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特開2024-98144減弱マップ生成方法及び医用画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098144
(43)【公開日】2024-07-22
(54)【発明の名称】減弱マップ生成方法及び医用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240712BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240712BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240712BHJP
【FI】
G01T1/161 A
A61B6/03 577
A61B6/46 506Z
A61B6/03 573
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213407
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】18/151,497
(32)【優先日】2023-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン
(72)【発明者】
【氏名】シャオホイ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ウエンユエン チー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー コルサマー
【テーマコード(参考)】
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA13
4C093EA07
4C188EE02
4C188FF07
4C188KK24
4C188LL08
(57)【要約】
【課題】PET画像の減弱補正に使用する減弱マップの精度を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る減弱マップ生成方法は、被検体のCT(Computed Tomography)画像データを取得し、トレーニング入力画像データとスペクトルCT画像データから生成した対応するトレーニング減弱マップデータとを使用してトレーニングされたDCNN(Deep Convolutional Neural Network)モデルに前記CT画像データを入力することによって、PET(Positron Emission Tomography)画像再構成のための減弱マップを生成する、ことを含む。
【選択図】図1A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のCT(Computed Tomography)画像データを取得し、
トレーニング入力画像データとスペクトルCT画像データから生成した対応するトレーニング減弱マップデータとを使用してトレーニングされたDCNN(Deep Convolutional Neural Network)モデルに前記CT画像データを入力することによって、PET(Positron Emission Tomography)画像再構成のための減弱マップを生成する、
ことを含む、減弱マップ生成方法。
【請求項2】
前記取得するステップが、積分型CT画像データを取得することを含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項3】
前記被検体のPETデータを取得し、
前記PETデータと前記減弱マップとからPET画像を再構成する、
ことをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項4】
90kVp未満の第1のエネルギーを有する第1のCTスキャン及び125kVpを超えるエネルギーを有する第2のCTスキャンから取得した入力画像データから、前記トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項5】
前記入力画像データに基づいて第1の基準物質画像および第2の基準物質画像を生成し、
前記第1の基準物質画像および前記第2の基準物質画像から前記トレーニング減弱マップデータを生成する、
ことをさらに含む、請求項4に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項6】
スペクトルCTスキャンによって作成される入力画像データから前記トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項7】
高速kVスイッチングデュアルエネルギーCTスキャンから取得される入力画像データから、前記トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項8】
光子計数CT装置を使用したスキャンから取得される入力画像データから、前記トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項9】
シミュレーションまたはデジタルファントムから取得される入力画像データから、前記トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項10】
前記取得したCT画像データが、ビームハードニング補正処理前のデータである、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項11】
前記CT画像データを前記トレーニングされたDCNNモデルに入力する前に、ビームハードニング補正処理を実施して、前記取得したCT画像データを補正することをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項12】
前記取得したCT画像データが、ビームハードニング補正処理を実施された積分型CT画像データおよびビームハードニング補正処理が実施されていない積分型CT画像データの両方を含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項13】
損失関数を最小化することによって前記DCNNモデルをトレーニングすることをさらに含む、請求項1に記載の減弱マップ生成方法。
【請求項14】
被検体のPET(Positron Emission Tomography)由来の減弱データを取得し、
トレーニングPET由来減弱データとスペクトルCTプロトコルに基づいて生成されたトレーニング減弱マップデータとを使用してトレーニングされたDCNN(Deep Convolutional Neural Network)モデルに前記PET由来の減弱データを入力することによって、PET画像再構成のための減弱マップを生成する、
ことを含む、減弱マップ生成方法。
【請求項15】
被検体のCT(Computed Tomography)画像データを取得する取得部と、
トレーニング入力画像データとスペクトルCT画像データから生成した対応するトレーニング減弱マップデータとを使用してトレーニングされたDCNN(Deep Convolutional Neural Network)モデルに前記CT画像データを入力することによって、PET(Positron Emission Tomography)画像再構成のための減弱マップを生成する生成部と、
を備える、医用画像処理装置。
【請求項16】
前記取得部は、前記CT画像データとして、積分型CT画像データを取得する、請求項15に記載の医用画像処理装置。
【請求項17】
前記取得部は、前記被検体のPETデータを取得し、
前記PETデータと前記減弱マップとからPET画像を再構成する再構成部をさらに備える、請求項15に記載の医用画像処理装置。
【請求項18】
前記取得部は、入力画像データから前記トレーニング減弱マップデータを取得し、
前記入力画像データが、スペクトルCTスキャンによって生成されたデータ、高速kVスイッチングデュアルエネルギーCTスキャンから取得されたデータ、光子計数CT装置を使用したスキャンで取得されたデータ、およびシミュレーションまたはデジタルファントムから取得されたデータのうちの1つである、請求項15に記載の医用画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、減弱マップ生成方法及び医用画像処理装置に関する。
【0002】
本開示は、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)イメージングなどの医用イメージングで使用するための減弱マップの精度向上を提供する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ポジトロン放射断層撮影(PET)とは、放射性トレーサーとして知られている放射性物質を使用して、代謝過程およびその他の生理的活動の変化を可視化および測定するイメージング技術である。これは、人体の生化学を調べるための低侵襲手段である。血流、化学組成、および吸収は全て、放射性トレーサーおよびPETの助けを借りて視覚化および測定することができる。様々なトレーサーが様々なイメージング目的に使用されている。例えば、グルコースの放射性標識アナログであるフルオロデオキシグルコースは癌の検出に使用され、フッ化ナトリウムは骨形成の検出に使用され、酸素15は血流検出のトレーサーとしてしばしば使用される。ガンマ線は放射性トレーサーから放射されてガンマカメラによって検出され、3次元画像が形成される。
【0004】
PETスキャンの画像は、同一セッション中に実行され得るCTスキャンの結果を使用して再構成することができる。CT装置と一体化したPET装置は、PET-CT装置として知られている。PETにおける画像再構成は、511keVのガンマ線が物質を通過して検出器に到達するまでの減弱を適切に考慮するため、患者またはファントム(医用イメージングファントムは人体組織の代用として使用される被写体)の物質組成の情報に依存する。PET/CTでは、CT値に基づいて物質情報を抽出し、場合によってはCT画像からの簡単な物質分類で改善する。その後、511keVガンマ線の減弱は、物質情報とそれに関連する減弱断面積に基づいて理論的に計算される。従来の方法の一例は、米国特許第6950494号に記載されている。異なる経路に沿ったX線の実効エネルギーは変化し、一様ではないため、上記従来の方法を使用した減弱量の推定精度には限界がある。このため、CT再構成の精度に影響を与え、被写体の中心部と周辺部とでCT値が異なる「カッピング」などのビームハードニングアーチファクトをもたらす。別の問題は、スキャンプロトコル、例えば、管電圧、コリメータ設定などの変更、ならびに臓器もしくは物質の分類がないか、または単純であることに起因して、実効エネルギーが変化することである。極端な場合、金属アーチファクトがエラーを引き起こすことになる。金属アーチファクトは、いくつかの研究において患者の10%で報告されている(Croxford, et al, Journal of Nuclear Medicine, May 2010を参照)。CTスキャンの公称70keVから511keVに対してPET再構成に必要なガンマ線の減弱を外挿すると、上記のエラーがさらに増幅される。
【0005】
これらの問題を調整するために、時として物質に依存した「変換係数」を使用するが、これでは、上記の問題がうまく解決されない(Chuanyong Bai, Ling Shao, A. J. Da Silva and Zuo Zhao, “A generalized model for the conversion from CT numbers to linear attenuation coefficients,” in IEEE Transactions on Nuclear Science, vol. 50, no. 5, pp. 1510-1515, Oct. 2003, Doi: 10.1109/TNS.2003.817281を参照)。したがって、必要なのは、PETスキャンの減弱マップを生成するためのより良い方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6950494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、PET画像の減弱補正に使用する減弱マップの精度を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る減弱マップ生成方法は、被検体のCT(Computed Tomography)画像データを取得し、トレーニング入力画像データとスペクトルCT画像データから生成した対応するトレーニング減弱マップデータとを使用してトレーニングされたDCNN(Deep Convolutional Neural Network)モデルに前記CT画像データを入力することによって、PET(Positron Emission Tomography)画像再構成のための減弱マップを生成する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、本実施形態に係る減弱マップ生成方法の一例を示すフローチャートである。
図1B図1Bは、本実施形態に係る減弱マップ生成方法の一例を示すフローチャートである。
図2A図2Aは、本実施形態に係る減弱マップ生成方法におけるDCNNモデルのトレーニング及び動作の一例を示す図である。
図2B図2Bは、本実施形態に係る減弱マップ生成方法におけるDCNNモデルのトレーニング及び動作の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る減弱マップ生成方法におけるDCNNモデルのトレーニング及び動作の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係るトレーニング減弱マップデータの生成の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係るPET装置の斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係るPET装置及び関連するハードウェアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示では、単一エネルギーのコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)画像(エネルギー積分型の検出器によって検出された投影データに基づく画像:以下、積分型CT画像データとも記す)などからの画像を、511keVガンマ線の減弱マップに直接変換するために、ニューラルネットワークをトレーニングする。これは、ビームハードニング補正(Beam-Hardening Correction:BHC)有り、または無しのCT画像を使用して行うことができる。一実施形態では、深層畳み込みニューラルネットワーク(Deep Convolutional Neural Network:DCNN)などのトレーニングされたニューラルネットワークを提供することによって、CT画像を511keV光子に対する減弱係数に、より正確に変換し、PETイメージングにおいてより正確な定量的結果をもたらすことができる。ニューラルネットワークを使用して、実効X線エネルギーのばらつき、および誤った物質タイプの割り当てに起因して発生するハードニングアーチファクトおよび金属アーチファクトを含む、異なる物質タイプのシグネチャ(signature)を捉えることができる。ニューラルネットワークをトレーニングして、これらのシグネチャを捉え、物質の同定および定量化の精度を改善することができる。
【0011】
正確な減弱マップは、DCNNトレーニングのターゲット出力として使用される。必要な減弱マップを生成するためには、正確な物質情報が必要である。kVスイッチングX線管、2層検出器、光子計数検出器、またはデュアルX線源などの高度なスペクトル対応ハードウェア(物質弁別用)を装備したCT装置では、物質組成情報を含むスペクトルCT画像を単純に作成することができるため、511keV光子に対する正確な減弱マップを生成することができる。従来のCTについては、代わりに一般的なスペクトルCTのプロトコルおよび物質弁別を使用することができる。被写体を異なるX線エネルギーでスキャンし、異なる単一エネルギーのCT画像を組み合わせる汎用的な物質弁別プロセスが続くことによって、被写体における下地物質の組成を知ることができる。
【0012】
一実施形態では、トレーニングの目標は、出力がスペクトルCTプロトコルを通じて作成された基準減弱マップによく似ることができるように、コスト関数を最小化する並進関数を推定することである。また、ニューラルネットワークのトレーニングは、物質組成が既知であるデジタルファントムを用いたシミュレーションからの増強データによって改善することができる。完全にトレーニングされると、ニューラルネットワークは並進関数を直接作成し、1つ以上のCT画像をPET再構成に使用される減弱マップに変換する。この方法は、磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)イメージングからのデータなどの、CTデータ以外のデータを使用して減弱マップを作成するために一般化することができ、また単一光子放射コンピュータ断層撮影(Single-Photon Emission Computerized Tomography:SPECT)などの、他のイメージングモダリティにも適用することができる。
【0013】
本開示の1つの方法は、被検体のCT画像データを受信することと、受信したCT画像データを、減弱マップを出力する深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルに入力することによって、PET画像再構成のための減弱マップを生成することであって、DCNNモデルが、トレーニング入力画像データおよびスペクトルCT画像データから生成した対応するトレーニング減弱マップデータを使用することによってトレーニングされたものであることと、を含む。
【0014】
また、本開示の別の方法は、被検体のポジトロン放射断層撮影(PET)の減弱データを受信することと、受信したPET由来の減弱データを、減弱マップを出力するトレーニングされた深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルに入力することによって、PET画像再構成のための減弱マップを生成することであって、DCNNモデルが、入力データとしてのトレーニング入力画像データおよびPETデータから生成した対応するトレーニング減弱マップデータを使用することによってトレーニングされたものであることと、を含む。
【0015】
また、別の実施形態によれば、被検体のコンピュータ断層撮影(CT)画像データを受信し、受信したCT画像データを、減弱マップを出力するトレーニングされた深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルに入力することによって、ポジトロン放射断層撮影(PET)画像再構成のために減弱マップを生成し、DCNNモデルが、トレーニング入力画像データおよびスペクトルCT画像データからの対応するトレーニングデータを使用してトレーニングされるように構成された処理回路を備える装置が提供される。
【0016】
上記した概要セクションは、本開示における全ての実施形態および/または全ての追加的に新しい態様を規定するものではなく、異なる実施形態の予備的な説明のみを提供するものである。開示された実施形態の追加の詳細および/または可能な視点については、以下でさらに説明する実施形態を参照されたい。
【0017】
上記したように、核医学イメージングにおけるPETスキャンは、減弱推定の精度に悩まされる。本開示の実施形態では、減弱推定の精度は、本開示において「ニューラルネットワーク」または「DCNNモデル」と代わりに呼ばれる、トレーニングされた深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルの使用によって改善される。
【0018】
図1Aは、開示された方法のうちの1つのフローチャート1000を示す。具体的には、図1Aは、CT画像データを受信し、CT画像データをトレーニングされたDCNNモデルに入力し、PET画像再構成のための減弱マップを生成し、被検体のスキャンからPETデータを取得し、取得したPETデータおよび生成した減弱マップからPET画像を再構成する、方法の1つのフローチャートを示す。
【0019】
図1Aに示すように、ステップS1010では、CT画像データが受信される。なお、受信されるCT画像データは、被検体の、1回のスキャン、または異なる時間に実行された複数のスキャンからのデータでもよい。また、複数のスキャンは、単一のエネルギーレベルで、または複数のエネルギーレベルで行われてもよい。
【0020】
ステップS1020では、任意選択でビームハードニング補正を実行することができる。ビームハードニング補正は、例えば、反復補正技術を使用することができるビームハードニングソフトウェアを使用して実行することができる。或いは、CT装置は、ファントムを使用することによって較正して、カッピングまたはストリーキングのようなビームハードニングアーチファクトを制御または補正することができる。
【0021】
ステップS1030では、CT画像データは、減弱マップを出力するためにトレーニングされたDCNNモデルに入力される。後述するように、DCNNモデルのトレーニングは、1つ以上のCTスキャン、PET由来の減弱測定値、ファントムの高線量スペクトル画像、および/または、デジタルファントムから得られるデータを用いて実行することができる。
【0022】
ステップS1040では、入力画像データに基づいて、DCNNモデルによって減弱マップが生成され、出力される。
【0023】
ステップS1050では、被検体のPETスキャンからPETデータを取得する。
【0024】
ステップS1060では、DCNNによって生成された減弱マップを使用して、取得したPETデータから被検者のPET画像を再構成する。
【0025】
図1Bは、開示された方法のうちの1つの、別のフローチャート1100を示す。具体的には、PET画像データを受信し、PET画像データをトレーニングされたDCNNモデルに入力し、PET画像再構成のための減弱マップを生成し、被検体のスキャンからPETデータを取得し、取得したPETデータおよび生成した減弱マップからPET画像を再構成することからなる、異なる方法のフローチャートを示す。ステップS1110では、PET由来の減弱測定値を、被検体のPETスキャンに基づいて受信する。
【0026】
ステップS1120では、PET由来の減弱測定値を、トレーニングされたDCNNモデルに入力する。後述するように、本実施形態におけるDCNNモデルのトレーニングは、1つ以上のCTスキャン、PET由来の減衰測定値、ファントムの高線量スペクトル画像、および/またはデジタルファントムからのデータに基づいて実行することができる。
【0027】
ステップS1040では、入力画像データに基づいてトレーニングされたDCNNモデルによって、減弱マップが生成され、出力される。
【0028】
ステップS1050では、被検体のPETスキャンからPETデータを取得する。
【0029】
ステップS1060では、取得したPETデータおよびDCNNによって生成された減弱マップから、被検者のPET画像を再構成する。
【0030】
図2Aは、DCNNモデルへの入力として単一エネルギーCT画像(積分型CT画像データ)を使用するDCNNネットワークのトレーニングおよび動作の一実施形態のフロー図を示す。具体的には、図2Aは、トレーニング中、単一エネルギーCT画像102(ビームハードニング補正あり、またはなし)をトレーニング入力とし、かつ、対応する511keV減弱マップ112をターゲット出力として使用する、DCNNネットワークトレーニングの方法のフロー図を示す。上記トレーニングにおいては、実効X線エネルギーのばらつき、および誤って割り当てられた物質タイプに起因して、時として必要となるビームハードニング補正を使用してシグネチャを確立し、ニューラルネットワークにそれらのシグネチャを捉えさせ、物質の識別および定量化の精度を改善することができる。これらのシグネチャを強化するために、ニューラルネットワークは、ビームハードニング補正のないCT画像、またはビームハードニング補正はあるが意図的に間違った物質仮定に基づく画像を、入力として代替することができる。
【0031】
一実施形態では、対応するターゲット511keV減弱マップ112と共に単一エネルギーCT画像102を、トレーニング中にDCNNモデル130に入力する。DCNNモデル130のパラメータを調整して、実際の処理において使用されるDCNNモデル150を作成する。
【0032】
一実施形態では、CTまたは他の画像を入力として使用する減弱推定のための教師あり深層学習モデルは、任意選択でCT構成パラメータを追加入力として使用する。目標は、例えば、以下の式(1)に示す関数などのコスト関数を最小化する並進関数を推定することである。
【0033】
【数1】
ここで、式(1)におけるXおよびYは、高線量スペクトルCTスキャンからの入力CT画像および対応する減弱マップのトレーニングサンプルを表す。Kはサンプルの数である。fは、DCNNモデル150にように、ニューラルネットワークを使用して推定する必要がある並進関数である。式(1)に示すような損失関数によって、ネットワークのトレーニングが可能になる。平均二乗誤差(Mean Square Error:MSE)を損失関数として使用することができ、また、代わりに、半平均二乗誤差(Half Mean Square Error:HMSE)、二乗平均平方根誤差(Root Mean Square Error:RMSE)、または平均絶対誤差(Mean Absolute Error:MAE)を損失関数として使用してもよい。完全にトレーニングされると、ニューラルネットワークは並進関数を直接作成し、入力CT画像をPET再構成に使用され得る減弱マップに変換する。別の実施形態では、複数のニューラルネットワーク構造を使用して損失関数を最小化しようとすることもでき、それらのネットワークのパラメータは、新しい画像のペアで使用するためのトレーニングされたネットワークを形成する。
【0034】
図2Aに示すように、初期の単一エネルギーCT画像102は、ファントムスキャン106を使用することによって作成することができる。別の実施形態では、デジタルファントムシミュレーション108によって単一エネルギーCT画像102を作成することもでき、またはファントムスキャン106とデジタルファントムシミュレーションとの組み合わせによって単一エネルギーCT画像102を作成することもできる。例えば、GATE(Geant4 Application Tomography Emission)ソフトウェアパッケージなどを使用して、デジタルファントムを生成してもよい。高線量スペクトル画像110と組み合わせて、ファントムまたはデジタルシミュレーション画像を使用して、より正確な511keV減弱マップ112を作成し、トレーニングに使用することができる。さらに他の実施形態では、kVpの変更、スキャン継続時間設定の変更、またはコリメータ設定最適化アルゴリズムの使用によるコリメータ設定の最適化など、CT構成を変更することができる。
【0035】
一実施形態では、正確なトレーニング減弱マップ112は、一般化スペクトルCTプロトコルおよび物質弁別を使用して作成することができる。次に、511keVの減弱マップ112を元の単一エネルギーCT画像102と共に使用して、DCNNモデル130をトレーニングする。DCNNのトレーニングが完了すると、最適化フィルタ132を使用して、臨床環境で使用されるDCNNモデル150を作成する。次に、DCNNモデル150を使用して、例えば、PET-CT装置を使用して患者のスキャンから取得された入力単一エネルギーCT画像から減弱マップ170を作成する。そして、減弱マップ170を使用して、例えば、PET-CT装置により取得されたPETデータ160に対するPET再構成が実行される。
【0036】
図2Bは、DCNNモデルへの入力としてPET由来の減弱測定値を使用する別の実施形態のフロー図を示す。本実施形態では、512keV減弱マップを生成するためのニューラルネットワークへの入力は、例えば、PETデータから放射と減弱を同時にモデルベースで推定するプロセスを使用して取得した、PET由来の減弱測定値214である。ここで、本実施形態では、参照として、Li Y, Matej S, Karp JS. Practical joint reconstruction of activity and attenuation with autonomous scaling for time-of-flight PET. Phys Med Biol. 2020, Dec 23が援用される。
【0037】
本実施形態では、単一エネルギーまたは多重エネルギーの、線源ベースの送信スキャンを使用することができる。従来は、単一エネルギーであり、かつPETの対消滅光子の511keVに近いことから、Ge-68またはCs-137が透過スキャンに使用されている。本実施形態では、コストまたは安全性の理由から、より低いエネルギー源、例えばCo-57を使用することも可能である。また、Luベースの検出器からの低レートバックグラウンドガンマで、被写体のLu-176透過スキャンを使用することもできる。
【0038】
他の実施形態では、この同じ原理を拡張して、CTとは異なる画像から取得されるDCNNモデルへの入力画像を提供することができる。例えば、SPECTデータをDCNNトレーニングモデルの入力として使用することができる。さらに、DCNNモデルへの入力は、磁気共鳴(MR)画像から得ることができる。また、MRSなどの様々なMRシーケンスを使用して、DCNNモデルの特異性を強化することもできる。
【0039】
DCNNモデルへの入力画像がCTとは異なるソースから来る場合、入力画像とスペクトラルCTプロトコルから生成されるターゲット減弱マップとの間のアライメントをうまく調整する必要がある。入力画像とターゲット減弱マップの両方で認識される、よく知られた物質特性およびマーキング構造を持つ特殊なファントムを使用することで、ミスアライメントの問題を緩和することができる。また、デジタルファントムを用いたシミュレーションを使用することで、DCNNモデルをトレーニングするための入力画像とターゲット減弱マップの両方を提供することができる。
【0040】
図3は、DCNNモデルへの入力として複数の単一エネルギーCT画像を使用する別の実施形態のフロー図を示す。本実施形態では、ビームハードニング補正のある単一エネルギーCT画像104、およびビームハードニング補正のない単一エネルギーCT画像102は、いずれもトレーニング中にDCNNモデルに入力される。2つ以上のCT画像は、例えば、異なるタイプのビームハードニング補正(1つの物質、2つの物質)を含むことができ、または、ビームハードニング補正を含むが(意図的に)間違った物質仮定に基づいてアーチファクトのシグネチャを改善し、それによってDCNNを改善してもよい。図3はさらに、トレーニングされたDCNN150への入力として、ビームハードニング補正のない被検体CT画像242、およびビームハードニング補正のある被検体CT画像244を示す。
【0041】
図4は、物質弁別を使用して511keV減弱マップを生成するために、少なくとも2つの異なるスキャンを使用するフロー図を示す。具体的には、図4は、少なくとも2つの異なるkVpスキャンを使用して511keV減弱マップ112を生成する、一般的な回転-回転スペクトルCTプロトコルのフロー図を示す。図4は、80kVpスキャン402および135kVpスキャン404を示す。これらの低エネルギースキャンおよび高エネルギースキャンは、物質弁別プロセスによって使用され、2つの異なる基準物質画像412および414を生成し、そこから511keVの減弱マップが生成される。基準物質は、例えば、水と骨、または水とヨウ素であってもよい。本実施形態におけるトレーニングデータは、CTスキャンをシミュレートすることによって生成された入力画像を持つデジタルファントム/患者を提供することもできる。511keV減弱マップ112のターゲット出力は、デジタルファントム/患者の物質情報に基づいて直接計算することができる。
【0042】
本実施形態に係る方法は、システム設計もしくはスキャンプロトコルのバリエーションに適応するために複数のトレーニングされたネットワークを作成することができるか、または本方法を使用して、一般的な使用のためにシステム構成もしくはスキャンプロトコルの追加入力で共通のネットワークを作成することができる。また、ニューラルネットワークは、さらなる線量低減およびアーチファクトの低減のために、他の高度なイメージング処理ネットワークと組み合わせることもできる。
【0043】
一実施形態では、図5および図6に示すように、本開示の方法がPET装置内で実装されることを理解することができる。図5および図6は、それぞれが矩形の検出器モジュールとして構成されている多数のガンマ線検出器(Gamma-Ray Detector:GRD)8001、8002~8040(例えば、GRD1、GRD2、~GRDN)を含むPET装置8000を示す。PET装置8000は、上記で紹介したように、適応体軸方向視野(Adaptive Axial Field Of View:aaFOV)PET装置であってもよい。一実施態様によれば、ガントリ8060の周りに円筒形ボア8050を形成する各PET検出器リングは、例えば、40個のGRDを含む。別の実施態様では、48個以上のGRDがあり、より多くのGRDの数を使用して、PET装置8000のためのより大きなボアサイズを生成する。各PET検出器リングは、aaFOV PET装置の軸方向の長さについて独立して並進可能であってもよい。各PET検出器リングの並進は、手動操作および/または電動操作によって達成されてもよい。GRDは、光検出器によって検出されるシンチレーション光子(例えば、光学的、赤外線、および紫外線の波長)にガンマ線を変換するための、シンチレータ結晶アレイを含む。各GRDは、ガンマ線を吸収してシンチレーション光子を放射する、個々の検出器結晶の2次元アレイを含むことができる。シンチレーション光子は、同様にGRD内に配置された光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)の2次元アレイによって検出することができる。光導体は、検出器結晶のアレイとPMTの間に配置することができる。さらに、各GRDは、様々なサイズの多数のPMTを含むことができ、その各々は、複数の検出器結晶からシンチレーション光子を受信するように配置される。各PMTは、シンチレーションイベントがいつ発生するかを示すアナログ信号、および検出イベントを生成するガンマ線のエネルギーを生成することができる。さらに、1つの検出器結晶から放射される光子は、2つ以上のPMTによって検出することができ、各PMTで生成されるアナログ信号に基づいて、検出イベントに対応する検出器結晶を、例えば、アンガーロジックおよび結晶復号を使用して判定することができる。しかしながら、アンガー算術は、結晶と光検出器との間の1対1対応があるときに必ずしも必要とされない。
【0044】
図6は、患者(本実施形態では、代わりに被写体、または被検体と呼ばれる)から放射されるガンマ線を検出するように配置されたGRD8001、8002~8040を有するPET装置の概略図を示す。GRDは、各ガンマ線の検出に対応するタイミング、位置、およびエネルギーを測定することができる。一実施形態では、図5および図6に示し、本明細書で説明するように、ガンマ線検出器はPET検出器リング状に配置される。図6の単一のPET検出器リングは、PETスキャナの軸方向の長さに沿った任意の数のPET検出器リングを含むように外挿することができることを理解することができる。検出器結晶は、2次元アレイ状に配置された個々のシンチレータ素子を有するシンチレータ結晶であり得、シンチレータ素子は、任意の既知のシンチレータ材料であり得る。PMTは、各シンチレータ素子からの光が複数のPMTによって検出されて、シンチレーションイベントのアンガー算術および結晶復号を可能にするように、配置することができる。
【0045】
図6は、PET装置8000の配置の例を示し、ここでは撮像される被検体または患者などの被写体が天板9160上に載置されており、GRD1 8001~GRDN 8040のGRDモジュールが、被写体OBJおよび天板9160の周りに円周方向に配置されている。GRDは、PET検出器リングを含んでもよく、ガントリ8060に固定接続されている円筒形のボア8050に固定接続されてもよい。ガントリ8060は、PET装置の多くの部品を収容する。また、PET装置のガントリ8060は、患者および天板9160が通過することができる、円筒形ボア8050によって定義される、開いた開口部を含み、対消滅イベントにより患者から反対方向に放射されるガンマ線をGRDによって検出することができ、タイミングおよびエネルギー情報を使用してガンマ線のペアの同時計数を判定することができる。
【0046】
図6では、ガンマ線検出データを取得、記憶、処理、および分配するための回路およびハードウェアも示されている。回路およびハードウェアは、プロセッサ9070、ネットワークコントローラ9074、メモリ9078、メモリ内に格納されたDCNNモデル9080、およびデータ取得システム(Data Acquisition System:DAS)9076を含む。また、PET装置は、GRDからDAS9076、プロセッサ9070、メモリ9078、およびネットワークコントローラ9074へと検出測定結果をルーティングするデータチャネルも含む。DAS9076は、検出器からの検出データの取得、デジタル化、およびルーティングを制御することができる。一実施形態では、DAS9076は、天板9160の動きを制御する。プロセッサ9070は、PET検出器リングの調整、検出データの前再構成処理、画像再構成、および画像データの後再構成処理を含む機能を実行する。なお、プロセッサ9070は、処理回路であり、取得部、生成部、及び、再構成部に対応する各機能を実現する。また、図6に示すPET装置8000は、本願に係る医用画像処理装置を含む装置の一例である。
【0047】
一実施形態によれば、図5および図6のPET装置8000のプロセッサ9070は、本明細書に記載されるような方法のいずれか、ならびにその変形を実行するように構成することができる。
【0048】
別の実施形態によれば、GRDモジュールの数は、例えば、単一モジュールなど、より少ない数であってもよい。
【0049】
図5に示すように、プロセッサ9070は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、または別の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)のような、個々の論理ゲートとして実装可能なCPUを含むことができる。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL、Verilog、またはその他のハードウェア記述言語でコード化されてよく、そのコードはFPGAもしくはCPLD内の電子メモリに直接格納されてもよく、または個別の電子メモリとして格納されてもよい。さらに、メモリ9078は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または当技術分野において既知の、任意のその他の電子記憶装置とすることができる。メモリ9078は、ROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリなどの不揮発性であってもよい。メモリ9078は、静的または動的RAMなど揮発性であり得、FPGAまたはCPLDとメモリとの間の相互作用だけでなく電子メモリを管理するための、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどのプロセッサが提供されてもよい。
【0050】
あるいは、プロセッサ9070のCPUは、本明細書に記載の方法を実行する一連の非一時的なコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムを実行することができ、プログラムは、電子メモリおよび/もしくはハードディスクドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブ、またはその他の任意の既知の記憶媒体を含む、上述のいずれかの非一時的コンピュータ可読媒体に格納される。さらに、コンピュータ可読命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、もしくはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせで提供されてもよく、米国のインテル社製のXENON(登録商標)プロセッサまたは米国のAMD社製のOPTERON(登録商標)プロセッサなどのプロセッサと、Microsoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple MAC-OS(登録商標)、および当業者に既知の他のオペレーティングシステムと連動して実行される。さらに、CPUは、ローカルまたは分散型クラウド構成で協調的に並列に動作する複数のプロセッサとして実装され、メモリ9078に格納された命令を実行し、DCNNモデル9080を実装することできる。メモリ9078およびDCNNモデル9080は、ローカルまたは分散型クラウド構成に格納されてもよい。
【0051】
一実施形態では、PETスキャナは、再構成画像などを表示するためのディスプレイを含んでもよい。ディスプレイは、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LED、または当該技術分野において既知のその他のディスプレイであり得る。
【0052】
米国のインテル社製のインテルイーサネット(登録商標)PROネットワークインタフェースカードなどのネットワークコントローラ9074により、PET撮像装置の様々な部分間でインタフェースすることができる。さらに、ネットワークコントローラ9074はまた、外部ネットワークとインタフェースすることもできる。理解できるように、この外部ネットワークは、インターネットなどの公共ネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどのプライベートネットワーク、またはこれらの任意の組み合わせであり得、PSTNもしくはISDNサブネットワークを含むこともできる。外部ネットワークはまた、イーサネットネットワークなどの有線とすることができ、またはGPRS、EDGE、3G、4G、および5G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークなどの無線とすることもできる。無線ネットワークはまた、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、または任意の他の既知の無線通信形式とすることもできる。
【0053】
明らかに、以上の教示を考慮して、数々の修正および変形が可能である。したがって、特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載された方法とは異なる方法でも実施され得ることを理解されたい。
【0054】
本明細書に記載された方法およびシステムは、多数の技術で実装することができるが、一般的には、本明細書に記載された処理を実行するためのイメージングデバイスおよび/または処理回路に関連する。ニューラルネットワークが使用される実施形態では、ニューラルネットワーク(複数可)をトレーニングするために使用される処理回路は、本明細書に記載された方法を実行するトレーニングされたニューラルネットワーク(複数可)を実装するために使用される処理回路と同じである必要はない。例えば、FPGAを使用して、トレーニングされたニューラルネットワーク(例えば、その相互接続および重みによって定義されるように)を作成してもよく、プロセッサ9070およびメモリ9078を使用して、トレーニングされたニューラルネットワークを実装してもよい。さらに、トレーニングされたニューラルネットワークのトレーニングおよび使用は、直列実装を使用してもよく、または性能向上のために並列実装を使用してもよい(例えば、トレーニングされたニューラルネットワークをグラフィックプロセッサアーキテクチャなどの並列プロセッサアーキテクチャに実装することによって)。
【0055】
前述の説明では、具体的な詳細が記載されてきた。しかし、本明細書の技術は、これらの特定の詳細から逸脱した他の実施形態で実施されてもよく、このような詳細は説明のためのものであり、限定するものではない。本明細書で開示する実施形態は、添付図面を参照して説明されている。同様に、説明の目的のために、具体的な数字、材料、および構成が、完全な理解を提供するために記載されている。それにもかかわらず、実施形態は、そのような具体的な詳細がなくても実施され得る。実質的に同じ機能構造を有する構成要素は、同様の参照文字によって表されており、したがって、冗長な説明は省略することがある。
【0056】
様々な技術が、様々な実施形態の理解を助けるために複数の個別の動作として説明されてきた。記載の順序は、これらの動作が必ずしも順序に依存することを意味するように解釈されるべきではない。実際に、これらの動作は、提示された順序で実行する必要はない。記載された動作は、記載された実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。追加の実施形態では、様々な追加の動作を実行してもよく、および/または記載された動作を省略してもよい。
【0057】
また、本開示の実施形態は、以下の付記に記載されるようであってもよい。
【0058】
(1)被検体のコンピュータ断層撮影(CT)画像データを受信することと、受信したCT画像データを、トレーニングされた深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルに入力することによって、ポジトロン放射断層撮影(PET)画像再構成のために減弱マップを生成することであって、DCNNモデルが、トレーニング入力画像データおよびスペクトルCT画像データから生成した対応するトレーニング減衰マップデータを使用することによってトレーニングされたものであることと、を含む、方法。
【0059】
(2)受信するステップが、単一エネルギーCT画像データを受信することを含む、(1)に記載の方法。
【0060】
(3)被検体のスキャンからPETデータを取得することと、取得したPETデータおよび生成した減弱マップからPET画像を再構成することと、をさらに含む、(1)または(2)のいずれかに記載の方法。
【0061】
(4)90kVp未満の第1のエネルギーを有する第1のCTスキャン、および125kVpを超えるエネルギーを有する第2のCTスキャンから取得した入力画像データから、トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
【0062】
(5)入力画像データに基づいて第1の基準物質画像および第2の基準物質画像を生成することをさらに含む、(4)に記載の方法。
【0063】
(6)スペクトルCTスキャンによって作成される入力画像データからトレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
【0064】
(7)高速kVスイッチングデュアルエネルギーCTスキャンから取得される入力画像データから、トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
【0065】
(8)光子計数CT装置を使用したスキャンから取得される入力画像データから、トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
【0066】
(9)シミュレーションまたはデジタルファントムから取得される入力画像データから、トレーニング減弱マップデータを取得することをさらに含む、(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
【0067】
(10)受信したCT画像データが、ビームハードニング補正をオフにして生成されたものである、(1)~(9)のいずれかに記載の方法。
【0068】
(11)CT画像データをトレーニングされたDCNNモデルに入力する前に、ビームハードニング補正処理を使用して、受信したCT画像データを補正することをさらに含む、(1)に記載の方法。
【0069】
(12)受信したCT画像データが、ビームハードニング補正を有する単一エネルギーCT画像データおよびビームハードニング補正を有さない単一エネルギーCT画像データの両方を含む、(1)~(11)のいずれかに記載の方法。
【0070】
(13)損失関数を最小化することによってDCNNモデルをトレーニングすることをさらに含む、(1)~(12)のいずれかに記載の方法。
【0071】
(14)被検体のポジトロン放射断層撮影(PET)由来の減弱データを受信することと、受信したPET由来の減弱データを、減弱マップを出力するトレーニングされた深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルに入力することによって、PET画像再構成のための減弱マップを生成することであって、DCNNモデルが、入力データとしてのトレーニングPET由来減弱データおよびスペクトルCTプロトコルを使用して生成した対応するトレーニング減弱マップデータを使用することによってトレーニングされたものであることと、を含む、方法。
【0072】
(15)被検体のコンピュータ断層撮影(CT)画像データを受信し、受信したCT画像データを、減弱マップを出力するトレーニングされた深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルに入力することによって、ポジトロン放射断層撮影(PET)画像再構成のために減弱マップを生成し、DCNNモデルが、トレーニング入力画像データおよびスペクトルCT画像データからの対応するトレーニングデータを使用してトレーニングされるように構成された処理回路、を備える、装置。
【0073】
(16)処理回路が、CT画像データとして、単一エネルギーCT画像データを受信するようにさらに構成されている、(15)に記載の装置。
【0074】
(17)処理回路が、被検体のスキャンからPETデータを取得し、取得したPETデータおよび生成した減弱マップからPET画像を再構成するようにさらに構成されている、(15)または(16)のいずれかに記載の装置。
【0075】
(18)処理回路が、入力画像データからトレーニング減弱マップデータを取得するようにさらに構成されており、入力画像データが、スペクトルCTスキャンによって作成されたデータ、高速kVスイッチングデュアルエネルギーCTスキャンから取得したデータ、光子計数CT装置を使用したスキャンで取得したデータ、およびシミュレーションまたはデジタルファントムから取得したデータのうちの1つである、(15)~(17)のいずれかに記載の装置。
【0076】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、PET画像の減弱補正に使用する減弱マップの精度を向上させることができる。
【0077】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
8000 PET装置
9070 プロセッサ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6