(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097871
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】圧電電気泳動ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20240711BHJP
G02F 1/1675 20190101ALI20240711BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20240711BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1675
G02F1/1685
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075106
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2022029480の分割
【原出願日】2019-05-17
(31)【優先権主張番号】62/673,092
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/727,033
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン グ
(72)【発明者】
【氏名】ホンメイ ザン
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム ベルハネ
(57)【要約】
【課題】圧電電気泳動ディスプレイの提供。
【解決手段】電気光学ディスプレイが、本明細書に提供され、電気光学ディスプレイは、電気泳動材料の層と、第1の導電層と、電気泳動材料の層と第1の導電層との間に位置付けられた圧電材料とを有し、圧電材料は、電気泳動材料の層の一部と重複し、第1の導電層の一部は、電気泳動材料の残りと重複する。一実施形態において、電気光学ディスプレイは、電気泳動材料の層に隣接し、かつ圧電材料から反対側に位置付けられた第2の導電材料をさらに備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2018年5月17日に出願された米国仮出願第62/673,092号に関連し、その優先権を主張する。本願は、2018年9月5日に出願された米国仮出願第62/727,033号にも関連する。
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(発明の主題)
【0003】
本明細書に開示される主題は、電源に接続されずにアクティブにされ得る、または駆動され得る圧電電気泳動ディスプレイと、それらの製造のための方法とに関する。
【背景技術】
【0004】
非発光型ディスプレイは、コントラスト差を使用して、情報を伝達し、それは、異なる周波数の光の反射率を変動させることによって達成される。したがって、それらは、光を放出することによって眼を刺激する従来の発光型ディスプレイと異なる。1つのタイプの非発光型ディスプレイは、電気泳動ディスプレイであり、それは、電気泳動の現象を利用して、コントラストを達成する。電気泳動は、印加された電場における荷電粒子の移動を指す。電気泳動が液体中で生じるとき、粒子は、粒子によって経験される粘性抗、それらの電荷、液体の誘電特性、および印加される場の大きさによって主に決定される速度を伴って移動する。
【0005】
電気泳動ディスプレイは、異なる色の誘電液体媒体中に懸濁された1つの色の荷電粒子を利用する(すなわち、粒子によって反射された光が、液体によって吸収される)。懸濁液は、それらのうちの1つが透明である一対の対向して配置される電極間に位置する(または、それらによって部分的に画定される)セル内に格納される。電極が、動作させられ、DCまたはパルス状場を媒体を横断して印加すると、粒子は、反対符号の電極に向かって移動する。結果は、視覚的に観察可能な色変化である。特に、十分な数の粒子が透明電極に到達すると、それらの色は、ディスプレイを支配する。しかしながら、粒子が、他方の電極に引き寄せられる場合、それらは、液体媒体の色によって曖昧にされ、それが、代わりに、支配する。
【0006】
多くの電気泳動ディスプレイは、双安定性である。それらの状態は、アクティブ化電場が除去された後も持続する。これは、概して、電極上の残留電荷と、粒子と電気泳動セルの壁との間のファンデルワールス相互作用とを介して達成される。電気泳動ディスプレイの駆動は、電力をディスプレイおよび/またはその駆動回路に提供するために、バッテリ等の電源を要求する。電源は、電場を発生させるためのドライバICであり得る。電場は、回路によって増強される必要もあり得る。いずれの場合も、ワイヤを通した物理的接続が、電源を電気泳動ディスプレイおよびその駆動回路に取り付けるために要求される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される主題の一側面によると、電気光学ディスプレイは、電気泳動材料の層と、第1の導電層と、電気泳動材料の層と第1の導電層との間に位置付けられた圧電材料とを含み得、圧電材料は、電気泳動材料の層の一部と重複し、第1の導電層の一部は、電気泳動材料の残りと重複する。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
電気泳動材料の層と、
第1の導電層と、
前記電気泳動材料の層と前記第1の導電層との間に位置付けられた圧電材料と
を備え、
前記圧電材料は、前記電気泳動材料の層の一部と重複し、前記第1の導電層の一部は、前記電気泳動材料の残りと重複している、電気光学ディスプレイ。
(項目2)
前記電気泳動材料の層に隣接し、かつ前記圧電材料から反対側に位置付けられた第2の導電材料をさらに備えている、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目3)
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
電気泳動材料の層と、
半導電材料と、
前記半導電材料にスタックされた圧電材料と
を備え、
前記圧電材料および前記半導電材料は、前記電気泳動材料に隣接して位置付けられている、電気光学ディスプレイ。
(項目4)
前記圧電材料および前記電気泳動材料と重複している第1の導電層をさらに備えている、項目3に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目5)
前記第2の導電層と前記圧電材料および前記電気泳動材料との間の半導電材料の第2の層をさらに備えている、項目4に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目6)
前記半導電材料および前記電気泳動材料と重複している第2の導電層をさらに備えている、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目7)
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
電気泳動材料の層と、
圧電材料の第1の層と、
圧電材料の第2の層と
を備え、
前記圧電材料の第1の層と第2の層とは、横並びに位置付けられ、前記電気泳動材料の層と重複し、前記圧電材料の第1の層と第2の層とは、反対の分極方向を有する、電気光学ディスプレイ。
(項目8)
ディスプレイを生産する方法であって、前記方法は、
第1の部分および第2の部分を有する電気泳動ディスプレイ材料の層を生産することであって、前記第1の部分は、複数のマイクロセルを有し、前記第2の部分は、実質的に平坦である、ことと、
圧電材料を提供することと、
前記圧電材料が前記第2の部分と実質的に重複するように、前記圧電材料を前記電気泳動ディスプレイ材料の前記第2の部分と整列させることと
を含む、方法。
(項目9)
前記電気泳動材料の前記第1および第2の部分は、単一のフォトリソグラフィステップを使用して生産される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記電気泳動ディスプレイ材料および前記圧電材料を基板上に設置することをさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記基板は、可撓性である、項目10に記載の方法。
(項目12)
導電性電極を前記基板上に提供することをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
障壁層を前記導電性電極と前記基板との間に提供することをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記電気泳動ディスプレイの層を生産するステップの後、剥離ライナの層を提供することをさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目15)
前記剥離ライナは、前記複数のマイクロセルのそれと実質的に同様の高さを有する、項目14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される主題による、例示的電気泳動ディスプレイの断面図である。
【0009】
【0010】
【
図2B】
図2Bは、
図1および2Aに図示されるディスプレイの等価回路モデルである。
【0011】
【
図3-1】
図3Aは、本明細書に開示される主題による、別の例示的ディスプレイの断面図である。
図3Bは、
図3Aに図示されるディスプレイの線C1に沿った断面図である。
図3Cは、
図3Aに図示されるディスプレイの線C2に沿った断面図である。
【0012】
【
図3-2】
図3Dは、本明細書に提示される主題による、ディスプレイのさらに別の実施形態を図示する。
【0013】
【
図4】
図4は、本明細書に開示される主題による、さらに別の例示的ディスプレイの断面図である。
【0014】
【
図5】
図5は、本明細書に開示される主題による、別の例示的ディスプレイの断面図である。
【0015】
【
図6】
図6は、本明細書に開示される主題による、ジグソーパターンを伴う圧電電気泳動ディスプレイの一実施形態を図示する。
【0016】
【
図7】
図7は、本明細書に開示される主題による、あるパターンを有する圧電電気泳動ディスプレイのさらに別の実施形態を図示する。
【0017】
【
図8】
図8は、本明細書に開示される主題による、偽造防止目的のための外貨手形の一部として使用されている圧電電気泳動ディスプレイを図示する。
【0018】
【
図9】
図9は、本明細書に開示される主題による、圧電ディスプレイのさらに別の実施形態の断面を図示する。
【0019】
【
図10】
図10は、本明細書に開示される主題による、障壁層を有する圧電ディスプレイの断面図である。
【0020】
【0021】
【0022】
【
図12A】
図12Aおよび12Bは、本明細書に開示される主題による、電気泳動ディスプレイの別の実施形態を図示する。
【
図12B】
図12Aおよび12Bは、本明細書に開示される主題による、電気泳動ディスプレイの別の実施形態を図示する。
【0023】
【
図13A】
図13Aおよび13Bは、本明細書に開示される主題による、電気泳動ディスプレイのさらに別の実施形態を図示する。
【
図13B】
図13Aおよび13Bは、本明細書に開示される主題による、電気泳動ディスプレイのさらに別の実施形態を図示する。
【0024】
【
図14A】
図14Aは、本明細書に開示される主題による、印刷画像または形状を伴う電気泳動ディスプレイの追加の実施形態を図示する。
【0025】
【0026】
【
図15A】
図15Aは、本明細書に開示される主題による、印刷画像または形状を伴う電気泳動ディスプレイのさらに別の実施形態を図示する。
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であり、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる、材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0029】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイを指すために本明細書で使用され、ディスプレイは、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続く。米国特許第7,170,670号において、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけでなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書において、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を対象とするために使用され得る。
【0030】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味において本明細書では使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしも黒と白とのこれらの2つの極端な状態の間の遷移を意味するわけではない。例えば、下で参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、中間の「グレー状態」が実際には薄青である電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くないこともある。用語「黒」および「白」は、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用されることもあり、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをその2つの極端な光学状態のみに駆動するディスプレイまたは駆動スキームを指すために使用され得る。
【0031】
用語「ピクセル」は、本明細書において、ディスプレイ自体が示し得る全ての色を発生させることが可能なディスプレイの最小単位を意味するために、その従来の意味において使用される。フルカラーディスプレイにおいて、典型的に、各ピクセルは、複数のサブピクセルから成り、それらの各々は、ディスプレイ自体が示し得る全て未満の色を表示することができる。例えば、大部分の従来のフルカラーディスプレイにおいて、各ピクセルは、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、青色サブピクセル、および随意に、白色サブピクセルから成り、サブピクセルの各々は、黒色からその規定された色の最も明るいバージョンまでの色の範囲を表示することが可能である。
【0032】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、前述の特許のうちのいくつかにおいて、回転部材が球状ではないので、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的に、球状または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内に液体が充填された空胞の中に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、ディスプレイに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。このタイプの電気光学媒体は、典型的に、双安定性である。
【0033】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に付着して色の変化を反転可能な複数の染色分子とを備えているナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan,B.,et al,Nature 1991,353,737,およびWood,D.,Information Display,18(3),24(2002年3月)を参照されたい。Bach,U.,et al,Adv. Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体も、典型的に、双安定性である。
【0034】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R.A.,et al,「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003年)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号にそのようなエレクトロウェッティングディスプレイが双安定性にされ得ることが示されている。
【0035】
長年にわたり研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の帯電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定、および、低電力消費の属性を有することができる。
【0036】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体において、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura,T.,et al. Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectricaily,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を号参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面に配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降のために液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0037】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それ自体がポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(d)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、および、ディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(e)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(f)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(g)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(h)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、第6,950,220号、第7,420,549号、および第8,319,759号、および、米国特許出願公開第2012/0293858号参照)
(i)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(j)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
【0038】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴と関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0039】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、帯電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的に、高分子フィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい(両方とも、Sipix Imaging,Incに譲渡されている)。
【0040】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(何故なら、例えば、多くの電気泳動媒体において、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つが光透過性である、いわゆる「シャッタ」モードで動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのための多層構造で使用されることができ、そのような構造において、ディスプレイの画面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、画面からより遠くにある第2の層をさらすか、または、隠す。
【0041】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動機器のクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟基板上および剛体基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を号参照)、および、他の同様の技術が挙げられる。)したがって、得られるディスプレイは、柔軟であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は、種々の方法を使用して印刷され得るので、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0042】
他のタイプの電気光学材料も、本発明で使用され得る。
【0043】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの1つは、電極層である)とを備えている。大部分のそのようなディスプレイにおいて、両層が、電極層であって、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極にパターン化され、他方は、行電極に対して直角に延びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行および列電極の交差によって、画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、それらの各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または類似可動電極との使用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイにおいて、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的に、可動電極が、電気泳動層を損傷することを防止することが意図される保護層である。
【0044】
米国特許第6,704,133号に説明されるようなさらに別の実施形態において、電気泳動ディスプレイは、2つの連続電極と、電極間の電気泳動層および光電気泳動層で構築され得る。光電気泳動材料が光子の吸収に伴って抵抗率を変化させるので、入射光が、電気泳動媒体の状態を改変するために使用されることができ。そのようなデバイスは、
図1に図示される。米国特許第6,704,133号に説明されるように、
図1のデバイスは、ディスプレイの視認表面から反対側に位置するLCDディスプレイ等の発光型源によって駆動されるとき、最良に機能する。いくつかの実施形態において、米国特許第6,704,133号のデバイスは、特殊障壁層を正面電極と光電気泳動材料との間に組み込み、ディスプレイの正面からの入射光によって生じる「暗電流」を低減させており、暗電流は、反射性電気光学媒体を越えて漏出する。
【0045】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生成に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備えているいわゆる「フロントプレーンラミネート」(「FPL」)を説明している。典型的に、光透過性導電性層は、光透過性基板上に支持され、それは、基板が永久的な変形なしに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で好ましく柔軟性である。この出願および本明細書において、「光透過性」という用語は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基板(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが非可視波長における反射率において変化する場合、「光透過性」という用語は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。基板は、典型的に、ポリマーフィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、都合よく、例えば、アルミニウムもしくはITOの薄金属または金属酸化物層であるか、または、導電性ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont
de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果を伴って使用され得る。
【0046】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層にバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンと接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成され得る。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的にはロールツーロールへのコーティング技術を使用して大量生成され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るので、大量生成に非常に適している。
【0047】
米国特許第7,561,324号は、いわゆる「二重剥離シート」を説明しており、それは、本質的に、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーンラミネートの単純化された変形である。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方または両方は、剥離シートによって被覆される。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備えている。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーンラミネートから電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を意図されるが、2つの別個のラミネーションを含み、典型的に、第1のラミネーションにおいて、二重剥離シートは、フロントプレーン電極に積層されて、フロントプレーン組み立て部品を形成し、次に、第2のラミネーションにおいて、フロントプレーン組立部品は、バックプレーンに積層されて、最終的なディスプレイを形成するが、但し、これらの2つのラミネーションの順序は、所望により逆転され得る。
【0048】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる「反転フロントプレーンラミネート」を説明しており、それは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネートの変形である。この反転フロントプレーンラミネートは、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、および、剥離シートを順に備えている。この反転フロントプレーンラミネートは、電気光学層とフロント電極またはフロント基板との間にラミネーション接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の典型的に薄い接着剤の層が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在することも、存在しないこともある。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0049】
ある顔料の光電気泳動特性が、少し前に認識されている。例えば、米国特許第3,383,993号は、媒体、典型的に、ITO等の透明電極上に投影された画像を再現するために使用され得る光電気泳動結像装置を開示する。しかしながら、第‘993号特許およびXerox Corporationによる他の関連特許に説明される光電気泳動プロセスは、可逆的ではない。何故なら、光電気泳動プロセスが、光電気泳動粒子が「注入電極」に移動することを伴い、それらが電極に付着された状態となるであろうからである。可逆性を欠くこと、および、設定のコストおよび複雑性により、この現象は、広く商業化されなかった。
【0050】
本明細書に提示される主題は、電気泳動ディスプレイが動作するために電力供給源(例えば、バッテリまたは有線電力供給源等)を必要としない、いくつかの圧電電気泳動ディスプレイ構造設計に関する。そのような電気泳動ディスプレイの組立は、したがって、簡略化される。
【0051】
圧電気は、加えられる機械的応力に応答して固体材料中に蓄積する、電荷である。本明細書に開示される主題のための好適な材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、石英(SiO2)、ベルリナイト(AlPO4)、リン酸ガリウム(GaPO4)、トルマリン、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、タンタル酸リチウム、ケイ酸ガリウムランタン、酒石酸カリウムナトリウム、および任意の他の公知の圧電材料が挙げられ得る。
【0052】
本明細書に提示される主題のいくつかの側面は、圧電気を利用して、電気泳動材料の顔料を駆動し、視認表面から視認されるときの電気泳動材料の色を変化させる。例えば、圧電材料を曲げること、またはそれに応力を導入することによって、電圧が、発生させられ得、この電圧は、電気泳動材料の色顔料の移動を生じさせるために利用されることができる。本明細書で使用されるように、電気光学ディスプレイ(例えば、電気泳動ディスプレイ)に関する用語「コントラスト比」(CR)は、ディスプレイが生産することが可能な最も暗い色(黒色)の輝度に対する最も明るい色(白色)の輝度の比率として定義される。通常、高コントラスト比、すなわち、CRが、ディスプレイの所望の側面である。
【0053】
図1は、本明細書に開示される主題による、圧電材料102を使用して電気泳動材料(EPD)フィルム104を駆動する例示的電気光学ディスプレイ100の断面図を図示する。本実施形態において、圧電フィルム102は、EPDフィルム104の一部に積層され得、導電性接着剤材料(例えば、銅テープ)が、
図1および2Aに図示されるように、圧電フィルム102およびEPDフィルム104の残りを被覆するために使用され得る。いくつかの実施形態において、導電性接着剤材料は、電極2 108として機能し、基板(図示せず)に貼り付けられ得る。ある他の実施形態において、電極2 108は、ピクセル電極として機能し得、色または画像を表示するために(例えば、EPDフィルム104のグレー色調を変化させることによって)EPDフィルム104を横断した電位を変調する。さらに、電極2 108の反対において、電極1 106は、EPDフィルム層104と重複し得る。さらに別の実施形態において、EPDフィルム104が、電極1 106上に最初に製作され得る。例えば、電極1 106が、マイクロセル構造を含むように最初にパターン化され得、電気泳動粒子を伴う電気泳動流体が、マイクロセル構造の中にエンボス加工され、EPDフィルム層を形成し得る。これに関して、詳細は、下記の
図9および11A-Bに説明されるであろう。この構成において、EPDフィルム104および電極1 106は、統合された構造であり得る。ある他の実施形態において、電極1
106および電極2 108の両方は、透明であり得るか、または、電極1 106または電極2 108の一方が、ディスプレイ100がいずれかの方向から視認され得るように、透明であり得る。
【0054】
実践において、電気光学ディスプレイ100のCRは、
図1に図示されるように、面積A2 112(すなわち、電極2 108と重複またはそれによって被覆されたEPDフィルム104の部分)と比較されたEPDフィルム104の表面積A1 110(すなわち、圧電材料102と重複またはそれによって被覆された、またはそれと直接接触するEPDフィルム104の部分)の比率に応じて異なり得る。CRの実験結果は、下記の表1に示される。
【表1】
【0055】
図1に示されるように、
図1に図示されるもの等のディスプレイは、電極2 108(すなわち、導電性接着剤材料)に重複し、その上にあるEPDフィルム104の全体的表面積(例えば、A2)を低減させることによって、そのCRを改良し得る。CRは、圧電フィルム102上(例えば、A1)の電極2 108上(例えば、A2)のEPDフィルム104に対する比率が、1:2であるときの2から、比率が2:1になったときの7まで改良した。いくつかの実施形態において、CRをさらに改良するために、電極1 106または電極2 108のいずれかの幅は、加えられるいかなる物理的応力も、垂直方向において、電極2 108のより長い側に加えられ得るように、低減させられ得る。
【0056】
図2Bは、本明細書に開示される主題による、
図1に示されるディスプレイ100の例示的等価回路を図示する。圧電フィルム102と接触するEPDフィルム104の部分は、電気抵抗値R1を有し得、電極2 108によって被覆される部分は、電気抵抗値R2を有し得る。実践において、圧電フィルム104によって発生させられる電圧は、直列の構成に設置されたR1とR2との間で分割され得る。いくつかの実施形態において、圧電フィルム102とEPDフィルム層104との間に接着剤層が存在し得、接着剤層は、約10
8オーム
*cm、好ましくは、10
12オーム
*cm未満の抵抗率値を有し得る。
【0057】
本明細書に開示される主題による、別の実施形態において、
図1および2Aに示されるように、EPDフィルム上に直接積層され、またはそれと重複する圧電フィルムを有する代わりに、
図3Aに示されるように、圧電フィルム302は、半導電性または高抵抗層304上に積層され、次いで、半導電性または高抵抗層304を電極1層306上に積層し得る。この構成において、半導電性または高抵抗層304が、圧電フィルム302の上部のEPDフィルム308の部分に取って代わり、それによって、ディスプレイの全体的厚さを低減させるのみならず、圧電フィルム302を横断した電荷の高速消散も防止し、したがって、(圧電フィルム302によって)局所的に生産された電荷は、効果的かつ効率的に、EPDフィルム308に印加され得、それは、ディスプレイCRにおける改良をもたらす。半導電層304の抵抗率レベルと結果として生じるCRの比較が、下記の表2に例証される。示されるように、12の最適CR比が、半導電層304が10
8オーム
*cmの抵抗率を有するときに達成され得る。
【表2】
【0058】
さらに、ディスプレイCRは、半導電層304の抵抗値を調節することによって最適化され得る。例えば、約108(オーム*cm)の抵抗範囲において、12のディスプレイCRが、達成され得る。別の実施形態において、電極1層306の抵抗は、約450オーム/sqにあり得、電極2層310の抵抗は、0.003オーム/sqであり得、EPDフィルム308は、約107~108ohの抵抗を有し得、圧電材料302は、1013~1014オームの抵抗を有し得る。
【0059】
図3Bおよび3Cは、
図3Aに図示されるディスプレイの断面図である。
図3Bは、C1線に沿ったディスプレイ断面を示し、
図3Cは、C2線に沿ったディスプレイ断面を示す。実践において、ディスプレイのEPD部分308のみが、ユーザに可視にされ得る一方、圧電フィルム部分は、隠され得る。
図3Bおよび3Cにも図示されるように、電極2層310は、分けられ得る。その結果、EPDフィルム層308におけるグレー色調の変化も、同様に分けられて現れるであろう。代替として、電極2 310が、単一の連続シートである場合、EPDフィルム層308におけるグレー色調の変化も、連続するであろう。電極1 306および電極2 310の両方は、透明であり得、全ての層(例えば、層302、304、310等)が、ディスプレイがいずれかの向きまたは方向から視認され得るように、透明であり得ることを理解されたい。
【0060】
別の実施形態において、
図3Dは、本明細書に提示される主題による、別のディスプレイ312の断面図を図示する。このディスプレイ312は、圧電フィルム層318の一部のみが電極1 316層と重複するという点で、
図3Aに図示されるディスプレイと異なる。この構成において、圧電フィルム層318は、より良好な画像が圧電フィルム318から発生させられ得るように、中立面位置に設置されることを回避することができる。加えて、圧電フィルム層318は、金属化された圧電フィルムであり得、金属層320によって被覆され得る。いくつかの実施形態において、第1の半導電層314が、金属層320と電極1層316との間に位置付けられ得る。別の第2の半導電層322も、圧電フィルム層318と電極2層324との間に位置付けられ得る。電極1 316および電極2
324層を含む本明細書に提示される全ての層は、このディスプレイがいずれの方向または向きからも視認され得るように、透明であり得ることを理解されたい。
【0061】
さらに別の実施形態において、構成は、
図1および2Aに図示されるものに類似するが、
図4に示されるように、半導電層402が、電極2層404と圧電フィルム層406およびEPDフィルム層408との間に設置され得る。この半導電層402は、圧電フィルム層406およびEPDフィルム層408を電極2 404から絶縁し得る。同様に、
図3Aに図示されるディスプレイが、追加の半導電層を含み、圧電フィルムおよびEPDフィルムを電極2から絶縁するように修正され得る。種々の構成のうち、
図4に図示されるディスプレイは、18の最良CR性能を実証した。いずれの場合も、本明細書におけるディスプレイ構成は、厚さ50μm未満を伴う圧電駆動式デバイスを構築することを可能にし、デバイス構造を大幅に単純にもし、ディスプレイをより小さい加えられる物理的応力に対してより敏感にする。
【0062】
図5は、ディスプレイの別の設計500を図示する。このディスプレイ500は、
図3Aに示されるものに類似するが、追加の半導電層502が、圧電層504と電極2層506との間に設置される。種々の設計間のCR比の比較が、下記の表3に図示される。
【表3】
【0063】
電極1および電極2層を含む
図4および5に提示される全ての層は、これらのディスプレイがいずれの方向または向きからも視認され得るように、透明であり得ることを理解されたい。
【0064】
図1-5に図示されるディスプレイ構成を参照すると、導電性経路が、電極1および電極2と圧電材料層およびEPDフィルム層との間に完成され、他の導体または電極は、電極1と電極2との間に必要とされないことに留意されたい。これは、デバイスの全体的厚さを低減させ、かつディスプレイのCR比を効果的に改良する。
【0065】
図6および7は、
図6におけるジグソーパターンおよび
図7における星形パターン等の種々のパターンを表示するように構成され得る圧電電気泳動ディスプレイの実施形態を図示する。
図6において、ディスプレイ600は、電荷を電気泳動ディスプレイ媒体604および606に輸送するための複数の電極602設計を含み得る。
図6に図示される実施形態において、ディスプレイ媒体604は、赤色であり、ディスプレイ媒体606は、黒色である。他の色も、便利に採用され得ることを理解されたい。この構成において、ディスプレイの上部部分の電極602は、黒色着色ディスプレイ媒体606に接続され得、底部部分の電極602は、赤色着色ディスプレイ媒体604に接続され得る。使用時、力が、ディスプレイ600に加えられると、ディスプレイ媒体606および604は、黒色および赤色の両方を表示し得る。
図6に図示されるこの特定の構成は、導電材料を使用して印刷され、製造プロセスを大幅に簡略化することができる。
【0066】
ある他の実施形態において、本明細書に開示される主題による、圧電電気泳動ディスプレイは、
図8に図示される外貨手形等の別の装置と組み合わせられ得る。本実施形態において、ディスプレイは、手形の一端に貼り付けられ得、物理的応力が加えられると、ディスプレイは、1つ以上のグレー色調間で切り替わることができる。この方式において、ユーザは、真正手形と偽造物を容易に区別し得る。上で述べられるように、ディスプレイのための電極は、分けられ得、EPD材料層の結果として生じるグレー色調は、分けられて現れ得る。代替として、ディスプレイのための電極は、連続シートであり得、EPD材料層の結果として生じるグレー色調は、連続方式で変動し得る。
【0067】
(製造方法)
【0068】
図9は、本明細書に提示される主題による、圧電ディスプレイ910のさらに別の実施形態の断面図を図示する。
図9に示されるように、EPD層900は、圧電材料902の真下に部分的に延び、圧電材料902と実質的に重複し、それとの安全な接続を確実にする。本実施形態において、EPD層900は、マイクロセルを有する1つの部分906と、圧電材料902との接続を確立するために構成され得る実質的に平坦である別の部分904とを有する。この構成において、圧電材料902は、略平坦部分904上に重複するように位置付けられ、EPD層900との良好な接続を確実にする。この構成は、有利に、圧電材料902とEPD層900との間の強固な接続を確立することができる。例えば、この構成は、ディスプレイデバイス910上で繰り返される曲がりまたは加えられる応力に耐えることが可能である圧電材料902とEPD層900との間のロバストな接続をもたらす。加えて、接着剤層908が、圧電材料層902と導体912との間に設置され得る。別の実施形態において、圧電材料902は、円形形状であることができ、EPD材料900を包囲する。さらに、
図9に図示されるように、圧電材料902およびEPD層900は、導体または導電材料の2つの層間に挟まれ得、上で述べられた層および材料は全て、可撓性であり得る基板上に位置付けられ得る。基板は、全体的デバイスを薄くするために、10ミクロン未満の厚さであることが好ましい。いくつかの実施形態において、ITO/PETが、本明細書において、基板として使用され得る。ある他の実施形態において、PEDOT:PSS、グラフェン、カーボンナノチューブ、または銀ナノワイヤ等の可撓性かつ透明導電性コーティングが、使用され得る。さらにある他の実施形態において、
図10に示されるように、導電層をコーティングする前、障壁層が基板層(例えば、PET)上にスパッタリングされ、インク溶媒に対する障壁を提供し得る。ある場合、この障壁層は、SiOxであり得る。この場合における基板は、薄いので、障壁層は、基板の他側上にもコーティングされ得る。加えて、他の光学層も、装飾目的のために基板上に印刷され得る。いくつかの実施形態において、キャリアフィルムは、ディスプレイが組み立てられた後に破棄され得る。また、キャリアフィルムを伴わないディスプレイの残りは、他の構造と統合され得る。電極1および電極2層を含む本明細書に提示される全ての層は、このディスプレイがいずれの方向または向きからも視認され得るように、透明であり得ることを理解されたい。
【0069】
図11Aは、
図9のEPD層900の上面図を図示する。示されるように、EPD層900は、他の部分を略平坦に残したまま、パターンマイクロセル構造によって、層900の一部上にのみ製造され得る。この方式において、マイクロセルを伴わない、略平坦部分1102(すなわち、別個の部分1102が、マイクロセル構造を有するように指定される)は、
図9に示されるように、圧電層との接続を生成するために使用され得る。この製造方法は、いくつかの利点をもたらす。第1に、接触部分(すなわち、略平坦部分)およびマイクロセル部分1102が同時に製作されるこの方式においてEPD層を製作することは、2つの部分の製作が別個に行われる代替方法と比較して、より容易である。第2に、略平坦接触部分1100およびマイクロセル部分1102は、一緒に製作されるので、それらは、構造的によりロバストであり、それは、EPD層と圧電層との間のより良好な接続および、より耐久性のあるディスプレイデバイスにつながる。
図11Bは、
図11Aに示されるようなEPD層の断面図を図示する。EPD層は、マイクロセルパターン化を伴う、第1の部分1104と、マイクロセルを伴わない平坦部分1106とを含み得る。実践において、略平坦部分1106およびマイクロセル部分1104は、同じフォトリソグラフィステップにおいてパターン化され得る。いくつかの実施形態において、パターンが、画定されると、エンボス加工ステップ後、剥離ライナの細片が、略平坦部分上に積層され得、剥離ライナの厚さは、マイクロセル高さと同じであり得る。剥離ライナの表面エネルギーは、シール層が剥離ライナの上部において脱湿潤しないであろうように十分に高いことが好ましく、いくつかの実施形態において、表面エネルギーは、用途に応じて、特定のレベルに調整され得る。剥離ライナは、この場合、ポリビニルアルコールまたは他の水溶性ポリマーを含み得る。さらに、やすりがけおよびシールステップ後、剥離ライナは、インクおよびその上部のシール層とともに除去され、真下の平坦面積を露出させ得る。実践において、剥離ライナを除去することは、シール層/材料およびインクをEPD層の略平坦部分から除去するであろう。このプロセスは、マイクロセル部分1104からのインクおよびシール材料の実質的にきれいな分断を確実にすることができる。非金属化圧電フィルムのピースが、平坦部上に積層され得る。圧電フィルムおよび接着剤層の総厚は、シール層およびマイクロセルの総厚と同様であり得る。加えて、接着剤層のピースは、剥離ライナ上およびフルディスプレイパネル上に積層され得る。インライン加湿またはオフラインチャンバ加湿ステップが、ディスプレイの良好な光学性能を確実にするために使用され得る。実践において、パターンが、
図11Aおよび11Bにおいて画定された後、構造は、A’A’線に沿って切断され、ディスプレイを生成し得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、上で説明されるようなディスプレイを生産する方法は、第1の部分1102と、第2の部分1100とを有する電気泳動ディスプレイ材料の層を生産することを含み得、第1の部分1102は、複数のマイクロセルを有し、第2の部分1100は、実質的に平坦である。方法は、圧電材料を提供することと、圧電材料が第2の部分と実質的に重複するように、圧電材料を電気泳動ディスプレイ材料の第2の部分と整列させることとをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、電気泳動材料の第1の1102および第2の1100の部分は、単一フォトリソグラフィステップを使用して生産される。方法は、電気泳動ディスプレイ材料および圧電材料を基板上に設置することをさらに含み得、基板は、可撓性であり得る。いくつかの実施形態において、方法は、導電性電極を基板上に提供することと、障壁層を導電性電極と基板との間に提供することとをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、電気泳動ディスプレイの層を生産するステップ後、方法は、剥離ライナの層を提供することをさらに含み得、剥離ライナは、複数のマイクロセルのそれと実質的に同様の高さを有する。
【0071】
さらに、別の第2の電極が、
図6に示されるように、基板の上部に印刷され得る。第2の電極をEPD材料に接続するために、導電性インクが、導電性トレースまたは線をパターン化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、パターンは、2つの部分を含み得る。第1の部分は、小縞として印刷され得、第2の部分は、2つのピクセルパターンであり得る。各ピクセルは、導電性インクを使用して、1つまたは2つの小縞に接続され得る。そして、これらのパターンは、その後、小縞の上部の圧電フィルムとともに、上で述べられたFPL上に整列させられ、積層され得る。
【0072】
図12Aおよび12Bは、圧電材料を利用する電気泳動ディスプレイ1200の別の実施形態を図示する。示されるように、圧電材料層1202は、ディスプレイ媒体層1204(例えば、電気泳動媒体層)とともにスタックされ、ディスプレイを形成し得る。2つの電極、すなわち、電極1 1206および電極2 1208が、
図12Aおよび12Bに示されるように、2つの側に位置付けられ、EPD層1204および圧電材料層1202を狭み、電荷のための導電性経路を完成させ得る。いくつかの実施形態において、電極2 1208は、圧電フィルム上の金属または圧電フィルム上の積層された導電性接着剤であり得る。この構成において、他の接続は、電気泳動ディスプレイ材料1204を駆動するために必要とされない。
【0073】
使用時、力が、圧電材料層1202上に加えられると、電荷分離が、圧電材料1202内で生じる。電気泳動ディスプレイ媒体層1204と圧電材料層1202との界面上の電荷は、EPDフィルムにおける電荷を誘発し、電場が、EPDを通して通過し、粒子を移動させることができる。
図12Bは、電荷分布の図を図示する。
【0074】
さらに別の実施形態において、さらにより良好なコントラスト比を達成するために、反対分極方向を伴う圧電フィルムが、
図13Aおよび13Bに図示されるように、横並び構成に位置付けられ得る。使用時、PZ1およびPZ2は、加えられる力の下、反対電圧を生産することができ、
図13Bは、力が加えられたときの電荷分布の一実施形態を示す。電極1および電極2層を含む本明細書の
図12A-13Bに提示される全ての層は、このディスプレイがいずれの方向または向きからも視認され得るように、透明であり得ることを理解されたい。
【0075】
図12A-13Bに示される実施形態は、全体的デバイス厚を50マイクロメートル未満まで低減させるのみならず、CRも著しく改良する。さらに、デバイス構造を簡略化し、ディスプレイデバイスを小歪み変化に対してより敏感にする。
【0076】
(潜伏性画像)
【0077】
いくつかの実施形態において、
図12Aまたは
図1に図示される構成に類似する、またはそれに基づくディスプレイは、潜伏性画像を表示するように修正され得る。
図12Aに提示されるものに類似するが、電極1 1406または電極2 1408のいずれか上に積層または印刷された画像または形状を伴うディスプレイデバイス1400が、
図14Aに図示される。
図14Aに提示される構成は、概念を図示するためのものであり、他の構成も、同じ効果を達成するために容易に採用され得ることを理解されたい。実践において、ディスプレイ1400の全ての層が(接着剤層および電極1および2層さえも)、このディスプレイがいずれの方向または向きからも視認され得るように、透明であり得る(例えば、層1402、1404、1406、1408等)。
【0078】
いくつかの実施形態において、画像または形状が、白色背景上に、かつ電極1 1406または電極2 1408のいずれか上に印刷または積層され、反対側から視認され得る。使用時、EPD層1404が、白色を示すとき、印刷された画像または形状は、隠され(すなわち、
図14B参照)、力が加えられ、EPD1404が別の色に切り替わると、印刷された画像または形状が、表示され得る(すなわち、
図14C参照)。
【0079】
さらに別の実施形態において、暗着色画像または形状が、背景を伴わず、電極1 1406または電極2 1408のいずれか上に生産され、反対側から視認され得る。この構成において、ディスプレイ1400が、
図14Dに図示されるように、黒色背景の上に位置する場合、印刷された画像または形状は、EPD1404がどんなに曲げられても、隠されたままとなるであろう。代替として、ディスプレイ1400が、白色または明るい着色背景の上に位置付けられている場合、印刷された画像または形状が、現れ、EPD1404が、
図14Eに図示されるように、より暗い色に切り替わると、より明らかとなるであろう。
【0080】
さらに別の実施形態において、
図15Aに図示されるように、画像または形状は、電極1 1502、1504またはEPDディスプレイ1 1506およびEPDディスプレイ2 1508のいずれかの外側に生産され得る。2つのEPDディスプレイ1506、1508は、透明接着剤材料を使用して、一緒に統合され得る。力が加えられると(例えば、曲げられると)、EPDディスプレイ1 1506およびEPDディスプレイ2 1508の両方は、色を変化させることができる。EPDディスプレイ2 1508が暗くなり、EPDディスプレイ1 1506が白くなると、印刷された画像または形状は、
図15Cに図示されるように、現れないであろう。代替として、EPDディスプレイ2 1508が白くなり、EPDディスプレイ1 1506が、暗くなると、印刷された画像または形状が、
図15Bに図示されるように、現れるであろう。
【0081】
図9-14Aに図示されるディスプレイ構成を参照すると、導電性経路が、電極1および電極2と圧電材料層およびEPDフィルム層との間に完成し、他の導体または電極が、電極1と電極2との間に必要とされないことも留意されたい。
図15に図示されるディスプレイの場合、追加の導体または電極は、スタックされたディスプレイ1506および1508の各々のために必要とされない。これは、デバイスの全体的厚さを低減させ、かつディスプレイのCR比を効果的に改良する。
【0082】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態に行われることができることが、当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるべきである。
【外国語明細書】