(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098129
(43)【公開日】2024-07-22
(54)【発明の名称】フォークリフトのバッテリー充電制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240712BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240712BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H02J7/10 B
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001410
(22)【出願日】2023-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】515068834
【氏名又は名称】安富 祐二
(71)【出願人】
【識別番号】502384440
【氏名又は名称】佐藤 善隆
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】安富 祐二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 善隆
【テーマコード(参考)】
3F333
5G503
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333CA09
3F333DB05
3F333DB07
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】電動式のフォークリフトのバッテリーの充電を制御する際、フォークで荷物を持ち上げるという電動式フォークリフトの最も重要な機能を考慮してバッテリーの消耗度合いを的確に判断できるフォークリフトのバッテリー充電制御装置を提供する。
【解決手段】電動式のフォークリフト1のバッテリー6の充電を制御する制御部12を備えており、制御部12は、フォーク作動センサ9がフォーク8の作動を検出しているとき電圧センサ10で測定したフォーク負荷電圧のうち最小フォーク負荷電圧Vminを記憶部11に記憶させ、最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx以上の場合に充電オンオフ部7によって充電ケーブル3とバッテリー6とを電気的に切り離し、最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx未満の場合に充電オンオフ部7による充電ケーブル3とバッテリー6との電気的な接続を許容する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式のフォークリフトに繋がれた充電ケーブルのプラグを建屋側のコンセントに差し込んで前記フォークリフトに搭載されたバッテリーを充電する際、該バッテリーの消耗度合に基づいて充電するか否かを制御するフォークリフトのバッテリー充電制御装置であって、
前記充電ケーブルと前記バッテリーとの電気的な接続切離を行う充電オンオフ部と、前記フォークリフトのフォークが作動しているか否かを検出するフォーク作動センサと、前記バッテリーの電圧を測定する電圧センサと、該電圧センサで測定した電圧を記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された電圧に基づいて前記充電オンオフ部を作動させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記フォーク作動センサが前記フォークの作動を検出しているとき前記電圧センサで測定したフォーク負荷電圧のうち最小フォーク負荷電圧Vminを前記記憶部に記憶させ、前記プラグが前記コンセントに差し込まれているとき、前記最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx以上の場合に前記充電オンオフ部によって前記充電ケーブルと前記バッテリーとを切り離し、前記最小フォーク負荷電圧Vminが前記所定電圧Vx未満の場合に前記充電オンオフ部による前記充電ケーブルと前記バッテリーとの接続を許容する機能を有する、ことを特徴とするフォークリフトのバッテリー充電制御装置。
【請求項2】
前記所定電圧Vxは、前記バッテリーが満充電されている状態のとき前記電圧センサによって測定された満充電電圧Vfullの25%~35%に設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトのバッテリー充電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記充電オンオフ部による前記充電ケーブルと前記バッテリーとの接続を許容した際、現在の時刻が夜間電気料金割引の時間であるときに前記充電オンオフ部によって前記充電ケーブルと前記バッテリーとを接続して前記バッテリーの充電を行い、現在の時刻が前記夜間電気料金割引の時間でなければ前記充電オンオフ部によって前記充電ケーブルと前記バッテリーとを切り離して現在の時刻が前記夜間電気料金割引の時間になるまで充電を待機させる機能を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフォークリフトのバッテリー充電制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記満充電電圧Vfull、前記最小フォーク負荷電圧Vmin及び前記充電オンオフ部による前記充電ケーブルと前記バッテリーとの接続切離の時刻を、前記フォークリフトから離隔されたデータ収集サーバーに無線で送信する機能を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のフォークリフトのバッテリー充電制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記フォークリフトが複数日稼動された際、前記バッテリーの一日当たりの低下電圧を前記電圧センサで測定して前記記憶部に記憶させる機能を有すると共に、前記記憶部に記憶された前記バッテリーの一日当たりの低下電圧に基づき次の一日の低下電圧を予測し、前記所定電圧Vxを、少なくとも前記次の一日の低下電圧以上に設定する機能を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトのバッテリー充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のフォークリフトのバッテリーを充電する際、充電の繰り返し回数を可及的に減らしてバッテリーの長寿命化を図ったフォークリフトのバッテリー充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動式のフォークリフトは、駆動輪を駆動する走行用モーターと、フォークを昇降させるフォーク用モーターと、これらモーターに電力を供給するバッテリーとを備えている。かかるフォークリフトは、稼動によってバッテリーが或る程度消耗すると、バッテリーに繋がれた充電ケーブルのプラグを建屋側のコンセントに差し込み、バッテリーを充電する必要がある。
【0003】
一般に、電動式のフォークリフトのバッテリーは鉛電池が用いられており、その寿命は充放電1200~1500サイクルと言われている。従って、バッテリーがそれほど消耗していない状態で充電を行うと、充放電のサイクルが嵩んでしまい、バッテリーの寿命が短くなってしまう。
【0004】
従来、電動式のフォークリフトのバッテリーへの繰り返しの充電を回避する技術として、バッテリーの電圧が所定電圧以上の場合には充電しないようにしたフォークリフトの充電装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の電動式のフォークリフトの充電装置は、バッテリーに充電する或いは充電しないを制御する際に、バッテリーの消耗度合いを評価するバッテリー電圧について、予約充電中の電源立ち上がり時のバッテリー電圧を用いている。すなわち、走行用モーターおよびフォーク用モーターが共に作動されていない無負荷時のバッテリーの電圧を、バッテリー消耗度合いを評価する評価値として用いている。
【0007】
ところで、電動式のフォークリフトのバッテリーは、走行用モーターを作動させる走行時、バッテリーに生じる走行負荷電圧が上記無負荷時の電圧よりも低下し、これに応じてバッテリーの電流値が増大し、電力(電圧×電流)としては走行に必要な電力が確保される。また、フォーク用モーターを作動させてフォークで荷物を持ち上げるとき、バッテリーに生じるフォーク負荷電圧が上記走行負荷電圧よりも低下し、これに応じてバッテリーの電流値が増大し、電力(電圧×電流)としてはフォークで荷物を持ち上げるために必要な電力が確保される。そして、これら走行負荷電圧およびフォーク負荷電圧は、バッテリーが消耗すると、低下していく。
【0008】
従って、無負荷時には十分な電圧を有するバッテリーであっても、フォークで荷物を持ち上げる際、フォーク負荷電圧の低下量によっては、電流値が或る程度増大したとしても荷物を持ち上げられないケースが考えられる。すなわち、バッテリーに充電する或いは充電しないを制御する際、バッテリーの消耗度合いを評価する評価値に従来のように無負荷時の電圧を用いた場合、フォークで荷物を持ち上げるという電動式フォークリフトの最も重要な機能を考慮してバッテリーの消耗度合いが把握できているとはいえない。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、電動式フォークリフトのバッテリーの充電を制御する際、フォークで荷物を持ち上げるときのフォーク負荷電圧をバッテリーに充電する或いは充電しないを制御する評価値として用いることで、フォークで荷物を持ち上げるという電動式フォークリフトの最も重要な機能を考慮してバッテリーの消耗度合いを的確に判断できるフォークリフトのバッテリー充電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成すべく創案された本発明によれば、電動式のフォークリフトに繋がれた充電ケーブルのプラグを建屋側のコンセントに差し込んでフォークリフトに搭載されたバッテリーを充電する際、バッテリーの消耗度合に基づいて充電するか否かを制御するフォークリフトのバッテリー充電制御装置であって、充電ケーブルとバッテリーとの電気的な接続切離を行う充電オンオフ部と、フォークリフトのフォークが作動しているか否かを検出するフォーク作動センサと、バッテリーの電圧を測定する電圧センサと、電圧センサで測定した電圧を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された電圧に基づいて充電オンオフ部を作動させる制御部とを備え、制御部は、フォーク作動センサがフォークの作動を検出しているとき電圧センサで測定したフォーク負荷電圧のうち最小フォーク負荷電圧Vminを記憶部に記憶させ、プラグがコンセントに差し込まれているとき、最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx以上の場合に充電オンオフ部によって充電ケーブルとバッテリーとを切り離し、最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx未満の場合に充電オンオフ部による充電ケーブルとバッテリーとの接続を許容する機能を有する、ことを特徴とするフォークリフトのバッテリー充電制御装置が提供される。
【0011】
本発明に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置においては、所定電圧Vxは、バッテリーが満充電されている状態のとき電圧センサによって測定された満充電電圧Vfullの25%~35%に設定されていてもよい。
【0012】
本発明に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置においては、制御部は、充電オンオフ部による充電ケーブルとバッテリーとの接続を許容した際、現在の時刻が夜間電気料金割引の時間であるときに充電オンオフ部によって充電ケーブルとバッテリーとを接続してバッテリーの充電を行い、現在の時刻が夜間電気料金割引の時間でなければ充電オンオフ部によって充電ケーブルと前記バッテリーとを切り離して現在の時刻が夜間電気料金割引の時間になるまで充電を待機させる機能を有していてもよい。
【0013】
本発明に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置においては、制御部は、満充電電圧Vfull、最小フォーク負荷電圧Vmin及び充電オンオフ部による充電ケーブルとバッテリーとの接続切離の時刻を、フォークリフトから離隔されたデータ収集サーバーに無線で送信する機能を有していてもよい。
【0014】
本発明に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置においては、制御部は、フォークリフトが複数日稼動された際、バッテリーの一日当たりの低下電圧を電圧センサで測定して記憶部に記憶させる機能を有すると共に、記憶部に記憶されたバッテリーの一日当たりの低下電圧に基づき次の一日の低下電圧を予測し、所定電圧Vxを、少なくとも次の一日の低下電圧以上に設定する機能を有していてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)電動式のフォークリフトのバッテリーの充電を制御する際、充電する或いは充電しないを制御する評価値としてのバッテリー電圧にフォーク作動時の最小フォーク負荷電圧Vminを用いているので、フォークで荷物を持ち上げるという電動式フォークリフトの最も重要な機能を考慮してバッテリーの消耗度合いを的確に把握できる。
(2)この結果、充放電のサイクルを可及的に減らすことができ、バッテリーの寿命を延ばすことができ、バッテリー交換の間隔が延び、コストダウンを推進できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置の概要を示す説明図である。
【
図2】上記実施形態に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置のシステム図である。
【
図3】上記実施形態に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置の制御部のフローチャート図である。
【
図4】上記実施形態に係るフォークリフトのバッテリー充電制御装置の制御部が次の一日の低下電圧を予測する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(フォークリフト1のバッテリー充電制御装置2の概要)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るフォークリフト1のバッテリー充電制御装置2は、電動式のフォークリフト1に繋がれた充電ケーブル3のプラグ4を建屋側のコンセント5に差し込んでフォークリフト1に搭載されたバッテリー6を充電する際、バッテリー6の消耗度合に基づいて充電するか否かを制御するものである。
【0019】
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るフォークリフト1のバッテリー充電制御装置2は、充電ケーブル3とバッテリー6との電気的な接続切離を行う充電オンオフ部7と、フォークリフト1のフォーク8が作動しているか否かを検出するフォーク作動センサ9と、バッテリー6の電圧を測定する電圧センサ10と、電圧センサ10で測定した電圧を記憶する記憶部11と、記憶部11に記憶された電圧に基づいて充電オンオフ部7を作動させる制御部12とを備えている。
【0020】
図3に示すように、制御部12は、フォーク作動センサ9がフォークの8作動を検出しているとき(ステップS1)、電圧センサ10で測定したフォーク負荷電圧のうち最小フォーク負荷電圧Vminを記憶部11に記憶させ(ステップS2)、プラグ4がコンセント5に差し込まれているとき(ステップS3)、最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx以上の場合(ステップS4)、充電オンオフ部7によって充電ケーブル6とバッテリー6とを切り離し(ステップS5)、最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx未満の場合(ステップS4)、充電オンオフ部7による充電ケーブル3とバッテリー6との接続を許容する(ステップS6)機能を有する。以下本実施形態について詳述する。
【0021】
(電動式のフォークリフト1)
図1に示すように、この電動式のフォークリフト1は、駆動輪13を駆動する走行用モーター14と、フォーク8を昇降させるフォーク用モーター15と、これらモーター14、15に電力を供給するバッテリー6とを備えている。バッテリー6には、バッテリー6の電圧を測定する電圧センサ10が接続されている。バッテリー6を充電する際には、フォークリフト1の接続部16に充電ケーブル3のコネクタ17が接続され、充電ケーブル3の先端に設けられたプラグ4が建屋側のコンセント5に差し込まれる。充電ケーブル3のコネクタ17が接続される接続部16とバッテリー6との間には、充電回路18が設けられ、充電回路18には、充電ケーブル3とバッテリー6との電気的な接続切離を行う充電オンオフ部7が設けられている。
【0022】
図2に示すように、充電オンオフ部7には、制御部12が接続されている。制御部12には、バッテリー6の電圧を測定する電圧センサ10と、電圧センサ10で測定した電圧を記憶する記憶部11と、フォークリフト1のフォーク8が作動しているか否かを検出するフォーク作動センサ9とが接続されている。制御部12は、フォーク作動センサ9および電圧センサ10からの情報に基づいて上述した最小フォーク負荷電圧Vminを記憶部11に記憶させ、記憶部11に記憶された最小フォーク負荷電圧Vminの値に基づいて充電オンオフ部7を作動させ、充電ケーブル3とバッテリー6との電気的な接続切離を行って充電する或いは充電しないを制御する。この制御について説明する。
【0023】
(制御部12による充電制御)
図3に、制御部12による充電制御フローチャートを示す。
図3に示すように、電動式のフォークリフト1が稼動された後(キーが運転室のキーシリンダに差し込まれてオン方向に回転されてスタートされた後)、ステップS1において、フォークセンサ9がフォーク8の作動を検出しているか否か判断する。イエスならステップS2に向かい、電圧センサ10によって測定されたバッテリー6の電圧(フォーク負荷電圧)のうち、最小のもの(最小フォーク負荷電圧Vmin)が記憶部11に記憶される。
【0024】
ステップS2において、フォーク負荷電圧はバッテリー6の消耗度合いと相関があり、バッテリー6の消耗度合いが大きくなるにつれてフォーク負荷電圧が小さくなる。また、フォーク負荷電圧はフォーク8で持ち上げる荷物の重量と相関があり、前に持ち上げた荷物の重量よりも重い荷物を持ち上げると、前の荷物を持ち上げたときのフォーク負荷電圧よりも後の荷物に持ち上げたときのフォーク負荷電圧が下がるため、記憶部11に記憶される最小フォーク負荷電圧Vminが更新される。更新は、フォークリフト1が稼動している間(キーがキーシリンダに差し込まれてオン方向に回転された後、オフ方向に回転されるまでの間)、継続して行われる。
【0025】
次にステップS3において、プラグ4がコンセント5に差し込まれているか否か判断する。ステップS3がノウの場合、フォークリフト1が稼動中と考えられるため、ステップS1の上流側に戻る。ステップS3がイエスの場合、充電のためにフォークリフト1が停車されていると考えられるため、ステップS4に向かい、記憶部11に記憶された最小フォーク負荷電圧Vminが所定電圧Vx以上か否か判断する。
【0026】
ステップS4がイエスの場合、ステップS5に向かい、充電オンオフ部7が充電ケーブル3とバッテリー6とを電気的に切り離す。これにより、プラグ4がコンセント5に差し込まれていてもバッテリー6の充電は行われず、所謂ちょこちょこ充電(バッテリー6の容量がそれ程減ってない状態で繰り返される充電)を回避でき、充放電のサイクルを減らしてバッテリー6の寿命を伸ばすことができる。ステップS4がノウの場合、ステップS6に向かい、充電オンオフ部7が充電ケーブル3とバッテリー6とを電気的に接続することを許容する。
【0027】
ステップ4~6に示すように、バッテリー6に充電を許容する或いは充電しないを制御するための評価値となるバッテリー電圧に、フォーク作動時の最小フォーク負荷電圧Vminを用いているので、フォーク8で荷物を持ち上げるという電動式フォークリフト1の最も重要な機能を考慮してバッテリー6の消耗度合いを的確に把握できる。また、次回の稼動時にフォーク8を作動させて荷物を持ち上げ得る電圧を確保しつつ、充放電のサイクルを可及的に減らすことができる。以下に説明する。
【0028】
電動式のフォークリフト1のバッテリー6は、走行用モーター14を作動させる走行時、バッテリー6に生じる走行負荷電圧が無負荷時の電圧よりも低下し、これに応じてバッテリー6の電流値が増大し、電力(電圧×電流)としては走行に必要な電力が確保される。また、フォーク用モーター15を作動させてフォーク8で荷物を持ち上げるとき、バッテリー6に生じるフォーク負荷電圧が走行負荷電圧よりも低下し、これに応じてバッテリー6の電流値が増大し、電力(電圧×電流)としてはフォーク8で荷物を持ち上げるために必要な電力が確保される。そして、これら走行負荷電圧およびフォーク負荷電圧は、バッテリー6が消耗すると、低下していく。
【0029】
従って、無負荷時には十分な電圧を有するバッテリーであっても、フォークで荷物を持ち上げる際、フォーク負荷電圧の低下量によっては、電流値が或る程度増大したとしても荷物を持ち上げられないケースが考えられる。本発明においては、電動式フォークリフト1の稼動中、バッテリー6の発生電圧が最も低くなる、フォーク8で荷物を持ち上げるときのフォーク負荷電圧を、バッテリー6に充電する或いは充電しないを制御する評価値として用いている。すなわち、電動式のフォークリフト1のバッテリー6を充電する際、充電する或いは充電しないを制御するための評価値となるバッテリー電圧に、フォーク作動時の最小フォーク負荷電圧Vminを用いている。
【0030】
この結果、フォーク8で荷物を持ち上げるという電動式フォークリフト1の最も重要な機能を考慮してバッテリー6の消耗度合いを的確に把握でき、次回の稼動時にフォーク8を作動させて荷物を持ち上げ得る電圧を確保しつつ、所謂ちょこちょこ充電を回避して充放電のサイクルを可及的に減らすことができる。よって、電動式のフォークリフト1を経年使用して充電を繰り返した際、バッテリー6の寿命を可及的に延ばすことができ、寿命となったバッテリー6を交換する間隔が延び、コストダウンを推進できる。
【0031】
ところで、ステップS4における所定電圧Vxは、本実施形態においては、バッテリー6が満充電されている状態のとき電圧センサ10によって測定された満充電電圧Vfullの25%~35%(25%以上35%以下)の間の何れかの数値(例えば30%)に設定されている。電動式フォークリフト1のバッテリー6(鉛バッテリー)は、一般に、電圧の残量が全容量の25%~35%程度となるまで減少した状態で充電することが好適を言われているからである。これにより、バッテリー6の電圧の残量が全容量の35%以上の場合の充電が防止されることになり、所謂ちょこちょこ充電を確実に回避でき、充放電のサイクルを減らしてバッテリーの寿命を的確に延ばすことができる。
【0032】
次に、ステップS6において充電ケーブル3とバッテリー6との接続が許容された後、ステップS7に向かい、現在の時刻が夜間電気料割引の時間か否か判断する。ステップS7がイエスの場合、ステップS8に向かい、充電オンオフ部7によって充電ケーブル3とバッテリー6とが接続され、充電される。ステップS7がノウの場合、ステップS9に向かい、充電オンオフ部7によって充電ケーブル3とバッテリー6とが切り離された状態とされ、ステップS6とステップS7との間に戻る。これにより、現在の時刻が夜間電気料割引の時間となるまで充電が待機される。この結果、夜間電気料割引が適用された電気料金で充電でき、充電コストを削減できる。
【0033】
(その他)
図1に示すように、本実施形態においては、制御部12は、満充電電圧Vfull、最小フォーク負荷電圧Vmin及び充電オンオフ部7による充電ケーブル3とバッテリー6との接続切離の時刻を、フォークリフト1から離隔されたデータ収集サーバー19に無線で送信する機能を有している。これにより、電動式のフォークリフト1を複数台所有している場合、各フォークリフト1について、満充電電圧Vfull、最小フォーク負荷電圧Vmin及び充電オンオフ部7による充電ケーブル3とバッテリー6との接続切離の時刻を集中して把握でき、各フォークリフト1の運用及び管理を的確に行える。
【0034】
(変形例)
上記実施形態においては、
図3において、制御部12が充電する或いは充電しないを制御する際、ステップS4において適用される所定電圧Vxには、満充電電圧Vfullの25%~35%の間が設定されていたところ、変形例においては、所定電圧Vxを、バッテリー6が次の一日に低下するであろうと予測される電圧(次の一日の低下電圧)以上に設定している。これにより、次の一日の稼働を確保しつつ、バッテリー6の充放電のサイクルを可及的に減らすことができる。
【0035】
具体的には、
図4に示すように、制御部12は、フォークリフト1が複数日(例えば4日)稼動された際、バッテリー6の一日当たりの低下電圧(V1、V2、V3、V4)を電圧センサ10で測定して記憶部11に記憶させる機能を有すると共に、記憶部11に記憶されたバッテリー6の一日当たりの低下電圧に基づき次の一日の低下電圧(V5)を予測し、所定電圧Vxを、少なくとも次の一日の低下電圧(V5)以上に設定する機能を有する。
【0036】
次の一日の低下電圧(V5)は、例えば稼動日が4日の場合、過去4日の一日当たりの低下電圧(V1、V2、V3、V4)の平均として予測され、次式により求められる。
V5=(V1+V2+V3+V4)/4
また、過去の4日の一日当たりの低下電圧(V1、V2、V3、V4)から最小二乗法を用いて回帰直線を求め、その回帰直線に基づいて次の一日の低下電圧(V5)を予測するようにしてもよい。
【0037】
このように予測された次の一日の低下電圧(V5)に対し、或る程度の余裕を考慮した電圧(例えばV5の110%以上120%以下の間の何れかの電圧)を、
図3のステップS4の所定電圧Vxに設定することで、電動式のフォークリフト1の次の一日の稼働を確保しつつ、前実施形態と同様にバッテリー6の充放電のサイクルを可及的に減らすことができる。なお、変形例は、所定電圧Vxを次の一日の低下電圧(V5)以上に設定した点を除き、前実施形態と同様の構成となっているため、変形例の基本的な作用効果は、前実施形態と同様である。
【0038】
また、所定電圧Vxは、満充電電圧Vfullの25%~35%の間で設定された何れかの数値と、次の一日の低下電圧(V5)との大きい方に設定されてもよい。前者が後者よりも大きければ、前者(所定電圧Vxに満充電電圧Vfullの25%~35%の間で設定された何れかの数値)が採用されるため、所謂ちょこちょこ充電を確実に回避できると共に、これに従属して次の一日の稼動を確保できる。後者が前者よりも大きければ、所定電圧Vxに後者(次の一日の低下電圧(V5))が採用されるため、次の一日の稼動を確保できると共に、これに従属して所謂ちょこちょこ充電を出来るだけ低減できる。
【0039】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電動式フォークリフトのバッテリーを充電する際、フォークで荷物を持ち上げるという電動式フォークリフトの最も重要な機能を考慮してバッテリーの消耗度合いを的確に把握することで、充電の繰り返し回数を可及的に減らし、バッテリーの長寿命化を図ったフォークリフトのバッテリー充電制御装置に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 電動式のフォークリフト
2 フォークリフトのバッテリー充電制御装
3 充電ケーブル
4 プラグ
5 コンセント
6 バッテリー
7 充電オンオフ部
8 フォーク
9 フォーク作動センサ
10 電圧センサ
11 記憶部
12 制御部
19 データ収集サーバー
Vmin 最小フォーク負荷電圧
Vx 所定電圧
Vfull 満充電電圧