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特開2024-98149有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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  • 特開-有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス 図1
  • 特開-有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス 図2
  • 特開-有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098149
(43)【公開日】2024-07-22
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/19 20230101AFI20240712BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240712BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240712BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240712BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20240712BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20240712BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20240712BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20240712BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240712BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H10K50/19
H10K85/60
H10K59/10
C07D401/04 CSP
C07D405/14
C07D409/14
C07D403/14
C07D413/14
C07D471/04 112
C09K11/06 690
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000702
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0002790
(32)【優先日】2023-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0184899
(32)【優先日】2023-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウン-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ミ-ラン
(72)【発明者】
【氏名】イム ヨン-ロク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ソ-ミ
(72)【発明者】
【氏名】ドミネア ラスウェル
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
4C065
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC12
3K107CC22
3K107DD52
3K107DD78
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB06
4C063CC43
4C063CC52
4C063CC76
4C063CC94
4C063DD08
4C063DD14
4C063DD43
4C063EE10
4C065AA04
4C065AA19
4C065BB09
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH05
4C065JJ01
4C065KK10
4C065LL10
4C065PP03
4C065PP06
4C065PP07
4C065PP08
4C065PP11
4C065PP18
4C065PP19
(57)【要約】
【課題】 有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【解決手段】 本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。本開示による有機エレクトロルミネセント化合物が特定の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる場合、有機エレクトロルミネセントデバイスは、低い駆動電圧及び/又は改良された寿命特性を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と第2の電極との間に配置され、且つ少なくとも1つの発光層を含む複数の発光部と、前記隣接する発光部間に配置された少なくとも1つのn型電荷発生層とを含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記n型電荷発生層は、トリアジニルキノリン誘導体化合物を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項2】
前記トリアジニルキノリン誘導体化合物は、以下の式1:
【化1】

(式1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
及びXは、それぞれ独立して、CRを表すか又は以下の式2によって表され、且つX及びXの1つは、以下の式2によって表されるが、但し、X及びXの両方が以下の式2によって表される場合は、除外されることを条件とし;
は、水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表し、
【化2】

式2中、
及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;及び
*は、式1に結合された炭素原子を表す)
によって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項3】
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル又はそれらの組合せから選択され、及び前記置換フェニル又は前記置換ナフチルは、重水素及び重水素で置換されたフェニルから選択される少なくとも1つで置換されており、
は、水素、重水素又は置換若しくは非置換フェニルであり、及び前記置換フェニルは、重水素で置換されている、請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項4】
及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ナフチレン、置換若しくは非置換ビフェニレン又はそれらの組合せから選択され、及び前記置換フェニレン、前記置換ナフチレン又は前記置換ビフェニレンは、重水素で置換されている、請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項5】
及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換m-テルフェニル、置換若しくは非置換o-テルフェニル、置換若しくは非置換ジメチルフルオレニル、置換若しくは非置換ジフェニルフルオレニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フェナントロリニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換クリセニル、置換若しくは非置換イソクリセニル、置換若しくは非置換ベンゾオキサゾリル、置換若しくは非置換カルバゾリル又はそれらの組合せから選択され、及び前記置換フェニル、前記置換ナフチル、前記置換ジベンゾフラニル、前記置換ジベンゾチオフェニル、前記置換ビフェニル、前記置換m-テルフェニル、前記置換o-テルフェニル、前記置換ジメチルフルオレニル、前記置換ジフェニルフルオレニル、前記置換フェナントレニル又は前記置換クリセニルは、重水素で置換されており、前記置換フェナントロリニルは、フェニル及びナフチルから選択される少なくとも1つで置換されており、及び前記置換アントラセニル、前記置換ベンゾオキサゾリル又は前記置換カルバゾリルは、フェニルで置換されている、請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項6】
式1によって表される前記化合物は、以下の化合物:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

(上記の化合物における「D」は、n個の水素が重水素によって置換されていることを意味し、nは、1~前記化合物中の水素の最大数である)
から選択される、請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項7】
以下の式3:
【化9】

(式3中、
~R16は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
但し、RもR10も置換又は非置換フルオレニルではないことを条件とする)
によって表される有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項8】
以下の化合物:
【化10】

【化11】

【化12】

(上記の化合物における「D」は、n個の水素が重水素によって置換されていることを意味し、nは、1~前記化合物中の水素の最大数である)
から選択される、請求項7に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項9】
以下の式4:
【化13】

(式4中、
29~R36は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
但し、R29もR30も置換又は非置換フルオレニルではないことを条件とする)
によって表される有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項10】
以下の化合物:
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

(上記の化合物における「D」は、n個の水素が重水素によって置換されていることを意味し、nは、1~前記化合物中の水素の最大数である)
から選択される、請求項9に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセントデバイスは、広い視角、高いコントラスト及び迅速な応答の利点を有する自己照明ディスプレイデバイスである。有機エレクトロルミネセントデバイスでは、電圧の印加により、アノードからの正孔と、カソードからの電子とが発光層に注入され、正孔と電子との再結合により、高エネルギーを有する励起子が生成される。このエネルギーは、有機発光化合物を励起状態にさせ、有機発光化合物の励起状態がその基底状態に戻るとき、エネルギーは、放射光として放出される。
【0003】
近年、フラットパネルディスプレイ及び汎用照明デバイスの可能性のため、新しい材料の開発が継続的に必要とされている。中型及び大型OLEDパネルによって必要とされる性能を改良するために、優れた高性能材料及びより望ましいデバイス構造を開発することが必要である。
【0004】
(特許文献1)は、カソードと発光層との間に提供される有機層材料としてトリアジン誘導体化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを開示している。
【0005】
(特許文献2)は、発光層とカソードとの間に提供される有機半導体層内において、フェニル誘導体で置換されたトリアジニルキノリン誘導体化合物を含む有機電子デバイスを開示している。
【0006】
(特許文献3)は、発光層、電子輸送補助層及び電子輸送層からなる群から選択される有機層材料として、フルオレニル誘導体で置換されたトリアジニルキノリン誘導体化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを開示している。
【0007】
しかしながら、前記文献は、複数の発光部間に位置するn型電荷発生層内において、本発明によるトリアジニルキノリン誘導体化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを具体的に開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許出願公開第10-2027030号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3670504A1号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第10-2021-0069866号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の目的は、第1に、低い駆動電圧及び/又は改良された寿命特性を示す有機エレクトロルミネセントデバイスを提供し得る有機エレクトロルミネセント化合物を提供することと、第2に、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含むことにより、低い駆動電圧及び/又は改良された寿命特性を示す有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することとである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的問題を解決するための徹底的な研究の結果として、本発明者らは、前述の目的が、第1の電極と第2の電極との間に配置され、且つ少なくとも1つの発光層を含む複数の発光部と、隣接する発光部間に配置された少なくとも1つのn型電荷発生層とを含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、n型電荷発生層がトリアジニルキノリン誘導体化合物を含む、有機エレクトロルミネセントデバイスによって達成され得ることを見出し、それにより本発明が完成した。
【0011】
発明の有利な効果
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスでの使用に好適な性能を示す。
【0012】
更に、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含み、それにより低い駆動電圧及び/又は改良された寿命特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセンス化合物の一例を示す。
図2】本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセンスデバイスの一例を示す。
図3】本開示の別の実施形態による有機エレクトロルミネセンスデバイスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の記載は、本開示を説明することを意図し、本開示の範囲を限定することを決して意味しない。
【0015】
本開示は、第1の電極と第2の電極との間に配置された少なくとも1つの発光部と、隣接する発光部間に配置された少なくとも1つのn型電荷発生層とを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0016】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、n型電荷発生層内にトリアジニルキノリン誘導体化合物を含む。
【0017】
本明細書では、本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスからなる任意の材料層に含まれ得る化合物を指す。
【0018】
本明細書では、本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ少なくとも1つの化合物を含み得る材料を指す。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成するいずれかの層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト材料及びドーパント材料を含む)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料などであり得る。
【0019】
本明細書では、用語「(C1~C30)アルキル(レン)」は、鎖を構成する1~30の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキルであることを意味し、炭素原子の数は、好ましくは、1~20、より好ましくは1~10である。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル等を挙げることができる。
【0020】
用語「(C3~C30)シクロアルキル(レン)」は、3~30の環骨格炭素原子、好ましくは3~20の環骨格炭素原子、より好ましくは3~7つの環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であることが意図される。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等を挙げることができる。
【0021】
本開示における用語「(C6~C30)アリール(レン)」は、6~30の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環式基又は縮合環基を指すことが意図され、環骨格炭素原子の数は、好ましくは、6~20、より好ましくは6~15である。上記のアリール(レン)は、部分飽和であり得、且つスピロ構造を含み得る。前記アリール(レン)の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンゾアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、アズレニル及びテトラメチル-ジヒドロフェナントレニルが挙げられる。より具体的には、前記アリールの例としては、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-t-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、o-ビフェニル、m-ビフェニル、p-ビフェニル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセン、4-クリセン、5-クリセン、6-クリセン、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセン、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[c]フルオレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-1-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-2-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-3-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-4-フェナントレニル等が挙げられる。
【0022】
本開示では、「(3~30員)ヘテロアリール(レン)」という用語は、B、N、O、S、Si、P、Se、Te及びGeからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、3~30の環骨格原子を有するアリール又はアリーレンである(環骨格原子の数は、好ましくは、3~30、より好ましくは5~20である)ことを意味することを意図する。ヘテロ原子の数は、好ましくは、1~4であり、単環又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合された縮合環であり得、部分的に飽和であり得る。加えて、上記ヘテロアリール又はヘテロアリーレンは、少なくとも1つのヘテロアリール基又はアリール基を、単結合を介してヘテロアリール基に結合させることによって形成されるものを含み、スピロ構造を含み得る。上記ヘテロアリールとしては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環型ヘテロアリール及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジベンゾセレノフェニル、ベンゾフロキノリニル、ベンゾフロキナゾリニル、ベンゾフロナフチリジニル、ベンゾフロピリミジニル、ナフトフロピリミジニル、ベンゾチエノキノリニル、ベンゾチエノキナゾリニル、ベンゾチエノナフチリジニル、ベンゾチエノピリミジニル、ナフトチエノピリミジニル、ピリミドインドリル、ベンゾピリミドインドリル、ベンゾフロピラジニル、ナフトフロピラジニル、ベンゾチエノピラジニル、ナフトチエノピラジニル、ピラジノジオール、ベンゾピラジノジオール、ベンゾピラジノジオール、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリジニル、シラフルオレニル、ゲルマフルオレニル、ベンゾトリアゾリル、フェナジニル、イミダゾピリジニル、クロメノキナゾリニル、チオクロメノキナゾリニル、ジメチルベンゾピリミジニル、インドロカルバゾリル、インデノカルバゾリル等の縮合環型ヘテロアリールを挙げることができる。より具体的には、ヘテロアリールとしては、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジジニル、2-インドリジジニル、3-インドリジジニル、5-インドリジジニル、6-インドリジジニル、7-インドリジジニル、8-インドリジジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル、5-キノリニル、6-キノリニル、7-キノリニル、8-キノリニル、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、4-イソキノリニル、5-イソキノリニル、6-イソキノリニル、7-イソキノリニル、8-イソキノリニル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾリル-1-イル、アザカルバゾリル-2-イル、アザカルバゾリル-3-イル、アザカルバゾリル-4-イル、アザカルバゾリル-5-イル、アザカルバゾリル-6-イル、アザカルバゾリル-7-イル、アザカルバゾリル-8-イル、アザカルバゾリル-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-フェナントロリニル、2-フェナントロリニル、3-フェナントロリニル、4-フェナントロリニル、6-フェナントロリニル、7-フェナントロリニル、8-フェナントロリニル、9-フェナントロリニル、10-フェナントロリニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、6-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、7-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、8-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、9-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、10-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、1-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、1-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、6-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、7-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、8-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、9-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、10-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、2-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、6-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、7-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、8-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、9-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、2-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、6-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、7-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、8-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、9-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、2-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、6-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、7-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、8-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、9-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、2-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、6-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、7-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、8-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、9-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、4-ゲルマフルオレニル、1-ジベンゾセレノフェニル、2-ジベンゾセレノフェニル、3-ジベンゾセレノフェニル、4-ジベンゾセレノフェニル等を挙げることができる。更に、「ヘテロアリール(レン)」は、電子特性を有するヘテロアリール(レン)と、正孔特性を有するヘテロアリール(レン)とに分類することができる。電子特性を有するヘテロアリール(レン)は、電子が母核中に比較的豊富である置換基であり、例えば置換又は非置換ピリジニル、置換又は非置換ピリミジニル、置換又は非置換トリアジニル、置換又は非置換キナゾリニル、置換又は非置換キノキサリニル、置換又は非置換キノリル等であり得る。正孔特性を有するヘテロアリール(レン)は、母核中に比較的不十分な電子を有する置換基であり得、例えば置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル又は置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニルであり得る。
【0023】
「(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環」という用語は、本開示では、3~30の環骨格炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族環(その中の炭素原子の数は、好ましくは、3~25、より好ましくは3~18である)と、6~30の骨格炭素原子を有する少なくとも1の芳香族環(その中の炭素原子の数は、好ましくは、6~25、より好ましくは6~18である)とを縮合させた環の官能基を意味する。例えば、1つ以上のベンゼンと1つ以上のシクロヘキサンとの縮合環又は1つ以上のナフタレンと1つ以上のシクロペンタンとの縮合環などが挙げられる。本明細書では、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環の炭素原子は、B、N、O、S、Si及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子、好ましくはN、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子で置換され得る。本明細書では、「ハロゲン」という用語には、F、Cl、Br及びIが含まれる。
【0024】
加えて、「オルト(o-)」、「メタ(m-)」及び「パラ(p-)」は、それぞれ置換基の相対位置を表す接頭辞である。オルトは、2つの置換基が互いに隣接することを表し、例えばベンゼン誘導体の2つの置換基が位置1及び2を占有するとき、それは、オルト位と呼ばれる。メタは、2つの置換基が1位及び3位にあることを表し、例えばベンゼン誘導体の2つの置換基が位置1及び3を占有するとき、それは、メタ位と呼ばれる。パラは、2つの置換基が1位及び4位にあることを表し、例えばベンゼン誘導体の2つの置換基が位置1及び4を占有するとき、それは、パラ位と呼ばれる。
【0025】
本明細書では、「隣接する置換基に連結して形成される環」とは、2つ以上の隣接する置換基を連結又は縮合することにより縮合された置換若しくは非置換(3~50員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環又はこれらの組合せ、好ましくは置換若しくは非置換(5~40員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環又はこれらの組合せを意味する。更に、形成された環は、B、N、O、S、Si及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくはN、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。本開示の1つの実施形態では、環骨格原子の数は、5~35であり得るが、本開示の別の実施形態では、環骨格原子の数は、5~30であり得る。一実施形態では、縮合環は、例えば、置換若しくは非置換フルオレン環、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェン環、置換若しくは非置換ジベンゾフラン環、置換若しくは非置換ナフタレン、ナフタリン環、置換若しくは非置換フェナントレン環、置換若しくは非置換ベンゾフルオレン環、置換若しくは非置換ベンゾチオフェン環、置換若しくは非置換ベンゾフラン環、置換若しくは非置換インドール環、置換若しくは非置換インデン環、置換若しくは非置換ベンゼン環又は置換若しくは非置換カルバゾール環等である。
【0026】
加えて、本明細書における「置換又は非置換」の記載では、用語「置換」は、別の原子又は別の官能基(すなわち置換基)で置換されている官能基中の水素原子を意味する。特に断りがない限り、置換基は、置換基が置換され得る位置の水素に限定され得ず、官能基中2つ以上の水素原子がそれぞれ置換基で置換されている場合、置換基は、互いに同じであるか又は異なり得る。特定の官能基で置換され得る置換基の最大数は、官能基を形成する各原子で置換され得る置換基の総数であり得る。好ましくは、本開示の式における置換アルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換シクロアルキル、置換アルコキシ、置換トリアルキルシリル、置換ジアルキルアリールシリル、置換アルキルジアリールシリル、置換トリアリールシリル、脂肪族環と芳香族環との置換縮合環、置換モノ-若しくはジ-アルキルアミノ、置換モノ-若しくはジ-アリールアミノ、置換アルキルアリールアミノ、置換モノ-若しくはジ-ヘテロアリールアミノ及び置換アリールヘテロアリールアミノは、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換の若しくは(C6~C30)アリールで置換された(5~30員)ヘテロアリール、非置換の若しくは(5~30員)ヘテロアリールで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルアリール、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは非置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、モノ-若しくはジ-(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C1~C30)アルキル(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C6~C30)アリール(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、(C6~C30)アリールホスフィニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アル(C1~C30)アルキル及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つで置換されている。例えば、置換基は、置換若しくは非置換メチル、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換ジフェニルフルオレニル、置換若しくは非置換ジメチルフルオレニル、置換若しくは非置換ピリジニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル又は置換若しくは非置換カルバゾリル等であり得る。
【0027】
置換基が化学式又は化合物構造に示されていない場合、それは、置換基として存在し得る全ての位置が水素又は重水素であることを意味し得る。すなわち、重水素の場合、それは、水素の同位元素であり、いくつかの水素原子は、同位元素の重水素であり得、この場合、重水素の含有量は、0%~100%であり得る。置換基が化学式又は化合物構造に示されていない場合、重水素が明示的に除外されないとき、水素と重水素とを化合物中で混合して使用することができ、例えば重水素の含有量が0%であるとき、水素の含有量が100%であり、全ての置換基が水素である。重水素は、原子核として1つの陽子及び1つの中性子から構成される重陽子を有する元素であり、水素の同位体の1つであり、水素-2によって表すことができ、元素記号は、D又は2Hであり得る。同位体は、同じ原子番号(Z)を有するが、異なる質量数(A)を有する同位体は、同じ数の陽子及び中性子の数も、異なる番号を有する元素として解釈され得ることを意味する。
【0028】
本明細書では、「それらの組合せ」は、対応するリストの1つ以上の構成要素を組み合わせて、当業者が、対応するリストから考えることができる公知の又は化学的に安定な形態を形成することを意味する。例えば、アルキルと重水素とを組み合せて、部分的に若しくは完全に重水素化されたアルキル基を形成することができ、ハロゲンとアルキルとを組み合せて、ハロゲン化アルキル置換基を形成することができ、ハロゲンと、アルキルと、アリールとを組み合せて、ハロゲン化アリールアルキルを形成することができる。例えば、置換基の好ましい組合せは、水素及び重水素を除く50までの原子を含み得るか、又は水素及び重水素を除く40までの原子を含み得るか、又は水素及び重水素を除く30までの原子を含み得るか、又は多くの場合、置換基の好ましい組合せは、水素及び重水素を除く20までの原子を含み得る。
【0029】
本開示の式では、複数の置換基が同じ記号によって示されるとき、同じ記号によって表されるこれらの置換基の各々は、同一であるか又は互いに異なり得る。
【0030】
同じ図面の符号は、同じ構成要素を意味する。更に、図面では、構成要素の厚み、比率及び寸法は、技術内容を効果的に説明するために誇張され得るが、これは、技術内容を変更するものではない。
【0031】
以下では、有機エレクトロルミネセント化合物が一実施形態に従って説明される。
【0032】
本開示の一実施形態によれば、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物である。
【化1】

式1において、
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
及びXは、それぞれ独立して、CRを表すか又は以下の式2によって表され、且つX及びXの1つは、以下の式2によって表されるが、但し、X及びXの両方が以下の式2によって表される場合は、除外されることを条件とし;及び
は、水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表す。
【化2】

式2において、
及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキレンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;及び
*は、式1に結合された炭素原子を表す。
【0033】
一実施形態では、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、好ましくは水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、より好ましくは、水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C18)アリールであり得る。例えば、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換フェニル又は置換若しくは非置換ナフチルであり得、及び置換フェニル又は置換ナフチルは、重水素及び重水素で置換されたフェニルから選択される少なくとも1つで置換され得る。
【0034】
一実施形態では、L及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは単結合、置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレン又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリーレン、より好ましくは単結合、置換若しくは非置換(C6~C18)アリーレン又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリーレンであり得る。例えば、L及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ナフチレン又は置換若しくは非置換ビフェニレンであり得、及び置換フェニレン、置換ナフチレン又は置換ビフェニルは、重水素で置換され得る。
【0035】
一実施形態では、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、好ましくは置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換m-テルフェニル、置換若しくは非置換o-テルフェニル、置換若しくは非置換ジメチルフルオレニル、置換若しくは非置換ジフェニルフルオレニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フェナントロリニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換クリセニル、置換若しくは非置換イソクリセニル、置換若しくは非置換ベンゾオキサゾリル又は置換若しくは非置換カルバゾリルであり得る。置換フェニル、置換ナフチル、置換ジベンゾフラニル、置換ジベンゾチオフェニル、置換ビフェニル、置換m-テルフェニル、置換o-テルフェニル、置換ジメチルフルオレニル、置換ジフェニルフルオレニル、置換フェナントレニル又は置換クリセニルは、重水素で置換され得、置換フェナントロリニルは、フェニル及びナフチルから選択される少なくとも1つで置換され得、及び置換アントラセニル、置換ベンゾオキサゾリル又は置換カルバゾリルは、フェニルで置換され得る。
【0036】
一実施形態では、Rは、水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、好ましくは水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリール、より好ましくは水素、重水素又は置換若しくは非置換(C6~C18)アリールであり得る。例えば、Rは、水素、重水素又は置換若しくは非置換フェニルであり得、及び置換フェニルは、重水素で置換され得る。
【0037】
一実施形態によれば、上記の式1によって表される化合物は、以下の式3によって表され得る。
【化3】

式3において、
~R16は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
但し、RもR10も置換又は非置換フルオレニルではないことを条件とする。
【0038】
一実施形態では、R~R16は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、好ましくは置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、R~R16は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フェナントロリニル、置換若しくは非置換クリセニル又は置換若しくは非置換ベンゾオキサゾリルであり得る。置換フェニル、置換ナフチル、置換ジベンゾフラニル、置換ジベンゾチオフェニル、置換フェナントレニル又は置換クリセニルは、重水素で置換され得、及び置換アントラセニル、置換フェナントロリニル又は置換ベンゾオキサゾリルは、フェニルで置換され得る。
【0039】
一実施形態では、R~R16の少なくとも1つは、置換若しくは非置換(C10~C30)縮合環系アリール又は置換若しくは非置換(10~30員)縮合環系ヘテロアリール、好ましくは置換若しくは非置換(C10~C25)縮合環系アリール又は置換若しくは非置換(10~25員)縮合環系ヘテロアリール、より好ましくは置換若しくは非置換(C10~C22)縮合環系アリール又は置換若しくは非置換(10~22員)縮合環系ヘテロアリールであり得る。例えば、R~R16の少なくとも1つは、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換クリセニル又は置換若しくは非置換ベンゾオキサゾリル及び置換ナフチルであり得、置換ジベンゾフラニル、置換フェナントレニル又は置換クリセニルは、重水素で置換され得、及び置換アントラセニル又は置換ベンゾオキサゾリルは、フェニルで置換され得る。
【0040】
一実施形態によれば、上記の式1によって表される化合物は、以下の式4によって表され得る。
【化4】

式4において、
29~R36は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表し;
但し、R29もR30も置換又は非置換フルオレニルではないことを条件とする。
【0041】
一実施形態では、R29~R36は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、好ましくは水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(3~25員)ヘテロアリール、より好ましくは水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は置換若しくは非置換(3~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、R29~R36は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フェナントロリニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換イソクリセニル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換m-テルフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル又は置換若しくは非置換カルバゾリルであり得る。置換フェニル、置換ナフチル、置換フェナントレニル、置換ビフェニル、置換ジベンゾフラニル又は置換ジベンゾチオフェニルは、重水素で置換され得、置換ナフチル又は置換フェナントロリニルは、フェニルで置換され得、及びフェニルで置換されたナフチルは、重水素で置換され得る。
【0042】
一実施形態によれば、化学式1によって表される化合物は、以下の化合物によってより具体的に例示され得るが、これらに限定されない。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

化合物C-79~C-96において、「D」は、n個の水素が重水素によって置換されていることを意味し、nは、1~化合物中の水素の最大数である。
【0043】
本開示による式1によって表されるトリアジニルキノリン誘導体化合物は、限定されないが、以下の反応スキーム1及び2に示されるように調製され得、当業者に公知の合成方法によっても調製され得る。
[反応スキーム1]
【化11】

[反応スキーム2]
【化12】

反応スキーム1及び2において、Rの定義は、式1のR~Rの定義と同じであり、oは、0~6の整数であり、R、R、L及びLの定義は、式1における定義と同じである。
【0044】
式1によって表される化合物の例示的な合成例が上に記載されているが、当業者は、それらの全てがバックワルド・ハートウィグクロスカップリング反応、N-アリール化反応、H-mont媒介エーテル化反応、宮浦ホウ素化反応、鈴木クロスカップリング反応、ウィッティヒ反応、分子内酸誘起環化反応、Pd(II)触媒酸化的環化反応、グリニャール反応、ヘック反応、脱水閉環反応、SN1置換反応、SN2置換反応、ホスフィン媒介還元的環化反応などに基づくことを容易に理解できるであろう。具体的な合成例で明記されている置換基以外の、式1で定義される他の置換基が結合している場合でも、上記の反応が進行することを容易に理解できるであろう。
【0045】
別の実施形態によれば、本開示は、式1によって表される化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料を適用する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【0046】
図2及び図3は、それぞれ一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスの一例を示す。
【0047】
本明細書では、「第1」及び「第2」等は、複数の発光部内に含有される各層を意味するために便宜上加えられる。共通の機能性を説明するために、「第1」及び「第2」等の表現を省くことができる。
【0048】
以下では、上述した有機エレクトロルミネセント材料を適用する有機エレクトロルミネセントデバイスを、図面を参照して説明する。
【0049】
一実施形態によれば、トリアジニルキノリン誘導体化合物を含む有機エレクトロルミネセンスデバイスが提供される。具体的には、本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセンスデバイスは、第1の電極と第2の電極との間に配置され、且つ少なくとも1つの発光層を含む複数の発光部と、隣接する発光部間に位置する少なくとも1つのn型電荷発生層とを含み、n型電荷発生層は、トリアジニルキノリン誘導体化合物を含む。n型電荷発生層は、金属で更にドープされ得、本開示によるトリアジニルキノリン誘導体化合物は、金属を固定する錯体を形成することができる。更に、本開示のトリアジニルキノリン誘導体化合物は、金属を有効に固定する2座構造を有することができる。
【0050】
図2に示すように、一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイス10は、第1の電極110と、第1の電極110に対向する第2の電極410と、第1の電極110と第2の電極410との間に位置する複数の発光部200、300と、隣接する発光部200、300間に位置する少なくとも1つの電荷発生層500とを含む。発光部200、300は、少なくとも1つの発光層240、340を含み、電荷発生層500は、N型電荷発生層510及びP型電荷発生層520を含む。この場合、n型電荷発生層510は、式1によって表される化合物を含む。
【0051】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる発光部は、少なくとも2つであり、電荷発生層は、隣接する発光部間に位置することができ、より多い発光部を加えることを可能にする。
【0052】
一実施形態によれば、各々の発光部200、300は、正孔輸送層220、320、発光層240、340及び電子輸送層260、360を含む。具体的には、第1の発光部200は、第1の正孔輸送層220、第1の発光層240及び第1の電子輸送層260を含むことができ、第2の発光部300は、第2の正孔輸送層320、第2の発光層340及び第2の電子輸送層360を含むことができる。更に、第1の発光部200は、正孔注入層210を更に含むことができ、第2の発光部300は、電子注入層370を更に含むことができる。
【0053】
発光層240、340は、ホストとドーパントとを含む発光層であり、単一の層であるか又は2つ以上の層が積み重ねられた複数の層であり得る。この場合、ホストは、主に、電子と正孔との再結合を促進すると共に、励起子を発光層に閉じ込める機能を有し、ドーパントは、再結合によって得られる励起子を効率的に放出させる機能を有する。発光層240、340中のドーパント化合物は、全体としてホスト化合物及びドーパント化合物に対して25重量%未満、好ましくは17重量%未満、より好ましくは10%未満でドープされ得る。
【0054】
一実施形態によれば、電荷発生層500は、第1の発光部200に隣接して位置し、第1の発光部200に電子を供給するn型電荷発生層510と、第2の発光部300に隣接して位置し、第2の発光部300に正孔を供給するp型電荷発生層520とを含む。
【0055】
n型電荷発生層510は、式1によって表される化合物を含む。式1によって表される化合物は、深いエネルギー準位を有すると同時に、金属に対する優れた結合能力を有する。したがって、上記の式1によって表される化合物がn型電荷発生層材料として有機エレクトロルミネセントデバイスに適用される場合、発光部内への電子注入の量は、p型電荷発生層から電子を急速に受け取ることによって改良され得、n型電荷発生層510でドープされたアルカリ金属の、p型電荷発生層520内への拡散の現象を最小限度に抑えることができる。
【0056】
一実施形態によれば、n型電荷発生層510は、n型電荷発生層への電子注入特性を向上させるために、n型ドーパントを更に含むことができる。例えば、使用可能なn型ドーパントは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr等のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等のアルカリ土類金属又は当技術分野で一般的であるこのような金属を含む1つ以上の錯体化合物を更に含むことができる。n型電荷発生層510では、ドーパントのドーピング濃度は、式1の化合物の0.5%~10%であり得る。
【0057】
p型電荷発生層520は、正孔注入層としても用いられ得、正孔注入層材料のみを含み得るか、又は正孔注入層材料と正孔輸送材料との混合物を一緒に含み得る。
【0058】
本開示は、発光層240、340及びn型電荷発生層510の少なくとも1つの層に重水素化化合物を含むことができる。具体的には、発光部200、300に含まれる少なくとも1つのn型電荷発生層510は、式1によって表される重水素化化合物を含む。
【0059】
第1の電極110及び第2の電極410の一方は、アノードであり得、他方は、カソードであり得る。この場合、第1の電極110及び第2の電極410は、それぞれ透明な導電材料から形成されるか又は半透明若しくは反射導電材料から形成され得る。第1の電極110及び第2の電極410を形成する材料の種類に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスは、前面発光型、背面発光型又は両面発光型であり得る。
【0060】
図3を参照すると、一実施形態による発光部200、300は、発光層240、340と電子輸送層260、360との間に正孔阻止層250、350を更に含むことができる。
【0061】
正孔阻止層250、350は、正孔がカソードに到達することを防止することで、発光層における電子及び正孔の再結合確率を向上させることができる層である。正孔阻止層250、350又は電子輸送層260、360に複数の層を使用することができ、各層に複数の化合物を使用することができる。加えて、電子注入層370は、n型ドーパントでドープされ得る。
【0062】
正孔注入層210は、アノードから正孔輸送層220、230又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を低下させる目的で複数の層を有することができ、各層は、同時に使用される2つの化合物を有することができる。加えて、正孔注入層210にp型ドーパントをドープし得る。示されていないが、電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層240、340との間に位置することができ、発光層からの電子のオーバーフローを阻止し、発光層内に励起子をトラップして発光漏れを防止する。正孔輸送層220、230、320、330又は電子阻止層に複数の層を使用することができ、各層に複数の化合物を使用することができる。有機エレクトロルミネセントデバイスが2層超の正孔輸送層を含む場合、追加の正孔輸送層を正孔補助層又は電子阻止層として使用することができる。
【0063】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノードと発光層との間又はカソードと発光層との間に位置する発光補助層を含むことができる。発光補助層がアノードと発光層との間に位置する場合、それを用いて正孔の注入及び/又は移動を促進するか又は電子のオーバーフローを阻止することができ、発光補助層がカソードと発光層との間に位置する場合、それを用いて電子の注入及び/又は移動を促進するか又は正孔のオーバーフローを阻止することができる。更に、一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に位置する正孔補助層を更に含むことができる。正孔補助層は、正孔移動速度(又は注入速度)を平準化するか又は妨げる効果を有することができ、それにより電荷平衡を調節することができる。
【0064】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスでは、カルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの内面層(以下では「表面層」と称される)は、好ましくは、電極の対の少なくとも一方の内面に配置され得る。具体的には、ケイ素及びアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層をエレクトロルミネセント媒体層のアノード表面の上に配置するのが好ましく、ハロゲン化金属層又は金属酸化物層を発光媒体層のカソード表面の上に配置するのが好ましい。有機エレクトロルミネセントデバイスにおける動作安定性は、表面層によって得ることができる。カルコゲナイドの好ましい例としては、SiOX(1≦X≦2)、AlOX(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等が挙げられる。金属ハロゲン化物の好ましい例としては、LiF、MgF2、CaF2、希土類金属フッ化物等が挙げられ、金属酸化物の好ましい例としては、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。
【0065】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、発光層240、340中に1つ以上のドーパントを更に含み得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントとして、1つ以上の燐光又は蛍光ドーパントを使用することができる。
【0066】
以下の式100によって表される化合物を本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントとして使用できるが、それらに限定されない。
【化13】

式100において、
Lは、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンであり;
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香環との置換若しくは非置換縮合環又は-L-N(Ar13)(Ar14)を表すか;或いはAr及びArは、互いに連結されて環を形成し得;
nは、0~2の整数であり、nが0である場合、Arは、以下の式100-1によって表され、nが2である場合、
【化14】

は、互いに同じであるか又は異なり得;及び
Arは、以下の式100-1~100-5のいずれか1つによって表される。
【化15】

式100-1~100-5において、
は、Bを表し;
及びXは、それぞれ独立して、NR’、O又はSを表し;
W及びZは、それぞれ独立して、O、S、NR’又はCR2728を表し;
R’は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環又は-L-N(Ar13)(Ar14)を表し、R’は、環C、環D及び環Eの1つ以上に直接連結され得るか、又は連結基としてのB、O、S若しくはCR2728と連結されて環を形成し得;
環C、環D及び環Eは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~50員)ヘテロアリールを表し;環D及び環Eは、互いに直接連結され得るか、又は連結基としてのB、O、S若しくはCR2728と連結されて環を形成し得;
11~R14、R17、R18及びR21~R26は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環又は-L-N(Ar13)(Ar14)から選択され;
15、R16、R19、R20、R27及びR28は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールであり、R15及びR16、R19及びR20並びにR27及びR28の少なくとも1つは、互いに縮合されてスピロ構造を形成し得;
は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレン、置換若しくは非置換二価の(C2~C30)脂肪族炭化水素基又は(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との二価の縮合環であり;
Ar13及びAr14は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールであり;
a、c、h及びiは、それぞれ独立して、1又は2の整数であり、b及びdは、それぞれ独立して、1~3の整数であり、f、k及びlは、それぞれ独立して、1~6の整数であり、e、g及びjは、それぞれ独立して、1~4の整数であり;
a~lが2以上である場合、R11~R14、R17、R18及びR21~R26のそれぞれは、互いに同じであるか又は異なり得;及び
環C、環D、環E並びにR11~R14、R17、R18及びR21~R26は、式100のLに連結されている位置を有することができる。
【0067】
真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンめっき等の乾式成膜法又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、浸漬コーティング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれか1つによって第1の電極110又は第2の電極410を基材上に形成し、その後、発光部200、300を形成する。その後、電荷発生層500及び第2の電極410又は第1の電極110をその上に形成して本開示の有機エレクトロルミネセントデバイス10、20を形成する。
【0068】
湿式成膜法について、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどの適した溶剤中に溶解又は分散させて薄膜を形成し、これは、各層を形成する材料を溶解又は分散させることができ、且つ薄膜性に関して問題がない任意の溶剤であり得る。
【0069】
一実施形態によれば、本開示は、式1によって表される化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを使用する、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、PC、TV若しくは車両のためのディスプレイデバイスなどのディスプレイデバイス又は屋外若しくは屋内照明デバイスなどの照明デバイスの製造を可能にする。
【0070】
以下では、本開示の詳細な理解のために、本開示による化合物の調製方法は、実施例として本開示の代表的な化合物又は中間化合物の合成方法を使用して説明される。
【実施例0071】
実施例1:化合物C-1の合成
【化16】

ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)(「NiCl(PPh」)(11.7g、21.6mmol)、Zn(10.3g、158mmol)及び臭化テトラブチルアンモニウム(「TBAB」)(19.3g、60.0mmol)を400mLのテトラヒドロフラン(「THF」)に添加し、撹拌した。30分後、2-ブロモキノリン(6.24g、30mmol)及び2,4-ジフェニル-6-クロロ-1,3,5-トリアジン(8.0g、30mmol)を添加し、還流させながら撹拌した。17時間後、それを室温に冷却し、セライトを通して濾過し、クロロホルム/エチルアセテート(「クロロホルム/EA」)を使用してカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-1(4.2g、収率:39%)を得た。
【0072】
【表1】
【0073】
実施例2:化合物C-2の合成
【化17】

キノリニル-8-ボロン酸(14g、48mmol)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(11g、40mmol)、PdCl(amphos)(2.8g、4.0mmol)、NaCO(8.5g、80mmol)及びAliquot336(1.6g、4.0mmol)を210mLのトルエン、70mLのHOに添加し、還流させながら撹拌した。18時間後、それを室温に冷却し、セライトを通して濾過し、塩化メチレン/テトラヒドロフラン(「MC/THF」)を使用してカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-2(10g、収率:69%)を得た。
【0074】
【表2】
【0075】
実施例3:化合物C-75の合成
【化18】

キノリニル-8-ボロン酸(6.9g、24mmol)、2-クロロ-4-(フェナントレン-1-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(「2-クロロ-4-(フェナントレン-1-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン」)(7.3g、20mmol)、PdCl(amphos)(1.4g、2.0mmol)、NaCO(4.2g、40mmol)及びAliquot336(0.81g、2.0mmol)を300mLのトルエン及び100mLのHOに添加し、還流させながら撹拌した。18時間後、それを室温に冷却し、セライトを通して濾過し、カジクロロメタン/ヘキサン(「DCM/ヘキサン」)を使用してカラムクロマトグラフィーによって分離して、化合物C-75を(7.0g、収率:76%)を得た。
【0076】
【表3】
【0077】
実施例4:化合物C-97の合成
【化19】

5-クロロ-8-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)キノリン(7.9g、20mmol)、(4-フェニルナフタレン-1-イル)ボロン酸(5.0g、20mmol)、Pd(dba)(0.2g、0.2mmol)、x-phos(0.2g、0.4mmol)及びKOH(1.8g、40mmol)を250mLのトルエン、100mLのテトラヒドロフラン及び50mLのHOに添加し、70℃で撹拌した。18時間後、それを室温に冷却し、セライトを通して濾過し、トルエン/EtOHを使用してカラムクロマトグラフィーによって分離して、化合物C-97(6.2g、収率:55%)を得た。
【0078】
【表4】
【0079】
実施例5:化合物C-77の合成
【化20】

キノリニル-8-ボロン酸(5.2g、18mmol)、2-クロロ-4-(ジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)-6-(5-フェニルナフタレン-1-イル)-1,3,5-トリアジン(7.3g、15mmol)、PdCl(amphios)(1.1g、1.5mmol)、NaCO(3.2g、30mmol)及びAliquot336(0.61g、1.5mmol)をトルエン105mL、HO35mLに添加し、還流させながら撹拌した。18時間後、それを室温に冷却し、セライトを通して濾過し、ジクロロメタンを使用してカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-77(7.5g、収率:87%)を得た。
【0080】
【表5】
【0081】
実施例6:化合物C-99の合成
【化21】

2-(3-(4-クロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)-9-フェニル-1,10-フェナントロリン(16.3g、31.22mmol)、キノリニル-8-ボロン酸(6.5g、37.47mmol)、PdCl(amphos)(2.2g、3.12mmol)、Aliquot336(1.3g、3.12mmol)及びNaCO(6.6g、62.44mmol)を210mLのトルエン、70mLのHOに溶解し、130℃で還流させながら撹拌した。2時間後、固体の生じた反応生成物を室温に冷却し、シリカを通して濾過し、再結晶化して化合物C-99(6.1g、収率:31.93%)を得た。
【0082】
【表6】
【0083】
本開示の詳細な理解のために、前述の有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの調製方法及びその特性を説明する。
【0084】
デバイス実施例1~6:本開示による化合物を電荷発生層として蒸着させたOLEDの作製
本開示によるOLEDを作製した。最初に、OLEDのためのガラス基板上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)(ジオマテック株式会社、日本)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコールでの超音波洗浄にかけ、次いでイソプロピルアルコール中に保存した。ITO基板は、真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置の1つのセルに入れ、化合物HT-1を別のセルに入れた。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、化合物HI-1を、化合物HI-1及び化合物HT-1の総量を基準として7重量%のドーピング量で蒸着させて、5nmの厚さの正孔注入層を形成した。その後、化合物HT-1を正孔注入層上に蒸着させて、30nmの厚さの第1の正孔輸送層を形成した。次に、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流すことによって蒸発させ、それにより第1の正孔輸送層上に5nmの厚さの第2の正孔輸送層を蒸着させた。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、第1の発光層を以下の通りその上に蒸着させた。真空蒸着装置のセルにホストとして化合物H-1を入れ、別のセルにドーパントとして化合物D-1を入れた後、2つの物質を異なる速度で蒸発させて、ホスト及びドーパントの総量に対して2重量%の量でドーパントをドープして、第2の正孔輸送層上に20nmの厚さの第1の発光層を形成した。次に、5nmの化合物ET-1を第1の発光層上の第1の正孔阻止層材料として蒸着した。次いで、電子輸送層材料として化合物ET-2:EI-1を1の重量比でドープすることによって厚さ25nmの第1の電子輸送層を蒸着した。その後、以下の表1の化合物上にLiを1重量%蒸着して10nmのn型電荷発生層を形成した。次いで、化合物HI-1を化合物HI-1及び化合物HT-1の総量に対して15重量%の量でドープすることによって10nmの厚さのp型電荷発生層を蒸着した。次に、30nmの化合物HT-1を蒸着して第3の正孔輸送層を形成し、その後、5nmの化合物HT-2を蒸着して第4の正孔輸送層を形成した。次に、以下のようにして第2の発光層を蒸着した。ホストとして化合物H-1を及びドーパントとして化合物D-1を真空蒸着装置内のセルに加えた後、2つの物質を異なる速度で蒸発させて、ホスト及びドーパントの総量に対して2重量%の量でドーパントをドープして20nmの厚さの第2の発光層を第4の正孔輸送層上に形成した。第2の発光層上に、5nmの化合物ET-1を第2の正孔阻止層材料として蒸着し、次に化合物ET-2及びEI-1をそれぞれ第2の電子輸送層材料として真空蒸着装置内の2つのセルに加え、次に2つの材料を2:1の重量比で25nmの厚さに蒸着した。次に、第2の電子輸送層上に電子注入層としてYbを1nmの厚さで蒸着した後、別の真空蒸着装置を用いて電子注入層上にAlカソードを80nmの厚さに蒸着した。こうして、OLEDを作製した。全ての材料に使用した各化合物は、10-6トールで真空昇華することにより精製した。
【0085】
デバイス比較例1:従来の化合物を電荷発生層として蒸着させたOLEDの作製
n型電荷発生層材料として以下の表1の化合物を使用すること以外、デバイス実施例1におけるのと同じ方法でOLEDを作製した。
【0086】
上記の通り製造されたデバイス実施例1~6及びデバイス比較例1による有機エレクトロルミネセントデバイスの、1,000ニットの輝度における駆動電圧、発光効率及び駆動電圧の漸進的変化の量(ΔV)をそれぞれ測定し、それらの結果を以下の表1に示す。
【0087】
【表7】
【0088】
表1より、n型電荷発生層に本開示による化合物を含有する有機エレクトロルミネセントデバイスは、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較してかなり改良された発光効率及び/又は寿命を有することを見ることができる。
【0089】
デバイス実施例1~6及びデバイス比較例1に使用した化合物を以下の表2に示す。
【0090】
【表8】
【0091】
デバイス実施例7及び8:本開示による化合物を電荷発生層として蒸着させたOLEDの作製
本開示によるOLEDを作製した。最初に、OLEDのためのガラス基板上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)(ジオマテック株式会社、日本)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコールでの超音波洗浄にかけ、次いでイソプロピルアルコール中に保存した。ITO基板は、真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置の1つのセルに入れ、化合物HT-3を別のセルに入れた。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、化合物HI-1を、化合物HI-1及び化合物HT-3の総量を基準として3重量%のドーピング量で蒸着させて、5nmの厚さの正孔注入層を形成した。その後、化合物HT-1を正孔注入層上に蒸着させて、30nmの厚さの第1の正孔輸送層を形成した。次に、化合物HT-4を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流すことによって蒸発させ、それにより第1の正孔輸送層上に5nmの厚さの第2の正孔輸送層を蒸着させた。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、第1の発光層を以下の通りその上に蒸着させた。
【0092】
真空蒸着装置のセルにホストとして化合物H-1を入れ、別のセルにドーパントとして化合物D-1を入れた後、2つの物質を異なる速度で蒸発させて、ホスト及びドーパントの総量に対して2重量%の量でドーパントをドープして、第2の正孔輸送層上に20nmの厚さの第1の発光層を形成した。次に、5nmの化合物ET-1を第1の発光層上の第1の正孔阻止層材料として蒸着した。
【0093】
次に、電子輸送層材料として化合物ET-3を1の重量比で蒸着させることによって10nmの厚さの第1の電子輸送層を形成した。その後、以下の表4に示す化合物上にLiを0.5重量%蒸着させて4nmのn型電荷発生層を形成した。次に、化合物HI-1及び化合物HT-1の総量に対して6重量%の量で化合物HI-1をドープすることによって10nmの厚さのp型電荷発生層を蒸着した。
【0094】
次に、30nmの化合物HT-1を蒸着して第3の正孔輸送層を形成し、その後、5nmの化合物HT-2を蒸着して第4の正孔輸送層を形成した。次に、以下のようにして第2の発光層を蒸着した:真空蒸着装置のセルにホストとして化合物H-1及びドーパントとして化合物D-1を加えた後、2つの物質を異なる速度で蒸発させて、ホスト及びドーパントの総量に対して2重量%の量でドーパントをドープして20nmの厚さの第2の発光層を第4の正孔輸送層上に形成した。第2の発光層上に、第2の正孔阻止層材料として5nmの化合物ET-1を蒸着し、次に第2の電子輸送層材料として化合物ET-2及びEI-1をそれぞれ真空蒸着装置の2つセルに加え、次に2つの材料を2:1の重量比で25nmの厚さに蒸着した。次に、第2の電子輸送層上に電子注入層としてYbを1nmの厚さで蒸着した後、別の真空蒸着装置を用いて電子注入層上にAlカソードを80nmの厚さに蒸着した。こうして、OLEDを作製した。全ての材料に使用した各化合物は、10-6トールで真空昇華することにより精製した。
【0095】
デバイス比較例2:従来の化合物を電荷発生層として蒸着させたOLEDの作製
n型電荷発生層材料として以下の表3の化合物を使用すること以外、OLEDをデバイス実施例7におけるのと同じ方法で作製した。
【0096】
以上のように作製したデバイス実施例7及び8並びにデバイス比較例2の有機エレクトロルミネセントデバイスについて、輝度1,000nitで駆動電圧、輝度が100%から95%に低下するのにかかる時間(寿命;T95)及び駆動電圧の漸進的変化の量(ΔV)をそれぞれ測定し、その結果を以下の表3に示す。
【0097】
【表9】
【0098】
表3より、n型電荷発生層に本開示による化合物を含有する有機エレクトロルミネセントデバイスは、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較してかなり改良された寿命を有することを見ることができる。
【0099】
デバイス実施例7、8及び比較例2に使用した化合物を以下の表4に示す。
【0100】
【表10】
【符号の説明】
【0101】
10、20 有機エレクトロルミネセントデバイス
110 第1の電極
200、300 発光部
210 正孔注入層
220、230、320、330 正孔輸送層
240、340 発光層
250、350 正孔阻止層
260、360 電子輸送層
370 電子注入層
410 第2の電極
500 電荷発生層
510 n型電荷発生層
520 p型電荷発生層
図1
図2
図3
【外国語明細書】