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特開2024-9791レゼクトスコープおよびレゼクトスコープ用の電極器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009791
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】レゼクトスコープおよびレゼクトスコープ用の電極器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023113151
(22)【出願日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】63/359,917
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ブロックマン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ホルン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK16
4C160MM54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】器具先端部が意図せずに滑ることを防ぐレゼクトスコープを提供する。
【解決手段】電極支持体の遠位端と、例えばガイドプレートでよいガイド要素との間の領域内で、少なくとも1つの電極支持体の断面を拡大することによって実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極(23)を有するレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)であって、
前記電極(23)は、互いに平行に位置合わせされた2つの管状の電極支持体(25、26)の2つの遠位端に固定されており、前記電極支持体(25、26)には、前記2つの電極支持体(25、26)を互いに連結する少なくとも1つのガイド要素(27)が配置されている、電極器具(22)において、前記電極支持体(25、26)の前記遠位端と前記ガイド要素(27)との間の領域内で、少なくとも1つの電極支持体(25、26)の断面が拡大されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項2】
請求項1に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記電極支持体(25、26)の遠位部分に、器具先端部(30)が配置されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項3】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記断面拡大部分(31)は、近位方向に見て前記器具先端部(30)の前方に配置されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項4】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記少なくとも1つの電極支持体(25、26)の前記断面は、前記器具先端部(30)と、前記少なくとも1つのガイド要素(27)との間、好ましくは、遠位のガイド要素(27)との間において、拡大されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、前記断面拡大部分(31)は長円形の形状を有し、前記断面拡大部分(31)は、電極支持体(25、26)の断面に対して長円形の形状を有することを特徴とする、電極器具。
【請求項6】
請求項5に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記長円形の形状は、前記2つの電極支持体(25、26)によって画定される平面に対して垂直に配向されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、前記少なくとも1つの電極支持体(25、26)の前記断面拡大部分(31)は、前記電極支持体(25、26)に圧着されたスリーブ、前記電極支持体(25、26)に付されたはんだドット、または、前記電極支持体(25、26)の形状変化により構成されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項8】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記器具先端部(30)は内腔を2つ有し、前記2つの電極支持体(25、26)は前記内腔を通して案内され、前記器具先端部(30)は、前記2つの電極支持体(25、26)上に自由に移動できるように装着されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項9】
請求項8に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記断面拡大部分(31)は、前記器具先端部(30)を通る前記内腔よりも大きいことを特徴とする、電極器具。
【請求項10】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
電極支持体(25、26)は両方とも、前記器具先端部(30)が前記断面拡大部分(31)を越えて変位することができないように寸法設定された断面拡大部分(31)を有することを特徴とする、電極器具。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、遠位のガイド要素(27)は、前記電極支持体(25、26)の前記遠位端に対して前記近位方向に、10mmから100mm、特に25mmから85mm、好ましくは55mmオフセットしていることを特徴とする、電極器具。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電極器具(22)と、光学系(13)が装着された内側シャフト(12)とを有し、前記電極器具(22)は、少なくとも1つのガイド要素(27)によって前記内側シャフト(12)上に案内される、レゼクトスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のレゼクトスコープ用の電極器具に関する。さらに、本発明は、請求項12に記載のレゼクトスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
身体組織を切除または処置するために、レゼクトスコープなどの高周波手術器具が用いられる。典型的な用途は泌尿器科におけるものである。一例として、前立腺切除術が挙げられる。使用される無線周波ツールは、無線周波発生器に接続された電極またはRF電極でよく、その発生器は医師がスイッチで起動および停止できる。高周波電流によって電極にプラズマが励起される。RF電極は、プラズマが組織と相互作用するため、組織のピンポイントの処置に特に適している。
【0003】
組織を処置するために、電極は、用途に応じて切断ループまたはボタン電極として、さらに針、ローラ、テープなどとしても設計することができ、高周波電圧がオンにされると、プラズマにより、これら電極は、切除される身体組織を通るときに抵抗をほとんど受けることなく非常に簡単に案内することができる。
【0004】
電極は、電極器具を介して、レゼクトスコープのコンベヤまたは動作要素に取り外し可能に係止されている。身体組織の治療中に、電極を有する電極器具は、レゼクトスコープの長手方向に沿って動かされる。レゼクトスコープがアクティブレゼクトスコープであるかまたはパッシブレゼクトスコープであるかに応じて、トランスポータまたはキャリッジが、圧縮ばねまたは引張ばねによってハンドルユニットを有する本体に連結されている。
【0005】
公知の電極器具は、光ガイドシステムまたはロッドレンズシステムとして設計できる光学系と共に、レゼクトスコープの管のようなシャフト内を案内される。そのシャフトは、レゼクトスコープの近位端から遠位端に延び、治療を受ける身体中に案内される。その場合に、電極器具は、光学部品にまたは光学部品が位置する内側シャフトに可動結合される。その結合は、例えば、光学部品または内側シャフトを少なくとも部分的に囲むガイドチューブまたはガイド要素を介して行うことができる。ガイド要素は、2つの略平行な電極支持体を各セクションにおいて連結する。公知の実施形態においては、遠位および近位のガイド要素、ならびに必要な場合はさらなるガイド要素が、電極支持体に割り当てられる。遠位のガイド要素は電極支持体の遠位領域に割り当てられ、近位のガイド要素は近位領域に割り当てられる。
【0006】
HF電流が印加され得る電極が、金属製の内側シャフトと意図せずに接触することを防ぐために、内側シャフトはプラスチック製の器具先端部を有する。この器具先端部は、内側シャフトの遠位端に割り当てられている。電極支持体の遠位端は、電極と共に、このようなスリーブのような器具先端部を通って延び、そうすることで、電極は、電極支持体と共に、動作中に長手方向軸に沿って、器具先端部に対して前後に移動することができる。器具先端部は、2つの電極支持体の遠位部分で自由に移動できる。そのために、2つの電極支持体は、器具先端部の受容部または内腔を通して案内される。
【0007】
電極支持体を内側シャフトに結合させるために、その内側シャフトが2つのU字形のガイド要素もしくはガイドプレートの上もしくは下に配置されるか、またはガイド要素を有する電極支持体が内側シャフトの上もしくは下に配置される。内側シャフトがガイド要素にクリップ式固定されるときに、ガイド要素が弾性変形される。電極器具を内側シャフトに装着するときに、電極支持体上で自由に移動する器具先端部がガイド要素、特に遠位のガイド要素に対抗して近位方向に滑ることが起きる可能性がある。内側シャフトを収容するためにガイド要素がここで弾性的に曲げられる場合は、その力も電極支持体を介して器具先端部に伝達される。電極支持体を介してプラスチックの器具先端部に作用し得る力は、器具先端部を塑性変形、すなわち不可逆に変形させるのに十分である。器具先端部がこのように変形すると、器具先端部がもはや電極支持体上で自由に摺動できないので、電極器具が使用不能になる恐れがある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、前述の課題を解決する電極器具ならびにレゼクトスコープを作り出すという課題に基づいている。
【0009】
その課題の解決策は、請求項1の特徴によって記載されている。それによると、電極支持体の遠位端と、例えばガイドプレートなどのガイド要素との間の領域内で、少なくとも1つの電極支持体の断面が拡大されていることが提供される。本発明によれば、電極支持体の遠位部分に、器具先端部が配置されていることがさらに提供される。少なくとも1つの電極支持体の断面拡大部分は、近位方向に見て器具先端部の前方に配置されている。別の実施形態は、少なくとも1つの電極支持体の断面拡大部分が、器具先端部と、少なくとも1つのガイド要素との間、好ましくは遠位のガイド要素との間に位置することを提供することができる。少なくとも1つの電極支持体上のこの断面拡大部分は、ガイド要素の近くにまたはすぐ前方に器具先端部が滑ることを防ぐ。器具先端部と、ガイド要素との間、特に遠位のガイド要素との間の距離が大きくなるほど、ガイド要素の弾性変形中に器具先端部に作用する上述の力が小さくなる。断面を大きくすることによって、器具先端部とガイド要素との間の十分に大きい距離を生み出すことができる。同時に、断面拡大部分と電極との間の距離は、動作中にシャフトの軸に沿って電極を前後に動かすのに依然として十分に大きい。
【0010】
好ましい実施形態は、少なくとも1つの電極支持体の断面拡大部分が長円形の形状を有し、その断面拡大部分が、電極支持体の断面に対して長円形の形状を有することを提供することができる。好ましくは、この長円形の形状は、2つの電極支持体によって画定された平面に垂直に向けられている。断面拡大部分のこの形状および向きによって、電極支持体が内側シャフトに対して、特に外側シャフトに対しても、自由に前後に移動可能なことを保証することができる。このように、断面拡大部分は、電極器具の機能性にも内側シャフトに対する電極器具の可動性にも影響を及ぼさない。断面拡大部分が、三日月形状などの異なる形状を有することも考えられ、その場合、三日月が内側シャフトの形状に適合する。
【0011】
具体的には、本発明は、少なくとも1つの電極支持体の断面拡大部分が、電極支持体にスリーブを圧着したもの、電極支持体などにはんだポイントを施したもの、または電極支持体の変形もしくは再構築したものであることを提供する。ピン、ウェブ、または別の突起が少なくとも1つの電極支持体に配置され、それを用いて断面を拡大できることも考えられる。このように断面を大きくすることによって、器具先端部は、電極支持体上で限られた範囲までのみ移動することができる。これは、器具先端部がガイド要素の極めて近くまで移動することを防ぐ。その結果、器具先端部は、ガイド要素の弾性的な曲げによって塑性変形を受ける可能性のある領域に達することさえない。
【0012】
器具先端部が内腔を2つ有し、2つの電極支持体または電極担体がそれらの内腔を通して案内され、そうすることで、器具先端部が2つの電極支持体上に自由に移動できるように装着されることが考えられる。断面拡大部分は、ここで、器具先端部を通る少なくとも1つの内腔よりも大きくなるように寸法設定される。したがって、計画通りでも計画外でも、器具先端部が電極支持体上で前後に動かされると、器具先端部は拡大部分に当接し、そのため、ガイド要素からの最小距離に到達する。器具先端部がその最小距離において受ける、少なくとも1つのガイド要素が曲げられている間の力の効力は、器具先端部の形状に対して無視できるかまたは有害ではない。
【0013】
さらに、電極支持体が両方とも、器具先端部が断面拡大部分を越えて変位することができないように寸法設定された断面拡大部分を有するという、好ましい実施形態が提供される。断面拡大部分はそれぞれ、内腔の直径よりも小さい。しかし、例えばピンでよい断面拡大部分を鏡像になるように配置することによって、器具先端部は断面拡大部分を越えて移動することができない。しかし、それにもかかわらず器具先端部を近位方向にガイド要素の近傍まで動かすことができるように、電極支持体を意図的に曲げるかまたは圧縮することによって、断面拡大部分を位置合わせすることが可能である。しかし、これは、オペレータによる手動の介入によってのみ可能である。それ以外では、断面拡大部分は、上述したように、器具先端部がガイド要素の前方の臨界領域に到達することを防ぐ。
【0014】
別の実施形態は、器具先端部がわずかな抵抗に対抗して断面拡大部分上に摺動することを提供することができる。そこでは、器具先端部は、例えば増大された摩擦または弾性変形によって適位置に保持される。電極を内側シャフト上にクリップ式固定した後で、器具先端部が近位方向に押されてロックする。そのプロセスにおいて、器具先端部は、さらなる操作なしに内側シャフトの遠位端に結合され、断面拡大部分の対応する抵抗に対抗して押し下げられ、そうすることで、電極に対して再び移動可能になる。
【0015】
好ましくは、遠位のガイド要素は、電極支持体の遠位端から近位方向に10mmから100mm、特に25mmから85mm、好ましくは55mmオフセットしていることが考えられる。さらに、断面拡大部分は、電極に対して10mmから60mm、好ましくは20mmから40mm、または30mmの距離を有することができることが考えられる。断面拡大部分と、ガイド要素の、特に遠位のガイド要素の遠位端との間の距離は、10mmから100mm、好ましくは45mmである。
【0016】
最後に、請求項12に記載のレゼクトスコープは、前述のタスクのさらなる解決策を記載している。このレゼクトスコープは、請求項1から11に記載の電極器具を有する。さらに、レゼクトスコープは、光学系が装着された内側シャフトを有し、電極器具は、少なくとも1つのガイド要素、好ましくはガイドプレートによって、内側シャフト上を案内されることが可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】レゼクトスコープの概略図である。
図2】電極器具の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、レゼクトスコープ10の考えられる実施形態を示す。そのレゼクトスコープ10では、ここで破線によってのみ示されている外側シャフト11が内側シャフト12を覆った状態で摺動される。内側シャフト12は、レゼクトスコープ10の遠位端14から近位端15に延びる光学部品13を受容または案内するように働く。近位端15では、ユーザが遠位端14の前方の手術を受ける領域を、光学部品13を通して観察するために接眼レンズ16が利用可能である。
【0020】
レゼクトスコープ10の不可欠な一構成要素は、トランスポータ17またはコンベヤである。とりわけ、このトランスポータ17は、第1の把持手段18を有し、ばね要素19を介して第2の把持手段20および光学プレート21に連結されている。
【0021】
さらに、電極器具22が、内側シャフト12に沿ってレゼクトスコープ10の遠位端14からトランスポータ17に延びる。図2に示す電極器具22は、考えられる一実施形態を単に表しているだけである。本明細書に記載する本発明はここに示されている形態に限定されるものではないことに特に留意されたい。むしろ、記載されている本発明は、異なる形状の電極器具と関連付けて使用することもできると考えられる。
【0022】
ここに示されている電極器具22は、近位端24を用いてトランスポータ17に係止することができる。このように、電極器具22は、一方で、単純な手法でトランスポータ17から結合解除できるかまたはトランスポータ17に結合でき、他方で、トランスポータ17と共にレゼクトスコープ10の長手方向軸に沿って遠位方向または近位方向に移動することができる。
【0023】
電極器具22の遠位端14において、電極器具22は電極23を有する。この電極23または切断電極には、不図示のHF発生器を介して、組織を処置するために使用される電気エネルギーを供給できる。電極にHF電圧が加えられると、ここでは切断ループとして示されている電極23の周りにプラズマが励起される。電極器具22を軸方向に前後に動かすことによって、有機組織を処置または切断することができる。図に示されている切断ループに加えて、他の電極の形状が考えられる。
【0024】
ヒトの組織をピンポイントで処置するためには、電極23を非常に精密に操作できることが最も重要である。このような精密な操作は、電極器具22の長さによってまたは器具22の断面の縮小によって、特に難しくなる。
【0025】
図2を見ると分かるように、電極23は、その端部において、2つの電極支持体25および26または2つの電極シースチューブもしくはフォークチューブに機械的に取り付けられているかまたは取り付け可能である。電極23は電極支持体25および26と共に、電極器具22の不可欠な構成要素を構成する。ここに示されている電極支持体25および26または電極シースチューブの平行な案内に加えて、電極支持体25および26はフォークのようなものであり、近位端15の方向において収束して1つのシャフトを形成することも考えられる。
【0026】
機械的な連結に加えて、電極支持体25および26または電極シースはさらに電極23との電気接触を行う。電極支持体25および26ならびに支持体25および26内の導体はいずれも、電気リード線または電気接点として働くことが想定される。
【0027】
電極器具22の安定性およびそれに関連する安全かつ精密な操作も向上させるために、本発明は、電極支持体25、26がガイド要素27によって互いに連結されることを提供する。さらに、2つの電極支持体25、26が少なくとも1つのさらなるガイド要素27によって互いに連結されることを提供できるか、またはそれが考えられる。
【0028】
このガイド要素27は、電極器具22を全体に安定させるだけでなく、内側シャフト12に沿って電極器具22を案内するようにも働く。その場合に、少なくとも1つのガイド要素27は、少なくとも1つのガイド要素27が内側シャフト12を少なくとも部分的に囲んだ状態で、内側シャフト12の側面に配置されるかまたは挟持もしくはクリップ式固定される。代替として、少なくとも1つのガイド要素27を電極支持体25、26に下から取り付けることができることも考えられ、そのときに、電極器具22は、内側シャフト12の長手方向軸32の下方に位置する。
【0029】
内側シャフト12が少なくとも1つのガイド要素27に挟持またはクリップ式固定されるときは、内側シャフト12の外側の輪郭が電極支持体25、26とガイド要素27との間に入るように内側シャフト12を挿入できるように、2つの電極支持体25、26はわずかに曲げられる。内側シャフト12が挟持された状態においては、2つの電極支持体25、26はその当初の平行なまたは曲げられていない形状に戻る。その状態では、電極器具22は、ほんのわずかな摩擦抵抗に対抗して、長手方向軸32に平行に動かされ得る。
【0030】
電位が加えられる電極23を内側シャフト12から電気絶縁するために、または電極23が金属製の内側シャフト12と接触することを防ぐために、さらに、電極23と内側シャフト12との間にフラッシュオーバーが発生するのを防ぐために、内側シャフト12に器具先端部30が関連付けられている。この器具先端部30は、組立て中には電極器具22の遠位端14と関連付けられる。この点において、考えられる実施形態の例が、非常に概略的な形態で図2に示されている。器具先端部30は、内側シャフト12の内径に実質的に対応する中央開口部を有する。さらに、器具先端部30は孔を2つ有し、電極支持体25、26のセクション28および29がそれらの孔を通して案内される。その結果、器具先端部30は、2つの電極支持体25、26上を長手方向軸32に沿って前後に自由に摺動する。上述したように内側シャフト12が少なくとも1つのガイド要素27と一緒にされた後に、器具先端部30と内側シャフト12とは、長手方向軸32に沿って互いに対して変位され、そうすることで、それらが接触することが可能である。結合機構によって、器具先端部30を内側シャフト12の遠位端に解放可能に結合することが可能である。したがって、上述したように電極23を用いて身体組織を処置するために、器具先端部30は内側シャフト12と共に、長手方向軸32に沿って電極器具22に対して変位され得る。
【0031】
上述したように、内側シャフト12が電極器具22にまたは少なくとも1つのガイド要素27に連結されるときに、電極支持体25、26はそれらの平行な位置からわずかに外に曲げられる。そのことが、ガイド要素27の弾性的な曲げにつながる。その曲げが器具先端部30によって妨げられないように、または曲げている間に加えられる力が器具先端部30に伝達されかつそれを塑性変形させることのないように、器具先端部30は、電極支持体25、26上でガイド要素27から十分な距離の位置に位置決めしなければならない。器具先端部30がガイド要素27のすぐ近傍に意図せずに滑ることを防ぐために、本発明は、少なくとも1つの電極支持体25、26の断面が、器具先端部30とガイド要素27との間に拡張部分を有することを提供する。断面のこのような局所的なまたは領域的な拡張部分31によって、少なくとも1つの電極支持体25、26の断面は、器具先端部30を通る内腔の1つよりも大きい。このように、器具先端部30は、もはや、電極支持体25、26上で自由にまたは所望の通りにガイド要素27の近くまで移動することができない。むしろ、ガイド要素27の方向における器具先端部30の動きは、断面拡大部分31によって防止される(図2)。
【0032】
この断面拡大部分31は、例えば、少なくとも1つの電極支持体25、26の圧着とすることができる。その場合は、少なくとも1つの電極支持体25、26にスリーブが配置され、それが圧着される。代替として、断面が器具先端部30の内腔よりも大きくなるように、少なくとも1つの電極支持体25、26の形状をその点で変更することもできる。電極支持体25、26が両方とも断面31に対応する増大を有することも考えられる。器具先端部30が内側シャフト12の組付け中に塑性変形されることを防ぐために、少なくとも1つの断面拡大部分31は、ガイド要素27から十分な距離の位置に配置しなければならない。距離は、電極器具22の形状および構成に応じて設計することができる。考えられる距離は、10mmから100mm、好ましくは20mmから60mm、または40mmとすることができる。
【0033】
断面拡大部分31が電極器具22と内側シャフト12との間の相対的な動きに影響を及ぼさないことを保証するために、本発明によれば、断面拡大部分31の形状が内側シャフト12の外側輪郭に沿うことが提供される。この点において、断面拡大部分31は、例えば、長円形または鎌形状の断面に適合することができる。同様に、断面拡大部分31は、シャフト11とも接触しないように形状設定または寸法設定されている。
【符号の説明】
【0034】
10 レゼクトスコープ
11 シャフト
12 内側シャフト
13 光学部品
14 遠位端
15 近位端
16 接眼レンズ
17 トランスポータ
18 第1の把持手段
19 ばね要素
20 第2の把持手段
21 光学プレート
22 電極器具
23 電極
24 近位端
25 電極支持体
26 電極支持体
27 ガイド要素
28 セクション
29 セクション
30 器具先端部
31 断面拡大部分
32 長手方向軸
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極(23)を有するレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)であって、
前記電極(23)は、互いに平行に位置合わせされた2つの管状の電極支持体(25、26)の2つの遠位端に固定されており、前記電極支持体(25、26)には、前記2つの電極支持体(25、26)を互いに連結する少なくとも1つのガイド要素(27)が配置されている、電極器具(22)において、前記電極支持体(25、26)の前記遠位端と前記ガイド要素(27)との間の領域内で、少なくとも1つの電極支持体(25、26)の断面が拡大されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項2】
請求項1に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記電極支持体(25、26)の遠位部分に、器具先端部(30)が配置されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項3】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記断面拡大部分(31)は、近位方向に見て前記器具先端部(30)の前方に配置されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項4】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記少なくとも1つの電極支持体(25、26)の前記断面は、前記器具先端部(30)と、前記少なくとも1つのガイド要素(27)との間、好ましくは、遠位のガイド要素(27)との間において、拡大されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項5】
請求項1に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、前記断面拡大部分(31)は長円形の形状を有し、前記断面拡大部分(31)は、電極支持体(25、26)の断面に対して長円形の形状を有することを特徴とする、電極器具。
【請求項6】
請求項5に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記長円形の形状は、前記2つの電極支持体(25、26)によって画定される平面に対して垂直に配向されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項7】
請求項1に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、前記少なくとも1つの電極支持体(25、26)の前記断面拡大部分(31)は、前記電極支持体(25、26)に圧着されたスリーブ、前記電極支持体(25、26)に付されたはんだドット、または、前記電極支持体(25、26)の形状変化により構成されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項8】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記器具先端部(30)は内腔を2つ有し、前記2つの電極支持体(25、26)は前記内腔を通して案内され、前記器具先端部(30)は、前記2つの電極支持体(25、26)上に自由に移動できるように装着されていることを特徴とする、電極器具。
【請求項9】
請求項8に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
前記断面拡大部分(31)は、前記器具先端部(30)を通る前記内腔よりも大きいことを特徴とする、電極器具。
【請求項10】
請求項2に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、
電極支持体(25、26)は両方とも、前記器具先端部(30)が前記断面拡大部分(31)を越えて変位することができないように寸法設定された断面拡大部分(31)を有することを特徴とする、電極器具。
【請求項11】
請求項1に記載のレゼクトスコープ(10)用の電極器具(22)において、遠位のガイド要素(27)は、前記電極支持体(25、26)の前記遠位端に対して前記近位方向に、10mmから100mm、特に25mmから85mm、好ましくは55mmオフセットしていることを特徴とする、電極器具。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電極器具(22)と、光学系(13)が装着された内側シャフト(12)とを有し、前記電極器具(22)は、少なくとも1つのガイド要素(27)によって前記内側シャフト(12)上に案内される、レゼクトスコープ。
【外国語明細書】