(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097860
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C07H 19/10 20060101AFI20240711BHJP
C07H 19/20 20060101ALI20240711BHJP
C07H 21/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240711BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240711BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240711BHJP
【FI】
C07H19/10 CSP
C07H19/20
C07H21/00
A61K48/00
A61K31/713
A61K31/7125
C07H19/10 ZNA
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/113 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074835
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2022022652の分割
【原出願日】2017-06-06
(31)【優先権主張番号】62/346,304
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512219840
【氏名又は名称】アローヘッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】チェン リー
(72)【発明者】
【氏名】タオ ペイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ローラー
(57)【要約】
【課題】RNAi剤等のオリゴマー化合物に組み込むのに有用な5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドの提供。
【解決手段】5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチド干渉(RNAi)剤等の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを記述する。5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む本明細書に記載の二本鎖又は一本鎖オリゴヌクレオチドを有するRNAi剤は、遺伝子の発現の調節ならびに治療、診断、標的評価、及びゲノム発見用途に有用である。5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤及び一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞、組織又は生物の遺伝子発現又は活動の抑制に反応する疾患又は病態の治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
シクロは、
【化2】
であり、
X’は、
【化3】
であり
X’’は、(i)式Aの化合物をRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合、又は(ii)ホスホラミダイト基であり、
Dは、O、又はSであり、
Zは、H、-OH、OCH
3、-O-(CH
2)
2-OCH
3;又はハロゲンであり、
Y
1、Y
2、Y
3、及びY
4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、
Jは、O、又はSであり、
K及びLはそれぞれ独立してOR
16、SR
16、又はNR
16から選択され、R
16はH、C
1-C
10アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、アリール又は以下の式から選択され、
【化4】
R
14は、H、あるいはSH、S-(C
1-C
4アルキル)、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH
2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC
1-C
4アルキルから選択され、R
15はH、又はC
1-C
18アルキルから選択される、式Aを有する化合物。
【請求項2】
【化5】
QはO、S、N(R
30)、又はC(R
31)(R
32)から選択される二価部分であり、R
30は、H、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、R
31及びR
32はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、
Aは(i)式I又は式IIの化合物をRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合である、式I又は式IIを有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
QはOである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
シクロが以下の式である、請求項1から3の何れか一項に記載の化合物。
【化6】
【請求項5】
【化7】
Dは、O、又はSであり、
Xはプリニル又はピリミジニル塩基であり、
Zは、H、-OH、OCH
3、-O-(CH
2)
2-OCH
3;又はハロゲンであり、
Y
1、Y
2、Y
3、及びY
4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、
Jは、O、又はSであり、
K及びLはそれぞれ独立して、OR
16、SR
16、又はNR
16から選択され、R
16はH、C
1-C
10アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、アリール又は以下から選択され、
【化8】
R
14は、H、あるいはSH、S-(C
1-C
4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH
2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC
1-C
4アルキルから選択され、R
15はH、C
1-C
18アルキル又はアリールから選択され、
QはO、S、N(R
30)、又はC(R
31)(R
32)から選択される二価部分であり、R
30は、H、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、R
31及びR
32はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、
Aは(i)式I-b又は式II-bの化合物をRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合、又は(ii)ホスホラミダイト基であり、
G
1、G
2、G
3及びG
4はそれぞれ、Hである、
式I-b又は式II-bを有する化合物。
【請求項6】
QがOである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記RNAi剤が二本鎖である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、1-ウラシリル、1-チミニル、1-シトシニル、5-メチル-1-シトシニル、9-アデニニル、9-グアニニル、又は9-イノシニルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
【化9】
Dは、O、又はSであり、
Xはプリニル又はピリミジニル塩基であり、
Zは、H、-OH、OCH
3、-O-(CH
2)
2-OCH
3;又はハロゲンであり、
Y
1、Y
2、Y
3、及びY
4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
2-C
6アルケニル、又はC
2-C
6アルキニルであり、
Jは、O、又はSであり、
K及びLはそれぞれ独立してOR
16、SR
16、又はNR
16から選択され、R
16はH、C
1-C
10アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、アリール又は以下から選択され、
【化10】
R
14は、H、あるいはSH、S-(C
1-C
4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH
2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC
1-C
4アルキルから選択され、R
15はH、C
1-C
18アルキル又はアリールから選択され、
G
1、G
2、G
3及びG
4はそれぞれ、Hである、
式I-b-5又は式II-b-5を有する化合物。
【請求項10】
前記化合物が以下の式、
【化11】
を有する請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
【化12】
Xはプリニル又はピリミジニル塩基であり、
Zは、H、-OH、OCH
3、-O-(CH
2)
2-OCH
3;又はハロゲンであり、
J及びJ’はそれぞれ独立してO又はSであり、
【化13】
上の式は、RNAi剤の残りを含む、
式III-b又は式IV-bを有する化合物。
【請求項12】
前記化合物が、以下:
又はその薬学的に許容される塩、からなる群から選択される式を有する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1から8、11及び12の何れか一項に記載の化合物の一又は複数を含む組成物。
【請求項14】
RNAi剤を含む組成物であって、前記RNAi剤が請求項1から8、11及び12の何れか一項に記載の化合物の一又は複数を含む、組成物。
【請求項15】
前記RNAi剤が二本鎖である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
対象の標的核酸の発現抑制に使用するための、請求項13から15の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
対象の疾患又は障害の治療に使用するための、請求項13から15の何れか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2016年6月6日に出願した米国特許仮出願第62/346,304号明細書の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0003】
本明細書は、RNAi剤等のオリゴマー化合物に組み込むのに有用な5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを開示する。
【背景技術】
【0004】
オリゴマー化合物は、標的核酸に少なくとも部分的に相補的なヌクレオチド配列を含み、インビトロとインビボの両方で標的の機能及び活動を変化させるために示された。オリゴマー化合物は、(メッセンジャーRNA(mRNA)等の)標的核酸を含む細胞に送達されると、標的の発現を調節し、標的核酸の転写又は翻訳が変化することが示された。特定の例において、オリゴマー化合物は、核酸標的を抑制する、及び/又は標的核酸の分解を起こすことによって、遺伝子の発現を減少させることができる。
【0005】
標的核酸がmRNAの場合、発現抑制オリゴマー化合物がmRNA標的の発現を調節することができる一機序は、RNA干渉(RNAi)による。RNAiは、RNA又は(化学修飾されたRNA分子等)のRNA様分子が、分解によって遺伝子発現を停止させることができる生物学的プロセスである。転写後遺伝子サイレンシングの過程は、外来遺伝子の発現を防ぐために使用する進化保存細胞防御機序であると考えられる。
【0006】
RNAi応答機序は、通常、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として呼ばれるエンドヌクレアーゼ複合体を特色とし、その標的に相補的であるRNA又はRNA様分子の一本鎖をその構造に組み込むと考えられている。RISCは、mRNAでRISCに組み込まれる一本鎖RNA又はRNA様分子の相補性によって、一本鎖RNA(すなわちmRNA)の開裂を媒介することが理解されている。
【0007】
合成RNA及びRNA様分子がインビトロとインビボにRNA干渉を誘発することが示された。例えば、Elbashir等(Nature 2000、411、494-98)は、培養した哺乳動物の細胞において、合成の21-ヌクレオチドRNA分子の二本鎖を導入することによって誘発されたRNAiについて述べている。RISCと相互作用し、RNAi応答機序を起こすことができる合成RNA又はRNA様分子の種類は、修飾ヌクレオチド及び/又は一又は複数の非リン酸ジエステル結合から構成することができる。
【0008】
さらに、一本鎖RNA及びRNA様分子は、修飾ヌクレオチドを含み、一又は複数の非リン酸ジエステル結合を有することもでき、標的mRNAの発現を変えることもできる。
【0009】
特定の知られている修飾ヌクレオチドは、オリゴマー化合物に組み込まれるとき、インビボに投与されると、発現抑制オリゴマー化合物の持続時間及び/又は活動を向上させることを示した。
【発明の概要】
【0010】
RNAi剤等のオリゴマー化合物に、改善し又は向上した安定性及び/又は能力を提供することができる新規の修飾ヌクレオチドが必要である。例えば、RNAi剤の5’末端において、リン酸部分の安定性を向上させることができる新規修飾ヌクレオチドが必要である。
【0011】
本明細書は、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド、及び5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi等のオリゴマー化合物について述べる。記述の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、(短干渉RNA等の)二本鎖オリゴヌクレオチド又は(アンチセンスオリゴヌクレオチド等の)一本鎖オリゴヌクレオチドに組み込むことができる。一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤等のオリゴマー化合物は、RNAi剤に結合するn-アセチル-ガラクトサミンクラスター又はペプチド等の標的リガンドも有することができる。一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤等のオリゴマー化合物は、RNAi剤に結合するポリエチレングリコール(PEG)部分又は脂質等の薬物動態的調節因子も有することもできる。
【0012】
本明細書に記載の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RNAi剤の安定性及び/又は能力を改善することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド鎖のリン酸ジエステル結合をインビボで開裂することができるエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼに対する安定性及び抵抗性を増加させることができる。さらに、理論に縛られることを望まないが、RNAi剤の末端の5’-リン酸化状態は、RISCへの鎖の組込みの要因になると考えられる。そのため、アンチセンス鎖の5’末端に位置する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5’末端をリン酸化し、リン酸化を維持する可能性を増加させることができる。このことは、特定の鎖をRISCに負荷する可能性を増加させることができ、それによってRNAi剤をRNAi経路に侵入させることができ、ノックダウン及び遺伝子サイレンシング活動が改善し、向上する。
【0013】
本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖の5’炭素(又は糖代替置換部分に同等の位置)に位置する環状基又は環状部分を有する。本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5’端にホスホン酸基(又は本明細書に記載するように、例えば5’-C-マロニルを組み込むことによってホスホン酸模擬基)を形成する。
【0014】
いくつかの実施形態において、開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、式Aによって示す構造を有し、
【0015】
【0016】
シクロは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を有する置換されてもよい二価環状部分であって、例えば、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチル)、シクロアルケニル(例えば、シクロペンテニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、又はシクロヘプテニル)、アリール(例えばフェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、チアゾール、ベンゾチアゾール、フラン、オキサゾール、イソキサゾール、ベンゾフラン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、キノリニル、イソキノリニル、又はキノキサリニル)、又はヘテロシクリル(例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピロリジン、ジオキサン、又はジオキソラン)であり、
【0017】
X’は、
【0018】
【0019】
であり、又は糖代替置換部分を含み、
X’’は、(i)5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドをRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合又は(ii)ホスホラミダイト基であり、
【0020】
Dは、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)、OC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であり、
【0021】
R1は、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0022】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0023】
Dが、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)であるとき、Xは複素環式塩基部分であり、
DがOC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であるとき、Xは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、X3は複素環式塩基部分であり、
【0024】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0025】
Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、又はあるいはY4はY1もしくはY2の1つに結合し、前記結合はO、S、NR9、C(R10)(R11)、C(R10)=C(R11)、C[=C(R10)(R11)]及びC(=O)から選択される二価の基を含み、前記Y1、Y2及びY3のその他の2つはそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、各R9、R10及びR11は独立してH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0026】
Jは、O、S、NR12、N-N(R13)2、又はN-OR13であり、
【0027】
R12は、H、OH、ハロゲン、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0028】
【0029】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0030】
R13はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0031】
【0032】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0033】
K及びLはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下から選択され、
【0034】
【0035】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又は-NH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0036】
いくつかの実施形態において、式Aの構造のシクロは、以下から成る群から選択される。
【0037】
【0038】
いくつかの実施形態において、式Aの構造のシクロは、環状官能基であり、環状官能基は、標準IUPAC命名法:1,2;1,3;1,4;1,5;1,6;1,7;2,3;2,4;2,5;2,6;2,7;,4;3,5;3,6;3,7;4,5;4,6;4,7;5,6;5,7;又は6,7を使用して示される置換環状官能基の以下の位置で、リン酸部分及び式AのX’に結合する。
【0039】
いくつかの実施形態において、式Aの構造のシクロは置換される。いくつかの実施形態において、式Aの構造のシクロは、標準IUPAC命名法:1,2;1,3;1,4;1,5;1,6;1,7;2,3;2,4;2,5;2,6;2,7;3,4;3,5;3,6;3,7;4,5;4,6;4,7;5,6;5,7;又は6,7を使用して示される置換環状官能基の以下の位置で、リン酸部分及び式AのX’に結合する置換された環状部分である。
【0040】
いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分であり、又はそれを含む。いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分であり、又はそれを含み、糖代替置換部分はモルホリノである。いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分であり、又はそれを含み、糖代替置換部分はシクロヘキセニルである。いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分であり、又はそれを含み、糖代替置換部分はシクロヘキシトールである。
【0041】
いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分であり、又はそれを含み、糖代替置換部分は非環式である。いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分としてアンロックト核酸塩基類似体(UNA)であり、又はそれを含む(例えば、米国特許第8,314,227号明細書を参照のこと)。いくつかの実施形態において、式AのX’は、糖代替置換部分としてグリセロール核酸構造であり、又はそれを含む(例えば、国際公開第2016/028649号パンフレットを参照のこと)。
【0042】
いくつかの実施形態において、式AのX’は、ロックト核酸であり、又はそれを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する化合物は、式I-b又は式II-bを有する5’-シクロプロピルホスホン酸基を有し、
【0044】
【0045】
Dは、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)、OC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であり、
【0046】
R1は、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0047】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0048】
DがO、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)であるとき、Xは複素環式塩基部分であり、
【0049】
DがOC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であるとき、Xは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、X3は複素環式塩基部分であり、
【0050】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0051】
Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、又はあるいはY4はY1もしくはY2の1つに結合し、前記結合はO、S、NR9、C(R10)(R11)、C(R10)=C(R11)、C[=C(R10)(R11)]及びC(=O)から選択される二価の基を含み、前記Y1、Y2及びY3のその他の2つはそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、各R9、R10及びR11は独立してH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0052】
Jは、O、S、NR12、N-N(R13)2、又はN-OR13であり、
【0053】
R12は、H、OH、ハロゲン、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0054】
【0055】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0056】
R13はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0057】
【0058】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0059】
K及びLはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリールから選択され、又は以下であり、
【0060】
【0061】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0062】
QはO、S、N(R30)、又はC(R31)(R32)から選択される二価部分であり、R30は、H、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R31及びR32はそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、
【0063】
Aは(i)式Iの5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドをRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合、又は(ii)ホスホラミダイト基であり、
【0064】
G1、G2、G3及びG4はそれぞれ独立してH、F、ハロゲン、C1-C6アルキル、CN、CH2(R33)、CH2-O-(R33)、C(=O)(R33)、C(=S)(R33)、又は(R34)(R33)から成る群から選択され、R33はO(R35)、S(R35)、N(R35)(R36)であり、R34、R35、及びR36はそれぞれ独立してH、ハロゲン又はC1-C6アルキルから選択される。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する化合物は、5-シクロプロピルホスホン酸基を含み、RNAi剤に結合し、以下の式III又は式IVを有し、
【0066】
【0067】
Xは複素環式塩基部分であり、
【0068】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0069】
J及びJ’はそれぞれ独立してO又はSであり、
【0070】
L、L’、及びKはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下から選択され、
【0071】
【0072】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0073】
【0074】
上の式は、RNAi剤の残りを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド化合物は、ホスホラミダイト化合物である。
【0076】
いくつかの実施形態において、開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド化合物は、式I-b-5又は式II-b-5を有するホスホラミダイト化合物である。
【0077】
【0078】
Dは、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)、OC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であり、
【0079】
R1は、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0080】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0081】
DがO、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)であるとき、Xは複素環式塩基部分であり、
DがOC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であるとき、Xは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、X3は複素環式塩基部分であり、
【0082】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0083】
Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、又はあるいはY4はY1もしくはY2の1つに結合し、前記結合はO、S、NR9、C(R10)(R11)、C(R10)=C(R11)、C[=C(R10)(R11)]及びC(=O)から選択される二価の基を含み、前記Y1、Y2及びY3のその他の2つはそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、各R9、R10及びR11は独立してH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0084】
Jは、O、S、NR12、N-N(R13)2、又はN-OR13であり、
【0085】
R12は、H、OH、ハロゲン、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0086】
【0087】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0088】
R13はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、又は以下の式であり、
【0089】
【0090】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0091】
K及びLはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、又は以下の式から選択され、
【0092】
【0093】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0094】
G1、G2、G3及びG4はそれぞれ独立してH、F、ハロゲン、C1-C6アルキル、CN、CH2(R33)、CH2-O-(R33)、C(=O)(R33)、C(=S)(R33)、又は(R34)(R33)から成る群から選択され、R33はO(R35)、S(R35)、N(R35)(R36)であり、R34、R35、及びR36はそれぞれ独立してH、ハロゲン又はC1-C6アルキルから選択される。
【0095】
いくつかの実施形態において、5-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むホスホラミダイト含有化合物は以下の構造を有する。
【0096】
【0097】
いくつかの実施形態において、開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド化合物は、式Bによって表される構造を有し、
【0098】
【0099】
シクロ及びX’は、前述の式Aと連結してそれぞれ規定され、
【0100】
式BのMは、5’-ホスホン酸模擬基であり、又はそれを含む。いくつかの実施形態において、式BのMは、5’-C-マロニル基である。いくつかの実施形態において、式BのMは、カルボン酸、スルホン酸又はボロン酸である。いくつかの実施形態において、式BのMは、ジカルボン酸、ジスルホン酸又はジボロン酸である。いくつかの実施形態において、式BのMは、カルボン酸、スルホン酸、ボロン酸及びリン酸の混合物から選択される二酸である。いくつかの実施形態において、ホスホン酸模擬基(すなわち式BのM)は、単結合によって式Bのシクロに結合する。いくつかの実施形態において、ホスホン酸模擬基(すなわち式BのM)は、単結合より多い結合によって式Bのシクロに結合する。
【0101】
いくつかの実施形態において、開示する式Bの化合物は、以下の構造によって示す構造を有し、
【0102】
【0103】
シクロ及びX’は、前述の式Aと連結してそれぞれ規定され、
【0104】
いくつかの実施形態において、開示する式Bの化合物は、以下の構造によって表される構造を有し、
【0105】
【0106】
シクロ、D、X及びZは、前述の式Aと連結してそれぞれ規定される。
【0107】
2つの分子間の接続を指すときの用語「結合される」は、本明細書で使用するとき、2つの分子が共有結合によって連結する、又は2つの分子が分子間力(例えば、水素結合、ファンデルワールス力又はイオン結合)によって結合することを意味する。いくつかの実施形態において、用語「結合される」が分子間力によって2つの分子の結合を指す場合、2つの異なる分子間の結合は、生理学的に許容されるバッファ(例えばリン酸緩衝生理食塩水)において1x10-4M未満のKD(例えば、1x10-5M未満、1x10-6M未満、又は1x10-7M未満)を有する。
【0108】
用語「直接結合される」は、本明細書で使用するとき、介在する原子又は原子の基がない第2の化合物又は基に結合する第1の化合物又は基を指す。用語「間接結合される」は、本明細書で使用するとき、例えば、結合基等の中間の原子、基、化合物又は分子によって、第2の化合物又は基に結合する第1の化合物を指す。他に断りがない限り、本明細書で使用する用語「結合される」は、本明細書に定義されるように、「直接結合される」と「間接結合される」の両方を含む。
【0109】
「オリゴマー化合物」は、本明細書で使用するとき、約10~50ヌクレオチド又はヌクレオチド塩基対を含むヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、オリゴマー化合物は、発現した標的核酸又は細胞内の標的遺伝子のコード配列に少なくとも部分的に相補的である核酸塩基配列を有する。いくつかの実施形態において、オリゴマー化合物は、遺伝子を発現する細胞に送達されると、基本となる遺伝子の発現を抑制することができ、本明細書において「発現抑制オリゴマー化合物」を意味する。インビトロ又はインビボに遺伝子発現を抑制することができる。「オリゴマー化合物」として、オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド、短干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、リボザイム、干渉RNA分子、及びダイサー基質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
用語「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用するとき、それぞれが独立して修飾される、又は修飾されない結合したヌクレオシドのポリマーを意味する。
【0111】
用語「一本鎖オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用するとき、標的mRNAに少なくとも部分的に相補的な配列を有し、哺乳動物の生理条件(又は同様のインビトロの条件)下で、水素結合によって標的mRNAをハイブリダイズすることができる一本鎖オリゴマー化合物を意味する。いくつかの実施形態において、一本鎖オリゴヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込むことができる。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドの5’端の末端ヌクレオチドとして配置される。
【0112】
「RNAi剤」は、本明細書で使用するとき、配列特異的に、標的mRNAのメッセンジャーRNA(mRNA)転写物の翻訳を分解する、又は抑制することができるRNA又はRNA様(例えば化学修飾されたRNA)オリゴヌクレオチド分子を含む剤を意味する。RNAi剤は、本明細書で使用するとき、RNA干渉機序(すなわち、哺乳動物細胞のRNA干渉経路機構(RNA誘発サイレンシング複合体又はRISC)との相互作用によってRNA干渉を誘発する)によって、又は代替の機序(複数可)もしくは経路(複数可)によって作用することができる。RNAi剤は、その用語を本明細書で使用するとき、RNA干渉機序によって主に作用すると考えられているが、開示するRNAi剤は、特定の経路もしくは活性の機序に縛られない、又は限定されない。RNAi剤として、一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド、短干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、及びダイサー基質が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載のRNAi剤は、標的にされるmRNAに少なくとも部分的に相補的な鎖を有するオリゴヌクレオチドから成る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のRNAi剤は、二本鎖であり、アンチセンス鎖及びアンチセンス鎖に少なくとも部分的に相補的なセンス鎖から成る。RNAi剤は、修飾ヌクレオチド及び/又は一又は複数の非リン酸ジエステル結合から構成されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のRNAi剤は、一本鎖である。
【0113】
所与の遺伝子の発現を指すときの用語「サイレンス」、「減少する」、「抑制する」、「ダウンレギュレートする」、又は「ノックダウン」は、本明細書で使用するとき、遺伝子から転写されるRNAのレベル又はポリペプチドのレベル、細胞、細胞群、組織、臓器、遺伝子が転写される対象においてmRNAから翻訳されるタンパク質もしくはタンパク質サブユニットによって測定したときの遺伝子の発現が、本明細書に記載のRNAi剤等のオリゴマー化合物で治療を受けた対象の細胞、細胞群、組織、臓器のほうが、治療を受けていない又は受けたことがない対象の第2の細胞、細胞群、組織、臓器より減少することを意味する。
【0114】
用語「配列」又は「ヌクレオチド配列」は、本明細書で使用するとき、標準的なヌクレオチド命名法を使用して連続した文字で記述した連続した又は順序付けた核酸塩基又はヌクレオチドを意味する。
【0115】
「ヌクレオチド塩基」又は「核酸塩基」は、本明細書で使用するとき、複素環式ピリミジン又はプリン化合物であり、全ての核酸の標準的な構成物であり、ヌクレオチドアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)を形成する塩基を含む。核酸塩基は、さらに修飾されて、以下に限定されないが、普遍的な塩基、疎水性塩基、乱雑な塩基、拡大サイズの塩基、フッ素化塩基を含む。
【0116】
用語「複素環式塩基部分」は、本明細書で使用するとき、本明細書に定義される核酸塩基又は修飾核酸塩基である。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、ピリミジン、置換ピリミジン、プリン、又は置換プリンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、天然のプリン又は置換プリンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、非天然のプリン又は置換プリンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、天然のピリミジン又は置換ピリミジンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、非天然のピリミジン又は置換ピリミジンである。いくつかの実施形態において、特に、本明細書に開示する5’-シクロホスホネート修飾ヌクレオチドがホスホラミダイト化合物であるとき、複素環式塩基部分は、一又は複数の保護基を含む。
【0117】
「糖代替置換部分」は、本明細書で使用するとき、天然のリボヌクレオチドの5員フラノース環を置換することができる構造を指す。
【0118】
用語「相補的な」は、本明細書で使用するとき、他に断りがない限り、第2のヌクレオチド配列(例えば、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は二本鎖RNAi剤アンチセンス鎖)に関連して第1のヌクレオチド配列(例えば、RNAi剤センス鎖又は標的mRNA)を記述するために使用するとき、第1ヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの、ハイブリダイズして(哺乳動物の生理条件(又は同様のインビトロの条件)下で塩基対水素結合を形成する)、オリゴヌクレオチド又は第2のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを有する特定の条件下で、二本鎖又は二重らせん構造を形成する能力を意味する。相補的配列として、少なくとも前述のハイブリダイゼーション条件を満足する範囲で、ワトソン-クリック塩基対又は非ワトソン-クリック塩基対が挙げられ、天然又は修飾ヌクレオチド又はヌクレオチド模倣物が挙げられる。配列の同一性又は相補性は、修飾とは関係がない。例えば、a及びAfは、同一性又は相補性を決定するために、U(又はT)と相補的であり、Aと同一である。
【0119】
「完全に相補的な」又は「充分に相補的な」は、本明細書で使用するとき、第1のポリヌクレオチドの連続した配列の塩基の全て(100%)が第2のポリヌクレオチドの連続した配列の塩基と同数でハイブリダイズすることを意味する。連続した配列は、第1又は第2のヌクレオチド配列の全て又は一部を含むことができる。
【0120】
「部分的に相補的な」は、本明細書で使用するとき、核酸塩基配列のハイブリダイズした対において、第1のポリヌクレオチドの連続した配列の全ての塩基が第2のポリヌクレオチドの連続した配列の塩基と同数でハイブリダイズしないが、少なくとも70%ハイブリダイズすることを意味する。
【0121】
「実質的に相補的な」は、本明細書で使用するとき、核酸塩基配列のハイブリダイズした対において、第1のポリヌクレオチドの連続した配列の全ての塩基が第2のポリヌクレオチドの連続した配列の塩基と同数でハイブリダイズしないが、少なくとも85%がハイブリダイズすることを意味する。用語「相補的な」、「充分に相補的な」、及び「実質的に相補的な」は、本明細書において、二本鎖RNAi剤のセンス鎖とアンチセンス鎖、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖と標的mRNAの配列、又は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的mRNAの配列との塩基マッチングについて使用することができる。
【0122】
用語「治療する」、「治療」は、本明細書で使用するとき、対象の疾患又は病態の一又は複数の症状の数、重症度、及び/又は頻度の軽減又は緩和を提供するために取る方法又はステップを意味する。
【0123】
フレーズ「細胞に導入すること」は、本明細書で使用するとき、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤を意味するとき、細胞にRNAi剤を機能的に送ることを意味する。フレーズ「機能的送達」は、RNAi剤が期待される生物学的活動、例えば、遺伝子発現の配列特異的抑制を有することができるように、RNAi剤を細胞に送ることを意味する。
【0124】
他に断りがない限り、シンボル
【0125】
【0126】
は、本明細書で使用するとき、任意の基又は複数の基が本明細書に記載の発明の範囲に従って結合することができることを意味する。
【0127】
用語「異性体」は、本明細書で使用するとき、同じ分子式を有するが、原子を結合する性質もしくは配列、又は空間における原子の配置が異なることを指す。空間における原子の配置が異なる異性体を「立体異性体」と呼ぶ。互いに鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオマー」と呼び、重なることができない鏡像を「エナンチオマー」又は光学的異性体とも呼ぶ。4つの同一ではない置換基に結合した炭素原子を「キラル中心」と呼ぶ。
【0128】
特定の構造を有する構造において特に識別されない限り、非対称中心が存在し、そのため、エナンチオマー、ジアステレオマー、又は他の立体異性体構造が生じるそれぞれの構造について、本明細書に開示する各構造は、光学的に純粋でラセミ形状を含む全ての可能な異性体を表すこと意図している。例えば、本明細書に開示する構造は、ジアステレオマー及び1つの立体異性体の混合物を網羅することを意図している。本明細書に記載の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、一又は複数の非対称中心を含み、そのため、(R)もしくは(S)として、(糖のアノマー等の)α又はβとして、又は(アミノ酸等の)(D)もしくは(L)として絶対立体化学において規定することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、又は他の立体異性体構造が生じる。本明細書に記載の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドには、ラセミ形態及び光学的に純粋な形態を含む全ての可能な異性体が含まれる。特に断りがない限り、本明細書に記載の化合物が(例えば、アルケン又はイミンにおいて)二重結合を含むとき、化合物がEとZ幾何異性体とシス-及びトランス-異性体の両方を含むことを意図している。同様に、全ての互変異性形態も含むことを意図している。本明細書に登場する結合の構造は、便宜上、単独で選択され、他に断りがない限り、特定の構造に限定することを意図していない。
【0129】
用語「置換される」は、本明細書で使用するとき、但し、指定した原子の通常の原子価を上回ることなく、置換によって安定した化合物になれば、指定の原子、通常は炭素、酸素又は窒素原子上の一又は複数の水素が、本明細書に規定される基で置換されることを意味する。置換基がケト又はオキソ(すなわち、=0)であるとき、原子上の2つの水素が置換される。環二重結合は、本明細書で使用するとき、2つの隣接する環状原子(例えば、C=C、C=N、N=N)の間で形成される二重結合である。いくつかの実施形態において、環状官能基の置換基は、追加の環状基又はアリール基である。二環式基は、本明細書で使用するとき、置換された環状官能基であると考えられる。有機官能基の例として、限定されないが、水素;ハロ(例えばF、CI、Br、I);シアノ;-CO2Ra;-CONRaRa;1~2個の独立して選択されたRaで置換されてもよいC1-6アルキル;C1-4ハロアルキル;C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ;シクロアルキルが挙げられるが、シクロアルキルは1~4個の独立して選択されたRaで置換されてもよく、ヘテロシクリルは5~8個の環状原子を含み、1~3個の環状原子はそれぞれ独立してN(Ra)、O及びSから成る群から選択され、ヘテロシクリルは1~4個の独立して選択されるRaで置換されてもよく;C6-10アリールは1-4Raで置換されてもよく;ヘテロアリール5~10個の環状原子を含み、1~4個の環状原子はそれぞれ独立してN、N(Ra)、O及びSから成る群から選択され、ヘテロアリールは1~3個のRa;-N3;-CO2H;-OH;-SO1-2(Ra);-NRaRa;-SO1-2(NRaRa);及びチオアルコキシで置換されてもよく、Raはそれぞれ独立してC1-6アルキル、-OH、-ハロ、-NH2、-N(C1-4アルキル)2、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、-C(=O)(C1-4アルキル)、-C(=O)OH、-CON(C1-4アルキル)2、-S(O)1-2(C1-4アルキル)2及びシアノから選択される。
【0130】
本開示のいくつかの化合物は、本開示の範囲に含むことも意図している互変異性形態に存在することができる。「互変異性体」は、構造として原子の配列が顕著に異なるが、容易で急速な平衡状態で存在する。本開示の化合物は、異なる互変異性体として記述することができることを理解されたい。化合物が互変異性形態を有するとき、全ての互変異性形態が本開示の範囲にあることを意図し、化合物の命名は、いかなる互変異性形態を除外しないことも理解されたい。
【0131】
本開示の化合物及び薬学的に許容される塩は、一又は複数の互変異性形態に存在することができ、ケトン-エノール、アミド-ニトリル、ラクタム-ラクチム、アミド-イミド酸(例えば、核酸塩基グアニン、チミン、及びシトシン中)、アミン-エナミン及びエナミン-エナミンならびに幾何異性体及びその混合物が挙げられる。環状鎖互変異性は、グルコース及びその他の糖類によって表され、糖鎖分子のアルデヒド基(-CHO)の結果として、同分子のヒドロキシ基(-OH)の1つと反応し、環状(リング形状の)形態になる。全ての互変異性形態が本開示の範囲に含まれる。互変異性体は、溶液中に互変異性のセットの混合物として存在する。固体形状では、通常、1つの互変異性体が優勢である。1つの互変異性体を記述することができるが、本開示は本明細書に開示する化合物の全ての互変異性体を含む。互変異性化によって相互転換できる互変異性体の概念を互変異性と呼ぶ。互変異性において、電子と水素の同時のシフトが起こる。
【0132】
塩基によって触媒される互変異性化は、1)脱プロトン化;2)非局在化した陰イオン(例えばエノラート)及び3)陰イオンの異なる位置でのプロトン化によって生じる。酸によって触媒された互変異性化は、1)プロトン化;2)非局在した陽イオン;及び3)陽イオンに隣接した異なる位置での脱プロトン化によって生じる。
【0133】
「保護基」は、本明細書で使用するとき、技術分野で知られている不安定な化学部分を指し、合成過程の最中に反応基(例えば、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、及びスルフヒドリル基)が望ましくない反応をしないようにする。保護基は、通常、他の反応部位での反応の最中に、保護部位に対して選択的及び/又は直交性に使用し、その後、保護基は取り除かれ、脱保護基をそのままにし、又はさらなる反応に使用することができる。いくつかの実施形態において、「置換された」基又は置換基は、保護基を含む。
【0134】
用語「アルキル」は、本明細書で使用するとき、飽和脂肪族炭化水素基、直鎖又は分岐鎖を指し、特に断りがない限り、1~10個の炭素原子を有する。例えば、「C1-6アルキル」は、直線又は分岐の配置において1、2、3、4、5又は6個の炭素を有するアルキル基を含む。用語「アミノアルキル」は、本明細書で使用するとき、前述のアルキル基を指し、通常の原子価によって許容される一又は複数のアミノ基で任意の位置で置換される。アミノ基は置換されていなくとも、一置換されても、二置換されてもよい。
【0135】
用語「環状官能基」は、環状構造を形成する官能基を意味することを意図している。環状官能基として、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール及びアリールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用するとき、他に断りがない限り、3~14個の炭素原子を有する飽和又は不飽和非芳香族炭化水素環状基を意味する。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、メチル-シクロプロピル、2,2-ジメチル-シクロブチル、2-エチル-シクロペンチル、又はシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキルは複数のスピロ又は縮合環を含んでもよい。シクロアルキル基は、通常の原子価によって許容される位置で、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、又はペンタ-置換されてもよい。
【0137】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1つの炭素間二重結合を含み、他に断りがない限り、2~10個の炭素原子を有する直線又は分岐の非芳香族炭化水素基を指す。最大5個の炭素間二重結合が、この基に存在してもよい。例えば、「C2-C6」アルケニルは、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基として規定される。アルケニル基の例として、エテニル、プロペニル、ブテニル、及びシクロヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基の直線、分岐又は環状部分は、二重結合を含んでもよく、通常の原子価によって許容される位置で、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、又はペンタ-置換されてもよい。用語「シクロアルケニル」は、特定の数の炭素原子及び少なくとも1つの炭素間二重結合を有する単環式炭化水素基を意味する。
【0138】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用するとき、他に断りがない限り、2~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素間三重結合を含む、直線又は分岐の炭化水素基を指す。最大5個の炭素間三重結合が存在してもよい。したがって、「C2-C6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基の例として、エチニル、2-プロピニル及び2-ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基の直線又は分岐部分は、通常の原子価によって許容される三重結合を含んでもよく、通常の原子価によって許容される位置で、モノ-、ジ-、又はトリ-置換されてもよい。
【0139】
「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、本明細書で使用するとき、酸素橋によって結合した指示された数の炭素原子を有する前述のアルキル基を指す。例えば、C1-6アルコキシは、C1、C2、C3、C4、C5及びC6アルコキシ基を含むことを意図している。例えば、C1-8アルコキシは、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7及びC8アルコキシ基を含むことを意図している。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、n-ヘプトキシ及びn-オクトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
「ケト」は、本明細書で使用するとき、カルボニル橋によって結合される本明細書に規定するように、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はアリール基を指す。ケト基の例として、アルカノイル(例えば、アセチル、プロピノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル)、アルケノイル(例えばアクリロイル)、アルキノイル(例えば、エチノイル、プロピノイル、ヘキサノイル)、アリーロイル(例えばベンゾイル)、ヘテロアリーロイル(例えば、ピロロイル、イミダゾロイル、キノリノイル、ピリジノイル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
「アルコキシカルボニル」は、本明細書で使用するとき、カルボニル橋(すなわち-C(O)O-アルキル)によって結合される前述のアルコキシ基を指す。アルコキシカルボニル基の例として、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソ-プロポキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はn-ペントキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
「アリールオキシカルボニル」は、本明細書で使用するとき、オキシカルボニル橋(すなわち-C(O)O-アリール)によって結合される本明細書に規定のアリール基を指す。アリールオキシカルボニル基の例として、フェノキシカルボニル及びナフチルオキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
「ヘテロアリールオキシカルボニル」は、本明細書で使用するとき、オキシカルボニル橋(すなわち-C(O)O-ヘテロアリール)によって結合される本明細書に規定のヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールオキシカルボニルの例として、2-ピリジルオキシカルボニル、2-オキサゾリルオキシカルボニル、4-チアゾリルオキシカルボニル又はピリミジニルオキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
「アリール」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1つの環は芳香族であり、各環に最大7個の原子の安定した単環式又は多環式炭素環を意味する。アリール基の例として、フェニル、ナフチル、アントラセニル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びビフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール置換基が二環式で、1つの環が非芳香族の場合、結合は芳香族環によることが理解される。アリール基は、通常の原子価によって許容される位置で、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、又はペンタ-置換されてもよい。
【0145】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用するとき、各環に最大7個の原子の安定した単環式又は多環式環系を表し、少なくとも1つの環は芳香族であり、O、N、及びSから成る群から選択される基から選択される1~4個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール基の例として、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾオキサゾロニル、キノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソインドロニル、イミダゾピリジニル、イソインドロニル、インダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジジル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」も窒素含有ヘテロアリールのN-オキシド誘導体を含むことが理解される。ヘテロアリール置換基が二環式で、1つの環が非芳香族であり、又はヘテロ原子を含まない場合、結合は芳香族環又はヘテロ原子含有環によることが理解される。ヘテロアリール基は、通常の原子価によって許容される位置で、モノ-又はジ-置換されてもよい。
【0146】
用語「複素環」、「複素環式」、「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用するとき、O、N、及びSから成る群から選択される1~4個のヘテロ原子を含む3~14員の芳香族又は非芳香族複素環を意味し、多環式基を含む。用語「複素環式」は、本明細書で使用するとき、「複素環」及び「ヘテロシクリル」と同義語であるとも考えられ、本明細書に記載の定義と同じ定義も有することが理解される。「ヘテロシクリル」は、前述のヘテロアリール、ならびにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を含む。ヘテロシクリルの例として、アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イゾチアゾリル、イソキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキソオキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリン、オキソピペラジニル、オキソピロリジニル、オキソモルホリニル、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリジノニル、ピリミジル、ピリミジノニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チアゾリル、1,4-ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン-2-オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジオキシドチオモルホリニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、及びそのN-オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子又はヘテロ原子によって起こすことができる。ヘテロシクリル基は、通常の原子価によって許容される位置で、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、又はペンタ-置換されてもよい。
【0147】
フレーズ「~から成る」は、本明細書の請求項において使用するとき、請求項において特定していない元素、ステップ、又は成分を除外する。フレーズ「本質的に~から成る」は、本明細書の請求項において使用するとき、請求項の範囲を特定の材料又はステップ、及び請求の本発明の基礎的な新規特徴(複数可)に物質的に影響しないものに限定する。
【0148】
当業者は、本明細書に開示する化合物及び組成物が、その化合物及び組成物が置かれる環境によって、プロトン化された、又はプロトン化されていない状態で、特定の原子(例えば、N、O、又はS原子)を有することができることを容易に理解し、解釈すると思われる。したがって、本明細書に開示する構造は、本明細書で使用するとき、特定の官能基、例えば、OH、SH又はNHがプロトン化されても、プロトン化されなくてもよい。本明細書の開示は、当業者が容易に理解するように、その環境のpHに基づいたプロトン化の状態に関わらず、開示する化合物及び組成物を網羅することを意図している。
【0149】
他に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は全て当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及び材料と同じ又は等価な方法及び材料を本発明の実行又は試験で使用することができるが、以下に適切な方法及び材料を記述する。本明細書に述べる全ての発行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。矛盾がある場合、定義を含む本明細書の記述が調節する。さらに、材料、方法及び例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。
【0150】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な記述及び請求項から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【
図1】因子12に向けた配列を有するRNAi剤を投与した後のカニクイザルの相対的なcF12発現を示すグラフである。AD04443のみが5-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖の5’末端に位置した。
【
図2】HBVに向けた配列を有するRNAi剤を投与した後のpHBVモデルマウスの治療前及び生理食塩水の対照に正規化した平均HBsAgを示すグラフである。AD04580のみが5-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖の5’末端に位置した。
【発明を実施するための形態】
【0152】
5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド、及び5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含有するRNAi剤(RNAiトリガーとも呼ぶ)を記述する。いくつかの実施形態において、一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RNAi剤の末端に結合し、RNAi剤の末端ヌクレオチドを形成する。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RNAi剤の5’末端又は5’終端に結合し、RNAi剤の5’端に末端ヌクレオチドを形成する。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端に結合し、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’端に末端ヌクレオチドを形成する。
【0153】
本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖の5’炭素(又は糖代替置換部分に同等の位置)に位置する環状基又は環状部分を有する。
【0154】
いくつかの実施形態において、RNAi剤の5’末端ヌクレオチドは、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む、又はそれである。いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドは、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む、又はそれである。いくつかの実施形態において、一本鎖RNAi剤等のオリゴマー化合物の5’末端、又は二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖に位置する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RISCに結合するオリゴマー化合物の負荷を促進し、RNAi機序を起こす。
【0155】
いくつかの実施形態において、一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端に結合し、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチドを形成する。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’末端に結合し、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’端に末端ヌクレオチドを形成する。
【0156】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、発明の概要の節で記述した式Aによって示す構造を有する。
【0157】
いくつかの実施形態において、開示する式Aの化合物は、式Iによって示す5’-シクロ-ホスホン酸構造を有し、
【0158】
【0159】
シクロは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を有する置換されてもよい二価環状部分であって、例えば、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチル)、シクロアルケニル(例えば、シクロペンテニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、又はシクロヘプテニル)、アリール(例えばフェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、チアゾール、ベンゾチアゾール、フラン、オキサゾール、イソキサゾール、ベンゾフラン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、オキサジアゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、キノリニル、イソキノリニル、又はキノキサリニル)、又はヘテロシクリル(例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピロリジン、ジオキサン、又はジオキソラン)であり、
【0160】
Dは、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)、OC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であり、
【0161】
R1は、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0162】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0163】
DがO、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)であるとき、Xは複素環式塩基部分であり、
DがOC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であるとき、Xは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、X3は複素環式塩基部分であり、
【0164】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0165】
Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、又はあるいはY4はY1もしくはY2の1つに結合し、前記結合はO、S、NR9、C(R10)(R11)、C(R10)=C(R11)、C[=C(R10)(R11)]及びC(=O)から選択される二価の基を含み、前記Y1、Y2及びY3のその他の2つはそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、各R9、R10及びR11は独立してH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0166】
Jは、O、S、NR12、N-N(R13)2、又はN-OR13であり、
【0167】
R12はH、OH、ハロゲン、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下の式であり、
【0168】
【0169】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0170】
R13はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0171】
【0172】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0173】
K及びLはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下の式から選択され、
【0174】
【0175】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又は-NH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0176】
QはO、S、N(R30)、又はC(R31)(R32)から選択される二価部分であり、R30は、H、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R31及びR32はそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、
【0177】
Aは(i)式Iの5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドをRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合、又は(ii)ホスホラミダイト基である。
【0178】
いくつかの実施形態において、Aがホスホラミダイト基であるとき、Aは、Qをホスホラミダイト形成剤に結合することによって、式IのQに結合し、それによってホスホラミダイト化合物を形成する。
【0179】
いくつかの実施形態において、式IのQはOである。
【0180】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式IIによって示す5’-シクロ-ホスホン酸構造を有し、
【0181】
【0182】
シクロ、D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L、Q及びAは、前述の式Iと接続してそれぞれ規定される。
【0183】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のY1、Y2、Y3及びY4は、それぞれHである。
【0184】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、3、4、5、6、又は7個の炭素原子を含むシクロアルキルである。
【0185】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、4、5、6、又は7個の炭素原子を含むシクロアルケニルである。
【0186】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、5、6、又は7個の炭素原子を含むシクロアルキニルである。
【0187】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、3、4、5、6、又は7個の炭素原子を含むアリールである。
【0188】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、2、3、4、5、又は6個の炭素原子ならびに一又は複数の非炭素原子を含むヘテロシクリル基である。
【0189】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、2、3、4、5、又は6個の炭素原子ならびに一又は複数の非炭素原子を含むアリール又はヘテロシクリル基である。
【0190】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、二環式基である。
【0191】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、以下から成る群から選択される。
【0192】
【0193】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、環状官能基であり、環状官能基は、標準IUPAC命名法:1,2;1,3;1,4;1,5;1,6;1,7;2,3;2,4;2,5;2,6;2,7;3,4;3,5;3,6;3,7;4,5;4,6;4,7;5,6;5,7;又は6,7を使用して示される環状官能基の以下の位置で、式I及び式IIのリン酸部分及び糖環に結合する。
【0194】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、以下から成る群から選択される。
【0195】
【0196】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、置換される。いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、標準IUPAC命名法:1,2;1,3;1,4;1,5;1,6;1,7;2,3;2,4;2,5;2,6;2,7;3,4;3,5;3,6;3,7;4,5;4,6;4,7;5,6;5,7;又は6,7を使用して示される置換環状官能基の以下の位置で、式I及び式IIのリン酸部分及び糖環に結合する置換された環状部分である。
【0197】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、特定の立体化学を有するシクロプロピル基であり、例えば、
【0198】
【0199】
いくつかの実施形態において、式I及び式IIの構造のシクロは、以下から成る群から選択される置換シクロプロピル官能基である。
【0200】
【0201】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式I-a又は式II-aによって示す構造を有し、
【0202】
【0203】
シクロ、D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L及びAは、前述の式I及び式IIと接続してそれぞれ規定される。
【0204】
本明細書で使用するとき、他に断りがない限り、式Iへの参照は、式I-a及び式I-bへの参照を含み、式IIへの参照は、式II-a及び式II-bへの参照を含み、ただしこのような参照は、本明細書の開示の観点で、当業者によって適用可能であることが理解される。
【0205】
いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分(例えば、式I-VIIIの構造のX(全ての式のサブグループ又は種(例えば式I-b-5)を含む)は、ピリミジン、置換ピリミジン、プリン又は置換プリンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、天然のプリン又は置換プリンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、非天然のプリン又は置換プリンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、天然のピリミジン又は置換ピリミジンである。いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分は、非天然のピリミジン又は置換ピリミジンである。
【0206】
いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分(例えば、式I-VIIIの構造のX(全ての式のサブグループ又は種(例えば式I-b-5)を含む)は、ウラシル、チミン、シトシン、5-メチルシトシン、アデニン、グアニン又はイノシンである。
【0207】
いくつかの実施形態において、複素環式塩基部分(例えば、式I-VIIIの構造のX(全ての式のサブグループ又は種(例えば式I-b-5)を含む)は、置換ウラシル、置換チミン、置換シトシン、置換5-メチルシトシン、置換アデニン、置換グアニン又は置換イノシンである。いくつかの実施形態において、置換基は保護基である。
【0208】
いくつかの実施形態において、水素の同位体、例えばジュウテリウム又はトリチウムは、水素が存在する一又は複数の位置に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、他の原子の同位体が存在する(例えば、C、N、O又はF)。
【0209】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式I-b又は式II-bの構造によって示す5’-シクロプロピルホスホン酸構造を有し、
【0210】
【0211】
Dは、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)、OC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であり、
【0212】
R1は、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0213】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0214】
DがO、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)であるとき、Xは複素環式塩基部分であり、
DがOC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であるとき、Xは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、X3は複素環式塩基部分であり、
【0215】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0216】
Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、又はあるいはY4はY1もしくはY2の1つに結合し、前記結合はO、S、NR9、C(R10)(R11)、C(R10)=C(R11)、C[=C(R10)(R11)]及びC(=O)から選択される二価の基を含み、前記Y1、Y2及びY3のその他の2つはそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、各R9、R10及びR11は独立してH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0217】
Jは、O、S、NR12、N-N(R13 )2、又はN-OR13であり、
【0218】
R12は、H、OH、ハロゲン、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下であり、
【0219】
【0220】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0221】
R13はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリールであり、又は以下の式であり、
【0222】
【0223】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0224】
K及びLはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリールから選択され、又は以下の式であり、
【0225】
【0226】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0227】
QはO、S、N(R30)、又はC(R31)(R32)から選択される二価部分であり、R30は、H、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R31及びR32はそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、
【0228】
G1、G2、G3及びG4はそれぞれ独立してH、F、ハロゲン、C1-C6アルキル、CN、CH2(R33)、CH2-O-(R33)、C(=O)(R33)、C(=S)(R33)、又は(R34)(R33)から成る群から選択され、R33はO(R35)、S(R35)、N(R35)(R36)であり、R34、R35、及びR36はそれぞれ独立してH、ハロゲン又はC1-C6アルキルから選択され、
【0229】
Aは(i)式I-b又は式II-bの5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドをRNAi剤の残りに結合するヌクレオシド間結合又は(ii)ホスホラミダイト基である。
【0230】
本明細書で使用するとき、他に断りがない限り、式I-bへの参照は、式I-b-1及び式I-b-2、式I-b-3、式I-b-4、式I-b-5への参照を含み、式II-bへの参照は、式II-b-1、式II-b-2、式II-b-3、式II-b-4、及び式II-b-5への参照を含み、ただしこのような参照は、本明細書の開示の観点で、当業者によって適用可能であることが理解される。
【0231】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式I-b-1又は式II-b-1の構造によって示す5’-シクロ-ホスホン酸構造を有し、
【0232】
【0233】
D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L、A及びQはそれぞれ、前述の式I-b及び式II-bと接続してそれぞれ規定される。
【0234】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は式I-b-2又は式II-b-2によって示す構造を有し、
【0235】
【0236】
D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L、A、G1、G2、G3、G4及びAは、前述の式I-b及び式II-bと接続してそれぞれ規定される。
【0237】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式I-b-3又は式II-b-3によって示す構造を有し、
【0238】
【0239】
D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L及びAは、前述の式I-b及び式II-bと接続してそれぞれ規定される。
【0240】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式I-b-4又は式II-b-4によって示す構造を有し、
【0241】
【0242】
D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L、Q、A、G1、G2、G3及びG4は、は、前述の式I-b及び式II-bと接続してそれぞれ規定される。
【0243】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、以下の式III又は式IVによって示す5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドである。
【0244】
【0245】
Xは複素環式塩基部分であり、
【0246】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0247】
J及びJ’はそれぞれ独立してO又はSであり、
【0248】
L、L’及びKはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下の式から選択され、
【0249】
【0250】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0251】
【0252】
上の式は、RNAi剤の残りを含む。
【0253】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、以下の式III-a又は式IV-aによって示す5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドである。
【0254】
【0255】
X、Z、J、K、L、J’、L’及び以下の式は、前述の式III及び式IVと接続してそれぞれ規定される。
【0256】
【0257】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、以下の式III-b又は式IV-bによって示す5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、
【0258】
【0259】
X、Z、J、J’、L’及び以下の式は、前述の式III及び式IVと接続してそれぞれ規定される。
【0260】
【0261】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、チミン複素環式塩基部分及び以下の構造iによって示す(2’-O-2-メトキシルエチル又は「2’-MOE」)修飾を含む。
【0262】
【0263】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造iiに示すチミン複素環式塩基部分及び2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシルエチル又は「2’-MOE」)修飾(cPrpTM)を含む。
【0264】
【0265】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造iiiに示すチミン複素環式塩基部分及び2’-H修飾(cPrpdT)を含む。
【0266】
【0267】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造ivに示すウラシル複素環式塩基部分及び2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシルエチル又は「2’-MOE」)修飾(cPrpUMs)を含む。
【0268】
【0269】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造vに示すウラシル複素環式塩基部分及び2’-O-メチル修飾(cPrpu)を含む。
【0270】
【0271】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造viに示すウラシル複素環式塩基部分及び2’-O-メチル修飾(cPrpus)を含む。
【0272】
【0273】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造viiに示すウラシル複素環式塩基部分及び2’-デオキシ修飾(cPrpdU)を含む。
【0274】
【0275】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造viiiに示すウラシル複素環式塩基部分及び2’-O-メチル修飾(cPrpdUs)を含む。
【0276】
【0277】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造ixに示すアデニン複素環式塩基部分及び2’-O-メチル修飾(cPrpa)を含む。
【0278】
【0279】
いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(又は末端ヌクレオチド)は、5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドであり、修飾ヌクレオチドは、以下の構造xに示すアデニン複素環式塩基部分及び2’-O-メチル修飾(cPrpas)を含む。
【0280】
【0281】
いくつかの実施形態において、構造i、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix又はxは、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(末端ヌクレオチド)に位置してもよい。
【0282】
いくつかの実施形態において、構造i、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix又はxは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’末端(末端ヌクレオチド)に位置してもよい。
【0283】
構造i-xは本質的に単なる例示に過ぎない。本明細書の他の場所で検討したように、例えば、糖代替置換部分は前述の構造と接続して使用し、5員フラノース環を、5員フラノース環を置換することができる異なる構造、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシトール又は非環式構造に変化させてもよい。このような変化は、本明細書に開示する本発明の範囲にあると解釈される。
【0284】
いくつかの実施形態において、5’-リン酸模倣物、例えば、5’-C-マロニル基は、シクロプロピル基であり、RNAi剤のアンチセンス鎖の末端(又は末端ヌクレオチド)は、以下の式V及びVIに示す5’-シクロプロピル-C-マロニル修飾ヌクレオチドであり、
【0285】
【0286】
Xは複素環式塩基部分であり、
【0287】
Zは、H、-OH、F、OCH3、-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0288】
J及びJ’はそれぞれ独立してO又はSであり、
【0289】
L’はOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下の式から選択され、
【0290】
【0291】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
以下の式は、RNAi剤の残りを含む。
【0292】
【0293】
当業者は、充分な塩基条件において、式I、II、III、IV、V、VI、VII及び/又はVIII(式のサブグループ又は種(例えば式I-b-5))及び構造i、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii及び/又はxiiiのプロトン性基が、部分的又は完全な非プロトン化状態に存在することを容易に理解すると思われる。同様に、充分な酸性条件において、塩基部位又は原子を含む基はプロトン化される。本明細書に開示するこのような基のプロトン化及び非プロトン化バージョンの全ては、実施形態の範囲に含まれる。例えば、カルボキシル基は実施形態又は請求の範囲にあり、対応するカルボン酸塩も実施形態又は請求項の範囲にある。例えば、アミノ基が請求項又は実施形態の範囲にある場合、対応するアンモニウム基も実施形態又は請求項の範囲にある。
【0294】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式I-b-5又は式II-b-5によって示す構造を有するホスホラミダイト化合物であり、
【0295】
【0296】
Dは、O、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)、OC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であり、
【0297】
R1は、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0298】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0299】
DがO、S、CH2-CH2、CH=CH、OCH2、N(R1)、C(R2)(R3)、C(R2)(R3)C(R4)(R2)、C(R2)=C(R4)、OC(R2)(R3)であるとき、Xは複素環式塩基部分であり、
DがOC(H)(X3)又はOC(R2)(X3)であるとき、Xは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、X3は複素環式塩基部分であり、
【0300】
Zは、H、-OH、F、OCH3,-O-(CH2)2-OCH3;ハロゲン;-OCH2F,-OCHF2、-OCF3、-OCH2CH3、-O(CH2)2F、-OCH2CHF2、-OCH2CF3、-OCH2-CH=CH2、-O(CH2)2-OCH3、-O(CH2)2-SCH3、-O(CH2)2-OCF3、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(CH3)2、-OCH2C(=O)-N(H)CH3、-OCH2C(=O)-N(H)-(CH2)2-N(CH3)2、-O(CH2)2-N(H)-C(=NH)(NH2)、-O(CH2)3-N(R5)(R6)、-O(CH2)2-ON(R5)(R6)、-O(CH2)2-O(CH2)2-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R5)(R6)、-OCH2C(=O)-N(R7)-(CH2)2-N(R5)(R6)-O(CH2)2-N(R7)-C(=R8)[N(R5)(R6)]、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、H又はC1-C6アルキルであり、
【0301】
Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立してH、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、又はあるいはY4はY1もしくはY2の1つに結合し、前記結合はO、S、NR9、C(R10)(R11)、C(R10)=C(R11)、C[=C(R10)(R11)]及びC(=O)から選択される二価の基を含み、前記Y1、Y2及びY3のその他の2つはそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換されてもよいC1-C6アルキル、置換されてもよいC1-C6アルコキシ、置換されてもよいC2-C6アルケニル、又は置換されてもよいC2-C6アルキニルであり、各R9、R10及びR11は独立してH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、置換C1-C6アルコキシ、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル又は置換C2-C6アルキニルであり、
【0302】
Jは、O、S、NR12、N-N(R13 )2、又はN-OR13であり、
【0303】
R12は、H、OH、ハロゲン、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール又は以下の式であり、
【0304】
【0305】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0306】
R13はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリールであり、又は以下の式であり、
【0307】
【0308】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0309】
K及びLはそれぞれ独立してOH、OR16、SR16、又はNR16から選択され、R16はH、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリールから又は以下の式から選択され、
【0310】
【0311】
R14は、H又はSH、S-(C1-C4アルキル)、ヒドロキシルで置換されてもよいアリール、ヒドロキシルで置換されてもよいヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシル、オキソ又はNH-C=(NH)NH2から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよいC1-C4アルキルから選択され、R15はH、C1-C18アルキル又はアリールから選択され、
【0312】
G1、G2、G3及びG4はそれぞれ独立してH、F、ハロゲン、C1-C6アルキル、CN、CH2(R33)、CH2-O-(R33)、C(=O)(R33)、C(=S)(R33)、又は(R34)(R33)から成る群から選択され、R33はO(R35)、S(R35)、N(R35)(R36)であり、R34、R35、及びR36はそれぞれ独立してH、ハロゲン又はC1-C6アルキルから選択される。
【0313】
いくつかの実施形態において、式I-b-5及び式II-b-5のXは一又は複数の保護基を含む。
【0314】
いくつかの実施形態において、式I-b-5又は式II-b-5によって示す開示の化合物は以下の構造を有し、
【0315】
【化65】
(2-シアノエチル((2R,3R,4R,5R)-2-(2-(ジエトキシホスホリル)シクロプロピル)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル)(ジイソプロピルホスホルアミド酸);
【0316】
【化66】
(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-([[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル]オキシ)-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-l,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホネート);又は
【0317】
【化67】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-(2-(ジエトキシホスホリル)シクロプロピル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホラミダイト
【0318】
いくつかの実施形態において、構造xi、xii又はxiiiは、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端(末端ヌクレオチド)に加えてもよい。
【0319】
いくつかの実施形態において、構造xi、xii又はxiiiは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’末端(末端ヌクレオチド)に加えてもよい。
【0320】
構造xi、xii及びxiiiは本質的に単なる例示に過ぎない。本明細書の他の場所で検討したように、例えば、糖代替置換部分は前述の構造と接続して使用し、5員フラノース環を、5員のフラノース環を置換することができる異なる構造、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシトール又は非環式構造に変化させてもよい。さらに、本明細書の他の場所で検討したように、修飾ヌクレオチドの2’又は3’位の修飾は、技術分野で知られている様々な修飾に変えてもよく、及び/又は複素環式塩基部分は、本明細書に記載の特定の構造から修正してもよい。このような変化は、本明細書に開示する本発明の範囲にあると解釈される。
【0321】
本明細書に開示するホスホラミダイト化合物の形態の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドのホスホラミダイト合成について技術分野で概して知られている方法を使用して、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを結合するのに有用となりうる。5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、カップリング反応(例えばホスフィチル化)によってホスホラミダイト形成剤のリン原子を結合することによってホスホラミダイト化合物として調製することができ、それによってホスホラミダイト化合物を形成する。
【0322】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド-ホスホラミダイト化合物を使用して、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端に結合する。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド-ホスホラミダイト化合物を使用して、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを一本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端に結合する。
【0323】
本明細書で使用するとき、本明細書に記載のRNAi剤及び5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一又は複数の非対称中心を含み、そのため、エナンチオマー、ジアステレオマー、及びその他の立体異性構造を生み出す。本明細書に登場する結合の構造は、便宜上、単独で選択され、他に断りがない限り、特定の構造に限定することを意図していない。
【0324】
いくつかの実施形態において、開示する化合物は、式IX又は式Xによって示す式Bの構造を有し、
【0325】
【0326】
シクロ、D、X、Z、Y1、Y2、Y3、Y4、J、K、L、Q及びAは、前述の式I及び式IIと接続してそれぞれ規定される。
【0327】
RNAi剤、標的リガンド及び送達ポリマー
【0328】
RNAi剤等の標的核酸に少なくとも部分的に相補的な配列を有するオリゴマー化合物は、インビトロとインビボの両方で標的核酸の機能及び活性を変化させることを示した。本明細書で検討するように、RNAi剤は、一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0329】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、二本鎖である。二本鎖RNAi剤について、本明細書に記載のRNAi剤及びアンチセンス鎖の長さは、独立して16~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤は、互いに少なくとも部分的に相補的な(少なくとも70%相補的)センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。アンチセンス鎖は、標的mRNAの配列に完全に相補的な(100%相補的)又は少なくとも実質的に相補的な(少なくとも85%相補的)配列を有する領域を含む。二本鎖RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖の長さはそれぞれ16~30ヌクレオチド長であってもよい。センス鎖及びアンチセンス鎖は、同じ長さであっても、異なる長さであってもよい。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖はそれぞれ独立して17~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖はそれぞれ独立して17~21ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方はそれぞれ21~26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖は約19ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は約21ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖は約21ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は約23ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は両方ともそれぞれ26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、RNAi剤センス鎖及びアンチセンス鎖はそれぞれ独立して17、18、19、20、21、22、23、24、25又は26ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、二本鎖RNAi剤は、約16、17、18、19、20、21、22、23、又は24ヌクレオチドの二重の長さを有する。センス鎖とアンチセンス鎖の完全又は実質的に相補性の領域は、通常、15~25(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖の5’端に又はその近くに出現する(例えば、この領域は、完全又は実質的に相補的ではない1、2、3、又は4ヌクレオチドによってアンチセンス鎖の5’端から分離する)。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、二本鎖RNAi剤のアンチセンス鎖の5’端の末端ヌクレオチドである。
【0330】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さはそれぞれ独立して約8~約40ヌクレオチド長である。
【0331】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有する二本鎖分子である。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0332】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RNAi剤の末端に結合し、RNAi剤のヌクレアーゼ安定性を高める。いくつかの実施形態において、末端で5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む本明細書に開示するRNAi剤は、細胞に送達されると、RNA干渉(RNAi)の生物学的プロセスによって、インビトロ又はインビボで標的遺伝子の発現を抑制又はノックダウンすることができる。
【0333】
二本鎖RNAi剤について、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、コア配列の3’端、5’端、又は3’端と5’端の両方で追加の1、2、3、4、5又は6ヌクレオチド(伸展)を任意に独立して含んでもよい。追加のセンス鎖ヌクレオチドは、存在する場合、標的mRNAの対応する配列と同じであっても、同じでなくてもよい。追加のセンス鎖ヌクレオチドは、存在する場合、対応するセンス鎖の追加のヌクレオチドが存在する場合、それに相補的であっても、相補的でなくてもよい。一本鎖RNAi剤については、追加のヌクレオチドが存在する場合、標的mRNAの対応する配列と相補的であっても、相補的でなくてもよい。
【0334】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の末端5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む二本鎖RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は同じ数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のRNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、異なる数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、RNAi剤のセンス鎖5’端及びアンチセンス3’端は平滑末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤のセンス鎖3’端及びアンチセンス鎖5’端は平滑末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤の両端は平滑末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤の両端はどちらも平滑末端化していない。用語「平滑末端」は、本明細書で使用するとき、2つのアニールした鎖の末端ヌクレオチドが相補的である(相補的塩基対を形成する)二本鎖RNAi剤の端を指す。
【0335】
いくつかの実施形態において、RNAi剤のセンス鎖5’端及びアンチセンス鎖3’端はほつれた(frayed)末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤のセンス鎖3’端及びアンチセンス鎖5’端はほつれた末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤の両端はほつれた末端を形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤の両端のどちらもほつれた末端ではない。ほつれた末端は、本明細書で使用するとき、2つのアニールした鎖の末端ヌクレオチドが対を形成する(すなわちオーバーハングを形成しない)が、相補的ではない(すなわち非相補的な対を形成する)二本鎖トリガー分子の端を指す。オーバーハングは、本明細書で使用するとき、二本鎖RNAi剤の一本の鎖において、一又は複数の対になっていないヌクレオチドの伸展である。対になっていないヌクレオチドは、センス鎖又はアンチセンス鎖であってもよく、3’又は5’オーバーハングの何れかを形成する。いくつかの実施形態において、RNAi剤は、平滑末端及びほつれた末端、平滑末端及び5’オーバーハング末端、平滑末端及び3’オーバーハング末端、ほつれた末端及び5’オーバーハング末端、ほつれた末端及び3’オーバーハング末端、2つの5’オーバーハング末端、2つの3’オーバーハング末端、3’オーバーハング末端及び5’オーバーハング末端、2つのほつれた末端又は2つの平滑末端を含む。
【0336】
いくつかの実施形態において、RNAi剤は、修飾した骨格を有する少なくとも1つのヌクレオチド(本明細書ではヌクレオシド間結合とも呼ぶ)を含む。いくつかの実施形態において、修飾した骨格又はヌクレオシド間結合は、一又は複数のホスホロチオエート結合である。
【0337】
いくつかの実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、1~4個のホスホロチオエート結合を含む。他の実施形態において、記載のRNAi剤のアンチセンス鎖は、1~4個のホスホロチオエート結合を含む。いくつかの実施形態において、センス鎖とアンチセンス鎖の両方は、1~4個のホスホロチオエート結合を含む。
【0338】
RNAi剤が一本鎖であるいくつかの実施形態において、RNAi剤は、ヌクレオチド又は分子の修飾ヌクレオチドの全て又はほぼ全ての結合についてのホスホロチオエート結合を含む。
【0339】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、式I、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII、及び/又は式VIII(全ての式のサブグループ又は種を含む(例えば式I-b-5))及び/又は構造i、構造ii、構造iii、構造iv、構造v、構造vi、構造vii、構造viii、構造ix、構造x、構造xi、構造xii及び/又は構造xiiiの構造を有し、二本鎖である。二本鎖RNAi剤は、アンチセンス鎖をセンス鎖とアニールすることによって形成することができる。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、式I、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII及び/又は式VIII(全ての式のサブグループ又は種を含む(例えば式I-b-5))及び/又は構造i、構造ii、構造iii、構造iv、構造v、構造vi、構造vii、構造viii、構造ix、構造x、構造xi、構造xii及び/又は構造xiiiの構造を有し、一本鎖オリゴヌクレオチドである。本明細書に記載のRNAi剤は、技術分野で通常使用する方法を用いて合成する。
【0340】
いくつかの実施形態において、RNAi剤は一又は複数の修飾ヌクレオチドを含む。「修飾ヌクレオチド」は、本明細書で使用するとき、リボヌクレオチド以外のヌクレオチド(2’-ヒドロキシルヌクレオチド)である。デオキシ-リボヌクレオチドは、本明細書で使用するとき、修飾ヌクレオチドの一種であると考えられる。いくつかの実施形態において、RNAi剤のヌクレオチドの少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%)が修飾される。修飾ヌクレオチドは、本明細書で使用するとき、デオキシ-リボヌクレオチド、ヌクレオチド模倣物、脱塩基ヌクレオチド(本明細書ではX、Abとして表す)、2’-修飾ヌクレオチド、3’-3’結合(逆位)ヌクレオチド(本明細書ではinvdN、invN、invn、invX、invAbとして表す)、非天然塩基含有ヌクレオチド、架橋ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、2’,3’-セコヌクレオチド模倣物(アンロックト核酸塩基類似体、本明細書ではNUNA又はNUNAとして表す)、ロックトヌクレオチド(本明細書ではNLNA又はNLNAとして表す)、3’-O-メトキシ(2’ヌクレオシド間結合された)ヌクレオチド(3’-OMenとして表す)、2’-F-アラビノヌクレオチド(本明細書ではNfANA又はNfANAとして表す)、5’-Me、2’-フルオロヌクレオチド(本明細書では5Me-Nfとして表す)、モルホリノヌクレオチド、ホスホン酸ビニルデオキシリボヌクレオチド(本明細書ではvpdNとして表す)、ホスホン酸ビニル含有ヌクレオチド、及びシクロプロピルホスホン酸塩含有ヌクレオチド(cPrpN)を含むが、これらに限定されない。2’-修飾ヌクレオチド(すなわち、5員糖環の2’位においてヒドロキシル基以外の基を有するヌクレオチド)として、2’-O-メチルヌクレオチド(ヌクレオチド配列の小文字「n」として本明細書では表す)、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチド(本明細書ではNf、また2’-フルオロヌクレオチドとしても表す)、2’-デオキシヌクレオチド(本明細書ではdNとして表す)、2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシルエチル)ヌクレオチド(本明細書ではNM又は2’-MOEとして表す)、2’-アミノヌクレオチド、及び2’-アルキルヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。所与の化合物の全ての位置が均一に修飾されているとは限らない。逆に、2つ以上の修飾が、1つのRNAi剤又はその1つのヌクレオチドに組み込まれていてもよい。RNAi剤は、技術分野で知られている方法によって合成及び/又は修飾されていてもよい。1つのヌクレオチドにおける修飾は、別のヌクレオチドにおける修飾と独立している。
【0341】
修飾ヌクレオチドとして、合成及び天然核酸塩基、例えば、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、及びN-2、N-6及びO-6置換プリン(例えば、2-アミノプロピルアデニン5-プロピニルウラシル、又は5-プロピニルシトシン)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-アルキル(例えば、6-メチル、6-エチル、6-イソプロピル、又は6-n-ブチル)誘導体、2-アルキル(例えば、2-メチル、2-エチル、2-イソプロピル又は2-n-ブチル)及びアデニン及びグアニンのその他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシル、シトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-スルフヒドリル、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及びその他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例えば5-ブロモ)、5-トリフルオログアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、及び3-デアザアデニンが挙げられる。
【0342】
いくつかの実施形態において、RNAi剤のヌクレオチドの全て又は実質的に全ては、修飾ヌクレオチドである。
【0343】
いくつかの実施形態において、RNAi剤の一又は複数のヌクレオチドはリボヌクレオチドである。リボヌクレオチドは、本明細書で使用するとき、「N」(さらなる記号のない大文字)として本明細書で表す。
【0344】
本明細書に記載のRNAi剤のヌクレオチドは、リン酸塩含有又は非リン酸塩含有共有ヌクレオシド間結合によって結合されてもよい。修飾ヌクレオシド間結合又は骨格として、5’-ホスホロチオエート基(ヌクレオチドの前の小文字「s」、例えばsN、sn、sNf又はsdN)、キラルホスホロチオエート、チオホスフェート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、アルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート又は3’-アルキレンホスホネート)、キラルホスホネート、ホスフィナート、ホスホロアミド酸(例えば、3’-アミノホスホロアミド酸、アミノアルキルホスホロアミド酸、又はチオホスホロアミド酸)、チオノアルキル-ホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、モルホリノ結合、ボラノリン酸の通常の3’-5’結合、2’-5’結合類似体を有するボラノリン酸、又は核酸単位の隣接する対が結合した3’-5’から5’-3’又は2’-5’から5’-2’である、逆位の極性を有するボラノリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合又は骨格は、リン酸原子を欠いている。リン酸原子を欠いている修飾ヌクレオシド間結合として、短鎖アルキル又はシクロアルキル糖間結合、混合したヘテロ原子及びアルキル又はシクロアルキル糖間結合、又は一又は複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式糖間結合が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間骨格の例として、シロキサン骨格、スルフィド骨格、スルホキシド骨格、スルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファミン酸骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホン酸及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、及び混合したN、O、S及びCH2成分を有する他の骨格が挙げられるが、これらに限定されない。
【0345】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、細胞、細胞群、組織又は対象の標的mRNAの発現を抑制する。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤の治療有効量を対象に投与し、それによって対象の標的mRNAの発現を抑制する。
【0346】
いくつかの実施形態において、記載のRNAi剤は、標的mRNAの発現に関連する臨床症状を治療し、予防し、又は管理するために使用する。いくつかの実施形態において、一又は複数のRNAi剤の治療有効量又は予防有効量を治療、予防又は管理をすることを必要とする対象に投与する。
【0347】
記載の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤及び方法は、標的mRNAの発現を減少又は抑制することで利益を得る疾患又は障害を有する対象の少なくとも1つの症状を治療又は予防するために使用することができる。いくつかの実施形態において、対象に治療有効量の一又は複数のRNAi剤を投与し、それによって少なくとも1つの症状を治療する。他の実施形態において、対象に予防有効量の一又は複数のRNAi剤を投与し、それによって少なくとも1つの症状を治療する。
【0348】
いくつかの実施形態において、発現抑制オリゴマー化合物に結合した記載の標的リガンドを投与した対象の遺伝子発現レベル及び/又は標的のmRNAレベルは、投与前の対象、又は標的リガンド複合体を投与していない対象より、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%減少する。対象の遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、対象の細胞、細胞群、及び/又は組織で減少しうる。いくつかの実施形態において、発現抑制オリゴマー化合物に結合した記載の標的リガンドを投与した対象のタンパク質レベルは、標的リガンド複合体を投与する前の対象、又は標的リガンド複合体を投与していない対象より、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%減少する。対象のタンパク質レベルは、対象の細胞、細胞群、及び/又は組織で減少しうる。遺伝子発現、mRNA又はタンパク質レベルの減少は、技術分野で知られている方法によって評価することができる。mRNAレベル及び/又はタンパク質レベルの減少又は低下は、本明細書では集約的に、標的遺伝子の発現を抑制する、減少する、又は低下するとして示される。
【0349】
5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む本明細書に開示するRNAi剤及び本明細書に記載のRNAi剤を含む組成物は、技術分野で知られているオリゴヌクレオチド送達技術を用いて、細胞、細胞群、腫瘍、組織又は対象に送達することができる。概して、核酸分子を(インビトロ又はインビボに)送達するための技術分野で認識されている適切な方法は、本明細書に記載の一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤での使用に適合することができる。例えば、局所投与(例えば、直接注射、移植、又は局所投与)、全身投与、又は皮下、静脈、経口、腹腔内、非経口経路、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内及びくも膜下腔内)、筋肉内、経皮的、気道(エアロゾル)、鼻腔、直腸又は局所(頬側及び舌下)投与によって投与することができる。特定の実施形態において、組成物は、皮下又は静脈内注入又は注射によって投与する。
【0350】
RNAi剤が二本鎖であるいくつかの実施形態において、RNAi剤は、センス鎖又はアンチセンス鎖の何れかの3’又は5’端に結合する非ヌクレオチド基を含んでもよい。いくつかの実施形態において、標的リガンド又は標的基、結合基、又は送達ビヒクルは、センス鎖に共有結合する。いくつかの実施形態において、標的リガンド、結合基及び/又は送達ビヒクルは、センス鎖の3’及び/又は5’端に結合する。いくつかの実施形態において、標的リガンド、結合基及び/又は送達ビヒクルは、センス鎖の5’端に結合する。いくつかの実施形態において、標的リガンド、結合基、及び/又は送達ビヒクルは、センス鎖の3’及び/又は5’端にリンカーによって直接的又は間接的に結合する。いくつかの実施形態において、標的リガンドは、不安定な、切除可能な、又は可逆性結合又はリンカー/スペーサーによってRNAi剤に結合する。
【0351】
RNAi剤が一本鎖であるいくつかの実施形態において、RNAi剤は、標的リガンド又は標的基、結合基、又は末端5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドが存在しない端に結合する送達ビヒクルを含んでもよい。RNAi剤が一本鎖であるいくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RNAi剤の5’末端に結合し、標的リガンド、結合基、又は送達ビヒクルは、RNAi剤の3’末端に結合する。
【0352】
いくつかの実施形態において、送達ビヒクルは、RNAi剤を細胞又は組織に送達するために使用することができる。送達ビヒクルは、RNAi剤を細胞又は組織に送達することを改善する化合物である。送達ビヒクルとして、ポリマー、例えば両親媒性ポリマー、膜活性ポリマー、ペプチド、メリチンペプチド、メリチン様ペプチド、脂質、可逆的修飾ポリマーもしくはペプチド、又は可逆的修飾膜活性ポリアミンが挙げられる、又はそれから成るが、これらに限定されない。
【0353】
5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤は、脂質、ナノ粒子、ポリマー、リポソーム、ミセル、ダイナミックポリ複合体(DPC)又は技術分野で使用可能な他の送達系と組み合わせることができる。RNAi剤は、標的基又は標的部分、脂質(コレステロール又はコレステリル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない)、ナノ粒子、ポリマー、リポソーム、ミセル、DPC(例えば、国際公開第2000/053722号パンフレット、国際公開第2008/0022309号パンフレット、国際公開第2011/104169号パンフレット、国際公開第2012/083185号パンフレット、国際公開第2013/032829号パンフレット、国際公開第2013/158141号パンフレットを参照、それぞれ参照により本明細書に援用される)又は技術分野で使用可能な他の送達系と化学的結合することもできる。
【0354】
いくつかの実施形態において、RNAi剤に結合する一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、インビボで細胞に送達するための医薬組成物に含まれる。このような医薬組成物として、送達ポリマーに結合して、RNAiトリガー送達ポリマー複合体を形成する一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、送達ポリマーは、膜活性ポリアミンである。いくつかの実施形態において、送達ポリマーは、可逆的修飾膜活性ポリアミンである。
【0355】
いくつかの実施形態において、標的リガンド又は標的基は、ガラクトースクラスターであり、一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤に結合する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のRNAi剤は、ガラクトースクラスターに結合する。ガラクトースクラスターは、本明細書で使用するとき、2~4個の末端ガラクトース誘導体を有する分子を含む。末端ガラクトース誘導体は、本明細書で使用するとき、ガラクトースと、ガラクトースと等しい又はそれより大きいアシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有するガラクトースの誘導体の両方を含む。末端ガラクトース誘導体は、通常、C-1炭素によって分子に結合する。いくつかの実施形態において、ガラクトースクラスターは、それぞれアシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有する3つの末端ガラクトサミン又はガラクトサミン誘導体(N-アセチル-ガラクトサミン等)を有する。いくつかの実施形態において、ガラクトースクラスターは、3つの末端N-アセチル-ガラクトサミンを有する。技術分野で共通のその他の用語として、三アンテナ型ガラクトース、三価ガラクトース及びガラクトース三量体が挙げられる。三アンテナ型ガラクトース誘導体クラスターは、二アンテナ型又は一アンテナ型ガラクトース誘導体構造より親和性の大きいASGPrに結合することが知られている(Baenziger and Fiete、Cell、1980、22、611-620;Connolly等、J.Biol.Chem.1982、257、939-945)。
【0356】
いくつかの実施形態において、ガラクトースクラスターは、中心分岐点にそれぞれ結合する3つのガラクトース誘導体を含む。いくつかの実施形態において、ガラクトースクラスターは、中心分岐点にそれぞれ結合する4つのガラクトース誘導体を含む。ガラクトース誘導体は、糖類のC-1炭素によって中心分岐点に結合する。いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体は、リンカー又はスペーサーによって分岐点に結合する。
【0357】
いくつかの実施形態において、ガラクトース誘導体はN-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc又はNAG)を含む。アシアロ糖タンパク質受容体に対して親和性を有するその他の多糖類は、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイルガラクトサミン、及びN-イソ-ブタノイルガラクトサミンを含むリストから選択される。多くのガラクトース誘導体のアシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性は、研究されており(例えば、Iobst、S.T. and Drickamer、K.J.B.C.1996、271、6686を参照のこと)又は技術分野でよく知られており、通常使用される方法を用いて容易に測定される。
【0358】
5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む標的RNAi剤に適した知られている標的リガンドは、例えば、米国特許第14/452,626号明細書、同第15/452,324号明細書、同15/452,423号明細書、及び同62/415,752号明細書において周知であり、その全体の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0359】
医薬組成物及び製剤
RNAi剤等のオリゴマー化合物は、本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含み、化合物を投与することで利益を得ると思われる疾患又は障害を有する対象(例えば、ヒト又は動物、例えば、類人猿、サル、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット又はマウス)を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む記載のRNAi剤の少なくとも1つは、遺伝子発現を減少させる、又は抑制することで利益を得ると思われる対象を治療するために、医薬組成物(すなわち医薬品)を調製するときに使用する。これらの医薬組成物は、細胞、組織又は生物の遺伝子の発現を抑制するのに有用である。いくつかの実施形態において、記載の医薬組成物は、遺伝子発現を減少させる、又は抑制することで利益を得ると思われる疾患又は障害を有する対象を治療するために使用する。
【0360】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド(複数可)を含むRNAi剤は、標的mRNAの発現を減少させる、又は抑制することで利益を得ると思われる疾患又は障害を有する対象(例えばヒト)を治療するために使用することができる。対象に治療有効量の一又は複数のRNAi剤を投与する。対象は、ヒト、患者、又はヒト患者でありうる。対象は、成人、青年、子供又は乳児でありうる。発現抑制オリゴマー化合物に結合する標的リガンドを含む記載の医薬組成物は、疾患を治療するための方法を提供するために使用することができる。このような方法は、本明細書に記載の医薬組成物をヒト又は動物に投与することを含む。
【0361】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、一又は複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、対象に投与するために製剤化することができる。
【0362】
医薬組成物又は医薬品は、本明細書で使用するとき、本明細書に記載のRNAi剤及び/又はRNAi剤複合体、及び一又は複数の薬学的に許容される賦形剤の薬理学的に有効な量を含む。薬学的に許容される賦形剤(賦形剤)は、安全性が適切に評価され、薬物送達系に意図的に含まれる有効医薬成分(API、治療剤製品、例えばRNAi剤又はRNAi剤トリガー)以外の物質である。賦形剤は、意図した用量で治療効果を発揮しない、又は発揮させることを意図していない。賦形剤は、a)製造中に薬物送達系の処理を補助する、b)APIの安定性、生物学的利用能又は患者の許容性を保護する、支持する又は高める、c)製品の識別を補助する、及び/又はd)APIの保存又は使用中の全般の安全性、有効性又は送達の一又は複数を向上させるために作用することができる。薬学的に許容される賦形剤は、不活物質であっても、なくてもよい。
【0363】
賦形剤として、吸収増強剤、粘着防止剤、消泡剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、送達増強剤、デキストラン、ブドウ糖、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填材、香料、滑剤、保水剤、潤滑剤、油類、ポリマー、防腐剤、生理食塩水、塩類、溶媒、糖類、懸濁化剤、徐放マトリックス、甘味料、粘稠化剤、等張剤、ビヒクル、撥水剤及び湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0364】
医薬組成物は、医薬組成物に通常見られる他の追加の成分を含むことができる。このような追加の成分として、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン、デオキシルアミン、アクリバスチン又はセチリジン)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に定義する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAiトリガーを発現する又は含む細胞、組織又は単離した臓器は、「医薬組成物」として使用することができることも想定される。「薬理学的有効量」、「治療有効量」又は、単純に「有効量」は、本明細書で使用するとき、意図した薬理学的、治療的、又は予防的結果を生み出すRNAi剤の量を指す。
【0365】
いくつかの実施形態において、記載のRNAiトリガーは、一又は複数の追加の治療薬、又は第2のRNAiトリガーもしくは他のRNAi剤、小分子薬、抗体、抗体断片及び/又はワクチンを含むがこれらに限定されない治療薬と併用する。
【0366】
5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAiトリガー及び本明細書に開示するRNAiトリガーを含む医薬組成物は、キット、容器、パック又はディスペンサにパッケージにされる、又は含んでもよい。RNAiトリガー及びRNAiトリガーを含む医薬組成物は、プレフィルドシリンジ又はバイアルにパッケージにしてもよい。
【0367】
本明細書に記載の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAiトリガーの少なくとも1つを含む細胞、組織及び非ヒト生物が考慮される。細胞、組織、非ヒト生物は、技術分野で使用可能な方法によって、RNAiトリガーを細胞、組織又は非ヒト生物に送達することによって作製する。いくつかの実施形態において、細胞は哺乳動物の細胞、限定されないがヒト細胞である。細胞又は非ヒト生物は、調査又は調査ツール(例えば、薬物試験又は診断)に有用である。
【0368】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAiトリガーを含むRNAi剤は、標的遺伝子の発現を減少させる又は抑制することで利益を得ると思われる疾患又は障害を有する対象を治療するために使用する。いくつかの実施形態において、記載のRNAi剤は、標的遺伝子の発現を減少させる又は抑制することで利益を得ると思われる疾患又は障害を有する対象を治療する、又は予防するために使用する。対象に本明細書に記載の一又は複数のRNAi剤の治療有効量を投与し、それによって症状を治療する。
【0369】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤を使用して、臨床症状を治療又は管理し、治療、予防、又は管理をすることを必要とする対象に、本明細書に記載の治療的又は予防的有効量の一又は複数のRNAi剤を投与する。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書に記載のRNAiトリガー分子を哺乳動物、例えばヒトに投与して治療することを含む。
【0370】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAiトリガーを使用して、対象の細胞、細胞群、又は組織の標的遺伝子の発現を抑制することができる。いくつかの実施形態において、RNAiトリガーを使用して、例えば対象の細胞、細胞群、又は組織の標的遺伝子の発現を抑制するための組成物を製剤化することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の一種類(又は数種類の)RNAi剤の治療有効量を対象に投与し、それによって、対象の標的遺伝子の発現を抑制する(例えば、対象の標的遺伝子の発現を抑制するのに有効な量)。
【0371】
いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む記載のRNAiトリガーを投与した対象の遺伝子発現レベル及び/又は標的のmRNAレベルは、投与前の対象、又はRNAiトリガーを投与していない対象より、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%減少する。対象の遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、対象の細胞、細胞群、及び/又は組織で減少しうる。いくつかの実施形態において、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む記載のRNAiトリガーを投与した対象のタンパク質レベルは、投与前の対象、又はRNAiトリガーを投与していない対象より、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%減少する。対象のタンパク質レベルは、対象の細胞、細胞群、及び/又は組織で減少しうる。遺伝子発現、mRNA又はタンパク質レベルの減少は、技術分野で知られている方法によって評価することができる。mRNAレベル及び/又はタンパク質レベルの減少又は低下は、本明細書では集約的に、標的遺伝子又は標的mRNAの発現を抑制する、減少する、又は低下するとして示される。
【0372】
投与経路は、5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む記載のRNAiトリガーを身体に接触させる経路である。概して、対象の治療のために薬物及び核酸を投与する方法は、技術分野で知られており、本明細書に記載の組成物の投与に適用することができる。本明細書に記載の化合物は、特定の経路に適切に合わせた調製物の適切な経路によって投与することができる。したがって、本明細書に記載の化合物は、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、経皮的、又は腹腔内に注入することによって投与することができる。
【0373】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のRNAiトリガー分子又は組成物は、技術分野で知られているオリゴヌクレオチド送達技術を使用して、細胞、細胞群、組織又は対象に送達することができる。概して、核酸分子を(インビトロ又はインビボに)送達するための技術分野で認識されている適切な方法は、本明細書に記載の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAiトリガーでの使用に適合することができる。例えば、局所投与(例えば、直接注射、移植、又は局所投与)、全身投与、又は皮下、静脈、経口、腹腔内、非経口経路、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内及びくも膜下腔内)、筋肉内、経皮的、気道(すなわちエアロゾル)、鼻腔、直腸又は局所(頬側及び舌下)投与によって送達することができる。特定の実施形態において、組成物は、皮下又は静脈内注入又は注射によって投与する。
【0374】
概して、活性化合物の有効量は、体重/日の約0.1~約100mg/kg、例えば、体重/日の約1.0~約50mg/kgの範囲にある。いくつかの実施形態において、活性化合物の有効量は、用量あたりの体重の約0.25~約5mg/kgの範囲にある。いくつかの実施形態において、有効成分の有効量は、用量あたりの体重の約0.5~約3mg/kgの範囲にある。投与量は、また、患者の健康状態、送達する化合物の相対的生物学的有効性、薬物の調合、製剤中の賦形剤の存在及び種類、及び投与経路のような変数に依存しうる。また、初期投与量は、望ましい血中レベル又は組織レベルを迅速に達成するために、上限値を上回って増やすことができ、又は初期投与量は、最適量より小さい場合もある。
【0375】
疾患の治療、又は疾患の治療のために医薬品又は組成物を形成するために、一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含むRNAi剤等の発現抑制オリゴマー化合物を含む本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤又は第2又はその他の発現抑制オリゴマー化合物、小分子薬、抗体、抗体断片及び/又はワクチンが挙げられるが、これらに限定されない第2治療剤又は治療薬と組み合わせることができる。
【0376】
一又は複数の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを含む記載のRNAi剤は、薬理学的に許容される賦形剤又はアジュバントに加えると、キット、容器、パック又はディスペンサにパッケージすることができる。本明細書に記載の医薬組成物は、プレフィルドシリンジ又はバイアルにパッケージにしてもよい。
【0377】
前述で提供した実施形態及び項目を以下の非限定的な実施例で説明する。
【実施例0378】
以下の実施例は、限定するものではなく、本明細書に開示する特定の実施形態を説明することを意図している。
【0379】
実施例の合成の以下の実験の詳細で使用する省略語のいくつかを下に定義する。h又はhr=時間(複数可);min=分(複数可);mol=モル(複数可);mmol=ミリモル(複数可);M=モル濃度;μΜ=マイクロモル;g=グラム(複数可);μg=マイクログラム(複数可);rt又はRT=室温;L=リットル(複数可);mL=ミリリットル(複数可);wt=重量;Et2O=ジエチルエーテル;THF=テトラヒドロフラン;DMSO=ジメチルスルホキシド;EtOAc=酢酸エチル;Et3N又はTEA=トリエチルアミン;i-Pr2NEt又はDIPEA又はDIEA=ジイソプロピルエチルアミン;CH2CI2=又はDCM=塩化メチレン;CHCl3=クロロホルム;CDCl3=重水素化クロロホルム;CCl4=四塩化炭素;MeOH=メタノール;EtOH=エタノール;DMF=ジメチルホルムアミド;BOC=t-ブトキシカルボニル;CBZ=ベンジルオキシカルボニル;TBS=t-ブチルジメチルシリル;TBSCl又はTBDMSCl=t-塩化ブチルジメチルシリル;TFA=トリフルオロ酢酸;DMAP=4-ジメチルアミノピリジン;NaN3=アジ化ナトリウム;Na2SO4=硫酸ナトリウム;NaHCO3=炭酸水素ナトリウム;NaOH=水酸化ナトリウム;MgSO4=硫酸マグネシウム;K2CO3=炭酸カリウム;KOH=水酸化カリウム;NH4OH=水酸化アンモニウム;NH4Cl=塩化アンモニウム;SiO2=シリカ;Pd-C=パラジウム炭素;HCl=塩化水素又は塩酸;NMM=N-メチルモルホリン;H2=水素ガス;KF=フッ化カリウム;EDC-HCl=N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩;MTBE=メチル-tert-ブチルエーテル;MeOH=メタノール;Ar=アルゴン;N2=窒素;SiO2=シリカ;RT=保持時間。
【0380】
さらに、本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドとの使用に適したRNAi剤の例を以下の実施例の様々な表に記述する。
【0381】
以下の記号を用いて、本明細書に開示する表に記述する配列についての修飾ヌクレオチドを示す。当業者は、オリゴヌクレオチドに存在する場合、他に断りのない限り、モノマーが5’-3’-ホスホジエステル結合によって相互に結合することを容易に理解するだろう。
N=2’-OH(非修飾)リボヌクレオチド(f又はdの表示のない大文字)
n=2’-OMe修飾ヌクレオチド
Nf=2’-フルオロ修飾ヌクレオチド
dN=2’-デオキシヌクレオチド
NUNA=2’,3’-secoヌクレオチド模倣物(アンロックト核酸塩基類似体)
NLNA=ロックトヌクレオチド
NfANA=2’-F-アラビノヌクレオチド
NM=2’-メトキシエチルヌクレオチド
X又はAb=非塩基リボース
R=リビトール
(invdN)=逆位デオキシリボヌクレオチド(3’-3’結合ヌクレオチド)
(invAb)=逆位非塩基ヌクレオチド
(invX)=逆位非塩基ヌクレオチド
(invn)=逆位2’-OMeヌクレオチド
s=ホスホロチオエート結合ヌクレオチド
vpdN=ホスホン酸ビニルデオキシリボヌクレオチド
(3’OMen)=3’-OMeヌクレオチド
(5Me-Nf)=5’-Me,2’-フルオロヌクレオチド
cPrp=ホスホン酸シクロプロピル
【0382】
本開示の化合物は、技術分野で知られている、及び本明細書に記載の合成化学技術を使用して作製することができる。
【0383】
実施例1:化合物4(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-([[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル]オキシ)-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)の合成
【0384】
A.化合物2(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-l,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-l-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)の合成
【0385】
【0386】
化合物1(ジメチル[(E)-2-[(2R,3R,4R,5R)-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]エテニル]ホスホナート)をWhittaker,B.等、Tetrahedron Lett.49、6984-6987(2008)及びAbbas,S.等、Org.Lett、3(21)、3365-3367(2001)と同様の手順に従って合成した。
【0387】
窒素の不活雰囲気でパージし、保持した1000mLの3首丸底フラスコに、ジメチルスルホキシド(500mL)中の水素化ナトリウムの溶液(8.2g、341.67mmol、3.00等量)を入れた。次に、ヨウ化トリメチルスルホキソニウムの溶液(45g、204.48mmol、3.00等量)を加えた。得られた溶液を25℃で0.5時間攪拌した。その後ジメチルスルホキシド(50mL)中の化合物1の溶液(45g、68.31mmol、1.00等量)を25℃で攪拌しながら滴下した。得られた溶液を25℃で20時間攪拌した。反応液を50mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることによってクエンチした。
【0388】
得られた溶液を3×1000mLのジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた。合わせた有機物を1×2000mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフし、ジクロロメタン/メタノール(100:1-10:1)で溶出した。白色固体として化合物2(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)を4.4g(10%)得た。(HNMR:(CDCb,400MHz,ppm):δ8.55(s,1H),7.71(t,J=6.4Hz,2H),7.66(d,J=6.8Hz,2H),7.38-7.64(m,6H),7.03(s,1H),5.86(d,3.6Hz,1H),4.11(t,J=5.2Hz,1H),3.70-3.77(m,6H),3.55-3.61(m,2H),3.34-3.47(m,4H),3.30(s,3H),1.87(s,3H),1.40-1.50(m,1H),1.10(s,9H),0.98-1.05(m,1H),0.80-0.90(m,1H),0.61-0.71(m,1H))
【0389】
B.化合物3(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-ヒドロキシ-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)の合成
【0390】
【0391】
窒素の不活雰囲気でパージし、保持した100mLの3首丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(60mL)及びトリエチルアミン(4.18g、41.31mmol、3.00等量)中の化合物2(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)(6.0g、8.92mmol、1.00等量)を入れた。次にトリエチルアミントリヒドロフルオリド(13.34g、82.86mmol、6.00等量)を0℃で攪拌しながら滴下した。得られた溶液を25℃で18時間攪拌した。得られた混合液を真空下で濃縮し、60mLのジクロロメタンで希釈した。
【0392】
得られた溶液を100mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び100mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフし、ジクロロメタン/メタノール(100:1-10:1)で溶出した。白色固体として化合物3(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-ヒドロキシ-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)を3g(77%)得た。(LC-MS:(ES,m/z):[M+H]+=435.(H-NMR:(CDCb,300MHz,ppm):δ9.53(s,1H),8.28(s,1H),7.17(s,1H),5.75(s,1H),3.95-4.10(m,3H),3.61-3.85(m,7H),3.51-3.58(m,2H),3.41(s,4H),1.93(s,3H),1.67-1.78(m,1H),1.19-1.28(m,1H),1.03-1.05(m,2H)).
【0393】
C.化合物4(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-([[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル]オキシ)-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)の合成
【0394】
【0395】
窒素の不活雰囲気でパージし、保持した50mLの3首丸底フラスコに、ジクロロメタン(50mL)及び4,5-ジシアノイミダゾール(810mg、6.86mmol、1.20等量)中の化合物3(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-ヒドロキシ-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)(2.5g、5.76mmol、1.00等量)を入れた。次に3-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノオキシ)プロパンニトリル(2.25g、7.46mmol、1.30等量)を0℃で攪拌しながら滴下した。得られた溶液を25℃で3時間攪拌した。得られた溶液を25mLのジクロロメタンで希釈した。
【0396】
得られた溶液を2×50mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び50mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフし、ジクロロメタン/酢酸エチル(5:1-1:5)(0.5%のトリエチルアミンを有する)で溶出した。白色固体として2.1g(57%)の化合物4(ジメチル[2-[(2R,3R,4R,5R)-3-([[ビス(プロパン-2-イル)アミノ](2-シアノエトキシ)ホスファニル]オキシ)-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イル)オキソラン-2-イル]シクロプロピル]ホスホナート)を得た。(LC-MS:(ES,m/z):[M+H]+=635.(H-NMR:(CD3COCD3,400MHz,ppm):δ10.11(s,1H),7.55-7.58(m,1H),5.94-5.99(m,1H),4.42-4.48(m,2H),3.77-3.86(m,3H),3.69-3.76(m,9H),3.51-3.56(m,3H),3.30(d,J=2.8Hz,3H),2.81-2.86(m,2H),1.86(s,3H),1.60-1.80(m,1H),1.21-1.27(m,12H),1.04-1.09(m,3H).P-NMR:(CD3COCD3,161MHz,ppm):δ149.67,149.51,149.21,31.59,31.55,31.41,31.29.)
【0397】
前述の化合物4は、ホスホラミダイト化合物であり、5’-シクロプロピルホスホン酸-2’-MOE修飾ヌクレオチドを加えて、二本鎖RNAi剤及び/又は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端を形成するために使用することができる。一般的な主題として、同様の合成プロセスを使用して、本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを加えて、開示する二本鎖RNAi剤及び/又は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端を形成するために使用することができるホスホラミダイトを作製してもよい。例えば、当業者は、実施例1の化合物1を2’-F、2’-H又は2’-O-メチル基等の2’位の異なる基で合成することができることを認識し、理解すると思われる。同様に、非限定的な例として、当業者は、異なる複素環式塩基部分(例えば、ウラシル、シトシン、グアニン、5-メチルシトシン等)を実施例1に示すチミンの代わりに使用することができることを認識すると思われる。
【0398】
実施例2:化合物15(2-シアノエチル((2R,3R,4R,5R)-2-(2-(ジエトキシホスホリル)シクロプロピル)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル)ジイソプロピルホスホラミダイト)の合成
【0399】
A.化合物6(1-((2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-3-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン)-2,4(1H,3H)-ジオン)の合成
【0400】
【0401】
市販品の化合物5を購入した。ピリジン(1.5mL)中の化合物5(200g、775mmol)の溶液にDMT-Cl(276g、813mol)を加えた。反応混合液をN2雰囲気下で25℃で8時間攪拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.2)が反応が完了したことを示した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をEtOAc(4L)で希釈し、水(1L×2)及びブライン(1L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。最終の残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチルに対して石油エーテル/酢酸エチル=5:1)で精製し、淡黄色のゴムとして化合物6(448g、EtOAc含有)を得た。(1H NMR:400MHz CDCl39.01(br s,1H),8.05(d,J=8.0Hz,1H),7.36-7.42(m,2H),7.27-7.34(m,6H),7.22-7.27(m,1H),6.81-6.89(m,4H),5.98(d,J=1.3Hz,1H),5.28(dd,J=1.9,8.2Hz,1H),4.48(dt,J=5.3,8.5Hz,1H),4.00(br d,J=8.0Hz,1H),3.81(d,J=0.8Hz,7H),3.65(s,3H),3.50-3.61(m,2H),2.64(br d,J=9.0Hz,1H))
【0402】
B.化合物7(1-((2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-3-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)の合成
【0403】
【0404】
DCM(2.8L)中の化合物6(448g、799mmol)の溶液にイミダゾール(163g、2.4mol)及びTBSCl(241g、1.6mol)を加えた。反応混合液を25℃で8時間攪拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.8)が反応が完了したことを示した。得られた混合液を水(4.5L)で希釈し、DCM(5L×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、無色のゴムとして化合物7(620g、粗)を得た。粗生成物はさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0405】
C.化合物8(1-((2R,3R,4R,5R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)-3-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)の合成
【0406】
【0407】
H2O(1L)中の化合物7(620g、919mmol)及びAcOH(4L)の混合液を脱ガスし、N2で3回パージし、その後、混合液をN2雰囲気下で25℃で16時間攪拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.2)が反応が完了したことを示した。反応混合液をMeOH(50mL)及びEt3SiH(25mL)を加えることによってクエンチした。得られた混合液にpH=7~8になるまでNaHCO3を加え、その後EtOAc(5L×3)で希釈した。合わせた有機層をブライン(5L)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~1:1)によって精製し、白色固体として化合物8(296g、収率87%)を得た。(1H NMR:400MHz CDCl3.δ9.27(s,1H),7.72(d,J=8.0Hz,1H),5.74(dd,J=1.3,8.0Hz,1H),5.69(d,J=4.0Hz,1H),4.36(t,J=5.3Hz,1H),4.04-4.09(m,1H),3.93-4.03(m,2H),3.75-3.76(m,1H),3.49(s,3H),2.85(dd,J=3.5,6.5Hz,1H),0.92(s,9H),0.11(d,J=5.3Hz,6H)).
【0408】
D.化合物9((2S,3S,4R,5R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-カルバルデヒド)の合成
【0409】
【0410】
DCM(3L)中の化合物8の溶液(60g、161mmol)にデス・マーチン・ペルヨージナン(95.7g、226mmol)NaHCO3(1.35g、16.1mmol)を0℃で加えた。反応混合液を0℃で1時間攪拌し、その後、25℃で3時間攪拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.16)が反応が完了したことを示した。得られた混合液を飽和Na2S2O3及び飽和NaHCO3(1:1)の4Lの溶液でクエンチし、その後EtOAc(5L×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5L)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、オレンジ色の油として化合物9(48g、粗)を得た。粗生成物はさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0411】
E.化合物10の合成
【0412】
【0413】
THF(2.4L)中の化合物10-1(231g、647mmol)のスラリーにLiHMDS(THF中1M、723mL)を加えた。黄色の溶液を25℃で15分攪拌し、その後、5℃に冷却した。溶液を化合物10-2(110g、583mmol)で処理し、25℃を維持して温めた。溶液を5℃に冷却し、追加のLiHMDS(THF中1M、723mL)で処理し、2℃に温めた。溶液を5℃でH2O(50mL)を加えることによってクエンチし、EtOAc(1.5L)で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮し、油として化合物10-3を得た。粗油をTHF(2.4L)に溶解し、5℃に冷却した。溶液をNaH(57g、1.43mol、鉱油中60%分散)で処理し、25℃に温めた。スラリーを25℃で18時間攪拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.3)が反応が完了したことを示した。NaHをセライトパッドによって除去し、ケーキをTHF(600mL×2)で洗浄した。ろ液を濃縮し、黄色油として化合物10(250g、粗)を得た。
【0414】
F.化合物11(Ο,Ο-ジエチル((E)-2-((2R,3R,4R,5R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)ビニル)ホスホノチオアート)の合成
【0415】
【0416】
THF(1.6L)中の化合物9の溶液(165g、445mmol)にTHF(0.8L)中の化合物10の溶液(250g、583mmol)を5℃で滴下した。その後、反応液を25℃に温め、1時間攪拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.6)が反応が完了したことを示した。反応混合液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10:1~1:1)によって精製し、透明な油として化合物11(89g、純度85%;72g、純度65%;59g、純度48%、収率65%)を得た。(不純物は、トリフェニルホスフィンオキシド(Ph3P=0)として特定した)。(1H NMR:400MHz CDCl3 δ8.46(br s,1H),7.30(d,J=8.3Hz,1H),6.76-6.89(m,1H),6.18-6.30(m,1H),5.85(d,J=2.0Hz,1H),5.79(d,J=8.3Hz,1H),4.51-4.59(m,1H),4.07-4.18(m,4H),3.98(dd,J=5.0,7.5Hz,1H),3.73(dd,J=2.4,5.1Hz,1H),3.54(s,3H),1.33(dt,J=2.3,7.0Hz,6H),0.92(s,9H),0.11(s,6H))
【0417】
G.化合物12(Ο,Ο-ジエチル(2-((2R,3R,4R,5R)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)シクロプロピル)ホスホノチオアート)の合成
【0418】
【0419】
DMSO(800mL)中のMe3SOI(95.9g、436mmol)の溶液に、THFスラリーとしての水酸化ナトリウム(17.4g、436mmol、鉱油に60%分散)を加えた。得られた白色、泡状スラリーを25℃で15分間攪拌し、得られた白色溶液を化合物11(89g、純度85%、145mmol)を含むフラスコに充填した。温度を22~26℃に上昇させ、黄色溶液を2時間攪拌し、その後50℃に2時間加熱した。LCMSが反応が完了したことを示した。反応混合液を5℃に冷却し、氷でクエンチし、内部の温度を30℃以下に保持した。生成物を酢酸エチル(3L)で抽出し、有機層を水(5×1L)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、白色固体として化合物12(206g、粗)を得た。(不純物はPh3P=Oであり、粗生成物はさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0420】
H.化合物13(Ο,Ο-ジエチル(2-((2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3.4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3-ヒドロキシ-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)シクロプロピル)ホスホノチオアート)の合成
【0421】
【0422】
THF(1.3L)中の化合物12(206g、385mmol)の攪拌した溶液に、12MのHCl(340mL、4.1mol)を滴下した。得られた混合液を25℃で1.5時間攪拌した。TLC(DCM/酢酸エチル=1/1、Rf=0.2)が反応が完了したことを示した。反応混液を氷浴で冷却し、pH=8になるまで炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。生成物をEtOAc(3.9L×2)で抽出し、合わせた有機層をブライン(1.3L)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM/酢酸エチル=DCM、1:1)によって精製し、白色固体として化合物13(76g、収率47%)を得た。(1H NMR:400MHz CDCl3 δ8.37(br. s.,1H),7.41(d,J=8.0Hz,1H),5.75-5.86(m,2H),4.00-4.18(m,5H),3.79-3.85(m,1H),3.56-3.64(m,3H),3.41-3.53(m,1H),2.65-2.74(m,1H),1.49-1.62(m,1H),1.24-1.34(m,8H),0.97-1.09(m,1H))
【0423】
I.化合物14(ジエチル(2-((2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3-ヒドロキシ-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)シクロプロピル)ホスホナート)の合成
【0424】
【0425】
1.4LのTHF:H2O(1:1)中の化合物13の溶液(76g、181mmol)を5℃に冷却し、当該溶液にOxone(登録商標)(194g、316mmol)を加えた。反応混合液を5℃で2時間攪拌した。LCMSが反応が完了したことを示した。反応混合液を200mLのH2Oで希釈し、2.5LのDCMで抽出した。有機層を回収し、水性層をさらにDCM(2.5L×4)で抽出した。有機層を合わせて、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH=DCM、1:1)によって精製し、白色固体として化合物14(Cy3P-U-OMe-3-OH)(40g、粗)を得た。最後に、粗生成物を分取HPLC(Gemini150*4.6mm(Luna200*25mm(C18、10um、100Å)+Geminil50*30(c18、5um、110Å)、0.1%TFA/CH3CN/H2O、20mL/分)で精製し、透明な固体として化合物14(20.02g、純度99%、収率27%)を得た。(1H NMR:400MHz CDCl3 δ9.54(br. s.,1H),7.40-7.48(m,1H),5.75-5.89(m,2H),3.98-4.23(m,5H),3.84(dd,J=2.5,5.3Hz,1H),3.56-3.64(m,3H),3.40(td,J=7.9,16.5Hz,1H),1.58-1.70(m,1H),1.30-1.40(m,6H),1.20-1.29(m,1H),0.92-1.09(m,2H))
【0426】
J.化合物15(2-シアノエチル((2R,3R,4R,5R)-2-(2-(ジエトキシホスホリル)シクロプロピル)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル)ジイソプロピルホスホラミダイト)の合成
【0427】
【0428】
DCM(6mL)中の化合物14(463mg、1.1mmol)の溶液に、4,5-ジシアノイミダゾール(54mg、0.46mmol)を加えて、次にジクロロメタン(3mL)中の2-シアノエチルΝ,Ν,Ν’,Ν’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(518mg、1.7mmol、1.5等量)を加えた。反応混合液を一晩攪拌した。全ての出発材料がHPLCによって消化されたことを確認した後、反応混合液を減圧下で濃縮し、約2mLの容量を得た。粗溶液をシリカカラムに充填し、均一濃度の勾配(DCM:EtOAc:トリエチルアミン:メタノール(6:4:0.1:0.05)、Rf=0.25)を使用して精製した。収率:シクロプロピルとホスホラミダイトジアステレオマー(合計4)の混合物として、421mg(61%)。(1H NMR:400MHz DMSO-d6. δ11.41(s,1H),7.82-7.72(m,1H),5.73-5.64(m,1H),5.82-5.76(m,1H),4.49-4.18(m,2H),4.11-3.91(m,4H),3.88-3.50(m,4H),3.42-3.32(m,4H),2.79(m,2H),1.73-1.53(m,1H),1.30-1.11(m,18H),1.10-0.79(m,3H))
【0429】
前述の化合物15は、ホスホラミダイトであり、5’-シクロプロピルホスホン酸-2’-O-Me修飾ヌクレオチドを加えて、二本鎖RNAi剤及び/又は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端を形成するために使用することができる。一般的な主題として、同様の合成プロセスを使用して、本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを加えて、開示する二本鎖RNAi剤及び/又は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端を形成するために使用することができるホスホラミダイトを作製してもよい。例えば、当業者は、実施例2の化合物5を2’-F、2’-デオキシ基等の2’位の異なる基で合成することができることを認識し、理解すると思われる。同様に、非限定的な例として、当業者は、異なる複素環式塩基部分(例えば、チミン、シトシン、グアニン、5-メチルシトシン等)を実施例2に示すウラシルの代わりに使用することができることを認識すると思われる。
【0430】
実施例3:RNAi剤の合成
【0431】
RNAi剤の合成は、センス鎖及びアンチセンス鎖の個別の合成から開始した。2つの相補的な鎖を最初に固体支持樹脂において合成し、開裂及び脱保護に供し、次に逆相又はイオン交換クロマトグラフィーの何れかで精製し、最後にアニールしてRNAi剤を形成した。
【0432】
A)固体相の合成。RNAi剤をオリゴヌクレオチド合成で使用した固体相の上でホスホラミダイト技術に従って合成した。大きさによって、市販の自動オリゴシンセサイザー、例えば、MerMade96E(登録商標)(Bioautomation)、MerMadel2(登録商標)(Bioautomation)又はAKTA Oligopilot(GE)を使用した。固体相の合成は配列の3’端から開始し、ホスホラミダイト構成ブロックを続けて各合成サイクルで加えて、必要とされる順序に従ってオリゴマーを増やした。各合成サイクルは、4つの化学ステップ:1)脱保護又は脱トリチル化;2)カップリング;3)酸化;4)キャッピングを含む。ホスホラミダイトは、天然、又は化学修飾、又はN-アセチルガラクトサミン標的リガンド等の小分子の何れかのヌクレオチドに由来した。制御した細孔性ガラスから作製した固体支持体の上で合成を行った(CPG、500Å又は600Å、Prime Synthesis、Aston、PA、USAから入手)。RNA及び2’-修飾RNAホスホラミダイトは全てThermo Fisher Scientific(Milwaukee、WI、USA)から購入した。特に以下の2’-O-メチルホスホラミダイトを使用した:(5’-O-ジメトキシトリチル-N6-(ベンゾイル)-2’-O-メチル-アデノシン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピル-アミノ)ホスホラミダイト、5’-O-ジメトキシ-トリチル-N4-(アセチル)-2’-O-メチル-シチジン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピル-アミノ)ホスホラミダイト、(5’-O-ジメトキシトリチル-N2-(イソブチリル)-2’-O-メチル-グアノシン-3’-O-(2-シアノ-エチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホラミダイト、及び5’-O-ジメトキシ-トリチル-2’-O-メチル-ウリジン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホラミダイト。2’-デオキシ-2’-フルオロ-ホスホラミダイトは、2’-O-メチルRNAアミダイトと同じ保護基を保有した。
【0433】
ホスホラミダイトを含有する標的リガンドを無水ジクロロメタン又は無水アセトニトリル(50mM)に溶解し、その他の全てのアミダイトは無水アセトニトリル(50mM)に溶解し、モレキュラーシーブ(3Å)を加えた。5-ベンジルチオ-1H-テトラゾール(BTT、アセトニトリル中250mM)又は5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT、アセトニトリル中250mM)を活性溶液として使用した。カップリング時間は10分(RNA)、15分(標的リガンド)、90秒(2’OMe)及び60秒(2’F)であった。ホスホロチオアート結合を導入するために、無水アセトニトリル中の3-フェニル 1,2,4-ジチアゾリン-5-オン(POS、Poly Org,Inc.,Leominster、MA、USAから入手)の100mM溶液を使用した。
【0434】
B)5’-シクロプロピルホスホン酸修飾ヌクレオチドの加水分解。5’-シクロプロピルホスホン酸支持結合オリゴヌクレオチドの加水分解をAKTA Oligopilot(GE)シンセサイザー上で実施した。トリメチルシランヨウ化物/ピリジン/アセトニトリル(1:13:40v/v)の混合物を反応スケールに応じて、流速2mL/分で30~90分間、反応器カラムに通過させた。カラムをアセトニトリルで洗浄し、シンセサイザーから除去し、支持結合オリゴヌクレオチドを漏斗に移し、アセトニトリル/水(1:1v/v)で洗浄した。
【0435】
C)支持結合オリゴヌクレオチドの開裂及び脱保護。固体相の合成及び5’-シクロプロピルホスホン酸支持結合オリゴヌクレオチドの脱保護の最終処理の後、乾燥した固体支持体を40重量%の水中の水性メチルアミンと28重量%の水酸化アンモニウム水溶液(Aldrich)の1:1容量の溶液で、30℃で2時間処理した。溶液を蒸発させ、固体残渣が水中に再構成した(以下参照のこと)。
【0436】
D)精製。粗オリゴヌクレオチドを逆相HPLC又はイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。生成物を含む画分を保管し、各一本鎖の純度及び識別をLCMSで確認した。オリゴヌクレオチドの濃度及び収率を理論上の消衰係数のUV(260nm)で評価した。
【0437】
E)アニーリング。相補的な鎖をセンス鎖とアンチセンス鎖の等モルの溶液を合わせることによって混合した。これらの溶液を周囲温度で放置するか、又はサーモミキサ(thermomixer)に70℃で置き、95℃に加熱し、95℃で5分間保持し、室温までゆっくりと冷却した。いくつかのRNAi剤を凍結乾燥し、-15~-25℃で保管した。二重の濃度をUV-Vis分光計で、260nmで溶液吸収度を測定することによって測定した。他に断りがない限り、全ての換算係数は0.037mg/(mL・cm)であった。いくつかの実験について、換算係数は、実験的に測定した消衰係数から計算した。
【0438】
実施例4:5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチド標的LP(a)(ヒトApo(a)遺伝子)を含む例示的なRNAi剤配列
【0439】
表1に挙げた以下の配列は例示に過ぎない。本明細書に開示する5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドは、RNAi剤又は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド標的遺伝子に組み込むことができる。
【0440】
【0441】
前述の表1のRNAi剤を実施例3に記載の合成に従って調製した。本明細書の表で使用するように、2’-O-メチルヌクレオチドは、ヌクレオチド配列の小文字「n」として表し、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチドは、Nfとして表し、2’-デオキシヌクレオチドはdNとして表し、2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシエチル)ヌクレオチドは本明細書ではNMとして表し、3’-3’結合(逆位)ヌクレオチドは、invdN、invN、invn、invX、又はinvAbとして本明細書では表し、5’-シクロプロピルホスホン酸塩は、cPrpN、cPrpn、cPrpNf、cPrpdN又はcPrpNMのように、ヌクレオチドの前にcPrpとして本明細書では表し、非塩基ヌクレオチド(本明細書ではAbとして表す)、n-アセチル-ガラクトサミンクラスター標的リガンドはNAGとして表し、S’-ホスホロチオエート基は、sN、sn、sNf、又はsdNのように、ヌクレオチドの前に小文字「s」として本明細書では表す。
【0442】
実施例5:トランスジェニックマウスのRNAi剤配列標的LP(a)(ヒトApo(a)遺伝子)のインビボ分析
【0443】
A)LP(a)RNAi剤のインビボの有効性を評価するために、apo(a)トランスジェニックマウスを用いた(Frazer KA等、Nature Genetics 9:424-431(1995))。このマウスは、追加の配列5’及び3’の両方を有する(apo(a)タンパク質をコードする)完全LPA遺伝子を含むYACからヒトapo(a)を発現する。センス鎖の5’末端に結合したN-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドに結合したRNAi剤を1日目にマウスに投与した。各マウスに、生理食塩水(n=4)を1回の皮下(SC)注射したか、又は個別の治療群(全ての治療群についてn=3)を施した。対照の血清(治療前)試料を-1日目の注射前のマウスから採取した。注射後の血清試料を8、15、22、29及び36日目にマウスから採取した。
【0444】
B)Apo(a)タンパク質レベル。血清中のヒトapo(a)タンパク質レベルをapo(a)(Abeam)についてELISAを使用してマウスの血清を分析することによって、モニターした。正規化のために、タイムポイントの各マウスのapo(a)レベルをマウス(この場合は-1日目)における発現の治療前レベルによって分けて、「-1日目に正規化した」発現の比を決定した。そこで、特定のタイムポイントの発現を、個別のマウスについて「-1日目に正規化した」比を生理食塩水の対照群の全マウスの「-1日目に正規化した」比で割ることによって、生理食塩水群に正規化した。これによって、表2に示すように、対照群の発現に正規化した各タイムポイントについての発現を得た。
【0445】
【0446】
前述の表2に示すように、AD03541についてのnadirは8日目に達し、AD03158についてのnadirは22日目まで達しなかった。さらに、AD03541は全てのタイムポイントにおいて、より大きいノックダウンを達成した。
【0447】
実施例6:カニクイザルの因子12ノックダウン(KD)
【0448】
因子12(F12)に向けた配列を有し、N-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドにセンス鎖の5’末端で結合するRNAi剤を合成し、皮下(SC)注射で技術分野で知られている薬学的に許容されるバッファ中で合わせた。
【0449】
1日目に、カニクイザルマカク(Macaca fascicularis)霊長目にF12RNAi剤AD04254又はAD04443の何れかの3mg/kgを皮下注射した。2匹のサルに治療群AD04443を投与し、3匹のサルに治療群AD04254を投与した。
【0450】
【0451】
前述の表3に示すように、AD04254及びAD04443は、同じセンス鎖から成り、RNAi剤の唯一の差は、アンチセンス鎖の5’末端が、2’-O-メチルu修飾ヌクレオチドを含むか(AD04254)、又は2’-O-メチルu修飾も含む5’-シクロプロピル酸修飾ヌクレオチドを含むか(AD04443)であった。
【0452】
治療を受けたカニクイザルの血清試料は、-29、-7日目及び1日目(投与前)、ならびに8、15、22、及び29日目に採取し、ノックダウンをモニターした。ノックダウンは、血清中の循環しているcynoF12タンパク質(cF12)レベルを、ヒトF12ELISAキット(Molecular Innovations)によって定量化することによって測定した。それぞれのタイムポイントの各サルのcF12レベルをサルの発現の治療前レベル(-29日目、-7日目及び1日目の平均)で割り、「投与前に正規化した」発現の比を決定した。
【0453】
cF12の平均の正規化した相対発現を
図1に示す。
図1に示すように、単回用量の投与に基づいて、この配列のアンチセンス鎖の5’末端で本発明の5’-シクロプロピル酸修飾ヌクレオチドを含むF12 RNAi剤は、5’-シクロプロピル酸修飾ヌクレオチドを含まない同F12 RNAi剤より、数値的に能力が増加し、わずかに速くノックダウンする。
【0454】
実施例7:野生型マウスの因子12ノックダウン(KD)
【0455】
センス鎖の5’末端に、N-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドに結合したF12二本鎖RNAi剤を調製した。各二本鎖RNAi剤はF12に向けられ、皮下(SC)注射について技術分野で知られている薬学的に許容されるバッファ中で合わせた。
【0456】
F12 RNAi剤(AD04162及びAD04649)を皮下注射によって野生型マウスに送達した。1日目に、生理食塩水、緩衝生理食塩水中の0.5mg/kg(mpk)用量のRNAi剤の1つ、又は緩衝生理食塩水中の1.0mg/kg(mpk)用量のRNAi剤の1つの何れかを含有する200μlの溶液を20gのマウスの肩の間の背中のたるんだ皮膚に皮下注射した。5つの治療群にそれぞれ4匹の野生型マウスが存在した。
【0457】
【0458】
前述の表4に示すように、AD04162及びAD04649は、同じセンス鎖から成り、RNAi剤の唯一の差は、アンチセンス鎖の5’末端が2’-O-メチルウラシル修飾ヌクレオチドを含むか(AD04162)、2’-デオキシ修飾を有する5’-シクロプロピル酸ウラシル修飾ヌクレオチドを含むか(AD04649)であった。
【0459】
治療を受けたマウスの血清試料は、-1(投与前)、8、15、22、及び29日目に採取し、ノックダウンをモニターした。ノックダウンは、血清中の循環しているマウスF12タンパク質(mF12)レベルを、内部で開発したmF12 alphaLISA(登録商標)(Perkin Elmer)によって定量化することによって測定した。それぞれのタイムポイントの各マウスのmF12レベルをマウスの発現の治療前レベルで割り、「投与前に正規化した」発現の比を決定した。そこで、個別のマウスについて「投与前に正規化した」比を生理食塩水の対照群の全マウスの「投与前に正規化した」比で割ることによって、特定のタイムポイントの発現を生理食塩水群に正規化した。これによって、対照群の発現に正規化した各タイムポイントについての発現を得た。実験誤差は表5に示すように標準偏差として示す。
【0460】
【0461】
表5に示すように、これらの実験データは、本発明の5’-シクロ-ホスホン酸修飾ヌクレオチドを追加することによって、野生型マウスにおけるとりわけ1.0mg/kgの用量のF12 RNAi剤について能力を増加させることができることを支持している。
【0462】
実施例8:pHBVモデルマウスのHBsAgの減少
【0463】
pHBVモデルマウスを使用してHBV表面抗原(HBsAg)の減少を評価した。6~8週齢の雌NOD.CB17-Prkdscid/NcrCrl(NOD-SCID)マウスに流体力学的尾静脈注射(Yang PL等″Hydrodynamic injection of viral DNA:a mouse model of acute hepatitis B virus infection,″ PNAS USA 2002 Vol. 99: p.13825-13830)によって、MC-HBV1.3でインビボに一過性にトランスフェクトし、HBV RNAi剤又は対照を投与する前に30~45日間投与した。MC-HBV1.3は、HBV1.3.32トランスジェニックマウス(GenBank accession #V01460)(Guidotti LG等,″High-level hepatitis B virus replication in transgenic mice,″ J Virol 1995 Vol. 69,p6158-6169.)と同様に一定期間、冗長なヒトB型肝炎ウイルス配列HBV 1.3を含む血漿由来の小円である。マウスの体重の10%の総容量のRinger溶液中の5μgのMC-HBV1.3をマウスの尾静脈に注射し、慢性HBV感染症のpHBVモデルを作成した。前述のように(Zhang G等、″High levels of foreign gene expression in hepatocytes after tail vein injection of naked plasmid DNA.″ Human Gene Therapy 1999 Vol.10,pl735-1737.)、溶液を27ゲージ針によって、5~7秒間で注射した。-1日目に、血清中のB型肝炎表面抗原(HBsAg)HBsAg発現レベルをELISAによって測定し、マウスを平均HBsAg発現レベルに従ってグループにした。
【0464】
i)血清の回収:2~3%のイソフランでマウスに麻酔をかけ、血液試料を顎下領域から血清分離チューブ(Sarstedt AG&Co.,Numbrecht、Germany)に回収した。血液は20分間、周囲温度で凝固した。チューブを8,000×gで3分間、遠心分離にかけ、血清を分離し、4℃で保管した。
【0465】
ii)血清B型肝炎表面抗原(HBsAg)レベル:血清を回収し、PBS含有5%の脱脂粉乳中に10~2000倍に希釈した。脱脂粉乳溶液に希釈した二次HBsAg標準を、10μgのHBsAg発現血漿pRc/CMV-HBs(Aldevron、Fargo、ND)でトランスフェクトしたICRマウス(Harlan Sprague Dawley)の血清から調製した。HBsAgレベルを製造者による説明の通りに、GS HBsAg EIA 3.0キット(Bio-Rad Laboratories,Inc.,Redmond、WA)で測定した。組み換えHBsAgタンパク質のaywサブタイプもPBS中の脱脂粉乳に希釈し、一次標準として使用した(Aldevron)。
【0466】
各マウスのHBsAg発現を、非治療に関係するMC-HBV1.3の発現の減少を説明するために、生理食塩水を注射したマウスの対照群に正規化した。最初に、「治療前に正規化した」発現の比を決定するために、タイムポイントにおける各マウスのHBsAgレベルを、マウスの治療前の発現レベル(-1日目)で割った。そこで、個別のマウスについて「投与前に正規化した」比を通常の生理食塩水の対照群の全マウスの「投与前に正規化した」比で割ることによって、特定のタイムポイントの発現を対照群に正規化した。
【0467】
1日目に、各マウスに、センス鎖の5’末端のN-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドに結合したHBV二本鎖RNAi剤を2mg/kg(mpk)含有する200μl、又は対照として使用するHBV RNAi剤を含まないリン酸塩緩衝生理食塩水200μlを単回皮下投与した。投与したHBV RNAi剤は、(アンチセンス鎖の5’末端に位置する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを有する5’-シクロプロピルホスホン酸ウラシル修飾ヌクレオチドを含む)AD04580、及び(アンチセンス鎖の5’末端に位置する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む)リン酸塩緩衝生理食塩水に配合したAD04178を含んでいた。RNAi剤AD04580及びAD04178はその他の点では同一であり、この2つのRNAi剤の唯一の差は、アンチセンス鎖の5’末端に5’-シクロプロピルホスホン酸塩部分をAD04580中に含み、AD04178は標準ヌクレオチドに共通のアンチセンス鎖の5’末端にリン酸基を有することである。
【0468】
注射は、首と肩領域のたるんだ皮膚に、皮膚と筋肉の間に行った(すなわち皮下注射)。各群の3匹のマウスに試験を行った(n=3)。8日目、15日目、22日目及び29日目に血清を回収し、血清B型肝炎表面抗原(HBsAg)レベルを測定した。
【0469】
実験データを
図2に示し、平均のHBsAgは、HBsAgの正規化した平均値を反映している。
図2に示すように、pHBVモデルマウスにおいて、5’-シクロプロピルホスホン酸塩修飾ヌクレオチドを含んだRNAi剤(AD04580)は、修飾のないRNAi剤(AD04178)より有意に優れていた。
【0470】
その他の実施形態
本発明をその詳細な記述と組み合わせて述べてきたが、前述の記述は説明することを意図し、添付の請求項の範囲によって規定される本発明の範囲を限定しない。その他の態様、利点及び修正は、以下の請求項の範囲にある。