(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098013
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】マルチバンド受信デバイスおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/04 20090101AFI20240711BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240711BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20240711BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240711BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W72/0453
H04W72/0457 110
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079592
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2021527060の分割
【原出願日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】10201810792S
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(57)【要約】
【課題】マルチバンド通信のためのデバイスおよび方法を提供すること。
【解決手段】マルチバンド受信デバイスは、マルチバンド送信デバイスから複数の周波数帯域で送信された、単一のトラフィック識別子(TID)に属する複数のMACレイヤプロトコルデータユニット(MPDU)を受信する受信部と、ある周波数帯域で送信された一つ以上のMPDUを含む前記複数のMPDUの各々の受信状態を示すマルチバンドブロック確認応答フレームを前記周波数帯域とは異なる第1の周波数帯域上で送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記単一のTIDに属する複数のMPDUのうち、前記複数の周波数帯域の中の一つの周波数帯域において送信されたMPDUのみの受信状態を示す帯域毎のブロック確認応答フレームを前記一つの周波数帯域で送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチバンド送信デバイスから複数の周波数帯域で送信された、単一のトラフィック識別子(TID)に属する複数のMACレイヤプロトコルデータユニット(MPDU)を受信する受信部と、
ある周波数帯域で送信された一つ以上のMPDUを含む前記複数のMPDUの各々の受信状態を示すマルチバンドブロック確認応答フレームを前記周波数帯域とは異なる第1の周波数帯域上で送信する送信部と、
を備え、
前記送信部は、前記単一のTIDに属する複数のMPDUのうち、前記複数の周波数帯域の中の一つの周波数帯域において送信されたMPDUのみの受信状態を示す帯域毎のブロック確認応答フレームを前記一つの周波数帯域で送信する、
マルチバンド受信デバイス。
【請求項2】
トラフィックストリーム追加(ADDTS)要求フレームとトラフィックストリーム追加(ADDTS)応答フレームとを前記マルチバンド受信デバイスとの間で交換することにより、前記TIDに対する単一のマルチバンドブロック確認アグリーメントを形成する、
請求項1に記載のマルチバンド受信デバイス。
【請求項3】
前記受信部は、前記複数のMPDUのうち、ある周波数帯域で送信された一部のMPDUの受信状態を示す帯域毎のブロック確認を別の周波数帯域で送信する、
請求項1に記載のマルチバンド受信デバイス。
【請求項4】
前記複数のMPDUは、前記複数の周波数帯域のうちいずれで送信されてもよい、
請求項1に記載のマルチバンド受信デバイス。
【請求項5】
前記複数の周波数帯域のうちの第1の周波数帯域で送信された第1のMPDUの受信に失敗したことを示すマルチバンドブロック確認応答フレームを送信した後、前記受信部は、前記複数の周波数帯域のうちの前記第1の周波数帯域とは異なる前記複数の周波数帯域のうちの第2の周波数帯域で再送された前記第1のMPDUを受信する、
請求項1に記載のマルチバンド受信デバイス。
【請求項6】
前記受信部は、一つ以上の帯域毎情報フィールドを含むマルチバンドブロック確認要求フレームを受信し、前記一つ以上の帯域毎情報フィールドの各々は、当該周波数帯域において、ブロック確認応答が要求される前記TIDを示すTID値フィールドを含む、
請求項5に記載のマルチバンド受信デバイス。
【請求項7】
マルチバンド受信デバイスのための通信方法であって、
マルチバンド送信デバイスから複数の周波数帯域で送信された、単一のトラフィック識別子(TID)に属する複数のMACレイヤプロトコルデータユニット(MPDU)を受信し、
ある周波数帯域で送信された一つ以上のMPDUを含む前記複数のMPDUの各々の受信状態を示すマルチバンドブロック確認応答フレームを前記周波数帯域とは異なる第1の周波数帯域上で送信し、
前記単一のTIDに属する複数のMPDUのうち、前記複数の周波数帯域の中の一つの周波数帯域において送信されたMPDUのみの受信状態を示す帯域毎のブロック確認応答フレームを前記一つの周波数帯域で送信する、
通信方法。
【請求項8】
トラフィックストリーム追加(ADDTS)要求フレームとトラフィックストリーム追加(ADDTS)応答フレームとを前記マルチバンド受信デバイスとの間で交換することにより、前記TIDに対する単一のマルチバンドブロック確認アグリーメントを形成する、
請求項7記載の通信方法。
【請求項9】
前記複数のMPDUのうち、ある周波数帯域で送信された一部のMPDUの受信状態を示す帯域毎のブロック確認を別の周波数帯域で送信する、
請求項7に記載の通信方法。
【請求項10】
前記複数のMPDUは、前記複数の周波数帯域のうちいずれで送信されてもよい、
請求項7に記載の通信方法。
【請求項11】
前記複数の周波数帯域のうちの第1の周波数帯域で送信された第1のMPDUの受信に失敗したことを示すマルチバンドブロック確認応答フレームを送信したことに後、前記複数の周波数帯域のうちの前記第1の周波数帯域とは異なる前記複数の周波数帯域のうちの第2の周波数帯域で再送された前記第1のMPDUを受信する、
請求項7に記載の通信方法。
【請求項12】
一つ以上の帯域毎情報フィールドを含むマルチバンドブロック確認要求フレームを受信し、前記一つ以上の帯域毎情報フィールドの各々は、当該周波数帯域において、ブロック確認応答が要求される前記TIDを示すTID値フィールドを含む、
請求項11に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、一般に、通信デバイスに関し、詳細には、マルチバンドトラフィックストリームを伴うマルチバンド通信のための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の世界では、通信デバイスは、有線コンピューティングデバイスと同等の能力で無線で動作することが期待されている。例えば、ユーザは、ユーザの無線通信デバイスにストリーミングされた高精細度動画をシームレスに見ることができることを期待する。これは、通信デバイスと通信デバイスが無線接続するアクセスポイントとに課題を提示する。
【0003】
近年、電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11グループが、上記課題に対処するために超高スループット(EHT:Extreme High Throughput)検討グループを形成した。2.4GHz周波数帯域、5GHz周波数帯域、および6GHz周波数帯域でのマルチバンド動作が、そのような通信の鍵となる候補技術とみなされている。複数の帯域にわたるマルチチャネルアグリゲーションが、通信データスループットを何倍にも増加させる自然な方法である。現在のIEEE802.11デバイスでは、アクセスポイント(AP:Access Point)によるアクセスカテゴリ(AC:Access Category)に対するアドミッション制御が、(例えば、拡張分散チャネルアクセス(EDCA:Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセットエレメントにおける1つ以上のアドミッション制御必須(ACM:Admission Control Mandatory)サブフィールドを介して)必須となっている場合、通信デバイス(STA)は、APとともに(トラフィックストリーム追加(ADDTS:Add Traffic Stream)要求/応答交換を介して)、ACについてのトラフィックストリーム(TS:Traffic Stream)をセットアップする必要がある。対応するTIDに対するブロックAckアグリーメント(Block Ack agreement)も、(ブロックAck追加(ADDBA:Add Block Ack)要求/応答交換を介して)行われる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
非限定的かつ例示的な一実施の形態は、少なくとも、複数の送受信部と、メディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)回路と、を含むマルチバンド通信デバイスの提供に資する。複数の送受信部の各々は、動作時に、複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを送信する。MAC回路は、送受信部に結合され、動作時に、複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で、複数の周波数帯域で送信された信号フレームの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレームを受信する。
【0005】
非制限的かつ例示的な別の実施の形態は、複数の送受信部と、メディアアクセス制御(MAC)回路と、を含み、MAC回路は、動作時に、複数の周波数帯域で受信された信号フレームの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレームを生成し、複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域でマルチバンドブロック確認応答フレームを送信する、マルチバンド通信デバイスの提供に資する。
【0006】
なお、一般的な実施形態または具体的な実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして、実施できることに留意されたい。開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって、個別に得ることができる。ただし、このような恩恵および/または利点のうちの1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態に係る802.11無線ネットワーク基本サービスセット(BSS:Basic Service Set)の概要の例を示す図
【
図2】本実施の形態に係るアクセスポイント(AP)から通信デバイスへの通信の例を示す図
【
図3】本実施の形態に係るトラフィック識別子(TID:Traffic Identifier)に対するトラフィックストリーム(TS)およびブロックAck(BA:Block Ack)アグリーメントのセットアップの例を示す図
【
図4】マルチバンドAP102とマルチバンドSTA104との間の、現在のマルチバンド通信に従った、複数の帯域にわたるTSおよびBAのセットアップおよびその後の通信のための通信フローを示す図
【
図5】本実施の形態に係る、マルチバンドTSおよびマルチバンドBAのセットアップおよびその後の通信のためのマルチバンドAP102とマルチバンドSTA104との間の通信フローを示す図
【
図6】本実施の形態に係るマルチバンド拡張分散チャネルアクセス(EDCA)パラメータセットエレメントの例を示す図
【
図7】本実施の形態に係るマルチバンドADDTS要求フレームおよびマルチバンドADDTS応答フレームの例を示す図
【
図8】本実施の形態に係るマルチバンドADDBA要求フレームおよびマルチバンドADDBA応答フレームの例を示す図
【
図9】本実施の形態に係る
図7および
図8におけるマルチバンドエレメントの例を示す図
【
図10】本実施の形態に係るマルチバンド能力エレメントの例を示す図
【
図11】本実施の形態の第1の変形例に係るマルチバンドBlockAckReqフレームおよびマルチバンドBlockAckフレームの例を示す図
【
図12】本実施の形態に係るトラフィックストリームおよびブロックAckのアーキテクチャの例を示す図
【
図13】本実施の形態に係る第1の例示的なマルチバンド送信の例を示す図
【
図14】本実施の形態に係るマルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルの例を示す図
【
図15】本実施の形態に係る第2の例示的なマルチバンド送信の例を示す図
【
図16】本実施の形態に係るマルチバンドフレームバリアントタイプが定義されるマルチバンドBlockAckReqフレームの例を示す図
【
図17】本実施の形態に係る、BA情報(BA Information)フィールドのバリアントが定義されるマルチバンドBlockAckフレームの例を示す図
【
図18】本実施の形態に係る、
図14のマルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルの第1の変形の例を示す図
【
図19】本実施の形態に係る第3の例示的なマルチバンド送信として、遅延ブロックAck方式(delayed Block Ack scheme)の例を示す図
【
図20】本実施の形態に係る、マルチバンド送信およびマルチバンドブロックAckを処理するために定義されたトラフィックストリームおよびブロックAckのアーキテクチャの目的の例を示す図
【
図21】本実施の形態の第2の変形例に係るマルチバンドBlockAckReqフレームおよびマルチバンドBlockAckフレームの例を示す図
【
図22】本実施の形態に係る、
図14のマルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルの第2の変形の例を示す図
【
図23】本実施の形態に係る第4の例示的なマルチバンド送信として、暗黙的マルチバンドブロックAck要求方式の例を示す図
【
図24】本実施の形態に係るマルチバンド通信デバイスの簡略化されたブロック図
【
図25】本実施の形態に係るマルチバンド通信デバイスの詳細なブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面において、同一の参照番号は、別々の図を通して同一または機能的に同様の要素を指し、以下の詳細な説明とともに、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成し、様々な実施の形態を例示し、本実施の形態に係る様々な原理および利点を説明する役割を果たす。当業者であれば、図中の要素が平易にかつ明確に示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことが理解されよう。
【0009】
以下の詳細な説明は、本質的に例示にすぎず、実施の形態または実施の形態の適用および使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術またはこの詳細な説明において提示されるいかなる理論によっても制限されることを意図するものではない。特定のTIDに対する既存のIEEE802.11トラフィックストリーム(TS)およびブロックAck(BA)メカニズムは、単一の帯域に制限されるものと認められる。本実施の形態の目的は、マルチバンドアグリゲーションのスループット利得を十分に実現するために、複数の帯域にわたって動作するTSおよびBAメカニズムを提示することである。さらに、他の望ましい特徴および特性が、添付の図面および本開示の背景技術と併せることで、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0010】
図1を参照すると、基本サービスセット(BSS)としても知られる802.11無線ネットワーク100の概要の例が示されている。802.11無線ネットワーク100は、1つの再分配ポイントであるアクセスポイント(AP)102およびAP102に接続された複数の通信デバイス(STA)104を含む。現在のIEEE802.11 BSSは、各周波数帯域で独立したAPとして動作するマルチバンド対応APを用いて単一の周波数帯域で動作する。現在の大部分の802.11 STAは、シングルバンド(単一帯域)デバイスであり、一方、将来の802.11通信デバイス(例えば、超高スループット(EHT)通信デバイス)は、複数の周波数帯域で同時に動作可能であることが期待される。このような将来のAP102は、既存の802.11システムにおいてと同様に、2.4GHz周波数帯域、5GHz周波数帯域、または6GHz周波数帯域におけるBSSを別個のBSSとしてセットアップしてよく、この場合、STA104は、認証およびアソシエーションのレガシー手順に従って、3つの周波数帯域でBSSに参加していると想定される。あるいは、将来のAP102は、BSS100において示されているように、複数の周波数帯域(すなわち、2.4GHz周波数帯域106、5GHz周波数帯域108、および6GHz周波数帯域110)で動作する統一/仮想BSSを動作させてもよい。この場合、STA104は、各周波数帯域での個々の認証およびアソシエーションの要求/応答を介して、または、これらの周波数帯域のうちのいずれか1つの周波数帯域でのマルチバンド認証およびアソシエーションの要求/応答を介して、3つのすべての周波数帯域で統一/仮想BSS100に参加していると想定される。
【0011】
図2は、AP102からSTA104へのビデオファイル202の通信の例200を示している。マルチバンドアグリゲーションのスループット利得を十分に実現するために、複数の帯域にわたって動作するトラフィックストリーム(TS)およびブロック確認応答(BA:Block Acknowledgement)のメカニズムが望まれる。このようなマルチバンドTSおよびBAは、複数の帯域(例えば、2.4GHz帯204、5GHz帯206および6GHz帯208)にわたるトラフィックのアグリゲーションを可能にすることによって、デバイススループットを何倍にも増加させることに役立ち得る。高解像度ビデオ202(例えば、高精細度(HD)もしくは4Kまたは8Kのビデオ)のストリーミングが、そのようなマルチバンド送信を必要とすることがある。AP102のインターネットプロトコル(IP)レイヤ210において、ビデオファイル202は小さなIPパケットに分割される。AP102の802.11メディアアクセス制御(MAC)レイヤ212は、IPパケットを802.11MACレイヤプロトコルデータユニット(MPDU:Mac layer Protocol Data Unit)に変換し、MAC TXキュー214に送り、次に、MAC TXキュー214は、2.4GHz周波数帯域204、5GHz周波数帯域206、および6GHz周波数帯域208での同時送信のために、下位MACレイヤ212および物理レイヤ(PHY)222における送受信部216,218,220にそれぞれMPDUを提供する。このようにして、MPDU224は、2.4GHz周波数帯域204を介して、MPDU226は、5GHz周波数帯域206を介して、MPDU228は、6GHz周波数帯域208を介して、受信側デバイスであるSTA104に送信される。
【0012】
受信側デバイスでは、MPDU224,226,228は、PHYレイヤ236および下位MACレイヤ238における送受信部230,232,234によって受信される。MPDU224,226,228は、MACレイヤ238によって収集され、MAC RXキュー240に渡される前に、また、IPパケットが結合されて元のビデオファイル202を形成するIPレイヤ242に渡される前に、必要に応じて元の順序に並べ替えられる。
【0013】
現在の802.11通信デバイスでは、通常、アドミッション制御は、ビデオ(AC_VO)または音声(AC_VI)等の高優先度トラフィックに対してサービス品質(QoS)レベルを維持するために必須とされる。アクセスカテゴリ(AC)に対するアドミッション制御が、APによって(例えば、拡張分散チャネルアクセス(EDCA)パラメータセットエレメント内のアドミッション制御必須(ACM)サブフィールドを介して)必須となっている場合、STAは、トラフィックストリーム追加(ADDTS)要求/応答交換を介して、アクセスカテゴリ(AC)に対するTSをAPとともにセットアップする必要がある。ADDTS要求フレームおよびADDTS応答フレーム内のトラフィック仕様(TSPEC:Traffic Specification)エレメントは、トラフィックストリーム識別子(TSID)、方向、MSDUサイズ、最小および最大間隔範囲、ならびに、最小データレート、平均データレートおよびピークデータレート等を含む、TSに関連する様々なパラメータを規定する。
【0014】
また、対応するTIDに対するブロックAckアグリーメントが、ブロックAck追加(ADDBA)要求/応答交換を介して行われる必要がある。トラフィックストリームおよびブロックAckアグリーメントは、ADDTSおよびADDBAの要求/応答交換のそれぞれにマルチバンドエレメントを含めることによって、または、オンチャネルトンネリング(OCT:On-Channel Tunneling)を介して、異なる周波数帯域についてセットアップされてもよい。
【0015】
新しい高優先度トラフィックを未管理のまま無線ネットワークに追加すると、既存のトラフィックのQoSに悪影響を与えるおそれがあるため、APは、通常、そのようなトラフィックに対するアドミッション制御を必須とする。大量の既存のトラフィックが存在する場合、APは、そのアクセスカテゴリ(AC)のためのトラフィックストリームをセットアップするようにとのSTAの要求を拒否してもよい。
【0016】
本実施の形態に係るマルチバンド送信を達成するためには、現在のTSおよびBAセットアップが特定の帯域のMACレイヤ間でセットアップされるため、TSおよびBAの動作に対する変更が必要とされる。
図3を参照すると、例300は、本実施の形態に係る、送信機(TX)通信デバイス302と受信機(RX)通信デバイス304との間でセットアップされる、トラフィック識別子(TID)に対するトラフィックストリーム(TS)およびブロックAck(BA)アグリーメントを示している。TSおよびBAアグリーメントは、通常、ペアとしてセットアップされ、BAアグリーメントは、TS方向と反対方向にセットアップされる。TS306,308,310は、送信機302から受信機304へのデータ送信のために、各帯域のTX MACレイヤ318,320,322と各帯域の対応するRX MACレイヤ324,326,328との間でセットアップされ、一方、BAアグリーメント312,314,316は、受信機から送信機へのBAの送信のために、RX MACレイヤ324,326,328とTX MACレイヤ318,320,322との間で、反対方向にセットアップされて、TS306,308,310に対応するデータ送信の確認応答をそれぞれ行う。
【0017】
送信機側では、TX上位レイヤ330およびTX論理リンク制御(LLC:Logical Link Control)レイヤ332が、特定のTIDに対する送信にいずれの帯域を使用するかの決定を行う。各TS306,308,310のMPDUが、各帯域のTX MACレイヤ(MACレイヤ318,320,322)において生成され、同じ帯域のピアRX MACレイヤ(MACレイヤ324,326,328)宛にアドレス指定される。受信側では、異なる帯域で受信されたMACサービスデータユニット(MSDU:MAC Service Data Unit)の並び替えが、RX LLCレイヤ334によって行われ、RX上位レイヤ336に渡される。各TS306,308,310のMPDUに対応するブロックAck(BA)が、同じ帯域のRX MACレイヤ(MACレイヤ324,326,328)において生成され、各帯域のピアTX MACレイヤ(MACレイヤ318,320,322)宛にアドレス指定される。BAが受信されなかった場合、または、BAビットマップ(0に設定されたMPDUに対応するビット)においてMPDUの確認応答が行われなかった場合、確認応答が行われなかったMPDUについて送信が失敗したと判断される。確認応答が行われなかったMPDUのMACレイヤの再送が、
図4に示されているように、失敗した送信と同じ周波数帯域(2.4GHz、5GHz、6GHz)で行われる。
【0018】
図4は、現在のマルチバンド通信に従った、TSおよびBAセットアップおよびその後の通信のための、マルチバンドAP102とマルチバンドSTA104との間の通信フロー400を示している。任意の帯域においてビーコンフレーム内で受信されたEDCAパラメータセットエレメントが、任意のアクセスカテゴリ(AC)について設定されているアドミッション制御必須(ACM)ビットを有する場合、STAは、当該帯域で対応するTID/ACに属するデータフレームを送信する前に、当該TIDに対するトラフィックストリーム(TS)をAPとの間でセットアップする必要がある。特定のTIDに対するTSセットアップ410が、各帯域でADDTS要求/応答フレームを交換することによって、例えば、ダウンリンクデータ送信(すなわち、APから非APデバイスへの送信)のために、帯域毎に個別に実行される。ADDTS要求は、実際のデータ送信の方向にかかわらず、必ず非AP STAによって開始される。同様に、特定のTIDに対するBAセットアップ420が、各帯域でADDBA要求/応答フレームを交換することによって、帯域毎に個別に実行される。ADDBA要求は、対応するTSの送信機デバイス(この場合、AP)によって開始される。TSおよびBAが各帯域でセットアップされると、データ送信および対応するBA送信が各帯域で行われてよい(例えば、6GHz帯で送信430、5GHz帯で送信440、2.4GHz帯で送信450が行われてよい)。各帯域におけるデータ送信430,440,450のためのBlockAckフレームが、BlockAckReqフレームを介して要求され、要求されたBlockAckフレームは、同じ帯域で送信される。送信430,440,450が異なる帯域で行われるため、これらの送信は、同時にまたは重複した時間に行われてよく、それによってマルチバンド送信が達成される。
【0019】
データフレームの送信が失敗したと判断された場合(例えば、データ送信452において、BlockAckフレームにおいて示されるように)、当該データフレームは同じ帯域で再送される(例えば、再送454)。
【0020】
マルチバンド送信は、このアプローチで達成され得るが、スケジューリング、帯域選択、再送、および他の責務は、上位レイヤ330,336(
図3)に委ねられ、これらの上位レイヤは、そのような決定を行うために必要なPHYレイヤ317,319,321,323,325,327の情報を有していなくてもよい。MACレイヤがPHYレイヤのより良い情報/制御を有しているため、マルチバンド送信の決定がMACレイヤ318,320,322,324,326,328において行われる方がより良いであろう。
【0021】
図5は、本実施の形態に係る、TSおよびBAセットアップおよびその後の通信のための、マルチバンドAP102とマルチバンドSTA104との間の通信フローを示している。マルチバンド対応STA104は、電力を節約するために、単一の帯域で送信されたビーコンフレームをリスンすることを選択することができる。レガシーEDCAパラメータセットエレメントとは別に、プライマリバンド(例えば、5GHz帯)のビーコンフレーム502は、ビーコンフレーム502が送信される帯域以外の帯域についてのEDCAパラメータを示すために、マルチバンドEDCAパラメータセットエレメントを運ぶことができる。ビーコンフレーム502内のACMビットが、いずれかの帯域におけるいずれかのACについて「1」に設定されている場合、STA104は、示された帯域で当該ACに対応するTID/ACに属するデータフレームを送信する前に、当該帯域で当該TIDに対するトラフィックストリーム(TS)をセットアップする必要がある。あるいは、STA104は、「1」に設定されたACMビットを運ぶレガシーEDCAパラメータセットエレメントを用いて、各帯域で別々にビーコンフレームを受信していてもよい。
【0022】
送信機および受信機の両方が、マルチバンドTSおよびマルチバンドBAをサポートし、マルチバンド能力(multi-band capability)エレメント(マルチバンドTSおよびブロックAck(Multi-band TS and Block Ack)フィールドを含むマルチバンド能力エレメントは、
図10においてより詳細に論じられる)内のマルチバンドTSおよびブロックAckフィールド内で能力を示している場合、マルチバンド(例えば、2.4GHz、5GHz、および6GHzの3つの帯域)に適用可能な特定のTIDに対するマルチバンドTSセットアップ510(例えば、ダウンリンクトラフィックのためのセットアップ)が、本実施の形態に従って、一度のフレーム交換を用いて(例えば、プライマリバンドにおけるチャネルで)行われてよい。同様に、マルチバンド(例えば、2.4GHz、5GHzおよび6GHzの3つの帯域)に対して適用可能なTIDに対するマルチバンドBAセットアップ520が、本実施の形態に従って、一度のフレーム交換を用いて(例えば、プライマリバンドにおけるチャネルで)行われてよい。マルチバンドADDTS要求フレーム512およびマルチバンドADDTS応答フレーム514が、複数の帯域にわたるTIDに対するTSセットアップ516をネゴシエートするために使用される。同様に、マルチバンドADDBA要求522およびマルチバンドADDBA応答524が、複数の帯域にわたるTIDに対するBAセットアップ526をネゴシエートするために使用される。このダウンリンクトラフィックの例では、マルチバンドADDBA要求522は、AP102によってSTA104に送信される。マルチバンドTSセットアップ510がアップリンクトラフィックのためのものであった場合、マルチバンドADDBA要求は、反対方向に、すなわちSTA104によってAP102に送信される。
【0023】
マルチバンドTS516およびマルチバンドBA526が複数の帯域でセットアップされると、AP102は、STA104へのマルチバンド送信530を開始することに進むことができる。マルチバンド送信530は、QoSデータA-MPDU536a、536b、および536c内の同じTS(TID/AC)に属するフレームをそれぞれ、3つの帯域でSTA104に同時に送信することを含む。
【0024】
マルチバンド送信530が完了すると、AP102は、3つの帯域で受信されたフレーム536a、536b、536cの確認応答を行うマルチバンドブロックAckを要求するマルチバンドBlockAckReq532を、これらの帯域のうちのいずれかの帯域(例えば、プライマリバンド)でSTA104に送信してよい。STA104は、APからマルチバンドBlockAckReq532を受信すると、STAがQoSデータA-MPDU536aおよび536bの受信に成功したが、2.4GHz帯で送信されたQoSデータA-MPDU536cの受信には失敗したことを示すマルチバンドブロックAck534を、マルチバンドBlockAckReq532が受信されたのと同じ帯域で送信する。周波数ダイバーシチを用いることによって再送の成功率を向上させるために、AP102は、本実施の形態に従って、元の送信に使用された2.4GHz帯の代わりに、6GHz帯でQoSデータA-MPDU538を再送することを選択することができる。
【0025】
その後、AP102は、6GHz帯で受信されたフレームの確認応答を行う統合BAビットマップを運ぶマルチバンドブロックAck544を要求するマルチバンドBlockAckReq542を、異なる帯域で(例えば、プライマリバンドで)STA104に送信する。したがって、本実施の形態によれば、トラフィックストリームは、任意の1つの帯域での一度のマルチバンドADDTSフレーム交換512,514を用いて、複数の帯域にわたってセットアップされることが分かる。また、ブロックAckも、任意の1つの帯域での一度のマルチバンドADDBAフレーム交換522,524を用いて、複数の帯域にわたってセットアップされる。さらに、本実施の形態に従うと、統合マルチバンドブロックAckフレーム534が、マルチバンドアグリゲーションによる送信の確認応答を行い、マルチバンドブロックAckフレーム544が、別の帯域における送信の確認応答を行うために使用されてもよく、失敗したフレーム536cが、異なる帯域で再送(538)されてもよい。
【0026】
したがって、本実施の形態によれば、マルチバンド通信デバイス(例えば、AP102)は、複数の送受信部216,218,220を含み、これらの送受信部の各々は、動作時に、複数の周波数帯域204,206,208のうちの異なる周波数帯域で信号フレーム536c、536a、536bを送信する。マルチバンド通信デバイスはまた、複数の送受信部216,218,220に結合されたメディアアクセス制御(MAC)回路212も含み、MAC回路212は、動作時に、マルチバンドブロック確認応答フレーム534を要求するために、マルチバンドブロック確認応答要求フレーム532を生成し、複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域206でMACマルチバンドブロック確認応答要求フレーム532を送信する。その後、メディアアクセス制御(MAC)回路212は、複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域206で、複数の周波数帯域で送信された信号フレーム536a、536b、536cの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレーム534を受信する。
【0027】
さらに、本実施の形態によれば、マルチバンド通信デバイス(例えば、STA104)は、MAC回路238に結合された複数の送受信部230,232,234を含む。複数の送受信部230,232,234の各々は、動作時に、複数の周波数帯域204,206,208のうちの異なる帯域で信号フレーム536a、536b、536cを受信する。MAC回路238は、動作時に、複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域206でマルチバンドブロック確認応答要求フレーム532を受信すると、複数の周波数帯域204,206,208で受信された信号フレーム536a、536b、536cの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレーム534を生成し、複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域206でマルチバンドブロック確認応答フレーム534を送信する。
【0028】
図6は、本実施の形態に係るビーコンフレーム402(
図4)内のマルチバンドEDCAパラメータセットエレメント610の例600を示している。マルチバンドEDCAパラメータセットエレメント610は、ビーコンフレーム402が送信される帯域以外の帯域に対するEDCAパラメータを示す。適用可能な帯域が、帯域ID(Band ID)フィールド612によって示される。特定のACに対するパラメータレコード(Parameter Record)フィールド620の各々のフォーマットが示されている。いずれかの帯域におけるいずれかのACについてACMビット622が「1」に設定されている場合、STAは、示される帯域で当該ACに対応するTID/ACに属するデータフレームを送信する前に、当該帯域で当該TIDに対するトラフィックストリーム(TS)をセットアップする必要がある。あるいは、STAは、「1」に設定されたACMビット622を運ぶレガシーEDCAパラメータセットエレメントを含むビーコンフレームを、各帯域で別々に受信してもよい。
【0029】
図7は、本実施の形態に係るマルチバンドADDTS要求フレーム710およびマルチバンドADDTS応答フレーム720の例700を示し、
図8は、本実施の形態に係るマルチバンドADDBA要求フレーム810およびマルチバンドADDBA応答フレーム820の例800を示している。マルチバンドADDTS要求フレーム710およびマルチバンドADDTS応答フレーム720は、マルチバンドADDTS要求フレーム710およびマルチバンドADDTS応答フレーム720の各々における1つ以上のマルチバンドエレメント750内の情報に応じて複数の帯域にわたるTIDに対するTSセットアップをネゴシエートするために使用される。同様に、マルチバンドADDBA要求フレーム810およびマルチバンドADDBA応答フレーム820は、マルチバンドADDBA要求フレーム810およびマルチバンドADDBA応答フレーム820の各々における1つ以上のマルチバンドエレメント750内の情報に応じて複数の帯域にわたるTIDに対するBAセットアップをネゴシエートするために使用される。
【0030】
図9を参照すると、例900は、本実施の形態に係るマルチバンドエレメント750を示している。マルチバンドエレメント750は、TSまたはBAアグリーメントが適用される(送信が行われる帯域とは別の)追加の帯域を示す。マルチバンドエレメント750はまた、その帯域において使用されるMACアドレスを含んでもよい。
【0031】
マルチバンドエレメント750は、いくつかのフィールドと共にマルチバンド制御(Multi-band control)フィールド910を含み、マルチバンド制御(Multi-band control)フィールド910は、帯域間(Inter-band)フィールド920を含むいくつかのフィールドを含む。帯域間フィールド920は、マルチバンドTSおよびBAセットアップにおいて使用するためのマルチバンドエレメントを区別するために使用される。帯域間フィールド920が「1」に設定されている場合、これは、エレメントを運ぶフレームが送信される帯域に加えて、対応するセットアップが帯域IDフィールド930において示される帯域に適用されることを示す。したがって、帯域間フィールド920は、本実施の形態に係るマルチバンドADDTSおよびマルチバンドADDBAセットアップのためのマルチバンドエレメント750が含まれることと、異なる帯域で行われる従来のADDTSおよびADDBAセットアップのための使用と、を区別することに役立つ。
【0032】
図7および
図8において、マルチバンドADDTS要求フレーム710、マルチバンドADDTS応答フレーム720、マルチバンドADDBA要求フレーム810、およびマルチバンドADDBA応答フレーム820の各々は、2つのマルチバンドエレメント750を含み、これらのマルチバンドエレメント750では、帯域間フィールド920が「1」に設定され、第1マルチバンドエレメント750では、帯域IDフィールド930が2.4GHzに設定され、第2マルチバンドエレメント750では、帯域IDフィールド930が6GHzに設定されている。フレームが5GHz帯で送信されるため、これは3つの帯域でのマルチバンドセットアップを示す。
【0033】
この例では、マルチバンドADDBA要求810は、AP102によってSTA104に送信されるが、マルチバンドTSセットアップ510がアップリンクトラフィックのためのものであった場合、マルチバンドADDBA要求は、STA104によってAP102に送信されることになる。TSおよびBAがマルチバンドで設定されると、AP102は、STA104へのマルチバンド送信530を開始することに進むことができる。マルチバンド送信530は、3つの帯域にわたるSTA104への、同じTS(TID/AC)に属するフレームの同時送信を含む。
【0034】
図10は、本実施の形態に係るマルチバンド能力エレメント1010の例1000を示している。送信機および受信機がいずれも、マルチバンドTSおよびマルチバンドBAをサポートし、マルチバンド能力エレメント1010内のマルチバンドTSおよびブロックAckフィールド1020において能力を示している場合、マルチバンドに適用可能な特定のTIDに対するマルチバンドTSセットアップ510(ダウンリンクトラフィック)およびマルチバンドBAセットアップ520が、例えば、プライマリバンドにおけるチャネルで一度のフレーム交換を用いて行われてよい。マルチバンドTSおよびブロックAckフィールド1020はまた、AP102およびSTA104がマルチバンドTSおよびマルチバンドBA機能をサポートするかどうかを示し、サポート帯域(Supported Bands)フィールド1030は、AP102およびSTA104によってサポートされる周波数帯域を示す。
【0035】
図11は、本実施の形態の第1の変形例に係るマルチバンドBlockAckReqフレーム1100およびマルチバンドBlockAckフレーム1150の例を示している。マルチバンド送信530が完了すると、AP102は、マルチバンドBlockAckReqフレーム1100をいずれかの帯域(例えば、プライマリバンド)でSTAに送信して、マルチバンドBlockAckフレーム1150を要求することができる。マルチバンドBlockAckフレーム1150は、BA情報(BA Information)フィールド1152内に統合BAビットマップを含み、3つの帯域で受信されたフレームの確認応答を行う。マルチバンド(Multi-Band)フィールド1110およびマルチバンドフィールド1160は、マルチバンドBlockAckReqフレーム1100およびマルチバンドBlockAckフレーム1150を、それぞれ、従来技術のシングルバンドBlockAckReqフレームおよび従来技術のシングルバンドBlockAckフレームと区別する。
【0036】
マルチバンドBlockAckフレーム1150内の統合BAビットマップは、受信機が、2.4GHz帯で送信されたQoSデータA-MPDU536cを受信することに失敗したことを示す。周波数ダイバーシチを用いることによって再送の成功率を向上させるために、AP102は、元の送信に使用された2.4GHz帯の代わりに、6GHz帯でQoSデータA-MPDU538を再送することを選択することができる。
【0037】
その後、AP102は、異なる帯域(例えば、プライマリバンド)でSTA104にマルチバンドBlockAckReqフレーム1100を送信して、6GHz帯で受信されたフレームの確認応答を行う統合BAビットマップを運ぶマルチバンドBlockAckフレーム1150を要求する。
【0038】
受信機アドレス(RA:Receiver Address)フィールドおよび送信機アドレス(TA:Transmitter Address)フィールドは、各帯域のワイヤレス無線インタフェースのMACアドレスとして設定される。しかしながら、RAフィールドおよびTAフィールドの内容にかかわらず、マルチバンドフィールド1110が「1」に設定されている場合、BlockAckReqフレーム1100は、フレームが受信される帯域にかかわらずTID_INFOフィールド1112において示されるTIDに属するフレームの確認応答を行うマルチバンドBlockAckフレームを要求するものとして解釈される。同様に、RAフィールドおよびTAフィールドの内容にかかわらず、マルチバンドフィールド1160が「1」に設定されている場合、マルチバンドBlockAckフレーム1150は、フレームが受信される帯域にかかわらずTID_INFOフィールド1162において示されるTIDに属するフレームの確認応答を行うBA情報(BA Information)フィールド1152において統合BAビットマップを運ぶ。
【0039】
したがって、本実施の形態に従うと、同じTIDに属するトラフィックは、複数の帯域にわたって分割されてよい。さらに、複数の帯域のためのブロックAckが、統合されて別の帯域で送信されてよい。この能力は、本実施の形態に従って、圧縮(Compressed)ブロックAck要求タイプ、マルチTID(Multi-TID)ブロックAck要求タイプ、マルチSTA(Multi-STA)ブロックAck要求タイプ、およびリトライを伴うグループキャスト(GCR:GroupCast with Retry)ブロックAck要求タイプ等の既存のブロックAck要求タイプのために提供される。
【0040】
図12は、本実施の形態に係るトラフィックストリームおよびブロックAckのアーキテクチャの例1200を示している。MACレイヤ318,320,322,324,326,328は、帯域に依存しない統一上位MAC(UMAC:Upper MAC)レイヤ1202,1204と帯域固有の下位MAC(LMAC:Lower MAC)レイヤ1206,1208,1210,1212,1214,1216とに分割される。TIDに対するマルチバンドトラフィックストリームアグリーメント1220,1222,1224およびマルチバンドブロックAckアグリーメント1230,1232,1234は、各帯域のそれぞれのMACレイヤの間でセットアップされる。
【0041】
上位レイヤ330およびLLCレイヤ332は、統一UMACレイヤ1202とやり取りし、上位レイヤ336およびLLCレイヤ334は、統一UMACレイヤ1204とやり取りすればよい。送信機302側では、統一UMACレイヤ1202は、3つのTSデータ経路1240,1242,1244にわたるTSデータのマルチバンドアグリゲーションを行い(すなわち、特定のトラフィックストリーム(TS)に属するフレームのアグリゲーションが異なる帯域にわたってなされてよい)、送信および再送のためにどの帯域を使用するかの決定を行う。送信に使用される実際の帯域は、上位レイヤに対して透過的(トランスペアレント)であってよい。受信機304の統一UMAC1204は、マルチバンドアグリゲーション解除(de-aggregation:デアグリゲーション)(すなわち、異なる帯域から受信された特定のトラフィックストリーム(TS)に属するフレームの並び替え)と、統合ブロックAckスコアカードに受信を記録することと、を担う。
【0042】
受信機304の統一UMAC1204は、選択された周波数帯域(この例では2.4GHz)のマルチバンドBA経路1250に沿ったマルチバンドブロックAck(BA)のマルチバンドブロックAck生成および送信も担う。送信機302は、マルチバンドブロックAck要求を送信することによって、任意の帯域でマルチバンドBAを要求してよい。受信機304は、マルチバンドブロックAck要求フレームの受信に応じて、または、マルチバンドブロックAckフレームを生成するようにとの暗黙的な要求に応じて、マルチバンドブロックAckを生成して送信する。マルチバンドBlockAckフレームは、それぞれの要求が受信されたのと同じ帯域で送信される。
【0043】
図13は、第1の周波数帯域1302(例えば、2.4GHz)、第2の周波数帯域1304(例えば、5GHz)および第3の周波数帯域1306(例えば、6GHz)での送信を示す、本実施の形態に係る第1の例示的なマルチバンド送信の例1300を示し、TIDに対するTSおよびBAセットアップが当該帯域で完了していると仮定する。各帯域1302,1304,1306におけるチャネルの帯域幅は、チャネル状態および利用可能性に応じて変わり得る(例えば、2.4GHz帯1302では20MHz、5GHz帯1304では80MHz、および6GHz帯1306では160MHz)。帯域1(1302)(例えば、2.4GHz帯)は、マルチバンドブロックAck要求フレーム1308およびマルチバンドブロックAckフレーム1310等の管理フレームおよび制御フレームを交換するために主に使用されてよく、プライマリバンドとして知られ、一方、帯域2(1304)(例えば、5GHz帯)および帯域3(1306)(例えば、6GHz帯)は、データフレーム1312(例えば、ダウンリンク(DL)PPDU)を交換するために主に使用されてよく、セカンダリバンドまたは補足帯域として知られる。
【0044】
各帯域におけるチャネルへのアクセスを得た後、AP102は、帯域3(1306)でのダウンリンクPPDU1312a、帯域2(1304)でのダウンリンクPPDU1312b、および帯域1(1302)でのダウンリンクPPDU1312cから構成されるマルチバンド送信1300を開始する。各PPDUは、それぞれがいくつかのフレームを有する、アグリゲーテッドMPDU(A-MPDU)を含んでよい。
【0045】
AP102は、各フレームのQoS制御(QoS Control)フィールド内のAckポリシーをブロックAckに設定して、各帯域において即時のAckが存在すべきでないことを示し、低レート帯域(例えば、2.4GHz帯1302)でBARおよびBAの送信を割り当てて、データ送信のために高レート帯域(例えば、帯域2(1304)および帯域3(1306))を空けておく。さらに、送信されたフレームのシーケンス番号(SN:Sequence Number)が帯域にわたって重複しないことを確実にするために、複数の帯域にわたる各STA,TIDペアに対して同じシーケンス番号カウンタが使用される。この例では、SN1、SN2、およびSN3のフレームが、PPDU1312cにおいて帯域1(1302)で送信され、SN4、SN5、およびSN6のフレームが、PPDU1312bにおいて帯域2(1304)で送信され、SN7、SN8、およびSN9のフレームが、PPDU1312aにおいて帯域3(1306)で送信される。STA104(すなわち、受信機)は、ネットワークインタフェース(NIC:Network Interface)において帯域毎に別個のBlockAckビットマップを維持するが、マルチバンドBlockAckReqフレームを受信すると、別個のBlockAckビットマップを単一のBlockAckビットマップ1314へと統合する。マルチバンドBAフレーム1310は、3つの帯域で受信されたフレームの確認応答を行う統合ビットマップ1314を含む(統合ビットマップ1314では、「1」に設定されたビットが、当該ビットに対応するSNを有するフレームのフレーム受信成功を示し、「0」が、当該ビットに対応するSNを有するフレームのフレーム受信失敗を示す)。
【0046】
例示的な送信1300では、マルチバンドアグリゲーテッドDL PPDUフレーム送信は、帯域3(1306)で送信されたフレーム1312aと、帯域2(1304)で送信されたフレーム1312bと、帯域1(1302)で送信されたフレーム1312cと、を含み、帯域1(1302)でのSN2のフレームの送信および帯域2(1304)でのSN5およびSN6のフレームの送信が失敗している。マルチバンド送信が完了すると、AP102は、マルチバンドBlockAckReqフレーム1308aを送信して、3つの帯域1302,1304,1306で送信されたフレームの確認応答を行うマルチバンドBAを要求する。マルチバンドBA1310aは、3つの帯域からのBlockAckビットマップを統合BlockAckビットマップ1314aへと統合する。SN2、SN5、およびSN6に対応するビット2、ビット5、およびビット6は、統合BlockAckビットマップ1314aにおいて、SN2、SN5、およびSN6のフレームの受信失敗を示す「0」に設定されているのに対し、残りのビットは、受信成功を示す「1」に設定されている。帯域2(1304)および帯域1(1302)では送信の失敗があり、帯域3(1306)では失敗がないため、AP102は、帯域3におけるチャネル状態がより良好であると判断し、失敗したフレームを統合してPPDU1312dにおいて帯域3(1306)でこれらを再送することを選択することができる。その後、帯域3(1306)で送信されたPPDU1312dにおいて運ばれたフレームに対する確認応答を運ぶマルチバンドBA1310bを要求するマルチバンドBlockAckReqフレーム1308bが帯域1(1302)で送信される。今度は、3つの再送されたフレーム全ての受信が成功し、STA104は、BAビットマップ内の対応するビットが1に設定されたマルチバンドBA1310bを送信する。
【0047】
図14は、本実施の形態に係るマルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルの例1400を示している。無線通信デバイスにおいて、各帯域の無線インタフェース(I/F)は、通常、独立したモジュール(例えば、2.4GHz帯、5GHz帯および6GHz帯それぞれに対する1410,1420,1430(例えば、送受信部216,218,220(
図2)))として実装される。モジュール1410,1420,1430の全ては、CPUであってもよいホストシステム1405に接続されている。物理レイヤ(PHY)モジュール(例えば、317,319,321(
図12))および下位MACレイヤ1402(例えば、1206,1208,1210(
図12))内のタイムクリティカルなMAC機能は、無線I/F216,218,220において実装されてもよく、残りのMAC機能(すなわち、上位MACレイヤ1404(例えば、1202(
図12))は、ホストシステム1405において実装されてもよい。
【0048】
BARに応じたBAが低遅延で生成される必要があるため(BARの終わりからショートフレーム間スペース(SIFS:Short Interframe Space)内での生成が必要であるため)、特定の帯域についてのブロックAckスコアカードは、各無線I/F内の高速であるが高価なオンチップメモリを使用して実装される。しかしながら、全てのアクティブなブロックAckセッションの持続時間全体にわたって持続するBAスコアカードを維持すること(フルステートブロックAck(full state Block Ack)として知られる)は、受信機実装のためのメモリ要件負荷を増大させる。したがって、ほとんどの実装では、複数のブロックAckセッションのためにオンチップメモリが再利用される。メモリは、最後にアクティブであったブロックAckセッションの状態を記憶するためのキャッシュとして機能する(パーシャルステートブロックAck(partial state Block Ack)とも称される)。帯域内BAスコアカード1412,1422,1432は、それぞれ2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯で受信されたフレームの受信状況を記録するためにBAスコアカードとして使用されるオンチップメモリの例である。パーシャルステートブロックAckは、メモリの節約になるが、ブロックAckスコアカードが次の送信機会(TXOP:Transmission Opportunity)で別のブロックAckセッションによって上書きされ得るリスクを増大させるため、データの損失を防ぐための特別な処理が必要になる。
【0049】
マルチバンドブロックAck動作を実現するために、マルチバンドBAスコアカード1406が、ホストシステム1405において維持される。ホストシステム1405におけるメモリは一般に安価であるため、マルチバンドBAスコアカード1406は、フルステートブロックAckスコアカードとして実装されてもよい(すなわち、当該スコアカードは、マルチバンドブロックAckセッションの持続時間全体にわたって持続する)。
【0050】
本実施の形態に従うと、例1400において示されているように、各帯域で受信されたフレームは、Rxパーサ1414,1424,1434によって解析され、フレームタイプに応じて処理される。正しく受信され、正しく受信機宛にアドレス指定されたデータフレーム1415,1425,1435は、受信バッファ1408に渡される前に、データフレームのシーケンス番号(SN)に従って、帯域内BAスコアカード1412,1422,1432に記録される。受信バッファ1408の内容は、定期的にデータフレームSNに従って並び替えられてよい。
【0051】
従来のシングルバンドブロックAck動作では、(暗黙的ブロックAck用の)TXOPが完了すると、または、(明示的ブロックAck用の)レガシーブロックAck要求(BAR)フレームを受信すると、下位MACは、帯域内BAスコアカードからBAビットマップをコピーし、即時の送信のためにブロックAckフレームを生成する。しかしながら、マルチバンドブロックAck動作の場合、明示的ブロックAckが使用されてもよく、各帯域でのTXOPが完了すると、マルチバンドBAスコアカード1406は、それぞれの無線I/Fからの帯域内スコアカード1412,1422,1432の内容で更新される。マルチバンド送信機会(TXOP)の終わりまでに、マルチバンドBAスコアカード1406は、すべての帯域内BAスコアカード1412,1422,1432のBAビットマップを統合し得る。
【0052】
最後に、いずれかの帯域でマルチバンドBARフレーム1416を受信すると、上位MAC1404は、マルチバンドBAスコアカード1406からBAビットマップをコピーし、送信のためにマルチバンドBlockAckフレームを生成する(1407)。同時に、マルチバンドBARフレーム1416の受信は、上位MACが、受信バッファ1408内のフレームから完全なMSDU(マルチバンドBARフレーム1416において運ばれた開始シーケンス番号(SSN:Starting Sequence Number)よりも小さいSNを有するすべての完全なMSDU)を再構成し、それらを上位レイヤに順に転送するようにトリガする。例1400では、マルチバンドBARフレーム1416の受信およびマルチバンドBAフレーム1820の送信が、2.4GHz帯において示されているが、他の周波数帯域についてもプロセスは同じであることが理解されよう。
【0053】
図15は、本実施の形態に係る第2の例示的なマルチバンド送信の例1500を示している。この第2の例示的なマルチバンド送信は、帯域2(5GHz帯1304)および帯域3(6GHz帯1306)が高帯域幅データ送信のために予約されているのに対し、帯域1(2.4GHz帯1302)が低帯域幅制御フレームのために予約されている、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)シナリオの例である点を除いて、第1の例示的なマルチバンド送信(
図13)に類似しており、TIDに対するTSおよびBAセットアップがすべての関係する帯域で完了していると仮定する。そのような種類の周波数分割は、制御フレームが低帯域幅の周波数帯域で排他的に送信されるので、高帯域幅の周波数帯域におけるチャネルアクセス遅延の低減により、システムスループットの全体的な増加をもたらし得る。
【0054】
各帯域におけるチャネルへのアクセスを得た後、帯域3(1306)でのダウンリンクPPDU1512aおよび帯域2(1304)でのダウンリンクPPDU1512bから構成されるマルチバンド送信が、AP102によって開始される。シーケンス番号が帯域にわたって重複しないことを確実にするために、複数の帯域にわたる各STA,TIDペアに対して同じシーケンス番号カウンタが使用される。第1の例示的なマルチバンド送信1300と同様に、第2の例示的なマルチバンド送信1500では、受信機STA104は、ネットワークインタフェース(NIC)において帯域毎に別個のBlockAckビットマップを維持するが、帯域1(1302)でマルチバンドBlockAckReqフレーム1508aを受信すると、別個のBlockAckビットマップを単一のBlockAckビットマップ1514aへと統合する。確認応答が行われる最初のSNを示すために、開始シーケンス番号(SSN)がマルチバンドBARフレーム1508aに含められる。SSNは、受信バッファ1408(
図14)内の、SNがSSNよりも小さいすべてのフレームが上位レイヤに転送されるように、トリガする。このマルチバンド送信中、SN1のフレームおよびSN2のフレームは、STA104によって受信が成功したが、SN3のフレームおよびSN4のフレームの受信は失敗している。ビット3およびビット4は、統合BlockAckビットマップ1514aにおいて、SN3のフレームおよびSN4のフレームの受信失敗を示す「0」に設定されているのに対し、ビット1およびビット2は、SN1のフレームおよびSN2のフレームの受信成功を示す「1」に設定されている。
【0055】
この間、AP102は、帯域3(1306)で送信されるPPDU1512cおよび帯域2(1304)で送信されるフレームPPDU1512dを含む、マルチバンドアグリゲーテッドDL PPDUフレーム送信を継続する。この送信中に、帯域2(1304)でのSN7のフレームおよびSN8のフレームの送信が失敗する。2つの帯域1304および1306で送信されたフレームについてマルチバンドBAを要求するマルチバンドBlockAckReqフレーム1508bは、帯域1(1302)で送信される。マルチバンドBA1510bは、2つの帯域1304および1306からのBlockAckビットマップを統合BlockAckビットマップ1514bへと統合する。
【0056】
統合BlockAckビットマップ1514bでは、ビット7およびビット8は、SN7のフレームおよびSN8のフレームの受信失敗を示す「0」に設定されているのに対し、ビット5およびビット6は、SN5のフレームおよびSN6のフレームの受信成功を示す「1」に設定されている。受信成功としてビット1およびビット2が統合BlockAckビットマップ1514aにおいて示され、これらのビットは、簡潔にするために、統合BlockAckビットマップ1514bにおいては示されないことに留意されたい。帯域2(1304)では失敗した送信があったが、帯域3(1306)ではなかったため、送信機は、失敗したSN3のフレームおよびSN4のフレームを統合し、それらを帯域3(1306)でPPDU1512eとして再送することを選択することができ、一方、失敗したSN7のフレームおよびSN8のフレームは、帯域3(1306)でPPDU1512fとして再送される。マルチバンドBlockAckReqフレーム1508cおよび1508dは、帯域3(1306)で送信されたPPDU1512eおよび1512fにおいて運ばれたフレームに対する確認応答をそれぞれ運ぶマルチバンドBA1510cおよび1510dを要求するために、帯域1(1302)で送信される。
【0057】
再送では、通常の再送の代わりに、ハイブリッド自動再送要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat request)再送が用いられてよく、異なる帯域で送信されることによって周波数ダイバーシチの利益を得ることができる。PPDU1512a、1512bの確認応答は、マルチバンドBlockAckフレーム1510aにおいて行われ、PPDU1512c、1512dの確認応答は、マルチバンドBlockAckフレーム1510bにおいて行われ、PPDU1512eの確認応答は、マルチバンドBlockAckフレーム1510cにおいて行われ、PPDU1512fの確認応答は、マルチバンドBlockAckフレーム1510dにおいて行われる。失敗したSN3、SN4、SN7、およびSN8のフレームの正確なコピーを再送する代わりに、送信機は、失敗したフレームのHARQ再送を(Chase CombingまたはIncremental Redundancyのいずれかとして)実行することを選択することができる。失敗したフレームは、元の送信とは異なる周波数帯域で再送されるので、HARQ再送は、周波数ダイバーシチによるさらなる利得を達成することができる。
【0058】
図16は、本実施の形態に係るマルチバンドBlockAckReqフレーム1610の例1600を示しており、この例では、マルチバンドフレームバリアントタイプが、本実施の形態に従って定義される。マルチバンド送信530が完了すると、マルチバンドBlockAckReqフレーム1600は、マルチバンドBlockAckフレームを要求するために送信され、BAR制御(BAR Control)フィールド1612およびBAR情報フィールド1614を含む。
【0059】
BAR制御フィールド1612は、とりわけ、BARタイプ(BAR Type)フィールド1620およびTID_INFOフィールド1622を含む。TID_INFOフィールド1622は、BARにおいて存在する帯域の数(TID_INFO+1)を示す。テーブル1630は、BARタイプフィールド1620において示すことができるBARタイプ1632と、圧縮BARタイプ、マルチTID BARタイプ、マルチSTA BARタイプ、およびGCR BARタイプ等の対応するBARフレームバリアント1634と、を示している。本実施の形態に従うと、BARタイプ1636は、マルチバンドBARに対して定義される。同様に、対応する新しいBAタイプが、マルチバンドBAに対して定義される。フォーマットは、よりフレキシブルであり、特定の帯域毎、特定のTID毎、および特定のBA開始シーケンス制御(各帯域で異なってよい)毎にBAを要求するために使用されてよい。
【0060】
本実施の形態に従うと、BAR情報フィールド1614は、マルチバンドBlockAckReqフレーム1610によって確認応答が要求される周波数帯域毎に、帯域毎情報(Per Band Info)フィールド1640と、ブロックAck開始シーケンス制御(Block Ack Starting Sequence Control)フィールド1641と、を含む。帯域毎情報フィールド1640は、周波数帯域に固有の情報を運ぶ。周波数帯域は、帯域IDフィールド1642によって識別される。帯域IDフィールドは、
図6の帯域IDフィールド612と同じ符号化に従ってよい。異なるMACアドレスが、異なる帯域に対して使用され、帯域毎にRAおよびTAを特定できる場合、受信機アドレス(RA)および送信機アドレス(TA)フィールド1644がオプションで存在する。TID値(TID Value)フィールド1646が、帯域においてブロックAckが要求されるTIDを識別する。RAおよびTAフィールド1644は、BARが送信される帯域については、帯域毎情報フィールド1640において省略されてもよい。
【0061】
図17は、マルチバンドBlockAckフレーム1702の例1700を示し、この例では、BA情報フィールド1710のバリアントが、本実施の形態に従って定義される。マルチバンドBlockAckフレーム1702は、マルチバンドBlockAckReqフレーム1600に応じて送信され、BA制御(BA Control)フィールド1704およびBA情報フィールド1710を含む。マルチバンドBlockAckフレーム1702は、「マルチバンド」1636に設定されたBAタイプ(BA Type)フィールド1706によって識別され、特定の帯域毎、特定のTID毎、および、各帯域において異なってよい特定のBA開始シーケンス制御毎にブロックAckを返すために使用されてよい。BA情報フィールド1710は、周波数帯域毎の帯域毎情報フィールド1640を含むだけでなく、周波数帯域毎のブロックAck開始シーケンス制御フィールド1641およびブロックAckビットマップ1720も含み、周波数帯域は、帯域IDフィールド1730によって識別される。異なるMACアドレスが、異なる帯域に対して使用され、帯域毎のRAおよびTAを特定できる場合、受信機アドレス(RA)および送信機アドレス(TA)フィールド1644がオプションで存在する。TID値フィールド1646は、帯域においてブロックAckが報告されるTIDを識別する。RAおよびTAフィールド1644は、BARが送信される帯域については、帯域毎情報フィールド1640において省略されてもよい。帯域毎のブロックAckビットマップ1720は、帯域毎情報フィールド1640内の帯域IDフィールド1730によって識別される帯域で受信されたフレームのみの確認応答を行う。したがって、3つの周波数帯域で受信されたフレームの確認応答が行われる場合、マルチバンドBlockAckフレーム1702は、周波数帯域毎に1つずつである3つのブロックAckビットマップフィールド1720を運ぶ。送信機は、マルチバンドBlockAckフレーム1702を受信すると、これらの帯域固有のビットマップを単一のビットマップへと統合することができる。
【0062】
図18は、本実施の形態に係る、
図14のマルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルの変形の例1800を示している。例1800において示されているマルチバンドブロックAck実装に従うと、別個のマルチバンドBAスコアカード1406は、ホストシステム1805において維持されなくてもよい。いずれかの帯域でのマルチバンドBARフレームの受信は、マルチバンドBAの生成(1810)および送信(1820)をトリガし、要求された帯域のビットマップが、対応する無線I/Fの帯域内BAスコアボードからコピーされ、要求された帯域についてのブロックAckを生成(1830)および送信(1832)するために使用される。同時に、マルチバンドBARフレーム1610の受信は、上位MACが、受信バッファ1408内のフレームから完全なMSDU(開始シーケンス番号(SSN)よりも小さいSNを有する全ての完全なMSDU)を再構成し、それらの完全なMSDUを上位レイヤに順に転送するようにトリガする。
図18では、マルチバンドBARフレーム1610の受信およびマルチバンドBAフレーム1820の送信が、2.4GHz帯において示されているが、他の周波数帯域についてもプロセスは同じであることが理解されよう。
【0063】
統合ビットマップなしでマルチバンドBAが生成(1810)されるため、マルチバンドBAの送信(1820)は、より長い時間を必要とし、したがって、遅延ブロックAck方式を必要とし得る。
図19は、本実施の形態に係る第3の例示的なマルチバンド送信として、遅延マルチバンドブロックAck方式の例1900を示している。遅延マルチバンドブロックAck方式では、Ackフレーム1902a、1902cが、マルチバンドブロックAck要求フレーム1308a、1308bに応じて送信される。マルチバンドブロックAckフレームは、マルチバンドブロックAck要求フレーム1308a、1308bの受信の直後に送信されず、それぞれの帯域の無線I/Fから帯域固有のBAビットマップをコピーするための時間を受信機に与えるために、遅延される遅延ブロックAckフレーム1904a、1904b(その後にAckフレーム1902b、1902dが続く)として送信されてよい。このように、マルチバンドブロックAckフレーム1904a、1904bは、各帯域に固有のビットマップを含むブロックAck情報(Block Ack Information)1906a、1906bを運び、これらのビットマップは統合されない。
【0064】
図20は、本実施の形態に係る、マルチバンド送信およびマルチバンドブロックAckを処理するために定義されたトラフィックストリームおよびブロックAckのアーキテクチャの目的の例2000を示している。TIDに対するマルチバンドトラフィックストリームおよびマルチバンドブロックAckアグリーメントは、各デバイスの統一上位MACレイヤ2002,2012のそれぞれの統一MACアドレスの間でセットアップされ、帯域に依存せず、したがって管理がはるかに簡単である。マルチバンドトラフィックストリームおよびマルチバンドブロックAckアグリーメントは、帯域固有MACアドレスによってではなく、統一MACアドレスによって識別される(すなわち、マルチバンド送信は、使用される帯域に関係なく統一MACアドレス宛にアドレス指定される)。
【0065】
送信機302側では、統一UMACレイヤ2002は、マルチバンド適合サブレイヤ(Multi-band Adaption sublayer)2004にトラフィックストリーム(TS)を渡す。マルチバンド適合サブレイヤは、3つのTSデータ経路1240,1242,1244にわたるTSデータのマルチバンドアグリゲーションを行い、送信および再送にどの(1つ以上の)帯域を使用するかの決定を行う。受信機304のマルチバンド適合サブレイヤ2014は、TSを受信機の統一上位MACレイヤ2012に渡す前に、マルチバンドアグリゲーション解除(すなわち、3つのTSデータ経路1240,1242,1244で受信されたTSに属するフレームの並び替え)を担う。
【0066】
図21は、本実施の形態の第2の変形例に係るマルチバンドBlockAckReqフレーム2110およびマルチバンドBlockAckフレーム2120の例2100を示している。マルチバンドBlockAckReqフレーム2110のRAフィールド2112およびTAフィールド2114は、マルチバンドBlockAckReqフレーム2110の送信に使用される帯域にかかわらず、統一上位MACレイヤ2012の統一MACアドレスを運ぶ。同様に、マルチバンドBlockAckフレーム2120のRAフィールド2122およびTAフィールド2124は、マルチバンドBlockAckフレーム2120の送信に使用される帯域にかかわらず、統一上位MACレイヤ2002の統一MACアドレスを運ぶ。
【0067】
マルチバンドBlockAckReqフレーム2110は、BlockAck要求制御(BlockAck Request Control)フィールド2116の帯域情報(Band Info)フィールド2130において、要求された帯域2135を示す。同様に、マルチバンドBlockAckフレーム2120は、ブロックAck制御(Block Ack Control)フィールド2126の帯域情報フィールド2140において、確認応答が行われた帯域2145を示す。
【0068】
さらに、帯域情報フィールド2116がマルチバンドBlockAckReqフレーム2110内に存在しない場合、または、3つの帯域すべてがマルチバンドBlockAckReqフレーム2110内の帯域情報フィールド2116によって示される場合、ブロックAck情報フィールド2128は、要求された帯域にわたる統合BlockAckビットマップを含む。そうでない場合、ブロックAck情報フィールド2128は、特定の単一の帯域が帯域情報フィールド2116において示されるときに、当該単一の帯域についてのBlockAckビットマップを含む。
【0069】
図22は、本実施の形態に係る、
図14のマルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルの第2の変形の例2200を示している。半導体技術の進歩により、複数の無線I/F2210,2220,2230が単一のシステムオンチップ(SOC:System On Chip)として実装される場合、または、無線I/F2210,2220,2230とホストシステム1405との間の接続が十分に高速である場合、単一の統合マルチバンドBAスコアボード1406は、TID毎に維持されてよく、帯域内BAスコアカード1412,1422,1432(
図4)は維持されない。また、帯域固有ブロックAckの報告(例えば、レガシー(シングルバンド)BlockAckReqフレーム、または、1つの帯域もしくは2つの帯域を示す帯域情報フィールド2130を有するマルチバンドBlockAckReqフレーム2110(
図21)の受信の際の報告)をサポートするために、ホストシステム1405においてキャッシュメモリに別個の帯域固有スコアボードが維持されてもよい。したがって、任意の帯域でのフレームの受信が、MB BAスコアカード1406に直接記録される。マルチバンドブロックAck実装のための例示的な参照モデルのこの第2の変形は、マルチバンドブロックAck方式のためのオンチップメモリ要件を低減するのに役立ち得る。
【0070】
図23は、本実施の形態に係る第4の例示的なマルチバンド送信として、暗黙的マルチバンドブロックAck要求方式の例2300を示している。マルチバンド送信では、各帯域におけるPPDUのPHYヘッダは(例えば、SIGフィールドのうちの1つにおいて)、このPPDUがマルチバンドPPDUの一部であることを示すマルチバンドPPDU指示2305を運ぶ。
【0071】
暗黙的マルチバンドブロックAck要求および明示的マルチバンドブロックAck要求の場合、QoS制御フィールド(すなわち、MACヘッダのフレーム制御(Frame Control)フィールド)内のAckポリシービット(例えば、ビット5およびビット6)が、マルチバンドPPDUにおいて運ばれるフレームに対して再定義される値「00」および「11」で、オーバーロードされてよい。表1に示されているように、「00」は、暗黙的マルチバンドブロックAck要求を示し(すなわち、ブロックAck要求フレームがなく、受信機は、マルチバンドブロックAckを即時に送信すると予期される)、「3」(すなわち、「11」)は、明示的マルチバンドブロックAck要求を示す(すなわち、明示的マルチバンドブロックAck要求または暗黙的マルチバンドブロックAck要求が、今後、同じ帯域または任意の他の帯域において予期される)。
【表1】
【0072】
例えば、マルチバンドPPDU指示2305は、3つのPPDUがマルチバンドDL送信の一部であることを示すために、DL PPDU2310a,2310b,2310cにおいて設定される。PPDU2310aおよびPPDU2310bのQoS制御フィールドのビット5およびビット6は、明示的マルチバンドブロックAck要求を示す「1」および「1」に設定され、この場合、受信機は、今後、マルチバンドBlockAckReqフレームまたは暗黙的ブロックAck要求を予期することができる。したがって、受信機は、帯域1306および帯域1304でブロックAckフレームを送信する必要がない。PPDU2310cのQoS制御フィールドのビット5およびビット6は、暗黙的マルチバンドブロックAck要求を示す「0」および「0」に設定され、この場合、受信機は、ブロックAck要求フレームを待つことなく、マルチバンドブロックAckを即時に送信すると予期される。したがって、3つの帯域すべてで受信されたフレームの確認応答を行うマルチバンドBAビットマップ1314aを運ぶマルチバンドブロックAck1310aは、マルチバンドブロックAck要求フレームを待つことなく、PPDU2310cの終了後のショートフレーム間スペース(SIFS)内で受信機によって送信される。
【0073】
図24は、本実施の形態に係るマルチバンド通信デバイス2402(例えば、AP102またはSTA104(
図1))の簡略化されたブロック
図2400である。マルチバンド通信デバイス2402は、送信機302または受信機304のいずれかまたはその両方として同時に機能することができる。当然、AP102は、複数の非AP STA104(
図1参照)との同時TSセッションおよびBAセッションを有してよく、したがって、より複雑になる。一方、非AP STA104は、AP102のみとのTSセッションおよびBAセッションを有する。
【0074】
マルチバンド通信デバイス2402は、複数の送受信部2410,2420,2430を含む。これらの送受信部の各々は、送信機動作では、それぞれのアンテナ2412,2422,2432から複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを送信し、受信機動作では、それぞれのアンテナ2412,2422,2432を介して、複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを受信する。送受信部2410,2420,2430の各々は、一端がアンテナ2412,2422,2432のうちの対応する1つに結合され、他端が物理レイヤ(PHY)処理モジュール2416,2426,2436のうちの対応する1つに結合されたRF/アナログフロントエンド2414,2424,2434を含む。また、PHY処理モジュール2416,2426,2436の各々は、下位MAC処理モジュール2418,2428,2438のうちの対応する1つに結合されている。
【0075】
複数の送受信部2410,2420,2430からのデータ経路は、上位MAC回路2440に結合されている。上位MAC回路2440(または上位MAC処理レイヤ)は、マルチバンドスケジューラ2442、マルチバンドアグリゲーション/アグリゲーション解除ブロック2444、マルチバンドブロックAck生成ブロック2446、およびマルチバンドブロックAckスコアボードブロック2448を含む。マルチバンドブロックAck生成ブロック2446およびマルチバンドブロックAckスコアボードブロック2448は、マルチバンド通信デバイス2402が受信機として動作しているときにのみ使用される。送信機として動作するとき、マルチバンドスケジューラ2442は、受信機STAにおける異なる帯域の状況/能力を記録し、マルチバンドTSおよびマルチバンドBAをセットアップし、マルチバンドブロックAckの送信/再送に使用される帯域およびマルチバンドブロックAck要求に使用される帯域を決定する。送信機として動作するとき、マルチバンドアグリゲーション/アグリゲーション解除ブロック2444は、選択された1つ以上の帯域にわたってトラフィックストリームのアグリゲーションを行い、受信機として動作するとき、異なる帯域から生じるトラフィックストリームのアグリゲーション解除を行って単一のストリームにする。受信機として動作するとき、マルチバンドアグリゲーション/アグリゲーション解除ブロック2444はまた、マルチバンドブロックAckスコアボードブロック2448を更新する。受信機として動作するとき、マルチバンドブロックAck生成ブロック2446は、マルチバンドスケジューラ2442およびマルチバンドブロックAckスコアボードブロック2448に結合され、マルチバンドブロックAckを生成する。
【0076】
図25は、本実施の形態に係るマルチバンド通信デバイス2502の詳細なブロック
図2500を示している。複数の無線I/F2510,2520,2530の各々は、物理レイヤ(PHY)処理モジュール2416,2426,2436のうちの対応する1つと下位MAC機能モジュール2512,2522,2532のうちの対応する1つとの両方を実装している。上位MAC機能は、動作時に、マルチバンドBAスコアボードを記憶するために使用されてよいメモリ2542、二次記憶装置2544、および、外部ネットワークまたは他のAP102と通信するための有線通信I/F2546に結合されてよい中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)2540内のソフトウェアとして実装されてよい。電源2548は、AP2502に電力を供給する。
【0077】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信デバイスと総称)において実施可能である。
【0078】
通信デバイスは、送受信機および処理/制御回路を備えることができる。送受信機は、受信機および送信機を含んでもよいし、かつ/または、受信機および送信機として機能してもよい。送受信機は、送信機および受信機として、RF(Radio Frequency)モジュールを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器またはそれらに類するもの、および1つ以上のアンテナを含んでもよい。
【0079】
通信デバイスの、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナルコンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタルスチルカメラ/ビデオカメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタルオーディオプレーヤー/ビデオプレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブルカメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲームコンソール、デジタルブックリーダー、テレヘルス/テレメディシン(遠隔ヘルスケア/メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種デバイスの組み合わせがあげられる。
【0080】
通信デバイスは、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマートホームデバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター、コントロールパネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0081】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータの通信も含まれる。
【0082】
また、通信デバイスには、本開示に記載される通信機能を実行する通信装置に接続又は連結される、コントローラやセンサー等の装置も含まれる。例えば、通信デバイスの通信機能を実行する通信装置が使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0083】
また、通信デバイスには、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0084】
このように、本実施の形態は、マルチバンドアグリゲーションのスループット利得を十分に実現するために、複数の周波数帯域にわたって動作するための通信デバイスおよび方法を提供することが分かる。
【0085】
1.複数の送受信部であって、前記複数の送受信部の各々は、動作時に、複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを送信する、複数の送受信部と、前記複数の送受信部に結合され、動作時に、前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信された前記信号フレームの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレームを受信するメディアアクセス制御(MAC)回路と、を備えるマルチバンド通信デバイス。
【0086】
2.前記MAC回路は、動作時に、前記マルチバンドブロック確認応答フレームを要求するために、マルチバンドブロック確認応答要求フレームを生成し、前記複数の周波数帯域のうちの前記1つの周波数帯域で前記マルチバンドブロック確認応答要求フレームを送信する、マルチバンド通信デバイス。
【0087】
3.前記複数の周波数帯域で送信された前記信号フレームは、全て、単一のトラフィック識別子(TID)に属する、マルチバンド通信デバイス。
【0088】
4.前記マルチバンドブロック確認応答フレームは、送信された前記信号フレームのうちのいずれか1つにおいて暗黙的に要求される、マルチバンド通信デバイス。
【0089】
5.前記複数の周波数帯域のうちの第1の周波数帯域で1つ以上の信号フレームの受信に失敗したと前記MAC回路が判定したことに応じて、前記MAC回路は、前記複数の周波数帯域のうちの前記第1の周波数帯域とは異なる前記複数の周波数帯域のうちの第2の周波数帯域で信号フレームを送信する、前記複数の送受信部のうちの1つの送受信部に、前記1つ以上の信号フレームを提供して、前記複数の周波数帯域のうちの前記第2の周波数帯域で前記1つ以上の信号フレームを再送する、マルチバンド通信デバイス。
【0090】
6.前記複数の周波数帯域のうちの前記第2の周波数帯域で再送される前記1つ以上の信号フレームは、前記複数の周波数帯域のうちの前記第1の周波数帯域で送信された前記1つ以上の信号フレームと同じフォーマットで送信される、マルチバンド通信デバイス。
【0091】
7.再送される前記1つ以上の信号フレームは、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)再送として再送される、マルチバンド通信デバイス。
【0092】
8.前記MAC回路は、動作時に、マルチバンドトラフィックストリーム追加(ADDTS)要求フレームおよびマルチバンドADDTS応答フレームを前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で交換することによって、前記複数の周波数帯域でのマルチバンドトラフィックストリーム(TS)のセットアップを実行する、マルチバンド通信デバイス。
【0093】
9.前記マルチバンドADDTS要求フレームおよび前記マルチバンドADDTS応答フレームの各々は、前記マルチバンドTSのための前記複数の周波数帯域に関する情報と、前記複数の周波数帯域の各々において前記MAC回路によって使用されるMACアドレスと、を含む、マルチバンド通信デバイス。
【0094】
10.前記マルチバンドTSのセットアップは、前記複数の周波数帯域のうちのいずれかの周波数帯域での、トラフィックストリーム(TS)に属する信号フレームの送信を可能にする、8に記載のマルチバンド通信デバイス。
【0095】
前記複数の周波数帯域のうちの2つ以上の周波数帯域が、前記複数の周波数帯域の全てを含む、マルチバンド通信デバイス。
【0096】
前記複数の周波数帯域は、全て、2GHz超の周波数帯域である、マルチバンド通信デバイス。
【0097】
11.複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを送信するステップと、前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域でマルチバンドブロック確認応答フレームを受信するステップと、を含む、マルチバンド通信のための方法。
【0098】
12.複数の送受信部であって、前記複数の送受信部の各々は、動作時に、複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを受信する、複数の送受信部と、前記複数の送受信部に結合され、動作時に、前記複数の周波数帯域で受信された前記信号フレームの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレームを生成し、前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で前記マルチバンドブロック確認応答フレームを送信するメディアアクセス制御(MAC)回路と、を備えるマルチバンド通信デバイス。
【0099】
13.前記MAC回路は、動作時に、前記複数の周波数帯域のうちの前記1つの周波数帯域でマルチバンドブロック確認応答要求フレームを受信したことに応じて、前記マルチバンドブロック確認応答フレームを送信する、マルチバンド通信デバイス。
【0100】
14.前記マルチバンドブロック確認応答フレームは、前記複数の周波数帯域で受信された信号フレームの確認応答を行う統合ビットマップを含む、マルチバンド通信デバイス。
【0101】
15.前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で送信される前記マルチバンドブロック確認応答フレームは、前記複数の周波数帯域の各々で受信された信号フレームの確認応答を行うビットマップを含む、マルチバンド通信デバイス。
【0102】
16.前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で送信される前記マルチバンドブロック確認応答フレームは、前記複数の周波数帯域のうちの別の1つの周波数帯域で受信された信号フレームの確認応答を行うビットマップを含む、マルチバンド通信デバイス。
【0103】
17.前記MAC回路は、動作時に、前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域でマルチバンドブロック確認応答追加(ADDBA)要求フレームを送信し、その後、前記複数の周波数帯域のうちの該1つの周波数帯域でマルチバンドADDBA応答フレームを受信することによって、前記複数の周波数帯域でのマルチバンドブロック確認応答(BA)のセットアップを開始する、マルチバンド通信デバイス。
【0104】
18.前記マルチバンドADDBA要求フレームおよび前記マルチバンドADDBA応答フレームの各々は、前記マルチバンドBAのアグリーメントのための前記複数の周波数帯域に関する情報と、前記複数の周波数帯域の各々において前記MAC回路によって使用されるMACアドレスと、を含む、マルチバンド通信デバイス。
【0105】
前記複数の周波数帯域のうちの2つ以上の周波数帯域が、前記複数の周波数帯域の全てを含む、マルチバンド通信デバイス。
【0106】
前記複数の周波数帯域は、全て、2GHz超の周波数帯域である、マルチバンド通信デバイス。
【0107】
19.複数の周波数帯域のうちの異なる周波数帯域で信号フレームを受信するステップと、前記複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信された前記信号フレームの確認応答を行うマルチバンドブロック確認応答フレームを送信するステップと、を含む、マルチバンド通信のための方法。
【0108】
本実施の形態の前述の詳細な説明において例示的な実施の形態が提示されているが、膨大な数の変形形態が存在することを理解されたい。例示的な実施の形態は例であり、本開示の範囲、適用可能性、動作、または構成をいかなるようにも限定することを意図していないことをさらに理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、例示的な実施の形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供し、添付の特許請求の範囲に記載された主題の範囲から逸脱しない範囲内で、例示的な実施の形態に記載されたステップおよび動作方法の機能および配置、ならびに例示的な実施の形態に記載されたデバイスのモジュールおよび構造に様々な変更を加えてよいことを理解されたい。