(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098123
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0457 20230101AFI20240711BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240711BHJP
H04W 74/0808 20240101ALI20240711BHJP
H04W 72/12 20230101ALI20240711BHJP
【FI】
H04W72/0457
H04W72/0453
H04W74/0808
H04W72/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085392
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2021508112の分割
【原出願日】2020-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2019059860
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠介
(57)【要約】
【課題】複数のバンドを束ねてデータ通信を行う通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置は、複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信部と、前記通信部における通信動作を制御する制御部を具備し、前記制御部は、第1の帯域で送信権を獲得してから第2の帯域で送信権を獲得するまでの間に、前記第1の帯域で第1の信号を送信し、前記第1の帯域及び前記第2の帯域でともに送信権を獲得したときに、前記第1の帯域及び前記第2の帯域を同時に用いてデータ送信を行うように制御する。前記第1の信号として、RTSフレーム、CTSフレーム、データフレーム、ビジートーンなどが送信される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、第1の帯域で送信権を獲得してから第2の帯域で送信権を獲得するまでの間に、前記第1の帯域で第1の信号を送信するように制御する、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の信号に、別の帯域での送信権獲得に関する情報が含めるように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
別の帯域での送信権獲得に関する情報は、別の帯域での送信権獲得を待っているか否かを示す情報、又は送信権をまだ獲得していない帯域の情報を含む、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の帯域及び前記第2の帯域でともに送信権を獲得したときに、前記第1の帯域及び前記第2の帯域を同時に用いてデータ送信を行うように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、第1の信号として、送信を要求するRTSフレームを送信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の帯域でRTSフレームとCTSフレームの交換途中、又はフレーム交換を完了した後に前記第2の帯域がビジー状態となった場合には、前記制御部は、前記第1の帯域での送信権確保を中断するように制御する、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、第1の信号として、送信を許可するCTSフレームを送信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、第1の信号としてデータフレームを送信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2の帯域での送信権を獲得した後、前記第1の帯域でのデータ送信を中断するように制御する、
請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、第1の信号としてビジートーンを送信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記ビジートーンは、自分がデータ信号を送信する時間に関する情報を含む、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記ビジートーンは、ネットワーク識別情報を含む、
請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第2の帯域で送信権を獲得するまでの時間に応じた前記第1の信号を送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
前記第2の帯域で送信権を獲得するまでの時間が、復号可能なデータの最小単位を送信するのに必要な時間以上の場合には、前記制御部は、第1の信号としてデータフレームを送信するように制御する、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記第2の帯域で送信権を獲得するまでの時間が、RTSフレームとCTSフレームの交換を実施するのに必要な時間以上の場合には、前記制御部は、第1の信号としてRTSフレームを送信するように制御する、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項16】
前記第2の帯域で送信権を獲得するまでの時間が、RTSフレームとCTSフレームの交換を実施するのに必要な時間未満であるが、CTSフレームを送信するのに必要な時間以上の場合には、前記制御部は、第1の信号としてCTSフレームを送信するように制御する、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項17】
前記第2の帯域で送信権を獲得するまでの時間が、CTSフレームを送信するのに必要な時間未満の場合には、前記制御部は、第1の信号としてビジートーンを送信するように制御する、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項18】
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信装置における通信方法であって、
第1の帯域で送信権を獲得するステップと、
第2の帯域で送信権を獲得するまでの間に、前記第1の帯域で第1の信号を送信するステップと、
前記第1の帯域及び前記第2の帯域でともに送信権を獲得したときに、前記第1の帯域及び前記第2の帯域を同時に用いてデータ送信を行うステップと、
を有する通信方法。
【請求項19】
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の帯域で第1の信号を受信した後、前記第1の帯域及び第2の帯域を同時に用いて送信されたデータを受信するように制御する、
通信装置。
【請求項20】
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信装置における通信方法であって、
第1の帯域で第1の信号を受信するステップと、
前記第1の帯域及び第2の帯域を同時に用いて送信されたデータを受信するステップと、
を有する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、無線信号を送受信する通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VR(Virtual Reality)などでの無線LAN(Local Area Network)の利用が期待されており、それらに対応するためピークスループットの向上が求められている。ピークスループットを向上させる技術の1つとして次世代無線LAN規格では複数の周波数帯域を同時に使用して広帯域を確保するキャリアアグリゲーションが注目されている。
【0003】
例えば、複数の互いに分離した周波数帯域で同時並行に通信をする場合に、送信データを複数周波数帯域にマッピングし、周波数帯毎に電力配分を行い、変調方式・チャネル符号化率と送信帯域幅を決定する無線通信装置について提案がなされている(特許文献1を参照のこと)。
【0004】
また、チャネルの状況を観測し、アイドルであると予測されるチャネル及び期間にキャリアセンスを実施し、その結果に基づいて複数のバンドで同時の送信を行う無線通信装置についても提案がなされている(特許文献2を参照のこと)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-157535号公報
【特許文献2】特開2018-78447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書で開示する技術の目的は、複数のバンドを束ねてデータ通信を行う通信装置及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する技術の第1の側面は、
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、第1の帯域で送信権を獲得してから第2の帯域で送信権を獲得するまでの間に、前記第1の帯域で第1の信号を送信するように制御する、
通信装置である。
【0008】
前記制御部は、前記第1の信号に、別の帯域での送信権獲得に関する情報が含めるように制御する。
【0009】
そして、前記制御部は、前記第1の帯域及び前記第2の帯域でともに送信権を獲得したときに、前記第1の帯域及び前記第2の帯域を同時に用いてデータ送信を行うように制御する。
【0010】
前記第1の信号として、RTSフレーム、CTSフレーム、データフレーム、ビジートーンなどが送信される。
【0011】
また、本明細書で開示する技術の第2の側面は、
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信装置における通信方法であって、
第1の帯域で送信権を獲得するステップと、
第2の帯域で送信権を獲得するまでの間に、前記第1の帯域で第1の信号を送信するステップと、
前記第1の帯域及び前記第2の帯域でともに送信権を獲得したときに、前記第1の帯域及び前記第2の帯域を同時に用いてデータ送信を行うステップと、
を有する通信方法である。
【0012】
また、本明細書で開示する技術の第3の側面は、
複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信部と、
前記通信部における通信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記第1の帯域で第1の信号を受信した後、前記第1の帯域及び第2の帯域を同時に用いて送信されたデータを受信するように制御する、
通信装置である。
【0013】
また、本明細書で開示する技術の第4の側面は、複数の帯域を使用して無線信号の送受信を行う通信装置における通信方法であって、
第1の帯域で第1の信号を受信するステップと、
前記第1の帯域及び第2の帯域を同時に用いて送信されたデータを受信するステップと、
を有する通信方法である。
【発明の効果】
【0014】
本明細書で開示する技術によれば、先に送信権を獲得したバンドでの送信権を維持しつつ他のバンドで送信権を獲得して、複数のバンドを束ねてデータ通信を行う通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0015】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまでも例示であり、本明細書で開示する技術によりもたらされる効果はこれに限定されるものではない。また、本明細書で開示する技術が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。
【0016】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、通信システム100の模式的な構成例を示した図である。
【
図2】
図2は、通信装置200の機能的構成例を示した図である。
【
図3】
図3は、基地局と子機がバンドA及びバンドBの2チャネルを用いて通信する場合の通信シーケンス例(第1の実施例)を示した図である。
【
図4】
図4は、RTSフレームのフォーマット例を示した図である。
【
図5】
図5は、CTSフレームのフォーマット例を示した図である。
【
図6】
図6は、APが実行する処理手順を示したフローチャート(第1の実施例)である。
【
図7】
図7は、基地局と子機がバンドA及びバンドBの2チャネルを用いて通信する場合の通信シーケンス例(第2の実施例)を示した図である。
【
図8】
図8は、APが実行する処理手順を示したフローチャート(第2の実施例)を示した図である。
【
図9】
図9は、基地局と子機がバンドA及びバンドBの2チャネルを用いて通信する場合の通信シーケンス例(第3の実施例)を示した図である。
【
図10】
図10は、APが実行する処理手順を示したフローチャート(第3の実施例)を示した図である。
【
図11】
図11は、基地局と子機がバンドA及びバンドBの2チャネルを用いて通信する場合の通信シーケンス例(第4の実施例)を示した図である。
【
図12】
図12は、APが実行する処理手順を示したフローチャート(第4の実施例)を示した図である。
【
図13】
図13は、基地局と子機がバンドA及びバンドBの2チャネルを用いて通信する場合の通信シーケンス例(第5の実施例)を示した図である。
【
図14】
図14は、APが実行する処理手順を示したフローチャート(第5の実施例)を示した図である。
【
図15】
図15は、STAが実行する処理手順を示したフローチャート(第6の実施例)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
複数のバンドで同時にデータ送信を行うためには、大きく2つの課題があると本出願人は思料する。1つは、あるバンドで送信権を獲得した後、他のバンドでも送信権を獲得するまでに他の端末が送信を開始してしまい、先に送信権を獲得したバンドで送信ができなくなってしまうことである。そして、もう1つは、あるバンドで送信権を獲得してから他のバンドで送信権獲得するまでの待機時間が無駄なことである。
【0020】
そこで、本明細書では、先に送信権を獲得したバンドにおいて信号を送信することにより、他のバンドで送信権を獲得するまでの間も、送信権を保持できるようにする技術について、以下で提案する。先に送信権を獲得したバンドにおいて送信する信号は、RTS(Request To Send)やCTS(Clear To Send)のように他の端末に送信を待機させる情報を含んだフレームでもよく、ビジートーンのように他の端末が電力の検出によって送信を待機させる信号でもよい。
【0021】
図1には、本明細書で提案する技術が適用される通信システム100の模式的な構成例を示している。図示の通信システム100は、1台の基地局(AP)101と、1台の子機(STA)102で構成される。また、通信システム100では、バンドA及びバンドBの2チャネルが利用可能であるものとする。バンドA、Bは、例えば5GHz帯、6GHz帯である。そして、子機102は、基地局101に接続しており、バンドA内のチャネルとバンドB内のチャネルを束ねて通信する。
【0022】
なお、
図1に示した通信装置の数や位置関係、周波数については一例であり、ここでの記載に限定されない。また、各バンドA、B内の複数の異なるチャネルを束ねて通信を行ってもよい。
【0023】
図2には、本実施形態に係る通信システム100において、基地局又は子機のいずれかとして動作することが可能な通信装置200の機能的構成例を示している。
【0024】
図示の通信装置200は、制御部210と、電源部220と、複数(図示の例では3個)の通信部230-1、230-2、230-3と、各通信部230-1、…毎のアンテナ部240-1、…で構成される。なお、各通信部230-1及び通信部230-1、…毎のアンテナ部240-1は同一の構成なので、以下では、簡素化のため通信部230及びアンテナ部240として参照することにする。
【0025】
通信部230は、例えばマイクロプロセッサなどのプロセッサや回路で構成され、無線制御部231と、データ処理部232と、変復調部233と、信号処理部234と、チャネル推定部235と、並列的に配置された複数の無線インターフェース(IF)部236-1、…、236-Nと、各無線インターフェース部236-1、…、236-Nに直列的に接続されたアンプ部237-1、…、237-Nを備えている(但し、Nは2以上の整数とする)。そして、各アンプ部237-1、…、237-Nには、当該通信部230に対応するアンテナ部240を構成する各アンテナ素子が接続されている。
【0026】
直列接続された無線インターフェース部236、アンプ部237、及びアンテナ部240中のアンテナ素子を1組として、1つ以上の組が通信部230の構成要素となっていてもよい。また、各無線インターフェース部236-1、…、236-Nに、各々に対応するアンプ部237-1、…、237-Nの機能が内包されていてもよい。
【0027】
データ処理部232では、自身の通信プロトコルの上位層からデータが入力される送信時において、そのデータから無線送信のためのパケットを生成し、さらにメディアアクセス制御(Media Access Control:MAC)のためのヘッダの付加や誤り検出符号の付加などの処理を実施して、処理後のデータを変復調部233へ提供する。また、データ処理部232は、変復調部233からの入力がある受信時においては、MACヘッダの解析、パケット誤りの検出、パケットのリオーダー処理などを実施し、処理後のデータを自身のプロトコル上位層へ提供する。
【0028】
無線制御部231は、当該通信装置200内の各部間の情報の受け渡しを制御する。また、無線制御部231は、変復調部233及び信号処理部234におけるパラメータ設定や、データ処理部232におけるパケットのスケジューリング、無線インターフェース部236及びアンプ部237のパラメータ設定及び送信電力制御を行なう。
【0029】
変復調部233は、送信時には、データ処理部232からの入力データに対し、無線制御部231によって設定された符号化方式及び変調方式に基づいて、符号化、インターリーブ及び変調処理を行い、データシンボルストリームを生成して、信号処理部234に提供する。また、変復調部233は、受信時には、信号処理部234からの入力シンボルストリームに対して、送信時とは反対の復調処理、デインターリーブ、及び復号化処理を行い、データ処理部232若しくは無線制御部231にデータを提供する。
【0030】
信号処理部234は、送信時には、必要に応じ変復調部233からの入力に対して空間分離に供される信号処理を行い、得られた1つ以上の送信シンボルストリームをそれぞれの無線インターフェース部236-1、…に提供する。また、信号処理部234は、受信時には、それぞれの無線インターフェース部236-1、…から入力された受信シンボルストリームに対して信号処理を行い、必要に応じてストリームの空間分解を行って、変復調部233に提供する。
【0031】
チャネル推定部235は、それぞれの無線インターフェース部236-1、…からの入力信号のうち、プリアンブル部分及びトレーニング信号部分から伝搬路の複素チャネル利得情報を算出する。算出された複素チャネル利得情報は、無線制御部231を介して変復調部233での復調処理及び信号処理部234での空間処理に利用される。
【0032】
無線インターフェース部236は、送信時には、信号処理部234からの入力をアナログ信号へ変換し、フィルタリング、及び搬送波周波数へのアップコンバート、位相制御を実施し、対応するアンプ部237又はアンテナ部240へ送出する。また、無線インターフェース部236は、受信時には、対応するアンプ部237又はアンテナ部240からの入力に対して、送信時とは反対のダウンコンバートやフィルタリング、デジタル信号への変換などの処理を実施し、信号処理部234及びチャネル推定部235へデータを提供する。
【0033】
アンプ部237は、送信時には、無線インターフェース部236から入力されたアナログ信号を所定の電力まで増幅し、アンテナ部240内の対応するアンテナ素子へと送出する。また、アンプ部237は、受信時には、アンテナ部240内の対応するアンテナ素子から入力された信号を所定の電力まで低雑音増幅して、無線インターフェース部236に出力する。
【0034】
アンプ部237は、送信時の機能と受信時の機能のうち少なくとも一方が無線インターフェース部236に内包されていてもよい。また、アンプ部237は、送信時の機能と受信時の機能のうち少なくとも一方が通信部230以外の構成要素となっていてもよい。
【0035】
一組の無線インターフェース部236及びアンプ部237で、1つのRF(Radio Frequency)ブランチを構成している。1本のRFブランチで1バンドの送受信を行えるものとする。
図2に示す装置構成例では、通信部230はN本のRFブランチを備えていることになる。
【0036】
制御部210は、例えばマイクロプロセッサなどのプロセッサや回路で構成され、無線制御部231及び電源部220の制御を行う。また、制御部210は、無線制御部231の上述した動作の少なくとも一部を、無線制御部231の代わりに実施してもよい。特に本実施形態においては、制御部210及び無線制御部231が、後述する各実施例に係る動作を実現するために、各部の動作を制御する。
【0037】
電源部220は、バッテリ電源又は固定電源で構成され、当該通信装置200に対して駆動用の電力を供給する。
【0038】
通信装置200が待機中は、通信部230がスタンバイ状態やスリープ状態(若しくは、少なくとも一部の機能を停止させた状態)に遷移して、低消費電力化を図るように構成してもよい。
図2に示す装置構成例では、通信部230は、N本のRFブランチを備えているが、RFブランチ毎にスタンバイ状態やスリープ状態に遷移できるように構成してもよい。但し、キャリアアグリゲーションでのデータ送受信を実施する際には、少なくともアグリゲーションするバンド数のRFブランチが通常の動作状態に復帰している必要がある。
【0039】
なお、制御部210と通信部230を併せて、1つ又は複数のLSI(Large Scale Integration)で構成することができる。
【実施例0040】
第1の実施例では、
図1に示した通信システム100において、基地局(AP)が送信を要求するフレームを送信してからデータフレームを送信する例について説明する。
【0041】
図3には、基地局(AP)と子機(STA)が、バンドA及びバンドBの2チャネルを用いて通信する場合の通信シーケンス例を示している。STAはAPに接続しているものとする。また、APとSTAは、互いが本実施例に係る動作に対応しているかどうかを事前に確認しておいてもよい。また、APやSTAは、例えばCSMA/CA(Carrier Sence Multiple Access with Collision Avoidance)によるチャネルアクセス方式に則って、送信権を獲得することができる。
【0042】
まず、APがバンドBで送信権を獲得する。APはバンドAとバンドBを束ねてデータを送信することを想定しているが、バンドAではバックオフが満了していない。そこで、APは、バンドAでの送信権を獲得するまでの期間中に、バンドBでも送信権を維持するために(若しくは、他の通信端末が送信権を獲得しないように)、バンドBにおいて送信を要求するRTSフレームを送信する。
【0043】
STAは、APからのRTSフレームをバンドBで受信した後、送信を許可するCTSフレームを、同じくバンドBで返送する。これにより、バンドBを使用している他の通信端末(図示しない)は、RTS又はCTSの少なくとも一方のフレームを受信したことによりNAV(Network Allocation Vector)を設定するため、バンドBでの送信を待機する。
【0044】
RTSフレーム及びCTSフレームには、別の帯域での送信権獲得に関する情報が含まれている(後述)。別の帯域での送信権獲得に関する情報は、具体的には、別の帯域での送信権獲得を待っているか否かを示す情報や、送信権をまだ獲得していない帯域などの情報である。具体的には、APがバンドAでの送信権獲得を待機している状態であることを示す情報が、RTSフレームやCTSフレームに記載されている。
【0045】
したがって、STAは、受信したRTSフレームから、APがバンドAとバンドBを束ねて、自分宛てにデータの送信を行おうとしていることを認識することができる。STAは、例えばバンドA用のRFブランチをスタンバイ状態やスリープ状態にしているときには、バンドA用のRFブランチも通常の動作状態に復帰させて、APからバンドAとバンドBを束ねたデータ送信に備えるようにする。
【0046】
他の通信端末がNAVを設定することにより、APはバンドBでの送信権を維持することができる。その後、APは、バンドAでも送信権を獲得したら、バンドAとバンドBを束ねて、STA宛てにデータの送信を開始する。そして、STA側では、バンドAとバンドBを束ねて送信されたデータを受信することができる。
【0047】
図4には、
図3に示した通信シーケンスで利用されるRTSフレームのフォーマット例を示している。また、
図5には、
図3に示した通信シーケンスで利用されるCTSフレームのフォーマット例を示している。
【0048】
参照番号401及び501で示すFrame Controlフィールドには、RTS並びにCTSの各フレームの種類に関する情報が記載される。
【0049】
参照番号402及び502で示すDurationフィールドには、後続するデータ通信が終了するまでの時間情報が記載される。通信を行わない周囲端末はこのフィールドの値を読み、NAVを設定する。APがバンドAでの送信権を獲得する時間が分かる場合には、Durationフィールドには、データを送信しそれに対するACKフレームを受信するまでの期間が記載される。また、APがバンドAでの送信権を獲得する時間が分からない場合には、Durationフィールドには、許容される最大値が記載される。
【0050】
参照番号403及び503で示すRA(Receiver Address)は、各フレームの送信先のMACアドレスを含むフィールドである。また、参照番号404で示すTA(Transmitter Address)は、各フレームの送信元のMACアドレスを含むフィールドである。
【0051】
参照番号405及び504で示すCA(Carier Aggregation) Indictionフィールドには、別の帯域での送信権獲得に関する情報が記載される。具体的には、CA Indicationフィールドには、別の帯域での送信権獲得を待機している状態であることを示す情報、あるいは、送信権をまだ獲得していない帯域があることを示す情報が記載される。
【0052】
参照番号406及び505で示すFCS(Frame Check Sequence)は、フレーム全体の誤り訂正符号を示すフィールドである。
【0053】
例えば、バンドBでのRTS/CTSフレームの交換する途中や、フレーム交換を完了した後に、バンドAがビジーとなった場合には、APやSTAは、バンドBでの送信権確保を中断してもよい。
【0054】
図6には、第1の実施例におけるAPが実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、
図2に示した通信装置200が、バンドA及びバンドBの2チャネルを使用可能な通信システム100において、APとして機能する際に実行する。
【0055】
APは、バンドBで送信権を獲得すると(ステップS601)、バンドAではまだ送信権を獲得していないかどうかをチェックする(ステップS602)。
【0056】
ここで、APがバンドAでも既に送信権を獲得できている場合には(ステップS602のNo)、APはバンドAとバンドBを束ねてデータを送信することができるので、本処理を終了する。
【0057】
一方、APがバンドAではまだ送信権を獲得していない場合には(ステップS602のYes)、APは、バンドBでRTSフレームを送信し(ステップS603)、バンドBでCTSフレームを受信して(ステップS604)、バンドAでの送信権を獲得するまでの期間中に、バンドBでも送信権を維持する。
【0058】
そして、APは、バンドAでも送信権を獲得すると(ステップS605)、APはバンドAとバンドBを束ねてデータを送信することができるので、本処理を終了する。
【0059】
なお、フローチャートでは省略したが、バンドBでのRTS/CTSフレームの交換する途中や、フレーム交換を完了した後に、バンドAがビジーとなった場合には、APは、バンドBでの送信権確保を中断してもよい。
【0060】
図6に示した処理手順によれば、APの周辺端末だけでなく、STAの周辺端末までもNAVが設定されるので、送信側(AP)からの信号が届かない位置にいる端末(隠れ端末)に対しても送信を待機させることができる。
まず、APがバンドBで送信権を獲得する。APはバンドAとバンドBを束ねてデータを送信することを想定しているが、バンドAではバックオフが満了していない。そこで、APは、バンドAでの送信権を獲得するまでの期間中に、バンドBでも送信権を維持するために(若しくは、他の通信端末が送信権を獲得しないように)、バンドBにおいてCTSフレームを送信する。
これにより、バンドBを使用している他の端末は、このCTSフレーム中のDurationに記載された内容に従ってNAVを設定して、バンドBでの送信を待機する。
APが送信するCTSフレームには、別の帯域での送信権獲得に関する情報が含まれている(前述)。具体的には、APがバンドAでの送信権獲得を待機している状態であることを示す情報が、CTSフレームに記載されている。したがって、STAは、受信したCTSフレームから、APがバンドAとバンドBを束ねて、自分宛てにデータの送信を行おうとしていることを認識することができる。STAは、例えばバンドA用のRFブランチをスタンバイ状態やスリープ状態にしているときには、バンドA用のRFブランチも通常の動作状態に復帰させて、APからバンドAとバンドBを束ねたデータ送信に備えるようにする。
他の通信端末がNAVを設定することにより、APはバンドBでの送信権を維持することができる。その後、APは、バンドAでも送信権を獲得したら、バンドAとバンドBを束ねて、STA宛てにデータの送信を開始する。そして、STA側では、バンドAとバンドBを束ねて送信されたデータを受信することができる。
なお、バンドBでCTSフレームを送信中やCTSフレームの送信を完了した後に、バンドAがビジーとなった場合には、APやSTAは、バンドBでの送信権確保を中断してもよい。
ここで、APがバンドAでも既に送信権を獲得できている場合には(ステップS802のNo)、APはバンドAとバンドBを束ねてデータを送信することができるので、本処理を終了する。
一方、APがバンドAではまだ送信権を獲得していない場合には(ステップS802のYes)、APは、バンドBでCTSフレームを送信し(ステップS803)、バンドAでの送信権を獲得するまでの期間中に、バンドBでも送信権を維持する。
なお、フローチャートでは省略したが、バンドBでCTSフレームを送信する途中や、CTSフレームの送信を完了した後に、バンドAがビジーとなった場合には、APは、バンドBでの送信権確保を中断してもよい。