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  • 特開-アキシチニブを含有する医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009815
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】アキシチニブを含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20240116BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20240116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20240116BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/12
A61K9/36
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023155628
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2021566009の分割
【原出願日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】19173671.9
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516053888
【氏名又は名称】シントン・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】SYNTHON B.V.
【住所又は居所原語表記】Microweg 22, NL-6545 CM Nijmegen, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・ガゴ・ギラン
(72)【発明者】
【氏名】ロヒト・クマール
(72)【発明者】
【氏名】リザルド・アルバレス・フェルナンデス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アキシチニブを含有する即放性錠剤組成物を提供する。
【解決手段】形態IVのアキシチニブ及び1種以上の薬学的に許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物であって、前記形態IVのアキシチニブは、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含むXRPDパターンを特徴とし、前記組成物は、アキシチニブ、賦形剤及び前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して20~30w/w%の結合剤を含む粒子内層を有し、前記結合剤は結晶セルロースであり、前記組成物は、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合、30分で40~65%の溶出率を示す、即放性錠剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形態IVのアキシチニブ及び1種以上の薬学的の許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物であって、前記形態IVのアキシチニブは、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含むXRPDパターンを特徴とし、前記組成物は、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合、30分で40~70%の溶出率を示す、即放性錠剤組成物。
【請求項2】
粒子内層及び粒子外層を含有する、請求項1に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項3】
前記粒子内層は、アキシチニブ、賦形剤及び結合剤を含有する、請求項2に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項4】
アキシチニブは、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.5~5w/w%である、請求項3に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項5】
前記賦形剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して25~35w/w%である、請求項3又は4に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項6】
前記結合剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して20~30w/w%である、請求項3~5のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項7】
前記賦形剤は、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、マンニトール、セルロース、マルトース、ソルビトール、澱粉又はそれらの混合物であり、前記結合剤は、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース又はそれらの混合物である、請求項3~6のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項8】
前記賦形剤は乳糖一水和物であり、前記結合剤は結晶セルロースである、請求項7に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項9】
前記粒子外層は、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤を含有する、請求項2~8のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項10】
前記結合剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して30~50w/w%である、請求項9に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項11】
前記崩壊剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.1~10w/w%である、請求項9又は10のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項12】
前記崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムであり、前記結合剤は結晶セルロースである、請求項9~11のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項13】
粒子内:
形態IVのアキシチニブ 0.5~5%
1種以上の賦形剤、好ましくは乳糖 25~35w/w%
1種以上の結合剤、好ましくはMCC 20~30w/w%
粒子外:
1種以上の結合剤、好ましくはMCC 30~50w/w%
1種以上の崩壊剤、好ましくはクロスカルメロースナトリウム 0.1~10w/w%、及び
1種以上の滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム 0.1~10w/w%
(全て、錠剤のコーティングを除く総重量に対する割合)
を含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項14】
さらにフィルムコーティングされている、請求項1~13のいずれか一項に記載の即放性錠剤。
【請求項15】
湿式造粒により製造された、請求項1~14のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形態IVのアキシチニブを含有する即放性錠剤医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
式:
【化1】
【0003】
で表されるアキシチニブ又はN-メチル-2-({3-[(E)-2-ピリジン-2-イルエテニル]-1H-インダゾール-6-イル}スルファニル)ベンズアミドは、血管新生に関与するチロシンキナーゼ、特にVEGFRチロシンキナーゼの阻害剤である。
【0004】
アキシチニブは、単独及び他の化学療法薬と組み合わせて、非小細胞肺がん(NSCLC)、転移性腎細胞がん(mRCC)、転移性乳がん、膵臓がん及び甲状腺がんを含むいくつかの腫瘍に対する臨床活性が示されており、臨床研究が継続中である。
【0005】
アキシチニブはファイザー社からインライタ(登録商標)という販売名で販売されており、国際公開第2001/002369号に開示されている。アキシチニブを含有する医薬組成物も開示されている(例.国際公開第2013/046133号)。インライタ(登録商標)は、さまざまな有効成分量(1、3、5及び7mg)の即放性フィルムコーティング錠として提供されている。異なる安定性及び溶解性を特徴とするアキシチニブの結晶形態も開示されている(例.国際公開第2006/048751号、国際公開第2008/122858号)。
【0006】
形態IVのアキシチニブの製剤の開発では、市販のインライタ(登録商標)との生物学的同等性を得ることが非常に困難であることが判明した。形態IVのアキシチニブを含有するプロトタイプは、FDAの溶出法で、インライタ(登録商標)と同様の溶出挙動を示したが、in vivoではインライタ(登録商標)よりも生物学的利用能が高く、インライタ(登録商標)と生物学的に同等ではなかった。
【0007】
したがって、安定で、商業規模での製造に適しており、適切な溶出を示し、そしてインライタ(登録商標)と生物学的に同等である形態IVのアキシチニブを含有する錠剤組成物を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、形態IVのアキシチニブを含有する即放性錠剤組成物が、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合に、30分で40~70%の溶出率を示す場合、インライタ(登録商標)と生物学的に同等であるという発見に基づく。
【0009】
したがって、本発明は、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含むXRPDパターンを特徴とする形態IVのアキシチニブ並びに1種以上の薬学的の許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物であって、前記組成物は、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合に、30分で40~70%の溶出率を示す即放性錠剤組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、形態IVのアキシチニブの全XRPDパターンを示す。測定条件は、実施例を参照。
図2図2は、実施例1の錠剤を製造するために使用する湿式造粒法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含むXRPDパターンを特徴とする形態IVのアキシチニブ並びに1種以上の薬学的の許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物であって、前記組成物は、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合、30分で40~70%の溶出率を示す、即放性錠剤組成物に関する。
【0012】
アキシチニブはBCSクラスIIの化合物で、溶解性が低く;pH1.7の胃においてのみよく溶ける。インライタ(登録商標)は、結晶性である形態XLIのアキシチニブを含む(欧州医薬品庁のCHMP評価報告書参照)。形態XLIは、多形の中で熱力学的に最も安定な形態である。
【0013】
他の形態のアキシチニブが先行技術に開示されている。本発明の即放性錠剤は、結晶性である形態XLIのアキシチニブと比較して、光安定性は低いものの、水溶性が2~3倍高い、形態IVのアキシチニブを含む。
【0014】
形態IVのアキシチニブのXRPDパターンを図1に示す。そのXRPDパターンは、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含む。形態IVのアキシチニブのXRPDパターンは、CuKα1線を使用して測定した場合、以下の2θ(±0.1)角:9.5、14.9、16.5、17.3、19.3、20.3、24.6及び26.4の特徴的なピークをさらに含んでいてもよい。
【0015】
異なる多形の形態が、製剤の安定性、溶出及び生物学的同等性に影響を与えることが知られているが、おそらく形態IVのアキシチニブの溶解性が形態XLIと比較して高いために、形態IVのアキシチニブを使用して即放性錠剤組成物を製造する際に問題に直面した。特に、形態IVのアキシチニブを含有するプロトタイプは、FDAのデータベースに示された溶出法(USP II(パドル)、75rpm、0.01N塩酸 900ml)で、溶出挙動がインライタ(登録商標)と同様であったが、生物学的利用能ははるかに高く、インライタ(登録商標)と生物学的に同等ではなかった。
【0016】
驚くべきことに、本発明者らは、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合、30分で40~70%の溶出率、好ましくは、30分で45~65%の溶出率を示す、形態IVのアキシチニブ及び1種以上の薬学的の許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物が、インライタ(登録商標)と生物学的に同等であることを見いだした。
【0017】
本発明の錠剤組成物は、高温又は高湿度のもとで保存した後であっても非常に安定しており、形態IVのアキシチニブから形態XIL若しくは他の結晶形のアキシチニブへの変換又は不純物の増加がない。
【0018】
本発明の錠剤組成物は即放性錠剤組成物である。本明細書において、用語「即放性錠剤」は、急速(30分以内、好ましくは5分以内)に崩壊し、溶解して薬剤を放出する錠剤を指す。
【0019】
本発明において、70%を超える溶出率は、in vivoで、インライタ(登録商標)のCmax及びAUCと比較して、形態IVのアキシチニブを含有する錠剤のCmax値及びAUC値を大きくする。
【0020】
本明細書において、用語「Cmax」は、薬物が投与された後に達する最高血漿濃度を指し、用語「AUC」は、投与の時点から時点tまでの血漿濃度曲線下面積を指す。
【0021】
40~70%の溶出率により、形態IVのアキシチニブを含有する即放性錠剤のCmax及びAUCが、インライタ(登録商標)のCmax及びAUCと同様となる。
【0022】
通常、薬物の溶出は、当業者に知られている溶出方法により評価する。本発明で使用する溶出方法は、アキシチニブ製剤を、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)に37℃で溶解し、パドルを有するUSP装置IIを使用して75rpmで攪拌することを含む。
【0023】
通常、本発明の錠剤の総重量(コーティングを含まない)は、50~900mgであり、好ましくは90~800mgであり、さらにより好ましくは100mg、300mg、500mg又は700mgである。
【0024】
本発明の錠剤組成物は、錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.5~5w/w%のアキシチニブを含む。
【0025】
したがって、本発明の錠剤組成物に含まれる形態IVのアキシチニブの量は少ないものの、多形形態IVのアキシチニブの使用は、即放性錠剤の生物学的利用能に大きな影響を及ぼした。
【0026】
本発明の錠剤組成物は、さらに薬学的に許容される添加物を含んでいてもよい。本発明で使用する添加物は周知のもので、当業者が従来から使用している添加物である。薬学的に許容される添加物は、1種以上の賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤又は滑沢剤から選択することができる。添加物は、即放性の製剤において、形態IVのアキシチニブと相互作用することなく、形態IVのアキシチニブの特性を調和させる。
【0027】
本発明で使用する賦形剤は、当業者に知られている賦形剤であってもよい。通常、本発明で使用する賦形剤は、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、マンニトール、セルロース、マルトース、ソルビトール、澱粉又はそれらの混合物である。好ましくは、乳糖一水和物である。
【0028】
本発明で使用する結合剤は、当業者に知られている結合剤であってもよい。適切な結合剤は、結晶セルロース(MCC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポビドン、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP/VA)共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース又はそれらの混合物である。結晶セルロースは特に好ましい結合剤である。
【0029】
場合によっては、崩壊剤を使用してもよい。前記崩壊剤は、当業者に知られている崩壊剤であってもよい。本発明で使用する適切な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム又はそれらの混合物である。クロスカルメロースナトリウムは特に好ましい崩壊剤である。崩壊剤は、粒子内又は粒子外に配合することができ、好ましい態様では、本発明の製剤は、粒子外に崩壊剤が存在する。
【0030】
場合によっては、本発明では流動化剤を使用してもよい。前記流動化剤は、当業者に知られている流動化剤であってもよい。コロイド状ニ酸化ケイ素は特に好ましい流動化剤である。
【0031】
本発明で使用する滑沢剤は、当業者に知られている滑沢剤であってもよい。ステアリン酸マグネシウムは特に好ましい滑沢剤である。
【0032】
好ましくは、本発明の錠剤組成物は、
粒子内:
形態IVのアキシチニブ 0.5~5%
1種以上の賦形剤、好ましくは乳糖 25~35w/w%
1種以上の結合剤、好ましくはMCC 20~30w/w%
粒子外:
1種以上の結合剤、好ましくはMCC 30~50w/w%
1種以上の崩壊剤、好ましくはクロスカルメロースナトリウム 0.1~10w/w%、及び
1種以上の滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム 0.1~10w/w%
(全て、錠剤のコーティングを除く総重量に対する割合)
を含有する。
【0033】
本発明者らは、この特定の態様において、粒子内に崩壊剤が存在しないことが、形態IVのアキシチニブを含有する即放性錠剤組成物のCmax及びAUCを低下させ、インライタ(登録商標)との生物学的同等性を促進するのに役に立つことを見いだした。
【0034】
本発明の即放性錠剤組成物は、粒子内層及び粒子外層を含む湿式造粒法で製造する。用いる方法はロバストで費用対効果が高い。湿式造粒法は、水、アセトン、エタノール、イソプロパノール又はそれらの混合物からなる群から選択される造粒溶媒(湿潤剤)を使用する。通常、取扱いが安全であるという利点を有する水が、湿潤剤として使用される。粉末の混合物に液体を加えることによって得られた湿った塊を造粒し、乾燥する。
【0035】
造粒方法は、低せん断湿式造粒、高せん断湿式造粒又は流動床造粒であってもよい。好ましくは、造粒方法は高せん断湿式造粒である。
【0036】
粒子内層は、形態IVのアキシチニブ及び1種以上の薬学的の許容される添加物を含有し、製剤において、形態IVのアキシチニブの流動性を改善し、均一な分布を向上させる。さらに、本発明では、湿式造粒法で製造する場合、粒子内層は、形態IVのアキシチニブを含有する錠剤組成物の溶出挙動も調節する。
【0037】
通常、粒子外層は最終混合物の圧縮特性を改善する。本発明では、粒子外層には形態IVのアキシチニブは含まれない。
【0038】
錠剤は、必要に応じて、さらにフィルムコートでコーティングすることができる。コーティングは一般的に表面を装飾するために行われる。コーティングは、当該技術分野において公知の適切なコーティング材料の1種以上から選択することができる。
【0039】
コーティングは、他の薬学的に不活性な添加物と共に、又はこれを使用することなく、1種以上のフィルム形成ポリマーを、溶液/懸濁液として適用することによって行うことができる。コーティングは、コーティングパン若しくは流動床によるスプレーコーティング又はディップコーティングなど、当該技術分野において公知のコーティング技術により行われる。
【0040】
本発明の錠剤組成物は、例えばブリスターといった一次包装材料で包装する。本発明の錠剤組成物は、好ましくは、PVC/PE/PVDCブリスター(triplex)又はAlu-Aluブリスター包装する。
【0041】
本発明のある態様では、粒子内層は、アキシチニブ、賦形剤及び結合剤を含有する。
【0042】
アキシチニブは、錠剤のコーティングを除く総重量に対して、0.5~5w/w%、より好ましくは0.5~3w/w%、最も好ましくは0.5~1.5w/w%であり、賦形剤は、錠剤のコーティングを除く総重量に対して、16~42w/w%、より好ましくは21~37w/w%であり、結合剤は、錠剤のコーティングを除く総重量に対して、0.5~38w/w%、より好ましくは0.5~33w/w%、さらにより好ましくは15~25w/w%である。
【0043】
本発明の好ましい態様では、粒子内層は、形態IVのアキシチニブを、錠剤のコーティングを除く総重量に対して、0.5~5w/w%、より好ましくは0.5~3w/w%、最も好ましくは0.5~1.5w/w%、乳糖一水和物を、錠剤のコーティングを除く総重量に対して、16~42w/w%、より好ましくは21~37w/w%、結晶セルロースを、錠剤のコーティングを除く総重量に対して、0.5~38w/w%、より好ましくは0.5~33w/w%、さらにより好ましくは15~25w/w%含有する。
【0044】
本発明の即放性錠剤組成物の粒子外層は、1種以上の薬学的な添加物を含有する。本発明で使用する添加物は周知のもので、当業者が従来から使用している添加物である。薬学的に許容される添加物は、結合剤、崩壊剤又は滑沢剤から選択することができる。本発明の好ましい態様では、粒子内層は、30~50w/w%(錠剤のコーティングを除く総重量に対する割合、以下同様)の1種以上の結合剤、好ましくはMCC、0.1~10w/w%の1種以上の崩壊剤、好ましくはクロスカルメロースナトリウム、及び、0.1~10w/w%の1種以上の滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0045】
本発明を、以下の実施例により説明する。
【実施例0046】
図1に示す形態IVのアキシチニブの完全なXRPDパターンは、Lynxeye検出器を備えたθ/2θジオメトリ(反射モード)のBruker-AXS D8 Vario回折計を使用し、以下の測定条件により取得した:
開始角(2θ):2.0°
終了角(2θ):35.0°
走査刻み幅:0.02°
走査刻み時間:0.2~2.0秒
放射線種:Cu
放射波長:1.5406Å(Kα1)、一次モノクロメーターを使用
出口スリット:6.0mm
焦点スリット:0.2mm
発散スリット:可変(V20)
散乱線除去スリット:11.8mm
受信スリット:20.7mm
【0047】
実施例1 形態IVのアキシチニブを含有する医薬組成物
形態IVのアキシチニブを含有する錠剤を湿式造粒法により製造した。以下の表1にその組成を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
実施例1の組成物を、HPMC 39%、乳糖一水和物 28%、二酸化チタン 16%、酸化鉄赤 9%、トリアセチン 8%でフィルムコーティングし、フィルムコーティング錠を得る。
【0050】
実施例3
Alu-Alu中の実施例2のフィルムコーティング錠の安定性を評価した。
【0051】
【表2】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形態IVのアキシチニブ及び1種以上の薬学的の許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物であって、前記形態IVのアキシチニブは、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含むXRPDパターンを特徴とし、前記組成物は、アキシチニブ、賦形剤及び前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して20~30w/w%の結合剤を含む粒子内層を有し、前記結合剤は結晶セルロースであり、前記組成物は、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合、30分で40~65%の溶出率を示す、即放性錠剤組成物。
【請求項2】
粒子内層及び粒子外層を含有する、請求項1に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項3】
アキシチニブは、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.5~5w/w%である、請求項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項4】
前記賦形剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して25~35w/w%である、請求項又はに記載の即放性錠剤組成物。
【請求項5】
前記賦形剤は、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、マンニトール、セルロース、マルトース、ソルビトール、澱粉又はそれらの混合物である、請求項のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項6】
前記賦形剤は乳糖一水和物である、請求項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項7】
前記粒子外層は、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤を含有する、請求項2~のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項8】
前記粒子外層の結合剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して30~50w/w%である、請求項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項9】
前記粒子外層の崩壊剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.1~10w/w%である、請求項又はのいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムであり、前記結合剤は結晶セルロースである、請求項のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項11】
粒子内:
形態IVのアキシチニブ 0.5~5%
1種以上の賦形剤、乳糖 25~35w/w%
1種以上の結合剤、結晶セルロース 20~30w/w%
粒子外:
1種以上の結合剤、結晶セルロース 30~50w/w%
1種以上の崩壊 0.1~10w/w%、及び
1種以上の滑沢 0.1~10w/w%
(全て、錠剤のコーティングを除く総重量に対する割合)
を含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項12】
前記崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである、請求項11に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項13】
前記滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである、請求項11に記載の即放性錠剤組成物。
【請求項14】
さらにフィルムコーティングされている、請求項1~13のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
【表2】
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 形態IVのアキシチニブ及び1種以上の薬学的の許容される添加物を含有する即放性錠剤組成物であって、前記形態IVのアキシチニブは、CuKα1線で測定した場合、2θが、約8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.1、20.6、21.6、23.2、24.2、24.9、26.1及び27.5±0.1°のピークを含むXRPDパターンを特徴とし、前記組成物は、900mlの0.01N塩酸(pH2.0)が入ったUSP装置IIを使用して、37℃、75rpmで試験を行った場合、30分で40~70%の溶出率を示す、即放性錠剤組成物。
[2] 粒子内層及び粒子外層を含有する、[1]に記載の即放性錠剤組成物。
[3] 前記粒子内層は、アキシチニブ、賦形剤及び結合剤を含有する、[2]に記載の即放性錠剤組成物。
[4] アキシチニブは、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.5~5w/w%である、[3]に記載の即放性錠剤組成物。
[5] 前記賦形剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して25~35w/w%である、[3]又は[4]に記載の即放性錠剤組成物。
[6] 前記結合剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して20~30w/w%である、[3]~[5]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
[7] 前記賦形剤は、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、マンニトール、セルロース、マルトース、ソルビトール、澱粉又はそれらの混合物であり、前記結合剤は、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース又はそれらの混合物である、[3]~[6]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
[8] 前記賦形剤は乳糖一水和物であり、前記結合剤は結晶セルロースである、[7]に記載の即放性錠剤組成物。
[9] 前記粒子外層は、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤を含有する、[2]~[8]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
[10] 前記結合剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して30~50w/w%である、[9]に記載の即放性錠剤組成物。
[11] 前記崩壊剤は、前記錠剤のコーティングを除く総重量に対して0.1~10w/w%である、[9]又は[10]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
[12] 前記崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムであり、前記結合剤は結晶セルロースである、[9]~[11]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
[13] 粒子内:
形態IVのアキシチニブ 0.5~5%
1種以上の賦形剤、好ましくは乳糖 25~35w/w%
1種以上の結合剤、好ましくはMCC 20~30w/w%
粒子外:
1種以上の結合剤、好ましくはMCC 30~50w/w%
1種以上の崩壊剤、好ましくはクロスカルメロースナトリウム 0.1~10w/w%、及び
1種以上の滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウム 0.1~10w/w%
(全て、錠剤のコーティングを除く総重量に対する割合)
を含有する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
[14] さらにフィルムコーティングされている、[1]~[13]のいずれか一項に記載の即放性錠剤。
[15] 湿式造粒により製造された、[1]~[14]のいずれか一項に記載の即放性錠剤組成物。
【外国語明細書】