(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097888
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/20 20060101AFI20240711BHJP
G08G 5/04 20060101ALI20240711BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01C21/20
G08G5/04 A
G09B29/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075703
(22)【出願日】2024-05-08
(62)【分割の表示】P 2019163993の分割
【原出願日】2019-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 継介
(72)【発明者】
【氏名】長沢 秀哉
(57)【要約】
【課題】ドローンの飛行安全の確保が可能な表示制御装置を提供する。
【解決手段】ドローンの位置を示す位置データと、その飛行ルートを示すルートデータと、に基づいて、ドローンの周囲にある地物に対応した地物画像MGをディスプレイDに表示させると共に、飛行ルートを示し且つ当該飛行ルートを囲む形状を有するルートリングR1等を、飛行ルートに沿わせてディスプレイDに複数表示させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体の位置を示す位置情報と、当該飛翔体が飛翔すべきルートを示すルート情報と、に基づいて、当該飛翔体の周囲にある地物に対応した地物画像を表示手段に表示させる地物画像表示制御手段と、
前記位置情報及び前記ルート情報に基づいて、前記ルートを示し且つ当該ルートを囲む形状を有するルート指標を、前記ルートに沿わせて前記表示手段に複数表示させるルート指標表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラムの技術分野に属する。より詳細には、液晶ディスプレイ等の表示手段における表示を制御する表示制御装置及び表示制御方法並びに当該表示制御装置用の表示制御プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるドローン等の無人小型航空機が広く一般化しつつあり、これに伴って、当該無人小型航空機の飛行管理方法の研究開発が盛んである。このような従来の技術が記載された先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載されている技術では、指定された無人小型航空機の飛行エリアに対応する地図を提供し、その無人小型航空機についての高度を含む飛行ルートを地図上で指定すると共に、指定した飛行ルートの少なくとも一部が、既に登録された他の無人小型航空機の飛行ルートと重複する場合には、地図上に当該別の飛行ルートを提供する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このとき、上記先行技術文献1に開示されている技術は、無人小型航空機の飛行ルートの指定及びその変更に関する技術に過ぎない。そして、先行技術文献1に開示されている技術では、無人小型航空機の飛行態様(換言すれば、その操縦態様)に対応した無人小型航空機の飛行状況及びそれに対応する周囲環境をリアルタイムにその管理者又は操縦者に提示することまでは考慮されていない。この点、無人小型航空機の安全な飛行の確保に当たっては、そのような表示を管理者又は操縦者に提供することが望まれる。
【0005】
そこで本願は、上記の要請に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、無人小型航空機の飛行安全の確保が可能な表示制御装置及び表示制御方法並びに当該表示制御装置用の表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、飛翔体の位置を示す位置情報と、当該飛翔体が飛翔すべきルートを示すルート情報と、に基づいて、当該飛翔体の周囲にある地物に対応した地物画像を表示手段に表示させる地物画像表示制御手段と、前記位置情報及び前記ルート情報に基づいて、前記ルートを示し且つ当該ルートを囲む形状を有するルート指標を、前記ルートに沿わせて前記表示手段に複数表示させるルート指標表示制御手段と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、表示手段に接続され、且つ、地物画像表示制御手段と、ルート指標表示制御手段と、を備える表示制御装置において実行される表示制御方法において、飛翔体の位置を示す位置情報と、当該飛翔体が飛翔すべきルートを示すルート情報と、に基づいて、前記地物画像表示制御手段により、当該飛翔体の周囲にある地物に対応した地物画像を前記表示手段に表示させる地物画像表示制御工程と、前記ルート指標表示制御手段により、前記位置情報及び前記ルート情報に基づいて、前記ルートを示し且つ当該ルートを囲む形状を有するルート指標を、前記ルートに沿わせて前記表示手段に複数表示させるルート指標表示制御工程と、を有する。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、表示手段に接続されたコンピュータを、飛翔体の位置を示す位置情報と、当該飛翔体が飛翔すべきルートを示すルート情報と、に基づいて、当該飛翔体の周囲にある地物に対応した地物画像を前記表示手段に表示させる地物画像表示制御手段、及び、前記位置情報及び前記ルート情報に基づいて、前記ルートを示し且つ当該ルートを囲む形状を有するルート指標を、前記ルートに沿わせて前記表示手段に複数表示させるルート指標表示制御手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の表示制御装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例の飛行管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例の飛行状態表示処理を示すフローチャートである。
【
図4】実施例の飛行ルート画像の一例を示す図であり、(a)は当該飛行ルート画像の全体を例示する図であり、(b)は実施例のルートリングの構成を例示する概念図である。
【
図5】実施例のカーブ表示制御を例示する概念図である。
【
図6】実施例の表示色制御を例示する概念図である。
【
図7】実施例の大きさ制御を例示する概念図である。
【
図9】実施例の標識表示制御を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態の表示制御装置の概要構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態の表示制御装置Sは、地物画像表示制御手段10と、ルート指標表示制御手段11と、を備えて構成されており、当該地物画像表示制御手段10及びルート指標表示制御手段11は表示手段Dに接続されている。
【0012】
この構成において、地物画像表示制御手段10は、飛翔体の位置を示す位置情報と、当該飛翔体が飛翔すべきルートを示すルート情報と、に基づいて、当該飛翔体の周囲にある地物に対応した地物画像を表示手段Dに表示させる。
【0013】
一方、ルート指標表示制御手段11は、上記位置情報及び上記ルート情報に基づいて、上記ルートを示し且つ当該ルートを囲む形状を有するルート指標を、当該ルートに沿わせて表示手段Dに複数表示させる。
【0014】
以上説明したように、実施形態の表示制御装置Sの動作によれば、地物画像と、ルートを囲む形状を有し且つルートに沿った複数のルート指標と、が表示手段Dに表示されるので、飛翔体の飛翔状況、及び対応する周囲の地物が一つの表示手段Dに表示されることで、飛翔体の安全な飛翔を確保することができる。
【実施例0015】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図9を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、例えば、いわゆるドローンに代表される無人小型航空機の飛行管理を行う飛行管理システムにおいて、当該無人小型航空機の飛行状態を表示する飛行状態表示処理に本願を適用した場合の実施例である。
【0016】
また、
図2は実施例の飛行管理システムの構成を示すブロック図であり、
図3は実施例の飛行状態表示処理を示すフローチャートであり、
図4は実施例の飛行ルート画像の一例を示す図である。また、
図5は実施例のカーブ表示制御を示す概念図であり、
図6は実施例の表示色制御を示す概念図であり、
図7は実施例の大きさ制御を示す概念図であり、
図8は実施例の太さ制御を示す概念図であり、
図9は実施例の標識表示制御を示す概念図である。このとき
図2及び
図4では、
図1に示した実施形態の表示制御装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該表示制御装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0017】
図2に示すように、実施例の飛行管理システムSSは、実施形態の飛翔体及び実施例の無人小型航空機の一例としてのドローンDRと、当該ドローンDRを操縦又は管理する操縦管理者により操作される端末装置Tと、により構成されている。なお
図2では、一のドローンDRが一の端末装置Tにおける上記操縦管理者の操作により制御される場合について示すが、これ以外に、複数のドローンDRの飛行が一の端末装置Tにおける当該操縦管理者の操作により制御されてもよい。
【0018】
一方、実施例のドローンDRは、GPS(Global Positioning System)受信部20A、各種センサ20B及びカメラ20Cを含むセンサ部20と、CPU(Central Processing System)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる制御部21と、送受信部22と、により構成されており、これらセンサ部20、制御部21及び送受信部22は、バス23により相互にデータの授受が可能に接続されている。
【0019】
以上の構成においてGPS受信部20Aは、制御部21の制御の下、GPSに含まれる図示しない航法衛星から受信する航法電波に基づき、ドローンDRの現在位置を示す位置データを生成し、当該生成した位置データを制御部21に出力する。この現在位置は、例えば、緯度及び経度並びに高度を使って表されるドローンDRの現在位置である。またカメラ20Cは、制御部21の制御の下、その撮像範囲にある地物を撮像し、当該撮像結果を含む画像データを生成して制御部21に出力する。このとき、上記地物とは、例えば、ドローンDRの周囲にある施設や地形等の地物である。更に各種センサ20Bは、制御部21の制御の下、ドローンDRに備えられた図示しないプロペラの回転状態やドローンDR自体の速度及び姿勢等を検出し、当該検出結果を含むセンサデータを生成して制御部21に出力する。一方、送受信部22は、制御部21の制御の下、端末装置Tとの間の例えば無線によるデータの授受を制御する。これらにより制御部21は、送受信部22を介して端末装置Tから受信した指令情報等に基づき、ドローンDRの飛行を制御すると共に、実施例の飛行状態表示処理を実行する。
【0020】
他方、実施例の端末装置Tは、CPU、ROM及びRAM等からなる制御部1と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる記録部2と、送受信部3と、例えば操作スティック及び操作ボタン等からなる操作部4と、表示制御部Sと、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイDと、により構成されており、上記制御部1、記録部2、送受信部3、操作部4及び表示制御部Sは、バス5により相互にデータの授受が可能に接続されている。また、表示制御部Sは、地物画像表示制御部10と、リング表示制御部11と、により構成されている。このとき、上記地物画像表示制御部10及びリング表示制御部11は、表示制御部Sを構成するCPU等のハードウェアロジック回路により実現されていてもよいし、後述する実施例の飛行状態表示処理に相当するプログラムを読み出して実行することによりソフトウェア的に実現されるものであってもよい。一方、記録部2には、ドローンDRが飛行する飛行ルートが予め設定されている空域の下の地上にある地物を少なくとも示す地図データMDが不揮発性に記録されている。また記録部2には、上記飛行ルートを示すリンクデータLDが不揮発性に記録されている。このリンクデータLDには、飛行ルートごとに、例えば並行して同時に飛行可能なドローンDRの数を示す同時飛行可能数を示す飛行可能数データと、当該飛行コースに飛行制限速度が予め設定されている場合における当該飛行制限速度を示す制限速度データと、が含まれている。そして、地物画像表示制御部10が実施形態の地物画像表示制御手段10の一例に相当し、リング表示制御部11が実施形態のルート指標表示制御手段11の一例に相当し、ディスプレイDが実施形態の表示手段Dの一例に相当し、表示制御部Sが実施形態の表示制御装置Sの一例に相当する。
【0021】
以上の構成において送受信部3は、制御部1の制御の下、端末装置Tと接続されているドローンDRとの間のデータの授受を制御する。また記録部2は、制御部1の制御の下、必要に応じて、上記地図データMD及びリンクデータLDを読み出して制御部1に出力する。更に表示制御部Sの地物画像表示制御部10は、制御部1の制御の下、後述する実施形態の地物画像MGを生成してディスプレイDに表示する。これに加えて表示制御部Sのリング表示制御部11は、制御部1の制御の下、後述する実施例のルートリングR1等及びルートラインRL1等を生成し、上記地図画像MGが表示されているディスプレイDに合わせて表示する。更に操作部4は、当該操作部4において上記操縦管理者により実行された操作に対応する操作信号を生成し、制御部1に出力する。これらにより制御部1は、操作部4からの上記操作信号と、送受信部3を介してドローンDRから受信した例えば上記位置データ等と、に基づき、ドローンDRの飛行を制御すると共に、実施例の飛行状態表示処理を実行する。
【0022】
次に、実施例の飛行状態表示処理について、具体的に
図2乃至
図9を用いて説明する。実施例の飛行状態表示処理が開始される前提としては、ドローンDRが飛行すべき上記飛行ルートが予め設定されており、その飛行ルートを示すリンクデータLDが記録部2に予め記録されている。この飛行ルートには、ドローンDRが直進すべき直進部、ドローンDRが上昇すべき上昇部、ドローンDRが降下すべき降下部、ドローンDRが曲がるべき曲線部等が含まれている。また、当該飛行ルートが含まれる空域の下の地上にある地物を少なくとも示す地図データMDも、予め記録部2に記録されている。この地図データMDには、例えば、当該空域の下の地上の建物、道路又は地面等をディスプレイDに立体的に表示するためのデータや、当該空域の気象状況をディスプレイDに表示するためのデータ等が含まれている。更に記録部2には、実施例のルートリングR1等及びルートラインRL1等を画像として生成するための素材となる素材データも、予め記録されている。更にまた、ドローンDRの飛行中においては、上記制御部21の制御下で、上記画像データ等のセンサデータや上記位置データ等が、ドローンDRから端末装置Tに随時送信される。
【0023】
そして、
図3に対応するフローチャートを示すように、実施例の飛行状態表示処理は、例えば、ドローンDR及び端末装置Tそれぞれの電源がオンとされ、更にドローンDRが端末装置Tの制御の下で離陸したタイミングで開始される。実施例の飛行状態表示処理が開始されると、端末装置Tの制御部1は、ドローンDRから受信した上記位置データに基づき、ドローンDRの現在位置に対応する地上の地物を示す地図データMDを記録部2から読み出して表示制御部Sに出力する。これと並行して制御部1は、上記位置データに基づき、ドローンDRの現在位置及び当該現在位置から先の飛行ルートを示すリンクデータLDを記録部2から読み出して表示制御部Sに出力する。これらにより、表示制御部Sの地物画像表示制御部10及びリング表示制御部11は、記録部2に記録されている上記素材データ等を用いて、ドローンDRの現在位置に対応した
図4(a)に例示する実施例の飛行ルート画像Gを生成し、ディスプレイDに表示する飛行ルート画像表示制御を行う(ステップS1)。
【0024】
ここで、実施例の飛行ルート画像Gとしては、
図4(a)に例示するように、上記地図データMDに基づき、ドローンDRの現在位置から見える地物に相当する地物画像MGが、例えば魚眼的に表示される。この地物画像MGには、上記現在位置の下方及び前方にある建物や施設等の画像、及び飛行方向前方にある空の画像が、少なくとも含まれている。このとき、当該空の画像は、例えば端末装置Tにおいて取得される気象データ等に基づき、飛行時の天候に合わせて変更されてもよい。これらに加えて、飛行ルート画像Gには、ドローンDRの現在位置及び先の飛行ルートを示すルート画像RTと、当該飛行ルートをその内側の視点(換言すれば、飛行ルート上のドローンDR上の視点)から見て例えば筒状(チューブ状)に連続して示す複数のルートリングR1、ルートリングR2、…、と、これらルートリングR1等を飛行ルートに沿って繋ぐように表示されるルートラインRL1乃至ルートラインRL4と、が含まれている。実施例の地図ルート画像Gでは、これらルートリングR1、ルートリングR2、…、と、ルートラインRL1乃至ルートラインRL4と、ルート画像RTと、により、ドローンDRが飛行すべき飛行ルートが三次元的に且つ筒状に表示されている。そして、ドローンDRの飛行に伴う現在位置の変化に対応して、これらルートリングR1等及び地図画像MGが、例えば
図4(a)中奥から手前に流れるように変化して表示される。即ち、実施例の飛行ルート画像Gでは、
図4(b)に概念的に示すように、ドローンDRの飛行方向に沿って連続する複数のルートリングR1、ルートリングR2、…、により形成される筒状の飛行ルート(ルート画像RTに対応)を、
図4(b)に破線矢印で示すようにドローンDRが飛行しているように、ルートリングR1等、ルートラインRL1乃至ルートラインRL4、ルート画像RT及び地物画像MGが変化しつつ表示される。このとき、ルートリングR1等、ルートラインRL1乃至ルートラインRL4及びルート画像RTは、例えば緑色等の同色で表示される。なお、ドローンDRの現在位置から離れた先にある飛行ルートについては、例えば
図4(a)の中央から右奥に表示されているように、当該飛行ルートを外部から俯瞰して見た画像として表示される。また、以下の説明において、上記ルートリングR1、ルートリングR2、ルートリングR3、…、に共通の事項を説明する場合、これらを纏めて「ルートリングR」と称する。
【0025】
なお、これらに加えて、飛行ルート画像Gには、
図4(a)に例示する速度データSPDと、高度データALTと、がその左右端に表示される。これら速度データSPD及び高度データALTは、ドローンDRから受信された位置データ及びセンサデータ等に基づいて表示される。
【0026】
更に、例えば異なる高度を対向して飛行する、
図4(a)に例示する他のドローンADRがある場合、飛行ルート画像Gには、当該ドローンADRを示す画像と、当該ドローンADRの飛行ルートを示すルート画像ARTと、が合わせて表示される。このとき、当該ドローンADRを示す画像及びそれに対応するルート画像ARTそれぞれの表示色は、上記ルートリングR1等、上記ルートラインRL1乃至ルートラインRL4及び上記ルート画像RTの表示色とは異なる、例えば赤色又は黄色等の警告色とするのが好ましい。なお、制御部1及び表示制御部Sは、当該ドローンADRの位置を示す位置データ及びその飛行ルートを示すデータを、例えば、当該ドローンADRに接続された他の端末装置Tから、例えばインターネット等のネットワークを介して取得し、上記ドローンADR等の表示に用いる。
【0027】
実施例の飛行ルート画像Gが表示されている時、表示制御部Sは、実施例のカーブ表示制御を行うか否かを判定している(ステップS2)。より具体的に表示制御部Sは、ドローンDRの現在位置に対応するリンクデータLDに基づき、現在位置及びその先の飛行ルートに上記上昇部、上記降下部又は上記曲線部のいずれかが含まれているかを判定する。そして、ステップS2の判定において、上記上昇部、上記降下部及び上記曲線部のいずれもが含まれていない場合(ステップS2:NO)、表示制御部Sは、例えばドローンDRが着陸した等の理由により、実施例の飛行状態表示処理を終了するか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12の判定において、実施例の飛行状態表示処理を終了する場合(ステップS12:YES)、表示制御部S及び制御部1は、そのまま当該飛行状態表示処理を終了する。一方ステップS12の判定において、実施例の飛行状態表示処理を継続する場合(ステップS12:NO)、表示制御部Sは、上記ステップS1に戻って移行処理を繰り返す。
【0028】
他方、ステップS2の判定において、現在位置及びその先の飛行ルートに上記上昇部、上記降下部又は上記曲線部のいずれかが含まれている場合(ステップS2:YES)、表示制御部Sは、
図5に概念的に例示するように、上記上昇部、上記降下部又は上記曲線部のいずれかを飛行中の飛行ルート画像GにおけるルートリングR1等の飛行ルートに沿った密度が、当該いずれかの前後の飛行ルートの上記直線部における当該密度よりも高くなるように、飛行ルート画像Gにおける当該ルートリングR1等を表示する実施例のカーブ表示制御を行う(ステップS3)。なお表示制御部Sは、上記上昇部、上記降下部又は上記曲線部のいずれかにおけるルートリングR1等の飛行ルートに沿った密度を、上記直線部における当該密度よりも低くなるようにして、両者を異ならせて表示してもよい。その後表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。
【0029】
次に表示制御部Sは、上記ステップS2の判定と並行して、実施例の表示色制御を行うか否かを判定している(ステップS4)。より具体的に表示制御部Sは、ドローンDRの飛行ルートに対応するリンクデータLD及び地図データMDに基づき、当該飛行ルートに対して予め設定された閾値距離以下の位置に建物等の地物があるかを判定する。そして、ステップS3の判定において、当該位置に建物等がない場合(ステップS4:NO)、表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。なお、ステップS4の判定に用いられる上記閾値距離は、例えば、航空法や飛行ルートの近辺にある地物の高さの平均値等に基づいて予め設定されているものである。そして、当該閾値距離を示す閾値距離データは、例えば、対応する地物の位置を示す位置データに関連付けて、上記リンクデータLDとして記録部2に予め記録されている。
【0030】
一方、ステップS4の判定において、ドローンDRの飛行ルートに対して上記閾値距離以下の位置に地物がある場合(ステップS4:YES)、表示制御部Sは、
図6に概念的に例示するように、少なくとも、当該地物BDに最も近い飛行ルート上の位置に対応して表示されるルートリングR3及びルートリングR4(
図6に例示する場合)の表示態様(例えば表示色)を、他のルートリングR1、ルートリングR2、ルートリングR5及びルートリングR6等と異ならせて表示する実施例の表示色制御を行う(ステップS5)。この場合に表示制御部Sは、
図6に例示するルートリングR3及びルートリングR4の表示色を、例えば赤色又は黄色等の警告色とするように構成してもよい。更に表示制御部Sは、上記ルートリングR3及びルートリングR4の表示態様の制御に代えて、又は当該表示制御と合わせて、当該地物BD自体の表示態様(例えば表示色)を、他の地物と異ならせてもよい。その後表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。
【0031】
次に表示制御部Sは、上記ステップS2の判定及びステップS4の判定と並行して、実施例の大きさ制御を行うか否かを判定している(ステップS6)。より具体的に表示制御部Sは、ドローンDRの飛行ルートに対応するリンクデータLDに含まれている上記飛行可能数データに基づき、当該飛行ルート内を同時に飛行可能なドローンDRの数が増えるか否かを、判定する。そして、ステップS6の判定において、当該数が変わらない場合(ステップS6:NO)、表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。
【0032】
一方、ステップS6の判定において、ドローンDRの飛行ルート内を同時に飛行可能なドローンDRの数が増える場合(ステップS6:YES)、表示制御部Sは、
図7に概念的に例示するように、当該数が増えた後のルートリングRR1、ルートリングRR2及びルートリングRR3、…の大きさ(より具体的には、例えばその直径)を、当該数が増える前のルートリングR1、ルートリングR2、ルートリングR3及びルートリングR4よりも大きくして表示する実施例の大きさ制御を行う(ステップS7)。この場合に表示制御部Sは、例えば、同時に飛行可能なドローンDRの数が二倍となったら、それに対応して、例えば、ルートリングRR1等の大きさを、当該数が増える前のルートリングR1等に対して二倍とする大きさ制御を行う。その後表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。なお実施例の大きさ制御として、表示制御部Sは、上記飛行可能数データに基づき、ドローンDRの飛行ルート内を同時に飛行可能なドローンDRの数が減る場合に、当該数が減った後のルートリングの大きさを、当該数が減る前のルートリングよりも小さくするように制御してもよい。
【0033】
次に表示制御部Sは、上記ステップS2の判定、ステップS4の判定及びステップS6の判定と並行して、実施例の太さ制御を行うか否かを判定している(ステップS8)。より具体的に表示制御部Sは、ドローンDRの飛行ルートに対応するリンクデータLDに含まれている上記制限速度データに基づき、当該飛行ルートにおける飛行制限速度が上がるか否かを判定する。そして、ステップS8の判定において、当該飛行制限速度が変わらない場合(ステップS8:NO)、表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。
【0034】
一方、ステップS8の判定において、上記飛行制限速度が上がる場合(ステップS8:YES)、表示制御部Sは、
図8に概念的に例示するように、当該飛行制限速度が上がった後のルートリングRS1、ルートリングRS2及びルートリングRS3、…の太さを、当該飛行制限速度が上がる前のルートリングR1乃至ルートリングR5及びルートリングR10乃至ルートリングR14よりも太くして表示する実施例の太さ制御を行う(ステップS9)。この場合に表示制御部Sは、例えば、上記飛行制限速度が二倍となったら、それに対応して、例えば、ルートリングRS1等の太さを、当該飛行制限速度が上がる前のルートリングR1等に対して二倍とする太さ制御を行う。その後表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。なお実施例の太さ制御として、表示制御部Sは、上記制限速度データに基づき、ドローンDRの飛行ルートにおける飛行制限速度が下がる場合に、当該飛行制限速度が下がった後のルートリングの太さを、当該飛行制限速度が下がる前のルートリングよりも細くするように制御してもよい。
【0035】
最後に表示制御部Sは、上記ステップS2の判定、ステップS4の判定、ステップS6の判定及びステップS8の判定と並行して、実施例の標識表示制御を行うか否かを判定している(ステップS10)。より具体的に表示制御部Sは、ドローンDRの飛行ルートに対応するリンクデータLD及び上記気象データ等に基づき、ドローンDRの現在位置より先の飛行ルートに、上記上昇部、上記降下部、左変針又は右変針の上記曲線部、飛行ルートの合流部或いは気象の変化のいずれかがあるかを判定する。そして、ステップS10の判定において、上記上昇部、上記降下部、左変針及び右変針の上記曲線部、飛行ルートの合流部並びに気象の変化のいずれもが含まれていない場合(ステップS10:NO)、表示制御部Sは、上記ステップS12に移行する。
【0036】
他方、ステップS10の判定において、現在位置より先の飛行ルートに例えば上記上昇部がある場合(ステップS10:YES)、表示制御部Sは、
図9(a)に概念的に例示するように、当該上昇部を示す標識S1を、当該上昇部手前のルートリングRの上部に相当する位置に表示する(ステップS11)。また、ステップS10の判定において、現在位置より先の飛行ルートに例えば上記降下部がある場合(ステップS10:YES)、表示制御部Sは、
図9(b)に概念的に例示するように、当該下降部を示す標識S2を、当該下降部手前のルートリングRの下部に相当する位置に表示する(ステップS11)。更に、ステップS10の判定において、現在位置より先の飛行ルートに例えば上記合流部がある場合(ステップS10:YES)、表示制御部Sは、
図9(c)に概念的に例示するように、当該合流部を示す標識S3を、当該合流部手前のルートリングRにおいて他のルートの方向を示す位置に表示する(ステップS11)。なお、
図9(c)に例示する標識S3は、現在位置より先の飛行ルートに、右方向に飛行して合流する他のルートがあることを示している。
【0037】
更に、ステップS10の判定において、現在位置より先の飛行ルートに例えば右上方(又は、左上方、右下方或いは左下方)に変針する部分がある場合(ステップS10:YES)、表示制御部Sは、図による例示を省略するが、上記右上方(又は、左上方、右下方或いは左下方)に変針する旨を示す標識を、当該変針する部分手前のルートリングRの右上方(又は、左上方、右下方或いは左下方)に相当する位置に表示する(ステップS11)。
【0038】
一方、ステップS10の判定において、現在位置より先の飛行ルートに上記気象の変化がある場合(ステップS10:YES)、表示制御部Sは、
図9(d)に概念的に例示するように、当該気象の変化を示す標識を、当該気象の変化がある部分又はその手前のルートリングRに対応させて表示する(ステップS11)。より具体的に、
図9(d)に例示する場合は、現在位置より先の飛行ルートに左方から毎秒15メートルの風が吹いている場合の標識の表示例であるが、表示制御部Sは、対応するルートリングRと共に、風速データVと、風の吹いてくる方向を示す標識W2と、風が吹いている状態を直感的に示す標識W1と、を表示する。このとき、表示制御部Sは、風速データV及び標識W2を、風が吹いてくる方向に相当するルートリングRの位置に表示する。また、表示制御部Sは、標識W1を、風が吹いていく方向に散らばるように表示する。なお、気象の変化を示す標識としては、
図9(d)に例示する風の場合の他に、降雨又は降雪或いは雷がある場合を表示する標識を用いるのが好適である。更に、
図9に示す標識S1等は、記録部2に予め記録されている上記素材データ等を用いて行われるのが好ましい。更に、上記気象の変化を示す標識を、当該気象の変化がある部分の手前のルートリングRに対応させて表示する場合は、当該気象の変化がある部分までの距離が合わせて表示されるのが好ましい。
【0039】
以上それぞれ説明したように、実施例の飛行状態表示処理によれば、地物画像MGと、飛行ルートを囲む形状(輪形状)を有し且つ飛行ルートに沿った複数のルートリングRと、を一つのディスプレイDに表示させるので(
図4(a)参照)、ドローンDRの飛行状況、及び対応する周囲の地物が一つのディスプレイDに表示されることで、ドローンDRの安全な飛行を確保することができる。
【0040】
また、飛行ルートにおける直線部と曲線部とで、飛行ルートに沿ったルートリングRの密度を異ならせて各ルートリングRをディスプレイDに表示させるので(
図5参照)、直線部と曲線部と差異を直感的に認識可能に表示させることができる。
【0041】
更に、少なくとも、飛行ルートからの距離が既定閾値距離以下である地物に最も近い位置に表示させるルートリングRの表示色を他のルートリングRの表示色と異ならせて表示させる場合は(
図6参照)、当該地物の存在を直感的に認識可能に表示させることができる。
【0042】
更にまた、少なくとも、飛行ルートからの距離が上記既定閾値距離以下である地物の表示色を他の地物の表示色と異ならせて表示させる場合も、当該地物の存在を直感的に認識可能に表示させることができる。
【0043】
また、飛行ルートに沿って同時に飛行可能なドローンDRの数が多いほどルートリングRを大きくして表示させるので、他のドローンDRが飛行している可能性等を直感的に認識可能に表示させることで(
図7参照)、安全な飛行に供させることができる。
【0044】
更に、飛行ルートに沿った飛行制限速度に応じてルートリングRの太さを変えて表示させるので(
図8参照)、飛行制限速度の変化を直感的に認識可能に表示させることができる。
【0045】
更にまた、飛行ルートの延在方向に沿い、且つ当該飛行ルートに対応して表示されている各ルートリングRを繋ぐルートラインRL1等を更に表示させるので(
図4(a)参照)、飛行ルートを直感的に認識可能に表示させることができる。
【0046】
また、ドローンDRの進行方向前方の地物画像MGと、その下方の地物画像MGと、を表示させるので(
図4(a)参照)、周囲の地物の状況をより具体的に認識可能に表示させることができる。
【0047】
更に、飛行ルートを囲む形状を有する複数のルートリングRと、飛行ルート上におけるドローンDRの飛行状況を示す標識S1等と、をディスプレイDに表示させるので(
図9参照)、飛行ルート上の飛行状況を直感的に認識可能に表示させることで、ドローンDRの安全な飛行を確保することができる。
【0048】
更にまた、ルートリングRの形状において上記飛行状況を示す位置に標識S1等を表示させるので(
図9参照)、当該飛行状況をより直感的に認識可能に表示させることができる。
【0049】
また、飛行ルートに沿ってドローンDRが上昇するとき、当該上昇を示す標識S1を、ルートリングRの形状における上部に表示させるので(
図9(a)参照)、ドローンDRが上昇する旨をより直感的に認識可能に表示させることができる。
【0050】
更に、飛行ルートに沿ってドローンDRが降下するとき、当該降下を示す標識S2を、ルートリングRの形状における下部に表示させるので(
図9(b)参照)、ドローンDRが下降する旨をより直感的に認識可能に表示させることができる。
【0051】
更にまた、他の飛行ルートに合流するようにドローンDRが飛行するとき、当該合流を示す標識S3を、ルートリングRの形状において当該他のルートの方向を示す位置に表示させるので(
図9(c)参照)、他のルートに合流する旨をより直感的に認識可能に表示させることができる。
【0052】
また、飛行ルート上の気象状況の変化が認識できる態様で標識W1、標識W2及び風速データVを表示させるので(
図9(d)参照)、ドローンDRの飛行に影響を与える可能性のある気象状況等の変化を直感的に認識させることができる。
【0053】
更に、気象状況等の変化を示す標識として風速データVが含まれて表示されるので、気象状況の変化を具体的に認識させることができる。
【0054】
なお上述した実施例では、無人小型航空機の一例としてのドローンDRの飛行状態を表示処理について本願を適用したが、これ以外に、有人小型航空機の操縦席における飛行状態の表示に本願を適用することもできる。
【0055】
また、複数のドローンDRの飛行状態を一元的に表示する場合に、その全体を表示する場合は各飛行ルートを外部から俯瞰して見た画像として表示すると共に、選択された一の飛行ルートを飛行するドローンDRの飛行状態を表示する場合に本願を適用して表示するように構成してもよい。
【0056】
更に、上述した実施例では、ルートリングRの形状を輪形状としたが、これ以外に、三角又は四角等の方形としてもよいし、一部が欠けた、例えばU形の形状としてもよい。
【0057】
更にまた、
図3に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る制御部1及び表示制御部Sとして機能させることも可能である。