(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097969
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】取引処理システム、携帯端末及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20240711BHJP
【FI】
G06Q20/32
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078231
(22)【出願日】2024-05-13
(62)【分割の表示】P 2020038422の分割
【原出願日】2020-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 和伸
(57)【要約】
【課題】不特定の客により利用される端末装置を用いて取引の内容を登録しながら、端末装置に決済データを入力することなしに、客の操作の応じての決済を完了可能とする。
【解決手段】実施形態の取引処理システムは、第1の取得手段を備える登録端末と、第2の取得手段、決済手段及び送信手段を備えた携帯端末とを備える。第1の取得手段は、客が購入を希望する商品の情報を取得する。第2の取得手段は、第1の取得手段によって取得された商品の情報に応じた決済額データを取得する。決済手段は、第2の取得手段により取得された決済額データと電子決済のための決済データとに基づいて電子決済のための処理を実行する。送信手段は、決済手段による電子決済が完了したことの通知を送信する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客が購入を希望する商品の情報を取得する第1の取得手段、
を備える登録端末と、
前記第1の取得手段によって取得された商品の情報に応じた決済額データを取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された決済額データと電子決済のための決済データとに基づいて電子決済のための処理を実行する決済手段と、
前記決済手段による電子決済が完了したことの通知を送信する送信手段と、
を具備した携帯端末と、
を具備した取引処理システム。
【請求項2】
前記携帯端末に備えられた第1の通信手段と、
前記登録端末に備えられた第2の通信手段と、
をさらに具備し、
前記第2の取得手段は、前記第1の通信手段による前記第2の通信手段との通信を利用して前記決済額データを取得する、
請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項3】
前記携帯端末に備えられた第1の通信手段と、
前記登録端末に備えられた第2の通信手段と、
をさらに具備し、
前記送信手段は、前記第2の通信手段による前記第1の通信手段との通信を利用して前記通知を送信する、
請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項4】
客が購入を希望する商品の情報を取得する第1の取得手段を備えた登録端末とともに取引処理システムを構成し、
前記第1の取得手段によって取得された商品の情報に応じた決済額データを取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された決済額データと電子決済のための決済データとに基づいて電子決済のための処理を実行する決済手段と、
前記決済手段による電子決済が完了したことの通知を送信する送信手段と、
を具備した携帯端末。
【請求項5】
客が購入を希望する商品の情報を取得する第1の取得手段を備えた登録端末とともに取引処理システムを構成する携帯端末に備えられたコンピュータを、
前記第1の取得手段によって取得された商品の情報に応じた決済額データを取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された決済額データと電子決済のための決済データとに基づいて電子決済のための処理を実行する決済手段と、
前記決済手段による電子決済が完了したことの通知を送信する送信手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理システム、携帯端末及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
客による端末装置の操作に応じて取引の内容を登録する取引処理システムが、例えばカートPOSシステムなどとして考えられている。
このようなシステムにおいては、クレジットカード決済又はバーコード決済などの決済方法を用いれば、決済の処理は端末装置における客の操作に応じて完結することが可能である。そしてこのようにして決済を完結できれば、店員が関与すること無しに取引を完了することが可能である。
【0003】
しかしながら、端末装置が不特定の客により利用されるものである場合、クレジットカードデータなどの決済データを端末装置に入力することに抵抗感を持つ人も少なくはない。
このような事情から、不特定の客により利用される端末装置を用いて取引の内容を登録するようにしながら、当該端末装置に決済データを入力することなしに、客の操作の応じての決済を完了できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、不特定の客により利用される端末装置を用いて取引の内容を登録するようにしながら、当該端末装置に決済データを入力することなしに、客の操作の応じての決済を完了できる取引処理システム、携帯端末及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の取引処理システムは、第1の取得手段を備える登録端末と、第2の取得手段、決済手段及び送信手段を備えた携帯端末とを備える。第1の取得手段は、客が購入を希望する商品の情報を取得する。第2の取得手段は、第1の取得手段によって取得された商品の情報に応じた決済額データを取得する。決済手段は、第2の取得手段により取得された決済額データと電子決済のための決済データとに基づいて電子決済のための処理を実行する。送信手段は、決済手段による電子決済が完了したことの通知を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る取引処理システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】
図1中の店舗サーバの要部回路構成を示すブロック図。
【
図3】
図1中の仮想POSサーバの要部回路構成を示すブロック図。
【
図4】
図1中のモバイルコントローラの要部回路構成を示すブロック図。
【
図5】
図4中の取引管理データベースに含まれるデータレコードの主要なデータ構造を示す模式図。
【
図6】
図4中の登録データベースに含まれるデータレコードの主要なデータ構造を示す模式図。
【
図7】
図1中のユーザ端末の要部回路構成を示すブロック図。
【
図8】
図1中のカート端末の要部回路構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、取引処理システムの一実施形態について、図面を用いて説明する。
この実施形態における取引処理システムは、店内に陳列している商品を、来訪した客に対して販売する店舗で用いられる。つまり当該取引処理システムは、店舗による客への商品販売が、処理の対象の取引である。
【0009】
図1は本実施形態に係る取引処理システムの概略構成を示すブロック図である。
取引処理システムは、店舗システム100、中継サーバ200、ユーザ端末300、カート端末400、決済サーバ500及び通信ネットワーク600を含む。そして複数の店舗システム100、中継サーバ200、ユーザ端末300、決済サーバ500を、通信ネットワーク600を介して通信可能とされる。
【0010】
店舗システム100は、店舗に対して設けられ、当該店舗における商品販売を処理するための情報処理を行う。
中継サーバ200は、ユーザ端末300と店舗システム100との間でのデータ通信を中継する。中継サーバ200は例えば、通信ネットワーク600を介したクラウドサービスとしてデータ通信の中継機能を提供する。
【0011】
ユーザ端末300は、取引処理システムを利用した買い物を店舗にて行う客が店舗へと持ち込む端末装置である。ユーザ端末300は、カート端末400と無線通信する機能と、通信ネットワーク600と無線通信する機能とを備える。ユーザ端末300としては、スマートフォン又はタブレット端末等のデータ通信機能を備えた通信端末が利用できる。ユーザ端末300は、携帯端末の一例である。
【0012】
カート端末400は、取引処理システムを利用した買い物を店舗にて行う客のためのユーザインタフェースとして機能する端末装置である。カート端末400は、店舗システム100と無線通信する機能と、ユーザ端末300と通信する機能とを備える。カート端末400は、ショッピングカート700に取り付けられ、店舗に備え付けられる。カート端末400は、店舗にて客により使用される。カート端末400は、登録端末の一例である。
【0013】
決済サーバ500は、通信ネットワーク600を介した決済要求に応じてオンライン決済を行うための決済処理を行う。決済サーバ500は、クレジットカード決済及び電子マネー決済のような複数種の決済方法のいずれか1つのみに対応するものであってもよいし、複数の決済方法に対応するものであってもよい。決済サーバ500としては例えば、複数の決済方法のものを含む複数の決済サービスに対応した、決済代行業者が運営する既存の決済サーバを適用できる。
【0014】
通信ネットワーク600としては例えば、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ネットワーク600としては典型的には、移動体通信網とインターネット又はVPNとが利用される。
【0015】
店舗システム100は、店舗サーバ1、仮想POSサーバ2、モバイルコントローラ3、通信サーバ4、会計機5及びアクセスポイント6を、店内通信ネットワーク7を介して通信可能として構成される。
【0016】
店舗サーバ1は、取引処理システムでの処理の対象となった複数の取引を総合的に管理するための情報処理装置である。店舗サーバ1は例えば、既存のPOSサーバと同様な機能を有する。
仮想POSサーバ2は、外部からの要求に応じて取引毎の購入商品の登録及び当該購入商品の代価の決済などのための情報処理(以下、取引処理と称する)を行う情報処理装置である。仮想POSサーバ2は、既存のPOS端末が備える機能の一部を仮想的に実現する。
【0017】
モバイルコントローラ3は、仮想POSサーバ2により実行される上記の取引処理を、カート端末400をユーザインタフェースデバイスとして用いつつ行わせるために、仮想POSサーバ2とカート端末400とを仲介するための情報処理(以下、仲介処理と称する)を行う情報処理装置である。
通信サーバ4は、店舗サーバ1、仮想POSサーバ2、モバイルコントローラ3及び会計機5が、通信ネットワーク600を介して中継サーバ200等とデータを授受するための通信処理を行う。
【0018】
会計機5は、仮想POSサーバ2で管理されている取引毎の購入商品に関する代価を求めて、当該代価を客に決済させるための処理を行う。会計機5が上記の決済のために利用可能とする決済方法は、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、ポイント決済、コード決済(モバイル決済又はスマートフォン決済等とも称される)等、周知の決済方法の全て又は任意の一部であってよい。会計機5は、店員及び客のいずれにより操作されるのであってもよい。会計機5としては例えば、既存のセミセルフ方式のPOSシステムで用いられるセルフ方式の会計機を用いることができる。会計機5は、商品を購入商品として登録するための情報処理を行う機能を有していてもよい。この場合に会計機5としては例えば、既存のPOSシステムで用いられる対面式のPOS端末又は既存のセルフ方式のPOSシステムで用いられるセルフ式のPOS端末を用いることができる。
【0019】
アクセスポイント6は、カート端末400が無線通信により店内通信ネットワーク7へとアクセスすることを可能とするための通信処理を行う。アクセスポイント6としては例えば、IEEE802.11規格により無線通信を行う周知の通信デバイスを用いることができる。アクセスポイント6は、店舗の売場のどこからでもカート端末400が無線通信可能なように、店舗内に設置される。店舗規模によっては、複数のアクセスポイント6が店舗システム100に含まれる場合もある。
店内通信ネットワーク7としては、インターネット、VPN、LAN、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。ただし典型的には、店内通信ネットワーク7は、LANである。
【0020】
図2は店舗サーバ1の要部回路構成を示すブロック図である。
店舗サーバ1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、通信インタフェース14及び伝送路15を含む。プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13及び通信インタフェース14は、伝送路15を介して通信可能とされている。そして、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶ユニット13が伝送路15により接続されていることによって、店舗サーバ1を制御するためのコンピュータが構成される。
【0021】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、店舗サーバ1としての各種の機能を実現するための情報処理を実行する。プロセッサ11は、例えばCPU(central processing unit)である。
【0022】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(read only memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(random access memory)である。
【0023】
補助記憶ユニット13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット13としては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、あるいはSSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを用いた記憶ユニットを利用できる。補助記憶ユニット13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶ユニット13は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0024】
通信インタフェース14は、店内通信ネットワーク7に接続された各部との間で所定の通信プロトコルに従いデータ通信を行う。通信インタフェース14としては、例えばLAN用の周知の通信デバイスを適用できる。
伝送路15は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0025】
補助記憶ユニット13は、情報処理プログラムの1つである店舗管理アプリAPAAを記憶する。店舗管理アプリAPAAは、アプリケーションプログラムであり、店舗サーバ1としての機能を実現するための情報処理について記述されている。
【0026】
補助記憶ユニット13の記憶領域の一部は、データベース群DBAAとして使用される。データベース群DBAAは、各種の情報管理のための複数のデータベースを含む。データベース群DBAAに含まれるデータベースの1つは、店舗で販売する商品を管理するための商品データベースである。商品データベースは、管理の対象となる商品に関連付けられたデータレコードの集合である。商品データベースのデータレコードには、商品コード、価格及び商品名等の、関連付けられた商品に関するデータが含まれる。商品コードは、商品をSKU(stock keeping unit)毎に識別するために定められた識別コードであり、例えばJAN(Japanese article number)コードが用いられる。商品名は、商品を人間が区別し易いように定められた名称である。価格は、商品の販売の代価となる金額である。
【0027】
データベース群DBAAに含まれるデータベースの1つは、店舗の利用者を管理するための利用者データベースである。利用者データベースは、店舗の利用者として登録された客に関連付けられたデータレコードの集合である。利用者データベースのデータレコードには、利用者コード及び利用者を特定するための属性情報等の、関連付けられた客に関するデータが含まれる。利用者コードは、店舗の利用者を個々に識別するために店舗の利用者毎に定められた一意の識別コードである。属性情報は、氏名、性別、年齢、住所、電話番号などを含み得る。また利用者データベースのデータレコードには、店舗の利用者が申告した決済データを含む場合もある。決済データは、クレジット番号又はコード決済ID(identifier)などである。また複数の決済方法を選択可能とする場合には、決済データに決済方法を識別するための決済方法コードを含む場合もある。また利用者データベースのデータレコードには、ポイントサービスを提供する店舗の場合には、ポイントサービスの利用者を識別するための識別子及び保有ポイント数などを含む場合もある。また、利用者データベースのデータレコードには、電子レシートサービスの利用者を識別するための利用者識別子を含む場合もある。利用者データベースのデータレコードに含まれる各種のデータは、全ての利用者について実質的なデータを含む必要はない。例えばポイントID又は電子レシートIDは、それを事前に利用者が登録申請したもののみを利用者データベースが含んでもよい。
【0028】
この他、データベース群DBAAには、既存のPOSシステムにおけるPOSサーバで管理されるような様々なデータベースが含まれ得る。なお、データベース群DBAAがどのようなデータベースを含むか、あるいはそれらデータベースがどのようなデータをどのような構造で含んでいるかは、店舗で定められてよい。
【0029】
図3は仮想POSサーバ2の要部回路構成を示すブロック図である。
仮想POSサーバ2は、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶ユニット23、通信インタフェース24及び伝送路25を含む。プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶ユニット23及び通信インタフェース24は、伝送路25を介して通信可能とされている。そして、プロセッサ21、メインメモリ22及び補助記憶ユニット23が伝送路25により接続されていることによって、仮想POSサーバ2を制御するためのコンピュータが構成される。なお、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶ユニット23、通信インタフェース24及び伝送路25の機能の概略は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、通信インタフェース14及び伝送路15と同等であるので、その説明は省略する。
【0030】
ただし補助記憶ユニット23は、店舗管理アプリAPAAに代えて仮想POSアプリAPBAを記憶する。仮想POSアプリAPBAは、アプリケーションプログラムであり、取引処理について記述されている。
また補助記憶ユニット23の記憶領域の一部は、データベース群DBAAに代えて取引データベースDBBAとして使用される。取引データベースDBBAは、店内で買い回り中である客との取引に関連付けられたデータレコードの集合である。取引データベースDBBAのデータレコードには、取引コードと、購入商品として登録済みの商品に関する商品データとを含む。取引コードは、取引の個々を識別するために取引毎に設定された一意の識別コードである。商品データは、商品コード、商品名、価格及び個数などを表す。
【0031】
図4はモバイルコントローラ3の要部回路構成を示すブロック図である。
モバイルコントローラ3は、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶ユニット33、通信インタフェース34及び伝送路35を含む。プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶ユニット33及び通信インタフェース34は、伝送路35を介して通信可能とされている。そして、プロセッサ31、メインメモリ32及び補助記憶ユニット33が伝送路35により接続されていることによって、モバイルコントローラ3を制御するためのコンピュータが構成される。なお、プロセッサ31、メインメモリ32、補助記憶ユニット33、通信インタフェース34及び伝送路35の機能の概略は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、通信インタフェース14及び伝送路15と同等であるので、その説明は省略する。
【0032】
ただし補助記憶ユニット33は、店舗管理アプリAPAAに代えて仲介アプリAPCAを記憶する。仲介アプリAPCAは、アプリケーションプログラムであり、仲介処理について記述されている。
また補助記憶ユニット23の記憶領域の一部は、データベース群DBAAに代えて取引管理データベースDBCA及び登録データベースDBCBとして使用される。
【0033】
図5は取引管理データベースDBCAに含まれるデータレコードDRCAの主要なデータ構造を示す模式図である。
取引管理データベースDBCAは、店内で客が利用しているカート端末400に関連付けられたデータレコードDRCAの集合である。このため、利用中のカート端末400が1つのみであるときには、取引管理データベースDBCAはデータレコードDRCAを1つ含む。またカート端末400が1つも利用されていないときには、取引管理データベースDBCAはデータレコードDRCAを含まない。そしてデータレコードDRCAは、フィールドFAA,FAB,FAC,FADを含む。
【0034】
フィールドFAAには、関連付けられたカート端末400を識別するための端末コードがセットされる。端末コードとしては例えば、カート端末400として利用される通信端末の個々を識別するために通信端末毎に設定された一意の識別コードを用いることができる。あるいは端末コードとしては例えば、後述するカート端末アプリをカート端末400にインストールする際に当該カート端末アプリに対して設定される識別コードを用いることができる。フィールドFABには、関連付けられたカート端末400を使用している客を他の客と識別するための会員コードがセットされる。フィールドFACには、関連付けられたカート端末400を用いて行われる取引の取引コードがセットされる。フィールドFADには、電子レシートIDが必要に応じてセットされる。なお、データレコードDRCAには、フィールドFAA~FADとは別のデータがセットされる別のフィールドが含まれてもよいし、フィールドFADなどの一部のフィールドを含まなくてもよい。
【0035】
図6は登録データベースDBCBに含まれるデータレコードDRCBの主要なデータ構造を示す模式図である。
登録データベースDBCBは、店内で買い回り中である客との取引に関連付けられたデータレコードDRCBの集合である。そしてデータレコードDRCBは、フィールドFBA,FBBを含む。データレコードDRCAはまた、フィールドFBC,FBD,…を含み得る。
【0036】
フィールドFBAには、関連付けられた取引の取引コードがセットされる。この取引コードは、関連付けられた取引で使用されているカート端末400に関連付けられたデータレコードDRCAのフィールドFABにセットされた取引コードと同一である。フィールドFBBには、関連付けられた取引に関して試みられた商品登録に関する登録データがセットされる。登録データについては、後述する。
【0037】
データレコードDRCBには、関連付けられた取引に関して2つ以上の購入商品の登録が試みられている場合に、フィールドFBC以降のフィールドが含まれる。そしてフィールドFBC以降のフィールドにも、フィールドFABと同様な登録データがセットされる。
【0038】
さて、店舗サーバ1、仮想POSサーバ2又はモバイルコントローラ3のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。そして店舗サーバ1、仮想POSサーバ2又はモバイルコントローラ3の譲渡は一般に、補助記憶ユニット13,23又は33に店舗管理アプリAPAA、仮想POSアプリAPBA又は仲介アプリAPCAがそれぞれ記憶され、データベース群DBAA、取引データベースDBBA、又は取引管理データベースDBCA及び登録データベースDBCBが記憶されない状態にて行われる。しかし、店舗管理アプリAPAA、仮想POSアプリAPBA又は仲介アプリAPCAが補助記憶ユニット13,23又は33に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット13,23又は33に記憶された状態のハードウェアと、店舗管理アプリAPAA、仮想POSアプリAPBA又は仲介アプリAPCAとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット13,23又は33に店舗管理アプリAPAA、仮想POSアプリAPBA又は仲介アプリAPCAが書き込まれることによって、店舗サーバ1、仮想POSサーバ2又はモバイルコントローラ3が構成されてもよい。店舗管理アプリAPAA、仮想POSアプリAPBA又は仲介アプリAPCAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。取引データベースDBBA、又は取引管理データベースDBCA及び登録データベースDBCBは、プロセッサ11,21又は31が店舗管理アプリAPAA、仮想POSアプリAPBA又は仲介アプリAPCAに基づく情報処理を実行することで、補助記憶ユニット13,23又は33内に構成される。なお、店舗管理アプリAPAA及びデータベース群DBAAに含まれるデータベースの少なくとも一部が、メインメモリ12に記憶されてもよい。仮想POSアプリAPBA及び取引データベースDBBAの少なくとも一部が、メインメモリ22に記憶されてもよい。仲介アプリAPCA、取引管理データベースDBCA及び登録データベースDBCBの少なくとも一部が、メインメモリ32に記憶されてもよい。
【0039】
図7はユーザ端末300の要部回路構成を示すブロック図である。
ユーザ端末300は、プロセッサ301、メインメモリ302、補助記憶ユニット303、タッチパネル304、カメラ305、無線通信ユニット306、モバイル通信ユニット307及び伝送路308等を備える。プロセッサ301と、メインメモリ302、補助記憶ユニット303、タッチパネル304、カメラ305及びモバイル通信ユニット307とは、伝送路308を介して通信可能とされている。そして、プロセッサ301、メインメモリ302及び補助記憶ユニット303が伝送路308により接続されていることによって、ユーザ端末300を制御するためのコンピュータが構成される。なお、プロセッサ301、メインメモリ302、補助記憶ユニット303及び伝送路308の機能の概略は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13及び伝送路15と同等であるので、その説明は省略する。
【0040】
タッチパネル304は、ユーザ端末300の入力デバイス及び表示デバイスとして機能する。
カメラ305は、光学系及びイメージセンサを含み、光学系により形成される視野内の像を表した画像データをイメージセンサにより生成する。
【0041】
無線通信ユニット306は、カート端末400との間で無線通信プロトコルに従った無線通信によりデータを授受する。無線通信ユニット306としては、例えばBluetooth(登録商標)に準拠した周知の通信デバイスを利用できる。無線通信ユニット306は、第1の通信手段の一例である。
モバイル通信ユニット307は、通信ネットワーク600を介したデータ通信のインタフェースである。モバイル通信ユニット307としては、例えば移動通信網を介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
【0042】
なお補助記憶ユニット303は、情報処理プログラムの1つである会員証アプリAPDAを記憶する。会員証アプリAPDAは、アプリケーションプログラムであり、カート端末400の利用資格を証明するための会員証としてユーザ端末300を機能させるための後述する情報処理(以下、会員証処理と称する)について記述されている。なお会員証処理は、カート端末400と連携して購入商品の代価を決済するための情報処理も含む。
【0043】
図8はカート端末400の要部回路構成を示すブロック図である。
カート端末400は、タブレットコンピュータ401、スキャナ402、リーダ403及びカメラ404を備える。
【0044】
タブレットコンピュータ401は、プロセッサ4011、メインメモリ4012、補助記憶ユニット4013、無線通信ユニット4014,4015、タッチパネル4016、サウンドユニット4017、インタフェースユニット4018及び伝送路4019を含む。プロセッサ4011、メインメモリ4012、補助記憶ユニット4013、無線通信ユニット4015、タッチパネル4016、サウンドユニット4017及びインタフェースユニット4018は、伝送路4019を介して通信可能とされている。そして、プロセッサ4011、メインメモリ4012及び補助記憶ユニット4013が伝送路4019により接続されていることによって、カート端末400を制御するためのコンピュータが構成される。なお、プロセッサ4011、メインメモリ4012、補助記憶ユニット4013、タッチパネル4016、無線通信ユニット4015及び伝送路4019の機能の概略は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、タッチパネル304、無線通信ユニット306及び伝送路15と同等であるので、その説明は省略する。
【0045】
ただし補助記憶ユニット4013は、店舗管理アプリAPAAに代えてカート端末アプリAPEAを記憶する。カート端末アプリAPEAは、アプリケーションプログラムであり、カート端末400を店舗システム100のユーザインタフェースとして機能させるための後述する情報処理(以下、UI処理と称する)について記述されている。カート端末の譲渡は一般に、補助記憶ユニット4013にカート端末アプリAPEAが記憶された状態にて行われる。しかし、カート端末アプリAPEAが補助記憶ユニット4013に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット4013に記憶された状態のハードウェアと、カート端末アプリAPEAとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット4013にカート端末アプリAPEAが書き込まれることによって、カート端末400が構成されてもよい。カート端末アプリAPEAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。なおカート端末アプリAPEAは、メインメモリ4012に記憶されてもよい。
【0046】
無線通信ユニット4014は、ユーザ端末300との間で無線通信プロトコルに従った無線通信によりデータを授受する。無線通信ユニット4014としては、例えばBluetooth(登録商標)に準拠した周知の通信デバイスを利用できる。無線通信ユニット4014は、第2の通信手段の一例である。
【0047】
サウンドユニット4017は、音声及びメロディなどの各種サウンドを出力する。
インタフェースユニット4018には、スキャナ402、リーダ403及びカメラ404が接続される。インタフェースユニット4018は、これらスキャナ402、リーダ403及びカメラ404とプロセッサ4011とのデータの授受をインタフェースする。インタフェースユニット4018としては、既存のUSB(universal serial bus)コントローラ等を利用できる。
【0048】
スキャナ402は、バーコード又は二次元データコード等のコードシンボルを読み取る。スキャナ402は、主として、商品に示され、当該商品の商品コード等を表したコードシンボルを読み取るために使用される。スキャナ402は、会員カードに示されるか、又は携帯端末で表示され、会員コードなどを表したコードシンボルを読み取るために使用されてもよい。スキャナ402は、読み取ったコードシンボルが表すデータを出力する。スキャナ402は、レーザ光の走査によりコードシンボルを読み取るタイプであってもよいし、撮像デバイスで撮像した画像からコードシンボルを読み取るタイプであってもよい。
【0049】
リーダ403は、記録媒体に記録されたデータを読み取り、出力する。リーダ403は、記録媒体が磁気カードの場合は磁気カードリーダであり、接触式ICカードの場合にはICカードリーダである。非接触式ICカード又はスマートフォン等のようにRFID(radio frequency identification)を使用した記録媒体の場合には、RFIDリーダがリーダ403として使用される。
カメラ404は、ショッピングカート700に載せられた買物カゴの中を俯瞰撮影する。そしてカメラ404は、撮影した画像を表した画像データを出力する。
【0050】
次に以上のように構成された取引処理システムの動作について説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。例えば、以下の説明では、本実施形態の特徴的な動作を分かり易く説明するために、一部の処理についての説明を省略している。例えば、何らかのエラーが発生した場合に、そのエラーに対処するための処理が行われる場合があるが、そのような処理の一部については記載を省略している。
【0051】
カート端末400を用いる客に取引処理システムの動作により提供されるサービスをカートPOSサービスと称する。また、カートPOSサービスを利用しながら、ユーザ端末300を用いた決済を可能とするサービスをスマホ決済サービスと称する。
客は、スマホ決済サービスを利用するためには、自らが所有するスマートフォン等に会員証アプリAPDAをインストールして、ユーザ端末300として利用可能としておく。また客は、スマホ決済サービスによる決済に適用する決済データを指定し、当該決済データの登録をプロセッサ4011に対して要求する。この要求に応じてプロセッサ4011は、指定された決済データをメインメモリ4012又は補助記憶ユニット4013に記憶させる。あるいは客は、電子マネーの利用手続を行って、ユーザ端末300に取り付けられた図示しない電子マネー用のIC(integrated circuit)チップに電子マネーのための決済データを記憶させておく。
【0052】
図9、
図10及び
図11はプロセッサ4011によるUI処理のフローチャートである。
プロセッサ4011は、カート端末400が起動されると、UI処理を開始する。
図9に示すACT101としてプロセッサ4011は、案内画面をタッチパネル4016に表示させる。案内画面は、カート端末400の利用を開始するための操作について客に案内する画面である。案内画面は例えば、ユーザ端末300に表示されるチェックインコードをスキャナ402によって読み取ることを客に促す画面である。
【0053】
図12は案内画面SCAの一例を示す図である。
案内画面SCAは、メッセージMEAA及び画像IMAAを表す。メッセージMEAAは、ユーザ端末300に表示されるチェックインコードを読み取ることを客に促す文字メッセージである。画像IMAAは、メッセージMEAAと対となって、チェックインコードの読取のためにスキャンすべきバーコードを客に案内するための画像である。
【0054】
客は、カートPOSサービスを利用するためには、利用登録を行っておく。この利用登録によって客には、利用者IDが割り当てられる。そして客は、会員証アプリAPDAに基づく会員証処理を起動した状態のユーザ端末300を持って、店舗システム100が設けられたいずれかの店舗へと入る。プロセッサ301は、会員証処理の起動時には、利用者の認証処理を行い、利用登録が済んだ正規の利用者であることを確認する。なお、以下において、単に「ユーザ端末300」と記す場合は、上記のユーザ端末300を指すこととする。
【0055】
図13はプロセッサ301による会員証処理のフローチャートである。
ACT151としてプロセッサ301は、チェックイン画面をタッチパネル304に表示させる。チェックイン画面は、チェックインコードをカート端末400に取得させるための画面である。チェックイン画面は、チェックインコードを表したバーコードを含む。ただし、チェックイン画面は、チェックインコードを表した2次元コード又は文字列を含んでいてもよい。チェックインコードは、無線通信ユニット306との無線接続を確立するための予め定められた接続データと、ユーザ端末300の利用者がカートPOSサービスの会員であることをカート端末400にて確認するための予め定められた確認データとを含む。
【0056】
客は、未使用状態のショッピングカート700を置き場などから取り出し、そのショッピングカート700に取り付けられているカート端末400が備えるスキャナ402を用いて、チェックイン画面のバーコードをスキャンする。これに応じてスキャナ402が、当該バーコードが表すチェックインコードを読み取る。なお、以下において、単に「カート端末400」と記す場合は、上記のカート端末400を指すこととする。
【0057】
プロセッサ4011は、
図9中のACT101として案内画面を表示した後には、ACT102へと進む。
ACT102としてプロセッサ4011は、チェックインコードが読み取られるのを待ち受ける。そしてプロセッサ4011は、上記のようにスキャナ402によってチェックインコードが読み取られたならばYESと判定し、ACT103へと進む。
ACT103としてプロセッサ4011は、ユーザ端末300の利用者が正規の会員であるか否かを確認する。プロセッサ4011は例えば、チェックインコードに含まれた確認データが予め定められたデータと一致するか否かを確認する。あるいはプロセッサ4011は、店舗サーバ1にてデータベース群DBAAに含まれた利用者データベースを参照して、会員の認証を行うのでもよい。その他、利用者の認証のための種々の技術を適宜に適用できる。そしてプロセッサ4011は、正規の会員であることを確認できないならばNOと判定し、ACT101に戻る。このときにプロセッサ4011は、正しいバーコードがスキャンされていないことを客に通知するためのエラー画面をタッチパネル4016に表示させるなどのエラー処理を行ってもよい。
【0058】
プロセッサ4011は、正規の会員であることを確認できたならば、ACT103にてYESと判定し、ACT104へと進む。このときにプロセッサ4011は、ユーザ端末300が、正規の会員である客により所持される端末として識別していることになる。かくしてカート端末アプリAPEAに基づく情報処理をプロセッサ4011が実行することによって、プロセッサ4011を中枢部分とするコンピュータは制御手段として機能する。
ACT104としてプロセッサ4011は、チェックインコードに含まれた接続データによるユーザ端末300との無線接続を無線通信ユニット4014に指示する。これに応じて無線通信ユニット4014は、準拠する通信規格で定められた手順での無線接続を試みる。そしてこれにより、無線通信ユニット4014と、ユーザ端末300の無線通信ユニット306との無線接続が確立されることになる。
ACT105としてプロセッサ4011は、接続が完了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ4011は、上記のように無線接続が確立されたならばYESと判定し、ACT106へと進む。
【0059】
ACT106としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して、チェックインを要求する。具体的にはプロセッサ4011は、アクセスポイント6との無線通信を介して、チェックインを要求するための要求データをモバイルコントローラ3に宛てて送信する。当該の要求データは、アクセスポイント6及び店内通信ネットワーク7を介して、モバイルコントローラ3へと伝送される。なおプロセッサ4011は、チェックインを要求するための要求データには、チェックインの要求であることを識別するための識別データと、端末コードとを含める。プロセッサ4011は、会員コードを要求データに含めてもよい。プロセッサ4011は例えば、会員コードが確認データに含まれるならば、それを抽出する。あるいはプロセッサ4011は例えば、ACT103での認証の際に、利用者データベースから会員コードを取得する。
なお、以降において説明するカート端末400からモバイルコントローラ3への各種の要求は、上記と同様に、要求の理由を識別するための識別データを含んだ要求データをアクセスポイント6及び店内通信ネットワーク7を介してカート端末400からモバイルコントローラ3へと送ることにより実現される。
【0060】
モバイルコントローラ3においてプロセッサ31は、チェックインを要求するための要求データが通信インタフェース34によって受信されると、チェックインしようとしている客との取引に関する仲介処理を仲介アプリAPCAに基づいて開始する。
図14及び
図15はプロセッサ31による仲介処理のフローチャートである。
プロセッサ31は、チェックインを要求するための要求データが通信インタフェース34によって受信される毎に、当該仲介処理を開始する。別の要求に基づいて開始した仲介処理を既に実行している場合には、それに並行して新たな仲介処理を開始する。つまりプロセッサ31は、複数のカート端末400をそれぞれ対象として仲介処理を複数並行して実行する場合がある。以下の仲介処理の説明においては、単に「カート端末400」と表す場合には、説明中の仲介処理の対象となっているカート端末400を指すこととする。
【0061】
図14中のACT201としてプロセッサ31は、チェックイン処理を行う。プロセッサ31は例えば、仮想POSサーバ2に取引の開始を要求し、取引コードの通知を受ける。そしてプロセッサ31は、新たなデータレコードDRCAを取引管理データベースDBCAに追加する。プロセッサ31は、要求データに含まれた端末コードを、新たなデータレコードDRCAのフィールドFAAにセットする。プロセッサ31は、要求データに会員コードが含まれるならば、当該会員コードを、新たなデータレコードDRCAのフィールドFABにセットする。プロセッサ31は、上記の通知された取引コードを、新たなデータレコードDRCAのフィールドFACにセットする。
【0062】
仮想POSサーバ2においてプロセッサ21は、取引の開始がモバイルコントローラ3から要求されたならば、仮想POSアプリAPBAに従って取引処理を開始する。
図16及び
図17はプロセッサ21による取引処理のフローチャートである。
【0063】
プロセッサ21は、取引の開始が要求される毎に、当該取引処理を開始する。別の取引処理を既に実行している場合には、それに並行して新たな取引処理を開始する。つまりプロセッサ21は、モバイルコントローラ3にて仲介処理が複数並行して実行されている場合には、それら複数の仲介処理のそれぞれに対応する複数の取引処理を並行して実行する。
【0064】
図16中のACT301としてプロセッサ21は、取引開始処理を実行する。この取引開始処理においてプロセッサ21は、予め定められたルールに従って取引コードを決定し、その取引コードで識別される取引での購入商品を管理するための新たなデータレコードを含むように取引データベースDBBAを更新する。そしてプロセッサ21は、上記の決定した取引コードをモバイルコントローラ3に通知する。
【0065】
ACT302としてプロセッサ21は、購入商品の変更が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の要求を確認できないならばNOと判定し、ACT303へと進む。
ACT303としてプロセッサ21は、取引の取消が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の要求を確認できないならばNOと判定し、ACT304へと進む。
ACT304としてプロセッサ21は、決済額の通知が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の要求を確認できないならばNOと判定し、ACT305へと進む。
ACT305としてプロセッサ21は、決済の完了が通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT306へと進む。
ACT306としてプロセッサ21は、決済データの転送が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の要求を確認できないならばNOと判定し、ACT302へと戻る。
かくしてプロセッサ21はACT302~ACT306としては、変更、取消、決済額通知又は転送のいずれかが要求されるか、決済の完了が通知されるのを待ち受ける。
【0066】
さて、モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図14中のACT201としてのチェックイン処理を終えたならば、ACT202へと進む。
ACT202としてプロセッサ31は、チェックイン処理を正常に完了したか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、何らかの異常によりチェックイン処理を正常に完了することができなかったならばNOと判定し、ACT203へと進む。
ACT203としてプロセッサ31は、カート端末400に対してエラーを通知する。プロセッサ31は例えば、エラー通知のための通知データを、店内通信ネットワーク7及びアクセスポイント6を介してカート端末400へと送信する。プロセッサ31は、エラーの通知であることを識別するための識別データを通知データに含める。プロセッサ31は、エラーの原因を表すエラーコードを通知データに含めてもよい。そしてプロセッサ31は、これをもって仲介処理を終了する。
なお、以降において説明するモバイルコントローラ3からカート端末400への各種の通知は、上記と同様に、通知の理由を識別するための識別データを含んだ通知データを店内通信ネットワーク7及びアクセスポイント6を介してモバイルコントローラ3からカート端末400へと送ることにより実現される。
【0067】
プロセッサ31は一方、チェックイン処理を正常に完了することができたならばACT202にてYESと判定し、ACT204へと進む。
ACT204としてプロセッサ31は、カート端末400に対してチェックイン完了を通知する。
【0068】
カート端末400においてプロセッサ4011は、
図9中のACT106にてチェックインを要求した後には、ACT107へと進む。
ACT107としてプロセッサ4011は、チェックイン完了が通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT108へと進む。
ACT108としてプロセッサ4011は、チェックインのエラーが通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT107へと戻る。
かくしてプロセッサ4011はACT107及びACT108としては、チェックインの完了又はエラーが通知されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ4011は、前述のエラー通知のための通知データが無線通信ユニット306により受信されたならばACT108にてYESと判定し、ACT109へと進む。
【0069】
ACT109としてプロセッサ4011は、エラー画面をタッチパネル304に表示させる。エラー画面は、チェックインできないことを客に報知するものとして定められた画面である。なおプロセッサ4011は、例えばエラー画面中に表したGUI要素の操作などによりエラー画面の表示解消が指示されたならば、ACT101に戻る。
【0070】
プロセッサ4011は一方、前述のチェックイン完了の通知のための通知データが無線通信ユニット306により受信されたならばACT107にてYESと判定し、ACT110へと進む。
ACT110としてプロセッサ4011は、一覧画面をタッチパネル304に表示させる。一覧画面は、登録済みの購入商品の一覧を表した画面である。
【0071】
図18は一覧画面SCBの一例を示す図である。
一覧画面SCBは、エリアARBA,ARBB,ARBC及びボタンBUBA,BUBB,BUBCを表す。エリアARBAは、登録済みの購入商品の一覧を表す。エリアARBAはより具体的には、購入商品に関しての商品名を行方向に並べて表す。エリアARBAはまた、上記の商品名に対して列方向に並べて、当該商品が購入商品として登録されている点数と、当該商品の販売価格とを表す。エリアARBAは、一旦は購入商品として登録されたものの、取り消された商品の商品名、点数及び販売価格に対しては、抹消線を付している。つまり一覧画面SCBは、商品名が「AAA」「BBB」「DDD」及び「EEE」である商品が登録商品とされていて、商品名が「CCC」である商品が一旦は登録商品とされたものの既に取り消されている状態を表している。ただし、プロセッサ4011が最初にACT110を実行する場合には、まだ購入商品が登録されていない。従って、プロセッサ4011が最初にACT110を実行することにより表示される一覧画面SCBのエリアARBAは、購入商品の商品名、点数及び販売価格を表さない。
【0072】
エリアARBBは、エリアARBAの各行に並べて配置される。
図18では図示していないが、エリアARBBには、対応付けられた商品に応じたアイコンが必要に応じて表される。エリアARBBに表されるアイコンは例えば、セット割引などのような各種の値引きの対象商品であることや、年齢制限商品であることなどを表す。
エリアARBCは、登録済みの購入商品に関して、総点数及び合計金額を表す。
【0073】
ボタンBUBAは、エリアARBAの各行のうちで、購入商品を表した行に並べて配置される。ボタンBUBAは、並べて表された購入商品の取消を操作者が指示するためのソフトキーである。ボタンBUBBは、購入商品の登録を終えて会計に移行することを操作者が指示するためのソフトキーである。ボタンBUBCは、既に登録した購入商品の全てをキャンセルし、買い物を中止することを操作者が指示するためのソフトキーである。
【0074】
図9中のACT111としてプロセッサ4011は、商品が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定が確認できなければNOと判定し、ACT112へと進む。
ACT112としてプロセッサ4011は、数量の変更が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定が確認できなければNOと判定し、ACT113へと進む。
ACT113としてプロセッサ4011は、買い物の中止が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定が確認できなければNOと判定し、ACT114へと進む。
ACT114としてプロセッサ4011は、会計の開始が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定が確認できなければNOと判定し、ACT111へと戻る。
かくしてプロセッサ4011はACT111~ACT114としては、商品、数量、中止及び会計開始のいずれかが指定されるのを待ち受ける。
【0075】
客は、ショッピングカート700を押しながら、購入する商品を探して店内を移動する。そして客は、購入する商品を見つけたならば、その商品を陳列場所から取り出し、ショッピングカート700に載せる。このときに客は、該当の商品を購入商品として指定するための操作を行う。当該の操作は例えば、該当の商品に表示されたコードシンボルを読み取らせるためのスキャナ402の操作である。また上記の操作は例えば、該当の商品を指定するためのタッチパネル4016の操作である。客は、商品コードが同一である商品を複数個、購入商品として登録する場合には、個数を指定する操作を行った上で、コードシンボルを一度だけスキャナ402に読み取らせてもよい。
プロセッサ4011は、これらの操作により商品が指定されたならばACT111にてYESと判定し、
図10中のACT115へと進む。
【0076】
ACT115としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して登録を要求する。プロセッサ4011はここで送信する要求データには、上記のような客による指定の内容を表した指定データを含める。プロセッサ4011は、当該指定データには、指定された商品の商品コードを少なくとも含める。このときにプロセッサ4011は、タッチパネル4016での操作に応じて購入商品の情報を取得している。かくしてカート端末アプリAREAに基づく情報処理をプロセッサ4011が実行することによって、プロセッサ4011を中枢部分とするコンピュータは第1の取得手段として機能する。
ACT116としてプロセッサ4011は、一覧画面の表示が指示されるのを待ち受ける。
【0077】
客は、既に購入商品として登録済みの商品についての個数を変更するならば、そのための予め定められた操作を行う。当該の操作は例えば、購入商品として登録済みの商品の指定と、当該商品の変更後の個数の指定のためのタッチパネル4016の操作である。
プロセッサ4011は、ACT111~ACT114の待受状態にあるときに、上記のような個数変更を指定する操作が行われると、ACT112にてYESと判定し、
図10中のACT117へと進む。
【0078】
ACT117としてプロセッサ4011は、指定数が0であるか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、指定数が0ではなければNOと判定し、ACT118へと進む。
ACT118としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して数量変更を要求する。プロセッサ4011はここで送信する要求データには、数量が指定された商品を特定するための特定データと指定数を含める。特定データは、商品コードでもよいし、購入商品のリスト内で各購入商品を識別するための番号などのようにモバイルコントローラ3でのみ購入商品を特定可能なデータであってもよい。
【0079】
さて、プロセッサ4011は、指定数が0であったならば、ACT117にてYESと判定し、ACT119へと進む。
ACT119としてプロセッサ4011は、削除画面をタッチパネル4016に表示させる。削除画面は、個数を0個とすることが指定された商品が購入商品から削除されることを客に報知する画面である。削除画面は、削除を指定するための削除ボタンと、個数を変更せずに個数の変更を指定する前の状態に戻ることを指定するための戻りボタンとを含む。
【0080】
ACT120としてプロセッサ4011は、削除が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定を確認できないならばNOと判定し、ACT121へと進む。
ACT121としてプロセッサ4011は、戻りが指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定を確認できないならばNOと判定し、ACT120へと戻る。
かくしてプロセッサ4011はACT120及びACT121としては、削除又は戻りが指定されるのを待ち受ける。
【0081】
客は、削除を取り止めて、数量の変更を指定する前の状態に戻ること望むならば、削除画面において戻りボタンにタッチするなどの予め定められた操作により戻りを指定する。これに応じてプロセッサ4011は、ACT121にてYESと判定し、
図9中のACT110へと戻る。この場合には、購入商品の登録状態は変更されないので、プロセッサ4011は、削除画面を表示する前に表示していたのと同じ状態の一覧画面SCBをタッチパネル4016に再び表示させる。
【0082】
客は、削除で間違いないならば、削除画面において削除ボタンにタッチするなどの予め定められた操作により削除を指定する。これに応じてプロセッサ4011は、ACT120にてYESと判定し、ACT122へと進む。
ACT122としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して削除を要求する。プロセッサ4011はここで送信する要求データには、削除が指定された商品を特定するための特定データを含める。
【0083】
プロセッサ4011は、ACT118にて数量変更を要求したのち、あるいはACT122にて削除を要求したのちには、ACT123へと進む。
ACT123としてプロセッサ4011は、一覧画面の表示が指示されるのを待ち受ける。
【0084】
さて、モバイルコントローラ3においてプロセッサ31は、
図14中のACT204にてチェックイン完了の通知を行った後には、ACT205へと進む。
ACT205としてプロセッサ31は、購入商品の変更が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当の要求が確認できなければNOと判定し、ACT206へと進む。
ACT206としてプロセッサ31は、購入商品の取消が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当の要求が確認できなければNOと判定し、ACT207へと進む。
ACT207としてプロセッサ31は、会計が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当の要求が確認できなければNOと判定し、ACT205へと戻る。
かくしてプロセッサ31はACT205~ACT207としては、変更、取消及び会計のいずれかが要求されるのを待ち受ける。
【0085】
プロセッサ31は、登録、数量変更及び削除のいずれかが、カート端末400から前述のように要求されたならばACT205にてYESと判定し、ACT208へと進む。
ACT208としてプロセッサ31は、処理対象となっている取引の取引コードの通知を伴って、カート端末400からの要求を仮想POSサーバ2に転送する。プロセッサ31はこのとき、カート端末400から送られてきた要求データをそのまま仮想POSサーバ2に転送してもよいし、何らかの処理による変換後の要求データを仮想POSサーバ2に送信してもよい。ただしプロセッサ31は、カート端末400から送られてきた要求データに含まれたバーコードデータ又は特定データは、仮想POSサーバ2へと通知する。
【0086】
仮想POSサーバ2においてプロセッサ21は、
図16中のACT302~ACT306の待受状態にあるときに登録、数量変更又は削除に関する要求データがモバイルコントローラ3から転送されてきたならば、ACT302にてYESと判定し、ACT307へと進む。
ACT307としてプロセッサ21は、転送された要求データでの要求に応じて取引データベースDBBAを更新する。プロセッサ21は例えば、登録が要求された場合には、要求データに含まれたバーコードデータが、既存のPOS端末に備えられたバーコードスキャナにより読み取られたものであると見做して、既存のPOS端末と同様な処理によって購入商品の登録を試みる。ただし、何らかの事情により、バーコードデータが表す商品コードが商品データベースに登録されていない場合がある。また、商品には、商品コードを表すのとは別のバーコードが表示されている場合もある。そして、これらの場合にプロセッサ21は、購入商品の登録を行えず、エラーとする。このようにプロセッサ21は、正規のバーコード読み取りに基づく購入商品の登録を行う。プロセッサ21は例えば、数量変更が要求された場合には、数量変更の対象となる商品に関して取引データベースDBBAに既に示されている数量を変更する。プロセッサ21は例えば、削除が要求された場合には、対象となる商品を購入商品から除外するように取引データベースDBBAを更新する。
【0087】
ACT308としてプロセッサ21は、上記のような処理の結果を表した結果データを、モバイルコントローラ3に送信する。プロセッサ21は、購入商品の登録が正しく行えた場合には、正規登録の通知であることを識別するための識別データと、登録した商品の商品コード、商品名及び価格を結果データに含める。プロセッサ21は、数量を変更した場合には、変更した商品の商品コードと、変更後の個数とを結果データに含める。プロセッサ21は、購入商品を削除した場合には、購入商品から除外した商品の商品コードを結果データに含める。またプロセッサ21は、エラーとした場合には、エラーの通知であることを識別するための識別データと、登録要求で送られてきたバーコードデータとを結果データに含める。プロセッサ21は、結果データを送信し終えたならば、ACT302~ACT306の待受状態に戻る。
【0088】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図14中のACT208にて要求を転送したのちには、ACT209へと進む。
ACT209としてプロセッサ31は、上記のようにして仮想POSサーバ2から送信される結果データを取得する。プロセッサ31は、取得した結果データをメインメモリ32又は補助記憶ユニット33に保存する。
【0089】
ACT210としてプロセッサ31は、上記の結果データに基づいて登録データベースDBCBを更新する。この登録データベースDBCBの更新は、例えば以下のように行われる。
第1のケース:正規登録の通知であり、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBに、通知された商品コードを含んだ登録データが含まれていない場合。
この場合にプロセッサ31は、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBに既に存在する最後のフィールドの次に新たなフィールドを追加し、当該フィールドに新たな登録データを追加する。プロセッサ31は、新たな登録データには、通知された商品コードと、エラーではないことを表す“0”としたエラーフラグと、通知された商品名及び価格と、“1”とした個数と、取り消されていないことを表す“0”とした取消フラグとを含める。かくしてこのケースで追加される登録データは、
図6の右上側に示されるような構造となる。
【0090】
第2のケース:正規登録の通知であり、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBに、通知された商品コードを含んだ登録データが含まれているものの、当該登録データの取消フラグが取り消されていることを表す“1”となっている場合。
この場合にプロセッサ31は、上記の第1のケースの場合と同様に処理する。
【0091】
第3のケース:正規登録の通知であり、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBに、通知された商品コードを含んだ登録データが含まれており、当該登録データの取消フラグが“0”となっている場合。
この場合にプロセッサ31は、通知された商品コードを含み、取消フラグが“0”となっている登録データに含まれる個数の値を、1つ大きな値に書き替える。
【0092】
第4のケース:数量変更の通知である場合。
この場合にプロセッサ31は、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBから、通知された商品コードを含んだ登録データを見つけ出す。そしてプロセッサ31は、該当する登録データに含まれる個数を、結果データに含まれた個数に書き替える。
【0093】
第5のケース:削除の通知である場合。
この場合にプロセッサ31は、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBから、通知された商品コードを含んだ登録データを見つけ出す。そしてプロセッサ31は、該当する登録データに含まれる取消フラグを“1”に変更する。
【0094】
第6のケース:エラーの通知である場合。
この場合にプロセッサ31は、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBに既に存在する最後のフィールドの次に新たなフィールドを追加し、当該フィールドに新たな登録データを追加する。プロセッサ31は、新たな登録データには、通知されたバーコードデータと、エラーを表す“1”としたエラーフラグとを含める。かくしてこのケースで追加される登録データは、
図6の右下側に示されるような構造となる。
【0095】
このようにプロセッサ31により更新されることにより登録データベースDBCBは、仮想POSサーバ2で登録済みの購入商品のリストを表すとともに、これに加えてエラーとなったバーコード読み取りを記録したものとなる。
なおプロセッサ31は、登録要求で送られてきたバーコードデータをメインメモリ32又は補助記憶ユニット33に保存しておき、上記の第6のケースにおいては、この保存してあるバーコードデータを登録データに含めてもよい。そしてこの場合には、仮想POSサーバ2においてプロセッサ21は、結果データにバーコードデータを含めなくてもよい。またプロセッサ31は、保存してあるバーコードデータから商品コードを取り出し、この商品コードに基づいて第1のケース~第5のケースの処理を行ってもよい。また商品名及び価格は、プロセッサ31が商品コードに基づいて店舗サーバ1などから取得してもよい。
【0096】
ACT211としてプロセッサ31は、一覧画面の表示をカート端末400に対して指示する。プロセッサ31は例えば、一覧画面の表示指示であることを識別するための識別データを含んだ指示データを、店内通信ネットワーク7及びアクセスポイント6を介してカート端末400へと送信する。プロセッサ31は、処理対象となっている取引が登録データベースDBCBにて関連付けられたデータレコードDRCBに含まれている商品コード、商品名、価格及び個数を指示データに含める。またプロセッサ31は、今回の登録がエラーとされているならば、その旨を表すエラーデータを指示データに含める。そしてプロセッサ31はこののち、ACT205~ACT207の待受状態に戻る。
【0097】
なお、以降において説明するモバイルコントローラ3からカート端末400への各種の指示は、上記と同様に、指示の理由を識別するための識別データを含んだ指示データを店内通信ネットワーク7及びアクセスポイント6を介してモバイルコントローラ3からカート端末400へと送ることにより実現される。
【0098】
上述の第1のケース~第3のケース及び第6のケースのいずれかにおいて、一覧画面の表示を指示する指示データがカート端末400にて無線通信ユニット4015により受信されると、プロセッサ4011は
図10中のACT116でYESと判定する。また上述の第4のケース又は第5のケースにおいて、一覧画面の表示を指示する指示データが無線通信ユニット4015により受信されると、プロセッサ4011はACT123でYESと判定する。そしてこれらの場合にプロセッサ4011は、いずれも
図9中のACT110へと戻り、再び一覧画面SCBをタッチパネル4016に表示させる。このときにプロセッサ4011は、一覧画面SCBを、指示データに含まれた購入商品の商品名、価格及び個数を表す画面とする。またプロセッサ4011は、指示データにエラーデータが含まれるならば、正しく登録されなかった旨を一覧画面SCBに追加して表す。
【0099】
客は、既に登録した購入商品の全てをキャンセルし、買い物を中止したい場合には、一覧画面SCBにおいてボタンBUBCにタッチするなどの予め定められた操作により中止を指定する。これに応じてプロセッサ4011は、
図9中のACT113にてYESと判定し、
図10中のACT124へと進む。
ACT124としてプロセッサ4011は、取消画面をタッチパネル4016に表示させる。取消画面は、既に登録した購入商品の全てが取り消されることを客に報知する画面である。取消画面は、取消実行を指定するための実行ボタンと、個数を変更せずに個数の変更を指定する前の状態に戻ることを指定するための戻りボタンとを含む。
【0100】
ACT125としてプロセッサ4011は、取消実行が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定を確認できないならばNOと判定し、ACT126へと進む。
ACT126としてプロセッサ4011は、戻りが指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定を確認できないならばNOと判定し、ACT125へと戻る。
かくしてプロセッサ4011はACT125及びACT126としては、取消実行又は戻りが指定されるのを待ち受ける。
【0101】
客は、そのまま買い物を続けるならば、取消画面において戻りボタンにタッチするなどの予め定められた操作により戻りを指定する。これに応じてプロセッサ4011は、ACT126にてYESと判定し、
図9中のACT110へと戻り、再び一覧画面SCBをタッチパネル4016に表示させる。この場合には、購入商品の登録状態は変更されないので、プロセッサ4011は、取消画面を表示する前に表示していたのと同じ状態の一覧画面SCBをタッチパネル4016に再び表示させる。
【0102】
客は、買い物を取り止めるのであれば、取消画面において実行ボタンにタッチするなどの予め定められた操作により取消実行を指定する。これに応じてプロセッサ4011は、ACT125にてYESと判定し、ACT127へと進む。
ACT127としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して取消を要求する。
【0103】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、上記のようにカート端末400から取消が要求されたならば、
図14中のACT206にてYESと判定し、ACT212へと進む。
ACT212としてプロセッサ31は、処理対象となっている取引の取引コードの通知を伴って、取消の要求を仮想POSサーバ2に転送する。プロセッサ31はこのとき、カート端末400から送られてきた要求データをそのまま仮想POSサーバ2に転送してもよいし、何らかの処理による変換後の要求データを仮想POSサーバ2に送信してもよい。
【0104】
仮想POSサーバ2においてプロセッサ21は、
図16中のACT302~ACT306の待受状態にあるときに取消に関する要求データがモバイルコントローラ3から転送されてきたならば、ACT303にてYESと判定し、ACT309へと進む。
ACT309としてプロセッサ21は、転送された要求データでの要求に応じて取引データベースDBBAを更新する。プロセッサ21は例えば、モバイルコントローラ3から送られた要求データによる要求を、既存のPOS端末に備えられた入力デバイスにより入力された取消指示であると見做して、既存のPOS端末と同様な処理によって、通知された取引コードに関連付けて登録済みの商品の全てを購入商品から除外するように取引データベースDBBAを更新する。
【0105】
ACT310としてプロセッサ21は、上記のような処理の結果を表した結果データを、モバイルコントローラ3に送信する。プロセッサ21は、購入商品から除外した全商品の商品コードを結果データに含める。プロセッサ21は、結果データを送信し終えたならば、ACT302~ACT306の待受状態に戻る。
【0106】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図14中のACT212にて要求を転送したのちには、ACT213へと進む。
ACT213としてプロセッサ31は、上記のようにして仮想POSサーバ2から送信される結果データを取得する。プロセッサ31は、取得した結果データをメインメモリ32又は補助記憶ユニット33に保存する。
【0107】
ACT214としてプロセッサ31は、上記の結果データに基づいて登録データベースDBCBを更新する。つまりプロセッサ31は、処理対象となっている取引が関連付けられたデータレコードDRCBに含まれる登録データの全てに関して、“0”となっている取消フラグを“1”に変更する。
ACT215としてプロセッサ31は、ユーザ端末300に対して取消を通知する。そしてプロセッサ31はこののち、ACT205~ACT207の待受状態に戻る。
【0108】
さて、カート端末400にてプロセッサ4011は、
図10中のACT127にて取消を要求したのちには、ACT128へと進む。
ACT128としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3から取消が通知されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ4011は、前述のように取消が通知されたならばYESと判定し、
図9中のACT101へと戻る。
【0109】
客は、購入を希望する商品の全てを購入商品として登録し終えたならば、決済に進む。このときに客は、一覧画面SCBにおけるボタンBUBBにタッチするなどの予め定められた操作によって会計開始を指定する。これに応じてプロセッサ4011は、
図9中のACT114にてYESと判定し、
図11中のACT129へと進む。
ACT129としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して会計を要求する。プロセッサ4011はここで送信する要求データには、端末コードを含める。
ACT130としてプロセッサ4011は、会計画面の表示が指示されるのを待ち受ける。
【0110】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、上記のようにカート端末400から会計が要求されたならば、
図14中のACT207にてYESと判定し、
図15中のACT216へと進む。
【0111】
ACT216としてプロセッサ31は、会計画面の表示をカート端末400に指示する。
【0112】
カート端末400にてプロセッサ4011は、上記のように会計画面の表示が指示されたならば
図11中のACT130にてYESと判定し、ACT131へと進む。
ACT131としてプロセッサ4011は、ユーザ端末300と接続状態にあるか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、接続状態にあるならばYESと判定し、ACT132へと進む。
ACT132としてプロセッサ4011は、会計画面をタッチパネル304に表示させる。会計画面は、代価の決済のための操作をユーザ端末300及び会計機5のいずれで行うかを客が選択するための画面である。
【0113】
図19は会計画面SCCの一例を示す図である。
会計画面SCCは、表示エリアARCA、メッセージMECA及びボタンBUCA,BUCBを含む。表示エリアARCAは、購入商品の総数と、購入商品の代価の総額とを表す。メッセージMECAは、代価の決済のための操作をユーザ端末300及び会計機5のいずれで行うかを指定するように客に促す文字メッセージである。ボタンBUCAは、ユーザ端末300を客が指定するためのソフトキーである。ボタンBUCBは、会計機5を客が指定するためのソフトキーである。
【0114】
ACT133としてプロセッサ4011は、ユーザ端末300が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定を確認できないならばNOと判定し、ACT134へと進む。
ACT134としてプロセッサ4011は、会計機5が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の指定を確認できないならばNOと判定し、ACT133へと戻る。
かくしてプロセッサ4011はACT133及びACT134としては、ユーザ端末300又は会計機5が指定されるのを待ち受ける。
【0115】
客は、代価の決済をユーザ端末300で行いたい場合には、ボタンBUCAにタッチするなどの予め定められた操作によりユーザ端末300を指定する。これに応じてプロセッサ4011は、ACT133にてYESと判定し、ACT135へと進む。
ACT135としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して決済額の通知を要求する。
【0116】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図15中のACT216にて会計画面の表示を指示したのちには、ACT217へと進む。
ACT217としてプロセッサ31は、決済額の通知が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当の要求を確認できないならばNOと判定し、ACT218へと進む。
ACT218としてプロセッサ31は、取引終了が通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ31は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT217へと戻る。
かくしてプロセッサ31はACT217及びACT218としては、決済額通知の要求又は決済完了の通知を待ち受ける。そしてプロセッサ31は、前述のように決済額の通知がカート端末400から要求されたならばACT217にてYESと判定し、ACT219へと進む。
【0117】
ACT219としてプロセッサ31は、処理対象となっている取引の取引コードの通知を伴って、決済額通知の要求を仮想POSサーバ2に転送する。プロセッサ31はこのとき、カート端末400から送られてきた要求データをそのまま仮想POSサーバ2に転送してもよいし、何らかの処理による変換後の要求データを仮想POSサーバ2に送信してもよい。
【0118】
仮想POSサーバ2においてプロセッサ21は、
図16中のACT302~ACT306の待受状態にあるときに決済額通知に関する要求データがモバイルコントローラ3から転送されてきたならば、ACT304にてYESと判定し、ACT311へと進む。
ACT311としてプロセッサ21は、処理対象となっている取引に関する決済額を算出する。プロセッサ21は例えば、決済額通知に関する要求データに含まれた取引コードがフィールドFBAにセットされたデータレコードDRCBに基づき、購入商品として登録されている商品の代価を算出し、これを決済額とする。決済額の算出のための具体的な処理は、例えば既存のPOS端末などで行われているのと同様な処理であってよい。
ACT312としてプロセッサ21は、算出した決済額をモバイルコントローラ3に対して通知する。そしてプロセッサ21はこののち、ACT302乃至ACT306の待受状態に戻る。
【0119】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図15中のACT219にて要求を転送したのちには、ACT220へと進む。
ACT220としてプロセッサ31は、決済額が通知されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ31は、上記のようにして仮想POSサーバ2から決済額が通知されたならばYESと判定し、ACT221へと進む。
ACT221としてプロセッサ31は、仮想POSサーバ2から通知された決済額をカート端末400へと通知する。
【0120】
カート端末400にてプロセッサ4011は、
図11中のACT135として決済額の通知を要求したのちには、ACT136へと進む。
ACT136としてプロセッサ4011は、決済額が通知されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ4011は、上記のようにしてモバイルコントローラ3から決済額が通知されたならばYESと判定し、ACT137へと進む。
ACT137としてプロセッサ4011は、ユーザ端末300に対して、決済を要求する。具体的にはプロセッサ4011は、無線通信ユニット4014により通信状態にあるユーザ端末300に対して、無線通信ユニット4014と無線通信ユニット306との無線通信を介して、決済を要求するための要求データを送信する。なおプロセッサ4011は、決済を要求するための要求データには、モバイルコントローラ3から通知された決済額を含める。
【0121】
さて、ユーザ端末300にてプロセッサ301は、
図13中のACT151にてチェックイン画面を表示させた後には、ACT152へと進む。
ACT152としてプロセッサ301は、カート端末400との無線接続が完了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ301は、前述のように無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線接続が確立されたならばYESと判定し、ACT153へと進む。
ACT153としてプロセッサ301は、上記の無線接続が切断されたか否かを確認する。そしてプロセッサ301は、無線接続が維持されているならばNOと判定し、ACT154へと進む。
ACT154としてプロセッサ301は、決済が要求されたか否かを確認する。そしてプロセッサ301は、該当の要求を確認できないならばNOと判定し、ACT153へと戻る。
かくしてプロセッサ301はACT153及びACT154としては、無線接続が切断されるか、決済が要求されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ301は、上述のようにカート端末400から送信された、決済を要求するための要求データが無線通信ユニット306により受信されると、ACT154にてYESと判定し、ACT155へと進む。このときにプロセッサ301は、受信された要求データを取り込んで、メインメモリ302又は補助記憶ユニット303に記憶させる。要求データは、決済額を含むから、決済額データに相当する。かくして会員証アプリAPDAに基づく情報処理をプロセッサ301が実行することによって、プロセッサ301を中枢部分とするコンピュータは第2の取得手段として機能する。
【0122】
ACT155としてプロセッサ301は、前述のように客の要求に応じてユーザ端末300に登録されてメインメモリ4012又は補助記憶ユニット4013に記憶されている決済データが有るか否かを確認する。そしてプロセッサ301は、該当する決済データが有るならば、YESと判定してACT156へと進む。
ACT156としてプロセッサ301は、メインメモリ4012又は補助記憶ユニット4013に記憶されている決済データを用いて、決済が要求されている決済額を決済可能であるか否かを確認する。プロセッサ301は具体的には、決済額及び決済データが予め定められた条件に合致するか否かを判定する。プロセッサ301は、複数の条件が定められているならば、それら複数の条件のそれぞれに合致するか否かを判定する。そしてプロセッサ301は、この判定の結果に基づいて、決済可能であるか否かを確認する。上記の条件は例えば、決済方法に応じて、例えば決済業者などにより定められた条件である。つまり上記の条件は例えば、電子マネーに関しては、電子マネー残高が決済額よりも多いか否かである。この他、客により予め設定された条件が上記の条件に含まれてもよい。例えば、決済に先立ち暗証コードの入力を必要とする設定が客によりなされているならば、正規の暗証コードがタッチパネル304での操作により入力されたか否かが、上記の条件の1つとして含まれる。そしてプロセッサ301は、決済が可能であるならばYESと判定し、ACT157へと進む。
【0123】
ACT157としてプロセッサ301は、決済が要求されている決済額をメインメモリ4012又は補助記憶ユニット4013に記憶されている決済データを用いて電子決済するための決済処理を実行する。この決済処理は例えば、スマートフォンなどを用いた電子決済のための周知の処理をそのまま適用できる。例えばプロセッサ301は、通信ネットワーク600を介して決済サーバ500と通信しながら、クレジットカード決済のための決済データを使用したオンライン決済のための処理を行う。あるいは例えばプロセッサ301は、電子マネー用のICチップに記憶された決済データに表される電子マネー残高を充当するオフライン決済のための処理を行う。プロセッサ301は、決済を完了したならば、ACT158へと進む。かくして会員証アプリAPDAに基づく情報処理をプロセッサ301が実行することによって、プロセッサ301を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。
ACT158としてプロセッサ301は、カート端末400に対して決済完了を通知する。プロセッサ31は例えば、決済完了の通知のための通知データを、無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信を介してカート端末400へと送信する。そしてプロセッサ301はこののち、ACT160へと進む。かくして会員証アプリAPDAに基づく情報処理をプロセッサ301が実行することによって、プロセッサ301を中枢部分とするコンピュータは送信手段として機能する。
【0124】
なおプロセッサ301は、メインメモリ4012又は補助記憶ユニット4013に決済データが記憶されていないならばACT155にて、また決済が不可であるならばACT156にて、それぞれNOと判定してACT159へと進む。
ACT159としてプロセッサ301は、カート端末400に対して決済不可を通知する。プロセッサ31は例えば、決済不可の通知のための通知データを、無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信を介してカート端末400へと送信する。そしてプロセッサ301は、この場合には、ACT157及びACT158を実行することなしにACT160へと進む。
【0125】
ACT160としてプロセッサ301は、カート端末400との無線接続が切断されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ301は、無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信が終了されたならばYESと判定し、ACT151へと戻る。なおプロセッサ301は、ACT153及びACT154の待受状態にあるときに無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信が終了されたならば、ACT153にてYESと判定し、ACT151へと戻る。
なお、無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信は、例えばユーザ端末300での客による指示に応じたプロセッサ301の制御の下に無線通信ユニット306により終了される。無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信は、例えばACT158又はACT159を終了したことに応じてのプロセッサ301の制御の下に無線通信ユニット306により終了される。無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信は、例えばカート端末400での客による指示に応じたプロセッサ4011の制御の下に無線通信ユニット4014により終了される。無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信は、例えばカート端末400での取引に関する処理が終了したことに応じたプロセッサ4011の制御の下に無線通信ユニット4014により終了される。なお、無線通信ユニット306と無線通信ユニット4014との無線通信を終了するためのプロセッサ301又はプロセッサ4011での処理に関する図示は省略している。
【0126】
カート端末400にてプロセッサ4011は、
図11中のACT137として決済を要求したのちには、ACT138へと進む。
ACT138としてプロセッサ4011は、決済完了が通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT139へと進む。
ACT139としてプロセッサ4011は、決済不可が通知されたか否かを確認する。そしてプロセッサ4011は、該当の通知を確認できないならばNOと判定し、ACT138へと戻る。
かくしてプロセッサ4011はACT138及びACT139としては、決済完了又は決済不可が通知されるのを待ち受ける。
【0127】
プロセッサ4011は、前述のようにユーザ端末300から決済完了が通知されたならばACT138にてYESと判定し、ACT140へと進む。
ACT140としてプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3に対して決済完了を通知する。プロセッサ4011は例えば、決済完了の通知のための通知データを、アクセスポイント6及び店内通信ネットワーク7介してモバイルコントローラ3へと送信する。
【0128】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図15中のACT221として決済額を通知したのちには、ACT222へと進む。
ACT222としてプロセッサ31は、決済完了が通知されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ31は、前述のようにカート端末400から決済完了が通知されたならばYESと判定し、ACT223へと進む。
ACT223としてプロセッサ31は、仮想POSサーバ2に対して決済完了を通知する。
【0129】
仮想POSサーバ2にてプロセッサ21は、
図16中のACT312として決済額の通知を行ったのちにはACT302乃至ACT306の待受状態に戻っているから、上記のように決済完了の通知を受けると、ACT305にてYESと判定し、
図17中のACT313へと進む。
ACT313としてプロセッサ21は、処理対象としている取引の管理を終了するべく取引データベースDBBAを更新する。プロセッサ21は例えば、処理対象としている取引の取引コードを含んだデータレコードを取引データベースDBBAから削除する。
ACT314としてプロセッサ21は、モバイルコントローラ3に取引の終了を通知する。そしてプロセッサ21は、これをもって取引処理を終了する。
【0130】
客は、代価の決済を会計機5で行いたい場合には、カート端末400のタッチパネル4016に表示された会計画面SCCにてボタンBUCBにタッチするなどの予め定められた操作により会計機5を指定する。これに応じてプロセッサ4011は、
図11中のACT134にてYESと判定し、ACT141へと進む。
なおプロセッサ4011は、モバイルコントローラ3から会計画面の表示が指示されたものの、ユーザ端末300と接続状態にないならば、ACT131にてNOと判定し、ACT141へと進む。この場合は、ユーザ端末300が指定されても、ユーザ端末300に決済を行わせることができないために、プロセッサ4011が会計機5での決済を選択するのである。これにより、会計機5を選択し直すための客の手間を省くことができる。なお、ユーザ端末300との無線接続を試み、接続できたならばACT132へと進むようにしてもよい。
またプロセッサ4011は、ユーザ端末300に決済を要求したものの、これに対してユーザ端末300から決済不可が通知されたならば、ACT139にてYESと判定し、ACT141へと進む。この場合は、ユーザ端末300にて決済することができないために、プロセッサ4011が会計機5での決済を選択し直すのである。これにより、会計機5を選択し直すための客の手間を省くことができる。
【0131】
ACT141としてプロセッサ4011は、会計バーコード画面をタッチパネル4016に表示させる。会計バーコード画面は、会計機5が仮想POSサーバ2から取引の内容に関するデータを取得するために必要となるデータを表した会計バーコードを表した画面である。なお、詳細な処理の図示は省略しているが、プロセッサ4011は、モバイルコントローラ3を介して仮想POSサーバ2から会計バーコードを取得して、当該会計バーコードを会計バーコード画面に表す。
【0132】
客は、他の客により使用されていない会計機5が備えるスキャナに、会計バーコードを読み取らせる。これに応じて会計機5は、会計バーコードが表すデータに従って、仮想POSサーバ2に決済データの転送を要求する。例えば会計機5は、会計バーコードが表すデータに含まれる取引コードを含んだ要求データを仮想POSサーバ2に送信する。
【0133】
仮想POSサーバ2にてプロセッサ21は、
図16に示すACT302~ACT306の待受状態にある取引処理の対象となっている取引の取引コードを含んだ転送要求のための要求データが受信されたならば、ACT306にてYESと判定し、
図17中のACT315へと進む。
ACT315としてプロセッサ21は、取引処理の対象となっている取引の内容を表し、会計機5での会計のために必要な会計データを、転送を要求した会計機5に対して送信する。なお会計データは、例えば既存のセミセルフタイプの取引処理システムにおいて登録機から会計機へと転送されているデータと同様なデータであってよい。
ACT316としてプロセッサ21は、上記のように会計データを送信した会計機5での決済が完了するのを待ち受ける。
【0134】
会計機5は、仮想POSサーバ2から送信された会計データを受信したならば、操作者による操作を受けながら、取引の代価を決済する。また会計機5は、レシート又はクーポンなどの各種の印刷物を必要に応じて発行する。会計機5は、決済が完了したならば、その旨を仮想POSサーバ2に通知する。これに応じて仮想POSサーバ2にてプロセッサ21は、ACT316にてYESと判定し、ACT317へと進む。
ACT317としてプロセッサ21は、処理対象としている取引の管理を終了するべく取引データベースDB21を更新する。プロセッサ21は例えば、処理対象としている取引の取引コードを含んだデータレコードを取引データベースDB21から削除する。
ACT318としてプロセッサ21は、モバイルコントローラ3に取引の終了を通知する。そしてプロセッサ21は、これをもって取引処理を終了する。
【0135】
モバイルコントローラ3にてプロセッサ31は、
図15中のACT223として決済完了を通知したのちには、ACT224へと進む。
ACT224としてプロセッサ31は、取引終了が通知されるのを待ち受ける。仮想POSサーバ2にてプロセッサ21が前述のように
図17中のACT314として取引終了の通知を行う際には、プロセッサ31はこのACT224の待受状態にある。
一方で、仮想POSサーバ2にてプロセッサ21が前述のように
図17中のACT318として取引終了の通知を行う際には、プロセッサ31は
図15中のACT217及びACT218の待受状態にある。
かくしてプロセッサ31は、
図17中のACT314として取引終了の通知に対しては
図15中のACT224にてYESと判定し、また
図17中のACT318として取引終了の通知に対しては
図15中のACT218にてYESと判定し、いずれもACT225へと進む。
【0136】
ACT225としてプロセッサ31は、カート端末400に対して取引終了を通知する。
ACT226としてプロセッサ31は、当該の仲介処理においてメインメモリ302又は補助記憶ユニット303に一時的に記憶してある各種のデータをクリアする。このときプロセッサ31は、処理対象となっている取引に関連付けられたデータレコードDRCBを、取引管理データベースDBCAから削除してもよいし、削除せずに残しておいてもよい。そしてプロセッサ31は、これをもって仲介処理を終了する。
【0137】
カート端末400としてプロセッサ4011は、
図11中のACT140として決済完了を通知したのちと、ACT141として会計バーコード画面を表示させたのちには、ACT142へと進む。
ACT142としてプロセッサ4011は、取引の終了が通知されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ4011は、上述のようにモバイルコントローラ3から取引終了が通知されたならばYESと判定し、ACT143へと進む。
ACT143としてプロセッサ4011は、完了画面をタッチパネル4016に表示させる。完了画面は、取引が終了したことを客に報知するための画面である。
【0138】
客は、完了画面を確認したならば、完了画面に表されたボタンにタッチするなどの予め定められた操作によって、確認したことを宣言する。これに応じてプロセッサ4011はACT144へと進む。なおプロセッサ4011は、完了画面を表示した状態での経過時間が予め定めた時間に到達した場合に、ACT144へと進んでもよい。
ACT144としてプロセッサ4011は、当該のUI処理においてメインメモリ4012又は補助記憶ユニット4013に一時的に記憶してある各種のデータをクリアする。そしてプロセッサ4011はこののち、
図9中のACT101に戻る。
【0139】
以上のように本実施形態の取引処理システムは、カート端末400が、ユーザ端末300との直接の通信を利用して当該ユーザ端末300を認識する。そして、カート端末400での指定に応じてカート端末400にて登録した購入商品についての代価を、カート端末400からの要求に応じて、認識したユーザ端末300が、当該ユーザ端末300にて取得した決済データを利用した電子決済のための決済処理を実行する。これにより、不特定の客により利用されるカート端末400を用いて取引の内容を登録するようにしながら、カート端末400に決済データを入力することなしに、客の操作の応じての決済を完了できる。
【0140】
また本実施形態の取引処理システムでは、ユーザ端末300は、カート端末400との直接の通信を利用してカート端末400から決済額を取得する。これにより、客は、決済額をユーザ端末300に取得させるための特別な操作を行う必要がない。
【0141】
また本実施形態の取引処理システムでは、カート端末400は、ユーザ端末300との直接の通信を利用してユーザ端末300から決済完了の通知を受ける。これにより、客は、決済の完了の通知をカート端末400に取得させるための特別な操作を行う必要がない。
【0142】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
決済額データは、ユーザ端末300にてプロセッサ301が決済額を判定できるデータであれば、どのようなデータであってもよい。例えば、決済額データは、取引データベースDBBA中のデータレコード又は登録データベースDBCB中のデータレコードDRCBを含んでいてもよい。そしてプロセッサ301が、これらのデータレコードに基づいて決済額を算出してもよい。
【0143】
決済データをメインメモリ302又は補助記憶ユニット303に記憶せず、決済の要求を受けたユーザ端末300にてプロセッサ301が、例えば客による操作に応じて、決済データを取得してもよい。
【0144】
カート端末400からユーザ端末300への決済額の通知と、ユーザ端末300からカート端末400への決済完了の通知との少なくともいずれか一方は、無線通信ユニット306無線通信ユニット4014との無線通信とは別の通信を介して行われてもよいし、あるいは例えば二次元コードの表示及び読み取りなどの通信以外の方法によって行われてもよい。
【0145】
チェックイン時に、決済データが登録済みであるか否かをユーザ端末300からカート端末400に通知しておき、カート端末400にてプロセッサ4011は、
図9中のACT114にてYESと判定した場合には、決済データが登録済みであるならばACT131又はACT135に進み、決済データが未登録であるならばACT141に進んでもよい。
【0146】
チェックイン時にユーザ認証を行わず、客が所持する通信端末との通信が確立できれば、これをもって当該通信端末をユーザ端末300として認識するのでもよい。
【0147】
ユーザ端末300とカート端末400との無線接続のための処理は、ユーザ端末300から開始してもよい。例えば、無線通信ユニット4014との無線接続を確立するための予め定められた接続データを含んだチェックインコードを表すバーコードを、カート端末400のタッチパネル4016に表示するか、あるいはカート端末400又はショッピングカート700に貼り付けたラベルに表しておく。そして、当該バーコードをカメラ305により撮影した画像からプロセッサ301がチェックインコードを取得し、これに含まれる接続データに応じた接続を無線通信ユニット306に指示する。
【0148】
モバイルコントローラ3を備えることなく、仮想POSサーバ2にてユーザ端末300及びカート端末400からの要求を直接に受け付けるようにしてもよい。
【0149】
複数の仮想POSサーバ2を備え、これら複数の仮想POSサーバ2により複数の取引処理を分担して実行してもよい。また、1つの取引処理を複数の情報処理装置で分担して処理してもよい。例えば購入商品の登録のための処理と決済のための処理とを別々の情報処理装置で実行してもよい。
【0150】
取引処理システムで処理の対象とする取引は、店舗に陳列された商品の販売には限らず、例えば飲食物を調理して提供するなどの別の形態の取引であってもよい。
【0151】
カート端末400に代えて、ショッピングカート700に取り付けられることなくユーザにより携帯される端末が用いられてもよいし、そのような端末とカート端末400とが混在していてもよい。
【0152】
情報処理によりプロセッサ11,21,31,301,4011が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
100…店舗システム、200…中継サーバ、300…ユーザ端末、400…カート端末、500…決済サーバ、600…通信ネットワーク、700…ショッピングカート、1…店舗サーバ、2…仮想POSサーバ、3…モバイルコントローラ、4…通信サーバ、5…会計機、6…アクセスポイント、7…店内通信ネットワーク、11,21,31,301,4011…プロセッサ、12,22,32,302,4012…メインメモリ、13,23,33,303,4013…補助記憶ユニット、14,24,34…通信インタフェース、304,4016…タッチパネル、305,404…カメラ、306,4014,4015…無線通信ユニット、307…モバイル通信ユニット、401…タブレットコンピュータ、402…スキャナ、403…リーダ、4017…サウンドユニット、4018…インタフェースユニット。