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特開2024-9796冷媒圧縮機駆動用電動機との電気的接触を確立するための組立体、冷媒圧縮機駆動用電動機、および電動機との電気的接触を確立する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009796
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】冷媒圧縮機駆動用電動機との電気的接触を確立するための組立体、冷媒圧縮機駆動用電動機、および電動機との電気的接触を確立する方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/51 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H02K3/51 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023113985
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】10 2022 117 237.6
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2023 116 758.8
(32)【優先日】2023-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト ワリスコ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヴァヴェル
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ゼムラー
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604CC01
5H604QA08
5H604QB01
5H604QB14
(57)【要約】
【課題】車両空調システムの冷媒回路においてガス状流体、特に冷媒を圧縮するために設けられる圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体を提案する。
【解決手段】圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体であって、この組立体は、電動機の固定子から軸方向端面に突出する固定子のコイルのリード線の軸方向電気接続導体、電動機の固定子から軸方向端面上に突出する固定子のコイルのリード線の軸方向電気接続用の電気導体要素と、射出成形によって形成された環状キャリア要素とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流体を圧縮するための自動車空調システムに形成される圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体(1)であって、前記組立体(1)は、前記電動機の固定子(17)から軸方向端面(19)に突出する前記固定子(17)のコイル(18)のリード線の軸方向電気接続導体(20、21)、前記電動機の固定子(17)から前記軸方向端面(19)上に突出する前記固定子(17)のコイル(18)のリード線の軸方向電気接続用の電気導体要素(4、5)と、射出成形によって形成された環状キャリア要素(2)と、を有し、前記環状キャリア要素(2)の材料によってオーバーモールドされた電気導体要素(4、5)が組み込まれており、半径方向の第1の電気接続要素(4.1、 4.2、 4.3、 5.1)が、前記固定子(17)のコイル(18)の前記リード線の軸方向の電気接続導体(20、21)との電気的接触を確立するために、前記環状キャリア要素(2)から半径方向に突出して形成され、第1の電気導体要素(4)が電気バスバーとして形成され、複数の第2の電気導体要素(5)が、互いに電気的に分離された第2の電気接続要素(5.2)は、導電性のソケット(7)の形をしており、前記ソケット(7)は、ピン形状のプラグ要素を差し込むために片側が開口しており、外周において前記環状キャリア要素(2)の材料によってオーバーモールドされており、前記環状キャリア要素(2)に組み込まれており、前記固定子(17)に面する側の前記環状キャリア要素(2)は、少なくとも2つの、好ましくは3つの、軸方向のスペーサ要素を有し、好ましくは3つの軸方向スペーサ要素(12)が設けられており、前記スペーサ要素(12)は、前記組立体(1)が前記固定子(17)上に配置されたときに、前記固定子(17)の軸方向端面(22)上に載り、前記スペーサ要素(12)は、下面(2.3)と前記固定子(17)の軸方向端面との間にエアギャップが形成されるように、前記スペーサ要素(12)の寸法が設定されていることを特徴とする組立体(1)。
【請求項2】
前記環状キャリア要素(2)が、半径方向の空洞、軸方向の空洞および/または凹部(3.1、3.2)の形態の空洞を外周に有し、前記半径方向の第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)が、前記空洞および/または凹部(3.1、3.2)内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の組立体(1)。
【請求項3】
前記環状キャリア要素(2)の半径方向の空洞、軸方向の前記空洞および/または凹部(3.1、3.2)の形態の空洞が形成されている領域には、前記固定子(17)の前記コイル(18)のリード線の前記軸方向の電気接続導体(20、21)のための半径方向の切り欠き(9)および/または軸方向の開口部の形のガイドまたはフィードスルーが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の組立体(1)。
【請求項4】
前記環状キャリア要素(2)の凹部(3.1、3.2)の半径方向外側の円周境界のためのストップリング(14)が、前記環状キャリア要素(2)の半径方向円周上に配置され、前記ストップリング(14)が、前記環状キャリア要素(2)上の位置を固定するために少なくとも1つのラッチ要素(14.1)を有することを特徴とする請求項3に記載の組立体(1)。
【請求項5】
前記ストップリング(14)上に半径方向シャッタ(15)が形成されており、前記半径方向シャッタ(15)は、前記ストップリング(14)が前記環状キャリア要素(2)上に位置決めされたときに、前記環状キャリア要素(2)上に形成された前記半径方向の切り欠き(9)および/または軸方向開口部を少なくとも面積ごとに覆うことができるように、前記環状キャリア要素(2)上に形成された前記半径方向の切り欠き(9)および/または軸方向開口部に対応していることを特徴とする請求項4に記載の組立体(1)。
【請求項6】
前記半径方向の第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)は、前記固定子(17)のコイル(18)のリード線の前記軸方向の電気接続導体(20、21)を受け入れるための開閉可能なアイレット(10)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の組立体(1)。
【請求項7】
前記固定子(17)のコイル(18)の前記軸方向電気接続導体(21)のためのガイド要素(11)が凹部(3.1、3.2)内に配置され、前記ガイド要素(11)は、半径方向外側を向く半径方向にくぼんだ凹部壁から形成され、前記ガイド要素(11)は、前記半径方向第1電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の組立体(1)。
【請求項8】
半径方向内側に延びる突起(6)が前記環状キャリア要素(2)上に形成され、そこから前記第2の電気接続要素(5.2)が、外周にオーバーモールドされた導電性ソケット(7)の形態で受容され、前記外周にオーバーモールドされた導電性ソケット(7)が、前記固定子(17)から離れる方向を向いた上側で、半径方向の前記突起(6)から軸線方向に延びていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の組立体(1)。
【請求項9】
外周にオーバーモールドされた導電性ソケット(7)が、プラグ要素用の円筒形プラグレセプタクル(8)を形成することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の組立体(1)。
【請求項10】
前記外周にオーバーモールドされた導電性ソケット(7)は、前記環状キャリア要素(2)と交差する方向に一様に離間していることを特徴とする請求項9に記載の組立体(1)。
【請求項11】
前記固定子(17)に面する前記環状キャリア要素(2)の下面(2.3)に、軸方向に突出する支持要素(16)が半径方向突出部(6)の領域に形成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の組立体(1)。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の特徴を有する組立体(1)を製造するための方法であって、第1の導電体要素(4)および複数の第2の導電体要素(5)、好ましくは正確に3つの前記第2の導電体要素(5)、および導電性ソケット(7)が、前記環状キャリア要素(2)の形状を画定する射出成形金型内に配置され、次いで、プラスチック材料(好ましくはPA66)が射出成形金型内に射出され、射出成形金型上で成形され、それによって、前記導電体要素(4、5)が、半径方向の前記第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)がオーバーモールドされ、前記導電性ソケット(7)が外周にオーバーモールドされることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記第2の電気導電体要素(5)が、前記電気導電性ソケット(7)用のプラグ受け(13)を有し、射出成形型に挿入される前に、前記電気導電性ソケット(7)が、前記第2の電気導電体要素(5)のプラグ受け(13)に差し込まれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
気体流体を圧縮するための自動車空調システム内に形成される圧縮機を駆動するための電動機であって、共通の長手方向軸に沿って延びるように配置されるロータ及び固定子(17)を有する電動機と、請求項1~11のいずれか1項に記載の組立体(1)と、を備える電動機、前記固定子(17)の軸方向端面(19)に配置され、前記電動機との電気的接触を確立するための電気接続導体(20、21)を有し、前記固定子(17)は、コイル(18)の電気リード線のセクションとして形成され、電気接続導体(20、21)が半径方向第1の電気接続要素(4.1、 4.2、 4.3、 5.1)に直接接触しており、各場合において軸方向の前記電気接続導体(20、21)が前記半径方向第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)に対応するように、前記固定子(17)から軸方向に突出している前記固定子(17)の軸方向端面(19)上の電気導体要素(4、5)の軸方向の前記電気接続導体(20、21)であって、前記コイル(18)のリード線の軸方向の前記電気接続導体(20、21)と電気的に接触している前記半径方向第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)は、気密封止ポッティング材によって取り囲まれており、前記固定子(17)に面する側の環状キャリア要素(2)は、前記固定子(17)の軸方向端面(22)上に載る少なくとも2つ、好ましくは3つの軸方向スペーサ要素(12)を有し、前記スペーサ要素(12)は、エアギャップが前記環状キャリア要素(2)の下面(2.3)と前記固定子(17)の軸方向端面との間にエアギャップが形成されるような寸法にされていることを特徴とする電動機。
【請求項15】
前記固定子(17)の外周に隣接する軸方向スペーサ要素(12)が、前記固定子(17)の軸方向端面(22)に載り、前記環状キャリア要素(2)の下面(2.3)と前記固定子(17)との間に距離が維持されることを特徴とする請求項14に記載の電動機。
【請求項16】
ガス状流体を圧縮するために車両空調システムに形成される圧縮機駆動用電動機との電気的接触を確立するための、請求項1から11のいずれか1項に記載の組立体(1)を組み立てる方法であって、
電動機の固定子(17)から突出するコイル(18)のリード線の電気接続導体(20、21)を、固定子(17)の軸方向端面(19)上で軸方向に方向付けるステップと、
固定子(17)の軸方向端面(19)上に環状キャリア要素(2)を配置し、軸方向電気接続導体(20、21)を、コイル(18)のリード線の電気接続導体(20、21)が半径方向第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)に接触させるステップと、
前記軸方向電気接続導体(20、21)を前記半径方向第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)に接続するステップと、
前記軸方向電気接続導体(20、21)と、前記軸方向電気接続導体(20、21)に電気的に接触し電気的に接続される前記半径方向第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)が気密封止されるように、ポッティング材を導入するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記軸方向電気接続導体(20、21)と前記半径方向第1の電気接続要素(4.1、4.2、4.3、5.1)との間の接続が、強固に接着された又は機械的な方法で提供されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
車両の空調システムの冷媒回路において、請求項15に記載の気体流体を圧縮するための圧縮機を駆動するための電動機の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両空調システムの冷媒回路においてガス状流体、具体的には冷媒を圧縮するために設けられる圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体に関する。さらに、本発明は、このような電気的接触を確立するための組立体を備えた電動機、および車両の温度制御のための車両空調システムの一部として圧縮機の電動機との電気的接触を確立するための組立体を組み立てるための方法に関する。
【0002】
車両の温度調節を行う車両用空調システムに使用される電気駆動式圧縮機は、各圧縮機構を駆動する電動機の他に、電動機を駆動するためのインバータを備えている。インバータは、車両バッテリからの直流電流を交流電流に変換し、電気的接続を介して電動機に供給するために使用される。電気駆動圧縮機の電動機は、通常、コイルが配置された環状の固定子コアと、ロータとで形成され、ロータは固定子コアの内側に配置される。この場合、ロータと固定子は、ロータの共通の対称軸または回転軸上に配向される。交流電流を供給するために設けられたインバータは、別個の部品として形成されたプラグコネクタ用のプラグ接続部と、電動機の接続部に電気的に接続する、または電気的接触を確立するためのピンを有し、このピンは、固定子のコイルのリード線の接続導体に電気的に接続されている。電動機の電気接点は、通常、固定子の軸方向に向けられた固定子の端面に配置される。この場合、これらの電気接続または接点は、コネクタハウジング内に形成することができる。インバータにおいて、ピンとして形成されたプラグコネクタは、圧縮機の組立中に、コネクタハウジングに設けられた接続ポートに差し込まれ、固定子のコイルから出ている対応するリード線、特にリード線の接続リード線に接触させることができる。この場合、これらのリード線の端部は、インバータのプラグコネクタとリード線との間の低い接触抵抗が各場合において確保されるように、接続リード線に電気的かつ機械的に接続される。例えばリード線の接続導体間の高い絶縁抵抗と電気的接続を同時に確保するために、コイルから出ているリード線の接続導体(相導体とも呼ばれる)の絶縁されていない端部は、互いに、また固定子の他の導電性部品、特に電動機ハウジングから電気的に絶縁されていなければならない。このような導電体には、気密封止が施されるのが好ましい。
【0003】
電動機とインバータとの電気的接触を確立するための組立体を備えた対応する装置は、出願人のドイツ連邦共和国出願番号第10 2019 107 523.8により公知である。コイルから出ている固定子のリード線と電動機のインバータとの間の電気的接触を確立するために、上記文献に記載されている組立体は、プラグハウジングとプラグレセプタクルとを有し、これらは、組み立ての際に最初に一緒に差し込まれなければならない。さらに、すべての露出した電気導体をポッティング材で互いに電気的に絶縁する前に、相導体の端部またはリード線をプラグハウジング内に配置して組み立てる必要がある。電気的接触を確立するためのこの組立体の組み立ては、存在する個々の部品を手作業または機械的に個別に組み立てなければならないため、比較的多くの時間を費やすことになり、組み立て工程が多いため、エラーの可能性も高くなる。さらに、公知の解決策では、固定子の端面にプラグレセプタクルが配置されているため、コイルとプラグレセプタクル間の相導体の接続に比較的長い時間が必要であり、材料費の増加につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国出願番号第10 2019 107 523.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解消し、車両空調システムの冷媒回路においてガス状流体、特に冷媒を圧縮するために設けられる圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体を提案することにある。電気的接触を確立するための組立体はまた、可能な限り単純な組み立てを可能にし、重量および必要なスペースを低減するために、可能な限り少ない数の構成要素および部品を有するべきである。この場合、リード線のすべての接続導体、特に、電気的接触を確立するための組立体内に配置されたリード線の接続導体の端部は、互いに、および周囲の導電性構成要素から気密封止されるべきである。さらなる目的は、このような電気的接触を確立するための組立体を備えた電動機、および電気的接触を確立するための組立体を電動機に組み付ける方法を提案することである。
この目的は、請求項1の特徴を有する組立体、請求項12の特徴による組立体の製造方法、請求項14の特徴を有する電動機、および請求項16の特徴による組立体の組立方法により達成される。有利な構成または実施形態の変形は、それぞれの従属請求項に明記されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の概念によれば、ガス状流体、特に冷媒を圧縮するための自動車空調システムに形成される、圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体が提供される。この組立体は、一方では電動機との電気的接触を確立するために使用され、他方では電動機を駆動するための電気インバータと接続するためのインターフェースを形成する。
【0007】
車両空調システムの圧縮機の電動機との電気的接触を確立するための本発明による組立体は、軸方向端面において電動機の固定子から軸方向に突出するコイルのリード線の電気的接続導体の電気的接続のための第1および第2の電気導体要素を有する。軸方向端面から突出するコイルのリード線のこれらの電気接続導体は、軸方向に突出する接続導体または軸方向接続導体とも呼ぶことができる。また、接続導体という用語は、電気的接触を確立するために軸方向端面において固定子から軸方向に突出しているコイルのリード線の線端部も含んでいる。さらに、本発明による組立体は、射出成形によって形成された環状キャリア要素を有し、この環状キャリア要素の材料によって電気導体要素が一体化され、オーバーモールドされる。この場合、環状キャリア要素から半径方向に突出する電気導体要素の第1の電気接続要素は、端面から軸方向に突出する固定子のリード線の電気接続導体との電気的接触を確立するために形成され、第1の電気導体要素は電気バスバーとして形成され、複数の第2の電気導体は、互いに電気的に分離された、導電性ソケットの形態の第2の電気接続要素を有する。これらの導電性ソケットは、ピン形状のプラグ要素を差し込むために片側が開口しており、環状キャリア要素に一体化され、外周で環状キャリア要素の材料によってオーバーモールドされている。第1の電気導体要素は、複数の第1の電気接続要素が第1の電気導体要素と電気的に接続される電気バスバーとして形成される一方、第2の電気導体要素は、電気インバータのピン形プラグ要素が導電性ソケットに差し込まれたときに、固定子のコイルの導電線と電動機を駆動するためのインバータとの間の電気的接続を確立するために、第2の電気導体要素の第1の電気接続要素と第2の電気接続要素との間の電気的接続を形成する。導電体要素の第1の電気接続要素は、半径方向外向きに配置されていることから、導電体要素の半径方向接続要素とも呼ぶことができる。本発明によれば、環状キャリア要素は、固定子に面する側に少なくとも2つ、好ましくは3つの軸方向スペーサ要素を有し、これらのスペーサ要素は、組立体が固定子上に配置されたときに固定子の軸方向端面上に載り、スペーサ要素は、キャリア要素の下面と固定子の軸方向端面との間にエアギャップが形成されるような寸法にされる。このエアギャップは、キャリア要素の下面と固定子のコイルおよび絶縁体要素との間にも存在する。
スペーサ要素は、組立体の下面と固定子との間に隙間を作り、環状キャリア要素が固定子上または固定子部品上にきつく配置されるのを防ぎます。スペーサ要素は、環状キャリア要素と、固定子の内側に半径方向に配置された部品、例えばコイルやその絶縁オーバーモールディング、固定子ティースなどの絶縁体要素との間に、距離や隙間、特にエアギャップを確保するように寸法決めされています。環状キャリア要素は、スペーサ要素によって固定子の軸方向端面に支持されるため、環状キャリア要素の下面と、下面に対向する固定子の軸方向端面とは接触しません。スペーサ要素は、固定子の半径方向外側に接触することができる。
【0008】
通常、電動機を駆動するためのインバータによって3相交流電流が供給されるため、好ましい実施形態によれば、環状キャリア要素は、電動機の固定子のコイルのリード線の接続導体と電気的接触を確立するために、3つの導電性ソケットと、環状キャリア要素から半径方向に突出する半径方向の第1の電気接続要素をそれぞれ有する3つの第2の電気導体要素も有する。
【0009】
本発明による部品は、互いに組み合わせなければならない個々の部品が少ないので、組立工程を簡素化する。本発明による組立体の部品の複雑さが軽減されるため、従来技術と比較してエラー源のリスクが低減される。さらに、リード線の接続導体が固定子のコイルから固定子の軸方向に出ているところで電気接続または電気接触が直接確立されるため、固定子上での組立も簡素化される。環状キャリア要素に一体化された電気導体要素は、環状キャリア要素のオーバーモールド材料によって既に電気的に絶縁されているので、電気インバータとの電気的接触を確立するために、追加のコア絶縁スリーブや、リード線の接続導体から導電性ソケットの接続領域までの長い敷設経路は必要ない。
【0010】
環状導体要素の電気導体要素の電気接続要素の配置に関しては、固定子または電動機の様々な設計概念を実施することができる。環状キャリア要素の電気導体要素の第1の電気接続要素の位置は、例えば、予め定めることができる。第1の電気接続要素の特定の位置指定は、電動機との電気的接触を確立するための組立体の組み立てを簡素化する。また、環状キャリア要素の電気導体要素の第1の電気接続要素の配置により、固定子から軸線方向に突出するコイルの接続導体と直接電気的に接触することが可能になるため、コイルのリード線の電気接続導体の線路が有利に短縮される。
【0011】
環状担体要素は、好ましくは、半径方向環状表面と軸方向環状表面とで形成され、これらの表面は、外側の側縁で互いに略接する関係で接合される。環状キャリア要素の半径方向リング面は、有利には環状、特に環状の一部分または開放環状であり、部分的に空洞または凹部によって中断されることができ、環状キャリア要素の軸方向リング面は環状円筒状であり、空洞または凹部によって中断されることもできる。したがって、環状キャリア要素は、半径方向の空洞、軸方向の空洞、または凹部の形態の空洞を有することができ、第1の半径方向電気接続要素は、空洞および/または凹部内に半径方向外向きに配置される。
【0012】
半径方向の空洞、軸方向の空洞および/または凹部の形態の空洞が形成されている環状キャリア要素の領域では、半径方向の切り欠きおよび/または軸方向の開口部の形態のガイドまたはフィードスルーが、コイルのリード線の軸方向の電気接続導体のために形成され得る。固定子の端面から軸方向に突出するリード線の電気接続導体と、環状キャリア要素から半径方向に突出する半径方向の第1の電気接続要素とを案内または貫通させるための半径方向の切り欠きおよび/または軸方向の開口は、有利には互いに対応するように設計される。換言すれば、半径方向の切り欠きおよび/または軸方向の開口部の位置は、電気導体要素の半径方向の第1の電気接続要素の位置に対して半径方向および軸方向に方向付けられており、これにより、固定子から端面から軸方向に突出するリード線の軸方向の電気接続導体を介して軸方向に案内または給電することが可能になる。これにより、リード線の軸方向電気接続導体が、組立体の組立中に電気導体要素の電気接続要素に直接合致することが保証される。
【0013】
環状キャリア要素の半径方向環状表面および/または軸方向環状表面に形成することができる空洞または凹部は、キャビティまたは凹部内に配置された半径方向第1の電気接続要素および軸方向電気接続導体が組み立てられた状態で半径方向第1の電気接続要素と接続されたときに、これらの密閉シールおよび電気絶縁を確立するためのポッティング材料を受け入れるための空間として機能する。
【0014】
組立体の1つの構成によれば、軸方向キャビティは、固定子から離れる方向に面する環状キャリア要素の軸方向端面上の環状キャリア要素に形成される軸方向リング面に形成することができ、この軸方向キャビティは、軸方向に形成され固定子に面する環状キャリア要素の下面によって軸方向に制限され、第1の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素は、第1の軸方向キャビティに配置され、第2の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素は、第2の軸方向キャビティに配置される。この場合、リード線の軸方向電気接続導体が環状キャリア要素の下面から軸方向キャビティ内に導入され得るように、リード線の軸方向電気接続導体を案内または通過させるための半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部が環状キャリア要素の下面に形成される。軸方向空洞は、好ましくは半径方向環状部内に形成される。従って、軸方向空洞はそれぞれ、環状キャリア要素の軸方向環状表面の部分領域として形成され、環状キャリア要素の下側と、環状キャリア要素の半径方向内側と半径方向外側とによって区切られる。
【0015】
組立体のさらなる構成によれば、キャビティは、半径方向外側に向けられた環状キャリア要素の環状表面上に半径方向キャビティとして形成することができ、半径方向キャビティは、軸方向に形成され固定子に面する環状キャリア要素の下側と、環状キャリア要素の上側とによって軸方向に区画される。このように、半径方向のキャビティは、ポッティング材を充填するために半径方向に開口しています。この場合、第1の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素は、第1の半径方向キャビティに配置され、第2の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素は、第2の半径方向キャビティに配置される。固定子の端面から軸方向に突出するリード線の電気接続導体を案内または貫通させる役割を果たす半径方向の切り欠きおよび/または軸方向の開口も、この構成では環状キャリア要素の下面に形成される。半径方向空洞は、好ましくは半径方向環状部内に形成される。従って、半径方向キャビティは、半径方向外側に向けられた環状面が中断されるように、それぞれの場合において、キャリア要素の半径方向環状面の部分領域として、環状キャリア要素の半径方向円周に沿って形成される。導電体要素の第1の電気接続要素は、好ましくは、環状キャリア要素の半径方向外側の円周を越えて突出しないようにキャビティ内に配置される。
【0016】
導電体要素の半径方向第1電気接続要素が配置される凹部の形状および寸法は、半径方向キャビティまたは軸方向キャビティと同様に、環状キャリア要素を製造するための射出成形金型によって予め決定することができる。この場合、凹部は、固定子に面する環状キャリア要素の下面および半径方向内周の環状キャリア要素の材料によって区切られるように設計される。この構成においても、第1の電気接続要素は、半径方向外側を向いた凹部内に配置される。第1の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素のために第1の凹部を設けることができ、第2の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素は第2の凹部内に配置される。凹部は、所定の角度だけオフセットされ得る。環状キャリア要素の凹部を半径方向外周上で区切るために、組立体は、環状キャリア要素の半径方向外周上に配置されるストップリングを備えることができる。ストップリングは、凹部が環状キャリア要素の軸方向上側に向かってのみ開口するように、凹部を半径方向外側に画定する。凹部は、環状キャリア要素の上側からポッティング材で充填することができる。この場合、ストップリングは、環状キャリア要素上の位置を固定するためのラッチ要素を有する。さらに、ストップリングは、環状キャリア要素にねじ込むためのねじ山を有することができ、ロック要素は、ストップリングを所定の位置に固定するために、ねじ山の端の位置でロックされる。
【0017】
ストップリングは、半径方向内側を向くシャッタを有することができ、このシャッタは、ストップリングが環状キャリア要素上に位置決めされたときに半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部が少なくとも面積ごとに覆われ得るように、リード線の軸方向接続導体のための半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部として形成されたガイドまたはフィードスルーに対応する。シャッターは、凹部がポッティング材料で充填されたときに、ポッティング材料が半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部を通って逃げる危険性が低減されるように、半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部の開口断面を減少させる。
【0018】
電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素は、リード線の電気接続導体を受容するための、開いたまたは閉じたアイレットを有することができる。有利なことに、組立体が固定子上に組み立てられるとき、リード線の軸方向電気接続導体は、半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部から半径方向第1電気接続要素のアイレット内に直接案内されるので、リード線の軸方向電気接続導体の特に簡単な組み立ておよび電気接続が保証され、それにより、組み立てステップ数を低減することができる。
【0019】
固定子のコイルのリード線の軸方向電気接続導体および軸方向電気リード端の案内をさらに安定させるために、半径方向にくぼんだ凹部壁から半径方向外側を向くように形成された凹部内にガイド要素を配置することができ、この凹部から半径方向第1電気接続要素が突出する。ガイド要素は、各半径方向第1の電気接続要素に関連付けられ、ガイド要素は、半径方向第1の電気接続要素に対して斜めに配置される。この場合、各ガイド要素は、半径方向の切り欠きに面する傾斜面を有する。ガイド要素は、半径方向切り欠きを通って挿入された軸方向電気接続導体、および固定子のコイルのリード線の軸方向電気リード端を軸方向に支持し、それらが半径方向第1電気接続要素の半開きのアイレットに確実に受け入れられるようにするために設けられている。
【0020】
本発明による組立体のさらに有利な構成によれば、環状キャリア要素に半径方向内方に延びる半径方向突起が形成され、この半径方向突起によって、第2の電気導体要素の第2の電気接続要素が、外周にオーバーモールドされる導電性ソケットの形態で受容され、外周にオーバーモールドされる導電性ソケットが、固定子から離れる向きの上側で、半径方向突起から軸線方向に延びていることが提供され得る。外周にオーバーモールドされる導電性ソケットの配置は、好ましくは、電気インバータのプラグ要素の接続を可能にするために、外周にオーバーモールドされる導電性ソケットが、環状キャリア要素の軸方向端面から垂直に突出するように形成される。その結果、外周にオーバーモールドされた導電性ソケットは、電気インバータのプラグ要素のためのプラグレセプタクルを形成することができる。このプラグ受けは、固定子から離れる環状キャリア要素の上側に軸方向に形成することができる。
【0021】
環状キャリア要素の半径方向内側に延びる突起は、第2の電気導体要素を電気的に絶縁し、インバータのプラグ要素の電気接点を環状キャリア要素の外周から半径方向内側に設けてスペースを有効に利用できるようにするために、第2の電気導体要素および第2の電気接続要素のオーバーモールドから実質的に形成される。
【0022】
第2の電気導体要素の第2の電気接続要素の形状構成である外周上にオーバーモールドされる導電性ソケットは、環状キャリア要素に交差するセカント上に等間隔で配置され得る。導電性ソケットは、半径方向内方に延びる突起を貫通しており、このことは、外周上にオーバーモールドされる導電性ソケットが、半径方向内方に延びる突起において等間隔で共通の線上に配置されることを意味する。その結果、環状キャリア要素に一体化された第2の電気導体要素は、第2の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素が環状キャリア要素の半径方向円弧部において半径方向に突出する場合、異なる長さを有することができる。
【0023】
軸方向に突出する支持要素は、半径方向突出部の領域において固定子に面する環状キャリア要素の下側に、環状キャリア要素の材料から形成することができる。それぞれの場合において、1つのキャリア要素は、外周にオーバーモールドされる導電性ソケットと関連付けることができ、支持要素は、固定子の方向において軸方向に導電性ソケットのオーバーモールドの下側に形成される。支持要素は、固定子に対して、特に固定子コアに対して軸方向の圧縮荷重が作用した場合に、環状キャリア要素の半径方向突出部を支持するために設けられ、支持要素は、支持要素と固定子との間に所定の膨張距離が維持されるように寸法決めされる。支持要素は、電気インバータのプラグコネクタの組立中に半径方向内向きの突起に軸方向の圧縮力が作用したときに、軸方向の過伸張を回避するために設けられる。拡張距離は、電動機の運転中に支持要素と固定子との接触を避けるために、支持要素の下面と固定子との間に十分に大きな間隙が残るように有利に寸法決めされる。したがって、支持要素の寸法は、軸方向の過膨張から保護するための支持を確保し、環状キャリア要素、特に環状キャリア要素の半径方向内向きの突起に軸方向の圧縮力が作用しないときに、空隙の形態の膨張距離が残るように選択される。こうして、射出成形工程で環状キャリア要素の一部として形成される支持要素は、プラグコネクタの組立時にその機能を果たし、半径方向突起の領域には軸方向の圧縮力が作用する。
【0024】
環状キャリア要素は、プラスチック、特にポリアミド66(PA66)材料から形成することができる。
【0025】
本発明はさらに、ガス状流体を圧縮するための自動車空調システムに形成される圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体を製造するための方法を含む。この方法では、第1および複数の第2導電体要素、好ましくは正確に3つの第2導電体要素、および導電性ソケットが、環状キャリア要素の形状を画定する射出成形金型内に配置され、次いでプラスチック材料(好ましくはPA66)が射出成形金型内に射出される。射出された材料は射出成形金型上で成形され、その際、環状キャリア要素の半径方向外側にある電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素がオーバーモールドから解放されたままとなるように、電気導体要素、すなわち第1の電気導体要素および第2の電気導体要素がプラスチック材料でオーバーモールドされ、プラグ開口部が解放されたままとなるように、電気導体ソケットが外周にのみオーバーモールドされる。
【0026】
この方法によれば、第2の電気導体要素が導電性ソケット用のプラグレセプタクルを有し、導電性ソケットが射出成形金型内に配置される前に電気導体要素のプラグレセプタクルに挿入されるように規定することができる。従って、第2の導電体要素は、導電性ソケットと共に2つの部分に形成されるようにすることができる。さらに、導電性ソケットは、導電体要素のプラグレセプタクルと組み合わされる前に、材料PA66でプラスチック射出成形され、射出成形金型に挿入された導電体要素のオーバーモールドによって環状キャリア要素に組み込まれるようにすることができる。
【0027】
本発明の目的は、気体流体を圧縮するために自動車空調システムに形成される圧縮機を駆動するための電動機によっても達成される。本発明による電動機は、共通の長手方向軸に沿って延びるように配置されたロータと固定子とを有する。本発明による電動機の別の構成要素は、電動機との電気的接触を確立するための、上述した構成のいずれか1つによる組立体である。電動機との電気的接触を確立するための組立体は、固定子の軸方向端面上に配置され、固定子は、コイルの電気リード線のセクションとして形成される電気接続導体を有し、これらの電気接続導体は、各場合において、軸方向電気接続リード線が第1の半径方向電気接続要素に対応するように、固定子から軸方向に突出する固定子の軸方向端面上の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素に直接接触される、ここで、電気的に接触した半径方向第1の電気接続要素を有するリード線の軸方向電気接続導体は、気密封止ポッティング材によって取り囲まれている。この場合、ポッティング材は、好ましくは、環状キャリア要素の空洞または凹部にのみ導入される。本発明によれば、環状キャリア要素は、固定子に面する側に少なくとも2つ、好ましくは3つの軸方向スペーサ要素を有し、この軸方向スペーサ要素は、固定子の軸方向端面上に載り、スペーサ要素は、キャリア要素の下面と固定子の軸方向端面との間にエアギャップが形成されるように寸法決めされている。このエアギャップは、キャリア要素の下面と固定子のコイルおよび絶縁体要素との間にも存在する。
【0028】
本発明による電動機の構成は、環状キャリア要素から半径方向に突出する電気導体要素の半径方向第1接続要素の配置が、リード線の電気接続導体を案内または貫通させるために環状キャリア要素の下面に形成された半径方向切り欠きおよび/または軸方向開口部の配置と、固定子の端面から軸方向に突出する軸方向電気接続導体の配置とに対応していることが特に好ましい。これにより、固定子のコイルのリード線と、環状キャリア要素から半径方向に突出する半径方向の第1の電気接続要素との間において、固定子の端面から軸方向に突出する固定子のコイルのリード線の軸方向接続導体が、環状キャリアの電気導体要素の半径方向の第1の電気接続要素と直接電気的に接触するため、電気接続のために特に短い電気線経路を維持できるという利点がある。
【0029】
この構成によれば、電動機との電気的接触を確立するための組立体の環状キャリア要素は、固定子に面する側に、少なくとも2つ、好ましくは3つの軸方向スペーサ要素を有することができ、これらのスペーサ要素は、固定子の外周に接して、固定子の軸方向端面に載り、環状キャリア要素の下面と固定子、特に固定子のコイルの絶縁体要素との間に距離が維持される。
【0030】
外周にオーバーモールドされた導電性ソケットの軸方向は、電気インバータのピン形状のプラグ要素を受け入れるのに有利であることが証明されている。
【0031】
この目的はさらに、気体流体を圧縮するための車両空調システムに形成される、圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体を組み立てるための方法によっても達成される。この方法は、以下のステップを有する。
- 前記電動機の固定子から突出するコイルのリード線の電気接続導体を、前記固定子の軸方向端面上で前記軸方向に配向させる工程と、
- 環状キャリア要素を固定子の軸方向端面に配置し、固定子のコイルのリード線の電気接続導体が環状キャリア要素から半径方向に突出する電気導体要素の半径方向の第1の電気接続要素に接触するように、軸方向の電気接続導体が環状キャリア要素に形成された半径方向の切り欠きに沿って案内されるか、または環状キャリア要素に形成された軸方向の開口を通して供給される、
- 軸方向の電気接続導体を半径方向の第1の電気接続要素に接続するステップと、
- 軸方向電気接続導体と、軸方向電気接続導体と電気的に接触し、軸方向電気接続導体に電気的に接続される半径方向第1電気接続素子とが気密封止されるように、ポッティング材を導入する。
【0032】
電気的接触を確立するための組立体の構成により、固定子のリード線の軸方向の電気接続導体は、組立体が組み立てられたときに、環状キャリア要素から半径方向に突出する半径方向の第1の電気接続要素に直交して案内される。三相固定子では、リード線の3つの接続導体およびリード線のそれぞれの接続端が固定子から軸方向に突出する。電気的接触を確立する間、リード線の軸方向に向いたリード端は、バスバーとして形成された第1の電気導体要素の半径方向第1の電気接続要素に接続され、リード線の軸方向接続導体と第2の導体要素の半径方向第1の電気接続要素との間に電気的接触が確立される。軸方向電気接続導体および半径方向第1接続要素の対応する配置により、特に簡単な組み立てが低い誤差の可能性で可能になる。
【0033】
軸方向電気接続導体を半径方向第1電気接続要素に接続するには、例えば接合、具体的には溶接および/またははんだ付けによって、強固に接合された接続を提供することができる。しかし、軸方向電気接続導体を半径方向第1電気接続導体のアイレットに通し、永久接続が確実になるように折り曲げて、軸方向電気接続導体と半径方向第1電気接続要素を機械的に接続することも可能である。電気接続は、ポッティング材を導入することで固定されます。
【0034】
本発明による電動機は、車両の空調システムの冷媒回路における冷媒の圧縮機のために、気体流体を圧縮するための圧縮機を駆動するために提供される。要約すると、本発明はまた、以下の利点を有する。
- 電気的にアクティブな接続部品を、追加のシール要素なしにポッティング材のみで完全に気密封止し、追加の留め具を必要とせずに電線、特に接続導体を固定する。
- 非常に優れた電気絶縁性、リード線の接続導体の最適な長さ、最小限のコストと重量が達成される、
- 特に、電気接続要素、特に、環状キャリア要素に一体化され、環状キャリア要素の材料によってオーバーモールドされた電気導体要素の完全な密閉により、圧縮機内を流れる流体の浸入が防止され、接続要素間、すなわち、半径方向の第1の電気接続要素と軸方向の電気接続導体間、および他の導電性、活性および非活性構成要素間の短絡電流の発生が回避される、
- 特に、環状キャリア要素の明確な構造設計により、環状キャリア要素と電気接続ポート、すなわち第1および第2の電気接続要素との明確な位置決めにより、簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】圧縮機ー駆動用電動機との電気的接触を確立するための組立体の構成部品の例示的な実施形態を透視図である。
図2】圧縮機ーの電動機との電気的接触を確立するための、図1に示す組立体の構成部品を示し、組立体の構成部品は部分的に透明図である。
図3】導電体要素の例示的な実施形態の概略図である。
図4】本発明による組立体のストップリングの例示的な実施形態を透視図である。
図5】本発明による組立体の概略図である。
図6】(a)は、図5に示した本発明による組立体の構成を下方から透視して示す概略図であり、(b)は、(a)に示した本発明による組立体の構成の詳細断面である。
図7a】本発明による電動機の固定子を透視図である。
図7b】ストップリングを備えた図7aの電動機の固定子を示す図である。
図7c図7bに示した固定子にストップリングと本発明による組立体ーを取り付けた状態を示す図である。
図7d】本発明による組立体のストップリングを分離した透視図である。
図8a図7cと同様に、電動機との電気的接触を確立するための本発明による組立体を備えた本発明による電動機の固定子を示す図である。
図8b図8aのような本発明による組立体を備えた本発明による電動機の固定子を異なる透視図である。
図8c図8bに示す本発明による電動機の固定子の構成を、本発明による組立体を用いてさらに透視的に表した詳細断面である。
図8d図7dと同様の本発明による組立品のストップリングを、異なる透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の構成のさらなる詳細、特徴および利点は、関連する図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明から得られる。
図1は、圧縮機を駆動するための電動機との電気的接触を確立するための組立体の構成要素の例示的な実施形態の概略図を透視図で示す。図1は、PA66製の射出成形された環状キャリア要素2を示し、この環状キャリア要素2は、図7aまたは図8a~図8cのいずれかを参照して、電動機の固定子17上に配置される。環状キャリア要素2は、半径方向リング面2.1と軸方向リング面2.2とを有し、軸方向リング面2.2は、外側の側縁で互いに略平行に接続されている。環状キャリア要素2の半径方向リング面2.1は円形リングの形状を有し、環状キャリア要素2の軸方向リング面2.2は円形リング円筒の形状を有する。半径方向リング面2.1および軸方向リング面2.2は、環状キャリア要素2の外周に形成された凹部3.1および3.2によって中断されている。第1の凹部として形成された凹部3.1と第2の凹部として形成された第1の凹部3.1からある角度だけオフセットされた凹部3.2は、固定子17に面する環状キャリア要素2の下面2.3上で、環状キャリア要素2の材料によって半径方向内側に区切られている。凹部3.1および3.2の形状は、環状キャリア要素2の半径方向内周2.4を超えて半径方向内側に突出している。
【0037】
さらに、環状キャリア要素2には、電気バスバーとして形成された第1の電気導体要素4(図2および図3d参照)と、環状キャリア要素2の材料によってオーバーモールドされた3つの第2の電気導体要素5(図2図3bおよび図3c参照)とが一体化されている。環状キャリア要素2の材料によるオーバーモールドにより、電気導体要素4および5は、図1に示す環状キャリア要素2で覆われている。環状キャリア要素2内の導電体要素4および5の配置は、環状キャリア要素2を半透明で示す図2に見ることができる。バスバーとして形成された第1の導体要素4は、第1の凹部3.1に関連し、3つの半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2および4.3を有し、これらは、環状キャリア要素2の外周を越えて突出することなく、第1の凹部3.1内に半径方向外向きに突出している。第1の電気導体要素4の半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3は、軸方向端面19で固定子17から突出する固定子17(図7a参照)のコイル18からのリード線の軸方向電気接続導体21との電気的接触を確立するために使用される。3つの第2の電気導体要素5は、互いに電気的に絶縁され、第2の凹部3.2に関連付けられ、各第2の電気導体要素5は、半径方向の第1の電気接続要素5.1と、軸方向の第2の電気接続要素5.2とを有する。第2の電気導体要素5の半径方向の第1の電気接続要素5.1は、環状キャリア要素2の外周を越えて突出することなく、第2の凹部3.2内に半径方向外向きに突出するように形成されている。第2の電気導体要素5の半径方向の第1の電気接続要素5.1は、軸方向端面19の固定子17から突出する固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20(図7a参照)との電気的接触を確立するために使用される。
【0038】
固定子17に面する環状キャリア要素2の下面2.3には、凹部3.1および3.2の領域に半径方向の切り込み9が形成されており、この切り込み9は、端面19から軸方向に突出する、電気的接触が確立されるべき固定子17のコイル18のリード線の軸方向接続導体20および軸方向接続導体21を案内して位置決めするために使用される。環状キャリア要素2の円周上の半径方向の切り込み9の位置は、それぞれ、第1の導電体要素4の半径方向の第1の接続要素4.1、4.2、4.3、および第2の導電体要素5の半径方向の第1の接続要素5.1に軸方向に対応している。この場合、半径方向第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3および5.1はそれぞれ、固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20を受け入れるための半開きのアイレット10を有し、半開きのアイレット10はそれぞれ半径方向の切り込み9に向かって半径方向に向けられている。半径方向の切り込み9と半開きのアイレット10は、このように半径方向と軸方向に互いに向けられているので、下面2.3から半径方向の切り込み9を通って凹部3.1と3.2に導かれる固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20と軸方向電気接続導体21は、それぞれの場合に関連する半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3、5.1に直接接続される。
【0039】
固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20および軸方向電気接続導体21の案内をさらに安定させるために、ガイド要素11が、半径方向にくぼんだ凹部壁から突出して形成された凹部3.1および3.2内に配置され、そこから半径方向第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3および5.1が半径方向外側に向けて突出している。各半径方向第一の電気接続要素4.1、4.2、4.3および5.1には、ガイド要素11が関連付けられており、ガイド要素11は、半径方向第一の電気接続要素4.1、4.2、4.3および5.1に対して斜めに配置されている。この場合、各ガイド要素11は、半径方向の切り欠き9に面する傾斜面を有している。 ガイド要素11は、半径方向の切り欠き9を通って導入される軸方向の電気接続導体20と、固定子17のコイル18のリード線の軸方向の電気接続導体21とを軸方向に支持し、半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3および5.1の半開きのアイレット10に確実に受け入れられるようにするために設けられている。
【0040】
環状キャリア要素2の材料によってオーバーモールドされた第2の電気導体要素5は、露出した半径方向第1の電気接続要素5.1から半径方向内側に延びており、第2の電気導体要素5のオーバーモールドは、半径方向内側に延びる半径方向突起6を形成する。片側に開口し、外周に環状キャリア要素2の材料によってオーバーモールドされた導電性ソケット7(図3a参照)の形態の軸方向第2の電気接続要素5.2は、半径方向突起6から固定子から離れる軸方向に延びている。導電性ソケット7の外周オーバーモールドは、電気インバータのピン形プラグ要素を差し込むための円筒形プラグ受け8を形成する。3つの円筒形プラグ受け8は、等間隔に並んで配置されている。その結果、中央の第2の導電体要素5は、2つの外側の第2の導電体要素5よりも半径方向に長く形成される。
【0041】
環状キャリア要素2の半径方向外周には、3つのスペーサ要素12が固定子17に面して軸方向に延びている。スペーサ要素12は、環状キャリア要素2の下面2.3と固定子17、特に固定子17のコイル18またはコイルのオーバーモールドとの間の距離を確保するために設けられている。固定子のティースと環状キャリア要素2との間にもエアギャップが存在する。
【0042】
図2は、圧縮機の電動機との電気的接触を確立するための組立体1(図5参照)の図1に示された環状キャリア要素2を示し、環状キャリア要素2は部分的に透明に示されている。バスバーとして形成された第1の電気導体要素4の配置を見ることができ、半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3は、第1の凹部3.1の領域で環状キャリア要素2から半径方向外側に突出している。さらに、第2の電気導体要素5の配置を示しており、半径方向の第1の電気接続要素5.1は、第2の凹部3.2の領域で環状キャリア要素2から半径方向外側に突出している。第2の電気導体要素5は、半径方向突起6内に半径方向内向きに延びている。第2の電気接続要素5.2には、導電性ソケット7が形成されており、このソケット7は、第2の電気導体要素5に垂直に挿入され、環状キャリア要素2の材料によってオーバーモールドされ、軸方向リング面2.2を越えて突出している。この場合、導電ソケット7は、電気インバータのピン形状のプラグ要素を挿入できるように、上部が開いている。
【0043】
図3a~図3dは、オーバーモールドなしの、本発明による組立体1の導電体要素4および5の例示的な実施形態の概略図である。環状キャリア要素2を製造するために、電気導体要素4および5は、環状キャリア要素2の形状を規定する射出成形金型内に配置される。その後、射出成形金型はプラスチック材料で充填され、導電体要素4および5はプラスチック材料によってオーバーモールドされる。
【0044】
図3aは、導電性ソケット7の例示的な実施形態を透視図で示したものである。ソケット7は単一部品として形成することができ、環状キャリア要素2の製造中に第2の導電体要素5と接続することができる。図3bおよび図3cから分かるように、第2の導電体要素5は、導電性ソケット7と第2の導電体要素5とから形成される導電性部品が射出成形金型内に配置される前に、電気的接触を完了するために導電性ソケット7が挿入されるプラグ受け13を有する。
【0045】
図3bは、図3cに示す第2の導電体要素5よりも長く、2つの外側の第2の導電体要素5のうちの1つである中央の第2の導電体要素5の例示的な実施形態の概略図を示す。第2の電気導電体要素5の異なる長さにより、導電性ソケット7を一列に、すなわち環状キャリア要素2と交差する方向に沿って配置することができ、一方、環状キャリア要素2の材料から半径方向に突出する半径方向の第1の電気接続要素5.1は、第2の凹部3.2内の円形リング部に沿って配置される。
【0046】
図3dは、電気バスバーの形態の第1の電気導体要素4の例示的な実施形態を透視図で示す。第1の電気導体要素4は半径を有し、半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2および4.3は、円形リング部として形成されるバスバーに沿って等間隔に配置される。
【0047】
図4は、ストップリング14の例示的な実施形態の概略図を示しており、このストップリング14は、半径方向リング表面2.1が中断されている凹部3.1および3.2の領域において半径方向リング表面2.1を半径方向外側に画定するために、半径方向リング表面2.1上の環状キャリア要素2の半径方向外側の円周上に配置することができる。その内周面には、ストップリング14が環状キャリア要素2の円周上に配置されている場合、それぞれの場合に環状キャリア要素2上の半径方向凹部9に対応する、半径方向内向きのシャッター15が設けられている。ストップリング14は、環状キャリア要素2と共に回転可能に形成されており、半径方向内側に向けられたシャッター15の位置が、半径方向凹部9の被覆を達成するために半径方向の切欠き9に対して調整できるようになっている。半径方向内側を向いたシャッター15は、固定子17のコイル18のリード線の軸方向接続導体20および軸方向接続導体21が半径方向の切り欠き9に受け入れられたときに、半径方向の切り欠き9の開口断面をできるだけ小さくするために設けられている。固定子17のコイル18のリード線の接続導体20を受け入れる半径方向の切り込み9の開口断面を区切ることによって、環状キャリア要素2の下面2.3上でポッティング材料が漏出または流出する危険性を低減することができる。固定子17に面するその軸方向端面には、ストップリング14がフック状に形成されたラッチ要素14.1を有している。このフックは、固定子17の円周上の所定の位置にはめ込まれ、ストップリング14を所定の位置に固定する。
【0048】
図5は、本発明による組立体1の概略図である。図1に示す環状キャリア要素2が、図4に示すストップリング14と共に示されている。ここで、ストップリング14は、環状キャリア要素2の外周、すなわち半径方向リング面2.1上に配置されている。ストップリング14は、環状キャリア要素2がその軸方向リング面2.2(図1参照)上に環状キャリア要素2の上側に開口した空洞を有し、この空洞にポッティング材料を充填することができるように、凹部3.1および3.2を半径方向外側に区切り、封止するように設けられている。
【0049】
図6(a)は、図5に示す本発明による組立体1の構成を下方から透視して、すなわち環状キャリア要素2の下面2.3を透視して概略的に示している。半径方向突起6の下面には、軸方向に突出する支持要素16が、導電性ソケット7のオーバーモールドの領域に形成されている。支持要素16は、半径方向突起6の軸方向の圧縮応力を支持するために、固定子17の端面に軸方向に形成された固定子ティースに対応する配置の成形品である。
【0050】
図6(b)は、図6(a)に示す本発明による組立体1の構成の詳細断面を示す。放射状突起6の下側からの領域を示しており、その上に支持要素16が形成されている。支持要素16の断面は、環状キャリア要素2の軸方向においてT字形である。
【0051】
図7aは、本発明による電動機の固定子配置を透視図で概略的に示している。固定子17は、半径方向内側に向いた固定子ティースを有する固定子コアからなり、その上にコイル18が配置されている。固定子17は、固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20および軸方向電気接続導体21が軸方向に突出する軸方向端面19を有する。
【0052】
図7bは、ストップリング14を備えた電動機の図7aに示す固定子17を示す。この場合、ストップリング14は、固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20および軸方向電気接続導体21がストップリング14を軸方向に超えて突出しないように、固定子17の軸方向端面19に配置されている。固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20および軸方向電気接続導体21は、電気的接触を確立するための組立体1の組み立てを容易にするために、対応して短くすることができる。固定子17のコイル18のリード線の軸方向電気接続導体20および軸方向電気接続導体21の短縮は、方法ステップとして提供することができる。フック形状のラッチ要素14.1は、外周に形成された固定子17のカラーにラッチまたはフックされる。
【0053】
図7cは、図7bに示す固定子17を、本発明による組立体1のストップリング14および環状キャリア要素2と一緒に示す。この図は、固定子17上の組立体1の最終的な構成を示す。この場合、第1の導電体要素4の半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3と、固定子17のコイル18のリード線の軸方向の電気接続導体21との間に電気的接触が確立され、第2の導電体要素5の半径方向の第1の電気接続要素5.1は、固定子17のコイル18のリード線の軸方向の電気接続導体20と電気的接触が確立される。環状キャリア要素2の円筒形プラグ受け8は、配置を越えて軸方向に突出している。固定子17に面する側の環状キャリア要素2上に形成された軸方向スペーサ要素12は、固定子17の軸方向端面22上に載っている。固定子17の軸方向端面22は、スペーサ要素12が載って環状キャリア要素2を支持する肩部を形成する。この場合、スペーサ要素12は、環状キャリア要素2の下面2.3と固定子17の軸方向端面との間にエアギャップが形成されるように寸法決めされる。ここで、エアギャップは、環状キャリア要素2の下面2.3と固定子17のコイル18および絶縁体要素との間にも形成される。
【0054】
図7dは、固定子17に面する下側から見た、本発明による組立体1のストップリング14を分離透視図で示す。ストップリング14は、半径方向内側に向け形成された6つのシャッター15を有する。ラッチ要素14.1は下側で軸方向に突出している。ストップリングは、好ましくは射出成形部品として形成される。
【0055】
図8aは、図7cの固定子17を別の角度から示している。環状キャリア要素2の3つのスペーサ要素12のうちの1つが手前に見える。スペーサ要素12は、環状キャリア要素2の下面2.3が固定子17のコイル18、絶縁体要素または絶縁オーバーモールドと接触しないように、環状キャリア要素2を軸方向端面22で支持する。スペーサ要素12が軸方向端面22に支持されているため、環状キャリア要素2の下面2.3の表面と固定子17の外側の軸方向端面との間にエアギャップの形態の距離が形成される。
【0056】
図8bは、本発明による組立体1のストップリング14および環状キャリア要素2を備えた図8aに示す固定子17を示す。この図には、ポッティング材を使用しない、固定子17上の組立体1の最終的な構成も示されている。この場合、第1の電気導体要素4の半径方向の第1の電気接続要素4.1、4.2、4.3は、固定子17のコイル18のリード線の軸方向の電気接続導体21と電気的に接触し、第2の電気導体要素5の半径方向の第1の電気接続要素5.1は、固定子17のコイル18のワイヤの軸方向の電気接続導体20と電気的に接触する。ストップリング14の配置により、第1の凹部3.1と第2の凹部3.2が半径方向外側に区切られ、その結果、上部に空洞が形成され、この空洞にポッティング材を充填することができる。
【0057】
図8cは、本発明による組立体1を備えた本発明による電動機の固定子17の図8bに示す構成の詳細断面をさらに透視図で示す。これは、支持要素16を示しており、各支持要素は、固定子17の固定子ティースの半径方向端部に軸方向に対向している。支持要素16は、環状キャリア要素2の半径方向突起6を、固定子ティースに対して軸方向に支持する。
【0058】
図8dは、図7dのような本発明による組立体1のストップリング14を異なる透視図で示す。
【符号の説明】
【0059】
1 組立体
2 環状キャリア要素
2.1 半径方向リング面
2.2 軸方向リング面
2.3 下面
2.4 半径方向内周
3.1 第1の凹部
3.2 第2の凹部
4 第1の電気導体要素
4.1、4.2、4.3 半径方向の第一の電気接続要素
5 第2の電気導体要素
5.1 半径方向の第1の電気接続要素
5.2 軸方向第2の電気接続要素
6 半径方向突起
7 導電性ソケット
8 円筒形プラグ受け
9 半径方向の切り込み
10 アイレット
11 ガイド要素
12 スペーサ要素
13 プラグ受け
14 ストップリング
14.1 ラッチ要素
15 シャッター
16 支持要素
17 固定子
18 コイル
19 軸方向端面
20、21 軸方向の電気接続導体
22 軸方向端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
【外国語明細書】