損傷することなく位置決め溝から持ち上げる方法が限られているため、完全に使用可能である場合であっても、シールを交換する必要が生じることが多くなる。
【0010】
さらに、位置決め溝、または他のピストン機構、または他のボアの他の機構は、多くの場合、鋭いエッジを有し、それにより、鋭いエッジ上でシールを動かすと、シールを損傷することがあり、このことが、アセンブリ中やメンテナンス中に生じる。
【0011】
ピストンに装着されたシールのさらなる欠点は、シールがピストンに装着されたときに、アセンブリ中にピストンとともにボア内に圧縮されなければならないことである。単一シールの場合であっても、このことは、以下で説明する著しい摺動摩擦を生じることがあり、位置決め溝のエッジで、またはボアへの入口で、またはボア内の他の機構でシールを損傷するリスクになり得る。このことは、シールがボアとピストンの間に挟まれ、シールが機能しなくなり、漏れが発生し、または耐用年数が短くなると、さらに悪化する。
【0012】
また、シールを装着するピストンは、静止摩擦を低減するためのシールの利用可能なサイズ設定と利用可能なシールの選択において問題を呈する。静止摩擦は、ボア内のスライド面に対して圧縮されたシールの静止摩擦と関連する摩擦であり、ピストンをボアに対して動かすためには乗り越えられなければならない。シールの選択の選択肢が限られていると、効果的なシールを生成するために必要とされる圧縮力の要件が、大幅に増えることになり得る。一般的に、信頼性の高いシールを生成するために必要な圧縮が大きいほど、静止摩擦は大きくなる。シールの断面厚さのかなりの割合の距離で事前ロードされる必要がある場合、圧縮力は大幅に高くなる。静止摩擦が大きいほど、ピストンをボアに対してスライドさせるために使用する必要のある作動構成要素、圧力域、力、またはメカニズムは大きくなる。このことは、十分なスペースがあるか、または高い作動力が利用可能な大型機械では許容可能であり得る。しかしながら、使用用途がより低いコストを必要とする場合、または高出力アクチュエータのための余地がほとんどない場合、または作動がユーザの手によるものである場合には、このことは不利である。
【0013】
特定の圧力定格およびシールタイプのシール静止摩擦を低減する1つの方式は、シールの(断面厚さに対する)絶対圧縮または相対圧縮を低減することである。これを達成するための便利な方式は、より大きいシーリング要素を使用することである。シールがピストンに装着されている場合、このことは、位置決め溝のサイズを拡大することによってのみ、つまり、溝をピストンの厚さの中により深く、より広く製造することによってのみ行われることができる。このことは、位置決め溝において直径が減少することでピストンの機械的強度が損なわれる前に限って有効になり得る。
【0014】
シールが装着されたピストンのさらなる欠点は、ボアが摩耗面になることである。摩耗面が、操作によって損傷するか摩耗する場合、または、メンテナンス作業によって損傷される場合は、ボアがその中に配置されている装置全体を交換することが必要になる。このことは、機器だけでなく、労働力、マルチポート操作、および装置が複雑な場合にも費用が高価になることがある。
【0015】
代替的なアセンブリでは、グランドシールが使用されており、これらは、ボア内の機械加工された溝に配置されるか、または、それらの間にシールを保持するための溝を形成する堅固に接続された構成要素間に装着されている。
【0016】
同様の問題は、シールをボアに配置する必要がある場合、特にピストンの直径とボアの直径が小さく、ボアが深く、シールの厚さが厚く、シールが多い場合に発生する。このような場合、アセンブリとサービス作業は、困難で時間がかかり、多くの場合非実用的である。ボアに装着されたシールが使用される場合、それらはボア上に製造された溝に装着される。溝は、一般的に金属製のボアに機械加工されるが、プラスチック、金属、セラミック、または任意の他の好適な材料で作られたボアに成型または形成されることもできる。複数の構成要素が使用されてシールを拘束する場合、それにより、溝を形成し、それらの構成要素はボアに対して堅固に装着されている。この場合も、ボア内の溝に複数の構成要素を配置するとき、および/またはピストンが、アセンブリ中にホーム位置にスライドされるか、分解のために取り外されるときに、シールが損なわれ得る。
【0017】
シールがボアに装着されているときは、位置決め溝のサイズを大きくすることはより容易であるが、これを可能にするためには、ボアの中にまだ十分な材料があることが必要である。ボア内の溝サイズを大きくする場合の主な問題は、以下の通りである。
【0018】
1.)ボアが大きくない場合、溝とシールのサイズを大きくすることで、アセンブリがより困難になる。
【0019】
2.)小さいボア内に深い溝を機械加工することは難しく、特別な工具が必要となり、QA/測定の観点から課題になる。マルチポートバルブを形成するために多くが必要となる場合、これらの問題はさらに悪化する。これは、ボアに装着されたシールの欠点であり、グランドまたはグランドシールとしても知られている。
【0020】
大きい断面のOリングを使用することの追加の利点は、ボアおよびピストンが製造されるべき精度を低減することである。より小さい断面のシール要素が使用される場合、特にボア内に製造された溝での、これらは組み立てがより容易であるが、ピストンとボアとの間のギャップは、所定の圧力で信頼性の高いシール操作のために、より厳密に制御される必要がある。圧力が高いほど、所与のシールのためにギャップをより小さくする必要がある。より大きい断面のシールはまた、薄い断面のシールよりも摩耗し、意図した通りに動作を継続することができる。
【0021】
したがって、大きい断面シールを使用して、ピストン静止摩擦が低く、特殊工具または労力をわずかに用いるか、またはまったく用いない、高圧および低圧に好適なコンパクトなスプールバルブの容易なアセンブリ、分解、またはサービス作業を可能にすることが望まれる。
【0022】
さらにマルチポートの状況では、設計は、ピストンまたはグランドに装着されたシールのいずれかに限定されることが多く、直径を小さくしない限り、アセンブリと分解で互いに汚れるため、組み合わせは使用することはできない。それらが使用される場合、このこともまた、対処され得る設計と圧力を制限する。
【0023】
本明細書において、特許明細書、他の外部文献、または他の情報源を参照した場合、これは、概して、本発明の特徴を考察するために背景を提供することを目的としている。特に明記しない限り、このような外部文書を参照することは、いかなる管轄においても、このような文書またはこのような情報源が先行技術であるか、または当技術分野における一般常識の一部をなすことの承認として解釈されないものとする。
【0024】
本発明の目的は、改良されたスプールバルブを提供すること、またはスプールバルブの設計においてより柔軟性を提供すること、またはアセンブリ、操作および保守のコストを低減すること、またはよりコンパクトなアセンブリを提供すること、または上記の欠点を克服すること、もしくは上記の必要とされるものに対処すること、または人々に有用な選択肢を少なくとも提供することである。
【発明の概要】
【0025】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間の流体を流量調節し、その中に動作可能に関連付けられたスプールを備えたボアを有しているスプールバルブで広く構成されていると言及されることができる、
少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも1つの出口ポートのうちの1つ以上を有するボアと、
ボア内に配置された少なくとも1つのボア内シールであって、シール外径上でボアの内径を流体的にシールし、シール内径上でスプール外径を選択的に流体的にシールする、少なくとも1つのボア内シールと、
ボア内で、少なくとも1つのボア内シールに隣接して配置された少なくとも1つのスペーサであって、スペーサ内径からスペーサ外径への流体連絡を有しており、少なくとも1つの入口ポート、または少なくとも1つの出口ポートと流体連絡する、少なくとも1つのスペーサと、
ボア内に少なくとも1つのスペーサと少なくとも1つのボア内シールを保持する取り外し可能な保持構成要素と、
ボアの主長手方向軸に沿って並進するためにボア内にスライド式に装着されたスプールであって、
スプールが、少なくとも1つのボア内シールに流体的にシールすることによって、少なくとも1つの入口ポートから少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを防止する第1の位置と、
スプールが、少なくとも1つのボア内シールからシール解除することによって、少なくとも1つの入口ポートから少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを可能にする少なくとも第2の位置と、を有するスプールと、を備えるか、または含み、
スプールバルブが形成されて、バルブを横切る流体の流れを可能にするか、または拒むようになっている。
【0026】
好ましくは、バルブは、流体の流れを可能にするか、または防止するが、流体の流れを変化させることができない。
【0027】
好ましくは、ボア入口で外向きに位置する第2のボア内シールが存在する。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つのスペーサが、少なくとも1つの入口ポート、または少なくとも1つの出口ポートの真上にあるか、またはそれらと一列に並んでおり、流体連絡している。
【0029】
好ましくは、スプールは、第3の位置を有し、そこでスプールは、入口ポートの他のものもしくは同じものから出口ポートの同じものもしくは他のものへの、またはその逆の流れを可能にするか、または防止する。
【0030】
好ましくは、複数のボア内シールが存在する。
【0031】
好ましくは、複数のボア内シールの各々が、選択的であるかどうかにかかわらず、それぞれのスプール外径をシールする。
【0032】
好ましくは、複数のボア内シールのそれぞれの間にスペーサが存在する。
【0033】
好ましくは、スプールは、少なくとも1つの入口ポートのうちの1つ以上、または少なくとも1つの出口ポートのうちの1つ以上を含む。
【0034】
代替的に、ボアは、すべての入口ポートとすべての出口ポートを含む。
【0035】
好ましくは、スプールは、ボア入口で、またはボア入口に向けて、一端でアクチュエータによって外部から作動される。
【0036】
好ましくは、スプールが、例えば、限定されるものではないが、ばねなどの弾性要素によって、第1の方向で付勢される。
【0037】
好ましくは、スプールは、スプールまたはその一部にかかる流体圧力によって、第1の方向とは反対の第2の方向に動かされる。
好ましくは、スプールは、ボアへの外部入口にあるか、またはボアへの外部入口に向いた係合端部と、係合端部から遠位にあり、少なくとも第1の位置または第2の位置についてボア内に配置された動作端部と、を有する。
【0038】
好ましくは、係合端部はピストンである。
【0039】
好ましくは、アクチュエータは動作端部に作用する。
【0040】
好ましくは、流体圧力がピストンに作用して、スプールを第1の位置から第2の位置に、またはその逆にスライドさせることができる。
【0041】
好ましくは、スプール外径は、支持面またはガイド面として作用する第1のスペーサのスペーサ内径で支持される。
【0042】
好ましくは、スペーサは、それぞれのボア内シールとは別個であり、それらは離間している。
【0043】
代替的に、スペーサのうちの1つ以上は、間隔を空けているボア内シールのうちの少なくとも1つに接続される。
【0044】
好ましくは、流体連絡は、スペーサ内径からスペーサ外径までを通る少なくとも1つの開口部によって提供される。
【0045】
好ましくは、外径は、スペーサの外周の周りで凹んでおり、少なくとも1つの開口部から少なくとも1つの入口ポート、または少なくとも1つの出口ポートへの流体連絡を提供する。
【0046】
好ましくは、ボア内シールの構成要素であるスペーサは、保持構成要素が取り外されると、主長手方向軸に沿ってボアからスライド式に取り外すことによって取り外し可能である。
【0047】
好ましくは、保持構成要素の取り外しはまた、スプールの取り外しも可能にする。
【0048】
好ましくは、ボア間を流体的にシールし、スプールの外面上でスライド式にシール接触している、少なくとも1つの恒久的ボア内シールが存在する。
【0049】
好ましくは、シールは、ボアの内径およびスプールの外径に対するボア内シールの半径方向の圧力によって達成され、換言すると、主長手方向軸に平行な表面上でシールが生じる。
【0050】
好ましくは、ボア内シールは、円形、正方形、またはリップシール断面のいずれか1つを有する。
【0051】
好ましくは、外径のシール面の前縁部および/または後縁部はテーパ状になっており、外径へのシールおよびシール解除時に、ボア内シールの移行部を提供する。
【0052】
好ましくは、ボア内シールは、ボアまたはスペーサに直接的に、長手方向にだけ圧力を加えるが、直接的または間接的にかかわらず、別のボア内シールには圧力を加えない。
【0053】
好ましくは、スプールは、1つ以上の通路を含み、それらの長さに沿って開いているか、または流体のための追加の流体経路を可能にするスプール外径に対して閉じているかのいずれかである。
【0054】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間で流体を流量調節するためのスプールバルブを提供する方法で広く構成されていると言及されることができ、
本方法は、
少なくとも1つの入口ポートおよび少なくとも1つの出口ポートのうちの1つ以上を有するボアを提供するステップであって、ボアが1つを有している、提供するステップと、
ボア内で少なくとも部分的にスプールを直線的にスライドさせるステップと、
少なくとも1つのボア内シールを使用して、ボアの内径間で、かつスプールの外径との選択的なスライド係合で、ボアの内径をシールするステップと、
少なくとも1つのスペーサを使用して、ボア内で少なくとも1つのボア内シールの間隔を空けるステップと、
少なくとも1つのスペーサが少なくとも1つのボア内シールを保持するように、少なくとも1つのボア内シールと、少なくとも1つのスペーサと、スプールと、をボア内に保持するステップと、
外径が少なくとも1つのボア内シールから離れており、少なくとも1つの入口ポートから少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを可能にする第1の位置と、外径が少なくとも1つのボア内シールにシールされて、少なくとも1つの入口ポートから少なくとも1つの出口ポートへの流体の流れを防止する第2の位置と、の間で選択的にスライド係合するように、スプールをスライドするステップと、を有する(comprising)か、または含み(including)、
流体の流れを制御するためにスプールバルブが提供されるようになっている。
【0055】
好ましくは、本方法は、半径方向の力による外径上でのシールを含む。
【0056】
別の態様では、本発明は、流体を流量調節するためのスプールバルブに広く含まれると言及されることができ、
1つ以上の入口、および1つ以上の出口を有するボアと、
ボア内でスライド式に動作可能なスプールと、
ボア内に収容された1つ以上のボア内シールであって、シール外径上でボアの内側を流体的にシールして、シール内径上でスプール外径を選択的に流体的にシールする、ボア内シールと、
ボア内で、少なくとも1つのボア内シールに隣接して配置された少なくとも1つのスペーサであって、スペーサ内径からスペーサ外径への流体連絡を有しており、少なくとも1つの入口ポート、または少なくとも1つの出口ポートと流体連絡する、少なくとも1つのスペーサと、
ボア内に少なくとも1つのスペーサと少なくとも1つのボア内シールを保持する取り外し可能な保持構成要素と、を備えるか、または含み、
スプールが、少なくとも2つの位置の間をスライドし、第1の位置が、1つ以上の入口のうちの少なくとも1つから出口のうちの少なくとも1つ以上への流れを、少なくとも1つのスプール外径上でボア内シールの少なくとも1つのシールを介して防止し、第2の位置が、1つ以上の入口のうちの少なくとも1つから出口のうちの少なくとも1つ以上への流れを、少なくとも1つのスプール外径上でボア内シールの少なくとも1つのシール解除によって可能にする。
【0057】
別の態様では、本発明は、添付の図面のうちのいずれか1つ以上を参照して、本明細書に記載されるようなスプールバルブから広く構成されると言及され得る。
【0058】
別の態様では、本発明は、添付図面のうちのいずれか1つ以上を参照して本明細書で説明されるようなスプールバルブを提供する方法で構成されている。
【0059】
別の態様では、本発明は、添付の図面のうちのいずれか1つ以上を参照して本明細書で説明されるように、既存のスプールバルブに補給または後付けするための部品のキットで構成されている。
本明細書で使用される際、「および/または(and/or)」という用語は、「および」もしくは「または」またはその双方を意味する。
本明細書で使用される際、名詞に続く「(s)」は、その名詞の複数形および/または単数形を意味する。
【0060】
本明細書で使用される「含む」という用語は、「で少なくとも部分的に構成される」を意味する。その用語を含む本明細書中の言及、各言及中のその用語で始まる特徴を解釈するとき、すべて存在する必要があるが、他の特徴も存在することができる。「含む(comprise)」および「含まれる(comprised)」などの関連用語も同様に解釈されるべきである。
【0061】
本明細書に開示された数値範囲(例えば、1~10)の言及はまた、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、および10)への言及およびその範囲内の任意の範囲の有理数(例えば、2~8、1.5~5.5、および3.1~4.7)への言及をも包含することが意図される。
【0062】
上記および下記に引用されているすべての出願、特許および刊行物の開示全体は、存在する場合は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明はまた、広義には、本特許出願の明細書中で個別にまたはまとめて言及または示された部品、要素および特徴、ならびに部品、要素または特徴のうちのいずれか2つ以上の任意のまたはすべての組み合わせから構成されると言うことができ、本発明が関連する技術分野において既知の均等物を有する特定の整数が本明細書に記載されている場合、そのような既知の均等物は、あたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0064】
本発明の他の態様は、単に例として、添付の図面を参照して与えられる以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【0065】
本発明の好ましい形態が、ここで添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1A】ボアの内径とスライド式にシール接触するシールが位置決め溝内に装着された典型的なピストンを通る部分断面を示す。
【
図1B】
図1Aと類似の断面を示しているが、シールが、ボアにグランド式で取り付けられており、ピストンの外径とスライドシール接触している。
【
図1C】2つの構成要素間の静的な非スライド面シールを示す。
【
図2】本発明によるアセンブリを通る垂直方向断面を示し、装置内のボア、スプール、ボア内のシール、スペーサ、入口ポート、出口ポート、および保持構成要素を示している。
【
図3】
図2に類似する図を示しているが、等角図で示している。
【
図5】スプール、スペーサ、ボア内シールおよび駆動要素の拡大図を示している。
【
図6】スプールの一形態を示す
図5の分解図を示す。
【
図9】スプールの代替的バージョンを等角図で示しており、この場合、共通のボリュームに追加の溝がある。
【
図10】
図9に類似するさらなる代替的なスプールの垂直方向断面を示し、スプールのある領域から別の領域への通路である代替的流路を示している。
【
図12】ボアならびに入口ポートおよび出口ポートを示す装置の断面を示している。
【
図13】
図13Aはスプールが第1の位置にある、垂直方向断面でのスプールバルブを示している。
図13Bはスプールが第2の位置にある、垂直方向断面でのスプールバルブを示している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
線形スライド装置のシール配置またはスプールバルブのタイプが、
図1A~
図1Cの部分断面図に示されている。
図1Aは、ピストン25の位置決め溝30内に装着されたシール6を示している。ピストン25およびシール6は、ボア4内に装着されており、長手方向軸15に沿ってスライドすることができる。シール6は、ボアとピストンとの間で圧縮されて、第1の圧力でシールの第1の側31に流体を保持し、第2の圧力で流体がシールの第2の側32に移動することを防止する。
【0068】
図1Bは、
図1Aに類似する配置を示しているが、シール6が、ボア4の溝30内に装着されている点が異なっている。この場合も、ピストン25は、長手方向軸15に沿ってスライドし、この場合、シール6はピストン25に対して静止している。
【0069】
比較のための静的な例が
図1Cに示されており、ここでは、シール6が、溝30内に装着されており、2つの構成要素間で圧縮されて、ここでも第1の側31にある第1の圧力の流体が、第2の圧力で第2の側32に移動するのを防止する。
【0070】
図2~
図13を参照して、好ましい実施形態がここで説明されている。スプールバルブ1は、複数の別個の安定した位置を有するタイプのスライド式または線形動作運動式の流体制御バルブであり、この中では、例えば、バルブを通る入口ポート2から出口ポート3までの利用可能な流路が、他の安定した位置のうちの少なくとも1つとは異なっている。
【0071】
本発明による線形スライド式バルブまたはスプールバルブ1が、
図2~
図13に示されている。
【0072】
スプールバルブ1の断面が、
図2および
図3に示されている。スプールバルブ1は、例えば装置内などの本体33内のボア4、またはバルブ本体または同様のもので構成されている。通常、ボア4は断面が円形である。しかしながら、対応するスプール5、シール6およびスペーサ10を強化し、バルブ動作することができる任意の形状であり得る(以下に説明されている)。ボアは、ボア4と流体連絡している入口ポート2ならびに2つの出口ポート3Aおよび3Bを有する。ボア4は、本体33にドリル穿孔、ボーリング、機械加工、またはその他の方法で製造され得る。図示されるように、ボア4は、金属製、ポリマー製、セラミック製、または複合材料製の本体33の中で、単一の、または様々な内径35であり得るか、または断面であり得る。ボア4は、一端で示されているように、止まり穴で部分的にねじ山付き34であり得る。代替的に、ボア4は、両端が開き得、次いで、そこにシールされた別の本体によって閉じられ得る。図示されているように、ボア4は、止まり穴であり得、つまり、ボア入口20が存在し、流体入口2および出口3以外の出口は存在しない。他の形態では、ボアはいずれかの端で開くことができ、つまり、2つのボア入口20を有し、各端に1つあり、単一の本体33、または互いに接続された2つ以上の本体33のいずれかを介して、ともに接続されている。
【0073】
流体入口ポート2および流体出口ポート3は、バルブ付き流体を必要とする大気、圧力供給、密閉された容積、または流路に対してボアを接続することができる。図示されるように、ボア4の長手方向軸15に沿って分離された2つ以上の入口2または出口3が存在し得、これらの入口2および出口3は、ボアに沿って任意の角度、かつ任意の方向にあり得る。図示されているように、入口2および出口3は、ボア4の円周、すなわち、その内径35に向かって開いている。
【0074】
ボア4の中には、ボア4の断面に一致するスプール5があるが、それは、ボアの直径に対して直径が縮小されたものである。図示した実施形態では、スプール5は、ばねなどの付勢要素21によってその位置に付勢されている。しかしながら、他の実施形態では、付勢要素がなくてもよく、スプールは、バルブを内部または外部にかかわらず、必要とされる位置に動かすために、アクチュエータによって必要に応じて動かされる。例えば、アクチュエータ19は、スプールの係合端部46に作用することができる。図示されている形態では、付勢要素21は、この場合は、スプール5のスプールショルダ41および保持構成要素14である、一部分を支えている。スプール4はまた、任意選択で動作端部45にピストン25を有しており、この動作は後述する。スプール5は、長手方向軸15の中央に配置されており、移動可能であり、それにより、この軸15に沿ってスライドまたは並進することができる。スプール5は、その外径9上に1つ以上の円筒形シール面36を有する。スプール5には溝等がなく、スライド軸にOリングなどの形態のシール6を保持していない。シール面36は、長手方向軸15に沿って、スプール5の移動軸と平行になっている。スプール5は、何らかの方法で本体に堅固に接続された構成要素を介して、例えば、ボア入口20に向かう方向にある保持構成要素14を介して、または、反対方向で、ボアの本体に遭遇することによって、長手方向軸に沿った両方向の動きに制限が生じるような形状およびサイズである。
【0075】
図示されるように、スプール5は、シール6と係合するためのランド43を提供する直径9のいくつかの変化を有し、シール6を通過する流体の流れを可能にするためにアンダーカット44を有する。直径が変化した前縁部27および後縁部28は、テーパ状になっているか、または示されているように、曲線状29である。この理由は簡単に説明されている。
【0076】
スプール5のさらなるバリエーションが、
図9~
図11に示されている。流体の流れを可能にするためのアンダーカットではなく、またはそれに加えて、少なくとも1つの通路47があり、好ましくは、いくつかが、スプール5に沿って走っている。通路47は、
図9に示されるように、共通のボリューム50内に流体連絡する開いた通路47を形成する溝として形成され得る。あるいは、
図10および
図11に示されるように、通路47は、接続流体通路として密接に形成され得、スプールのある領域から別の領域へ任意の方向に開口部48および出口49を備えている。
【0077】
通路47は、例えば、スプール5の直径が小さ過ぎるとき、流体用の追加の流れ領域を可能にすることができる。追加的に、または代替的に、通路47は、1つ以上のシールもしくは入口または出口ポートを欠いた追加の流路が、流路がスプール外径9にのみ沿っている場合には存在しない、追加のバルブ機能を提供することを可能にすることができる。
【0078】
このような、スプール5の示されるような変形は、機械加工または積層造形によって製造され、通路47を提供することができる。
【0079】
図示されているように、ボア4内にはいくつかのボア内シール6が存在する。シール外径7は、隣接するボア内径35に対してシールする。シール内径8は、隣接するスプール外径9に対してシールする。シール6は、これらの2つの直径の間で圧縮されると、シールの第1の側31からシールの第2の側32に移動する流体に対するシールを形成する。スプール5は、ボア内シール6に対して直線的に移動し、ボア内シール6は、ボア4に対して静止している。シール内径8は、少なくともスプール外径9と接触しているときに、スプール外径9とスライド式にシール接触している。
【0080】
このようなシール接触は、少なくとも2つの状況で発生することがある。その第1は、ボア内シール6aのように、ボア内シール6が、常にスプール外径と接触する状況である。スプール5は、ボア内シールに対して相対的に移動するが、シール6aの通常の動作では、スプール5のシール面36Aから外れることはない。スプールバルブは、多くの場合、これらのタイプのシール6を含み、これらのシールは、決して係合解除されることはなく、チャンバを恒久的に分離し、または流路を排除するように機能する。例えば、
図2に示されるように、シール6Aは、そのボア内サイズにある流体が、大気圧に、すなわちボア入口20に漏出するのを防止する機能を有する。
【0081】
シール接触の第2の形態である選択的なシールおよびシール解除は、スプール5の並進に基づいており、任意選択で、スプール外径9の変化に基づいている。図示され、かつ説明されるスプール5は、様々な直径が縮小した部分9、溝、または円筒形のシール面36に隣接する内部流路を有することができ、
図13に示すように、スプール5が第1の位置16から第2の位置17に移動するときに選択的なシールおよびシール解除を可能にする。
図2および
図3のシール要素6cまたは6Bの少なくとも1つに対して、シール面36から係合解除されると、スプール5の動きにより、それは、可動シール要素の縮小された直径、断面、または形状部分を取り囲む。したがって、シール面36Bは、スプールが、通常動作下で示される位置にスライドするときに、ボア内シール6Cから解放されることがある。
図2および
図3の左への十分な並進とは対照的に、スプール5は、シール6Bから離れることができ、
図13Aに示されるように、流体がポート2からポート3Aに通過することを可能にする。
【0082】
シール面36は、スプール5の動きに平行であり、シールは、シールを作成するためのスプール5の移動方向で、シール6に直接的に圧縮荷重を発生させることに依存せず、かつ依存することができず、シールは、ボアの内径35とスプールの外径9の間の半径方向でのシールの圧縮によってのみ形成されている。シール面(座部)は、内部円筒状面、または外面であることができる。シールは、シールを作成するために可動要素の方向にシール6を圧縮する可動要素の動きによるものではない。シール6の弾性要素は、ボア4とスプール5との間にシールを作成するために、シール位置にあるとき、長手方向軸15に対して垂直に、すなわち半径方向に全体的に圧縮または伸長される。つまり、シールされていない状態からシールを生成するために、スプール5の動きは、シール6が、円筒形(または他の局所的に一定で滑らかな断面)のシール面36に、適切に傾斜するか曲線状の、曲線状の、リブ付きの、または特殊な形状のリードインエッジもしくは表面27、またはリードアウトエッジもしくは表面28で直面するようにし、シールからシール解除への、またはシール解除からシールへのシール6のスプール5上でのスムーズな移行を可能にする。
【0083】
直径の最大減少量、または新たに導入された流路サイズは、シール要素6の断面厚さに関係する。シール直径、または溝の流れ領域、またはスプール5を通るか、その周りの他の導入された流路は、シール要素の断面厚さを超えず、通常は、その寸法の10~30%など、その厚さのわずかな部分となる。
【0084】
シール6をシール面36に容易に移動させ、シール面36から容易に外すために、上述のように、前縁部27および後縁部28は、テーパ状であるか、または曲線状29である。このことはまた、容易なアセンブリと分解を可能にする、またはシール損傷の可能性を低減する有用な機能でもある。様々な断面または複合シール要素が、この用途で実用可能である。
【0085】
シール6は、最も典型的には、ニトリルゴムまたは他のポリマーで作られたOリングである。あまり一般的ではないが、シール6は、リップシール、正方形断面シールなどの非円形断面シール要素で構成される。油圧配置では、シール6は、十分に効果的なシールを形成するために、小さいギャップの粘性流を使用して、正確に製造された剛性のシール面、特徴部、または本体で構成され得る。材料もまた、広く変更することができ、複合材料または複数の材料で作製することもできる。
【0086】
本発明はまた、
図8および
図5に示すような、ボアシール6の間にあり、それらを分離しているフローティングスペーサ10である。スペーサ10は、ボアの内径35に固定されておらず、そのため浮いている。代わりに、シール6と保持構成要素14(簡単に説明される)の間に挟まれている。好ましい形態では、
図4、
図6、および
図7に示されるように、スペーサ10は、スプールバルブ1のアセンブリの一部として所定の位置の中にスライドすることができ、スプールバルブ1の分解の一部として所定の位置から外にスライドすることができる。いくつかの形態では、スペーサ10は、ボアとの締まり嵌めであってもよいが、これは、アセンブリおよび分解の問題を引き起こす可能性があるので、それほど望ましくない。
【0087】
スペーサ10、シール6、保持構成要素14、およびボアの長さは、それらがバルブに組み立てられると、シール6およびスペーサ10が、長手方向軸に沿ってわずかな量しか移動することができないようなサイズになっている。アセンブリのボア4内でのスペーサ10またはシール6の自由な動きの量は、十分に低く、その結果、加圧または減圧されたときに、シール6が、スペーサ10と整列しているポート2または3と相互作用するのに利用可能な位置が存在しないようになっている。この可能化アセンブリには自由な動きがあるが、これは通常、シーリング要素6の断面厚さよりも小さくなる。
【0088】
通常動作下で加圧されると、フローティングスペーサ10の自由な動きは、隣接するフローティングスペーサ10から離れてシールまたはシール10を圧縮する圧力により実質的に増加し得、それにより、ボア4内での追加的な自由な動きを可能にする。これらの場合、圧力によるシール6および隣接するフローティングスペーサ10の動きは、シール6が、ポート2または3と相互作用を生じないように、またはそれを可能にしないように設計されている。
【0089】
他の形態では、スプール5の並進中、シール6の変形による場合を除いて、シール6およびスペーサ10の自由な動きがないように、シール6およびスペーサ10の長手方向での圧縮嵌めが存在する。
【0090】
シールがポート2および3の上に配置されないように、スペーサ10、シール6、ならびに入口ポート2および出口ポート3の配置が存在する。
図2で右から左に作業すると、シール6Aは入口ポート2から離れており、スペーサ10Aによって入口ポート2上を移動することが防止される。同様に、シール6Cは、スペーサ10Aおよび10Bによって入口ポート2および出口ポート3Aから離れて保持される。シール6Bは、スペーサ10Bによって、出口ポート3Aの上を移動することが、およびショルダ37によって、出口ポート3Bの上を移動することが防止される。このようにして、アセンブリされたときにシール6は、ボア4内のドリル加工された、または他の方法で製造された入口2および出口3の間に、またはそれを越えて(しかし接触せずに)配置される。
【0091】
スペーサは、
図8に示すように、スペーサの内径12およびスペーサの外径13を有する。説明されているようなスペーサ外径13は、少なくとも半径方向に移動することが大幅に防止されるように、ボア内径35との締まり嵌めまたは干渉嵌めである。同様に、スペーサ内径12は、スプールの外径9との締まり嵌めである。このようにして、スペーサは、硬化され、研磨され、またはコーティングされているかどうかにかかわらず、スプール外径9を備えた支持面またはガイド面38を提供するために、仕上げられた内径12を有し得る。同様に、スプール外径9はまた、またはその代わりに、硬化され、研磨され、または他の方法でコーティングされ、シール6およびスペーサ10に対して可能な限り低い摩擦面を提供し得る。
【0092】
スペーサ10およびそれらの外径13ならびにボア内径35およびショルダ37は、相互作用し、シール6によって含まれる圧力によって生成された力が、本体または他の堅固に装着された部材に伝達される前に別のシール6に伝わらないようになっている。
【0093】
言い換えれば、圧力(または正味圧力)が、シール6に作用して、それをボア4に沿ってポート2または3に向かってスライドさせるとき、シールがスペーサ10に隣接している場合には、そのスペーサ10は、シール6がそのポート2または3と相互作用することができないように支持される。シール6が、ポート2または3に係合するのを防ぐために、そのスペーサ10を拘束する力は、(例えば、ショルダ37または他の特徴部からなどボア自体、別の堅固に取り付けられた構成要素、または圧縮されている別のシール6によってなど)どこかから来なければならない。この好ましい形態は、
図13Aおよび
図13Bに示されており、シール6は、直接的にまたは間接的に(スペーサ10を介して)別のシール6を支持せずに、位置にない状態または圧力状態では、圧力の結果としてシール6によって生成される力は、別のシール6を介して作用する。したがって、理想的には、シール6は圧力を抑制することによってのみ力を生成し、圧力によって生成された力を伝達せず、別のシール6に作用する。
【0094】
図13Aには、スペーサ6Aおよび6Bに作用する力42が、長手方向で示されている。シール6Aの場合、この力は保持構成要素14によって受けられる。シール6Bの場合、力42はスペーサ10Bに対抗し、スペーサ10Bは次にショルダ37Aを支える。
図13Bにおいても、シール6Aに対する力42は、保持メカニズム14によって受けられる。シール6Cの場合、力42は、ショルダ37Bを直接支えるシール6Cによって受けられる。
【0095】
本発明では、これらの荷重をシール6に通すことができるが、これは、シールの寿命および作動の容易さの観点で好ましい。
【0096】
好ましい形態では、動きを制限し、圧力を制限する方法は、ボア4内のショルダ37、または他の堅固に装着された構成要素を使用することであり、一般的に、別のシールに圧縮荷重をかけることによってではない。
【0097】
図8に示すように、スペーサの内径12からスペーサの外径13までの流体経路11が存在する。図示される実施形態では、スペーサ内には、スペーサの内径12からスペーサの外径まで、1つで十分であるが、複数の開口部39が存在する。また、好ましい実施形態では、スペーサ外径13の周りで円周方向に延在する凹み40が存在する。その結果、スペーサ10が、例えば、その内径12で流体に曝されると、流体は、開口部39を介してスペーサ外径13までスペーサ10を通過することができる。流体の流れを補助するために、外径13に達すると、スペーサは、窪み40、溝、または他の公隙を有し、開口部39からスペーサが設置される入口ポート2または出口ポート3への連絡を提供する。このことは、開口部39が、それぞれの入口ポートまたは出口ポートの上に常に配置され得ず、またはそれらと位置合わせされ得ないことから、有用である。これにより、複雑な位置合わせ工具、またはボア4を備えたスペーサ10の複雑な形状を有する必要がなくなる。スペーサ10は、スペーサの外径13の周りおよびスペーサの厚さを通って半径方向に流れることが可能になるように、溝付けられ、形状化され、ドリル加工され、または他の方法で製造される。
【0098】
スプール5、シール6、およびスペーサ10のアセンブリをボア4内に保持しているものは、保持構成要素14である。例えば、
図2および
図4に示される実施形態では、これは、ねじ山付き中空構成要素であり、これは、その雌ねじを介して、相手側のボア4内の雌ねじをねじ式に係合する。保持構成要素14とスプールショルダ41との間に捕捉されているのは、付勢構成要素であり、図示されている例ではばねである。これは、
図2においてスプールを左に付勢している。保持構成要素14またはアセンブリは、アセンブリ上のシール5およびスペーサ10を位置決めするために使用されている。述べたように、保持構成要素14は、通常、本体に直接ねじ込まれているが、保持器は、保持構成要素14とボア4または本体33との間の任意の相補的フィッティングを使用することができるか、または結果として生じる圧力に対してシーリングまたはスペーサ要素を支持するための同様の方法を使用することができ、限定するものではないが、サークリップ保持、バヨネットまたは類似のフィッティング、垂直固定ねじ保持、剪断ピン/キー保持、例えば、プレートおよびねじによって、外部固定されるか、または本体33とフェースプレートとの間に挟まれるなどがある。保持器14または保持器アセンブリは、付勢21の事前圧縮調整を可能にするためにねじ山付き部材を含み得る。これは、動作圧力が変化する場合に役立ち得る。「力付勢ばね」が、例えば、静止摩擦を克服するために、可動部材をそのN状態の間で動かすのに必要な荷重を増減させるために使用され得る。
【0099】
説明したように、スプール5の動きは、1つ以上の入口2と出口3との間の流体経路を遮断および遮断解除し、それにより、流体のバルブとして機能する。スプール5が、流量を制御するように機能することはできないが、入口から出口までの経路を開閉することしかできないことは明らかであり、このため、バルブは可変のものではなく、流体の流れを可能にするか、または拒むことだけができる。
【0100】
本発明を使用するスプールバルブ1の例を、ここで、2位置3方向バルブを示す
図13Aおよび
図13Bを参照して説明する。
【0101】
図13Bは、第1の位置16にあるスプールバルブ1を示し、流体圧力は入口ポート2を通して作用する。流体は、入口ポート2を出てボア4の中に入る。スペーサ10Aは、ポート2に隣接して、またはポート2の上に配置され、前述の開口39を通り、黒い矢印で示されるように、流体がスペーサ外径13からスペーサ内径12まで通過することを可能にする。スプール5は、スプール外径13内のアンダーカット44として縮小している。このことが、流体が、スペーサ10Aから、スプール外径13から離れているシール6Bを横切ってスペーサ10Bへと通過することを可能にする。スペーサ10Bから、流体は、スペーサ内径12からスペーサ外径13へと通過することができる。スペーサ10Bは、出口ポート3Bの上に位置し、したがって、流体は、その後、出口ポート3Bを通過して、必要に応じてその作業を継続することができる。スプール5は、例えば、アクチュエータ19(図示せず)、または例えばピストン面25に対する圧力である外力によって、この場合は、付勢14に対して、この位置に保持され得る。
【0102】
図13Aは、第2の位置17にあるスプールバルブ1を示している。スプール5は、外力、例えば付勢21、またはアクチュエータ19(図示せず)の作動下で、長手方向軸15に沿って第1の方向23と反対の第1の方向22に並進している。この位置では、シール6Aおよび6Bのシール内径8がスプール外径9のランド43に係合しているために、入口ポート2からの流体圧力24がバルブを通って移動することが防止される。代わりに、ここで出口ポート3Bからの流体圧力24は、ポート3Bを逆流してボア内径35まで、スペーサ外径13から開口部39を介してスペーサ内径12まで逆流することができる。そこでは、スプール5のアンダーカット44は、流体が出口ポート3Aを通過することを可能にする。このことは、ポート3Bから3Aを介して圧力を解放することができ、または所望により別の流路であることができる。
【0103】
スプールバルブは、説明されているように任意の数の形態をとることができ、例えば、2位置5方向バルブ、または3(第3位置18を有する)位置X方向バルブなどであるが、これらに限定されず、必要に応じて任意の数に変更され得る。
【0104】
図示されているスプールバルブ、またはその変形は、ボアおよびポート(入口および出口)を備えた様々な構成で説明されているようにスペーサ10およびシール6を使用し、スプールは多くの産業で使用されることができる。例えば、限定されるものではないが、石油およびガス、手工具、トラップ、およびコンパクトなバルブ配置が流体圧力を迅速に方向付ける他の用途が必要とされており、また、アセンブリ、分解、および/または操作の容易さが必要とされている。
【0105】
分離/パージスプールバルブは、従来のテザーネイルガン(または他の締結)工具の完全空気圧トリガー配置で見られることがある。これらの用途では、トリガーの静止位置で、工具内のチャンバまたはチャンバのサブセットのすべてに工具の空気源から加圧空気が供給されており、この空気源は、通常、コンプレッサ、またはコンプレッサによって供給された空気タンクであり、エアホースを介して工具に接続されている。トリガーがアクティブ化されると(第2の位置に動かされると)、工具内のチャンバの様々なセットに空気源からの加圧空気が供給され、または引き続き供給され、一方で同時に、以前に圧力を含んでいた少なくとも1つのチャンバから空気が放出される。圧力変化により、工具内で新しい力のバランスが達成され、これが、次いで、釘を打ち込むための構成要素の動き、またはその他の動作サイクル中に工具が行う動作になる。ばね力、圧力、またはユーザの操作によってトリガーが元の位置に戻ると、再び元の圧力状態に戻る。
【0106】
例えば、ハンドヘルド工具の操作では、本発明のスプールバルブは、2つのバルブを1つに組み合わせ、操作バルブと安全装置または排気装置を大気バルブに組み合わせて、再び「コック」されるまで操作を防止する。スプールバルブが、単一の線形運動で隔離およびパージ操作の両方を実行することができることから、本発明のそのようなスプールバルブ1は望ましく、単一の押しボタンまたはトリガーを使用する(すなわち、(シールを含まない)単一の可動要素を使用する)作動に好適である。
【0107】
図13Aおよび
図13Bを使用する別の形態では、スプールバルブ1は、逆方向動作で作動することができ、ここでは、
図13Bに示される位置は、例えば、アクチュエータまたはユーザによってその位置に移動されており、ポート3Aに流入する圧力(すなわち、ポート3Aは現在、入口ポートである)、およびピストン25に作用するように流入する圧力によってその位置に保持されており、付勢要素21の正味の力よりも大きい正味の力を有する。この構成では、バルブは入口ポート2から出口ポート3Bへの、またはその逆を可能にする。ポート3Aの圧力が除去または低減されると、次いで、バルブは
図13Aの位置に移動し、これにより、ポート2からポート3Bへの流体の動きを防止する。ポート3B内の過剰な圧力が、次いでポート3Aから流出する。
【0108】
本発明はまた、既存のスプールバルブを本発明に後付けするための部品のキットから構成され得る。例えば、それは、スプール5、スペーサ10、およびボア内シール6、ならびに、必要に応じて、任意選択で保持構成要素14を提供することができる。既存のボア4は、すでに好適であり得るか、または本発明を可能にするために再成形などの再加工を必要とし得る。
【0109】
スプールを備えたボア内に配置された本発明のシール6およびスペーサ10の多くの変形例は想定されることができ、これらの変形例はすべて本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0110】
本発明の前述の説明は、その好ましい形態を含む。本発明の範囲から逸脱することなく、それに修正を加えることができる。
【外国語明細書】