(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097906
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像検査方法、および画像検査プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240711BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
H04N1/00 L
B41J29/393 105
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076301
(22)【出願日】2024-05-09
(62)【分割の表示】P 2022129437の分割
【原出願日】2019-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲
(57)【要約】
【課題】自動検品のスキャン結果をユーザが確認する際に、実際の検査領域をユーザが確認する。
【解決手段】画像検査装置は、画像が形成された用紙を読み取る光学センサ141,142と、光学センサ141,142が読み取った画像から印刷結果が正常であるか否かを判定する異常検出部106と、異常検出部106が検査対象とする領域の情報を記憶する記憶部18と、光学センサ141,142が読み取った画像のうち異常検出部106が検査対象とした領域を表示操作部11に報知する表示処理部105とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取った画像と、検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取った画像と、を比較して、印刷が正常であるか否かを検査する画像検査装置であって、
検査非対象の領域を設定する設定部と、
前記読み取った画像に対して、前記設定部で設定された検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示する表示部と、
を有する画像検査装置。
【請求項2】
前記検査非対象の領域は、第1の検査非対象の領域と第2の検査非対象の領域を有し、前記表示部は、前記読み取った画像に対して、前記第1の検査非対象の領域と前記第2の検査非対象の領域とを、不透明に塗りつぶして表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記第1、第2の検査非対象領域はグラフィカルユーザーインターフェース画面上の操作によって設定されることを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記第1、第2の検査非対象領域は数値入力によって設定されることを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記読み取った画像と、前記読み取った画像に対して前記領域を表示した画像と、を切り替えて表示可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記検査非対象の領域には、前記画像を印刷した記録媒体が断裁される領域が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記検査非対象の領域には、記録媒体ごとに印刷内容が異なる領域が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記検査非対象の領域が矩形である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項9】
前記検査非対象の領域とは、記録媒体に形成された画像を前記読取部によってあらかじめ読み取った画像と、前記検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取った画像と、を比較して、印刷が正常であるか否かの検査をしない領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記検査対象ジョブの実行時に前記読取部によって読み取った前記画像上に、前記領域を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項11】
検査非対象の領域を設定するステップと、
記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取るステップと、
検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取るステップと、
前記記録媒体に形成された画像を前記読取部によってあらかじめ読み取った画像と、前記検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を読み取った画像とを比較して、印刷が正常であるか否かを検査するステップと、
前記読み取った画像に対して、前記検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示部に表示するステップと、
を有する画像検査方法。
【請求項12】
コンピュータに、
検査非対象の領域を設定する手順、
記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取る手順、
検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取る手順、
前記記録媒体に形成された画像を前記読取部によってあらかじめ読み取った画像と、前記検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を読み取った画像とを比較して、印刷が正常であるか否かを検査する手順、
前記読み取った画像に対して、前記検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示部に表示する手順、
を実行させるための画像検査プログラム。
【請求項13】
記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取った画像と、検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取った画像と、を比較して、印刷が正常であるか否かを検査する画像検査システムであって、
検査非対象の領域を設定する設定部と、
前記読み取った画像に対して、前記設定部で設定された前記検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示する表示部と、
を有する画像検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像検査方法、および画像検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷における自動検品機能とは、あらかじめ紐付けられた正解画像と検査対象となる出力物の読み取り結果とを比較し、汚れ・角折れ・しわ・用紙傾き等の不良印刷物を特定し、自動的にヤレ紙(無駄になってしまった紙)として別トレイに排紙する機能である。このとき、正解画像は、原稿データもしくは正解画像作成用に出力されたジョブの読み取り結果から生成される。
【0003】
画像検査時に、常に画像全面に対して検査を実施すると、検査対象領域には異常がないにも関わらず、検査対象外の領域の異常によって不良印刷物として特定される問題がある。そのため、一般的には検査対象領域を指定し、対象外の領域での異常画像は検査しないような制御がなされている。
【0004】
また、特許文献1に示されているように、読み取った検査対象画像をPDF等の画像ファイルとして保存し、ユーザが参照する事で、検査結果をユーザが直接確認できる構成も知られている。
特許文献1によると、異常検知の結果と実際に読み取った検査対象画像をユーザが確認し、誤検知、検知漏れをユーザが確認・入力する事で自動検品時の異常検出条件にフィードバックを行う事が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ユーザが検査対象画像を確認する際に、装置が検査対象とした領域を確認する事が出来ない課題により以下の(a)~(e)に示した問題が存在している。
(a) 印刷物に対して検品が実施されたとき、その検査対象領域がユーザの意図した領域になっているか確認できない。
(b) 本来、印刷物を検査しなければいけない領域が検査の対象外になっていると、異常画像が残った状態で最終成果物が出荷される可能性がある。
(c) またユーザが目視で検出した画像不良が装置によって検知されていない場合に、画像の検査対象領域から外れた為に検知されていないのか、異常画像と判断される条件(閾値)を満たさない為に検知されていないのか判断できない。
【0007】
(d) 印刷画像の検査対象領域を修正しなければならないのか、検査条件を修正しなければならないのか判断できない
(e) ユーザが読み取り結果を目視確認する際に、検査対象領域を厳密に認識できない為、断裁領域の境界付近にある画像不良が最終出力物に影響するかの判断をするのが難しい。よって、画像端面からの距離を測って断裁量と比較する必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、自動検品のスキャン結果をユーザが確認する際に、実際の検査領域を確認可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
【0010】
(1) 記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取った画像と、検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取った画像と、を比較して、印刷が正常であるか否かを検査する画像検査装置であって、
検査非対象の領域を設定する設定部と、
前記読み取った画像に対して、前記設定部で設定された検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示する表示部と、
を有する画像検査装置。
【補正の内容】
【0011】
(2) 前記検査非対象の領域は、第1の検査非対象の領域と第2の検査非対象の領域を有し、前記表示部は、前記読み取った画像に対して、前記第1の検査非対象の領域と前記第2の検査非対象の領域とを、不透明に塗りつぶして表示する、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0012】
(3) 前記第1、第2の検査非対象領域はグラフィカルユーザーインターフェース画面上の操作によって設定されることを特徴とする(2)に記載の画像検査装置。
【0013】
(4) 前記第1、第2の検査非対象領域は数値入力によって設定されることを特徴とする(2)に記載の画像検査装置。
(5) 前記表示部は、前記読み取った画像と、前記読み取った画像に対して前記領域を表示した画像と、を切り替えて表示可能である、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0014】
(6) 前記検査非対象の領域には、前記画像を印刷した記録媒体が断裁される領域が含まれる、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0015】
(7) 前記検査非対象の領域には、記録媒体ごとに印刷内容が異なる領域が含まれる、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0016】
(8) 前記検査非対象の領域が矩形である、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0017】
(9) 前記検査非対象の領域とは、記録媒体に形成された画像を前記読取部によってあらかじめ読み取った画像と、前記検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取った画像と、を比較して、印刷が正常であるか否かの検査をしない領域である、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0018】
(10) 前記表示部は、前記検査対象ジョブの実行時に前記読取部によって読み取った前記画像上に、前記領域を表示する、
ことを特徴とする(1)に記載の画像検査装置。
【0019】
(11) 検査非対象の領域を設定するステップと、
記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取るステップと、
検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取るステップと、
前記記録媒体に形成された画像を前記読取部によってあらかじめ読み取った画像と、前記検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を読み取った画像とを比較して、印刷が正常であるか否かを検査するステップと、
前記読み取った画像に対して、前記検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示部に表示するステップと、
を有する画像検査方法。
【0020】
(12) コンピュータに、
検査非対象の領域を設定する手順、
記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取る手順、
検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取る手順、
前記記録媒体に形成された画像を前記読取部によってあらかじめ読み取った画像と、前記検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を読み取った画像とを比較して、印刷が正常であるか否かを検査する手順、
前記読み取った画像に対して、前記検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示部に表示する手順、
を実行させるための画像検査プログラム。
【0021】
(13) 記録媒体に形成された画像を読取部によってあらかじめ読み取った画像と、検査対象ジョブの実行時に印刷された画像を前記読取部によって読み取った画像と、を比較して、印刷が正常であるか否かを検査する画像検査システムであって、
検査非対象の領域を設定する設定部と、
前記読み取った画像に対して、前記設定部で設定された前記検査非対象の領域を不透明に塗りつぶして表示する表示部と、
を有する画像検査システム。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自動検品のスキャン結果をユーザが確認する際に、実際の検査領域を確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態の画像形成システムの概略を示す構成図である。
【
図4】記録媒体をスキャンした画像に重畳して、検査非対象領域を示す図形を表示するか否かを切り替える処理を示すフローチャートである。
【
図5】印刷された記録媒体をスキャンした画像の一例である。
【
図7】記録媒体をスキャンした画像と検査非対象領域とを合成した画像を示す図である。
【
図8】印刷された記録媒体をスキャンした画像の別レイヤとして検査非対象領域を登録したファイルの構成を示す図である。
【
図9】記録媒体をスキャンした画像に重畳して、検査対象領域を示す図形を表示するか否かを切り替える処理を示すフローチャートである。
【
図10】印刷された記録媒体をスキャンした画像の一例である。
【
図12】印刷された記録媒体をスキャンした画像の別レイヤとして検査対象領域を登録したファイルを示す図である。
【
図13】記録媒体をスキャンした画像に重畳して、検査対象領域と検査非対象領域の境界線を表示する処理を示すフローチャートである。
【
図14】記録媒体をスキャンした画像の別レイヤとして検査対象領域と検査非対象領域の境界線を登録したファイルを示す図である
【
図15】記録媒体をスキャンした画像に、検査対象領域と検査非対象領域の境界線を合成した画像を示す図である。
【
図16】記録媒体をスキャンした画像に重畳してバリアブル領域の境界線を表示し、更に断裁領域を塗りつぶし表示する処理を示すフローチャートである。
【
図18】検査非対象領域の再設定画面を示す図である。
【
図19】印刷された記録媒体をスキャンした画像から検査非対象領域をトリミングする処理を示すフローチャートである。
【
図20】印刷された記録媒体をスキャンした画像を示す図である。
【
図21】印刷された記録媒体をスキャンした画像から検査非対象領域をトリミングしたファイルを示す図である。
【
図22】記録媒体をスキャンした画像と共に、検査非対象領域の座標情報を表示する処理を示すフローチャートである。
【
図23】検査非対象領域の座標情報の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の画像形成システム1の概略を示す構成図である。
図2は、画像形成システム1のブロック図である。
【0025】
図1に示すとおり、画像形成システム1は、表示操作部11、給紙ユニット12、画像形成装置13、画像検査装置14、断裁装置15、およびパージ装置16を備えている。給紙ユニット12、画像形成装置13、画像検査装置14、断裁装置15、およびパージ装置16は、用紙搬送の上流側から下流側へ順に連結されている。
【0026】
図2に示すとおり、画像形成システム1は、制御部10、表示操作部11、給紙ユニット12、印刷部130、画像読取部140、断裁部150、パージ部160、記憶部18、通信部19を備えている。これらは、信号をやり取りするためのバスやインタフェースを介して相互に接続されている。
【0027】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を備える。
CPU101は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM102は、不揮発性メモリであり、この画像形成システム1を構成する各装置を制御する各種プログラムや各種データが格納される。RAM103は、揮発性メモリであり、CPU101の作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0028】
記憶部18は、ハードディスク等の大容量記憶装置であり、各種プログラムや各種データを格納する。CPU101、ROM102、RAM103は、記憶部18に格納されたプログラムを実行することにより、各処理の工程を実行するコンピュータである。通信部19は、他の装置と通信するためのインタフェースである。
【0029】
表示操作部11は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等を備える操作パネルであり、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0030】
《給紙ユニット》
給紙ユニット12は、複数の大容量給紙段121~123を備える。これら大容量給紙段121~123は、画像形成に使用される用紙9を収容する。給紙ユニット12は、これら大容量給紙段121~123に収容された用紙9を、1枚ずつ画像形成装置13に送り出す。
【0031】
《画像形成装置》
画像形成装置13は、
図1に示す本体給紙段131,132と、搬送ローラ133と、転写ローラ134と、定着ローラ135と、反転経路136,137を備え、
図2に示す印刷部130を構成する。本体給紙段131,132は、画像形成に使用される用紙9を収容する。搬送ローラ133は、本体給紙段131,132や給紙ユニット12から搬送された用紙9を、1枚ずつ下流側に搬送する。
【0032】
転写ローラ134は、搬送ローラ133の下流側に設置されており、CMYKの各トナー像を用紙9に転写する。定着ローラ135は、用紙9を加熱・加圧することにより、用紙9に転写されたトナー像を、この用紙9に定着させる。
反転経路136,137は、定着ローラ135から排出された用紙9を反転して、再び搬送ローラ133に送り込む経路である。これにより画像形成装置13は、用紙9の両面に印刷することができる。
【0033】
印刷部130は、帯電、露光、現像、転写、および定着の各工程を含む電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、画像データに基づく画像を用紙9上に形成する。印刷部130により画像が形成された用紙9は、下流側に設置された画像検査装置14に搬送される。
【0034】
《画像検査装置》
画像検査装置14は、光学センサ141,142とローラ143を備えている。これら光学センサ141,142は、
図2に示す画像読取部140を構成する。
【0035】
画像読取部140は、用紙9上に形成された画像を読み取って、読取画像データを得る。画像読取部140を構成する光学センサ141,142は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像装置である。光学センサ141は、用紙9の表面を撮像する。光学センサ142は、用紙9の裏面を撮像する。
【0036】
画像読取部140は、用紙9上に蛍光ランプ等の光源で光を当て、その反射光を光学センサ141,142で光電変換して、その電気信号から読取画像データを生成する。画像読取部140により画像が読み取られた用紙9は、下流側に設置された断裁装置15に順番に搬送される。
【0037】
《断裁装置》
断裁装置15は、断裁カッター151~153と、屑入れ154とを備え、
図2に示す断裁部150を構成する。
断裁部150は、画像形成装置13により画像が形成された用紙9の断裁処理を行う。断裁部150は、用紙9を搬送方向に沿った方向に断裁するための断裁カッター151と、用紙9を搬送方向に直交する方向に断裁するための断裁カッター152,153とを備え、用紙9を2つの方向に断裁する。断裁部150は、ジョブの断裁処理情報に基づいて用紙9の断裁処理を行って用紙9の端部を切り取り、切れ端を屑入れ154に入れる。断裁部150により用紙9を断裁して得られた用紙は、下流側に設置されたパージ装置16に順番に搬送される。
【0038】
《パージ装置》
パージ装置16は、装置本体の側面に設けられたメイン排紙トレイ161と、装置本体の上部に設けられたサブ排紙トレイ162とを備え、
図2に示すパージ部160を形成する。
パージ部160は、断裁装置15により断裁して得られた用紙を排出する。本実施形態のパージ部160は、装置本体の側面に設けられたメイン排紙トレイ161と、装置本体の上部に設けられたサブ排紙トレイ162とを有する。
【0039】
搬送路切替部163は、断裁された用紙の搬送路をメイン排紙トレイ161に続く第1搬送路と、サブ排紙トレイ162に続く第2搬送路との間で切り替える。搬送路切替部163は、断裁される前の用紙9に異常が見つかっていなかったならば、断裁された用紙を第1搬送路に搬送してメイン排紙トレイ161に排出する。搬送路切替部163は、断裁される前の用紙9に異常が見つかっていたならば、断裁された用紙を第2搬送路に搬送してサブ排紙トレイ162に排出(パージ)する。
【0040】
画像形成システム1の制御部10は、パージ装置16の不図示の制御部と連携して、異常のない用紙9をメイン排紙トレイ161に排出し、異常のある分割用紙をサブ排紙トレイ162に排出するパージ部160として機能する。また、画像形成システム1の制御部10は、画像検査装置14、断裁装置15、およびパージ装置16の不図示の制御部と連携して、画像形成システム1の動作を制御する動作制御部107(
図3参照)として機能する。
【0041】
さらに、画像形成システム1の制御部10は、記憶部18に記憶されたプログラムを実行することによって、
図3に示す画像処理部104、表示処理部105、異常検出部106、動作制御部107、修正部108、トリミング部109として機能する。
ここで、画像処理部104は、画像読取部140が読み取った用紙9上の画像データを処理する。画像処理部104は、画像読取部140で読み取ったオリジナルの画像に、検査対象となった領域または検査非対象となった領域を示す図形を合成する。これによりユーザは、実際の検査領域を確認可能となる。
画像処理部104は、オリジナルの画像に検査対象となった領域または検査非対象となった領域を示す図形をレイヤとして登録してもよい。また画像処理部は、オリジナルの画像と、このオリジナルの画像に検査対象となった領域または検査非対象となった領域を示す図形を描いた画像とを紐づけて管理するようにしてもよい。
【0042】
表示処理部105は、画像読取部140により得られた用紙9上の画像データを、表示操作部11などに表示する。表示処理部105は更に、画像読取部140で読み取ったオリジナルの画像に重畳して検査対象となった領域または検査非対象となった領域を示す図形を機械的に所定周期で切り替え表示してもよい。これにより、表示処理部105は、画像読取部140により得られた用紙9上の画像データを報知する報知部として機能する。
【0043】
異常検出部106は、画像読取部140により得られた用紙9上の画像データから異常を検出し、よって印刷結果が正常であるか否かを検出する。動作制御部107は、これら画像形成システム1の各装置と連携して一連の画像形成動作を制御する。修正部108は、表示処理部105と連携して、検査対象領域または検査非対象領域をユーザが修正可能とする。トリミング部109は、画像処理部104により読み取った画像から検査非対象領域をトリミングする。各部の具体的な処理内容については後述する。
【0044】
画像形成システム1、断裁装置15、画像検査装置14、およびパージ装置16は、それぞれ上記構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0045】
以上のとおり構成される画像形成システム1では、印刷部130により画像が形成された用紙9が、画像検査装置14により、複数枚の用紙9が順番に検査され、これら用紙9上の画像が検査される。以下、
図4~
図23を参照して、画像検査装置14の動作について詳細に説明する。
【0046】
《第1の実施形態》
図4は、記録媒体をスキャンした画像に重畳して、検査非対象領域を示す図形を表示するか否かを切り替える処理を示すフローチャートである。
最初、制御部10は、印刷部130により検査対象ジョブを用紙9に出力し(S10)、画像読取部140により用紙9上に出力された画像を読み取る(S11)。
次に制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているか否かを判定する(S12)。
【0047】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されていないならば(No)、異常検出部106により、画像全面に対して画像解析と検品を実施し(S15)、読み取った画像を記憶部18に保存する(S16)。
【0048】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているならば(Yes)、異常検出部106により検査対象領域に対して画像解析と検品を実施し(S13)、画像処理部104により読み取った画像の別レイヤに検査非対象領域を示す図形を登録する(S14)。更に制御部10は、読み取った画像を記憶部18に保存する(S16)。
【0049】
そして制御部10は、表示処理部105により、保存した画像に検査非対象領域のレイヤが登録されているか否かを判定する(S17)。制御部10は、保存した画像に検査非対象領域のレイヤが登録されているならば(Yes)、記憶部18に保存された画像に検査非対象領域のレイヤの表示と非表示を機械的に所定周期で切り替えながら表示し(S18)、
図4の処理を終了する。つまり、制御部10は、印刷した用紙9を読み取った画像と、この画像に検査非対象領域を示す図形を重畳した画像とを所定周期で切り替えながら表示する。これによりユーザは、印刷した用紙9を読み取った画像を確認する際に、実際の検査領域を確認することが可能となる。
【0050】
制御部10は、保存した画像に検査非対象領域の図形がレイヤとして登録されていないならば(No)、表示処理部105により保存した画像を表示して(S19)、
図4の処理を終了する。
【0051】
図5は、印刷された記録媒体をスキャンした画像2の一例である。
画像2は、テキスト領域21と、写真領域22と、宛て名などが記載されたバリアブル領域23とを含んでいる。テキスト領域21は、テキストが印刷された領域である。写真領域22は、写真が印刷された領域である。バリアブル領域23は、用紙9ごとに異なる内容が印刷される可変領域である。これに対してテキスト領域21や写真領域22は、用紙9が異なったとしても内容が変わらない不変領域であり、よって検査対象領域となる。
【0052】
図6は、検査非対象領域のレイヤ3を示す図である。
ここでレイヤ3は、画像2に追加されたレイヤである。レイヤ3は、左端の断裁領域31と、右端の断裁領域32と、中央下部のバリアブル領域33とを含んでいる。レイヤ3のうち、ハッチングで示された断裁領域31,32と、バリアブル領域33とは、不透明である。それ以外のハッチングなしで示した領域は、透明である。
【0053】
図7は、記録媒体をスキャンした画像2と検査非対象領域とを合成した画像2Aを示す図である。
画像2Aは、テキスト領域21と、写真領域22と、断裁領域31,32とバリアブル領域33とを含んでいる。断裁領域31,32と、バリアブル領域33は、検査の対象領域ではない。つまり、画像2Aは、
図5に示した画像2に検査非対象領域を合成したものである。
【0054】
図8は、印刷された記録媒体をスキャンした画像の別レイヤとして検査非対象領域を登録したファイルの構成を示す図である。
印刷された記録媒体をスキャンした画像2の上層には、レイヤ3が配置されている。画像2の上層にレイヤ3を表示させることで、読み取った画像2に検査対象領域の図形を合成した画像2A(
図7参照)を表示することができる。また、このレイヤ3を非表示とすることにより、読み取った画像2(
図5参照)自体を表示することができる。このように画像2Aと画像2とを機械的に所定周期で切り替えて表示することにより、ユーザは読み取り画像のうち検査対象領域を視認可能となり、更に検査非対象領域も視認可能となる。
【0055】
ユーザが読み取り画像のうち検査対象領域を視認可能とすることでで、検査非対象領域の不整合による異常画像の誤検知や見過ごしを防ぐことができる。更に、ユーザが検査対象画像の読み取り結果を確認する際に、当該ユーザが検査非対象領域を認識する事ができるので、チェックの利便性が向上する。
【0056】
なお、読み取り画像と、検査対象領域を示す画像と、これら読み取り画像に検査対象領域の図形を合成した画像をそれぞれ紐付けて保存し、ユーザが用途により、それぞれの画像の参照・比較・合成を可能とする構成も考えられる。
【0057】
《第2の実施形態》
実際の検査領域をユーザが確認するためには、記録媒体をスキャンした画像と検査非対象領域を示す画像を切り替え表示してもよい。
図9は、記録媒体をスキャンした画像に重畳して、検査対象領域を示す図形を表示するか否かを切り替える処理を示すフローチャートである。
最初、制御部10は、印刷部130により検査対象ジョブを用紙9に出力し(S20)、画像読取部140により用紙9上に出力された画像を読み取る(S21)。
次に制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているか否かを判定する(S22)。
【0058】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されていないならば(No)、異常検出部106により、画像全面に対して画像解析と検品を実施し(S25)、ステップS26の処理に進む。
【0059】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているならば(Yes)、異常検出部106により画像処理部104により検査対象領域に対して画像解析と検品を実施し(S23)、読み取った画像の別レイヤに検査対象領域を示す図形を登録し(S24)、ステップS26の処理に進む。
【0060】
ステップS26において、制御部10は、画像を記憶部18に保存する。そして制御部10は、表示処理部105により、保存した画像に検査対象領域の図形がレイヤとして登録されているか否かを判定する(S27)。制御部10は、保存した画像に検査対象領域の図形が登録されているならば(Yes)、記憶部18に保存された画像に、検査対象領域を示す図形(矩形)の表示と非表示を機械的に所定周期で切り替えながら表示し(S28)、
図9の処理を終了する。これにより、印刷した用紙9を読み取った画像と、その検査対象領域とを視認可能に表示することができる。
制御部10は、保存した画像に検査対象領域の図形が登録されていないならば(No)、保存した画像を表示して(S29)、
図9の処理を終了する。
【0061】
図10は、印刷された記録媒体をスキャンした画像2の一例である。
図11は、検査対象領域を重畳して表示した画像2Cである。
画像2は、テキスト領域21と、写真領域22と、宛て名などが記載されたバリアブル領域23とを含んでいる。これに対して画像2Cは、逆U字型の検査対象領域41と、中央下部のバリアブル領域23とが表示されている。
【0062】
図12は、印刷された記録媒体をスキャンした画像の別レイヤとして検査対象領域を登録したファイルを示す図である。
印刷された記録媒体をスキャンした画像2の上層には、レイヤ4が配置されている。レイヤ4は、逆U字型の検査対象領域41を含んでいる。レイヤ4のうち、ハッチングで示された検査対象領域41は、不透明である。それ以外のハッチングのない領域は、透明である。
【0063】
画像2の上層にレイヤ4を表示させることで、読み取った画像2に検査対象領域41の図形を合成した画像2C(
図11参照)を表示することができる。また、このレイヤ4を非表示とすることにより、読み取った画像2(
図10参照)自体を表示することができる。このように画像2Cと画像2とを機械的に所定周期で切り替えて表示することにより、ユーザは読み取り画像のうち検査対象領域を視認可能となり、更に検査非対象領域も視認可能となる。
【0064】
《第3の実施形態》
実際の検査領域をユーザが確認するためには、記録媒体をスキャンした画像に検査対象領域の境界線を表示してもよい。
【0065】
図13は、記録媒体をスキャンした画像に重畳して、検査対象領域と検査非対象領域の境界線を表示する処理を示すフローチャートである。
最初、制御部10は、印刷部130により検査対象ジョブを用紙9に出力し(S40)、画像読取部140により用紙9上に出力された画像を読み取る(S41)。
次に制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているか否かを判定する(S42)。
【0066】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されていないならば(No)、異常検出部106により、画像全面に対して画像解析と検品を実施し(S45)、ステップS46の処理に進む。
【0067】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているならば(Yes)、異常検出部106により検査対象領域に対して画像解析と検品を実施し(S43)、画像処理部104により読み取った画像の別レイヤに検査対象領域と検査非対象領域の境界線を登録し(S44)、ステップS46の処理に進む。
【0068】
ステップS46において、制御部10は、画像を記憶部18に保存する。そして制御部10は、表示処理部105により、保存した画像に検査対象領域と検査非対象領域の境界線がレイヤとして登録されているか否かを判定する(S47)。制御部10は、保存した画像に検査対象領域の境界線がレイヤとして登録されているならば(Yes)、記憶部18に保存された画像に、検査対象領域の境界線を表示し(S48)、
図13の処理を終了する。これにより、印刷した用紙9を読み取った画像と、その検査対象領域とを視認可能に表示することができる。
制御部10は、保存した画像に検査対象領域の図形が登録されていないならば(No)、保存した画像を表示して(S49)、
図13の処理を終了する。
【0069】
図14は、記録媒体をスキャンした画像の別レイヤとして検査対象領域と検査非対象領域との境界線を登録したファイルを示す図である。
印刷された記録媒体をスキャンした画像2の上層には、境界線レイヤ5が配置されている。境界線レイヤ5は、境界線51~53を含んでいる。境界線51は、左端の断裁領域と検査対象領域との境界を示すものである。境界線52は、右端の断裁領域と検査対象領域との境界を示すものである。境界線53は、中央下部のバリアブル領域と検査対象領域との境界を示すものである。
【0070】
画像2の上層に境界線レイヤ5を表示させることで、読み取った画像2に各境界線51~53を合成した画像2B(
図15参照)を表示することができる。また、この境界線レイヤ5を非表示とすることにより、読み取った画像2自体を表示することができる。このように画像2Bを表示することにより、ユーザは読み取り画像のうち検査対象領域と検査非対象領域の境界を視認可能となる。
【0071】
図15は、記録媒体をスキャンした画像2に、検査対象領域と検査非対象領域の境界線51~53を合成した画像を示す図である。
画像2Bは、テキスト領域21と、写真領域22と、宛て名などが記載されたバリアブル領域23とを含んでいる。バリアブル領域23の周囲には、境界線53が表示されている。画像2Bの左端には、断裁領域の境界を示す境界線51が表示されている。画像2Bの右端には、断裁領域の境界を示す境界線52が表示されている。
【0072】
《第4の実施形態》
上記のような報知方法は、実際の用途によってどの方法が望ましいかが決まる。そのため、検査非対象となった要因や条件により、ユーザへの報知方法を切り替える構成も考えられる。
【0073】
ここで検査非対象となった要因には、この領域がバリアブル領域、断裁領域、ユーザ不可視領域等のうち何れであるかの属性がある。他の要因には、ユーザが指定した領域であるか、または装置が自動で設定した領域であるかの属性がある。検査非対象となった条件とは、全ページ共通の検査対象領域であるか、または対象ページ固有の検査対象外領域であるかである。
【0074】
具体的にいうと、断裁領域はチェックする必要は無いが、バリアブル領域は目視でチェックしたいというユーザに対し、断裁領域は塗りつぶしで表示、バリアブル領域は境界線を表示する事により検査対象外領域を報知するという構成が望ましい。
【0075】
図16は、記録媒体をスキャンした画像に重畳してバリアブル領域の境界線を表示し、更に断裁領域を塗りつぶし表示する処理を示すフローチャートである。
最初、制御部10は、印刷部130により検査対象ジョブを用紙9に出力し(S50)、画像読取部140により用紙9上に出力された画像を読み取る(S51)。
次に制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているか否かを判定する(S52)。
【0076】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査対象領域が設定されていないならば(No)、異常検出部106により、画像全面に対して画像解析と検品を実施し(S56)、ステップS57の処理に進む。
【0077】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているならば(Yes)、異常検出部106により検査対象領域に対して画像解析と検品を実施し(S53)、画像処理部104により読み取った画像上にバリアプル領域の境界線を追加し(S54)、断裁領域の塗りつぶしを追加して(S55)、ステップS57の処理に進む。
【0078】
ステップS57において、制御部10は、画像を記憶部18に保存する。そして制御部10は、表示処理部105により保存した画像を表示して(S58)、ステップS58の処理に進む。これにより、印刷した用紙9を読み取った画像と、その検査対象領域とを視認可能に表示することができる。ここで制御部10は、
図17に示す検査対象領域画面7を表示する。
【0079】
ステップS59において、制御部10は、
図17に示す領域再設定ボタン71が押下されたか否かを判定する。制御部10は、領域再設定ボタン71が押下されたならば(Yes)、
図3に示した修正部108により検査非対象領域を再設定して(S60)、
図16の処理を終了する。制御部10は、領域再設定ボタン71が押下されていないならば(No)、
図16の処理を終了する。
【0080】
図17は、検査対象領域画面7を示す図である。
この検査対象領域画面7は、タイトルバー70に「検査対象領域」が表示され、その左下には画像ペイン73が表示され、その右下には領域再設定ボタン71が表示されている。画像ペイン73には、画像2Dが表示されている。この画像2Dには、バリアブル領域23の境界線53と、断裁領域31,32の塗りつぶしが表示されている。
この検査対象領域画面7において、領域再設定ボタン71が押下されると、
図18に示す検査対象領域の再設定画面7Bに遷移する。
【0081】
図18は、検査非対象領域の再設定画面7Bを示す図である。
この再設定画面7Bは、タイトルバー70に「領域再設定」が表示され、その左下には画像ペイン73が表示され、その右下には領域情報入力ペイン74が表示されている。この再設定画面7Bは、
図3に示した修正部108により表示される。領域情報入力ペイン74には、断裁領域を編集するためのX軸座標テキストボックス741およびY軸座標テキストボックス742、X軸座標テキストボックス743およびY軸座標テキストボックス744、断裁領域を追加するための追加ボタン745が表示されている。領域情報入力ペイン74には更に、バリアブル領域を編集するためのX軸座標テキストボックス746およびY軸座標テキストボックス747、バリアブル領域を追加するための追加ボタン748が表示されている。
【0082】
ユーザが領域情報入力ペイン74の各テキストボックスの数値を編集することにより、検査非対象領域が再設定される。これにより、以降の検査非対象領域は、設定した数値によるものに変更される。
なお検査対象領域や検査非対象領域の設定は、数値入力に限定されず、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)画面上の操作によって設定されてもよい。
【0083】
《第5の実施形態》
検査対象領域のみを画像ファイルとして切り出し保存してもよい。これにより、検査結果の合計ファイルサイズを削減することができる。
【0084】
図19は、印刷された記録媒体をスキャンした画像から検査非対象領域をトリミングする処理を示すフローチャートである。
最初、制御部10は、印刷部130により検査対象ジョブを用紙9に出力し(S70)、画像読取部140により用紙9上に出力された画像を読み取る(S71)。
次に制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているか否かを判定する(S72)。
【0085】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されていないならば(No)、異常検出部106により、画像全面に対して画像解析と検品を実施し(S75)、ステップS76の処理に進む。
【0086】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているならば(Yes)、異常検出部106により検査対象領域に対して画像解析と検品を実施する。(S73)。次に制御部10は、画像処理部104により読み取った画像から検査非対象領域をトリミングし(S74)、ステップS76の処理に進む。ここで制御部10は、画像処理部104により読み取った画像から検査非対象領域をトリミングするトリミング部109(
図3参照)として機能する。
【0087】
ステップS76において、制御部10は、検査対象領域の画像を記憶部18に保存し、
図9の処理を終了する。ここで保存される画像を、後記する
図20に示す。
【0088】
図20は、印刷された記録媒体をスキャンした画像2Eを示す図である。
画像2Eは、テキスト領域21と、写真領域22とを含んでいる。一点鎖線で示した左端と右端は、それぞれ断裁領域の境界線51,52である。画像2Eのうち検査対象領域は、断裁領域を除いた領域である。
【0089】
図21は、印刷された記録媒体をスキャンした画像2から検査非対象領域をトリミングしたトリミング画像8を示す図である。
トリミング画像8は、画像2Eのうち検査非対象領域である断裁領域を除いた領域を保存したものである。このように検査対象でない領域を除いているので、保存する画像のファイルサイズを削減することができる。
【0090】
《第6の実施形態》
検査非対象領域の情報を座標や紙端部からの距離等の情報として付加した場合、数値としてユーザに報知する構成も考えられる。本実施形態において、実際の検査領域をユーザが確認するためには、検査非対象領域の座標情報を表示する。
【0091】
図22は、記録媒体をスキャンした画像と共に、検査非対象領域の座標情報を表示する処理を示すフローチャートである。
最初、制御部10は、印刷部130により検査対象ジョブを用紙9に出力し(S80)、画像読取部140により用紙9上に出力された画像を読み取る(S81)。
次に制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているか否かを判定する(S82)。
【0092】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されていないならば(No)、異常検出部106により、画像全面に対して画像解析と検品を実施し(S87)、読み取った画像を記憶部18に保存すると(S88)、ステップS89の処理に進む。
【0093】
制御部10は、この検査対象ジョブに検査非対象領域が設定されているならば(Yes)、異常検出部106により検査対象領域に対して画像解析と検品を実施し(S83)、画像処理部104により検査非対象領域のテキスト情報を生成する(S84)。次に制御部10は、読み取った画像を記憶部18に保存し(S85)、保存した画像に紐付けて、検査非対象領域のテキスト情報を保存すると(S86)、ステップS89の処理に進む。ここで画像に紐付けてテキスト情報を保存する方法は、例えば画像ファイルとテキスト情報ファイルのファイル名本体を同一にして、ファイルの拡張子を異なる名称とすることが考えられる。
【0094】
ステップS89において、制御部10は、表示処理部105により、保存した画像を表示する。そして制御部10は、保存した画像に検査非対象領域のテキスト情報が有るか(紐づけられているか)否かを判定する(S90)。制御部10は、保存した画像に検査非対象領域のテキスト情報が有るならば(Yes)、記憶部18に保存された画像に、検査非対象領域のテキスト情報を表示し(S91)、
図22の処理を終了する。これにより、印刷した用紙9を読み取った画像と、その検査対象領域の情報とを視認可能に表示することができる。
制御部10は、保存した画像に検査非対象領域のテキスト情報が無いならば(No)、
図22の処理を終了する。
【0095】
図23は、検査非対象領域の座標情報の表示画面を示す図である。
この領域情報表示画面7Cは、タイトルバー70に「領域情報表示」が表示され、その左下には画像ペイン73が表示され、その右下には領域情報ペイン75が表示されている。領域情報ペイン75には、断裁領域座標情報751,752とバリアブル領域座標情報753が表示されている。
【0096】
断裁領域座標情報751には、“X 0~2000”と“Y 0~14000”が表示されている。断裁領域座標情報752には、“X 23000~25000”と“Y 0~14000”が表示されている。バリアブル領域座標情報753には、“X 6000~19000”と“Y 8000~14000”が表示されている。このように座標値(数値)によって、検査非対象領域の情報を表示してもよい。
【0097】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)~(f)のようなものがある。
【0098】
(a) 検査非対象の断裁領域は、例えば用紙先端から10mmと用紙後端から7mmのように表示してもよく、限定されない。
(b) 検査対象領域や検査非対象領域の情報は、画像の別レイヤに登録したり、テキストファイルに保存して画像ファイルに紐付けるだけではなく、画像ファイルのタグ情報に登録してもよい。更に読み取った画像上に、検査対象または検査非対象となった領域に関する情報を文字で合成して保存してもよい。
(c) 画像ファイルと検査非対象領域を紐付ける方法は、ファイル名本体を同一にすることに限定されない。
(d) 画像のうち検査対象領域に限定して保存する際には、断裁領域だけをトリミングし、バリアブル領域を残してもよい。これにより、断裁されて製品には残らない部分を除去するとともに、製品の一部として残るバリアブル領域を検査結果として保存することができる。
(e) 画像読取部で読み取ったオリジナルの画像と、検査対象となった領域または検査非対象となった領域を示す図形をオリジナルの画像に合成した画像との切り替え表示方法は、機械的に所定周期で切り替えることに限定されない。例えば切り替えボタンの押下をトリガーに表示を切り替えてもよい。
(f) 画像処理部は、画像読取部で読み取った画像と同一のレイヤに、検査対象となった領域または検査非対象となった領域を示す図形を合成するとともに、合成した画像と画像読取部で読み取ったオリジナルの画像とを紐付けて管理してもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成システム
10 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 画像処理部 (画像処理手段)
105 表示処理部 (報知手段)
106 異常検出部 (異常検出手段)
107 動作制御部
108 修正部 (修正手段)
109 トリミング部 (トリミング手段)
11 表示操作部
12 給紙ユニット
121~123 大容量給紙段
13 画像形成装置
130 印刷部
131,132 本体給紙段
133 搬送ローラ
134 転写ローラ
135 定着ローラ
136,137 反転経路
14 画像検査装置
140 画像読取部
141,142 光学センサ (画像読取手段)
143 ローラ
15 断裁装置
150 断裁部
151~153 断裁カッター
154 屑入れ
16 パージ装置
160 パージ部
161 メイン排紙トレイ
162 サブ排紙トレイ
163 搬送路切替部
18 記憶部
19 通信部
2,2A~2E 画像
21 テキスト領域
22 写真領域
23 バリアブル領域
3 レイヤ
31,32 断裁領域
33 バリアブル領域
4 レイヤ
41 検査対象領域
5 境界線レイヤ
51~53 境界線
7 検査対象領域画面
7B 再設定画面
7C 領域情報表示画面
70 タイトルバー
71 領域再設定ボタン
72 保存ボタン
73 画像ペイン
74 領域情報入力ペイン
741,743,746 X軸座標テキストボックス
742,744,747 Y軸座標テキストボックス
745,748 追加ボタン
75 領域情報ペイン
751,752 断裁領域座標情報
753 バリアブル領域座標情報
8 トリミング画像
9 用紙