(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009807
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】獣医学的使用のための抗IL4受容体抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240116BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20240116BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240116BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240116BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240116BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240116BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240116BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240116BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240116BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/24 ZNA
C07K16/46
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P17/00 101
A61P37/08
A61P11/06
A61P17/06
G01N33/53 D
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023151762
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2021513405の分割
【原出願日】2019-09-14
(31)【優先権主張番号】62/731,633
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517299032
【氏名又は名称】キンドレッド バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, シー ジアン
(72)【発明者】
【氏名】グェン, ラム
(72)【発明者】
【氏名】チン, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ハンチュン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】IL4誘導性及び/又はIL13誘導性状態を治療するため、及びIL4/IL13シグナル伝達を低減させるために、コンパニオンアニマルIL4又は/及びIL13をブロックするために特異的に使用することができる方法及び化合物を提供する。
【解決手段】イヌIL4Rに結合する抗IL4R抗体に関する様々な実施態様が提供される。様々な実施態様において、そのような抗IL4R抗体は、イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルにおいて、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒症、喘息、乾癬、強皮症、及び湿疹などのIL4/IL13誘導性状態を治療する方法において使用することができる。抗体又は二重特異性抗体の調製のための、コンパニオンアニマル種の変異体IgG Fcポリペプチド及び変異体軽鎖定常領域に関する様々な実施態様も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、ここで、該抗体が、LX10FMGSENX11T(配列番号85)[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項2】
イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、ここで、該抗体が、RLSYQLX10FMGSENX11TCVPEN(配列番号86)[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項3】
抗体が、LX10FMGSENX11T(配列番号85)[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、請求項2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
抗体が、配列番号88又は配列番号91のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項5】
抗体が、配列番号89又は配列番号92のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項6】
抗体が、SMX12X13DDX14VEADVYQLX15LWAGX16Q(配列番号87)[ここで、X12はP又はLであり、X13はI又はMであり、X14はA又はFであり、X15はD又はHであり、X16はQ又はTである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項7】
抗体が、SMX12X13DDX14VEADVYQLX15LWAGX16Q(配列番号87)[ここで、X12はP又はLであり、X13はI又はMであり、X14はA又はFであり、X15はD又はHであり、X16はQ又はTである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体。
【請求項8】
抗体が、配列番号90又は配列番号93のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、請求項1から7のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項9】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、請求項1から8のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項10】
抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌIL4R及び/若しくはネコIL4Rへの結合を低減させる、請求項1から10のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項12】
抗体が、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルクローンB又はクローンI抗体と競合する、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項13】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から12のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項14】
抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、請求項1から13のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項15】
抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、請求項1から14のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項16】
a)GYTFTSYVMH(配列番号1)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)YINPX1NDGTFYNGX2X3X4G(配列番号2)[ここで、X1はK又はAであり、X2はK又はAであり、X3はF又はVであり、X4はK又はQである]又はYINPX1NDGT(配列番号268)[ここで、X1はK又はAである]のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)FX5YGX6AY(配列番号3)[ここで、X5はN又はYであり、X6はI又はFである]のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項17】
a)配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号8、配列番号269、配列番号30、配列番号271、又は配列番号272のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号9又は配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項18】
a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
b)配列番号8、配列番号269、配列番号30、配列番号271、又は配列番号272のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び
c)配列番号9又は配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項19】
a)RASQEISGYLS(配列番号4)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)AASX7X8DX9(配列番号5)[ここで、X7はT又はNであり、X8はR又はLであり、X9はS又はTである]のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)VQYASYPWT(配列番号6)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項20】
a)配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号15又は配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項21】
a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
b)配列番号15又は配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
c)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項22】
(a)配列番号10又は配列番号32の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号11又は配列番号33のHC-FR2配列;(c)配列番号12、配列番号270、配列番号34、配列番号273のHC-FR3配列;(d)配列番号13又は配列番号35のHC-FR4配列;(e)配列番号17又は配列番号39の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号18又は配列番号40のLC-FR2配列;(g)配列番号19又は配列番号41のLC-FR3配列;又は(h)配列番号20又は配列番号42のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項16から21のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項23】
抗体が、
a.(i)配列番号21又は配列番号43のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号22又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、又は配列番号274のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、配列番号275のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
c.(i)配列番号67又は配列番号69のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号68又は配列番号70のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項24】
抗体が、配列番号21、配列番号43、配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、配列番号274、配列番号67、又は配列番号69のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項25】
抗体が、配列番号22、配列番号44、配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、配列番号275、配列番号68、又は配列番号70のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項26】
抗体が、
a)配列番号21又は配列番号43のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号22又は配列番号44のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;
b)配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、又は配列番号274のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、又は配列番号275のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
c)配列番号67又は配列番号69のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列及び配列番号68又は配列番号70のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項27】
イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、該抗体が配列番号354のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項28】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、請求項27に記載の単離された抗体。
【請求項29】
抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、請求項27又は請求項28に記載の抗体。
【請求項30】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌIL4R及び/若しくはネコIL4Rへの結合を低減させる、請求項27から29のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項31】
抗体が、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルM3抗体と競合する、請求項27から30のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項32】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項27から31のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項33】
抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、請求項27から32のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項34】
抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、請求項27から33のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項35】
a)配列番号278のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号279のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号280のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、請求項27から34のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項36】
a)配列番号285のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号286のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号287のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、請求項27から35のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項37】
(a)配列番号281の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号282のHC-FR2配列;(c)配列番号283のHC-FR3配列;(d)配列番号284のHC-FR4配列;(e)配列番号288の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号289のLC-FR2配列;(g)配列番号290のLC-FR3配列;又は(h)配列番号291のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項27から36のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項38】
抗体が、
a.(i)配列番号292のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号293のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号344のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む、請求項27から37のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項39】
抗体が、配列番号292、配列番号342、又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、請求項27から38のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項40】
抗体が、配列番号293又は配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項27から39のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項41】
抗体が、
a)配列番号292のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号293のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;及び/又は
b)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、請求項27から40のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項42】
a)配列番号292のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号293のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
b)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、単離された抗体。
【請求項43】
イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、該抗体が配列番号355のアミノ酸配列を含むエピトープ及び/又は配列番号356のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項44】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、請求項43に記載の単離された抗体。
【請求項45】
抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、請求項43又は請求項44に記載の抗体。
【請求項46】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌIL4R及び/若しくはネコIL4Rへの結合を低減させる、請求項43から45のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項47】
抗体が、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルM8抗体と競合する、請求項43から46のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項48】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項43から47のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項49】
抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、請求項43から48のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項50】
抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、請求項43から49のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項51】
a)配列番号310のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号311のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号312のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、請求項43から50のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項52】
a)配列番号317のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号318のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号319のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、請求項43から51のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項53】
(a)配列番号313の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号314のHC-FR2配列;(c)配列番号315のHC-FR3配列;(d)配列番号316のHC-FR4配列;(e)配列番号320の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号321のLC-FR2配列;(g)配列番号322のLC-FR3配列;又は(h)配列番号323のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項43から52のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項54】
抗体が、
(a)配列番号324のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;
(b)配列番号325のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は
(c)(a)のような可変重鎖配列及び(b)のような可変軽鎖配列
を含む、請求項43から53のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項55】
抗体が、配列番号324のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、請求項43から54のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項56】
抗体が、配列番号325のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項43から55のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項57】
抗体が、配列番号324のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項43から56のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項58】
配列番号324のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、単離された抗体。
【請求項59】
イヌIL4Rに結合する単離された抗体であって、該抗体が配列番号357のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項60】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4Rに結合する、請求項59に記載の単離された抗体。
【請求項61】
抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4Rに結合する、請求項58又は請求項59に記載の抗体。
【請求項62】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌIL4ポリペプチド及び/又はイヌIL13ポリペプチドのイヌIL4Rへの結合を低減させる、請求項58から61のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項63】
抗体が、イヌIL4Rへの結合においてモノクローナルM9抗体と競合する、請求項58から62のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項64】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項58から63のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項65】
抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、請求項58から64のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項66】
抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、請求項58から65のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項67】
a)配列番号326のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号327のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号328のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、請求項58から66のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項68】
a)配列番号333のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号334のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号335のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、請求項58から67のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項69】
(a)配列番号329の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号330のHC-FR2配列;(c)配列番号331のHC-FR3配列;(d)配列番号332のHC-FR4配列;(e)配列番号336の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号337のLC-FR2配列;(g)配列番号338のLC-FR3配列;又は(h)配列番号339のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項58から68のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項70】
抗体が、
a.(i)配列番号340のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号341のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号347のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む、請求項58から69のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項71】
抗体が、配列番号340、配列番号345、又は配列番号346のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、請求項58から70のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項72】
抗体が、配列番号341又は配列番号347のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項58から71のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項73】
抗体が、
a)配列番号340のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号341のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;及び/又は
b)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号347のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、請求項58から72のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項74】
a)配列番号340のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号341のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
b)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号347のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、単離された抗体。
【請求項75】
a)配列番号294のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号295のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号296のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、イヌIL4Rに結合する単離された抗体。
【請求項76】
a)配列番号301のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号302のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号303のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、イヌIL4Rに結合する単離された抗体。
【請求項77】
a)配列番号301のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号302のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号303のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、請求項75に記載の単離された抗体。
【請求項78】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4Rに結合する、請求項75から77のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項79】
抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4Rに結合する、請求項75から78のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項80】
抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌIL4ポリペプチド及び/又はイヌIL13ポリペプチドのイヌIL4Rへの結合を低減させる、請求項75から79のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項81】
抗体が、イヌIL4Rへの結合においてモノクローナルM5抗体と競合する、請求項75から80のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項82】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項75から81のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項83】
抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、請求項75から82のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項84】
抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、請求項75から83のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項85】
(a)配列番号297の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号298のHC-FR2配列;(c)配列番号299のHC-FR3配列;(d)配列番号300のHC-FR4配列;(e)配列番号304の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号305のLC-FR2配列;(g)配列番号306のLC-FR3配列;又は(h)配列番号307のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項75から84のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項86】
抗体が、
(a)配列番号308のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;
(b)配列番号309のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は
(c)(a)のような可変重鎖配列及び(b)のような可変軽鎖配列
を含む、請求項75から85のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項87】
抗体が、配列番号308のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、請求項75から86のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項88】
抗体が、配列番号309のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項75から87のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項89】
抗体が、配列番号308のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号309のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、請求項75から88のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項90】
配列番号308のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号309のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、単離された抗体。
【請求項91】
抗体が、野生型又は変異体イヌ又はネコIgG Fcポリペプチドを含む、請求項1から90のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項92】
IgG Fcポリペプチドが、野生型又は変異体イヌIgG-A Fcポリペプチド;野生型又は変異体イヌIgG-B Fcポリペプチド;野生型又は変異体IgG-C Fcポリペプチド;野生型又は変異体IgG-D Fcポリペプチド;野生型又は変異体ネコIgG1a Fcポリペプチド;野生型又は変異体ネコIgG1b Fcポリペプチド;又は野生型又は変異体ネコIgG2 Fcポリペプチドである、請求項91に記載の抗体。
【請求項93】
変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型IgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドは、野生型IgG Fcポリペプチドに対して増加したプロテインAへの結合親和性;野生型IgG Fcポリペプチドに対して低下したC1qへの結合親和性;及び/又は野生型IgG Fcポリペプチドに対して低下したCD16への結合親和性を有する、請求項91又は請求項92に記載の抗体。
【請求項94】
変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型IgG Fcポリペプチドに対して、ヒンジ領域への少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドは、還元及び/又は非還元条件下でのSDS-PAGE分析によって決定されるように、野生型IgG Fcポリペプチドに対して増加した組換え産生及び/又は増加したヒンジジスルフィド形成を有する、請求項91から93のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項95】
変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21、23、25、80、205、及び/又は207に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
b)配列番号163の位置5、38、39、94、97、及び/又は98に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
c)配列番号165の位置5、21、23、24、38、39、93、97、及び/又は98に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
d)配列番号167の位置21、23、25、80、及び/又は207に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16及び/又は198に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;及び/又は
f)配列番号207の位置14及び/又は16に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、請求項91から94のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項96】
変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21、23、25、80、205、及び/又は207における少なくとも1つのアミノ酸置換;
b)配列番号163の位置5、38、39、94、97、及び/又は98における少なくとも1つのアミノ酸置換;
c)配列番号164の位置5、21、23、24、38、39、93、97、及び/又は98における少なくとも1つのアミノ酸置換;
d)配列番号165の位置21、23、25、80、及び/又は207における少なくとも1つのアミノ酸置換;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16及び/又は198における少なくとも1つのアミノ酸置換;及び/又は
f)配列番号207の位置14及び/又は16における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、請求項91から95のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項97】
変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21に対応する位置におけるスレオニン、配列番号162の位置23に対応する位置におけるロイシン、配列番号162の位置25に対応する位置におけるアラニン、配列番号162の位置80に対応する位置におけるグリシン、配列番号162の位置205に対応する位置におけるアラニン、及び/又は配列番号162の位置207に対応する位置におけるヒスチジン;
b)配列番号163の位置5に対応する位置におけるプロリン、配列番号163の位置38に対応する位置におけるグリシン、配列番号163の位置39に対応する位置におけるアルギニン、配列番号163の位置93に対応する位置におけるアルギニン、配列番号163の位置97に対応する位置におけるイソロイシン、及び/又は配列番号163の位置98に対応する位置におけるグリシン;
c)配列番号164の位置5に対応する位置におけるプロリン、配列番号164の位置21に対応する位置におけるスレオニン、配列番号164の位置23に対応する位置におけるロイシン、配列番号164の位置24に対応する位置におけるイソロイシン、配列番号164の位置38に対応する位置におけるグリシン、配列番号164の位置39に対応する位置におけるアルギニン、配列番号164の位置93に対応する位置におけるアルギニン、配列番号164の位置97に対応する位置におけるイソロイシン、及び/又は配列番号164の位置98に対応する位置におけるグリシン;
d)配列番号165の位置21に対応する位置におけるスレオニン、配列番号165の位置23に対応する位置におけるロイシン、配列番号165の位置25に対応する位置におけるアラニン、配列番号165の位置80に対応する位置におけるグリシン、及び/又は配列番号165の位置207に対応する位置におけるヒスチジン;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置16に対応する位置におけるプロリン、及び/又は配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置198に対応する位置におけるアラニン;及び/又は
f)配列番号207の位置14に対応する位置におけるシステイン、及び/又は配列番号207の位置16に対応する位置におけるプロリン
を含む、請求項91から96のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項98】
変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21におけるスレオニン、配列番号162の位置23におけるロイシン、配列番号162の位置25におけるアラニン、配列番号162の位置80におけるグリシン、配列番号162の位置205におけるアラニン、及び/又は配列番号162の位置207におけるヒスチジン;
b)配列番号163の位置5におけるプロリン、配列番号163の位置38におけるグリシン、配列番号163の位置39におけるアルギニン、配列番号163の位置93におけるアルギニン、配列番号163の位置97におけるイソロイシン、及び/又は配列番号163の位置98におけるグリシン;
c)配列番号164の位置5におけるプロリン、配列番号164の位置21におけるスレオニン、配列番号164の位置23におけるロイシン、配列番号164の位置24におけるイソロイシン、配列番号164の位置38におけるグリシン、配列番号164の位置39におけるアルギニン、配列番号164の位置93におけるアルギニン、配列番号164の位置97におけるイソロイシン、及び/又は配列番号164の位置98におけるグリシン;
d)配列番号165の位置21におけるスレオニン、配列番号165の位置23におけるロイシン、配列番号165の位置25におけるアラニン、配列番号165の位置80におけるグリシン、及び/又は配列番号165の位置207におけるヒスチジン;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置16におけるプロリン、及び/又は配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置198におけるアラニン;及び/又は
f)配列番号207の位置14におけるシステイン、及び/又は配列番号207の位置16におけるプロリン
を含む、請求項91から97のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項99】
変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24及び/又は位置30に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号238の位置24及び/又は位置29に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、請求項91から98のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項100】
野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含む変異体IgG Fcポリペプチドを含む抗体であって、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24及び/又は位置30に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号238の位置24及び/又は位置29に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、抗体。
【請求項101】
変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24及び/又は位置30における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号238の位置24及び/又は位置29における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、請求項91から100のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項102】
変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24に対応する位置におけるロイシン及び/又は位置30に対応する位置におけるアスパラギン;又は
b)配列番号238の位置24に対応する位置におけるロイシン及び/又は位置29に対応する位置におけるアスパラギン
を含む、請求項91から101のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項103】
変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24におけるロイシン及び/又は位置30におけるアスパラギン;又は
b)配列番号238の位置24におけるロイシン及び/又は位置29におけるアスパラギン
を含む、請求項91から102のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項104】
抗体が、野生型又は変異体イヌ又はネコ軽鎖定常領域を含む、請求項1から103のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項105】
抗体が、野生型又は変異体イヌ又はネコ軽鎖κ定常領域を含む、請求項1から104のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項106】
変異体軽鎖定常領域が、
a)配列番号235の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号241の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む野生型イヌ又はネコ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項104又は請求項105に記載の抗体。
【請求項107】
変異体軽鎖定常領域を含む抗体が、
a)配列番号235の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号241の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む野生型イヌ又はネコ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、抗体。
【請求項108】
変異体軽鎖定常領域が、
a)配列番号235の位置11に対応する位置におけるアラニン及び/又は位置22に対応する位置におけるアルギニン;又は
b)配列番号241の位置11に対応する位置におけるアラニン及び/又は位置22に対応する位置におけるアルギニン
を含む野生型ネコ又はイヌ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項104から107のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項109】
変異体軽鎖定常領域が、
a)配列番号235の位置11におけるアラニン及び/又は位置22におけるアルギニン;又は
b)配列番号241の位置11におけるアラニン及び/又は位置22におけるアルギニン
を含む野生型ネコ又はイヌ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項104から108のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項110】
軽鎖定常領域が、配列番号235、236、241、及び/又は242のアミノ酸配列を含む、請求項104から109のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項111】
抗体が二重特異性抗体である、請求項1から110のいずれか一項に記載の抗体
【請求項112】
抗体が、
i)第1の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドを含む二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137又は配列番号167の位置138に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140、配列番号163の位置137及び/若しくは位置139、配列番号165の位置137及び/若しくは位置139、又は配列番号167の位置138及び/若しくは位置140に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、二重特異性抗体;又は、
ii)第1の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドを含む二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154及び/又は位置156に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、二重特異性抗体
である、請求項1から111のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項113】
i)第1の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドを含む抗体又は二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137又は配列番号167の位置138に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140、配列番号163の位置137及び/若しくは位置139、配列番号165の位置137及び/若しくは位置139、又は配列番号167の位置138及び/若しくは位置140に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、抗体又は二重特異性抗体;
ii)第1の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドを含む抗体又は二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154及び/又は位置156に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、抗体又は二重特異性抗体;又は
iii)第1の野生型ウマIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型ウマIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドを含む抗体又は二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドは、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドは、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130及び/又は位置132に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、抗体又は二重特異性抗体。
【請求項114】
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137、又は配列番号167の位置138に対応する位置にトリプトファンを含み;
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138に対応する位置にセリン及び/又は位置140に対応する位置にアラニン、配列番号163の位置137に対応する位置にセリン及び/又は位置139に対応する位置にアラニン、配列番号165の位置137に対応する位置にセリン及び/又は位置139に対応する位置にアラニン、又は、配列番号167の位置138に対応する位置にセリン及び/又は位置140に対応する位置にアラニンを含み;
c)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置にトリプトファンを含み;
d)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置にセリン及び/又は位置156に対応する位置にアラニンを含み;
e)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130に対応する位置にトリプトファンを含み;且つ/又は
f)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130に対応する位置にセリン及び/又は位置132に対応する位置にアラニンを含む
請求項112又は請求項113に記載の抗体。
【請求項115】
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137又は配列番号167の位置138におけるアミノ酸置換を含み;
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140におけるアミノ酸置換、配列番号163の位置137及び/若しくは位置139におけるアミノ酸置換、配列番号165の位置137及び/若しくは位置139におけるアミノ酸置換、又は配列番号167の位置138及び/若しくは位置140におけるアミノ酸置換を含み;
c)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154におけるアミノ酸置換を含み;
d)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154及び/又は位置156におけるアミノ酸置換を含み;
e)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130におけるアミノ酸置換を含み;且つ/又は
f)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130及び/又は位置132におけるアミノ酸置換を含む、請求項112から114のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項116】
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137、又は配列番号167の位置138にトリプトファンを含み;
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138にセリン及び/又は位置140にアラニン、配列番号163の位置137にセリン及び/又は位置139にアラニン、配列番号165の位置137にセリン及び/又は位置139にアラニン、又は、配列番号167の位置138にセリン及び/又は位置140にアラニンを含み;
c)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154にトリプトファンを含み;
d)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154にセリン及び/又は位置156にアラニンを含み;
e)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130にトリプトファンを含み;且つ/又は
f)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130にセリン及び/又は位置132にアラニンを含む
請求項112から115のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項117】
第1の野生型IgG Fcポリペプチド及び第2の野生型IgG Fcポリペプチドが同じIgGサブタイプに由来する、請求項112から116のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項118】
第1の野生型IgG Fcポリペプチド及び第2の野生型IgG Fcポリペプチドが異なるIgGサブタイプに由来する、請求項112から117のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項119】
抗体が、配列番号162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、237、238、239、240、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、及び/又は267のアミノ酸配列を含むIgG Fcポリペプチドを含む、請求項1から118のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項120】
抗体が、
a.(i)配列番号25又は配列番号47の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号26又は配列番号48の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
b.(i)配列番号51又は配列番号55の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号52又は配列番号56の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
c.(i)配列番号71、配列番号72、配列番号75、配列番号76、又は配列番号276の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号73、配列番号74、配列番号77、配列番号78、又は配列番号277の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
d.(i)配列番号79、配列番号80、配列番号82、又は配列番号83の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号81又は配列番号84の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
e.(i)配列番号243の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号244の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
f.(i)配列番号348又は配列番号349の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号350の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;又は
g.(i)配列番号351又は配列番号352の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号253の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列
を含む、請求項1から119のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項121】
抗体が、IL4Rと、IL17、IL31、TNFα、CD20、CD19、CD25、IL4、IL13、IL23、IgE、CD11α、IL6R、α4-インテグリン(α4-Intergrin)、IL12、IL1β、又はBlySから選択される1つ又は複数の抗原とに結合する二重特異性抗体である、請求項1から120のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項122】
抗体が、(i)配列番号245の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号246の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列を含む、請求項1から121のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項123】
抗体が、Fv、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFab’-SH断片などの抗体断片である、請求項1から122のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項124】
請求項1から123のいずれか一項に記載の抗体をコードする単離された核酸。
【請求項125】
請求項124に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項126】
請求項1から123のいずれか一項に記載の抗体を発現する宿主細胞。
【請求項127】
請求項125又は請求項126に記載の宿主細胞を培養し、抗体を単離することを含む、抗体を産生する方法。
【請求項128】
請求項1から123のいずれか一項に記載の抗体及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項129】
IL4/IL13誘導性状態を有するコンパニオンアニマル種を治療する方法であって、請求項1から123のいずれか一項に記載の抗体又は請求項128に記載の薬学的組成物の治療的有効量をコンパニオンアニマル種に投与することを含む、方法。
【請求項130】
コンパニオンアニマル種がイヌ、ネコ、又はウマである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
IL4/IL13誘導性状態が、そう痒性又はアレルギー性状態である、請求項129又は請求項130に記載の方法。
【請求項132】
IL4/IL13誘導性状態が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒症、喘息、乾癬、強皮症、及び湿疹から選択される、請求項129から131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
抗体又は薬学的組成物が非経口的に投与される、請求項129から132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
抗体又は薬学的組成物が、筋肉内経路、腹腔内経路、脳脊髄内経路、皮下経路、動脈内経路、滑液嚢内経路、髄腔内経路、又は吸入経路によって投与される、請求項129から133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
方法が、抗体又は薬学的組成物と組み合わせて、Jak阻害剤、PI3K阻害剤、ERK阻害剤を投与することを含む、請求項129から134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
方法が、抗体又は薬学的組成物と組み合わせて、抗IL17抗体、抗IL31抗体、抗TNFα抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗CD25抗体、抗IL4抗体、抗IL13抗体、抗IL23抗体、抗IgE抗体、抗CD11α抗体、抗IL6R抗体、抗α4-インテグリン抗体(anti-α4-Intergrin antibody)、抗IL12抗体、抗IL1β抗体、及び抗BlyS抗体から選択される1つ又は複数の抗体を投与することを含む、請求項129から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
細胞内のIL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を低減させる方法であって、請求項1から123のいずれか一項に記載の抗体又は請求項64に記載の薬学的組成物を、細胞外IL4及び/又はIL13への抗体の結合を許容する条件下で細胞に曝露し、それにより、IL4及び/又はIL13のIL4Rへの結合を低減させ、且つ/又は細胞によるIL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を低減させることを含む、方法。
【請求項138】
細胞がエクスビボで抗体又は薬学的組成物に曝露される、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
細胞がインビボで抗体又は薬学的組成物に曝露される、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
細胞が、イヌ細胞、ネコ細胞、又はウマ細胞である、請求項137から139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
STAT6リン酸化の低減によって決定されるように、抗体が細胞内のIL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を低減させる、請求項137から140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
細胞が、イヌDH82細胞である、請求項137から141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
IL4Rへの抗体の結合を許容する条件下で、試料を請求項1から123のいずれか一項に記載の抗体又は請求項64に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、コンパニオンアニマル種からの試料中のIL4Rを検出するための方法。
【請求項144】
試料が、イヌ、ネコ、又はウマから得られた生物学的試料である、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
IL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を阻害する分子をスクリーニングする方法であって、イヌDH82細胞に分子を曝露し、STAT6リン酸化の低減があるかどうかを検出することを含む、方法。
【請求項146】
分子が、抗IL4R抗体又はIL4Rの小分子アンタゴニストを含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
分子が、抗IL13R抗体又はIL13Rの小分子アンタゴニストを含む、請求項145又は請求項146に記載の方法。
【請求項148】
分子が、抗IL4抗体又はIL4の小分子アンタゴニストを含む、請求項145から147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
分子が、抗IL13抗体又はIL13の小分子アンタゴニストを含む、請求項145から148のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、単離された抗IL4受容体(IL4R)抗体、例えば、イヌ又はネコIL4Rに結合し、IL4又はIL13との結合を低減させる抗体と、それを使用する方法、例えば、例としてイヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルにおいて、IL4誘導性及び/若しくはIL13誘導性状態を治療する方法、又は細胞におけるIL4若しくはIL13シグナル伝達機能を低減させる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
インターロイキン4(IL4)は、ナイーブTヘルパー細胞がTh2細胞に分化するように誘導するサイトカインである。IL4はまた、活性化B細胞及びT細胞の増殖を刺激し、IgEへのB細胞のクラススイッチを誘導することができる。IL13は、IL4と同様の免疫細胞への影響を及ぼす。どちらのサイトカインもアレルギーに関連している。
【0003】
IL4受容体は、IL4Ralpha又はIL4Rとして知られている。IL4Rは、共通のガンマ鎖受容体と対になり、IL4に特異的に結合することができる。IL4RはIL13Ra1と対になることもでき、一緒にそれらはIL4又はIL13のいずれかに結合することができる。したがって、IL4R上の結合部位をブロックすることは、潜在的にIL-4及び/又はIL-13の結合を低減させ、これら2つのサイトカインのシグナル伝達効果を低減させることができる。
【0004】
ネコ、イヌ、及びウマなどのコンパニオンアニマルは、アトピー性皮膚炎及びアレルギー状態など、ヒトの皮膚疾患に類似した多くの皮膚疾患を患う。したがって、IL4誘導性及び/又はIL13誘導性状態を治療するため、及びIL4/IL13シグナル伝達を低減させるために、コンパニオンアニマルIL4又は/及びIL13をブロックするために特異的に使用することができる方法及び化合物が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
実施態様1. イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、ここで、該抗体が、LX10FMGSENX11T(配列番号85)[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
実施態様2. イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、ここで、該抗体が、RLSYQLX10FMGSENX11TCVPEN(配列番号86)[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
実施態様3. 抗体が、LX10FMGSENX11T(配列番号85)[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、実施態様2に記載の単離された抗体。
実施態様4. 抗体が、配列番号88又は配列番号91のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様5. 抗体が、配列番号89又は配列番号92のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様6. 抗体が、SMX12X13DDX14VEADVYQLX15LWAGX16Q(配列番号87)[ここで、X12はP又はLであり、X13はI又はMであり、X14はA又はFであり、X15はD又はHであり、X16はQ又はTである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様7. 抗体が、SMX12X13DDX14VEADVYQLX15LWAGX16Q(配列番号87)[ここで、X12はP又はLであり、X13はI又はMであり、X14はA又はFであり、X15はD又はHであり、X16はQ又はTである]のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体。
実施態様8. 抗体が、配列番号90又は配列番号93のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様9. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様10. 抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様11. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌIL4R及び/若しくはネコIL4Rへの結合を低減させる、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様12. 抗体が、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルクローンB又はクローンI抗体と競合する、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様13. 抗体がモノクローナル抗体である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様14. 抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様15. 抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様16.
a)GYTFTSYVMH(配列番号1)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)YINPX1NDGTFYNGX2X3X4G(配列番号2)[ここで、X1はK又はAであり、X2はK又はAであり、X3はF又はVであり、X4はK又はQである]又はYINPX1NDGT(配列番号268)[ここで、X1はK又はAである]のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)FX5YGX6AY(配列番号3)[ここで、X5はN又はYであり、X6はI又はFである]のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様17.
a)配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号8、配列番号269、配列番号30、配列番号271、又は配列番号273のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号9又は配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様18.
a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
b)配列番号8、配列番号269、配列番号30、配列番号271、又は配列番号272のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び
c)配列番号9又は配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様19.
a)RASQEISGYLS(配列番号4)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)AASX7X8DX9(配列番号5)[ここで、X7はT又はNであり、X8はR又はLであり、X9はS又はTである]のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)VQYASYPWT(配列番号6)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様20.
a)配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号15又は配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様21.
a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
b)配列番号15又は配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
c)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様22.(a)配列番号10又は配列番号32の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号11又は配列番号33のHC-FR2配列;(c)配列番号12、配列番号270、配列番号34、又は配列番号273のHC-FR3配列;(d)配列番号13又は配列番号35のHC-FR4配列;(e)配列番号17又は配列番号39の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号18又は配列番号40のLC-FR2配列;(g)配列番号19又は配列番号41のLC-FR3配列;又は(h)配列番号20又は配列番号42のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、実施態様16から21のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様23. 抗体が、
a.(i)配列番号21又は配列番号43のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号22又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、又は配列番号274のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、又は配列番号275のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
c.(i)配列番号67又は配列番号69のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号68又は配列番号70のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様24. 抗体が、配列番号21、配列番号43、配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、配列番号274、配列番号67、又は配列番号69のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様25. 抗体が、配列番号22、配列番号44、配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、配列番号275、配列番号68、又は配列番号70のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様26. 抗体が、
a)配列番号21又は配列番号43のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号22又は配列番号44のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;
b)配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、又は配列番号274のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、配列番号275のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
c)配列番号67又は配列番号69のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列及び配列番号68又は配列番号70のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様27. イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、該抗体が配列番号354のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
実施態様28. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10 11M未満、1x10 11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、実施態様27に記載の単離された抗体。
実施態様29. 抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、実施態様27又は実施態様28に記載の抗体。
実施態様30. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌIL4R及び/若しくはネコIL4Rへの結合を低減させる、実施態様27から29のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様31. 抗体が、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルM3抗体と競合する、実施態様27から30のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様32. 抗体がモノクローナル抗体である、実施態様27から31のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様33. 抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、実施態様27から32のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様34. 抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、実施態様27から33のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様35.
a)配列番号278のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号279のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号280のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、実施態様27から34のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様36.
a)配列番号285のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号286のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号287のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、実施態様27から35のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様37.(a)配列番号281の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号282のHC-FR2配列;(c)配列番号283のHC-FR3配列;(d)配列番号284のHC-FR4配列;(e)配列番号288の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号289のLC-FR2配列;(g)配列番号290のLC-FR3配列;又は(h)配列番号291のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、実施態様27から36のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様38. 抗体が、
a.(i)配列番号292のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号293のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号344のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む、実施態様27から37のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様39. 抗体が、配列番号292、配列番号342、又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、実施態様27から38のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様40. 抗体が、配列番号293又は配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、実施態様27から39のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様41. 抗体が、
a)配列番号292のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号293のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;及び/又は
b)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、実施態様27から40のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様42
a)配列番号292のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号293のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
b)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、単離された抗体。
実施態様43. イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する単離された抗体であって、該抗体が配列番号355のアミノ酸配列を含むエピトープ及び/又は配列番号356のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
実施態様44. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10 11M未満、1x10 11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、実施態様43に記載の単離された抗体。
実施態様45. 抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する、実施態様43又は実施態様44に記載の抗体。
実施態様46. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌIL4R及び/若しくはネコIL4Rへの結合を低減させる、実施態様43から45のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様47. 抗体が、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルM8抗体と競合する、実施態様43から46のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様48. 抗体がモノクローナル抗体である、実施態様43から47のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様49. 抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、実施態様43から48のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様50. 抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、実施態様43から49のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様51.
a)配列番号310のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号311のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号312のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、実施態様43から50のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様52.
a)配列番号317のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号318のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号319のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、実施態様43から51のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様53.(a)配列番号313の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号314のHC-FR2配列;(c)配列番号315のHC-FR3配列;(d)配列番号316のHC-FR4配列;(e)配列番号320の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号321のLC-FR2配列;(g)配列番号322のLC-FR3配列;又は(h)配列番号323のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、実施態様43から52のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様54. 抗体が、
(a)配列番号324のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;
(b)配列番号325のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は
(c)(a)のような可変重鎖配列及び(b)のような可変軽鎖配列
を含む、実施態様43から53のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様55. 抗体が、配列番号324のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、実施態様43から54のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様56. 抗体が、配列番号325のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、実施態様43から55のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様57. 抗体が、配列番号324のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、実施態様43から56のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様58. 配列番号324のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号325のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、単離された抗体。
実施態様59. イヌIL4Rに結合する単離された抗体であって、該抗体が配列番号357のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、単離された抗体。
実施態様60. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10 11M未満、1x10 11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4Rに結合する、実施態様59に記載の単離された抗体。
実施態様61. 抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4Rに結合する、実施態様58又は実施態様59に記載の抗体。
実施態様62. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌIL4ポリペプチド及び/又はイヌIL13ポリペプチドのイヌIL4Rへの結合を低減させる、実施態様58から61のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様63. 抗体が、イヌIL4Rへの結合においてモノクローナルM9抗体と競合する、実施態様58から62のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様64. 抗体がモノクローナル抗体である、実施態様58から63のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様65. 抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、実施態様58から64のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様66. 抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、実施態様58から65のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様67.
a)配列番号326のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号327のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号328のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、実施態様58から66のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様68.
a)配列番号333のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号334のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号335のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、実施態様58から67のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様69.(a)配列番号329の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号330のHC-FR2配列;(c)配列番号331のHC-FR3配列;(d)配列番号332のHC-FR4配列;(e)配列番号336の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号337のLC-FR2配列;(g)配列番号338のLC-FR3配列;又は(h)配列番号339のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、実施態様58から68のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様70. 抗体が、
a.(i)配列番号340のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号341のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号347のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む、実施態様58から69のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様71. 抗体が、配列番号340、配列番号345、又は配列番号346のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、実施態様58から70のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様72. 抗体が、配列番号341又は配列番号347のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、実施態様58から71のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様73. 抗体が、
a)配列番号340のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号341のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;及び/又は
b)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号347のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、実施態様58から72のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様74.
a)配列番号340のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号341のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
b)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号347のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む、単離された抗体。
実施態様75.
a)配列番号294のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;
b)配列番号295のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及び
c)配列番号296のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列
を含む重鎖を含む、イヌIL4Rに結合する単離された抗体。
実施態様76.
a)配列番号301のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号302のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号303のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、イヌIL4Rに結合する単離された抗体。
実施態様77.
a)配列番号301のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;
b)配列番号302のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及び
c)配列番号303のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列
を含む軽鎖を含む、実施態様75に記載の単離された抗体。
実施態様78. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10 11M未満、1x10 11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4Rに結合する、実施態様75から77のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様79. 抗体が、免疫ブロット分析又はバイオレイヤー干渉法によって決定されるように、イヌIL4Rに結合する、実施態様75から78のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様80. 抗体が、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、イヌIL4ポリペプチド及び/又はイヌIL13ポリペプチドのイヌIL4Rへの結合を低減させる、実施態様75から79のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様81. 抗体が、イヌIL4Rへの結合においてモノクローナルM5抗体と競合する、実施態様75から80のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様82. 抗体がモノクローナル抗体である、実施態様75から81のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様83. 抗体が、イヌ、イヌ化、ネコ、ネコ化、又はキメラ抗体である、実施態様75から82のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様84. 抗体が、1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である、実施態様75から83のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様85.(a)配列番号297の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列;(b)配列番号298のHC-FR2配列;(c)配列番号299のHC-FR3配列;(d)配列番号300のHC-FR4配列;(e)配列番号304の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列;(f)配列番号305のLC-FR2配列;(g)配列番号306のLC-FR3配列;又は(h)配列番号307のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数をさらに含む、実施態様75から84のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様86. 抗体が、
(a)配列番号308のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;
(b)配列番号309のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は
(c)(a)のような可変重鎖配列及び(b)のような可変軽鎖配列
を含む、実施態様75から85のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様87. 抗体が、配列番号308のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む、実施態様75から86のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様88. 抗体が、配列番号309のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、実施態様75から87のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様89. 抗体が、配列番号308のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号309のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、実施態様75から88のいずれか一項に記載の単離された抗体。
実施態様90. 配列番号308のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号309のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む、単離された抗体。
実施態様91. 抗体が、野生型又は変異体イヌ又はネコIgG Fcポリペプチドを含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様92. IgG Fcポリペプチドが、野生型又は変異体イヌIgG-A Fcポリペプチド;野生型又は変異体イヌIgG-B Fcポリペプチド;野生型又は変異体IgG-C Fcポリペプチド;野生型又は変異体IgG-D Fcポリペプチド;野生型又は変異体ネコIgG1a Fcポリペプチド;野生型又は変異体ネコIgG1b Fcポリペプチド;又は野生型又は変異体ネコIgG2 Fcポリペプチドである、実施態様91に記載の抗体。
実施態様93. 変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型IgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドは、野生型IgG Fcポリペプチドに対して増加したプロテインAへの結合親和性;野生型IgG Fcポリペプチドに対して低下したC1qへの結合親和性;及び/又は野生型IgG Fcポリペプチドに対して低下したCD16への結合親和性を有する、実施態様91又は実施態様92に記載の抗体。
実施態様94. 変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型IgG Fcポリペプチドに対して、ヒンジ領域への少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドは、還元及び/又は非還元条件下でのSDS-PAGE分析によって決定されるように、野生型IgG Fcポリペプチドに対して増加した組換え産生及び/又は増加したヒンジジスルフィド形成を有する、実施態様91から93のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様95. 変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21、23、25、80、205、及び/又は207に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
b)配列番号163の位置5、38、39、94、97、及び/又は98に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
c)配列番号165の位置5、21、23、24、38、39、93、97、及び/又は98に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
d)配列番号167の位置21、23、25、80、及び/又は207に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16及び/又は198に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;及び/又は
f)配列番号207の位置14及び/又は16に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、実施態様91から94のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様96. 変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21、23、25、80、205、及び/又は207における少なくとも1つのアミノ酸置換;
b)配列番号163の位置5、38、39、94、97、及び/又は98における少なくとも1つのアミノ酸置換;
c)配列番号164の位置5、21、23、24、38、39、93、97、及び/又は98における少なくとも1つのアミノ酸置換;
d)配列番号165の位置21、23、25、80、及び/又は207における少なくとも1つのアミノ酸置換;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16及び/又は198における少なくとも1つのアミノ酸置換;及び/又は
f)配列番号207の位置14及び/又は16における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、実施態様91から95のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様97. 変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21に対応する位置におけるスレオニン、配列番号162の位置23に対応する位置におけるロイシン、配列番号162の位置25に対応する位置におけるアラニン、配列番号162の位置80に対応する位置におけるグリシン、配列番号162の位置205に対応する位置におけるアラニン、及び/又は配列番号162の位置207に対応する位置におけるヒスチジン;
b)配列番号163の位置5に対応する位置におけるプロリン、配列番号163の位置38に対応する位置におけるグリシン、配列番号163の位置39に対応する位置におけるアルギニン、配列番号163の位置93に対応する位置におけるアルギニン、配列番号163の位置97に対応する位置におけるイソロイシン、及び/又は配列番号163の位置98に対応する位置におけるグリシン;
c)配列番号164の位置5に対応する位置におけるプロリン、配列番号164の位置21に対応する位置におけるスレオニン、配列番号164の位置23に対応する位置におけるロイシン、配列番号164の位置24に対応する位置におけるイソロイシン、配列番号164の位置38に対応する位置におけるグリシン、配列番号164の位置39に対応する位置におけるアルギニン、配列番号164の位置93に対応する位置におけるアルギニン、配列番号164の位置97に対応する位置におけるイソロイシン、及び/又は配列番号164の位置98に対応する位置におけるグリシン;
d)配列番号165の位置21に対応する位置におけるスレオニン、配列番号165の位置23に対応する位置におけるロイシン、配列番号165の位置25に対応する位置におけるアラニン、配列番号165の位置80に対応する位置におけるグリシン、及び/又は配列番号165の位置207に対応する位置におけるヒスチジン;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置16に対応する位置におけるプロリン、及び/又は配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置198に対応する位置におけるアラニン;及び/又は
f)配列番号207の位置14に対応する位置におけるシステイン、及び/又は配列番号207の位置16に対応する位置におけるプロリン
を含む、実施態様91から96のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様98. 変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号162の位置21におけるスレオニン、配列番号162の位置23におけるロイシン、配列番号162の位置25におけるアラニン、配列番号162の位置80におけるグリシン、配列番号162の位置205におけるアラニン、及び/又は配列番号162の位置207におけるヒスチジン;
b)配列番号163の位置5におけるプロリン、配列番号163の位置38におけるグリシン、配列番号163の位置39におけるアルギニン、配列番号163の位置93におけるアルギニン、配列番号163の位置97におけるイソロイシン、及び/又は配列番号163の位置98におけるグリシン;
c)配列番号164の位置5におけるプロリン、配列番号164の位置21におけるスレオニン、配列番号164の位置23におけるロイシン、配列番号164の位置24におけるイソロイシン、配列番号164の位置38におけるグリシン、配列番号164の位置39におけるアルギニン、配列番号164の位置93におけるアルギニン、配列番号164の位置97におけるイソロイシン、及び/又は配列番号164の位置98におけるグリシン;
d)配列番号165の位置21におけるスレオニン、配列番号165の位置23におけるロイシン、配列番号165の位置25におけるアラニン、配列番号165の位置80におけるグリシン、及び/又は配列番号165の位置207におけるヒスチジン;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置16におけるプロリン、及び/又は配列番号203、配列番号204、配列番号205、若しくは配列番号206の位置198におけるアラニン;及び/又は
f)配列番号207の位置14におけるシステイン、及び/又は配列番号207の位置16におけるプロリン
を含む、実施態様91から97のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様99. 変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24及び/又は位置30に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号238の位置24及び/又は位置29に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、実施態様91から98のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様100. 野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含む変異体IgG Fcポリペプチドを含む抗体であって、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24及び/又は位置30に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号238の位置24及び/又は位置29に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、抗体。
実施態様101. 変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24及び/又は位置30における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号238の位置24及び/又は位置29における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む、実施態様27から36のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様102. 変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24に対応する位置におけるロイシン及び/又は位置30に対応する位置におけるアスパラギン;又は
b)配列番号238の位置24に対応する位置におけるロイシン及び/又は位置29に対応する位置におけるアスパラギン
を含む、実施態様97から101のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様103. 変異体IgG Fcポリペプチドが、野生型イヌ又はネコIgG CH1領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むCH1領域を含み、ここで、変異体IgG Fcポリペプチドが、
a)配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、又は配列番号237の位置24におけるロイシン及び/又は位置30におけるアスパラギン;又は
b)配列番号238の位置24におけるロイシン及び/又は位置29におけるアスパラギン
を含む、実施態様91から102のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様104. 抗体が、野生型又は変異体イヌ又はネコ軽鎖定常領域を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様105. 抗体が、野生型又は変異体イヌ又はネコ軽鎖κ定常領域を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様106. 変異体軽鎖定常領域が、
a)配列番号235の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号241の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む野生型イヌ又はネコ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、実施態様104又は実施態様105に記載の抗体。
実施態様107. 変異体軽鎖定常領域を含む抗体が、
a)配列番号235の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は
b)配列番号241の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換
を含む野生型イヌ又はネコ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、抗体。
実施態様108. 変異体軽鎖定常領域が、
a)配列番号235の位置11に対応する位置におけるアラニン及び/又は位置22に対応する位置におけるアルギニン;又は
b)配列番号241の位置11に対応する位置におけるアラニン及び/又は位置22に対応する位置におけるアルギニン
を含む野生型ネコ又はイヌ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、実施態様104から107のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様109. 変異体軽鎖定常領域が、
a)配列番号235の位置11におけるアラニン及び/又は位置22におけるアルギニン;又は
b)配列番号241の位置11におけるアラニン及び/又は位置22におけるアルギニン
を含む野生型ネコ又はイヌ軽鎖κ定常領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、実施態様104から108のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様110. 軽鎖定常領域が、配列番号235、236、241、及び/又は242のアミノ酸配列を含む、実施態様104から109のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様111. 抗体が二重特異性抗体である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様112. 抗体が、
i)第1の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドを含む二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137又は配列番号167の位置138に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140、配列番号163の位置137及び/若しくは位置139、配列番号165の位置137及び/若しくは位置139、又は配列番号167の位置138及び/若しくは位置140に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、二重特異性抗体;又は、
ii)第1の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドを含む二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154及び/又は位置156に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、二重特異性抗体
である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様113.
i)第1の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型イヌIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドを含む抗体又は二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137又は配列番号167の位置138に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140、配列番号163の位置137及び/若しくは位置139、配列番号165の位置137及び/若しくは位置139、又は配列番号167の位置138及び/若しくは位置140に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、抗体又は二重特異性抗体;
ii)第1の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドを含む抗体又は二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154及び/又は位置156に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、抗体又は二重特異性抗体;又は
iii)第1の野生型ウマIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチド、及び第2の野生型ウマIgG Fcポリペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドを含む抗体又は二重特異性抗体であって、ここで:
a)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドは、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130に対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、且つ/又は
b)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドは、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130及び/又は位置132に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む、抗体又は二重特異性抗体。
実施態様114.
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137、又は配列番号167の位置138に対応する位置にトリプトファンを含み;
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138に対応する位置にセリン及び/又は位置140に対応する位置にアラニン、配列番号163の位置137に対応する位置にセリン及び/又は位置139に対応する位置にアラニン、配列番号165の位置137に対応する位置にセリン及び/又は位置139に対応する位置にアラニン、又は、配列番号167の位置138に対応する位置にセリン及び/又は位置140に対応する位置にアラニンを含み;
c)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置にトリプトファンを含み;
d)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154に対応する位置にセリン及び/又は位置156に対応する位置にアラニンを含み;
e)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130に対応する位置にトリプトファンを含み;且つ/又は
f)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130に対応する位置にセリン及び/又は位置132に対応する位置にアラニンを含む
実施態様112又は実施態様113に記載の抗体。
実施態様115.
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137又は配列番号167の位置138におけるアミノ酸置換を含み;
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140におけるアミノ酸置換、配列番号163の位置137及び/若しくは位置139におけるアミノ酸置換、配列番号165の位置137及び/若しくは位置139におけるアミノ酸置換、又は配列番号167の位置138及び/若しくは位置140におけるアミノ酸置換を含み;
c)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154におけるアミノ酸置換を含み;
d)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154及び/又は位置156におけるアミノ酸置換を含み;
e)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130におけるアミノ酸置換を含み;且つ/又は
f)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130及び/又は位置132におけるアミノ酸置換を含む、実施態様112から114のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様116.
a)第1の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138、配列番号163の位置137、配列番号165の位置137、又は配列番号167の位置138にトリプトファンを含み;
b)第2の変異体イヌIgG Fcポリペプチドが、配列番号162の位置138にセリン及び/又は位置140にアラニン、配列番号163の位置137にセリン及び/又は位置139にアラニン、配列番号165の位置137にセリン及び/又は位置139にアラニン、又は、配列番号167の位置138にセリン及び/又は位置140にアラニンを含み;
c)第1の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154にトリプトファンを含み;
d)第2の変異体ネコIgG Fcポリペプチドが、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、又は配列番号207の位置154にセリン及び/又は位置156にアラニンを含み;
e)第1の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130にトリプトファンを含み;且つ/又は
f)第2の変異体ウマIgG Fcポリペプチドが、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、又は配列番号260の位置130にセリン及び/又は位置132にアラニンを含む
実施態様112から115のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様117. 第1の野生型IgG Fcポリペプチド及び第2の野生型IgG Fcポリペプチドが同じIgGサブタイプに由来する、実施態様112から116のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様118. 第1の野生型IgG Fcポリペプチド及び第2の野生型IgG Fcポリペプチドが異なるIgGサブタイプに由来する、実施態様112から117のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様119. 抗体が、配列番号162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、237、238、239、240、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、及び/又は267のアミノ酸配列を含むIgG Fcポリペプチドを含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様120. 抗体が、
a.(i)配列番号25又は配列番号47の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号26又は配列番号48の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
b.(i)配列番号51又は配列番号55の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号52又は配列番号56の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
c.(i)配列番号71、配列番号72、配列番号75、配列番号76、又は配列番号276の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号73、配列番号74、配列番号77、配列番号78、又は配列番号277の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;
d.(i)配列番号79、配列番号80、配列番号82、又は配列番号83の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号81又は配列番号84の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列;又は
e.(i)配列番号243の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号244の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列
を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様121. 抗体が、IL4Rと、IL17、IL31、TNFα、CD20、CD19、CD25、IL4、IL13、IL23、IgE、CD11α、IL6R、α4-インテグリン(α4-Intergrin)、IL12、IL1β、又はBlySから選択される1つ又は複数の抗原とに結合する二重特異性抗体である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様122. 抗体が、(i)配列番号245の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号246の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列を含む、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様123. 抗体が、Fv、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFab’-SH断片などの抗体断片である、前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体。
実施態様124. 前述の実施態様のいずれか一項に記載の抗体をコードする単離された核酸。
実施態様125. 実施態様124に記載の核酸を含む宿主細胞。
実施態様126. 実施態様1から123のいずれか一項に記載の抗体を発現する宿主細胞。
実施態様127. 実施態様125又は実施態様126に記載の宿主細胞を培養し、抗体を単離することを含む、抗体を産生する方法。
実施態様128. 実施態様1から123のいずれか一項に記載の抗体及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
実施態様129. IL4/IL13誘導性状態を有するコンパニオンアニマル種を治療する方法であって、実施態様1から123のいずれか一項に記載の抗体又は実施態様128に記載の薬学的組成物の治療的有効量をコンパニオンアニマル種に投与することを含む、方法。
実施態様130. コンパニオンアニマル種がイヌ、ネコ、又はウマである、実施態様129に記載の方法。
実施態様131. IL4/IL13誘導性状態が、そう痒性又はアレルギー性状態である、実施態様129又は実施態様130に記載の方法。
実施態様132. IL4/IL13誘導性状態が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒症、喘息、乾癬、強皮症、及び湿疹から選択される、実施態様129から131のいずれか一項に記載の方法。
実施態様133. 抗体又は薬学的組成物が非経口的に投与される、実施態様129から132のいずれか一項に記載の方法。
実施態様134. 抗体又は薬学的組成物が、筋肉内経路、腹腔内経路、脳脊髄内経路、皮下経路、動脈内経路、滑液嚢内経路、髄腔内経路、又は吸入経路によって投与される、実施態様129から133のいずれか一項に記載の方法。
実施態様135. 方法が、抗体又は薬学的組成物と組み合わせて、Jak阻害剤、PI3K阻害剤、ERK阻害剤を投与することを含む、実施態様129から134のいずれか一項に記載の方法。
実施態様136. 方法が、抗体又は薬学的組成物と組み合わせて、抗IL17抗体、抗IL31抗体、抗TNFα抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗CD25抗体、抗IL4抗体、抗IL13抗体、抗IL23抗体、抗IgE抗体、抗CD11α抗体、抗IL6R抗体、抗α4-インテグリン抗体(anti-α4-Intergrin antibody)、抗IL12抗体、抗IL1β抗体、及び抗BlyS抗体から選択される1つ又は複数の抗体を投与することを含む、実施態様129から135のいずれか一項に記載の方法。
実施態様137. 細胞内のIL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を低減させる方法であって、実施態様1から123のいずれか一項に記載の抗体又は実施態様64に記載の薬学的組成物を、細胞外IL4及び/又はIL13への抗体の結合を許容する条件下で細胞に曝露し、それにより、IL4及び/又はIL13のIL4R受容体への結合を低減させ、且つ/又は細胞によるIL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を低減させることを含む、方法。
実施態様138. 細胞がエクスビボで抗体又は薬学的組成物に曝露される、実施態様137に記載の方法。
実施態様139. 細胞がインビボで抗体又は薬学的組成物に曝露される、実施態様138に記載の方法。
実施態様140. 細胞が、イヌ細胞、ネコ細胞、又はウマ細胞である、実施態様137から139のいずれか一項に記載の方法。
実施態様141. STAT6リン酸化の低減によって決定されるように、抗体が細胞内のIL4及び/又はIL13シグナル伝達を低減させる、実施態様137から140のいずれか一項に記載の方法。
実施態様142. 細胞が、イヌDH82細胞である、実施態様137から141のいずれか一項に記載の方法。
実施態様143. IL4Rへの抗体の結合を許容する条件下で、試料を実施態様1から123のいずれか一項に記載の抗体又は実施態様128に記載の薬学的組成物と接触させることを含む、コンパニオンアニマル種からの試料中のIL4Rを検出するための方法。
実施態様144. 試料が、イヌ、ネコ、又はウマから得られた生物学的試料である、実施態様141に記載の方法。
実施態様145. IL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を阻害する分子をスクリーニングする方法であって、イヌDH82細胞に分子を曝露し、STAT6リン酸化の低減があるかどうかを検出することを含む、方法。
実施態様146. 分子が、抗IL4R抗体又はIL4Rの小分子アンタゴニストを含む、実施態様145に記載の方法。
実施態様147. 分子が、抗IL13R抗体又はIL13Rの小分子アンタゴニストを含む、実施態様145又は実施態様146に記載の方法。
実施態様148. 分子が、抗IL4抗体又はIL4の小分子アンタゴニストを含む、実施態様145から147のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、クローンB及びクローンIマウスモノクローナル抗体クローンの重鎖及び軽鎖アミノ酸配列のアラインメントである。
【
図2A-2B】
図2A及び
図2Bは、クローンBとそれに続いてクローンI(
図2A)を用いた、及びクローンIとそれに続いてクローンBを用いたイヌIL4R競合エピトープ結合解析のグラフである。
【
図3A-3B】
図3A、3B、3C、及び3Dは、クローンB又はクローンIとそれに続いてイヌIL4を用いた(
図3A);クローンB又はクローンIとそれに続いてイヌIL13を用いた(
図3B);イヌIL4とそれに続いてクローンB又はクローンIを用いた(
図3C);及びイヌIL13とそれに続いてクローンB又はクローンIを用いた(
図3D)、イヌIL4R競合的結合解析のグラフである。
【
図3C-3D】
図3A、3B、3C、及び3Dは、クローンB又はクローンIとそれに続いてイヌIL4を用いた(
図3A);クローンB又はクローンIとそれに続いてイヌIL13を用いた(
図3B);イヌIL4とそれに続いてクローンB又はクローンIを用いた(
図3C);及びイヌIL13とそれに続いてクローンB又はクローンIを用いた(
図3D)、イヌIL4R競合的結合解析のグラフである。
【
図4A-4B】
図4A及び4Bは、非還元(-DTT、左パネル)及び還元(+DTT、右パネル)条件下において、クローンI(
図4A)及び対照としての抗ヒトFc抗体(
図4B)でプローブされたネコ、ウマ、ネズミ、ヒト、及びイヌのIL4R ECDポリペプチドの免疫ブロットである。
【
図5A-5C】
図5Aは、イヌIL4Rエピトープマッピング解析のために使用されるイヌ/ヒトIL4RECDハイブリッドポリペプチドの図解である。
図5B及び5Cは、クローンI(
図5B)及び対照としての抗ヒトFc抗体(
図5C)でプローブされた、5Aに図示されるイヌIL4R ECD、ヒトIL4R ECD、様々なイヌ/ヒトIL4R ECDハイブリッドポリペプチドの免疫ブロットである。
【
図6A-6C】
図6Aは、追加のイヌIL4Rエピトープマッピング解析のために使用されるイヌ/ヒトIL4RECDハイブリッドポリペプチドの図解である。
図6B及び6Cは、クローンI(
図6B)及び対照としての抗ヒトFc抗体(
図6C)でプローブされた、6Aに図示されるイヌIL4R ECD、ヒトIL4R ECD、及び様々なイヌ/ヒトIL4R ECDハイブリッドポリペプチドの免疫ブロットである。
【
図7A-7C】
図7Aは、追加のイヌIL4Rエピトープマッピング解析に使用された、表1にさらに記載されているイヌIL4R ECDアラニン突然変異体ポリペプチドを同定する。
図7B及び7Cは、クローンI(
図7B)及び対照としての抗ヒトFc抗体(
図7C)でプローブされた、ヒトIL4R ECD、イヌIL4R ECD、及び様々なイヌIL4R ECDアラニン突然変異体ポリペプチドの免疫ブロットである。
【
図8】
図8は、イヌIL4、イヌIL4R ECD、及びイヌIL13R ECDの複合体の3次元モデルである。第1のエピトープは、矢印によって同定される。
【
図9A-9B】
図9Aは、イヌIL4Rエピトープマッピング解析のために使用されるイヌ/ヒトIL4R ECDハイブリッドポリペプチドの図解である。
図9Bは、M3、M8、及びM9抗体でプローブされたイヌIL4R ECD、ヒトIL4R ECD、及び様々なイヌ/ヒトIL4R ECDハイブリッドポリペプチドのウエスタンブロッティング解析をまとめたものである。
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の実施態様の説明
イヌIL4R及び/又はネコIL4Rに結合する抗体が提供される。IL4Rに結合する抗体を形成することができる抗体重鎖及び軽鎖も提供される。さらに、1つ又は複数の特定の相補性決定領域(CDR)を含む、抗体、重鎖、及び軽鎖が提供される。イヌ又はネコIL4Rに対する抗体をコードするポリヌクレオチドが提供される。イヌ又はネコIL4Rに対する抗体を産生又は精製する方法も提供される。イヌ及び/又はネコのIL4/IL13に対する抗体を使用する治療方法が提供される。そのような方法には、限定されるものではないが、コンパニオンアニマル種におけるIL4誘導性状態及び/又はIL13誘導性状態を治療する方法が含まれる。コンパニオンアニマル種からの試料中の可溶性IL4Rを検出する方法が提供される。IL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を阻害する分子(例えば、抗IL4R、抗IL13R、抗IL4、及び抗IL13抗体、並びにIL4R、IL13R、IL4、及びIL13の小分子アンタゴニスト)をスクリーニングする方法も提供される。
【0009】
本明細書で提供されるイヌ又はネコのIL4R抗体との関連で使用され得る、プロテインAへの結合の増加、C1qへの結合の減少、CD16への結合の減少、安定性の増加、組換え産生の増加、及び/又はヒンジジスルフィド形成の増加を有する、イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルからの変異体IgG Fcポリペプチドも提供される。さらに、本明細書で提供されるのは、抗IL4R抗体を含む二重特異性抗体の調製のための、イヌ、ネコ、及びウマなどのコンパニオンアニマルからの変異体IgG Fcポリペプチド及び変異体軽鎖定常領域である。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体又は抗体断片は、変異体IgG Fcポリペプチド又は変異体軽鎖定常領域を含む。変異体IgG Fcポリペプチドを組み込んだ抗IL4R抗体及び二重特異性抗体を調製するための方法が提供される。
【0010】
IL4Rに対する新規の抗体、例えば、イヌIL4R及び/又はネコIL4Rに結合する抗体が提供される。本明細書で提供される抗IL4R抗体には、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、マウス抗体、キメラ抗体、イヌ化抗体、ネコ化抗体、及び二重特異性抗体が含まれる。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、クローンB、クローンI、M3、M5、M8、又はM9などの単離されたマウスモノクローナル抗体である。
【0011】
ハイブリドーマクローンは、標準的なハイブリドーマ技術を使用してイヌIL4Rによるマウスの免疫化の後に得られた。モノクローナル抗体クローンB、クローンI、M3、M5、M8、及びM9が、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)スクリーニング、結合親和性アッセイ、及びインビトロ中和アッセイに続いて、さらなる調査のために選択された。クローンB及びクローンIの重鎖及び軽鎖が配列決定され、配列アラインメントにより分析された(
図1;配列番号27(クローンB HC)、配列番号28(クローンB LC)、配列番号49(クローンI HC)、及び配列番号50(クローンI LC))。M3、M5、M8、及びM9の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)もまた、配列決定された(配列番号292(M3 VH)、配列番号293(M3 VL)、配列番号308(M5 VH)、配列番号309(M5 VL)、配列番号324(M8 VH)、配列番号325(M8 VL)、配列番号340(M9 VH)、及び配列番号341(M9 VL))。
【0012】
モノクローナル抗体クローンB及びクローンIのアミノ酸配列も本明細書で提供される。例示的なコンセンサスCDR配列は、CDR-H1:GYTFTSYVMH(配列番号1)、CDR-H2:YINPX1NDGTFYNGX2X3X4G(配列番号2)(ここで、X1はK又はAであり、X2はK又はAであり、X3はF又はVであり、X4はK又はQである)、又はYINPX1NDGT(配列番号268)(ここで、X1はK又はAである);CDR-H3:FX5YGX6AY(配列番号3)(ここで、X5はN又はYであり、X6はI又はFである)、CDR-L1:RASQEISGYLS(配列番号4);CDR-L2:AASX7X8DX9(配列番号5)(ここで、X7はT又はNであり、X8はR又はLであり、X9はS又はTである);及びCDR-L3:VQYASYPWT(配列番号6)として同定された。
【0013】
また、例えば、モノクローナル抗体クローンBの可変重鎖CDR(配列番号7、配列番号8、配列番号269、及び配列番号9)、可変軽鎖CDR(配列番号14、配列番号15、及び配列番号16)、可変領域重鎖フレームワーク配列(配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号270、及び配列番号13)、及び可変領域軽鎖フレームワーク配列(配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20)が提供される。モノクローナル抗体クローンBの可変重鎖及び可変軽鎖のアミノ酸配列は、リーダー配列有り無し両方で提供される(配列番号21、配列番号22、配列番号23、及び配列番号24)。クローンBの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、リーダー配列有り無し両方で提供される(配列番号25、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28)。
【0014】
別の例として、モノクローナル抗体クローンIの、可変重鎖CDR(配列番号29、配列番号30、配列番号271、配列番号272、及び配列番号31)、可変軽鎖CDR(配列番号36、配列番号37、及び配列番号38)、可変領域重鎖フレームワーク配列(配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号273、及び配列番号35)、及び可変領域軽鎖フレームワーク配列(配列番号39、配列番号40、配列番号41、及び配列番号42)が提供される。モノクローナル抗体クローンIの可変重鎖及び可変軽鎖のアミノ酸配列は、リーダー配列有り無し両方で提供される(配列番号43、配列番号44、配列番号45、及び配列番号46)。クローンIの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、リーダー配列有り無し両方で提供される(配列番号47、配列番号48、配列番号49、及び配列番号50)。
【0015】
さらなる例として、M3の、可変重鎖CDR(配列番号278、配列番号279、配列番号280)、可変軽鎖CDR(配列番号285、配列番号286、及び配列番号287)、可変領域重鎖フレームワーク配列(配列番号281-284)、及び可変領域軽鎖フレームワーク配列(配列番号288-291)が提供される。
【0016】
別の例として、M5の、可変重鎖CDR(配列番号294、配列番号295、配列番号296)、可変軽鎖CDR(配列番号301、配列番号302、及び配列番号303)、可変領域重鎖フレームワーク配列(配列番号297-300)、及び可変領域軽鎖フレームワーク配列(配列番号304-307)が提供される。
【0017】
本明細書でさらに例示されるのは、M8の、可変重鎖CDR(配列番号310、配列番号311、配列番号312)、可変軽鎖CDR(配列番号317、配列番号318、及び配列番号319)、可変領域重鎖フレームワーク配列(配列番号313-316)、及び可変領域軽鎖フレームワーク配列(配列番号320-323)である。
【0018】
また、本明細書で例示されるのは、M9の、可変重鎖CDR(配列番号326、配列番号327、配列番号328)、可変軽鎖CDR(配列番号333、配列番号334、及び配列番号335)、可変領域重鎖フレームワーク配列(配列番号329-332)、及び可変領域軽鎖フレームワーク配列(配列番号336-339)である。
【0019】
モノクローナル抗体クローンB、クローンI、M3、M5、M8、及びM9に由来するキメラ、イヌ化、及びネコ化抗体も本明細書で提供される。いくつかの実施態様では、配列番号51、配列番号52、配列番号53、及び配列番号54などの、クローンBに由来するキメラ抗体のアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号55、配列番号56、配列番号57、及び配列番号58などの、クローンIに由来するキメラ抗体のアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号71、配列番号72、配列番号73、及び配列番号74などの、イヌ化クローンBのアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号63、配列番号64、配列番号274、配列番号65、配列番号66、配列番号275、配列番号75、配列番号76、配列番号276、配列番号77、配列番号78、及び配列番号277などのイヌ化クローンIのアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号67、配列番号68、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81などのクローンBに由来するネコ化抗体のアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号69、配列番号70、配列番号82、配列番号83、及び配列番号84などのクローンIに由来するネコ化抗体のアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号342、配列番号343、配列番号344、配列番号348、配列番号349、及び配列番号350などの、M3に由来するイヌ化抗体のアミノ酸配列が提供される。いくつかの実施態様では、配列番号345、配列番号346、配列番号347、配列番号351、配列番号352、及び配列番号353などの、M9に由来するイヌ化抗体のアミノ酸配列が提供される。
【0020】
本明細書で使用される場合、Kdなどの数値項は、科学的測定に基づいて計算されるため、適正な測定誤差の影響を受ける。場合によっては、数値項は、最も近い有効数字に丸められた数値が含まれてもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、別段の定めがない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味する。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、別段の定めがない限り、「及び/又は」を意味する。多数項従属請求項の文脈では、他の請求項を参照する際の「又は」の使用は、それらの請求項を代替としてのみ参照する。
【0022】
本明細書における用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性(二重特異性T細胞エンゲージャーなど)及び三重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片(Fab、F(ab’)2、ScFv、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディなど)を含む様々な抗体構造を包含する。イヌ、ネコ、ウマの種には、多くの哺乳動物によって共有される異なる種類(クラス)の抗体がある。
【0023】
抗体という用語には、限定されるものではないが、Fv、一本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、di-scFv、sdAb(単一ドメイン抗体)及び(Fab’)2(化学的に結合したF(ab’)2を含む)など、抗原に結合できる断片が含まれる。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれ、断片の各々が単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合断片と、名称が容易に結晶化するその能力を反映する残りの「Fc」断片とが生成される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab’)2断片を生じる。抗体という用語には、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びマウス、ヒト、カニクイザル、イヌ、ネコ、ウマなどの様々な種の抗体も含まれる。さらに、本明細書で提供される全ての抗体構築物について、他の生物からの配列を有する変異体もまた企図される。したがって、抗体のマウスバージョンが開示される場合、当業者は、マウス配列に基づく抗体をネコ、イヌ、ウマなどの配列に変換する方法を理解するであろう。抗体断片には、一本鎖scFv、タンデムdi-scFv、ダイアボディ、タンデムtri-sdcFv、ミニボディなどのいずれかの配向も含まれる。抗体断片には、ナノボディ(sdAb、軽鎖を含まない重鎖の可変ドメインの対などの単一単量体ドメインを有する抗体)も含まれる。抗体断片は、いくつかの実施態様では、特定の種であると言及することができる(例えば、マウスscFv又はイヌscFv)。これは、構築物の供給源ではなく、非CDR領域の少なくとも一部の配列を示す。いくつかの実施態様では、抗体は、標識を含むか、又は第2の部分にコンジュゲートされている。
【0024】
用語「標識」及び「検出可能な標識」は、特定の結合対のメンバー間の反応(例えば、結合)を検出可能にするために抗体又はその被分析物に付着した部分を意味する。特定の結合対の標識されたメンバーは、「検出可能に標識された」と言及される。したがって、用語「標識された結合タンパク質」は、結合タンパク質の同定をもたらす標識が組み込まれたタンパク質を指す。いくつかの実施態様では、標識は、視覚的又は機器的手段、例えば、放射性同位元素で標識されたアミノ酸の組み込み、又は標識されたアビジン(例えば、光学的又は比色法によって検出することができる蛍光マーカー又は酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの付着によって検出可能なシグナルを生成することができる検出可能なマーカーである。ポリペプチドの標識の例には、限定されるものではないが、以下が含まれる:放射性同位元素又は放射性核種(例えば、3H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho、又は153Sm);色素原、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);化学発光マーカー;ビオチニル基;二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ);及びガドリニウムキレートなどの磁性剤。免疫測定法に一般的に使用される標識の代表的な例には、光を生成する部分、例えば、アクリジニウム化合物、及び蛍光を生成する部分、例えば、フルオレセインが含まれる。この点については、部分自体は検出可能に標識され得ないが、さらに別の部分との反応で検出可能になり得る。
【0025】
用語「モノクローナル抗体」は、抗体の実質的に均一な集団の抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する可能性のある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、通常、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。
したがって、モノクローナル抗体の試料は、抗原上の同じエピトープに結合することができる。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は米国特許第816567号に記載されているような組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCafferty et al., 1990, Nature 348:552-554に記載された技術を使用して生成されたファージライブラリーから単離され得る。
【0026】
いくつかの実施態様では、モノクローナル抗体は、クローンB、クローンI、M3、M5、M8、及びM9から選択された単離されたマウス抗体である。
【0027】
「アミノ酸配列」は、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸残基の配列を意味する。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために交換可能に使用され、最小の長さに限定されない。そのようなアミノ酸残基のポリマーは、天然又は非天然のアミノ酸残基を含み得、限定されるものではないが、アミノ酸残基のペプチド、オリゴペプチド、二量体、三量体、及び多量体を含む。全長タンパク質とその断片の両方が定義によって含まれる。その用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアル化、アセチル化、リン酸化などを含む。さらに、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する欠失、付加、及び置換(一般に本質的に保存的)などの修飾を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発などによる計画的なものであり得るか、あるいはタンパク質を産生する宿主の突然変異又はPCR増幅に起因するエラーなどによる偶発的なものであり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、ペプチド、ポリペプチド、又は抗体配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」及び「相同性」は、配列を整列させ、必要ならばギャップを導入して、最大のパーセント配列同一性を達成した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない場合の、特定のペプチド又はポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当分野の技術の範囲内にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALINETM(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0029】
いくつかの実施態様では、変異体は、配列を整列させ、必要ならばギャップを導入して、最大のパーセント配列同一性を達成した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない場合、参照核酸分子又はポリペプチドと少なくとも約50%の配列同一性を有する。そのような変異体には、例えば、ポリペプチドのN末端又はC末端において1つ又は複数のアミノ酸残基が付加されている、欠失しているポリペプチドが含まれる。いくつかの実施態様では、変異体は、参照核酸又はポリペプチドの配列と、少なくとも約50%の配列同一性、少なくとも約60%の配列同一性、少なくとも約65%の配列同一性、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約75%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、又は少なくとも約99%の配列同一性を有する。
【0030】
「点突然変異」とは、単一のアミノ酸残基を含む突然変異である。突然変異は、アミノ酸の欠損、あるアミノ酸残基の別のアミノ酸残基への置換、又は追加のアミノ酸残基の挿入であり得る。
【0031】
「アミノ酸置換」は、ポリペプチド中のあるアミノ酸の別のアミノ酸による置換を指す。いくつかの実施態様では、アミノ酸置換は、保存的置換である。非限定的な例示的な保存的アミノ酸置換を表2に示す。アミノ酸置換を目的の分子に導入し、その生成物を所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、改善されたADCC又はCDC、改善された組換え産生、及び/又は改善された薬物動態についてスクリーニングすることができる。
【0032】
【0033】
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従ってグループ化することができる。
(1) 疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2) 中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3) 酸性:Asp、Glu;
(4) 塩基性:His、Lys、Arg;
(5) 鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6) 芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0034】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを必要とするであろう。
【0035】
本明細書で使用される「アミノ酸誘導体」は、ヒトに見いだされる20種類の一般的な天然アミノ酸のうちの1つではない、任意のアミノ酸、修飾アミノ酸、及び/又はアミノ酸類似体を指す。例示的なアミノ酸誘導体には、ヒトには見いだされない天然アミノ酸(例えば、いくつかの微生物に見いだされ得るセレノシステイン及びピロリジン)及び非天然アミノ酸が含まれる。例示的なアミノ酸誘導体には、限定されるものではないが、化学製品製造業者を通じて市販されているアミノ酸誘導体が含まれる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるsigmaaldrich.com/chemistry/chemistry-products.html?TablePage=16274965、2017年5月6日にアクセス)。宿主細胞、真正細菌合成酵素に由来する直交アミノアシル-tRNA合成酵素、直交tRNAs、及びアミノ酸誘導体を利用する翻訳系を使用して、特定の位置で1つ又は複数のアミノ酸誘導体をポリペプチドに組み込むことができる。さらなる説明は、例えば、米国特許第9624485号を参照のこと。
【0036】
いくつかの実施様態では、ポリペプチドは、アミノ酸誘導体によるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、アミノ酸誘導体は、アラニン誘導体、システイン誘導体、アスパラギン酸誘導体、グルタミン酸誘導体、フェニルアラニン誘導体、グリシン誘導体、ヒスチジン誘導体、イソロイシン誘導体、リジン誘導体、ロイシン誘導体、メチオニン誘導体、アスパラギン誘導体、プロリン誘導体、グルタミン誘導体、アルギニン誘導体、セリン誘導体、スレオニン誘導体、バリン誘導体、トリプトファン誘導体、又はチロシン誘導体である。
【0037】
本明細書で使用される「IL4R」は、IL4に結合するIL4受容体サブユニットアルファの全体又は断片を含むポリペプチドである。
【0038】
例えば、「IL4R」は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)、及びコンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、及びウマ)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源からのIL4Rポリペプチドを指す。この用語はまた、IL4Rの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体若しくは対立遺伝子変異体、又はIL4Rの人工変異体、例えば、標識されたIL4Rポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、IL4Rは、IL4に結合する細胞外ドメイン断片である。いくつかのそのような実施態様では、IL4Rは、IL4R細胞外ドメイン(ECD)と呼ばれ得る。いくつかの実施態様では、IL4Rは、配列番号94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、又は117のアミノ酸配列を含む。
【0039】
本明細書で使用される「IL4」は、IL4Rに結合するIL4の全体又は断片を含むポリペプチドである。
【0040】
例えば、IL4は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)、及びコンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、及びウマ)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源からのIL4ポリペプチドを指す。この用語はまた、IL4の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体若しくは対立遺伝子変異体、又はIL4の人工変異体、例えば、標識されたIL4ポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、IL4は、配列番号118、119、120、121、122、若しくは123のアミノ酸配列、又はそれらのプロセシングされたバージョンを含む。いくつかの実施態様では、IL4は、配列番号124、125、126、127、128、129、130又は131のアミノ酸配列を含む。
【0041】
本明細書で使用される「IL13」は、IL4Rに結合するIL13の全体又は断片を含むポリペプチドである。
【0042】
例えば、IL13は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)、及びコンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、及びウマ)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源からのIL13ポリペプチドを指す。この用語はまた、IL13の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体若しくは対立遺伝子変異体、又はIL13の人工変異体、例えば、標識されたIL13ポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、IL13は、配列番号154若しくは155のアミノ酸配列、又はそれらのプロセシングされたバージョンを含む。いくつかの実施態様では、IL31は、配列番号156、157、158又は159のアミノ酸配列を含む。
【0043】
本明細書で使用される「IL13R」又は「IL13Ra1」は、IL4Rと対になってIL4又はIL13に結合するIL13Rの全体又は断片を含むポリペプチドである。
【0044】
本明細書で使用される「ガンマC受容体」は、IL4Rと対になってIL4に結合する共通ガンマ鎖受容体の全体又は断片を含むポリペプチドである。
【0045】
抗体の「IL4R結合ドメイン」という用語は、IL4Rに結合する抗IL4R抗体の軽鎖及び重鎖によって形成される結合ドメインを意味する。
【0046】
いくつかの実施態様では、IL4R結合ドメインは、それがヒトIL4Rに結合するよりも高い親和性でイヌIL4Rに結合する。いくつかの実施様態では、IL4R結合ドメインはネコIL4Rに結合する。
【0047】
本明細書で使用される「IL4/IL13シグナル伝達機能」は、IL4がIL13R若しくはガンマC受容体と対になったIL4Rに結合するとき、又はIL13がIL13Rと対になったIL4Rに結合するときに生じる任意の細胞効果を指す。細胞効果は、STAT6リン酸化、Tヘルパー細胞のTh2細胞への分化、B細胞及び/又はT細胞増殖の活性化、及び/又はIgEへのB細胞クラススイッチの誘導を含み得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」は、抗原結合分子(例えば、抗体、抗体断片、又は抗体結合領域を含む足場タンパク質)が結合する標的分子(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物又は脂質などの抗原)上の部位を指す。エピトープは、アミノ酸、ポリペプチド、又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基をしばしば含み、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有する。エピトープは、標的分子の隣接残基又は並置された不隣接残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)の両方から形成することができる。隣接残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)から形成されるエピトープは、通常、変性溶媒への曝露で保持されるが、一方三次元の折り畳みによって形成されるエピトープは、通常、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、限定されるものではないが、少なくとも3個、少なくとも5個又は8-10個の残基(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド)を含み得る。いくつかの例では、エピトープは、長さが20残基(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド)未満、15残基未満、又は12残基未満である。2つの抗体は、それらが抗原に対して競合的結合を示す場合、抗原内の同じエピトープに結合し得る。いくつかの実施態様では、エピトープは、抗原結合分子上のCDR残基までの一定の最小距離によって同定することができる。いくつかの実施態様では、エピトープは、上記の距離によって同定することができ、さらに、抗体残基と抗原残基との間の結合(例えば、水素結合)に関与するそれらの残基に限定することができる。エピトープは、様々なスキャンによっても同定することができ、例えば、アラニン又はアルギニンスキャンは、抗原結合分子が相互作用できる1つ又は複数の残基を示すことができる。明示的に示さない限り、エピトープとして残基のセットは、特定の抗体に対するエピトープの一部であることから、他の残基を排除するものではない。むしろ、そのようなセットの存在は、エピトープの最小のシリーズ(又は種のセット)を示す。したがって、いくつかの実施態様では、エピトープとして同定された残基のセットは、抗原上のエピトープの残基の排他的リストではなく、抗原に関連する最小のエピトープを指定する。
【0049】
いくつかの実施態様では、エピトープは、イヌIL4R ECD(配列番号99)又はネコIL4R ECD(配列番号100)のL41とT50の範囲内にあり、例えばR36とN55の範囲内にある。例えば、エピトープは、配列番号88、配列番号89、配列番号91、又は配列番号92のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施態様では、エピトープは、アミノ酸配列LX10FMGSENX11T[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである](配列番号85)を含む。いくつかの実施態様では、エピトープは、アミノ酸配列RLSYQLX10FMGSENX11TCVPEN[ここで、X10はD又はNであり、X11はH又はRである](配列番号86)を含む。
【0050】
いくつかの実施態様では、エピトープは、イヌIL4R ECD(配列番号99)又はネコIL4R ECD(配列番号100)のアミノ酸S64とQ85の範囲内にある。例えば、エピトープは、配列番号90又は配列番号93のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施態様では、エピトープは、アミノ酸配列SMX12X13DDX14VEADVYQLX15LWAGXQ[ここで、X12はP又はLであり、X13はI又はMであり、X14はA又はFであり、X15はD又はHであり、X16はQ又はTである](配列番号87)を含む。
【0051】
いくつかの実施態様では、エピトープは、イヌIL4R ECD(配列番号99)のアミノ酸D65とN78の範囲内にある。例えば、エピトープは、配列番号354のアミノ酸配列を含み得る。
【0052】
いくつかの実施態様では、第1のエピトープは、イヌIL4R ECD(配列番号99)のアミノ酸G24とA56の範囲内にあり、第2のエピトープは、イヌIL4R ECDのアミノ酸R79とI90の範囲内にある。例えば、第1のエピトープは、配列番号355のアミノ酸配列を含み得、第2のエピトープは、配列番号356のアミノ酸配列を含み得る。
【0053】
いくつかの実施態様では、エピトープは、イヌIL4R ECD(配列番号99)のアミノ酸R79とV98の範囲内にある。例えば、エピトープは、配列番号357のアミノ酸配列を含み得る。
【0054】
用語「CDR」は、当業者に対する少なくとも1つの識別方法によって定義される相補性決定領域を意味する。いくつかの実施態様では、CDRは、Chothiaの番号付けスキーム、Kabatの番号付けスキーム、KabatとChothiaの組み合わせ、AbMの定義、接触の定義、又はKabat、Chothia、AbM若しくは接触の定義の組み合わせのいずれかに従って定義することができる。抗体内の様々なCDRは、その適切な数と鎖の種類によって指定することができ、限定されるものではないが、CDR-H1、CDR-H2、CDR-HC3、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3が含まれる。用語「CDR」は、本明細書では、超可変ループを含む「超可変領域」又はHVRも包含するために使用される。
【0055】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、又は配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号2、配列番号268、配列番号8、配列番号269、配列番号30、配列番号271又は配列番号272のアミノ酸配列を含むCDR-H2;又は(c)配列番号3、配列番号9、又は配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、(a)配列番号4、配列番号14、又は配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(b)配列番号5、配列番号15、又は配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L2;又は(c)配列番号6、配列番号16、又は配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖を含む。
【0056】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、(a)配列番号1、配列番号7、又は配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するCDR-H1配列;(b)配列番号2、配列番号268、配列番号8、配列番号269、配列番号30、配列番号271、又は配列番号272のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するCDR-H2配列;又は(c)配列番号3、配列番号9、又は配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するCDR-H3配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、(a)配列番号4、配列番号14、又は配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するCDR-L1配列;(b)配列番号5、配列番号15、又は配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するCDR-L2配列;又は(c)配列番号6、配列番号16、又は配列番号38のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するCDR-L3配列を含む軽鎖を含む。
【0057】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号278のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;b)配列番号279のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及びc)配列番号280のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号285のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;b)配列番号286のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及びc)配列番号287のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列を含む軽鎖を含む。
【0058】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号310のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;b)配列番号311のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及びc)配列番号312のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号317のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;b)配列番号318のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及びc)配列番号319のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列を含む軽鎖を含む。
【0059】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号326のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;b)配列番号327のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及びc)配列番号328のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号333のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;b)配列番号334のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及びc)配列番号335のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列を含む軽鎖を含む。
【0060】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号294のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H1配列;b)配列番号295のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H2配列;及びc)配列番号296のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-H3配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、a)配列番号301のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L1配列;b)配列番号302のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L2配列;及びc)配列番号303のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するCDR-L3配列を含む軽鎖を含む。
【0061】
本明細書で使用される用語「可変領域」は、少なくとも3つのCDRを含む領域を指す。いくつかの実施態様では、可変領域は、3つのCDR及び少なくとも1つのフレームワーク領域(「FR」)を含む。用語「重鎖可変領域」又は「可変重鎖」は、少なくとも3つの重鎖CDRを含む領域を指すために交換可能に使用される。用語「軽鎖可変領域」又は「可変軽鎖」は、少なくとも3つの軽鎖CDRを含む領域を指すために交換可能に使用される。いくつかの実施態様では、可変重鎖又は可変軽鎖は、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、HC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、及びHC-FR4から選択される少なくとも1つの重鎖フレームワーク領域を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、LC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、及びLC-FR4から選択される少なくとも1つの軽鎖フレームワーク領域を含む。フレームワーク領域は、軽鎖CDR間又は重鎖CDR間に並置され得る。例えば、抗体は、以下の構造を有する可変重鎖を含み得る:(HC-FR1)-(HC-CDR1)-(HC-FR2)-(HC-CDR2)-(HC-FR3)-(HC-CDR3)-(HC-FR4)。抗体は、以下の構造を有する可変重鎖を含み得る:(HC-CDR1)-(HC-FR2)-(HC-CDR2)-(HC-FR3)-(HC-CDR3)。抗体はまた、以下の構造を有する可変軽鎖を含み得る:(LC-FR1)-(LC-CDR1)-(LC-FR2)-(LC-CDR2)-(LC-FR3)-(LC-CDR3)-(LC-FR4)。抗体はまた、以下の構造を有する可変軽鎖を含み得る:(LC-CDR1)-(LC-FR2)-(LC-CDR2)-(LC-FR3)-(LC-CDR3)。
【0062】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、(a)配列番号10又は配列番号32の可変領域重鎖フレームワーク1(HC-FR1)配列、(b)配列番号11又は配列番号33のHC-FR2配列、(c)配列番号12、配列番号270、配列番号34、配列番号273のHC-FR3配列、(d)配列番号13又は配列番号35のHC-FR4配列、(e)配列番号17又は配列番号39の可変領域軽鎖フレームワーク1(LC-FR1)配列、(f)配列番号18又は配列番号40のLC-FR2配列、(g)配列番号19又は配列番号41のLC-FR3配列、又は(h)配列番号20又は配列番号42のLC-FR4配列のうちの1つ又は複数を含む。
【0063】
いくつかの実施様態では、抗IL4R抗体は、
a.(i)配列番号21又は配列番号43のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号22又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号59、配列番号60、配列番号63、又は配列番号64、又は配列番号274のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号61、配列番号62、配列番号65、又は配列番号66、配列番号275のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
c.(i)配列番号67又は配列番号69のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号68又は配列番号70のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む。
【0064】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号21、配列番号43、配列番号59、配列番号60、配列番号63、配列番号64、配列番号274、配列番号67、若しくは配列番号69の可変重鎖配列、及び/又は(a)配列番号22、配列番号44、配列番号61、配列番号62、配列番号65、配列番号66、配列番号275、配列番号68、若しくは配列番号70の可変軽鎖配列を含む。
【0065】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号25、配列番号47、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号79、配列番号80、配列番号82、若しくは配列番号83の重鎖配列、及び/又は配列番号26、配列番号48、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号73、配列番号74、配列番号77、配列番号78、配列番号277、配列番号81、若しくは配列番号84の軽鎖配列を含む。
【0066】
いくつかの実施様態では、抗IL4R抗体は、
a.(i)配列番号292のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号293のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号344のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む。
【0067】
いくつかの実施様態では、抗IL4R抗体は、
a)配列番号292のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号293のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列;又は
b)配列番号342又は配列番号343のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、及び配列番号344のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列
を含む。
【0068】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号292、配列番号342、若しくは配列番号343の可変重鎖配列及び/又は(a)配列番号293、若しくは配列番号344の可変軽鎖配列を含む。
【0069】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号348若しくは配列番号349の重鎖配列及び/又は配列番号350の軽鎖配列を含む。
【0070】
いくつかの実施様態では、抗IL4R抗体は、(a)配列番号324のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(b)配列番号325のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(c)(a)のような可変重鎖配列及び(b)のような可変軽鎖配列
を含む。
【0071】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号324の可変重鎖配列及び/又は(a)配列番号325の可変軽鎖配列を含む。
【0072】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号348若しくは配列番号349の重鎖配列及び/又は配列番号350の軽鎖配列を含む。
【0073】
いくつかの実施様態では、抗IL4R抗体は、
a.(i)配列番号340のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号341のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列;又は
b.(i)配列番号345又は配列番号346のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(ii)配列番号347のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(iii)(i)のような可変重鎖配列及び(ii)のような可変軽鎖配列
を含む。
【0074】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号340、配列番号345、若しくは配列番号346の可変重鎖配列及び/又は(a)配列番号341、若しくは配列番号347の可変軽鎖配列を含む。
【0075】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号348若しくは配列番号349の重鎖配列及び/又は配列番号350の軽鎖配列を含む。
【0076】
いくつかの実施様態では、抗IL4R抗体は、抗体が、(a)配列番号308のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変重鎖配列;(b)配列番号309のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する可変軽鎖配列;又は(c)(a)のような可変重鎖配列及び(b)のような可変軽鎖配列を含む、請求項75から85のいずれか一項に記載の単離された抗体を含む。
【0077】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号308の可変重鎖配列及び/又は(a)配列番号341若しくは配列番号309の可変軽鎖配列を含む。
【0078】
本明細書で使用される用語「定常領域」は、少なくとも3つの定常ドメインを含む領域を指す。用語「重鎖定常領域」又は「定常重鎖」は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む領域を指すために交換可能に使用される。非限定的な例示的な重鎖定常領域には、γ、δ、α、ε、及びμが含まれる。各重鎖定常領域は、抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体は、IgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体は、IgD抗体であり、α定常領域を含む抗体は、IgA抗体であり、μ定常領域を含む抗体は、IgM抗体であり、ε定常領域を含む抗体は、IgE抗体である。特定のアイソタイプは、さらにサブクラスに分類することができる。例えば、IgG抗体には、限定されるものではないが、IgG1(γ1定常領域を含む)抗体、IgG2(γ2定常領域を含む)抗体、IgG3(γ3定常領域を含む)抗体、及びIgG4(γ4定常領域を含む)抗体が含まれ;IgA抗体には、限定されるものではないが、IgA1(α1定常領域を含む)抗体及びIgA2(α2定常領域を含む)抗体が含まれ;IgM抗体には、限定されるものではないが、IgM1及びIgM2が含まれる。用語「軽鎖定常領域」又は「定常軽鎖」は、軽鎖定常ドメイン、CLを含む領域を指すために交換可能に使用される。非限定的な例示的な軽鎖定常領域には、λ及びκが含まれる(例えば、配列番号235又は241)。ドメイン内の機能を変えない欠失及び改変は、特に明記しない限り、用語「定常領域」の範囲内に包含される。イヌ、ネコ、及びウマは、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMなどの抗体クラスを有する。イヌIgG抗体クラスには、IgG-A、IgG-B、IgG-C、及びIgG-Dがある。ネコIgG抗体クラスには、IgG1a、IgG1b、及びIgG2がある。ウマIgG抗体クラスには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5、IgG6、及びIgG7がある。
【0079】
「断片結晶化可能ポリペプチド」又は「Fcポリペプチド」は、エフェクター分子及び細胞と相互作用する抗体分子の部分である。それは、免疫グロブリン重鎖のC末端部分を含む。本明細書で使用される場合、Fcポリペプチドは、Fcポリペプチド全体の1つ又は複数の生物学的活性を有するFcドメインの断片を含む。いくつかの実施態様では、Fcポリペプチドの生物学的活性は、FcRnに結合する能力である。いくつかの実施態様では、Fcポリペプチドの生物学的活性は、C1qに結合する能力である。いくつかの実施態様では、Fcポリペプチドの生物学的活性は、CD16に結合する能力である。いくつかの実施態様では、Fcポリペプチドの生物学的活性は、プロテインAに結合する能力である。Fcポリペプチドの「エフェクター機能」は、刺激に応答して任意の抗体によって全体的又は部分的に遂行される作用又は活性であり、補体固定化及び/又はADCC(抗体依存性細胞傷害)誘導を含み得る。
【0080】
用語「IgX Fc」は、Fc領域が特定の抗体アイソタイプ(例えば、IgG、IgA、IgD、IgE、IgMなど)に由来することを意味し、ここで「X」は抗体アイソタイプを示す。したがって、「IgG Fc」は、γ鎖のFc領域を示し、「IgA Fc」はα鎖のFc領域を示し、「IgD Fc」は、δ鎖のFc領域を示し、「IgE Fc」は、ε鎖のFc領域を示し、「IgM Fc」は、μ鎖のFc領域を示す。いくつかの実施態様では、IgG Fc領域は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCL1を含む。「IgX-N-Fc」は、Fc領域が抗体アイソタイプの特定のサブクラス(イヌIgGサブクラスA、B、C、又はD;ネコIgGサブクラス1、2a、又は2b;又はウマIgGサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5、IgG6、又はIgG7など)に由来することを示し、ここで「N」はサブクラスを示す。
【0081】
いくつかの実施態様では、IgX Fcポリペプチド又はIgX-N-Fcポリペプチドは、イヌ、ネコ、又はウマなどのコンパニオンアニマルに由来する。いくつかの実施態様では、IgG Fcポリペプチドは、IgG-A、IgG-B、IgG-C、又はIgG-Dなどのイヌγ重鎖から単離される。いくつかの例では、IgG Fcポリペプチドは、IgG1、IgG2a、又はIgG2bなどのネコγ重鎖から単離される。他の例では、IgG Fcポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5、IgG6、又はIgG7などのウマγ重鎖から単離される。
【0082】
用語「IgX Fc」及び「IgX Fcポリペプチド」は、特に明記しない限り、野生型IgX Fcポリペプチド及び変異体IgX Fcポリペプチドを含む。
【0083】
「野生型」は、天然に生じるポリペプチドの非変異バージョン、又はその断片を指す。野生型ポリペプチドは、組換えにより産生されてもよい。
【0084】
いくつかの実施態様では、野生型IgGFcポリペプチドは、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、又は配列番号253を含む。
【0085】
「変異体」は、単一又は複数の非天然アミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加によって参照ポリペプチドと異なるポリペプチドである。いくつかの実施態様では、変異体は、参照ポリペプチド(例えば、野生型ポリペプチド)の少なくとも1つの生物学的活性を保持する。
【0086】
本明細書で使用される「変異体IgG Fcポリペプチド」は、単一又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び/又は付加によって参照IgG Fcポリペプチドとは異なり、且つ参照IgG Fcポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を実質的に保持するIgG Fcポリペプチドである。
【0087】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、コンパニオンアニマル種の変異体IgG Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、変異体イヌIgG Fcポリペプチド、変異体ウマIgG Fcポリペプチド、又はネコIgG Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチド(例えば、変異体イヌIgG-A Fcポリペプチド、変異体イヌIgG-C Fcポリペプチド、変異体イヌIgG-D Fcポリペプチド、変異体ネコIgG1a Fcポリペプチド、変異体ネコIgG1b Fcポリペプチド、又は変異体ネコIgG2 Fcポリペプチド)は、参照(例えば、野生型)ポリペプチドが実質的に欠いている活性を有する。例えば、いくつかの実施態様では、変異体イヌIgG-A Fcポリペプチド、変異体イヌIgG-C Fcポリペプチド、又は変異体イヌIgG-D Fcポリペプチドは、プロテインAに結合する。
【0088】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、改変されたプロテインA結合親和性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、プロテインAへの増加した結合親和性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、プロテインAカラムクロマトグラフィーを使用して精製され得る。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、改変されたCD16結合親和性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、CD16への減少した結合親和性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcは、低下したADCC免疫応答を有し得る。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、改変されたC1q結合親和性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、C1qへの低下した結合親和性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、補体固定化を低減させ得る。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcは、低減した補体媒介性免疫応答を有し得る。
【0089】
「ヒンジ」は、プロリンに富み、少なくとも1つのシステイン残基を含み、重鎖定常領域のCH1とCH2の間に位置する、Fcポリペプチド又は変異体Fcポリペプチドの任意の部分を指す。
【0090】
いくつかの実施態様では、ヒンジは、同じヒンジ領域内、同じFcポリペプチド内で、別個のFcポリペプチドのヒンジ領域と、又は別個のFcポリペプチドとジスルフィド結合を形成することができる。いくつかの実施態様では、ヒンジは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10個のプロリン残基を含む。
【0091】
いくつかの実施態様では、変異体ネコIgG Fcポリペプチドは、野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して、ヒンジ領域などにおいて少なくとも1つの追加の鎖間ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの追加の鎖間ジスルフィド結合を有する変異体ネコIgG2 Fcポリペプチドは、野生型ネコIgG Fcポリペプチドに対して、増加した鎖間安定性を有する。いくつかの実施態様では、変異体IgGポリペプチドは、野生型ネコIgG Fcポリペプチドなどの野生型IgG Fcポリペプチドに対して、ヒンジ領域への少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する。
【0092】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、異なるアイソタイプのIgG Fcポリペプチドからのヒンジ領域又はヒンジ領域の一部を含む。いくつかの実施態様では、イヌIgG2 Fcポリペプチドなどの変異体IgG Fcポリペプチドは、野生型ネコIgG1a又はIgG1b Fcポリペプチドからのヒンジ領域を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、野生型IgG Fcポリペプチドに対して増加した組換え産生及び/又は増加したヒンジジスルフィド形成を有する。いくつかの実施態様では、増加した組換え産生及び/又は増加したヒンジジスルフィド形成は、還元及び/又は非還元条件下でのSDS-PAGE分析によって決定することができる。
【0093】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、a)配列番号162の位置21、23、25、80、205、及び/又は207に対応する位置での少なくとも1つのアミノ酸置換;b)配列番号163の位置5、38、39、94、97、及び/又は98に対応する位置での少なくとも1つのアミノ酸置換;c)配列番号165の位置5、21、23、24、38、39、93、97、及び/又は98に対応する位置での少なくとも1つのアミノ酸置換;d)配列番号167の位置21、23、25、80、及び/又は207に対応する位置での少なくとも1つのアミノ酸置換;e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16及び/又は198に対応する位置での少なくとも1つのアミノ酸置換;及び/又はf)配列番号207の位置14及び/又は16に対応する位置での少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0094】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、a)配列番号162の位置21、23、25、80、205、及び/又は207での少なくとも1つのアミノ酸置換;b)配列番号163の位置5、38、39、94、97、及び/又は98での少なくとも1つのアミノ酸置換;c)配列番号164の位置5、21、23、24、38、39、93、97、及び/又は98での少なくとも1つのアミノ酸置換;d)配列番号165の位置21、23、25、80、及び/又は207での少なくとも1つのアミノ酸置換;e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16及び/又は198での少なくとも1つのアミノ酸置換;及び/又はf)配列番号207の位置14及び/又は16での少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0095】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、
a)配列番号162の、位置21に対応する位置におけるスレオニン、位置23に対応する位置におけるロイシン、位置25に対応する位置におけるアラニン、位置80に対応する位置におけるグリシン、位置205に対応する位置におけるアラニン、及び/又は位置207に対応する位置におけるヒスチジン;
b)配列番号163の、位置5に対応する位置におけるプロリン、位置38に対応する位置におけるグリシン、位置39に対応する位置におけるアルギニン、位置93に対応する位置におけるアルギニン、位置97に対応する位置におけるイソロイシン、及び/又は位置98に対応する位置におけるグリシン;
c)配列番号164の、位置5に対応する位置におけるプロリン、位置21に対応する位置におけるスレオニン、位置23に対応する位置におけるロイシン、位置24に対応する位置におけるイソロイシン、位置38に対応する位置におけるグリシン、位置39に対応する位置におけるアルギニン、位置93に対応する位置におけるアルギニン、位置97に対応する位置におけるイソロイシン、及び/又は位置98に対応する位置におけるグリシン;
d)配列番号165の、位置21に対応する位置におけるスレオニン、位置23に対応する位置におけるロイシン、位置25に対応する位置におけるアラニン、位置80に対応する位置におけるグリシン、及び/又は位置207に対応する位置におけるヒスチジン;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16に対応する位置におけるプロリン及び/又は位置198に対応する位置におけるアラニン;及び/又は
f)配列番号207の位置14に対応する位置におけるシステイン、及び/又は配列番号207の位置16に対応する位置におけるプロリン
を含む。
【0096】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、
a)配列番号162の、位置21におけるスレオニン、位置23におけるロイシン、位置25におけるアラニン、位置80におけるグリシン、位置205におけるアラニン、及び/又は位置207におけるヒスチジン;
b)配列番号163の、位置5におけるプロリン、位置38におけるグリシン、位置39におけるアルギニン、位置93におけるアルギニン、位置97におけるイソロイシン、及び/又は位置98におけるグリシン;
c)配列番号164の、位置5におけるプロリン、位置21におけるスレオニン、位置23におけるロイシン、位置24におけるイソロイシン、位置38におけるグリシン、位置39におけるアルギニン、位置93におけるアルギニン、位置97におけるイソロイシン、及び/又は位置98におけるグリシン;
d)配列番号165の、位置21におけるスレオニン、位置23におけるロイシン、位置25におけるアラニン、位置80におけるグリシン、及び/又は位置207におけるヒスチジン;
e)配列番号203、配列番号204、配列番号205、又は配列番号206の位置16におけるプロリン及び/又は位置198におけるアラニン;及び/又は
f)配列番号207の位置14におけるシステイン、及び/又は位置16におけるプロリン
を含む。
【0097】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、208、209、210、211、212、213、214、215、又は216のアミノ酸配列を含む。
【0098】
二重特異性抗体は、2つの異なるエピトープ又は標的分子に対する結合特異性を有する。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、同じ標的分子の2つの異なるエピトープに結合する。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片であり得る。
【0099】
いくつかの実施態様では、抗体は、「ノブ」突然変異を含む第1の変異体IgG Fcポリペプチド及び「ホール」突然変異を含む第2の変異体IgG Fcポリペプチドを含む。非限定的な例示的なノブ及びホールの突然変異は、例えば、Merchant, A. M. et al. An efficient route to human bispecific IgG. Nat Biotechnol, 16(7):677-81 (1998)に記載されている。
【0100】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、ノブ突然変異を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138;配列番号163の位置137;配列番号165の位置137;配列番号167の位置138;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138;配列番号163の位置137;配列番号165の位置137;配列番号167の位置138;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138;配列番号163の位置137;配列番号165の位置137;配列番号167の位置138;又は配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130に対応する位置にトリプトファンを含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138;配列番号163の位置137;配列番号165の位置137;配列番号167の位置138;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130にトリプトファンを含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号195、196、197、198、217、218、219、220、221、254、255、256、257、258、259、又は260のアミノ酸配列を含む。
【0101】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、ホール突然変異を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140;配列番号163の位置137及び/若しくは位置139;配列番号165の位置137及び/若しくは位置139;配列番号167の位置138及び/若しくは位置140;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154及び/若しくは位置156;並びに/又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130及び/若しくは位置132に対応する位置におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138及び/若しくは位置140;配列番号163の位置137及び/若しくは位置139;配列番号165の位置137及び/若しくは位置139;配列番号167の位置138及び/若しくは位置140;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154及び/若しくは位置156;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130及び/若しくは位置132におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138に対応する位置におけるセリン及び/又は位置140に対応する位置におけるアラニン;配列番号163の位置137に対応する位置におけるセリン及び/又は位置139に対応する位置におけるアラニン;配列番号165の位置137に対応する位置におけるセリン及び/又は位置139に対応する位置におけるアラニン;配列番号167の位置138に対応する位置におけるセリン及び/又は位置140に対応する位置におけるアラニン;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154に対応する位置におけるセリン及び/又は位置156に対応する位置におけるアラニン;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130に対応する位置におけるセリン及び/若しくは位置132に対応する位置におけるアラニンを含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号162の位置138におけるセリン及び/又は位置140におけるアラニン;配列番号163の位置137におけるセリン及び/又は位置139におけるアラニン;配列番号165の位置137におけるセリン及び/又は位置139におけるアラニン;配列番号167の位置138におけるセリン及び/又は位置140におけるアラニン;配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、若しくは配列番号207の位置154におけるセリン及び/又は位置156におけるアラニン;又は配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250、配列番号251、配列番号252、若しくは配列番号253の位置130におけるセリン及び/若しくは位置132におけるアラニンを含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号199、200、201、202、222、223、224、225、226、261、262、263、264、265、266、又は267のアミノ酸配列を含む。
【0102】
さらに、重鎖がその意図された軽鎖と特異的に対になることを容易にするために、CH1と軽鎖との間の界面アミノ酸を、形状及び電荷-電荷相互作用において相補的になるように、変異させてもよい。
【0103】
いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、若しくは配列番号237の位置24及び/若しくは位置30に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は配列番号238の位置24及び/若しくは位置29に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含むCH1領域を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、若しくは配列番号237の位置24及び/若しくは位置30における少なくとも1つのアミノ酸置換;又は配列番号238の位置24及び/若しくは位置29における少なくとも1つのアミノ酸置換を含むCH1領域を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、若しくは配列番号237の位置24に対応する位置におけるロイシン及び/若しくは位置30に対応する位置におけるアスパラギン;又は配列番号238の位置24に対応する位置におけるロイシン及び/若しくは位置29に対応する位置におけるアスパラギンを含むCH1領域を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、若しくは配列番号237の位置24におけるロイシン及び/若しくは位置30におけるアスパラギン;又は配列番号238の位置24におけるロイシン及び/若しくは位置29におけるアスパラギンを含むCH1領域を含む。いくつかの実施態様では、変異体IgG Fcポリペプチドは、配列番号231、232、233、234、239、又は240のアミノ酸配列を含むCH1領域を含む。
【0104】
いくつかの実施態様では、相補的変異体軽鎖定常領域は、配列番号235又は配列番号241の位置11及び/又は位置22に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、変異体軽鎖定常領域は、配列番号235又は配列番号241の位置11及び/又は位置22における少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、変異体軽鎖定常領域は、配列番号235又は配列番号241の位置11に対応する位置にアラニン及び/又は位置22に対応する位置にアルギニンを含む。いくつかの実施態様では、変異体軽鎖定常領域は、配列番号235又は配列番号241の位置11にアラニン及び/又は位置22にアルギニンを含む。いくつかの実施態様では、変異体軽鎖定常領域は、配列番号236又は242のアミノ酸配列を含む。
【0105】
用語「キメラ抗体」又は「キメラ」は、重鎖又は軽鎖の一部が、特定の供給源又は種に由来し、一方、重鎖又は軽鎖の残りの少なくとも一部が、異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。いくつかの実施態様では、キメラ抗体は、第1の種(マウス、ラット、カニクイザルなど)からの少なくとも1つの可変領域及び第2の種(ヒト、イヌ、ネコ、ウマなど)からの少なくとも1つの定常領域を含む抗体を指す。いくつかの実施態様では、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域及び少なくとも1つのイヌ定常領域を含む。いくつかの実施態様では、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域及び少なくとも1つのネコ定常領域を含む。いくつかの実施態様では、キメラ抗体の全ての可変領域は、第1の種に由来し、キメラ抗体の全ての定常領域は、第2の種に由来する。いくつかの実施態様では、キメラ抗体は、コンパニオンアニマルからの定常重鎖領域又は定常軽鎖領域を含む。いくつかの実施態様では、キメラ抗体は、マウス可変重鎖及び軽鎖、並びにコンパニオンアニマル定常重鎖及び軽鎖を含む。例えば、キメラ抗体は、マウス可変重鎖及び軽鎖、並びにイヌ定常重鎖及び軽鎖を含み得;キメラ抗体は、マウス可変重鎖及び軽鎖、並びにネコ定常重鎖及び軽鎖を含み得;又はキメラ抗体は、マウス可変重鎖及び軽鎖、並びにウマ定常重鎖及び軽鎖を含み得る。
【0106】
「イヌキメラ」又は「イヌキメラ抗体」は、イヌに由来する重鎖の少なくとも一部又は軽鎖の少なくとも一部を有するキメラ抗体を指す。「ネコキメラ」又は「ネコキメラ抗体」は、ネコに由来する重鎖の少なくとも一部又は軽鎖の少なくとも一部を有するキメラ抗体を指す。いくつかの実施態様では、イヌキメラ抗体は、マウス可変重鎖及び軽鎖、並びにイヌ定常重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施態様では、ネコキメラ抗体は、マウス可変重鎖及び軽鎖、並びにネコ定常重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施態様では、抗体は、マウス可変重鎖フレームワーク領域又はマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含むキメラ抗体である。
【0107】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、(i)配列番号51又は配列番号55の重鎖アミノ酸配列;(ii)配列番号52又は配列番号56の軽鎖アミノ酸配列;又は(iii)(i)のような重鎖アミノ酸配列及び(ii)のような軽鎖配列を含むキメラ抗体を含む。
【0108】
本明細書で使用される「イヌ抗体」は、イヌにおいて産生された抗体;イヌ免疫グロブリン遺伝子を含む、又はイヌ免疫グロブリンペプチドを含む、非イヌ動物において産生された抗体;又は抗体レパートリーがイヌ免疫グロブリン配列に基づく、ファージディスプレイなどのインビトロ法を使用して選択された抗体を包含する。用語「イヌ抗体」は、イヌ配列である配列の属を意味する。したがって、この用語は、抗体が作成されたプロセスを指定するのではなく、関連する配列の属を指定する。
【0109】
「イヌ化抗体」とは、非イヌ可変領域の一部の少なくとも1つのアミノ酸が、イヌ可変領域からの対応するアミノ酸で置換されている抗体を意味する。いくつかの実施態様では、イヌ化抗体は、少なくとも1つのイヌ定常領域(例えば、γ定常領域、α定常領域、δ定常領域、ε定常領域、μ定常領域など)又はその断片を含む。いくつかの実施態様では、イヌ化抗体は、Fab、scFv、(Fab’)2などの抗体断片である。用語「イヌ化」はまた、非イヌ免疫グロブリンの最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合配列など)である非イヌ(例えば、マウス)抗体の形態を意味する。イヌ化抗体には、レシピエントのCDRからの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非イヌ種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換されているイヌ免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含めることができる。いくつかの例では、イヌ免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非イヌ残基によって置換されている。さらに、イヌ化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されたCDR又はフレームワーク配列においても見出されないが、抗体の性能をさらに向上させ、最適化するために含まれる残基を含むことができる。
【0110】
いくつかの実施態様では、マウス可変重鎖又はマウス可変軽鎖の一部における少なくとも1つのアミノ酸残基は、イヌ可変領域からの対応するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施態様では、修飾された鎖は、イヌ定常重鎖又はイヌ定常軽鎖に融合される。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号59、60、63若しくは64の可変重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号61、62、65若しくは66の可変軽鎖アミノ酸配列を含むイヌ化抗体である。
【0111】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、IgG-A、IgG-B、IgG-C、及びIgG-D定常領域から選択されるイヌ重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、本明細書に記載されるように、野生型又は変異体イヌIgG-A、IgG-B、IgG-C、又はIgG-D Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号162のアミノ酸配列を含むイヌIgG-A Fcポリペプチド;配列番号163又は164のアミノ酸配列を含むイヌIgG-B Fcポリペプチド;(c)配列番号165又は166のアミノ酸配列を含むイヌIgG-C Fcポリペプチド;又は(d)配列番号167のアミノ酸配列を含むイヌIgG-D Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号168、169、195、又は199のアミノ酸配列を含む変異体イヌIgG-A Fcポリペプチド;配列番号170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、196、又は200のアミノ酸配列を含む変異体イヌIgG-B Fcポリペプチド;(c)配列番号180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、197、又は201のアミノ酸配列を含む変異体イヌIgG-C Fcポリペプチド;又は(d)配列番号194、198、又は202のアミノ酸配列を含む変異体イヌIgG-D Fcポリペプチドを含む。
【0112】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、イヌκ軽鎖定常領域などのイヌ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、野生型イヌκ軽鎖定常領域(例えば、配列番号235)又は変異体イヌκ軽鎖定常領域(例えば、配列番号236)を含む。
【0113】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、クローンB、クローンI、M3、M5、M8、又はM9のイヌ化可変重鎖、及び配列番号71、72、75、76、276、348、349、351、又は352などの変異体イヌIgG Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、クローンB、クローンI、M3、M5、M8、又はM9のイヌ化可変軽鎖、及び配列番号73、74、77、78、277、350、又は352などの野生型イヌκ軽鎖定常領域を含む。
【0114】
本明細書で使用される「ネコ抗体」は、ネコにおいて産生された抗体;ネコ免疫グロブリン遺伝子を含む、又はネコ免疫グロブリンペプチドを含む、非ネコ動物において産生された抗体;又は抗体レパートリーがネコ免疫グロブリン配列に基づく、ファージディスプレイなどのインビトロ法を使用して選択された抗体を包含する。用語「ネコ抗体」は、ネコ配列である配列の属を意味する。したがって、この用語は、抗体が作成されたプロセスを指定するのではなく、関連する配列の属を指定する。
【0115】
「ネコ化抗体」とは、非ネコ可変領域の一部の少なくとも1つのアミノ酸が、ネコ可変領域からの対応するアミノ酸で置換されている抗体を意味する。いくつかの実施態様では、ネコ化抗体は、少なくとも1つのネコ定常領域(例えば、γ定常領域、α定常領域、δ定常領域、ε定常領域、μ定常領域など)又はその断片を含む。いくつかの実施態様では、ネコ化抗体は、Fab、scFv、(Fab’)2などの抗体断片である。用語「ネコ化」はまた、非ネコ免疫グロブリンの最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合配列など)である非ネコ(例えば、マウス)抗体の形態を意味する。ネコ化抗体には、レシピエントのCDRからの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非ネコ種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換されているネコ免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含めることができる。いくつかの例では、ネコ免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ネコ残基によって置換されている。さらに、ネコ化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されたCDR又はフレームワーク配列においても見出されないが、抗体の性能をさらに向上させ、最適化するために含まれる残基を含むことができる。
【0116】
いくつかの実施態様では、マウス可変重鎖又はマウス可変軽鎖の一部における少なくとも1つのアミノ酸残基は、ネコ可変領域からの対応するアミノ酸で置換されている。いくつかの実施態様では、修飾された鎖は、ネコ定常重鎖又はネコ定常軽鎖に融合される。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号67若しくは69の可変重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号68若しくは70の可変軽鎖アミノ酸配列を含むネコ化抗体である。
【0117】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、IgG1a、IgG1b、及びIgG2定常領域から選択されるネコ重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、本明細書に記載されるように、野生型又は変異体ネコIgG1a、IgG1b、又はIgG2 Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号203又は204のアミノ酸配列を含むネコIgG1a Fcポリペプチド;配列番号205又は206のアミノ酸配列を含むネコIgG1b Fcポリペプチド;又は(c)配列番号207のアミノ酸配列を含むネコIgG2 Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、配列番号208、209、210、217、218、222、又は223のアミノ酸配列を含む変異体ネコIgG1a Fcポリペプチド;配列番号211、212、213、219、220、224、又は225のアミノ酸配列を含む変異体ネコIgG1b Fcポリペプチド;又は(c)配列番号214、215、216、221、又は226のアミノ酸配列を含む変異体ネコIgG2 Fcポリペプチドを含む。
【0118】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、ネコκ軽鎖定常領域などのネコ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、野生型ネコκ軽鎖定常領域(例えば、配列番号241)又は変異体ネコκ軽鎖定常領域(例えば、配列番号242)を含む。
【0119】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、クローンB又はクローンIのネコ化可変重鎖、及び配列番号79、80、82、又は83などの変異体ネコIgG Fcポリペプチドを含む。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、クローンB又はクローンIのネコ化可変軽鎖、及び配列番号81又は84などのネコκ軽鎖定常領域を含む。
【0120】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、IL4Rと、IL17、IL31、TNFα、CD20、CD19、CD25、IL4、IL13、IL23、IgE、CD11α、IL6R、α4-インテグリン(α4-Intergrin)、IL12、IL1β、BlySなどの異なる標的分子とに対する結合特異性を有する二重特異性抗体である。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、イヌ化又はネコ化クローンB又はクローンI可変重鎖と、変異体κ定常領域と対になることができる「ノブ」変異体イヌ又はネコIgG Fcポリペプチドとを含む(例えば、配列番号243)。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、異なる標的分子(例えば、イヌ又はネコIL31)に向けられた可変重鎖と、「ホール」変異体イヌ又はネコIgG Fcポリペプチドとを含む(例えば、配列番号245)。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、イヌ化又はネコ化クローンB又はクローンI可変軽鎖と、ノブFcポリペプチドと対になることができる可変κ定常領域とを含む(例えば、配列番号244)。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、異なる標的分子(例えば、イヌ又はネコIL31)に向けられた可変軽鎖と、ホールFcポリペプチドと対になることができる野生型κ定常領域とを含む(例えば、配列番号246)。
【0121】
他の二重特異性抗体配列を調製することができる。例えば、いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、イヌ化又はネコ化クローンB又はクローンI可変重鎖と、変異体κ定常領域と対になることができる「ホール」変異体イヌ又はネコIgG Fcポリペプチドとを含む。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、異なる標的分子(例えば、イヌ又はネコIL31)に向けられた可変重鎖と、「ノブ」変異体イヌ又はネコIgG Fcポリペプチドとを含む。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、イヌ化又はネコ化クローンB又はクローンI可変軽鎖と、ホールFcポリペプチドと対になることができる可変κ定常領域とを含む。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、異なる標的分子(例えば、イヌ又はネコIL31)に向けられた可変軽鎖と、ノブFcポリペプチドと対になることができる野生型κ定常領域とを含む。
【0122】
用語「親和性」は、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の総和の強度を意味する。通常、分子XのそのパートナーYへの親和性は、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、例えば、免疫ブロット、ELISA KD、KinEx A、バイオレイヤー干渉法(BLI)、又は表面プラズモン共鳴装置などの当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。
【0123】
用語「KD」、「Kd」、「Kd」又は「Kd値」は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すために交換可能に使用される。いくつかの実施態様では、抗体のKdは、オクテット(登録商標)システム(Pall ForteBio LLC、カリフォルニア州フレモント)などのバイオセンサーを供給業者の指示書に従って使用するバイオレイヤー干渉法を使用することによって測定される。簡潔には、ビオチン化抗原をセンサーチップに結合させ、抗体の会合を90秒間モニターし、解離を600秒間モニターする。希釈及び結合ステップ用のバッファーは、20mMリン酸、150mMのNaCl、pH7.2である。ドリフトを補正するために、バッファーのみのブランク曲線を差し引く。データを、ForteBioデータ解析ソフトウェアを使用して2:1の結合モデルにフィッティングさせ、会合速度定数(kon)、解離速度定数(koff)及びKdを決定する。平衡解離定数(KD)は、koff/konの比として計算される。用語「kon」は、抗体の抗原への会合の速度定数を指し、用語「koff」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数を指す。
【0124】
抗原又はエピトープに「結合する」という用語は、当技術分野でよく理解されている用語であり、そのような結合を決定する方法も当技術分野でよく知られている。分子は、それが特定の細胞又は物質と反応するか、会合するか、又は親和性を有し、反応、会合、又は親和性が、例えば免疫ブロット、ELISA KD、KinEx A、バイオレイヤー干渉法(BLI)、表面プラズモン共鳴装置などの当技術分野で知られている1つ又は複数の方法によって検出可能である場合、「結合」を示すといわれる。
【0125】
「表面プラズモン共鳴」とは、例えばBIAcoreTM(ニュージャージー州ピスカタウェイのGE Healthcare社傘下のBIAcore International AB(スウェーデン、ウプサラ))を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、リアルタイムの生体分子特異的相互作用の分析を可能にする光学現象を意味する。さらなる説明については、Jonsson et al. (1993) Ann. Biol. Clin. 51: 19-26を参照。
【0126】
「バイオレイヤー干渉法」とは、バイオセンサーチップ上の固定化タンパク質のレイヤーと内部リファレンスレイヤーから反射された光の干渉パターンを分析する光学分析技術を指す。バイオセンサーチップに結合した分子の数の変化は、リアルタイムで測定できる干渉パターンの変化を引き起こす。バイオレイヤー干渉法のための非限定的で例示的な装置は、オクテット(登録商標)システム(Pall ForteBio LLC)である。例えば、Abdiche et al., 2008, Anal. Biochem. 377: 209-277を参照。
【0127】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、バイオレイヤー干渉法によって測定されるように、5x10-6M未満、1x10-6M未満、5x10-7M未満、1x10-7M未満、5x10-8M未満、1x10-8M未満、5x10-9M未満、1x10-9M未満、5x10-10M未満、1x10-10M未満、5x10-11M未満、1x10-11M未満、5x10-12M未満、又は1x10-12M未満の解離定数(Kd)でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、バイオレイヤー干渉法で測定されるように、5x10-6Mと1x10-6Mの間、5x10-6Mと5x10-7Mの間、5x10-6Mと1x10-7Mの間、5x10-6Mと5x10-8M,5x10-6Mと1x10-8Mの間、5x10-6Mと5x10-9Mの間、5x10-6Mと1x10-9Mの間、5x10-6Mと5x10-10Mの間、5x10-6Mと1x10-10Mの間、5x10-6Mと5x10-11Mの間、5x10-6Mと1x10-11Mの間、5x10-6Mと5x10-12Mの間、5x10-6Mと1x10-12Mの間、1x10-6Mと5x10-7Mの間、1x10-6Mと1x10-7Mの間、1x10-6Mと5x10-8Mの間、1x10-6Mと1x10-8Mの間、1x10-6Mと5x10-9Mの間、1x10-6Mと1x10-9Mの間、1x10-6Mと5x10-10Mの間、1x10-6Mと1x10-10Mの間、1x10-6Mと5x10-11Mの間、1x10-6Mと1x10-11Mの間、1x10-6Mと5x10-12Mの間、1x10-6Mと1x10-12Mの間、5x10-7Mと1x10-7Mの間、5x10-7Mと5x10-8Mの間、5x10-7Mと1x10-8Mの間、5x10-7Mと5x10-9Mの間、5x10-7Mと1x10-9Mの間、5x10-7Mと5x10-10Mの間、5x10-7Mと1x10-10Mの間、5x10-7Mと5x10-11Mの間、5x10-7Mと1x10-11Mの間、5x10-7Mと5x10-12Mの間、5x10-7Mと1x10-12Mの間、1x10-7Mと5x10-8Mの間、1x10-7Mと1x10-8Mの間、1x10-7Mと5x10-9Mの間、1x10-7Mと1x10-9Mの間、1x10-7Mと5x10-10Mの間、1x10-7Mと1x10-10Mの間、1x10-7Mと5x10-11Mの間、1x10-7Mと1x10-11Mの間、1x10-7Mと5x10-12Mの間、1x10-7Mと1x10-12Mの間、5x10-8Mと1x10-8Mの間、5x10-8Mと5x10-9Mの間、5x10-8Mと1x10-9Mの間、5x10-8Mと5x10-10Mの間、5x10-8Mと1x10-10Mの間、5x10-8Mと5x10-11Mの間、5x10-8Mと1x10-11Mの間、5x10-8Mと5x10-12Mの間、5x10-8Mと1x10-12Mの間、1x10-8Mと5x10-9Mの間、1x10-8Mと1x10-9Mの間、1x10-8Mと5x10-10Mの間、1x10-8Mと1x10-10Mの間、1x10-8Mと5x10-11Mの間、1x10-8Mと1x10-11Mの間、1x10-8Mと5x10-12Mの間、1x10-8Mと1x10-12Mの間、5x10-9Mと1x10-9Mの間、5x10-9Mと5x10-10Mの間、5x10-9Mと1x10-10Mの間、5x10-9Mと5x10-11Mの間、5x10-9Mと1x10-11Mの間、5x10-9Mと5x10-12Mの間、5x10-9Mと1x10-12Mの間、1x10-9Mと5x10-10Mの間、1x10-9Mと1x10-10Mの間、1x10-9Mと5x10-11Mの間、1x10-9Mと1x10-11Mの間、1x10-9Mと5x10-12Mの間、1x10-9Mと1x10-12Mの間、5x10-10Mと1x10-10Mの間、5x10-10Mと5x10-11Mの間、1x10-10Mと5x10-11Mの間、1x10-10Mと1x10-11Mの間、1x10-10Mと5x10-12Mの間、1x10-10Mと1x10-12Mの間、5x10-11Mと1x10-12Mの間、5x10-11Mと5x10-12Mの間、5x10-11Mと1x10-12Mの間、1x10-11Mと5x10-12Mの間、又は1x10-11Mと1x10-12Mの間のKd値でイヌIL4R又はネコIL4Rに結合する。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、免疫ブロット分析によって決定されるように、イヌIL4R又はネコIL4Rに結合する。
【0128】
いくつかの実施態様では、IL4Rへの結合について本明細書に記載の抗IL4R抗体(クローンB又はクローンIなど)と競合する抗IL4R抗体が提供される。いくつかの実施態様では、本明細書で提供される抗体のいずれかとの結合と競合する抗体を作製又は使用することができる。いくつかの実施態様では、イヌIL4R又はネコIL4Rへの結合においてモノクローナルクローンB又はクローンI抗体と競合する抗IL4R抗体が提供される。
【0129】
用語「ベクター」は、クローン化ポリヌクレオチド又は宿主細胞内で増殖することができるポリヌクレオチドを含むように操作することができるポリヌクレオチドを記述するために使用される。ベクターは、以下の要素のうちの1つ以上を含むことができる:複製起点、目的のポリペプチドの発現を調節する1つ又は複数の調節配列(例えば、プロモーター又はエンハンサーなど)、あるいは1つ又は複数の選択可能なマーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子及び比色分析において使用され得る遺伝子、例えば、β-ガラクトシダーゼなど)。用語「発現ベクター」は、宿主細胞において目的のポリペプチドを発現するために使用されるベクターを指す。
【0130】
「宿主細胞」は、ベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得るか、又はレシピエントであった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞でも真核細胞でもよい。例示的な真核細胞には、例えば霊長類又は非霊長類動物細胞などの哺乳動物細胞;酵母などの真菌細胞;植物細胞;及び昆虫細胞が含まれる。非限定的且つ例示的な哺乳動物細胞には、限定されるものではないが、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、293細胞及びCHO細胞、並びにこれらの誘導体、例えば293-6E、DG44、CHO-S及びCHO-K細胞が含まれる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、自然、偶発的又は意図的な突然変異により、子孫は元の親と(形態又はゲノムDNA相補体が)必ずしも完全に同じではない。宿主細胞には、本明細書で提供されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドをインビボでトランスフェクトされた細胞が含まれる。
【0131】
本明細書で使用される用語「単離された」とは、天然で通常見出されるか又は生成される成分の少なくともいくつかから分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それが産生された細胞の成分の少なくともいくつかから分離されている場合、「単離された」という。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌される場合、ポリペプチドを含む上清を、それを産生した細胞から物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離すること」と見なされる。同様に、ポリヌクレオチドが、天然で通常見出されるより大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合、ゲノムDNA又はミトコンドリアDNAなど)の一部ではない場合、又は、例えばRNAポリヌクレオチドの場合、それが産生された細胞の成分の少なくともいくつかから分離されている場合、「単離された」という。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、「単離された」といわれる場合がある。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAカラムクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及びCHTクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを使用して精製される。
【0132】
「コンパニオンアニマル種」という用語は、人間のコンパニオンになるのに適した動物を指す。いくつかの実施態様では、コンパニオンアニマル種は、イヌ、ネコ、又はウマである。いくつかの実施態様では、コンパニオンアニマル種は、イヌ、ネコ、ウサギ、フェレット、モルモット、齧歯動物等の小型哺乳類である。いくつかの実施態様では、コンパニオンアニマル種は、ウマ、ウシ、ブタ等の家畜である。
【0133】
「低減させる(reduce)」又は「阻害する(inhibit)」ことは、参照と比較して、活性、機能又は量を減少させる、低減させる又は抑制することを意味する。いくつかの実施態様では、「低減させる」又は「阻害する」とは、20%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。いくつかの実施態様では、「低減させる」又は「阻害する」とは、50%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。いくつかの実施態様では、「低減させる」又は「阻害する」とは、75%、85%、90%、95%又はそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。いくつかの実施態様では、上記の量は、ある期間にわたる対照用量(プラセボなど)に対して、同じ期間にわたって抑制又は低減される。本明細書で使用される「参照」とは、比較目的のために使用される任意の試料、標準、又はレベルを指す。参照は、健常又は非罹患試料から得ることができる。いくつかの例では、参照は、コンパニオンアニマルの非罹患又は無処置試料から得られる。いくつかの例では、参照は、特定の種の1つ又は複数の健常動物から得られ、それらは、試験又は治療されている動物ではない。
【0134】
本明細書で使用される用語「実質的に減少した」とは、当業者が、2つの値の間の差が、前記値によって測定される生物学的特性との関連において統計的に有意であると見なすような、数値と参照数値との間の十分に大きな減少を意味する。いくつかの実施態様では、実質的に減少した数値は、参照値と比較して、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%のいずれか1つよりも大きく減少する。
【0135】
用語「薬学的製剤」及び「薬学的組成物」は、有効成分の生物活性を効果的にするような形態であり、製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性である追加の成分を含まない調製物を指す。
【0136】
「薬学的に許容される担体」とは、対象への投与用の、「薬学的組成物」をともに含む治療剤とともに使用するための、当技術分野で一般的な無毒の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、処方助剤又は担体を指す。薬学的に許容される担体は、用いられる用量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、製剤の他の成分と適合性がある。薬学的に許容される担体は、用いられる製剤に適している。薬学的に許容される担体の例には、アルミナ;ステアリン酸アルミニウム;レシチン;ヒト血清アルブミン、イヌ又は他の動物アルブミンなどの血清タンパク質;リン酸、クエン酸、トロメタミン又はHEPESバッファー等のバッファー;グリシン;ソルビン酸;ソルビン酸カリウム;飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物;水;塩又は電解質、例えばプロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ又は三ケイ酸マグネシウム;ポリビニルピロリドン、セルロース系物質;ポリエチレングリコール;スクロース;マンニトール;又はアルギニンを含むがこれに限定されないアミノ酸が含まれる。
【0137】
薬学的組成物は、凍結乾燥形態で保存することができる。したがって、いくつかの実施態様では、この調製方法には凍結乾燥工程が含まれる。その後、凍結乾燥組成物は、イヌ、ネコ又はウマへの投与前に、通常は非経口投与に適した水性組成物として再調製され得る。他の実施態様では、特に、抗体が熱変性及び酸化変性に対して非常に安定している場合、薬学的組成物は、イヌ、ネコ又はウマへ直接投与できるか又は適切な希釈で投与できる液体として、すなわち水性組成物として保存することができる。凍結乾燥組成物は、滅菌注射用水(WFI)で再構成することができる。ベンジルアルコールなどの静菌剤が含まれてもよい。したがって、本発明は、固体又は液体形態の薬学的組成物を提供する。
【0138】
薬学的組成物のpHは、投与時で約pH5から約pH8までの範囲であり得る。本発明の組成物は、治療目的で使用される場合、無菌である。無菌状態は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)による濾過を含む、当技術分野で公知のいくつかの手段のいずれによっても得ることができる。無菌状態は、抗菌剤の有無にかかわらず維持され得る。
【0139】
本発明の抗体又は抗体を含む薬学的組成物は、IL4/IL13誘導性状態を治療するために有用であり得る。本明細書で使用される場合、「IL4/IL13誘導性状態」は、IL4/IL13濃度の上昇したレベル又は変化した勾配に関連する、それらによって引き起こされる、又はそれらによって特徴づけられる疾患を意味する。そのようなIL4/IL13誘導性状態には、そう痒性又はアレルギー性疾患が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、IL4/IL13誘導性状態は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒症、喘息、乾癬、強皮症、又は湿疹である。IL4/IL13誘導性状態は、イヌ又はネコを含むがこれらに限定されないコンパニオンアニマルにおいて示され得る。
【0140】
本明細書で使用される場合、「治療」は、有益な又は所望の臨床結果を得るための手法である。本明細書で使用される「治療」は、コンパニオンアニマルを含む哺乳動物における疾患の治療薬の投与又は適用を包含する。本開示の目的のために、有益な又は所望の臨床結果には、1つ又は複数の症状の緩和、疾患の程度の軽減、疾患の伝播の予防又は遅延、疾患の再発の予防又は遅延、疾患の進行の遅延又は減速、病状の改善、疾患又は疾患の進行の抑制、疾患又はその進行の抑制又は減速、その発生の阻止、及び(部分又は完全)寛解のいずれか1つ又は複数を含むがこれらに限定されない。「治療」には、増殖性疾患の病理学的結果の低減も含まれる。本明細書で提供される方法は、治療のこれらの態様のいずれか1つ又は複数を企図している。上記のとおり、治療という用語は、障害の全ての側面の百パーセントの除去を必要としない。
【0141】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、IL4/IL13誘導性状態を治療するために、本明細書の方法に従って利用することができる。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、IL4/IL13誘導性状態を治療するために、イヌ又はネコなどのコンパニオンアニマルに投与される。
【0142】
物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療的有効量」は、治療する疾患の種類、病状、疾患の重症度及び経過、治療目的の種類、以前の治療、病歴、以前の治療に対する応答、担当獣医の裁量、動物の年齢、性別及び体重、並びに物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの動物における望ましい応答を誘発する能力等の要因によって異なる。また、治療的有効量とは、物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの毒性又は有害作用よりも治療的に有益な作用が上回る量である。治療的有効量は、1つ又は複数の投与において送達され得る。治療的有効量は、必要な用量及び期間で所望の治療的又は予防的結果を得るのに有効な量を指す。
【0143】
いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、皮下投与、静脈内注入、又は筋肉内注射によって非経口的に投与される。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、ボーラス注射として、又は一定期間にわたる持続注入によって投与される。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、動脈内、滑液嚢内、髄腔内、又は吸入経路によって投与される。
【0144】
本明細書に記載の抗IL4R抗体は、用量あたり0.1mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、用量あたり0.5mg/kg体重から50mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、用量あたり1mg/kg体重から10mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、0.5mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲、1mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲、5mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲、10mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲、20mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲、50mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲、1mg/kg体重から10mg/kg体重の範囲、5mg/kg体重から10mg/kg体重の範囲、0.5mg/kg体重から10mg/kg体重の範囲、又は5mg/kg体重から50mg/kg体重の範囲の量で投与され得る。
【0145】
抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、一度に又は一連の治療にわたってコンパニオンアニマルに投与することができる。例えば、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物は、少なくとも1回、複数回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回投与され得る。
【0146】
いくつかの実施態様では、用量は、少なくとも2週間又は3週間連続して週に1回投与され、いくつかの実施態様では、この治療サイクルは、2回以上繰り返され、任意選択で、1週間以上の無治療が組み入れられる。他の実施態様では、治療的有効量は、2から5日間連続して1日1回投与され、いくつかの実施態様では、この治療サイクルは、2回以上繰り返され、任意選択で、1日以上又は数週間の無治療が組み入れられる。
【0147】
1種以上のさらなる治療剤「と組み合わせた」投与には、同時(同時発生の)及び任意の順序での連続的又は逐次的な投与が含まれる。用語「同時に」とは、本明細書では、投与の少なくとも一部が時間的に重複するか又は一方の治療剤の投与が他方の治療剤の投与と比較して短期間内にある、2種以上の治療剤の投与を指すのに使用される。例えば、2種以上の治療剤は、およそ指定された分数以下の時間間隔で投与される。用語「逐次的に」とは、本明細書では、1種以上の薬剤の投与が1種以上の他の薬剤の投与の中止後にも継続するか、又は1種以上の薬剤の投与が1種以上の他の薬剤の投与の前に開始される、2種以上の治療剤の投与を指すのに使用される。例えば、2種以上の治療剤の投与は、指定された分数位以上の時間間隔で投与される。本明細書において使用される場合、「~と組み合わせて(in conjunction with)」とは、一つの治療様式に別の治療様式を加えた投与を指す。すなわち、「~と組み合わせて(in conjunction with)」は、動物に対し、他の治療様式の投与前、投与中又は投与後の、一つの治療様式の投与を指す。
【0148】
いくつかの実施態様では、本方法は、抗IL4R抗体と、又は抗IL4R抗体、Jak阻害剤、Tyk2阻害剤、PI3K阻害剤、ERK阻害剤を含む薬学的組成物と組み合わせて投与することを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、抗IL4R抗体と、又は抗IL4R抗体、抗IL31抗体、抗IL17抗体、抗TNFα抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗CD25抗体、抗IL4抗体、抗IL13抗体、抗IL23抗体、抗IgE抗体、抗CD11α抗体、抗IL6R抗体、抗α4-インテグリン抗体(anti-α4-Intergrin antibody)、抗IL12抗体、抗IL1β抗体、若しくは抗BlyS抗体を含む薬学的組成物と組み合わせて投与することを含む。
【0149】
本明細書で提供されるのは、抗体のIL4Rへの結合を許容する条件下で、抗IL4R抗体又は抗IL4R抗体を含む薬学的組成物を細胞に曝露する方法である。いくつかの実施態様では、細胞は、イヌ細胞、ネコ細胞、又はウマ細胞である。いくつかの実施態様では、細胞は、イヌDH82細胞である。いくつかの実施態様では、細胞はエクスビボで抗体又は薬学的組成物に曝露される。いくつかの実施態様では、細胞はインビボで抗体又は薬学的組成物に曝露される。いくつかの実施態様では、細胞は抗IL-4抗体に曝露される。いくつかの実施態様では、細胞は、細胞外IL4Rへの抗体の結合を許容する条件下で、抗IL4R抗体又は薬学的組成物に曝露される。いくつかの実施態様では、細胞は、対象への腹腔内、筋肉内、静脈内注射を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の投与方法のいずれか1つ又は複数によって、抗IL4R抗体又は薬学的組成物にインビボで曝露され得る。いくつかの実施態様では、細胞は、抗体又は薬学的組成物を含む培養培地に細胞を曝露することによって、抗IL4R抗体又は薬学的組成物にエクスビボで曝露され得る。いくつかの実施態様では、抗体又は薬学的組成物を含む培地に細胞を曝露する前に、細胞膜の透過性は、当業者によって理解される任意の数の方法(細胞を電気穿孔すること又は細胞を塩化カルシウムを含む溶液の曝露することなど)の使用によって影響を受け得る。
【0150】
本明細書で提供されるのは、IL4R誘導性状態の検出、診断及びモニタリングのために抗IL4R抗体、ポリペプチド及びポリヌクレオチドを使用する方法である。本明細書で提供されるのは、コンパニオンアニマルが抗IL4R抗体療法に応答するかどうかを決定する方法である。いくつかの実施態様では、本方法は、抗IL4R抗体を使用して、動物がIL4Rを発現する細胞を有するかどうかを検出することを含む。いくつかの実施態様では、検出の方法は、試料を抗体、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドと接触させ、結合のレベルが参照又は比較試料(対照など)のレベルと異なるかどうかを決定することを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、本明細書に記載の抗体又はポリペプチドが対象動物に対して適切な治療であるかどうかを決定するために有用であり得る。
【0151】
いくつかの実施態様では、試料は生物学的試料である。用語「生物学的試料」は、生物又は以前に生物であったものからの物質の量を意味する。いくつかの実施態様では、生物学的試料は、細胞又は細胞/組織溶解物である。いくつかの実施態様では、生物学的試料は、限定されるものではないが、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、滑液、及び上皮細胞を含む。
【0152】
いくつかの実施態様では、細胞又は細胞/組織溶解物を抗IL4R抗体と接触させ、抗体と細胞との間の結合が決定される。試験細胞が同じ組織型の参照細胞と比較して結合活性を示す場合、それは、対象が抗IL4R抗体による治療から利益を得るであろうことを示し得る。いくつかの実施態様では、試験細胞は、コンパニオンアニマルの組織に由来する。
【0153】
特異的抗体-抗原結合を検出するための当技術分野で知られている様々な方法を使用することができる。実施することができる例示的な免疫測定法には、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、蛍光蛍光免疫測定法(FIA)、酵素免疫測定法(EIA)、比濁阻害免疫測定法(NIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、及び放射性免疫測定法(RIA)が含まれる。指標部分又は標識基は、対照抗体に結合させることができ、アッセイ装置及び適合性のある免疫測定法手順の利用可能性によってしばしば決定される方法の様々な使用の必要性を満たすように選択される。適切な標識には、限定されるものではないが、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、3H、又は32P)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、又はβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光部分又はタンパク質(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、又はBFP)、又は発光部分(例えば、カリフォルニア州パロアルトのQuantum Dot Corporationによって供給されたQdotTMナノ粒子)が含まれる。上記の様々な免疫測定法を実施する際に使用される一般的な技術は、当業者に知られている。
【0154】
診断の目的のために、抗体を含むポリペプチドは、放射性同位元素、蛍光標識、及び当技術分野で知られている様々な酵素基質標識を含むがこれらに限定されない検出可能な部分で標識することができる。標識を抗体にコンジュゲートさせる方法は、当技術分野で知られている。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は標識される必要はなく、その存在は第1の抗IL4R抗体に結合する第2の標識抗体を使用して検出することができる。いくつかの実施態様では、抗IL4R抗体は、競合的結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイなどの任意の公知のアッセイ方法において使用することができる。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158 (CRC Press, Inc. 1987)。抗IL4R抗体及びポリペプチドは、インビボイメージングなどのインビボ診断アッセイのために使用することもできる。一般に、抗体又はポリペプチドは、免疫シンチグラフィー(immunoscintiography)を使用して目的の細胞又は組織が局在化され得るように、放射性核種(111In、99Tc、14C、131I、125I、3H、又は本明細書に概説されているものを含む他の任意の放射性核種標識など)で標識される。抗体はまた、当技術分野で周知の技術を使用して、病理学における染色試薬として使用することもできる。
【0155】
いくつかの実施態様では、一次抗体は診断のために使用され、二次抗体は治療薬として使用される。いくつかの実施態様では、第1及び第2の抗体は異なる。いくつかの実施態様では、第1及び第2の抗体は、別個のエピトープに結合することによって、両方とも同時に抗原に結合することができる。
【0156】
本明細書で提供されるのは、イヌDH82細胞に分子を曝露し、STAT6リン酸化の低減があるかどうかを検出することを含む、IL4及び/又はIL13シグナル伝達機能を阻害する分子をスクリーニングするための方法である。いくつかの実施態様では、分子は、抗IL4R抗体又はIL4Rの小分子アンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、分子は、抗IL4R抗体又はIL13Rの小分子アンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、分子は、抗IL4R抗体又はIL4の小分子アンタゴニストを含む。いくつかの実施態様では、分子は、抗IL4R抗体又はIL13の小分子アンタゴニストを含む。
【0157】
以下の例は、本開示の特定の態様を説明するものであり、本開示を限定することを意図したものではない。
【実施例0158】
実施例1
IL4及びIL4R ECD試薬の調製
(1)全長イヌIL4R(配列番号94)、イヌ、ネコ、ウマ、マウス、若しくはヒトIL4R ECD(配列番号99、100、101、102、又は103)、又はイヌ、ネコ、若しくはウマIL4(配列番号121、122、又は123)、(2)1つ若しくは複数のHis6、ヒトFc、及び/又はFLAGタグ、(3)1つ又は複数のリンカー配列、並びに(4)リーダー配列、を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列が合成され、別々の哺乳動物発現プラスミドにクローニングされた。プラスミドを別々に293細胞にトランスフェクトし、培養し、分泌されたIL4R ECD又はIL4融合ポリペプチドを含む上清を別々に収集して濾過した。poly-His融合タンパク質はNi-NTAカラム(GE Healthcare Life Sciences)を使用してアフィニティー精製し、ヒトFc融合タンパク質はCaptivA(登録商標)プロテインAアフィニティーレジン(Repligen)を使用してアフィニティー精製した。精製された融合タンパク質は、SDS-PAGE分析によって確認された(データ非表示)。融合タンパク質(処理の前と後)は以下の表3にまとめられる。
【0159】
【0160】
実施例2
イヌIL4Rに結合するマウスモノクローナル抗体の同定
マウスモノクローナル抗体は、精製したイヌIL4R-ECD_C-His6(配列番号107)を免疫原として用いた標準的な免疫化の後に同定された。免疫化の間に異なるアジュバントが使用され(Akesobio,Inc,China)、モノクローナル抗体は標準的なハイブリドーマ技術によって得られた。
【0161】
IL4R結合抗体を産生するクローンをスクリーニングするために、酵素免疫測定法(ELISA)を開発した。最初に、ビオチン化IL4R-ECD_C-His6(配列番号107)をストレプトアビジンでコーティングしたウェルに導入した。次いで、免疫化した血清をウェルに加え、洗浄し、HRPコンジュゲート抗マウス抗体で検出した。イヌIL4R結合抗体の存在は、陽性シグナルを発生させた。121を超えるELISA陽性のトップクローンが同定された。
【0162】
121種の抗体クローンを、ELISAによってイヌIL4とイヌIL4R ECDとの間の相互作用をブロックする能力についてスクリーニングした。イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号109)を、抗ヒトFcでコーティングされたウェルに固定化した。ハイブリドーマ上清を加え、続いてビオチン化イヌIL4_C-His6(配列番号127)、次いでストレプトアビジン-HRPを加えた。シグナルの減少は、イヌIL4R ECDとイヌIL4の間の相互作用の低減を示唆した。11種のクローンが同定され、クローンA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、及びKとして指定された。クローンのそれぞれをさらに培養し、生成されたIgG抗体を標準のプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製した。
【0163】
各クローンのイヌIL4R ECDへの結合は、バイオセンサーアッセイ(Forte Bio Octet)によって確認された。最初に、ビオチン化イヌIL4R-ECD_C-His6(配列番号107)をストレプトアビジンセンサーチップに結合させた。次いで、11種の各抗体クローンのイヌIL4R-ECD結合センサーチップへの結合を評価した。
【0164】
実施例3
クローンB及びクローンI抗体は、IL4のイヌIL4Rへの結合をブロックする
11種の抗体が、抗体-IL4R ECD複合体がリガンドであるイヌIL4の結合を低減させる能力について、バイオセンサーアッセイ(Forte Bio Octet)によって評価された。ビオチン化イヌIL4R-ECD_C-His6(配列番号107)をストレプトアビジンセンサーチップ上で捕捉した。IL4R ECD結合チップは、20μg/mLの11種のマウス抗体(クローンA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、及びK)のそれぞれに個別に曝露され、IL4R ECD-抗体バイナリー複合体を形成させた。次いで、複合体結合チップを高濃度(240μg/mL)のイヌIL4_C-His6(配列番号127)に曝露した。クローンB及びIのイヌIL4R ECD-抗体複合体はイヌIL4に結合できず、クローンB及びIの両方が中和抗体であることを示唆している。
【0165】
実施例4
モノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNA配列の同定
ハイブリドーマクローンB及びIをペレット化し、全RNAを抽出した。マウス免疫グロブリン(Ig)可変ドメインを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標準的な手法を使用してcDNAを得た。各クローンの重鎖及び軽鎖を配列決定し、配列アラインメントによって分析した(それぞれ、
図1A及び
図1B)。クローンBの例示的なCDR配列は、配列番号7ー9及び14ー16として同定され、クローンIの例示的なCDR配列は、配列番号29ー31及び36ー38として同定された。例示的なコンセンサスCDR配列は、CDR-H1:GYTFTSYVMH(配列番号1)、CDR-H2:YINPX
1NDGTFYNGX
2X
3X
4G(配列番号2)(ここで、X1はK又はAであり、X2はK又はAであり、X3はF又はVであり、X4はK又はQである)、又はYINPX
1NDGT(ここで、X
1はK又はAである(配列番号268));CDR-H3:FX
5YGX
6AY(配列番号3)(ここで、X
5はN又はYであり、X
6はI又はFである)、CDR-L1:RASQEISGYLS(配列番号4);CDR-L2:AASX
7X
8DX
9(配列番号5)(ここで、X
7はT又はNであり、X
8はR又はLであり、X
9はS又はTである);及びCDR-L3:VQYASYPWT(配列番号6)として同定された。
【0166】
実施例5
抗IL4R-mAbクローンB及びIの発現及び精製
リーダー配列(配列番号27、28、49、及び50)を有する全長クローンB及びIの重鎖及び軽鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を化学的に合成し、CHO宿主細胞へのトランスフェクションに適した別個の発現ベクターにクローニングした。クローンB及びクローンIベクターを、別個のCHO宿主細胞にトランスフェクトし、培養した。クローンB及びクローンI抗体を、一段階プロテインAカラムクロマトグラフィーによって培地から精製した。
【0167】
pHの関数としてのクローンB及びI抗体の熱安定性を、示差走査蛍光定量法(DSF)によって測定した。異なるpHでの各抗体の融解温度(Tm)を以下の表4に示す。バッファーと12μgの抗体を、1Xタンパク質サーマルシフト色素(Applied Biosystem、カタログ番号4461146)と混合した。融解曲線解析を、StepOne Real Time PCR System(Applied Biosystem、カタログ番号4376357)を用いて行った。製造元の指示に従い、温度を25℃から99℃まで1%の勾配率で上昇させた。データをProteinThermal ShiftTM Software v1.0(Applied Biosystem、カタログ番号4466038)によって分析し、タンパク質融解曲線の一次導関数をとって得られた最高値として計算されるTmを決定した。
【0168】
【0169】
実施例6
イヌIL4R結合活性の実証
クローンB及びI抗体はそれぞれ、治療活性のために十分な可能性のある動態でイヌIL4Rに対する親和性を示した。結合解析は、以下のようにオクテットバイオセンサーを使用して行った。簡潔には、イヌIL4R-ECD_C-His6(配列番号107)をアミン化学によってビオチン化した。遊離の未反応ビオチンは、大規模な透析によって除去された。ビオチン化イヌIL4R-ECD_C-His6をストレプトアビジンセンサーチップ上で捕捉した。クローンB又はI抗体とイヌIL4R-ECD_C-His6(25μg/mL)との会合を600秒間モニターした。解離を600秒間モニターした。ドリフトを補正するために、バッファーのみのブランク曲線を差し引いた。データを、ForteBioTMデータ解析ソフトウェアを使用して1:1の結合モデルにフィッティングさせ、kon、koff、及びKdを決定した。希釈及び全結合ステップ用のバッファーは、20mMリン酸、150mMのNaCl、pH7.2であった。クローンB抗体とイヌIL4R-ECD_C-His6のKdは2.03x10-9Mであり、クローンI抗体とイヌIL4R-ECD_C-His6のKdは1.79x10-9Mであった。
【0170】
また、オクテットバイオセンサーを使用して、代替的な結合アッセイを行った。イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号109)が、抗ヒトFc結合センサーチップ上で捕捉された。クローンB又はI抗体とイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6との会合を600秒間モニターした。解離を600秒間モニターした。希釈及び全結合ステップ用のバッファーは、20mMリン酸、150mMのNaCl、pH7.2であった。クローンB抗体とイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6のKdは約10-10Mであり、クローンI抗体とイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6のKdは2.75x10-10Mであった。第2のアッセイで観察された親和性の増加は、クローンB及びI抗体のイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6に対するアビディティーが、イヌIL4R-ECD_C-His6よりも増加したことに起因し得る。さらに、アミン結合は、クローンB及びI抗体と相互作用するイヌIL4R-ECD_C-His6の親和性に影響を与える可能性がある。
【0171】
実施例7
クローンB及びI抗体は同じIL4Rエピトープ群に対して競合する
エピトープ結合解析は、オクテットバイオセンサーを使用して行った。イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号109)が、抗ヒトFc結合センサーチップ上で捕捉された。クローンB抗体(50μg/mL)とイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6との会合を600秒間モニターした。複合体結合チップを簡単に洗浄し、次いでクローンI抗体(50μg/mL)に曝露した。洗浄工程及びクローンI抗体への曝露の後、イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6とのさらなる会合は観察されず(
図2A)、クローンB及びI抗体が同じエピトープ群に結合することを示唆している。また、逆の結合アッセイも行った。Clone I抗体(50μg/mL)と、抗ヒトFc結合センサーチップに捕捉されたイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6との会合を600秒間モニターした。複合体結合チップを簡単に洗浄し、次いでクローンB抗体(50μg/mL)に曝露した。洗浄工程及びクローンB抗体への曝露の後、イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6とのさらなる会合は観察されず(
図2B)、再び、クローンB及びクローンI抗体が同じエピトープ群に結合することを示唆している。
【0172】
実施例8
クローンB及びクローンI抗体は、IL4及びIL13のIL4Rへの結合をブロックする
クローンB、クローンI、イヌIL4、及びイヌIL13リガンドのイヌIL4Rへの様々な結合解析を、オクテットバイオセンサーを使用して行った。イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号109)が、抗ヒトFc結合センサーチップ上で捕捉された。クローンB又はクローンI抗体(25μg/mL)とイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6との会合を600秒間モニターした。複合体結合チップを簡単に洗浄し、次いで、イヌIL4_C-His6(配列番号127;50μg/mL)又はイヌIL13_C-His6(配列番号157;50μg/mL)に曝露し、600秒間モニターした。イヌIL4(
図3A)又はイヌIL13(
図3B)の結合はほとんど又は全く観察されず、クローンB及びI抗体がイヌIL4及びイヌIL13のイヌIL4Rへの結合をブロックすることを示唆している。
【0173】
また、逆の結合アッセイも行った。イヌIL4_C-His6(配列番号127;50μg/mL)又はイヌIL13_C-His6(配列番号157;50μg/mL)と、抗ヒトFc結合センサーチップに捕捉されたイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6との会合を600秒間モニターした。複合体結合チップを簡単に洗浄し、次いでクローンB抗体(50μg/mL)又はクローンI抗体(50μg/mL)に曝露し、600秒間モニターした。IL4及びIL13がIL4Rに結合した後(それぞれ、
図3C及び
図3D)、クローンB又はクローンIとのさらなる会合が観察された。これらの結果は、クローンB及びクローンIがそれぞれ、イヌIL4又はイヌIL13よりもIL4Rに対して高い親和性を有することを示唆している。
【0174】
実施例9
ウエスタン解析によるIL4Rに対するクローンB及びI抗体の免疫反応性
イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号109)を認識するクローンB及びI抗体の能力をウエスタンブロットによって調べた。精製されたイヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6を、還元条件下(DTTの存在下)又は非還元条件下(DTTの非存在下)で、SDS-PAGEによって分離した。タンパク質をPVDF膜に転写し、クローンB又はI抗体、続いてヤギ抗マウスIgG-HRPを使用してプローブした。クローンB及びI抗体による免疫反応性陽性シグナルは、非還元条件下の試料でのみ観察され、このことはジスルフィド結合がエピトープコンフォメーションの維持に重要であり得、クローンB及びI抗体に対するエピトープが不連続であるか又は立体構造的であり得ることを示唆している。
【0175】
ネコ、ウマ、ネコ、及びヒトのIL4Rに対するクローンI抗体の交差反応性も調べた。イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号109)、ネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号111)、ウマIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号113)、マウスIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号115)、及びヒトIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号117)(0.1μg/レーン)はそれぞれ、還元(+DTT)又は非還元(-DTT)条件下でSDS-PAGEによって分離された。タンパク質をPVDF膜に転写し、ブロットをクローンI抗体(0.3μg/mL)でプローブし、ヤギ抗マウスIgG-HRPによって可視化した(
図4A)。対照として、ブロットを剥がし、ヤギ抗ヒトIgG Fc-HRPでプローブし、IL4R-ECDタンパク質の存在を可視化した(
図4B)。クローンI抗体は、非還元条件下で、イヌIL4R-ECD_C-HuFc_His6と免疫反応し、ネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6とはより少ない程度で免疫反応した(
図4A、それぞれレーン5及び1)。ウマ、ネズミ、ヒトのIL4R-ECD_C-HuFc_His6融合ポリペプチドとは低いバックグラウンド反応性が観察された(
図4A、それぞれレーン2、3、及び4)。
【0176】
実施例10
ネコIL4R結合親和性
免疫ブロットアッセイでは、クローンIとネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6の間の結合が、クローンIとネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6の間の結合と比較して、わずかに減少していることが検出された。この知見は、オクテットバイオセンサーによって測定されたインビトロ結合親和性と一致していた。ビオチン化ネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6(配列番号111)をストレプトアビジンセンサーチップ上で捕捉した。クローンI抗体(25μg/mL)とネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6との会合を600秒間モニターした。解離を600秒間モニターした。ドリフトを補正するために、バッファーのみのブランク曲線を差し引いた。データを、ForteBioTMデータ解析ソフトウェアを使用して1:1の結合モデルにフィッティングさせ、kon、koff、及びKdを決定した。希釈及び全結合ステップ用のバッファーは、20mMリン酸、150mMのNaCl、pH7.2であった。クローンI抗体とネコIL4R-ECD_C-HuFc_His6のKdは1.1x10-9Mであった。
【0177】
実施例11
クローンI抗体に対するイヌIL4R結合エピトープの同定
クローンI抗体によって(及びおそらくクローンB抗体によっても)認識されるイヌIL4Rエピトープを調べた。クローンI抗体は、ヒトIL4R-ECDとの交差反応性の低いバックグラウンドを示したので、イヌIL4Rのエピトープマッピングを容易にするために、イヌIL4R ECD(配列番号99)及びヒトIL4R ECD(配列番号103)配列の多数のハイブリッドタンパク質が、リーダー配列(配列番号132)及びC末端ヒトFc-His6タグを用いて設計された。イヌ及びヒトのECD配列を3つのセグメント(A、B、及びC)に分割し、それらのセグメントに基づいて、AからCの順に6つの異なるハイブリッドポリペプチド構築物を調製した(
図5A及び下の表5を参照)。
【0178】
【0179】
ハイブリッド1-6ポリペプチドのそれぞれをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド構築物を293細胞に一過性にトランスフェクトし、上清を3倍に濃縮した。各融合ポリペプチドを、非還元(-DTT)条件下でSDS-PAGEによって分離し、タンパク質をPVDF膜に転写した。ブロットは、クローンI抗体(
図5B)又は対照としての抗ヒトFc抗体(
図5C)を使用してプローブされた。イヌIL4R ECDセグメントA及びBの両方の存在は、最も強いシグナルを与えた(ハイブリッド4、
図5B、レーン6)。イヌIL4R ECDセグメントA単独(ハイブリッド1、
図5B、レーン3)又はセグメントCとの組み合わせ(ハイブリッド6、
図5B、レーン8)は明らかなシグナルを与え、セグメントAが主要なエピトープを含み得ることが示唆された。一方、セグメントB単独(ハイブリッド2、
図5B、レーン4)又はセグメントCとの組み合わせ(ハイブリッド5、
図5B、レーン7)はより弱いシグナルを与え、セグメントBが補助的な(又はマイナーな)エピトープを含み得ることが示唆された。
【0180】
この情報に基づいて、イヌIL4Rのエピトープをさらに限局化するために、イヌIL4R ECD(配列番号99)及びヒトIL4R ECD(配列番号103)配列のさらなるハイブリッドタンパク質が、リーダー配列(配列番号132)及びC末端ヒトFc-His6タグを用いて設計された。イヌ及びヒトのECD配列のセグメントA及びBをさらに分割し、イヌ又はヒト配列のアミノ酸残基数の増加に基づいて、追加の8つのハイブリッドポリペプチド構築物(ハイブリッド7ー14)を調製した(
図6A及び以下の表6を参照)。
【0181】
【0182】
ハイブリッド7-14ポリペプチドのそれぞれをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド構築物を293細胞に一過性にトランスフェクトし、上清を3倍に濃縮した。各ハイブリッドポリペプチドを、非還元(-DTT)条件下でSDS-PAGEによって分離し、タンパク質をPVDF膜に転写した。ブロットは、クローンI抗体(
図6B)又は対照としての抗ヒトFc抗体(
図6C)を使用してプローブされた。セグメントAのC末端の半分とセグメントBの中央部分の両方の存在は、最も強いシグナルを与えた(
図6B;ハイブリッド7、11、及び13;それぞれレーン3、7、及び9)。
【0183】
クローンIによって認識されるイヌIL4Rエピトープのアミノ酸残基をさらに同定するために、配列番号99に基づくアラニン突然変異を有する複数の突然変異体イヌIL4 ECD配列が、リーダー配列(配列番号132)及びC末端ヒトFc-His6タグを用いて設計され、293細胞において発現された。細胞上清を3倍に濃縮し、非還元(-DTT)条件下でSDS-PAGEによって分離し、PVDF膜に転写した。ブロットは、クローンI抗体(
図7B)又は対照としての抗ヒトFc抗体(
図7C)を使用してプローブされた。微細なエピトープマッピングの結果は、以下の表7に要約される。結果は、イヌIL4R ECD(配列番号95)のアミノ酸M44及びG45がエピトープ結合に関与していることを示唆している。
【0184】
【0185】
イヌIL4(配列番号121)、イヌIL4R ECD(配列番号99)及びイヌIL13R ECD(配列番号161)の複合体の三次元モデルを構築した(
図8)。イヌIL4Rのエピトープ1が、
図8で同定される。上記の研究結果の解析と三次元タンパク質モデリング解析は、クローンB及びIは、イヌIL4R ECD(配列番号99)又はネコIL4R ECD(配列番号100)のL41とT50の範囲内、例えばR36とN55の範囲内などに存在する第1のエピトープに結合することを示唆している。例えば、第1のエピトープは、配列番号88、配列番号89、配列番号91、又は配列番号92のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施態様では、第1のエピトープは、アミノ酸配列LX
10FMGSENX
11T[ここで、X
10はD又はNであり、X
11はH又はRである](配列番号85)を含む。いくつかの実施態様では、第1のエピトープは、アミノ酸配列RLSYQLX
10FMGSENX
11TCVPEN[ここで、X
10はD又はNであり、X
11はH又はRである](配列番号86)を含む。
【0186】
研究結果の分析と3次元タンパク質モデリングもまた、クローンB及びIは、イヌIL4R ECD(配列番号99)又はネコIL4R ECD(配列番号100)のアミノ酸S64とQ85の範囲内の第2のエピトープに結合することを示唆している。例えば、第2のエピトープは、配列番号90又は配列番号93のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施態様では、第2のエピトープは、アミノ酸配列SMX12X13DDX14VEADVYQLX15LWAGXQ[ここで、X12はP又はLであり、X13はI又はMであり、X14はA又はFであり、X15はD又はHであり、X16はQ又はTである](配列番号87)を含む。
【0187】
実施例12
キメラ、イヌ化、及びネコ化抗体の発現と精製
クローンB又はI可変重鎖ポリペプチドは、野生型イヌIgG-A、IgG-B、IgG-C、若しくはIgG-D、又は野生型ネコIgG-1a、IgG-1b、若しくはIgG-2Fcポリペプチド(例えば、配列番号162、163、164、165、166、167、203、204、205、206、207、227、228、229、230、237、238、239、又は240を含むIgG Fcポリペプチド)、又はそのようなIgG Fcポリペプチドの変異体(例えば、配列番号168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、231、232、233、234、239、又は240を含む変異体IgG Fcポリペプチド)などの異なる動物種の重鎖定常領域に融合され得る。キメラ重鎖の例示的なアミノ酸配列には、配列番号51(クローンB可変HC及びイヌIgG-B)及び配列番号55(クローンI可変HC及びイヌIgG-B)が含まれる。さらに、クローンB又はI可変軽鎖ポリペプチドは、野生型イヌ又はネコ軽鎖定常領域(例えば、配列番号235又は241)、又はそのようなポリペプチドの変異体(例えば、配列番号236又は242)などのコンパニオンアニマル種の軽鎖定常領域に融合され得る。キメラ軽鎖の例示的なアミノ酸配列には、配列番号52(クローンB可変LC及びイヌκ軽鎖定常領域)及び配列番号56(クローンI可変LC及びイヌκ軽鎖定常領域)が含まれる。
【0188】
クローンB及びIの可変重鎖及び可変軽鎖は、CDR移植のテンプレートとして適切なイヌ及びネコの生殖系列抗体アミノ酸配列を検索して選択することにより、イヌ化及びネコ化された。配列は、3次元構造モデリングを使用してさらに最適化された。設計されたクローンB及びI可変重鎖及び可変軽鎖ポリペプチドのイヌ化及びネコ化変異体の例には、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号274、配列番号65、配列番号66、配列番号275、配列番号67、配列番号68、配列番号69、及び配列番号70が含まれる。
【0189】
イヌ化又はネコ化重鎖ポリペプチドは、野生型イヌIgG-A、IgG-B、IgG-C、若しくはIgG-D、又は野生型ネコIgG-1a、IgG-1b、若しくはIgG-2Fcポリペプチド(例えば、配列番号162、163、164、165、166、167、203、204、205、206、207、227、228、229、230、237、238、239、又は240を含むIgG Fcポリペプチド)、又はそのようなIgG Fcポリペプチドの変異体(例えば、配列番号168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、231、232、233、234、239、又は240を含む変異体IgG Fcポリペプチド)の重鎖定常領域に融合され得る。イヌ化又はネコ化可変重鎖及び変異体IgG Fcポリペプチドの例示的なアミノ酸配列には、配列番号71、72、75、76、79、80、82、及び83が含まれる。
【0190】
イヌ化又はネコ化軽鎖ポリペプチドは、野生型イヌ又はネコ軽鎖定常領域(例えば、配列番号235又は241)、又はそのようなポリペプチドの変異体(例えば、配列番号236又は242)などのコンパニオンアニマル種の軽鎖定常領域に融合され得る。イヌ化又はネコ化可変軽鎖及びκ軽鎖定常領域の例示的なアミノ酸配列には、配列番号73、74、77、78、81、及び84が含まれる。
【0191】
イヌ又はネコIgGに融合したクローンB及びI可変重鎖、及びイヌ又はネコ定常軽鎖に融合したクローンB及びI可変軽鎖のキメラポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を合成し、CHO宿主細胞へのトランスフェクションに適した発現ベクターにクローニングした。イヌ化及びネコ化クローンIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も合成され、発現ベクターにクローニングした。HC及びLCヌクレオチド配列の各ペアを、CHO宿主細胞にトランスフェクトした。細胞を培養し、クローンB、クローンI、キメラB、及びキメラI抗体をプロテインAカラムクロマトグラフィーによって培地から精製した。
【0192】
ベクターは、FreestyleMaxTMトランスフェクション試薬(Life Technologies)を使用して、CHO-S細胞におけるパイロットスケールのトランスフェクションを実行するためにも使用することができる。馴化培地を清澄化することにより、上清を回収する。抗体は、プロテインAクロマトグラフィーを用いて1回で精製することができ、さらなる調査のために使用することができる。
【0193】
精製された抗体調製物は、1つ又は複数の薬学的に許容される添加物と混合され、濾過によって滅菌され、本発明の薬学組成物を調製することができる。例示的な抗体調製物又は薬学的組成物は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒症、喘息、乾癬、強皮症、又は湿疹などのIL4R誘導性状態を有するイヌ又はネコに治療的有効量で投与され得る。
【0194】
実施例13
プロテインA結合の増加及び/又は補体結合の減少及び/又はCD16結合の減少のための変異体イヌIgG Fcポリペプチド。
プロテインA親和性を使用した抗体の精製は、十分に開発されたプロセスである。しかしながら、イヌIgGの4つのサブタイプのうち、IgG-B Fc(例えば、配列番号163又は配列番号164)のみがプロテインA結合親和性を有する。イヌIgG-A Fc(例えば、配列番号162)、IgG-C Fc(例えば、配列番号165又は配列番号166)、及びIgG-DFc(例えば、配列番号167)は、プロテインA結合親和性が弱いか、測定できない。変異体イヌIgG-A Fc、IgG-C Fc、及びIgG-D Fcポリペプチドは、改変されたプロテインA結合のために設計された。
【0195】
さらに、イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcは補体活性を有し、C1qに結合するが、イヌIgG-A Fc及びIgG-D Fcは、C1qに対する結合親和性が弱いか、測定できない。C1q結合を潜在的に低減させ、且つ/又は補体媒介性免疫応答を潜在的に低減させるために、変異体イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcポリペプチドを設計した。
【0196】
さらに、イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcは、CD16結合活性を有する。CD16のIgG-B Fc及びIgG-C Fcへの結合を潜在的に低減させるため、且つ/又はADCCを潜在的に低減させるために、変異体イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcポリペプチドを設計した。
【0197】
以下の表8は、イヌIgG FcサブタイプのプロテインA及びC1q結合特性をまとめたものである。注目すべきは、野生型イヌIgG Fcサブタイプのうち、C1q結合を欠き、且つプロテインAに結合するものがないことである。
【0198】
【0199】
2つのアプローチを使用して、プロテインA結合を増加させるための変異体イヌIgG-A、IgG-C、及びIgG-D Fcポリペプチドを設計した。第1のアプローチでは、変異体イヌIgG-A、IgG-C、及びIgG-D Fcポリペプチドは、イヌIgG-B Fcと同じプロテインA結合モチーフ配列(例えば、それぞれ、配列番号163、配列番号165、及び配列番号167)を有するように設計された。第2のアプローチでは、変異体イヌIgG-A Fc I(21)T/Q(207)H(配列番号169)、変異体イヌIgG-C Fc I(21)T(配列番号181)、及び変異体イヌIgG-D Fc I(21)T/Q(207)H(配列番号194)は、イヌIgG-B Fc配列に対応するようにプロテインA結合領域に1つ又は2つのアミノ酸置換を含めて設計された。
【0200】
さらに、表9に記載されている1つ又は複数のアミノ酸置換を有する、プロテインA結合が増加した変異体イヌIgG-A Fc、IgG-C Fc、及びIgG-D Fcポリペプチドを調製することができる。
【0201】
【0202】
C1qのイヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcへの結合を潜在的に低減させ、且つ/又は補体媒介性免疫応答を潜在的に低減させるために、配列番号163又は配列番号165のそれぞれの位置93に対応するアミノ酸位置に、Lysを除く任意のアミノ酸によるLysのアミノ酸置換を有する変異体イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcポリペプチドを調製することができる。これらのアミノ酸置換は、補体活性を示さないと理解されているイヌIgG-A Fc及びIgG-D Fcと比較した、イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcのタンパク質配列及び3D構造モデリングの解析後に同定された。例えば、変異体イヌIgG-B Fc K(93)R(配列番号170)及び変異体イヌIgG-C Fc K(93)R(配列番号182)を調製することができる。野生型イヌIgG-B Fcを含む融合タンパク質と比較した場合、ヒトC1qと変異体イヌIgG-B Fc K(93)Rを含む融合タンパク質との間の結合の低減が観察された。
【0203】
CD16のIgG-B Fc及びIgG-C Fcへの結合を潜在的に低減させるため、且つ/又はADCCを潜在的に低減させるために、表10に記載されている1つ又は複数のアミノ酸置換を有する変異体イヌIgG-B Fc及びIgG-C Fcポリペプチドを調製することができる。アミノ酸置換は、ADCC活性を示さないと理解されているIgG-A及びIgG-Dと比較した、イヌIgG-B及びIgG-Cのタンパク質配列及び3D構造モデリングの解析後に同定された。
【0204】
【0205】
野生型イヌIgG-C FcはプロテインA結合を欠き、C1q結合を有するため、プロテインAに結合し、低減したC1qへの結合を有する二重変異体イヌIgG-C Fcは、表9に記載されている1つ又は複数のアミノ酸置換をK(93)R置換又はK(93)X置換[ここで、XはLysを除く任意のアミノ酸である]と組み合わせることによって調製することができる。C1qへの結合が低減し、CD16への結合が低減した二重変異体イヌIgG-B Fc又は二重変異体イヌIgG-C Fcは、表10に記載されている1つ又は複数のアミノ酸置換をK(93)R置換又はK(93)X置換[ここで、XはLysを除く任意のアミノ酸である]と組み合わせることによって調製することができる。プロテインAに結合し、C1q及びCD16への結合が低減した三重変異体イヌ-IgG-C Fcは、表9に記載されている1つ又は複数のアミノ酸置換及び表10に記載されている1つ又は複数のアミノ酸置換を、K(93)R置換又はK(93)X置換[ここで、XはLysを除く任意のアミノ酸である]と組み合わせることによって調製することができる。
【0206】
任意の変異体イヌIgG FcのプロテインA、CD16、及び/又はC1qへの結合を決定し、別のIgG Fc(例えば、対応する野生型イヌIgG Fc、別の野生型若しくは変異体イヌIgG Fc、又は別のコンパニオンアニマルの野生型若しくは変異体IgG Fcなど)のプロテインA、CD16、及び/又はC1qへの結合と比較することができる。
【0207】
結合解析は、オクテットバイオセンサーを使用して行うことができる。簡潔には、標的分子(例えば、プロテインA、C1q、CD16など)が、ビオチン化され、遊離の未反応ビオチンが(例えば、透析によって)除去され得る。ビオチン化標的分子は、ストレプトアビジンセンサーの先端上に捕捉される。標的分子と様々な濃度(例えば、10μg/mL)のIgG Fcポリペプチドとの会合を、指定された時間、又は定常状態に達するまでモニターする。解離を、指定された時間、又は定常状態に達するまでモニターする。ドリフトを補正するために、バッファーのみのブランク曲線を差し引くことができる。データを、ForteBioTMデータ解析ソフトウェアを使用して1:1の結合モデルにフィッティングさせ、kon、koff、及びKdを決定する。
【0208】
プロテインA結合の増加(例えば、精製を容易にするため)、C1q結合の減少(例えば、補体媒介性免疫応答の低減)、CD16結合の低減(例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害の低減)、及び/又は安定性の増加のための例示的な変異体イヌIgGポリペプチドとして、配列番号169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、及び194が挙げられる。そのような変異体イヌIgGポリペプチドは、クローンB又はI可変重鎖配列、イヌ化クローンB又はI可変重鎖配列、又は上記の実施例に記載のCDR配列と組み込まれ得る。
【0209】
実施例14
補体結合の減少及び/又はヒンジジスルフィド形成の増強及び/又は組換え産生の増強のための変異体ネコIgG Fcポリペプチド
ネコIgGの3つのサブタイプ、IgG1a Fc(配列番号203又は配列番号204)、IgG1b Fc(配列番号205又は配列番号206)、及びIgG2 Fc(配列番号207)のそれぞれは、プロテインA結合親和性を有する。ただし、ネコIgG2 FcのみがC1qへの結合親和性が弱いか測定できないが、一方、ネコIgG1a Fc、IgG1b FcはC1qに結合する。C1q結合を潜在的に低減させるため、及び/又は補体媒介性免疫応答を潜在的に低減させるために、変異体ネコIgG1a Fc及びIgG1b Fcポリペプチドが設計された。
【0210】
以下の表11は、ネコIgG FcサブタイプのプロテインA及びC1q結合特性をまとめたものである。注目すべきは、野生型ウマIgG Fcサブタイプのうち、C1q結合を欠き、且つプロテインAに結合するものがないことである。
【0211】
【0212】
C1qのネコIgG1a Fc及びIgG1b Fcへの結合を潜在的に低減させ、且つ/又は補体媒介性免疫応答を潜在的に低減させるために、配列番号203、配列番号204、配列番号205又は配列番号206の位置198に対応するアミノ酸位置に、Proを除く任意のアミノ酸によるProのアミノ酸置換を有する変異体ネコIgG1a Fc及びIgG1b Fcポリペプチドを調製することができる。これらのアミノ酸置換は、補体活性を示さないと理解されているネコIgG2 Fcと比較した、ネコIgG1a Fc及びIgG1b Fcのタンパク質配列及び3D構造モデリングの解析後に同定された。例えば、変異体ネコIgG1 FcポリペプチドP(198)A(配列番号209、210、212、及び213)を調製することができる。
【0213】
任意の変異体ネコIgG FcのC1qへの結合を決定し、別のIgG Fc(例えば、対応する野生型ネコIgG Fc、別の野生型若しくは変異体ネコIgG Fc、又は別のコンパニオンアニマルの野生型若しくは変異体IgG Fcなど)のC1qへの結合と比較することができる。実施例13に記載されている結合アッセイを使用することができる。
【0214】
ネコIgGヒンジを改変し、ジスルフィド形成を増強するために、いくつかのオルソログヒンジ構造の三次元タンパク質モデリング解析を使用した。ネコIgGヒンジでのジスルフィド形成を増強するために、ネコIgG1a(配列番号203又は配列番号204)(例えば、K16P)、ネコIgG1b(配列番号205又は配列番号206)、又はネコIgG2(配列番号207)(例えば、K(16)P)の位置16に対応する位置でリジンをプロリンで置換することにより、ヒンジ配列を改変することができる。改変されたヒンジを有する変異体ネコIgGポリペプチドのアミノ酸配列の例には、配列番号208、配列番号211、及び配列番号215が含まれる。
【0215】
ネコIgG2ヒンジでのジスルフィド形成を増加させるために、アミノ酸をシステインで置換することによりヒンジ配列を改変することができる。例えば、改変されたヒンジを有する変異体ネコIgG2 Fc(配列番号214)は、配列番号207の位置14に対応するアミノ酸位置でGlyをCysで置換することによって調製された。
【0216】
三次元タンパク質モデリングを使用して、組換え産生の増強及びヒンジジスルフィド形成の改善のために、異なるIgGアイソタイプからのヒンジ領域からの配列を含むネコ変異体IgG Fcポリペプチドを設計した。ネコIgG1a又はIgG1bのヒンジ領域からの配列(例えば、配列番号216)を含む変異体ネコIgG2 Fcポリペプチドを調製することができる。変異体IgG Fcポリペプチドの組換え産生のレベル及び/又はヒンジジスルフィド形成のレベルを決定し、還元及び非還元条件下でのSDS-PAGE分析によって別のIgG Fc(例えば、同じ又は異なるアイソタイプの対応する野生型IgG Fc、又は別のコンパニオンアニマルの野生型若しくは変異体IgG Fcなど)のレベルと比較することができる。
【0217】
C1q結合の減少(例えば、補体媒介性免疫応答の低減)及び/又はヒンジジスルフィド形成の増強及び/又は組換え産生の増強のための例示的な変異体ネコIgGポリペプチドには、配列番号208、209、210、211、212、213、214、215、及び216が含まれる。そのような変異体ネコIgGポリペプチドは、クローンB又はI可変重鎖配列、ネコ化クローンB又はI可変重鎖配列、又は上記の実施例に記載のCDR配列と組み込まれ得る。
【0218】
実施例15
二重特異性抗体用の変異体イヌ、ネコ、及びウマIgG Fcポリペプチド
ノブインホールヘテロ二量体化アプローチを使用して、二重特異性イヌ、ネコ、又はウマ抗体の調製を可能にするために、変異体イヌIgG Fcポリペプチド、変異体ネコIgG Fcポリペプチド、及び変異ウマIgG Fcポリペプチドの対形成を調べた。二重特異性抗体は、2つの異なる標的に対する2つの抗体の特異性を組み合わせる。最初に、1つの鎖が嵩高いアミノ酸(ノブ)を含み、もう1つの鎖が同じ一般的な位置にある小さなアミノ酸(ホール)を含むように、CH3界面に突然変異を導入することによって、重鎖対形成を設計した。さらに、重鎖がその意図された軽鎖と特異的に対になることを容易にするために、CH1と軽鎖との間の界面アミノ酸を、形状及び電荷-電荷相互作用において相補的になるように、変異させてもよい。
【0219】
イヌIgG-B Fc(配列番号163)の位置137に対応する位置に、イヌIgG-C Fc(配列番号165)の位置137に対応する位置に、又はイヌIgG-D Fc(配列番号167)の位置138に対応する位置に、チロシンからトリプトファンへのアミノ酸置換(T138W又はT137W)をノブとして導入することができる。第1の変異体イヌIgG-A Fc、IgG-B Fc、IgG-C Fc、及びIgG-D Fcのアミノ酸配列の例は、それぞれ、配列番号195、配列番号196、配列番号197、及び配列番号198である。
【0220】
イヌIgG-A(配列番号162)又はIgG-D(配列番号167)の位置138に対応する位置にスレオニンからセリンへのアミノ酸置換、及び位置140に対応する位置にロイシンからアラニンへのアミノ酸置換(T138S、L140A)、又はイヌIgG-B Fc(配列番号163)又はIgG-C(配列番号165)の位置137に対応する位置にスレオニンからセリンへのアミノ酸置換、及び位置139に対応する位置にロイシンからアラニンへのアミノ酸置換(T137S、L139A)をホールとして導入することができる。第2の変異体イヌIgG-A Fc、IgG-B Fc、IgG-C Fc、及びIgG-D Fcのアミノ酸配列の例は、配列番号199、配列番号200、配列番号201、及び配列番号202である。
【0221】
イヌIgG-A CH1(配列番号227)、イヌIgG-B CH1(配列番号228)、イヌIgG-C CH1(配列番号229)、又はイヌIgG-D CH1(配列番号230)の、位置24に対応する位置にアラニンからロイシンへのアミノ酸置換、及び位置30に対応する位置にセリンからアスパラギンへのアミノ酸置換(A24L、S30D)を導入することができる。変異体イヌIgG-A CH1、IgG-B CH1、IgG-C CH1、及びIgG-D CH1のアミノ酸配列の例は、配列番号231、配列番号232、配列番号233、及び配列番号234である。
【0222】
イヌκ定常領域(配列番号235)の位置11に対応する位置にフェニルアラニンからアラニンへのアミノ酸置換、及び位置22に対応する位置にセリンからアルギニンへのアミノ酸置換(F11A、S22R)を導入することができる。変異体イヌκ定常領域のアミノ酸配列の例は、配列番号236である。
【0223】
ネコIgG1a Fc(配列番号203又は配列番号204)、ネコIgG1b Fc(配列番号205又は配列番号206)、又はネコIgG2(配列番号207)の位置154に対応する位置にスレオニンからトリプトファンへのアミノ酸置換(T154W)をノブとして導入することができる。第1の変異体ネコIgG2 Fc、IgG1a Fc、及びIgG1b Fcのアミノ酸配列の例は、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、及び配列番号221である。
【0224】
ネコIgG1a(配列番号203又は配列番号204)、ネコIgG-b Fc(配列番号205又は配列番号206)、又はネコIgG2 Fc(配列番号207)の位置154に対応する位置にスレオニンからセリンへのアミノ酸置換、及び位置156に対応する位置にロイシンからアラニンへのアミノ酸置換(T154S、L156A)を、ホールとして導入することができる。第2の変異体ネコIgG2 Fc、IgG1a Fc、及びIgG1b Fcのアミノ酸配列の例は、配列番号222、配列番号223、配列番号224、配列番号225、及び配列番号226である。
【0225】
ネコIgG1 CH1(配列番号237)の位置24に対応する位置にアラニンからロイシンへのアミノ酸置換、及び位置30に対応する位置にセリンからアスパラギンへのアミノ酸置換、又はネコIgG2 CH1(配列番号238)の位置24に対応する位置にアラニンからロイシンへのアミノ酸置換、及び位置29に対応する位置にセリンからアスパラギンへのアミノ酸置換を導入することができる。変異体ネコIgG1 CH1及びIgG2 CH1のアミノ酸配列の例は、配列番号239及び配列番号240である。
【0226】
ネコκ定常領域(配列番号241)の位置11に対応する位置にフェニルアラニンからアラニンへのアミノ酸置換、及び位置22に対応する位置にセリンからアルギニンへのアミノ酸置換(F11A、S22R)を導入することができる。変異体ネコκ定常領域のアミノ酸配列の例は、配列番号242である。
【0227】
ウマIgG1 Fc(配列番号247)、ウマIgG2 Fc(配列番号248)、ウマIgG3 Fc(配列番号249)、ウマIgG4 Fc(配列番号250)、ウマIgG5 Fc(配列番号251)、ウマIgG6 Fc(配列番号252)、又はウマIgG7 Fc(配列番号253)の、位置130に対応する位置にスレオニンのトリプトファンへのアミノ酸置換(T130W)をノブとして導入することができる。第1の変異体ウマIgG1Fc、IgG2 Fc、IgG3 Fc、IgG4 Fc、IgG5 Fc、IgG6 Fc、及びIgG7 Fcのアミノ酸配列の例は、それぞれ、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、及び配列番号260である。
【0228】
ウマIgG1 Fc(配列番号247)、ウマIgG2 Fc(配列番号248)、ウマIgG3 Fc(配列番号249)、ウマIgG4 Fc(配列番号250)、ウマIgG5 Fc(配列番号251)、ウマIgG6 Fc(配列番号252)、又はウマIgG7 Fc(配列番号253)の、位置130に対応する位置にスレオニンからセリンへのアミノ酸置換、及び位置132に対応する位置にロイシンからアラニンへのアミノ酸置換(T130W)をホールとして導入することができる。第2の変異体ウマIgG1Fc、IgG2 Fc、IgG3 Fc、IgG4 Fc、IgG5 Fc、IgG6 Fc、及びIgG7 Fcのアミノ酸配列の例は、それぞれ、配列番号261、配列番号262、配列番号263、配列番号264、配列番号265、配列番号266、及び配列番号267である。
【0229】
上記のアプローチは、IL4R、及びIL17、IL31、TNFα、CD20、CD19、CD25、IL4、IL13、IL23、IgE、CD11α、IL6R、α4-インテグリン、IL12、IL1β、又はBlySなどの他の標的に対する二重特異性抗体を調製するために使用することができる。例えば、イヌIL4R及びイヌIL31に対する二重特異性抗体は、配列番号243のアミノ酸配列(イヌ化クローンI可変HC v2及び変異体IgG-B Fc C1q-、CD16-(二重特異性ノブを有する))、配列番号244(イヌ化クローンI可変LC v2及び可変イヌκ定常領域)、配列番号245(イヌ化抗イヌIL31クローンM14可変HC及び変異体イヌIgG-B Fc C1q-、CD16-(二重特異性ホールを有する))、及び配列番号246(イヌ化抗イヌIL31クローンM14可変LC及びイヌκ定常領域)を用いて調製され得る。
【0230】
実施例16
イヌIL4Rに結合するさらなるマウスモノクローナル抗体の同定
マウスモノクローナル抗体は、293細胞によって産生されたイヌIL4R細胞外ドメインを免疫原として使用する標準的な免疫化を使用して同定された。免疫化の間に異なるアジュバントが使用され(Antibody Solutions,Sunnyvale,CA)、モノクローナル抗体は標準的なハイブリドーマ技術によって得られた。イヌIL4R結合抗体を産生するクローンをスクリーニングするために、酵素免疫測定法(ELISA)を開発した。最初に、イヌIL4Rをビオチン化し、次いでそれをストレプトアビジンでコーティングしたウェルに導入した。次いで、免疫化した血清をウェルに加え、洗浄し、HRPコンジュゲート抗マウス抗体で検出した。イヌIL4R結合抗体の存在は、陽性シグナルを発生させた。高い結合シグナルを有する100を超えるELISA陽性クローンが同定された。
【0231】
さらに、中和(イヌIL4ブロッキング)ELISAを行った。イヌIL4Rへのそれらの結合が、イヌIL4によって阻害され得る4つのクローンが同定された。イヌIL4のイヌIL4Rへの結合は、M3、M5、M8、及びM9の4つのクローンによって阻害された。
【0232】
ハイブリドーマ細胞培養物から4つのマウス抗体を精製し、バイオセンサー(ForteBio OctetRed)を使用して、イヌIL4Rに対するそれらの親和性を測定した。ビオチン化イヌIL4Rを、ストレプトアビジンセンサーチップに結合させた。4つの候補のKdは、全て10nM未満であった。
【0233】
実施例17
M3、M5、M8、及びM9のVH及びVL配列の同定
M3、M5、M8及びM9を産生するハイブリドーマ細胞をペレット化した。RNAを抽出し、マウス免疫グロブリン(Ig)可変ドメインを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標準的な手法を使用してcDNAを得た。4つのクローンのそれぞれの可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)が決定された(配列番号292(M3 VH)、配列番号293(M3 VL)、配列番号308(M5 VH)、配列番号309(M5 VL)、配列番号324(M8 VH)、配列番号325(M8 VL)、配列番号340(M9 VH)、配列番号341(M9 VL))。
【0234】
実施例18
CHO細胞からのマウス-イヌキメラ抗体の発現と精製
キメラ抗体をコードするDNA配列が、マウスVH及びマウスVLをイヌ定常重鎖IgG-B及びイヌ定常軽鎖(カッパ)に融合させるために設計された。ヌクレオチド配列は化学的に合成され、CHO宿主細胞へのトランスフェクションに適した発現ベクターに挿入された。CHO細胞へのトランスフェクション後、軽鎖又は重鎖タンパク質、あるいはその両方が細胞から分泌された。4つのキメライヌIgG-Bは全て、一段階プロテインAカラムクロマトグラフィーによって精製された。イヌIL4Rに対するそれらの親和性は、バイオセンサー(ForteBio OctetRed)を使用して<10nMであることが確認された。
【0235】
実施例19
CHO細胞からのイヌ化及び発現
マウス(M3、M9)VH及びVLは、CDR移植のテンプレートとして適切なイヌ生殖系列抗体配列を検索して選択し、続いてタンパク質モデリングを行うことにより、イヌ化された。イヌ化可変軽鎖M3(配列番号344)及びイヌ化可変軽鎖M9(配列番号347)をイヌCLカッパに融合させた(その結果、それぞれ、配列番号350及び353を得た)。M3のイヌ化可変重鎖(配列番号342及び配列番号343)及びM9のイヌ化可変重鎖(配列番号344及び配列番号345)を変異体イヌIgG-Bに融合させ、その結果、それぞれ、配列番号348、配列番号349、配列番号351、及び配列番号352を得た。重鎖と軽鎖は容易に発現され、プロテインAカラムを用いて一段階で精製された。
【0236】
イヌ化された抗体は良好に発現し、イヌIL4Rへの結合親和性は≦1nMを維持した。
【0237】
実施例20
イヌIL4R細胞ベースのシグナル伝達アッセイの開発
悪性組織球増殖症に由来するイヌマクロファージ様細胞株であるイヌDH82細胞をATCC(CRL10389)から購入し、96ウェルプレートに10e5細胞/ウェルで播種し、(ATCCにより推奨される15%のFBS D-MEM中で)37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。細胞の血清飢餓及び抗体プレインキュベーションは、各ウェルの培地を、5%CO2、37℃で1時間、FBSを含まないD-MEM中で段階希釈した抗IL4R又はハイブリドーマ上清調製物と交換することによって行った。次いで、イヌIL4サイトカイン(RnD AF754)を、5%CO2、37℃で、1ng/mL(最終濃度)で各ウェルに15分間加えた。20マイクロリットルの停止溶液(M-per Thermo Fisher #78501)を各ウェルに加えた。各ウェルにおけるIL4誘導性STAT6リン酸化は、抗リン酸化STAT6(RnD MAB3717)ウエスタンブロッティングによってアッセイされた。
【0238】
M3、M8及びM9マウス抗体は、抗リン酸化STAT6ウエスタンブロットによって評価されるように、STAT6リン酸化を阻害した。
【0239】
実施例21
M3、M8及びM9イヌIL4R結合エピトープの同定
M3、M8、及びM9はウエスタンブロットに基づいてヒトIL4Rを認識しなかったが、イヌIL4Rに強く反応するため、キメライヌ-ヒトIL4R融合分子の組み合わせを作製し、発現させ、各抗体が結合する最小のイヌセグメントを同定した。
【0240】
図9Aは、イヌIL4Rエピトープマッピング解析に使用されるイヌ/ヒトIL4R ECDハイブリッドポリペプチドを示す(上記の実施例11のエピトープマッピングにおいて使用されるのと同じハイブリッド構築物)。
図9Bは、イヌIL4R ECD、ヒトIL4R ECD、及び異なるイヌ/ヒトIL4R ECDハイブリッドポリペプチドが、M3、M8、及びM9抗体でプローブされたウエスタンブロッティング解析をまとめたものである。表中でNRは、抗体がそれぞれのウエスタンブロットにおいてハイブリッドIL4R ECDに対して反応性でなかったことを示し、ヒトIL4R配列に置き換えられたイヌIL4R配列が抗体結合(エピトープ)にとって重要であることを示している。
【0241】
M3は、配列DFMGSENHTCVPEN(配列番号354)を有するエピトープに結合することが決定された。M8は、配列GSVKVLHEPSCFSDYISTSVCQWKMDHPTNCSA(配列番号355)を有する第1のエピトープ及び配列REDSVCVCSMPI(配列番号356)を有する第2のエピトープに結合することが決定された。M9は、配列REDSVCVCSMPIDDAVEADV(配列番号357)を有するエピトープに結合することが決定された。
バイオレイヤー干渉法によって測定して、イヌ及び/若しくはネコIL4ポリペプチド並びに/又はイヌ及び/若しくはネコIL13ポリペプチドの、イヌ及び/又はネコIL4Rへの結合を低減させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
抗体がモノクローナル抗体であり、抗体が任意選択的にイヌ化、ネコ化、又はキメラ抗体であり、キメラ抗体が任意選択的に1つ若しくは複数のマウス可変重鎖フレームワーク領域又は1つ若しくは複数のマウス可変軽鎖フレームワーク領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
IL4Rと、IL17、IL31、TNFα、CD20、CD19、CD25、IL4、IL13、IL23、IgE、CD11α、IL6R、α4-インテグリン、IL12、IL1β、又はBlySから選択される1つ又は複数の抗原に結合する二重特異性抗体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
IL4/IL13誘導性状態を有するコンパニオンアニマル種を治療するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体を含む薬学的組成物であって、任意選択的に、コンパニオンアニマル種がイヌ又はネコであり、任意選択的に、抗体が用量あたり0.1mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲の量であり、任意選択的に、抗体が筋肉内経路、腹腔内経路、脳脊髄内経路、皮下経路、動脈内経路、滑液嚢内経路、髄腔内経路、又は吸入経路によって投与される、薬学的組成物。
IL4/IL13誘導性状態が、そう痒性若しくはアレルギー性状態である、又はIL4/IL13誘導性状態が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、そう痒症、喘息、乾癬、強皮症、及び湿疹から選択される、請求項11に記載の薬学的組成物。
抗IL17抗体、抗IL31抗体、抗TNFα抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗CD25抗体、抗IL4抗体、抗IL13抗体、抗IL23抗体、抗IgE抗体、抗CD11α抗体、抗IL6R抗体、抗α4-インテグリン抗体、抗IL12抗体、抗IL1β抗体、及び抗BlyS抗体から選択される1つ又は複数の抗体と組み合わせて投与される、請求項11に記載の薬学的組成物。
コンパニオンアニマル種からの試料中のIL4Rを検出するための方法であって、IL4Rへの抗体の結合を許容する条件下で、試料を請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体と接触させることと、結合のレベルが参照又は比較資料のそれと異なるかどうかを決定することとを含み、任意選択的に、コンパニオンアニマル種がイヌ又はネコである、方法。
配列番号355のアミノ酸配列を含むエピトープ及び/又は配列番号356のアミノ酸配列を含むエピトープに結合する、請求項1-9又は15-17のいずれか一項に記載の抗体。